JP2014152220A - 共縮合物およびそれを含有するゴム組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】補強材で補強するゴム製品の分野に用いられる接着剤用の共縮合物であり、原料のアルキルフェノール類としてp−tert−ブチルフェノールを用いた共縮合物であって、共縮合物中の残存溶媒及び水分が少なく、混練時にゴムに効率よく分散する共縮合物の提供。
【解決手段】塩基存在下、p−tert−ブチルフェノールとホルムアルデヒドとを反応させて得られるレゾール型縮合物にレゾルシンを反応させる際、従来一般的に行われていた、前記レゾール型縮合物を得る際に使用した塩基を、当量以上の酸を使用し完全に中和してからレゾルシンを反応させるのではなく、全く中和を行わないか、中和を行う際も塩基を完全に中和することなくレゾール型縮合物とレゾルシンを反応させることにより前記課題が解決可能であることを見出した。
【選択図】なし
【解決手段】塩基存在下、p−tert−ブチルフェノールとホルムアルデヒドとを反応させて得られるレゾール型縮合物にレゾルシンを反応させる際、従来一般的に行われていた、前記レゾール型縮合物を得る際に使用した塩基を、当量以上の酸を使用し完全に中和してからレゾルシンを反応させるのではなく、全く中和を行わないか、中和を行う際も塩基を完全に中和することなくレゾール型縮合物とレゾルシンを反応させることにより前記課題が解決可能であることを見出した。
【選択図】なし
Description
本発明は、アルキルフェノール等から得られる共縮合物、当該共縮合物を用いたゴム組成物および当該共縮合物の製造方法に関する。
タイヤ、ベルト、ホースなどのように、スチールコード類や有機繊維類等の補強材で補強する必要のあるゴム製品においては、ゴムと補強材との強固な接着が求められている。ゴムとの接着を行うため、補強材を種々の接着剤で処理する方法や、ゴムの加工工程において接着剤を他の各種配合剤とともに配合する方法が知られている。これらの中でも、ゴムの加工工程において接着剤を配合する方法は、補強材の接着剤処理の有無に関わらず、強固に加硫接着することが可能であるため広く採用されている。このようなゴムの加工工程において使用される接着剤として、p−tert−オクチルフェノールやp−ノニルフェノール等のアルキルフェノールとホルマリン類を反応させ共縮合物を得、その共縮合物にレゾルシンを反応させた共縮合物が知られている。(例えば特許文献1)。
しかしながら、p−tert−オクチルフェノールやp−ノニルフェノールは昨今、EU域内の規制であるREACH規則に定められるSVHCの候補物質とされ、EU域内においてその使用が今後制限される可能性が高くなっている。
そこで発明者らはREACH規則に定められるSVHCの候補物質にリストされていないp置換フェノール類の一つで安価に入手可能なp−tert−ブチルフェノールに置き換え前記共縮合物を製造した所、その軟化点が非常に高いことを確認した。一般的にゴムの混練は150〜190℃程度で実施されるため、このような接着剤として用いられる共縮合物は、この温度で効率よく分散することが求められ、共縮合物の軟化点がこの温度より高い場合分散性不良の原因となる。軟化点が高い場合、共縮合物中の残存溶媒量を多くすることにより軟化点を低下させることが可能であるが、昨今、環境問題の側面から、揮発性有機物であるこの残存溶媒量を低減させることが求められており、共縮合物に不揮発性のオイルを配合させる等、他の方法で共縮合物の軟化点を低下させる検討が成されている。また、残存溶媒の代わりに多量の水分を残すことで軟化点を低下させることも可能であるが、水分が多い場合、保存中に樹脂が溶融固着(所謂ブロッキング)してしまうといった問題がある。
本発明は、補強材で補強するゴム製品の分野に用いられる接着剤用の共縮合物であり、原料のアルキルフェノール類としてp−tert−ブチルフェノールを用いた共縮合物であって、共縮合物中の残存溶媒及び水分が少なく、混練時にゴムに効率よく分散する共縮合物を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、塩基存在下、p−tert−ブチルフェノールとホルムアルデヒドとを反応させて得られるレゾール型縮合物にレゾルシンを反応させる際、従来一般的に行われていた、前記レゾール型縮合物を得る際に使用した塩基を、当量以上の酸を使用し完全に中和してからレゾルシンを反応させるのではなく、全く中和を行わないか、中和を行う際も塩基を完全に中和することなくレゾール型縮合物とレゾルシンを反応させることにより、多量の残存溶媒または水分を存在させなくても共縮合物の軟化点が大幅に低下することを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には下記〔1〕〜〔3〕記載の発明を含む。
