以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
(被実装物作業装置の構成)
まず、図1および図2を参照して、本発明の一実施形態による被実装物作業装置100の全体構成について説明する。なお、以下の説明では、被実装物の搬送方向に沿う方向をX方向とし、水平面内でX方向と直交する方向をY方向とし、X方向およびY方向に直交する上下方向をZ方向とする。
被実装物作業装置100は、IC、トランジスタ、コンデンサおよび抵抗などの部品(電子部品)Eを、部品Eを配線するための電子回路(パターン)が形成された被実装物(ワーク)200に実装する装置である。なお、「部品を被実装物に実装する」とは、「部品を被実装物に搭載する」という意味である。
図1〜図3に示すように、被実装物作業装置100は、搬送部1と、ヘッドユニット2と、ヘッド水平移動機構部3と、被実装物保持部4と、部品撮像部5と、形状測定部6と、位置測定部7と、制御部8とを備えている。
搬送部1は、被実装物200を搬入、搬送および搬出する。搬送部1は、互いにY方向に離間した位置に配置される一対の搬送ベルト11を含む。搬送部1は、一対の搬送ベルト11により、被実装物200を保持する保持部材300のY方向の両端を下方から支持しつつ搬送方向(X方向)に被実装物200を搬送する。
保持部材300は、被実装物200の搬送用の部材である。被実装物作業装置100では、被実装物200は、搬送用の保持部材300上に保持されて固定された状態で搬送部1により搬送される。保持部材300は、被実装物200を保持して固定する被実装物固定部301と、被実装物保持部4に保持される被保持部302とを含む。被実装物固定部301は、たとえば、平板形状に形成されている。被実装物200は、たとえば、ねじ部材、クランプ部材、接着テープなどにより、被実装物固定部301に保持されて固定される。被保持部302は、たとえば、被実装物固定部301から下側(Z2方向側)に突出する凸形状に形成されている。なお、被実装物200自体を搬送部1により直接的に搬送可能な場合、保持部材300は、必ずしも必要ではない。
図4および図5に示すように、被実装物作業装置100では、被実装物200は、互いに交差する複数の実装面201を含む立体形状の被実装物である。被実装物200は、平板形状(通常のプリント基板)に比べて立体的な形状を有する。実装面201は、立体形状の被実装物200のうちの電子回路(パターン)が形成されている略平坦な面である。実装面201は、部品Eが配置される実装位置202を含む。実装位置202は、実装面201において部品Eが配置されるランドパターンが形成されている位置である。
上述の実装位置202は個々の実装面201内の位置である。実装位置202は、たとえば、その実装面201内の所定位置を基準(座標原点)としたXY座標位置として特定される。当該実装面201は、たとえば、後述する基準面204内の所定位置を基準(座標原点)とした3次元座標位置として特定される。即ち、個々の実装位置202は、実装面201の特定をすると共に、特定された実装面201内での位置が特定されることにより3次元座標として特定されることとなる。具体的には、当該実装面201は、基準面204に対する当該実装面201の傾斜角度(夫々の面に直交する法線同士のなす角度の補角の角度)(実装面201を基準面204に一致させるときの後述するA2軸の制御に用いる。)、両面と直交する平面と基準面204とが交わる直線の基準面204での方向(実装面201を基準面204に一致させるときの後述するA1軸の制御に用いる。)、当該実装面201の高さ情報(実装面201を基準面204に一致させるときの後述する駆動モータ41aによるZ方向移動制御に用いる。)、及び、当該実装面201が当該実装面201と隣り合う面(実装面201など)となすエッジの位置により、3次元座標位置として特定される。なお、これにより特定される実装面201を示すのが実装面201の後述する設計平面であり、このようにして特定された位置が実装位置202の後述する設計位置である。実装位置202に部品Eを実装する場合に、上記設計位置を数値化して被実装物作業装置100内に記憶されたデータに基づき当該実装面201が基準面204に一致してその基準面204内のXY座標軸が被実装物作業装置100のヘッドユニット2のXY座標軸と一致するように位置決めされる。前述の実装面201内の座標原点位置は、このように位置決めされたときに、被実装物作業装置100のヘッドユニット2の移動の原点位置となる位置とすればよい。また、前述の実装面201内の座標原点位置は、このように位置決めされたときに、3次元物体としての被実装物200の所定位置を基準(座標原点)とした3次元座標位置で特定してもよい。3次元座標位置は、直交するXYZ軸で表しても良いし、本実施形態の保持部材300を移動させる各駆動軸の軸方向(後述するA1、A2、Z)の偏位量で表しても良い。
図4に示すように、たとえば、被実装物200は、多面形状を有する被実装物200aである。多面形状の被実装物200aは、6つの実装面201を有する。多面形状の被実装物200aは、上面としての2つの実装面201aおよび201bと、側面としての4つの実装面201c〜201fとを有する。上面としての実装面201aおよび201bは、互いに略平行である。実装面201bは、実装面201aに対して下側に配置されている。側面としての実装面201c〜201fは、上面としての実装面201bを囲むようにそれぞれ配置されている。側面としての実装面201c〜201fと、上面としての実装面201aおよび201bとは、互いに交差している。また、側面としての実装面201c〜201fは、互いに交差している。
図5に示すように、たとえば、被実装物200は、曲面を有する被実装物200bである。被実装物200bは、半球形状を有する。半球形状の被実装物200bは、7つの実装面201を有する。半球形状の被実装物200bでは、実装面201は、実装位置202に対応する位置に形成されている。半球形状の被実装物200bでは、実装位置202の近傍は、略平坦に形成されている。半球形状の被実装物200bは、頂部に形成された1つの実装面201gと、頂部以外の側部に形成された6つの実装面201h〜201mとを有する。実装面201g〜201mは、互いに交差している。なお、以下では、特に区別する必要がない場合、被実装物200aおよび200bを、単に被実装物200と称する。
図1〜図3に示すように、搬送部1は、搬入された被実装物200を、受渡位置Aまで搬送して、停止させる。受渡位置Aは、被実装物200を搬送部1から被実装物保持部4に受け渡すための位置である。
ヘッドユニット2は、塗布作業と実装作業との2つの作業を行うことが可能なヘッドユニットである。ヘッドユニット2は、被実装物保持部4に保持された被実装物200の実装位置202に、はんだなどの接合部材を塗布する塗布作業および部品Eを実装する実装作業を行う。ヘッドユニット2は、1つの塗布ヘッド21と、複数(5つ)の実装ヘッド22とを含む。塗布ヘッド21および実装ヘッド22は、請求の範囲の「ヘッド」の一例である。
塗布ヘッド21は、被実装物保持部4に保持された被実装物200の実装位置202に塗布作業を行う。塗布ヘッド21は、接合部材供給源(図示せず)に接続されている。塗布ヘッド21は、接合部材供給源から供給される接合部材を、先端に装着された塗布ノズル21aから吐出可能に構成されている。塗布ヘッド21は、接合部材を塗布ノズル21aから吐出することにより、被実装物200の実装位置202に塗布可能に構成されている。
