以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。実施形態では、車両Vにおけるフードパネル15の後端15c付近に配置される歩行者用エアバッグ装置Mを例に採り、説明をする。実施形態の歩行者用エアバッグ装置M(以下「エアバッグ装置」と省略する)は、図1〜3に示すように、フードパネル15の後端15cの後側に近接した位置であって、左右のフロントピラー5L,5Rの間となる車両Vの左右方向の略中央となる位置に、配置されている。なお、本明細書では、特に断らない限り、前後、上下、及び、左右の方向は、それぞれ、車両Vの前後、上下、及び、左右の方向と一致させて、説明する。
実施形態の場合、車両Vのフロントバンパ6(図1参照)には、歩行者との衝突を検知可能な図示しないセンサが、配設されており、センサからの信号を入力させている図示しない作動回路が、センサからの信号に基づいて車両Vと歩行者との衝突を検知した際に、エアバッグ装置Mのインフレーター30を作動させるように、構成されている。
フードパネル15は、図1に示すように、車両Vにおけるエンジンルームの上方を覆うように配設されるもので、左右両縁側における後端15c近傍に配置される図示しないヒンジ部により、車両Vのボディ1側に対して、前開きで開閉可能に連結されている。フードパネル15は、実施形態の場合、鋼板や、アルミニウム(アルミニウム合金)等の板材からなり、図2,3に示すように、上面側のアウタパネル15aと、下面側に位置してアウタパネル15aより強度を向上させたインナパネル15bと、を備えている。フードパネル15は、後述するフロントウィンドシールド4に合わせて、図1に示すように、後端15c側を、左右方向の中央を前方に位置させ、左右両端側を後方に位置させるように、左右方向に対して湾曲させて構成されている。
フードパネル15の後方には、図2,3に示すように、ボディ1側の剛性の高いカウルパネル7aと、カウルパネル7aの上方の合成樹脂製のカウルルーバ7bとからなるカウル7が、配設されている。カウルルーバ7bは、後端側をフロントウィンドシールド4の下部4a側に連ならせるように、配設されている。このカウル7も、フードパネル15の後端15cの湾曲形状に合わせて、左右の中央を前方に位置させ、左右両端側を後方に位置させるように、左右方向に対して湾曲して、構成されている(図1参照)。また、カウル7の部位には、図1に示すように、ワイパ8が、配設されている。このワイパ8は、図2,3の二点鎖線に示すように、カウルルーバ7bから上方に突出するように、配設されている。フロントウィンドシールド4の左右の外方には、フロントピラー5L,5Rが、配設されている。
エアバッグ装置Mは、図2〜4に示すように、エアバッグ45と、エアバッグ45に膨張用ガスを供給するインフレーター30と、エアバッグ45とインフレーター30とを収納する収納部位としてのケース20と、折り畳まれたエアバッグ45を覆うエアバッグカバー25と、エアバッグ45の取付片部72(72L,72R)をケース20に取り付ける取付手段としての取付ブラケット100と、を備えている。
収納部位としてのケース20は、板金製として、図2,3に示すように、底壁部21と、底壁部21から上方に延びて上端側を開口させて構成される略四角筒形状の周壁部22と、を備えた略箱形状とされるもので、上端側の突出用開口20aから、膨張するエアバッグ45を突出させる構成である。底壁部21には、インフレーター30を取り付ける取付ボルト39と、エアバッグ45の取付片部72を取り付ける取付手段を構成する取付ボルト102と、を、それぞれ、挿通させてナット42,104止めして取り付けるための取付孔21aが、形成されている(図2〜4,17,18参照)。そして、実施形態のエアバッグ装置Mでは、ケース20の底壁部21が、取付片部72を取り付けるボディ1側の部材を構成している。ケース20は、前側の領域をフードパネル15の後端15cの直下に位置させ、後側の領域をフードパネル15より後側に位置させるように、配置されるもので、図示しないブラケットを利用して、ボディ1側のカウルパネル7aに取り付けられる構成である。また、ケース20は、図1に示すように、フードパネル15の後端15cの湾曲形状に合わせて、左右の中央を前方に位置させ、左右両端側を後方に位置させるように、左右方向に対して湾曲して、構成されている。
エアバッグカバー25は、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)等の軟質合成樹脂製とされるもので、ケース20の上端側の突出用開口20aを覆うように配置されて、エアバッグ45の展開膨張時に、エアバッグ45に押されて開き可能な扉部26を、有する構成とされている(図2,3,22参照)。このエアバッグカバー25は、所定箇所を、図示しない取付手段を用いて、ケース20に取り付けられている。
インフレーター30は、外形形状を略円柱状としたシリンダタイプのインフレーター本体31と、インフレーター本体31をケース20に取り付ける取付ブラケット35と、を備える構成とされている。
