JP6833290B2 - ゴム配合用ノボラック型共縮合物及び該共縮合物の製造方法 - Google Patents

ゴム配合用ノボラック型共縮合物及び該共縮合物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ゴムの加工工程において使用される接着剤として用いられる、アルキルフェノール又はフェニルフェノール(以下、フェノール類と称することもある)から得られるノボラック型共縮合物の改良された製法、該製法によって得られるノボラック型共縮合物、該ノボラック型共縮合物を含む樹脂組成物、及び該ノボラック型共縮合物又は該樹脂組成物を含むゴム組成物に関する。
タイヤ、ベルト、ホース等、スチールコード類や有機繊維類等の補強材で補強する必要のあるゴム製品においては、ゴムと補強材との強固な接着が求められている。ゴムとの接着を行うため、補強材を種々の接着剤で処理する方法や、ゴムの加工工程において接着剤を他の各種配合剤とともに配合する方法が知られている。これらの方法の中でも、ゴムの加工工程において接着剤を配合する方法は、補強材の接着剤処理の有無に関わらず、強固に加硫接着することが可能であるため広く採用されている。
一方、ゴムの加工工程において使用される接着剤は、ゴム加工工程にて軟化することが必要である。ゴム加工工程の実施温度として例えば、該接着剤が好適に用いられるタイヤ用ゴム分野においては、通常170℃前後であることが知られている〔例えば日本ゴム協会誌 Vol.73(2000),No.9,p488−493(非特許文献1)〕。したがって、ゴムの加工工程において使用される接着剤は、その軟化点がゴム加工時の最高温度より十分低く、150℃以下であることが求められる。さらには、該接着剤の使用時における分散性向上の観点から、接着剤が保存中にブロッキングしない程度に、該接着剤の軟化点はできるだけ低いことが好ましいとされる。このような、ゴムの加工工程において使用される接着剤として、p−tert−オクチルフェノール又はp−ノニルフェノール等のフェノール類とホルマリン類とを反応させて縮合物を得、該縮合物にレゾルシンを反応させた共縮合物(例えば特許文献1)が広く使われている。
しかしながら、p−tert−オクチルフェノール及びp−ノニルフェノールは昨今、EU域内の規制であるREACH規則に定められるSVHC(高懸念物質)の候補物質とされ、EU域内においてその使用が今後制限される可能性が高くなっている。
そこで、ゴムの加工工程において使用される接着剤であって、p−tert−オクチルフェノール及びp−ノニルフェノール以外のフェノール類を用いた、フェノール及びレゾルシン由来の構成単位を含む共縮合物の開発が進められている。例えば、特許文献2にはフェノール類としてp−tert−ブチルフェノールのみを用いた共縮合物であって、その軟化点が80℃以上190℃以下である共縮合物及びその製造方法が記載されている。そこで、本発明者らが該文献に記載される方法を追試した所、得られる共縮合物は吸湿性が高く、容易にブロッキングしてしまうことが判明した。更には、得られた共縮合物をゴムの加工工程において使用される接着剤として使用した所、ゴムが発泡する等の問題が生じ、該接着剤として不適当であることが判明した。
また、特開2015−052097公報(特許文献3)にはフェノール類としてp−tert−ブチルフェノール及びo−フェニルフェノールを用いた共縮合物が記載されている。
特開平06−234824号公報 特開2014−152220公報 特開2015−52097公報
日本ゴム協会誌 Vol.73(2000)、No.9、p488−493
特許文献3には、フェノール類としてp−tert−ブチルフェノールのみを用いた場合、その軟化点が非常に高く(200℃以上)、ゴムの加工工程において使用される接着剤として不適であることが判明したため、o−フェニルフェノールを併用することで、共縮合物の軟化点を大幅に低下させ、ゴムの加工工程において使用される接着剤として好適に用いることが可能であることが記載されている。しかしながら、o−フェニルフェノールは高価であり、可能であればo-フェニルフェノールを併用しないか、その使用量をできるだけ低減させることが望ましい。
そこで本願発明者らが、特許文献3に記載の方法に基づきo−フェニルフェノールの使用量の低減が可能か否か検討したところ、p−tert−ブチルフェノールの使用比率がo−フェニルフェノールとp−tertブチルフェノールの合計量に対して65mol%を超えると、フェノール類とホルマリンとを反応させて得られるレゾール型縮合物にレゾルシンを反応させる際、反応液の膨潤や発泡等による流動性の低下、反応液の不均一化が発生し、著しくハンドリング性が悪化するため、工業的な製造が困難となる場合があるとともに、得られる共縮合物の軟化点が150℃を超えてしまう場合があった。
本発明の目的は、p−tert−ブチルフェノールを主成分とするノボラック型共縮合物であって、軟化点が従来公知のノボラック型共縮合物と同程度であると共に保存時にブロッキングせず、ゴムの加工工程において使用される接着剤として十分な性能を有する共縮合物及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らが課題解決に向けて鋭意検討した結果、下記する特定の条件下で、p−tert−ブチルフェノールを主成分として含むフェノール類、ホルムアルデヒド及びレゾルシン由来の構成単位を含むノボラック型共縮合物を製造することにより前記課題が解決可能であることを見出した。具体的には以下の発明を含む。
〔1〕
ノボラック型共縮合物の製造方法であって、
前記ノボラック型共縮合物は、下記一般式(i):
Figure 0006833290
(Rは分岐を有してもよい炭素数1〜12のアルキル基またはフェニル基を表す。)
で表される1種又は2種以上のフェノール類、ホルムアルデヒド及びレゾルシン由来の構成単位を含み、
前記フェノール類由来の構成単位は、p−tert−ブチルフェノール由来の構成単位を65モル%以上含み、
前記製造方法は、下記工程(1)、(2)及び(3)をこの順で含む製造方法。
(1)前記フェノール類1モルに対して0.05モル以上の塩基存在下、前記フェノール類とホルムアルデヒドとを75℃以上で反応させ、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法における数平均分子量(Mn)が600以上のレゾール型縮合物を得る工程。
(2)前記工程(1)で得られたレゾール型縮合物を含む反応液と、前記工程(1)で用いた塩基に対して当量以上の酸とを混合させる工程。
(3)前記レゾール型縮合物と、前記フェノール類1モルに対して0.5〜1.2モルのレゾルシンとを反応させる工程。
〔2〕
前記レゾルシンの使用量が、前記フェノール類1モルに対して0.5〜0.8モルである、〔1〕に記載のノボラック型共縮合物の製造方法。
〔3〕
前記工程(1)で使用する塩基の使用量が、前記フェノール類1モルに対して0.05〜0.25モルである、〔1〕又は〔2〕に記載のノボラック型共縮合物の製造方法。
〔4〕
下記(a)〜(e)のすべてを満たすノボラック型共縮合物。
(a)下記一般式(i):
Figure 0006833290
(Rは分岐を有してもよい炭素数1〜12のアルキル基またはフェニル基を表す。)
で表される1種又は2種以上のフェノール類、ホルムアルデヒド及びレゾルシン由来の構成単位を含む。
(b)前記フェノール類由来の構成単位は、p−tert−ブチルフェノール由来の構成単位を65モル%以上含む。
(c)ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法における数平均分子量(Mn)が750以上。
(d)軟化点が80〜150℃。
(e)前記フェノール類由来の構成単位1モルに対してレゾルシン由来の構成単位が0.80モル以下。
〔5〕
下記(f)をさらに満たす、〔4〕に記載のノボラック型共縮合物。
(f)ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法におけるピークトップ分子量が700〜520の成分(オリゴマー1)を面積百分率で1〜10%含み、ピークトップ分子量が430〜320の成分(オリゴマー2)を面積百分率で0.01〜2%含む。
〔6〕
ノボラック型共縮合物2.0gをテトラヒドロフラン20mLに溶解させた溶液の波長610nmにおける分光透過率が80%以上である、〔4〕又は〔5〕に記載のノボラック型共縮合物。
〔7〕
〔4〕〜〔6〕いずれか一つに記載のノボラック型共縮合物と軟化剤とを含有する樹脂組成物。
〔8〕
前記軟化剤が炭素数8〜32の脂肪酸類である、〔7〕に記載の樹脂組成物。
〔9〕
前記軟化剤がカシューナッツシェル液(CNSL)である、〔7〕に記載の樹脂組成物。
〔10〕
樹脂組成物中の前記軟化剤の含有量が5〜40重量%である、〔7〕〜〔9〕いずれか一つに記載の樹脂組成物。
〔11〕
樹脂組成物2.0gをテトラヒドロフラン20mLに溶解させた溶液の波長610nmにおける分光透過率が80%以上である、〔7〕〜〔10〕いずれか一つに記載の樹脂組成物。
〔12〕
〔4〕〜〔6〕いずれか一つに記載のノボラック型共縮合物、又は〔7〕〜〔11〕いずれか一つに記載の樹脂組成物と、ゴム成分とを含むゴム組成物。
本発明によれば、p−tert−ブチルフェノールを主成分とするノボラック型共縮合であって、軟化点が従来公知のノボラック型共縮合物と同程度であると共に保存時にブロッキングせず、ゴムの加工工程において使用される接着剤として十分な性能を有する共縮合物を、その製造時に、反応液の膨潤や発泡等による流動性の低下や反応液の不均一化等といった工業的な実施の障害となる問題を発生させることなく製造可能となる。
更に、本発明の製造方法に依れば、従来公知の方法では軟化点が高くゴムの加工工程において使用される接着剤として不適とされていた、フェノール類としてp−tert−ブチルフェノールのみを用いたノボラック型共縮合物であっても、該共縮合物の軟化点を、接着剤としての性能を低下させることなく、ゴムの加工工程において使用される接着剤として使用可能な程度に低下させることができる。また、本発明の製造方法の一実施形態によれば、接着剤としての性能を保持しながら、必要に応じ臭気が改善された共縮合物を提供することも可能となる。
併せて、本発明の製造方法によって得られるノボラック型共縮合物は、カシューナッツシェル液(CNSL)の他、ステアリン酸をはじめとした炭素数8〜32の脂肪酸類とも相溶性があることが判明した。前記脂肪酸類はゴムの加工工程において加硫助剤として汎用されることから、本発明の共縮合物の軟化点をより低減させたい場合に、ゴムの加工工程で通常使用しない物質を軟化剤として使用する必要がなく、軟化剤として別途加える物質が問題となる用途(例えば軟化剤がゴムに含まれる他の成分と反応してしまうゴム)においても好適に用いることができる。
<ノボラック型共縮合物の製造方法>
本発明のノボラック型共縮合物の製造方法について詳述する。本発明に係るノボラック型共縮合物の製造方法は、以下(1)、(2)及び(3)の工程をこの順で含むことを特徴とする。
(1)上記一般式(i)で表される1種又は2種以上のフェノール類1モルに対して0.05モル以上の塩基存在下、上記一般式(i)で表される1種又は2種以上のフェノール類とホルムアルデヒドとを75℃以上で反応させ、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法における数平均分子量(Mn)が600以上のレゾール型縮合物を得る工程。
(2)工程(1)で得られたレゾール型縮合物を含む反応液と、工程(1)で用いた塩基に対して当量以上の酸とを混合させる工程。
(3)レゾール型縮合物と、上記一般式(i)で表される1種又は2種以上のフェノール類1モルに対して0.5〜1.2モルのレゾルシンとを反応させる工程。
