本発明のトナーは、トナー粒子表面に、
(1)個数平均粒子径(D1)が70nm以上200nm以下であり、かつ、真円度が0.80以上の球状粒子、および、
(2)ハイドロタルサイト粒子
が存在しており、
該トナーにおいて、該ハイドロタルサイト粒子の固着率が15%以上80%以下であり、
該トナー粒子、該球状粒子および該ハイドロタルサイト粒子の摩擦帯電列において、負極性の側から、該トナー粒子、該球状粒子、該ハイドロタルサイト粒子の順である、
ことを特徴とする。
本発明においては、該球状粒子および該ハイドロタルサイト粒子の組合せにより、帯電安定性と高耐久性を高いレベルで両立することができる。具体的には、ハイドロタルサイト粒子のマイクロキャリア的な働きを阻害することなく、脱離を抑制することで、高い帯電安定性を有した上で、現像機内の部材汚染を抑制することができる。
上記の効果に係るメカニズムを、以下のように推定している。
本発明では、該トナー粒子、該球状粒子および該ハイドロタルサイト粒子の摩擦帯電列において、負極性の側から、該トナー粒子、該球状粒子、該ハイドロタルサイト粒子の順であることを特徴とする。
該球状粒子の摩擦帯電列が、トナー粒子とハイドロタルサイト粒子の間に位置することで、該ハイドロタルサイト粒子と該球状粒子の間に働く静電凝集力が、該ハイドロタルサイト粒子と該トナー粒子との間に働く静電凝集力よりも小さくなると考えられる。これにより、ハイドロタルサイト粒子のトナー粒子への付着を阻害することなく、また、トナー粒子表面でこれらの材料が凝集することを抑制できると考えている。
また、該球状粒子の摩擦帯電列が該ハイドロタルサイト粒子よりも負極性側にあることで、該ハイドロタルサイト粒子と該球状粒子の間に、静電的付着力が働く。トナー粒子上に該球状粒子および該ハイドロタルサイト粒子が適切に拡散し、付着している場合には、該ハイドロタルサイト粒子のトナー粒子への付着力が、該球状粒子との静電的な付着力により強められる。結果として該ハイドロタルサイト粒子のトナー粒子からの脱離が抑制される。静電的な付着力により脱離を抑制することにより、物理的な埋め込みにより脱離を抑制する場合に比べて、トナー粒子間でのハイドロタルサイト粒子のマイクロキャリア的な働きが阻害されず、良好な帯電特性が得られる。これにより、高速かつ多数枚プリント時に、現像機内のトナーが激しく摺擦される場合においても、該ハイドロタルサイト粒子のトナー粒子からの脱離が抑制され、かつ良好な帯電付与効果が持続する。以上のことから、前述のような高い帯電安定性と高耐久性を両立することができると考えている。
該トナー粒子、該球状粒子および該ハイドロタルサイト粒子の摩擦帯電列については、後述の標準キャリアを用いたゼロポイントチャージの測定により求めた。トナー粒子とハイドロタルサイト粒子のゼロポイントチャージの差が大きいほど、ハイドロタルサイト粒子のトナーへの付着性が増加するため好ましい。数値差が35μC/g以上であることが好ましく、42μC/g以上であることがより好ましい。
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明において、該球状粒子の個数平均粒子径(D1)は70nm以上200nm以下である。
個数平均径が70nmより小さい場合には、球状粒子のトナー粒子への埋没が生じやすく、耐久性に劣る傾向がある。また、他の外添剤が含まれる場合に、球状粒子とハイドロタルサイト粒子との相互作用が阻害されやすい。
個数平均径が200nmより大きい場合には、球状粒子のトナー粒子からの脱離が生じやすく、球状粒子およびハイドロタルサイト粒子による、現像機内の部材汚染が発生しやすい。
球状粒子の個数平均粒子径(D1)が70nm以上200nm以下である場合に、球状粒子とハイドロタルサイト粒子との相互作用が生じやすく、前述のような効果が得られる。
本発明において、該球状粒子の真円度は0.80以上である。
真円度が0.80より小さい粒子を用いた場合には、現像機内の部材汚染を抑制する効果が得られない。トナー粒子上に該粒子が均一に拡散しづらいためと考えられる。
本発明において、トナー中の該ハイドロタルサイト粒子の固着率が15%以上80%以下であることが必要である。
ハイドロタルサイト粒子の固着率の測定方法の詳細は後述するが、水溶液中にトナーを分散し、遠心分離で分離後に濾過洗浄を行い、トナー中に残存したハイドロタルサイト粒子の比率を固着率として定義したものである。
固着率が15%より小さい場合には、ハイドロタルサイト粒子のトナー粒子からの脱離が生じることで、現像機内の部材汚染が発生しやすい。固着率が80%より大きい場合には、トナーの帯電安定性が低下する傾向がある。ハイドロタルサイト粒子のマイクロキャリア的な働きが抑制されるためと考えられる。
ハイドロタルサイト粒子の固着率を上記範囲に制御するための方法としては、特に制限されないが、外添によって達成する場合には、外添混合処理時の動力や処理時間の調整によって達成することができる。外添混合処理時の動力を上げるか、処理時間を長くすることで固着率を高くすることができる。
ここで、該球状粒子を含まないトナーにおいて、トナー中の該ハイドロタルサイト粒子の固着率を前述の範囲に制御した場合においては、本発明の効果は得られない。ここで定義したハイドロタルサイト粒子の固着率は、トナーの初期状態での値である。一般的に、高速かつ多数枚プリント時において、撹拌等によりトナーに負荷が加えられた状態では、トナー表面に存在する微粒子の付着状態は初期状態とは異なるものと考えられる。本発明において、高速かつ多数枚プリント時に、ハイドロタルサイト粒子のトナー粒子への適切な付着性を維持するためには、該球状粒子と該ハイドロタルサイト粒子との間に静電的な付着力が働くことが必要であると考えられる。
本発明においては、該球状粒子の摩擦帯電列を制御することで、前述のように、ハイドロタルサイト粒子由来の凝集物の形成を抑制することができる。一方で、ハイドロタルサイト粒子および球状粒子を混合処理によりトナー粒子表面に添加する場合には、混合工程を下記のように実施することで、凝集粒子の形成をさらに抑えることが可能である。
すなわち、トナー粒子に球状粒子とハイドロタルサイト粒子とを添加する混合工程において
1)該トナー粒子と該球状粒子とを混合し、混合物を得る第一混合工程と、
2)該混合物と該ハイドロタルサイト粒子とを混合し、該トナーを得る第二混合工程とを有することが好ましい。トナー粒子に球状粒子を添加する工程と、ハイドロタルサイト粒子を添加する工程を2段階に分けることで凝集粒子の形成を抑えることができる。また、トナー粒子に球状粒子を添加し、混合した後に、ハイドロタルサイト粒子を添加し混合することで、トナーの最表面に位置するハイドロタルサイト粒子の割合が増加し、ハイドロタルサイト粒子による帯電付与効果を最大限に活用することができる。結果として、高い帯電安定性を有するトナーを得ることができる。
本発明に用いられる球状粒子は、摩擦帯電列上で、該ハイドロタルサイト粒子よりも負極性側であり、該トナー粒子よりも正極性側に位置する必要がある。上記関係を満たす球状粒子であれば、有機物、無機物含めて特に制限されないが、無機物として、例えば、シリカ、チタニア、アルミナなどの粒子又はこれらの複合酸化物が挙げられる。有機物としては、例えば、スチレン、アクリル酸、メチルメタクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートの如きトナー用結着樹脂に用いられるモノマー成分の単独重合体あるいは共重合体を用いることが出来る。
中でも、疎水化処理されたシリカ粒子が帯電性の観点から好ましい。該シリカ粒子としては、水ガラスから製造される湿式シリカ、ゾル−ゲル法により製造されるゾルゲルシリカ粒子などが挙げられる。円形度が高く、粒度分布がシャープであることから疎水化処理されたゾルゲルシリカ粒子が特に好ましい。疎水化処理剤としては、未変性のシリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、未変性のシリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シラン化合物、シランカップリング剤、その他有機ケイ素化合物、有機チタン化合物が挙げられる。これらの処理剤は単独で或いは併用して用いられても良い。
球状粒子の添加量としては、トナー粒子100質量部に対して0.01質量部以上3.00質量部以下(より好ましくは0.03質量部以上1.0質量部以下)である。添加量が0.01質量部以上で本発明の効果が十分に発揮され、3.00質量部以下であれば球状粒子のトナー粒子からの脱離も生じない。また、ハイドロタルサイト粒子の添加量に対する球状粒子の添加量比は、0.1以上1.7以下が好ましい。前記範囲では、球状粒子とハイドロタルサイト粒子の相互作用が生じやすく、本発明の効果が得られやすい。
本発明に用いられるハイドロタルサイト粒子としては、以下の構造式で表されるものを用いることができる。