インフレーター本体31は、外形形状を略円柱状として、図3,4に示すように、軸方向を左右方向に略沿わせるようにして、エアバッグ45のバッグ本体46における後述する横膨張部48の前後左右の略中央となる位置の内部に、配置される構成である(図5,6の二点鎖線参照)。インフレーター本体31は、軸方向の一端側(先端側、実施形態の場合、左端31a側)に、膨張用ガスを吐出可能なガス吐出口を有したガス吐出部32を配設させて構成されるもので、軸方向の他端側(元部側、実施形態の場合、右端31b側)から延びる図示しないリード線を介して、作動回路と電気的に接続されている。
インフレーター本体31をケース20に取り付けるための取付ブラケット35は、図3,4に示すように、インフレーター本体31を保持する保持部36と、保持部36から下方に突出する複数(実施形態の場合、3個)の取付手段としての取付ボルト39と、を備える構成とされている。保持部36は、板金製として、インフレーター本体31の下面側を支持するように左右方向に略沿って延びる帯状として構成され、左右方向に沿った複数箇所(実施形態の場合、3箇所)に、インフレーター本体31を支持する支持片部37を、前後両側に突出させて、配置されている(図4参照)。各支持片部37は、インフレーター本体31の外周面を支持可能に、保持部36の前後の縁部から先端を前後方向の外方に向けつつ上側に向かって延びるように、傾斜して形成されるもので、前後で対称形とされている(図3参照)。実施形態の場合、支持片部37は、取付ボルト39に対応した位置に、形成されている。取付ボルト39は、保持部36の左右両端側と左右方向の略中央と、の3箇所に、それぞれ、下方に突出するように、形成されている。そして、実施形態では、この取付ブラケット35は、保持部36にインフレーター本体31を保持させた状態で、外周側からクランプ40を巻き付けることにより、インフレーター本体31を取り付ける構成である。クランプ40は、実施形態の場合、左右両端側の2箇所に、配置されている(図4参照)。
インフレーター30は、実施形態の場合、クランプ40を用いて、取付ブラケット35にインフレーター本体31を取り付けた状態で、後述する挿通孔55及び取付孔62から取付ボルト39を突出させるようにして、エアバッグ45内に収納される構成である(図7の二点鎖線参照)。そして、インフレーター30は、蓋パネル58から突出している各取付ボルト39を、ケース20の底壁部21から突出させてナット42止めすることにより、エアバッグ45とともに、ケース20に取り付けられる構成である(図3参照)。
エアバッグ45は、図5〜8に示すように、内部に膨張用ガスを流入させて膨張するバッグ本体46と、バッグ本体46の外周壁としての車体側壁部46aに結合される取付片部72と、バッグ本体46内においてインフレーター30の外周側を覆うインナチューブ80と、を備える構成とされている。
バッグ本体46は、膨張完了時の形状を、正面側から見て、左右に幅広の略U字形状とされるもので、フロントウィンドシールド4の下部4aに沿うように左右方向に略沿って配置される横膨張部48と、横膨張部48の両端からそれぞれ後方へ延びて左右のフロントピラー5L,5Rの前面の下部5a側を覆う縦膨張部65L,65Rと、を備えて構成されている。バッグ本体46は、膨張完了時に上面側に位置する歩行者側壁部46bと、歩行者側壁部46bと対向するように下面側に位置する車体側壁部46aと、を有し、歩行者側壁部46bと車体側壁部46aとの外周縁相互を、全周にわたって結合(縫着)させることにより、袋状とされている。
横膨張部48は、実施形態の場合、膨張完了時に、フードパネル15の後端15c側の部位から、カウル7を経て、フロントウィンドシールド4の下部4a側にかけての領域の上面側を、ワイパ8も含めて覆うように構成されている(図21,22参照)。横膨張部48における前後左右の略中央には、インフレーター30が収納される構成であり、車体側壁部46aにおいて、横膨張部48の前後左右の略中央となる位置には、図6に示すように、インフレーター30を内部に挿入させるための挿入用開口部49(挿入用領域、挿入用構成部)が、形成されている。
挿入用開口部49は、詳細には、車体側壁部46aにおいて、後述する前側中央テザー68,後側中央テザー67間であって、かつ、端側テザー69L,69R間の領域、すなわち、前後左右の略中央となる位置に形成されるもので、この挿入用開口部49を構成する領域は、車体側壁部46aの内側に補強パネル51を配置させて、車体側壁部46aと補強パネル51とを積層させた二層構造とされている(図9,10参照)。補強パネル51は、外形形状を、挿入用開口部49を全域にわたって覆い可能な略長方形状として構成されるもので、実施形態の場合、前縁51a側と後縁51b側とを、それぞれ、前側中央テザー68,後側中央テザー67の車体側壁部46aへの結合(縫合)時に、共縫いされて、車体側壁部46aに結合されている(図7参照)。補強パネル51の左右方向側の幅寸法W1(図9参照)は、インフレーター本体31の長さ寸法L1(図4参照)より大きく設定されて、平らに展開した状態のバッグ本体46の左右方向側の幅寸法W2(図6参照)の1/3程度に設定されている。
