以下添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明し、本発明の理解に供する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。また、下記の各実施形態の構成及び処理機能を取捨選択して任意に組み合わせることも可能である。
[第1の実施形態]
図1に示されているように、本発明の実施形態に係る鑑査支援システム1は、サーバー2と、一又は複数のクライアント端末3と、一又は複数の錠剤分包装置4と、一又は複数の調剤機器5とを備える。なお、前記サーバー2単体を、本発明に係る鑑査支援システムとして捉えてもよい。
前記サーバー2、前記クライアント端末3、前記錠剤分包装置4、及び前記調剤機器5各々は、LAN又はインターネット等の通信網N1を介して無線又は有線で通信可能に接続されている。また、前記サーバー2には、前記サーバー2に処方データを入力する電子カルテシステム又は処方入力端末などの上位システム6が前記通信網N1を介して接続されている。なお、前記サーバー2が処方箋から処方データを読み取り可能であること、又は前記サーバー2においてユーザー操作による処方データの入力が可能であることも考えられる。
[サーバー2]
前記サーバー2は、制御部21、記憶部22、通信I/F23、表示部24、操作部25、ドライブ装置26、及びコード読取部27等を備えるパーソナルコンピュータである。前記サーバー2は、前記鑑査支援システム1が使用される医療機関の内部又は外部に配置される。
前記制御部21は、CPU、ROM、RAM、及びEEPROM(登録商標)などの制御機器を有する。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記ROMは、前記CPUに各種の処理を実行させるための制御プログラムなどの情報が予め記憶される不揮発性の記憶部である。前記RAMは揮発性の記憶部、前記EEPROMは不揮発性の記憶部である。前記RAM及び前記EEPROMは、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される。そして、前記制御部21は、前記CPUを用いて、前記ROM、前記EEPROM、又は前記記憶部22に予め記憶された各種の制御プログラムに従って各種の処理を実行する。
前記記憶部22は、各種のデータを記憶するハードディスク装置又はSSD(Solid State Drive)などの記憶部である。具体的に、前記記憶部22には、前記制御部21等のコンピュータに後述の鑑査支援処理(図7参照)を実行させるための鑑査支援プログラムが予め記憶されている。
また、前記記憶部22には、例えば医薬品マスター、患者マスター、カセットマスター、及び薬局マスターなどの各種のデータベースも記憶されている。前記医薬品マスターには、薬品ID、薬品コード、薬品名、YJコード、JANコード(又はRSSコード)、薬瓶コード、区分(剤形:散薬、錠剤、水剤、外用薬など)、錠剤の形状(カプセル錠、球形錠、平錠(円板状の錠剤)など)、錠剤のサイズ、比重、薬品種(普通薬、毒薬、麻薬、劇薬、抗精神薬、治療薬など)、配合変化、賦形薬品、注意事項などの医薬品各々に関する情報が含まれる。前記患者マスターには、患者ID、氏名、性別、年齢、既往歴、処方薬履歴、家族情報、診療科、病棟、及び病室などの患者に関する情報が含まれる。前記薬局マスターには、薬局名、薬品師の氏名、薬品師のIDなどの薬局に関する情報が含まれる。また、前記カセットマスターは、前記錠剤分包装置4が有する後述の薬剤カセット41各々のカセット識別情報と前記薬剤カセット41各々に割り当てられた錠剤との対応関係を示す情報である。
さらに、前記記憶部22には、薬品ごとに、薬品コード、薬品名称、JANコード、RSSコード、薬瓶コード、剤形、単位、比重、薬品種、配合変化、賦形薬品、注意事項、アレルギー情報、添付文書情報などの情報が対応付けられた薬品データベースが前記医薬品マスターとは別に記憶されている。特に、前記薬品データベースにおいて、錠剤については、その錠剤に形成されている錠剤の識別情報、錠剤の形状、及び錠剤の外観画像(表面及び裏面)などの情報が記憶されている。なお、前記薬品データベースは、例えば前記ドライブ装置26によってCD又はDVDなどの記録媒体から読み取られ、又は前記通信網N1を介して外部装置から受信され、前記データ記憶部22に記憶される。なお、前記薬品データベースは、前記鑑査支援システム1において、前記医薬品マスターなどの各種マスターに情報を取り込む際、又は薬品各々の添付文書の情報を参照する際などに使用される。例えば、前記鑑査支援システム1では、前記サーバー2又は前記クライアント端末3などにおけるユーザー操作に応じて前記薬品データベースが表示可能である。また、前記制御部21が、前記通信網N1を介して外部装置又はウェブサイトから前記薬品データベースを必要に応じて読み出すことが可能な構成であってもよい。
前記通信I/F23は、前記通信網N1を介して前記クライアント端末2、前記錠剤分包装置4、及び前記調剤機器5などの外部機器との間で、予め定められた通信プロトコルに従って無線又は有線でデータ通信を実行するネットワークカード等を有する通信インターフェースである。
前記表示部24は、前記制御部21からの制御指示に従って各種の情報及び操作画面を表示する液晶モニター等の表示部である。前記操作部25は、ユーザー操作を受け付けるキーボード、マウス及びタッチパネル等の操作部であり、ユーザー操作に対応する操作信号を前記制御部21に入力する。前記操作部25は、例えば前記表示部24に表示された表示画面における処方データの選択操作、及び前記処方データの調剤開始を要求する処方データの発行操作などの各種操作入力を受け付ける。
前記ドライブ装置26は、前記鑑査支援プログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体261から前記鑑査支援プログラムを読み取ることが可能である。前記記録媒体261は、CD、DVD、BD、又はUSBメモリーなどであり、前記ドライブ装置26は、CDドライブ、DVDドライブ、BDドライブ、又はUSBポートなどである。前記サーバー2では、前記制御部21により、前記ドライブ装置26を用いて前記記録媒体261から読み取られた前記鑑査支援プログラムが前記記憶部22に記憶される。
前記コード読取部27は、コード情報(バーコード又は二次元コードなど)を読み取ることが可能なバーコードリーダーである。例えば、前記コード読取部27は、処方箋に記載された前記コード情報から処方データを読み取るために用いられる。前記処方箋から読み取られた処方データは前記制御部21によって前記記憶部22に記憶される。
このように構成された前記サーバー2において、前記制御部21は、鑑査表示処理部211、リスト表示処理部212、操作表示処理部213、及び再実行処理部214を含む。具体的に、前記制御部21は、前記鑑査支援プログラムに従って各種の処理を実行することにより、前記鑑査表示処理部211、前記リスト表示処理部212、前記操作表示処理部213、及び前記再実行処理部214として機能する。なお、前記制御部21は、前記処方データに基づいて前記錠剤分包装置4及び前記調剤機器5による分包処理などの調剤処理を実行させるための調剤用の処方データ(調剤データ)を生成し、その処方データを前記錠剤分包装置4及び前記調剤機器5に入力する機能も有する。これにより、前記錠剤分包装置4及び前記調剤機器5では、前記処方データに基づいて分包処理などの調剤処理が実行される。
前記鑑査表示処理部211は、前記錠剤分包装置4において処方データに基づいて後述の錠剤カセット41又は手撒きユニット42から払い出された錠剤が分包紙などの包装材で分包される前に撮影された前記錠剤の撮影画像を分包単位(一包単位)で前記クライアント端末3などに表示する。また、前記鑑査表示処理部211は、前記錠剤の撮影画像に含まれる前記錠剤の識別情報(文字又は記号など)と前記処方データとに基づいて実行される鑑査処理の結果を前記クライアント端末3などに表示する。例えば、前記鑑査処理では、前記錠剤の撮影画像から文字認識処理によって認識される識別情報と前記処方データに含まれる錠剤の識別情報とが照合される。また、前記鑑査処理では、前記錠剤の撮影画像に含まれる識別情報の画像と前記処方データに含まれる錠剤の識別情報に対応して予め登録されている正画像とが照合されてもよい。
前記リスト表示処理部212は、前記鑑査処理の結果がエラーである場合に、前記エラーの原因を前記エラーの原因となった前記錠剤の服用日及び服用時期と共にリスト表示する。例えば、前記リスト表示処理部212は、後述の鑑査詳細画面D31におけるNGリスト領域A37(図11参照)を前記クライアント端末3などに表示させる。
前記操作表示処理部213は、前記錠剤分包装置4及び前記調剤機器5で調剤された薬剤の鑑査結果が表示される第1表示画面又は前記第1画面における予め定められた操作後に表示される第2表示画面に、前記錠剤分包装置4及び前記調剤機器5で実行された前記処方データに基づく調剤処理の一部又は全部を個別に再実行させるための操作部を表示させる。より具体的に、本実施形態において、前記操作表示処理部213は、前記鑑査表示処理部211により前記鑑査処理の結果が表示される前記第1表示画面である後述の鑑査詳細画面D31(図11参照)に、前記錠剤分包装置4で実行された分包処理の一部又は全部を再実行させるための前記操作部として、後述の操作キーK33、操作キーK34、入力欄K35、及び操作キーK36などを表示させることが可能である。
前記再実行処理部214は、前記操作表示処理部213により表示される前記操作部に対するユーザー操作に応じて、前記錠剤分包装置4及び前記調剤機器5で実行された調剤処理の一部又は全部を前記錠剤分包装置4及び前記調剤機器5に再実行させる。より具体的に、本実施形態において、前記再実行処理部214は、前記操作表示処理部213により表示される前記操作部に対するユーザー操作に応じて、前記錠剤分包装置4で実行された分包処理の一部又は全部を前記錠剤分包装置4に再実行させることが可能である。
[クライアント端末3]
一方、前記クライアント端末3は、制御部31、記憶部32、通信I/F33、表示部34、操作部35、ドライブ装置36、及びコード読取部37などを備えるパーソナルコンピュータである。前記クライアント端末3各々は、前記鑑査支援システム1が使用される医療機関に配置され、薬剤師などのユーザーによって操作される操作端末である。
前記制御部31は、CPU、ROM、RAM、及びEEPROMなどの制御機器を有する。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記ROMは、前記CPUに各種の処理を実行させるための制御プログラムなどの情報が予め記憶される不揮発性の記憶部である。前記RAMは揮発性の記憶部、前記EEPROMは不揮発性の記憶部である。前記RAM及び前記EEPROMは、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される。そして、前記制御部31は、前記CPUを用いて、前記ROM、前記EEPROM、又は前記記憶部32に予め記憶された各種の制御プログラムに従って各種の処理を実行する。
前記記憶部32は、前記制御部31によって実行される各種のアプリケーションプログラム及び各種のデータが記憶されるハードディスク又はSSD等の不揮発性の記憶部である。具体的に、前記記憶部32には、オペレーティングシステム(OS)及びブラウザソフトなどのアプリケーションプログラムが記憶される。前記ブラウザソフトは、前記通信網N1を介して前記サーバー2にアクセスすることにより前記表示部34に各種の操作画面などを表示させると共に、前記操作部35を用いた前記操作画面に対する入力操作を前記サーバー2に伝達するためのアプリケーションソフトウェアである。具体的に、前記制御部31は、前記ブラウザソフトにより表示される操作画面の所定位置に、前記サーバー2に対応するURL(Universal Resource Locator)などのアドレス情報が入力された場合に、該アドレス情報に基づいて前記サーバー2にアクセスする。
前記通信I/F33は、前記通信網N1を介して前記サーバー2などの外部機器との間で、予め定められた通信プロトコルに従って無線又は有線でデータ通信を実行するネットワークカード等を有する通信インターフェースである。
前記表示部34は、前記制御部31からの制御指示に従って各種の情報を表示する液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイなどの表示部である。前記操作部35は、前記クライアント端末3に各種の情報を入力するためにユーザーによって操作される操作部である。具体的に、前記操作部35は、前記表示部34に表示される各種の操作画面における入力操作を受け付けるキーボード及びマウス(ポインティングデバイス)を含む。また、前記操作部35は、前記表示部34に表示される各種の操作画面に対するタッチ操作を受け付けるタッチパネル、又は音声認識により各種情報の入力を受け付ける音声入力装置を含むものであってもよい。
前記ドライブ装置36は、前記OS又は前記ブラウザソフトなどが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体361から前記OS又は前記ブラウザソフトなどを読み取ることが可能である。前記記録媒体361は、CD、DVD、BD、又はUSBメモリーなどであり、前記ドライブ装置36は、CDドライブ、DVDドライブ、BDドライブ、又はUSBポートなどである。前記クライアント端末3では、前記制御部31により、前記ドライブ装置36を用いて前記記録媒体361から読み取られた前記OS又は前記ブラウザソフトなどが前記記憶部32に記憶される。
前記コード読取部37は、コード情報(バーコード又は二次元コードなど)を読み取ることが可能なバーコードリーダーである。例えば、前記コード読取部37は、薬包451に記載された前記コード情報を読み取るために用いられる。
そして、前記鑑査支援システム1では、前記サーバー2及び前記クライアント端末3によりサーバクライアントシステムが構成されており、前記サーバー2が前記クライアント端末3のユーザー操作に応じて各種の処理を実行する場合について説明する。そのため、以下に説明する「表示」、「操作」、「選択」、「入力」などは、前記クライアント端末3の前記表示部34及び前記操作部35を用いて行われる。例えば、前記サーバー2の制御部21は、HTMLなどのページ記述言語によって記述されたデータを前記クライアント端末3に送信することにより、前記クライアント端末3に各種の画面を表示させる。
なお、前記サーバー2、前記クライアント端末3、及び前記錠剤分包装置4のいずれか一つ又は複数に、前記鑑査支援プログラムの一部又は全部がインストールされており、後述の鑑査支援処理が前記サーバー2、前記クライアント端末3、及び前記錠剤分包装置4などによって協働して実行されることも考えられる。
また、他の実施形態として、前記鑑査支援システム1に、前記サーバー2とは別に、後述の鑑査支援処理(図7参照)を実行する鑑査支援機能を有する鑑査支援システムが設けられることも考えられる。前記鑑査支援システムは、例えばパーソナルコンピュータ又はタブレット端末などの情報処理装置であって、前記鑑査支援システム1に設けられた前記サーバー2、前記クライアント端末3、前記錠剤分包装置4、及び前記調剤機器5などとの間で通信可能である。また、前記錠剤分包装置4のような調剤機器に前記鑑査支援システムが搭載されることも考えられる。
[錠剤分包装置4]
前記錠剤分包装置4は、薬剤を調剤するために用いられる調剤機器である。具体的に、前記錠剤分包装置4は、図1及び図2に示されるように、制御部40、錠剤カセット41、手撒きユニット42、分離ユニット43、回転ユニット44、分包ユニット45、撮影部46、及び通過検出部47等を備える。そして、前記錠剤分包装置4は、前記処方データに基づいて前記錠剤カセット41及び前記手撒きユニット42のいずれか一方又は両方から錠剤を自動的に払い出して服用単位で分包することが可能である。なお、図2における一点鎖線は、錠剤の移動経路を示している。
前記撮影部46は、前記錠剤カセット41から前記分包ユニット45までの錠剤の移動経路、及び前記手撒きユニット42から前記分包ユニット45までの錠剤の移動経路に設けられるカメラ461〜467を含む。前記カメラ461〜467は、前記錠剤カセット41又は前記手撒きユニット42から払い出された錠剤が前記分包ユニット45によって分包紙で分包される前に前記錠剤を1錠又は複数錠ごとに撮影するために用いられる。なお、前記カメラ461〜467で撮影される画像はカラー又はモノクロである。そして、前記カメラ461〜467による錠剤の撮影画像は、前記制御部40によって、前記錠剤分包装置4に設けられたハードディスクなどの記憶装置である記憶部49に記憶されると共に前記サーバー2に送信される。
図2に示されるように、前記カメラ461は、前記錠剤カセット41から前記回転ユニット44に供給された錠剤を撮影するために用いられる。前記カメラ462及び前記カメラ463は、前記回転ユニット44に設けられた後述の錠剤回転部441で回転している錠剤から、その錠剤の外周の異なる複数の領域(例えば表面及び裏面など)を撮影するために用いられる。前記カメラ464は、前記手撒きユニット42に収容された錠剤を撮影するために用いられる。前記カメラ465は、前記手撒きユニット42から前記分離ユニット43に供給された錠剤を撮影するために用いられる。前記カメラ466は、前記分離ユニット43から前記回転ユニット44に供給された錠剤を撮影するために用いられる。前記カメラ467は、前記回転ユニット44に設けられた後述の貯留部443に貯留される服用単位(分包単位)の錠剤を撮影するために用いられる。なお、前記錠剤分包装置4が、後述の貯留部443を備えていない場合、前記カメラ467は、前記回転ユニット44から落下する錠剤をその落下中に撮影するために用いられる。また、前記貯留部443に代えて、前記回転ユニット44から落下する錠剤を下方に配置された前記包装材に導く薬剤導入部80(図48及び図49参照)が設けられることがある。この場合、前記カメラ467は、前記貯留部443に貯留された錠剤に代えて、前記薬剤導入部80、前記錠剤、及び前記包装材を含む撮影範囲を撮影可能な位置に配置されることが考えられる。
また、前記通過検出部47は、前記錠剤カセット41から前記分包ユニット45までの錠剤の移動経路、及び前記手撒きユニット42から前記分包ユニット45までの錠剤の移動経路において前記錠剤の通過を検出する光学式センサーなどの通過検出センサー471〜475を含む。そして、前記通過検出センサー471〜475による錠剤の検出信号は前記制御部40に入力される。
図2に示されるように、前記通過検出センサー471は、前記錠剤カセット41から払い出される錠剤を検出し、前記通過検出センサー472は、前記錠剤カセット41から前記回転ユニット44に落下する錠剤を検出する。また、前記通過検出センサー473は、前記手撒きユニット42から払い出される錠剤を検出し、前記通過検出センサー474は、前記分離ユニット43から前記回転ユニット44に落下する錠剤を検出する。また、前記通過検出センサー475は、前記回転ユニット44において後述の錠剤回転部441から貯留部443に落下する錠剤を検出する。
前記制御部40は、CPU等のプロセッサーとRAM及びEEPROMなどの記憶部とを有しており、前記錠剤分包装置4を統括的に制御する。具体的に、前記制御部40は、前記サーバー2から入力される前記処方データに基づいて前記錠剤分包装置4の動作を制御することにより前記処方データに対応する一種類又は複数種類の錠剤を服用時期ごとに分包する分包処理を実行させる。
また、前記制御部40は、前記通過検出部47による錠剤の検出タイミングに応じて前記撮影部46により画像を撮影する撮影処理を実行する。例えば、前記錠剤カセット41から前記錠剤回転部441に落下する錠剤が前記通過検出センサー472によって検出された場合に、前記カメラ461による撮影が行われる。なお、前記カメラ462及び前記カメラ463による撮影は、前記錠剤分包装置4における前記分包処理の実行中に予め設定された撮影間隔(数ms)で行われる。一方、前記カメラ464による撮影は、前記手撒きユニット42への錠剤の手撒き作業が終了した旨の操作入力が行われた場合などに行われる。また、前記手撒きユニット42から払い出される錠剤が前記通過検出センサー473によって検出された場合に前記カメラ465による撮影が行われ、前記分離ユニット43から前記錠剤回転部441に落下する錠剤が前記通過検出センサー474によって検出された場合に前記カメラ466による撮影が行われる。さらに、前記通過検出センサー475により一服用分の数に対応する錠剤が検出された場合に前記カメラ467による撮影が行われる。また、前記錠剤分包装置4が、前記貯留部443を備えていない場合には、前記回転ユニット44から落下する錠剤が前記通過検出センサー475によって検出されるごとに前記カメラ467による撮影が行われ、前記回転ユニット44から落下する錠剤が撮影される。なお、前記カメラ461〜467による撮影タイミングは、これらに限らず各々の撮影画像の用途などに応じて予め設定されていればよい。また、前記錠剤分包装置4において、前記制御部40は、前記通過検出センサー471〜475による検出結果に基づいて、前記錠剤カセット41又は前記手撒きユニット42から前記分包ユニト45に向けて払い出される錠剤の経過を判断することが可能である。従って、前記制御部40は、例えば錠剤の払い出しが正常に行われなかった場合などに、その錠剤がどの位置まで移動したかを判定してユーザーに報知(表示)することが可能である。なお、前記錠剤分包装置4において、前記錠剤が移動する経路上の外装部材が透明又は半透明の部材で形成されており、外部から前記錠剤の移動状況を視認することが可能な構成も考えられる。
そして、前記制御部40は、前記カメラ462又は前記カメラ463によって撮影される錠剤の撮影画像と前記処方データとに基づいて自動鑑査処理を実行することが可能である。前記自動鑑査処理では、前記錠剤の撮影画像に含まれる前記錠剤の識別情報が認識された場合に、前記錠剤の識別情報が前記処方データに含まれる薬品情報と一致するか否かが照合される。このように、前記制御部40は、前記分包処理において錠剤が薬包451で分包される前に前記カメラ462又は前記カメラ463によって撮影される撮影画像に基づいて前記分包処理が適正に行われたか否かを鑑査する。ここに、前記分包処理の適否を自動的に鑑査する前記自動鑑査処理として、前記撮影画像に含まれる前記錠剤の識別情報と前記処方データとを照合する画像鑑査処理を実行するときの前記制御部40が画像鑑査処理部の一例である。なお、前記自動鑑査処理において前記錠剤の撮影画像から前記錠剤の識別情報を取得する手法には、例えばパターンマッチング処理によって前記識別情報を読み取る技術などの各種の従来技術が用いられる。そして、前記照合結果が一致である場合は適正であると判定され、前記照合結果が不一致である場合はエラーと判定される。
また、前記制御部40は、前記錠剤の撮影画像から取得した前記錠剤の識別情報を用いて前記自動鑑査処理を実行する場合には、前記カメラ462又は前記カメラ463によって撮影された前記錠剤の撮影画像のうち前記錠剤から前記識別情報が読み取られたときの元画像を前記自動鑑査処理の結果(一致又はエラー)と共に前記サーバー2に送信する。なお、前記制御部40は、前記自動鑑査処理において、前記カメラ462又は463で撮影された撮影画像から前記錠剤の領域を抽出し、その抽出されたトリミング画像に基づいて前記錠剤の識別情報を読み取ることが考えられる。この場合、前記制御部40は、前記撮影画像に代えて、又は前記撮影画像と共に、前記トリミング画像を前記元画像として前記サーバー2に送信する。
前記錠剤カセット41は、予め定められた種類の錠剤が収容されるカセットであり、前記錠剤分包装置4には、複数の前記錠剤カセット41が設けられている。そして、前記錠剤分包装置4では、前記処方データに含まれる錠剤が前記錠剤カセット41から自動的に払い出される。
前記手撒きユニット42は、マトリクス状に設けられたマスを備え、前記マス各々には、例えば半錠のように前記錠剤カセット41からの払い出しに適さない錠剤が投入される。そして、前記手撒きユニット42は、前記マス各々に収容された前記錠剤を前記マス単位で払い出すことが可能である。前記分離ユニット43は、前記手撒きユニット42から払い出される錠剤を1錠ずつ分離して前記回転ユニット44に供給することが可能である。なお、前記分離ユニット43の構成としては各種の構成が考えられるが、例えばV字状の溝部に整列して載置された錠剤を、前記溝部を振動させることによって搬送することにより前記溝部の先端から1錠ずつ供給するものである。
前記回転ユニット44は、図2及び図3に示すように、6つの錠剤回転部441と、ユニット回転部442と、貯留部443とを備える。前記ユニット回転部442は、不図示の基台部により回転可能に支持されている。なお、図3は、前記回転ユニット44を上方から見た状態を示す模式図である。
前記錠剤回転部441各々は、前記錠剤カセット41又は前記手撒きユニット42から供給される1錠の錠剤を回転させることにより前記錠剤の姿勢を変位させることが可能である。前記ユニット回転部442には、6つの前記錠剤回転部441が所定の回転軸回りに60°間隔で配置されており、前記ユニット回転部442は、前記錠剤回転部441を前記所定の回転軸回りに回転させることが可能である。具体的に、前記ユニット回転部442は、前記錠剤回転部441各々を、前記分離ユニット43からの錠剤の落下位置P1、前記錠剤カセット41からの錠剤の落下位置P2、前記カメラ462による撮影可能位置P3、前記カメラ463による撮影可能位置P4、予備位置P5、及び前記貯留部443への落下位置P6の6箇所に順に移動させることが可能である。
そして、前記錠剤分包装置4では、図4に示されるように、前記錠剤カセット41から払い出された1つの錠剤17が前記錠剤回転部441に落下した場合、又は前記分離ユニット43から払い出された1つの錠剤17が前記錠剤回転部441に落下した場合に、前記ユニット回転部442によって前記錠剤回転部441が60°回転される。これにより、前記錠剤カセット41又は前記手撒きユニット42から払い出された錠剤各々は、個別に前記錠剤回転部441に載置された状態で、前記落下位置P1又は前記落下位置P2から前記落下位置P6に向けて順に移動する。そして、前記撮影可能位置P3及び前記撮影可能位置P4では、前記錠剤17が前記カメラ462及び前記カメラ463によって撮影される。
その後、前記錠剤回転部441に載置された前記錠剤17は、前記落下位置P6から前記貯留部443に落下する。前記貯留部443は、前記回転ユニット44から前記分包ユニット45への落下途中において、服用単位の錠剤を一時的に貯留するために用いられる。そして、前記貯留部443では、服用単位の錠剤が貯留された後、底面が開放されて、前記貯留部443内に収容されている服用単位の錠剤が前記分包ユニット45に供給される。
ところで、図3に示されているように、前記回転ユニット44の上方には、前記カメラ462及び前記カメラ463による撮影可能位置において前記錠剤を照明する照明装置468及び照明装置469が固定されている。前記照明装置468及び前記照明装置469は、前記カメラ462及び前記カメラ463により照明環境の異なる画像が撮影されるように、相互に異なる角度又は異なる照度で前記錠剤回転部441に光を照射するものである。例えば、前記照明装置468は、錠剤に刻印によって形成された前記錠剤の識別情報の読み取りに適した照明を行うものであり、例えば前記錠剤の識別情報が鮮明に撮影されるように前記錠剤に対して側方又は斜め上方から光を照射するものであることが考えられる。なお、前記照明装置468では、前記錠剤に対して複数の方向から光が照射されてもよい。これは、前記錠剤に形成されている前記錠剤の識別情報が刻印である場合には、前記錠剤の表面に刻印によって凹凸が生じ、前記錠剤の撮影画像における識別情報の写り方が前記凹凸に対する光の照射角度などによって変化することがあるためである。ここに、前記カメラ462及び前記照明装置468が第1撮影ユニットの一例である。また、前記照明装置469は、錠剤に印刷によって形成された前記錠剤の識別情報の読み取りに適した照明を行うものであり、例えば前記錠剤の識別情報が鮮明に撮影されるように前記錠剤に対して上方から光を照射するものであることが考えられる。これは、前記錠剤に形成されている前記錠剤の識別情報が印刷である場合には、前記錠剤の表面に塗料又は現像剤などによって前記識別情報が形成されるため、前記錠剤に凹凸が生じず前記錠剤の撮影画像における識別情報の写り方が変化しにくいためである。ここに、前記カメラ463及び前記照明装置469が第2撮影ユニットの一例である。なお、前記錠剤に形成される文字又は符号などの前記錠剤の識別情報が刻印及び印刷のいずれによって前記錠剤に形成されているかについては前記医薬品マスターなどに予め登録されている。前記医薬品マスターは、前記サーバー2の記憶部22だけでなく、前記錠剤分包装置4に設けられた記憶部49にも記憶されていることが考えられる。例えば、前記医薬品マスターでは、前記識別情報が刻印である錠剤については刻印フラグが「1」に設定されており、前記識別情報が印刷である錠剤については印刷フラグが「1」に設定されていることが考えられる。なお、前記医薬品マスターにおいて、前記識別情報が刻印である錠剤については刻印フラグが「1」に設定されており、前記識別情報が印刷である錠剤については前記刻印フラグが「0」に設定されていてもよい。そして、前記錠剤分包装置4では、前記カメラ462及び前記カメラ463による撮影画像のうち錠剤に対する前記錠剤の識別情報の形成方法(刻印又は印刷)に適した撮影画像が前記自動鑑査処理に用いられる。なお、前記識別情報の形成方法には、前述したように、例えば前記錠剤の表面に凹凸によって前記識別情報が形成される刻印、及び前記錠剤の表面に塗料又は現像剤が塗布されることによって前記識別情報が形成される印刷などが含まれる。また、前記カメラ462及び前記カメラ463による撮影画像のうち前記錠剤の識別情報を認識する際のパターンマッチング等の一致度が高い画像、又は前記錠剤の識別情報が鮮明に撮影されている画像が前記自動鑑査処理に用いられてもよい。
なお、前記記憶部49には、前記サーバー2と同様に、薬品ごとに、薬品コード、薬品名称、JANコード、RSSコード、薬瓶コード、剤形、単位、比重、薬品種、配合変化、賦形薬品、注意事項、アレルギー情報、添付文書情報などの情報が対応付けられた薬品データベースが前記医薬品マスターとは別に記憶されている。特に、前記薬品データベースにおいて、錠剤については、その錠剤に形成されている錠剤の識別情報、錠剤の形状、及び錠剤の外観画像(表面及び裏面)などの情報が記憶されている。なお、前記薬品データベースは、例えば前記錠剤分包装置に設けられる不図示のドライブ装置によってCD又はDVDなどの記録媒体から読み取られ、又は前記通信網N1を介して前記サーバー2などの外部装置から受信され、前記記憶部49に記憶される。また、前記制御部40は、前記通信網N1を介して、前記サーバー2などの外部装置、又はウェブサイトから前記薬品データベースを必要に応じて読み出すことが可能な構成であってもよい。
ここで、図4及び図5を参照しつつ、前記錠剤回転部441の一例について説明する。図4及び図5に示されているように、前記錠剤回転部441は、一対の回転ローラー100と、前記回転ローラー100各々を個別に支持する一対の支持板101と、前記一対の支持板101を相互に接近する方向に付勢するスプリング102とを備える。また、前記錠剤回転部441では、前記支持板101各々の両端部からアーム103が延在し、その先端部分には相互に噛合するギア104が形成されている。これにより、通常の状態では、前記回転ローラー100各々が相互に接近した状態であり、前記一対の回転ローラー100によって錠剤17が支持可能である。一方、前記一対の回転ローラー100は、前記ギア104の回転により同期して接離し、接触又は接近した状態では薬剤17が回転可能に支持され、離間状態では薬剤17が前記一対の回転ローラー100から前記貯留部443に向けて落下する。
また、前記回転ローラー100各々の回転軸の一端部には従動ギア100aがそれぞれ一体化されている。前記従動ギア100a各々には、駆動軸105の一端側に一体化した駆動ギア106が噛合している。前記駆動軸105の他端側には、不図示の従動ローラーが一体化されている。前記従動ローラーは、マグネットギアで構成されている。また、前記回転ユニット44では、前記カメラ462による撮影可能位置P3又は前記カメラ463による撮影可能位置P4に前記錠剤回転部441が移動したときに、前記錠剤回転部441の真下であって前記錠剤回転部441から離れた位置に、所定の駆動モーターに連結された不図示の連結マグネットギアが設けられている。
そして、前記錠剤回転部441が前記カメラ462の撮影可能位置P3又は前記カメラ463の撮影可能位置P4に移動すると、前記所定の駆動モーターからの駆動力が前記連結マグネットギアを介して前記従動ローラーに伝達される。これにより、前記所定の駆動モーターの駆動力が前記従動ローラー及び前記駆動軸105を介して前記一対の回転ローラー100に伝達され、前記一対の回転ローラー100が同期して同一方向に回転する。従って、前記一対の回転ローラー100に前記錠剤17が載置されている場合には、前記錠剤17が回転する。従って、前記錠剤回転部441では、前記カメラ462及び前記カメラ463によって撮影される前記錠剤17の姿勢を変化させることが可能であり、前記錠剤17の外周面を異なる方向から撮影可能である。即ち、前記錠剤回転部441により回転されている前記錠剤17が前記カメラ462及び前記カメラ463によって断続的又は連続で撮影されることにより、前記錠剤17に刻印などで形成された識別情報を含む外周面が撮影可能である。
なお、ここで説明した前記錠剤回転部441の構成は単なる一例に過ぎず、前記錠剤回転部441は、前記カメラ462及び前記カメラ463などによって錠剤の識別情報を読み取ることが可能な画像が撮影可能な状態に錠剤を変位させることが可能な構成であればよい。但し、前記撮影画像において前記錠剤の識別情報が鮮明に表れるような状態で撮影されることが望ましい。また、前記錠剤分包装置4では、錠剤の外周面を異なる方向から撮影することが可能であれば、例えば錠剤が透明な載置板上に載置された状態で前記載置板の表面側及び裏面側から前記錠剤が撮影される構成であってもよい。
ところで、前記制御部40は、全ての前記撮影画像を前記錠剤に対応付けられた前記正画像と比較すること、又は、全ての前記撮影画像から前記錠剤の識別情報の読み取りを試行することも考えられるが、その処理は負荷が大きくなったり、前記錠剤の識別情報の読み取り精度が低くなったりするおそれもある。これに対し、前記錠剤が平錠である場合には、前記平錠の表面及び裏面をそれらの面に垂直な方向から前記カメラ462又は前記カメラ463で撮影した撮影画像を前記正画像と比較する、又は、当該撮影画像から前記錠剤の識別情報を読み取ることで、前記自動鑑査処理の精度が高くなる。これは、前記錠剤が平錠である場合には前記錠剤の識別情報が平錠の表面及び裏面のいずれか一方又は両方に位置するためである。そこで、前記制御部40は、前記錠剤が平錠である場合、複数の前記撮影画像のうち前記正画像と比較する撮影画像、又は、前記錠剤の識別情報の取得に用いられる撮影画像を複数の前記撮影画像に含まれる錠剤の面積に応じて特定することが考えられる。