実装ヘッド22は、被実装物保持部4に保持された被実装物200の実装位置202に実装作業を行う。実装ヘッド22は、真空発生装置(図示せず)に接続されている。実装ヘッド22は、真空発生装置から供給される負圧により、先端に装着された実装ノズル22aに部品Eを保持可能(吸着可能)に構成されている。また、実装ヘッド22は、部品Eの保持(吸着)を解除することにより、被実装物200の実装位置202に部品Eを実装可能に構成されている。
また、被実装物作業装置100では、Y方向の両側(Y1側およびY2側)に、被実装物200の実装位置202に実装される部品Eを供給する複数の部品供給装置100aが配置されている。部品供給装置100aは、たとえば、部品Eを保持する部品供給テープを送ることにより、部品Eを供給するテープフィーダである。部品供給装置100aは、部品Eを保持するトレイを供給することにより、部品Eを供給するトレイフィーダであってもよい。実装ヘッド22は、部品供給装置100aから供給される部品Eを保持(吸着)する。
また、ヘッドユニット2は、塗布ヘッド21および実装ヘッド22に対応して設けられたヘッド上下移動機構部23を含む。ヘッド上下移動機構部23は、対象のヘッドのノズル(塗布ヘッド21の塗布ノズル21aまたは実装ヘッド22の実装ノズル22a)を上下方向(Z方向)に移動させる。これにより、塗布ヘッド21の塗布ノズル21aは、接合部材を塗布するために下降した下降位置と、接合部材を塗布しないように上昇した上昇位置との間で上下方向に移動可能に構成されている。また、実装ヘッド22の実装ノズル22aは、部品Eを保持するために下降した下降位置と、部品Eを移載するために上昇した上昇位置との間で上下方向に移動可能に構成されている。ヘッド上下移動機構部23は、対象のヘッド(塗布ヘッド21または実装ヘッド22)が取り付けられたボールねじ軸機構23aと、ボールねじ軸機構23aのボールねじ軸を回転させる駆動モータ23bを有する。
また、ヘッドユニット2は、実装ヘッド22に対応して設けられたヘッド回転機構部24(図3参照)を含む。ヘッド回転機構部24は、実装ヘッド22の実装ノズル22aをZ方向に沿って延びる回転軸線回りに回転させる。実装ヘッド22の実装ノズル22aは、部品Eを保持した状態でヘッド回転機構部24により回転されることにより、保持している部品Eの向きを調整可能に構成されている。ヘッド回転機構部24は、実装ヘッド22を回転させる駆動モータを有する。
ヘッド水平移動機構部3は、被実装物200よりも上側において、ヘッドユニット2を水平面内(X−Y平面内)で移動させるように構成されている。ヘッド水平移動機構部3は、X軸移動機構部31と、Y軸移動機構部32とを含む。
X軸移動機構部31は、ヘッドユニット2を搬送方向(X方向)に移動させるように構成されている。X軸移動機構部31には、ヘッドユニット2が取り付けられている。X軸移動機構部31は、ヘッドユニット2が取り付けられたボールねじ軸機構31aと、ボールねじ軸機構31aのボールねじ軸を回転させる駆動モータ31bを有する。Y軸移動機構部32は、X軸移動機構部31をヘッドユニット2と共にY方向に移動させるように構成されている。Y軸移動機構部32には、X軸移動機構部31が取り付けられている。Y軸移動機構部32は、X軸移動機構部31が取り付けられたボールねじ軸機構32aと、ボールねじ軸機構32aのボールねじ軸を回転させる駆動モータ32bを有する。
被実装物保持部4は、搬送部1において、受渡位置Aに対応する位置に配置されている。被実装物保持部4は、受渡位置Aに配置された被実装物200を保持する。具体的には、被実装物保持部4は、保持部材300の被保持部302を保持することにより、保持部材300を介して被実装物200を保持する。被実装物保持部4は、保持部材300および被実装物200に対して下側(Z2方向側)に配置されている。
被実装物保持部4は、保持した被実装物200を立体的に移動させることが可能なように構成されている。被実装物保持部4は、保持した被実装物200を上下方向(Z方向)沿って移動させるか、回転させるかまたは傾斜させることが可能なように構成されている。被実装物保持部4は、昇降機構部41と、傾斜機構部42と、回転機構部43と、保持部44とを含む。被実装物保持部4では、保持部44が回転機構部43に取り付けられており、回転機構部43が傾斜機構部42に取り付けられており、傾斜機構部42が昇降機構部41に取り付けられている。
昇降機構部41は、駆動モータ41aを有し、駆動モータ41aの駆動力により、保持部材300を介して保持部44に保持された被実装物200を上下方向(Z方向)に沿って移動させる。傾斜機構部42は、駆動モータ42aを有し、駆動モータ42aの駆動力により、水平方向(X方向)に沿って延びる回転軸線A1周りに、保持部材300を介して保持部44に保持された被実装物200を回転させる。これにより、傾斜機構部42は、保持部材300を介して保持部44に保持された被実装物200を傾斜させる。回転機構部43は、駆動モータ43aを有し、駆動モータ43aの駆動力により、回転軸線A1に略直交する回転軸線A2周りに、保持部材300を介して保持部44に保持された被実装物200を回転させる。保持部44は、保持部材300の被保持部302を保持する。これにより、保持部44は、保持部材300を介して被実装物200を下側(Z2方向側)から保持する。保持部44は、複数の固定部44aを有し、複数の固定部44aにより、保持部材300の被保持部302を固定的に保持する。固定部44aは、たとえば、保持部材300の被保持部302を把持するスライド移動可能な爪部である。
部品撮像部5は、部品認識用のカメラである。部品撮像部5は、ヘッドユニット2の実装ヘッド22による部品Eの被実装物200への移載中に、実装ヘッド22の実装ノズル22aに保持(吸着)された部品Eを撮像する。部品撮像部5は、被実装物作業装置100の基台の上面上に固定されており、部品Eの下側(Z2方向側)から、実装ヘッド22の実装ノズル22aに保持(吸着)された部品Eを撮像する。部品撮像部5による部品Eの撮像画像に基づいて、制御部8は、部品Eの保持状態(回転姿勢および実装ヘッド22の実装ノズル22aに対する保持位置)を取得(認識)する。
形状測定部6は、被実装物200の立体形状を測定するための測定部である。形状測定部6は、レーザ変位計により構成されている。形状測定部6は、被実装物200に対して上側(Z1方向側)からレーザ光を照射して、被実装物200からの反射光を受光することにより、被実装物200の測定結果を取得する。形状測定部6は、ヘッドユニット2に固定して取り付けられている。形状測定部6は、ヘッドユニット2と共に、被実装物200よりも上側において、水平面内(X−Y平面内)で移動可能に構成されている。なお、形状測定部6による測定の詳細については、後述する。
位置測定部7は、被実装物200の実装面201の特徴部203(基準マーク、パターン、エッジなど)の位置を測定するための測定部である。位置測定部7は、カメラにより構成されている。位置測定部7は、被実装物200に対して上側(Z1方向側)から、被実装物200の実装面201の特徴部203を撮像する。位置測定部7は、光軸が上下方向に沿う向きになるように、ヘッドユニット2に固定して取り付けられている。位置測定部7は、ヘッドユニット2と共に、被実装物200よりも上側において、水平面内(X−Y平面内)で移動可能に構成されている。なお、位置測定部7と形状測定部6との水平距離および位置関係は、両方とも同じヘッドユニット2に固定されているため、ヘッドユニット2の移動位置によらず同一である。また、位置測定部7による測定の詳細については、後述する。