(2価又は3価金属は、少なくとも1種以上存在し、異なる元素を複数含有する固溶体であっても構わない。また、1価の金属を微量含んでも構わない。ただし、0<x≦0.5、y=1−x、m≧0、M
2+:少なくともMg、Zn、Ca、Ba、Ni、Sr、Cu、Feから選ばれる2価の金属イオン、M
3+:少なくともAl、B、Ga、Fe、Co、Inから選ばれる3価の金属イオン、A
n-:n価のアニオンで、CO
3 2-、OH
-、Cl
-、I
-、F
-、Br
-、SO
4 2-、HCO
3 2-、CH
3COO
-、NO
3 -が挙げられる。単独あるいは複数存在しても構わない。)
上記2価の金属イオンM2+としてはマグネシウムを多量に含有することが好ましく、3価の金属イオンM3+としてはアルミニウムを多量に含有することが好ましい。
また、ハイドロタルサイト粒子は、その分子内に水を有していることが好ましく、一般式(1)において、0.1<m<0.6であることがより好ましい。
本発明に使用されるハイドロタルサイト粒子の個数平均粒子径(D1)は、0.1μm以上1.00μm以下であることが好ましく、0.2μm以上0.8μm以下であることがより好ましい。0.1μm以上の場合には、ハイドロタルサイト粒子と球状粒子との相互作用が生じやすい。1.00μm以下の場合には、ハイドロタルサイト粒子がトナー粒子から過度に脱離することがなく、本発明の効果が得られやすい。ハイドロタルサイト粒子の個数平均粒子径は、球状粒子の個数平均粒子径よりも大きいことが好ましく、その場合に、球状粒子によるハイドロタルサイト粒子の脱離抑制効果がより顕著になると考えられる。
本発明に使用されるハイドロタルサイト粒子は、表面処理剤によって疎水化処理を行なうことが環境安定化を図る上でも好ましい。表面処理剤としては、高級脂肪酸類、カップリング剤類、エステル類、シリコーンオイルの如きオイル類が使用可能である。中でも高級脂肪酸類が好ましく用いられ、具体的には、ステアリン酸、オレイン酸、ラウリル酸が例示される。
ハイドロタルサイト粒子のトナー粒子に対する添加量としては、トナー粒子100質量部に対して0.01質量部以上3.00質量部以下(より好ましくは0.1質量部以上1.0質量部以下)である。添加量が0.01質量部以上で本発明の効果が十分に発揮され、3.00質量部以下であれば環境安定性も十分である。
本発明のトナーにおいては、上記球状粒子およびハイドロタルサイト粒子以外に、一般的に外添剤として広く知られている有機、あるいは、無機の微粒子を添加することが可能である。この場合、トナー粒子100質量部に対して、ハイドロタルサイト粒子を含む無機微粒子および有機の微粒子が、総量で0.5質量部以上5.0質量部以下含有されていると好ましい。微粒子の総量が0.5質量部以上であればトナーの流動性が良く、また微粒子の総量が5.0質量部以下であればトナーや外添剤による部材汚染が抑えられる。
トナー粒子に外添する無機微粒子としては、上記球状粒子およびハイドロタルサイト粒子以外に例えば、シリカ、アルミナ、チタニアから選ばれる無機微粒子又はその複合酸化物などが使用できる。複合酸化物としては、例えば、シリカアルミナ複合酸化物、シリカチタニア複合酸化物やチタン酸ストロンチウム微粉体等が挙げられる。これらの外添剤としては、表面を疎水化処理して用いることが好ましい。上記疎水化処理の方法としては、有機ケイ素化合物、シリコーンオイル、長鎖脂肪酸等で処理する方法が挙げられる。
上記有機ケイ素化合物としては、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、トリメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン等が挙げられる。これらは一種又は二種以上の混合物で用いられる。
上記シリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、α−メチルスチレン変性シリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル等が挙げられる。
さらに、本発明に用いられるトナーには、実質的な悪影響を与えない範囲内で更に他の添加剤、例えばテフロン(登録商標)粉末、ステアリン酸亜鉛粉末、ポリフッ化ビニリデン粉末のような滑剤粉末、酸化セリウム粉末、炭化硅素粉末などの研磨剤、ケーキング防止剤、有機微粒子を用いる事もできる。これらの添加剤は表面を疎水化処理して用いることも可能である。該有機微粒子としては、例えば乳化重合法やスプレードライ法による、スチレン、アクリル酸、メチルメタクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートの如きトナー用結着樹脂に用いられるモノマー成分の単独重合体あるいは共重合体を用いることが出来る。
トナー粒子に外添剤を外添する混合機としては、FMミキサ(日本コークス工業株式会社製)、スーパーミキサー(カワタ社製)、ノビルタ(ホソカワミクロン社製)、ハイブリダイザー(奈良機械社製)等が挙げられる。
また、外添後に粗粒子をふるい分けるために用いられる篩い装置としては、ウルトラソニック(晃栄産業社製);レゾナシーブ、ジャイロシフター(徳寿工作所社);バイブラソニックシステム(ダルトン社製);ソニクリーン(新東工業社製);ターボスクリーナー(ターボ工業社製);ミクロシフター(槙野産業社製)等が挙げられる。
本発明のトナー粒子に含まれる結着樹脂としては、ポリスチレン;ポリ−p−クロルスチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン置換体の単重合体;スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体等のスチレン系共重合体;アクリル樹脂;メタクリル樹脂;ポリ酢酸ビニル;シリコーン樹脂;ポリエステル樹脂;ポリアミド樹脂;フラン樹脂;エポキシ樹脂;キシレン樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、単独で又は混合して使用される。
結着樹脂の主成分としてはポリエステル樹脂及び/又はスチレンと他のビニルモノマーとの共重合体であるスチレン系共重合体が現像性、定着性の点で好ましい。
スチレン系共重合体のスチレンモノマーに対するコモノマーとしては、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸オクチル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドのような二重結合を有するモノカルボン酸もしくはその置換体;マレイン酸、マレイン酸ブチル、マレイン酸メチル、マレイン酸ジメチルのような二重結合を有するジカルボン酸及びその置換体;塩化ビニル、酢酸ビニル、安息香酸ビニルのようなビニルエステル;エチレン、プロピレン、ブチレンのようなエチレン系オレフィン;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトンのようなビニルケトン;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルのようなビニルエーテルが挙げられる。これらビニル単量体が単独もしくは2つ以上用いられる。
上記スチレン系共重合体は架橋剤で架橋されていることがトナーの定着温度領域を広げ、耐オフセット性を向上させる上で好ましい。架橋剤としては、2個以上の重合可能な二重結合を有する化合物が用いられる。例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンのような芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレートのような二重結合を2個有するカルボン酸エステル;ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホン等のジビニル化合物;及び3個以上のビニル基を有する化合物が挙げられる。これらは単独もしくは混合物として用いられる。
本発明のトナー粒子は、粉砕法および重合法などの公知の製造方法により製造可能である。例えば、結着樹脂と顔料、離型剤を混合し、混練、粉砕、分級工程を経てトナー粒子を得る混練粉砕法;有機溶剤中に結着樹脂、顔料、離型剤を溶解または分散混合し、水系媒体中で造粒したのち、脱溶剤してトナー粒子を得る溶解懸濁法;結着樹脂、顔料、離型剤の各微粒子を水系媒体中に微分散し、それらをトナー粒径に凝集させてトナー粒子を得る乳化凝集法:重合性単量体、顔料、離型剤を溶解または分散混合し、水系媒体中で造粒したのち、重合開始剤により重合性単量体を重合してトナー粒子を得る懸濁重合法等が挙げられる。中でも、懸濁重合法により製造されるトナー粒子は、真球に近く、表面の凹凸が少ないため、本発明の球状粒子およびハイドロタルサイト粒子をトナー粒子上に均一に拡散しやすいために好ましい。