まず、前記制御部40は、前記撮影画像各々における前記錠剤の面積の遷移に応じて前記錠剤が平錠であるか否かを判断する。例えば、前記撮影画像各々における前記錠剤の面積の最大値及び最小値の比率が予め設定された閾値以上である場合、即ち前記錠剤の面積の変化量が大きい場合には、前記錠剤が平錠であると判断することが考えられる。なお、前記制御部40は、前記医薬品マスター又は前記薬品データベースに基づいて前記錠剤が平錠であるか否かを判断してもよい。そして、前記制御部40は、前記錠剤が平錠であると判断した場合、複数の撮影画像のうち前記錠剤の面積が最大となる二枚の撮影画像の間に撮影され、前記錠剤の面積が予め定められた閾値以上である撮影画像を特定する。
例えば、前記制御部40は、前記撮影画像各々における前記錠剤の面積が前記撮影画像各々の撮影順に並べられたときに、前記錠剤の面積の遷移(傾き)が増加から減少に変化した前記撮影画像の一つ前の前記撮影画像を前記錠剤の面積が最大となる撮影画像として特定することが考えられる。これにより、前記錠剤の外周面の1周分に対応する複数の前記撮影画像から前記錠剤の面積が最大となる二枚の撮影画像が特定される。即ち、前記錠剤の面積が最大となる二枚の撮影画像は、所定の撮影間隔で撮影された前記錠剤の外周面の1周分に対応する前記撮影画像の中で前記錠剤の面積が上位二つまでの画像である。そして、前記錠剤の面積が最大となる二枚の撮影画像の間において、前記錠剤の面積が前記閾値以上の状態であって前記錠剤の面積の遷移(傾き)が減少から増加に変化した前記撮影画像の一つ前の前記撮影画像を、前記錠剤の表面又は裏面を正面から捉えた画像として特定する。
ここに、図24Aは、前記錠剤である平錠が前記錠剤回転部441で回転している状態を連続して撮影した場合の前記錠剤の面積の遷移を示す図である。図24Aに示されるように、前記撮影画像各々における前記錠剤の面積は、前記錠剤回転部441における前記錠剤の回転に従って、最大値である面積a1と最小値である面積a2との間で遷移する。具体的に、前記錠剤の識別情報が付されている表面又は裏面が前記撮影部46のカメラ462又はカメラ463に対して少し傾斜しており、前記錠剤の表面又は裏面と前記錠剤の側面とが共に撮影されている場合に、前記撮影画像における前記錠剤の面積が最大の面積a1になる。また、前記錠剤の側面のみが撮影されている場合に、前記撮影画像における前記錠剤の面積が最小の面積a2になる。なお、ここでは図24Aに示される撮影画像f1〜f9を例に挙げて説明するが、前記錠剤分包装置4では、前記撮影画像f1〜f9各々の間にも一又は複数の撮影画像が撮影される。
図24Aに示されるように、前記錠剤の面積が最大の面積a1となる時間t1、t3、t5、t7、及びt9に対応する撮影画像f1、f3、f5、f7、及びf9には、前記錠剤の表面又は裏面と側面の一部とが含まれる。また、前記錠剤の面積が最小の面積a2となる時間t2、t6に対応する撮影画像f2、f6には、前記錠剤の側面のみが含まれる。さらに、前記錠剤の面積が面積a1未満であり前記錠剤の種類ごとに予め定められた面積a3以上となる時間t4及びt8に対応する撮影画像f4及びf8には、前記錠剤の表面又は裏面が含まれる。即ち、前記撮影画像f4及びf8のいずれか一方が、前記錠剤の表面を正面から捉えた画像であり、他方が前記錠剤の裏面を正面から捉えた画像である。なお、前記面積a3は、前記面積a1より小さく前記面積a2よりも大きい値であって、前記錠剤の表面又は裏面の面積と前記錠剤の側面の面積とを区別するための指標となる値として予め設定された値である。例えば、前記面積a3は、前記錠剤の表面又は裏面を正面から捉えたときの面積より予め設定された所定値だけ小さい値である。
そして、前記制御部40は、前記錠剤の面積が最大の面積a1となる2枚の撮影画像の間に撮影され、前記錠剤の面積が前記面積a1未満且つ前記面積a3以上である撮影画像のうち前記錠剤の面積が最も小さい撮影画像を抽出する。ここで、前記制御部40は、抽出された前記撮影画像のうち奇数番目に抽出された撮影画像を前記撮影画像f4として特定し、偶数番目に抽出された撮影画像を前記撮影画像f8として特定する。また、前記制御部40は、前記撮影画像f4を前記錠剤の表面の画像とし、前記撮影画像f8を前記錠剤の裏面として特定する。
これにより、前記制御部40は、前記錠剤の表面及び裏面を正面から捉えた前記撮影画像f4、f8を前記正画像と比較すること、又は前記撮影画像f4、f8から前記錠剤の識別情報を高い精度で読み取ることが可能である。なお、前記分包処理において前記カメラ462及び前記カメラ463によって撮影される前記錠剤の1錠あたりの撮影時間は、例えば前記医薬品マスターに登録されている各種の錠剤のうち前記時間t1〜t9の間の所要時間が最も長い錠剤を基準として、前記所要時間以上に定められていることが考えられる。これにより、前記錠剤の表面及び裏面の撮影画像として前記撮影画像f4及び前記撮影画像f8が少なくとも一枚ずつ撮影されることになる。
また、前記制御部40は、前記撮影画像各々における前記錠剤の面積が前記撮影画像各々の撮影順に並べられたときに、前記錠剤の面積の平滑値がピークとなるタイミングで撮影された前記撮影画像を前記錠剤の表面又は裏面の撮影画像として特定することも考えられる。例えば、前記平滑値は複数枚の撮影画像における錠剤の面積の単純移動平均値である。ここに、図24Bは、前記錠剤である平錠が前記錠剤回転部441で回転している状態を連続して撮影した場合の前記錠剤の面積の遷移の例を示す図である。図24Bでは、撮影タイミングt11〜t30の合計20回の撮影が行われた結果が示されている。図24Bにおいて、実線は前記撮影タイミングt11〜t30各々で撮影された前記撮影画像における錠剤の面積の測定値を示し、一点鎖線は、前記撮影タイミングt11〜t30各々で撮影された前記撮影画像における錠剤の面積の平滑値を示す。図24Bに示される例では、前記撮影タイミングt19において前記平滑値がピーク値であるため、前記撮影タイミングt19で撮影された前記撮影画像が前記錠剤の正面又は裏面の撮影画像として特定される。より具体的には、前記平滑値のうち奇数番目のピーク値が前記錠剤の正面の撮影画像として特定され、偶数番目のピーク値が前記錠剤の裏面の撮影画像として特定される。
前記分包ユニット45は、前記錠剤カセット41及び前記手撒きユニット42のいずれか一方又は両方から前記回転ユニット44を経て供給される服用単位の錠剤を包装材である薬包451で分包することが可能である。ここに、図6は、前記錠剤分包装置4から払い出される前記薬包451の一例を示す図である。図6に示されるように、前記薬包451各々には、服用単位で複数の錠剤が包装されており、前記薬包451各々の間には前記薬包451各々を容易に切り離すための切り取り点線(ミシン目)452が形成されている。
なお、前記分包ユニット45において分包に用いられる前記薬包451又は前記薬包451を形成するための分包紙(ロール紙)は、必要に応じて補充又は交換される消耗品である。前記錠剤分包装置4は、前記薬包451又は前記分包紙の残量を検出する機能を備えており、その残量は前記制御部40によって前記サーバー2に適宜通知される。ところで、前記錠剤分包装置4では、前記薬包451に代えて、服用単位の錠剤を収容可能なブリスターパックなどが用いられてもよい。前記ブリスターパックとは、一面が開放された包装領域を複数有する包装部材を平板状の部材に接合することにより閉鎖された複数の包装部が形成される包装材である。なお、前記錠剤分包装置4では、前記錠剤カセット41に収容されている錠剤も消耗品の一例であって、前記錠剤カセット41に収容されている錠剤の残量を検出する機能を備えており、その残量も前記制御部40によって前記サーバー2に適宜通知される。
また、前記分包ユニット45には、前記薬包451各々に情報を印刷する印刷ユニット453が設けられており、前記薬包451各々の表面には、前記印刷ユニット453によって患者の氏名、服用時期、処方薬、又は処方量などの情報が印刷可能である。なお、前記印刷ユニット453において印刷に用いられるインクリボンは、必要に応じて補充又は交換される消耗品である。前記錠剤分包装置4は、前記インクリボンの残量を検出する機能を備えており、その残量は前記制御部40によって前記サーバー2に適宜通知される。
[調剤機器5]
前記調剤機器5は、前記錠剤分包装置4と同様に、処方データに基づいて薬剤を調剤する際に用いられる機器である。前記調剤機器5には、前記錠剤分包装置4の他に、例えば散薬分包装置、水剤分注機、シート払出装置、及びピッキング補助装置などが含まれる。前記散薬分包装置は、複数種類の散薬が収容された複数の散薬カセットを有しており、処方データに従って前記散薬カセットに収容されている散薬を自動的に所定量ずつ分包することが可能である。また、前記水剤分注機は、複数種類の水剤が収容された複数の薬瓶を有しており、処方データに従って前記薬瓶から必要量の水剤を払い出す。前記シート払出装置は、処方データに従って、予め錠剤が包装されたPTPシート又はヒートシールが収容された複数のシートカセットから払い出す。前記ピッキング補助装置は、薬剤師が手動で調剤する際に用いられ、薬品棚又は薬瓶などに付された識別情報(バーコードなど)から医薬品名を読み取って、その読み取られた医薬品名と処方データに含まれる医薬品名との照合を行うものである。
ところで、病院又は薬局などの医療施設では、前記錠剤分包装置4により分包された錠剤が処方データに対応する適切なものであるか否かを確認する鑑査業務が薬剤師によって実施される。これに対し、前記鑑査支援システム1では、薬剤師の鑑査業務が、後述の鑑査支援処理(図7参照)が実行されることによって支援される。
[鑑査支援処理]
以下、図7を参照しつつ、前記鑑査支援システム1おいて、前記サーバー2の前記制御部21により実行される鑑査支援処理の手順の一例について説明する。前記鑑査支援処理は、前記クライアント端末3に対して、予め設定された最終鑑査権限を有する薬剤師によるログイン操作が行われた場合、又は前記ログイン操作後に最終鑑査処理を行うための鑑査開始操作が行われた場合などに実行される。なお、以下で説明する「表示」及び「操作」などは前記ログイン操作が行われた前記クライアント端末3の前記表示部33及び前記操作部34を用いて行われる。
<ステップS11>
まず、ステップS11において、前記制御部21は、鑑査対象となる処方データの一覧を表示するための鑑査待ち一覧画面D1を前記クライアント端末3に表示させる。ここに、図8は、前記鑑査待ち一覧画面D1の一例を示す図である。
図8に示されるように、前記鑑査待ち一覧画面D1には、鑑査対象となる処方データの一覧が表示される一覧表示領域A11が表示されている。具体的に、前記一覧表示領域A11には、処方データに含まれる処方ID(処方識別情報)、患者名(患者識別情報)、服用開始日、及び日数の情報と共に、前記鑑査支援システム1に接続されている前記錠剤分包装置4及び前記調剤機器5などの複数の調剤機器のステータス情報が表示される。
ここでは、図8に示されているように、前記サーバー2において、前記調剤機器5のうち散薬分包装置が1号機、シート払出装置が3号機として予め登録されると共に、前記錠剤分包装置4が2号機として予め登録されているとする。前記ステータス情報は、「分包完了」、「調剤完了」、「分包中」、「動作中」、「開始待ち」、及び「欠品中」などに予め分類されている。「分包完了」及び「調剤完了」は、薬剤の調剤が完了していることを示しており、背景又は文字が予め定められた青色などの第1特定色で表示される。「分包中」及び「動作中」は、薬剤の調剤が実行中であることを示しており、終了までの待ち時間と共に表示される。「開始待ち」は、薬剤の調剤開始までの待機状態であり、開始までの待ち時間と共に表示される。「欠品中」は、処方データに基づく調剤で使用される薬剤、前記薬包451、前記分包紙、又は前記インクリボンなどの消耗品が欠品状態であるために調剤が開始できないことを示しており、背景又は文字が予め定められた赤色などの第2特定色で表示される。
また、前記鑑査待ち一覧画面D1には、ユーザー操作を受け付けるための操作キーK11〜K12等が表示されている。前記操作キーK11は、前記サーバー2における鑑査履歴を表示するための鑑査履歴画面D2を表示させるための操作キーであり、前記操作キーK12は、前記サーバー2において鑑査処理を実行するための鑑査画面D3(第1表示画面の一例)を表示させるための操作部である。即ち、前記制御部21は、前記鑑査待ち一覧画面D1における操作に応じて、前記錠剤分包装置4及び前記調剤機器5などの複数の調剤機器で行われた調剤についての鑑査を開始することが可能である。
<ステップS12>
ステップS12において、前記制御部21は、前記鑑査履歴画面D2の表示操作が行われたか否かを判断する。具体的に、前記制御部21は、前記鑑査待ち一覧画面D1における前記操作キーK11が操作された場合に、前記鑑査履歴画面D2の表示操作が行われたと判断する。そして、前記制御部21は、前記鑑査履歴画面D2の表示操作が行われたと判断すると(S12:Yes)、処理をステップS13に移行させ、前記鑑査履歴画面D2の表示操作が行われていなければ(S12:No)、処理をステップS14に移行させる。
<ステップS13>
ステップS13において、前記制御部21は、前記鑑査履歴画面D2を前記クライアント端末3に表示させる。このように、前記制御部21は、前記鑑査待ち一覧画面D1におけるユーザー操作に応じて、前記錠剤分包装置4及び前記調剤機器5などの複数の調剤機器で行われた調剤についての鑑査履歴を表示させることが可能である。
ここに、図9は、前記鑑査履歴画面D2の一例を示す図である。図9に示されるように、前記鑑査履歴画面D2には、既に鑑査が完了した処方データの一覧が表示される一覧表示領域A21が表示されている。前記一覧表示領域A21には、処方データに含まれる処方ID(処方識別情報)、患者名(患者識別情報)、服用開始日、鑑査者、及び鑑査日時などの情報が表示される。また、前記一覧表示領域A21には、前記鑑査支援システム1に接続されている前記錠剤分包装置4及び前記調剤機器5各々で調剤された薬剤の鑑査結果として、判定結果が適正であった旨を示す「OK」、又は判定結果がエラーである旨を示す「NG」などが表示される。具体的に、前記錠剤分包装置4に対応する鑑査結果は、前記自動鑑査処理の結果である。なお、「OK」は、背景又は文字が予め定められた青色などの第3特定色で表示され、「NG」は、背景又は文字が予め定められた赤色などの第4特定色で表示される。また、「NG」が表示される場合には、判定結果がエラーであることに対応して行われた処置の内容(例えば「修正済」など)が表示される。
また、前記鑑査履歴画面D2には、検索項目として「患者ID」及び「期間」のいずれかを選択するための操作キーK21、前記操作キーK21で選択された項目の検索内容を入力するための入力欄K22、及び検索を実行させるための操作キーK23などが表示されている。前記制御部21は、前記入力欄K22に検索内容が入力され「検索実行」の操作キーが操作されると、前記検索内容に対応する処方データを検索して前記一覧表示領域A21に表示させる。なお、前記鑑査履歴画面D2には、前記一覧表示領域A21に表示された処方データの鑑査履歴の詳細を表示する後述の鑑査画面D3と同様の鑑査画面を表示させるための操作キーK24が表示されている。
<ステップS14>
ステップS14において、前記制御部21は、前記鑑査開始操作が行われたか否かを判断する。具体的に、前記制御部21は、前記鑑査待ち一覧画面D1において前記処方データが選択された状態で前記操作キーK12が操作された場合に、前記鑑査開始操作が行われたと判断する。そして、前記制御部21は、前記鑑査開始操作が行われたと判断すると(S14:Yes)、処理をステップS15に移行させ、前記鑑査開始操作が行われていなければ(S14:No)、処理をステップS16に移行させる。
<ステップS15>
ステップS15において、前記制御部21は、前記鑑査待ち一覧画面D1において選択されていた前記処方データについて鑑査を行うための前記鑑査画面D3を前記クライアント端末3に表示させる。ここに、図10は、前記鑑査画面D3の一例を示す図である。図10に示されるように、前記鑑査画面D3には、基本情報領域A31、鑑査結果領域A32、及び機器情報領域A33が表示されている。前記基本情報領域A31には、処方データに含まれる処方ID(処方識別情報)、患者名(患者識別情報)、性別、年齢、服用日、及び用法などの情報が表示される。
前記鑑査結果領域A32には、前記鑑査待ち一覧画面D1で選択されていた前記処方データの内容及び前記処方データについての鑑査結果などがレコード(Rp1〜Rp3)ごとに表示される。具体的に、前記鑑査結果領域A32には、薬品名、用量、形態、調剤機器の号機番号、用量、及び判定結果が表示される。なお、前記判定結果は、例えば前記錠剤分包装置4で実行される前記自動鑑査処理のように前記錠剤分包装置4及び前記調剤機器5各々において実行される自動鑑査処理における適否の判定結果であり、前記錠剤分包装置4及び前記調剤機器5各々から前記サーバー2に適宜入力される。また、前記自動鑑査処理は、前記錠剤分包装置4及び前記調剤機器5から画像などの各種の情報を取得した前記サーバー2の前記制御部21によって実行されてもよい。具体的に、前記サーバー2において、前記制御部21は、前記錠剤分包装置4及び前記調剤機器5各々で実行された調剤処理の適否の鑑査結果と、前記処方データの処方IDなどの処方識別情報とが対応付けて前記記憶部22に記憶させる。そして、前記制御部21は、前記処方データの処方IDに対応付けられた前記錠剤分包装置4及び前記調剤機器5各々の前記鑑査結果を前記鑑査画面D3の前記鑑査結果領域A32のように一画面に纏めて表示させることが可能である。これにより、ユーザーは、前記処方データに基づいて調剤を実行する前記錠剤分包装置4などを含む複数の前記調剤機器5の前記鑑査結果を纏めて確認することが可能である。例えば、図10に示される前記鑑査画面D3では、Rp1が前記錠剤分包装置4で調剤される薬品、Rp2が前記調剤機器5のうち前記散薬分包装置で調剤される薬品、Rp3が前記調剤機器5のうち前記シート払出装置で調剤される薬品であることが考えられる。
前記機器情報領域A33には、前記サーバー2に接続されている前記錠剤分包装置4及び前記調剤機器5における消耗品の残量情報が表示される。前記機器情報領域A33に表示される前記消耗品の残量情報は、前記錠剤分包装置4及び前記調剤機器5各々から前記サーバー2に適宜入力され、又は前記サーバー2により前記錠剤分包装置4及び前記調剤機器5各々から読み出される。これにより、ユーザーは、前記錠剤分包装置4及び前記調剤機器5における消耗品の残量を容易に確認することができる。例えば、図10に示す例では、「2号機」の前記錠剤分包装置4の消耗品の情報として、「分包紙」の残量が少なく、「インクリボン」の残量が十分である状態が示されている。同様に、「1号機」の散薬分包装置の消耗品の情報として、「分包紙」の残量が十分であり、「インクリボン」の残量が少ない状態が示されている。このように、前記制御部21は、前記鑑査画面D3において、前記錠剤分包装置4及び前記調剤機器5などの複数の調剤機器における消耗品の情報を一覧で表示させることが可能である。従って、ユーザーは、前記鑑査支援システム1の全体の消耗品の管理を容易に行うことができる。これにより、前記消耗品の手配等を漏れなく行うことができ、少人数でも前記錠剤分包装置4及び前記調剤機器5などの複数の調剤機器の連続稼動が可能となる。
<ステップS16>
ステップS16において、前記制御部21は、前記鑑査画面D3に表示されている判定結果についての詳細を確認するための詳細確認操作が行われたか否かを判断する。具体的に、前記鑑査画面D3には、前記鑑査画面D3に表示されている前記処方データに含まれる前記レコードのいずれかに対応する判定結果の表示箇所が選択された場合に、前記詳細確認操作が行われたと判断する。ここで、前記制御部21は、前記詳細確認操作が行われたと判断すると(S16:Yes)、処理をステップS17に移行させ、前記詳細確認操作が行われていなければ(S16:No)、処理をステップS18に移行させる。
<ステップS17>
ステップS17において、前記制御部21は、前記鑑査画面D3に表示されている判定結果についての詳細が表示される鑑査詳細画面D31(第2表示画面の一例)を表示させる。なお、前記鑑査画面D3及び前記鑑査詳細画面D31などの表示は、前記制御部21の前記鑑査表示処理部211によって実行される。
ここに、図11は、前記鑑査詳細画面D31の一例を示す図である。図11に示されているように、前記鑑査詳細画面D31には、前記基本情報領域A31、処方情報領域A35、調剤詳細領域A36、及びNGリスト領域A37などが表示される。前記処方情報領域A35には、前記判定結果に対応する前記レコードの処方情報として、薬品名(薬品識別情報)、服用時期ごとの錠数、及び薬品の画像などが表示される。
前記調剤詳細領域A36には、各服用日の服用時期(服用時期ごとの錠剤数)に対応する前記薬包451に分包されている錠剤の内容が表示される。より具体的に、前記制御部21は、前記鑑査詳細画面D31の前記調剤詳細領域A36において、列又は行の一方に服用日が表示され他方に服用時期が表示される配置形式で前記錠剤の撮影画像を表示させる。
特に、前記制御部21は、前記服用日及び前記服用時期の組み合わせ各々に対応する表示箇所に前記組み合わせに対応する分包単位の前記錠剤の撮影画像を前記服用時期の並び順に平行な方向に予め定められた表示順で並べて表示させる。例えば、前記錠剤の撮影画像の表示順は、前記錠剤の撮影画像が前記処方情報部A35に表示された錠剤の順と同じ順である。このように表示された前記調剤詳細領域A36では、前記自動鑑査処理の判定結果が適正である場合には、前記服用日の並び方向(図11における左右方向)に同じ種類の錠剤の撮影画像が並ぶことになる。従って、薬剤師は、前記錠剤の撮影画像各々の適否を容易に確認することができる。
また、前記調剤詳細領域A36では、前記自動鑑査処理の結果がエラーである場合に、前記エラーの原因となった錠剤の撮影画像の表示領域の背景が予め定められた赤色などの第5特定色で表示されている。即ち、前記制御部21は、前記調剤詳細領域A36において、前記エラーの原因となった錠剤の撮影画像を識別可能に表示させる。これにより、前記錠剤の撮影画像が分包単位で表示されると共に前記自動鑑査処理の結果が表示され、薬剤師の鑑査業務の効率化が図られる。特に、薬剤師は、前記第5特定色の表示を参照することにより、前記エラーの原因となっている前記錠剤の撮影画像を容易に特定して確認することができる。
前記NGリスト領域A37には、前記調剤詳細領域A36で発生しているエラーの一覧が表示される。具体的に、前記制御部21は、前記自動鑑査処理の結果がエラーである場合に、前記エラーの原因を前記エラーの原因となった錠剤の服用日及び服用時期と共にリスト表示する。ここに、係る処理は、前記制御部21の前記リスト表示処理部212によって実行される。これにより、薬剤師は、前記リスト表示を参照することにより、前記エラーの原因、前記錠剤の服用日及び服用時期を容易に把握することができる。なお、前記NGリスト領域A37に表示されるエラーの原因は、前記自動鑑査処理の結果に基づいて、前記錠剤分包装置4、前記調剤機器5、又は前記サーバー2のいずれかにおいて特定される。例えば、前記処方データに従って前記薬包451に分包されているべき錠剤とは異なる錠剤が前記薬包451に収容されている場合には、前記エラーの原因が「撒き間違い」であると特定される。また、前記薬包451に分包されているべき錠剤に不足が生じており、その不足している錠剤が前記薬包451の前後に連続する前記薬包451に収容されている場合には、前記エラーの原因が「後ずれ」であると特定される。
なお、前記鑑査詳細画面D31では、前記調剤詳細領域A36に全ての前記薬包451に収容されている錠剤の撮影画像が表示されているが、例えば前記NGリスト領域A37のように、前記自動鑑査処理の結果がエラーである前記薬包451のみに対応する服用日、服用時期、及び錠剤の撮影画像などを表示させ、前記自動鑑査処理の結果が適正である前記薬包451の情報を表示しないことも考えられる。これにより、ユーザーは、前記鑑査詳細画面D31を見て確認が必要な箇所だけを簡単に把握することができ、鑑査業務を効率化することができる。
また、前記鑑査詳細画面D31には、前記調剤詳細領域A36と共に、操作キーK33、操作キーK34、入力欄K35、操作キーK36、及びチェックボックスK37などの操作部が表示されている。前記操作部は、前記錠剤分包装置4で実行された前記処方データに基づく調剤処理の一部又は全部を個別に再実行させるための操作部の一例であり、前記操作部の表示は前記制御部21の前記操作表示処理部213によって実行される。具体的に、前記錠剤分包装置4では、前記調剤処理として分包処理が実行され、前記操作部は、前記分包処理の一部又は全部を再実行させるための操作部である。
前記操作キーK33は、前記レコードに対応する調剤処理(分包処理)を全て再実行させるための第1操作部の一例である。前記操作キーK34は、前記レコードに対応する調剤処理(分包処理)のうち前記自動鑑査処理においてエラーと判定された一部の調剤処理(分包処理)を再実行させるための第2操作部の一例である。前記入力欄K35及び前記操作キーK36は、前記レコードに対応する調剤処理(分包処理)のうち前記入力欄K35に対するユーザー操作により選択される一部の調剤処理(分包処理)を再実行させるための第3操作部の一例である。前記入力欄K35では、調剤処理を再実行する対象となる前記薬包451の範囲(何包目〜何包目)を指定すること、又は特定の前記薬包451のみを指定すること等が可能である。これにより、後述するように、薬剤師は、前記操作キーK33と、前記操作キーK34と、前記入力欄K35及び前記操作キーK36とのいずれか二つ又は三つを選択的に用いて前記錠剤分包装置4に前記分包処理の一部又は全部を任意に実行させることができる。
前記チェックボックスK37は、前記エラーの原因が「後ずれ」の場合は、前記エラーの原因となっている薬剤の調剤処理を再実行しない旨の設定を行うための操作キーである。前記制御部21は、前記チェックボックスK37にチェックが付けられている場合には、前記操作キーK33、前記操作キーK34、又は前記操作キーK36が操作された場合であっても、前記エラーの原因が「後ずれ」である薬剤については再実行を行わない。これにより、例えば前記錠剤分包装置4で「後ずれ」のエラーが生じた場合に、薬剤師が手動で前後の前記薬包451間で錠剤を移動させるような運用に対応することができる。
<ステップS18>
ステップS18において、前記制御部21は、前記処方データの前記自動鑑査処理の結果の承認操作が行われたか否かを判断する。具体的に、前記制御部21は、前記鑑査画面D3に表示された承認キーK31が操作されたか否かを判断する。ここで、前記制御部21は、前記承認操作が行われたと判断すると(S18:Yes)、処理をステップ19に移行させ、前記承認操作が行われていなければ(S19:No)、処理をステップS20に移行させる。
<ステップS19>
ステップS19において、前記制御部21は、前記処方データの前記自動鑑査処理の結果を承認するための承認処理を実行する。例えば、前記承認処理において、前記制御部21は、前記処方データの前記自動鑑査処理の結果が承認された旨と、その承認操作を行った薬剤師であるユーザーの識別情報(氏名又はID)とを、前記自動鑑査処理の結果と共に前記処方データに対応付けて前記記憶部22に記憶させる。
<ステップS20>
そして、ステップS20において、前記制御部21は、前記鑑査詳細画面D31において全再発行操作が行われたか否かを判断する。具体的に、前記鑑査詳細画面D31に表示されている前記操作キーK33が操作された場合に、前記全再発行操作が行われたと判断する。ここで、前記制御部21は、前記全再発行操作が行われたと判断すると(S20:Yes)、処理をステップS21に移行させ、前記全再発行操作が行われていなければ(S20:No)、処理をステップS22に移行させる。
<ステップS21>
ステップS21において、前記制御部21は、前記判定結果に対応する前記レコードに対応する調剤処理を全て再実行させるための制御指示を、前記調剤処理を実行した前記錠剤分包装置4又は前記調剤機器5に送信する。例えば、前記制御指示として、前記レコードに対応する調剤用の処方データが前記錠剤分包装置4又は前記調剤機器5に再入力される。これにより、前記錠剤分包装置4又は前記調剤機器5では、前記レコードに対応する調剤処理が全て再実行される。例えば、前記錠剤分包装置4では、前記レコードに対応する錠剤の分包処理の全部が再実行される。
<ステップS22>
ステップS22において、前記制御部21は、前記鑑査詳細画面D31においてNG包のみの再発行操作が行われたか否かを判断する。具体的に、前記鑑査詳細画面D31に表示されている前記操作キーK34が操作された場合に、前記NG包のみの再発行操作が行われたと判断する。ここで、前記制御部21は、前記NG包のみの再発行操作が行われたと判断すると(S22:Yes)、処理をステップS23に移行させ、前記NG包のみの再発行操作が行われていなければ(S22:No)、処理をステップS24に移行させる。
<ステップS23>
ステップS23において、前記制御部21は、前記判定結果に対応する前記レコードに対応する調剤のうちエラーが発生している調剤処理(NG包)のみを再実行させるための制御指示を、前記調剤処理を実行した前記錠剤分包装置4又は前記調剤機器5に送信する。例えば、前記制御指示として、前記レコードに対応する調剤用の処方データのうち前記エラーが発生している調剤処理に対応する一部の処方データが前記錠剤分包装置4又は前記調剤機器5に再入力される。これにより、前記錠剤分包装置4又は前記調剤機器5では、前記エラーが発生している一部の調剤処理のみが再実行される。例えば、前記錠剤分包装置4では、前記レコードに対応する錠剤の分包処理の一部が再実行される。
<ステップS24>
ステップS24において、前記制御部21は、前記鑑査詳細画面D31において指定包のみの再発行操作が行われたか否かを判断する。具体的に、前記鑑査詳細画面D31に表示されている前記操作キーK36が操作された場合に、前記指定包のみの再発行操作が行われたと判断する。ここで、前記制御部21は、前記指定包のみの再発行操作が行われたと判断すると(S24:Yes)、処理をステップS25に移行させ、前記指定包のみの再発行操作が行われていなければ(S24:No)、処理をステップS26に移行させる。
<ステップS25>
ステップS25において、前記制御部21は、前記判定結果に対応する前記レコードに対応する調剤のうち前記入力欄K35で指定されている調剤処理(指定包)のみを再実行させるための制御指示を、前記調剤処理を実行した前記錠剤分包装置4又は前記調剤機器5に送信する。例えば、前記制御指示として、前記レコードに対応する調剤用の処方データのうち前記入力欄K35で指定されている調剤処理に対応する一部の処方データが前記錠剤分包装置4又は前記調剤機器5に再入力される。これにより、前記錠剤分包装置4又は前記調剤機器5では、前記入力欄K35で指定されている一部の調剤処理のみが再実行される。例えば、前記錠剤分包装置4では、前記レコードに対応する錠剤の分包処理の一部が再実行される。
<ステップS26>
ステップS26において、前記制御部21は、当該鑑査支援処理を終了するための予め設定された鑑査終了操作が行われたか否かを判断する。例えば、前記制御部21は、前記鑑査待ち一覧画面D1における「終了」に対応する操作キーが操作された場合に、前記鑑査終了操作が行われたと判断する。ここで、前記制御部21は、前記鑑査終了操作が行われたと判断すると(S26:Yes)、当該鑑査支援処理を終了させ、前記鑑査終了操作が行われていなければ(S26:No)、処理を前記ステップS12に戻す。
以上説明したように、前記鑑査支援システム1では、前記制御部21が、前記ステップS20〜S25の処理を実行することにより、前記錠剤分包装置4及び前記調剤機器5各々において既に実行された調剤処理の一部又は全部を前記錠剤分包装置4及び前記調剤機器5各々に個別に再実行させることが可能である。ここに、係る処理は、前記制御部21の前記再実行処理部214によって実行される。これにより、前記鑑査支援システム1が利用される病院又は薬局などにおける薬剤師の業務効率を向上させることができる。
例えば、前記錠剤分包装置4については、前記撮影部46により撮影された錠剤の撮影画像から読み取られる錠剤の識別情報と前記処方データとに基づく前記自動鑑査処理、又は、前記撮影部46により撮影された錠剤の撮影画像と前記正画像とに基づく前記自動鑑査処理が実行されると共に、前記自動鑑査処理の実行結果に対応するユーザーの任意の操作によって前記薬包451の単位で分包処理の再実行が可能である。従って、前記錠剤分包装置4から払い出される前記薬包451の最終鑑査を実施する薬剤師の手間を省略し、薬剤師の鑑査業務の効率を高めることができる。
ところで、本実施形態では、前記制御部21が、前記錠剤分包装置4における調剤を再実行させる場合について主に説明したが、前記制御部21は、前記鑑査画面D3又は前記鑑査画面D3に対するユーザー操作に応じて表示される前記鑑査詳細画面D31などにおけるユーザー操作に応じて、前記錠剤分包装置4及び前記調剤機器5などの複数の調剤機器で行われた調剤の一部又は全部を任意に再実行させることが可能である。
例えば、前記調剤機器5が散薬分包装置である場合、前記制御部21は、前記散薬分包装置によって行われた散薬の分包処理の一部又は全部を再実行させることが可能である。なお、前記散薬分包装置は、散薬が収容された散薬カセット、前記散薬カセットから自動的に所定量を払い出すフィーダー、前記フィーダーにより前記散薬カセットから払い出された散薬を服用時期ごとに分配する分配ユニット、及び前記分配ユニットによって分配された服用時期ごとの散薬を分包紙で分包する分包ユニットなどを備える。前記分配ユニットは、例えば前記フィーダーから供給される散薬が載置される回転円盤と前記回転円盤に載置された散薬を所定量ごとに掻き出す掻き出し部材とを備える。そして、前記散薬分包装置では、例えば前記回転円盤が停止した状態で前記フィーダーから所定量の散薬が供給され、前記掻き出し部材で掻き出されることにより、一包単位で分包処理が実行可能である。
[他の実施形態]
以下、前記鑑査支援システム1が備える他の機能又は前記鑑査支援システム1の他の実施形態について説明する。
[再分包照合機能]
前記実施形態で説明したように、前記制御部21は、前記鑑査詳細画面D31におけるユーザー操作に応じて、前記処方データの前記レコードに対応する分包処理の一部又は全部を前記錠剤分包装置4に再実行させることができる。このとき、前記制御部21が、前記錠剤分包装置4で再実行された前記薬包451を照合する再分包照合機能を備えることが考えられる。
例えば、前記制御部21は、前記錠剤分包装置4に対する前記分包処理の再実行要求後に、図12に示されているように、前記鑑査詳細画面D31に重ねて、再実行された調剤後の前記薬包451に記載されているコード情報(一次元コード又は二次元コード)などの読み取りを促す照合画面D32を表示させることが考えられる。そして、前記制御部21は、前記サーバー2の前記コード読取部27又は前記クライアント端末3の前記コード読取部37などを用いて前記薬包451から読み取られた前記コード情報が適正である場合に、前記レコードの調剤結果を「修正済」に変更する。これにより、前記鑑査履歴画面D2が表示される際、前記レコードについては「NG→修正済」と表示される。
