JP6819559B2 - 硫化物固体電解質材料の製造方法 - Google Patents

硫化物固体電解質材料の製造方法 Download PDF

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Description

本開示は、イオン伝導度の低下を抑制することが可能な硫化物固体電解質材料の製造方法に関する。
近年におけるパソコン、ビデオカメラおよび携帯電話等の情報関連機器や通信機器等の急速な普及に伴い、その電源として利用される電池の開発が重要視されている。また、自動車産業界等においても、電気自動車用あるいはハイブリッド自動車用の高出力かつ高容量の電池の開発が進められている。現在、種々の電池の中でも、エネルギー密度が高いという観点から、リチウム電池が注目を浴びている。
現在市販されているリチウム電池は、可燃性の有機溶媒を含む電解液が使用されているため、短絡時の温度上昇を抑える安全装置の取り付けや短絡防止のための構造が必要となる。これに対し、電解液を固体電解質層に代えて、電池を全固体化したリチウム電池は、電池内に可燃性の有機溶媒を用いないので、安全装置の簡素化が図れる。このような固体電解質層に用いられる固体電解質材料として、硫化物固体電解質材料が知られている。
例えばボールミリングを用いた硫化物固体電解質材料の合成として、原料を極性溶媒に分散させる湿式法がある。また、硫化物固体電解質材料を用いて電極を作製する際には、活物質と硫化物固体電解質材料との接触界面を形成するといった観点から、硫化物固体電解質材料を微粒化する必要がある。例えば、特許文献1には、硫化物固体電解質である粗粒材料に分散媒としてエーテル化合物を添加し、粗粒材料を粉砕処理により微粒化する技術が開示されている。
特開2013−020894号公報
硫化物固体電解質がX元素(Xはハロゲンである)を含有する場合、その硫化物固体電解質にエーテル化合物を添加して微粒化すると、イオン伝導度が低下してしまうという問題がある。本開示は、上記実情に鑑みてなされたものであり、イオン伝導度の低下を抑制することが可能な硫化物固体電解質材料の製造方法を提供することを主目的とする。
上記課題を達成するために、本開示においては、Li元素、P元素、S元素およびX元素(Xはハロゲンである)を含む硫化物固体電解質である粗粒材料を準備する工程と、上記粗粒材料に、エーテル化合物を含有する分散媒に上記X元素が溶解した溶液を添加し、上記粗粒材料を微粒化する微粒化工程と、を有する硫化物固体電解質材料の製造方法を提供する。
本開示によれば、硫化物固体電解質である粗粒材料を微粒化する微粒化工程において、粗粒材料に添加する分散媒がエーテル化合物を含有し、さらに分散媒にX元素が溶解していることにより、硫化物固体電解質材料のイオン伝導度の低下を抑制することができる。
本開示においては、イオン伝導度の低下を抑制することが可能な硫化物固体電解質材料の製造方法を提供することができるという効果を奏する。
本開示の硫化物固体電解質材料の製造方法の一例を示すフローチャートである。 実施例における硫化物固体電解質材料の製造方法を示すフローチャートである。 実施例、比較例1、2における硫化物固体電解質材料に対するXRD測定の結果である。
以下、本開示の硫化物固体電解質材料の製造方法について、詳細に説明する。
本開示の硫化物固体電解質材料の製造方法は、Li元素、P元素、S元素およびX元素(Xはハロゲンである)を含む硫化物固体電解質である粗粒材料を準備する工程と、上記粗粒材料に、エーテル化合物を含有する分散媒に上記X元素が溶解した溶液を添加し、上記粗粒材料を微粒化する微粒化工程と、を有する。
図1は、本開示の硫化物固体電解質材料の製造方法の一例を示すフローチャートである。図1に示すように本開示の硫化物固体電解質材料の製造方法では、まず、Li元素、P元素、S元素およびX元素(Xはハロゲンである)を含む硫化物固体電解質である粗粒材料を準備する(準備工程)。次に、準備した粗粒材料に分散媒を添加し、粗粒材料を微粒化する(微粒化工程)。本開示においては、分散媒はエーテル化合物を含有し、さらに分散媒にX元素が溶解している。これにより、微粒化された硫化物固体電解質材料を得ることができる。
本開示によれば、硫化物固体電解質である粗粒材料を微粒化する微粒化工程において、粗粒材料に添加する分散媒がエーテル化合物を含有し、さらに分散媒にX元素が溶解していることにより、硫化物固体電解質材料のイオン伝導度の低下を抑制することができる。