本発明のトナーに用いることができる着色剤としては、従来から知られている種々の染料や顔料等、公知の着色剤を挙げることができる。
マゼンタ用着色顔料としては、C.I.ピグメントレッド3、5、17、22、23、38、41、112、122、123、146、149、178、179、190、202、C.I.ピグメントバイオレット19、23が挙げられる。これらの顔料は、単独で使用しても良く、染料と顔料を併用しても良い。
シアン用着色顔料としては、C.I.ピグメントブルー15、15:1、15:3又はフタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1から5個置換した銅フタロシアニン顔料が挙げられる。
イエロー用着色顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、17、55、74、83、93、94、95、97、98、109、110、154、155、166、180、185が挙げられる。
黒色着色剤としては、カーボンブラック、アニリンブラック、アセチレンブラック、チタンブラック及び上記に示すイエロー/マゼンタ/シアン着色剤を用い黒色に調色されたものが利用できる。
また、本発明のトナーは、磁性トナーとして用いることも可能であり、その場合には、以下に挙げられる磁性体が用いられる。マグネタイト、マグヘマイト、フェライトの如き酸化鉄、または他の金属酸化物を含む酸化鉄;Fe、Co、Niの如き金属、あるいは、これらの金属とAl、Co、Cu、Pb、Mg、Ni、Sn、Zn、Sb、Ca、Mn、Se、Tiのような金属との合金、およびこれらの混合物。より具体的には、四三酸化鉄(Fe3O4)、三二酸化鉄(γ−Fe2O3)、酸化鉄亜鉛(ZnFe2O4)、酸化鉄銅(CuFe2O4)、酸化鉄ネオジウム(NdFe2O3)、酸化鉄バリウム(BaFe12O19)、酸化鉄マグネシウム(MgFe2O4)、酸化鉄マンガン(MnFe2O4)が挙げられる。上述した磁性材料を単独で或いは2種類以上を組合せて使用する。特に好適な磁性材料は、四三酸化鉄又はγ−三二酸化鉄の微粉末である。
これらの磁性体は、平均粒径が0.1μm以上2μm以下であることが好ましく、0.1μm以上0.3μm以下であることがさらに好ましい。795.8kA/m(10kエルステッド)印加での磁気特性は、抗磁力(Hc)が1.6kA/m以上12kA/m以下(20エルステッド以上150エルステッド以下)、飽和磁化(σs)が5Am2/kg以上200Am2/kg以下であり、好ましくは50Am2/kg以上100Am2/kg以下である。残留磁化(σr)は、2Am2/kg以上20Am2/kg以下のものが好ましい。
磁性体は、結着樹脂100質量部に対して、10質量部以上200質量部以下の範囲で用いることが好ましく、より好ましくは20質量部以上150質量部以下である。
本発明のトナーは、離型剤を含有しても良い。離型剤としては、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物;脂肪族炭化水素系ワックスのブロック共重合物;カルナバワックス、サゾールワックス、モンタン酸エステルワックスの如き脂肪酸エステルを主成分とするワックス;及び脱酸カルナバワックスの如き脂肪酸エステルを一部又は全部を脱酸化したもの、ベヘニン酸モノグリセリドの如き脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂を水素添加することによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物が挙げられる。
離型剤の分子量分布としては、メインピークが分子量400以上2400以下の領域にあることが好ましく、430以上2000以下の領域にあることがより好ましい。これによって、トナーに好ましい熱特性を付与することができる。離型剤の添加量は、結着樹脂100質量部に対して総量で2.5質量部以上40.0質量部以下であることが好ましく、3.0質量部以上15.0質量部以下であることがより好ましい。
本発明のトナーには、荷電制御剤を用いることが、トナーの帯電性を安定に保つために好ましい形態となる。トナーを負荷電性に制御するものとして下記物質がある。
例えば、有機金属化合物、キレート化合物が有効であり、モノアゾ金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族オキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸、オキシカルボン酸及びダイカルボン酸系の金属化合物がある。他には、芳香族オキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノール等のフェノール誘導体類などがある。
さらに、尿素誘導体、含金属サリチル酸系化合物、含金属ナフトエ酸系化合物、ホウ素化合物、4級アンモニウム塩、カリックスアレーン、樹脂系帯電制御剤等が挙げられる。
トナーを正荷電性に制御するものとして下記物質がある。
ニグロシン及び脂肪酸金属塩等によるニグロシン変性物;グアニジン化合物;イミダゾール化合物;トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート等の4級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩等のオニウム塩及びこれらのレーキ顔料;トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、りんタングステン酸、りんモリブデン酸、りんタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物など);高級脂肪酸の金属塩;ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイド等のジオルガノスズオキサイド;ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレートの如きジオルガノスズボレート類;樹脂系帯電制御剤等が挙げられる。これらを単独で或いは2種類以上組み合わせて用いることができる。
本発明において、トナー粒子の摩擦帯電列は、ハイドロタルサイト粒子およびトナー粒子よりも負極性側である必要がある。該ハイドロタルサイト粒子が強い正帯電性を示すことから、上記関係を満たすためには、トナー粒子は負帯電性であることが好ましい。
また、トナーの負帯電性が強いほど、トナー粒子とハイドロタルサイト粒子の間の静電的な付着力が高まるため好ましい。高い環境安定性を有した上で、トナー粒子の負帯電性を高めるには、荷電制御剤として下記式(2)で示される構造aを有する重合体Aを用いることが好ましい。
(式中、R
1は、炭素数1以上18以下のアルキル基、または、炭素数1以上18以下のアルコキシ基を表し、R
2は、水素原子、ヒドロキシ基、炭素数1以上18以下のアルキル基、または、炭素数1以上18以下のアルコキシ基を表し、gは1以上3以下の整数を表し、hは0以上3以下の整数を表し、hが2または3の場合、R
1はそれぞれ独立して選択でき、*は重合体Aにおける結合部位である。)
重合体Aの主鎖構造としては、構造aが*部で連結できる構造であれば特に制限はない。例えば、ビニル系重合体、ポリエステル系重合体、ポリアミド系重合体、ポリウレタン系重合体、ポリエーテル系重合体などが挙げられる。また、これらが2種以上組み合わさったハイブリッド型の重合体も挙げられる。ここに挙げた中でも、製造容易性、コストメリット、バインダー樹脂との親和性を考慮すると、ポリエステル系重合体、または、ビニル系重合体であることが好ましい。より好ましくは、構造aを、下記式(3)で示される部分構造として有するビニル系重合体である。
(式中、R
3は、ヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数1以上18以下のアルキル基、または、炭素数1以上18以下のアルコキシ基を表し、R
4は、水素原子、ヒドロキシ基、炭素数1以上18以下のアルキル基、または、炭素数1以上18以下のアルコキシ基を表し、R
5は、水素原子またはメチル基を表し、iは1以上3以下の整数を表し、jは0以上3以下の整数を表し、jが2または3の場合、R
3はそれぞれ独立して選択できる。)
R3,R4における、アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基などが挙げられ、アルコキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等が挙げられる。このように、重合体Aがビニル系重合体であることにより、ビニル系樹脂を主成分とするトナー粒子中では、相溶されやすくなる。相溶化により、より最適な分子配置をとることが可能となり、重合体Aの帯電能がより効果的に発揮される。水系媒体中でトナーを製造する場合は、さらに効果を発揮し、極性の高い重合体A成分のトナー粒子表層への配置がスムーズに進行するため、粒度分布が良化する。