例えば、前記コード情報の適否は、再実行前の前記薬包451の前記コード情報と再実行後の前記薬包451の前記コード情報との両者の読み取りが行われたか否かに応じて判断される。また、前記コード情報の適否は、前記レコードに対応する分包結果として得られた複数の前記薬包451のうち、再実行対象の前記薬包451の前後に対応する前記薬包451の前記コード情報が読み取られたか否かに応じて判断されることも考えられる。これにより、再実行前後の前記薬包451の差し替え位置の間違いが抑制される。なお、再実行前の先頭及び最後のいずれか一方又は両方の前記薬包451に印刷されている前記コード情報と再実行後の前記薬包451に印刷されている前記コード情報との両者の読み取りが行われたか否かに応じて判断されることも考えられる。
[経過モニター機能]
前記制御部21は、前記錠剤分包装置4の前記撮影部46の前記カメラ461〜467を用いて、前記錠剤カセット41又は前記手撒きユニット42から前記分包ユニット45に供給される錠剤の経路上で撮影された錠剤の撮影画像を適宜確認可能な経過モニター機能を有することが考えられる。具体的に、前記撮影部46で撮影された前記錠剤の撮影画像は、前記錠剤分包装置4から前記サーバー2に送信され、前記サーバー2の前記記憶部22に記憶される。
そして、前記制御部21は、前記鑑査画面D3又は前記鑑査詳細画面D31などの操作画面に表示され、経過モニター機能に対応する操作キー(不図示)が操作された場合に、前記撮影部46の前記カメラ461〜467で撮影された前記錠剤の撮影画像を表示させる経過モニター画面D4を前記クライアント端末4に表示させることが可能である。
これにより、ユーザーは、前記錠剤分包装置4による調剤にエラーが生じた場合に、前記錠剤分包装置4における錠剤の払い出しについて前記撮影部46で撮影される各時点の前記錠剤の撮影画像を確認してそのエラーの発生場所及び原因などを容易に確認することが可能である。
ここに、図13は、前記経過モニター画面D4の一例を示す図である。図13に示される前記経過モニター画面D4には、前記基本情報領域A31及び前記処方情報領域A35と共に、画像表示領域A41及び案内表示領域A42が表示されている。前記画像表示領域A41には、前記撮影部46の前記カメラ461〜467で撮影された錠剤の撮影画像が、前記カメラ461〜467の識別符号に対応付けて表示されている。具体的に、前記画像表示領域A41には、前記カメラ461で撮影された錠剤の撮影画像が表示される表示領域A411、前記カメラ464〜466で撮影された錠剤の撮影画像が表示される表示領域A412、前記カメラ462、463で撮影された錠剤の撮影画像が表示される表示領域A413、及び前記カメラ467で撮影された錠剤の撮影画像が表示される表示領域A414が含まれる。また、前記案内表示領域A42には、前記錠剤分包装置4における前記カメラ461〜467の撮影場所を示すための案内情報が表示されている。これにより、ユーザーは、前記画像表示領域A41に表示されている画像の位置を容易に把握することができる。
なお、前記制御部21は、前記撮影画像を前記記憶部22に記憶する際、前記撮影画像各々と、前記撮影画像各々が撮影されたときの前記分包処理の対象であった前記処方データの処方IDなどの処方識別情報とを対応付けて記憶させる。これにより、前記制御部21は、前記分包処理及び前記鑑査支援処理の終了後であっても前記処方データの処方IDが指定された場合に、その指定された処方IDに対応する前記撮影画像各々を表示させることが可能である。
[手撒き確認モニター機能]
また、前記制御部21は、前記手撒きユニット42における錠剤の手撒き作業後の状態を確認する手撒き確認モニター機能を備える。具体的に、前記錠剤分包装置4は、前記手撒きユニット42を用いて錠剤の分包が行われる場合、前記手撒きユニット42への錠剤の手撒き作業後に、前記カメラ464によって前記手撒きユニット42の画像を撮影する。
例えば、前記錠剤分包装置4では、前記手撒きユニット42への錠剤の手撒き作業が終了した旨を入力するための操作キーが操作された場合に、前記制御部40が前記カメラ464を用いて前記手撒きユニット42の画像を撮影する。また、前記手撒きユニット42が、使用する際に前記錠剤分包装置4から引き出され、錠剤が撒かれた後に前記錠剤分包装置4に収納される構成である場合には、前記錠剤分包装置4の内部に前記カメラ464が設けられており、前記制御部40が、前記手撒きユニット42が前記錠剤分包装置4内に収納されたタイミングで前記カメラ464により前記手撒きユニット42の画像を撮影することも考えられる。
そして、前記錠剤分包装置4は、前記カメラ464により撮影された手撒き画像を前記処方データを識別するための情報と共に前記サーバー2に送信する。これにより、前記サーバー2では、前記制御部21によって前記手撒き画像が前記処方データに対応付けて前記記憶部22に記憶される。なお、前記調剤管理装置2が前記錠剤分包装置4に記憶されている前記手撒き画像を読み出す構成であってもよい。
一方、前記制御部21は、前記鑑査画面D3又は前記鑑査詳細画面D31などの操作画面に表示され、手撒き確認モニター機能に対応する操作キー(不図示)が操作された場合に、現在表示中の前記処方データに対応する前記手撒き画像を前記記憶部22から読み出す。そして、前記制御部21は、前記手撒き画像が表示される手撒き確認画面D5を前記クライアント端末3に表示させる。これにより、ユーザーは、前記錠剤分包装置4による調剤にエラーが生じた場合に、前記錠剤分包装置4における錠剤の払い出しについて前記カメラ464で撮影される前記手撒き画像を確認して、そのエラーの原因が前記手撒きユニット42への錠剤の撒き間違いであるか否かを容易に確認することが可能である。
ここに、図14は、前記手撒き確認モニター画面D5の一例を示す図である。図14に示されている前記手撒き確認モニター画面D5には、前記基本情報領域A31及び前記処方情報領域A35と共に、手撒きユニット画像領域A51及び操作説明領域A52が表示されている。前記手撒きユニット画像領域A51には、前記カメラ464により前記手撒きユニット42を上方から撮影した前記手撒き画像が表示される。これにより、ユーザーは、前記手撒きユニト42への錠剤の手撒き直後の状態を確認することができる。
なお、前記操作説明領域A52には、前記手撒きユニット画像領域A51における操作内容の説明が表示されている。例えば、前記操作説明領域A52には、ピンチアウト操作によって画像が拡大され、ピンチイン操作によって画像が縮小される旨が指のジェスチャーと画像と共に表示されている。
[カセット充填モニター機能]
また、前記制御部21は、前記錠剤カセット41への錠剤の充填作業時の状態を確認するカセット充填モニター機能を備える。具体的に、前記錠剤分包装置4は、前記錠剤カセット41への錠剤の充填を行うための作業台と、前記作業台に載置された前記錠剤カセット41の画像を撮影するカメラとを備えることが考えられる。なお、前記作業台は、前記錠剤分包装置4の正面に設けられており、図15に示されているように、前記錠剤カセット41に錠剤が充填される際に前記錠剤分包装置4から引き出され、不使用時は前記錠剤分包装置4内に収納可能である。そして、前記錠剤分包装置4では、前記制御部40が、前記錠剤カセット41への錠剤の充填が行われた場合に、前記カメラを用いて前記錠剤カセット41の画像を撮影する。
例えば、前記錠剤分包装置4において、前記錠剤カセット41への錠剤の充填作業が終了した旨を入力するための操作キーが操作された場合に、前記制御部40が前記カメラを用いて前記錠剤カセット41の画像を撮影する。そして、前記錠剤分包装置4は、前記カメラにより撮影されたカセット画像を、前記錠剤を識別するための錠剤名などの薬品識別情報と共に前記サーバー2に送信する。これにより、前記サーバー2では、前記制御部21によって前記カセット画像が前記錠剤に対応付けて前記記憶部22に記憶される。なお、前記調剤管理装置2が前記錠剤分包装置4に記憶されている前記カセット画像を読み出す構成であってもよい。
一方、前記制御部21は、前記鑑査画面D3又は前記鑑査詳細画面D31などの操作画面において、表示対象となる錠剤が選択された後、前記操作画面に表示されるカセット充填モニター機能に対応する操作キー(不図示)が操作された場合に、その錠剤に対応する前記カセット画像を前記記憶部22から読み出す。そして、前記制御部21は、前記カセット画像が表示されるカセット充填モニター画面D6を前記クライアント端末3に表示させる。これにより、ユーザーは、前記錠剤分包装置4による分包処理にエラーが生じた場合に、前記カメラで撮影される前記カセット画像を確認して、そのエラーの原因が前記錠剤カセット41への錠剤の充填間違いであるか否かを容易に確認することが可能である。
例えば、前記制御部21は、前記鑑査画面D3又は前記鑑査詳細画面D31などの操作画面において特定の錠剤の種類が選択されると、その選択された種類の錠剤の鑑査結果を図25に示されるポップアップ画面D25で表示する。なお、前記ポップアップ画面D25では、前記鑑査結果がエラーの錠剤が識別可能な態様で表示される。例えば、前記鑑査結果がエラーの錠剤は背景領域A251が赤色で表示される。そして、前記制御部21は、前記ポップアップ画面D25において、前記カセット充填モニター機能に対応する操作キーK251が操作されると、前記錠剤に対応する前記カセット画像を表示するカセット充填モニター画面D6を表示させる。
ここに、図15は、前記カセット充填モニター画面D6の一例を示す図である。図15に示されている前記カセット充填モニター画面D6には、前記基本情報領域A31、前記処方情報領域A35、及び前記操作説明領域A52と共に、カセット画像領域A61が表示されている。前記カセット画像領域A61には、前記カメラによって前記錠剤カセット41を上方から撮影した前記カセット画像が表示される。これにより、ユーザーは、前記錠剤カセット41への錠剤の充填状態を確認することができる。また、図26は、前記カセット充填モニター画面D6の他の例であるカセット充填モニター画面D26を示す図である。前記カセット充填モニター画面D26では、前記カセット充填モニター画面D6と同様に前記カセット画像領域A61において前記カセット画像が表示されると共に、前記錠剤カセット41への充填作業を行った充填者及び最終充填日時などの情報も表示される。
[鑑査画面の他の例]
ここで、前記制御部21によって前記クライアント端末3に表示される前記鑑査詳細画面D31の他の例として、第1表示形態に係る鑑査詳細画面D301及び第2表示形態に係る鑑査詳細画面D302各々について説明する。
[鑑査画面の第1表示形態]
ここに、図16及び図17は、前記鑑査詳細画面D31の他の例である鑑査詳細画面D301を示す図である。なお、図16は、鑑査結果が適正であった場合、図17は、鑑査結果にエラーが生じている場合の前記鑑査詳細画面D301を示す図である。
図16及び図17に示されるように、前記鑑査詳細画面D301には、基本情報領域A311、調剤詳細領域A312、及び鑑査結果領域A313が表示されている。前記基本情報領域A31は、前記基本情報部A31と同様に、患者情報及び処方データなどが表示される領域である。前記調剤詳細領域A312は、前記調剤詳細領域A36に代えて表示されるものであり、前記薬包451の単位で前記薬包451に分包されている錠剤の内容が表示される。
より具体的に、図16及び図17に示されている前記調剤詳細領域A312では、薬品名、種別、結果、及び正画像が表示されている。具体的に、前記種別には、前記薬品名に対応する錠剤が前記錠剤カセット41及び前記手撒きユニット42のいずれから払い出されたものであるかが識別可能に表示される。例えば、前記錠剤の払い出し元が前記錠剤カセット41である場合には「C」又は「カ」などが識別符号として表示され、前記手撒きユニット(Detachable Tablet Adapter)45である場合には「D」又は「手」などが識別符号として表示される。また、前記結果には、前記薬品名に対応する錠剤についての鑑査結果が適正であるか否かが個別に表示される。前記正画像は、錠剤の正しい画像として予め前記医薬品マスターなどに登録された登録画像である。例えば、前記医薬品マスターでは、錠剤各々に対応付けてその錠剤の表裏面に対応する2枚の画像が前記登録画像として登録されている。なお、前記登録画像は、前記錠剤の外周面のうち前記錠剤の識別情報を含む領域が撮影された1枚の画像であってもよい。
また、前記調剤詳細領域A312では、錠剤ごとに対応付けて、前記薬包451各々に分包される前に前記撮影部46で撮影された錠剤の撮影画像が表示されている。ここで、前記制御部21は、列又は行の一方に錠剤名(薬品名)が表示され他方に分包順番(1包目、2包目・・・)が表示される配置形式で、前記錠剤名及び前記分包順番の組み合わせ各々に対応する前記錠剤の撮影画像を表示させる。なお、図16及び図17に示されている前記調剤詳細領域A312では、上下方向に錠剤名が並べて表示され、左右方向に分包順番が表示されている。このように、前記分包順番の並び方向に同じ種類の前記錠剤の撮影画像が並べられるため、薬剤師は、前記錠剤の撮影画像各々の適否を容易に確認することができる。
また、前記制御部21は、前記錠剤分包装置4で前記錠剤の識別情報が読み取られた元画像、又は、前記正画像と比較された元画像を少なくとも含み、前記錠剤分包装置4において前記錠剤ごとに撮影された前記錠剤の異なる外周面に対応する複数の撮影画像を前記錠剤ごとに表示させる。これにより、薬剤師は、例えば1枚の前記錠剤の撮影画像だけでは前記錠剤の適否の判断が難しい場合に、複数枚の前記錠剤の撮影画像を参照して適否を判断することが可能である。また、前記調剤詳細領域A312では、前記錠剤の正画像及び前記錠剤の撮影画像が並べて表示されるため、薬剤師は、前記錠剤の登録画像と前記錠剤の撮影画像とを見比べることにより前記錠剤の適否を容易に判断することができる。
例えば、図16に示されている前記調剤詳細領域A312では、1包目の前記薬包451に分包されている錠剤の撮影画像として、「トランサミンカプセル250mg」、「セファランチン錠1mg」、及び「リフレックス錠15mg」の3つの錠剤の撮影画像が2枚ずつ表示されている。このとき、前記錠剤が平らな錠剤である場合には、前記錠剤の表裏面の2枚の画像が表示され、前記錠剤がカプセル錠などの形状である場合には、前記錠剤の識別情報が含まれる面と前記錠剤の識別情報が含まれない面との2枚の画像が表示される。
また、前記制御部21は、前記錠剤の撮影画像に含まれる識別情報を取得し、前記識別情報に含まれる文字の傾きを検出することにより、前記識別情報に含まれる文字の上下が前記鑑査詳細画面D301の上下と一致するように、前記錠剤の撮影画像を回転補正して前記調剤詳細領域A312に表示させる。即ち、前記制御部21は、前記錠剤の識別情報の文字の向きを揃えて前記錠剤の撮影画像を表示させる。これにより、ユーザーは、前記錠剤各々の画像と共に前記錠剤の識別情報を容易に確認することができる。なお、前記錠剤の撮影画像の回転補正は、前記錠剤分包装置4で実行されてもよい。
また、前記薬包451の数が前記調剤詳細領域A312に同時に表示可能な数を超えている場合、前記調剤詳細領域A312にはスクロールキーK311が表示され、前記制御部21は、前記スクロールキーK311の操作に応じて前記調剤詳細領域A312に表示される前記薬包451の各包数の情報をスクロール表示させる。また、前記調剤詳細領域A312において、前記薬包451の包数を示す1包目、2包目、・・・などの包数情報と共に、又は前記包数情報に代えて、服用日及び服用時期が表示されることも考えられる。
特に、図17に示されているように、前記調剤詳細領域A312では、前記鑑査詳細画面D301に表示されている前記処方データのレコードに含まれる薬品のうち前記自動鑑査処理の結果がエラーである場合、その薬品に対応する一又は複数の領域A314の背景が予め定められた赤色などの第6特定色で表示される。これにより、ユーザーは、前記領域A314の位置を確認することにより前記自動鑑査処理の結果がエラーである薬品を容易に把握することができる。
具体的に、図17の前記調剤詳細領域A312では、薬品名、錠剤の撮影画像、及び前記薬包451の順番の表示領域が前記領域A314として設定されている場合が示されている。さらに、前記薬包451の数が前記調剤詳細領域A312に同時に表示可能な数を超えている場合であって、前記自動鑑査処理の結果がエラーである薬品が存在する場合、前記制御部21は、前記スクロールキーK311を自動的に移動させて、そのエラーが発生している前記薬包451に対応する情報を前記調剤詳細領域A312に表示させる。
また、前記鑑査結果領域A313には、前記鑑査詳細画面D301に表示されている前記処方データのレコードに含まれる全ての薬品の調剤についての前記自動鑑査処理の結果が表示される。具体的に、図16には、前記自動鑑査処理の結果が適正である旨を示す「OK」が予め定められた青色などの第7特定色の背景と共に表示され、図17には、前記自動鑑査処理の結果がエラーである旨を示す「NG」が前記第7特定色とは異なる予め定められた赤色などの第8特定色の背景と共に表示される。これにより、ユーザーは、前記鑑査結果領域A313を確認することにより前記レコード全体についての鑑査結果の適否を容易に把握することができる。
特に、前記調剤詳細領域A312では、前記処方データの前記レコードに含まれる前記錠剤ごとについて前記鑑査処理の結果が個別に表示されている。具体的に、図17に示す例では、「トランサミンカプセル250mg」及び「セファランチン錠1mg」については、鑑査処理の結果が適正である旨を示す「○」が表示されており、「リフレックス錠15mg」については、鑑査処理の結果にエラーが生じている旨を示す「×」が表示されている。これにより、薬剤師は、例えば前記鑑査処理の結果がエラーの原因となった前記錠剤を容易に把握することができる。
なお、前記調剤詳細領域A312に表示されている前記錠剤の撮影画像の選択操作が行われると、前記制御部21は、図18に示すように、前記選択操作の対象である前記錠剤の撮影画像を拡大して拡大画像P331として表示する拡大画面D33を前記クライアント端末3に表示させることが可能である。また、前記拡大画面D33において、前記選択操作の対象である前記錠剤に対応する前記正画像を拡大した拡大画像と前記拡大画像P331とが上下又は左右に並べて表示されてもよい。なお、前記拡大画面D33には、前記選択操作により選択された前記錠剤が分包された前記薬包451の分包順番(〜包目)の表示が行われ、ユーザーは、確認中の錠剤が何包目の前記薬包451に分包された錠剤であるかを容易に把握することが可能である。さらに、前記制御部21が、前記拡大画面D33に対する上下方向又は左右方向のフリック操作などの所定のユーザー操作に応じて、前記拡大画面D33に表示される前記錠剤を前記薬包451の分包順番に従って変更することが考えられる。例えば、前記拡大画面D33に7包目の前記薬包451に分包されている錠剤が表示されている場合には、前記所定のユーザー操作に応じて6包目又は8包目の前記薬包451に分包されている錠剤が表示される。なお、前記制御部21が、前記所定のユーザー操作に応じて、エラーの原因となっている前記錠剤のみを順次表示させることも考えられる。また、前記制御部21は、前記拡大画面D33に対する上下方向及び左右方向の一方のフリック操作に応じて表示対象の前記薬包451を切り換え、他方のフリック操作に応じて表示対象の錠剤の種類を同包された他の錠剤に切り換えることも考えられる。
[鑑査画面の第2表示形態]
ここに、図19及び図20は、前記鑑査詳細画面D31の他の例である鑑査詳細画面D302を示す図である。なお、図19は、鑑査結果が適正であった場合、図20は、鑑査結果にエラーが生じている場合の前記鑑査詳細画面D302を示す図である。
図19及び図20に示されるように、前記鑑査詳細画面D302には、前記鑑査詳細画面D301と同様の前記基本情報領域A311及び前記鑑査結果領域A313が表示されると共に、前記調剤詳細領域A312に代えて調剤詳細領域A322が表示されている。
より具体的に、図19及び図20に示されている前記調剤詳細領域A322では、前記調剤詳細領域A312と同様に、薬品名、種別、結果、及び正画像が表示される。一方、前記調剤詳細領域A322では、前記調剤詳細領域A312とは異なり、前記錠剤の撮影画像として、前記錠剤の識別情報が含まれた1枚の画像のみが表示されている。これにより、前記調剤詳細領域A322で同時に表示可能な分包数を増やすことができる。これは、一般的に、前記錠剤の識別情報が、前記薬品の外周面を一方向から見たときに確認することが可能であり、その他の外周面の画像が必要ない場合が多いためである。
また、前記調剤詳細領域A322に表示されている前記錠剤の撮影画像の選択操作が行われると、前記制御部21は、図21に示すように、前記選択操作の対象である前記錠剤の撮影画像を拡大して拡大画像P341として表示するための拡大画面D34を前記クライアント端末3に表示させることが可能である。また、前記制御部21は、前記拡大画面D34において、前記選択操作の対象である前記錠剤に対応する前記正画像のうち前記識別情報が含まれる画像を拡大した拡大画像P342を前記拡大画像P341と共に表示させる。なお、前記拡大画像P341及び前記拡大画像P342の配列方向は上下方向又は左右方向のいずれであってもよい。また、前記拡大画像P342として、前記選択操作の対象である前記錠剤に対応する前記正画像として予め登録された複数の画像が表示されてもよい。
なお、前記調剤詳細領域A322において、前記薬包451の包数を示す1包目、2包目、・・・などの包数情報と共に、又は前記包数情報に代えて、服用日及び服用時期が表示されることも考えられる。また、前記制御部21は、前記調剤詳細領域A322において錠剤の撮影画像の選択操作に応じて、前記錠剤の複数の撮影画像(例えば表面画像及び裏面画像)を交互に切り替えて表示させることも考えられる。これにより、通常時の表示領域のサイズを抑制しつつ前記錠剤を複数の方向から見た状態を確認することが可能である。
ところで、図16、図17、図19、及び図20に示したように、前記第1表示形態に係る前記鑑査詳細画面D301及び前記第2表示形態に係る前記鑑査詳細画面D302では、前記制御部21が、一連の分包処理で払い出される複数の前記薬包451に対応する前記錠剤の撮影画像を、1包目、2包目、・・・の順に並べて分包単位で表示する。ここで、前記制御部21は、表示対象となる前記薬包451の並び順を、服用時期ごとに並べる第1配列(図27参照)と、服用日及び服用時期の順に並べる第2配列(図28参照)とをユーザー操作などに応じて任意に選択可能であることが考えられる。なお、前記制御部21は、例えば前記サーバー2又は前記錠剤分包装置4の初期設定における設定操作に応じて前記第1配列及び前記第2配列を切り替える。
例えば、前記処方データの一つのレコードに基づいて、7月1日から7月3日までの間の朝、昼、夜の9回分に対応する前記薬包451が払い出される場合を考える。この場合、前記第1配列では、図27に示されるように、7月1日の朝、7月2日の朝、7月3日の朝、7月1日の昼、7月2日の昼、7月3日の昼、7月1日の夜、7月2日の夜、7月3日の夜の順で、前記薬包451に分包されている錠剤の撮影画像が並べて表示される。一方、前記第2配列では、図28に示されるように、7月1日の朝、7月1日の昼、7月1日の夜、7月2日の朝、7月2日の昼、7月2日の夜、7月3日の朝、7月3日の昼、7月3日の夜の順で、前記薬包451に分包されている錠剤の撮影画像が並べて表示される。これにより、前記鑑査支援システム1が使用される医療機関における運用に合わせて前記鑑査詳細画面D301又はD302の表示態様を変更することが可能であり汎用性に優れたシステム構成が実現される。
[鑑査モード切替機能]
ところで、前記実施形態では、前記錠剤分包装置4の前記自動鑑査処理において、前記処方データに基づいて払い出された全ての前記薬包451の錠剤について適否が判断されている。一方、前記錠剤分包装置4では、前記自動鑑査処理における鑑査モードとして、全ての前記薬包451の錠剤を鑑査対象とする第1鑑査モードと、予め定められた一部の前記薬包451の錠剤を鑑査対象とする第2鑑査モードとを備えることが考えられる。なお、前記制御部21は、ユーザー操作に応じて行われる前記錠剤分包装置4の初期設定などにおいて、前記自動鑑査処理における鑑査モードを前記第1鑑査モード及び前記第2鑑査モードのいずれかに切り替える。
ここに、前記第2鑑査モードにおける鑑査対象は、前記処方データに基づいて分包された最初及び最後のいずれか一方又は両方の前記薬包451であることが考えられる。また、前記第2鑑査モードにおける鑑査対象は、前記処方データにおける服用パターンの変化時に対応する最初及び最後のいずれか一方又は両方の前記薬包451であることも考えられる。さらに、前記第2鑑査モードにおける鑑査対象は、収容されている錠剤の供給元が予め設定された供給元(例えば手撒きユニット42又は特定の錠剤カセット41など)である前記薬包451であってもよい。例えば、供給元が前記手撒きユニット42又は前記特定の錠剤カセット41となる錠剤が少なくとも1種類含まれている前記薬包451については前記第2鑑査モードが適用される。このように、前記薬包451のうち特に鑑査の必要性が高い前記薬包451のみについて漏れなく鑑査を行うことができ、薬剤師による鑑査業務を効率化することが可能である。ところで、前記第1鑑査モード及び前記第2鑑査モードの切り替えは、前記薬包451単位に限らず、一つの前記処方データに基づいて分包される一連の前記薬包451の単位であってもよい。
なお、前記第2鑑査モードでは、一部の前記薬包451の錠剤を鑑査対象とする場合を例に挙げて説明した。一方、前記第2鑑査モードの他の例として、前記処方データに基づく前記分包処理において同じ前記錠剤カセット41から錠剤が連続して払い出される場合に、前記錠剤カセット41から最初に払い出される錠剤のみが鑑査対象となることが考えられる。また、前記第2鑑査モードの他の例として、前記処方データに基づく前記分包処理で払い出される各種の錠剤について、その種類ごとに最初に払い出される錠剤のみが鑑査対象となることも考えられる。
さらに、前記錠剤分包装置4は、前記制御部40により前記自動鑑査処理の有無が自動的に切り替えられる第3鑑査モードを備えることが考えられる。前記第3鑑査モードでは、前記分包処理において前記錠剤カセット41から払い出される錠剤については前記自動鑑査処理が実行されず、前記手撒きユニット42から払い出される錠剤については前記自動鑑査処理が実行される。これにより、人為的ミスが生じるおそれの高い前記手撒きユニット42が用いられる場合に前記自動鑑査処理が実行されて調剤ミスが抑制され、前記手撒きユニット42が用いられず前記錠剤カセット41が用いられる場合には前記自動鑑査処理が実行されず前記分包処理の所要時間が短縮される。なお、前記自動鑑査処理が実行されない場合、前記撮影部46のカメラ462又は463による錠剤の撮影は実行されてもよいが省略されてもよい。
また、前記第3鑑査モードにおいて、前記分包処理に前記手撒きユニット42が用いられるか否かに応じて鑑査手法が変更されることも考えられる。例えば、前記制御部40は、前記分包処理の対象となる前記処方データに含まれる錠剤のうち少なくとも1種類の錠剤の供給元が前記手撒きユニット42である場合、即ち前記分包処理で前記手撒きユニット42が用いられる場合には、前記撮影画像から取得される前記錠剤の識別情報と前記処方データとを照合する画像鑑査処理を前記自動鑑査処理として実行する。ここに、前記画像鑑査処理を実行するときの前記制御部40が画像鑑査処理部の一例である。一方、前記制御部40は、前記分包処理で前記手撒きユニット42が用いられず前記錠剤カセット41が用いられる場合には、前記錠剤の払出数と前記処方データとを照合する計数鑑査処理を実行する。ここに、前記計数鑑査処理を実行するときの前記制御部40が計数鑑査処理部の一例である。
具体的に、前記錠剤分包装置4では、前記制御部40が、前記通過検出センサー475を用いて、前記薬包451に収容される錠剤の数を前記薬包451ごとに検出する。なお、前記通過検出センサー475を用いて前記錠剤の数を検出するときの前記制御部40が錠数検出部の一例である。なお、前記通過検出センサー475は、前記錠剤が前記回転ユニット44から払い出されてから前記薬包451に収容される前のタイミングで前記錠剤を検出する位置に配置されている。即ち、前記制御部40は、前記カメラ462及び463で前記錠剤が撮影された位置よりも前記錠剤の払出方向における下流側で、前記通過検出センサー475を用いて前記錠剤の数を検出する。なお、例えば前記錠剤が前記薬包451に収容された後で前記薬包451がカメラなどで撮影され、前記制御部40がその撮影画像から前記薬包451に収容された前記錠剤の数を検出することも考えられる。そして、前記制御部40は、前記処方データに基づいて前記薬包451に収容されるべき錠剤数と前記通過検出センサー475で検出された錠剤数とを照合する。
これにより、人為的ミスが生じるおそれの高い前記手撒きユニット42が用いられる場合には、前記自動鑑査処理として前記画像鑑査処理が実行されて調剤ミスが高い精度で抑制される。一方、前記手撒きユニット42が用いられず前記錠剤カセット41が用いられる場合には、前記画像鑑査処理が実行されないことにより前記分包処理の所要時間が短縮されると共に、前記計数鑑査処理が実行されることにより調剤ミスも抑制される。
また、前記錠剤分包装置4は、前記画像鑑査処理に用いられる前記カメラ462又は463などの構成要素に不具合が生じた場合に、前記自動鑑査処理として前記画像鑑査処理を実行することなく、前記計数鑑査処理を実行する故障モードを前記鑑査モードの一つとして有することも考えられる。例えば、前記制御部40は、前記画像鑑査処理に用いられる構成要素に不具合が検出された場合に、前記故障モードへの切り替えの有無を選択させるための操作画面を表示させ、ユーザー操作に応じて前記故障モードへの切り替えの有無を実行することが考えられる。これにより、前記錠剤分包装置4の前記画像鑑査処理を実行するための構成要素に不具合が生じた場合であっても、前記錠剤分包装置4を用いて通常の前記分包処理を実行することが可能である。なお、前記故障モードは、前記画像鑑査処理及び前記計数鑑査処理の両方が実行されない鑑査モードであってもよい。
[表裏面同一時の表示変更機能]
ところで、前記鑑査詳細画面D301では、錠剤ごとに二枚の撮影画像が表示されており、前記鑑査詳細画面D302では、錠剤ごとに一枚の撮影画像が表示されている。そのため、同数の前記薬包451に対応する錠剤の画像を表示する場合には、前記鑑査詳細画面D302よりも前記鑑査詳細画面D301の方が前記撮影画像各々のサイズが小さくなる。
これに対し、前記制御部21は、前記鑑査詳細画面D301を表示する場合であっても、表面及び裏面に付された前記識別情報が同一である錠剤については、前記錠剤の表面及び裏面のうち一方の撮影画像を、表面及び裏面の撮影画像が表示される領域内で拡大して前記鑑査詳細画面D301に表示させる表示変更機能を有することが考えられる。
例えば、前記制御部21は、前記錠剤の表面及び裏面からそれぞれ取得される前記錠剤の識別情報を比較することにより、前記錠剤について表面及び裏面の識別情報が同じであるか否かを判断する。また、錠剤の種別ごとに、表面及び裏面が同じであるか否かの情報が前記医薬品マスターに予め登録されており、前記制御部21が、前記処方データに払出対象として含まれる錠剤の薬品情報と前記医薬品マスターとに基づいて前記錠剤の表面及び裏面が同じであるか否かを判断することも考えられる。
このような構成によれば、前記錠剤の表面及び裏面に付されている前記識別情報が同一である場合には、前記錠剤の表面及び裏面のいずれか一方に対応する撮影画像が拡大して表示されるため、前記錠剤の識別情報を容易に確認することが可能である。なお、前記制御部21は、表面及び裏面に付されている前記識別情報が異なる錠剤については、前記錠剤の表面及び裏面の両方に対応する撮影画像を前記鑑査詳細画面D301に表示させる。
例えば、図16及び図19などに示されている錠剤のうち「セファランチン錠1mg」は表面及び裏面に付された識別情報が異なるが、例えば「カンデサルタンOD錠2mg」のような錠剤については表面及び裏面に付された識別情報が同じである。そのため、分包対象の錠剤が「カンデサルタンOD錠2mg」である場合には、図29に示されるように、前記鑑査詳細画面D301において、前記錠剤の表面及び裏面のいずれか一方のみが表示される。なお、図29に示される例では、前記錠剤の正画像については表面及び裏面の識別情報が同じであることが確認可能にするため、表面及び裏面の両方の正画像が表示されている。一方、前記正画像についても前記錠剤の表面及び裏面のいずれか一方のみが表示されることも考えられる。
[エラー時画像表示機能]
前述したように、前記鑑査支援システム1では、前記自動鑑査処理の結果及び前記錠剤の撮影画像が前記鑑査詳細画面D301又は前記鑑査詳細画面D302に表示される。また、前記拡大画面D33又は前記拡大画面D34では、各薬包に収容されている錠剤の撮影画像の拡大写真が表示可能である。
一方、前記鑑査支援システム1は、前記自動鑑査処理の結果がエラーである場合に、そのエラーの対象である錠剤を異なる角度から撮影した複数種類の撮影画像を表示するエラー時画像表示機能を備えることが考えられる。以下では、まず、前記サーバー2が前記エラー時画像表示機能を備える場合について説明し、後段で前記錠剤分包装置4が前記エラー時画像表示機能を備える場合について説明する。
具体的に、前記サーバー2において、前記制御部21は、前記自動鑑査処理の結果がエラーである場合に、前記エラーの原因となった前記錠剤の撮影画像として、前記錠剤分包装置4において前記錠剤ごとに撮影された前記錠剤の異なる外周面に対応する複数の撮影画像を前記錠剤ごとに表示することが可能である。係る表示処理は、前記制御部21の前記鑑査表示処理部211によって実行される。
具体的に、前記錠剤分包装置4では、前述したように前記カメラ462及び前記カメラ463による撮影が予め設定された撮影間隔(例えば、数ms間隔)で行われる。そのため、前記回転ユニット44に設けられた前記錠剤回転部441で回転している錠剤の撮影画像として、その錠剤の外周面における異なる複数の領域が撮影された複数の撮影画像が得られる。なお、前記撮影間隔は、前記カメラ462及び前記カメラ463により錠剤の外周面における異なる複数の領域が撮影されるように予め設定された間隔である。そして、前記撮影画像から読み取った前記錠剤の識別情報が用いられる前記自動鑑査処理では、前記錠剤ごとに撮影される前記錠剤の複数の撮影画像のいずれかから前記錠剤の識別情報が読み取られ、その識別情報が前記処方データと一致するか否かが判断される。例えば、前記医薬品マスターには、前記錠剤ごとに刻印又は印刷によって形成されている識別情報が登録されており、前記自動鑑査処理では、前記医薬品マスターと前記撮影画像から読み取られる前記錠剤の識別情報とに基づいて前記錠剤の薬品名が特定され、前記薬品名が前記処方データに含まれる錠剤の薬品名と一致するか否かが判断される。また、前記撮影画像と前記正画像とを用いて行う前記自動鑑査処理では、前記錠剤ごとに撮影される前記錠剤の複数の撮影画像のいずれかを、前記正画像と比較して、一致するか否か、または、一致度合いが判断される。