本発明の製造方法を実施するに際し、上記一般式(i)で表される1種又は2種以上のフェノール類(以下、フェノール類と称することもある)としてp−tert−ブチルフェノールの使用割合が高ければ高い程、より安価に本発明のノボラック型共縮合物が製造可能であるが、p−tert−ブチルフェノール以外のフェノール類を併用してもよい。併用可能なp−tert−ブチルフェノール以外のフェノール類としては、o−tert−ブチルフェノール、o−フェニルフェノール、p−フェニルフェノール、p−クレゾール、p−tert−オクチルフェノール、p−ノニルフェノール等の、分岐を有してもよい炭素数1〜12のアルキル基またはフェニル基を置換基として有するフェノール類が例示される。これらフェノール類の中でも、前述した法規制対応の観点から、分岐を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基またはフェニル基を有するフェノール類が好ましく、特にo−tert−ブチルフェノール、o−フェニルフェノール、p−フェニルフェノール及びp−クレゾールが好ましい。他のフェノール類を併用する場合、全フェノール類中のp−tert−ブチルフェノール以外の他のフェノール類の使用量は通常35モル%以下であり、他のフェノール類の価格、及び得られるノボラック型共縮合物の炭素数8〜32の脂肪酸類に対する溶解性の観点から、好ましくは20モル%以下、より好ましくは10モル%以下、特に、5モル%以下とすることが好ましい。
工程(1)で用いられるホルムアルデヒドとしては、ガス状のホルムアルデヒドの他、ホルムアルデヒドの水溶液であるホルマリン、並びにパラホルムアルデヒド及びトリオキサン等、容易にホルムアルデヒドを発生させることができる化合物を使用することができる。ホルムアルデヒドの使用量として例えば、フェノール類1モルに対して1〜3モルであることが好ましく、1.5〜2.5モルであることがより好ましい。1モル以上使用することにより、揮発性有機化合物の発生を抑制することが可能となり、また、使用量を3モル以下とすることによって、得られるノボラック型共縮合物の軟化点を、より低下させることが可能となる。
工程(1)で用いる塩基としては、アルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物または炭酸塩、アンモニア、アミン等、通常のレゾール型縮合物を製造する際に用いられる塩基を使用することができる。これら塩基の具体例として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどが挙げられる。これら塩基の中でも、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましい。これら塩基は1種、あるいは必要に応じ2種以上混合して使用してもよい。また、これら塩基は固体または液状(水溶液または有機溶液)のものが使用可能であるが、反応性及び取扱いが容易であることから水溶液が好ましい。水溶液を使用する場合、水溶液に含まれる塩基は通常、10重量%〜50重量%である。塩基の使用量は、フェノール類1モルに対し0.05モル以上使用する必要があり、好ましくは0.05〜0.8モル、より好ましくは0.2〜0.5モルである。塩基の使用量が0.05モルより少ないと、未反応モノマーが多くなり臭気や揮発性有機化合物が増加する場合や、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法における数平均分子量(Mn)が600以上のレゾール型縮合物を得ることが困難となる場合がある。なお、臭気を低減させたノボラック型共縮合物が必要である場合、塩基の使用量をフェノール類1モルに対し0.05モル以上、0.25モル以下とすることが好ましい。塩基の使用量を0.25モル以下とすることによって臭気が低減される理由は定かではないが、カニッツァーロ反応やホルモース反応といった、ホルムアルデヒドと塩基によって引き起こされる副反応物が抑制されるためであると推定される。
工程(1)を実施する際、有機溶媒を使用することも可能である。使用可能な有機溶媒として例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類、メチルイソブチルケトン等の炭素数3〜7のケトン類が好適に用いられる。これら有機溶媒は1種、あるいは必要に応じ2種以上混合して使用してもよい。有機溶媒を使用する場合の使用量は通常、フェノール類1重量倍に対して通常0.4〜4.0重量倍である。有機溶媒を用いず反応を行う場合、水を有機溶媒の代わりとして使用することも可能である。
工程(1)を実施する方法として例えば、フェノール類とホルムアルデヒド、必要に応じ有機溶媒を反応器に仕込んだ後、更に塩基を反応器に仕込み、塩基を溶解または懸濁させ、反応を実施する。該反応実施時、反応液を適宜ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)を用いて分析し、標準ポリスチレン換算分子量として、反応液中のレゾール型縮合物の数平均分子量(Mn)が600以上となるまで反応を実施する必要がある。また、通常、反応液中のレゾール型縮合物の数平均分子量(Mn)は1500以下となる。工程(1)において該レゾール型縮合物の数平均分子量(Mn)が600より低いと、後述する、レゾルシンと反応させる工程(工程(3))において、反応液の膨潤や流動性の低下、反応液の不均一化といった、工業的な実施の障害となる問題が発生し、該問題を解決するためには、工業的に実施困難な高温条件又は高い撹拌強度条件が必要となる傾向にある。また、該高温条件又は高い撹拌強度条件にて反応を実施した後、得られるノボラック型共縮合物から水分、未反応フェノール類、溶媒等を低減させた場合、該共縮合物の軟化点が150℃を超えやすく、この場合、混練時にゴムに配合して使用するゴムと補強材との接着剤として不適となる。なお、レゾール型縮合物の数平均分子量は、後述する実施例に記載する方法により決定される。
工程(1)を実施し数平均分子量(Mn)が600以上のレゾール型縮合物を得るためには、反応温度を通常75℃以上、好ましくは75〜120℃とする。75℃未満で反応を実施した場合、数平均分子量(Mn)が600以上のレゾール型縮合物を得ることが困難となりやすい。なお、工程(1)における反応を実施する際、常に75℃以上である必要はなく、該反応中のいずれかの時点で75℃以上となればよい。
工程(2)は、工程(1)で得られたレゾール型縮合物を含む反応液と、工程(1)で用いた塩基と当量以上の酸とを混合させることによって実施することができる。工程(2)で用いる酸として例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸、ギ酸、酢酸、シュウ酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸が挙げられる。これら酸は1種、あるいは2種以上混合して使用してもよく、また、これら酸の水溶液を用いてもよい。酸の使用量は、工程(1)で使用した塩基の塩基分に対し当量以上であればよく、好ましくは塩基分1モルに対して1〜2モルである。工程(2)は、工程(1)で得られたレゾール型縮合物を含む反応液と酸との混合を複数回に分け、使用した酸の合計量が工程(1)で用いた塩基と当量以上となる形で実施してもよい。
工程(2)を実施しない場合、得られるノボラック型共縮合物をゴムに添加して使用する際に加硫ゴムの物性を悪化させるなど、ゴムの加工工程において使用される接着剤としての性能を十分に発揮しない場合がある。更には、工程(3)においてレゾルシンと反応させる際に十分に反応が進行せず、未反応フェノール類が大量に残存する場合や、未反応フェノール類、レゾルシン等を除去する際、残存した塩基により、着色や得られるノボラック型共縮合物の分解が生じ、接着剤としての品質低下が生じる場合がある。また、工程(2)を実施することにより、得られる共縮合物の吸湿性を低減することが可能となる。
工程(2)実施後、未反応のホルムアルデヒド及び副生した無機塩類等を除去するために、必要に応じ、水と混和しない有機溶媒及び水を用いて、有機相にレゾール型縮合物を抽出し、水相に未反応のホルムアルデヒドや副生した無機塩類を分離する、水洗工程を実施してもよい。
工程(3)で用いられるレゾルシンの使用量は、工程(1)で使用したフェノール類の使用量1モルに対し0.5〜1.2モルである必要があり、好ましくは0.5〜1.0モル、より好ましくは0.5〜0.8モルである。レゾルシンの使用量が1.2モルより多い場合、未反応のレゾルシンが多く残存するため、揮発性が問題となる場合がある。また、ステアリン酸と良好に相溶するノボラック型共縮合物が得られにくい傾向にある。レゾルシンの使用量が0.5モルより少ない場合、ゴムの加工工程において使用される接着剤としての性能が発現されない場合や、得られるノボラック型共縮合物の分子量が高くなり、軟化点が150℃以下とならない場合がある。
工程(3)は、溶媒を用いずに実施することも可能であるが、工程(1)で使用したフェノール類1重量倍に対して0.2重量倍以上の溶媒存在下で実施することが好ましく、0.4〜2.0重量倍の溶媒存在下で実施することがより好ましい。0.2重量倍以上の溶媒を使用することによって、得られるノボラック型共縮合物の高分子化を回避しながら、得られるノボラック型共縮合物中の未反応レゾルシン含量を低減することが可能となる。また、溶媒の使用量を2.0重量倍以下とすることにより、共縮合物から反応で使用した溶媒を除去したい場合、該溶媒を共縮合物より効率よく除去可能となる。工程(3)で使用可能な溶媒として例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素、メチルイソブチルケトン等の炭素数3〜7のケトン類、および酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸sec−ペンチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エチルブチル、ブタン酸エチル、ペンタン酸メチル等のエステル系有機溶媒が挙げられ、トルエン、キシレン、酢酸n−ブチルが好ましい。工程(3)で使用する溶媒は、工程(1)及び/又は工程(2)の後に適宜実施される水洗工程で使用した溶媒をそのまま使用してもよいし、適宜新たな溶媒を加えてもよい。
工程(3)の反応は、通常、40〜150℃、好ましくは100〜150℃で実施する。また、レゾール型縮合物とレゾルシンとの反応の際、系内に水が存在すると反応速度が遅くなる場合があるので、反応で副生する水は系外へと除去しながら反応を実施することが好ましい。
工程(3)終了後、後述する特徴を有する本発明のノボラック型共縮合物を得ることができるが、該ノボラック型共縮合物に含まれる、反応で使用した溶媒、未反応フェノール類、レゾルシン等を除去する必要がある場合、常法により濃縮除去することができる(以下、本工程を濃縮除去工程と称することもある。)。なお、濃縮除去工程を実施する際、内温が165℃を超えると、得られるノボラック型共縮合物の軟化点が150℃以上となりやすく、ゴムの加工工程において使用される接着剤として使用が困難となる場合や、ノボラック型共縮合物が着色、分解等する場合がある。
<本発明のノボラック型共縮合物>
本発明のノボラック型共縮合物は、下記(a)及び(b)の特徴を有する。
(a)上記一般式(i)で表される1種又は2種以上のフェノール類、ホルムアルデヒド及びレゾルシン由来の構成単位を含む。
(b)上記フェノール類由来の構成単位は、p−tert−ブチルフェノール由来の構成単位を65モル%以上含む。上記フェノール類由来の構成単位は、p−tert−ブチルフェノール由来の構成単位を、好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上含む。
また、本発明のノボラック型共縮合物は、ホルムアルデヒド由来の構成単位(メチレン基及び/又はジメチレンエーテル基)をフェノール類由来の構成単位の総量1モルに対し通常1〜2倍モル含む。これら構成単位の比率は例えば、ノボラック型共縮合物をH−NMRを用いて分析することにより確認することが可能である。具体的には、製造したノボラック型共縮合物を水等の溶媒で洗浄し、ノボラック型共縮合物から含有する未反応レゾルシン等の未反応モノマーを除いた後、H−NMRにて分析し、得られた分析結果の内、各構成単位に由来するプロトン積分値からその比率を決定する方法が例示される。
さらに、本発明のノボラック型共縮合物は、以下、(c)、(d)及び(e)の特徴を有する。
(c)ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法における数平均分子量(Mn)が750以上。
(d)軟化点が80〜150℃。
(e)上記一般式(i)で表される1種又は2種以上のフェノール類由来の構成単位1モルに対してレゾルシン由来の構成単位が0.80モル以下。