重合体Aの分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により算出した重量平均分子量が1000以上100000以下である。重合体Aの重量平均分子量を1000以上とすることで、高温高湿下での染み出しが抑制され、良好な流動性が確保できる。また、重量平均分子量を100000以下とすることで、トナーの定着性が良好で、かつ、トナー粒子間での偏在を抑制できるためシャープな帯電量分布となる。重量平均分子量を上記範囲とするためには、重合体Aを製造する際の試薬量、反応温度、溶媒濃度などの条件を変えることにより制御可能である。また、GPCにより分取することによって、所望の分子量の重合体Aを得ることができる。
さらに、重合体A中の構造aの含有量は、10μmol/g以上1500μmol/g以下であることが好ましい。重合体A中の構造aの含有量が10μmol/g以上とすることで、良好な摩擦帯電性が発揮される。また、1500μmol/g以下であることで、構造aの持つ吸湿性の影響をより小さく抑えることができるため、良好な流動性が発揮される。重合体A中の構造aの含有量は、重合体Aを合成する際の仕込み比や、反応温度等の反応条件で調節することが可能である。
重合体Aの製造方法としては特に限定されず、公知の手法により製造することができる。ビニル系重合体の場合には、例えば、一例として、式(2)で示される構造を有する構造aを含有する重合性単量体(式(4))と、ビニル系単量体とを重合開始剤を用いて共重合させる方法である。
(式中、R
9は、炭素数1以上18以下のアルキル基、または、炭素数1以上18以下のアルコキシ基を表し、R
10は、水素原子、ヒドロキシ基、炭素数1以上18以下のアルキル基、または、炭素数1以上18以下のアルコキシ基を表し、mは1以上3以下の整数を表し、nは0以上3以下の整数を表し、nが2または3の場合、R
9はそれぞれ独立して選択できる。)
構造aを含有する重合性単量体の具体例を表1に示す。
また、構造aを含有する重合性単量体Aと共重合させるビニル系単量体としては、特に制限されない。具体的には、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレンの如きスチレン及びその誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンの如きエチレン不飽和モノオレフィン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、弗化ビニルの如きハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルの如きビニルエステル酸;アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシルの如きアクリル酸エステル類;前記アクリル酸エステル類のアクリルをメタクリルに変えたメタクリル酸エステル類;メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きメタクリル酸アミノエステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテルの如きビニルエーテル類;ビニルメチルケトンの如きビニルケトン類;N−ビニルピロールの如きN−ビニル化合物;ビニルナフタリン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドの如きアクリル酸若しくはメタクリル酸誘導体、アクリル酸、メタクリル酸などが挙げられる。なお、ビニル系単量体は、必要に応じて2種以上を組み合わせて用いても良い。
上記した重合性単量体成分を共重合させる際に用いることのできる重合開始剤としては、過酸化物系重合開始剤、アゾ系重合開始剤など様々なものが使用できる。使用できる過酸化物系重合開始剤としては、有機系としては、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネート、ジアルキルパーオキサイド、パーオキシケタール、ケトンパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド、ジアシルパーオキサイドが挙げられる。無機系としては、過硫酸塩、過酸化水素などが挙げられる。具体的には、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ヘキシルパーオキシアセテート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ヘキシルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルモノカーボネートなどのパーオキシエステル;ベンゾイルパーオキサイドなどのジアシルパーオキサイド;ジイソプロピルパーオキシジカーボネートなどのパーオキシジカーボネート;1,1−ジ−t−ヘキシルパーオキシシクロヘキサンなどのパーオキシケタール;ジ−t−ブチルパーオキサイドなどのジアルキルパーオキサイド;その他としてt−ブチルパーオキシアリルモノカーボネート等が挙げられる。また、使用できるアゾ系重合開始剤としては、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)等が例示される。
なお、必要に応じてこれら重合開始剤を2種以上同時に用いることもできる。この際使用される重合開始剤の使用量は、重合性単量体100質量部に対し0.100質量部以上20.0質量部以下であることが好ましい。また、その重合法としては、溶液重合、懸濁重合、乳化重合、分散重合、沈殿重合、塊状重合等いずれの方法を用いることも可能であり、特に限定するものではない。
本発明のトナーの重量平均粒径(D4)は、3.0μm以上15.0μm以下であることが好ましく、より好ましくは4.0μm以上12.0μm以下である。トナーの平均円形度としては、0.960以上0.995以下であることが好ましい。0.960以上であれば、該球状粒子およびハイドロタルサイト粒子がトナー粒子上で拡散しやすく、凸部で凝集粒子を形成せず、結果として、ハイドロタルサイト粒子の脱離が生じ難い。0.995以下であれば、感光体上や中間転写体上に残る転写残トナーのクリーニング悪化が生じない。
本発明のトナーは、一成分及び二成分系現像剤として、いずれの現像方式にも使用できる。たとえば、一成分系現像剤として、磁性体をトナー中に含有せしめた磁性トナーの場合には、現像スリーブ中に内蔵せしめたマグネットを利用し、磁性トナーを搬送及び帯電せしめる方法がある。また、磁性体を含有しない非磁性トナーを用いる場合には、ブレード又はファーブラシを用い、摩擦帯電して現像ローラ上にトナーを付着させる方法がある。
二成分系現像剤として用いる場合、例えば、トナーと混合させる磁性キャリアとしては、鉄、銅、亜鉛、ニッケル、コバルト、マンガン、クロム等より選ばれる元素から、単独又は複合フェライト状態で構成される。この際に使用する磁性キャリアの形状は、球状、扁平、不定形等のものがあり、更に、磁性キャリアの表面状態の微細構造(例えば、表面凹凸性)を適宜に制御したものを用いることもできる。また、表面を樹脂で被覆した樹脂被覆キャリアも好適に用いることができる。使用するキャリアの平均粒径は、好ましくは10μm以上100μm以下、より好ましくは20μm以上50μm以下である。また、これらのキャリアとトナーを混合して二成分系現像剤を調製する場合の現像剤中のトナー濃度は、好ましくは2質量%以上15質量%以下程度である。
本発明のトナーは特段の制限なく従来公知の画像形成装置に用いることができる。中でも、感光体を帯電する帯電工程と、帯電された前記感光体を露光して静電潜像を形成する露光工程と、前記静電潜像をトナーで現像してトナー像を形成する現像工程と、前記トナー像を転写材に転写する転写工程と、転写後の前記感光体の表面に残留する残留トナーを除去するクリーニング工程と、を有する画像形成方法に用いることが好ましい。さらに、本発明のトナーは、トナーを担持して静電潜像を現像するトナー担持体と、前記トナー担持体と当接部を形成するよう配置され、前記トナー担持体に前記トナーを供給する供給部材とを備える現像室と前記トナーが収容された収容部とを有する画像形成装置であって、前記トナー担持体と前記供給部材の回転方向が、各々の表面が前記当接部において同一方向に移動する方向である画像形成装置に用いることがより好ましい。本発明のトナーを上記構成の画像形成装置に用いることで、より長期にわたって安定した性能を発揮することが可能となる。
以下に、本発明に用いることができる上記構成の画像形成装置について説明する。先ず、画像形成装置の全体構成について説明する。
