JP6819124B2 - 樹脂組成物、並びにこれを使用したコート層を備える成形用フィルム、成形フィルム、及び樹脂成形品 - Google Patents

樹脂組成物、並びにこれを使用したコート層を備える成形用フィルム、成形フィルム、及び樹脂成形品 Download PDF

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Description

本発明は、フィルム基材に対して高い密着性を有すると共に、耐熱性、耐溶剤性等にも優れるコート層を形成可能な樹脂組成物と、当該樹脂組成物を使用したコート層を備える成形用フィルム、並びに当該成形用フィルムを表面に貼着した成形フィルム、及び樹脂成形品に関する。
従来、無水マレイン酸で変性したポリオレフィン樹脂(以降、無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂と称す)は、PET、ポリカーボネートなどの極性基材だけでなく、ポリオレフィン等の非極性基材への密着性に優れる。そのため、フィルム製品や樹脂製品の表面にコート層を形成するための樹脂組成物として用いられることが知られている。この種の樹脂組成物としては、例えば特許文献1がある。
ところで、この種のコート層は、フィルム製品や樹脂製品の表面へ直接塗布形成するのみならず、フィルム基材の一方面にコート層を積層した中間製品である成形用フィルムとして別途製造したうえで、当該成形用フィルムをフィルム製品や樹脂製品の表面へ貼着する(成形する)こともある。この場合、当該中間製品である成形用フィルムは、コート層を硬化させた状態で、単独で(フィルム製品等に貼着する前の状態で)保管・輸送される。しかし、成形用フィルムを単独で保管する際、管理コスト削減のため温度調節(空調)しない倉庫で長期保管されることが近年では多くなっている。これは、船便輸送におけるコンテナ内でも同様である。船便輸送におけるコンテナ内では60℃に達する場合もある。
この場合、無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂を主成分とする樹脂組成物からなるコート層を備える成形用フィルムは、船便輸送時や夏季の倉庫保管時等の高温雰囲気に曝されると、コート層の表面にタック性(粘着性)が発現して、表面がベトベトしてしまう。然るに、このようなコート層を備える成形用フィルムが、例えばロール状に巻回して保管する場合や、シート状で積層保管する場合に高温に晒されると、重なり合った成形用フィルム同士において一方のフィルム基材と他方のコート層とがブロッキング(接合)する問題が発生する。したがって、無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂を主成分とするコート層には、高温雰囲気においても表面にタック性が発現せず、且つブロッキングしない耐熱性が求められる。
また、無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂は、非極性基であるオレフィン部位と、極性基である無水マレイン酸部位を有しているため、非極性溶剤と極性溶剤の双方に対して、耐溶剤性が劣る。したがって、無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂を主成分とするコート層では、非極性溶剤と極性溶剤のいずれの溶剤に曝された場合でも、コート層とフィルム基材とが剥離する問題が発生する。
さらに、無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂を主成分とするコート層は、高湿雰囲気に曝されると、浸入した水により無水マレイン環が開環され、カルボン酸が生成する。この場合、生成したカルボン酸によって組成がより親水性となるため、さらに水を侵入させ易くなるという悪循環が生じる。
しかも、無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂を主成分とするコート層は、高湿雰囲気に曝された場合、浸入する水により劣化してコート層とフィルム基材とが剥離する問題が発生しており、耐湿密着性が劣る。つまり、無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂はフィルム基材に対して優れた密着性を有するが、上記のように耐熱性、耐溶剤性、耐湿密着性において劣る。
特開平11−217537号公報
そこで、本発明は上記事情に鑑みて成し遂げられたものであり、その目的は、フィルム基材に対して高い密着性を有すると共に、耐熱性、耐溶剤性、耐湿密着性にも優れるコート層を形成可能な樹脂組成物と、当該樹脂組成物を使用したコート層を備える成形用フィルム、並びに当該成形用フィルムを表面に貼着した成形フィルム、及び樹脂成形品を提供することにある。
そのための手段として、本発明は次の手段を採る。
(1)(A)無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対し、(B)多官能チオール化合物を5〜25質量部、(C)多官能エン化合物を5〜35質量部含有する、樹脂組成物。
(2)前記(A)成分が、炭素数2〜4のα−オレフィンの(共)重合体の、無水マレイン酸グラフト変性樹脂、すなわち炭素数2〜4のα−オレフィンの(共)重合体を無水マレイン酸でグラフト変性した樹脂である、(1)に記載の樹脂組成物。なお、本発明において「(共)重合体」とは、1種のモノマーのみを単独重合した重合体、又は複数種のモノマーを共重合した共重合体を意味する。
(3)前記(A)成分が、炭素数2〜4のα−オレフィンと無水マレイン酸との共重合体の、無水マレイン酸グラフト変性樹脂、すなわち炭素数2〜4のα−オレフィンと無水マレイン酸との共重合体を、無水マレイン酸でグラフト変性した樹脂である、(1)に記載の樹脂組成物。
(4)前記(B)成分が、下記(式1)示される多官能チオール化合物である、(1)ないし(3)のいずれかに記載の樹脂組成物。
Figure 0006819124