挿入用開口部49は、図9〜11に示すように、車体側壁部46aに形成される外側挿入用スリット53と、補強パネル51に形成される内側挿入用スリット54と、車体側壁部46aと補強パネル51とを貫通して形成される3つの挿通孔55と、車体側壁部46aの外周側に配置される蓋パネル58と、を備えている。
外側挿入用スリット53と内側挿入用スリット54とは、インフレーター30を挿入させるためのもので、図9に示すように、インフレーター本体31の軸方向に沿うように、左右方向に略沿って形成されている。外側挿入用スリット53と内側挿入用スリット54とは、バッグ本体46を平らに展開した状態で、前後方向側でずれて略平行に形成されている。具体的には、補強パネル51に形成される内側挿入用スリット54が、外側挿入用スリット53よりも前側にずれて、配置されている。実施形態では、外側挿入用スリット53と内側挿入用スリット54とは、長さ寸法を若干異ならせて構成されている。具体的には、外側挿入用スリット53は、長さ寸法L2を、内側挿入用スリット54の長さ寸法L3よりも若干小さく設定されている(図9,11参照)。内側挿入用スリット54は、長さ寸法L3を、左右両端側に配設される挿通孔55間の離隔距離D1(図9参照)と略同一として、構成され、インフレーター本体31の長さ寸法L1よりも小さく設定されている。具体的には、内側挿入用スリット54は、長さ寸法L3を、インフレーター本体31の長さ寸法L1の4/7程度に設定されている。また、バッグ本体46を平らに展開した状態においての外側挿入用スリット53と内側挿入用スリット54との離隔距離D2(図9参照)は、インフレーター本体31の外径寸法D3(図3参照)と略同等に、設定されている。
挿通孔55は、インフレーター30の取付ボルト39を突出させるためのもので、補強パネル51と車体側壁部46aとを貫通するように形成されて、左右方向に沿って3箇所に、形成されている。挿通孔55は、バッグ本体46を平らに展開した状態で、図9に示すように、内側挿入用スリット54よりも前側となる領域に、形成されている。すなわち、内側挿入用スリット54と外側挿入用スリット53とは、ともに、バッグ本体46を平らに展開した状態で、挿通孔55よりも後側の領域に、形成されている。
蓋パネル58は、可撓性を有したシート体から構成されるもので、車体側壁部46aの外周側において、外側挿入用スリット53を塞ぎ可能に構成されている(図9参照)。蓋パネル58は、外形形状を、左右方向側を幅広とした長方形状とされている。蓋パネル58の左右方向側の幅寸法W3(図9参照)は、インフレーター本体31の長さ寸法L1より小さく設定されている。この蓋パネル58の左右方向側の幅寸法W3は、補強パネル51の左右方向側の幅寸法W1の7/10程度に設定されている。蓋パネル58の前後方向側の幅寸法は、補強パネル51の前後方向側の幅寸法よりも小さく設定されている。そして、蓋パネル58は、後端58b側を、バッグ本体46を平らに展開した状態において、外側挿入用スリット53よりも後側となる位置(外側挿入用スリット53と後側中央テザー67との間となる位置)で、左右の略全域にわたって、車体側壁部46aに、結合(縫着)されている。蓋パネル58の後端58bを車体側壁部46aに結合(縫着)させる結合部位59は、図9に示すように、左右方向に沿って連続して形成される直線状とされるとともに、左右両端側に、先端を前方に向けるようにして、前後方向に沿った略直線状とされる端末部位60,60を配設させている。この結合部位59の端末部位60は、先端60aを、外側挿入用スリット53よりも前側に位置させるように、構成されている(図9参照)。蓋パネル58の前端58a側には、挿通孔55に対応して、インフレーター30の取付ボルト39を突出させるための取付孔62が、左右方向に沿って3箇所に、形成されている。すなわち、蓋パネル58は、バッグ本体46を平らに展開した状態において、内側挿入用スリット54と外側挿入用スリット53との配置領域を、全面にわたって覆うように、構成されている。実施形態の場合、蓋パネル58は、図20に示す2枚の蓋パネル用基布92を重ねて、前端側の部位を二つ折りするようにして、取付孔62周縁の部位を4枚重ね状として、形成されている。
バッグ本体46内には、膨張完了時における歩行者側壁部46bと車体側壁部46aとの離隔距離を規制可能に、歩行者側壁部46bと車体側壁部46aとを連結する後側中央テザー67と、前側中央テザー68と、端側テザー69(69L,69R)と、が、配設されている(図5〜8参照)。後側中央テザー67は、横膨張部48から左右の縦膨張部65L,65Rの領域内にかけて配置されるもので、横膨張部48における前後の中央より後方側となる領域(挿入用開口部49の後側の領域)において、平らに展開したバッグ本体46の後縁に略沿うように、全長にわたって緩やかな曲線状として、配置されている。この後側中央テザー67は、図7,8,19に示すように、車体側壁部46a側に配置される車体側部位93aと、歩行者側壁部46b側に配置される歩行者側部位93bと、の2枚のテザー用基布93から、形成されている。