そして、前記制御部40は、前記自動鑑査処理の結果が適正であった場合には、前記カメラ462又は前記カメラ463によって撮影された前記錠剤の撮影画像のうち前記錠剤から前記錠剤の識別情報が読み取られたときの元画像、又は、前記正画像と比較された元画像を含む一又は複数の撮影画像を前記自動鑑査処理の結果と共に前記サーバー2に送信する。一方、前記制御部40は、前記自動鑑査処理の結果がエラーであった場合には、前記カメラ462又は前記カメラ463によって撮影された前記錠剤の撮影画像のうち前記錠剤の外周面における異なる複数の領域が撮影された複数の撮影画像を前記自動鑑査処理の結果と共に前記サーバー2に送信する。なお、前記錠剤各々の全ての撮影画像が前記錠剤分包装置4から前記サーバー2に送信されてもよい。
また、前記自動鑑査処理のエラーには、前記撮影画像に含まれる識別情報により特定される錠剤が前記処方データに含まれる錠剤と一致しない第1エラーと、前記撮影画像に含まれる識別情報が前記医薬品マスターに登録されている全ての錠剤の識別情報と一致しない第2エラーとが含まれる。そこで、前記制御部40は、前記自動鑑査処理の結果が前記第1エラーである錠剤については、前記自動鑑査処理の結果が適正である場合と同様に、前記識別情報が読み取られたときの錠剤の撮影画像、又は、前記正画像と比較された撮影画像を前記サーバー2に送信することが考えられる。そして、前記制御部40は、前記自動鑑査処理の結果が前記第2エラーである錠剤については、前記錠剤の撮影画像のうち前記錠剤の外周面における異なる複数の領域が撮影された複数の撮影画像を前記サーバー2に送信することが考えられる。
このように、前記錠剤分包装置4から前記サーバー2に前記撮影画像が送信されることにより、前記制御部21は、前記サーバー2の表示部24又は前記クライアント端末3の表示部34などに前記鑑査詳細画面D301(図17参照)又は前記鑑査詳細画面D302(図20参照)を表示させる際に、前記錠剤の一又は複数の撮影画像を表示させることが可能である。なお、前記制御部21は、前記錠剤分包装置4から取得した前記撮影画像各々を、前記自動鑑査処理の結果と共に前記処方データに対応付けて前記記憶部22に記憶させる。
具体的に、前記鑑査詳細画面D301又は前記鑑査詳細画面D302において、前記制御部21は、前記自動鑑査処理の結果が適正又は前記第1エラーである錠剤については、前記錠剤の識別情報が読み取られたときの撮影画像、又は、前記正画像と比較された撮影画像を少なくとも表示させ、前記自動鑑査処理の結果が前記第2エラーである錠剤については前記錠剤の撮影画像のうち任意の撮影画像を表示させることが考えられる。例えば、前記制御部21は、前記自動鑑査処理の結果が前記第2エラーである錠剤については、前記錠剤の撮影画像のうち最初の撮影画像及び最後の撮影画像のいずれか一方又は両方を表示させることが考えられる。また、前記制御部21は、前記自動鑑査処理の結果が前記第2エラーである錠剤については、前記錠剤の撮影画像のうち前記錠剤の識別情報とのパターンマッチングの一致度が高い識別情報が含まれる撮影画像を表示させること、又は前記錠剤の撮影画像のうち文字が検出された撮影画像を表示させること等も考えられる。
また、前記制御部21は、前記鑑査詳細画面D301又は前記鑑査詳細画面D302において、前記自動鑑査処理の結果が適正である前記錠剤の撮影画像のいずれかを選択するためのユーザー操作が行われると、前記錠剤の撮影画像の拡大画像を、前記拡大画面D33(図18参照)及び前記拡大画面D34(図21参照)に表示させる。なお、前記ユーザー操作は、例えば前記鑑査詳細画面D301又は前記鑑査詳細画面D302において前記自動鑑査処理の結果が適正である前記錠剤の撮影画像を選択する操作である。
一方、前記制御部21は、前記鑑査詳細画面D301又は前記鑑査詳細画面D302において、前記自動鑑査処理の結果がエラーである前記錠剤の撮影画像のいずれかを選択するための前記ユーザー操作が行われると、前記錠剤についての複数の撮影画像が表示されるエラー詳細画面D35を表示させる。なお、前記ユーザー操作は、例えば前記鑑査詳細画面D301又は前記鑑査詳細画面D302において前記自動鑑査処理の結果がエラーである前記錠剤の撮影画像を選択する操作である。また、前記制御部21は、前記自動鑑査処理の結果が前記第1エラーである前記錠剤については、前記エラー詳細画面D35ではなく、前記自動鑑査処理の結果が適正である場合と同様に、前記拡大画面D33又は前記拡大画面D34を表示させることも考えられる。
また、前記制御部21は、前記自動鑑査処理の結果がエラーである場合には、そのエラーが前記第1エラー及び前記第2エラーのいずれであるかを前記エラー詳細画面D35に表示させることも考えられる。例えば、前記制御部21は、前記自動鑑査処理の結果が前記第1エラーである場合には、前記第1エラーである旨を示す「薬種間違い」などのメッセージと共に、前記錠剤の撮影画像から読み取られた識別情報に対応する錠剤の薬品名などを前記エラー詳細画面D35に表示させることが考えられる。また、前記制御部21は、前記自動鑑査処理の結果が前記第2エラーである場合には、前記第2エラーである旨を示す「薬種不明」などのメッセージを前記エラー詳細画面D35に表示させることが考えられる。
ここに、図22は、前記エラー詳細画面D35の一例を示す図である。図22に示されているように、前記エラー詳細画面D35には、前記鑑査詳細画面D301又は前記鑑査詳細画面D302で選択された前記錠剤の薬品名と共に、前記自動鑑査処理の結果がエラーであった前記錠剤の撮影画像として、前記錠剤の外周面における異なる領域が撮影された複数の撮影画像P351〜P353が表示される。このとき、前記制御部21は、前記錠剤に対応する複数の撮影画像のうち、前記撮影間隔で連続して撮影された予め定められた数の撮影画像、又は予め定められた間隔に対応する複数の撮影画像を前記エラー詳細画面D35に表示させることにより、前記錠剤の外周面における異なる領域の撮影画像を表示させる。特に、前記制御部21は、前記自動鑑査処理の結果が前記第1エラーである前記錠剤については、前記エラー詳細画面D35において、前記識別情報が読み取られたときの撮影画像、又は、前記正画像と比較された撮影画像を含む一又は複数の撮影画像を表示させることが考えられる。これにより、薬剤師は、例えば前記エラー詳細画面D35に表示されている複数枚の前記錠剤の撮影画像を参照して適否を判断することが可能である。
例えば、前記錠剤回転部441における前記ローラー100の回転量(回転時間)と前記錠剤の回転量との対応関係を示す回転対応情報が前記記憶部22に記憶されており、前記制御部21が、前記回転対応情報と前記撮影間隔とに基づいて、前記錠剤の外周面における異なる領域が撮影された複数の撮影画像を選択することが考えられる。具体的に、前記カメラ462又は前記カメラ463による撮影が1msごとに行われている場合であって、前記回転対応情報において10msごとに錠剤が10°回転することが既知である場合、前記制御部21が、45msごとに撮影された複数の撮影画像を選択すること、又は90msごとに撮影された複数の撮影画像を選択することが考えられる。これにより、前記制御部21は、前記錠剤の外周面のうち前記錠剤の姿勢が45°ごと又は90°ごとに異なる複数の撮影画像が選択されることになる。また、前記錠剤分包装置4において、前記制御部40が、前記カメラ462又は前記カメラ463による撮影間隔が45msである場合には、前記制御部21が連続する複数の撮影画像を選択することにより、前記錠剤の回転角度が45°ごとに異なる複数の撮影画像が選択されることになる。
このように、前記鑑査支援システム1では、前記制御部21が、前記自動鑑査処理の結果にエラーが含まれる場合に、前記錠剤の外周面における異なる領域が撮影された複数の撮影画像が表示される前記エラー詳細画面D35を表示させることが可能である。従って、薬剤師は、前記自動鑑査処理の結果がエラーである場合に、その複数の撮影画像を参照してエラーの理由を把握することが可能である。
なお、図22に示されている前記エラー詳細画面D35では、3枚の撮影画像P351〜P353が表示されているが、前記エラー詳細画面D35に表示される撮影画像の数はこれに限らない。例えば、前記錠剤の外周面の異なる領域が撮影された2枚の撮影画像が表示されること、又は4枚以上の撮影画像が表示されることが考えられる。さらに、前記制御部21は、前記エラー詳細画面D35に対する左右方向又は上下方向のフリック操作に応じて前記錠剤の複数の撮影画像を一枚ごと又は複数枚ごとに順次表示させることも考えられる。なお、前記エラー詳細画面D35に左右方向又は上下方向にスライド操作可能なスライドバーが表示されており、前記制御部21が、前記スライドバーのスライド操作に応じて前記錠剤の複数の撮影画像を一枚ごと又は複数枚ごとに順次表示させることも考えられる。
また、前記制御部21は、前記エラー詳細画面D35に表示されている撮影画像のいずれかが選択された場合には、その撮影画像を拡大表示するための拡大画面D36を表示させることが考えられる。ここに、図23は、前記拡大画面D36の一例を示す図である。具体的に、図23に示されている前記拡大画面D36には、前記拡大画面D34(図18参照)と同様に、選択された錠剤の撮影画像P361とその錠剤に対応する正画像の拡大画像P362とが上下方向又は左右方向に並べて表示される。なお、前記エラー詳細画面D35において、前記撮影画像P351〜P353と共に前記拡大画像P362が表示されることも考えられる。
また、図1に示されているように、前記制御部21は、前記自動鑑査処理におけるエラーの原因となった錠剤の撮影画像の表示後に行われるユーザー操作に応じて前記錠剤についての前記エラーを解除可能な解除処理部215を含む。さらに、前記解除処理部215は、前記エラーを解除すると共に、前記ユーザー操作が行われたときのユーザーの識別情報を前記処方データと対応付けて記録することが可能である。なお、前記制御部21は、前記鑑査支援プログラムに従って各種の処理を実行することにより、前記解除処理部215として機能する。
具体的に、図22及び図23に示されているように、前記エラー詳細画面D35及び前記拡大画面D36には、前記自動鑑査処理の結果であるエラーを解除するためのエラー解除キーK351が表示されている。そして、前記制御部21は、前記エラー解除キーK351が操作されると、前記処方データの前記自動鑑査処理の結果のうち現在表示中の薬包における錠剤について発生しているエラーを解除する。これにより、薬剤師は、例えば前記錠剤の撮影画像各々を参照して問題がないことが確認できた場合には、前記エラー解除キーK351を操作することにより、前記処方データについての前記自動鑑査処理でエラーが生じていた場合でも前記処方データの鑑査を正常に終了させることが可能となる。
また、前記制御部21は、前記エラー解除キーK351が操作された場合には、エラーが解除された旨と現在ログイン中のユーザーである薬剤師の識別情報(氏名又はID)とを、前記自動鑑査処理の結果と共に前記処方データに対応付けて前記記憶部22に記録する。これにより、前記制御部21は、前記処方データについて前記自動鑑査処理の結果のうちエラーを解除したユーザーの情報を出力(表示)することが可能となる。また、前記制御部21は、前記エラー解除キーK351が操作された日時、又は任意に入力されるエラーの解除理由のコメントなどの情報を、前記自動鑑査処理の結果と共に前記処方データに対応付けて前記記憶部22に記録することも考えられる。
なお、前記制御部21が、前記エラー解除キーK351が操作された場合に、前記エラーを解除することなく、前記エラーについての確認操作が行われた旨(ユーザーの判断結果)とその確認操作を実行したユーザーである薬剤師の識別情報とを、前記自動鑑査処理の結果と共に前記処方データに対応付けて前記記憶部22に記録することも考えられる。これにより、前記制御部21は、前記錠剤分包装置4における前記自動鑑査処理の結果、前記薬剤師による確認操作の有無であるユーザーの判断結果、及び前記確認操作を行った薬剤師の識別情報などの情報を出力(表示)することが可能となる。
ところで、前記鑑査支援システム1において、前記処方データについての前記自動鑑査処理の結果及び前記撮影画像のデータは、前記サーバー2の前記記憶部22に記憶される。ここで、前記制御部21は、前記記憶部22内に記憶されている前記撮影画像のデータのうち、前記エラー解除キーK351の操作などによりエラーが解除された錠剤の撮影画像については、前記鑑査支援処理(図7参照)の終了時(S26:Yes)に消去することが考えられる。これにより、前記記憶部22に確保する必要がある記憶容量を抑制することができる。また、前記制御部21は、前記エラー解除キーK351の操作などによりエラーが解除された錠剤の撮影画像のうち前記エラー詳細画面D35でユーザー操作により任意に選択された一又は複数の撮影画像のみを前記記憶部22に蓄積し、他の撮影画像を消去することも考えられる。
次に、前記錠剤分包装置4が、前記エラー時画像表示機能を備える場合について説明する。具体的に、図1に示すように、前記錠剤分包装置4は、液晶ディスプレイ及びタッチパネルなどの操作表示部48と、ハードディスク又はSSDなどの記憶部49とを備える。そして、前記制御部40は、前記制御部21と同様に、前記操作表示部48に、前記鑑査詳細画面D301、D302、前記拡大画面D34、D35、前記エラー詳細画面D35、及び前記拡大画面D36などを表示させることが可能である。即ち、前記制御部40は、前記自動鑑査処理の結果がエラーであった場合に、前記エラーの原因となった前記錠剤の撮影画像として、前記錠剤分包装置4において前記錠剤ごとに撮影された前記錠剤の異なる外周面に対応する複数の撮影画像が前記錠剤ごとに表示される前記エラー詳細画面D35を前記操作表示部48に表示させることが可能である。ここに、係る処理を実行するときの前記制御部40が鑑査表示処理部の一例である。
また、前記制御部40は、前記自動鑑査処理の結果が前記第1エラーである錠剤については、前記自動鑑査処理の結果が適正である場合と同様に、前記識別情報が読み取られたときの錠剤の撮影画像、又は、前記正画像と比較された錠剤の撮影画像を前記操作表示部48に表示させることが考えられる。そして、前記制御部40は、前記自動鑑査処理の結果が前記第2エラーである錠剤については、前記錠剤の撮影画像のうち前記錠剤の外周面における異なる複数の領域が撮影された複数の撮影画像を前記操作表示部48に表示させることが考えられる。
なお、前記制御部40が、前記エラー詳細画面D35に対する左右方向又は上下方向のフリック操作に応じて前記錠剤の複数の撮影画像を一枚ごと又は複数枚ごとに順次表示させることも考えられる。また、前記エラー詳細画面D35に左右方向又は上下方向にスライド操作可能なスライドバーが表示されており、前記制御部40が、前記スライドバーのスライド操作に応じて前記錠剤の複数の撮影画像を一枚ごと又は複数枚ごとに順次表示させることも考えられる。
また、前記制御部40は、前記エラー解除キーK351が操作された場合、エラーが解除された旨と前記錠剤分包装置4に現在ログイン中のユーザーである薬剤師の識別情報(氏名又はID)とを、前記自動鑑査処理の結果と共に前記処方データに対応付けて前記記憶部49に記録する。さらに、前記制御部40は、前記自動鑑査処理の結果及び前記錠剤の撮影画像を前記サーバー2に送信する際、前記エラーが解除された旨及び前記薬剤師の識別情報も送信する。これにより、前記サーバー2では、前記制御部21が、前記処方データについての前記自動鑑査処理の結果を出力(表示)する際に、前記エラーが解除された旨及び前記薬剤師の識別情報などを出力(表示)させることが可能である。
また、前記制御部40が、前記エラー解除キーK351が操作された場合に、前記エラーを解除することなく、前記エラーについての確認操作が行われた旨とその確認操作を実行したユーザーである薬剤師の識別情報とを、前記自動鑑査処理の結果と共に前記処方データに対応付けて前記記憶部49に記録することも考えられる。これにより、前記制御部40は、前記錠剤分包装置4における前記自動鑑査処理の結果、前記薬剤師による確認操作の有無、及び前記確認操作を行った薬剤師の識別情報などの情報を出力(表示)することが可能となる。例えば、前記制御部40は、前記自動鑑査処理の結果及び前記錠剤の撮影画像を前記サーバー2に送信する際に、前記エラーについての確認操作が行われた旨及び前記薬剤師の識別情報も送信する。
なお、前記錠剤分包装置4において、前記制御部40により、前記処方データについての前記自動鑑査処理の結果及び前記撮影画像のデータが前記記憶部49に記憶される。そのため、前記制御部21が、前記記憶部22内に記憶されている前記撮影画像のデータのうち、前記自動鑑査処理の結果が正常である錠剤の撮影画像、及び前記エラー解除キーK351の操作などによりエラーが解除された撮影画像については、前記鑑査支援処理(図7参照)の終了時(S26:Yes)に消去することが考えられる。これにより、前記記憶部22に確保する必要がある記憶容量を抑制することができる。なお、前記サーバー2の前記記憶部22又は前記錠剤分包装置4の前記記憶部49のいずれか一方には、前記自動鑑査処理の結果及び前記撮影画像のデータが蓄積され、他方については、前記鑑査支援処理の終了時に前記自動鑑査処理の結果及び前記撮影画像のデータが消去されることも考えられる。
[印刷鑑査機能]
前記錠剤分包装置4では、前記印刷ユニット453により、前記薬包451には患者の氏名、服用時期、薬品名、又は処方量などの文字情報が印刷されることがある。また、前記薬包451に、前記薬包451が分包されたときの前記分包処理の適否を判断するための検薬コードが一次元コード又は二次元コードで印刷されることもある。これに対し、前記錠剤分包装置4が、前記印刷ユニット453による前記薬包451への印刷が正常に行われているか否かを自動的に鑑査する印刷鑑査機能を有することが考えられる。
具体的に、図1に示されるように、前記錠剤分包装置4は、前記薬包451の画像を読み取る画像読取部50を備える。前記画像読取部50は、前記印刷ユニット453により前記薬包451への印刷が行われる位置よりも前記分包ユニット45における前記薬包451の移動方向下流側に配置される。より具体的に、前記画像読取部50は、前記印刷ユニット453により前記薬包451への印刷が行われる位置よりも前記薬包451の移動方向下流側であって、前記薬包451に前記錠剤が収容される前の位置に設けられる。なお、前記画像読取部50が前記薬包451に前記錠剤が収容された後の位置に設けられてもよい。
前記画像読取部50は、前記薬包451から画像を読み取るCCD又はCISなどのイメージセンサーを備える。そして、前記制御部40は、前記画像読取部50により読み取られた画像に基づいて、周知の文字認識処理(OCR)などによって前記薬包451に印刷された文字情報を取得する。また、前記制御部40は、前記画像読取部50により読み取られた画像に前記検薬コードが含まれる場合は、前記検薬コードから検薬情報を読み取る。
その後、前記制御部40は、前記画像読取部50によって読み取られた前記薬包451の印刷内容である文字情報又は検薬情報と、前記薬包451に印刷されているべき文字情報又は検薬情報とを照合する。そして、前記制御部40は、前記照合結果が一致でなければ、その旨を前記操作表示部48に表示してユーザーに報知すると共に、前記記憶部49に印刷鑑査処理の結果として前記処方データに対応付けて記録する。これにより、前記薬包451への印刷漏れ又は印刷ミスを自動的に発見することが可能であり、薬剤師による前記薬包451の印刷内容の鑑査業務を支援することが可能である。
なお、前記印刷内容の照合処理は、前記錠剤分包装置4に限らず、前記サーバー2で実行されてもよい。具体的には、前記画像読取部50によって読み取られた前記薬包451の画像が前記錠剤分包装置4から前記サーバー2に入力される。そして、前記サーバー2の前記制御部21が、前記錠剤分包装置4において前記画像読取部50で読み取られた前記薬包451の画像と前記処方データとに基づいて、前記薬包451に印刷されている情報の適否を判断する。
[薬品再利用機能]
前記錠剤分包装置4において実行される前記自動鑑査処理による鑑査結果がエラーである錠剤が含まれる前記薬包451については、前記錠剤分包装置4において前記分包処理を再実行する必要がある。このとき、前記薬包451に複数の錠剤が含まれている場合であってその一部の錠剤のみについて、前記自動鑑査処理による鑑査結果がエラーである場合には、前記鑑査結果が適正である錠剤が無駄に廃棄されることになる。又は、前記鑑査結果が適正な錠剤をその錠剤に対応する前記錠剤カセット41に戻す作業が必要になる。そこで、前記錠剤分包装置4が、前記薬包451に複数の錠剤が含まれている場合であってその一部の錠剤のみについて前記自動鑑査処理による鑑査結果がエラーである場合に、前記分包処理の再実行において前記鑑査結果が適正である錠剤の再利用を支援することが可能な薬品再利用機能を有することが考えられる。
具体的に、前記制御部40は、前記鑑査結果がエラーである錠剤が含まれる前記薬包451について前記分包処理を再実行する際、既に分包済みの前記薬包451に前記鑑査結果が適正である錠剤が含まれるか否かを判断する。そして、前記制御部40は、前記鑑査結果が適正である錠剤が含まれる場合には、その錠剤の前記手撒きユニット42への投入を促す案内通知を前記操作表示部48に表示させる。例えば、前記案内通知では、前記薬包451に収容されている錠剤のうちどの錠剤をどの位置に投入するべきかについての案内が画像又は文字などによって表示される。
そして、前記制御部40は、前記薬包451についての前記分包処理の再実行の際には、前記手撒きユニット42に撒かれた錠剤を用いて前記分包処理を実行する。これにより、前記鑑査結果が適正である錠剤を無駄にすることなく有効に利用することができ、ユーザーが前記錠剤を前記錠剤カセット41に戻す作業も不要となる。なお、前記鑑査結果が適正でなかった種類の錠剤は、その錠剤に対応する前記錠剤カセット41が存在する場合には、前記錠剤カセット41から供給される。一方、前記鑑査結果が適正でなかった種類の錠剤に対応する前記錠剤カセット41が存在しない場合には、前記案内通知において、前記鑑査結果が適正である錠剤と共に前記手撒きユニット42に投入する旨が表示され、前記手撒きユニット42を用いて前記分包処理が実行される。
ところで、前記制御部40は、前記分包処理が再実行された場合にも、前記自動鑑査処理を実行し、前記自動鑑査処理の鑑査結果及び撮影画像を前記サーバー2に送信する。この場合、前記サーバー2では、前記制御部21が、前記鑑査詳細画面D31、D301又はD302などにおいて、再実行された前記分包処理についての前記自動鑑査処理の鑑査結果を表示することになる。例えば、前記制御部21は、前記鑑査詳細画面D31、D301又はD302などにおいて、自動的に又はユーザー操作に応じて、同一の前記処方データについて過去に実行された前記自動鑑査処理の鑑査結果を順に切り替えて表示可能であることが考えられる。
また、前記制御部21は、過去の前記自動鑑査処理の鑑査結果のうち前記分包処理が再実行された錠剤のみについて最新の前記自動鑑査処理の鑑査結果に書き換えて表示させることも考えられる。なお、この場合でも、前記制御部21は、同一の前記処方データについての前記自動鑑査処理の鑑査結果を蓄積して前記記憶部22に記憶することが考えられる。これにより、前記サーバー2において、前記自動鑑査処理の鑑査結果の履歴を参照することが可能である。
[カプセル画像処理機能]
前記分包処理で払い出される錠剤がカプセル錠である場合には、前記カプセル錠を構成する左右二つのカプセル片に付されている識別情報に基づいて前記自動鑑査処理が実行される。但し、前記カプセル錠を構成する左右二つのカプセル片に刻印された又は印刷された識別情報が存在する場合に、その識別情報の位置が円周方向にずれていることがある。
そのため、前記制御部40は、前記自動鑑査処理において、前記錠剤がカプセル錠である場合には、前記カプセル錠の前記カプセル片各々の撮影画像(分割画像)を取得するカプセル画像処理機能を有することが考えられる。
具体的に、前記制御部40は、前記錠剤が撮影された複数の前記撮影画像における前記錠剤の面積の遷移に応じて前記錠剤がカプセル錠であるか否かを判断する。例えば、前記撮影画像各々における前記錠剤の面積の最大値及び最小値の比率が予め設定された閾値以下である場合、即ち前記錠剤の面積の変化量が極端に小さい場合には、前記錠剤がカプセル錠であると判断することが考えられる。また、前記撮影画像各々において前記錠剤の画像に前記錠剤を分割する線分が存在する場合、又は前記錠剤の左右の画像の色が異なる場合などに、前記錠剤がカプセル錠であると判断されることも考えられる。なお、前記制御部40は、前記医薬品マスター又は前記薬品データベースに基づいて前記錠剤がカプセル錠であるか否かを判断してもよい。
そして、前記制御部40は、前記錠剤がカプセル錠であると判断した場合、前記撮影画像各々における前記カプセル錠の画像を前記カプセル片各々に分割して分割画像を取得する。例えば、前記分割画像は、前記カプセル片の間の境界線を示す線分に沿って、又は前記カプセル錠の中心に沿って前記撮影画像が分割された画像である。その後、前記制御部40は、前記自動鑑査処理において、前記カプセル片各々の前記分割画像に基づき、前記カプセル錠の適否を照合する。具体的には、前記医薬品マスターにおいて前記カプセル錠の正画像として左右に二分割された分割正画像、又は上下左右に四分割された分割正画像が記憶されており、前記制御部40が、前記カプセル錠の撮影画像を左右に二分割した分割画像、又は上下左右に四分割した分割画像ごとに前記分割正画像と照合することが考えられる。なお、前記分割画像に含まれる錠剤の識別情報を個別に読み取って、前記分割正画像に含まれる錠剤の識別情報と比較して、前記カプセル錠の適否を照合してもよい。
また、前記制御部40は、前記自動鑑査処理の結果と共に、前記カプセル片各々の前記分割画像のうち少なくとも前記分割正画像と比較された分割画像、又は、前記識別情報が読み取られたときの前記分割画像を前記サーバー2に送信する。そして、前記サーバー2では、前記制御部21が、前記カプセル錠の撮影画像として、前記カプセル錠のカプセル片各々の識別情報が含まれる前記分割画像を合成して一枚の合成画像を生成し、その合成画像を前記鑑査詳細画面D302に表示させることが考えられる。これにより、ユーザーは、前記鑑査詳細画面D302において前記カプセル錠のカプセル片各々の識別情報を前記合成画像によって確認することができる。
なお、前記鑑査詳細画面D301のように二枚の画像が表示される場合には、前記制御部21が、前記カプセル錠の右側の識別情報が存在する前記カプセル錠の画像と、前記カプセル錠の左側の識別情報が存在する前記カプセル錠の画像とを前記鑑査詳細画面D301に表示させることも考えられる。
ところで、前記分包処理で払い出される錠剤がカプセル錠である場合には、前記カプセル錠の円周方向に沿って前記識別情報の文字が形成されていることが考えられる。ここに、図61Aは、左右各々のカプセル片において前記識別情報の文字として「アルタット75」及び「TZ321」が円周方向に沿って形成されたカプセル錠の撮影画像の一例を示す図である。図61Aに示されるように、前記カプセル錠の撮影画像各々では、前記カプセル錠の識別情報の文字の一部のみが表れる。
そこで、前記制御部40は、前記識別情報の文字が円周方向に沿って形成されているカプセル錠については、前記カプセル錠の円周方向の異なる位置に対応する複数の撮影画像を合成して合成画像を生成し、その合成画像を用いて前記カプセル錠の適否を判定することが考えられる。以下、この点について説明する。なお、ここでは、前記医薬品マスターに、前記カプセル錠の各カプセル片に対応する前記識別情報として、「アルタット75」の文字を含む分割正画像と「TZ321」の文字を含む分割正画像とが記憶されているものとする。
具体的に、前記制御部40は、前記分包処理で前記カメラ462又は463で撮影された前記カプセル錠の複数の撮影画像について、歪み補正処理、結合特徴点抽出処理、画像結合処理、及び境界除去処理などを実行する。
まず、前記カプセル錠は円柱状であるため、前記撮影画像における前記カプセル錠では、前記カプセル錠の長手方向に垂直な短手方向の端部において前記識別情報の文字が歪む。そのため、前記制御部40は、前記歪み補正処理において、前記撮影画像各々を前記カプセル錠の短手方向に拡張することにより、前記識別情報の文字の歪みを補正する。より具体的に、前記カプセル錠の短手方向の中央から端部に近くなるほど前記識別情報の文字の前記短手方向の収縮度が大きくなる。そのため、前記歪み補正処理において、前記制御部40は、前記カプセル錠の直径などに基づいて予め設定された重み付けに従って、前記カプセル錠の短手方向の中央から端部に近くなるほど前記識別情報の文字の前記短手方向の拡張度が大きくなるように前記撮影画像の補正処理を実行する。例えば、前記制御部40は、前記撮影画像における前記カプセル錠の短手方向の中央から端部に向けて徐々に狭くなる間隔で対象点を設定した後、前記対象点が等間隔となるように前記撮影画像を拡張させることが考えられる。これにより、例えば図61Bに示されるように、前記識別情報の文字の歪みが補正された撮影画像が得られる。
次に、前記制御部40は、前記結合特徴点抽出処理において、前記歪み補正処理後の前記撮影画像各々から前記識別情報が含まれる予め設定された必要範囲の画像をトリミングし、そのトリミングされた撮影画像各々について前記撮影画像各々を合成するための特徴点を抽出する。そして、前記制御部40は、前記画像結合処理において、前記撮影画像各々を前記特徴点に基づいて順に重ね合わせて合成することにより合成画像を生成する。これにより、例えば図61Cに示されるように、前記撮影画像各々が合成された合成画像が得られる。また、前記制御部40は、前記境界除去処理において、前記撮影画像の合成によって生じる境界線を前記合成画像から除去するための処理を実行する。例えば、前記境界除去処理では、周知の勾配ドメイン手法を用いて前記境界線が除去される。これにより、例えば図61Dに示されるように、前記識別情報の文字の歪みが補正された撮影画像が得られる。
そして、前記制御部40は、前記合成画像を前記撮影画像として前記画像鑑査処理を実行することにより、前記カプセル錠の適否を判定する。具体的に、前記制御部40は、前記合成画像から文字領域(例えば、図61Dの領域A41及びA42)を抽出し、前記文字領域の画像各々と前記分割正画像とのマッチング処理により前記識別情報の文字の適否を判定する。これにより、前記錠剤分包装置4では、周方向に識別情報の文字が形成されているカプセル錠についても前記画像鑑査処理によって前記カプセル錠の適否を判断することが可能となる。
[省略表示機能]
また、前記制御部21が、前記鑑査詳細画面D301における錠剤の二枚の撮影画像のうち少なくとも一方の撮影画像に前記錠剤の識別情報が含まれていない場合には、その撮影画像の表示を省略し、他方の撮影画像を拡大して表示する省略表示機能を有することが考えられる。特に、前記鑑査詳細画面D301における錠剤の撮影画像各々から予め設定された特定識別情報の情報を除外し、前記撮影画像各々における前記識別情報の有無を判断することが考えられる。
具体的に、前記医薬品マスターにおいて、前記錠剤のメーカー名又は標章などが前記特定識別情報の情報として設定され、前記記憶部22に記憶されていることが考えられる。一方、前記制御部21は、前記錠剤の撮影画像から取得される前記錠剤の識別情報から前記特定識別情報の情報を除く情報を前記錠剤の識別情報として取得する。これにより、前記錠剤の撮影画像に前記特定識別情報のみが含まれる場合には、前記錠剤の撮影画像から前記錠剤の識別情報が取得されない。
そして、前記制御部21は、前記鑑査詳細画面D301において、錠剤の表裏面の撮影画像に識別情報が含まれる場合にはその表裏面の撮影画像を表示する。一方、前記制御部21は、前記鑑査詳細画面D301において、錠剤の表裏面の撮影画像のいずれか一方に識別情報が含まれていない場合には、その識別情報が含まれていない撮影画像の表示を省略し、識別情報が含まれる撮影画像のみを表示する。このとき、前記制御部21は、前記撮影画像を表裏面の撮影画像が表示される領域内で拡大して表示する。なお、前記錠剤の表裏面の両方に前記特定識別情報のみが存在する場合には、前記錠剤の表裏面のいずれか一方の撮影画像のみが拡大して表示される。
これにより、前記錠剤の表裏面のいずれかに前記特定識別情報のみが存在する場合には、前記特定識別情報のみが存在する面の撮影画像の表示が省略されて他方の面の撮影画像が拡大されるため、薬剤師は前記錠剤の識別情報を容易に確認することが可能である。
[情報登録機能]
前記鑑査支援システム1では、前記医薬品マスターに予め登録されている各種の錠剤の画像が前記自動鑑査処理における照合及び結果表示などに用いられる。ところで、前記医薬品マスターに登録されていない新薬などについては前記医薬品マスターにその新薬の画像などの情報を適宜登録する必要がある。そこで、前記鑑査支援システム1では、前記錠剤分包装置4が、前記医薬品マスターに前記錠剤の識別情報及び形状情報などを登録するための登録作業を支援する情報登録機能を有する。なお、前記錠剤分包装置4で登録される前記医薬品マスターの情報は前記サーバー2にも送信され、前記サーバー2でも使用される。
具体的に、前記情報登録機能は、前記制御部40によって情報登録処理が実行されることにより実現される。前記情報登録処理では、前記錠剤の複数の撮影画像のうち予め設定された条件を充足する撮影画像から前記錠剤の識別情報が取得され、前記錠剤の識別情報が前記錠剤の種類に対応する照合元データとして前記医薬品マスターなどに登録される。具体的に、前記照合元データには、前記撮影画像のうち少なくとも前記錠剤の識別情報の領域を含む前記錠剤の画像が前記正画像として含まれ、前記画像鑑査処理では、前記正画像と前記撮影画像との照合により錠剤の適否が判定される。また、前記正画像として登録される前記錠剤の識別情報は、前記撮影画像において前記識別情報が含まれる一部の領域の画像に限らず前記撮影画像の全部の領域の画像であってもよい。なお、前記情報登録処理を実行するときの前記制御部40が登録処理部の一例である。
ここに、図30は、前記制御部40が実行する前記情報登録処理の手順の一例を示すフローチャートである。例えば、前記制御部40は、前記錠剤分包装置4における初期設定処理の一部として前記情報登録処理を実行可能である。また、前記制御部40は、前記分包処理の対象となる前記処方データに含まれる錠剤の情報が前記医薬品マスターに登録されていない場合、又は、前記自動鑑査処理による鑑査結果がエラーである場合などに、ユーザーによる実行要求に応じて又は自動的に前記情報登録処理を実行することが考えられる。
<ステップS31>
まず、ステップS31において、前記制御部40は、前記錠剤の外周を異なる方向から捉えた複数の撮影画像を取得する処理を実行する。具体的に、前記制御部40は、登録対象となる前記錠剤が収容された前記錠剤カセット41又は前記手撒きユニット42から前記錠剤を払い出す。そして、前記制御部40は、前記分包処理の実行時と同様に、前記錠剤が前記回転ユニット44で回転されている状態を、前記撮影部46の前記カメラ462及び前記カメラ463を用いて複数回撮影する。ここに、係る撮影処理を実行するときの前記制御部40が撮影処理部の一例である。
