JP6814711B2 - 電解コンデンサ用電解液及び電解コンデンサ - Google Patents
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Description
電解コンデンサには、エチレングリコール等の極性溶剤に、アルケニルコハク酸又はその塩が溶解した電解液等が提案されている(例えば特許文献1)。
本発明は、火花電圧は高く維持したままで、特に低温特性に優れる電解コンデンサ用電解液及び電解コンデンサを提供することを目的とする。
即ち、本発明は、電解質と溶剤(D)とを含有する電解コンデンサ用電解液であって、前記電解質が、酸と、塩基(C)とからなり、前記酸が一般式(1)で表されるジカルボン酸(A)と一般式(2)で表されるジカルボン酸(B)を含有し、前記ジカルボン酸(A)と前記ジカルボン酸(B)との重量比[(A)/(B)]が41/59〜90/10である電解コンデンサ用電解液;前記電解コンデンサ用電解液を用いた電解コンデンサである。
そして、前記酸は上記の一般式(1)で表されるジカルボン酸(A)と、上記の一般式(2)で表されるジカルボン酸(B)を含有する。
更に、前記のジカルボン酸(A)と前記のジカルボン酸(B)の重量比[(A)/(B)]は、41/59〜90/10である。
以下に各成分ジカルボン酸(A)、ジカルボン酸(B)、塩基(C)及び溶剤(D)を順次説明する。
炭素数1〜13のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、iso−ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、1,1−ジメチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基、1,2−ジメチルプロピル基、1−エチルプロピル基、n−ヘキシル基、iso−ヘキシル基、3−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、1−メチルペンチル基、1,1−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、1,1,2−トリメチルプロピル基、1−エチル−1−メチルプロピル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、iso−オクチル基、3,5,5−トリメチルヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ドデシル基及びn−トリデシル基等が挙げられる。
炭素数2〜14のアルケニル基としては、1−エテニル基、1−プロペニル基、1−ヘキセニル基、1−ヘプテニル基、1−オクテニル基、1−デセニル基、1−ウンデセニル基1−ドデセニル基及び1−テトラデセニル基等が挙げられる。
R1としては、低温での電解質の固化を抑制する観点から水素原子又は1〜9のアルキル基が好ましい。
炭素数2〜14のアルケニル基としては、R1の説明で例示した物と同様のものが挙げられる。
R2としては、炭素数7〜11のアルケニル基が好ましい。
炭素数が7以上であると火花電圧が十分であり、炭素数が11以下であると低温での固化抑制効果が向上する。
ジカルボン酸(A)は、1種を単独で使用でもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記一般式(2)において、R3は、炭素数4〜9の直鎖のアルキレン基である。
R3の炭素数が3以下だと火花電圧が十分でなく、10以上だと低温で固化しやすい。
また、R3が直鎖ではなく分岐のアルキレン基であると火花電圧が十分でない。
炭素数4〜9の直鎖のアルキレン基としては、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基及びn−ノニル基等が挙げられる。
中でも火花電圧が高く、低温で固化しないという2つの観点から、アジピン酸、アゼライン酸及びセバシン酸が好ましい。
ジカルボン酸(B)は、1種を単独で使用でもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらのうち、火花電圧が高いという観点から、アンモニア及び2級アミンが好ましく、更に好ましいのはジエチルアミンである。
溶剤(D)の具体例としては、水、アルコール溶剤[メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコール及びポリエチレングリコール(数平均分子量:600以下)等]、アミド溶剤(N−メチルホルムアミド、N−エチルホルムアミド及びN,N−ジメチルホルムアミド等)、ラクトン溶剤(α−アセチル−γ−ブチロラクトン、β−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン及びδ−バレロラクトン等)、ニトリル溶剤(アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、アクリロニトリル、メタクリルニトリル及びベンゾニトリル等)、スルホキシド溶剤(ジメチルスルホキシド、メチルエチルスルホキシド及びジエチルスルホキシド)及びスルホン溶剤(スルホラン及びエチルメチルスルホン等)等が挙げられる。
溶剤(D)としては、ドライアップ抑制の観点からアルコール溶剤及びラクトン溶剤が好ましく、更に好ましいのはエチレングリコール及びγ−ブチロラクトンであり、特に好ましいのはエチレングリコールである。
