JP2009259765A - 二次電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、自己放電と容量低下が抑制された二次電池を提供することを目的とす
る。
【解決手段】鉄系材料を用いた正極と、この正極に対峙して配置された鉄系材料、亜鉛系材料もしくは水素吸蔵合金系材料のいずれかを用いた負極と、前記正極と負極の間に配置された電解液とを備え、前記電解液はバリウム塩またはストロンチウム塩を含有した構成である。
【選択図】なし
る。
【解決手段】鉄系材料を用いた正極と、この正極に対峙して配置された鉄系材料、亜鉛系材料もしくは水素吸蔵合金系材料のいずれかを用いた負極と、前記正極と負極の間に配置された電解液とを備え、前記電解液はバリウム塩またはストロンチウム塩を含有した構成である。
【選択図】なし
Description
本発明は、例えば自動車、家電製品などの電源として用いる二次電池に関する。
近年、地球環境に配慮する観点から市場に電気自動車が登場するようになってきた。し
かし、この電気自動車の普及を図る上では、電源として、安価な二次電池を供給すること
が極めて重要である。このような点から、安価な材料で構成されるニッケルー鉄二次電池
(別名、エジソン電池)が再び注目されるようになってきた(例えば、特許文献1参照)
。
かし、この電気自動車の普及を図る上では、電源として、安価な二次電池を供給すること
が極めて重要である。このような点から、安価な材料で構成されるニッケルー鉄二次電池
(別名、エジソン電池)が再び注目されるようになってきた(例えば、特許文献1参照)
。
この二次電池は、オキシ水酸化ニッケル(NiOOH)を活物質としたニッケル板を正
極に、鉄板を負極に用い、電解液として、水酸化カリウム(KOH)水溶液を使用したも
のである。
極に、鉄板を負極に用い、電解液として、水酸化カリウム(KOH)水溶液を使用したも
のである。
しかしながら、上記特許文献1に開示された技術には以下のような問題点が存在する。
この二次電池は、両電極間のイオン反応が活発に行なわれるようにするために、電解液
としてKOHが使用されている。これは、イオン反応が活発に行なわれる点では、好都合
であるが、負荷の接続されていない保存時においても、負極の鉄板がどうしても電解液中
に溶出してしまう(自己放電)。また、放電時に負極鉄板表面に活物質として形成される
水酸化鉄Fe(OH)2が、KOHと反応して両電極間中心の電解液付近まで2価の鉄酸
イオンとして多量に溶出する。この両電極間中心の電解液付近まで多量に溶出した2価の
鉄酸イオンは、再度充電してももはや負極側へ戻ることが出来なくなってしまう(容量低
下)。上記二次電池は、このような問題点を有していた。
特開平8−162087号公報
としてKOHが使用されている。これは、イオン反応が活発に行なわれる点では、好都合
であるが、負荷の接続されていない保存時においても、負極の鉄板がどうしても電解液中
に溶出してしまう(自己放電)。また、放電時に負極鉄板表面に活物質として形成される
水酸化鉄Fe(OH)2が、KOHと反応して両電極間中心の電解液付近まで2価の鉄酸
イオンとして多量に溶出する。この両電極間中心の電解液付近まで多量に溶出した2価の
鉄酸イオンは、再度充電してももはや負極側へ戻ることが出来なくなってしまう(容量低
下)。上記二次電池は、このような問題点を有していた。
本発明の目的は、自己放電と容量低下が抑制された二次電池を提供することにある。
この目的を達成するために、本発明の請求項1に記載の発明は、
鉄系材料を用いた正極と、この正極に対峙して配置された鉄系材料、亜鉛系材料もしくは水素吸蔵合金系材料のいずれかを用いた負極と、前記正極と負極の間に配置された電解液とを備え、前記電解液はバリウム塩またはストロンチウム塩を含有したことを特徴とする二次電池である。
鉄系材料を用いた正極と、この正極に対峙して配置された鉄系材料、亜鉛系材料もしくは水素吸蔵合金系材料のいずれかを用いた負極と、前記正極と負極の間に配置された電解液とを備え、前記電解液はバリウム塩またはストロンチウム塩を含有したことを特徴とする二次電池である。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記バリウム塩は、水酸化
バリウムである。
バリウムである。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記ストロンチウム塩は、
水酸化ストロンチウムである。
水酸化ストロンチウムである。
本発明に係る二次電池は、鉄系材料を用いた正極と、この正極に対峙して配置された鉄系材料、亜鉛系材料もしくは水素吸蔵合金系材料のいずれかを用いた負極と、前記正極と負極の間に配置された電解液とを備え、前記電解液はバリウム塩またはストロンチウム塩を含有した構成であるため、以下のような作用効果を奏する。以下、代表して、バリウム塩の場合を説明する。
1)電解液がKOHより弱アルカリであるため、負荷の接続されていない保存時に、両電極が電解液中に溶出するようなこともない。すなわち、自己放電が抑制される。
2)また、正極側では、充電時に正極活物質としての6価の鉄酸バリウム(BaFeO
4)が生成され、この6価の鉄酸バリウム(BaFeO4)が鉄系材料からなる正極との
密着性が高く、かつ、放電時に上記6価の鉄酸バリウム(BaFeO4)が3価の鉄酸バ
リウムに変化するだけで不溶性であるため、溶出することがない。すなわち、容量低下が
抑制される。
3)また、負極側では、用いる材料の種類により、以下のような特徴的な作用効果を発揮する。
鉄系材料の場合: 放電時に2価の鉄酸バリウムが生成され、この2価の鉄酸バリ
ウムが不溶性であるため、負極側の鉄が電解液に溶出するのを防止する障壁の役目を果た
す。したがって、容量低下が抑制される。
亜鉛系材料の場合: 放電時に亜鉛酸バリウムが生成され、この亜鉛酸バリウムが不溶性であるため、負極側の亜鉛が電解液に溶出するのを防止する障壁の役目を果たす。したがって、容量低下が抑制される。
水素吸蔵合金系材料の場合: 放電時に吸蔵された水素が水に変化するだけであり、負極側の電極材料に化学変化は起こらない。したがって、容量低下はない。
4)上記正極活物質としての6価の鉄酸バリウム(BaFeO4)が充電時に自然に生
成されるため、通常ならば必要な正極剤合成および調整の工程も不要となり、安価な二次
電池の実現に寄与する。
上述の作用効果は、電解液がバリウム塩の場合のみならず、ストロンチウム塩の場合に
も適用される。
1)電解液がKOHより弱アルカリであるため、負荷の接続されていない保存時に、両電極が電解液中に溶出するようなこともない。すなわち、自己放電が抑制される。