(式中のaは2〜3の整数であり、bは0又は1であり、cは1〜2の整数であり、aとbとcの和は4である。Rは、メチレン基、エチレン基又はイソプロピレン基である。Rは、下記(式2)又は(式3)で表される2価の官能基である。Rは、メチル基又はエチル基である。Rは、炭素数が1〜12の炭化水素基である。)
Figure 0006819124

(Rは水素原子又はメチル基である。)
Figure 0006819124

(Rは水素原子又はメチル基である。)
(5)前記(B)成分が、下記(式4)で示される多官能チオール化合物である、(1)ないし(3)のいずれかに記載の樹脂組成物。
Figure 0006819124

(式中のdは2〜5の整数であり、eは0〜2の整数であり、fは1〜4の整数であり、dとeとfの和は6である。Rは、メチレン基、エチレン基又はイソプロピレン基である。Rは、下記(式2)又は(式3)で表される2価の官能基である。Rは、メチル基又はエチル基である。Rは、炭素数が1〜12の炭化水素基である。Rは下記(式5)で表される6価の官能基である。)
Figure 0006819124

(Rは水素原子又はメチル基である。)
Figure 0006819124

(Rは水素原子又はメチル基である。)
Figure 0006819124

(6)前記(B)成分が、下記(式6)で示される多官能チオール化合物である、(1)ないし(3)のいずれかに記載の樹脂組成物。
Figure 0006819124

(式中のgは1であり、hは2である。Rは下記(式7)で表される3価の基であり、Rは下記(式2)又は下記(式3)で表される2価の基である。Rは炭素数が1〜12の炭化水素基である。)
Figure 0006819124

(式中のR10は−CH−、−CHCH−、又はCHCH(CH)−である。)
Figure 0006819124

(Rは水素原子又はメチル基である。)
Figure 0006819124

(Rは水素原子又はメチル基である。)
(7)前記(A)成分100質量部に対し、さらに(D)光重合開始剤を0.01〜10質量部含有する、(1)ないし(6)のいずれかに記載の樹脂組成物。
(8)フィルム基材の一方面に、(1)ないし(7)のいずれかに記載の樹脂組成物からなる未硬化のコート層を有する、成形用フィルム。
(9)前記未硬化のコート層を光硬化した、(8)に記載の成形用フィルム。
(10)(8)又は(9)に記載の成形用フィルムが、前記コート層を介してフィルム製品に貼着されている、成形フィルム。
(11)(8)又は(9)に記載の成形用フィルムが、前記コート層を介して樹脂製品の表面に貼着されている、樹脂成形品。
なお、(9)に記載の発明は、換言すれば、「フィルム基材の一方面に、(1)ないし(7)のいずれかに記載の樹脂組成物を光硬化したコート層を有する、成形用フィルム」とも言える。または、「フィルム基材の一方面に、(1)ないし(7)のいずれかに記載の樹脂組成物の光硬化層からなるコート層を有する、成形用フィルム」とも言える。さらに、「前記未硬化のコート層が光硬化済みである、(8)に記載の成形用フィルム」とも言える。
本発明において数値範囲を示す「○○〜××」とは、特に明示しない限り「○○以上××以下」を意味する。
本発明の樹脂組成物は、(A)無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂に対して、(B)多官能チオール化合物と(C)多官能エンがバランス良く配合されている。これにより、成形用フィルムとして保管・輸送する際に、フィルム基材に対して高い密着性を有すると共に、耐熱性、耐溶剤性、耐湿密着性にも優れるコート層を形成可能となる。これは、多官能チオールと多官能エンの付加反応により精密な架橋ネットワークを形成するためである。これにより、水分バリア性も向上する。したがって、仮にコート層が高湿雰囲気に曝されても、水の浸入による無水マレイン環の開環を抑制することができる。また、例え一部の無水マレイン環が開環されてカルボン酸が生成したとしても、当該生成したカルボン酸は架橋ネットワークに取り込まれているため、コート層の劣化が抑制される。また、架橋ネットワークに取り込まれたカルボン酸は密着性の向上に寄与するため、基材に対する密着性が低下しない。
一方、チオール−エン反応により生じるチオエーテル結合は、C、O、Nといった原子での結合と比べて結合角や結合長が柔軟に変化できることから硬化収縮が少なく、基材に対する密着性も低下しない。
以下に、本発明について詳しく説明する。本発明の樹脂組成物は、下記(A)、(B)及び(C)成分を必須成分とし、任意に(D)成分をさらに含有する樹脂組成物である。
<(A)無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂>
無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂としては、炭素数2〜4のα−オレフィンの(共)重合体の、無水マレイン酸グラフト変性樹脂、すなわち炭素数2〜4のα−オレフィンの(共)重合体を、無水マレイン酸でグラフト変性した樹脂を使用できる。また、炭素数2〜4のα−オレフィンと無水マレイン酸との共重合体の、無水マレイン酸グラフト変性樹脂、すなわち炭素数2〜4のα−オレフィンと無水マレイン酸との共重合体を、無水マレイン酸でグラフト変性した樹脂も使用できる。
無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂における無水マレイン酸のグラフト重量は、0.1〜20重量%が好ましく、より好ましくは1.5〜20重量%である。また、α−オレフィンと無水マレイン酸との共重合体中の無水マレイン酸の含有率は0.1〜50重量%とすればよい。
無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂の重量平均分子量は、10,000〜200,000が好ましい。より好ましくは13,000〜200,000である。無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂の重量平均分子量が10,000より小さいと、高温時のタック性が発現しやすくなる傾向がある。一方、重量平均分子量が200,000より大きいと、他の成分に対する溶解性が低くなる可能性がある。
<(B)多官能チオール化合物>
多官能チオール化合物は、末端に複数のチオール基を有するものである。中でも、下記(式1)、(式4)、又は(式6)で表されるチオエーテル含有(メタ)アクリレート誘導体が挙げられる。なお、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。多官能チオール化合物は、1種のみを単独で使用することもできるし、2種以上を混合使用することもできる。
Figure 0006819124

