従来、液晶表示装置(Liquid Crystal Display :LCD)は、TFTを含む画素が多数形成されたTFTアレイ側基板と、カラーフィルタ及びブラックマトリクスが形成されたカラーフィルタ側基板とを互いに対向させて、それらの基板を所定の間隔でもって貼り合わせ、それらの基板間に液晶を充填、封入させることによって作製される。
以下に、保持回路(記憶回路)等の画素内回路を有する従来のLCDの一例について説明する(例えば、特許文献1を参照)。図5は、LCD1の基本構成のブロック回路図であり、液晶表示パネル11は16384ドット(縦128ドット×横128ドット)の画素数を有する白黒表示のものである。LCD1は、アレイ側基板上の所定方向(例えば行方向)に配置された複数本のゲート信号線GL1〜GL128と、ゲート信号線GL1〜GL128と交差する方向(例えば列方向)に配置された複数本の画像信号線DL1〜DL128と、ゲート信号線GL1〜GL128と画像信号線DL1〜DL128の交差部に対応して配置された、画像信号入力用のスイッチング素子としてのTFT1a,1bと、画素電極電圧を制御する画素内回路5と、画素内回路5に接続された画素電極6(PE11〜PEmn)と、カラーフィルタ側基板の液晶側の面上に配置された共通電極と、を有している構成である。また、LCDパネル11の一方の横側にゲート信号線駆動回路3が設けられ、LCDパネル11の下側に画像信号(ソース信号)線駆動回路4が設けられている。なお、符号2は共通電圧Vcomを共通電極に供給する共通電圧線、符号10は表示部、符号7は画素(P11〜Pmn)、符号SL1〜SL128は画像信号線選択線を示す。TFT1a,1bは、例えば、アモルファスシリコン(a-Si)等から成る半導体膜を有し、ゲート電極部、ソース電極部、ドレイン電極部の3端子部を有する。そして、ゲート電極部に所定電位の電圧(例えば、3V,6V)を印加することにより、ソース電極部とドレイン電極部の間の半導体膜(チャネル)に電流を流す、スイッチング素子(ゲートトランスファ素子)として機能する。また、画素電極6は、一般に酸化インジウムスズ(Indium Tin Oxide :ITO)等から成る透明導電体層から成る。
また、カラーフィルタ側基板は、共通電極及び共通電圧線が形成された面またはそれと反対側の面に、各画素7に対応する赤(R)、緑(G)、青(B)のカラーフィルタが形成されており、各画素7を通過する光が相互に干渉することを防ぐブラックマトリクスがカラーフィルタの外周を囲むように形成されている。尚、カラーフィルタ及びブラックマトリクスは、カラー表示を行わない場合はない。また、透過型LCDの場合はバックライトが設けられており、反射型LCDの場合バックライトはない。
図6は、ゲート信号線駆動回路3の詳細な構成を示す回路図である。ゲート信号線駆動回路3は、ゲート選択信号線GS1〜GS7、ゲート選択信号線GS1〜GS7のそれぞれの反転信号を生成するCMOSインバータ等から成るインバータ21からの反転出力を伝送する反転ゲート選択信号線iGS1〜iGS7(図7では符号に上付きバーの反転記号を付している)、ゲート選択信号線GS1〜GS7及び反転ゲート選択信号線iGS1〜iGS7から成る14個の信号のうち7個の信号が入力される論理和否定(NOR)の論理ゲート回路22、論理ゲート回路22の出力の電圧振幅を昇圧させて画素のゲート信号線39(GLn)(図10)側の第2のnチャネルTFT61b(図10)を動作させるための昇圧回路(レベルシフタ(Level/Shifter :L/S))23、昇圧回路23の出力を反転させるCMOSインバータ等から成るインバータ24、を有している。
ゲート信号線駆動回路3において、論理ゲート回路22は、それに入力される7個の信号の全てがロー(「L」で表し、例えば0Vの信号)である場合に、ハイ(「H」で表し、例えば3Vの信号)を出力する。そして、論理ゲート回路22に入力される、ゲート選択信号線GS1〜GS7及び反転ゲート選択信号線iGS1〜iGS7の配線の組合せは27=128通りあり、ゲート選択信号線GS1〜GS7に入力する7個で1組の信号によって、1つの論理ゲート回路22を選択する。これにより、ゲート信号線GL1〜GL128のうちの1本を任意に選択してオンすることができる。尚、ゲート選択信号線GS1〜GS7に入力する7個で1組の信号の制御は、LCDパネル11上または外部に設けられた制御LSI(Large Scale lntegrated circuit)等によって行う。