2)また、正極側では、充電時に正極活物質としての6価の鉄酸バリウム(BaFeO
4)が生成され、この6価の鉄酸バリウム(BaFeO4)が鉄系材料からなる正極との
密着性が高く、かつ、放電時に上記6価の鉄酸バリウム(BaFeO4)が3価の鉄酸バ
リウムに変化するだけで不溶性であるため、溶出することがない。すなわち、容量低下が
抑制される。
3)また、負極側では、用いる材料の種類により、以下のような特徴的な作用効果を発揮する。
鉄系材料の場合: 放電時に2価の鉄酸バリウムが生成され、この2価の鉄酸バリ
ウムが不溶性であるため、負極側の鉄が電解液に溶出するのを防止する障壁の役目を果た
す。したがって、容量低下が抑制される。
亜鉛系材料の場合: 放電時に亜鉛酸バリウムが生成され、この亜鉛酸バリウムが不溶性であるため、負極側の亜鉛が電解液に溶出するのを防止する障壁の役目を果たす。したがって、容量低下が抑制される。
水素吸蔵合金系材料の場合: 放電時に吸蔵された水素が水に変化するだけであり、負極側の電極材料に化学変化は起こらない。したがって、容量低下はない。
4)上記正極活物質としての6価の鉄酸バリウム(BaFeO4)が充電時に自然に生
成されるため、通常ならば必要な正極剤合成および調整の工程も不要となり、安価な二次
電池の実現に寄与する。
上述の作用効果は、電解液がバリウム塩の場合のみならず、ストロンチウム塩の場合に
も適用される。
以下、本発明の実施形態についてさらに詳細に説明する。
本発明に係る二次電池は、鉄系材料を用いた正極と、この正極に対峙して配置された鉄系材料、亜鉛系材料もしくは水素吸蔵合金系材料のいずれかを用いた負極と、前記正極と負極の間に配置された電解液とを備え、前記電解液はバリウム塩またはストロンチウム塩を含有したことを特徴とする。
以上のような構成であるため、本発明は、以下のような作用効果を奏する。
1)通常ならば、両電極間のイオン反応が活発に行なわれるように、電解液として水酸
化カリウム(KOH)水溶液が使用されるが、あえてバリウム塩またはストロンチウム塩
を含有した電解液を用いたことで、電解液がより弱アルカリとなり、負荷の接続されてい
ない保存時に、両電極が電解液中に溶出するようなこともない。すなわち、自己放電が抑制される。
2)同様に、バリウム塩またはストロンチウム塩を含有した電解液を用いたことで(以
下、代表して、バリウム塩の場合を説明する)、正極側では、充電時に正極活物質として
の6価の鉄酸バリウム(BaFeO4)が生成され、この6価の鉄酸バリウム(BaFe
O4)が鉄系材料からなる正極との密着性が高い。また、放電時に上記6価の鉄酸バリウ
ム(BaFeO4)が3価の鉄酸バリウムに変化するだけで不溶性であるため、溶出する
ことがない。すなわち、容量低下が抑制される。
3)同じく、バリウム塩またはストロンチウム塩を含有した電解液を用いたことで、負
極側では、用いる材料の種類により、以下のような特徴的な作用効果を発揮する。
鉄系材料の場合: 放電時に2価の鉄酸バリウムが生成され、この2価の鉄酸バリ
ウムが不溶性であるため、負極側の鉄が電解液に溶出するのを防止する障壁の役目を果た
す。したがって、容量低下が抑制される。
亜鉛系材料の場合: 放電時に亜鉛酸バリウムが生成され、この亜鉛酸バリウムが不溶性であるため、負極側の亜鉛が電解液に溶出するのを防止する障壁の役目を果たす。したがって、容量低下が抑制される。
水素吸蔵合金系材料の場合: 放電時に吸蔵された水素が水に変化するだけであり、負極側の電極材料に化学変化は起こらない。したがって、容量低下はない。
4)上記正極活物質としての6価の鉄酸バリウム(BaFeO4)が充電時に自然に生
成されるため、通常ならば必要な正極剤合成および調整の工程も不要となり、安価な二次
電池の実現に寄与する。
1)通常ならば、両電極間のイオン反応が活発に行なわれるように、電解液として水酸
化カリウム(KOH)水溶液が使用されるが、あえてバリウム塩またはストロンチウム塩
を含有した電解液を用いたことで、電解液がより弱アルカリとなり、負荷の接続されてい
ない保存時に、両電極が電解液中に溶出するようなこともない。すなわち、自己放電が抑制される。
2)同様に、バリウム塩またはストロンチウム塩を含有した電解液を用いたことで(以
下、代表して、バリウム塩の場合を説明する)、正極側では、充電時に正極活物質として
の6価の鉄酸バリウム(BaFeO4)が生成され、この6価の鉄酸バリウム(BaFe
O4)が鉄系材料からなる正極との密着性が高い。また、放電時に上記6価の鉄酸バリウ
ム(BaFeO4)が3価の鉄酸バリウムに変化するだけで不溶性であるため、溶出する
ことがない。すなわち、容量低下が抑制される。
3)同じく、バリウム塩またはストロンチウム塩を含有した電解液を用いたことで、負
極側では、用いる材料の種類により、以下のような特徴的な作用効果を発揮する。
鉄系材料の場合: 放電時に2価の鉄酸バリウムが生成され、この2価の鉄酸バリ
ウムが不溶性であるため、負極側の鉄が電解液に溶出するのを防止する障壁の役目を果た
す。したがって、容量低下が抑制される。
亜鉛系材料の場合: 放電時に亜鉛酸バリウムが生成され、この亜鉛酸バリウムが不溶性であるため、負極側の亜鉛が電解液に溶出するのを防止する障壁の役目を果たす。したがって、容量低下が抑制される。
水素吸蔵合金系材料の場合: 放電時に吸蔵された水素が水に変化するだけであり、負極側の電極材料に化学変化は起こらない。したがって、容量低下はない。
4)上記正極活物質としての6価の鉄酸バリウム(BaFeO4)が充電時に自然に生
成されるため、通常ならば必要な正極剤合成および調整の工程も不要となり、安価な二次
電池の実現に寄与する。
以下に、上記構成に至った理由について詳述する。
本発明者は、如何にしたら安価な材料で構成された二次電池でありながら、負荷の接続
されていない保存時の自己放電が抑制され、かつ、負荷の接続された放電時の容量低下が
抑制された二次電池を実現できるのか、鋭意研究を行った。その結果、これまでニッケル
ー鉄二次電池においては、電解液としてKOHを使用するのが技術常識とされていたが、
当業者においても想到し得ないバリウム塩またはストロンチウム塩を含有した電解液を用
い、負極として鉄系材料、亜鉛系材料もしくは水素吸蔵合金系材料のいずれかを用いるとともに、さらに正極としてNiよりもさらに安価な鉄系材料を用いることで、以下のような知見を得た。
されていない保存時の自己放電が抑制され、かつ、負荷の接続された放電時の容量低下が
抑制された二次電池を実現できるのか、鋭意研究を行った。その結果、これまでニッケル