より具体的に、前記制御部40は、前記錠剤の撮影前に、前記錠剤の識別情報が刻印又は印刷のいずれによって前記錠剤に形成されているかを選択させるための選択画面を前記操作表示部48に表示させる。次に、前記制御部40は、前記操作表示部48に対するユーザーの選択操作に応じて前記錠剤の識別情報が刻印又は印刷のいずれかであるかを特定する。ここに、係る特定処理を実行するときの前記制御部40が特定処理部の一例である。なお、前記薬品データベースの中からユーザー操作によって登録対象の錠剤が指定される場合であって、前記薬品データベースに前記錠剤の識別情報の形成方法が登録されている場合、前記制御部40は、前記薬品データベースに基づいて前記錠剤の識別情報が刻印又は印刷のいずれであるかを特定することも可能である。
そして、前記制御部40は、前記識別情報の形成方法に応じて、前記カメラ462及び前記照明装置468を含む前記第1撮影ユニットと前記カメラ463及び前記照明装置469を含む前記第2撮影ユニットとのいずれかを選択して前記錠剤を撮影する。具体的に、前記錠剤の識別情報が刻印であると特定された場合には、前記刻印に適した前記第1撮影ユニットを用いて前記錠剤の撮影が実行され、前記錠剤の識別情報が印刷と特定された場合には、前記印刷に適した前記第2撮影ユニットを用いて前記錠剤の撮影が実行される。このように、前記制御部40は、前記正画像を前記照合元データとして登録する際に、前記錠剤の識別情報の形成方法(刻印又は印刷)に適した前記第1撮影ユニット又は前記第2撮影ユニットを選択して錠剤を撮影する。従って、前記錠剤の識別情報が鮮明に撮影された撮影画像から、前記錠剤の照合元データとして前記医薬品マスターに登録される正画像が取得される。これにより、前記画像鑑査処理では、前記正画像を用いて行われるマッチング処理の精度が高まる。
なお、既に前記分包処理が実行されており、前記自動鑑査処理で前記錠剤について複数の前記撮影画像が取得されている場合、前記制御部40は、前記錠剤に対応する複数の前記撮影画像を登録対象の錠剤の撮影画像として前記記憶部49から読み出すことが考えられる。即ち、前記制御部40は、前記分包処理の実行前に当該情報登録処理を実行する場合に限らず、前記分包処理の実行時の一連の処理として前記錠剤の情報を前記医薬品マスターに登録することも可能である。なお、この場合、前記制御部40は、前記分包処理において前記カメラ462及び463の両方によって前記錠剤を撮影させ、前述したようにユーザー操作により選択された刻印又は印刷に適した前記カメラ462又は463で撮影された前記撮影画像を登録対象の錠剤の撮影画像として読み出すことが考えられる。
ところで、前記ステップS31において前記錠剤の撮影画像が取得される際に、前記回転ユニット44の前記錠剤回転部441において、前記カメラ462又は463に対して前記錠剤の側面が正対する状態(以下、「縦回転状態」と称する)で前記錠剤が回転することがある。この場合には、前記錠剤の識別情報が存在する前記錠剤の正面又は裏面が前記カメラ462又は463で撮影されない。そのため、前記制御部40は、前記錠剤が前記縦回転状態であるか否かを判断し、前記縦回転状態である場合には、前記錠剤に振動を与えて前記錠剤の向きを変更させるための処理を実行する。なお、前記制御部40は、当該情報登録処理に限らず、前記分包処理の実行時に、前記カメラ462又は463を用いて前記錠剤を撮影する際にも同様の処理を実行する。
具体的に、前記ステップS31において前記錠剤の撮影画像の撮影が実行される場合、前記カメラ462又は463による前記撮影画像に基づいて前記錠剤が前記縦回転状態で回転しているか否かを判断する。ここに、係る処理を実行するときの前記制御部40が錠剤判定処理部の一例である。例えば、前記制御部40は、複数の前記撮影画像のうち予め設定された所定枚数以上の前記撮影画像における前記錠剤の縦横比が予め設定された所定の比率以上であるか否かを判断する。具体的に、前記所定枚数が5枚であり前記所定の比率が1.2である場合、前記制御部40は、5枚以上の前記撮影画像において前記錠剤の縦/横の値が1.2以上である場合に前記錠剤が前記縦回転状態で回転していると判断する。なお、前記カメラ462又は463が前記回転ローラー100の軸方向に垂直な方向から前記錠剤回転部441を撮影する位置に配置されている場合、前記錠剤の横方向は、前記回転ローラー100の軸方向と平行であり、前記錠剤の縦方向は、前記回転ローラー100及び前記カメラ462又は463の対向方向と前記回転ローラー100の軸方向とに垂直な方向である。
そして、前記制御部40は、前記錠剤が前記縦回転状態で回転していると判断すると、前記錠剤回転部441に載置されている前記錠剤に振動を与えて前記錠剤の向きを変更させるための処理を実行する。ここに、係る処理を実行するときの前記制御部40が加振処理部の一例である。具体的に、前記回転ユニット44又は前記錠剤回転部441には、前記回転ユニット44又は前記錠剤回転部441に振動を与えることにより前記錠剤に振動を与える加振部が設けられており、前記制御部40は、前記錠剤が倒れるように前記加振部を駆動させることが考えられる。なお、前記加振部は、例えば前記錠剤回転部441に前記回転ローラー100の軸方向の振動を与えるものである。また、前記制御部40は、前記回転ユニット44のユニット回転部442を用いて前記回転ユニット44を所定幅だけ往復移動させる揺動処理を実行することも考えられる。これにより、前記錠剤回転部441において前記錠剤が倒されて前記錠剤の向きが変更され、前記錠剤の正面及び裏面が前記カメラ462又は463によって撮影されることになる。
このように、前記ステップS31では、前記加振部を用いた前記錠剤の向きの変更動作が行われることがあり、前記制御部40は、前記錠剤の正面及び裏面の撮影画像の取得に必要な撮影画像が撮影されるまでの間は、前記回転部442による前記錠剤回転部441各々の次の工程への回転動作を実行させない。そして、前記制御部40は、前記カメラ462又は463による前記撮影画像に基づいて前記錠剤が前記縦回転状態で回転していると判断されることなく、予め設定された枚数以上の撮影画像が取得された場合に撮影を終了させ、前記回転部442による前記錠剤回転部441各々の次の工程への回転動作を実行させる。なお、前記制御部40は、前記カメラ462又は463による前記撮影画像に基づいて前記錠剤が前記縦回転状態で回転していると判断した場合には、エラーを報知して処理を中断することも考えられる。
<ステップS32>
前記制御部40は、ステップS32を実行するごとに、前記錠剤に対応する複数の前記撮影画像のうち、ステップS33〜S35の処理対象となる撮影画像を順次選択する。そして、ステップS33〜S35では、前記ステップS32で選択された撮影画像について各種の処理が実行される。
<ステップS33>
ステップS33において、前記制御部40は、前記撮影画像から前記錠剤が存在する錠剤領域を特定する。例えば、前記錠剤回転部441に設けられた前記回転ローラー100の色が黒色である場合、前記撮影画像における前記錠剤の背景領域は黒色となる。この場合、前記制御部40は、前記撮影画像のうち黒色を除く領域を前記錠剤領域として取得することが可能である。具体的に、前記制御部40は、前記撮影画像のうち前記回転ローラー100の黒色を基準色(閾値)として、前記基準色よりも色の薄い領域を前記錠剤領域として取得する。例えば、前記基準色は、R(赤)、G(緑)、B(青)の各成分値によって表される。
<ステップS34>
ステップS34において、前記制御部40は、前記撮影画像から特定された前記錠剤領域の面積値を取得する。なお、前記ステップS33において複数の前記錠剤領域が特定されていた場合、前記制御部40は、前記錠剤領域のうち面積値が最も大きい錠剤領域の外接領域を前記錠剤に対応する錠剤領域として選択する。
<ステップS35>
ステップS35において、前記制御部40は、前記錠剤領域内におけるグレイ値の平均値又は偏差値などの指標値を取得する。前記グレイ値は、グレースケールの画像に含まれる各画素の色を、白から黒までの256階調又は65536階調などの複数階調で表現するときの値である。例えば、前記グレイ値の「0」が白であり、前記グレイ値の「255」が黒である。また、前記グレイ値の「255」が白であり、前記グレイ値の「0」が黒である。
具体的に、前記制御部40は、前記撮影画像がカラー画像である場合は、前記撮影画像をグレースケールの画像に変換し、変換後の前記撮影画像の前記錠剤領域のグレイ値の前記指標値を取得する。なお、前記指標値は、前記錠剤領域内における印刷文字又は刻印などの識別情報を抽出するために用いられる。
例えば、前記錠剤領域内では、前記錠剤の表面又は裏面において前記識別情報が占める領域の割合は小さいと考えられる。そのため、例えば前記グレイ値の「0」が白であり、前記グレイ値の「255」が黒であって、前記錠剤の色が前記識別情報に比べて黒に近い場合には、前記グレイ値の平均値は前記識別情報の階調値よりも大きくなる。そのため、前記制御部40は、前記グレイ値の平均値が予め定められた閾値以上である場合には、前記錠剤領域のうちグレイ値が前記平均値より小さい領域を前記識別情報として抽出することが可能である。
また、例えば前記グレイ値の「0」が白であり、前記グレイ値の「255」が黒であって、前記錠剤の色が前記識別情報に比べて白に近い場合には、前記グレイ値の平均値は前記識別情報の階調値よりも小さくなる。そのため、前記制御部40は、前記グレイ値の平均値が予め定められた閾値未満である場合には、前記錠剤領域のうちグレイ値が前記平均値より大きい領域を前記識別情報として抽出することが可能である。
<ステップS36>
ステップS36において、前記制御部40は、前記錠剤に対応する全ての前記撮影画像について前記ステップS33〜S35の処理が終了したか否かを判断する。ここで、前記処理が終了したと判断された場合は(S36:Yes)、処理がステップS37に移行し、前記処理が終了していないと判断された場合は(S36:No)、処理が前記ステップS32に移行する。
<ステップS37>
ステップS37において、前記制御部40は、前記錠剤に対応する複数の前記撮影画像のうち前記錠剤の識別情報が含まれる一又は複数の撮影画像を登録用画像として特定する。なお、前記錠剤が平錠である場合、前記ステップS37では、前記錠剤の表面及び裏面ごとに前記登録用画像が特定される。なお、前述したように、前記制御部40は、図24Aに示されるように前記錠剤の表面及び裏面を正面から捉えた前記撮影画像f4又はf8として特定される複数の撮影画像のうち奇数番目の撮影画像を表面の画像と判断し、偶数番目の撮影画像を裏面の画像と判断することが考えられる。そして、後述のステップS38〜S39の処理は、前記錠剤の表面に対応する一又は複数の前記登録用画像と前記錠剤の裏面に対応する一又は複数の前記登録用画像とについて各々実行される。
例えば、前記制御部40は、前記撮影画像各々の前記錠剤領域に含まれているエッジ量を取得し、前記撮影画像のうち前記エッジ量が最も多い基準撮影画像を前記登録用画像として特定する。なお、前記エッジ量は、隣接する画素の階調値の差が予め設定された閾値以上であるエッジの数をカウントしたものである。その後、前記制御部40は、複数の前記撮影画像のうち前記基準撮影画像のエッジ量に対する前記撮影画像のエッジ量の比率が予め設定された閾値(例えば80%又は90%など)以上である撮影画像が存在する場合に、その撮影画像についても前記登録用画像として特定する。
なお、前記制御部40は、前記基準撮影画像を前記錠剤の正画像として前記医薬品マスターに登録してもよい。また、前記正画像として登録された前記基準撮影画像は、前記制御部40によって前記サーバー2に送信されて、前記サーバー2の前記記憶部22に記憶されている前記医薬品マスターにも登録される。これにより、前記サーバー2では、前記鑑査支援処理において前記基準撮影画像を前記正画像として表示することが可能である。
また、前記制御部40は、前記錠剤に対応する複数の前記撮影画像のうち、ユーザー操作によって選択された撮影画像を前記正画像として前記医薬品マスターに登録することも他の実施形態として考えられる。例えば、前記制御部40は、前記ステップS37において、前記錠剤に対応する複数の前記撮影画像を前記操作表示部48に表示させ、前記操作表示部48を用いたユーザー操作による前記撮影画像の選択を受け付け、前記撮影画像を前記医薬品マスターに登録する。
さらに、前記制御部40は、前記ステップS37で前記正画像を前記医薬品マスターに登録する場合、ユーザー操作で指定された前記正画像の正しい向きを前記医薬品マスターに登録することが考えられる。具体的に、前記制御部40は、前記ステップS37において、前記正画像として登録される前記撮影画像を前記操作表示部48に表示させ、前記操作表示部48を用いたユーザー操作による前記撮影画像における上方向の位置(識別情報の正しい向き)の指定を受け付ける。そして、前記制御部40は、前記ユーザー操作によって指定された上方向の位置が上部になるように、前記撮影画像を回転させて前記正画像として前記医薬品マスターに登録する。即ち、前記照合元データである前記正画像の向きによって、前記正画像における上方向の位置として正しい位置が示されている。これにより、前記撮影画像における前記上方向の位置が上部になるように回転された前記正画像が前記照合元データとして前記医薬品マスターに登録されることにより、前記制御部40は、前記画像鑑査処理において、前記正画像に含まれる識別情報の向きが正しい状態で前記正画像と前記撮影画像とを照合して前記識別情報の適否を判定することが可能となる。なお、前記制御部40が、前記撮影画像を回転させることなく前記正画像として登録すると共に、前記上方向の位置を示す座標などの情報を前記正画像に対応付けて前記照合元データの一部として登録することも考えられる。このように、前記正画像における上方向の位置を示す情報が前記照合元データの一部として前記医薬品マスターに登録される場合でも、前記制御部40は、前記画像鑑査処理において、前記正画像に含まれる識別情報の向きが正しい状態で前記正画像と前記撮影画像とを照合して前記識別情報の適否を判定することが可能となる。
また、前記薬品データベースに、前記錠剤の識別情報が正しい向きで撮影された前記錠剤の初期正画像が予め記憶されていることも考えられる。この場合、前記制御部40は、前記ユーザー操作ではなく、前記薬品データベースに記憶されている前記初期正画像に基づいて前記正画像における上方向の位置(識別情報の正しい向き)を判断することも考えられる。例えば、前記制御部40は、前記正画像を徐々に回転させつつ、各回転状態の前記正画像と前記初期正画像とを照合するマッチング処理を実行する。そして、前記制御部40は、前記正画像と前記初期正画像との照合結果に応じて、前記正画像と前記初期正画像との差分が最も小さい状態が前記正画像の正しい状態であると判断し、その状態の前記正画像を前記医薬品マスターに登録する。また、前記制御部40が、前記制御部40は、前記正画像と前記初期正画像との照合結果に応じて、前記撮影画像を回転させることなく前記正画像として登録すると共に、前記上方向の位置を示す座標などの情報を前記正画像に対応付けて前記照合元データの一部として登録することも考えられる。なお、前記制御部40は、前記薬品データベースに登録されている情報を前記医薬品マスターの初期情報として登録することが可能であり、前記情報登録処理で登録対象となっていない錠剤については、前記薬品データベースの前記初期正画像が前記正画像として前記医薬品マスターに登録されることも考えられる。
<ステップS38>
ステップS38において、前記制御部40は、前記登録用画像に基づいて前記錠剤の形状を特定し、その形状に対応する錠剤モデルのデータを作成する。前記錠剤モデルのデータには、前記錠剤の高さ、幅、面積値などの前記錠剤の形状を特定するために用いられる情報が含まれる。また、前記錠剤モデルのデータには、前記錠剤に含まれる前記識別情報の位置及び範囲などの情報も含まれる。
特に、前記制御部40は、前記錠剤の表面及び裏面の情報を個別に前記錠剤モデルに登録する。具体的に、前記制御部40は、前記ステップS37で抽出される前記表面に対応する一又は複数の前記登録用画像に基づいて前記錠剤の表面に対応する錠剤モデルを作成し、前記ステップS37で抽出される前記裏面に対応する一又は複数の前記登録用画像に基づいて前記錠剤の裏面に対応する錠剤モデルを作成する。そして、前記錠剤モデルのデータは、例えば前記自動鑑査処理における前記錠剤の形状又はサイズの適否を照合するため、又は前記自動鑑査処理において前記撮影画像における前記錠剤の識別情報の存在領域を特定するために用いられる。
なお、前記ステップS37において複数の前記登録用画像が特定されている場合、前記制御部40は、複数の前記登録用画像に基づいて前記錠剤における前記識別情報の位置及び範囲などの情報を取得することも考えられる。例えば、前記登録用画像各々に基づいて特定される前記識別情報の位置及び範囲などを示す値を平均した値が前記錠剤モデルとして作成される。また、前記登録用画像各々に基づいて特定される前記識別情報の位置及び範囲などを示す値を前記登録用画像のエッジ量と前記基準撮影画像のエッジ量との比率に対応する予め設定された重み付けを考慮して前記錠剤モデルが作成されてもよい。これにより、前記制御部40は、前記登録用画像の一部における前記識別情報に欠落などが生じている場合でも精度の高い前記錠剤モデルを作成することが可能である。
<ステップS39>
ステップS39において、前記制御部40は、前記基準撮影画像又は前記登録用画像から前記錠剤の識別情報を取得し、前記錠剤の種類を示す薬品名又は薬品コードなどの前記薬品識別情報に対応付けて前記医薬品マスターに登録する。これにより、当該情報登録処理で取得された前記錠剤の識別情報は、前記自動鑑査処理における前記錠剤の識別情報の照合元データとして前記医薬品マスターに登録されることになる。例えば、前記制御部40は、前記錠剤の表面の識別情報を前記表面に対応する一又は複数の前記登録用画像に基づいて取得し、前記錠剤の裏面の識別情報を前記裏面に対応する一又は複数の前記登録用画像に基づいて取得する。
<ステップS40>
ステップS40において、前記制御部40は、一又は複数の前記登録用画像から前記錠剤の面積値の最小値及び最大値を取得する。例えば、前記錠剤の面積値の最小値及び前記最大値は、前記自動鑑査処理において前記撮影画像から前記錠剤領域を取得するために使用され、又は前記錠剤の円周長を算出するために使用される。なお、前記登録用画像に限らず複数の前記撮影画像から前記錠剤の面積値の最小値及び最大値が取得されてもよい。
<ステップS41>
ステップS41において、前記制御部40は、一又は複数の前記登録用画像から前記錠剤の色成分各々の最小値及び最大値を取得する。例えば、前記制御部40は、RGBの各色成分について最小値及び最大値を取得する。なお、前記登録用画像に限らず複数の前記撮影画像から前記錠剤の色成分各々の最小値及び最大値が取得されてもよい。
<ステップS42>
ステップS42において、前記制御部40は、当該情報登録処理の処理対象である前記錠剤の形状情報を、前記錠剤の種類を示す薬品名又は薬品コードなどの前記薬品識別情報に対応付けて前記医薬品マスターに登録する。具体的に、前記錠剤の形状情報には、前記ステップS38で特定された前記錠剤の高さ、幅、面積値と、前記ステップS39で取得された前記錠剤の面積値の最小値、最大値と、前記ステップS40で取得された前記錠剤の色成分各々の最小値、最大値とが含まれる。
このように前記医薬品マスターに前記錠剤の形状情報が登録されている場合、前記錠剤分包装置4では、前記制御部40が、前記自動鑑査処理において、前記錠剤の撮影画像と前記錠剤の形状情報とに基づいて前記錠剤の適否を判断することが考えられる。より具体的に、前記自動鑑査処理において、前記制御部40は、前記撮影画像に含まれる前記錠剤の形状と前記処方データに含まれる錠剤に対応する前記錠剤モデルに含まれる前記錠剤の形状とを照合する。そして、前記制御部40は、前記錠剤モデルに基づく前記錠剤の形状の照合結果が一致である場合には、続いて前記撮影画像に含まれる前記錠剤の識別情報と前記情報登録処理で登録された前記錠剤の識別情報とを照合する。
一方、前記制御部40は、前記錠剤モデルに基づく前記錠剤の形状の照合結果が不一致である場合には、前記撮影画像に含まれる前記識別情報に基づいて前記錠剤の適否を判断することなく、前記自動鑑査処理の鑑査結果としてエラーであると判断する。即ち、前記自動鑑査処理では、前記錠剤の形状の照合結果が適正である場合にのみ、前記錠剤の識別情報に基づく前記錠剤の適否の判定が実行される。従って、前記錠剤分包装置4では、前記撮影画像から前記識別情報を取得する処理及びその識別情報に基づく前記錠剤の照合などの負荷の大きい処理をできるだけ省略することが可能である。
[装置選択機能]
前述したように、前記鑑査支援システム1には、複数の前記錠剤分包装置4が接続されることがある。そのため、前記制御部21は、前記処方データに基づいて前記分包処理を実行する前記錠剤分包装置4を予め設定された条件に基づいて選択する装置選択機能を有している。以下、図31及び図32を用いて前記装置選択機能について説明する。
ここで、前記鑑査支援システム1に接続可能な複数の前記錠剤分包装置4には、前記分包処理が実行可能であって前記画像鑑査処理が実行可能な錠剤分包装置4(以下、第1錠剤分包装置401と称する)、及び前記分包処理が実行可能であるが前記画像鑑査処理は実行不能である錠剤分包装置4(以下、第2錠剤分包装置402と称する)が含まれることがある。例えば、前記第2錠剤分包装置402は、前記撮影部46を有していないことが考えられる。また、前記第1錠剤分包装置401が、前記画像鑑査処理を実行可能であって、前記画像鑑査処理の有効及び無効を切り替え可能である場合、前記画像鑑査処理の実行が無効に設定されている前記錠剤分包装置4は前記第2錠剤分包装置402として前記サーバー2に認識される。なお、以下でも前記第1錠剤分包装置401及び前記第2錠剤分包装置402を総称する場合は単に「錠剤分包装置4」と称する。
前記サーバー2の前記記憶部22には、前記錠剤分包装置4の選択に用いられる選択設定情報D11が記憶されている。ここに、図31には、前記選択設定情報D11の一例が示されている。図31に示されるように、前記選択設定情報D11には、自動鑑査機能設定及び振分機能設定の項目が含まれる。そして、前記選択設定情報D11は、前記第1錠剤分包装置401から前記サーバー2の前記制御部21に入力され、又は前記サーバー2の前記制御部21により前記第1錠剤分包装置401から読み出される。
前記自動鑑査機能設定の項目では、前記錠剤分包装置4を識別するための識別情報である錠剤分包装置番号ごとに対応付けて前記自動鑑査処理の可否が記憶される。なお、前述したように前記自動鑑査処理の有効及び無効が切り替え可能な場合は、前記自動鑑査処理の有効又は無効の設定状態が記憶される。
前記振分機能設定の項目には、予め設定された第1優先条件及び第2優先条件が含まれる。前記第1優先条件は、前記自動鑑査処理を実行するか否かを判断するための条件であり、前記第2優先条件は、前記自動鑑査処理の要否に関係なく前記錠剤分包装置4を選択するための条件である。前記鑑査支援システム1では、初期設定処理などにおいて、前記制御部21がユーザー操作に従って、前記第1優先条件各々を有効又は無効のいずれかに設定することが可能である。また、前記制御部21は、ユーザー操作に従って、前記第2優先条件各々について複数の前記第2優先条件における優先度を設定可能である。
前記第1優先条件には、「DTAヒット優先」、「錠数条件優先」、及び「ハイリスク薬優先」の各項目が含まれる。「DTAヒット優先」は、前記分包処理において前記手撒きユニット42が用いられる場合に、前記第1錠剤分包装置401が選択される条件である。「錠数条件優先」は、前記分包処理において1包当りの錠数が予め設定された閾値以上である場合に、前記第1錠剤分包装置401が選択される条件である。「ハイリスク薬優先」は、前記分包処理における分包対象の薬品が予め設定されたハイリスク薬である場合に、前記第1錠剤分包装置401が選択される条件である。図31に示される例では、「DTAヒット優先」及び「ハイリスク薬優先」が有効、「錠数条件優先」が無効に設定されている。
前記第2優先条件には、「実装ヒット率優先」、「空きバッファ率優先」、及び「任意指定優先」の各項目が含まれる。「実装ヒット率優先」は、前記分包処理における分包対象の薬品のうち前記錠剤カセット41に充填されている薬品の種類数が最も多い前記錠剤分包装置4が選択される条件である。「空きバッファ率優先」は、分包処理の対象として待機中の処方データの量が最も少ない前記錠剤分包装置4が選択される条件である。「任意指定優先」は、ユーザーによって任意に指定される前記錠剤分包装置4が選択される条件である。図31に示される例では、「任意指定優先」の優先度が「1」、「実装ヒット率優先」の優先度が「2」、「空きバッファ優先」の優先度が「3」に設定されている。なお、前記第2優先条件は、前記優先度が設定されるものに限らず、択一的に選択されるものであってもよい。
そして、前記制御部21は、前記処方データ各々に対応する前記分包処理を実行する前記錠剤分包装置4を前記処方データの内容及び前記分包処理の内容の少なくとも一方と前記選択設定情報D11とに基づいて選択する装置選択処理を実行する。なお、前記装置選択処理を実行するときの前記制御部21が選択処理部の一例である。ここに、図32は、前記装置選択処理の一例を示すフローチャートである。前記制御部21は、前記処方データのうち前記錠剤分包装置4を用いる前記分包処理が必要な処方データについて前記装置選択処理を実行する。
<ステップS51>
まず、ステップS51において、前記制御部21は、前記処方データの内容及び前記分包処理の内容の少なくとも一方が前記第1優先条件のいずれかの条件を充足するか否かを判断する。そして、前記制御部21は、前記第1優先条件のいずれかの条件が充足すると判断すると、処理をステップS511に移行させ、全ての前記第1優先条件が充足しないと判断すると、処理をステップS52に移行させる。
ここでは、前記第1優先条件のうち「DTAヒット優先」及び「ハイリスク薬優先」が有効に設定されている。そのため、前記処方データについての前記分包処理において前記手撒きユニット42が用いられる場合、又は、分包対象の薬品がハイリスク薬である場合に、前記第1優先条件に該当すると判断する。
<ステップS511>
ステップS511において、前記制御部21は、前記処方データに基づく前記分包処理を実行する前記錠剤分包装置4として、前記画像鑑査処理を実行可能な前記第1錠剤分包装置401を選択し、その選択された前記錠剤分包装置4に前記処方データを送信する。即ち、少なくとも1つの前記第1優先条件が充足する場合には前記第1錠剤分包装置401が選択される。従って、前記画像鑑査処理を実行することが望ましい場合に前記第1錠剤分包装置401を用いて前記分包処理を実行することが可能となる。
<ステップS52>
前記ステップS51により前記第1優先条件が充足しないと判断された場合、続くステップS52〜53では、前記第2優先条件に従って前記錠剤分包装置4が選択される。具体的に、ステップS52において、前記制御部21は、前記第2優先条件の優先度の値を特定するために用いられるカウンターNの値を1加算する。カウンターNの初期値は0であり、当該装置選択処理の開始時又は終了時などに0にリセットされる。
<ステップS53>
ステップS53において、前記制御部21は、前記第2優先条件のうち予め設定された優先度の値がカウンターNの前記第2優先条件に基づいて前記錠剤分包装置4のいずれかを選択可能であるか否かを判断する。例えば、前記第2優先条件に合致する前記錠剤分包装置4が一つである場合に、前記錠剤分包装置4が選択可能であると判断する。ここで、前記制御部21は、前記錠剤分包装置4を選択可能であると判断すると(S53:Yes)、処理をステップS54に移行させ、前記錠剤分包装置4を選択可能でないと判断すると(S53:No)、処理を前記ステップS52に戻す。
なお、カウンターNの値が、前記第2優先条件の数(ここでは「3」)と同じである場合でも前記錠剤分包装置4が選択可能でないと判断された場合には、前記錠剤分包装置4のうち予め設定された特定の前記錠剤分包装置4が選択されることが考えられる。また、カウンターNの値が、前記第2優先条件に基づいて複数の前記錠剤分包装置4から複数の前記錠剤分包装置4が選択対象として絞り込まれている場合であって、前記第2優先条件の数と同じである場合でも前記錠剤分包装置4が選択可能でないと判断された場合には、前記錠剤分包装置4のうち前記錠剤分包装置番号が最大又は最小の前記錠剤分包装置4が選択されることが考えられる。
<ステップS54>
ステップS54において、前記制御部21は、前記優先度がカウンターNの値である前記第2優先条件に基づいて、前記分包処理を実行する前記錠剤分包装置4を選択し、その選択された前記錠剤分包装置4に前記処方データを送信する。これにより、前記第2優先条件の前記優先度に従って選択される前記錠剤分包装置4によって前記分包処理が実行される。
また、前記ステップS54では、前記第1錠剤分包装置401が選択されないことも考えられる。即ち、前記ステップS54において、前記制御部21が、前記優先度がカウンターNの値である前記第2優先条件に基づいて前記第2錠剤分包装置402のいずれかを選択することが考えられる。これにより、全ての前記第1優先条件が充足しない場合には、前記画像鑑査処理が実行されない前記第2錠剤分包装置402が使用されることになり、前記処方データに基づく調剤処理が迅速に行われる。
なお、前記画像鑑査処理では、前記錠剤が前記薬包451で分包される前に前記カメラ462又は前記カメラ463によって撮影される撮影画像に基づいて、前記錠剤各々の種類と前記処方データに含まれる錠剤の種類との照合結果が一致であるか否かが判断されることによって、前記分包処理の結果が適正であるか否かが鑑査される。即ち、前記画像鑑査処理では、前記薬包451に分包される前の前記錠剤が適正であったか否かを判断することにより、前記分包処理の結果物として得られる前記薬包451の適否が判断される。一方、前記画像鑑査処理はこれに限らず、例えば前記錠剤が前記薬包451で分包された後の前記薬包451を撮影する撮影部を備え、その撮影部によって撮影される撮影画像に基づいて前記錠剤各々の種類と前記処方データに含まれる錠剤の種類との照合結果が一致であるか否かが判断されてもよい。さらに、前記画像鑑査処理では、前記錠剤の撮影画像に基づいて前記錠剤各々の錠数と前記処方データに含まれる錠剤の錠数との照合結果が一致であるか否かが判断されてもよい。即ち、前記画像鑑査処理は、前記錠剤又は前記薬包451の撮影画像に基づいて前記分包処理における各工程の一部又は全部が適切に行われたか否かを判断する処理であればよい。
[鑑査記録機能]
ところで、前記第1錠剤分包装置401で前記分包処理が実行された場合は、前記第1錠剤分包装置401で前記自動鑑査処理が実行されているため、薬剤師による前記分包処理の鑑査業務の負荷が軽減される。しかしながら、前記装置選択機能により前記第1錠剤分包装置401及び前記第2錠剤分包装置402のいずれかが選択されて前記分包処理が実行される場合でも、薬剤師は前記薬包451を見て前記薬包451が前記第1錠剤分包装置401で実行されたか否かを認識することができない。
そこで、前記錠剤分包装置4が、前記自動鑑査処理として前記画像鑑査処理が実行されたか否かを、前記分包処理で払い出される一連の前記薬包451の最初又は最後の前記薬包451に記録する鑑査記録機能を有することが考えられる。例えば、図2に示されるように、前記第1錠剤分包装置401が、前記印刷ユニット453とは別に、前記分包処理後の前記薬包451に前記画像鑑査処理の実行の有無を記録することが可能なスタンプユニット454を備えることが考えられる。前記スタンプユニット454は、前記画像鑑査処理が実行された旨を示す文字又は画像などの鑑査有情報をスタンプによって前記薬包451に記録することが可能である。例えば、図33A及び図33Bに示されるように、前記鑑査有情報には、前記画像鑑査処理によるチェック対象である旨を示す文字列「自動チェック対象」、又は、前記画像鑑査処理によるチェック済みである旨を示すCHECKの頭文字である「CH」などが用いられる。
さらに、前記スタンプユニット454が、前記のように「自動チェック対象」又は「CH」を記録するスタンプと、図33Cに示されるように、前記鑑査有情報として「NG」を前記薬包45に記録するスタンプとを備えることも考えられる。そして、前記画像鑑査処理の結果がOKである場合は、前記のように「自動チェック対象」又は「CH」が前記薬包451に記録され、前記画像鑑査処理の結果がエラーである場合には、前記鑑査有情報として「NG」が前記薬包451に記録される。なお、前記画像鑑査処理が実行されていない旨は、前記薬包451に「自動チェック対象」、「CH」、又は「NG」などの前記鑑査有情報が記録されていないことによって表される。
また、前記制御部40は、前記印刷ユニット453を用いて、前記画像鑑査処理の対象であるか否かを示す情報として、前記薬包451に「自動チェック対象」又は「CH」を前記薬包451に印刷することも考えられる。さらに、前記印刷ユニット453により前記薬包451に前記鑑査有情報が記録可能なタイミングにおいて、既に前記薬包451に分包される錠剤についての前記画像鑑査処理が終了する構成も考えられる。この場合、前記制御部40は、前記印刷ユニット453を用いて、前記画像鑑査処理の結果がOKである場合は前記鑑査有情報として「自動チェック対象」又は「CH」を前記薬包451に印刷し、前記画像鑑査処理の結果がエラーである場合には前記鑑査有情報として「NG」を印刷することが考えられる。
[第2の実施形態]
続いて、本発明の第2の実施形態に係る鑑査支援システム1について説明する。なお、ここで説明しない構成については前記第1の実施形態と同様である。以下では、本実施形態に係る前記鑑査支援システム1において、前記錠剤分包装置4で実行される前記自動鑑査処理の手順の一例について説明した後、前記サーバー2で実行される前記鑑査支援処理における他の表示例について説明する。
[自動鑑査機能]
前述したように、前記錠剤分包装置4は、前記分包処理で分包された前記薬包451に含まれる錠剤の適否を判定する前記自動鑑査処理を実行する自動鑑査機能を有する。ここでは、前記自動鑑査処理の具体例について説明する。
まず、前記制御部40により前記処方データに基づく前記分包処理が実行される際に、前記撮影部46の前記カメラ461〜467によって前記錠剤が撮影される。また、前記分包処理が実行される際、前記制御部40は、前記通過検出部47の前記通過検出センサー475によって検出される前記錠剤の数を前記薬包451ごとに計数する。なお、前記錠剤の数を計数するときの前記制御部40が錠数検出部の一例である。そして、前記分包処理が終了すると、前記制御部40は、例えば図34に示す処理手順に従って前記自動鑑査処理を実行することにより、前記分包処理によって分包された前記薬包451各々に収容されている錠剤の適否を判定する。前記自動鑑査処理は、前記薬包451ごとに実行される。なお、前記制御部40は、前記自動鑑査処理と前記分包処理とを並行して実行してもよい。
<ステップS61>
まず、ステップS61において、前記制御部40は、前記画像鑑査処理を実行する必要があるか否かを判断し、前記画像鑑査処理を実行する必要があると判断した場合(S61:Yes)、処理をステップS62に移行する。例えば、前記制御部40は、前記鑑査モード切替機能により切り替えられる現在の鑑査モード(前記第1鑑査モード〜前記第3鑑査モードのいずれか)に従って前記画像鑑査処理の実行の有無を判定する。なお、前記錠剤分包装置4で前記画像鑑査処理が常に実行される場合には、当該ステップS61は省略される。
<ステップS62>