本発明のノボラック型共縮合物は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法における数平均分子量(Mn)が、標準ポリスチレン換算分子量として750以上、好ましくは1000以上である。数平均分子量が750より低い場合、保存中にブロッキングが生じる場合がある。ノボラック型共縮合物の数平均分子量は、後述する実施例に記載する方法により決定される。また、数平均分子量は3000以下であることが好ましく、2000以下であることがより好ましい。数平均分子量を3000以下とすることにより、ノボラック型共縮合物の軟化点をより低減させることが可能となる。
本発明のノボラック型共縮合物は軟化点が80℃以上、好ましくは90℃以上であり、また150℃以下、好ましくは140℃以下である。軟化点が150℃より高い場合、ゴムの加工工程における接着剤として使用する際、ゴム内で十分に分散せず、接着性能を十分に発揮しない傾向にある。また、軟化点が80℃より低い場合、保存中にブロッキングが生じやすい。なお、後述する方法により軟化剤と混合し樹脂組成物とした後に、ゴムの加工工程における接着剤として使用する場合であっても、本発明のノボラック型共縮合物の軟化点は前記範囲であることが好ましい。
本発明のノボラック型共縮合物はレゾルシン由来の構成単位を、フェノール類由来の構成単位の総量1モルに対し0.80モル以下、好ましくは0.30〜0.80モル、より好ましくは0.30〜0.70モル含む。レゾルシン由来の構成単位が0.80モルより多い場合、吸湿性が高くなり、該共縮合物を保存する際にブロッキングするといった問題や、該共縮合物をゴムの加工工程において使用される接着剤として使用した場合、ゴムが発泡する等の問題が生じやすい。また、レゾルシン由来の構成単位が0.80モルより多い場合、共縮合物を溶融させた際、チクソ性を有したり、高粘度液体となるため、流動性が悪く、ペレット化やフレーク化等の成形加工が困難となる場合や、炭素数8〜32の脂肪酸類と相溶しない場合がある。また、0.30モルより少ない場合、接着剤としての性能が発現されない場合がある。レゾルシン由来の構成単位の比率は、後述する実施例にて記載する方法により決定することができる。
また、本発明のノボラック型共縮合物が以下の特徴(f)を有している場合、炭素数8〜32の脂肪酸類との相溶性が向上する。
(f)ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法におけるピークトップ分子量が700〜520の成分(オリゴマー1)を面積百分率で1〜10%含み、ピークトップ分子量が430〜320の成分(オリゴマー2)を面積百分率で0.01〜2%含む。
前記した特徴を有するか否かは、後述する条件にて、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)を用いて分析することによって確認することができる。
さらに、本発明のノボラック型共縮合物が褐色に着色していない場合、臭気が低減された共縮合物となりやすい。具体的には、本発明の共縮合物2.0gを、テトラヒドロフラン20mLに溶解させた溶液の波長610nmにおける分光透過率が80%以上である場合、臭気が低減された共縮合物となりやすい。波長610nmにおける分光透過率は、後述する実施例に記載する方法により決定される。着色と臭気との関係は明らかではないが、一部の着色成分が臭気に影響を与えることから、着色と臭気に相関関係が存在するものと推定される。
本発明のノボラック型共縮合物中に含まれる未反応レゾルシンの含有量は、8重量%以下であることが好ましい。8重量%以下とすることで、ノボラック型共縮合物をそのままゴムの加工工程において接着剤として使用する場合、ゴム混練時のレゾルシンの蒸散を抑えることが可能となり、作業環境上好ましい。ノボラック型共縮合物を軟化剤と混合し、樹脂組成物として使用する場合、ノボラック型共縮合物と軟化剤との混合比にもよるが、未反応レゾルシン含有量を10重量%以下とすることが好ましい。また本発明のノボラック型共縮合物に含まれる未反応フェノール類(原料として用いた上記一般式(i)で表される1種又は2種以上のフェノール類)の含有量は3重量%以下であることが好ましく、1重量%以下であることがより好ましい。未反応フェノール類の含有量を3重量%以下とすることで、人・生態系への有害影響の低減が可能となる。また、本発明のノボラック型共縮合物に含まれる、揮発性有機化合物(必要に応じ製造の際に使用した溶媒等)の含有量は、環境上、5重量%以下であることが好ましく、3重量%以下であることがより好ましい。なお、上記揮発性有機化合物には、前述した未反応レゾルシン及び未反応フェノール類は含まれない。
<樹脂組成物>
続いて、本発明のノボラック型共縮合物と軟化剤とを含む樹脂組成物について説明する。(以下、本発明のノボラック型共縮合物と軟化剤とを含む樹脂組成物を単に樹脂組成物と称することもある。)
本発明で用いられる軟化剤としては、本発明のノボラック型共縮合物と相溶し得られる樹脂組成物の軟化点を低減可能な物質であればよい。このような物質として例えば、ノボラック型共縮合物の軟化剤として一般的に用いられる、クマロン樹脂等の軟化点が低い固体、カシューナッツシェル液(CNSL)等の液体が例示される。更には、本発明の製造方法によって得られるノボラック型共縮合物は、ゴムの加工工程において加硫助剤として汎用されるステアリン酸をはじめとした炭素数8〜32の脂肪酸類とも相溶性があることから、炭素数8〜32の脂肪酸類を軟化剤として使用可能である。なお、本発明の製造方法に依らず従来公知の製法により得られたノボラック型共縮合物は、炭素数8〜32の脂肪酸類とは相溶せず、樹脂層とオイル層の分離が生じる。
これら軟化剤は1種、必要に応じ2種以上混合して使用してもよい。特に軟化剤として炭素数8〜32の脂肪酸類、特にステアリン酸を用いた樹脂組成物は、ゴムの加工工程で通常使用しない物質を軟化剤として新たに添加しなくともその軟化点が低減可能であることから、軟化剤として別途加える物質が問題となる用途(例えば軟化剤がゴムに含まれる他の成分と反応してしまうゴム)に対しても好適に用いることが可能となる。
カシューナッツシェル液とは、カシューナッツの殻から得られる天然植物液である。カシューナッツシェル液は、飽和または不飽和の炭化水素側鎖を有するフェノール誘導体で構成される混合物である。特にその成分として、アナカルド酸、カルダノール、カルドール(カードルとも呼ぶ)、メチルカルドール(メチルカードルとも呼ぶ)を主に含む。カシューナッツシェル液の調製法としては加熱法と溶剤抽出法があるが、通常、工業用カシューナッツシェル液は加熱処理によって調製されたものである。この加熱処理によりアナカルド酸は脱炭酸され、カルダノールに変換されるため、カルダノールとカルドール、メチルカルドールが主成分となることから、一般的に入手可能な工業用カシューナッツシェル液の組成比率(重量%)はカルダノール(75〜85%)、カルドール(15〜20%)、メチルカルドール(1〜5%)である。なお、本発明におけるカシューナッツシェル液とは、カシューナッツシェル液を分離精製することにより該液に含まれる各成分を適宜調整したものや、カシューナッツシェル液に別の成分を加えず、その一部を重合させたカシューナッツシェルポリマーも含む。
工業的に入手可能なカシューナッツシェル液として例えば、東北化工株式会社製 カシュー液体製品(CNSL、LB−7000、LB−7250、CD−5L)、TAN HOA HOP PHAT Co.,Ltd社製CNSLなどが挙げられる。これらのカシューナッツシェル液は単独で使用してもよいし、必要に応じて2種類以上を混合して使用することも可能である。
炭素数8〜32の脂肪酸類として例えば、炭素数8〜32の飽和または不飽和の脂肪酸、或いはそれらの金属塩が挙げられる。具体的には、飽和脂肪酸としてはカプリル酸(オクタン酸)、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、及びベヘン酸等が挙げられ、不飽和脂肪酸としてはオレイン酸またはウンデセン酸等が挙げられる。これら脂肪酸類は1種、あるいは必要に応じ2種以上併用してもよい。これら脂肪酸類のうち、価格や入手容易性の観点からステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、及びベヘン酸が好ましい。また、ステアリン酸はゴムへの添加剤として一般的な有機酸であることから特に好ましい。
本発明で用いられるステアリン酸の具体例として例えば、日油株式会社製 ビーズ ステアリン酸 つばき(C18:63%, C16:32%)、ビーズ ステアリン酸 さくら(C18:66%, C16:31%)等が挙げられる。
樹脂組成物に含まれる軟化剤の含有量は、樹脂組成物の総量に対して5重量%以上、好ましくは10重量%以上であり、また40重量%以下、好ましくは30重量%以下である。含有量を40重量%以下とすることにより、樹脂組成物のブロッキングや、ゴム用接着剤としての性能の低下を低減することが可能となり、含有量を5重量%以上とすることにより、軟化点の低減効果が十分に発揮される。
本発明の樹脂組成物を通常の混練温度である170℃程度でゴムへ混練する場合、該樹脂組成物の軟化点は150℃以下であれば十分であるが、混練中のレゾルシンの蒸散を抑制する目的で100〜130℃の低温で混練を行う場合、軟化点を混練温度より低い120℃以下としなければ分散性不良の問題が発生する場合があり、ゴムと補強材との接着剤としての性能が十分に発揮されない場合がある。また、樹脂組成物の軟化点が80℃より低いと、保存中にブロッキングする場合があり好ましくない。
上述した本発明のノボラック型共縮合物と同様に、本発明の樹脂組成物が褐色に着色していない場合、臭気が低減された樹脂組成物となりやすい。具体的には、本発明の樹脂組成物2.0gを、テトラヒドロフラン20mLに溶解させた溶液の波長610nmにおける分光透過率が80%以上である場合、臭気が低減された樹脂組成物となりやすい。波長610nmにおける分光透過率は、後述する実施例に記載する方法により決定される。
樹脂組成物中に含まれる未反応レゾルシンの含有量は8重量%以下であることが好ましい。8重量%以下とすることで、ゴム混練時のレゾルシンの蒸散を抑えることが可能となり、作業環境上好ましい。また、樹脂組成物中に含まれる未反応フェノール類の含有量は、3重量%以下であることが好ましく、1重量%以下であることがより好ましい。未反応フェノール類の含有量を3重量%以下とすることで、人・生態系への有害影響の低減が可能となる。また、樹脂組成物中に含まれる揮発性有機化合物(必要に応じ製造の際に使用した溶媒等)の含有量は、環境上、5重量%以下であることが好ましく、3重量%以下であることがより好ましい。なお、上記揮発性有機化合物には、前述した未反応レゾルシン及び未反応フェノール類は含まれない。
上述した樹脂組成物は、上述した工程(1)、(2)及び(3)の方法にて得られた本発明のノボラック型共縮合物と軟化剤とを混合することによって得ることができる。軟化剤を混合した後、あるいは軟化剤を混合する前に、必要に応じて、反応で使用した溶媒や未反応のp−tert−ブチルフェノール、レゾルシン等を除去する濃縮除去工程を実施してもよい。
樹脂組成物に含まれる軟化剤が炭素数8〜32の脂肪酸類である場合、レゾール型縮合物とレゾルシンとを反応させる際(工程(3))、該反応を炭素数8〜32の飽和又は不飽和の脂肪酸存在下に実施することで、本発明の樹脂組成物を製造してもよい。工程(3)を炭素数8〜32の飽和又は不飽和の脂肪酸存在下に実施することで、残存レゾルシン量が少なく、かつ軟化点が80〜120℃と比較的低い樹脂組成物を容易に得ることができる。工程(3)において炭素数8〜32の飽和又は不飽和の脂肪酸を使用する場合のその使用量は、レゾール型縮合物とレゾルシンの合計量100重量部に対して通常15〜40重量部、好ましくは15〜35重量部、より好ましくは18〜32重量部である。
<ゴム組成物>
次に、本発明に係るノボラック型共縮合物及び/又は樹脂組成物を含むゴム組成物について詳述する。
本発明のゴム組成物は、上述したノボラック型共縮合物及び/又は樹脂組成物とゴム成分を含むものであり、典型的にはノボラック型共縮合物及び/又は樹脂組成物、ゴム成分、充填剤、硫黄及びメチレンドナー化合物を混練して得ることができる。前記した各成分と共に加硫促進剤、酸化亜鉛、有機コバルト化合物を混練することもできる。