ー鉄二次電池においては、電解液としてKOHを使用するのが技術常識とされていたが、
当業者においても想到し得ないバリウム塩またはストロンチウム塩を含有した電解液を用
い、負極として鉄系材料、亜鉛系材料もしくは水素吸蔵合金系材料のいずれかを用いるとともに、さらに正極としてNiよりもさらに安価な鉄系材料を用いることで、以下のような知見を得た。
1)ニッケルー鉄二次電池の研究者の技術常識では、電解液としてバリウム塩{例えば
、溶解度が高く可溶性の水酸化バリウム(Ba(OH)2)}またはストロンチウム塩{
例えば、溶解度が高く可溶性の水酸化ストロンチウム(Sr(OH)2)}を含有した水
溶液を採用することは考えられなかった。しかし、この電解液を用いたならばKOHより
弱アルカリであるため、負荷の接続されていない保存時に、少なくとも負極側の鉄系材料
、亜鉛系材料もしくは水素吸蔵合金系材料のいずれも溶出が発生しないばかりか、正極側をNiから鉄系材料に代えても同様に溶出が発生しないようにできるのではないかと考えた。その結果、当初期待した通り、電解液として上記バリウム塩またはストロンチウム塩を含有した水溶液のいずれの場合とも正負電極の溶出は、認められなかった。このことより、上記各構成であることが自己放電の抑制のために、大きな寄与を果たすことが判明した。
、溶解度が高く可溶性の水酸化バリウム(Ba(OH)2)}またはストロンチウム塩{
例えば、溶解度が高く可溶性の水酸化ストロンチウム(Sr(OH)2)}を含有した水
溶液を採用することは考えられなかった。しかし、この電解液を用いたならばKOHより
弱アルカリであるため、負荷の接続されていない保存時に、少なくとも負極側の鉄系材料
、亜鉛系材料もしくは水素吸蔵合金系材料のいずれも溶出が発生しないばかりか、正極側をNiから鉄系材料に代えても同様に溶出が発生しないようにできるのではないかと考えた。その結果、当初期待した通り、電解液として上記バリウム塩またはストロンチウム塩を含有した水溶液のいずれの場合とも正負電極の溶出は、認められなかった。このことより、上記各構成であることが自己放電の抑制のために、大きな寄与を果たすことが判明した。
2)次に、上記のような各構成でもう1つの課題である負荷の接続された放電時の容量低下が克服できるのか実験を試みた。まず、上記各構成で充電を行なった。その結果、負極側では何らの変化も起こらなかった。ただし、正極側では、赤色の6価の鉄酸バリウム(BaFeO4)が生成され、この6価の鉄酸バリウム(BaFeO4)は鉄系材料からなる正極との密着性が高かった。また、電解液にも何らの着色も認められなかった。そこで、この状態から負荷を接続し放電させた時の上記各構成における正負電極および電解液の様子を調べた。
その結果、負極側では、用いる材料の種類により、以下のような特徴的な作用効果を発揮する。
鉄系材料の場合: 2価の鉄酸バリウムが生成され、この2価の鉄酸バリウムが不溶性であり、負極側の鉄が電解液に溶出しなかった。このことから、上記不溶性の2価の鉄酸バリウムは、鉄が電解液に溶出するのを防止する障壁の役目を果たすものと推定される。したがって、当初期待した通り、少なくとも負極側での容量低下が抑制できることが判明した。
亜鉛系材料の場合: 亜鉛酸バリウムが生成され、この亜鉛酸バリウムが不溶性であり、負極側の亜鉛が電解液に溶出しなかった。このことから、上記不溶性の亜鉛酸バリウムは、亜鉛が電解液に溶出するのを防止する障壁の役目を果たすものと推定される。したがって、当初期待した通り、少なくとも負極側での容量低下が抑制できることが判明した。
水素吸蔵合金系材料の場合: 負極に吸蔵されていた水素から水が生成されるが、負極自体には化学変化はなく、負極側の水素吸蔵合金が電解液に溶出しなかった。したがって、当初期待した通り、少なくとも負極側での容量低下が抑制できることが判明した。
いずれの負極材料の場合においても、当初期待した通り、少なくとも負極側での容量低下が抑制できることが判明した。
鉄系材料の場合: 2価の鉄酸バリウムが生成され、この2価の鉄酸バリウムが不溶性であり、負極側の鉄が電解液に溶出しなかった。このことから、上記不溶性の2価の鉄酸バリウムは、鉄が電解液に溶出するのを防止する障壁の役目を果たすものと推定される。したがって、当初期待した通り、少なくとも負極側での容量低下が抑制できることが判明した。
亜鉛系材料の場合: 亜鉛酸バリウムが生成され、この亜鉛酸バリウムが不溶性であり、負極側の亜鉛が電解液に溶出しなかった。このことから、上記不溶性の亜鉛酸バリウムは、亜鉛が電解液に溶出するのを防止する障壁の役目を果たすものと推定される。したがって、当初期待した通り、少なくとも負極側での容量低下が抑制できることが判明した。
水素吸蔵合金系材料の場合: 負極に吸蔵されていた水素から水が生成されるが、負極自体には化学変化はなく、負極側の水素吸蔵合金が電解液に溶出しなかった。したがって、当初期待した通り、少なくとも負極側での容量低下が抑制できることが判明した。
いずれの負極材料の場合においても、当初期待した通り、少なくとも負極側での容量低下が抑制できることが判明した。
また、正極側では、上記6価の鉄酸バリウム(BaFeO4)が3価の鉄酸バリウムに変化するだけで不溶性であり、溶出することがなかった。よって、正極側をNiよりもさらに安価な鉄系材料に代えても容量低下が起こることもなかった。したがって、正負両電極を総合的に考えても上記各構成が、容量低下の抑制のために、大きな寄与を果たすことが判明した。上述の作用効果は、電解液がバリウム塩の場合のみならず、ストロンチウム塩の場合にも適用される。
上記電解液に水酸化ストロンチウムを用いた場合には、上記6価の鉄酸バリウム(Ba
FeO4)、2価の鉄酸バリウム、3価の鉄酸バリウムと亜鉛酸バリウムをそれぞれ6価の鉄酸ストロンチウム(SrFeO4)、2価の鉄酸ストロンチウム、3価の鉄酸ストロンチウムと亜鉛酸ストロンチウムに言い換えればよい。
FeO4)、2価の鉄酸バリウム、3価の鉄酸バリウムと亜鉛酸バリウムをそれぞれ6価の鉄酸ストロンチウム(SrFeO4)、2価の鉄酸ストロンチウム、3価の鉄酸ストロンチウムと亜鉛酸ストロンチウムに言い換えればよい。
また、上記正極活物質としての6価の鉄酸バリウム(BaFeO4)または6価の鉄酸
ストロンチウム(SrFeO4)と上記水酸化バリウムまたは水酸化ストロンチウムを含
有した電解液中の陽イオン種が同一であるため、共通イオン効果により溶解平衡として作
用し、上述のように正極活物質の電解液中への溶出が抑制される。しかし、上記正極活物
質の電解液中への溶出をより抑制させ、かつ、導電性を高める観点から、電解液の濃度は