前側中央テザー68は、横膨張部48における前後の中央より前方側となる領域(挿入用開口部49の前側の領域)において、平らに展開したバッグ本体46の前縁に略沿うように、左右方向に沿った略直線状として、配置されている。前側中央テザー68も、図7,8,20に示すように、車体側壁部46a側に配置される車体側部位94aと、歩行者側壁部46b側に配置される歩行者側部位94bと、の2枚のテザー用基布94から、形成されている。端側テザー69(69L,69R)は、前側中央テザー68と後側中央テザー67との間の領域(挿入用開口部49の左方の領域と右方の領域)であって、各縦膨張部65L,65Rの前方となる位置に、それぞれ、配置されている。各端側テザー69L,69Rも、左右方向に沿った略直線状として、略左右対称形に、配置されている。この端側テザー69L,69Rも、それぞれ、図8,20に示すように、車体側壁部46a側に配置される車体側部位95aと、歩行者側壁部46b側に配置される歩行者側部位95bと、の2枚のテザー用基布95から、形成されている。
取付片部72(72L,72R)は、バッグ本体46と別体として、可撓性を有したシート体から構成されるもので、図6,14〜16に示すように、バッグ本体46の外周壁としての車体側壁部46aに、結合されている。この取付片部72(72L,72R)は、取付手段としての取付ブラケット100を用いて、ボディ1側の部材であるケース20の底壁部21に取り付けられる構成である(図17,18参照)。実施形態の場合、取付片部72(72L,72R)は、図6に示すように、バッグ本体46を平らに展開した状態において、挿入用開口部49と、各端側テザー69L,69Rと、の間となる2箇所に、略左右対称となる位置に、配設されている。また、各取付片部72は、前側中央テザー68と後側中央テザー67との間において、前後の略中央となる位置に、配設されている。
各取付片部72は、図14〜16に示すように、取付片本体73と、取付片本体73と車体側壁部46aとの間に配置される補強片部77と、を備える構成とされており、取付片本体73には、取付手段としての取付ブラケット100に形成される取付脚部としての取付ボルト102を挿通可能な貫通孔74が、形成されており、取付片本体73は、この貫通孔74の周縁で取付ブラケット100の取付プレート101を係止可能とされている。取付片本体73は、前後方向側を僅かに幅広とした略長方形状として、前後方向の略中央となる位置に、貫通孔74を、左右方向側で2個並設させて構成されている。補強片部77は、取付片本体73より外周縁77aを大きくするように、取付片本体73よりも一回り大きく形成されて、左右方向側を僅かに幅広とした略長方形状とされている。この補強片部77は、取付片本体73の外方となる外周縁77a側を、全周にわたって連続的に形成される結合部位78により、車体側壁部46aに結合(縫着)されている。取付片本体73は、図14に示すように、取付ボルト102を挿通させる貫通孔74を間にして対向する2箇所を、補強片部77を介して車体側壁部46aに結合(縫着)されている(図15参照)。実施形態では、取付片本体73は、前縁73a側と後縁73b側とを、それぞれ、補強片部77とともに、車体側壁部46aに縫着(結合)されており、換言すれば、取付片本体73は、補強片部77を介して車体側壁部46aに直接的に結合(縫着)されている。取付片本体73を車体側壁部46aに結合させる結合部位75F,75Rは、補強片部77を車体側壁部46aに縫着させている結合部位78よりも内周側の部位に形成されるもので、左右方向、すなわち、貫通孔74(取付ボルト102)の並設方向に略沿った直線状として、取付片本体73の左右の略全域にわたって、形成されている。そして、実施形態の取付片部72では、取付片本体73の周縁において、結合部位75F,75Rの配置されていない左縁73c側と右縁73d側とに、取付ブラケット100における取付プレート101を挿入させるための挿入用開口72aが、形成されている。この取付片部72は、図15,16の二点鎖線に示すように、取付ブラケット100における取付ボルト102を貫通孔74から突出させるようにして、取付ブラケット100における後述する取付プレート101を、車体側壁部46aと結合されていない取付片本体73の左縁73c側若しくは右縁73d側に形成される挿入用開口72aから、補強片部77と取付片本体73との間に挿入させるようにして、取付ブラケット100を保持させる構成とされている。そして、取付片本体73における結合部位75F,75R間の離隔距離D4(図14参照)は、取付プレート101の前後方向側の幅寸法より若干大きくして、挿入用開口72aからの取付プレート101の挿入作業と貫通孔74への取付ボルト102の挿通作業とを容易にできて、かつ、貫通孔74から取付ボルト102を突出させた状態を維持可能な寸法に、設定されている。
インナチューブ80は、可撓性を有したシート体から構成されるもので、図12,13に示すように、インフレーター本体31の外周側を覆うチューブ本体81と、チューブ本体81から延びるように配置されるカバー部85と、を備えている。