上述したように、硫化物固体電解質がX元素(Xはハロゲンである)を含有する場合、硫化物固体電解質である粗粒材料にエーテル化合物を添加して粗粒材料を微粒化すると、イオン伝導度が低下してしまうという問題がある。その理由は、以下の通りであると推測される。すなわち、X元素を含有する硫化物固体電解質である粗粒材料に、分散媒としてエーテル化合物を添加すると、微粒化工程において粗粒材料からXイオンがエーテル化合物に溶出してしまう。そうすると、微粒化工程により、硫化物固体電解質からX元素が失われ、仕込み時の組成からずれてしまうことで、硫化物固体電解質材料のイオン伝導度が低下すると推測される。具体的には、硫化物固体電解質からX元素が失われた量に相当する分だけ、硫化物固体電解質材料のイオン伝導度が低下すると推測される。
これに対し、本開示の発明者等は、微粒化工程において硫化物固体電解質である粗粒材料に添加する分散媒がエーテル化合物を含有し、さらに分散媒にX元素が溶解していることにより、粗粒材料からエーテル化合物へのXイオンの溶出を抑制することができることを知見した。その理由は、以下の通りであると推測される。すなわち、X元素(Xはハロゲンである)を含有する硫化物固体電解質をエーテル化合物に分散させると、LiX⇔Li+Xの溶解平衡が右側に傾き、硫化物固体電解質からLiイオンおよびXイオンがエーテル化合物に溶出してしまう。一方、分散媒に対し予めX元素を溶解させると、硫化物固体電解質を分散媒に分散させたときに、LiX⇔Li+Xの溶解平衡が右側に傾きにくくなるため、結果として硫化物固体電解質からエーテル化合物へのXイオンの溶出を抑制することができると推測される。
以下、本開示の硫化物固体電解質材料の製造方法について、工程ごとに説明する。
1.準備工程
準備工程は、Li元素、P元素、S元素およびX元素(Xはハロゲンである)を含む硫化物固体電解質である粗粒材料を準備する工程である。
粗粒材料は、Li元素、P元素、S元素およびX元素(Xはハロゲンである)を含む。X元素としては、例えば、Cl元素、Br元素およびI元素が挙げられる。X元素は、1種類であってもよく、2種類以上であってもよい。さらに、粗粒材料は、Ge元素、Si元素、Sn元素の少なくとも一種を含有していてもよい。また、粗粒材料は、O元素を含有していてもよい。また、粗粒材料は、アニオン構造として、PS 3−を有することが好ましい。粗粒材料は、PS 3−に加えて、アニオン構造として、GeS 4−、SiS 4−、SnS 4−の少なくとも一種を有していてもよい。
粗粒材料は、Li元素、P元素およびS元素を含有するイオン伝導体を含有していてもよい。イオン伝導体は、PS 3−をアニオン構造の主体として含有することが好ましい。「PS 3−をアニオン構造の主体とする」とは、PS 3−の割合が、イオン伝導体における全アニオン構造の中で最も多いことをいう。全アニオン構造におけるPS 3−の割合は、例えば60mol%以上であり、70mol%以上であってもよく、80mol%以上であってもよく、90mol%以上であってもよい。PS 3−の割合は、例えば、ラマン分光法、NMR、XPSにより決定することができる。また、イオン伝導体のS元素の一部は、O元素に置換されていてもよい。
粗粒材料が、上記イオン伝導体を含有する場合、通常、さらにLiXを含有する。LiXとしては、例えば、LiCl、LiBrおよびLiIが挙げられる。また、LiXの少なくとも一部は、LiXとしてイオン伝導体の構造中に取り込まれた状態で存在することが好ましい。粗粒材料におけるLiXの割合は、例えば1mol%以上であり、10mol%以上であってもよい。一方、上記LiXの割合は、例えば50mol%以下であり、35mol%以下であってもよい。
粗粒材料は、非晶質であってもよく、結晶質であってもよい。前者の一例としては、硫化物ガラスが挙げられ、後者の一例としては、結晶化硫化物ガラス(ガラスセラミックス)が挙げられる。
粗粒材料の形状としては、例えば粒子状を挙げることができる。粗粒材料の平均粒径(D50)は、例えば5μm以上であり、10μm以上であってもよい。一方、粗粒材料の平均粒径(D50)は、例えば200μm以下であり、100μm以下であってもよい。なお、粗粒材料の平均粒径は、例えば、粒度分布計により決定することができる。また、粗粒材料は、イオン伝導性が高いことが好ましく、常温におけるイオン伝導性は、例えば1×10−4S/cm以上であり、1×10−3S/cm以上であってもよい。
2.微粒化工程