飽和濃度であることがより好ましい。この飽和濃度とした電解液の形態は、懸濁液状ある
いはペースト状等にすることも可能である。
ストロンチウム(SrFeO4)と上記水酸化バリウムまたは水酸化ストロンチウムを含
有した電解液中の陽イオン種が同一であるため、共通イオン効果により溶解平衡として作
用し、上述のように正極活物質の電解液中への溶出が抑制される。しかし、上記正極活物
質の電解液中への溶出をより抑制させ、かつ、導電性を高める観点から、電解液の濃度は
飽和濃度であることがより好ましい。この飽和濃度とした電解液の形態は、懸濁液状ある
いはペースト状等にすることも可能である。
以上、水酸化バリウムや水酸化ストロンチウムを用いた場合について説明したが、可溶
性バリウム塩、可溶性ストロンチウム塩と水酸化アルカリを併用しても同等の効果を得る
ことができる。たとえば、出発薬剤として塩化バリウムと水酸化カリウムを併用して、結
果として水酸化バリウムを生成するようにしてもよい。
性バリウム塩、可溶性ストロンチウム塩と水酸化アルカリを併用しても同等の効果を得る
ことができる。たとえば、出発薬剤として塩化バリウムと水酸化カリウムを併用して、結
果として水酸化バリウムを生成するようにしてもよい。
また、本発明に係る電解液のpHの範囲は、13〜14が好ましい。また、電解液の濃
度は80〜100%が好ましく、飽和濃度がベストである。また、電解液の導電性を高め
るために、水酸化アルカリ、硫酸アルカリを添加してもよく、必要に応じて、電解液にゲ
ル化剤、増粘剤を加えて、粘度を調整することもできる。
度は80〜100%が好ましく、飽和濃度がベストである。また、電解液の導電性を高め
るために、水酸化アルカリ、硫酸アルカリを添加してもよく、必要に応じて、電解液にゲ
ル化剤、増粘剤を加えて、粘度を調整することもできる。
また、上記鉄系材料を用いた正極は、純鉄に限定されるものではなく、炭素鋼に代表される各種鋼種等の鉄系材料を用いることができる。その形態も板状に限定されるものではなく、線状、棒状、あるいは、鉄粉の焼結体状や圧粉体状等、さまざまな形態のものを用いることができる。
また、上記鉄系材料を用いた負極は、純鉄に限定されるものではなく、炭素鋼に代表される各種鋼種等の鉄系材料を用いることができる。その形態も板状に限定されるものではなく、線状、棒状、あるいは、鉄粉の焼結体状や圧粉体状等、さまざまな形態のものを用いることができる。また、純鉄の場合、不可避不純物として、C、Si、Mn、P、S等が挙げられ、これらの元素の合計が、2質量%以下である。また、炭素鋼等の場合、主成分であるFeは、92質量%以上含有されていることが望ましい。
また、上記亜鉛系材料を用いた負極は、純亜鉛に限定されるものではなく、例えば亜鉛(Zn)−ガリウム(Ga)合金等の各種亜鉛系材料を用いることができる。その形態も板状に限定されるものではなく、線状、棒状、あるいは、亜鉛やZn−Ga合金の粉の焼結体状や圧粉体状、ペースト状等、さまざまな形態のものを用いることができる。また、純亜鉛の場合、不可避不純物として、Pb、Fe、Cd、Sn等が挙げられ、これらの元素の合計が、2.5質量%以下である。また、亜鉛合金の場合、上記Gaとの合金以外にも、Al、Cu、Mg等の金属との合金も考えられる。これらの亜鉛合金を負極に用いる場合、充電された初期状態において、亜鉛の割合が高い方が、電池としての性能が高くなる。上記各亜鉛合金においても、充電された初期状態において、それぞれAl、Cu、Mg等の添加金属の割合を50質量%以下とすることができる。上記Zn−Ga合金の場合もGaの割合を50質量%以下とすることが可能で、後述の実施例では、充電された初期状態において、Gaの割合が50質量%の例について説明する。ただし、二次電池を作動させた状態では、上記各亜鉛合金中の亜鉛と添加金属との割合は、変動する。
また、上記水素吸蔵合金系材料を用いた負極は、例えばMNi5(M:ミッシュメタル)、LaNi5、TiFe、ZrNi2、Mg2Ni等の各種水素吸蔵合金系材料を用いることができる。その形態も板状に限定されるものではなく、線状、棒状、あるいは、水素吸蔵合金粉の焼結体状や圧粉体状、ペースト状等、さまざまな形態のものを用いることができる。また、負極として使用する上記水素吸蔵合金系材料としては、重量や体積あたりの水素吸蔵量が多い方がより好ましい。
また、本発明に係る二次電池の理論上のエネルギー密度は、組合せる正負の電極の種類によって、以下の通りとなる。
・鉄系材料(正極)−鉄系材料(負極)の場合: 320Wh/kg
・鉄系材料(正極)−亜鉛系材料(負極)の場合: 370Wh/kg
・鉄系材料(正極)−水素吸蔵合金系材料(負極)の場合: 327Wh/kg
・鉄系材料(正極)−鉄系材料(負極)の場合: 320Wh/kg
・鉄系材料(正極)−亜鉛系材料(負極)の場合: 370Wh/kg
・鉄系材料(正極)−水素吸蔵合金系材料(負極)の場合: 327Wh/kg
上記各値は、鉛蓄電池の161Wh/kg、ニッケルーカドミウム電池の209Wh/kg、あるいは、ニッケルー水素電池の275Wh/kgと比べても大きい。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。ただし、下記実施例は本発明を制限す
るものではなく、前・後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施をすることは全て本発明の
技術的範囲に包含される。
るものではなく、前・後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施をすることは全て本発明の
技術的範囲に包含される。
(実施例1)
本発明の実施例1の二次電池の作用効果を確証するため、以下のラボ試験を実施した。
本発明の実施例1の二次電池の作用効果を確証するため、以下のラボ試験を実施した。
下記表1の試験No.1、2(発明例)に示す正負極板と電解液を準備し、これらの電
解液をそれぞれビーカーに注ぎ、正負極板を電解液内に浸漬し、対峙させた。また、下記
表1の試験No.3、4(比較例)に示す正負極板と電解液を準備し、上記試験No.1
、2と同様に、これらの電解液をそれぞれビーカーに注ぎ、正負極板を電解液内に浸漬し
、対峙させた。
解液をそれぞれビーカーに注ぎ、正負極板を電解液内に浸漬し、対峙させた。また、下記
表1の試験No.3、4(比較例)に示す正負極板と電解液を準備し、上記試験No.1
、2と同様に、これらの電解液をそれぞれビーカーに注ぎ、正負極板を電解液内に浸漬し
、対峙させた。
それぞれ2.5Vで5時間充電した。充電後の試験No.1〜4について、電圧を計測し