チューブ本体81は、平らに展開した状態での右端81bを元部側として、この右端81b側からインフレーター30を挿入させる構成とされるもので、左右両端側を開口させるとともに、先端側となる左端81a側を分岐させ、インフレーター本体31から吐出される膨張用ガスを左方と斜め右上方とに向かって流出させる2つの流出口82A,82Bを有する構成とされている(図12参照)。チューブ本体81には、インフレーター本体31を保持している取付ブラケット35の取付ボルト39を突出させるための挿通孔83が、左右方向に沿って3箇所に、形成されている。このチューブ本体81は、インフレーター本体31の外周側を、全域にわたって覆い可能に構成されるもので、平らに展開した状態の左右方向側の幅寸法W4(図12参照)を、バッグ本体46を平らに展開した状態においての挿入用開口部49における蓋パネル58の左右方向側の幅寸法W3より大きく設定されて、蓋パネル58より左右の外方に延びるように形成されている(図9参照)。また、チューブ本体81は、図20に示すチューブ本体用基布96を二つ折りして、対応する縁部相互を縫着(結合)させることにより、筒状とされている。
カバー部85は、左右方向側の幅寸法を、チューブ本体81と略同一として、元部85a側を、チューブ本体81における挿通孔83の前側近傍に結合(縫着)させて、チューブ本体81から後方に延びるように配置されている(図10参照)。カバー部85の元部85a付近において、チューブ本体81に形成される挿通孔83に対応した位置には、取付ブラケット35の取付ボルト39を突出させるための挿通孔86が、形成されている(図12,13参照)。カバー部85は、長さ寸法L4(挿通孔86から先端85bまでの距離、図12参照)を、バッグ本体46を平らに展開した状態の挿通孔55と外側挿入用スリット53との離隔距離D5(図9参照)よりも、大きく設定され、車両搭載時において、補強パネル51の内周側において外側挿入用スリット53よりも後方に延びるように、配設される構成である。このカバー部85は、左右方向の幅寸法を、チューブ本体81と略同一として構成されており、換言すれば、左右方向の幅寸法を、内側挿入用スリット54の長さ寸法L3よりも大きく設定されている。すなわち、カバー部85は、補強パネル51に形成される内側挿入用スリット54の内周側を、全域にわたって覆い可能な構成とされている。
エアバッグ45は、図19,20に示すように、バッグ本体46において車体側壁部46aを構成する車体側基布90及び歩行者側壁部46bを構成する歩行者側基布91と、蓋パネル58を構成する蓋パネル用基布92と、後側中央テザー67を構成するテザー用基布93と、前側中央テザー68を構成するテザー用基布94と、端側テザー69を構成するテザー用基布95と、インナチューブ80のチューブ本体81及びカバー部85を構成するチューブ本体用基布96,カバー用基布97と、車体側壁部46aにおける挿入用開口部49の部位に配置される補強パネル51と、取付片部72を構成する取付片本体73及び補強片部77と、から構成されている。なお、これらの基布(素材)は、ポリアミド糸やポリエステル糸等を織成して形成される織布の表面に、ガス漏れ防止用のコーティング剤を塗布させたコート布を、所定形状に裁断して形成されている。
取付片部72(72L,72R)をボディ1側のケース20の底壁部21に取り付ける取付手段としての取付ブラケット100は、それぞれ、取付頭部としての板金製の取付プレート101と、取付脚部としての取付ボルト102と、を備える構成とされている。すなわち、取付頭部としての取付プレート101は、取付脚部としての取付ボルト102から膨出して形成されている。取付プレート101は、外形形状を、図14の二点鎖線に示すように、左右方向側を幅広とした略長方形状として、取付片部72への取付時に、下面側を取付片本体73によって略全域にわたって覆われる構成とされている。取付ボルト102は、取付プレート101から下方に向かって突設されるもので、左右方向に沿って2個、並設されている。この取付ブラケット100は、取付片部72の取付片本体73から突出している取付ボルト102を、ケース20の底壁部21から突出させてナット104止めすることにより、取付片部72を、ボディ1側としてのケース20に取り付ける構成である(図17,18参照)。
次に、実施形態のエアバッグ装置Mの車両Vへの搭載について説明をする。インフレーター30は、クランプ40を利用して取付ブラケット35にインフレーター本体31を保持させた状態として、予め、インナチューブ80のチューブ本体81内に、取付ボルト39を挿通孔83から突出させるようにして、挿入させておく。このとき、取付ボルト39は、インナチューブ80のカバー部85に形成される挿通孔86も挿通させておく。そして、まず、エアバッグ45を、ケース20内に収納可能に折り畳み、折り畳まれたエアバッグ45の周囲を、折り崩れ防止用の破断可能な図示しないラッピング材により、くるんでおく。このとき、エアバッグ45における挿入用開口部49と、取付片部72と、の部位は、ラッピング材から露出させておく。次いで、挿入用開口部49の蓋パネル58を開けて、インフレーター30を、インナチューブ80ごと、外側挿入用スリット53,内側挿入用スリット54を経て、バッグ本体46内に挿入させ、各取付ボルト39を挿通孔55から突出させる。