微粒化工程は、粗粒材料に、エーテル化合物を含有する分散媒にX元素が溶解した溶液を添加し、上記粗粒材料を微粒化する工程である。すなわち、微粒化工程においては、分散媒に対してX元素を溶解させ、当該X元素が溶解した溶液を粗粒材料に添加する。
微粒化工程で用いられる溶液にはX元素(Xはハロゲンである)が溶解している。X元素については、上述した「1.準備工程」の項に記載したX元素と同様とすることができるため、ここでの記載は省略する。また、上記溶液に溶解されるX元素は、通常、粗粒材料に含まれるX元素と同一の元素である。なお、粗粒材料が、2種類以上のX元素を含む場合、その少なくとも一つのX元素と、上記溶液に溶解されるX元素とが同一であればよい。分散媒にLiXが溶解している場合、分散媒に溶解したLiXの濃度は、本開示の効果が得られる程度の濃度であればよく、中でも飽和濃度であることが好ましい。分散媒に溶解したLiXの濃度は、例えば1.5mol/L以上であり、3.0mol/L以上であることが好ましく、5.0mol/L以上であることが好ましい。
分散媒はエーテル化合物を含有する。エーテル化合物を含有することにより、メディアへの粗粒材料の付着および造粒を抑制することができる。その結果、微粒化した硫化物固体電解質材料を高い回収率で得ることができる。硫化物固体電解質材料の回収率としては、例えば90%以上であり、95%以上であることが好ましい。なお、上記回収率は、(微粒化した硫化物固体電解質材料の回収量)/(粗粒材料の投入量)により算出することができる。
分散媒が含有するエーテル化合物は、粗粒材料を分散する分散媒として機能する。すなわち、エーテル化合物は極性非プロトン性溶媒である。分散媒が含有するエーテル化合物は、1種のみであってもよく、2種以上を混合した混合物であってもよい。
ここで、エーテル化合物は、エーテル基(C−O−C)を有する化合物である。エーテル化合物は、例えば酸素元素に結合した2つの炭化水素基を有する化合物であることが好ましい。粗粒材料との反応性が低いからである。炭化水素基の炭素数は、それぞれ10以下であることが好ましい。炭素数が大きすぎると、乾燥によるエーテル化合物の除去が困難になる可能性があるからである。
炭化水素基は、鎖状であってもよく、環状であってもよい。また、炭化水素基は、飽和炭化水素基または芳香族炭化水素基であることが好ましい。このような炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基、ベンジル基等の芳香族炭化水素基等を挙げることができる。エーテル化合物の具体例としては、ジメチルエーテル、メチルエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、アニソール等を挙げることができる。また、エーテル化合物の分子量は、例えば46以上であり、74以上であってもよい。一方、エーテル化合物の分子量は、例えば278以下であり、186以下であってもよい。
分散媒は、エーテル化合物以外の溶媒を含有していてもよい。分散媒がエーテル化合物以外の溶媒を含有する場合、すなわち、分散媒が混合溶媒である場合、分散媒中のエーテル化合物とそれ以外の溶媒との混合比は、粗粒材料の種類に応じて適宜調整することができる。中でも、分散媒が後述するHSP値を満たすように混合比を調整することが好ましい。分散媒中のエーテル化合物とそれ以外の溶媒との具体的な混合比は、例えば95:5〜5:95(体積比)である。
エーテル化合物以外の溶媒としては、例えば炭化水素系溶媒が挙げられる。炭化水素系溶媒は、炭素原子と水素原子からなる溶媒である。炭化水素系溶媒としては、例えば飽和炭化水素、不飽和炭化水素、芳香族炭化水素等が挙げられる。飽和炭化水素溶媒としては、例えばヘキサン、ペンタン、2−エチルヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等が挙げられる。不飽和炭化水素しては、例えばヘキセン、ヘプテン、シクロヘキセン等が挙げられる。芳香族炭化水素としては、例えばトルエン、キシレン、エチルベンゼン、デカリン、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン等が挙げられる。分散媒に含有される炭化水素系溶媒は、1種のみであってもよく、2種以上を混合した混合物であってもよい。