そして、ステップS62〜S65において、前記制御部40は、前記薬包451に収容されている錠剤ごとに前記撮影画像から取得される錠剤の識別情報と前記処方データに含まれる錠剤の識別情報とを照合する画像鑑査処理を実行する。
より具体的に、前記制御部40は、前記錠剤の形状が、前記処方データに含まれる錠剤に対応付けて前記医薬品マスターに登録されている前記錠剤の形状と一致するか否かを判断する。そして、前記制御部40は、前記錠剤の形状が一致しない場合は照合結果が不一致であると判断する。一方、前記錠剤の形状が一致する場合、前記制御部40は、前記撮影画像から前記錠剤の識別情報を取得し、その識別情報と、前記処方データに含まれる錠剤に対応付けて前記医薬品マスターに登録されている前記錠剤の識別情報とを照合する画像鑑査処理を実行する。ここに、係る処理を実行するときの前記制御部40が画像鑑査処理部の一例である。例えば、前記画像鑑査処理において、前記制御部40は、前記撮影画像から前記錠剤の識別情報を含む前記錠剤の画像を抽出し、前記撮影画像における前記錠剤の画像と前記正画像における前記錠剤の識別情報の画像とのマッチング処理を実行する。また、周知の文字認識処理(OCR)によって前記撮影画像から識別情報の文字が認識され、その識別情報の文字を用いて照合が行われてもよい。なお、前述したように、前記錠剤が表裏面を有する平錠である場合、前記制御部40は、図24Aに示したように前記錠剤の表裏面に対応する撮影画像f4、f8を特定し、その撮影画像f4、f8から前記識別情報を取得する。また、前記錠剤がカプセル錠である場合、前記制御部40は、前記カプセル錠の左右のカプセル片から前記識別情報を取得する。
<ステップS63>
ステップS63において、前記制御部40は、前記ステップS62の照合結果が一致である場合は(S63:Yes)、処理をステップS64に移行させ、前記照合結果が不一致である場合は(S63:No)、処理をステップS631に移行させる。
<ステップS64>
ステップS64において、前記制御部40は、前記処方データにおける前記錠剤の鑑査結果が適正である旨を前記記憶部49に記録する。即ち、前記制御部40は、前記錠剤の形状及び識別情報が、前記医薬品マスターに登録されている前記錠剤の形状及び識別情報と一致した場合に前記画像鑑査処理の鑑査結果が適正であると判断する。
<ステップS631>
ステップS631において、前記制御部40は、前記錠剤の種類として前記処方データに含まれていない他の錠剤の種類が検出されたか否かを判断する。例えば、前記錠剤の種類が検出されなかった場合には、前記錠剤に付されている識別情報に欠損などが生じていることがある。また、前記識別情報が付されていない錠剤については前記画像鑑査処理による照合を行うことができないため、前記錠剤に識別情報が付されていない場合も、前記他の錠剤の種類が検出されないことになる。一方、他の錠剤の種類が検出された場合には、前記錠剤が明らかに誤っている。そこで、前記ステップS631では、前記他の錠剤の種類が検出された場合には(S631:Yes)、処理がステップS632に移行し、前記他の錠剤の種類が検出されていない場合には(S631:No)、処理がステップS633に移行する。なお、前記識別情報が付されていない錠剤については、前記医薬品マスターに登録されている前記錠剤の形状、大きさ、及び色などの外観が一致しているか否かが判断され、その外観が一致している場合は処理がステップS632に移行し、その外観が不一致である場合は処理がステップS633に移行することも考えられる。また、前記ステップS62においてマッチング処理が実行される場合、前記ステップS631では、前記マッチング処理の結果として得られる一致度(マッチング率)の値が予め設定された閾値未満であるか否かが判断され、前記閾値未満である場合に処理がステップS632に移行することが考えられる。
<ステップS632>
そして、ステップS632において、前記制御部40は、前記錠剤についての前記画像鑑査処理の鑑査結果がエラーである旨を前記記憶部49に記録する。即ち、前記制御部40は、前記錠剤の識別情報が、前記医薬品マスターに登録されている前記錠剤の識別情報とは明らかに異なる場合に前記画像鑑査処理の鑑査結果がエラーであると判断する。
<ステップS633>
一方、ステップS633において、前記制御部40は、前記錠剤についての前記画像鑑査処理の鑑査結果が適正でない可能性があり、目視によるチェックが必要である旨を前記錠剤の鑑査結果として前記記憶部49に記録する。即ち、前記制御部40は、前記錠剤の識別情報が、前記医薬品マスターに登録されている前記錠剤の識別情報とは明らかに異なる場合でなければ、前記画像鑑査処理の鑑査結果が要チェックであると判断する。なお、前記画像鑑査処理において、前記錠剤の識別情報の照合結果における一致度が予め設定された所定値以下である場合にも、前記画像鑑査処理の鑑査結果が要チェックと判断されることが考えられる。
<ステップS65>
次に、ステップS65において、前記制御部40は、前記薬包451の全錠剤について前記画像鑑査処理が終了したと判断すると(S65:Yes)、処理をステップS66に移行させ、終了していなければ(S65:No)、処理を前記ステップS62に戻す。
<ステップS66>
ステップS66において、前記制御部40は、前記分包処理で前記通過検出センサー475によって検出された錠剤の数と前記処方データにおける前記薬包451に分包されるべき錠剤の数とが一致するか否かを判断する計数鑑査処理を実行する。具体的に、前記通過検出センサー475(図2参照)は、前記カメラ462及び463による前記錠剤の撮影位置の下流側であって、前記錠剤が前記薬包451内に収容される前に前記錠剤を検出可能な位置に配置されている。これにより、前記計数鑑査処理では、少なくとも前記錠剤の撮影位置の下流側であって前記薬包451が封止されるまでの間に計数される前記錠剤の数の適否が判定される。ここに、係る前記計数鑑査処理を実行するときの前記制御部40が計数鑑査処理部の一例である。
<ステップS67>
ステップS67において、前記制御部40は、前記ステップS66の照合結果が一致である場合は(S67:Yes)、処理をステップS68に移行させ、前記照合結果が不一致である場合は(S67:No)、処理をステップS671に移行させる。
<ステップS68>
ステップS68において、前記制御部40は、前記錠剤についての前記計数鑑査処理の鑑査結果が適正である旨を、前記ステップS66において照合対象であった前記錠剤に対応付けて前記記憶部49に記録する。
<ステップS671>
ステップS671において、前記制御部40は、前記錠剤についての前記計数鑑査処理の鑑査結果がエラーである旨を、前記ステップS66において照合対象であった前記錠剤に対応付けて前記記憶部49に記録する。
このように、前記画像鑑査処理の実行が有効に設定されている場合、前記自動鑑査処理では、前記画像鑑査処理及び前記計数鑑査処理が共に実行され、両方の鑑査結果が適正である場合に、前記自動鑑査処理の鑑査結果が適正であると判断され、いずれか一方の鑑査結果がエラーである場合は、前記自動鑑査処理の鑑査結果がエラーとなる。
そして、前記制御部40は、前記自動鑑査処理が前記分包処理で分包された全ての前記薬包451の錠剤について実行されると、前記画像鑑査処理の結果を前記撮影画像と共に前記サーバー2に送信する。また、前記計数鑑査処理で用いられた前記錠剤の数も前記制御部40によって前記サーバー2に送信される。これにより、前記サーバー2では、前記制御部21によって実行される前記鑑査支援処理において、前記画像鑑査処理の結果、前記計数鑑査処理の結果、及び前記撮影画像などを必要に応じて表示することが可能である。
[鑑査支援処理における表示例]
具体的に、前記制御部21によって実行される前記鑑査支援処理(図7参照)では、前述したように各種の表示画面が表示される。ここでは、前記鑑査支援処理で表示される各種の表示画面の他の例について説明する。
ここに、図35A、図36、及び図37Aは、前記鑑査詳細画面D302(図19及び図20参照)の他の例である鑑査詳細画面D303を示す図である。具体的に、図35Aは、前記自動鑑査処理による鑑査結果が適正である場合の表示例、図36は、前記自動鑑査処理による鑑査結果がエラーである場合の表示例、図37Aは、前記自動鑑査処理による鑑査結果が要チェックである場合の表示例である。
図35Aに示されるように、前記自動鑑査処理による鑑査結果が適正である場合、前記鑑査詳細画面D303では、前記鑑査結果領域A313に、前記自動鑑査処理の鑑査結果として「承認待ち」が表示される。また、前記鑑査詳細画面D303では、前記調剤詳細領域A322における錠剤ごとの前記自動鑑査処理の結果を示す結果表示欄A323は空白の状態である。さらに、前記鑑査詳細画面D303には、表示中の鑑査結果を承認する旨の操作が行われる承認キーK311が表示されている。
そして、前記制御部21は、前記鑑査詳細画面D303において前記承認キーK311が操作されると、前記自動鑑査処理の鑑査結果の承認を受け付けて前記処方データに対応付けて記憶する。また、前記制御部21は、図35Bに示されるように、前記鑑査詳細画面D303における前記鑑査結果領域A313に、前記自動鑑査処理の鑑査結果として「承認OK」を表示させる。さらに、前記制御部21は、図35Bに示されるように、前記鑑査詳細画面D303における前記結果表示欄A321に、前記自動鑑査処理の鑑査結果として適正である旨を示す「○」を表示させる。なお、図35Bに示されるように、前記自動鑑査処理による鑑査結果が「承認OK」となった場合、前記承認キーK311はグレーアウトなどにより操作不可である旨が表示される。
一方、図36に示されるように、前記自動鑑査処理による鑑査結果がエラーである場合、前記鑑査詳細画面D303では、前記鑑査結果領域A313に、前記自動鑑査処理の鑑査結果としてエラーである旨を示す「NG」が表示される。また、図37Aに示されるように、前記自動鑑査処理による鑑査結果が要チェックである場合、前記鑑査詳細画面D303では、前記鑑査結果領域A313に、前記自動鑑査処理の鑑査結果として要チェックである旨を示す「CHECK」が表示される。特に、前記制御部21は、前記画像鑑査処理において前記錠剤の識別情報が取得できなかった場合、即ち図37Bに示されている錠剤「チックタック」のように前記錠剤に文字印刷又は刻印が存在しない場合にも、前記錠剤が収容されている全ての前記薬包451について要チェックである旨を表示する。なお、前記自動鑑査処理の鑑査結果が要チェックである場合には、図37A及び図37Bに示されるように前記承認キーK311の操作が可能であるが、前記自動鑑査処理の鑑査結果がエラーである場合には、図36に示されるように、前記承認キーK311がグレーアウトなどにより操作不可となる。
また、前記鑑査詳細画面D303には、操作キーK312〜K314が表示されている。前記操作キーK312は、一又は複数の前記薬包451に関する前記分包処理を再実行させるための操作キーである。前記再発行キーK312が操作されると、前記制御部21は、前記分包処理の再実行の方法を設定するための再発行操作画面D304を表示させる。ここに、図38は、前記再発行操作画面D304の一例を示す図である。
図38に示されるように、前記再発行操作画面D304では、前記分包処理の再実行の対象として、「全分包」、「CHECK分包のみ」、「NG分包のみ」、「CHECK、NG分包」、及び「指定包」が選択可能である。「全分包」が選択されると、全ての前記薬包451が対象となり、「CHECK分包のみ」が選択されると、鑑査結果が要チェックである前記薬包451のみが対象となる。また、「NG分包のみ」が選択されると、鑑査結果がエラーである前記薬包451が対象となり、「CHECK、NG分包」が選択されると、鑑査結果がエラーである前記薬包451及び要チェックである前記薬包451が対象となる。さらに、「指定包」では、再実行の対象となる前記薬包451を任意に指定することが可能であり、例えば連続指定又は個別指定が可能である。なお、後述するように、前記分包処理の再実行の対象となる前記薬包451が他の画面で既に指定されている場合には、その指定済みの前記薬包451の薬包番号などの識別情報が、前記指定包の入力欄に表示される。
そして、前記再発行操作画面D304には、再発行の実行を開始させるための再発行キーK315が表示されており、前記制御部21は、前記再発行キーK315の操作に応じて、指定された前記薬包451の前記分包処理を再実行させるための制御指示を前記錠剤分包装置4に送信する。これにより、前記錠剤分包装置4では、前記制御指示に従って前記再発行操作画面D304で指定された前記薬包451についての前記分包処理が再実行される。
また、前記操作キーK313は、前記手撒き確認画面D5を表示させるための操作キーである。なお、前記操作キーK313は、前記分包処理で前記手撒きユニット42が使用された場合に操作可能であり、前記分包処理で前記手撒きユニット42が使用されていない場合にはグレーアウトなどにより操作不可となる。そして、前記制御部21は、前記操作キーK313が操作されると、前記手撒き画像が表示される前記手撒き確認画面D5(図14参照)を表示させる。
また、前記操作キーK314は、前記鑑査詳細画面D303における鑑査結果の一覧表示の表示サイズを変更するための操作部である。そして、前記制御部21は、前記操作キーK314の操作によって前記表示サイズが変更されると、前記鑑査詳細画面D303に同時に表示される前記薬包451の数を変更する。前記操作キーK314では、「大」、「中」、「小」、「極小」の4種類の表示サイズが任意に選択可能である。これにより、ユーザーは、前記自動鑑査処理の結果を参照する際に、前記撮影画像各々を拡大して確認すること、又は前記自動鑑査処理の全体の結果を把握することなどの目的に応じた表示態様が選択可能である。
ところで、前述したように、前記鑑査詳細画面D303において、特定の前記薬包451における特定の前記錠剤の撮影画像が選択された場合、前記制御部21は、前記錠剤に対応する前記拡大画面D34を表示させる。ここに、図39A及び図39Bには、前記拡大画面D34の他の例として拡大画面D341が示されている。図39A及び図39Bに示されるように、前記拡大画面D341では、前記正画像に対応する前記拡大画像P342と、選択中の前記錠剤に対応する前記撮影画像の拡大画像P343とが並べて表示されている。なお、前記制御部21は、前記撮影画像のうち前記自動鑑査処理の鑑査結果がエラー又は要チェックである錠剤の撮影画像のみについて前記拡大画面D34を表示させるものであってもよいが、全ての錠剤の撮影画像について前記拡大画面D34を表示可能であってもよい。
また、前記制御部21は、前記拡大画面D341に表示される前記拡大画像P343を、例えば図39A及び図39Bに示すように、前記錠剤に対応する複数の前記撮影画像を所定間隔で順に切り替えて表示することが可能である。より具体的に、前記制御部21は、前記拡大画面D341が表示されると、前記拡大画像P343の切り替えを開始する。これにより、ユーザーは、前記錠剤の外周を異なる角度から撮影した複数の前記撮影画像を参照して前記錠剤の適否を判断することが可能である。
そして、前記拡大画面D341には、操作キーK361〜K364が表示されている。前記制御部21は、前記操作キーK361が操作されると、前記拡大画像P343の自動切替を一時停止させ、前記操作キーK361が再度操作されると前記拡大画像P343の自動切替を再開する。なお、前記制御部21は、前記拡大画面D341の表示後、前記操作キーK361が操作されることにより前記拡大画像P343の自動切替を開始することも考えられる。
また、前記制御部21は、表示中の錠剤の前記自動鑑査処理の鑑査結果が要チェック又はエラーである場合に前記操作キーK362が操作されると、目視確認によって適正であると判断された旨をその錠剤の鑑査結果として記録する。さらに、前記制御部21は、前記操作キーK363が操作されると、表示中の錠剤が収容されている前記薬包451を前記再発行の対象として選択して記録する。ここで、前記再発行の対象として選択された前記錠剤又は前記薬包451については、図36に示されるように、前記鑑査詳細画面D303において、前記再発行の対象である旨を示す文字又は図柄などの付加情報A324が対応付けて表示されることが考えられる。
また、前記制御部21は、前記操作キーK364が操作されると、表示中の前記錠剤を含む前記薬包451に収容されている錠剤を手動で入れ替えるなどの処置が実行される旨を記録する。この場合も、前記手動による処置が実行される対象として選択された前記錠剤については、図37Aに示されるように、前記鑑査詳細画面D303において前記手動による処置の対象である旨を示す文字又は図柄などの付加情報A325が対応付けて表示されることが考えられる。
さらに、前記拡大画面D341に表示される前記錠剤についての前記自動鑑査処理の鑑査結果が要チェックである場合、前記制御部21は、図40に示されるように、前記錠剤と前記識別情報が類似する一又は複数の種類の錠剤の情報を示す類似薬品リストP361を前記拡大画面D341に表示させることが考えられる。なお、前記拡大画面D341に表示されている前記錠剤に識別情報が付されていない場合、前記制御部21は、前記錠剤と形状が類似する一又は複数の種類の錠剤の情報を前記類似薬品リストP361に表示させる。このように、前記類似薬品リストP361が表示されることにより、ユーザーは、前記類似薬品リストP361を参照して前記錠剤の適否を容易に判断することが可能である。なお、図40に示されるように、前記操作キーK362は、前記拡大画面D341における表示対象の錠剤を前後に順に切り替える操作と目視確認により適正である旨を入力する操作とを同時に受け付ける操作キーを含むものであってもよい。
ところで、図36及び図37Aに示されるように、前記自動鑑査処理の鑑査結果にエラー又は要チェックが含まれる場合、前記制御部21は、前記自動鑑査処理の鑑査結果がOKである錠剤とエラー又は要チェックである錠剤とを共に前記鑑査詳細画面D303に表示させる。これに対し、図41に示されるように、前記自動鑑査処理の鑑査結果にエラー又は要チェックが含まれる場合には、前記制御部21が、前記自動鑑査処理の鑑査結果がエラー又は要チェックである錠剤のみを前記鑑査詳細画面D303に表示させることが考えられる。即ち、前記自動鑑査処理の鑑査結果が適正である錠剤の表示が省略される。これにより、ユーザーが確認が必要な鑑査結果だけを容易に把握することができ、前記自動鑑査処理の鑑査結果の確認作業が効率化される。なお、前記自動鑑査処理の鑑査結果としてエラーの錠剤が含まれる場合には、前記鑑査結果領域A313に「NG」が表示され、前記自動鑑査処理の鑑査結果としてエラーの錠剤が含まれておらず要チェックの錠剤が含まれている場合には、前記鑑査結果領域A313に「CHECK」が表示される。また、図37Aに示されるように、前記鑑査結果が要チェックの錠剤に対応する前記結果表示欄A323には、要チェックである旨を示す「△」のマークが表示される。なお、前記鑑査結果がエラーの錠剤に対応する前記結果表示欄A323には、エラーである旨を示す「×」のマークが表示され、前記鑑査結果が適正である錠剤に対応する前記結果表示欄A323には、適正である旨を示す「○」のマークが表示される。
また、図35A、図36、及び図37Aなどに示されている前記鑑査詳細画面D303では、前記画像鑑査処理が表示されている。これに対し、前記制御部21は、前記鑑査詳細画面D303に代えて、前記画像鑑査処理及び前記計数鑑査処理の鑑査結果が共に表示される鑑査詳細画面D305を表示することが考えられる。ここに、図42A及び図42Bは、前記鑑査詳細画面D305の一例を示す図である。
具体的に、図42A及び図42Bに示される前記鑑査詳細画面D305には、前記自動鑑査処理により全ての薬包451について前記計数鑑査処理が実行されると共に、服用時期ごとの最初の薬包451のみについて前記画像鑑査処理が実行され、前記第1配列(図27参照)で鑑査結果が表示されている。前記鑑査詳細画面D305では、前記画像鑑査処理の一部又は全部が省略され、前記計数鑑査処理が実行されている旨を示す「個数モード」が表示領域A327に表示される。
特に、図42Aに示される前記鑑査詳細画面D305では、前記制御部21が、その服用時期ごとの最初の薬包451のみについて前記画像鑑査処理で用いられた撮影画像を表示させる。即ち、前記画像鑑査処理が実行されていない前記薬包451内の錠剤については、前記カメラ462及び463による撮影は行われるが、その錠剤の撮影画像は表示されない。これにより、ユーザーは、前記画像鑑査処理の実行の有無を容易に把握することが可能である。なお、前記画像鑑査処理で用いられた前記撮影画像は、実際に前記カメラ462及び463で撮影された撮影画像から前記錠剤の領域を抽出するためにトリミングした画像である。
また、図42Bに示される前記鑑査詳細画面D305では、前記制御部21が、その服用時期ごとの最初の薬包451については前記画像鑑査処理で用いられた撮影画像を表示させる。一方、前記制御部21は、前記画像鑑査処理が実行されていない錠剤については、実際に前記カメラ462及び463で撮影され、前記画像鑑査処理の実行時にトリミングされていない撮影画像をそのまま表示させる。これにより、ユーザーは、前記画像鑑査処理の実行の有無を容易に把握することが可能である。
一方、前記制御部21は、前記計数鑑査処理については全ての薬包451について実行されているため、前記鑑査詳細画面D305において、前記薬包451各々の前記計数鑑査処理で用いられた錠剤数を錠数表示領域A326に表示させる。これにより、ユーザーは、前記計数鑑査処理で検出された錠剤数に問題ないことを容易に把握することが可能である。
また、前記制御部21は、前記画像鑑査処理及び前記錠数鑑査処理各々による鑑査結果を前記鑑査詳細画面D305に表示させることが可能である。具体的に、前記画像鑑査処理にエラーが生じている場合には、そのエラーが生じている錠剤については、前記撮影画像の背景が前記自動鑑査処理の結果がエラーである旨を示す赤色などの前記第6特定色で表示される。また、前記計数鑑査処理にエラーが生じている場合には、そのエラーが生じている薬包451については、例えば前記錠剤数の表示領域の背景がエラーである旨を示す赤色などの前記第6特定色で表示される。
ところで、前記錠剤分包装置4が、前記分包ユニット45における前記錠剤の分包後の前記薬包451を撮影するカメラを備えている場合には、前記制御部21が、そのカメラによって撮影された分包後の撮影画像を前記詳細画面D305に表示させることも考えられる。例えば、前記分包後の撮影画像は、前記錠数表示領域A326の下方に並べて表示される。
[後ずれ検出機能]
前記錠剤分包装置4では、例えば前記分包ユニット45で実行される前記分包処理において前記薬包451に複数の錠剤が包装される場合に、その一部の錠剤が次の前記薬包451にずれて包装される後ずれが生じるおそれがある。これに対し、前記錠剤分包装置4が、前記後ずれを検出する後ずれ検出機能を有することが考えられる。
具体的に、前記錠剤分包装置4には、前記薬包451が閉じられる際に前記薬包451に収容されるべき錠剤が、閉じられる前記薬包451の下流側に存在しているか否かを検出するための検出部476が設けられる。そして、前記制御部40は、前記検出部476による検出結果に基づいて前記薬包451に収容されるべき錠剤の後ずれを検出する。以下、図43〜図52を参照しつつ前記後ずれ検出機能について説明する。
図43に示すように、前記分包ユニット45は、前記回転ユニット44の下方に設けられており、前記回転ユニット44から1包分ずつ払い出される錠剤Mを分包することが可能である。前記分包ユニット45は、分包紙供給部450Aと包装機構450Bとを有する。前記分包紙供給部450Aは、ロール軸450Cに巻かれた分包紙Sを繰り出して前記包装機構450B側に送る機構である。前記分包紙Sは、シート状で長尺の熱融着性シートであり、短手方向に二つ折りにした状態でロール軸450Cに巻かれている。前記包装機構450Bは、シート支持部450Dとガイド部材450Eとシール装置450Fとを有する。前記包装機構450Bは、前記分包紙供給部450Aから送られた前記分包紙Sを圧着して袋状とすることにより、前記回転ユニット44側から供給されてきた薬剤Mを分包することが可能である。
さらに具体的に、前記ガイド部材450Eは、分包紙供給部42から送られてくる分包紙Sを案内するガイドとしての機能を有する。シール装置50は、ガイド部材44bによってガイドされつつ供給されてきた分包紙Sの長手方向一端側(下流側)の部位等を圧着して半袋状としたり、半袋状になった分包紙Sの開放部分を圧着して閉じて袋状に形成できる。さらに具体的には、シール装置50により分包紙Sを圧着することにより、図47に示すように薬剤Mを収容した薬包451を形成できる。シール装置450Fは、作成しようとしている薬包451において分包紙Sの進行方向下流側の部分を分包紙Sの短手方向に閉塞する縦シール(第一縦シールAS1あるいは第二縦シールAS3)を形成すると共に、横シールWS2を形成する。これにより、分包紙Sの進行方向上流側の部分に開放部分を有する半袋状の分包紙S(薬包451)が形成される。この状態において半袋状の分包紙S(薬包451)内に薬剤Mを投入した後、開放部分をシール装置450Fによって閉塞する。すなわち、横シールWS2の一部が未封止である場合はその未封止部分をシール装置450Fによって閉じると共に、分包紙Sの進行方向上流側において分包紙Sの短手方向に閉塞する縦シール(第二縦シールAS3)を形成して封止する。
図44に示されるように、前記シール装置450Fは、一対のローラフレーム450a,450bにより主要部が構成されている。前記シール装置450Fは、前記ローラフレーム50a側に保護カバー450cが設けられているが、保護カバー450cを取り除いた状態では、図45に示すように、前記ローラフレーム50a,50bが、互いに突き合わせた状態においてほぼ左右対称となる。
図45等に示すように、ローラフレーム450a,450bは、正面視がほぼ「コ」字型(門型)で金属製のフレームによって構成されている。ローラフレーム450a,450bには、上下方向に延びる支軸450dが設けられており、これに対して縦シール部材450eと、横シール部材450fとが取り付けられている。縦シール部材450eおよび横シール部材450fは、それぞれ支軸450dに対して回転可能なように取り付けられている。また、縦シール部材450eおよび横シール部材450fは、それぞれ別々の動力源(図示せず)に対し、別々の動力伝達機構(図示せず)を介して接続されており、互いに独立的に回転可能であり、縦シール部材450eの回転速度と横シール部材450fとの回転速度を変える事によって前記薬包451の袋長を変更する事が可能になっている。
縦シール部材450eは、金属製であり、図45に示すように、正面視がほぼ直線型の形状である。縦シール部材450eは、図46に示すように、円板状の下端部450iと、板状の加熱部450kとを有する。加熱部450kは、後述する横シール部材450fをなす上端部450gと下端部450iとの間に位置しており、両者に対してほぼ垂直である。加熱部450kの両側面には、ヒータ450hと、切取線形成部450jとが上端部450g側から下端部450i側に向けて直線状に配されている。ヒータ450h,450hは、分包紙Sを熱融着可能なものである。そのため、並行に配置された縦シール部材450e,450eを回転させ、両者の間に二つ折りにした分包紙Sを通過させることにより、分包紙Sの短手方向に延びるシール(縦シール)を形成できる。
また、切取線形成部450jは、分包紙Sにミシン目を形成可能なものである。本実施形態では、ローラフレーム450b側の切取線形成部450jがミシン目を形成するためのカッターによって構成されており、ローラフレーム450a側の切取線形成部450jが前記カッターに対応して設けられた受け刃によって構成されている。
図45に示すように、横シール部材450fは、前述した上端部450gとヒータ450mとを備えている。上端部450gは、縦シール部材450eの加熱部450kの上方側に設けられた円板状の部材である。上端部450gの外周には、全周にわたってヒータ450mが設けられている。そのため、並行に配置された横シール部材450f,450fを回転させ、上端部450g,450gの間に二つ折りにした分包紙Sを通過させることにより、分包紙Sの長手方向に延びるシール(横シール)を形成できる。
図45に示すように、シール装置450Fでは、ローラフレーム450a,450bによって囲まれたほぼ「ロ」字型(矩形)の領域内に、縦シール部材450e,450eと横シール部材450f,450fとが所定のクリアランスを介して略平行に配置されている。シール装置450Fは、縦シール部材450e,450eと横シール部材450f,450fとを回転させ、これらのクリアランスに分包紙Sを通過させて横シール及び縦シールを形成することにより薬包451を形成することが可能である。
図48に示されるように、前記回転ユニット44には、前記回転ユニット44から個別に払い出される錠剤Mを分包ユニット45に供給するための薬剤導入部80が設けられている。前記薬剤導入部80は、錠剤Mを分包紙S内に供給可能なものであればいかなるものであっても良いが、本実施形態ではホッパーによって構成されている。図48、図49に示すように、前記薬剤導入部80は、前記シール装置450Fによって前記分包紙Sで形成された未封止状態の薬包451の開放部分に差し込まれ、薬包451内に錠剤Mを導入可能である。具体的には、前記薬剤導入部80は、基端部が前記回転ユニット44側に向き、前記シール装置450Fによって形成過程にある未封止状態の薬包451内に先端部が差し込まれるように配置されている。すなわち、前記薬剤導入部80は、前記シール装置450Fに対して分包紙Sの搬送方向上流側において二つ折りにされた分包紙Sの内側に差し込まれている。
なお、前記錠剤分包装置4では、前記薬包451に収容されている前記薬包451が前記ヒータ450h及び450mからの熱の影響を受けることがある。そのため、図49に示されているように、前記錠剤分包装置4では、前記薬剤導入部80から前記分包紙Sに錠剤が供給される位置において前記分包紙Sに送風することが可能な送風ファン51が設けられている。これにより、前記分包紙Sが前記送風ファン51からの送風によって冷却され、前記ヒーター450h及び450mからの熱の影響が抑制される。具体的に、図49に示されるように、前記送風ファン51は、前記分包紙Sの通過経路の上方に配置されており、前記分包紙Sの開放箇所から前記分包紙Sの内部にも送風可能である。なお、前記送風ファン51は前記分包紙Sの通過経路の下方などの他の方向から送風可能な位置に配置されていてもよい。
また、図48及び図49に示されるように、前記分包ユニット45には、前記薬剤導入部80による錠剤Mの導入経路における錠剤Mの存在を検知する検知部476が設けられている。図48に示すように、前記検知部476は、前記薬剤導入部80による錠剤Mの導入経路を撮影可能なカメラ476aと照明装置476bとを備える。カメラ476aは、前記シール装置450Fよりも分包紙Sの搬送方向上流側において分包紙Sの内側を撮影(検知)可能なように配置されている。本実施形態では、前記カメラ476aは、前記薬剤導入部80の基端側から先端側に向けて配されている。また、上述したように前記薬剤導入部80が前記シール装置450Fに対して上流側に位置している。そのため、カメラ476aは、シール装置450Fよりも分包紙Sの搬送方向上流側の領域を撮影(検知)可能なように配置されている。また、前記照明装置476bは、発光ダイオード又は電球などの光源を備えている。前記照明装置476bは、前記カメラ476aと同様に前記薬剤導入部80の基端側から先端側に向けて前記薬剤導入部80の内部領域を照射可能なように配置されている。なお、前記制御部40は、前記カメラ476aによる撮影画像を前記記憶部22に記憶すると共に、前記サーバー2にも送信する。
そして、前記錠剤分包装置4において、前記制御部40は、前記検知部476から入力される検知データに基づき、錠剤Mが本来分包されるべき薬包451から前記錠剤Mが溢れ出してしまうことによる分包不良の発生を判定することが可能である。
続いて、前記錠剤分包装置4において行われる前記シール装置450Fによる薬包451の形成方法、及び薬包451の形成過程に行われる分包不良の判定方法について説明する。なお、以下の説明においては、先ず図51に基づいて薬包451の形成方法について概説し、その後に図52に基づいて第二縦シールの形成工程に係るサブルーチンについて説明する。
[薬包451の形成方法について]
制御部40は、図51に示した制御フローに則って薬包451を形成する。以下、図51に従って具体的な動作及び制御について説明する。
<ステップS71>
薬包451を形成する際には、先ずステップS71において分包紙Sの進行方向先頭位置において薬包451の上流端を閉塞するための縦シール(以下、「第一縦シールAS1」とも称す)が縦シール部材450e,450eによって形成される(図47参照)。その後、制御フローがステップS72に進められる。
<ステップS72>
ステップS72においては、二つ折りの状態で供給される分包紙Sの折り目とは反対側の端部を閉じるための横シールWS2(図47参照)が形成される。具体的には、横シール部材450f,450fを回転させ、両者の間に分包紙Sを通過させることにより横シールを形成する。
<ステップS73>
ステップS73においては、分包紙Sを薬包451を封止すべき位置(封止位置)に到達するまで横シールWS2が形成されたか否かが確認される。横シールWS2が封止位置に到達している(ステップS73:YES)と判断された場合にはステップS74に制御フローが進められ、封止位置に未到達(ステップS73:NO)であると判断された場合にはステップS72に制御フローが戻される。
<ステップS74>
ステップS74においては、薬包451において分包紙Sの進行方向下流側の端部を閉塞するための縦シール(以下、「第二縦シールAS3」とも称す)が、後に詳述する図52のサブルーチンに則って形成される。ここで、第二縦シールAS3は、次に形成される薬包451の第一縦シールAS1としても機能する。そのため、第二縦シールAS3は、分包紙Sの長手方向に連続的に形成される薬包451の境界をなすシールとして機能する。第二縦シールAS3が形成されると、ステップS75に制御フローが進められる。
<ステップS75>
ステップS75では、ステップS74において第二縦シールAS3で封止された薬包451が最終のものであるか否かが確認される。ステップS74で封止された薬包451が最終のものでない場合(ステップS75:NO)には制御フローがステップS72に戻され、最終のものである場合(ステップS75:YES)には一連の制御フローが完了する。
[第二縦シールAS3の形成工程について]
続いて、上述したステップS74に係る第二縦シールAS3の形成工程についてのサブルーチンについて、図52を参照しつつ詳細に説明する。
<ステップS74−1>
ステップS74−1においては、第二縦シールAS3を形成すべく、加熱部450k,450k同士が対向する位置関係になるように縦シール部材450e,450eの回転を開始させる。その後、ステップS74−2に制御フローが進められる。
<ステップS74−2>