(式中のaは2〜3の整数であり、bは0又は1であり、cは1〜2の整数であり、aとbとcの和は4である。Rは、メチレン基、エチレン基又はイソプロピレン基である。Rは、下記(式2)又は(式3)で表される2価の官能基である。Rは、メチル基又はエチル基である。Rは、炭素数が1〜12の炭化水素基である。)
Figure 0006819124

(式中のdは2〜5の整数であり、eは0〜2の整数であり、fは1〜4の整数であり、dとeとfの和は6である。Rは、メチレン基、エチレン基又はイソプロピレン基である。Rは、下記(式2)又は(式3)で表される2価の官能基である。Rは、メチル基又はエチル基である。Rは、炭素数が1〜12の炭化水素基である。Rは下記(式5)で表される6価の官能基である。)
Figure 0006819124

(式中のgは1であり、hは2である。Rは下記(式7)で表される3価の基であり、Rは下記(式2)又は下記(式3)で表される2価の基である。Rは炭素数が1〜12の炭化水素基である。)
Figure 0006819124

(Rは水素原子又はメチル基である。)
Figure 0006819124

(Rは水素原子又はメチル基である。)
Figure 0006819124

Figure 0006819124

(式中のR10は−CH−、−CHCH−、又はCHCH(CH)−である。)
(式1)、(式4)、(式6)で示されるチオエーテル含有(メタ)アクリレート誘導体は、一部のチオール基を変性させ、チオール基よりも極性を低下させることで、極性の高い部位と極性の低い部位をバランスよく有することとなり、(A)無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂との相溶性が向上する。これにより、樹脂組成物全体に架橋ネットワークを形成しやすく、より良好な耐ブロッキング性、耐溶剤性、及び耐湿熱性を示す。また、5官能以下のチオール化合物がさらに好ましい。6官能以上のチオール化合物の場合、架橋密度が高く硬化収縮が大きくなることで、密着力が低下する可能性がある。
多官能チオール化合物の重量平均分子量は、350〜1,500が好ましい。多官能チオール化合物の重量平均分子量が350より小さくても密着性に関しては問題ないが、揮発性が高くなり臭気が強くなる傾向がある。一方、重量平均分子量が1,500より大きいと、密着性に関しては問題ないが、他の成分に対する溶解性が低くなる可能性がある。
<(C)多官能エン化合物>
多官能エン化合物としては、例えば多官能(メタ)アクリレート、多官能アリル、多官能ビニルエーテルが挙げられる。
(C)成分である多官能(メタ)アクリレートは、末端に(メタ)アクリロキシ基を有しており、その好ましい例として下記(式8)で表される化合物が挙げられる。なお、(C)成分である多官能(メタ)アクリレートは、1種のみを単独で使用することもできるし、2種以上を混合使用することもできる。
Figure 0006819124

(式中のiは2〜8の整数であり、R11は炭素数2〜20の炭化水素基、炭素数2〜40のエーテル酸素(−O−)と炭化水素基のみからなる基、又はイソシアヌレート環若しくはイソシアヌレート環と炭化水素基のみからなる基であり、R12は水素原子またはメチル基である。)
多官能(メタ)アクリレートの(メタ)アクリレート当量は、80〜400g/molが好ましい。(メタ)アクリレート当量が80g/molより小さいと、単位体積あたりの(メタ)アクリロキシ基が過剰になって(B)多官能チオール化合物のチオール基と未反応の(メタ)アクリロキシ基が多量に残存することで、樹脂組成物を硬化した接着層の靭性が低下し、接着性が低下するおそれがある。一方、(メタ)アクリレート当量が400g/molより大きくなると、(メタ)アクリロキシ基濃度が著しく低いことから(B)多官能チオール化合物のチオール基との反応効率が低下することで、接着層の靭性が低下し、接着性が低下する場合がある。
(C)成分である多官能アリルは、末端にアリル基を有しており、その好ましい例として下記(式9)で表される化合物が挙げられる。なお、(C)成分である多官能アリルは、1種のみを単独で使用することもできるし、2種以上を混合使用することもできる。
Figure 0006819124