分散媒は、粗粒材料の分散性が高い溶媒であることが好ましい。本開示においては、パラメータであるハンセン溶解度パラメータ(以下、「HSP」と記載する)に着目した。ここでいうHSPは、ヒルデブランドの溶解度パラメータを、ロンドン分散力、双極子間力および水素結合力の3つの凝集エネルギー成分に分割したベクトル量のパラメータを意味する。HSPのロンドン分散力に対応する成分を分散項「δd」と記載し、双極子間力に対応する成分を極性項「δp」と記載し、水素結合力に対応する成分を水素結合項「δh」と記載する。HSPはベクトル量であるため、純粋な物質で全く同一の値を有するものは殆ど存在しないことが知られている。また、一般的に使用される物質のHSPは、データベースが構築されている。このため、当業者であれば、当該データベースを参照することにより、所望の物質のHSP値を入手することができる。データベースにHSP値が登録されていない物質であっても、当業者であればHansen Solubility Parameters in Practice(HSPiP)のようなコンピュータソフトウェアを用いることにより、その化学構造からHSP値を計算することができる。複数の物質からなる混合物の場合、当該混合物のHSP値は、含有成分である各物質のHSP値に、当該成分の混合物全体に対する体積比を乗じた値の和として算出することができる。HSPについては、例えば、山本博志, S. Abbott, C.M. Hansen, 化学工業, 2010年3月号を参照することができる。分散媒のHSP値は、例えばHSP値:(δd、δp、δh)=(16.0±2.0、3.6±2.0、4.9±2.0)であり、HSP値:(δd、δp、δh)=(16.0±1.0、3.6±1.0、4.9±1.0)であってもよく、HSP値:(δd、δp、δh)=(16.0±0.8、3.6±0.7、4.9±0.6)であってもよい。
粗粒材料に添加される上記溶液(LiXが溶解した分散媒)の添加量は、微粒化した硫化物固体電解質材料を得ることができる割合であれば特に限定されるものではない。エーテル化合物の添加量は、粗粒材料に対して、例えば0.01重量%以上であり、0.1重量%であることが好ましく、1重量%以上であることが好ましい。一方、エーテル化合物の添加量は、粗粒材料に対して、例えば100重量%以下であり、50重量%以下であることが好ましい。エーテル化合物の添加量が少なすぎると、粉砕時における粗粒材料の造粒、および、メディアへの粗粒材料の付着を防止することが困難になる可能性がある。一方、エーテル化合物の添加量が多すぎると、エーテル化合物の除去が困難になる可能性がある。
微粒化工程は、粗粒材料を微粒化できる方法であればよく、特に限定されない。粗粒材料を微粒化する方法としては、例えば、ビーズミル、遊星型ボールミル等のメディア型粉砕、ジェット粉砕、キャビテーション粉砕等を挙げることができる。粉砕条件は、粗粒材料の種類や、目標とする粗粒材料の粒子径に応じて適宜設定することができる。
微粒化工程では、通常、上記溶液(LiXが溶解した分散媒)を除去するために乾燥を行う。乾燥温度は特に限定されないが、特に、硫化物ガラスが結晶化することによってイオン伝導度が低下する場合には、乾燥温度に留意する必要がある。
3.その他の工程
本開示においては、微粒化工程の後に、微粒化した硫化物固体電解質材料を熱処理する熱処理工程を有していてもよい。熱処理により、例えば微粒化された結晶化硫化物ガラス(ガラスセラミック)を得ることができる。特に、硫化物ガラスが結晶化することによってイオン伝導度が向上する場合には、熱処理工程を行うことが好ましい。熱処理工程における熱処理温度は、結晶化温度以上の温度であることが好ましく、イオン伝導度の高い結晶相が生成するように(不要な結晶相が生成しないように)調整することが好ましい。なお、熱処理工程における熱処理時間についても同様である。
熱処理工程後の硫化物固体電解質材料は、主にLGPS型結晶相が生成することが好ましい。一方、上記硫化物固体電解質材料は、アルジロダイト型結晶相が不純物相として生成しないことが好ましい。
4.微粒化した硫化物固体電解質材料
微粒化工程により微粒化した硫化物固体電解質材料の平均粒径(D50)は、粗粒材料よりも小さければよく、例えば0.1μm以上であり、0.5μm以上であってもよい。一方、硫化物固体電解質材料の平均粒径(D50)は、例えば5μm以下であり、4μm以下であってもよい。なお、硫化物固体電解質材料の平均粒径(D50)は、例えば、粒度分布計により決定することができる。
本開示の製造方法により得られる硫化物固体電解質材料は、微粒化工程によるイオン伝導度の低下を抑制することができる。具体的には、粗粒材料のイオン伝導度(25℃)に対する微粒化工程後の硫化物固体電解質材料のイオン伝導度(25℃)が、例えば50%以上であり、70%以上であることがより好ましく、80%以上であることがさらに好ましく、90%以上であることが特に好ましい。なお、硫化物固体電解質材料のイオン伝導度は、例えば、交流インピーダンス法により決定することができる。