図7は、画像信号線駆動回路4の詳細な構成を示す回路図である。画像信号線駆動回路4は、画像選択信号線SS1〜SS7、画像選択信号線SS1〜SS7のそれぞれの反転信号を生成するCMOSインバータ等から成るインバータ31、インバータ31からの反転出力を伝送する反転画像選択信号線iSS1〜iSS7、画像選択信号線SS1〜SS7及び反転画像選択信号線iSS1〜iSS7から成る14個の信号のうち7個の信号が入力される論理和否定(NOR)の論理ゲート回路32、論理ゲート回路32の出力の電圧振幅を昇圧させて画素の画像信号線37(DLn)(図10)側の第1のnチャネルTFT61a(図10)を動作させるための昇圧回路(L/S)33、昇圧回路33の出力を反転させるCMOSインバータ等から成るインバータ34、を有している。さらに、画像信号(Data)(1ビット)を伝送させる画像信号線36、インバータ34からの出力によってオンされ、画像信号線36からの画像信号Dataを画素に出力するトランスファゲート素子である第4のnチャネルTFT35、を有している。
画像信号線駆動回路4において、論理ゲート回路32は、それに入力される7個の信号の全てがL(例えば0Vの信号)である場合に、H(例えば3Vの信号)を出力する。そして、論理ゲート回路32に入力される、画像選択信号線SS1〜SS7及び反転画像選択信号線iSS1〜iSS7の配線の組合せは27=128通りあり、画像選択信号線SS1〜SS7に入力する7個で1組の信号によって、1つの論理ゲート回路32を選択する。これにより、画像信号線選択線SL1〜SL128のうちの1本を任意に選択してオンすることができる。尚、画像選択信号線SS1〜SS7に入力する7個で1組の信号の制御は、LCDパネル11上または外部に設けられた制御LSI等によって行う。さらに、任意に選択された1本の画像信号線選択線SLnが1個の第4のnチャネルTFT35をオンし、その第4のnチャネルTFT35が1つの画像信号Dataを画像信号線37(DLn)上を伝送させて画素に伝達させる。このような画像信号Dataの入力の制御は、制御LSI等によって行う。
図8(a),(b)は、ゲート信号線駆動回路3における1本のゲート信号線GL128をオンオフさせる駆動回路部の例を示す回路図である。反転ゲート選択信号線iGS1〜iGS6(図8(a),(b)では符号に上付きバーの反転記号を付している)及びゲート選択信号線GS7のそれぞれに、pチャネルTFT41とnチャネルTFT42とから成るインバータが接続されている。これらの7個のインバータは、それぞれのゲート共通接続点は、反転ゲート選択信号線iGS1〜iGS6及びゲート選択信号線GS7の1本々に接続され、7つのドレイン共通接続点は、共通接続されている。これにより、反転ゲート選択信号線iGS1〜iGS6及びゲート選択信号線GS7の全てにLの信号が入力されたときにのみ、共通接続された7つのドレイン共通接続点からHの信号が出力される。即ち、論理和否定(NOR)の論理ゲート回路22として機能する。
NORの論理ゲート回路22の出力(Hの信号)は、インバータ43と、pチャネルTFTとnチャネルTFTをドレイン電極部を共通接続して直列的に接続したトランスファゲート回路44と、pチャネルTFTとnチャネルTFTをドレイン電極部を共通接続して直列的に接続したトランスファゲート回路45とから成る昇圧回路(L/S)23に入力される。一方のトランスファゲート回路44のドレイン共通接続点は、他方のトランスファゲート回路45のpチャネルTFTのゲート電極部に接続されている。また、他方のトランスファゲート回路45のドレイン共通接続点は、一方のトランスファゲート回路44のpチャネルTFTのゲート電極部に接続されている。そして、一方のトランスファゲート回路44のnチャネルTFTのゲート電極部にHの信号が入力されると、nチャネルTFTに電流が流れて、一方のトランスファゲート回路44のドレイン共通接続点が0Vの電位(L)となる。この0Vの電位が、インバータ24のゲート共通接続点に入力される。これにより、インバータ24のドレイン共通接続点からゲート信号線GL128にHの信号(6V)が入力される。このとき、他方のトランスファゲート回路45のpチャネルTFTのゲート電極部に0Vの電位(L)が印加され、pチャネルTFTがオンとなり、pチャネルTFTのドレイン電極部が6Vの電位になるが、この電位はインバータ24へは伝達されない。また、他方のトランスファゲート回路45のnチャネルTFTのゲート電極部には、インバータ43のドレイン共通接続点からLの信号が入力されるため、そのnチャネルTFTはオフとなる。
図9(a),(b)は、画像信号線駆動回路4における1本の画像信号線選択線SL128をオンオフさせる駆動回路部の例を示す回路図である。反転画像選択信号線iSS1〜iSS6及び画像選択信号線SS7のそれぞれに、pチャネルTFT51とnチャネルTFT52とから成るインバータが接続されている。これらの7個のインバータは、それぞれのゲート共通接続点は、反転画像選択信号線iSS1〜iSS6及び画像選択信号線SS7の1本々に接続され、7つのドレイン共通接続点は、共通接続されている。これにより、反転画像選択信号線iSS1〜iSS6及び画像選択信号線SS7の全てにLの信号が入力されたときにのみ、共通接続された7つのドレイン共通接続点からHの信号が出力される。即ち、論理和否定(NOR)の論理ゲート回路32として機能する。