〔1〕p−tert−ブチルフェノールとホルムアルデヒドとを反応させて得られるレゾール型縮合物とレゾルシンとを反応させて得られる共縮合物であって、共縮合物中の残存溶媒及び水分がそれぞれ2重量%以下、軟化点が80℃以上190℃以下であることを特徴とする共縮合物。
〔2〕〔1〕に記載の共縮合物を含むことを特徴とするゴム組成物。
〔3〕p−tert−ブチルフェノールとホルムアルデヒドとを反応させて得られるレゾール型縮合物とレゾルシンとを反応さて共縮合物を得る製造法において、以下(1)及び(2)の工程を含むことを特徴とする請求項1記載の共縮合物の製造方法。
(1)塩基存在下、p−tert−ブチルフェノールとホルムアルデヒドとを反応させレゾール型縮合物を得る工程。
(2)前記工程で使用した塩基を中和しないか、当量未満の酸で中和した後、レゾール型縮合物とレゾルシンとを反応させて共縮合物を得る工程。
〔1〕p−tert−ブチルフェノールとホルムアルデヒドとを反応させて得られるレゾール型縮合物とレゾルシンとを反応させて得られる共縮合物であって、共縮合物中の残存溶媒及び水分がそれぞれ2重量%以下、軟化点が80℃以上190℃以下であることを特徴とする共縮合物。
〔2〕〔1〕に記載の共縮合物を含むことを特徴とするゴム組成物。
〔3〕p−tert−ブチルフェノールとホルムアルデヒドとを反応させて得られるレゾール型縮合物とレゾルシンとを反応さて共縮合物を得る製造法において、以下(1)及び(2)の工程を含むことを特徴とする請求項1記載の共縮合物の製造方法。
(1)塩基存在下、p−tert−ブチルフェノールとホルムアルデヒドとを反応させレゾール型縮合物を得る工程。
(2)前記工程で使用した塩基を中和しないか、当量未満の酸で中和した後、レゾール型縮合物とレゾルシンとを反応させて共縮合物を得る工程。
本発明によれば、原料としてp−tert−ブチルフェノールを使用しても混練時にゴムに効率よく分散し、それを加硫して得られるゴムと補強材との接着を強固にすることが可能であり、法規制により使用が困難となる恐れのあるp−tert−オクチルフェノールやp−ノニルフェノールを原料として使用せず、かつ残存溶媒量が少ないので環境に優しく、水分も少ないので保存中にブロッキングするといった問題が発生しない補強材とゴムとの接着剤として有用である新規な共縮合物及びその製法が提供可能となる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明で用いるホルムアルデヒドとしては、ホルムアルデヒド自体のほか、水溶液であるホルマリン、及びパラホルムアルデヒドやトリオキサンのような、容易にホルムアルデヒドを発生する化合物を使用することができる。ホルムアルデヒドの仕込みモル比は通常限定されないが、p−tert−ブチルフェノールに対し、1〜2倍モルであることが好ましく、その中でも1.1〜1.5倍モルの範囲が特に好ましい。1倍モルより少ない場合、未反応モノマーが多くなり臭気や揮発性有機化合物が増加する懸念がある。また、2倍モルよりも多い場合、ホルムアルデヒドが未反応のまま多く残存するため、樹脂が三次元構造化して軟化点が高くなる懸念がある。
レゾール型縮合物を得る反応は塩基存在下で実施される。使用する塩基としては、アルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物または炭酸塩、アンモニア、アミンのような、通常のレゾール型縮合物を製造する際に用いられるものを使用することができる。アルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物または炭酸塩の具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどが挙げられる。この中でも、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましい。これらのアルカリは固体状のものでも、水溶液状のものでも利用可能であるが、反応性、取扱いの面から水溶液のものを使用することが好ましい。水溶液状のものを使用する場合、その濃度は通常、10重量%〜50重量%のものを使用する。アルカリの仕込みモル比としては通常限定されないが、p−tert−ブチルフェノールに対し、0.03〜0.2倍モルの範囲が好ましい。