硫化物固体電解質材料は、CuKα線を用いたX線回折測定において、2θ=20.18°±1.00°、20.44°±1.00°、26.96°±1.00°、29.58°±1.00°にピークを有する結晶相を備えることが好ましい。これらのピーク位置については、±0.50°の範囲内で前後していてもよい。また、この結晶相は、Liイオン伝導性が高い結晶相であり、いわゆるLGPS型結晶相として知られている。この結晶相を、結晶相Aと称する場合がある。結晶相Aは、上記の他に、通常、2θ=17.38°、23.56°、23.96°、24.93°、29.07°、31.71°、32.66°、33.39°にピークを有する。これらのピーク位置についても、±1.00°の範囲内で前後していてもよく、±0.50°の範囲内で前後していてもよい。
硫化物固体電解質材料は、CuKα線を用いたX線回折測定において、2θ=27.33°±0.50°にピークを有する結晶相を備えないことが好ましい。この結晶相は、LGPS型結晶相よりLiイオン伝導性が低い結晶相である。なお、この結晶相を、結晶相Bと称する場合がある。また、結晶相Bは、2θ=27.33°の他に、通常、2θ=17.46°、18.12°、19.99°、22.73°、25.72°、27.33°、29.16°、29.78°にピークを有する。これらのピーク位置についても、±1.00°の範囲内で前後していてもよく、±0.50°の範囲内で前後していてもよい。
結晶相Aの2θ=29.58°付近のピーク強度をIとし、結晶相Bの2θ=27.33°付近のピーク強度をIとした場合、I/Iの値は、例えば、0.50未満であり、0.45以下であることが好ましく、0.15以下であることがより好ましい。特に、I/Iの値は0であることが好ましい。
本開示の製造方法により得られる硫化物固体電解質材料は、イオン伝導性を必要とする任意の用途に用いることができる。中でも、硫化物固体電解質材料は、全固体電池(特に全固体二次電池)に用いることが好ましい。さらに、硫化物固体電解質材料を全固体電池に用いる場合、正極活物質層に用いてもよく、負極活物質層に用いてもよく、固体電解質層に用いてもよい。
本開示においては、上述した製造方法により得られることを特徴とする硫化物固体電解質材料を提供することもできる。さらに、上記硫化物固体電解質材料を、正極活物質層、負極活物質層および固体電解質層の少なくともいずれかに含有することを特徴とする全固体電池を提供することもできる。
なお、本開示は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本開示の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本開示の技術的範囲に包含される。
以下に実施例を示して本開示をさらに具体的に説明する。
なお、原料および混合物、硫化物固体電解質を扱う際には、Arガス雰囲気下で露点−70℃以下に雰囲気調整されたグローブボックス内で作業を行った。
[実施例]
図2に示すフローチャートに従い、微粒化した硫化物固体電解質材料を合成した。以下、図2に示すフローチャートに基づいて、詳細な手順を説明する。
<粗粒材料の合成>
出発原料として、LiS(三津和化学工業製)、P(Aldrich製)、SiS(三津和化学工業製)、LiCl(三津和化学工業製)を用いた。次に、それぞれの原料をLi3.18Si0.580.483.9Cl0.1の組成比で2gとなるように秤量し、混合した。その混合物をジルコニア製ボール(φ5mm、53g)とともに、ジルコニア製ボールポット容器(容積45ml)に入れ、容器を密閉した。この容器を遊星型ボールミル機(フリッチュ製 PULVERISETTE7)に取り付け、台盤回転数500rpmで、40時間メカニカルミリング処理を行った。これにより、硫化物固体電解質のガラス前駆体(粗粒材料)を得た。
<微粒化工程>