た結果、それぞれ1.3V、1.3V、1.2V、0.0Vであった。また、上記電圧の
計測後、まだ負荷接続されていない状態の試験No.1〜4ついて、それぞれ観察および
詳細な分析を行なった結果、以下のような知見を得た。
試験No.1に関して:
・正極側では、赤色の6価の鉄酸バリウム(BaFeO4)が生成され、鉄の金属
光沢から赤色に変色した。この6価の鉄酸バリウム(BaFeO4)は、鉄板からなる正
極との密着性が高く、電解液への脱落および溶出もないため、正極活物質としても適する
。また、この6価の鉄酸バリウム(BaFeO4)は、充電時に自然と生成されるため、
通常ならば必要な正極剤合成および調整の工程も不要となり、安価な二次電池の実現に寄
与する。
・負極側では何らの変化も認められなかった。
・電解液に全く着色は認められなかった。
試験No.2に関して:
・正極側では、赤色の6価の鉄酸ストロンチウム(SrFeO4)が生成され、鉄
の金属光沢から赤色に変色した。この6価の鉄酸ストロンチウム(SrFeO4)は、鉄
板からなる正極との密着性が高く、電解液への脱落および溶出もないため、正極活物質と
しても適する。また、この6価の鉄酸ストロンチウム(SrFeO4)は、充電時に自然
と生成されるため、通常ならば必要な正極剤合成および調整の工程も不要となり、安価な
二次電池の実現に寄与する。
・負極側では何らの変化も認められなかった。
・電解液に全く着色は認められなかった。
試験No.3に関して:
・正極側では何らの変化も認められなかった。
・負極側では、電解液KOHによる鉄の溶出があった。
・電解液は上記鉄の溶出により、青緑色の着色が認められた。
試験No.4に関して:
・正極表面近傍には、活物質としての黒色の6価の鉄酸カリウム(K2FeO4)
が形成される。しかし、このK2FeO4は、鉄板からなる正極との密着性が悪く、かつ
、可溶性のため、電解液KOHに6価の鉄酸イオン(FeO4 2-イオン)として溶出し
、このFeO4 2-イオンが、正極側から負極側へ移動したことが観察された。また、こ
のイオンが負極側で還元されていた。
・負極側では、電解液KOHによる鉄の溶出があった。
・電解液は上記FeO4 2-イオンに起因した赤紫色の着色が認められた。
上述のように、充電後、負荷の接続されていない状態でも、試験No.3、4(比較例
)では、すでに自己放電が認められたが、試験No.1、2(発明例)では認められなか
った。
)では、すでに自己放電が認められたが、試験No.1、2(発明例)では認められなか
った。
次に、負荷を接続し放電させた後、試験No.1〜4ついて、それぞれ観察および詳細
な分析を行なった結果、以下のような知見を得た。
試験No.1に関して:
・正極側では、上記6価の鉄酸バリウム(BaFeO4)が3価の鉄酸バリウムに
変化するだけで不溶性であり、溶出することはなかった。
・負極側では、2価の鉄酸バリウムが生成され、この2価の鉄酸バリウムが不溶性
であり、負極側の鉄が電解液に溶出しなかった。このことから、上記不溶性の2価の鉄酸
バリウムは、鉄が電解液に溶出するのを防止する障壁の役目を果たすものと推定される。
・電解液に全く着色は認められなかった。
試験No.2に関して:
・正極側では、上記6価の鉄酸ストロンチウム(SrFeO4)が3価の鉄酸スト
ロンチウムに変化するだけで不溶性であり、溶出することはなかった。
・負極側では、2価の鉄酸ストロンチウムが生成され、この2価の鉄酸ストロンチ
ウムが不溶性であり、負極側の鉄が電解液に溶出しなかった。このことから、上記不溶性
の2価の鉄酸ストロンチウムは、鉄が電解液に溶出するのを防止する障壁の役目を果たす
ものと推定される。
・電解液に全く着色は認められなかった。
試験No.3に関して:
・正極側では、活物質のNiOOHがNi(OH)2に変化するだけで不溶性であ
り、溶出することはなかった。
・負極側では、活物質としても機能する水酸化鉄Fe(OH)2が形成される。し
かし、この水酸化鉄Fe(OH)2は、KOHと反応して、さらに2価の鉄酸カリウムに
変化し、両電極間中心の電解液付近まで2価の鉄酸イオンとして多量に溶出していた。こ
の両電極間中心の電解液付近まで多量に溶出した2価の鉄酸イオンは、再度充電してもも
はや負極側へ戻すことが出来なかった。
・電解液は、上記2価の鉄酸イオンに起因した青緑色の着色が認められた。
試験No.4に関して:
・正極側では、活物質としての上記黒色の6価の鉄酸カリウム(K2FeO4)が
Fe3O4に変化するとともに、電解液KOHに6価の鉄酸イオン(FeO4 2-イオン
)として溶出した。
・負極側では、電解液KOHによる鉄の溶出とともに、さらに負極側で形成された
水酸化鉄Fe(OH)2がKOHと反応して、さらに2価の鉄酸カリウムに変化し、両電
極間中心の電解液付近まで2価の鉄酸イオンとして多量に溶出していた。この両電極間中
心の電解液付近まで多量に溶出した2価の鉄酸イオンは、再度充電してももはや負極側へ
戻すことが出来なかった。
・電解液は上記FeO4 2-イオンに起因した赤紫色の着色が認められた。
な分析を行なった結果、以下のような知見を得た。
試験No.1に関して:
・正極側では、上記6価の鉄酸バリウム(BaFeO4)が3価の鉄酸バリウムに
変化するだけで不溶性であり、溶出することはなかった。
・負極側では、2価の鉄酸バリウムが生成され、この2価の鉄酸バリウムが不溶性
であり、負極側の鉄が電解液に溶出しなかった。このことから、上記不溶性の2価の鉄酸
バリウムは、鉄が電解液に溶出するのを防止する障壁の役目を果たすものと推定される。
・電解液に全く着色は認められなかった。
試験No.2に関して:
・正極側では、上記6価の鉄酸ストロンチウム(SrFeO4)が3価の鉄酸スト
ロンチウムに変化するだけで不溶性であり、溶出することはなかった。
・負極側では、2価の鉄酸ストロンチウムが生成され、この2価の鉄酸ストロンチ
ウムが不溶性であり、負極側の鉄が電解液に溶出しなかった。このことから、上記不溶性
の2価の鉄酸ストロンチウムは、鉄が電解液に溶出するのを防止する障壁の役目を果たす
ものと推定される。
・電解液に全く着色は認められなかった。
試験No.3に関して:
・正極側では、活物質のNiOOHがNi(OH)2に変化するだけで不溶性であ
り、溶出することはなかった。
・負極側では、活物質としても機能する水酸化鉄Fe(OH)2が形成される。し
かし、この水酸化鉄Fe(OH)2は、KOHと反応して、さらに2価の鉄酸カリウムに
変化し、両電極間中心の電解液付近まで2価の鉄酸イオンとして多量に溶出していた。こ
の両電極間中心の電解液付近まで多量に溶出した2価の鉄酸イオンは、再度充電してもも