ステップS74−2においては、図6に示すように縦シール部材450e,450eの加熱部450k,450kが分包紙Sに接触し始める時点(接触開始タイミング)に到達したか否かが確認される。ここで、接触開始タイミングに到達したか否かは、種々の方法で確認できる。具体的には、例えばステップS74−1において縦シール部材450e,450eの回転を開始させたタイミングから計時を開始するタイマーを設け、このタイマーにより所定時間経過したことを確認する方法、縦シール部材450e,450eの回転量を検知可能な回転検知装置を設け、回転検知量が所定量に達したかを確認する方法、又は縦シール部材450e,450eの角度又は姿勢などを検知可能な検知装置を設け、縦シール部材450e,450eの加熱部450k,450kが接触し始める角度又は姿勢になったか否かを確認する方法などが考えられる。これらの方法により、接触開始タイミングに到達したことが確認された場合(ステップS74−2:YES)には、制御フローがステップS74−3に進められ、確認されない場合(ステップS74−2:NO)には、制御フローがステップS74−2のまま継続される。
<ステップS74−3>
ステップS74−3においては、縦シール部材450e,450eの回転を一旦停止させる制御が行われる。これにより、縦シール部材450e,450eは、加熱部450k,450kが接触し始めた姿勢で一旦停止した状態になる。その後、制御フローがステップS74−4に進められる。
<ステップS74−4>
ステップS74−4においては、検知部476により薬剤導入部80の内部領域、及び分包紙Sの内側であって既にシール装置450Fによって形成されている縦シール(第一縦シールAS1あるいは第二縦シールAS3)よりも搬送方向上流側の領域における錠剤Mの有無が検知される(封止検知)。この際、照明装置450bがオン状態とされ、薬剤導入部80の内部領域が照明される。検知部476による検知データは、制御部40に入力される。検知データは錠剤Mの有無を判定するうえで有効なデータであればいかなるものであっても良いが、本実施形態ではカメラ467aにより撮影された画像データが検知データとして制御部40に入力される。具体的には、錠剤Mが存在しない場合には、図50Aに示すように薬剤導入部80のみの画像が取得され、錠剤Mが存在している場合には、図50Bに示すように錠剤Mが入った画像が取得される。このような画像データが、検知データとして制御部40に入力される。その後、制御フローがステップS74−5に進められる。
<ステップS74−5>
ステップS74−5においては、制御部40の判定部102により、ステップS74−4において行われた封止検知によって取得された検知データ(画像データ)に基づいて錠剤Mの有無についての判定が行われる。本実施形態では、画像データが検知データとして取得されるため、画像解析等の画像データを活用した手法により錠剤Mの有無についての判定が行われる。錠剤Mの有無の判定はいかなる方法で行われても良いが、例えば錠剤Mが存在していない場合にカメラ92により得られる画像をマスター画像として準備しておき、実際にカメラ476aによって得られた画像とマスター画像とを用いて錠剤Mの有無について判定するようにしても良い。なお、前述のようにマスター画像を用いて判定を行う場合であって、分包紙Sがカメラ476aによって得られる画像に写り込む場合には、分包紙Sの種類に応じて異なるマスター画像を準備しておくことが望ましい。具体的には、分包紙Sは二つ折りにされて二面が重なり合った状態で供給されるが、分包紙Sには両面とも透明であるものであるもの、又は片面が透明であるものの他方の面に不透明な部分(例えば白色等の色彩を有する帯)を設けたもの等がある。分包紙Sが前者のようなものが用いられる場合と、後者のように不透明な部分を有するものが用いられる場合とでカメラ476aによって得られた画像に差異が生じるのは明白である。従って、分包紙Sの違いに対応すべく、分包紙Sの種類に応じてマスター画像を準備しておくことが望ましい。前述したようにして錠剤Mについての判定が行われた後、制御フローがステップS74−6に進められる。
<ステップS74−6>
ステップS74−6においては、ステップS74−5の判定の結果、錠剤Mが検知されたか否かが確認される。ここで、錠剤Mが非検出であった場合(ステップS74−6:YES)には、分包すべき錠剤Mが薬包451から漏れ出すことなく包装されているものと想定される。この場合には、正常に錠剤Mの分包が行われているとの判断がなされ、制御フローがステップS74−7に進められる。一方、錠剤Mが検出された場合(ステップS74−6:NO)の場合には、図48に示すように先の薬包451(図中下方側の薬包451a)に分包すべき錠剤Mが薬包451から漏れ出し、後に形成される薬包451(図中上方側に形成中の薬包451b)に移動してしまった可能性が高い。この場合には、分包不良が生じているとの判断がなされ、制御フローがステップS74−9に進められる。
<ステップS74−7>
ステップS74−7では、ステップS74−3において一旦停止されていた縦シール部材450e,450eの回転を再開させる制御が行われる。これにより、縦シール部材450e,450eは、加熱部450k,450kが面接触しはじめ、第二縦シールAS3が形成されていく。
<ステップS74−8>
ステップS74−8においては、第二縦シールAS3の形成が完了したか否かの確認が行われる。第二縦シールAS3の形成が完了したと判断された場合(ステップS74−8:YES)には、一連の制御フローが完了する。一方、第二縦シールAS3の形成が未完了である判断された場合(ステップS74−8:NO)には、引き続きステップS74−8の制御が継続される。
<ステップS74−9>
ステップS74−9においては、上述したステップS74−6において錠剤Mの漏洩が確認されたことに対処するための処理(分包不良時処理)が行われる。具体的には、分包不良が発生した旨を音声、画像表示、又はランプ点灯などの方法により報知する処理などが分包不良時処理として実行される。これにより、図52に示した一連の制御フローが完了する。
上述したように、本実施形態の錠剤分包装置4では、錠剤Mが導入された薬包451の封止を開始するタイミング以降、次の薬包451に分包するための錠剤Mが導入されるタイミングよりも前の期間内に、検知部476によって錠剤Mの存在が検知されることを条件として分包不良が生じているものと判定することとしている。このようにすることで、本来分包されるべき薬包451から錠剤Mが溢れ出すことによる分包不良を精度良く検出でき、鑑査に要する手間を最小限に抑制できる。
また、上述した錠剤分包装置4では、第二縦シールAS3を形成すべく縦シール部材450eが分包紙Sに接触するタイミングを錠剤Mが導入された薬包451の封止が開始されるタイミングとして設定し、このタイミングでシール装置450Fによる分包紙Sの接合を中断して検知部476により錠剤Mを検知することとしている。これにより、薬包451の封止時に錠剤Mが漏れ出すことによる分包不良を一層検知精度良く検知できる。また、薬包451から漏れ出した錠剤Mが縦シール部材450e,450e間に噛み込んでしまう等の不具合を抑制できる。
なお、本実施形態では、第二縦シールAS3を形成すべく縦シール部材450eが分包紙Sに接触するタイミングを薬包451の封止が開始されるタイミングとみなして錠剤Mを検知部476によって検知する例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、他のタイミングを薬包451の封止が開始されるタイミングとみなして同様の処理を行うようにしても良い。また、本実施形態では、薬包451の封止が開始されるタイミングに錠剤Mを検知部476によって検知する例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、薬包451の封止が開始されるタイミング以降、封止が完了するまでの期間内の任意のタイミング(例えば封止後)に錠剤Mの存在を検知するようにしても良い。さらに、本実施形態では、錠剤Mを検知部476によって検知するタイミングにおいて縦シール部材450eによるシールを一旦停止する例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。具体的には、検知部476により錠剤Mの有無を検知する際に縦シール部材450eによるシールを停止しないこととしたり、縦シール部材450eによるシール形成速度を低減させるようにしても良い。
なお、本実施形態では、長さの異なる薬包451にも対応可能とすべく、シール装置450Fとして、ローラ状の縦シール部材450e,450e及び横シール部材450f,450fを個別に駆動制御可能とした例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、薬包451の袋長が一定で良い場合には、シール装置450Fを、縦シール部材450e,450e及び横シール部材450f,450fが一体的に駆動するようなものとしてもよい。
本実施形態では、ローラ状の縦シール部材450e,450e及び横シール部材450f,450fによって分包紙Sを挟み込んでシールし、薬包451を形成する例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の形態及び方法で分包紙Sをシールして薬包451を形成するものであっても良い。
また、本実施形態では、分包紙Sを二つ折りにして二重になった部分にシールを施すことにより薬包451を形成する例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。具体的には、二枚の分包紙Sを供給し、これらを重ね合わせて接合することで薬包451を形成するようなものであっても良い。
本実施形態では、検知部476において錠剤Mを検出するための検出装置としてカメラ476aを備えたものを例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、錠剤Mの存在を検知可能なものであればいかなるものであっても良い。具体的には、検知部476として、分包紙Sの内側であって、シール装置450Fよりも分包紙Sの搬送方向上流側における錠剤Mの有無を検知可能な光学センサー又は赤外線センサー等を設けても良い。なお、検知部476として光学センサー等を用いる場合には、これらのセンサーの特性を考慮して十分な検知精度がえられるよう方策を講じることが好ましい。具体的には、光学センサー等の検知距離を短く設定すると、小さい錠剤Mの存在の検知精度が低下する懸念がある。すなわち、錠剤Mの大きさが小さい場合は、錠剤Mの大きさが大きい場合よりも光学センサー等と錠剤Mの表面までの距離よりも大きくなる。そのため、光学センサー等の検知距離を短く設定すると、小さい錠剤Mの検知精度が低下する懸念がある。一方、光学センサー等の検知距離を長く設定すると、縦シール部材450eなどを錠剤Mとして検知してしまう懸念がある。従って、光学センサー等を検知部476に採用する場合には、取り扱う錠剤Mの大きさを考慮して検知距離を設定する等の方策を講じておくことが好ましい。
また、検知部476は、分包紙Sの内側であって、シール装置450Fよりも分包紙Sの搬送方向上流側において錠剤Mの存在を検知可能な位置であればいかなる位置に配置されていても良い。具体的には、図49において二点鎖線で示すように、検知部476と同様の検知部476Xを薬剤導入部80の先端側に配置したもの、又は薬剤導入部80よりもさらに上流側に検知部476Yを配置したものであっても良い。
また、錠剤Mが正確に分包されたことの検知精度を向上させるべく、検知部476に加え、他のセンサー等を設けても良い。具体的には、錠剤Mの落下を検知するための落下センサーを薬剤導入部80等に設けても良い。落下センサーにより錠剤Mが検知され、かつ検知部476による検知結果に基づき錠剤Mの漏洩が検知されないことを判定条件とすれば、分包用に払い出された錠剤Mが正確に分包されたか否かをより一層精度よく検知できる。
本実施形態では、薬包451を封止する時点において錠剤Mが正確に分包されたことを検知するために検知部476を活用した例を示したが、検知部476は他の用途に活用されても良い。具体的には、分包用の錠剤Mが薬剤導入部80から分包紙S内に導入されるべき時点で錠剤Mの存在を検知部476によって検知するようにしても良い。すなわち、検知部476は、上述した封止検知だけでなく、薬剤導入部80による分包紙S内への錠剤Mの導入を検知する導入検知に利用しても良い。このようにした場合、検知部476を分包紙S内に錠剤Mが供給されたか否かの確認にも有効利用できる。従って、上述した封止検知により分包紙Sの封止(薬包451の形成)時に錠剤Mの漏洩がないこと、及び導入検知により錠剤Mが確実に供給されたことの双方を確認でき、双方を確認できた場合にのみ錠剤Mが正常に分包されたと判定することにより、錠剤Mが正確に分包されたことの判定精度をより一層向上させ得る。
本実施形態では、第二縦シールAS3の形成を開始するタイミングで検知部476により錠剤Mの有無を検知する例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、錠剤Mが導入された薬包451の封止を開始するタイミング以降、薬剤導入部80を介して次に形成される薬包451に分包するための錠剤Mが導入されるタイミングよりも前の期間(以下、「検知可能期間」とも称す)内であれば、いかなるタイミングで検知部476により錠剤Mを検知しても良い。具体的には、検知部476による錠剤Mの検知は、錠剤Mが導入された薬包451の封止完了以後(第二縦シールAS3形成後)、次に形成される薬包451に分包するための錠剤Mが導入されるタイミングよりも前の期間内に行われても良い。また、検知部476による検知は、前述の検知期間内における所定のタイミング(時点)において検知するだけでなく、前述の検知可能期間内に含まれる所定期間に亘って検知を継続したり、前記検知可能期間内において断続的に検知したりしても良い。
本実施形態では、シール装置450Fとして縦シール部材450e,450e及び横シール部材450f,450fからなるローラー状の部材で分包紙Sを挟み込んで接合可能なものを例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の方式により分包紙Sを接合可能なものをシール装置450Fの代わりに採用可能である。具体的には、T字型などの平面形状を有する板状の加熱体を一対設け、加熱体同士の間に分包紙Sを挟み込んで接合可能なものを本実施形態のシール装置450Fの代わりに用いても良い。
[包装ビュー表示機能]
ところで、前記後ずれ検出機能を実現するために実行される処理(図52参照)では、縦シール部材450e,450eの加熱部450k,450kが分包紙Sに接触し始める時点(接触開始タイミング)に到達した場合に前記カメラ476aによる撮影が行われる。これに対し、前記制御部40が、前記接触開始タイミングとは別に、前記回転ユニット44から前記薬剤導入部80を介して前記分包ユニット45で形成される前記薬包451に投入される際の画像を前記カメラ476aを用いて撮影することが考えられる。
ここで、前記錠剤が投入される投入タイミングは、前記通過検出センサー475による錠剤の検出タイミングであることが考えられる。また、前記投入タイミングは、前記錠剤分包装置4において前記給紙カセット41又は前記手撒きユニット42から払い出された錠剤が前記回転ユニット44から前記薬剤導入部80に投入されるタイミングとして予め設定されたタイミングである。これにより、前記カメラ476aの撮影範囲には、前記薬剤導入部80、前記錠剤、及び前記薬包451が含まれる。なお、前記後ずれが生じていない場合、前記投入タイミングで撮影される撮影画像では、前記薬剤導入部80又は前記薬包451に投入された前記錠剤が撮影されるが、前記接触開始タイミングで撮影される撮影画像では、前記錠剤が前記縦シール部材450eよりも下流側に移動するため、前記錠剤が撮影されない。
そして、前記制御部40は、前記カメラ476aによる撮影画像を前記記憶部22に記憶すると共に、前記サーバー2に送信する。これにより、前記錠剤分包装置4又は前記サーバー2では、前記制御部40又は前記制御部21が、前記撮影画像を表示する包装ビュー表示機能を実現することが可能である。
例えば、前記サーバー2において、前記制御部21は、前記鑑査詳細画面D301〜D303等において、前記薬包451を識別するための薬包番号などの薬包識別情報が選択された場合に、前記薬包451に収容される錠剤の一覧を示す薬包個別情報画面D306を表示させる。ここに、図53は、前記薬包個別情報画面D306の一例を示す図である。
図53に示されるように、前記薬包個別情報画面D306には、前記分包処理における3包目の前記薬包451に収容される錠剤各々の薬品名、正画像、及び撮影画像などが表示される。また、前記薬包個別情報画面D306では、表示中の前記薬包451に収容される錠剤のうち前記自動鑑査処理の鑑査結果がエラーの錠剤については、前記撮影画像の表示領域の背景が前記自動鑑査処理の結果がエラーである旨を示す赤色などの前記第6特定色で表示される。
また、前記薬包個別情報画面D306には、操作キーK371が表示されており、前記制御部21は、前記操作キーK371の操作に応じて、前記薬包451に収容される錠剤が前記検知部476によって撮影された撮影画像を表示される包装画面D307を表示させる。
ここに、図54は、前記包装画面D307の一例を示す図である。図54に示されるように、前記包装画面D307には、前記錠剤が前記回転ユニット44から前記薬剤導入部80を経て前記薬包451に向けて落下するごとに、前記検知部476によって撮影された前記錠剤の撮影画像がその撮影順に沿って表示される。前述したように、前記撮影画像で撮影される撮影範囲には、前記錠剤導入部80、前記錠剤、及び前記薬包451が含まれている。これにより、ユーザーは、前記包装画面D307を参照し、前記薬包451への錠剤各々の落下時の状態を容易に把握することが可能である。
なお、前記制御部21は、前記投入タイミングで撮影された前記撮影画像に代えて、又は前記撮影画像と共に、前記接触開始タイミングで撮影された撮影画像を前記包装ビューD307に表示させてもよい。また、前記制御部21は、前記後ずれ検出機能により後ずれの発生が検出されていた場合に、前記後ずれが発生した旨のメッセージと前記接触開始タイミングで撮影された撮影画像とを前記包装ビューD307に表示させることも考えられる。
ところで、前記第1の実施形態及び前記第2の実施形態で説明した構成及び機能は任意に組み合わせることが可能である。また、前記第1の実施形態及び前記第2の実施形態で説明した構成及び処理機能を有する主体はここで説明するものに限らず、前記鑑査支援システム1に含まれる前記サーバー2、前記クライアント端末3、及び前記錠剤分包装置4などのうち少なくとも一つが有していればよい。例えば、前記自動鑑査処理に相当する処理が前記サーバー2で前記制御部21によって実行されること、前記鑑査支援処理に相当する処理が前記錠剤分包装置4で前記制御部40によって実行されることが考えられる。
[第3の実施形態]
続いて、本発明の第3の実施形態に係る鑑査支援システム1について説明する。なお、ここで説明しない構成については前記第1の実施形態又は前記第2の実施形態と同様である。
前記第1の実施形態又は前記第2の実施形態で説明したように、前記鑑査支援システム1では、前記制御部40によって、前記撮影画像から取得される錠剤の識別情報と前記処方データに含まれる錠剤の種類に対応する錠剤の識別情報とを画像を用いて照合する画像鑑査処理が実行される。具体的に、前記画像鑑査処理では、前記撮影画像内に含まれる錠剤の識別情報に対応する画像と前記処方データに含まれる錠剤の識別情報に対応して予め登録されている前記正画像とを画像比較によって照合するマッチング処理が実行される。なお、前記処方データに含まれる前記錠剤の識別情報に対応する前記正画像は、前記識別情報に対応する錠剤の正しい画像として予め前記医薬品マスターなどに登録された登録画像である。
まず、図55を参照しつつ、二つの画像における重複箇所の量を一致度として検出する第1マッチング処理の手法を用いて前記画像鑑査処理が実行される場合について説明する。ここでは、図55に示されるように、前記画像鑑査処理の対象の錠剤の識別情報が「ABC111」であって、前記錠剤に対応する正画像P11が前記医薬品マスターに登録されており、前記撮影画像として識別情報が「ABC114」である錠剤の撮影画像P12が撮影された場合を例に挙げて説明する。この場合、前記第1マッチング処理では、前記正画像P11と前記撮影画像P12とが比較されて一致度(一致割合)が検出され、前記一致度が予め設定された閾値以上である場合に照合結果が一致であると判断される。例えば、前記正画像P11を基準として、前記正画像P11に含まれる黒画素のうち前記撮影画像P12に含まれている黒画素の数がカウントされ、前記正画像P11の全体の黒画素の数のうち前記撮影画像P12に含まれている黒画素の数の割合が前記一致度として算出される。そのため、前記撮影画像P12に前記正画像P11の大部分が含まれている場合には、前記撮影画像P12に余分な黒画素が含まれている場合であっても前記一致度が高くなって照合結果が一致になることがある。
例えば、図55の合成画像P13は、前記正画像P11及び前記撮影画像P12を合成した画像である。図55に示されるように、前記合成画像P13では、前記正画像P11における識別情報「ABC111」と前記撮影画像P12における識別情報「ABC114」とが1文字異なるが、前記正画像P11のうち前記撮影画像P12に含まれていない領域は領域P21及びP22のみである。そのため、前記一致度が高くなり照合結果が一致になるおそれがある。
これに対し、本実施形態に係る前記鑑査支援システム1では、前記錠剤分包装置4の前記制御部40によって後述の画像鑑査処理(図56参照)が実行されることにより、精度の高い画像鑑査処理が実現される。例えば、前記第2の実施形態では、前記自動鑑査処理(図34参照)におけるステップS62〜S64に代えて当該画像鑑査処理が実行される。なお、前述したように、前記画像鑑査処理は、前記サーバー2の前記制御部21によって実行されてもよい。
また、本実施形態に係る前記鑑査支援システム1では、前記記憶部49に前記医薬品マスターが記憶されており、前記医薬品マスターでは、予め類似する錠剤が類似薬として関連付けて記憶されている。例えば、錠剤の識別情報が1文字のみ異なる錠剤が類似薬として相互に関連付けられている。具体的に、前記医薬品マスターでは、類似する錠剤には同一の類似群コードが設定されている。さらに、前記類似群コードが設定される際には、前記錠剤のうち他の錠剤と類似する箇所が類似箇所として予め設定される。本実施形態では、識別情報「ABC111」に対応する錠剤と、識別情報「ABC114」に対応する錠剤とに同一の類似群コードが設定されており、相互間で異なる文字である「1」、「4」に対応する一桁目の領域が前記類似箇所として設定されているものとする。なお、前記類似群コード及び前記類似箇所は、例えば前記操作表示部48を用いたユーザー操作に応じて前記制御部40によって前記医薬品マスターに登録される。
[画像鑑査処理]
以下、図56を参照しつつ、本実施形態に係る前記鑑査支援システム1で実行される前記画像鑑査処理の一例について説明する。前述したように、前記鑑査支援システム1では、前記画像鑑査処理の実行前に、前記錠剤分包装置4によって実行される前記分包処理において分包対象の錠剤の撮影画像が取得される。また、前記制御部40は、前記分包処理において前記撮影画像を取得する際にも、前記錠剤が前記縦回転状態であるか否かを判断し、前記縦回転状態である場合には、前記錠剤の向きを変更させるための処理を実行する。そして、前記制御部40は、前記撮影画像の中から前記錠剤の識別情報が存在する前記錠剤の正面及び裏面のいずれか一方又は両方の撮影画像を前記画像鑑査処理で用いる撮影画像として特定する。なお、前記画像鑑査処理で用いられる撮影画像は、前記カメラ462又は463で撮影される画像のうち少なくとも前記錠剤の識別情報が含まれる画像であって、例えば前記撮影画像の一部がトリミングされた画像、又は前記撮影画像自体である。
<ステップS81>
まず、ステップS81において、前記制御部40は、前記撮影画像の全体を前記正画像と照合する第1照合処理を実行する。具体的に、前記制御部40は、当該画像鑑査処理の対象となっている前記錠剤に対応付けて前記医薬品マスターに登録されている前記正画像と、前記分包処理で撮影された前記錠剤の撮影画像とを対象にして前記第1マッチング処理を実行することにより前記一致度を取得する。なお、前記第1マッチング処理における照合対象は、前記正画像及び前記撮影画像各々のうち前記識別情報が存在する予め設定された識別情報領域であってもよい。
<ステップS82>
ステップS82において、前記制御部40は、前記ステップS81で取得された前記一致度が予め設定された第1閾値以上であるか否かを判断する。前記第1閾値は、前記第1マッチング処理の照合結果が一致であると判断するために予め設定された値である。ここで、前記一致度が前記第1閾値以上であると判断されると(S82:Yes)、処理がステップS83に移行し、前記一致度が前記第1閾値未満であると判断されると(S82:No)、処理がステップS821に移行する。
<ステップS821>
ステップS821において、前記制御部40は、前記ステップS81で取得された前記一致度が予め設定された第2閾値以上であるか否かを判断される。前記第2閾値は、前記第1閾値よりも低い値であって、前記第1マッチング処理の照合結果が不一致であると判断するために予め設定された値である。ここで、前記一致度が前記第2閾値以上であると判断されると(S821:Yes)、処理がステップS822に移行し、前記一致度が前記第2閾値未満であると判断されると(S821:No)、処理がステップS823に移行する。
<ステップS822>
前記ステップS81で取得された前記一致度が前記第1閾値未満であり且つ前記第2閾値以上である場合には、前記正画像と前記撮影画像との照合結果が一致又は不一致のいずれであるかを明確に判定することができない状況である。そのため、ステップS822において、前記制御部40は、目視によるチェックが必要である旨(要チェック)を前記錠剤についての画像鑑査処理の結果として前記記憶部49に記録する。
<ステップS823>
一方、前記ステップS81で取得された前記一致度が前記第2閾値未満である場合には、前記正画像と前記撮影画像との照合結果が不一致であると明確に判定することができる状況である。そのため、ステップS823において、前記制御部40は、照合結果が不一致である旨(エラー)を前記錠剤についての画像鑑査処理の結果として前記記憶部49に記録する。
<ステップS83>
ステップS83において、前記制御部40は、前記医薬品マスターにおいて当該画像鑑査処理の対象である前記錠剤に関連付けて他の錠剤が類似薬として登録されているか否かを判断する。具体的に、前記制御部40は、前記画像鑑査処理の対象である前記錠剤と前記類似群コードが同一の錠剤が前記医薬品マスターに存在するか否かを判断する。ここで、前記類似薬が存在すると判断されると(S83:Yes)、処理はステップS84に移行し、前記類似薬が存在しないと判断されると(S83:No)、処理はステップS86に移行する。
具体的に、図55に示されているように、前記正画像P11の識別情報「ABC111」及び前記撮影画像P12の識別情報「ABC114」には、「1」の文字と「4」の文字との領域における差異として前記領域P21及びP22が存在する。しかしながら、前記差異は、前記識別情報の文字全体においては極めて小さな部分であり、前記一致度への影響は小さいため、前記一致度が前記第1閾値以上になることがある。なお、前記第1閾値が高い値に設定されるほど、極めて小さいノイズなどの影響を大きく受けて前記第1マッチング処理の照合結果が不一致になる可能性が高くなる。これに対し、本実施形態に係る前記鑑査支援システム1では、前記制御部40が、前記ステップS83において、当該画像鑑査処理の対象である前記錠剤に類似薬が存在するか否かを判断しており、前記類似薬が存在する場合には、続くステップS84において、より詳細な画像鑑査処理を実行する。そのため、極めて小さいノイズなどの影響を大きく受けないように前記第1閾値の値をある程度低く設定することが可能となる。
<ステップS84>
ステップS84において、前記制御部40は、前記撮影画像の前記類似箇所のみを前記正画像と照合する第2照合処理を実行する。具体的に、前記制御部40は、前記正画像及び前記撮影画像各々における前記類似箇所に対応する領域を照合範囲の対象にして、予め設定された第2マッチング処理を実行する。前記第2マッチング処理では、前記撮影画像の前記類似箇所が二値化された後、前記撮影画像における前記類似箇所と前記正画像における前記類似箇所との差分が検出され、照合範囲である前記類似箇所において前記差分が生じている箇所を除く一致領域の割合が一致度として取得される。例えば、前記正画像における前記類似箇所の画素数から、前記類似箇所において前記差分として検出された画素数を引いた値が算出され、その算出値の前記正画像における前記類似箇所の画素数に対する割合が前記一致度として算出される。即ち、前記第2マッチング処理では、前記第1マッチング処理とは異なり、前記撮影画像の類似箇所に前記正画像の類似箇所の大部分が含まれている場合であっても、前記撮影画像に余分な黒画素が含まれている場合には、その差分を考慮して前記一致度が算出されるため、前記一致度が低くなって照合結果が不一致になることがある。なお、当該画像鑑査処理の対象の前記錠剤に関連付けられた前記類似薬が複数存在する場合には、前記錠剤について前記類似箇所が複数設定されることがあり、この場合には、前記第2マッチング処理によって前記類似箇所ごとに前記撮影画像と前記正画像との一致度が取得される。
具体的に、前述した例では、当該画像鑑査処理の対象の前記錠剤の識別情報「ABC111」の類似箇所として予め設定された一桁目の文字の「1」に対応する領域(図55における拡大範囲)のみが前記第2マッチング処理の対象となる。このように前記第2マッチング処理の対象領域が限定されることにより、前記類似箇所における差異の影響が大きく反映された一致度が検出されることになる。また、識別情報「ABC114」の他にも識別情報「ABO111」などの錠剤が類似薬として前記医薬品マスターに登録されている場合には、前記撮影画像における「C」に対応する領域についても前記正画像と照合する前記第2マッチング処理が実行される。
<ステップS85>
ステップS85において、前記制御部40は、前記ステップS84で実行された前記第1マッチング処理における一致度が予め設定された第3閾値以上であるか否かを判断される。前記第3閾値は、前記類似箇所の照合結果が一致であると判断するために予め設定された値である。例えば、前記第3閾値は、前記第1閾値と同一の値であっても、前記第1閾値以上又は前記第1閾値未満の値であってもよい。
ここで、前記一致度が前記第3閾値以上であると判断されると(S85:Yes)、処理がステップS86に移行し、前記一致度が前記第3閾値未満であると判断されると(S85:No)、処理がステップS822に移行する。なお、前記一致度が前記第3閾値未満であると判断された場合には(S85:No)、処理がステップS823に移行してもよい。また、前記ステップS84において複数の前記類似箇所について前記第2マッチング処理が実行された場合には、その全ての前記類似箇所における前記一致度が前記第3閾値以上であるか否かが判断され、全ての前記一致度が前記第3閾値以上である場合に処理がステップS86に移行する。
<ステップS86>
ステップS86において、前記制御部40は、前記画像鑑査処理における照合結果が一致であると判断し、画像鑑査結果として「OK」を前記処方データにおける前記画像鑑査処理の対象の錠剤に対応付けて記録する。
このように、本実施形態に係る前記画像鑑査処理では、類似薬が存在する錠剤については、前記画像鑑査処理において、前記撮影画像及び前記正画像の全体について前記第1マッチング処理が実行された後、前記類似箇所について前記第2マッチング処理が実行される。これにより、前記撮影画像と前記正画像との差異が全体としては小さい場合であっても、前記類似箇所における差異の大きさに応じて前記錠剤の適否を判断することが可能となる。従って、類似薬が存在する錠剤の前記画像鑑査処理における鑑査精度を高めることができる。また、前記画像鑑査処理では、類似薬が存在しない錠剤については、前記撮影画像と前記正画像との全体についての前記第1マッチング処理のみが実行される。これにより、類似薬が存在しない錠剤については、前記画像鑑査処理の処理負荷を軽減すること、又は前記画像鑑査処理の所要時間を短縮することが可能である。
なお、前記ステップS81では、前記撮影画像全体について前記第1マッチング処理が実行される場合について説明したが、前記撮影画像全体について前記ステップS84と同様に前記第2マッチング処理が実行されてもよい。即ち、前記ステップS81において、前記撮影画像と前記正画像との全体について差分を考慮した一致度が検出されることが考えられる。同じく、前記ステップS84では、前記撮影画像における類似箇所について前記第2マッチング処理が実行される場合について説明したが、前記撮影画像における類似箇所について前記ステップS81と同様に前記第1マッチング処理が実行されてもよい。即ち、前記ステップS84において、前記撮影画像及び前記正画像各々の前記類似箇所における重複箇所の量が一致度として検出されることが考えられる。
さらに、前記画像鑑査処理(図56)に代えて、前記撮影画像と前記正画像との全体のみについて前記第2マッチング処理が実行されることも考えられる。これにより、前記撮影画像と前記正画像との全体の差分が抽出されるため、例えば前記正画像と重複する黒画素の数を検出する前記第1マッチング処理に比べて取得される一致度が低くなる。これは、前記撮影画像に余分な黒画素が含まれている場合にはその黒画素も差異として検出されることになるためである。従って、前記撮影画像と前記正画像との全体について前記第2マッチング処理が実行されることにより、前記第1パターンマッチグ処理が実行される場合に比べて前記画像鑑査処理における鑑査精度が高くなる。なお、この場合、前記制御部40は、例えば前記第2マッチング処理で検出される一致度が前記第1閾値以上である場合に正常、前記第2閾値未満である場合に異常、前記第1閾値未満且つ前記第2閾値以上である場合に要チェックであると判断する。
[類似薬登録処理]
前述したように、前記医薬品マスターには、前記錠剤各々について類似薬の有無及び類似箇所などの情報が予め登録される。これについて、前記錠剤分包装置4の前記制御部40が、前記類似薬の情報を自動的に登録する類似登録機能を有することが考えられる。具体的に、前記制御部40は、後述の類似薬登録処理(図57参照)を実行することにより前記類似登録機能を実現する。以下、図57を参照しつつ、前記制御部40によって実行される類似薬登録処理の一例について説明する。当該類似薬登録処理は、例えば前記情報登録処理(図30参照)のステップS42の後に実行される。なお、前記情報登録処理及び前記類似薬登録処理などが前記サーバー2の前記制御部21によって実行されることも考えられる。
<ステップS91>
ステップS91において、前記制御部40は、前記情報登録処理で登録対象となっている錠剤(以下、「登録対象錠剤」という)と高さ、幅、及び面積などの形状が類似する錠剤(以下、「第1類似対象錠剤」という)が前記医薬品マスターに存在するか否かを判断する。ここで、前記第1類似対象錠剤が存在すると判断されると(S91:Yes)、処理がステップS92に移行し、前記第1類似対象錠剤が存在しないと判断されると(S91:No)、当該類似薬登録処理は終了する。なお、前記ステップS91では、複数の前記第1類似対象錠剤が存在すると判断されることもある。