図1は、画像形成装置100の概略断面図である。画像形成装置100は、インライン方式、中間転写方式を採用したフルカラーレーザープリンタである。画像形成装置100は、画像情報に従って、記録材(例えば、記録用紙、プラスチックシート、布など)にフルカラー画像を形成することができる。画像情報は、画像形成装置本体100Aに接続された画像読み取り装置、或いは、画像形成装置本体100Aに通信可能に接続されたパーソナルコンピュータ等のホスト機器から、画像形成装置本体100Aに入力される。
画像形成装置100は、複数の画像形成部として、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を形成するための第1、第2、第3、第4の画像形成部SY、SM、SC、SKを有する。
尚、第1〜第4の画像形成部SY、SM、SC、SKの構成及び動作は、形成する画像の色が異なることを除いて実質的に同じである。従って、以下、特に区別を要しない場合は、いずれかの色用に設けられた要素であることを表すために符号に与えた添え字Y、M、C、Kは省略して、総括的に説明する。
画像形成装置100は、複数の像担持体として、鉛直方向と交差する方向に並設された4個のドラム型の電子写真感光体、即ち、感光体ドラム1を有する。感光体ドラム1は、図示矢印A方向(時計方向)に図示しない駆動手段(駆動源)により回転駆動される。感光体ドラム1の周囲には、感光体ドラム1の表面を均―に帯電する帯電手段としての帯電ローラ2、画像情報に基づきレーザーを照射して感光体ドラム1上に静電像(静電潜像)を形成する露光手段としてのスキャナユニット(露光装置)3が配置されている。また、感光体ドラム1の周囲には、静電像をトナー像として現像する現像手段としての現像ユニット(現像装置)4、転写後の感光体ドラム1の表面に残ったトナー(転写残トナー)を除去するクリーニング手段としてのクリーニング部材6が配置されている。更に、4個の感光体ドラム1に対向して、感光体ドラム1上のトナー像を記録材12に転写するための中間転写体としての中間転写ベルト5が配置されている。
なお、現像ユニット4は、現像剤として本発明のトナーを用いる。また、現像ユニット4は、トナー担持体としての現像ローラ(後述)を感光体ドラム1に対して接触させて反転現像を行うものである。即ち、現像ユニット4は、感光体ドラム1の帯電極性と同極性(本実施例では負極性)に帯電したトナーを、感光体ドラム1上の露光により電荷が減衰した部分(画像部、露光部)に付着させることで静電像を現像する。
中間転写体としての無端状のベルトで形成された中間転写ベルト5は、全ての感光体ドラム1に当接し、図示矢印B方向(反時計方向)に循環移動(回転)する。中間転写ベルト5は、複数の支持部材として、駆動ローラ51、二次転写対向ローラ52、従動ローラ53に掛け渡されている。
中間転写ベルト5の内周面側には、各感光体ドラム1に対向するように、一次転写手段としての、4個の一次転写ローラ8が並設されている。一次転写ローラ8は、中間転写ベルト5を感光体ドラム1に向けて押圧し、中間転写ベルト5と感光体ドラム1とが当接する一次転写部N1を形成する。そして、一次転写ローラ8に、図示しない一次転写バイアス印加手段としての一次転写バイアス電源(高圧電源)から、トナーの正規の帯電極性とは逆極性のバイアスが印加される。これによって、感光体ドラム1上のトナー像が中間転写ベルト5上に転写(一次転写)される。
また、中間転写ベルト5の外周面側において二次転写対向ローラ52に対向する位置には、二次転写手段としての二次転写ローラ9が配置されている。二次転写ローラ9は、中間転写ベルト5を介して二次転写対向ローラ52に圧接し、中間転写ベルト5と二次転写ローラ9とが当接する二次転写部N2を形成する。そして、二次転写ローラ9に、図示しない二次転写バイアス印加手段としての二次転写バイアス電源(高圧電源)から、トナーの正規の帯電極性とは逆極性のバイアスが印加される。これによって、中間転写ベルト5上のトナー像が記録材12に転写(二次転写)される。
更に説明すれば、画像形成時には、先ず、感光体ドラム1の表面が帯電ローラ2によって一様に帯電される。次いで、スキャナユニット3から発された画像情報に応じたレーザー光によって、帯電した感光体ドラム1の表面が走査露光され、感光体ドラム1上に画像情報に従った静電像が形成される。次いで、感光体ドラム1上に形成された静電像は、現像ユニット4によってトナー像として現像される。感光体ドラム1上に形成されたトナー像は、一次転写ローラ8の作用によって中間転写ベルト5上に転写(一次転写)される。
例えば、フルカラー画像の形成時には、上述のプロセスが、第1〜第4の画像形成部SY、SM、SC、SKにおいて順次に行われ、中間転写ベルト5上に各色のトナー像が次に重ね合わせて一次転写される。
その後、中間転写ベルト5の移動と同期が取られて記録材12が二次転写部N2へと搬送される。中間転写ベルト5上の4色トナー像は、記録材12を介して中間転写ベルト5に当接している二次転写ローラ9の作用によって、一括して記録材12上に二次転写される。
トナー像が転写された記録材12は、定着手段としての定着装置10に搬送される。定着装置10において記録材12に熱及び圧力を加えられることで、記録材12にトナー像が定着される。
また、一次転写工程後に感光体ドラム1上に残留した一次転写残トナーは、クリーニング部材6によって除去、回収される。また、二次転写工程後に中間転写ベルト5上に残留した二次転写残トナーは、中間転写ベルトクリーニング装置11によって清掃される。
尚、画像形成装置100は、所望の一つの画像形成部のみを用いて、または、幾つか(全てではない)の画像形成部のみを用いて、単色又はマルチカラーの画像を形成することもできるようになっている。
[プロセスカートリッジの構成]
次に、画像形成装置100に装着されるプロセスカートリッジ7の全体構成について説明する。なお、収容しているトナーの種類(色)を除いて、各色用のプロセスカートリッジ7の構成及び動作は実質的に同一である。
図2は、感光体ドラム1の長手方向(回転軸線方向)に沿って見たプロセスカートリッジ7の概略断面(主断面)図である。図2のプロセスカートリッジ7の姿勢は、画像形成装置本体に装着された状態での姿勢であり、以下でプロセスカートリッジの各部材の位置関係や方向等について記載する場合はこの姿勢における位置関係や方向等を示している。
プロセスカートリッジ7は、感光体ドラム1等を備えた感光体ユニット13と、現像ローラ17等を備えた現像ユニット4とを一体化して構成される。
感光体ユニット13は、感光体ユニット13内の各種要素を支持する枠体としてのクリーニング枠体14を有する。クリーニング枠体14には、感光体ドラム1が図示しない軸受を介して回転可能に取り付けられている。感光体ドラム1は、図示しない駆動手段(駆動源)としての駆動モータの駆動力が感光体ユニット13に伝達されることで、画像形成動作に応じて図示矢印A方向(時計方向)に回転駆動される。
また、感光体ユニット13には、感光体ドラム1の周面上に接触するように、クリーニング部材6、帯電ローラ2が配置されている。クリーニング部材6によって感光体ドラム1の表面から除去された転写残トナーは、クリーニング枠体14内に落下、収容される。
帯電手段である帯電ローラ2は、導電性ゴムのローラ部を感光体ドラム1に加圧接触することで従動回転する。
ここで、帯電ローラ2の芯金には、帯電工程として、感光ドラム1に対して所定の直流電圧が印加されており、これにより感光ドラム1の表面には、一様な暗部電位(Vd)が形成される。前述のスキャナユニット3からのレーザー光によって画像データに対応して発光されるレーザー光のスポットパターンは、感光ドラム1を露光し、露光された部位は、キャリア発生層からのキャリアにより表面の電荷が消失し、電位が低下する。この結果、露光部位は所定の明部電位(Vl)、未露光部位は所定の暗部電位(Vd)の静電潜像が、感光ドラム1上に形成される。
一方、現像ユニット4は、トナー80を担持するためのトナー担持体としての現像ローラ17と、現像ローラ17にトナーを供給する供給部材としてのトナー供給ローラ20が配置された現像室、を有している。更に、現像ユニット4は、トナー収容室18を備えている。
また、トナー供給ローラ20は、現像ローラ17との間に当接部Nを形成し、回転している。
トナー収容室18内には、撹拌搬送部材22が設けられている。撹拌搬送部材22は、トナー収容室18内に収容されたトナーを撹拌すると共に、トナー供給ローラ20の上部に向けて図中矢印G方向にトナーを搬送するためのものでもある。
現像ブレード21は現像ローラ17の下方に配置され、現像ローラに対してカウンターで当接しており、トナー供給ローラ20によって供給されたトナーのコート量規制及び電荷付与を行っている。
現像ローラ17と感光体ドラム1とは、対向部において各々の表面が同方向に移動するようにそれぞれ回転する。