はや負極側へ戻すことが出来なかった。
・電解液は、上記2価の鉄酸イオンに起因した青緑色の着色が認められた。
試験No.4に関して:
・正極側では、活物質としての上記黒色の6価の鉄酸カリウム(K2FeO4)が
Fe3O4に変化するとともに、電解液KOHに6価の鉄酸イオン(FeO4 2-イオン
)として溶出した。
・負極側では、電解液KOHによる鉄の溶出とともに、さらに負極側で形成された
水酸化鉄Fe(OH)2がKOHと反応して、さらに2価の鉄酸カリウムに変化し、両電
極間中心の電解液付近まで2価の鉄酸イオンとして多量に溶出していた。この両電極間中
心の電解液付近まで多量に溶出した2価の鉄酸イオンは、再度充電してももはや負極側へ
戻すことが出来なかった。
・電解液は上記FeO4 2-イオンに起因した赤紫色の着色が認められた。
上述のように、負荷を接続し放電させた後、試験No.3、4(比較例)では、容量低
下が認められたが、試験No.1、2(発明例)では認められなかった。
下が認められたが、試験No.1、2(発明例)では認められなかった。
以上の結果より、本発明の実施例1に係る二次電池によれば、自己放電と容量低下が抑制できることが判明した。また、充電時に自然に正極活物質が生成されるため、通常ならば必要な正極剤合成および調整の工程も不要となり、安価な二次電池が実現できる。
なお、本実施例においては、正負電極材料として、純鉄を用いた場合について説明した
が、これに限定されるものではなく、炭素鋼に代表される各種鋼種等の鉄系材料を用いる
ことができる。また、本実施例においては、正負電極の形態として、板を用いた場合につ
いて説明したが、これに限定されるものではなく、線状、棒状、あるいは、鉄粉の焼結体
状や圧粉体状等、さまざまな形態のものを用いることができる。
が、これに限定されるものではなく、炭素鋼に代表される各種鋼種等の鉄系材料を用いる
ことができる。また、本実施例においては、正負電極の形態として、板を用いた場合につ
いて説明したが、これに限定されるものではなく、線状、棒状、あるいは、鉄粉の焼結体
状や圧粉体状等、さまざまな形態のものを用いることができる。
また、本実施例においては、電解液として、飽和濃度のものを使用したが、上述したよ
うに必ずしもこれに限定されるものではない。
うに必ずしもこれに限定されるものではない。
(実施例2)
本発明の実施例2の二次電池の作用効果を確証するため、以下のラボ試験を実施した。
本発明の実施例2の二次電池の作用効果を確証するため、以下のラボ試験を実施した。
下記表2の試験No.5、6、7(発明例)に示す正負極板と電解液を準備し、これらの電解液をそれぞれビーカーに注ぎ、正負極板を電解液内に浸漬し、対峙させた。また、下記表2の試験No.8、9(比較例)に示す正負極板と電解液を準備し、上記試験No.5、6、7と同様に、これらの電解液をそれぞれビーカーに注ぎ、正負極板を電解液内に浸漬し、対峙させた。
試験No.5に関して:
・正極側では、赤色の6価の鉄酸バリウム(BaFeO4)が生成され、鉄の金属
光沢から赤色に変色した。この6価の鉄酸バリウム(BaFeO4)は、鉄板からなる正
極との密着性が高く、電解液への脱落および溶出もないため、正極活物質としても適する
。また、この6価の鉄酸バリウム(BaFeO4)は、充電時に自然と生成されるため、
通常ならば必要な正極剤合成および調整の工程も不要となり、安価な二次電池の実現に寄
与する。
・負極側では何らの変化も認められなかった。
・電解液に全く着色は認められなかった。
試験No.6に関して:
・正極側では、赤色の6価の鉄酸ストロンチウム(SrFeO4)が生成され、鉄
の金属光沢から赤色に変色した。この6価の鉄酸ストロンチウム(SrFeO4)は、鉄
板からなる正極との密着性が高く、電解液への脱落および溶出もないため、正極活物質と
しても適する。また、この6価の鉄酸ストロンチウム(SrFeO4)は、充電時に自然
と生成されるため、通常ならば必要な正極剤合成および調整の工程も不要となり、安価な
二次電池の実現に寄与する。
・負極側では何らの変化も認められなかった。
・電解液に全く着色は認められなかった。
試験No.7に関して:
・正極側では、赤色の6価の鉄酸バリウム(BaFeO4)が生成され、鉄の金属光沢から赤色に変色した。この6価の鉄酸バリウム(BaFeO4)は、鉄板からなる正極との密着性が高く、電解液への脱落および溶出もないため、正極活物質としても適する。また、この6価の鉄酸バリウム(BaFeO4)は、充電時に自然と生成されるため、通常ならば必要な正極剤合成および調整の工程も不要となり、安価な二次電池の実現に寄与する。
・負極側では何らの変化も認められなかった。
・電解液に全く着色は認められなかった。
試験No.8に関して:
・正極側では何らの変化も認められなかった。
・負極側では、電解液KOHによる鉄の溶出があった。
・電解液は上記鉄の溶出により、青緑色の着色が認められた。
試験No.9に関して:
・正極表面近傍には、活物質としての黒色の6価の鉄酸カリウム(K2FeO4)が形成される。しかし、この6価の鉄酸カリウム(K2FeO4)は、鉄板からなる正極との密着性が悪く、かつ、可溶性のため、電解液KOHに6価の鉄酸イオン(FeO4 2-イオン)として溶出し、この6価の鉄酸イオン(FeO4 2-イオン)が、正極側から負極側へ移動したことが観察された。また、この6価の鉄酸イオン(FeO4 2-イオン)が負極側で還元されていた。
・負極表面では、電解液KOHによる亜鉛溶出に起因した水素ガスの発生が認められた。
上述のように、充電後、負荷の接続されていない状態でも、試験No.8、9(比較例
)では、すでに自己放電が認められたが、試験No.5、6、7(発明例)では認められなかった。
)では、すでに自己放電が認められたが、試験No.5、6、7(発明例)では認められなかった。
次に、負荷を接続し放電させた後、試験No.5〜9ついて、それぞれ観察および詳細
な分析を行なった結果、以下のような知見を得た。
試験No.5に関して:
・正極側では、上記6価の鉄酸バリウム(BaFeO4)が3価の鉄酸バリウムに
変化するだけで不溶性であり、溶出することはなかった。
・負極側では、亜鉛酸バリウムが生成され、この亜鉛酸バリウムが不溶性であり、負極側の亜鉛が電解液に溶出しなかった。このことから、上記不溶性の亜鉛酸バリウムは、亜鉛が電解液に溶出するのを防止する障壁の役目を果たすものと推定される。
・電解液に全く着色は認められず、負極側からのガスの発生もなかった。
試験No.6に関して:
・正極側では、上記6価の鉄酸ストロンチウム(SrFeO4)が3価の鉄酸スト
ロンチウムに変化するだけで不溶性であり、溶出することはなかった。