制御部8は、被実装物作業装置100の動作を制御する制御回路である。制御部8は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)などを含む。制御部8は、搬送部1、ヘッドユニット2、ヘッド上下移動機構部23、ヘッド水平移動機構部3、部品撮像部5、形状測定部6、位置測定部7などの動作を生産プログラムに従って制御することにより、被実装物200の実装位置202に接合材を塗布し、かつ、部品Eを実装する制御を行うように構成されている。
(位置誤差の要因)
ここで、図6および図7を参照して、被実装物200の実装面201の実装位置202の設計位置からの位置誤差の要因について説明する。なお、実装位置202の設計位置からの位置誤差とは、被実装物200の実装面201の設計平面を後述する基準面204に位置決めした状態における、実際の実装位置202の位置座標の設計位置座標に対する位置誤差である。この位置誤差は、水平方向(X−Y方向)の位置誤差、および、上下方向(Z方向)の位置誤差を含む。基準面204は、被実装物作業装置100において予め設定された面であり、基準高さ位置に位置する水平な面である。
図6に示すように、立体形状の被実装物200には、歪みや伸縮が生じることがある。被実装物200に歪みや伸縮が生じている場合、被実装物200の実装面201の設計平面を基準面204に位置決めしたとしても、実装位置202が設計位置と一致しない。被実装物200の歪みや伸縮に起因して、被実装物200の実装面201の実装位置202に、設計位置からの位置誤差が生じるためである。なお、図6では、理解の容易のため、被実装物200の歪みや伸縮を誇張して示している。
また、図7に示すように、被実装物200には、被実装物200の保持部材300への固定時(保持時)、および、被実装物保持部4による保持部材300の固定時(保持時)に、位置ずれや回転、傾きが生じることがある。被実装物200に位置ずれや回転、傾きが生じている場合、被実装物200の実装面201の設計平面を基準面204に位置決めしたとしても、実装位置202が設計位置と一致しない。被実装物200の位置ずれや回転、傾きに起因して、被実装物200の実装面201の実装位置202に、設計位置からの位置誤差が生じるためである。なお、図7では、理解の容易のため、被実装物200の位置ずれを誇張して示している。
なお、保持部材300を保持部44が正規の位置で固定しているかを確認するため、保持部44による被保持部302の把持動作後、保持部材300の上面の高さ位置をレーザ変位計としての形状測定部6で測定してもよい。保持部材300の上面の少なくとも3点の高さ位置より保持部材300の上面の傾斜を検出して、その傾斜角度が所定の許容値よりも大きい場合は固定が確実になされていないと判断する。傾斜角度が許容値より大きい場合には警告すると共にその後の動作を停止するようにしてもよい。また、被実装物200の傾き(被実装物200の所定の平面の傾き)が許容値よりも大きい場合に同様に警告等をしてもよい。このようにすれば、きちんと保持部44により保持部材300が把持されておらず、保持部材300が保持部44に対してその後にずれたり外れたりしてしまうことが防止できる。
以上のように、被実装物200の実装面201の設計平面を基準面204に位置決めしたとしても、実装位置202に設計位置からの位置誤差が生じる。このため、実装位置202に精度良く塗布作業や実装作業を行うためには、この位置誤差を精度良く取得して、この位置誤差に関する補正制御を行う必要がある。
(実装位置に関する補正制御)
そこで、本実施形態では、制御部8は、少なくとも形状測定部6による測定結果に基づく被実装物200の立体形状情報に基づいて、実装位置202の設計位置からの位置誤差を取得するように構成されている。被実装物200の立体形状情報は、たとえば、被実装物200の実装面201の高さ情報、被実装物200の実装面201のエッジの位置情報、被実装物200の実装面201の間の角度情報などを含む。被実装物200の実装面201の高さ情報、被実装物200の実装面201のエッジの位置情報は、たとえば、所定位置(基準面204の所定位置など)を基準(座標原点)とした3次元座標位置の情報として表される。また、被実装物200の実装面201の間の角度情報は、同じエッジを含む実装面201同士がなす角度の情報として表される。
また、制御部8は、被実装物200の立体形状情報だけでなく、位置測定部7による測定結果に基づく被実装物200の実装面201の特徴部203の位置情報にも基づいて、実装位置202の設計位置からの位置誤差を取得するように構成されている。制御部8は、たとえば、被実装物200の立体形状情報および特徴部203の位置情報に基づいて、被実装物200の設計形状に対する伸縮、被実装物200の設計形状に対する歪み、被実装物200の固定(保持)による位置ずれ、被実装物200の実装面201内における実装位置202の特徴部203に対する相対位置などを取得する。制御部8は、たとえば、取得されたこれらの情報に基づいて、実装位置202の設計位置からの位置誤差を取得する。制御部8は、たとえば、被実装物200の実装面201内における実装位置202の特徴部203に対する相対位置に基づいて、実装位置202の設計位置からの概略の位置誤差を取得する。そして、制御部8は、被実装物200の設計形状に対する伸縮、被実装物200の設計形状に対する歪みおよび被実装物200の固定(保持)による位置ずれを、概略の位置誤差に加味することにより、詳細な位置誤差を取得する。取得された実装位置202の設計位置からの位置誤差は、被実装物200の形状(歪み、伸縮など)に起因する位置誤差、および、被実装物200の固定時(保持時)の位置ずれに起因する位置誤差を含む。なお、実装面201が実装面201の設計平面に対して傾いていることが分かる場合、この傾きに起因する傾きを修正して実装面201を水平にした場合の水平方向の位置誤差を取得することもできる。また、測定された実際の実装面201を1つの平面と看做すが、個々の実装位置202に高さ方向の位置誤差がある場合(即ち実装面201に凹凸がある場合)、この実装位置202の後述する測定平面205に対する高さ方向(Z方向)の位置誤差を記憶しておき、この位置誤差分ヘッド上下移動機構部23を制御して塗布ヘッド21または実装ヘッド22の上下動を補正する。即ち、測定された実装面201を被実装物保持部4の駆動により基準面204に一致させるが、それでは補正できない個々の実装面201の高さの位置誤差は実装ヘッド22等の上下動で補正する。
制御部8は、取得された実装位置202の設計位置からの位置誤差に基づいて、実装位置202に関する補正制御を行うように構成されている。具体的には、制御部8は、少なくとも実装位置202の設計位置からの位置誤差に基づいて、ヘッド(塗布ヘッド21および実装ヘッド22)の目標位置を補正するように、実装位置202に関する補正制御を行うように構成されている。目標位置を補正した場合、制御部8は、補正した目標位置において作業を行うように、補正した目標位置に向かってヘッド(塗布ヘッド21および実装ヘッド22)を移動させる制御を行う。なお、目標位置は、ヘッド(塗布ヘッド21および実装ヘッド22)が作業を行う際に目標とする位置座標である。