本発明のノボラック型共縮合物及び/又は樹脂組成物は、例えば、ゴム成分100重量部あたり0.5〜10重量部の範囲で用いられる。中でも1〜5重量部の範囲が好ましい。0.5重量部より少ない場合、補強材とゴムとの接着剤として有用に作用せず、10重量部より多い場合、前記作用に問題はないが添加量に見合う作用が発現せず経済的に好ましくない。
ゴム成分としては、天然ゴム、エポキシ化天然ゴム、脱蛋白天然ゴム及びその他の変性天然ゴムの他、ポリイソプレンゴム(IR)、スチレン・ブタジエン共重合ゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリル・ブタジエン共重合ゴム(NBR)、イソプレン・イソブチレン共重合ゴム(IIR)、エチレン・プロピレン−ジエン共重合ゴム(EPDM)、ハロゲン化ブチルゴム(HR)等の各種の合成ゴムが例示されるが、天然ゴム、スチレン・ブタジエン共重合ゴム、ポリブタジエンゴム等の高不飽和性ゴムが好ましく用いられる。特に好ましくは天然ゴムである。また、天然ゴムとスチレン・ブタジエン共重合ゴムの併用、天然ゴムとポリブタジエンゴムの併用等、数種のゴム成分を組み合わせることも有効である。
天然ゴムの例としては、RSS#1、RSS#3、TSR20、SIR20等のグレードの天然ゴムを挙げることができる。エポキシ化天然ゴムとしては、エポキシ化度10〜60モル%のものが好ましく、例えばクンプーランガスリー社製ENR25やENR50が例示できる。脱蛋白天然ゴムとしては、総窒素含有率が0.3重量%以下である脱蛋白天然ゴムが好ましい。変性天然ゴムとしては、天然ゴムにあらかじめ4−ビニルピリジン、N,N−ジアルキルアミノエチルアクリレート(例えばN,N−ジエチルアミノエチルアクリレート)、2−ヒドロキシアクリレート等を反応させた極性基を含有する変性天然ゴムが好ましく用いられる。
SBRの例としては、日本ゴム協会編「ゴム工業便覧<第四版>」の210〜211頁に記載されている乳化重合SBR及び溶液重合SBRを挙げることができる。とりわけ溶液重合SBRが好ましく用いられ、より好ましくは、日本ゼオン社製「Nipol(登録商標)NS116」等の4,4’−ビス−(ジアルキルアミノ)ベンゾフェノンを用いて分子末端を変性した溶液重合SBR、JSR社製「SL574」等のハロゲン化スズ化合物を用いて分子末端を変性した溶液重合SBR、旭化成社製「E10」、「E15」等の、シラン変性溶液重合SBRの市販品、ラクタム化合物、アミド化合物、尿素系化合物、N,N−ジアルキルアクリルアミド化合物、イソシアネート化合物、イミド化合物、アルコキシ基を有するシラン化合物(トリアルコキシシラン化合物等)、アミノシラン化合物のいずれかを単独で用いて分子末端を変性して得られる分子末端に窒素、スズ、ケイ素のいずれかの元素を有する溶液重合SBR、ラクタム化合物、アミド化合物、尿素系化合物、N,N−ジアルキルアクリルアミド化合物、イソシアネート化合物、イミド化合物、アルコキシ基を有するシラン化合物(トリアルコキシシラン化合物等)及びアミノシラン化合物から選択される2種以上の化合物(スズ化合物とアルコキシ基を有するシラン化合物や、アルキルアクリルアミド化合物とアルコキシ基を有するシラン化合物等)を用いて分子末端を変性して得られる分子末端に窒素、スズ及びケイ素から選択される2種以上の元素を有する溶液重合SBRが用いられる。
BRの例としては、シス1,4結合が90%以上の高シスBRや、シス結合が35%前後の低シスBR等の溶液重合BRが例示され、高ビニル含量の低シスBRが好ましく用いられる。より好ましくは、 日本ゼオン製「Nipol(登録商標)BR 1250H」等スズ変性BR、4,4’−ビス−(ジアルキルアミノ)ベンゾフェノン、ハロゲン化スズ化合物、ラクタム化合物、アミド化合物、尿素系化合物、N,N−ジアルキルアクリルアミド化合物、イソシアネート化合物、イミド化合物、アルコキシ基を有するシラン化合物(トリアルコキシシラン化合物等)、アミノシラン化合物のいずれかを単独で用いて分子末端を変性して得られる分子末端に窒素、スズ、ケイ素のいずれかの元素を有する溶液重合BR、4,4’−ビス−(ジアルキルアミノ)ベンゾフェノン、ハロゲン化スズ化合物、ラクタム化合物、アミド化合物、尿素系化合物、N,N−ジアルキルアクリルアミド化合物、イソシアネート化合物、イミド化合物、アルコキシ基を有するシラン化合物(トリアルコキシシラン化合物等)及びアミノシラン化合物から選択される2種以上の化合物(スズ化合物とアルコキシ基を有するシラン化合物や、アルキルアクリルアミド化合物とアルコキシ基を有するシラン化合物等)を用いて分子末端を変性して得られる分子末端に窒素、スズ及びケイ素から選択される2種以上の元素を有する溶液重合BRが用いられる。これらBRは通常は天然ゴムとのブレンドで使用される。
ゴム成分は天然ゴムを含むことが好ましく、ゴム成分に占める天然ゴムの割合は70重量%以上であることが好ましい。
充填剤としては、ゴム分野で通常使用されているカーボンブラック、シリカ、タルク、クレイ、水酸化アルミニウム、酸化チタン等が例示されるが、カーボンブラック及びシリカが好ましく用いられ、さらにはカーボンブラックが特に好ましく使用される。カーボンブラックとしては、例えば、日本ゴム協会編「ゴム工業便覧<第四版>」の494頁に記載されるものが挙げられ、HAF(High Abrasion Furnace)、SAF(Super Abrasion Furnace)、ISAF(Intermediate SAF)、FEF(Fast Extrusion Furnace)、MAF(Medium Abrasion Furnace)、GPF(General Purpose Furnace)、SRF(Semi−Reinforcing Furnace)等のカーボンブラックが好ましい。タイヤトレッド用ゴム組成物にはCTAB表面積40〜250m/g、窒素吸着比表面積20〜200m/g、粒子径10〜50nmのカーボンブラックが好ましく用いられ、CTAB表面積70〜180m/gであるカーボンブラックがさらに好ましく、その例としてはASTMの規格において、N110、N220、N234、N299、N326、N330、N330T、N339、N343、N351等が挙げられる。またカーボンブラックの表面にシリカを0.1〜50重量%付着させた表面処理カーボンブラックも好ましい。さらには、カーボンブラックとシリカの併用等、数種の充填剤を組み合わせることも有効である。
シリカとしては、CTAB比表面積50〜180m/gや、窒素吸着比表面積50〜300m/gのシリカが例示され、東ソー・シリカ(株)社製「AQ」、「AQ−N」、デグッサ社製「ウルトラジル(登録商標)VN3」、「ウルトラジル(登録商標)360」、「ウルトラジル(登録商標)7000」、ローディア社製「ゼオシル(登録商標)115GR」、「ゼオシル(登録商標)1115MP」、「ゼオシル(登録商標)1205MP」、「ゼオシル(登録商標)Z85MP」、日本シリカ社製「ニップシール(登録商標)AQ」等の市販品が好ましく用いられる。また通常、充填剤としてシリカを用いる場合には、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(デグッサ社製「Si−69」)、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド(デグッサ社製「Si−75」)、ビス(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)ジスルフィド、及びオクタンチオ酸S−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]エステル(ジェネラルエレクトロニックシリコンズ社製「NXTシラン」)からなる群より選択される1種以上のシランカップリング剤等、シリカと結合可能なケイ素等の元素又はアルコシキシラン等の官能基を有する化合物を添加することが好ましい。
水酸化アルミニウムとしては、窒素吸着比表面積5〜250m/g、DOP給油量50〜100ml/100gの水酸化アルミニウムが例示される。
かかる充填剤の使用量は特に限定されるものではないが、ゴム成分100重量部あたり10〜120重量部の範囲が好ましい。特に好ましいのは30〜70重量部である。
充填剤はカーボンブラックを含むことが好ましく、充填剤に占めるカーボンブラックの割合は70重量%以上であることが好ましい。
硫黄成分としては、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、及び高分散性硫黄等が挙げられる。通常は粉末硫黄が好ましく、タイヤのベルト用部材等の硫黄量が多いタイヤ部材に用いる場合には不溶性硫黄が好ましい。硫黄成分の使用量は特に限定されるものではないが、ゴム成分100重量部あたり1〜10重量部の範囲が好ましい。タイヤのベルト用部材等では5〜10重量部の範囲が好ましい。
加硫促進剤の例としては、ゴム工業便覧<第四版>(平成6年1月20日社団法人、日本ゴム協会発行)の412〜413頁に記載されているチアゾール系加硫促進剤、スルフェンアミド系加硫促進剤、グアニジン系加硫促進剤が挙げられる。
具体的には、例えば、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(BBS)、N,N−ジシクロへキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(DCBS)、2−メルカプトベンゾチアゾール(MBT)、ジベンゾチアジルジスルフィド(MBTS)、ジフェニルグアニジン(DPG)が挙げられる。中でも、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(BBS)、N,N−ジシクロへキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(DCBS)、又はジベンゾチアジルジスルフィド(MBTS)とジフェニルグアニジン(DPG)との併用が好ましい。
加硫促進剤の使用量は特に限定されるものではないが、ゴム成分100重量部あたり0.5〜3重量部の範囲が好ましい。中でも0.5〜1.2重量部の範囲がより好ましい。
酸化亜鉛の使用量は特に限定されるものではないが、ゴム成分100重量部あたり3〜15重量部の範囲が好ましい。中でも5〜10重量部の範囲がより好ましい。
メチレンドナー化合物としては、ヘキサメチレンテトラミン、ヘキサキス(メトキシメチル)メラミン、ペンタキス(メトキシメチル)メチロールメラミン、テトラキス(メトキシメチル)ジメチロールメラミン等のゴム工業において通常使用されているものを挙げることができる。中でもヘキサキス(メトキシメチル)メラミン単独又はそれを主成分とする混合物が好ましい。これらのメチレンドナー化合物は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができ、その配合量は前記ゴム成分100重量部に対して、0.5〜4重量部程度の範囲が好ましく、1〜3重量部程度の範囲がより好ましい。
有機コバルト化合物としては、例えば、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸コバルト等の酸コバルト塩や、脂肪酸コバルト・ホウ素錯体化合物(例えば、商品名「マノボンドC(登録商標)」:ローディア社製)等が挙げられる。有機コバルト化合物の使用量は、前記ゴム成分100重量部に対して、コバルト含量にして0.05〜0.4重量部の範囲が好ましい。
本発明のゴム組成物は従来よりゴム分野で用いられている各種の配合剤を配合し、混練することも可能である。かかる配合剤としては、例えば、老化防止剤、オイル、リターダー、しゃく解剤、ステアリン酸等が挙げられる。
老化防止剤としては、例えば日本ゴム協会編「ゴム工業便覧<第四版>」の436〜443頁に記載されるものが挙げられる。中でもN−フェニル−N’−1,3−ジメチルブチル−p−フェニレンジアミン(6PPD)、アニリンとアセトンの反応生成物(TMDQ)、ポリ(2,2,4−トリメチル−1,2−)ジヒドロキノリン)(松原産業社製「アンチオキシダントFR」)、合成ワックス(パラフィンワックス等)、植物性ワックスが好ましく用いられる。
オイルとしては、プロセスオイル、植物油脂等が挙げられる。プロセスオイルとしては、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル等が挙げられる。