得られた粗粒材料を、ジルコニア製ボール(φ0.3mm、53g)、ヘプタン4g、ジブチルエーテル2g、LiClを溶解させたヘプタン−ジブチルエーテル混合溶液とともに、ジルコニア製ボールポット容器(容積45ml)に入れ、容器を密閉した。LiClを溶解させたヘプタン−ジブチルエーテル混合溶液は、ジルコニア製ボール(φ0.3mm、53g)、ヘプタン4g、ジブチルエーテル2g、LiCl2gを、回転数300rpmで、20時間メカニカルミリング処理を行い、溶液を静置し、上澄み液を分取することで作製した。したがって、得られた上記溶液は、LiCl飽和溶液である。この容器を遊星型ボールミル機に取り付け、台盤回転数300rpmで、20時間メカニカルミリング処理を行い、硫化物固体電解質のガラス前駆体(粗粒材料)を微粒化した。これにより、その後、微粒化した粗粒材料はヘプタンで十分に洗浄し、100℃の環境下で乾燥させた。
<熱処理工程>
微粒化させた粗粒材料を、石英管に真空封入し、475℃の環境下で3時間熱処理した。これにより、結晶性硫化物固体電解質材料を合成した。
[比較例1]
微粒化工程において用いられる分散媒がX元素(LiCl)を含まないこと以外は、実施例と同様にして硫化物固体電解質材料を合成した。
[比較例2]
微粒化工程を行わないこと以外は、実施例と同様にして硫化物固体電解質材料を合成した。
[評価]
(XRD測定)
実施例および比較例1、2で得られた硫化物固体電解質材料に対して、X線回折測定(XRD測定)を行った。測定には、粉末X線回折装置(Uttma IV、リガク製)を用い、線源としてCuKα線(2θ=10°〜60°の範囲)を使用した。その結果を、図3(a)、(b)に示す。なお、図3(b)は図3(a)の拡大図である。
図3に示すように、実施例では、LGPS型結晶相が析出されていることが確認され、比較例1では、LGPS型結晶相の他にアルジロダイト型結晶相が析出されていることが確認され、比較例2では、LGPS型結晶相が析出されていることが確認された。
(Liイオン伝導度測定)
実施例および比較例1、2で得られた硫化物固体電解質材料を100mg秤量し、シリンダ(マコール製)に入れてプレス(6ton)した。次に、SUSピンでペレットの両端をはさみ、ボルトにて6.0N/mで拘束することで評価セルを構築した。得られた評価セルを25℃に保った状態で交流インピーダンス測定を行った。これにより、硫化物固体電解質材料のLiイオン伝導度を算出した。なお、測定にはBiologic社製VMP3を用い、印加電圧10mV、測定周波数域0.01MHz〜1MHzとした。その結果を表1に示す。
(粒度分布測定)
実施例および比較例1、2で得られた硫化物固体電解質材料、ならびに粗粒材料の準備工程で得られた粗粒材料を少量サンプリングし、レーザー散乱・回折式粒度分布測定機(日機装製マイクロトラックMT 3300EXII)で粒度分布測定を行い、平均粒径(D50)を決定した。その結果を表1に示す。
Figure 0006819559
比較例2は、微粒化工程を行わなかった例である。表1に示すように、微粒化工程を行わない場合の硫化物固体電解質材料のイオン伝導度は9.4mScm−1であった。一方、実施例は、微粒化工程を行い、このとき用いられる分散媒がエーテル化合物を含有し、さらに分散媒にX元素が溶解している例である。また、比較例1は、微粒化工程を行い、このとき用いられる分散媒がエーテル化合物を含有し、さらに分散媒にX元素が溶解していない例である。比較例2と、実施例および比較例1とのイオン伝導度を比較した結果、実施例では微粒化工程によるイオン伝導度の低下を約1/3に抑えることができたものの、比較例1では、微粒化工程によるイオン伝導度の低下は約1/6であり、実施例に比べてイオン伝導度の低下が顕著であった。以上のことから、微粒化工程において用いられる分散媒がエーテル化合物を含有し、さらに分散媒にX元素が溶解していることにより、微粒化工程によるイオン伝導度の低下を抑制することができることが分かった。
図3に示すように、比較例2ではLGPS型結晶相が単相で析出された。一方、比較例1ではLGPS型結晶相に加えてアルジロダイト型結晶相が不純物相として析出した。また、比較例1、2のXRD測定結果を比較したところ、比較例1ではLGPS型結晶相のピークが高角度側にシフトし、組成ずれが生じていることが確認できた。これに対し、実施例では、LGPS型結晶相が単相で析出され、組成ずれも抑制することができた。

Claims (1)

  1. Li元素、P元素、S元素およびX元素(Xはハロゲンである)を含む硫化物固体電解質である粗粒材料を準備する工程と、
    前記粗粒材料に、エーテル化合物を含有する分散媒に前記X元素が溶解した溶液を添加し、前記粗粒材料を微粒化する微粒化工程と、を有する硫化物固体電解質材料の製造方法。
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