(式中のjは2〜8の整数であり、R13は炭素数2〜20の炭化水素基、炭素数2〜40のエーテル酸素(−O−)と炭化水素基のみからなる基、またはイソシアヌレート環若しくはイソシアヌレート環と炭化水素基のみからなる基である。)
多官能アリルのアリル当量は、80〜200g/molが好ましい。アリル当量が80g/molより小さいと、単位体積あたりのアリル基が過剰になって(B)多官能チオール化合物のチオール基と未反応のアリル基が多量に残存することで、接着層用樹脂組成物を硬化した接着層の靭性が低下し、接着性が低下するおそれがある。一方、アリル当量が200g/molより大きくなると、アリル基濃度が著しく低いことから(B)多官能チオール化合物のチオール基との反応効率が低下することで、接着層の靭性が低下し、接着性が低下する場合がある。
(C)成分である多官能ビニルエーテルは、末端にビニルエーテ基を有しており、その好ましい例として下記(式10)で表される化合物が挙げられる。なお、(C)成分である多官能ビニルエーテルは、1種のみを単独で使用することもできるし、2種以上を混合使用することもできる。
Figure 0006819124

(式中のkは2〜8の整数であり、R14は炭素数2〜20の炭化水素基、炭素数2〜40のエーテル酸素(−O−)と炭化水素基のみからなる基、またはイソシアヌレート環若しくはイソシアヌレート環と炭化水素基のみからなる基である。)
多官能ビニルエーテルのビニルエーテル当量は、60〜200g/molが好ましい。ビニルエーテル当量が60g/molより小さいと、単位体積あたりのビニルエーテル基が過剰になって(B)多官能チオール化合物のチオール基と未反応のビニルエーテル基が多量に残存することで、接着層用樹脂組成物を硬化した接着層の靭性が低下し、接着性が低下するおそれがある。一方、ビニルエーテル当量が200g/molより大きくなると、ビニルエーテル基濃度が著しく低いことから(B)多官能チオール化合物のチオール基との反応効率が低下することで、接着層の靭性が低下し、接着性が低下する場合がある。
多官能エンの重量平均分子量は、100〜1,000が好ましい。多官能エンの重量平均分子量が100より小さくても密着性に関しては問題ないが、揮発性が高くなり臭気が強くなる傾向がある。一方、重量平均分子量が1,000より大きいと、密着性に関しては問題ないが、他の成分に対する溶解性が低くなる可能性がある。
<(D)光重合開始剤>
光重合開始剤は、チオール基とビニル基との反応を促進するために任意に添加され、樹脂組成物の硬化に必要な光照射を少なくすることが可能であり、光照射時間のタクトタイムを短縮することができる。光重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤、光カチオン重合開始剤、光アニオン重合開始剤等があげられる。光ラジカル重合開始剤は、反応時間を短縮する際に用いることが好ましく、光カチオン重合開始剤は、硬化収縮を小さくする際に用いることが好ましく、光アニオン重合開始剤は、電子回路等の分野での接着性を付与する際に用いることが好ましい。なお、熱重合開始剤においても、加熱することで樹脂組成物の硬化を促進することができるが、保存安定性が低下する可能性があるため好ましくない。
光ラジカル重合開始剤としては、例えば、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド等が挙げられる。
光カチオン重合開始剤としては、例えば、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスファート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート、シクロプロピルジフェニルスルホニウムテトラフルオロボラート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスファート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアルセナート、2−(3,4−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボラート、トリフェニルスルホニウムブロミド、トリ−p−トリルスルホニウムヘキサフルオロホスファート、トリ−p−トリルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート等が挙げられる。
光アニオン重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン o−ベンゾイルオキシム、ニフェジピン、2−(9−オキソキサンテン−2−イル)プロピオン酸1,5,7−トリアザビシクロ[4,4,0]デカ−5−エン、2−ニトロフェニルメチル4−メタクリロイルオキシピペリジン−1−カルボキシラート、1,2−ジイソプロピル−3−〔ビス(ジメチルアミノ)メチレン〕グアニジウム2−(3−ベンゾイルフェニル)プロピオナート、1,2−ジシクロヘキシル−4,4,5,5−テトラメチルビグアニジウム n-ブチルトリフェニルボラート等が挙げられる。
<樹脂組成物の組成比(配合バランス)>
樹脂組成物は、(A)無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対し、(B)多官能チオール化合物が5〜25質量部、(C)多官能エン化合物が5〜35質量部となるように配合する。(B)多官能チオール化合物の配合量が5質量部未満又は25質量部を超えると、得られるコート層の耐熱性、耐溶剤性、及び耐湿性が劣る傾向にある。また、(C)多官能エン化合物の配合量が5質量部未満又は35質量部を超えると、耐熱性、耐溶剤性、及び耐湿性が劣る傾向にある。