レゾール型縮合物を得る反応は、溶媒中で行うことも可能である。使用する溶媒は特に限定されることはなく、水、アルコール、芳香族炭化水素等を用いることが出来る。具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン、モノクロロベンゼンなどが例示される。中でも水、トルエン、キシレンが好ましい。これらの溶媒は単独あるいは2種類以上を併用して用いることも可能である。また、レゾール型縮合物を得る反応は通常、反応温度40〜100℃、1〜8時間で実施される。
レゾール型縮合物とレゾルシンとを反応させる際、前記レゾール型縮合物を得る反応で使用した、レゾール型縮合物に含まれる塩基は中和しないか、必要に応じ中和をすることができるが、その際使用する酸は使用した塩基の当量未満となるようにする。好ましくは中和しないか、使用した塩基に対し0.5当量以下の酸を使用する。当量以上の酸を使用し中和した場合、レゾール型縮合物とレゾルシンとを反応させ得られる共縮合物の軟化点が高くなり、本願所望の効果が発現しない為好ましくない。
レゾール型縮合物とレゾルシンとの縮合反応において、レゾルシンの仕込みモル比は通常限定されないが、p−tert−ブチルフェノールに対し、0.5〜4.0倍モルの範囲であることが好ましく、その中でも0.8〜1.2倍の範囲が特に好ましい。4.0倍モルよりも多い場合、未反応のレゾルシンが多く残存するため揮発性が問題となる懸念がある。0.8倍モルより少ない場合、得られる共縮合物の用途である、補強剤とゴムとの接着剤としての効果が十分に発揮されない懸念がある。
レゾール型縮合物とレゾルシンとの反応は、溶媒中で行うことも可能である。使用する溶媒は特に限定されることはなく、水、アルコール、芳香族炭化水素等を用いることが出来る。具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン、モノクロロベンゼンなどが例示される。中でも水、トルエン、キシレンが好ましい。これらの溶媒は単独あるいは2種類以上を併用して用いることも可能である。また、レゾール型縮合物とレゾルシンとの反応は通常、反応温度40〜150℃、1〜8時間で実施される。
本発明の共縮合物の軟化点は80℃〜190℃の範囲である必要がある。中でも90℃〜160℃であること好ましい。80℃より低いと保存中にブロッキングしてしまう懸念があり、190℃より高いとゴム成分と混練するときに分散不良となる懸念がある。
本発明の共縮合物に含まれる残存溶媒及び水分は2重量%以下とする。残存溶媒が2重量%より多い場合、残存溶媒が揮発性有機物として環境に影響を及ぼす恐れがあり、水分が2重量%より多い場合、共縮合物が保存中にブロッキングを起す恐れがある。
本発明の共縮合物を含むことを特徴とするゴム組成物は上記の如く製造され、上記の条件を満たす共縮合物とゴム成分と充填剤とイオウとを混練して得られる。これらとともに加硫促進剤、酸化亜鉛、ホルムアルデヒド発生剤や有機コバルト化合物を混練することが好ましい。
上記の共縮合物の使用量は特に限定されるものではないが、通常はゴム成分100重量部あたり0.5〜10重量部の範囲で用いられる。中でも1〜5重量部の範囲が好ましい。0.5重量部より少ない場合補強材とゴムとの接着剤として有用に作用せず、10重量部より多い場合、 前記作用に問題はないが添加量に見合う作用が発現せず経済的に好ましくない。
ゴム成分としては、天然ゴム、エポキシ化天然ゴム、脱蛋白天然ゴムおよびその他の変性天然ゴムのほか、ポリイソプレンゴム(IR)、スチレン・ブタジエン共重合ゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリル・ブタジエン共重合ゴム(NBR)、イソプレン・イソブチレン共重合ゴム(IIR)、エチレン・プロピレン−ジエン共重合ゴム(EPDM)、ハロゲン化ブチルゴム(HR)等の各種の合成ゴムが例示されるが、天然ゴム、スチレン・ブタジエン共重合ゴム、ポリブタジエンゴム等の高不飽和性ゴムが好ましく用いられる。特に好ましくは天然ゴムである。また、天然ゴムとスチレン・ブタジエン共重合ゴムの併用、天然ゴムとポリブタジエンゴムの併用等、数種のゴム成分を組み合わせることも有効である。