トナー供給ローラ20と現像ローラとは、各々の表面が当接部Nの上端から下端に移動する方向に回転している。すなわち、トナー供給ローラ20は図示矢印E方向(時計方向)に、現像ローラ17は矢印D方向に回転している。トナー供給ローラ20は、導電性芯金の外周に発泡体層を形成した弾性スポンジローラである。トナー供給ローラ20と現像ローラ17は所定の侵入量を持って接触している。トナー供給ローラ20と現像ローラ17とは、当接部Nにおいて互いに同方向に周速差を持って回転しており、この動作により、トナー供給ローラ20による現像ローラ17へのトナー供給を行っている。その際、トナー供給ローラと現像ローラとの電位差を調整することにより、現像ローラへのトナー供給量を調整することが出来る。
以下に本発明で用いられる測定方法について記載する。
<トナー粒子、球状粒子およびハイドロタルサイト粒子の摩擦帯電列の測定方法>
トナー粒子、球状粒子およびハイドロタルサイト粒子の摩擦帯電列については、標準キャリアを用いたゼロポイントチャージの測定により求めた。標準キャリアは、日本画像学会技術委員会で制定した「トナー帯電量測定法標準(日本画像学会誌 37、461(1998))」に準拠した測定法により規定されたキャリアである。4種類の標準キャリア(N−01,N−02,P−01,P−02)を用いて、トナー粒子、球状粒子およびハイドロタルサイト粒子のそれぞれについてブローオフ法を用いて帯電量を測定した。標準キャリアの帯電量検定値は、N−01,N−02,P−01,P−02の順にそれぞれ−34.3,−20.8,23.9,38.4μC/gであった。
上記トナー帯電量測定法標準に記載の方法により、調湿条件は温度20℃、湿度50%として測定を行った。混合条件は、トナー粒子の場合は、標準キャリア19gに対してトナー粒子1gを用いた。球状粒子およびハイドロタルサイト粒子の場合は、標準キャリア19.8gに対して、球状粒子およびハイドロタルサイト粒子0.2gを用いた。振とう機として、腕振り型振とう混合機(YS−8D:株式会社ヤヨイ)を用いて、振り角30度、振とう速度150回/分にて3分間振とうした。金網として、目開き20μm(635メッシュ)を用いて、2kPaの吸引圧で20秒間の吸引を行った。
ゼロポイントチャージの導出法を以下に述べる。各標準キャリアの帯電量検定値に対して、各標準キャリアを用いた時の各粒子の帯電量をプロットし、直線で結ぶ。各粒子の帯電量がゼロになるときの帯電量検定値の値をゼロポイントチャージとした。ゼロポイントチャージの値が大きいほど、負極性が強いことを意味している。本発明においては、ゼロポイントチャージの値が大きい(すなわち負極性の)方から順に、トナー粒子、球状粒子、ハイドロタルサイト粒子となる。
<ハイドロタルサイト粒子の固着率の測定方法>
水洗法を用い、ハイドロタルサイト粒子を含有したトナーを溶液に分散させて遠心分離に掛け、水洗前後におけるトナー中の該ハイドロタルサイト粒子量を測定することによって、該ハイドロタルサイト粒子の、トナー中の残存量を算出し、固着率とする。
ハイドロタルサイト粒子の量は、蛍光X線分析装置(XRF)で測定されるトナー中のハイドロタルサイト粒子由来の金属元素の強度から計算で求める。固着率[A]は下式(5)から求められる。
式(5) 固着率[A]={1−(P1−P2)/P1}×100
〔式中、P1は初期のトナー中のハイドロタルサイト粒子由来の金属元素量「質量%」、P2はXRF測定による水洗後のトナー中のハイドロタルサイト粒子由来の金属元素量「質量%」である。本実施例では、トナー中のハイドロタルサイト粒子の含有量は、別途作製した検量線を用いて、Mg元素強度から算出した。〕
<固着率の測定方法詳細>
(1)RO水100mlに特級スクロース粉末160gを加え、湯せんをしながら溶解さ
せショ糖溶液を調製する。
(2)50ml遠心分離用チューブに(1)で作製したショ糖溶液24mlと、分散剤と
して「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーから
なるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)を6m
l入れた後、トナー約1gを導入する。
(3)上記(2)で作製したチューブをシェイカーにセットし、振とう数6s-1、振とう
時間20minの条件で振とうさせる。
(4)上記(3)で作製した振とう後の溶液を、50mlスイングローター用ガラスチュ
ーブに入れ、遠心分離機に回転数58s-1、回転時間30minの条件で遠心分離を掛け
、トナーと溶液、及びハイドロタルサイト粒子を分離する。
(5)トナーは最上層、溶液は中層、ハイドロタルサイト粒子は最下層に分離されるので、最上層のトナーを採取する。
(6)上記(5)で採取したトナーを減圧濾過器で濾過した後、乾燥機で1時間以上乾燥
させる。
(7)上記(6)で乾燥させたトナー中のハイドロタルサイト粒子由来の金属元素量(本実施例ではMg元素)と、初期トナー中の該金属元素量を蛍光X線測定装置(XRF)で測定する。
<球状粒子およびハイドロタルサイト粒子の個数平均粒子径(D1)の測定方法>
本発明における球状粒子およびハイドロタルサイト粒子の個数平均粒子径(D1)は、下記の通り測定する。トナー粒子100質量部に対して球状粒子およびハイドロタルサイト粒子を1質量部添加し、FE−SEM S−4800(日立製作所製)により、10万倍の倍率で、トナー粒子表面の写真を撮影する。その拡大写真を用いて100個以上の球状粒子およびハイドロタルサイト粒子の粒径を測定し、算術平均から球状粒子およびハイドロタルサイト粒子の個数平均径(D1)を求める。尚、粒径は、形状が球形の場合はその絶対最大長を、長径と短径を有する場合は長径を、粒径としてカウントする。
<球状粒子の真円度の測定方法>
球状粒子の真円度の測定は、日立超高分解能電界放出形走査電子顕微鏡S−4800((株)日立ハイテクノロジーズ)にて撮影したトナー表面観察画像を、画像解析ソフト画像処理ソフトImageJ(開発元 Wayne Rashand)を用いて解析することで算出する。測定手順を以下に示す。
(1)試料作製
試料台(アルミニウム試料台15mm×6mm)に導電性ペーストを薄く塗り、その上にトナーを付着させる。ブロアーを用いて、余剰のトナーをエアブローした後、十分乾燥させる。試料台を試料ホルダにセットする。
(2)S−4800観察条件
観察条件を以下に示す。
加速電圧:0.8kV
エミッション電流:20μA
検出器:[SE上(U)]、[+BSE(L.A.100)]
プローブ電流:[Normal]
焦点モード:[UHR]
WD:[3.0mm]
(3)画像保存
ABCモードで明るさ合わせを行い、サイズ640×480ピクセルで写真撮影して保存する。この画像ファイルを用いて下記の解析を行う。このときトナー表面の比較的平らな部分(観察面全体にピントが合う視野)を選び、画像を得る。観察倍率は、観察対象の微粒子の大きさによって適宜調整する。
(4)画像解析
得られたSEM観察像から、画像処理ソフトImageJ(開発元 Wayne Rashand)を用いて、真円度を算出する。算出の手順を以下に示す。
[1][Analyze]−[Set Scale]にて、スケールの設定を行う。
[2][Image]−[Adjust]−[Threshold]で閾値を設定する。
(ノイズが残らず、測定対象である無機微粒子が残る値に設定)
[3][Image]−[Crop]で、測定した無機微粒子の画像部分を選択する。
[4]粒子が重なっているものは画像編集により消去する。
[5][Edit]−[Invert]で白黒の画像を反転させる。
[6][Analyze]−[Set Measurements]で[Area]、
[Shape Descriptors]をチェックする。また、
[Redirect to]を[None]、
[Decimal Place(0−9)]を3に設定する。
[7][Analyze]−[Analyze Particle]で、粒子の面積を
0.0005μm2以上に指定し、実行する。
[8]各粒子の真円度(circularity)の値を得る。
[9]観察した粒子100個以上について測定を行い、得られた真円度の相加平均値を算出し、真円度とする。
なお、この測定はトナー粒子表面に複数種の微粒子が含まれているトナーに対しても同様に行える。S―4800で反射電子像の観察を行った際に、EDAXなど元素分析を用いて、各微粒子の元素を特定することが可能である。また、形状の特徴等から同一種の微粒子を選び出すことが可能である。同一種の微粒子に対して上記測定を行うことで、微粒子の種類毎の真円度を算出することができる。上述の個数平均粒子径(D1)の測定についても同様に、微粒子の種類毎に算出することができる。
<トナーの重量平均粒径(D4)の測定方法>