これらの溶剤(D)は、1種を単独で使用でもよいし、2種以上を併用してもよい。
駆動中にわずかに発生する水素ガスを吸収させる目的で、例えば、ニトロ化合物(o−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、m−ニトロ安息香酸、o−ニトロフェノール及びp−ニトロフェノール等)等が添加される。
また、耐電圧を高める目的で、ホウ酸、ポバール及びポリエーテルポリオール(数平均分子量が600より大きいポリエチレングリコール等)等が添加される。
電解コンデンサ用電解液の重量に対する前記の溶剤(D)の重量割合は、火花電圧を向上させる観点から、50〜99.5重量%であることが好ましく、更に好ましくは80〜90重量%である。
電解コンデンサ用電解液の重量に対する前記のその他添加剤の重量割合は、比電導度と電解液への溶解度の観点から、5重量%以下であることが好ましく、更に好ましくは0.1〜2重量%である。
アルミニウム電解コンデンサとしては、特に限定されず、例えば、捲き取り形の電解コンデンサであって、陽極表面に酸化アルミニウムが形成された陽極(酸化アルミニウム箔)と陰極アルミニウム箔との間に、セパレーターを介在させて捲回することにより構成されたコンデンサが挙げられる。
無水マレイン酸280部と1−ドデセン720部を混合し、50℃で3時間反応させた後、さらに、210℃で7時間反応させることでドデセニル無水コハク酸を得た。得られたドデセニル無水コハク酸に水を加え加水分解した後、酢酸エチルと水で溶媒抽出し、ドデセニルコハク酸[2−(ドデセ−2−エン−1−イル)コハク酸](A−1)を得た。(A−1)のR1は、水素原子、R2は、炭素数11のアルケニル基であり、R1とR2の炭素数の合計は11である。
製造例1の1−ドデセン720部を1−オクテン850部にした以外は同様にして、オクテニルコハク酸[2−(オクテ−2−エン−1−イル)コハク酸](A−2)を得た。(A−2)のR1は、水素原子、R2は、炭素数7のアルケニル基であり、R1とR2の炭素数の合計は7である。
製造例1の1−ドデセンを2−ドデセンにした以外は同様にして、ドデセニルコハク酸[2−(ドデセ−3−エン−2−イル)コハク酸](A−3)を得た。(A−3)のR1は、メチル基、R2は、炭素数10のアルケニル基であり、R1とR2の炭素数の合計は11である。
製造例1の1−ドデセン720部を1−オクタデセン600部にした以外は同様にして、オクタデセニルコハク酸[2−(オクタデセ−2−エン−1−イル)コハク酸](A’−1)を得た。(A’−1)のR1とR2の炭素数の合計は17であり、本発明におけるジカルボン酸(A)には該当しない。
製造例1で得たドデセニルコハク酸(A−1)を水添し、酢酸エチルと水で溶媒抽出し精製することで、ドデシルコハク酸(A’−2)を得た。(A’−2)はアルケニル基がなく、本発明におけるジカルボン酸(A)には該当しない。
ドデセニルコハク酸(A−1)とセバシン酸(B−1)とエチレングリコール(D−1)とを表1に記載した配合部数(重量部)で混合し、ジエチルアミン(C−1)を表1に記載した配合部数(重量部)滴下して、実施例1の電解コンデンサ用電解液を得た。
実施例1において、ドデセニルコハク酸(A−1)を表1に記載したジカルボン酸(A)に、セバシン酸(B−1)を表1に記載したジカルボン酸(B)に、ジエチルアミン(C−1)表1に記載した塩基(C)に、エチレングリコール(D−1)を表1に記載した溶剤(D)に、各配合量を表1に記載した部数(重量部)に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い、実施例2〜6の電解コンデンサ用電解液及び比較例1〜6の比較用電解コンデンサ用電解液を得た。
電解液を透明のガラス瓶に入れ、−40℃の恒温槽で24時間放置し、−40℃の状態でガラス瓶を傾けて目視で観察し、下記の判定基準で評価した。
○:透明であり、析出物なく、傾けるとゆっくりだが流動性がある
△:析出物のため一部不透明、又は傾けても流動しない
×:全体が固化
陽極に10cm2の高圧用化成エッチングアルミニウム箔を用い、陰極に10cm2のプレーンなアルミニウム箔を用い、25℃又は−40℃にて定電流(2mA)を負荷したときに、電圧の降下(ショート)がみられたときの電圧値を読み取って火花電圧とした。
なお、直流安定化電源として高砂製作所製のGP650−05Rを用いて測定した。
火花電圧は、この測定条件においては500V以上が好ましい。
一方、比較例1〜6の比較用電解コンデンサ用電解液は、−40℃で全体が固化した。
また、比較例6の電解液は火花電圧が極端に低い。
ジカルボン酸(A)とジカルボン酸(B)の重量比[(A)/(B)]が本発明の範囲外の比較例1及び2の比較用電解コンデンサ用電解液は、上記の通り低温特性が不良である。
また、比較製造例1又は2のジカルボン酸を用いた比較例3及び4の比較用電解コンデンサ用電解液も、上記の通り低温特性が不良である。
また、R3の炭素数が10である1,10−デカンジカルボン酸を用いた比較例5の比較用電解コンデンサ用電解液と、R3が分岐のアルキレン基である1,4−シクロヘキサンジカルボン酸を用いた比較例6の比較用電解コンデンサ用電解液も低温特性が不良である。
Claims (2)
- 請求項1に記載の電解コンデンサ用電解液を用いた電解コンデンサ。
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