天然ゴムの例としては、RSS#1、RSS#3、TSR20、SIR20等のグレードの天然ゴムを挙げることができる。エポキシ化天然ゴムとしては、エポキシ化度10〜60モル%のものが好ましく、例えばクンプーラン ガスリー社製ENR25やENR50が例示できる。脱蛋白天然ゴムとしては、総窒素含有率が0.3重量%以下である脱蛋白天然ゴムが好ましい。変性天然ゴムとしては天然ゴムにあらかじめ4−ビニルピリジン、N,N,−ジアルキルアミノエチルアクリレート(例えばN,N,−ジエチルアミノエチルアクリレート)、2−ヒドロキシアクリレート等を反応させた極性基を含有する変性天然ゴムが好ましく用いられる。
SBRの例としては、日本ゴム協会編「ゴム工業便覧<第四版>」の210〜211頁に記載されている乳化重合SBRおよび溶液重合SBRを挙げることができる。とりわけ溶液重合SBRが好ましく用いられ、更には日本ゼオン社製「ニッポール(登録商標)NS116」等の4,4’−ビス−(ジアルキルアミノ)ベンゾフェノンを用いて分子末端を変性した溶液重合SBR、JSR社製「SL574」等のハロゲン化スズ化合物を用いて分子末端を変性した溶液重合SBR、旭化成社製「E10」、「E15」等シラン変性溶液重合SBRの市販品や、ラクタム化合物、アミド化合物、尿素系化合物、N,N−ジアルキルアクリルアミド化合物、イソシアネート化合物、イミド化合物、アルコキシ基を有するシラン化合物(トリアルコキシシラン化合物等)、アミノシラン化合物のいずれかを単独で用いて、または、スズ化合物とアルコキシ基を有するシラン化合物や、アルキルアクリルアミド化合物とアルコキシ基を有するシラン化合物等、前記記載の異なった複数の化合物を2種以上用いて、それぞれ分子末端を変性して得られる分子末端に窒素、スズ、ケイ素のいずれか、またはそれら複数の元素を有する溶液重合SBRが、特に好ましく用いられる。
BRの例としては、シス1,4結合が90%以上の高シスBRやシス結合が35%前後の低シスBR等の溶液重合BRが例示され、高ビニル含量の低シスBRは好ましく用いられる。更には日本ゼオン製「Nipol(登録商標)BR 1250H」等スズ変性BRや、4,4‘−ビス−(ジアルキルアミノ)ベンゾフェノン、ハロゲン化スズ化合物、ラクタム化合物、アミド化合物、尿素系化合物、N,N−ジアルキルアクリルアミド化合物、イソシアネート化合物、イミド化合物、アルコキシ基を有するシラン化合物(トリアルコキシシラン化合物等)、アミノシラン化合物のいずれかを単独で用いて、または、スズ化合物とアルコキシ基を有するシラン化合物や、アルキルアクリルアミド化合物とアルコキシ基を有するシラン化合物等、前記記載の異なった複数の化合物を2種以上用いて、それぞれ分子末端を変性して得られる分子末端に窒素、スズ、ケイ素のいずれか、またはそれら複数の元素を有する溶液重合BRが、特に好ましく用いられる。これらBRは通常は天然ゴムとのブレンドで使用される。
ゴム成分としては天然ゴムが好ましく、ゴム成分に占める天然ゴムの割合は70重量%以上であることが好ましい。
充填剤としては、ゴム分野で通常使用されているカーボンブラック、シリカ、タルク、クレイ、水酸化アルミニウム、酸化チタン等が例示されるが、カーボンブラック及びシリカが好ましく用いられ、更にはカーボンブラックが特に好ましく使用される。カーボンブラックとしては、例えば、日本ゴム協会編「ゴム工業便覧<第四版>」の494頁に記載されるものが挙げられ、HAF(High Abrasion Furnace)、SAF(Super Abrasion Furnace)、ISAF(Intermediate SAF)、FEF(Fast Extrusion Furnace)、MAF、GPF(General Purpose Furnace)、SRF(Semi−Reinforcing Furnace)等のカーボンブラックが好ましい。タイヤトレッド用ゴム組成物にはCTAB表面積40〜250m2/g、窒素吸着比表面積20〜200m2/g、粒子径10〜50nmのカーボンブラックが好ましく用いられ、CTAB表面積70〜180m2/gであるカーボンブラックが更に好ましく、その例としてはASTMの規格において、N110、N220、N234、N299、N326、N330、N330T、N339、N343、N351等である。またカーボンブラックの表面にシリカを0.1〜50重量%付着させた表面処理カーボンブラックも好ましい。更には、カーボンブラックとシリカの併用等、数種の充填剤を組み合わせることも有効である。