リターダーとしては、無水フタル酸、安息香酸、サリチル酸、N−ニトロソジフェニルアミン、N−(シクロヘキシルチオ)−フタルイミド(CTP)、スルホンアミド誘導体、ジフェニルウレア、ビス(トリデシル)ペンタエリスリトール−ジホスファイト等が例示され、N−(シクロヘキシルチオ)−フタルイミド(CTP)が好ましく用いられる。
本発明のノボラック型共縮合物及び/又は樹脂組成物を含むゴム組成物は、例えば以下の方法により得ることが出来る。
(A)充填剤とゴム成分とを混練する工程
充填剤とゴム成分との混練は、バンバリーミキサー等の密閉式混練装置を用いて行うことができる。かかる混練は、通常、発熱を伴い、混練終了時の温度は140℃〜180℃の範囲であることが好ましく、150℃〜170℃の範囲であることがより好ましい。混練時間は5分〜10分程度である。
(B)(A)の工程で得た混練物と硫黄成分と加硫促進剤とを混練する工程
(A)の工程で得た混練物と硫黄成分と加硫促進剤との混練は、例えばバンバリーミキサー等の密閉式混練装置やオープンロールを用いて行うことができる。混練終了時の混練物の温度は30℃〜100℃であることが好ましく、60℃〜90℃であることがより好ましい。混練時間は通常5〜10分程度である。
本発明のノボラック型共縮合物及び/又は樹脂組成物は軟化点が低い為、(A)または(B)の工程で加えることができるが、(A)の工程で加えることが好ましい。
酸化亜鉛、老化防止剤、オイル、脂肪酸類、しゃく解剤を用いる場合、これらは(A)の工程で加えることが好ましい。
リターダーを用いる場合、(B)の工程で加えることが好ましい。
こうして得られた本発明のノボラック型共縮合物及び/又は樹脂組成物を含むゴム組成物は、特に補強材との加硫接着において有効である。かかる補強材としては、ナイロン、レーヨン、ポリエステル、アラミド等の有機繊維類、真鍮メッキしたスチールコード、亜鉛メッキしたスチールコード等のスチールコード類が例示される。中でも、本発明のゴム組成物は、真鍮メッキしたスチールコードとの加硫接着において特に有効である。
本発明のノボラック型共縮合物及び/又は樹脂組成物を含むゴム組成物を補強材と共に成形し、加硫工程を経ることでゴムと補強材とが強固に接着したゴム製品を得ることが出来る。加硫工程は120℃〜180℃で行うことが好ましい。加硫工程は常圧又は加圧下で行われる。
以下、実施例、比較例及び参考例(以下、実施例等と称することもある)を示すことで本発明をより具体的に説明する。本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。なお、実施例等に記載される各成分の含有量、残留溶媒量及び未反応モノマー量は、特に断りのない限り、得られた共縮合物又は軟化剤を含む樹脂組成物全量に対する当該物質の重量%であり、またオリゴマー成分の含量は面積百分率である。また、各実施例等における各種測定は下記の通り実施した。
〔1〕ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)分析条件
使用機器 :HLC−8220GPC(東ソー株式会社製)
検出器 :RI(示差屈折)検出器
カラム :TSK ガードカラム SUPER HZ−L(東ソー株式会社製)
+TSK−GEL SUPER HZ1000(4.6mmφ×150mm)
+TSK−GEL SUPER HZ2500(4.6mmφ×150mm)
+TSK−GEL SUPER HZ4000(4.6mmφ×150mm)
カラム温度:40℃
注入量 :10μL
キャリアーおよび流速:テトラヒドロフラン 0.35mL/min
換算分子量を求める標準物質(GPC検量線の作成):TSK−GEL標準ポリスチレンキット(PS−オリゴマーキット)に、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(FW268)とフェノール(FW94)を加えて、検量線を作成した。
サンプル調製:共縮合物または樹脂組成物、反応混合物約0.02gをテトラヒドロフラン10mLに溶解
上記GPC分析によって得られた結果に基づき、レゾール型縮合物の平均分子量、ノボラック型共縮合物及び樹脂組成物の平均分子量、並びにノボラック型共縮合物及び樹脂組成物に含まれる各オリゴマー成分の含量(面積百分率)を下記の通り算出した。
(a)レゾール型縮合物の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)
レゾール型縮合物の測定により得られた多峰性のピークをひとかたまりとして取扱い、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)を算出した。なお、レゾール型縮合物の平均分子量の算出に際し、製造時に有機溶媒を用いた場合、有機溶媒に該当するピークは除外して算出した。
(b)ノボラック型共縮合物の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)
ノボラック型共縮合物の測定によって得られた多峰性のピークをひとかたまりとして取扱い、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)を算出した。なお、ノボラック型共縮合物の平均分子量の算出に際し、未反応モノマー(フェノール類、レゾルシン)に由来するピーク、及び製造時に有機溶媒を用いた場合、有機溶媒に該当するピークは除外して算出した。
(c)樹脂組成物の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)
樹脂組成物の測定によって得られた多峰性のピークをひとかたまりとして取扱い、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)を算出した。なお、樹脂組成物の平均分子量の算出に際し、製造時に有機溶媒を用いた場合、有機溶媒に該当するピークは除外して算出した。
(d)オリゴマー成分の含量
ノボラック型共縮合物の平均分子量測定の際に得られたGPCチャートから多峰性のピークをピークの谷毎に分離し、それぞれのピークトップ分子量(以下、実施例等においてピークトップと称することもある)および当該ピークの面積百分率(%)を算出した。なお、オリゴマー成分の含量(面積百分率)の算出に際し、製造時に有機溶媒を用いた場合、有機溶媒に該当するピークは除外して算出した。
〔2〕未反応モノマー及び揮発性有機化合物含量の測定
未反応モノマー及び揮発性有機化合物含量については、以下の条件に基づくガスクロマトグラフィーにより定量を行った。
使用機器 :島津製作所社製 ガスクロマトグラフ GC−2014
カラム :ガラスカラム外径5mm×内径3.2mm×長さ3.1m
充填剤 :充填剤 Silicone OV−17 10% Chromosorb WHP 80/100mesh, max.temp.340℃
カラム温度:80℃→280℃
気化室温度:250℃
検出器温度:280℃
検出器 :FID
キャリアー:N(40ml/min)
燃焼ガス :水素(60kPa), 空気(60kPa)
注入量 :2μL
サンプル調製条件:レゾール型縮合物、ノボラック型共縮合物、または樹脂組成物2.0gを標準液(アニソールのアセトン溶液(約1g/200mL))10mLに溶解
また、未反応モノマー及び揮発性有機化合物含量が0.1%以下のノボラック型共縮合物、または樹脂組成物については、試料2.0gをアニソールのアセトン溶液(約1g/200mL)10mLに溶解させ上記条件にて追加で分析した。
定量法:内部標準法(GC−IS法)。
また、各実施例等で記載のレゾール型縮合物の純分(重量%、以下%と記載する)は、レゾール型縮合物を含む溶液に含まれる有機溶媒量を上記方法により定量し、定量された有機溶媒以外の全成分がレゾール型縮合物であると仮定して算出した。
〔3〕軟化点の測定
JIS−K2207に準拠した方法により測定した。
〔4〕共縮合物または樹脂組成物の各構成単位の比率
以下条件に基づく方法によりH−NMR分析を行った。
装置:日本電子社製「JMN−ECS」(400MHz)
溶媒:重水素置換ジメチルスルホキシド 0.03%(v/v)TMS アンプル入り
試料:約3mgを溶媒0.75mLで溶解
分析に供した試料の調製:ノボラック型共縮合物または樹脂組成物に含まれる未反応レゾルシン等の未反応モノマーを除くため、事前に以下の方法で共縮合物を水洗し、H−NMR分析に供した。
各実施例等で得られた共縮合物または樹脂組成物を乳鉢で5mm角以下に粗砕したもの30gと水60gを200mL三つ口セパラブルフラスコに量り入れた。次いで、水層のpHが5〜7となるまでシュウ酸を添加し、内温約100℃に昇温後、メカニカルスターラーで撹拌下、同温で30分間還流混合した。その後、撹拌を停止し同内温で速やかに水層を除去した(水洗1)。続いて、再度水60gを加え、内温約100℃に昇温後、メカニカルスターラーで撹拌下、同温で30分間還流混合した。30分間還流混合後、同様に水層を除去した(水洗2)。その後、減圧下、内温140〜150℃で水を留去し、同温に保ったまま更に16kPaまで減圧することにより、共縮合物または樹脂組成物を乾燥させた。
H−NMR分析結果の帰属等について
各成分の化学シフト:テトラメチルシランを基準(0ppm)とし、以下の値に示されるピークをそれぞれの成分のピークとした。
p−tert−ブチルフェノール由来のp−tert−ブチル基のプロトン:1.00〜1.15ppm
ホルムアルデヒド由来のメチレン基のプロトン:3.4〜4.0ppm
o−tert−ブチルフェノール由来のo−tert−ブチル基のプロトン:1.25〜1.35ppm
o−フェニルフェノール由来のo−フェニル基のプロトン:7.2〜7.5ppm
p−フェニルフェノール由来のp−フェニル基のプロトン:7.2〜7.5ppm
また、レゾルシン由来のフェノール性水酸基のプロトンは、個別の分離帰属が困難であったため、全てのフェノール性水酸基由来のプロトン:7.80〜9.80ppmの積分値から、レゾルシン以外のフェノール類由来の1個のフェノール性水酸基由来のプロトンの積分値を差し引きし、レゾルシン由来の2個のフェノール性水酸基の積分値を算出した。
具体的に例えば、フェノール類としてp−tert−ブチルフェノールおよびo−フェニルフェノールを含むノボラック型共縮合物では、全てのフェノール性水酸基由来のプロトン:7.80〜9.80ppmの積分値から、p−tert−ブチルフェノール由来の1個のフェノール性水酸基由来のプロトンの積分値および、o−フェニルフェノール由来の1個のフェノール性水酸基由来のプロトンの積分値を差し引きし、レゾルシン由来の2個のフェノール性水酸基の積分値を算出した。
なお、以下実施例等に記載した構成比率については以下の基準に基づく比率である。
レゾルシン:p−tert−ブチルフェノール由来の構成単位を1とした場合の割合(モル倍)。
o−フェニルフェノール:p−tert−ブチルフェノール由来の構成単位を1とした場合の割合(モル倍)
o−tert−ブチルフェノール:p−tert−ブチルフェノール由来の構成単位を1とした場合の割合(モル倍)
p−フェニルフェノール:p−tert−ブチルフェノール由来の構成単位を1とした場合の割合(モル倍)
また、p−tert−ブチルフェノールと他のフェノール類を併用した実施例等においては、レゾルシンの構成単位を記載する際、かっこ内に全フェノール類由来の構成単位を1とした場合の比率を併記した。
〔5〕透過率測定
共縮合物又は樹脂組成物をテトラヒドロフラン20mLに溶解させた溶液の波長610nmにおける透過率を下記条件にて測定した。
装置:色差計(日本電色工業社製「SE6000」)
測定温度:25℃
測定法:共縮合物又は樹脂組成物2.0gをテトラヒドロフラン20mLに溶解して溶液を調整し、角型の石英セル(光路長10mm)を使用して、該溶液の分光透過率を波長380〜780nmの範囲にわたって測定した。なお、溶解に使用したテトラヒドロフランの分光透過率は波長610nmにおいて100%であった。
1.共縮合物及び樹脂組成物の製造及び物性
<実施例1>
還流冷却器および温度計を備えた四つ口セパラブルフラスコに、純度37%のホルマリン180.0g(2.22mol)、p−tert−ブチルフェノール180.0g(1.20mol)を順に加えた。その後、内温40℃まで昇温し、24%水酸化ナトリウム水溶液80.0g(0.48mol)を添加し、発熱が収まるまで攪拌した。発熱が収まったのを確認した後、内温65℃まで昇温し、同温度にて1時間反応した。反応後、反応混合物をGPCにて分析した所、レゾール型縮合物の分子量は重量平均分子量(Mw)=370、数平均分子量(Mn)=317(以下、重量平均分子量をMw、数平均分子量をMnと略する)であった。