(D)光重合開始剤を任意成分として配合する場合は、(A)無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対し、(D)光重合開始剤が0.01〜10質量部、好ましくは0.1〜5質量部となるように配合する。(A)成分100質量部に対して(D)成分の配合量が0.01質量部未満では、チオール基とビニル基の反応が進行するのに多くの積算光量が必要となる。一方、10質量部を超えると架橋密度が低くなり、得られるコート層の耐熱性、耐溶剤性が低下する場合がある。
樹脂組成物は、光を照射することにより硬化させることができる。照射する光としては、UV(紫外線)やEB(電子線)などの活性エネルギー線等が挙げられる。また、樹脂組成物が(D)成分を含む場合は、通常2500mJ/cm程度必要となる光照射量を、100mJ/cm程度まで少なくすることが可能となる。
樹脂組成物は、反応系を均一にし、塗工を容易にするために有機溶媒で希釈して使用してもよい。そのような有機溶媒としては、アルコール系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、エーテルエステル系溶剤、ケトン系溶剤、及びリン酸エステル系溶剤が挙げられる。これらの有機溶媒は、樹脂組成物100質量部に対して、10,000質量部未満の配合量に抑えることが好ましいが、基本的に溶剤は硬化膜になる時点では揮発しているため、得られるコート層の物性に大きな影響は与えない。
<成形用フィルム>
樹脂組成物は、フィルム基材の一方面に塗布し、そのまま未硬化のコート層、若しくは光硬化したコート層とすることで、フィルム製品や樹脂製品等の貼着対象物へ貼着する中間製品である成形用フィルムとすることができる。但し、未硬化のコート層を備える成形用フィルムは、未硬化のコート層を塗布形成した直後に貼着対象物へ貼着するものであり、コート層を光硬化させなければ単独で保管や輸送はできない。一方、光硬化させたコート層を備える成形用フィルムは、ロール巻きしたり展開状態で多数枚積層して、単独で保管・輸送できる。
フィルム基材としては、特に限定されず、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムやポリカーボネート(PC)フィルムなどの極性基材だけでなく、ポリオレフィンフィルム等の非極性基材も使用できる。
<成形フィルム及び樹脂成形品>
成形用フィルムをフィルム製品や樹脂製品等の貼着対象物へ貼着(成形)するには、コート層を貼着対象物の表面に宛がった状態で、90℃前後の温度で数分間熱プレスすればよい。未硬化のコート層を備える成形用フィルムでも、コート層が未硬化のまま熱プレスにより貼着(成形)できる。これにより、成形用フィルムがコート層を介してフィルム製品に貼着されている、成形フィルムや樹脂成形品を得ることができる。すなわち、表面にコート層を備える成形フィルムや樹脂成形品を得ることができる。なお、フィルム製品としては、例えば液晶表示装置に適用される光学フィルム等が挙げられる。
<A成分の製造>
(A−1の製造)
内容積10リットルの攪拌機を備えたスレンレス製の4つ口フラスコに、ポリプロピレン(重量平均分子量10,000)100質量部、無水マレイン酸3質量部、及びジ−t−ブチルペルオキシド5質量部を混合し、2軸混練押出機を用いて230℃で3分間混練した。取り出したポリマーを冷却しペレットとした後、等重量のキシレン中で140℃まで加熱しつつ、固形物が目視で確認できなくなるまで溶解した。加熱溶解後のペレット溶液を室温まで冷却し、溶媒であるキシレンに対し2倍重量のアセトンを加え無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂が析出した懸濁液を得た。この懸濁液をろ過し、再沈された無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂を減圧加熱下にて重量変化がなくなるまで乾燥し、無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂(A−1)を101.7質量部得た。この無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂(A−1)の重量平均分子量は10,000であり、無水マレイン酸のグラフト重量が1.7重量%であった。
(A−2の製造)
内容積10リットルの攪拌機を備えたスレンレス製の4つ口フラスコに、プロピレン−エチレン共重合体(プロピレン/エチレン=92/8モル%、重量平均分子量55,000)100質量部、無水マレイン酸20質量部、及びジ−t−ブチルペルオキシド5質量部を混合し、2軸混練押出機を用いて230℃で3分間混練した。取り出したポリマーを冷却しペレットとした後、等重量のキシレン中で140℃まで加熱しつつ、固形物が目視で確認できなくなるまで溶解した。加熱溶解後のペレット溶液を室温まで冷却し、溶媒であるキシレンに対し2倍重量のアセトンを加え無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂が析出した懸濁液を得た。この懸濁液をろ過し、再沈された無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂を減圧加熱下にて重量変化がなくなるまで乾燥し、無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂(A−2)を116.1質量部得た。この無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂(A−2)の重量平均分子量は55,000であり、無水マレイン酸のグラフト重量が13.9重量%であった。
(A−3の製造)