シリカとしては、CTAB比表面積50〜180m2/gや、窒素吸着比表面積50〜300m2/gのシリカが例示され、東ソー・シリカ(株)社製「AQ」、「AQ−N」、デグッサ社製「ウルトラジル(登録商標)VN3」、「ウルトラジル(登録商標)360」、「ウルトラジル(登録商標)7000」、ローディア社製「ゼオシル(登録商標)115GR」、「ゼオシル(登録商標)1115MP」、「ゼオシル(登録商標)1205MP」、「ゼオシル(登録商標)Z85MP」、日本シリカ社製「ニップシール(登録商標)AQ」等の市販品が好ましく用いられる。また通常充填剤としてシリカを用いる場合にはビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(デグッサ社製「Si−69」)、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド(デグッサ社製「Si−75」)、ビス(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)ジスルフィド、オクタンチオ酸S−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]エステル(ジェネラルエレクトロニックシリコンズ社製「NXTシラン」)からなる群から選択される1種以上のシランカップリング剤等、シリカと結合可能なケイ素等の元素またはアルコシキシラン等の官能基を有する化合物を添加することが好ましい。
水酸化アルミニウムとしては、窒素吸着比表面積5〜250m2/g、DOP給油量50〜100ml/100gの水酸化アルミニウムが例示される。
かかる充填剤の使用量は特に限定されるものではないが、ゴム成分100重量部あたり10〜120重量部の範囲が好ましい。特に好ましいのは30〜70重量部である。
充填剤としてはカーボンブラックが好ましく、充填剤に占めるカーボンブラックの割合は70重量%以上であることが好ましい。
硫黄成分としては、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、及び高分散性硫黄等が挙げられる。通常は粉末硫黄が好ましく、タイヤのベルト用部材等の硫黄量が多いタイヤ部材に用いる場合には不溶性硫黄が好ましい。硫黄成分の使用量は特に限定されるものではないが、ゴム成分100重量部あたり1〜10重量部の範囲が好ましい。タイヤのベルト用部材等では5〜10重量部の範囲が好ましい。
加硫促進剤の例としては、ゴム工業便覧<第四版>(平成6年1月20日社団法人 日本ゴム協会発行)の412〜413ページに記載されているチアゾール系加硫促進剤、スルフェンアミド系加硫促進剤、グアニジン系加硫促進剤が挙げられる。
具体的には、例えば、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(BBS)、N,N−ジシクロへキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(DCBS)、2−メルカプトベンゾチアゾール(MBT)、ジベンゾチアジルジスルフィド(MBTS)、ジフェニルグアニジン(DPG)が挙げられる。中でも、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(BBS)、N,N−ジシクロへキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(DCBS)、またはジベンゾチアジルジスルフィド(MBTS)とジフェニルグアニジン(DPG)とを併用することが好ましい。
加硫促進剤の使用量は特に限定されるものではないが、ゴム成分100重量部あたり0.5〜3重量部の範囲が好ましい。中でも0.5〜1.2重量部の範囲が特に好ましい。
酸化亜鉛の使用量は特に限定されるものではないが、ゴム成分100重量部あたり3〜15重量部の範囲が好ましい。中でも5〜10重量部の範囲が特に好ましい。