トナーの重量平均粒径(D4)は、以下のようにして算出する。測定装置としては、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)を用いる。測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いる。なお、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行う。測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
なお、測定、解析を行う前に、以下のように前記専用ソフトの設定を行った。前記専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更」画面において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。「閾値/ノイズレベルの測定ボタン」を押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、「測定後のアパーチャーチューブのフラッシュ」にチェックを入れる。前記専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定」画面において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、専用ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetora150」(日科機バイオス社製)を準備する。超音波分散器の水槽内に約3.3lのイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。なお、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)を算出する。なお、前記専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、「分析/体積統計値(算術平均)」画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
<トナーの平均円形度の測定方法>
本発明におけるトナーの円形度はフロー式粒子像測定装置「FPIA−3000」(シスメックス社製)を用い、校正作業時の測定・解析条件で測定する。
具体的な測定方法は、以下の通りである。まず、ガラス製の容器中に予め不純固形物などを除去したイオン交換水約20mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.2ml加える。更に測定試料を約0.02g加え、超音波分散器を用いて2分間分散処理を行い、測定用の分散液とする。その際、分散液の温度が10℃以上40℃以下となる様に適宜冷却する。超音波分散器としては、発振周波数50kHz、電気的出力150Wの卓上型の超音波洗浄器分散器(例えば「VS−150」(ヴェルヴォクリーア社製))を用い、水槽内には所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
測定には、対物レンズとして「UPlanApro」(倍率10倍、開口数0.40)を搭載した前記フロー式粒子像分析装置を用い、シース液にはパーティクルシース「PSE−900A」(シスメックス社製)を使用した。前記手順に従い調整した分散液を前記フロー式粒子像分析装置に導入し、HPF測定モードで、トータルカウントモードにて3000個のトナー粒子を計測する。そして、粒子解析時の2値化閾値を85%とし、解析粒子径を円相当径1.985μm以上、39.69μm未満に限定し、平均円形度を求める。
測定にあたっては、測定開始前に標準ラテックス粒子(例えば、Duke Scientific社製の「RESEARCH AND TEST PARTICLES Latex Microsphere Suspensions 5200A」をイオン交換水で希釈)を用いて自動焦点調整を行う。その後、測定開始から2時間毎に焦点調整を実施することが好ましい。
なお、本願実施例では、シスメックス社が発行する校正証明書の発行を受けたフロー式粒子像分析装置を使用した。解析粒子径を円相当径1.985μm以上、39.69μm未満に限定した以外は、校正証明を受けた時の測定及び解析条件で測定を行った。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。実施例6および9は参考例である。
以下にトナーの製造方法について記載する。
[荷電制御樹脂1の作製]
<ビニル単量体の合成>
(工程1)
2,5−ジヒドロキシ安息香酸100gと80%硫酸1441gとを50℃に加熱混合した。この分散液にtert−ブチルアルコール144gを加えて50℃で30分間撹拌した。その後、この分散液にtert−ブチルアルコール144gを加え30分間撹拌する操作を3回行った。反応液を室温まで冷却し、氷水1kgにゆっくり注いだ。析出物を濾過、水洗し、その後、ヘキサン洗浄した。この析出物をメタノール200mLに溶解させ、水3.6Lに再沈殿させた。濾過後、80℃にて乾燥することで下記式(6)に示すサリチル酸中間体74.9gを得た。
(工程2)
得られたサリチル酸中間体25.0gをメタノール150mLに溶解させ、炭酸カリウム36.9gを加えて65℃に加熱した。この反応液に4−(クロロメチル)スチレン18.7gとメタノール100mLの混合液を滴下し、65℃にて3時間反応させた。反応液を冷却後、濾過し、濾液を濃縮して粗生成物を得た。粗生成物をpH=2の水1.5Lに分散させ、酢酸エチルを加えて抽出した。その後、水洗し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下、酢酸エチルを留去して析出物を得た。析出物をヘキサン洗浄後、トルエンと酢酸エチルにて再結晶することで精製し、下記式(7)に示すビニル単量体1a(表1中のM−3相当)を20.1g得た。
<荷電制御樹脂1の合成>
式(7)に示すビニル単量体1a 9.91gとスチレン60.1gをトルエン42.0mlに溶解させ、1時間撹拌した後、110℃まで加熱した。この反応液に、tert−ブチルパーオキシイソプロピルモノカルボネート(日本油脂株式会社製、商品名パーブチルI)4.62gとトルエン42mlの混合液を滴下した。更に110℃にて4時間反応した。その後、冷却しメタノール1Lに滴下し、析出物を得た。得られた析出物をTHF120mlに溶解後、メタノール1.80Lに滴下し、白色析出物を析出させ、濾過し、減圧下90℃にて乾燥させることで、荷電制御樹脂1を57.6g得た。
[トナー粒子1の作製]
スチレン単量体100質量部に対して、C.I.Pigment Blue15:3を16.5質量部、ジ−ターシャリーブチルサリチル酸のアルミ化合物〔ボントロンE88(オリエント化学工業社製)〕を3.0質量部用意した。これらを、アトライタ(日本コークス工業株式会社製)に導入し、半径1.25mmのジルコニアビーズ(140質量部)を用いて200rpmにて25℃で180分間撹拌を行い、マスターバッチ分散液1を調製した。
一方、イオン交換水710質量部に0.1M−Na3PO4水溶液450質量部を投入し60℃に加温した後、1.0M−CaCl2水溶液67.7質量部を徐々に添加してリン酸カルシウム化合物を含む水系媒体を得た。
・マスターバッチ分散液1 40質量部
・スチレン単量体 28質量部
・n−ブチルアクリレート単量体 18質量部
・炭化水素系ワックス 9質量部
(フィッシャートロプシュワックス、最大吸熱ピーク=78℃、Mw=750)
・荷電制御樹脂1 0.3質量部
・ポリエステル樹脂 5質量部
(テレフタル酸:イソフタル酸:プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA(2モル付加物):エチレンオキサイド変性ビスフェノールA(2モル付加物)=30:30:30:10の重縮合物、酸価11、Tg=74℃、Mw=11,000、Mn=4,000)
上記材料を65℃に加温し、T.K.ホモミクサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて、5,000rpmにて均一に溶解し分散した。これに、重合開始剤1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエートの70%トルエン溶液7.1質量部を溶解し、重合性単量体組成物を調製した。
前記水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、温度65℃、N2雰囲気下において、T.K.ホモミクサー(特殊機化工業株式会社製)にて10,000rpmで10分間撹拌し、重合性単量体組成物を造粒した。その後、パドル撹拌翼で撹拌しつつ温度67℃に昇温し、重合性ビニル系単量体の重合転化率が90%に達したところで、0.1mol/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を添加して水系分散媒体のpHを9に調整した。更に昇温速度40℃/hで80℃に昇温し4時間反応させた。重合反応終了後、減圧下で補給用トナー粒子の残存モノマーを留去した。水系媒体を冷却後、塩酸を加えpHを1.4にし、6時間撹拌することでリン酸カルシウム塩を溶解した。トナー粒子を濾別し水洗を行った後、温度40℃にて48時間乾燥した。得られた乾燥品を日鉄鉱業社製の多分割分級装置(エルボジェット分級機)で、超微粉および粗粉を同時に分級除去して、シアン色のトナー粒子1を得た。トナー粒子1の物性を表2に示す。