内容積10リットルの攪拌機を備えたスレンレス製の4つ口フラスコに、プロピレン−ブテン−エチレン共重合体(プロピレン/ブテン/エチレン=68/20/12モル%、重量平均分子量200,000)100質量部、無水マレイン酸30質量部、及びジ−t−ブチルペルオキシド5質量部を混合し、2軸混練押出機を用いて230℃で3分間混練した。取り出したポリマーを冷却しペレットとした後、等重量のキシレン中で140℃まで加熱しつつ、固形物が目視で確認できなくなるまで溶解した。加熱溶解後のペレット溶液を室温まで冷却し、溶媒であるキシレンに対し2倍重量のアセトンを加え無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂が析出した懸濁液を得た。この懸濁液をろ過し、再沈された無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂を減圧加熱下にて重量変化がなくなるまで乾燥し、無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂(A−3)を125.0質量部得た。この無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂(A−3)の重量平均分子量は200,000であり、無水マレイン酸のグラフト重量が20重量%であった。
(A−4の製造)
内容積10リットルの攪拌機を備えたスレンレス製の4つ口フラスコに、エチレン−無水マレイン酸共重合体(エチレン/無水マレイン酸=87/13モル%、重量平均分子量30,000)100質量部、無水マレイン酸20質量部、及びジ−t−ブチルペルオキシド5質量部を混合し、2軸混練押出機を用いて230℃で3分間混練した。取り出したポリマーを冷却しペレットとした後、等重量のキシレン中で140℃まで加熱しつつ、固形物が目視で確認できなくなるまで溶解した。加熱溶解後のペレット溶液を室温まで冷却し、溶媒であるキシレンに対し2倍重量のアセトンを加え無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂が析出した懸濁液を得た。この懸濁液をろ過し、再沈された無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂を減圧加熱下にて重量変化がなくなるまで乾燥し、無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂(A−4)を114.4質量部得た。この無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂(A−4)の重量平均分子量は30,000であり、無水マレイン酸のグラフト重量が12.6重量%であった。
(A−5の製造)
内容積10リットルの攪拌機を備えたスレンレス製の4つ口フラスコに、ポリプロピレン(重量平均分子量13,000)100質量部、無水マレイン酸5質量部、及びジ−t−ブチルペルオキシド5質量部を混合し、2軸混練押出機を用いて230℃で3分間混練した。取り出したポリマーを冷却しペレットとした後、等重量のキシレン中で140℃まで加熱しつつ、固形物が目視で確認できなくなるまで溶解した。加熱溶解後のペレット溶液を室温まで冷却し、溶媒であるキシレンに対し2倍重量のアセトンを加え無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂が析出した懸濁液を得た。この懸濁液をろ過し、再沈された無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂を減圧加熱下にて重量変化がなくなるまで乾燥し、無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂(A−5)を103.1質量部得た。この無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂(A−5)の重量平均分子量は13,000であり、無水マレイン酸のグラフト重量が3.0重量%であった。
なお、A−1〜A−5の無水マレイン酸のグラフト重量は、下記計算式により算出した。
Figure 0006819124
一方、A−4の無水マレイン酸のグラフト重量は、下記計算式により算出した。
Figure 0006819124
なお、無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂中の無水マレイン酸の重量、及びオレフィン−無水マレイン酸共重合体中の無水マレイン酸の重量は、水酸化カリウム−エタノール溶液によるアルカリ滴下法により算出した。また、無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー法によりテトラヒドロフランを溶剤として測定した。重量平均分子量への換算はポリスチレンの検量線を元に算出した。
A−1〜A−5の組成を表1に纏める。
Figure 0006819124
(実施例1−1〜1−24)
表2に示す各成分を表2に示す配合割合にて配合し、加圧ニーダーにて溶融、混練し、樹脂組成物を得た。
(実施例2−1〜2−24)
表3に示す各成分を表3に示す配合割合にて配合し、加圧ニーダーにて溶融、混練し、樹脂組成物を得た。
(比較例1−1〜1−20)
表4に示す各成分を表4に示す配合割合にて配合し、加圧ニーダーにて溶融、混練し、樹脂組成物を得た。
(比較例2−1〜2−20)
表5に示す各成分を表5に示す配合割合にて配合し、加圧ニーダーにて溶融、混練し、樹脂組成物を得た。
表2〜表5に示す各成分は、次の通りである。
B−1:トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート);TMMP
B−2:ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート);DPMP
B−3:トリス−[(3−メルカプトプロピオニルオキシ)−エチル]−イソシアヌレート;TEMPIC
B−4:チオエーテル含有アクリレート誘導体;下記(式11)
Figure 0006819124