その後、更に内温82℃まで昇温し同温度で9時間反応した。反応後のレゾール型縮合物の分子量はMw=1514、Mn=943であった。
反応終了後、メチルイソブチルケトン(以降、MIBKとも記す)135.0g、30%硫酸72.0g(0.220mol)、シュウ酸二水和物3.02g(0.024mol)を加え0.1時間撹拌後静置し、下層の水層を除去した。四つ口セパラブルフラスコ内のレゾール型縮合物は、374g(純分60%)であった。
続いて、レゾルシン79.2g(0.72mol)を加え、内温90℃まで昇温し、微減圧(内圧92kPa)とした後、内温90〜119℃で2時間還流脱水をしながら反応を行った。続いて、窒素で復圧し、更に常圧下、125〜135℃で2時間還流脱水をしながら反応を行った。
反応後、常圧下、内温142〜145℃でMIBKを留去した後、内温140〜150℃に保ったまま16kPaまで減圧とすることにより、MIBKをさらに留去し、黄色のノボラック型共縮合物268gを得た。得られたノボラック型共縮合物の物性等を以下表3に示す。
<実施例2>
還流冷却器および温度計を備えた四つ口セパラブルフラスコに、純度92%のパラホルム144.9g(4.44mol)、p−tert−ブチルフェノール360.0g(2.40mol)、トルエン252.0gを順に加えた。その後、内温40℃まで昇温し、24%水酸化ナトリウム水溶液160.0g(0.96mol)を添加し、発熱が収まるまで攪拌した。発熱が収まったのを確認した後、内温66℃まで昇温し、同温度にて1時間反応した。反応後、反応混合物をGPCにて分析した所、レゾール型縮合物の分子量はMw=273、Mn=258であった。次いで、内温88℃まで昇温し、同温度で4時間反応した。反応後のレゾール型縮合物の分子量はMw=1587、Mn=998であった。
反応終了後、30%硫酸142.0g(0.435mol)、シュウ酸二水和物6.04g(0.048mol)を加え0.2時間撹拌後静置し、下層の水層を除去した。四つ口セパラブルフラスコ内のレゾール型縮合物は、661g(純分61%)であった。
続いて、レゾルシン171.5g(1.56mol)を加え、内温95℃まで昇温し、微減圧(内圧92kPa)とした後、内温95〜122℃で2時間還流脱水をしながら反応を行った。続いて、窒素で復圧し、更に常圧下、125〜135℃で2.5時間還流脱水をしながら反応を行った。
反応後、常圧下、内温141〜142℃でトルエンを留去した後、内温140〜150℃に保ったまま16kPaまで減圧とすることにより、トルエンをさらに留去し、黄色のノボラック型共縮合物590gを得た。得られたノボラック型共縮合物の物性等を以下表3に示す。
<実施例3>
還流冷却器および温度計を備えた四つ口セパラブルフラスコに、実施例2で得られた共縮合物120.0g、軟化剤としてステアリン酸(日油株式会社製 ビーズ ステアリン酸 つばき(常温で固体))30.0gを順に加えた後、内温140〜150℃で1時間攪拌し、共縮合物とステアリン酸とを均一に混合させた。その後、混合物をバットに取り出し冷却することで、共縮合物とステアリン酸とを含む樹脂組成物149.1gを得た。得られた樹脂組成物の物性等を以下表5に示す。
製造条件を表1及び2に示すとおりに変更すること以外は、実施例4〜6、8、11及び12については実施例1と同様に、また、実施例7及び10については実施例3と同様にしてノボラック型共縮合物を得た。得られたノボラック型共縮合物の物性等を表3に示す。
<実施例9>
実施例8で得られた共縮合物120.0gとステアリン酸30.0gとを、実施例3と同様の方法により混合して共縮合物とステアリン酸とを含む樹脂組成物148.8gを得た。得られた樹脂組成物の物性等を表5に示す。
<実施例13>
実施例12で得られた共縮合物120.0gとステアリン酸30.0gとを、実施例3と同様の方法により混合して、共縮合物とステアリン酸とを含む樹脂組成物147.0gを得た。得られた樹脂組成物の物性等を以下表5に示す。
<実施例14>
実施例4で得られた共縮合物120.0gと工業用カシューナッツシェル液(TAN HOA HOP PHAT Co.,Ltd製 CNSL)(常温で油状)30.0gとを、実施例3と同様の方法により混合して、共縮合物とCNSLとを含む樹脂組成物149.5gを得た。得られた樹脂組成物の物性等を表5に示す。
<実施例15>
実施例8で得られた共縮合物120.0gとCNSL30.0gとを、実施例3と同様の方法により混合して、共縮合物とCNSLとを含む樹脂組成物146.6gを得た。得られた樹脂組成物の物性等を表5に示す。
<実施例16>
還流冷却器及び温度計を備えた四つ口セパラブルフラスコに、純度92%のパラホルム117.4g(3.60mol)、p−tert−ブチルフェノール352.5g(2.35mol)、p−フェニルフェノール8.5g(0.05mol)、トルエン350.0gを順に加えた。その後、内温40℃まで昇温し、48%水酸化ナトリウム水溶液46.0g(0.55mol)を添加し、発熱が収まるまで攪拌した。発熱が収まったのを確認した後、内温64℃まで昇温し、同温度にて1時間反応した。反応後、反応混合物をGPCにて分析したところ、レゾール型縮合物の分子量はMw=226、Mn=203であった。次いで、内温88℃まで昇温し同温度で6時間反応した。反応後のレゾール型縮合物の分子量は、Mw=1144、Mn=739であった。
反応終了後、30%硫酸81.2g(0.248mol)、シュウ酸二水和物3.47g(0.028mol)を加え0.2時間撹拌後静置し、下層の水層を除去した。四つ口セパラブルフラスコ内のレゾール型縮合物は、778g(純分55%)であった。
続いて、レゾルシン211.2g(1.92mol)を加え、内温101℃まで昇温し、常圧下、内温101〜120℃で1.5時間還流脱水をしながら反応を行った。続いて、窒素で復圧し、さらに常圧下、121〜128℃で1時間還流脱水をしながら反応を行った。
反応後、常圧下、内温142〜144℃でトルエンを留去した後、内温140〜150℃に保ったまま16kPaまで減圧とすることにより、トルエンをさらに留去し、黄色のノボラック型共縮合物611gを得た。得られたノボラック型共縮合物の物性等を表3に示す。
<実施例17>
実施例16で得られた共縮合物400.0gと、ステアリン酸101.0gとを、実施例3と同様の方法により混合して、共縮合物とステアリン酸とを含む樹脂組成物を含む樹脂組成物500.2gを得た。得られた樹脂組成物の物性等を表5に示す。
<実施例18>
表2に示す条件及びレゾルシンの添加時に、ステアリン酸(日油株式会社製 ビーズ ステアリン酸 つばき)148.8gを同時に加えた以外は実施例16と同様に実施し、
ノボラック型共縮合物を含む均一な樹脂組成物713gを得た。得られた樹脂組成物の物性等を表5に示す。
<実施例19>
製造条件を表2に示すとおりとしたこと及びレゾルシンの添加時に、ステアリン酸(日油株式会社製 ビーズ ステアリン酸 つばき)158.7gを同時に加えたこと以外は実施例16と同様にしてノボラック型共縮合物を含む均一な樹脂組成物789gを得た。得られた樹脂組成物の物性等を表5に示す。
<実施例20>
製造条件を表2に示すとおりとしたこと及びレゾール型縮合物の合成時に内温86℃に昇温するまでに、ディーンスターク管で還流脱水することで、反応系内から水を留去(46.6g)したこと以外は実施例16と同様にしてノボラック型共縮合物を得た。得られたノボラック型共縮合物の物性等を表3に示す。
<参考例1:特開2015−52097号 実施例4 追試>
還流冷却器及び温度計を備えた四つ口セパラブルフラスコに、純度37%のホルマリン90.0g(1.11mol)、p−tert−ブチルフェノール15.0g(0.10mol)、o−フェニルフェノール85.0g(0.50mol)を順に加えた。その後、内温45℃まで昇温し、24%水酸化ナトリウム水溶液20.0g(0.12mol)を添加し、発熱が収まるまで攪拌した。発熱が収まったのを確認した後、内温65℃まで昇温し、同温度にて1.5時間保温した。その後、内温75℃になるまで再度昇温し、さらに3時間保温することで反応を終了した。反応後のレゾール型縮合物の分子量はMw=570、Mn=400であった。
反応終了後、内温65℃以下になるまで冷却し、MIBK77.0gを加えて希釈した。その後、反応液を中和し、10分間攪拌した後に静置し水層を除去した。四つ口セパラブルフラスコ内のレゾール型縮合物は、217g(純分64%)であった。
続いて、レゾルシン69.3g(0.63mol)を加え、内温100℃まで昇温し、減圧(内圧65kPa)とした後、内温100〜120℃で4時間還流脱水をしながら反応を行った。続いて、窒素で復圧し、更に常圧下、125℃で8時間還流脱水をしながら反応を行った。
反応後、減圧(内圧10kPa)、内温140〜150℃で2時間濃縮した後、橙色のノボラック型共縮合物183gを得た。得られたノボラック型共縮合物の物性等を以下表4に示す。
<参考例2:特開2014−152220号 実施例2 追試>
還流冷却器および温度計を備えた四つ口セパラブルフラスコに、純度92%のパラホルムアルデヒド43.5g(1.33mol)、p−tert−ブチルフェノール150.0g(1.00mol)、トルエン75.0gを順に加えた。その後、内温45℃まで昇温し、48%水酸化ナトリウム水溶液4.16g(0.05mol)を添加し、発熱が収まるまで攪拌した。発熱が収まったのを確認した後、内温65℃まで昇温し、同温度にて2時間保温した。その後、内温80℃になるまで再度昇温し、さらに1.5時間保温した。前記反応後、反応混合物をGPCにて分析した所、レゾール型縮合物の分子量は、Mw=297、Mn=241であった。
反応終了後、内温75℃以下になるまで冷却し、中和することなくレゾルシン110.0g(1.00mol)を加えた。内温108〜112℃まで昇温し3時間かけて共沸脱水を行った。続いて、常圧のまま内温140〜150℃まで昇温し、2時間保温することでトルエンを留去した。その後、内温140〜150℃に保ったまま21kPaまで減圧し、2時間保温することでトルエンをさらに留去した。
上記の操作により、不均一な橙色のノボラック型共縮合物280gを得た。
得られたノボラック型共縮合物(できるだけ均一な個所をサンプリングした)の物性等を以下表4に示す。
<参考例3:特開2007−9047号 比較例3 追試>
還流冷却器および温度計を備えた四つ口セパラブルフラスコに、純度92%のパラホルムアルデヒド52.2g(1.60mol)、p−tert−ブチルフェノール150.0g(1.00mol)、トルエン200.0gを順に加えた。その後、内温45℃まで昇温し、30%水酸化ナトリウム水溶液6.66g(0.05mol)を添加し、発熱が収まるまで攪拌した。発熱が収まったのを確認した後、内温70℃まで昇温し、同温度にて1時間保温した。前記反応後、反応混合物をGPCにて分析した所、レゾール型縮合物の分子量は、Mw=215、Mn=192であった。
反応終了後、内温40℃に冷却し、シュウ酸二水和物9.40g(0.037mol)、およびレゾルシン132.2g(1.20mol)を加えた。内温108〜112℃まで昇温し、共沸脱水を行った。更に内温110〜118℃で還流脱水を継続したところ、反応マスの粘度が上昇し始め、0.5時間後には反応マスが膨潤し、無色透明の溶液部と、黄色の膨潤した樹脂部とに分離した状態となった。そのまま2時間反応後、トルエンを留去しながら、内温140℃まで順次昇温したが、分離した反応マスの様子に変化はなかった。また、反応マスが分離している為、撹拌軸の周囲のみが回転し、均一に撹拌できなくなった。
その後、反応マスが均一に撹拌されない状態のまま、2時間保温することでトルエンを留去した。その後、内温140〜150℃に保ったまま12kPaまで減圧したところ、反応マスが発泡し、部分的に固化した。
上記の操作により、不均一な橙色のノボラック型共縮合物314gを得た。得られたノボラック型共縮合物(できるだけ均一な個所をサンプリングした)の物性等を以下表4に示す。
<比較例1>
還流冷却器および温度計を備えた四つ口セパラブルフラスコに、純度37%のホルマリン180.0g(2.22mol)、p−tert−ブチルフェノール180.0g(1.20mol)を順に加えた。その後、内温40℃まで昇温し、24%水酸化ナトリウム水溶液30.0g(0.18mol)を添加し、発熱が収まるまで攪拌した。発熱が収まったのを確認した後、内温65℃まで昇温し、同温度にて1時間、更に内温82℃でて3時間反応した。反応後、反応混合物をGPCにて分析した所、レゾール型縮合物の分子量はMw=708、Mn=450であった。