たとえば、制御部8は、実装位置202の設計位置からの水平方向(XY方向)の位置誤差に基づいて、ヘッド(塗布ヘッド21および実装ヘッド22)の水平方向の目標位置(XY位置)を補正する。この場合、ヘッド(塗布ヘッド21および実装ヘッド22)は、ヘッドユニット2により、補正後の水平方向の目標位置(XY位置)に向かって水平方向に移動される。また、たとえば、制御部8は、実装位置202の設計位置からの上下方向(Z方向)の位置誤差に基づいて、ヘッド(塗布ヘッド21および実装ヘッド22)の上下方向の目標位置(Z位置)を補正する。この場合、ヘッド(塗布ヘッド21および実装ヘッド22)は、ヘッド上下移動機構部23により、補正後の上下方向の目標位置(Z位置)に向かって下降される。実装位置202の設計位置からの上下方向の位置誤差は、ヘッド(塗布ヘッド21および実装ヘッド22)のストローク量(下降量)により補正される。
〈被実装物の測定〉
次に、図8〜図10を参照して、形状測定部6および位置測定部7による被実装物200の測定について説明する。
図8および図9に示すように、制御部8は、形状測定部6に被実装物200の複数の実装面201を実装面201毎に個別に順次測定させる制御を行うように構成されている。制御部8は、形状測定部6に被実装物200の複数の実装面201の全部を予め決められた順番で順次連続して測定させる制御を行うように構成されている。また、制御部8は、実装面201毎に個別に順次測定された複数の実装面201の測定結果(複数の実装面201の全部の測定結果)に基づいて、被実装物200の立体形状情報を取得するように構成されている。制御部8は、たとえば、複数の実装面201の測定結果(複数の実装面201の全部の測定結果)に基づいて、被実装物200の設計形状情報を補正することにより、被実装物200の立体形状情報を取得する。
実装面201を測定する場合、レーザ変位計としての形状測定部6は、実装面201の上側(Z1方向側)からレーザ光を照射する。レーザ変位計としての形状測定部6は、たとえば、ヘッドユニット2と共に実装面201の上側において移動して、実装面201を走査するようにレーザ光を照射する。あるいは、レーザ変位計としての形状測定部6は、ヘッドユニット2と共に実装面201の上側において移動して、実装面201上の予め決められた複数の測定点の測定点毎に点状にレーザ光を照射する。レーザ変位計としての形状測定部6は、被実装物200の実装面201からの反射光の受光結果を、測定結果として制御部8に向けて出力する。なお、形状測定部6が、測定点毎に点状にレーザ光を照射する場合であって、実装面201のエッジの位置情報を取得する場合、実装面201のエッジの位置情報を精度良く取得するためには、測定点同士の間の間隔(測定間隔、レーザ光の照射間隔)を微小距離とする必要がある。しかしながら、実装面201の高さ情報を取得する場合には、実装面201のエッジの位置情報を取得する場合に比べて、測定間隔を短くする必要がないため、実装面201のエッジの位置情報を取得する場合よりも長い測定間隔により測定してもよい。
また、本実施形態では、制御部8は、形状測定部6に複数の実装面201を実装面201毎に個別に順次測定させる際、形状測定部6と共に、位置測定部7に被実装物200の複数の実装面201の特徴部203を実装面201毎に個別に順次測定させる制御を行うように構成されている。制御部8は、形状測定部6と共に、位置測定部7に被実装物200の複数の実装面201の全部を予め決められた順番で順次連続して測定させる制御を行うように構成されている。制御部8は、形状測定部6および位置測定部7に複数の実装面201のうちの所定の実装面201を測定させる場合、形状測定部6、位置測定部7の順に、所定の実装面201を測定させる制御を行うように構成されている。
実装面201を測定する場合、カメラとしての位置測定部7は、実装面201の上側(Z1方向側)から被実装物200の実装面201の特徴部203を撮像する。カメラとしての位置測定部7は、予め決められた複数の特徴部203を撮像する。カメラとしての位置測定部7は、被実装物200の実装面201の特徴部203の撮像結果を、測定結果として制御部8に向けて出力する。
図10に示すように、制御部8は、形状測定部6および位置測定部7に複数の実装面201を実装面201毎に個別に順次測定させる際、測定される実装面201の設計平面が基準面204に略平行になりかつ略一致するように、被実装物保持部4により被実装物200を移動させる制御を行うように構成されている。被実装物保持部4は、制御部8からの指令に基づいて、昇降機構部41による上下移動(Z方向に沿った移動)、回転機構部43による回転移動(回転軸線A2周りの回転移動)および傾斜機構部42による傾斜移動(回転軸線A1周りの回転移動)のうちの少なくとも1つにより、被実装物200を、測定される実装面201の設計平面が基準面204に略平行になりかつ略一致するように移動させる。制御部8は、測定される実装面201の設計平面を基準面204に位置決めした状態で、形状測定部6および位置測定部7に実装面201を測定させる制御を行うように構成されている。なお、図10では、一例として、被実装物200aの第1の実装面201a〜第3の実装面201cの測定を示している。
基準面204は、レーザ変位計としての形状測定部6の焦点位置、および、カメラとしての位置測定部7の焦点位置に対応する高さ位置に設定されている。カメラとしての位置測定部7の焦点位置と、基準面204の高さ位置とに差がある場合には、形状測定部6による測定結果に基づく実装面201の高さ情報に基づいて、位置測定部7の測定結果(撮像結果)のスケール(倍率)を補正してもよい。これにより、より精度良く実装面201の特徴部203の位置を取得可能である。
図8を参照して、多面形状の被実装物200aを測定する場合を説明する。図8に示すように、多面形状の被実装物200aを測定する場合、まず、被実装物200aの上面としての第1の実装面201aが基準面204に位置決めされる。そして、第1の実装面201aに対して上側(Z1方向側)に設定された測定位置に、レーザ変位計としての形状測定部6が配置される。そして、測定位置に配置されたレーザ変位計としての形状測定部6により、第1の実装面201aの高さが測定される。そして、第1の実装面201aに対して上側に設定された測定位置に、カメラとしての位置測定部7が配置される。そして、測定位置に配置されたカメラとしての位置測定部7により、第1の実装面201aの特徴部203が撮像される。
そして、被実装物200aの上面としての第2の実装面201bが、被実装物保持部4により上方向に移動されることにより、基準面204に位置決めされる。そして、第2の実装面201bに対して上側に設定された測定位置にレーザ変位計としての形状測定部6が配置され、形状測定部6により第2の実装面201bの高さが測定される。そして、第2の実装面201bに対して上側に設定された測定位置にカメラとしての位置測定部7が配置され、位置測定部7により第2の実装面201bの特徴部203が撮像される。
そして、被実装物200aの側面としての第3の実装面201cが、たとえば被実装物保持部4により上下移動および傾斜移動されることにより、基準面204に位置決めされる。そして、第3の実装面201cに対して上側に設定された測定位置にレーザ変位計としての形状測定部6が配置され、形状測定部6により第3の実装面201cの高さが測定される。そして、第3の実装面201cに対して上側に設定された測定位置にカメラとしての位置測定部7が配置され、位置測定部7により第3の実装面201cの特徴部203が撮像される。