B−5:チオエーテル含有アクリレート誘導体;下記(式12)
Figure 0006819124


B−6:チオエーテル含有アクリレート誘導体;下記(式13)
Figure 0006819124

C−1:ジメチロール-トリシクロデカンジアクリレート
C−2:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
C−3:エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート
C−4:ビスフェノールAのEO付加物ジメタクリレート
C−5:トリメチロールプロパントリメタクリレート
C−6:1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート
C−7:1,3−ジアリル−5−メチル−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン
C−8:トリアリルイソシアヌレート
C−9:ペンタエリスリトールトリアリルエーテル
C−10:1,4−ブタンジオールジビニルエーテル
C−11:シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル
D−1:2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン
A’−1:フェノキシ樹脂(ユニオンカーバイト社製、「PKHC」、平均分子量45,000)
A’−2:ポリウレタン樹脂(東ソー株式会社製「エラクトランE390PNAT」)
A’−3:(未変性)ポリプロピレン(重量平均分子量13,000)
A’−4:エチレン−グリシジルジメタクリレート共重合体(住友化学株式会社製「ボンドファースト2C」、エチレン/グリシジルメタクリレート=98.8/1.2モル%)
B’−1:1−オクタンチオール
C’−1:イソボルニルアクリレート
C’−2:2−エチルヘキシルメタクリレート
C’−3:アリルエチルエーテル
C’−4:シクロヘキシルビニルエーテル
[保存安定性の評価]
得られた各実施例及び比較例の樹脂組成物について、その保存安定性を次のようにして評価した。メチルシクロヘキサンに溶解して20%溶液を作製し、初期粘度を測定した。別途、密閉容器中に、接着層用樹脂組成物を50℃で60日間放置し後、60日後、メチルシクロヘキサンに溶解して20%溶液を作製し、粘度を測定した。60日後の粘度/初期粘度の値を算出し、評価を行なった。この評価結果も表1,2に示す。
◎:(60日後の粘度/初期粘度)の値が1.02未満のもの
○:(60日後の粘度/初期粘度)の値が1.02以上1.50未満のもの
×:(60日後の粘度/初期粘度)の値が1.50以上のもの
<フィルムの作製>
タンク式ホットメルトアプリケーターで溶融した各実施例及び比較例の樹脂組成物を、フィルム基材上にダイコーターで50μmの厚みに塗布し、UV照射することで、コート層を備えるフィルムを得た。なお、フィルム基材としては、東レ(株)製、「ルミラーU46−100」のPETフィルムを用いた。また、UV照射には、ヘレウス・ノーブルライト・フュージョン・ユーブイ(株)製のUVランプシステム「ライトハンマー6」を用い、ランプバルブは、Hバルブを使用した。得られた各フィルムのコート層について、密着性、耐熱性、耐溶剤性、耐湿熱性を下記方法で測定評価した。その結果も表2〜表5に示す。
[密着性の評価1(高照射量)]
2500mJ/cmUV照射後のサンプルでJIS K5600−5−6:1999「塗料一般試験方法−第5部:塗膜の機械的性質−第6節:付着性(クロスカット法)」に準拠し密着性の評価を行った。本発明の目的に供するには、評価は100/100が必要である。
◎:100/100
○:100/100であるが、縁欠けしていたもの
×:100/100未満
[密着性の評価2(低照射量)]
100mJ/cmUV照射後のサンプルでJIS K5600−5−6:1999「塗料一般試験方法−第5部:塗膜の機械的性質−第6節:付着性(クロスカット法)」に準拠し密着性の評価を行った。本発明の目的に供するには、評価は100/100が必要である。
◎:100/100
○:100/100であるが、縁欠けしていたもの
×:100/100未満
[耐熱性の評価1]
2500mJ/cmUV照射後のサンプルに対向基材としてPETフィルムを重ね合わせて、熱プレス機を用いて50℃、15Kg/cm、200時間で熱プレスした。熱プレス後、サンプルを室温まで空冷し、90°剥離試験(剥離速度100mm/min、23度・50%環境下)を行い、密着力を測定し、以下の通り評価した。本発明の目的に供するには、評価は○以上が必要である。
◎:全く密着していないもの(ひっくり返して対向基材のPETが落ちる)
○:ひっくり返して対向基材が落ちないが、密着力が5mN/25mm未満
△:密着力が5mN/25mm以上50mN/25mm未満
×:密着力が50mN/25mm以上
[耐熱性の評価2]
2500mJ/cmUV照射後のサンプルに対向基材としてPETフィルムを重ね合わせて、熱プレス機を用いて60℃、15Kg/cm、200時間で熱プレスした。熱プレス後、サンプルを室温まで空冷し、90°剥離試験(剥離速度100mm/min、23度・50%環境下)を行い、密着力を測定し、以下の通り評価した。尚、より過酷な条件を想定したものであり、評価は△以上が好ましい。
◎:全く密着していないもの(ひっくり返して対向基材のPETが落ちる)
○:ひっくり返して対向基材が落ちないが、密着力が5mN/25mm未満
△:密着力が5mN/25mm以上50mN/25mm未満
×:密着力が50mN/25mm以上
[耐溶剤性の評価]
2500mJ/cmUV照射後のサンプルを以下の溶剤に30分間浸漬した。その後、サンプルを取り出し、乾燥させた後にJISK 5600−5−6:1999「塗料一般試験方法−第5部:塗膜の機械的性質−第6節:付着性(クロスカット法)」に準拠し密着性の評価、及び取り出した後の外観を観察した。本発明の目的に供するには、評価は○以上が必要である。
溶剤:トルエン、キシレン、テトラクロロエチレン、ガソリン、アセトン、イソプロピルアルコール、ヘキサン
◎:全ての溶剤において浸漬前と同等の密着性を示したもの
○:全ての溶剤において浸漬前と同等の密着性を示したが、一部の溶剤でサンプルを溶剤から取り出した直後に、白化が確認されたもの
△:一部の溶剤で、密着性が浸漬前よりも低下したもの
×:一部の溶剤で浸漬中に剥離したもの
[耐湿密着性の評価]
2500mJ/cmUV照射後のサンプルを85℃、85%の恒温恒湿槽に200時間静置した。その後にJISK 5600−5−6:1999「塗料一般試験方法−第5部:塗膜の機械的性質−第6節:付着性(クロスカット法)」に準拠し密着性の評価を行った。本発明の目的に供するには、評価は○が必要である。
◎:100/100
○:100/100であるが、縁欠けしていたもの
△:100/100未満90/100以上
×:90/100未満
Figure 0006819124
Figure 0006819124
Figure 0006819124
Figure 0006819124
表2の結果から、実施例1−1〜1−5の硬化性樹脂組成物は、高い密着性、耐熱性、耐溶剤性、耐湿熱性を示した。さらに、実施例1−6〜1−24の硬化性樹脂組成物は、より好ましい(B)成分を用いることで、実施例1−1〜1−5よりも優れた耐熱性、良好な耐溶剤性が確認された。また、表3の結果から、実施例2−1〜2−4、2−6〜2−24は光開始剤を配合しているため、密着性の評価2(低照射量)が良好であった。
一方、表4、5の結果から、比較例1−1、2−1は必須の(B)成分及び(C)成分を含まないため、耐熱性、耐溶剤性及び耐湿熱性が劣った。
比較例1−2、2−2は必須の(C)成分を含まないため、耐熱性、耐溶剤性及び耐湿熱性が劣った。
比較例1−3、1−4、2−3、2−4は必須の(B)成分を含まないため、密着性、耐熱性、耐溶剤性及び耐湿熱性が劣った。
比較例1−5〜1−8、2−5〜2−8は(C)成分が多官能エン化合物ではないため、耐熱性、耐溶剤性及び耐湿熱性が劣った。
比較例1−9、2−9は(B)成分が多官能チオール化合物ではないため、密着性、耐熱性、耐溶剤性及び耐湿熱性が劣った。
比較例1−10、2−10は(B)成分の配合量が少ないため、密着性、耐熱性、耐溶剤性及び耐湿熱性が劣った。
比較例1−11、2−11は(B)成分の配合量が多いため、耐熱性、耐溶剤性及び耐湿熱性が劣った。
比較例1−12、2−12は(C)成分の配合量が少ないため、耐熱性、耐溶剤性及び耐湿熱性が劣った。
比較例1−13、2−13は(C)成分の配合量が多いため、密着性、耐熱性、耐溶剤性及び耐湿熱性が劣った。
比較例1−14、2−14は必須の(A)成分及び(B)成分を含まないため、密着性、耐熱性、耐溶剤性及び耐湿熱性が劣った。
比較例1−15、2−15は必須の(A)成分を含まないため、密着性及び耐湿熱性が劣った。
比較例1−16〜1−20、2−16〜2−20は(A)成分が無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂でないため、耐熱性、耐溶剤性及び耐湿熱性が劣った。