反応終了後、MIBK135.0g、30%硫酸27.0g(0.083mol)、シュウ酸二水和物1.13g(0.009mol)を加え0.1時間撹拌後静置し、下層の水層を除去した。四つ口セパラブルフラスコ内のレゾール型縮合物は、380g(純分67%)であった。
続いて、レゾルシン158.4g(1.44mol)を加え、内温96℃まで昇温し、微減圧(92kPa)とした後、110℃〜115℃で2時間還流脱水をしながら反応を行った。その後、更に内温115℃で還流脱水を継続したところ、反応マスの粘度が上昇し始め、0.5時間後には反応マスが膨潤し、無色透明の溶液部と、黄色の膨潤した樹脂部とに分離した状態となった。そこでMIBK135.0gを追加し、樹脂部の溶解を試みたが、溶解しなかった。
続いて、窒素で復圧し、内温137℃まで順次昇温したが、分離した反応マスの様子に変化はなかった。また、反応マスが分離している為、撹拌軸の周囲のみが回転し、均一に撹拌できなくなった。
その後、反応マスが均一に撹拌されない状態のまま、常圧下、内温140〜142℃でMIBKを留去した後、内温140〜150℃に保ったまま16kPaまで減圧とすることによりMIBKをさらに留去し、不均一な、黄色のノボラック型共縮合物366gを得た。得られたノボラック型共縮合物(できるだけ均一な個所をサンプリングした)の物性等を以下表4に示す。
<比較例2>
還流冷却器および温度計を備えた四つ口セパラブルフラスコに、比較例1で得られた共縮合物120.0g、軟化剤としてステアリン酸(日油株式会社製 ビーズ ステアリン酸 つばき(常温で固体)30.0gを順に加えた。その後、内温145℃まで昇温し、内温140〜150℃で保温しながら1時間攪拌したが、一部が分離した状態であった。一部が分離した状態のまま内容物をバットへ取り出し冷却したところ、共縮合物とステアリン酸とが不均一に混合した固体(樹脂組成物)147.9gを得た。得られた不均一な樹脂組成物の物性等を以下表5に示す。
<比較例3>
還流冷却器および温度計を備えた四つ口セパラブルフラスコに、純度37%のホルマリン180.0g(2.22mol)、p−tert−ブチルフェノール180.0g(1.20mol)を順に加えた。その後、内温40℃まで昇温し、24%水酸化ナトリウム水溶液160.0g(0.96mol)を添加し、発熱が収まるまで攪拌した。発熱が収まったのを確認した後、内温55℃まで昇温し、同温度にて1時間反応した。反応混合物をGPCにて分析した所、レゾール型縮合物の分子量は、Mw=254、Mn=237であった。次いで、内温65℃まで昇温し、同温度で1.5時間反応した。反応後のレゾール型縮合物の分子量はMw=284、Mn=273であった。
反応終了後、トルエン135.0g、30%硫酸142.0g(0.435mol)、シュウ酸二水和物6.05g(0.048mol)を加え0.1時間撹拌後静置し、下層の水層を除去した。四つ口セパラブルフラスコ内のレゾール型縮合物は、421g(純分68%)であった。
続いて、レゾルシン224.4g(2.04mol)を加え、内温100℃まで昇温し、微減圧(92kPa)とした後、100℃〜117℃で1時間還流脱水をしながら反応を行った。その後、更に内温115℃で還流脱水を継続したところ、反応マスの粘度が上昇し始め、0.5時間後には反応マスが膨潤し、無色透明の溶液部と、黄色の膨潤した樹脂部とに分離した状態となった。そこでトルエン135.0gを追加し、樹脂部の溶解を試みたが、溶解しなかった。
続いて、窒素で復圧し、内温137℃まで順次昇温したが、分離した反応マスの様子に変化はなかった。また、反応マスが分離している為、撹拌軸の周囲のみが回転し、均一に撹拌できなくなった。
その後、反応マスが均一に撹拌されない状態のまま、常圧下、内温140〜142℃でトルエンを留去した後、内温140〜150℃に保ったまま16kPaまで減圧とすることによりトルエンをさらに留去し、不均一な、黄色のノボラック型共縮合物448gを得た。得られたノボラック型共縮合物(できるだけ均一な個所をサンプリングした)の物性等を以下表4に示す。
<比較例4>
還流冷却器および温度計を備えた四つ口セパラブルフラスコに、純度37%のホルマリン180.0g(2.22mol)、p−tert−ブチルフェノール144.0g(0.96mol)、o−tert−ブチルフェノール36.0g(0.24mol)を順に加えた。その後、内温40℃まで昇温し、24%水酸化ナトリウム水溶液80.0g(0.48mol)を添加し、発熱が収まるまで攪拌した。発熱が収まったのを確認した後、内温55℃まで昇温し、同温度にて6時間反応した。反応混合物をGPCにて分析した所、レゾール型縮合物の分子量はMw=310、Mn=286であった。
反応終了後、MIBK135.0g、30%硫酸72.0g(0.220mol)、シュウ酸二水和物3.02g(0.024mol)を加え0.1時間撹拌後静置し、下層の水層を除去した。四つ口セパラブルフラスコ内のレゾール型縮合物は、383g(純分65%)であった。
続いて、レゾルシン198.0g(1.80mol)を加え、内温100℃まで昇温し、微減圧(92kPa)とした後、100℃〜115℃で1.5時間還流脱水をしながら反応を行った。その後、更に内温115〜120℃で還流脱水を継続したところ、反応マスの粘度が上昇し始め、0.5時間後には反応マスが膨潤し、無色透明の溶液部と、黄色の膨潤した樹脂部とに分離した状態となった。
続いて、窒素で復圧し、内温141℃まで順次昇温したが、分離した反応マスの様子に変化はなかった。また、反応マスが分離している為、撹拌軸の周囲のみが回転し、均一に撹拌できなくなった。
その後、反応マスが均一に撹拌されない状態のまま、常圧下、内温142〜144℃でMIBKを留去した後、内温140〜150℃に保ったまま16kPaまで減圧とすることによりMIBKをさらに留去し、不均一な、黄色のノボラック型共縮合物406gを得た。得られたノボラック型共縮合物(できるだけ均一な個所をサンプリングした)の物性等を以下表4に示す。
<比較例5>
還流冷却器および温度計を備えた四つ口セパラブルフラスコに、純度37%のホルマリン180.0g(2.22mol)、p−tert−ブチルフェノール121.5g(0.81mol)、o−フェニルフェノール66.3g(0.39mol)を順に加えた。その後、内温40℃まで昇温し、24%水酸化ナトリウム水溶液60.0g(0.36mol)を添加し、発熱が収まるまで攪拌した。発熱が収まったのを確認した後、内温65℃まで昇温し、同温度にて3時間反応した。反応混合物の分子量は、Mw=445、Mn=371であった。反応終了後、トルエン135.0g、30%硫酸53.0g(0.16mol)、シュウ酸二水和物2.40g(0.019mol)を加え0.1時間撹拌後静置し、下層の水層を除去した。四つ口セパラブルフラスコ内のレゾール型縮合物は、383g(純分66%)であった。
続いて、レゾルシン171.6g(1.56mol)を加え、内温106℃まで昇温し、微減圧(92kPa)とした後、106℃〜119℃で2時間還流脱水をしながら反応を行った。その後、更に内温115〜120℃で還流脱水を継続したところ、反応マスの粘度が上昇し始め、0.5時間後には反応マスが膨潤し、無色透明の溶液部と、黄色の膨潤した樹脂部とに分離した状態となった。
続いて、窒素で復圧し、内温132℃まで順次昇温したが、分離した反応マスの様子に変化はなかった。また、反応マスが分離している為、撹拌軸の周囲のみが回転し、均一に撹拌できなくなった。
その後、反応マスが均一に撹拌されない状態のまま、常圧下、内温132〜144℃でトルエンを留去した後、内温140〜150℃に保ったまま16kPaまで減圧とすることによりトルエンをさらに留去し、不均一な、黄色のノボラック型共縮合物330gを得た。得られたノボラック型共縮合物(できるだけ均一な個所をサンプリングした)の物性等を以下表4に示す。
<比較例6>
還流冷却器および温度計を備えた四つ口セパラブルフラスコに、純度37%のホルマリン180.0g(2.22mol)、p−tert−ブチルフェノール176.4g(1.18mol)、o−フェニルフェノール4.3g(0.03mol)を順に加えた。その後、内温40℃まで昇温し、24%水酸化ナトリウム水溶液80.0g(0.48mol)を添加し、発熱が収まるまで攪拌した。発熱が収まったのを確認した後、内温65℃まで昇温し、同温度にて1時間撹拌した。反応混合物をGPCにて分析した所、レゾール型縮合物の分子量は、Mw=251、Mn=233であった。次いで、内温82℃まで昇温し、同温度で2時間反応した。反応後のレゾール型縮合物の分子量はMw=409、Mn=355であった。
反応終了後、トルエン135.0g、30%硫酸72.0g(0.220mol)、シュウ酸二水和物3.02g(0.024mol)を加え0.1時間撹拌後静置し、下層の水層を除去した。四つ口セパラブルフラスコ内のレゾール型縮合物は、399g(純分66%)であった。続いて、前記混合操作後の反応混合物を再度加熱し、内温82℃で4時間保温した。保温後のレゾール型縮合物の分子量はMw=1085、Mn=649であった。
続いて、レゾルシン92.4g(0.84mol))を加え、内温106℃まで昇温し、微減圧(92kPa)とした後、106〜113℃で2時間還流脱水をしながら反応を行った。その後、更に内温115℃で還流脱水を継続したところ、反応マスの粘度が上昇し始め、0.5時間後には反応マスが膨潤し、無色透明の溶液部と、黄色の膨潤した樹脂部とに分離した状態となった。
続いて、窒素で復圧し、内温132℃まで順次昇温したが、分離した反応マスの様子に変化はなかった。また、反応マスが分離している為、撹拌軸の周囲のみが回転し、均一に撹拌できなくなった。
その後、反応マスが均一に撹拌されない状態のまま、常圧下、内温140〜142℃でトルエンを留去した後、内温140〜150℃に保ったまま16kPaまで減圧とすることによりトルエンをさらに留去し、不均一な、黄色のノボラック型共縮合物343gを得た。得られたノボラック型共縮合物(できるだけ均一な個所をサンプリングした)の物性等を以下表4に示す。
<比較例7>
還流冷却器および温度計を備えた四つ口セパラブルフラスコに、参考例1で得られた共縮合物120.0g、軟化剤としてステアリン酸(日油株式会社製 ビーズ ステアリン酸 つばき(常温で固体)30.0gを順に加えた。その後、内温145℃まで昇温し、内温140〜150℃で保温しながら1時間攪拌したが、一部が分離した状態であった。一部が分離した状態のまま内容物をバットへ取り出し冷却したところ、共縮合物とステアリン酸とが不均一に混合した固体(樹脂組成物)149.3gを得た。得られた不均一な樹脂組成物の物性等を以下表5に示す。
以下表1及び2に上述した各実施例の詳細条件を、表3及び4に各実施例等で得られた共縮合物の物性等を、表5に各実施例等で得られた樹脂組成物の物性等を示す。
なお、以下各表において各成分の含量は各オリゴマー成分を除き重量基準(重量%)の値であり、オリゴマー成分は面積百分率値である。PTBP由来の構成単位は全フェノール類(レゾルシンを除く)由来の構成単位に対するp−tert−ブチルフェノール由来の構成単位(mol%)であり、レゾルシン由来の構成単位は、全フェノール類(レゾルシンを除く)由来の構成単位に対するレゾルシン由来の構成単位(mol%)である。
また、以下各表における略称の意味は以下の通りである。
RES:レゾルシン
PTBP:p−tert−ブチルフェノール
OPP:o−フェニルフェノール
OTBP:o−tert−ブチルフェノール
PPP:p−フェニルフェノール
MIBK:メチルイソブチルケトン
オリゴマー1:ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法におけるピークトップ分子量が700〜520の成分の含量
オリゴマー2:ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法におけるピークトップ分子量が430〜320の成分の含量
ピークトップ:各共縮合物に含まれるオリゴマー成分として検出したピークのピークトップ値(分子量)。
以下表1及び2における反応マス性状の評価基準は以下の通りである。
反応マス性状
・工程(3)において反応マスが膨潤、分離等せず撹拌継続が可能であった:良好