そして、被実装物200aの側面としての第4の実装面201dが、たとえば被実装物保持部4により回転移動されることにより、基準面204に位置決めされる。そして、第4の実装面201dに対して上側に設定された測定位置にレーザ変位計としての形状測定部6が配置され、形状測定部6により第4の実装面201dの高さが測定される。そして、第4の実装面201dに対して上側に設定された測定位置にカメラとしての位置測定部7が配置され、位置測定部7により第4の実装面201dの特徴部203が撮像される。以後、同様に、被実装物200aの側面としての第5の実装面201eおよび第6の実装面201fについても、形状測定部6および位置測定部7による測定が行われる。
図9を参照して、半球形状の被実装物200bを測定する場合を説明する。図9に示すように、半球形状の被実装物200bを測定する場合、まず、被実装物200bの頂部の第1の実装面201gが基準面204に位置決めされる。そして、第1の実装面201gに対して上側(Z1方向側)に設定された測定位置に、レーザ変位計としての形状測定部6が配置される。そして、測定位置に配置されたレーザ変位計としての形状測定部6により、第1の実装面201gの実装位置202の近傍の高さが測定される。そして、第1の実装面201gに対して上側に設定された測定位置に、カメラとしての位置測定部7が配置される。そして、測定位置に配置されたカメラとしての位置測定部7により、第1の実装面201gの特徴部203(実装位置202のランドパターン)が撮像される。
そして、被実装物200bの側部の上側の第2の実装面201hが、たとえば被実装物保持部4により傾斜移動されることにより、基準面204に位置決めされる。そして、第2の実装面201hに対して上側(Z1方向側)に設定された測定位置にレーザ変位計としての形状測定部6が配置され、レーザ変位計としての形状測定部6により第2の実装面201hの実装位置202の近傍の高さが測定される。そして、第2の実装面201hに対して上側に設定された測定位置にカメラとしての位置測定部7が配置され、カメラとしての位置測定部7により第2の実装面201hの特徴部203(実装位置202のランドパターン)が撮像される。
そして、被実装物200bの側部の下側の第3の実装面201iが、たとえば被実装物保持部4により傾斜移動されることにより、基準面204に位置決めされる。そして、第3の実装面201iに対して上側(Z1方向側)に設定された測定位置にレーザ変位計としての形状測定部6が配置され、レーザ変位計としての形状測定部6により第3の実装面201iの実装位置202の近傍の高さが測定される。そして、第3の実装面201iに対して上側に設定された測定位置にカメラとしての位置測定部7が配置され、カメラとしての位置測定部7により第3の実装面201iの特徴部203(実装位置202のランドパターン)が撮像される。以後、同様に、被実装物200bの側部の第4の実装面201j、第5の実装面201k、第6の実装面201l、および、第7の実装面201mについても、形状測定部6および位置測定部7による測定が行われる。
〈実装面の測定平面〉
次に、図11〜図13を参照して、上記実装面201の測定後で、かつ、実装面201への実装前の制御動作としての、実装面201の測定平面205を示す情報の取得、および、この測定平面205の基準面204に対する位置決めについて説明する。
図11に示すように、制御部8は、被実装物200の立体形状情報のうちの実装面201の高さ情報に基づいて、実装面201の測定平面205を示す情報を取得するように構成されている。実装面201の測定平面205は、形状測定部6による実装面201の高さの測定結果(高さ情報)に基づく実装面201の近似平面である。実装面201の測定平面205は、たとえば、最小二乗法による最小二乗平面である。
制御部8は、複数の実装面201のうちの所定の実装面201にヘッド(塗布ヘッド21および実装ヘッド22)による作業を行う前に、取得された所定の実装面201の測定平面205が基準面204に略平行になるように、被実装物保持部4により被実装物200を移動させる制御を行うように構成されている。被実装物保持部4は、制御部8からの指令に基づいて、少なくとも傾斜機構部42による傾斜移動(回転軸線A1周りの回転移動)により、被実装物200を、所定の実装面201の測定平面205が基準面204に略平行になるように移動させる。これにより、実装面201の測定平面205が基準面204に対して位置決めされる。制御部8は、実装面201の測定平面205が基準面204に略平行(つまり、水平)に位置決めされた状態で、ヘッド(塗布ヘッド21および実装ヘッド22)に被実装物200の所定の実装面201への作業を行わせる制御を行うように構成されている。
また、制御部8は、実装位置202の設計位置からの位置誤差だけでなく、所定の実装面201の測定平面205が基準面204に略平行になるように、被実装物保持部4により被実装物200を移動させた際に生じる実装位置202の位置変位にも基づいて、ヘッド(塗布ヘッド21および実装ヘッド22)の目標位置を補正するように、実装位置202に関する補正制御を行うように構成されている。具体的には、制御部8は、上記実装位置202の設計位置からの位置誤差に、被実装物200を移動させた際に生じる実装位置202の位置変位を加えるように、(塗布ヘッド21および実装ヘッド22)の目標位置を補正する制御を行うように構成されている。
また、本実施形態では、制御部8は、曲面を有する被実装物200(200bなど)に作業を行う場合、被実装物200の実装面201の実装位置202の近傍の測定平面205を示す情報を取得するように構成されている。制御部8は、取得された被実装物200の実装面201の実装位置202の近傍の測定平面205が基準面204に平行になるように、被実装物保持部4により被実装物200を移動させた状態(位置決めした状態)で、ヘッド(塗布ヘッド21および実装ヘッド22)に被実装物200の実装面201への作業を行わせる制御を行うように構成されている。
また、本実施形態では、図12および図13に示すように、制御部8は、被実装物200の立体形状情報のうちの実装面201の高さ情報に基づいて、単一の実装面201を分割するように、複数(図12および図13では、2つ)の測定平面205を示す情報を取得するように構成されている。
具体的には、制御部8は、被実装物200の立体形状情報のうちの実装面201の高さ情報に基づいて、実装面201の平面度を取得するように構成されている。制御部8は、取得された実装面201の平面度に基づいて、単一の実装面201を分割するように、互いに傾斜する複数の測定平面205を示す情報を取得するように構成されている。
実装面201の平面度は、たとえば、実装位置202の傾き角度(即ち、実装位置202での実装面201の傾き角度)である。実装位置202の傾き角度は、たとえば、基準面204(水平)に対する実装位置202の傾き角度、単一の測定平面205を取得した場合のこの測定平面205に対する実装位置202の傾き角度などである。制御部8は、たとえば、実装位置202の傾き角度に基づいて、傾き角度が予め決められたしきい値よりも大きい実装位置202(実装位置202群)と、傾き角度がしきい値以下である実装位置202(実装位置202群)とを判別する。そして、制御部8は、単一の実装面201を分割するように、傾き角度が予め決められたしきい値よりも大きい実装位置202(実装位置202群)用の測定平面205と、傾き角度がしきい値以下である実装位置202(実装位置202群)用の測定平面205との2種類の測定平面205を示す情報を取得する。前述するようにして実装面201を1平面として基準面204に一致させて部品Eの実装に際して実装ヘッド22の昇降ストロークで高さ方向(Z方向)の位置誤差を補正するのでは実装位置202の傾きが大きすぎる場合に実装位置202の傾きを許容できる範囲とすることができる。