・負極側では、亜鉛酸ストロンチウムが生成され、この亜鉛酸ストロンチウムが不溶性であり、負極側の亜鉛が電解液に溶出しなかった。このことから、上記不溶性の亜鉛酸ストロンチウムは、亜鉛が電解液に溶出するのを防止する障壁の役目を果たすものと推定される。
・電解液に全く着色は認められず、負極側からのガスの発生もなかった。
試験No.7に関して:
・正極側では、上記6価の鉄酸バリウム(BaFeO4)が3価の鉄酸バリウムに
変化するだけで不溶性であり、溶出することはなかった。
・負極側では、亜鉛酸バリウムが生成され、この亜鉛酸バリウムが不溶性であり、負極側の亜鉛が電解液に溶出しなかった。このことから、上記不溶性の亜鉛酸バリウムは、亜鉛が電解液に溶出するのを防止する障壁の役目を果たすものと推定される。
・電解液に全く着色は認められず、負極側からのガスの発生もなかった。
試験No.8に関して:
・正極側では、活物質のNiOOHがNi(OH)2に変化するだけで不溶性であ
り、溶出することはなかった。
・負極側では、活物質としても機能する水酸化鉄Fe(OH)2が形成される。し
かし、この水酸化鉄Fe(OH)2は、KOHと反応して、さらに2価の鉄酸カリウムに
変化し、両電極間中心の電解液付近まで2価の鉄酸イオンとして多量に溶出していた。こ
の両電極間中心の電解液付近まで多量に溶出した2価の鉄酸イオンは、再度充電してもも
はや負極側へ戻すことが出来なかった。
・電解液は、上記2価の鉄酸イオンに起因した青緑色の着色が認められた。
試験No.9に関して:
・正極側では、活物質としての上記黒色の6価の鉄酸カリウム(K2FeO4)が
Fe3O4に変化するとともに、電解液KOHに6価の鉄酸イオン(FeO4 2-イオン)として溶出した。
・負極側では、電解液KOHによる亜鉛の溶出とともに、亜鉛酸カリウムに変化し、両電極間中心の電解液付近まで亜鉛酸イオンとして多量に溶出していた。この両電極間中心の電解液付近まで多量に溶出した亜鉛酸イオンは、再度充電してももはや負極側へ戻すことが出来なかった。
・電解液は上記FeO4 2-イオンに起因した赤紫色の着色が認められた。
な分析を行なった結果、以下のような知見を得た。
試験No.5に関して:
・正極側では、上記6価の鉄酸バリウム(BaFeO4)が3価の鉄酸バリウムに
変化するだけで不溶性であり、溶出することはなかった。
・負極側では、亜鉛酸バリウムが生成され、この亜鉛酸バリウムが不溶性であり、負極側の亜鉛が電解液に溶出しなかった。このことから、上記不溶性の亜鉛酸バリウムは、亜鉛が電解液に溶出するのを防止する障壁の役目を果たすものと推定される。
・電解液に全く着色は認められず、負極側からのガスの発生もなかった。
試験No.6に関して:
・正極側では、上記6価の鉄酸ストロンチウム(SrFeO4)が3価の鉄酸スト
ロンチウムに変化するだけで不溶性であり、溶出することはなかった。
・負極側では、亜鉛酸ストロンチウムが生成され、この亜鉛酸ストロンチウムが不溶性であり、負極側の亜鉛が電解液に溶出しなかった。このことから、上記不溶性の亜鉛酸ストロンチウムは、亜鉛が電解液に溶出するのを防止する障壁の役目を果たすものと推定される。
・電解液に全く着色は認められず、負極側からのガスの発生もなかった。
試験No.7に関して:
・正極側では、上記6価の鉄酸バリウム(BaFeO4)が3価の鉄酸バリウムに
変化するだけで不溶性であり、溶出することはなかった。
・負極側では、亜鉛酸バリウムが生成され、この亜鉛酸バリウムが不溶性であり、負極側の亜鉛が電解液に溶出しなかった。このことから、上記不溶性の亜鉛酸バリウムは、亜鉛が電解液に溶出するのを防止する障壁の役目を果たすものと推定される。
・電解液に全く着色は認められず、負極側からのガスの発生もなかった。
試験No.8に関して:
・正極側では、活物質のNiOOHがNi(OH)2に変化するだけで不溶性であ
り、溶出することはなかった。
・負極側では、活物質としても機能する水酸化鉄Fe(OH)2が形成される。し
かし、この水酸化鉄Fe(OH)2は、KOHと反応して、さらに2価の鉄酸カリウムに
変化し、両電極間中心の電解液付近まで2価の鉄酸イオンとして多量に溶出していた。こ
の両電極間中心の電解液付近まで多量に溶出した2価の鉄酸イオンは、再度充電してもも
はや負極側へ戻すことが出来なかった。
・電解液は、上記2価の鉄酸イオンに起因した青緑色の着色が認められた。
試験No.9に関して:
・正極側では、活物質としての上記黒色の6価の鉄酸カリウム(K2FeO4)が
Fe3O4に変化するとともに、電解液KOHに6価の鉄酸イオン(FeO4 2-イオン)として溶出した。
・負極側では、電解液KOHによる亜鉛の溶出とともに、亜鉛酸カリウムに変化し、両電極間中心の電解液付近まで亜鉛酸イオンとして多量に溶出していた。この両電極間中心の電解液付近まで多量に溶出した亜鉛酸イオンは、再度充電してももはや負極側へ戻すことが出来なかった。
・電解液は上記FeO4 2-イオンに起因した赤紫色の着色が認められた。
上述のように、負荷を接続し放電させた後、試験No.8、9(比較例)では、容量低
下が認められたが、試験No.5、6、7(発明例)では認められなかった。
下が認められたが、試験No.5、6、7(発明例)では認められなかった。
以上の結果より、本発明の実施例2に係る二次電池によれば、自己放電と容量低下が抑制できることが判明した。また、充電時に自然に正極活物質が生成されるため、通常ならば必要な正極剤合成および調整の工程も不要となり、安価な二次電池が実現できる。
なお、本実施例においては、正電極材料として、純鉄を用いた場合について説明した
が、これに限定されるものではなく、炭素鋼に代表される各種鋼種等の鉄系材料を用いる
ことができる。また、その形態として、板を用いた場合について説明したが、これに限定されるものではなく、線状、棒状、あるいは、鉄粉の焼結体状や圧粉体状等、さまざまな形態のものを用いることができる。
が、これに限定されるものではなく、炭素鋼に代表される各種鋼種等の鉄系材料を用いる
ことができる。また、その形態として、板を用いた場合について説明したが、これに限定されるものではなく、線状、棒状、あるいは、鉄粉の焼結体状や圧粉体状等、さまざまな形態のものを用いることができる。
また、本実施例においては、負電極材料として、純亜鉛および亜鉛(Zn)−ガリウム(Ga)合金を用いた場合について説明したが、これに限定されるものではなく、各種亜鉛系材料を用いることができる。また、その形態として、板を用いた場合について説明したが、これに限定されるものではなく、線状、棒状、あるいは、亜鉛やZn−Ga合金の粉の焼結体状や圧粉体状、ペースト状等、さまざまな形態のものを用いることができる。