・工程(3)において反応マスが膨潤、分離等し、撹拌が困難/不可であった:不良
以下表5における共縮合物と軟化剤との相溶性(表5における「樹脂の相溶性」)の評価基準は以下の通りである。
共縮合物と軟化剤との相溶性が良好であり、室温(25℃)で固体である均一な樹脂組成物が得られた。樹脂組成物は濁りや白濁が無い:良好
共縮合物と軟化剤の相溶性が悪く、室温(25℃)で固体の均一な樹脂組成物が得られなかった。樹脂組成物は不透明で、濁りや白濁などがまばらに存在する:不良
Figure 0006833290
Figure 0006833290
Figure 0006833290
Figure 0006833290
Figure 0006833290
2.共縮合物及び樹脂組成物の吸湿性・ブロッキング性及び臭気の評価
(1)吸湿性・ブロッキング性の評価
実施例16、参考例1及び参考例2で製造した共縮合物、並びに実施例3及び実施例19で製造した樹脂組成物、並びに市販品の樹脂接着剤であるSUMIKANOL620(田岡化学工業株式会社製、以下SKL620と称することもある)をPE製のキャップ(皿状)の上に入れ、各キャップをアルミトレイに並べた状態で、40℃90%RHの恒温恒湿槽に静置し、下記表6に示す時間が経過した後、各試料の重量増加率、及び外観を下記基準にて評価を行った。各結果を以下表6に示す。
○:共縮合物または樹脂組成物の粒同士の互着がなく、初期の外観を維持していた。
△:共縮合物または樹脂組成物の粒の互着が、部分的に発生し、一部で塊が存在した。
×:共縮合物または樹脂組成物の粒が全体的に互着し、一体化した。
××:共縮合物または樹脂組成物の粒が全体的に互着し、かつ溶融して境界が消失した。
Figure 0006833290
上記表6に示す通り、市販品のSKL620及び公知の方法で製造された参考例1及び参考例2で得られた共縮合物は吸湿性があり、また、耐ブロッキング性も低い一方、本発明の方法にて製造された共縮合物及び樹脂組成物は吸湿性が低く、また、耐ブロッキング性にも優れることが判明した。
(2)臭気の評価
実施例6及び16で製造した共縮合物、並びに実施例3及び実施例19で製造した樹脂組成物、並びにSKL620を粉砕し、15gポリスチレン製瓶に入れ試験試料とした。得られた試験試料を、中身を伏せた状態で6人の判定者に臭いを嗅いでもらい、臭気を判定した。なお、臭気は下記基準にて評価を行った。評価結果を以下表7に示す。また、併せて共縮合物又は樹脂組成物の褐色着色の有無及び波長610nmにおける分光透過率を以下表7に記載する。
臭気強度:0(無臭)〜5(強烈な匂い)
快不快度:+4(快)〜−4(不快)
改善度:SKL620を基準とした平均値の改善率
Figure 0006833290
上記表7に示す通り、本発明の共縮合物及び樹脂組成物は市販品のSKL620と比べて臭気が改善されていることが判明した。特に、分光透過率(波長610nm)が80%以上である共縮合物及び樹脂組成物はその臭気が大幅に改善されることが判明した。
3.上記実施例で得られた共縮合物及び樹脂組成物を用いたゴム組成物の製造例及び物性評価
(1)上記実施例で得られた共縮合物及び樹脂組成物を含む未加硫ゴム組成物の製造
樹脂接着剤として、実施例6及び実施例11で製造した共縮合物、並びに実施例3、実施例9、実施例14、実施例15及び実施例19で製造した樹脂組成物を含む未加硫ゴム組成物を下記する方法により製造した。併せて、SKL620及び参考例1で得られた共縮合物を含む未加硫ゴム組成物、及び樹脂接着剤を含まない未加硫ゴム組成物を下記する方法により製造した。
<未加硫ゴム組成物の製造方法>
以下表8に示す配合に従い、まず、トーシン製加圧式ニーダーで不溶性硫黄、加硫促進剤およびメチレンドナーを除く成分および、樹脂接着剤を添加混合し160℃に達した時点で排出した。次いで、得られた混合物に、60℃に保温した関西ロール株式会社製6インチオープンロールで不溶性硫黄、加硫促進剤およびメチレンドナーを添加混合することにより、未加硫ゴム組成物を製造した。
なお、以下表8中の数値は重量部を表す。また以下表8中の各成分の詳細は以下の通りである。
・天然ゴム:SMR−CV60
・カーボンブラック:東海カーボン株式会社製「シースト300」(HAF−LSグレード)
・亜鉛華:正同化学工業(株)亜鉛華2種
・老化防止剤:松原産業株式会社製「Antioxidant FR」
・コバルト塩:ステアリン酸コバルト(試薬)
・不溶性硫黄:フレキシス社製「クリステックスHS OT−20」
・加硫促進剤:N,N−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(試薬)
・メチレンドナー:バラケミカル社製「スミカノール507AP」
Figure 0006833290
(2)未加硫ゴム組成物物性試験および加硫ゴム組成物物性試験
上記の通り得られた未加硫ゴム組成物を用いて、ムーニー粘度試験(JIS K 6300−1:2001準拠、130℃で測定)およびレオメーター試験(JIS K 6300−2:2001準拠、160℃で測定)を実施した。
また、未加硫試料を作製後室温にて24時間放置した後、160℃、6MPaで加圧下、t90+5分の条件で加硫し、2mm厚の加硫ゴムシートを調製した。ついで、その加硫ゴムシートから作製したゴム試験片を用い、引張試験(JIS K 6251:2010準拠、25℃で測定)、硬度の測定(JIS K 6253:2006準拠、25℃で測定)、および粘弾性の測定を実施した。粘弾性は、以下の条件にて測定した。
粘弾性装置 エスアイアイナノテクノロジー株式会社製 DMS6100
条件:温度40℃〜80℃(昇温速度:2℃/分) 動的歪0.2%、周波数10Hz
試験片:長辺50mm×短辺5mm×厚さ2mm
上記したゴム物性試験結果につき、樹脂接着剤を添加していないゴム組成物の各物性値(比較例8)を100とした際のそれぞれの物性値(相対値)を表9に示す。
Figure 0006833290
上記表9に示す通り、本発明の共縮合物及び樹脂組成物を配合したゴム組成物は、樹脂接着剤未添加のゴム組成物(比較例8)よりも各物性の向上が確認され、公知の樹脂接着剤「SUMIKANOL620」及び参考例1で得られた共縮合物を配合したゴム組成物と同等以上の性能を示すことが判明した。
(3)加硫ゴム組成物の初期接着性及び湿熱接着性
上記の通り得られた各未加硫ゴム組成物を用いて、ゴム−スチールコード複合体の試料を作製した。詳細には、真鍮メッキスチールコード(直径約0.8ミリ,3×0.20+6×0.35mm構造、銅/亜鉛=64/36(重量比)の真鍮めっき)を1本/10mmの間隔で5本を配列したものの両面を、上記各未加硫ゴム組成物からなる約2ミリ厚の未加硫ゴムシートを用いて被覆し、このコードを平行になるように積層した剥離接着試験用の未加硫試料を作製した。得られた未加硫試料を用いて、初期接着性と湿熱接着性を下記方法により評価した。
<初期接着性>
上記未加硫試料を作製し、室温にて24時間放置した後、160℃、6MPaで加圧下、t90+5分の条件で加硫し、5本のスチールコードを1cm挟んだ1cm×1cm×6cmの直方体のゴム片を得た。本ゴム片を島津製作所(株)製オートグラフ「AGC−X」を用いて1本毎にスチールコードの引抜試験を行い、100ミリ/分で垂直方向に引き抜く際の応力をゴム引抜応力(kgf)として測定した。また、引抜後のスチールコードのゴム被覆率を目視にて観察し、0〜100%で評価した。測定、評価はN=10(本)で実施し、平均値を求めた。結果を以下表10に示す。
<湿熱接着性(湿熱老化後の接着性)>
上記未加硫試料を作製し、初期接着性評価と同様の手順で加硫したゴム片を試験片とし、該試験片を80℃×95%RHの蒸気内で7日間、14日間、21日間放置した後、上記初期接着性と同様の引抜試験を行い、引抜後のスチールコードのゴム被覆率を目視にて観察し、0〜100%で評価した。測定、評価はN=10(本)で実施し、平均値を求めた。結果を以下表10示す。なお、以下表10における引抜強度変化率とは、初期値(0日、湿熱老化前)の引張強度を100とした場合の変化率(湿熱老化後の引張強度/湿熱老化前の引張強度×100)である。
Figure 0006833290
上記表10に示す通り、本発明の共縮合物及び樹脂組成物を配合したゴム組成物は、樹脂接着剤未添加のゴム組成物(比較例8)と比較してゴム−スチールコード接着力が大きく改善し、公知の樹脂接着剤「SUMIKANOL620」及び参考例1で得られた共縮合物を配合したゴム組成物と同等以上の性能を示すことが判明した。

Claims (12)

  1. ノボラック型共縮合物の製造方法であって、
    前記ノボラック型共縮合物は、下記一般式(i):
    Figure 0006833290
    (Rは分岐を有してもよい炭素数1〜12のアルキル基又はフェニル基を表す。)
    で表される1種又は2種以上のフェノール類、ホルムアルデヒド及びレゾルシン由来の構成単位を含み、
    前記フェノール類由来の構成単位は、p−tert−ブチルフェノール由来の構成単位を65モル%以上含み、
    前記製造方法は、下記工程(1)、(2)及び(3)をこの順で含む製造方法。
    (1)前記フェノール類1モルに対して0.05モル以上の塩基存在下、前記フェノール類とホルムアルデヒドとを75℃以上で反応させ、ゲルパーミエーションクロマトグラフ法における数平均分子量が600以上のレゾール型縮合物を得る工程。
    (2)前記工程(1)で得られたレゾール型縮合物を含む反応液と、前記工程(1)で用いた塩基に対して当量以上の酸とを混合させる工程。
    (3)前記レゾール型縮合物と、前記フェノール類1モルに対して0.5〜1.2モルのレゾルシンとを反応させる工程。
  2. 前記レゾルシンの使用量が、前記フェノール類1モルに対して0.5〜0.8モルである、請求項1に記載のノボラック型共縮合物の製造方法。
  3. 前記工程(1)で使用する塩基の使用量が、前記フェノール類1モルに対して0.05〜0.25モルである、請求項1又は2に記載のノボラック型共縮合物の製造方法。
  4. 下記(a)〜(e)のすべてを満たすノボラック型共縮合物。
    (a)下記一般式(i):
    Figure 0006833290
    (Rは分岐を有してもよい炭素数1〜12のアルキル基又はフェニル基を表す。)
    で表される1種又は2種以上のフェノール類、ホルムアルデヒド及びレゾルシン由来の構成単位を含む。
    (b)前記フェノール類由来の構成単位は、p−tert−ブチルフェノール由来の構成単位を65モル%以上含む。
    (c)ゲルパーミエーションクロマトグラフ法における数平均分子量が750以上。
    (d)軟化点が80〜150℃。
    (e)前記フェノール類由来の構成単位1モルに対してレゾルシン由来の構成単位を0.30〜0.80モル含む
  5. 下記(f)をさらに満たす、請求項4に記載のノボラック型共縮合物。
    (f)ゲルパーミエーションクロマトグラフ法におけるピークトップ分子量が700〜520の成分を面積百分率で1〜10%含み、ピークトップ分子量が430〜320の成分を面積百分率で0.01〜2%含む。
  6. ノボラック型共縮合物2.0gをテトラヒドロフラン20mLに溶解させた溶液の波長610nmにおける分光透過率が80%以上である、請求項4又は5に記載のノボラック型共縮合物。
  7. 請求項4〜6のいずれか一項に記載のノボラック型共縮合物と軟化剤とを含有する樹脂組成物。
  8. 前記軟化剤が炭素数8〜32の脂肪酸類である、請求項7に記載の樹脂組成物。
  9. 前記軟化剤がカシューナッツシェル液である、請求項7に記載の樹脂組成物。
  10. 樹脂組成物中の前記軟化剤の含有量が5〜40重量%である、請求項7〜9のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  11. 樹脂組成物2.0gをテトラヒドロフラン20mLに溶解させた溶液の波長610nmにおける分光透過率が80%以上である、請求項7〜10のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  12. 請求項4〜6のいずれか一項に記載のノボラック型共縮合物、又は請求項7〜11のいずれか一項に記載の樹脂組成物と、ゴム成分とを含むゴム組成物。
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