JP6829592B2 - 建物構造 - Google Patents
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Description
そのため、ピット部の荷重を考慮して構造躯体におけるピット部の周辺部分を設計する必要があり、構造躯体における当該部分の構造部材の多量化や大型化を招くことになる。このような問題は、ピット部が、大きな衝撃荷重を考慮する必要のあるエレベータピットである場合に特に顕著に現れる。
さらに、ピット部の荷重の分だけ構造躯体の全体重量が嵩むので、構造躯体に作用する重力や水平外力(地震時水平力等)も大きくなる。よって、このことも考慮して構造躯体を頑強に設計しなければならない。
これらのことから、従来の建物構造では、どうしても建築コストが高くつく問題があった。
前記ピット部が、前記建物の構造躯体には荷重を負担させないように前記構造躯体と縁切り部にて縁切りされた状態で、地盤に支持され、
前記構造躯体には、前記ピット部が埋め込み状態で配置された構造スラブが備えられ、
前記縁切り部が、上下方向で対面する前記構造スラブの下面部と前記ピット部の上端面との間の前記構造スラブの上面部には露出しない部位で、上方側の前記構造スラブと下方側の前記ピット部とを上下方向で分断して縁切りするように構成されている点にある。
しかも、このような優れた効果を、構造躯体とピット部とを縁切り部で縁切りし、構造躯体とは独立した状態でピット部を地盤に支持させるシンプルな構造で得ることができる。
又、例えば、構造スラブとそれに埋め込み状態で配置されたピット部との縁切り部が、縦スリットなどのように構造スラブの上面部に露出する部位で構造スラブと前記ピット部とを縁切りするものであれば、重量や支持形態の相違から生じる構造スラブとピット部との間での沈下量差により、構造スラブの上面部で露出する縁切り部の配置箇所において事後的に段差が発生する虞がある。
これに対して、本構成によれば、構造スラブとピット部との縁切り部が、構造スラブの上面部には露出しない部位で構造スラブと前記ピット部とを縁切りするので、上述のような不都合が起こるのを未然に回避することができる。
〔第1実施形態〕
図1は、本発明に係る建物構造を採用した建物Tの下層部を示している。同図1に示すように、この建物Tの内側の下層部には、構造躯体1として、基礎11、床スラブ12(構造スラブの一例)、柱13、壁14などが備えられている。基礎11は、例えば、基礎フーチング11Aと基礎梁11Bなどにて構成することができる。また、この建物Tの下層部には、エレベータ昇降路2の底部において、床スラブ12から凹状に窪むエレベータピット用の空間S1(設備用の空間Sの一例)を形成するピット部3が備えられている。床スラブ12及びピット部3は、例えば、鉄筋コンクリートなどにて構築することができる。
そのため、エレベータピット用の空間S1を有するエレベータ昇降路2において、火災時の熱や火炎を遮ることのできる適切な竪穴区画(防火区画の一例)を形成することができる。
前述の第1実施形態では、ピット部3が、設備用の空間Sとしてエレベータピット用の空間S1を形成する場合を例に示したが、これに限るものではない。
この第2実施形態では、ピット部3が、設備用の空間Sとして貯水用の空間S2を形成するように構成されている。具体的には、ピット部3には、略水平姿勢の底壁部33と、略水平姿勢の天壁部34と、底壁部33と天壁部34の外周縁どうしに亘る略鉛直姿勢の周壁部35とが備えられている。天壁部34には、着脱自在な蓋34aを有する開口部34bが形成されている。
この第2実施形態のピット部3は、床スラブ12に埋め込み状態で配置され、その配置状態で底壁部33と天壁部34と周壁部35とで囲まれた貯水用の空間S2を形成することができる。
しかも、縦スリット42がピット部3の周壁部35の外周面35aの外側に位置するので、貯水用の空間S2と縦スリット42とが関係することはない。そのため、縁切り部4を形成することによる貯水用の空間S2からの水の漏出の問題も確実に回避することができる。
なお、この第2実施形態では、貯水用の空間S2への貯水によるピット部3の重量の増加を考慮し、ピット部3の直下の地盤部分g3に対して第1実施形態よりも深い範囲まで地盤改良が施されている。
(1)前述の実施形態では、ピット部3が、鉄筋コンクリートにて構成されている場合を例に示したが、軽量気泡コンクリートや鉄骨などで構成されていてもよい。このようにすれば、ピット部3を軽量化することができ、ピット部の支持構造の簡略化を図ることができる。
3 ピット部
4 縁切り部
12 床スラブ(構造スラブ)
G 地盤
S 設備用の空間
T 建物
g3 地盤部分
A 改良地盤
Claims (3)
- 設備用の空間を形成するピット部が建物の下層部に備えられている建物構造であって、
前記ピット部が、前記建物の構造躯体には荷重を負担させないように構造躯体と縁切り部にて縁切りされた状態で地盤に支持され、
前記構造躯体には、前記ピット部が埋め込み状態で配置された構造スラブが備えられ、
前記縁切り部が、上下方向で対面する前記構造スラブの下面部と前記ピット部の上端面との間の前記構造スラブの上面部には露出しない部位で、上方側の前記構造スラブと下方側の前記ピット部とを上下方向で分断して縁切りするように構成されている建物構造。 - 前記縁切り部には、防火区画の形成を可能とする防火措置が施されている請求項1記載の建物構造。
- 前記ピット部の荷重を負担させる地盤部分に、地盤改良が施されている請求項1又は2記載の建物構造。
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