ホルムアルデヒド発生剤としては、ヘキサメチレンテトラミン、ヘキサキス(メトキシメチル)メラミン、ペンタキス(メトキシメチル)メチロールメラミン、テトラキス(メトキシメチル)ジメチロールメラミン等のゴム工業において通常使用されているものを挙げることができる。中でもヘキサキス(メトキシメチル)メラミン単独又はそれを主成分とする混合物が好ましい。これらのホルムアルデヒド発生剤は、それぞれ単独で、又は組み合わせて用いることができ、その配合量は前記ゴム成分100重量部に対し、0.5〜4重量部程度の範囲が好ましく、1〜3重量部程度の範囲がより好ましい。
有機コバルト化合物としては、例えば、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸コバルト等の酸コバルト塩や、脂肪酸コバルト・ホウ素錯体化合物(例えば、商品名「マノボンドC(登録商標)」:ローディア社製)等が挙げられる。有機コバルト化合物の使用量は、前記ゴム成分100重量部に対し、コバルト含量にして0.05〜0.4重量部の範囲が好ましい。
本発明のゴム組成物は従来よりゴム分野で用いられている各種の配合剤を配合し、混練することも可能である。かかる配合剤としては、例えば、老化防止剤、オイル、リターダー、しゃく解剤、ステアリン酸等が挙げられる。
上記の老化防止剤としては、例えば日本ゴム協会編「ゴム工業便覧<第四版>」の436〜443頁に記載されるものが挙げられる。中でもN−フェニル−N’−1,3−ジメチルブチル−p−フェニレンジアミン(6PPD)、アニリンとアセトンの反応生成物(TMDQ)、ポリ(2,2,4−トリメチル−1,2−)ジヒドロキノリン)(松原産業社製「アンチオキシダントFR」)、合成ワックス(パラフィンワックス等)、植物性ワックスが好ましく用いられる。
上記のオイルとしては、プロセスオイル、植物油脂等が挙げられる。プロセスオイルとしては、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル等が挙げられる。
上記のリターダーとしては、無水フタル酸、安息香酸、サリチル酸、N−ニトロソジフェニルアミン、N−(シクロヘキシルチオ)−フタルイミド(CTP)、スルホンアミド誘導体、ジフェニルウレア、ビス(トリデシル)ペンタエリスリトール−ジホスファイト等が例示され、N−(シクロヘキシルチオ)−フタルイミド(CTP)が好ましく用いられる。
本発明の共縮合物を含むゴム組成物は、例えば以下の方法により得ることが出来る。
(A)充填剤とゴム成分を混練する工程
充填剤とゴム成分の混練はバンバリーミキサー等の密閉式混練装置を用いて行うことが出来る。かかる混練は、通常、発熱を伴い、混練終了時の温度が140℃〜180℃の範囲であることが好ましく、150℃〜170℃の範囲であることがより好ましい。混練時間は5分〜10分程度である。
充填剤とゴム成分の混練はバンバリーミキサー等の密閉式混練装置を用いて行うことが出来る。かかる混練は、通常、発熱を伴い、混練終了時の温度が140℃〜180℃の範囲であることが好ましく、150℃〜170℃の範囲であることがより好ましい。混練時間は5分〜10分程度である。
(B)Aの工程で得た混練物と硫黄成分と加硫促進剤を混練する工程
Aの工程で得た混練物と硫黄成分と加硫促進剤の混練は、例えばバンバリーミキサー等の密閉式混練装置やオープンロールを用いて行うことが出来る。混練終了時の混練物の温度が30℃〜100℃であることが好ましく、60℃〜90℃であることがより好ましい。混練時間は通常5〜10分程度である。
Aの工程で得た混練物と硫黄成分と加硫促進剤の混練は、例えばバンバリーミキサー等の密閉式混練装置やオープンロールを用いて行うことが出来る。混練終了時の混練物の温度が30℃〜100℃であることが好ましく、60℃〜90℃であることがより好ましい。混練時間は通常5〜10分程度である。
本発明の共縮合物、酸化亜鉛、老化防止剤、オイル、脂肪酸類、しゃく解剤は(A)の工程で加えることが好ましい。
リターダーは(B)の工程で加えることが好ましい。
こうして得られた本発明の共縮合物を含むゴム組成物は、特に補強材との加硫接着において有効である。かかる補強材としては、ナイロン、レーヨン、ポリエステル、アラミド等の有機繊維類、真鍮メッキしたスチールコード、亜鉛メッキしたスチールコード等のスチールコード類が例示される。中でも真鍮メッキしたスチールコードとの加硫接着において特に有効である。