[トナー粒子2の作製]
トナー粒子1の作製工程において、荷電制御樹脂1を添加しなかった以外は同様にして、トナー粒子2を得た。得られたトナー粒子2の物性を表2に示す。
[トナー粒子3の作製]
トナー粒子2の作製工程において、ジ−ターシャリーブチルサリチル酸のアルミ化合物〔ボントロンE88(オリエント化学工業社製)〕の添加量を0.5質量部に変更した以外は同様にして、トナー粒子3を得た。得られたトナー粒子3の物性を表2に示す。
[トナー1の作製]
トナー粒子1(100質量部)と、球状粒子1としてゾルゲル法により製造された数平均粒径(D1)が100nmのシリカ(0.2質量部)をFMミキサ(日本コークス工業株式会社製、FM10C)に投入し、4000回転で1分間混合した(第一混合工程)。その後、ハイドロタルサイト粒子(DHT−4A、協和化学社製)(0.3質量部)および疎水性シリカ微粒子(BET法による比表面積380m2/g、一次粒子の個数平均径7nm、HMDS処理、日本アエロジル株式会社製)(1.0質量部)を投入し、4000回転で10分間混合し(第二混合工程)、トナー1を得た。トナー1の製造条件と物性を表4に示す。
なお、実施例および比較例に用いた球状粒子1〜3、比較粒子1〜3およびハイドロタルサイト粒子の物性を表3に示す。
[トナー2〜3の作製]
トナー1の作製工程において、球状粒子1を表3に記載の球状粒子2〜3に変更した以外は同様にして、トナー2〜3を得た。
[トナー4の作製]
トナー粒子1(100質量部)と、球状粒子1(0.2質量部)とをFMミキサ(日本コークス工業株式会社製、FM10C)に投入し、4000回転で1分間混合した。その後、前述の疎水性シリカ微粒子(1.0質量部)を投入し、4000回転で7分間混合した。その後、ハイドロタルサイト粒子(DHT−4A、協和化学社製)(0.3質量部)を投入し、4000回転で3分間混合し、トナー4を得た。トナー4の物性を表4に示す。
[トナー5の作製]
トナー粒子1(100質量部)と、球状粒子1(0.2質量部)とをノビルタ130(ホソカワミクロン製)に投入し、動力0.5kWで1分間混合した。その後、ハイドロタルサイト粒子(DHT−4A、協和化学社製)(0.3質量部)を投入し、0.8kWで5分間混合した。得られた混合物と、前述の疎水性シリカ微粒子(1.0質量部)とをFMミキサ(日本コークス工業株式会社製、FM10C)に投入し、4000回転で10分間混合し、トナー5を得た。トナー5の物性を表4に示す。
[トナー6〜11の作製]
トナー1の作製工程において、トナー粒子、球状粒子およびハイドロタルサイト粒子の種類および添加量を表4に記載の条件に変更した以外は同様にして、トナー6〜11を得た。トナー6〜11の物性を表3に示す。
[トナー12〜13の作製]
トナー1の作製工程において、トナー粒子1をトナー粒子2に変更した。また、ハイドロタルサイト粒子または球状粒子1を加えず、それ以外は同様にして、トナー12〜13を得た。トナー12〜13の物性を表4に示す。
[トナー14の作製]
トナー粒子2(100質量部)と、球状粒子1(0.2質量部)とをFMミキサ(日本コークス工業株式会社製、FM10C)に投入し、4000回転で1分間混合した。その後、前述の疎水性シリカ微粒子(1.0質量部)を投入し、4000回転で10分間混合した。その後、ハイドロタルサイト粒子(DHT−4A、協和化学社製)(0.3質量部)を投入し、3000回転で1分間混合し、トナー14を得た。トナー14の物性を表4に示す。
[トナー15の作製]
トナー粒子2(100質量部)と、球状粒子1(0.2質量部)およびハイドロタルサイト粒子(DHT−4A、協和化学社製)(0.3質量部)とをノビルタ130に投入し、動力1.2kWで10分間混合した。得られた混合物と、前述の疎水性シリカ微粒子(1.0質量部)とをFMミキサ(日本コークス工業株式会社製、FM10C)に投入し、4000回転で10分間混合し、トナー15を得た。トナー15の物性を表4に示す。
[トナー16〜19の作製]
トナー1の作製工程において、トナー粒子、球状粒子およびハイドロタルサイト粒子の種類および添加量を表4に記載の条件に変更した以外は同様にして、トナー16〜19を得た。トナー16〜19の物性を表4に示す。
〔実施例1〕
上記の工程により得られたトナー1に対して下記の評価方法に従って評価を実施した。得られた評価結果を表5に示す。
以下に本発明の評価方法及び評価基準を具体的に説明する。
画像形成装置として、ヒューレットパッカード製のカラーレーザービームプリンター(HP LaserJet Enterprise Color M553dn)を用い、プロセススピードが300mm/secとなるように改造を施した。カートリッジとして、HP 508A純正LaserJetトナーカートリッジ(シアン)を用いた。
カートリッジ内部から製品トナーを抜き取り、エアブローによって清掃した後、本発明のトナーを150g充填した。上記カートリッジを用い、下記の耐久試験を行うことによりトナーを評価した。
(1)高温高湿環境下でのトナー飛散
帯電安定性の観点から、高温高湿環境下での耐久試験を以下の方法で実施した。
高温高湿環境下(30℃/80%RH)において、キヤノンカラーレーザーコピア用紙(A4:81.4g/m2、今後は特に断らない限り本用紙を使用しているものとする)に印字率0.5%の画像を2枚毎に2秒の間欠時間をおいて10000枚出力する耐久試験を行った。1000枚印字毎に、カートリッジをプリンタ本体から取り出し、現像ローラ周辺のトナー飛散の有無を目視にて観察した。目視観察の結果から、下記の評価基準により評価を行った。結果を表5に示す。本耐久試験において、トナーの帯電性が低下する場合には、現像ローラに対するトナーの静電的付着力が低下し、現像ローラの周囲にトナーの飛散が生じることが知られている。
(トナー飛散の評価基準)
A:10000枚出力後において、トナー飛散が生じない。
B:10000枚出力後において、ごくわずかなトナー飛散が生じる。
C:9000枚以下の出力枚数でトナー飛散が生じる。
D:1000枚以下の出力枚数でトナー飛散が生じる。
(2)低温低湿環境下での感光体および現像ブレード上の融着
トナーの耐久性を評価するため、低温低湿環境下での耐久試験を以下の方法で実施した。
低温低湿環境下(15℃/10%RH)において、印字率0.5%の画像を2枚毎に2秒の間欠時間をおいて10000枚出力する耐久試験を行った。1000枚印字毎に、評価画像として、ベタ画像およびハーフトーン画像を1枚ずつ出力した。また、10000枚印字後、カートリッジをプリンタ本体から取出し、感光体および現像ブレード上の融着物の目視および顕微鏡観察を行った。顕微鏡として、超深度形状測定顕微鏡(キーエンス社製)を用いた。評価画像および目視・顕微鏡観察の結果から、感光体および現像ブレード上の融着について、以下の基準に基づき評価した。評価ランクがC以下の場合には、画像弊害が確認された枚数を表5中に記載した。本耐久試験において、ハイドロタルサイト粒子、球状粒子およびその他の外添剤のトナーからの脱離が生じる場合には、微粒子の凝集物等を起点とした融着物が成長することで、評価結果が悪化することが知られている。
<感光体上の融着>
A:画像上問題がなく、顕微鏡観察において融着物は観察されない。
B:画像上問題がなく、顕微鏡観察において僅かな融着物が観察される。
C:画像の一部に軽微な白ポチ画像が確認される、目視観察において僅かな融着物が観察される。
D:画像上に感光体周期の白ポチ画像が確認される、目視観察において融着物が観察される。
<現像ブレード上の融着>
A:画像上問題がなく、顕微鏡観察において融着物は観察されない。
B:画像上問題がなく、顕微鏡観察において僅かな融着物が観察される。
C:画像の一部に軽微な縦白スジが確認される、目視観察において僅かな融着物が観察される。
D:画像上に縦白スジが確認される、目視観察において融着物が観察される。
〔実施例2〜11〕
トナー2〜11に対して、実施例1と同様の評価を行った。得られた評価結果を表5に示す。
〔比較例1〜8〕
トナー12〜19に対して、実施例1と同様の評価を行った。得られた評価結果を表5に示す。
実施例1〜11では、いずれの評価項目においても良好な結果が得られた。一方、比較例1〜8では、上記評価項目のいずれかについて実施例に劣る結果となった。
以上の結果より、本発明によれば、高速かつ多数枚プリント時にも、安定した帯電性と高い耐久性を有するトナーを提供することができる。