Claims (11)

  1. (A)無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対し、
    (B)重量平均分子量が350〜911.23であり、かつ、官能基数が2〜6である多官能チオール化合物を5〜25質量部、
    (C)重量平均分子量が100〜1,000である多官能エン化合物を5〜35質量部含有し、
    前記(C)成分が、(メタ)アクリレート当量が80〜400g/molである多官能(メタ)アクリレート、アリル当量が80〜200g/molである多官能アリル、又はビニル当量が60〜200g/molである多官能ビニルエーテルである、樹脂組成物。
  2. 前記(A)成分が、炭素数2〜4のα−オレフィンの(共)重合体の、無水マレイン酸グラフト変性樹脂である、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記(A)成分が、炭素数2〜4のα−オレフィンと無水マレイン酸との共重合体の、無水マレイン酸グラフト変性樹脂である、請求項1に記載の樹脂組成物。
  4. 前記(B)成分が、下記(式1)示される多官能チオール化合物である、請求項1ないし3のいずれかに記載の樹脂組成物。
    Figure 0006819124

    (式中のaは2〜3の整数であり、bは0又は1であり、cは1〜2の整数であり、aとbとcの和は4である。Rは、メチレン基、エチレン基又はイソプロピレン基である。Rは、下記(式2)又は(式3)で表される2価の官能基である。Rは、メチル基又はエチル基である。Rは、炭素数が1〜12の炭化水素基である。)
    Figure 0006819124

    (Rは水素原子又はメチル基である。)
    Figure 0006819124

    (Rは水素原子又はメチル基である。)
  5. 前記(B)成分が、下記(式4)で示される多官能チオール化合物である、請求項1ないし3のいずれかに記載の樹脂組成物。
    Figure 0006819124

    (式中のdは2〜5の整数であり、eは0〜2の整数であり、fは1〜4の整数であり、dとeとfの和は6である。Rは、メチレン基、エチレン基又はイソプロピレン基である。Rは、下記(式2)又は(式3)で表される2価の官能基である。Rは、メチル基又はエチル基である。Rは、炭素数が1〜12の炭化水素基である。Rは下記(式5)で表される6価の官能基である。)
    Figure 0006819124

    (Rは水素原子又はメチル基である。)
    Figure 0006819124

    (Rは水素原子又はメチル基である。)
    Figure 0006819124
  6. 前記(B)成分が、下記(式6)で示される多官能チオール化合物である、請求項1ないし3のいずれかに記載の樹脂組成物。
    Figure 0006819124

    (式中のgは1であり、hは2である。Rは下記(式7)で表される3価の基であり、Rは下記(式2)又は下記(式3)で表される2価の基である。Rは炭素数が1〜12の炭化水素基である。)
    Figure 0006819124

    (式中のR10は−CH−、−CHCH−、又はCHCH(CH)−である。)
    Figure 0006819124

    (Rは水素原子又はメチル基である。)
    Figure 0006819124

    (Rは水素原子又はメチル基である。)
  7. 前記(A)成分100質量部に対し、さらに(D)光重合開始剤を0.01〜10質量部含有する、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の樹脂組成物。
  8. フィルム基材の一方面に、請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の樹脂組成物からなる未硬化のコート層を有する、成形用フィルム。
  9. 前記未硬化のコート層を光硬化した、請求項8に記載の成形用フィルム。
  10. 請求項8又は請求項9に記載の成形用フィルムが、前記コート層を介してフィルム製品に貼着されている、成形フィルム。
  11. 請求項8又は請求項9に記載の成形用フィルムが、前記コート層を介して樹脂製品の表面に貼着されている、樹脂成形品。
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