<ステップS92>
ステップS92において、前記制御部40は、前記第1類似対象錠剤のうち前記登録対象錠剤と文字面積が類似する錠剤(以下「第2類似錠剤」という)が存在するか否かを判断する。具体的に、前記制御部40は、前記撮影画像及び前記正画像各々についてグレイ値の合計を取得して、そのグレイ値の合計の差が予め設定された閾値以内である場合に文字面積が類似すると判断する。ここで、前記第2類似錠剤が存在すると判断されると(S92:Yes)、処理がステップS93に移行し、前記第2類似錠剤が存在しないと判断されると(S92:No)、当該類似薬登録処理は終了する。なお、前記ステップS92では、複数の前記第2類似対象錠剤が存在すると判断されることもある。
<ステップS93>
ステップS93において、前記制御部40は、前記第2類似対象錠剤のうち前記登録対象錠剤と錠剤色が類似する錠剤(以下「第3類似錠剤」という)が存在するか否かを判断する。具体的に、前記制御部40は、前記撮影画像及び前記正画像各々についてR値、G値、B値のそれぞれの合計を取得し、そのR値、G値、B値のそれぞれの合計の差が予め設定された閾値以内である場合に錠剤色が類似すると判断する。ここで、前記錠剤色が類似すると判断されると(S93:Yes)、処理がステップS94に移行し、前記錠剤色が類似しないと判断されると(S93:No)、当該類似薬登録処理は終了する。なお、前記ステップS93では、複数の前記第3類似対象錠剤が存在すると判断されることもある。
<ステップS94>
ステップS94において、前記制御部40は、前記第3類似対象錠剤の前記正画像と前記登録対象錠剤の前記撮影画像との全体について照合処理を実行する。具体的に、前記制御部40は、前記第3類似対象錠剤の前記正画像と前記登録対象錠剤の前記撮影画像とを対象にして前記照合処理として前記第1マッチング処理又は前記第2マッチング処理を実行し、前記一致度を取得する。ここで、前記照合処理は、前記第1マッチング処理又は前記第2マッチング処理のうち前記画像鑑査処理の前記ステップS81において実行される処理と同一の内容である。
<ステップS95>
そして、ステップS95において、前記制御部40は、前記第3類似対象錠剤のうち前記ステップS94における前記照合処理の結果が一致となる錠剤(以下、「第4類似対象錠剤」という)が存在するか否かを判断する。具体的に、前記第3類似対象錠剤各々に対応する前記一致度が前記第1閾値以上であるか否かが判断される。ここで、前記第4類似対象錠剤が存在すると判断されると(S95:Yes)、処理がステップS96に移行し、前記第4類似対象錠剤が存在しないと判断されると(S95:No)、当該類似薬登録処理は終了する。即ち、前記ステップS94〜S95では、前記画像鑑査処理(図56参照)の前記ステップS81〜S82において照合結果が一致と判定されるか否かが判断されることになる。なお、前記ステップS95では、複数の前記第4類似対象錠剤が存在すると判断されることもある。
<ステップS96>
ステップS96において、前記制御部40は、前記登録対象錠剤と一又は複数の前記第4類似対象錠剤とを類似薬として前記医薬品マスターに登録する。具体的に、前記制御部40は、前記登録対象錠剤の類似群コードとして、一又は複数の前記第4類似対象錠剤に付されている一又は複数の類似群コードを登録する。即ち、前記画像鑑査処理(図56参照)の前記ステップS81〜S82において照合結果が一致と判定される錠剤が、前記登録対象錠剤の類似薬として登録される。また、前記制御部40は、前記登録対象錠剤における前記類似薬各々との類似箇所を、例えば前記ステップS96においてユーザー操作に応じて登録し、又は前記制御部40によって前記ステップS94の前記照合処理の結果に基づいて自動的に登録する。
以上説明したように、前記制御部40によって前記類似薬登録処理が実行されることにより、ユーザー操作を要することなく前記医薬品マスターに自動的に錠剤各々の類似薬が登録されるため、ユーザーによる登録作業の負担が軽減される。
[第4の実施形態]
本実施形態では、前述したように前記自動鑑査処理の結果が表示される際に表示可能な前記拡大画面D341(図39A又は図40参照)の他の例について説明する。前記第3の実施形態で説明したように、前記錠剤分包装置4では、前記撮影画像及び前記正画像の差分を検出する前記第2マッチング処理が実行されることがある。この場合、前記制御部40が、前記撮影画像と前記正画像との差分に関する情報を、前記画像鑑査処理の結果及び前記撮影画像と共に前記サーバー2に送信する。なお、前記制御部21が、前記画像鑑査処理において前記撮影画像と前記正画像とについて前記第2マッチング処理を実行し、前記撮影画像と前記正画像との差分を取得することも可能である。そして、前記サーバー2では、前記制御部21が、前記画像鑑査処理の結果を表示させる際に、前記撮影画像と前記正画像との差分を表示する。具体的に、前記制御部21は、前記拡大画面D341に前記撮影画像の拡大画像として表示される前記拡大画像P343に重ねて、前記撮影画像と前記正画像との差分を視認可能に表示することが考えられる。即ち、前記制御部40は、前記拡大画面D341において前記正画像ではなく前記撮影画像側に前記差分を表示させる。
具体的に、前記第2マッチング処理では、前記撮影画像において前記正画像に含まれていない黒画素が存在する領域である余分領域と、前記撮影画像において前記正画像に含まれている黒画素が存在しない領域である不足領域とが個別に検出される。そして、前記制御部40は、前記余分領域と前記不足領域とを前記撮影画像と前記正画像との差分として出力する。これにより、前記サーバー2では、前記制御部21によって前記撮影画像と前記正画像との差分として前記余分領域と前記不足領域とが前記拡大画面D341の前記拡大画像P343に表示される。ここに、図58は、前記拡大画面D341の他の例を示す図である。
図58に示されるように、前記制御部21は、前記拡大画像P343において、前記余分領域及び前記不足領域を含む差分領域A343を他の領域とは識別可能な態様で強調して表示する。特に、図58に示されている前記拡大画面D341では、錠剤の撮影画像のうち前記錠剤の識別情報が含まれる領域が拡大して表示されている。例えば、前記拡大画像P343において、前記差分領域A343の外縁が赤色などの特定の色に着色されることが考えられる。また、前記差分領域A343が前記特定の色で塗りつぶされて表示されることも考えられる。さらに、前記差分領域A343について前記余分領域と前記不足領域とが個別に識別可能な態様で表示されることも考えられる。例えば、前記余分領域と前記不足領域とが、異なる色の縁取り又は異なる色の塗りつぶしで表示されることが考えられる。また、前記差分領域A343の表示は点滅などによって強調表示されてもよい。
特に、前記制御部21は、前記画像鑑査処理(図56参照)の結果がエラー(ステップS823)又は要チェック(ステップS822)である場合にのみ、前記不足領域及び前記余分領域を前記拡大画面D341に表示させることが考えられる。これにより、ユーザーは、前記画像鑑査処理の結果がエラー又は要チェックである場合にその理由を前記拡大画面D341の拡大画像P341を見て容易に把握することが可能である。
さらに、前記画像鑑査処理の結果がエラーである場合には、明らかに前記正画像と前記撮影画像とが異なるが、前記画像鑑査処理の結果が要チェックである場合には、前記正画像と前記撮影画像との差が小さい場合がある。そのため、前記制御部21は、前記画像鑑査処理の結果がエラーである場合には表示させず、前記画像鑑査処理の結果が要チェックである場合にのみ前記不足領域及び前記余分領域を前記拡大画面D341に表示させることも考えられる。これにより、ユーザーは、前記画像鑑査処理の結果が要チェックである場合にその理由を前記拡大画面D341から容易に把握することが可能であり、その他の場合には、前記拡大画面D341に不要な情報の表示が省略される。なお、本実施形態では、前記サーバー2において、前記制御部21によって前記撮影画像と前記正画像との差分が表示される場合について説明したが、前記錠剤分包装置4において、前記制御部40が前記撮影画像と前記正画像との差分を前記操作表示部48に表示させることも考えられる。
[第5の実施形態]
本実施形態では、前記情報登録処理(図30参照)及び前記画像鑑査処理(図34、図56参照)の変形例について説明する。
前述したように、前記医薬品マスターには、前記カメラ462又は463で錠剤を撮影した撮影画像が前記錠剤の正画像として登録される。ところで、前記錠剤の識別情報が刻印である場合には、例えば前記カメラ462又は463で撮影される前記錠剤回転部441上の錠剤における影の位置又は刻印の凹凸による明暗ムラなどが、前記カメラ462又は463から見た前記錠剤の向きによって変化することがある。そのため、前記正画像に含まれる影の位置又は明暗ムラなどの違いが前記画像鑑査処理の精度に影響を与えるおそれがある。なお、前記錠剤における影は、例えば前記錠剤回転部441の一対の前記回転ローラー100の間に高低差がある場合などに生じることがある。例えば、前記錠剤における影は、一対の前記回転ローラー100のうち前記カメラ462又は463からの距離が近い前記回転ローラー100側に生じることがある。特に、前記錠剤の識別情報が刻印である場合には、前記錠剤回転部441の錠剤に向けて側方又は斜め上方から前記照明装置468によって光が照射されるため、前記回転ローラー100により前記錠剤に影が生じるおそれがある。
これに対し、前記錠剤分包装置4では、前記情報登録処理(図30参照)において、前記錠剤ごとに複数の正画像が前記医薬品マスターに登録可能であることが考えられる。具体的に、前記正画像各々は、前記カメラ462又は463から見た前記錠剤の向きが異なる複数の状態、即ち影の位置又は明暗ムラなどが異なる複数の状態で撮影された画像である。
ここに、図59は、複数の前記正画像の一例である正画像P31〜P38を示す図である。より具体的に、前記正画像P31〜P38各々は、前記カメラ462又は463に対して前記錠剤の識別情報の角度が0°、45°、90°、135°、180°、225°、270°、315°の場合に対応する正画像として前記医薬品マスターに登録されている。前記正画像P31〜P38では、図59における右方向に影が形成されており、前記正画像P31〜P38各々における識別情報「ABC111」と影との位置関係が異なる。また、図59では表現されていないが、前記錠剤の識別情報が刻印である場合には、前記刻印の明暗が前記正画像P31〜P38ごとに異なることもある。
そして、このように構成された前記錠剤分包装置4では、前記画像鑑査処理において、前記撮影画像と前記正画像との照合が、前記正画像のうち前記撮影画像に近い角度の正画像を用いて行われる。具体的に、前記制御部40は、前記画像鑑査処理の実行に際して、前記撮影画像を徐々に360°回転させながら、前記正画像のうち予め設定された一つの特定の正画像(例えば正画像P31)との一致度を検出し、その一致度が最も高いときの前記撮影画像の回転角度を、前記撮影画像の傾斜角を示す特定角度として検出する。そして、前記制御部40は、前記正画像のうち前記特定角度に最も近い角度に対応する正画像を特定し、その正画像と前記撮影画像とを用いて前記画像鑑査処理を実行する。これにより、前記正画像に含まれる影又は明暗ムラなどの影響が少なくなるため、前記画像鑑査処理における鑑査精度が高まる。
なお、前記制御部40が、複数の前記正画像のうち前記特定角度に最も近い角度に対応する正画像を用いて照合を行うため、前記正画像各々と前記撮影画像との照合を個別に行う場合に比べて処理負荷が軽減され、又は処理時間が短縮される。なお、前記制御部40が、前記正画像各々と前記撮影画像との一致度を個別に取得し、その全ての一致度が前記第1閾値以上である場合に照合結果が一致であると判断することも他の実施形態として考えられる。
また、前記制御部40は、複数の前記正画像から前記特定角度に最も近い角度に対応する正画像を選択する際に、複数の前記正画像を選択することも考えられる。具体的に、複数の前記正画像の角度の間隔によっては、前記特定角度と近似する角度に対応する正画像が存在しないことも考えられる。そこで、前記制御部40は、複数の前記正画像のうち例えば前記特定角度に最も近い二つ又は三つの正画像を選択することが考えられる。この場合、前記制御部40は、その選択された前記正画像各々と前記撮影画像との一致度を個別に取得し、その全ての一致度が前記第1閾値以上である場合に照合結果が一致であると判断する。これにより、全ての前記正画像各々と前記撮影画像との照合を個別に行う場合に比べて処理負荷を軽減しつつ、前記正画像に含まれる影又は明暗ムラなどの影響を抑えて前記画像鑑査処理における鑑査精度を高めることができる。
さらに、前記制御部40は、前記特定角度に最も近い前記正画像に対応する撮影時の角度と前記特定角度との差が予め設定された閾値以上である場合には複数の前記正画像を選択し、前記閾値未満である場合には一つの前記正画像を選択することも考えられる。
[第6の実施形態]
本実施形態では、前記第5の実施形態と同様に、前記情報登録処理(図30参照)及び前記画像鑑査処理(図34、図56参照)の変形例について説明する。
前述したように、前記医薬品マスターには、前記カメラ462又は463で錠剤を撮影した撮影画像が前記錠剤の正画像として登録される。また、前記画像鑑査処理では、前記カメラ462又は463で錠剤を撮影した撮影画像と前記正画像とのマッチング処理が実行される。ところで、前記カメラ462又は463で撮影される撮影画像では、例えば前記撮影画像の撮影時の焦点(ピント)の一致精度などにより前記撮影画像に含まれる識別情報の文字の太さが変化することがある。また、前記錠剤の識別情報が刻印である場合には、前記カメラ462又は463から見た前記錠剤の向きによっても前記識別情報の文字の太さが変化することがある。そのため、前記識別情報の文字の太さの違いが前記画像鑑査処理の精度に影響を与えるおそれがある。
これに対し、前記錠剤分包装置4では、前記情報登録処理(図30参照)において、前記錠剤ごとに複数の正画像が前記医薬品マスターに登録可能であることが考えられる。具体的に、前記正画像各々は、前記カメラ462又は463で撮影されて前記正画像として登録される撮影画像について、前記撮影画像に含まれる錠剤の識別情報の文字の太さが変更された画像である。
ここに、図60は、複数の前記正画像の一例である正画像P41〜P45を示す図である。図60に示されるように、前記制御部40は、前記錠剤の撮影画像を正画像P41として、前記正画像P41における識別情報の文字の太さを予め設定された二段階太くした正画像P42と、前記識別情報の文字の太さを予め設定された一段階太くした正画像P43とを生成する。例えば、前記正画像P42における文字の太さは前記正画像P41の4倍、前記正画像P43における文字の太さは前記正画像P41の2倍である。また、前記制御部40は、前記撮影画像を正画像P41として、前記正画像P41における識別情報の文字の太さを予め設定された二段階細くした正画像P44と、前記識別情報の文字の太さを予め設定された一段階細くした正画像P45とを生成する。例えば、前記正画像P44における文字の太さは前記正画像P41の1/4倍、前記正画像P45における文字の太さは前記正画像P41の1/2倍である。そして、前記制御部40は、前記正画像P41〜P45を前記錠剤の正画像として前記医薬品マスターに登録する。
特に、前記制御部40は、複数の前記正画像について、照明キャンセル処理、コントラスト補正処理、文字領域抽出処理などを実行した結果取得される補正後の複数の前記正画像を前記医薬品マスターに登録することが考えられる。具体的に、前記照明キャンセル処理では、複数の前記正画像について、予め設定された輝度変化が生じるようにフィッティング処理が実行されることにより、前記撮影画像の撮影時の照明の影響が除去される。例えば、前記フィッティング処理では、複数の前記正画像から局所的に明るい領域又は局所的に暗い領域が抑制される。前記コントラスト補正処理では、複数の前記正画像における輝度の最小値及び最大値の範囲が0から255の範囲に拡張されることにより、文字と背景とのコントラストが強調される。また、前記文字領域抽出処理では、複数の前記正画像について、判別分析法(大津の閾値法)を用いて黒領域が抽出され、その黒領域が前記識別情報の文字の領域として抽出される。
そして、このように構成された前記錠剤分包装置4では、前記画像鑑査処理において、前記撮影画像と前記正画像との照合が、複数の前記正画像を用いて行われる。具体的に、前記制御部40は、前記画像鑑査処理において、前記正画像各々と前記撮影画像とのマッチング処理が個別に実行される。そして、前記制御部40は、前記マッチング処理各々で検出される最も高い一致度を前記撮影画像の照合結果として特定し、前記一致度に応じて前記錠剤の適否を判定する。これにより、前記識別情報の文字の太さの違いの影響が抑制され、前記画像鑑査処理における鑑査精度が高まる。また、複数の前記正画像は、予め前記医薬品マスターに登録されているため、前記画像鑑査処理時における処理負荷の増大は抑制される。
なお、本実施形態では、前記正画像として文字の太さが異なる複数の前記正画像が前記医薬品マスターに登録されている場合を例に挙げて説明したが、これに限らない。例えば、一つの前記正画像が前記医薬品マスターに登録されており、前記制御部40が、前記撮影画像から前記撮影画像における文字の太さが異なる複数の撮影画像を生成することも考えられる。この場合、前記制御部40は、前記撮影画像各々を前記医薬品マスターに登録されている前記正画像とのマッチング処理を個別に実行して、最も高い一致度を前記撮影画像の照合結果として特定し、前記一致度に応じて前記錠剤の適否を判定することが考えられる。
さらに、前記正画像として文字の太さが異なる複数の前記正画像が前記医薬品マスターに登録されており、前記制御部40が、前記撮影画像から前記撮影画像における文字の太さが異なる複数の撮影画像を生成することも考えられる。この場合、前記制御部40は、前記撮影画像各々と前記正画像各々とのマッチング処理を個別に実行して、最も高い一致度を前記撮影画像の照合結果として特定し、前記一致度に応じて前記錠剤の適否を判定することが考えられる。
[発明の概要]
以下、上述の各実施形態から抽出される発明の概要について付記する。なお、以下で説明する各構成及び各処理機能を取捨選択して任意に組み合わせることも可能である。
[付記1]
錠剤分包装置において処方データに基づいて錠剤カセット及び手撒きユニットのいずれか一方又は両方から払い出された錠剤が包装材で分包される前に撮影された前記錠剤の撮影画像を分包単位で表示すると共に、前記錠剤の撮影画像から読み取られる前記錠剤の識別情報と前記処方データとに基づいて実行される鑑査処理の結果を表示する鑑査表示処理部を備える鑑査支援システム。
付記1によれば、薬剤師の鑑査業務を支援することができる。より具体的には、前記錠剤の撮影画像が分包単位で表示されると共に前記鑑査処理の結果が表示され、薬剤師の鑑査業務の効率化が図られる。
[付記2]
前記鑑査表示処理部は、前記鑑査処理の結果がエラーである場合に、前記エラーの原因となった前記錠剤の撮影画像を識別可能に表示させる付記1に記載の鑑査支援システム。これにより、薬剤師は、前記エラーの原因となっている前記錠剤の撮影画像を容易に特定して確認することができる。
[付記3]
前記鑑査処理の結果がエラーである場合に、前記エラーの原因を前記エラーの原因となった前記錠剤の服用日及び服用時期と共にリスト表示するリスト表示処理部を更に備える付記1又は2に記載の鑑査支援システム。これにより、薬剤師は、前記リスト表示を参照することにより、前記エラーの原因、前記錠剤の服用日及び服用時期を容易に把握することができる。
[付記4]
前記鑑査表示処理部は、列又は行の一方に服用日が表示され他方に服用時期が表示される配置形式で前記服用日及び前記服用時期の組み合わせ各々に対応する表示箇所に前記組み合わせに対応する分包単位の前記錠剤の撮影画像を前記服用時期の並び順に平行な方向に予め定められた表示順で並べて表示させる付記1〜3のいずれかに記載の鑑査支援システム。これにより、前記服用日の並び方向に同じ種類の前記錠剤の撮影画像が並べられるため、薬剤師が前記錠剤の撮影画像各々の適否を容易に確認することができる。
[付記5]
前記鑑査表示処理部は、列又は行の一方に錠剤名が表示され他方に分包順番が表示される配置形式で前記錠剤名及び前記分包順番の組み合わせ各々に対応する前記錠剤の撮影画像を表示させる付記1〜3のいずれかに記載の鑑査支援システム。これにより、前記分包順番の並び方向に同じ種類の前記錠剤の撮影画像が並べられるため、薬剤師が前記錠剤の撮影画像各々の適否を容易に確認することができる。
[付記6]
前記鑑査表示処理部は、前記錠剤の識別情報が読み取られた元画像を少なくとも含み、前記錠剤分包装置において前記錠剤ごとに撮影された前記錠剤の異なる外周面に対応する複数の撮影画像を前記錠剤ごとに表示させる付記1〜5のいずれかに記載の鑑査支援システム。これにより、薬剤師は、例えば1枚の前記錠剤の撮影画像だけでは前記錠剤の適否の判断が難しい場合に、複数枚の前記錠剤の撮影画像を参照して適否を判断することが可能である。
[付記7]
前記鑑査表示処理部は、前記鑑査処理の結果がエラーである場合に、前記エラーの原因となった前記錠剤の撮影画像として、前記錠剤分包装置において前記錠剤ごとに撮影された前記錠剤の異なる外周面に対応する複数の撮影画像を前記錠剤ごとに表示可能である付記1〜6のいずれかに記載の鑑査支援システム。これにより、薬剤師は、例えば複数枚の前記錠剤の撮影画像を参照して適否を判断することが可能である。
[付記8]
前記エラーの原因となった前記錠剤の前記撮影画像の表示後に行われるユーザー操作に応じて前記錠剤についての前記エラーを解除可能な解除処理部を更に備える付記7に記載の鑑査支援システム。これにより、薬剤師は、例えば前記撮影画像を確認して問題ないことが確認できた場合には、前記ユーザー操作を行うことにより、前記処方データについての前記鑑査処理でエラーが生じていた場合でも正常に前記処方データの鑑査を正常に終了させることが可能である。
[付記9]
前記解除処理部は、前記エラーを解除すると共に、前記ユーザー操作が行われたときのユーザーの識別情報を前記処方データと対応付けて記録する付記8に記載の鑑査支援システム。これにより、前記エラーを解除したユーザーの識別情報を後で出力することが可能となる。
[付記10]
前記鑑査表示処理部は、前記錠剤の正しい画像として予め登録された登録画像を前記錠剤の撮影画像と共に表示させる付記1〜9のいずれかに記載の鑑査支援システム。これにより、薬剤師は、前記錠剤の撮影画像の適否を前記登録画像を見比べることにより容易に判断することができる。
[付記11]
前記鑑査表示処理部は、前記処方データに含まれる前記錠剤ごとについて前記鑑査処理の結果を個別に表示する付記1〜10のいずれかに記載の鑑査支援システム。これにより、薬剤師は、例えば前記鑑査処理の結果がエラーの原因となった前記錠剤を容易に把握することができる。
[付記12]前記鑑査表示処理部は、前記錠剤の識別情報の文字の向きを揃えて前記錠剤の撮影画像を表示させる付記1〜11のいずれかに記載の鑑査支援システム。これにより、薬剤師は、前記錠剤の撮影画像に含まれる前記錠剤の識別情報を容易に認識することができる。
[付記13]
前記鑑査支援システムが、前記処方データに基づいて実行される調剤処理で用いられる複数の調剤機器に接続されており、
前記調剤機器で調剤された薬剤の鑑査結果が表示される第1表示画面又は前記第1画面における予め定められた操作後に表示される第2表示画面に、前記調剤機器で実行された前記処方データに基づく調剤処理の一部又は全部を個別に再実行させるための操作部を表示させる操作表示処理部と、
前記操作表示処理部により表示される前記操作部に対するユーザー操作に応じて、前記調剤機器で実行された調剤処理の一部又は全部を前記調剤機器に再実行させる再実行処理部と、
を備える付記1〜12のいずれかに記載の鑑査支援システム。これにより、薬剤師は、前記鑑査支援システムにおいて、前記調剤機器各々に前記調剤処理の一部又は全部を個別に再実行させることが可能となるため薬剤師の業務効率が向上する。
[付記14]
前記操作表示処理部が、前記鑑査表示処理部により前記鑑査処理の結果が表示される前記第1表示画面に、前記錠剤分包装置で実行された分包処理の一部又は全部を再実行させるための前記操作部を表示させ、
前記再実行処理部が、前記操作表示処理部により表示される前記操作部に対するユーザー操作に応じて、前記錠剤分包装置で実行された分包処理の一部又は全部を前記錠剤分包装置に再実行させる付記13に記載の鑑査支援システム。
[付記15]
前記操作表示処理部が、前記分包処理の全部を再実行させるための第1操作部と、前記分包処理のうち前記鑑査処理においてエラーと判定された一部の分包処理のみを再実行させるための第2操作部と、前記分包処理のうちユーザー操作により選択される一部の分包処理を再実行させるための第3操作部とのいずれか二つ又は三つを表示させる付記14に記載の鑑査支援システム。これにより、薬剤師は、前記第1操作部、前記第2操作部、及び前記第3操作部のいずれか二つ又は三つを選択的に用いて前記錠剤分包装置に前記分包処理の一部又は全部を任意に実行させることができる。
[付記16]
処方データに基づいて錠剤を包装材に収容する分包処理が実行可能であり、前記分包処理の適否を鑑査する予め定められた画像鑑査処理が実行可能な第1錠剤分包装置と、
前記分包処理が実行可能であり、前記画像鑑査処理が実行不能である又は前記画像鑑査処理の機能が無効に設定されている第2錠剤分包装置と、
前記処方データの内容及び前記分包処理の内容の少なくとも一方に基づいて、予め設定された第1優先条件を充足すると判断した場合に、前記処方データに基づく前記分包処理を前記第1錠剤分包装置に実行させる選択処理部と、
を備える鑑査支援システム。
[付記17]
前記第1錠剤分包装置が、
前記錠剤が前記包装材に収容される前に前記錠剤を撮影して前記錠剤の撮影画像を取得する撮影部と、
前記撮影部により撮影された前記錠剤の撮影画像から前記錠剤の識別情報を取得し、前記錠剤の識別情報と前記処方データとを照合する画像鑑査処理を実行する画像鑑査処理部と、
を備える付記16に記載の鑑査支援システム。
[付記18]
前記撮影部が、前記錠剤の異なる外周面に対応する複数の撮影画像を前記錠剤ごとに撮影するものであり、
前記画像鑑査処理部が、複数の前記撮影画像のうち前記錠剤の識別情報の取得に用いられる前記撮影画像を前記撮影画像に含まれる錠剤の面積に応じて特定する付記17に記載の鑑査支援システム。
[付記19]
前記第2錠剤分包装置が、
前記錠剤が前記包装材に収容される前又は収容された後で前記錠剤の数を検出する錠数検出部と、
前記錠数検出部によって検出された前記錠剤の数と前記処方データとを照合する計数鑑査処理を実行する計数鑑査処理部と、
を備える付記16〜18のいずれかに記載の鑑査支援システム。
[付記20]
前記第1錠剤分包装置及び前記第2錠剤分包装置各々が、前記分包処理で分包される前記錠剤を供給するために用いられる錠剤カセット及び手撒きユニットを備え、
前記第1優先条件が、前記分包処理で前記手撒きユニットが使用されること、前記分包処理で分包される前記錠剤の錠数が予め設定された閾値以上であること、又は前記分包処理で分包される前記錠剤が予め設定されたハイリスク薬であることの少なくとも一つを含む付記16〜19のいずれかに記載の鑑査支援システム。
[付記21]
前記選択処理部が、前記第1優先条件が充足しない場合は、予め設定された第2優先条件に従って前記第1錠剤分包装置又は前記第2錠剤分包装置を選択し、前記処方データに基づく前記分包処理を実行させるものであり、
前記第2優先条件が、前記処方データに含まれる前記錠剤のうち前記錠剤カセットに充填されている前記錠剤の種類が多い装置を選択すること、現在の前記分包処理の待機数が少ない装置を選択すること、又はユーザーにより任意に指定された装置を選択することのいずれかを含む付記20に記載の鑑査支援システム。
[付記22]
前記選択処理部が、前記第1優先条件が充足しない場合は、予め設定された第2優先条件に従って前記第1錠剤分包装置又は前記第2錠剤分包装置を選択し、前記処方データに基づく前記分包処理を実行させる付記16〜20のいずれかに記載の鑑査支援システム。
[付記23]
錠剤分包装置において処方データに基づいて錠剤が包装材に収容される前に撮影された前記錠剤の撮影画像から前記錠剤の識別情報を取得し、前記錠剤の識別情報と前記処方データとを照合する画像鑑査処理を実行する画像鑑査処理部と、
前記錠剤の払出経路における前記錠剤の撮影位置の下流側で検出される前記錠剤の数と前記処方データとを照合する計数鑑査処理を実行する計数鑑査処理部と、
を備える鑑査支援システム。
[付記24]
錠剤分包装置において処方データに基づいて錠剤が包装材に収容される前に撮影された前記錠剤の撮影画像と前記処方データに含まれる前記錠剤の種類に対応して予め登録された正画像とを照合する画像鑑査処理を実行する画像鑑査処理部と、
前記画像鑑査処理部による前記画像鑑査処理において検出される前記錠剤の識別情報と前記正画像との差分を表示可能な鑑査表示処理部と、
を備える鑑査支援システム。
[付記25]
前記画像鑑査処理部が、前記錠剤の撮影画像と前記正画像との画像照合を行う第1照合処理を実行し、前記第1照合処理による照合結果が一致であり、前記画像鑑査処理の対象の前記錠剤に類似する類似薬が存在する場合には、前記撮影画像における前記類似薬と類似する予め設定された類似箇所に対応する領域と前記正画像における前記類似箇所に対応する領域との画像照合を行う第2照合処理を実行する付記24に記載の錠剤分包装置。
[付記26]
処方データに基づいて錠剤を包装材に収容する分包処理が実行可能な錠剤分包装置であって、
前記錠剤を前記包装材に導く薬剤導入部と、
前記錠剤が前記包装材に収容される際に前記薬剤導入部、前記錠剤、及び前記包装材を含む撮影範囲を撮影する撮影部と、
を備える錠剤分包装置。
[付記27]
処方データに基づいて錠剤を包装材に収容する分包処理が実行可能な錠剤分包装置であって、
前記錠剤を回転させる錠剤回転部と、
前記錠剤回転部による回転中の前記錠剤を複数回撮影する撮影処理を実行する撮影処理部と、
前記撮影処理部により撮影される前記錠剤の複数の撮影画像のうち予め設定された条件を充足する撮影画像から前記錠剤の識別情報を取得し、前記錠剤の識別情報を前記錠剤の種類に対応する照合元データとして登録する登録処理部と、
を備える錠剤分包装置。
[付記28]
前記分包処理において撮影される前記錠剤の撮影画像から取得される前記錠剤の識別情報と前記処方データに含まれる前記錠剤の種類に対応する前記照合元データとを照合する画像鑑査処理を実行する画像鑑査処理部を更に備える付記27に記載の錠剤分包装置。
[付記29]
前記錠剤の識別情報が、前記錠剤の撮影画像の一部又は全部の領域の画像であり、
前記照合元データが、前記錠剤の種類に対応して予め登録された正画像であり、
前記画像鑑査処理部が、前記錠剤の識別情報と前記正画像とを照合する付記28に記載の錠剤分包装置。
[付記30]
前記錠剤回転部による回転中の前記錠剤が撮影可能であり、前記錠剤の識別情報が刻印である場合に対応して設けられる第1撮影ユニット及び前記錠剤の識別情報が印刷である場合に対応して設けられる第2撮影ユニットを含む撮影部と、
前記登録処理部により登録される前記錠剤の識別情報が刻印及び印刷のいずれであるかをユーザー操作に応じて特定する特定処理部と、
を備え、
前記画像鑑査処理部が、前記特定処理部によって特定された前記刻印又は前記印刷のいずれかに対応する前記第1撮影ユニット又は前記第2撮影ユニットを用いて撮影された前記錠剤の撮影画像を用いて前記画像鑑査処理を実行する付記29に記載の錠剤分包装置。
[付記31]
前記錠剤回転部による回転中の前記錠剤が撮影可能であり、前記錠剤の識別情報が刻印である場合に対応して設けられる第1撮影ユニット及び前記錠剤の識別情報が印刷である場合に対応して設けられる第2撮影ユニットを含む撮影部と、
前記登録処理部により登録される前記錠剤の識別情報が刻印及び印刷のいずれであるかをユーザー操作に応じて特定する特定処理部と、
を備え、
前記撮影処理部が、前記登録処理部により前記照合元データが登録される際に用いられる前記撮影画像を撮影する際に、前記特定処理部による特定結果に応じて前記第1撮影ユニット及び前記第2撮影ユニットのいずれかを選択して前記錠剤を撮影する付記29に記載の錠剤分包装置。
[付記32]
前記錠剤回転部による回転中の前記錠剤が撮影可能である撮影部と、
前記錠剤に振動を与える加振部と、
前記撮影部により撮影される前記錠剤の撮影画像各々に基づいて、前記撮影部に対して前記錠剤の側面が正対する状態で前記錠剤が回転しているか否かを判定する状態判定処理部と、
前記状態判定処理部によって前記状態で前記錠剤が回転していると判断された場合に前記加振部により前記錠剤に振動を与える加振処理部と、
を更に備える付記29に記載の錠剤分包装置。
[付記33]
前記登録処理部が、前記撮影処理部により撮影される前記錠剤の複数の撮影画像のうちユーザー操作により選択された撮影画像を前記照合元データとして登録する付記28〜32のいずれかに記載の錠剤分包装置。
[付記34]
前記登録処理部が、前記照合元データとして登録される前記撮影画像における上方向の位置を指定するユーザー操作を受け付けて、前記撮影画像における前記上方向の位置を示す情報を前記照合元データの一部として登録可能である付記29〜33のいずれかに記載の錠剤分包装置。
[付記35]
前記登録処理部が、少なくとも前記錠剤と前記錠剤に対応する初期正画像との対応関係が予め記憶された薬品データベースに記憶されている前記初期正画像と前記撮影画像との照合結果に応じて、前記撮影画像における前記上方向の位置を示す情報を前記照合元データの一部として登録可能である付記29〜34のいずれかに記載の錠剤分包装置。
[付記36]
前記登録処理部が、前記照合元データとして登録される前記撮影画像における上方向の位置を指定するユーザー操作を受け付けて、前記撮影画像における前記上方向の位置が上部になるように前記撮影画像を回転させた正画像を前記照合元データとして登録可能である付記29〜35のいずれかに記載の錠剤分包装置。
[付記37]
前記登録処理部が、少なくとも前記錠剤と前記錠剤に対応する初期正画像との対応関係が予め記憶された薬品データベースに記憶されている前記初期正画像と前記撮影画像との照合結果に応じて、前記撮影画像における前記上方向の位置が上部になるように前記撮影画像を回転させた正画像を前記照合元データとして登録可能である付記29〜36のいずれかに記載の錠剤分包装置。
[付記38]
前記画像鑑査処理部が、前記撮影画像と前記照合元データとの画像照合を行う第1照合処理を実行し、前記第1照合処理による照合結果が一致であり、前記画像鑑査処理の対象の前記錠剤に類似する類似薬が存在する場合には、前記撮影画像における前記類似薬と類似する予め設定された類似箇所に対応する領域と前記照合元データにおける前記類似箇所に対応する領域との画像照合を行う第2照合処理を実行する付記29〜37のいずれかに記載の錠剤分包装置。
[付記39]
前記第1照合処理が、前記照合元データにおける黒画素の数のうち前記撮影画像に含まれる黒画素の割合を一致度として検出する第1マッチング処理であり、
前記第2照合処理が、前記照合元データ及び前記撮影画像の照合範囲において前記照合元データと前記撮影画像とに差分が生じている箇所を除く一致領域の割合を一致度として検出する第2マッチング処理である付記38に記載の錠剤分包装置。