複数の測定平面205を取得した場合、制御部8は、複数の測定平面205の各々について、測定平面205が基準面204に略平行になるように、被実装物保持部4により被実装物200を移動させた状態で、ヘッド(塗布ヘッド21および実装ヘッド22)に被実装物200の実装面201への作業を行わせる制御を行うように構成されている。この際、被実装物保持部4は、制御部8からの指令に基づいて、複数の測定平面205の各々について、少なくとも傾斜機構部42による傾斜移動(回転軸線A1周りの回転移動)により、被実装物200を、所定の実装面201の測定平面205が基準面204に略平行になるように移動させる。尚、測定平面205の傾斜の状態によっては傾斜移動(回転軸線A1周りの回転移動)、回転移動(回転軸線A2周りの回転移動)の両方を取得された立体形状情報に基づき行なわなければ基準面204に平行にすることができない場合があるが、この場合、傾斜移動と回転移動は夫々独立して回転すべき角度量回転を実行すれば結果として基準面204に平行にすることができる。
図12を参照して、複数の測定平面205を示す情報を取得する一例を説明する。図12に示すように、たとえば、実装面201の平面度に基づいて、実装面201の一方領域に対応する測定平面205aと、実装面201の他方領域に対応する測定平面205bとの2つの測定平面205が取得される。そして、測定平面205aが基準面204に略平行になるように、被実装物保持部4により被実装物200が移動される。そして、測定平面205aに関連付けられた実装位置202に、ヘッド(塗布ヘッド21および実装ヘッド22)による作業が行われる。そして、測定平面205bが基準面204に平行になるように、被実装物保持部4により被実装物200が移動される。そして、測定平面205bに関連付けられた実装位置202に、ヘッド(塗布ヘッド21および実装ヘッド22)による作業が行われる。
図13を参照して、複数の測定平面205を示す情報を取得する他の例を説明する。図13に示すように、たとえば、実装面201の平面度に基づいて、実装面201の略全体に対応する測定平面205cと、実装面201の局所領域(一部領域)に対応する測定平面205dとの2つの測定平面205が取得される。そして、測定平面205cが基準面204に略平行になるように、被実装物保持部4により被実装物200が移動される。そして、測定平面205cに関連付けられた実装位置202に、ヘッド(塗布ヘッド21および実装ヘッド22)による作業が行われる。そして、測定平面205dが基準面204に平行になるように、被実装物保持部4により被実装物200が移動される。そして、測定平面205dに関連付けられた実装位置202に、ヘッド(塗布ヘッド21および実装ヘッド22)による作業が行われる。
〈同一ロット内の被実装物の測定〉
次に、図14を参照して、同一ロット内の被実装物200の測定について説明する。
ここで、同一ロット内では、被実装物200の設計形状に対する伸縮、被実装物200の設計形状に対する歪み、被実装物200の実装面201内における実装位置202の特徴部203に対する相対位置などは、略一定(同じ)であると考えられる。
そこで、本実施形態では、制御部8は、形状測定部6および位置測定部7にロットの2つ目以降の被実装物200を測定させる場合、ロットの最初(初品)の被実装物200よりも少ない測定箇所で、形状測定部6および位置測定部7に被実装物200を測定させる制御を行うように構成されている。制御部8は、形状測定部6および位置測定部7にロットの2つ目以降の被実装物200を測定させる場合、複数の実装面201のうちの一部を、形状測定部6および位置測定部7に被実装物200を測定させる制御を行うように構成されている。制御部8は、たとえば、被実装物200の複数の実装面201のうちの1つの実装面201のみを、形状測定部6および位置測定部7に被実装物200を測定させる制御を行う。あるいは、制御部8は、被実装物200の実装面201のうちの1つの実装面201の一部のみを、形状測定部6および位置測定部7に被実装物200を測定させる制御を行う。
また、制御部8は、ロットの2つ目以降の被実装物200において実装位置202の設計位置からの位置誤差を取得する場合、測定された被実装物200の測定結果だけでなく、ロットの最初の被実装物200の立体形状情報、および、ロットの最初の被実装物200の実装面201の特徴部203の位置情報にも基づいて、実装位置202の設計位置からの位置誤差を取得するように構成されている。制御部8は、ロットの2つ目以降の被実装物200において実装位置202の設計位置からの位置誤差を取得する場合、ロットの最初の被実装物200の測定結果を利用して、実装位置202の設計位置からの位置誤差を取得するように構成されている。
なお、ロットの2つ目以降の被実装物200において測定箇所を減少させる場合、最初の被実装物200の測定箇所よりも少ない一定の数の測定箇所(同じ数の測定箇所)で測定し続けてもよいし、ロット内の生産が進行するにつれて、測定箇所を徐々に減少させていってもよい。
(実装処理)
次に、図15を参照して、本実施形態の被実装物作業装置100による実装処理をフローチャートに基づいて説明する。フローチャートの各処理は、制御部8により行われる。
図15に示すように、まず、ステップS1において、被実装物200の実装面201の設計平面が水平に位置決めされる。ステップS1では、実装面201の設計平面が水平な基準面204に平行になりかつ略一致するように、被実装物保持部4により被実装物200が移動される。
そして、ステップS2において、形状測定部6による実装面201の測定が行われる。ステップS2では、レーザ変位計としての形状測定部6により、レーザ光が実装面201の上側から実装面201に照射される。また、実装面201からの反射光の受光結果が、形状測定部6による測定結果として取得される。
そして、ステップS3において、位置測定部7による実装面201の測定が行われる。ステップS3では、カメラとしての位置測定部7により、実装面201の特徴部203が実装面201の上側から撮像される。また、実装面201の特徴部203の撮像結果が、位置測定部7による測定結果として取得される。
そして、ステップS4において、全ての実装面201が測定されたか否かが判断される。全ての実装面201が測定されていないと判断される場合、ステップS1に進む。そして、ステップS1〜S3の処理が繰り返されて、未測定の実装面201が測定される。
また、ステップS4において、全ての実装面201が測定されたと判断される場合、ステップS5に進む。
そして、ステップS5において、形状測定部6による測定結果に基づいて、被実装物200の立体形状情報が取得される。また、ステップS5では、位置測定部7による測定結果に基づいて、被実装物200の実装面201の特徴部203の位置情報が取得される。
そして、ステップS6において、被実装物200の立体形状情報、および、被実装物200の実装面201の特徴部203の位置情報に基づいて、実装位置202の設計位置からの位置誤差が取得される。また、ステップS6では、被実装物200の立体形状情報のうちの実装面201の高さ情報に基づいて、実装面201の測定平面205が実装面201毎に個別に取得される。