このとき、インナチューブ80のカバー部85をバッグ本体46内において平らに展開させておく。その後、蓋パネル58を、外側挿入用スリット53を覆うように閉じて、前端58a側の取付孔62に、各取付ボルト39を挿通させる。また、各取付片部72に、貫通孔74から取付ボルト102を突出させるようにして、取付ブラケット100を取り付けて、エアバッグ組付体AMを製造する。その後、エアバッグ組付体AMを、各取付ボルト39,102を底壁部21から突出させるようにして、ケース20内に収納させ、底壁部21から突出している各取付ボルト39,102に、ナット42,103を締結させれば、エアバッグ45(バッグ本体46)とインフレーター30とを、ケース20に取り付けることができ、また、取付片部72をケース20に連結させることができる。そして、エアバッグカバー25をケース20に取り付け、ケース20から延びる図示しないブラケットを、カウルパネル7aに取り付け、インフレーター本体31を、図示しない作動回路に接続させれば、エアバッグ装置Mを車両Vに搭載することができる。
実施形態のエアバッグ装置Mでは、図示しない作動回路が、フロントバンパ6に配置される図示しないセンサからの信号に基づいて、車両Vの歩行者との衝突を検知した際に、インフレーター30が作動されて、内部に膨張用ガスを流入させてエアバッグ45が膨張することとなり、膨張するエアバッグ45が、エアバッグカバー25の扉部26を押し開き、扉部26を押し開いて形成されるケース20の突出用開口20aから上方に向かって突出しつつ、フードパネル15の後端15cの上面からカウル7の上面にかけてと、フロントピラー5L,5Rの前面の下部5a側と、を覆うように、膨張を完了させることとなる(図1の二点鎖線及び図21,22参照)。
そして、実施形態のエアバッグ装置Mでは、取付手段としての取付ブラケット100を用いてボディ1側のケース20に取り付けられる取付片部72が、バッグ本体46と別体として構成されており、バッグ本体46を構成する外周壁(車体側壁部46a)には、取付ブラケット100の取付ボルト102を挿通させるための貫通孔は、形成されていない。そのため、バッグ本体46の外周壁(車体側壁部46a)付近の部位に取付手段としての取付ブラケット100を配置させる構成であっても、ガス漏れが生じることを抑えて、エアバッグ45の膨張完了後の内圧を的確に維持することができる。また、この取付片部72は、バッグ本体46の車体側壁部46a(外周壁)との間に、取付ブラケット100の取付頭部としての取付プレート101を配置させ、貫通孔74から取付脚部としての取付ボルト102を突出させておけば、取付ブラケット100を間にして対向する少なくとも2箇所が、結合部位75F,75Rによって車体側壁部46a側に結合されることから、取付片部72にのける貫通孔74の周縁で取付プレート101を係止して、取付ブラケット100を保持することができる。そのため、取付プレート101を取付片部72と車体側壁部46aとの間(実施形態の場合、取付片本体73と補強片部77との間)の挿入用開口72aに挿通させつつ、貫通孔74から取付ボルト102を突出させるようにして、取付ブラケット100を取付片部72に取り付ければ、取付ブラケット100をボディ1側のケース20に取り付けてエアバッグ45を車両Vに搭載するまで、取付ブラケット100を取付片部72に保持させておくことができ、ボディ1側への取付作業性も良好である。
したがって、実施形態のエアバッグ装置Mでは、エアバッグ45の車体側壁部46a付近の部位を車両のボディ1側に取り付ける構成であっても、膨張完了後のエアバッグ45が所定の内圧を維持することができる。
また、実施形態のエアバッグ装置Mでは、取付片部72は、貫通孔74を有する取付片本体73と、取付片本体73と外周壁としての車体側壁部46aとの間に配置されるとともに取付片本体73より外周縁77aを大きくして外周縁77a側を車体側壁部46aに取り付けられる補強片部77と、を備える構成とされ、取付片本体73は、結合部位75F,75Rの部位で、補強片部77とともに車体側壁部46aに縫着(結合)されて、車体側壁部46aに直接的に取り付けられている。そのため、取付片本体73と車体側壁部46aとの間に補強片部77を介在させることにより、取付片部72を利用したバッグ本体46のボディ1側への取り付けを一層強固に行うことができる。具体的には、実施形態の場合、取付片本体73を、補強片部77を介して車体側壁部46aに直接的に結合させていることから、取付片本体73自体を車体側壁部46aに結合させている結合部位75F,75Rの外周側に、さらに、補強片部77の外周縁77aを車体側壁部46aに結合させている結合部位78が、配置される構成であることから、エアバッグ45の展開膨張時に車体側壁部46aに作用する引張力を、結合部位75F,75R付近に集中することを抑制して、結合部位78付近の部位に分散させることができる。そのため、取付片部72の引張強度を向上させることができる。