本発明の共縮合物を含むゴム組成物を補強材と共に成形し、加硫工程を経ることでゴムと補強材が強固に接着したゴム製品を得ることが出来る。加硫工程は120℃〜180℃で行うことが好ましい。加硫工程は常圧又は加圧下で行われる。
以下、実施例と比較例を示すことで本発明をより具体的に説明する。なお、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
共縮合物の分析および性能評価は以下のようにして行った。
「樹脂の平均分子量の測定」
共縮合物の平均分子量に関しては、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)により、ポリスチレン換算重量平均分子量として算出した。
「樹脂の平均分子量の測定」
共縮合物の平均分子量に関しては、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)により、ポリスチレン換算重量平均分子量として算出した。
「残留溶媒の測定」
残留溶媒量については、以下の条件に基づくガスクロマトグラフィーにより定量を行った。
使用機器 :島津製作所社製 ガスクロマトグラフ GC−14B
カラム :ガラスカラム外径5mm×内径3.2mm×長さ3.1m
充填剤 :充填剤 Silicone OV−17 10% Chromosorb WHP 80/100mesh, max.temp.340℃
カラム温度:80℃→280℃
気化室温度:250℃
検出器温度:280℃
検出器 :FID
キャリアー:N2(40ml/min)
燃焼ガス :水素(60kPa), 空気(60kPa)
注入量 :2μL
樹脂架橋剤1g、標品としてアニソール0.05gをアセトン10mLに溶解させ上記条件にて分析した。内部標準法(GC−IS法)により、共縮合物中の残留溶媒の含有量(%)を測定した。
なお、実施例および比較例の本文中に記載した含有量(%)は、特に断りのない限り重量パーセントとして表すものとする。
残留溶媒量については、以下の条件に基づくガスクロマトグラフィーにより定量を行った。
使用機器 :島津製作所社製 ガスクロマトグラフ GC−14B
カラム :ガラスカラム外径5mm×内径3.2mm×長さ3.1m
充填剤 :充填剤 Silicone OV−17 10% Chromosorb WHP 80/100mesh, max.temp.340℃
カラム温度:80℃→280℃
気化室温度:250℃
検出器温度:280℃
検出器 :FID
キャリアー:N2(40ml/min)
燃焼ガス :水素(60kPa), 空気(60kPa)
注入量 :2μL
樹脂架橋剤1g、標品としてアニソール0.05gをアセトン10mLに溶解させ上記条件にて分析した。内部標準法(GC−IS法)により、共縮合物中の残留溶媒の含有量(%)を測定した。
なお、実施例および比較例の本文中に記載した含有量(%)は、特に断りのない限り重量パーセントとして表すものとする。
「軟化点の測定」
JIS−K2207に準拠した方法により測定した。なお、軟化点が190℃を超えるものはゴムへの分散性が悪く、補強材とゴムとの接着剤として不適である。
JIS−K2207に準拠した方法により測定した。なお、軟化点が190℃を超えるものはゴムへの分散性が悪く、補強材とゴムとの接着剤として不適である。
「水分の測定」
共縮合物中の水分は、以下の条件に基づくカール・フィッシャー容量滴定法により測定した。
使用機器:平沼産業社製 自動水分測定装置 AQV−2100
滴定試薬:シグマ・アルドリッチ社製HYDRANAL−Composite 5K
共縮合物中の水分は、以下の条件に基づくカール・フィッシャー容量滴定法により測定した。
使用機器:平沼産業社製 自動水分測定装置 AQV−2100
滴定試薬:シグマ・アルドリッチ社製HYDRANAL−Composite 5K
還流冷却器および温度計を備えた四つ口セパラブルフラスコに、純度92%のパラホルムアルデヒド43.5g (1.33mol)、p−tert−ブチルフェノール150g(1.00mol)、トルエン75.0gを順に加えた。その後、内温45℃まで昇温し、48%水酸化ナトリウム水溶液4.16g (0.05mol)を添加し、発熱が収まるまで攪拌した。発熱が収まったのを確認した後、内温65℃まで昇温し、同温度にて2時間保温した。その後、内温80℃になるまで再度昇温し、さらに1.5時間保温した。