そして、ステップS7において、実装面201の測定平面205が水平に位置決めされる。ステップS7では、実装面201の測定平面205が水平な基準面204に平行になるように、被実装物保持部4により被実装物200が移動される。
そして、ステップS8において、補正された目標位置に向かって塗布ヘッド21が移動されるとともに、塗布ヘッド21により実装面201の実装位置202に接合材が塗布される。
そして、ステップS9において、補正された目標位置に向かって実装ヘッド22が移動されるとともに、実装ヘッド22により、ステップS8において塗布作業が行われた実装面201の実装位置202に部品Eが実装される。
そして、ステップS10において、全ての実装面201において実装作業が完了したか否かが判断される。全ての実装面201において実装作業が完了していないと判断される場合、ステップS7に進む。そして、ステップS7〜S9の処理が繰り返されて、実装作業が未完了の実装面201において塗布作業および実装作業が行われる。
また、ステップS10において、全ての実装面201において実装作業が完了したと判断される場合、実装処理が終了される。
(本実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
本実施形態では、上記のように、被実装物200の立体形状情報に基づいて実装位置202の設計位置からの位置誤差を取得する。これにより、単一の実装面201の測定結果のような平面的な情報のみに基づいて実装位置202の設計位置からの位置誤差を取得する場合に比べて、多い情報量により、実装位置202の設計位置からの位置誤差を取得することができる。その結果、被実装物200の立体形状伸縮、歪みなどに起因する位置誤差や被実装物200の固定時(保持時)の3次元的な位置ずれに起因する位置誤差などを十分に反映させた状態で、実装位置202の設計位置からの位置誤差を取得することができる。これにより、実装位置202の設計位置からの位置誤差を精度良く取得することができるので、立体形状の被実装物200において、実装位置202に関する補正制御を精度良く行うことができる。
また、本実施形態では、上記のように、制御部8を、形状測定部6に被実装物200の複数の実装面201を実装面201毎に個別に順次測定させるとともに、実装面201毎に個別に順次測定された複数の実装面201の測定結果に基づいて、被実装物200の立体形状情報を取得するように構成する。このように、制御部8を、形状測定部6に被実装物200の複数の実装面201を実装面201毎に個別に順次測定させるように構成することにより、複数の実装面201の各々の情報を精度良く取得することができる。また、制御部8を、実装面201毎に個別に順次測定された複数の実装面201の測定結果に基づいて、被実装物200の立体形状情報を取得するように構成することにより、精度良く取得された複数の実装面201の各々の情報を含む被実装物200の立体形状情報を取得することができる。その結果、この立体形状情報に基づいて、実装位置202に関する補正制御を、複数の実装面201の各々において確実に精度良く行うことができる。
また、本実施形態では、上記のように、制御部8を、形状測定部6に複数の実装面201を実装面201毎に個別に順次測定させる際、測定される実装面201が基準面204に略平行になりかつ略一致するように、被実装物保持部4により被実装物200を移動させる制御を行うように構成する。これにより、基準面204に略平行になりかつ略一致した状態で、形状測定部6に複数の実装面201の各々を測定させることができる。その結果、複数の実装面201の各々の測定条件を揃えることができる。これにより、複数の実装面201の各々の測定結果を安定して取得することができる。また、本実施形態のように形状測定部6がレーザ変位計であり、位置測定部7がカメラである場合、レーザ変位計やカメラの焦点位置に基準面204が設定されていれば、焦点位置に位置する複数の実装面201の各々を、レーザ変位計としての形状測定部6やカメラとしての位置測定部7により精度良く測定することができる。
また、本実施形態では、上記のように、被実装物作業装置100は、被実装物200の実装面201の特徴部203の位置を測定するための位置測定部7を備える。また、制御部8を、形状測定部6に複数の実装面201を実装面201毎に個別に順次測定させる際、形状測定部6と共に、位置測定部7に被実装物200の複数の実装面201の特徴部203を実装面201毎に個別に順次測定させる制御を行うように構成する。このように、被実装物200の実装面201の特徴部203の位置を測定するための位置測定部7を備えるように構成することにより、立体形状情報に加えて、位置測定部7による被実装物200の実装面201の特徴部203の位置の測定結果にも基づいて、実装位置202の設計位置からの位置誤差をより精度良く取得することができる。また、制御部8を、形状測定部6と共に、位置測定部7に被実装物200の複数の実装面201の特徴部203を実装面201毎に個別に順次測定させる制御を行うように構成することにより、形状測定部6だけでなく位置測定部7も複数の実装面201を実装面201毎に個別に順次測定する場合にも、形状測定部6および位置測定部7による測定動作を簡素化し、かつ、この測定動作に要する時間を短縮することができる。
また、本実施形態では、上記のように、制御部8を、被実装物200の立体形状情報のうちの実装面201の高さ情報に基づいて、実装面201の測定平面205を示す情報を取得するとともに、取得された実装面201の測定平面205が基準面204に略平行になるように、被実装物保持部4により被実装物200を移動させた状態で、ヘッド(塗布ヘッド21および実装ヘッド22)に被実装物200の実装面201への作業を行わせる制御を行うように構成する。ここで、ヘッド(塗布ヘッド21および実装ヘッド22)は、通常、実装面201が基準面204に略平行な状態で作業(塗布作業、実装作業など)を行うように設計されている。このため、実装面201が基準面204に対して傾いている場合、ヘッド(塗布ヘッド21および実装ヘッド22)による被実装物200の実装面201への作業の精度が低下する。そこで、上記のように、制御部8を、実装面201の測定平面205が基準面204に略平行になるように、被実装物保持部4により被実装物200を移動させた状態で、ヘッド(塗布ヘッド21および実装ヘッド22)に被実装物200の実装面201への作業を行わせる制御を行うように構成することにより、実装面201を極力基準面204に略平行にした状態で、ヘッド(塗布ヘッド21および実装ヘッド22)に被実装物200の実装面201への作業を行わせることができる。その結果、ヘッド(塗布ヘッド21および実装ヘッド22)による被実装物200の実装面201への作業の精度が低下することを抑制することができるので、その分、ヘッド(塗布ヘッド21および実装ヘッド22)による被実装物200の実装面201への作業を精度良く行うことができる。