実施形態では、取付片本体73は、補強片部77とともに車体側壁部46aに縫着されて、車体側壁部46aに直接的に取り付けられているが、図23に示す取付片部72Aのごとく、取付片本体73Aを、結合部位75AF,75ARの部位で、補強片部77Aのみに縫着(結合)させ、結合部位75AF,75ARよりも前後の外方となる位置で補強片部77Aの外周縁を車体側壁部46aに結合させている結合部位78Aにより、取付片本体73Aを、車体側壁部46aに間接的に取り付ける構成としてもよい。このような構成とすれば、取付片本体73Aは、取付片本体73Aの外方で、補強片部77Aの外周縁を車体側壁部46aに結合させている結合部位78Aによって車体側壁部46aに取り付けられることとなり、取付片本体73Aが、上述の取付片本体73と比較して、広い面で車体側壁部46aに取り付けられることとなって、エアバッグの展開膨張時に車体側壁部46aに作用する引張力を、広い面で受け止めることが可能となる。そのため、取付片部72Aの引張強度を向上させることができる。
また、図24,25に示すように、取付片部72B,72Cとして、貫通孔74B,74Cを、取付片本体73B,73Cと補強片部77B,77Cとを貫通させるように、構成したものを使用してもよい。このような構成とする場合、取付プレートを係止する貫通孔74B,74Cの周縁の部位が、二枚重ね状となり、貫通孔74B,74Cの周縁部位の強度を向上させることができる。図24に示す取付片部72Bでは、取付片本体73Bは、結合部位75BF,75BRの部位で、補強片部77Bのみに縫着(結合)され、結合部位75BF,75BRよりも前後の外方となる位置で補強片部77Bの外周縁を車体側壁部46aに結合させている結合部位78Bにより、車体側壁部46aに間接的に取り付けられる構成である。そのため、取付片本体73Bは、取付片本体73Bの外方で、補強片部77Bの外周縁を車体側壁部46aに結合させている結合部位78Bによって車体側壁部46aに取り付けられることとなり、取付片本体73Bが、広い面で車体側壁部46aに取り付けられることとなって、エアバッグの展開膨張時に車体側壁部46aに作用する引張力を、広い面で受け止めることが可能となる。そのため、取付片部72Bの引張強度を向上させることができる。図25に示す取付片部72Cでは、取付片本体73Cは、結合部位75CF,75CRの部位で、補強片部77Cとともに車体側壁部46aに縫着(結合)されて、車体側壁部46aに直接的に取り付けられている。そのため、取付片本体73Cを、補強片部77Cを介して車体側壁部46aに直接的に結合させることにより、取付片本体73C自体を車体側壁部46aに結合させている結合部位75CF,75CRの外周側に、さらに、補強片部77Cの外周縁77aを車体側壁部46aに結合させている結合部位78Cが、配置されることとなり、エアバッグの展開膨張時に車体側壁部46aに作用する引張力を、結合部位75CF,75CR付近に集中することを抑制して、結合部位78C付近の部位に分散させることができる。そのため、取付片部72Cの引張強度を向上させることができる。
さらに、実施形態のエアバッグ装置Mでは、取付ブラケット100が、取付頭部としての板金製の取付プレート101と、取付プレート101から突設される2つの取付ボルト102(取付脚部)と、を備える構成とされ、取付片部72における取付片本体73と車体側壁部46aとを結合させる結合部位75F,75Rが、取付ボルト102の並設方向に略沿った直線状に、形成されている。そのため、取付ブラケット100に2つの取付ボルト102を配設させることにより、各取付ボルト102をボディ1側の部材であるケース20の底壁部21に対してナット104止めする際に、取付プレート101が回転することを防止でき、ケース20の底壁部21への取付作業時の作業性を良好にすることができる。また、取付片本体73と車体側壁部46aとを結合させる結合部位75F,75Rを、取付ボルト102の並設方向(すなわち、左右方向)に略沿った直線状とすることにより、取付ボルト102を2個並設させる構成であっても、取付プレート101を、取付片本体73と車体側壁部46a(実施形態の場合、補強片部77)との間の挿入用開口72aに挿入させやすく、取付ブラケット100の取付片部72への取付作業性も良好である。なお、このような点を考慮しなければ、取付ボルトを2個並設させなくとも、1つのみ配設させる構成してもよく、また、取付ボルトを2個並設させる場合、取付片本体と車体側壁部とを結合させる結合部位を、取り付けボルトの並設方向と交差させるように、形成してもよい。また、実施形態では、取付片本体73と車体側壁部46aとを結合させる結合部位75F,75Rは、前後方向側で対向するように2本配設されて、取付片本体73の左縁73c側と右縁73d側とに、挿入用開口72aを設けるように構成されているが、結合部位の形状はこれに限られるものではなく、一辺側のみに挿入用開口を設けた略「コ」字形状に、結合部位を形成してもよい。さらには、結合部位としては、取付ブラケットを間にして対向する状態であれば、平行としなくともよく、例えば、略V字形状としたり、あるいは、直線状とせず、取付プレート挿入用の開口を残すように、取付プレートの周囲を覆う略円弧状としてもよい。