反応終了後、内温75℃以下になるまで冷却し、シュウ酸二水和物1.57g (0.012mol)を加えてアルカリの一部を中和した後、レゾルシン110g (1.00mol)を加えた。内温108〜112℃まで昇温し3時間かけて共沸脱水を行った。続いて、常圧のまま内温140〜150℃まで昇温し、2時間保温することで溶媒トルエンを留去した。その後、内温140〜150℃に保ったまま21kPaまで減圧し、2時間保温することで溶媒トルエンをさらに留去した。
上記の操作により、橙色の共縮合物279gを得た。
共縮合物の平均分子量:1780、共縮合物の軟化点:164℃、共縮合物中の残留トルエン分:1.8%、水分:0.5%。
反応終了後、内温75℃以下になるまで冷却し、シュウ酸二水和物1.57g (0.012mol)を加えてアルカリの一部を中和した後、レゾルシン110g (1.00mol)を加えた。内温108〜112℃まで昇温し3時間かけて共沸脱水を行った。続いて、常圧のまま内温140〜150℃まで昇温し、2時間保温することで溶媒トルエンを留去した。その後、内温140〜150℃に保ったまま21kPaまで減圧し、2時間保温することで溶媒トルエンをさらに留去した。
上記の操作により、橙色の共縮合物279gを得た。
共縮合物の平均分子量:1780、共縮合物の軟化点:164℃、共縮合物中の残留トルエン分:1.8%、水分:0.5%。
実施例1において、中和に使用したシュウ酸二水和物の仕込みを無しに変更した以外は、同様の条件にして合成を行った。
上記の操作により、橙色の共縮合物275gを得た。
共縮合物の平均分子量:2505、共縮合物の軟化点:137℃、共縮合物中の残留トルエン分:1.3%、水分:0.2%。
上記の操作により、橙色の共縮合物275gを得た。
共縮合物の平均分子量:2505、共縮合物の軟化点:137℃、共縮合物中の残留トルエン分:1.3%、水分:0.2%。
<比較例1>
実施例1において、中和に使用したシュウ酸二水和物の仕込み量を3.15g (0.025mol)に変更して完全にアルカリを中和した以外は、同様の条件にして合成を行った。
上記の操作により、橙色の共縮合物286gを得た。
共縮合物の平均分子量:1212、共縮合物の軟化点:195℃以上、共縮合物中の残留トルエン分:2.0%、水分:0.9%。
実施例1において、中和に使用したシュウ酸二水和物の仕込み量を3.15g (0.025mol)に変更して完全にアルカリを中和した以外は、同様の条件にして合成を行った。
上記の操作により、橙色の共縮合物286gを得た。
共縮合物の平均分子量:1212、共縮合物の軟化点:195℃以上、共縮合物中の残留トルエン分:2.0%、水分:0.9%。
本発明により得られる共縮合物は、ゴム組成物への練り込みによりゴムと各種補強材との接着剤として利用可能である。
Claims (3)
- p−tert−ブチルフェノールとホルムアルデヒドとを反応させて得られるレゾール型縮合物とレゾルシンとを反応させて得られる共縮合物であって、共縮合物中の残存溶媒及び水分がそれぞれ2重量%以下、軟化点が80℃以上190℃以下であることを特徴とする共縮合物。
- 請求項1に記載の共縮合物を含むことを特徴とするゴム組成物。
- p−tert−ブチルフェノールとホルムアルデヒドとを反応させて得られるレゾール型縮合物とレゾルシンとを反応さて共縮合物を得る製造法において、以下(1)及び(2)の工程を含むことを特徴とする請求項1記載の共縮合物の製造方法。
(1)塩基存在下、p−tert−ブチルフェノールとホルムアルデヒドとを反応させレゾール型縮合物を得る工程。
(2)前記工程で使用した塩基を中和しないか、当量未満の酸で中和した後、レゾール型縮合物とレゾルシンとを反応させて共縮合物を得る工程。
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-
2013
- 2013-02-07 JP JP2013022194A patent/JP2014152220A/ja active Pending
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