また、本実施例においては、電解液として、飽和濃度のものを使用したが、上述したよ
うに必ずしもこれに限定されるものではない。
うに必ずしもこれに限定されるものではない。
(実施例3)
本発明の実施例3の二次電池の作用効果を確証するため、以下のラボ試験を実施した。
本発明の実施例3の二次電池の作用効果を確証するため、以下のラボ試験を実施した。
下記表3の試験No.10(発明例)に示す正負極板と電解液を準備し、この電解液をビーカーに注ぎ、正負極板を電解液内に浸漬し、対峙させた。また、下記表3の試験No.11(比較例)に示す正負極板と電解液を準備し、上記試験No.10と同様に、この電解液をビーカーに注ぎ、正負極板を電解液内に浸漬し、対峙させた。
試験No.10に関して:
・正極側では、赤色の6価の鉄酸バリウム(BaFeO4)が生成され、鉄の金属
光沢から赤色に変色した。この6価の鉄酸バリウム(BaFeO4)は、鉄板からなる正
極との密着性が高く、電解液への脱落および溶出もないため、正極活物質としても適する
。また、この6価の鉄酸バリウム(BaFeO4)は、充電時に自然と生成されるため、
通常ならば必要な正極剤合成および調整の工程も不要となり、安価な二次電池の実現に寄
与する。
・負極側では何らの変化も認められなかった。
・電解液に全く着色は認められなかった。
試験No.11に関して:
・正極表面近傍には、活物質としての黒色の6価の鉄酸カリウム(K2FeO4)が形成される。しかし、この6価の鉄酸カリウム(K2FeO4)は、鉄板からなる正極との密着性が悪く、かつ、可溶性のため、電解液KOHに6価の鉄酸イオン(FeO4 2-イオン)として溶出し、この6価の鉄酸イオン(FeO4 2-イオン)が、正極側から負極側へ移動したことが観察された。また、この6価の鉄酸イオン(FeO4 2-イオン)が負極側で還元されていた。
・負極表面では変化が認められなかった。
上述のように、充電後、負荷の接続されていない状態でも、試験No.11(比較例)では、すでに自己放電が認められたが、試験No.10(発明例)では認められなかった。
次に、負荷を接続し放電させた後、試験No.10、11について、それぞれ観察および詳細な分析を行なった結果、以下のような知見を得た。
試験No.10に関して:
・正極側では、上記6価の鉄酸バリウム(BaFeO4)が3価の鉄酸バリウムに
変化するだけで不溶性であり、溶出することはなかった。
・負極側では、変化は認められなかった。
・電解液に全く着色は認められず、負極からのガスの発生もなかった。
試験No.11に関して:
・正極側では、活物質としての上記黒色の6価の鉄酸カリウム(K2FeO4)が
Fe3O4に変化するとともに、電解液KOHに6価の鉄酸イオン(FeO4 2-イオン)として溶出した。
・負極側では、変化が認められなかった。
・電解液は上記FeO4 2-イオンに起因した赤紫色の着色が認められた。
試験No.10に関して:
・正極側では、上記6価の鉄酸バリウム(BaFeO4)が3価の鉄酸バリウムに
変化するだけで不溶性であり、溶出することはなかった。
・負極側では、変化は認められなかった。
・電解液に全く着色は認められず、負極からのガスの発生もなかった。
試験No.11に関して:
・正極側では、活物質としての上記黒色の6価の鉄酸カリウム(K2FeO4)が
Fe3O4に変化するとともに、電解液KOHに6価の鉄酸イオン(FeO4 2-イオン)として溶出した。
・負極側では、変化が認められなかった。
・電解液は上記FeO4 2-イオンに起因した赤紫色の着色が認められた。
上述のように、負荷を接続し放電させた後、試験No.11(比較例)では、容量低下が認められたが、試験No.10(発明例)では認められなかった。
以上の結果より、本発明の実施例3に係る二次電池によれば、自己放電と容量低下が抑制できることが判明した。また、充電時に自然に正極活物質が生成されるため、通常ならば必要な正極剤合成および調整の工程も不要となり、安価な二次電池が実現できる。
なお、本実施例においては、正電極材料として、純鉄を用いた場合について説明した
が、これに限定されるものではなく、炭素鋼に代表される各種鋼種等の鉄系材料を用いる
ことができる。また、その形態として、板を用いた場合について説明したが、これに限定されるものではなく、線状、棒状、あるいは、鉄粉の焼結体状や圧粉体状等、さまざまな形態のものを用いることができる。
が、これに限定されるものではなく、炭素鋼に代表される各種鋼種等の鉄系材料を用いる
ことができる。また、その形態として、板を用いた場合について説明したが、これに限定されるものではなく、線状、棒状、あるいは、鉄粉の焼結体状や圧粉体状等、さまざまな形態のものを用いることができる。
また、本実施例においては、負電極材料として、LaNi5を用いた場合について説明したが、これに限定されるものではなく、MNi5(M:ミッシュメタル)、TiFe、ZrNi2、Mg2Ni等の各種水素吸蔵合金系材料を用いることができる。その形態も板状に限定されるものではなく、線状、棒状、あるいは、水素吸蔵合金粉の焼結体状や圧粉体状、ペースト状等、さまざまな形態のものを用いることができる。
また、本実施例においては、電解液として、飽和濃度のものを使用したが、上述したよ
うに必ずしもこれに限定されるものではない。
うに必ずしもこれに限定されるものではない。
Claims (3)
- 鉄系材料を用いた正極と、この正極に対峙して配置された鉄系材料、亜鉛系材料もしくは水素吸蔵合金系材料のいずれかを用いた負極と、前記正極と負極の間に配置された電解液とを備え、前記電解液はバリウム塩またはストロンチウム塩を含有したことを特徴とする二次電池。
- 前記バリウム塩は、水酸化バリウムである請求項1に記載の二次電池。
- 前記ストロンチウム塩は、水酸化ストロンチウムである請求項1に記載の二次電池。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008192360A JP2009259765A (ja) | 2008-03-24 | 2008-07-25 | 二次電池 |
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008076141 | 2008-03-24 | ||
JP2008192360A JP2009259765A (ja) | 2008-03-24 | 2008-07-25 | 二次電池 |
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