また、本実施形態では、上記のように、制御部8を、曲面を有する被実装物200(被実装物200bなど)に作業を行う場合、被実装物200の実装面201の実装位置202の近傍の測定平面205を示す情報を取得するとともに、取得された実装位置202の近傍の測定平面205が基準面204に略平行になるように、被実装物保持部4により被実装物200を移動させた状態で、ヘッド(塗布ヘッド21および実装ヘッド22)に被実装物200の実装面201に作業を行わせる制御を行うように構成する。これにより、曲面を有する被実装物200においても、ヘッド(塗布ヘッド21および実装ヘッド22)による被実装物200の実装面201への作業の精度が低下することを抑制し、かつ、ヘッド(塗布ヘッド21および実装ヘッド22)による被実装物200の実装面201への作業を精度良く行うことができる。
また、本実施形態では、上記のように、制御部8を、被実装物200の立体形状情報のうちの実装面201の高さ情報に基づいて、単一の実装面201を分割するように、複数の測定平面205を示す情報を取得するように構成する。これにより、測定平面205毎に実装面201を基準面204に略平行にすることができるので、実装面201を極力基準面204に略平行にした状態をより確実に維持しつつ、ヘッド(塗布ヘッド21および実装ヘッド22)に被実装物200の実装面201への作業を行わせることができる。その結果、ヘッド(塗布ヘッド21および実装ヘッド22)による被実装物200の実装面201への作業の精度が低下することをより抑制し、かつ、ヘッド(塗布ヘッド21および実装ヘッド22)による被実装物200の実装面201への作業をより精度良く行うことができる。
また、本実施形態では、上記のように、実装面201の測定平面205は、最小二乗法による最小二乗平面である。これにより、実装面201の測定平面205を容易にかつ精度良く取得することができる。
また、本実施形態では、上記のように、制御部8を、実装位置202の設計位置からの位置誤差に基づいて、ヘッド(塗布ヘッド21および実装ヘッド22)の目標位置を補正するように、実装位置202に関する補正制御を行うように構成する。これにより、単にヘッド(塗布ヘッド21および実装ヘッド22)の目標位置(移動位置)を補正するだけで、実装位置202に関する補正制御を行うことができる。
また、本実施形態では、上記のように、制御部8を、形状測定部6にロットの2つ目以降の被実装物200を測定させる場合、ロットの最初の被実装物200よりも少ない測定箇所で形状測定部6に被実装物200を測定させる制御を行うように構成する。また、制御部8を、ロットの2つ目以降の被実装物200において実装位置202の設計位置からの位置誤差を取得する場合、ロットの最初の被実装物200の立体形状情報にも基づいて、実装位置202の設計位置からの位置誤差を取得するように構成する。このように、制御部8を、形状測定部6にロットの2つ目以降の被実装物200を測定させる場合、ロットの最初の被実装物200よりも少ない測定箇所で形状測定部6に被実装物200を測定させる制御を行うように構成することにより、ロットの2つ目以降の被実装物200では、形状測定部6による測定に要する時間を短縮することができる。また、制御部8を、ロットの2つ目以降の被実装物200において実装位置202の設計位置からの位置誤差を取得する場合、ロットの最初の被実装物200の立体形状情報にも基づいて、実装位置202の設計位置からの位置誤差を取得するように構成することにより、測定箇所が少なくなったとしても、ロットの最初の被実装物200の立体形状情報を利用して、実装位置202の設計位置からの位置誤差の取得精度を維持することができる。これらの結果、ロットの2つ目以降の被実装物200において、実装位置202の設計位置からの位置誤差の取得精度を維持しつつ、形状測定部6による測定に要する時間を短縮することができる。
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく請求の範囲によって示され、さらに請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更(変形例)が含まれる。
たとえば、上記実施形態では、ヘッドにより塗布作業および実装作業を行う被実装物作業装置に本発明を適用した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明は、ヘッドにより塗布作業のみかまたは実装作業のみを行う被実装物作業装置に適用されてもよい。また、本発明は、ヘッドにより塗布作業および実装作業以外の作業を行う被実装物作業装置に適用されてもよい。
また、上記実施形態では、形状測定部をレーザ変位計により構成する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、形状測定部を被写体の形状を測定可能なステレオカメラにより構成してもよい。
また、上記実施形態では、位置測定部をカメラにより構成する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、位置測定部をカメラ以外により構成してもよい。
また、上記実施形態では、形状測定部により被実装物の複数の実装面の全部を測定させる例を示したが、本発明はこれに限られない。立体形状情報が取得可能であれば、形状測定部により被実装物の複数の実装面の一部の面(いくつかの面)のみを測定させてもよい。
また、上記実施形態では、被実装物の立体形状情報および実装面の特徴部の位置情報に基づいて、被実装物の設計形状に対する伸縮、被実装物の設計形状に対する歪み、被実装物の固定(保持)による位置ずれ、被実装物の実装面内における実装位置の特徴部に対する相対位置が取得される例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、被実装物の立体形状情報のみに基づいて、被実装物の設計形状に対する伸縮、被実装物の設計形状に対する歪み、被実装物の固定(保持)による位置ずれ、被実装物の実装面内における実装位置の特徴部に対する相対位置が取得されてもよい。
また、上記実施形態では、形状測定部と共に位置測定部に複数の実装面を実装面毎に個別に順次測定させる例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、形状測定部に複数の実装面を実装面毎に個別に順次測定させた後、位置測定部に複数の実装面を実装面毎に個別に順次測定させてもよい。
また、上記実施形態では、実装面の測定平面を示す情報を取得するとともに、取得された測定平面を基準面に対して位置決めした状態で、ヘッドに被実装物の実装面への作業を行わせる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、必ずしも実装面の測定平面を取得しなくてもよい。たとえば、実装面の設計平面を基準面に対して位置決めした状態で、ヘッドに被実装物の実装面への作業を行わせてもよい。
また、上記実施形態では、ヘッドの目標位置を補正するように、実装位置に関する補正制御を行う例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、ヘッドの目標位置を補正するとともに、被実装物保持部により被実装物を上下方向に移動させるように、実装位置に関する補正制御を行ってもよい。
また、上記実施形態では、ロットの2つ目以降の被実装物の立体形状を測定させる場合、ロットの最初の被実装物よりも少ない測定箇所で、形状測定部に被実装物を測定させる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ロットの2つ目以降の被実装物の立体形状を測定させる場合にも、ロットの最初の被実装物と同じ測定箇所で、形状測定部に被実装物を測定させてもよい。