実施形態のエアバッグ装置Mでは、折り畳まれたエアバッグ45にインフレーター30と取付手段としての取付ブラケット100とを取り付けて構成されるエアバッグ組付体AMが、底面(下面)側から、インフレーター30の取付ボルト39と取付ブラケット100の取付ボルト102とを突出させるように構成されており、このエアバッグ組付体AMを、底壁部21に載置させるようにして、ケース20内に収納させ、ケース20の底壁部21の取付孔21aから突出している各取付ボルト39,102を、ナット42,104止めして底壁部21に固定させるようにして、エアバッグ装置Mを製造している。実施形態では、エアバッグ組付体AMの形成時、取付ブラケット100の取付プレート101が、折り畳まれたエアバッグ45によって、取付片部72側に押し付けられた状態となることから、取付ボルト102を、エアバッグ組付体AMの底面側からの突出状態を安定して維持できることとなる。そのため、取付ボルト102を底壁部21の所定位置に配置させるようにエアバッグ組付体AMをケース20に収納させれば、特に目視しなくとも、エアバッグ組付体AMの底面側から突出している取付ブラケット100の取付ボルト102を、インフレーター30の取付ボルト39とともに、それぞれ、ケース20の底壁部21に形成される取付孔21aに挿入させて、底壁部21から突出させることができる。そして、この底壁部21から突出している取付ボルト102を、底壁部21に取り付けることにより、取付ブラケット100をボディ1側としてのケース20に取り付けることができる。同時に、底壁部21から突出している取付ボルト39を底壁部21に取り付けることにより、インフレーター30もケース20に取り付けることができる。そのため、取付ボルト102のボディ1側としてのケース20への取付作業が容易であり、実施形態のごとく、取付ブラケット100を左右方向側で離れた2箇所に配設させる構成である場合にも、取付ブラケット100のケース20への取付作業性が良好となる。特に、実施形態のエアバッグ装置Mにおいて、エアバッグ組付体AMは左右方向に沿った長尺状とされており、2つの取付ブラケット100,100の間に、インフレーター30をケース20に取り付けるための3つの取付ボルト39も、配設されて、左右方向に沿った長尺状のケース20に収納させる構成であるが、取付ブラケット100の取付ボルト102も、インフレーター30の取付ボルト39も、ともに、エアバッグ組付体AMの底面(下面)側から下方に突出するように配設されており、単に、エアバッグ組付体AMを底壁部21に載置させるようにして、ケース20内に収納させるだけで、各取付ボルト39,102を底壁部21の取付孔21aに挿通させるようにして、底壁部21から突出させることができ、ケース20に容易に取り付けることができる。
実施形態のエアバッグ装置Mは、歩行者を保護するためのものである。歩行者用のエアバッグ装置は、他の車室内に搭載される種々のエアバッグ装置と比較して、膨張完了後、保護対象としての歩行者を受け止めるまでの時間が長く、膨張完了後、所定時間経過後にも高い内圧維持性能が必要とされるが、実施形態のエアバッグ装置Mでは、車体側壁部46a側をボディ1側のケース20に連結させるための取付ブラケット100を、車体側壁部46aに直接取り付けていないことから、ガス漏れを抑制でき、エアバッグ45を、膨張完了から所定時間経過後にも、高い内圧を維持させることができ、高い内圧を維持した状態のエアバッグ45により、歩行者を的確に受け止めることができる。また、ケース20側に連結させる取付片部72は、バッグ本体46とは別体とされているが、前縁側と後縁側とを車体側壁部46aに結合させて構成されていることから、エアバッグ45の膨張完了時に、車体側壁部46aにおける取付片部72近傍の部位を、極力、ケース20の底壁部21に近接させることができる(図22参照)。そのため、エアバッグ45の展開膨張時に、車体側壁部46aにおける取付片部72近傍の部位が、底壁部21から大きく離れることを抑制して、底壁部21との近接状態を維持することができる。特に、実施形態のエアバッグ45では、各取付片部72は、インフレーター30を挿入させるための挿入用開口部49を間にして、左右方向側で離隔した位置に配置されており、詳細には、縦膨張部65L,65Rの前方に形成される端側テザー69L,69Rの左右の内方となる位置に、配設される構成である。そのため、エアバッグ45が、左右に幅広に膨張する横膨張部48の左右両端側から、さらに後方に延びる縦膨張部65L,65Rを有して、広いエリアを覆うように膨張する構成であっても、展開膨張時に、横膨張部48の両端側の部位がケース20から浮き上がることを、取付片部72によって的確に抑制でき、縦膨張部65L,65Rが展開膨張時に揺動することも抑制できて、エアバッグ45を、迅速かつ安定して、広いエリアを覆うように膨張させることができる。
なお、実施形態では、車両のカウルの領域に搭載される歩行者用エアバッグ装置を例に採り説明したが、本発明のエアバッグ装置は、バッグ本体の外周壁に、別体の取付片部を設け、この取付片部をボディ側に取り付ける構成のエアバッグを使用するエアバッグ装置であれば、歩行者用のエアバッグ装置に限られるものではない。