NORの論理ゲート回路32の出力(Hの信号)は、インバータ53と、pチャネルTFTとnチャネルTFTをドレイン電極部を共通接続して直列的に接続したトランスファゲート回路54と、pチャネルTFTとnチャネルTFTをドレイン電極部を共通接続して直列的に接続したトランスファゲート回路55とから成る昇圧回路(L/S)33に入力される。一方のトランスファゲート回路54のドレイン共通接続点は、他方のトランスファゲート回路55のpチャネルTFTのゲート電極部に接続されている。また、他方のトランスファゲート回路55のドレイン共通接続点は、一方のトランスファゲート回路54のpチャネルTFTのゲート電極部に接続されている。そして、一方のトランスファゲート回路54のnチャネルTFTのゲート電極部にHの信号が入力されると、nチャネルTFTに電流が流れて、一方のトランスファゲート回路54のドレイン共通接続点が0Vの電位(L)となる。この0Vの電位が、インバータ34のゲート共通接続点に入力される。これにより、インバータ34のドレイン共通接続点から画像信号線選択線SL128にHの信号(6V)が入力される。このとき、他方のトランスファゲート回路55のpチャネルTFTのゲート電極部に0Vの電位(L)が印加され、pチャネルTFTがオンとなり、pチャネルTFTのドレイン電極部が6Vの電位になるが、この電位はインバータ34へは伝達されない。また、他方のトランスファゲート回路55のnチャネルTFTのゲート電極部には、インバータ53のドレイン共通接続点からLの信号が入力されるため、そのnチャネルTFTはオフとなる。
さらに、画像信号線選択線SL128には、画像信号線選択線SL128を伝送する信号をゲート電極部への制御入力とする第4のnチャネルTFT35が接続されており、第4のnチャネルTFT35のソース電極部には画像信号線36が接続されている。これにより、画像信号線選択線SL128を伝送する信号がHのときに第4のnチャネルTFT35がオンとなり、画像信号線DL128によって画像信号Dataが画素に伝達される。
図10(a),(b)は、保持回路62と画素電極制御回路63を有する駆動選択回路64を含む画素の例を示す回路図である。図10(a)はブロック回路図、図10(b)は各ブロック回路を構成するTFT群を措いた詳細な回路図である。駆動選択回路64は、静止画駆動と書き換え駆動のいずれかを選択する回路であり、保持回路62、画素電極制御回路63を有している。これらの図に示すように、駆動選択回路64の前段の入力部61には、第1及び第2のnチャネルTFT61a,61bを直列的に接続させて成るトランスファゲート回路が設けられている。画像信号線37(DLn)側の第1のnチャネルTFT61aは、そのゲート電極部に画像信号線選択線38(SLn)を伝送されてきた信号が制御入力される。その信号がHの場合に第1のnチャネルTFT61aはオンとなり、Lの場合に第1のnチャネルTFT61aはオフとなる。ゲート信号39(GLn)側の第2のnチャネルTFT61bは、そのゲート電極部にゲート信号線39(GLn)を伝送されてきた信号が制御入力される。その信号がHの場合に第2のnチャネルTFT61bはオンとなり、Lの場合に第2のnチャネルTFT61bはオフとなる。従って、ゲート信号線39(GLn)を伝送されてきた信号がHであり、かつ画像信号線選択線38(SLn)を伝送されてきた信号がHである場合にのみ、トランスファゲート回路は等価回路的に閉(クローズ)状態となり、画像信号線37(DLn)を伝送されてきた信号が保持回路62へ伝送される。
図10(b)に保持回路62としてのスタティック型メモリの構成を示す。保持回路62は、第1及び第2のCMOSインバータ62a,62bを直列に接続し、第2(後段側)のCMOSインバータ62bのドレイン共通接続点からの出力を、第1(前段側)のCMOSインバータ62aのゲート共通接続点に帰還入力させている。これにより、第1のCMOSインバータ62aのゲート共通接続点にHの信号が入力されると、次に第1のCMOSインバータ62aのドレイン共通接続点からLの信号が出力され、次にそのLの信号が第2のCMOSインバータ62bのゲート共通接続点に入力され、次に第2のCMOSインバータ62bのドレイン共通接続点からHの信号が出力され、次にそのHの信号が第1のCMOSインバータ62aのゲート共通接続点に帰還入力される。その結果、例えば常時H,L,Hの信号がループ状の伝送線上において保持される。
図11(a)は、画素電極制御回路63を構成するTFT群の接続関係を描いた回路図である。画素電極制御回路63は、保持回路62の第1のCMOSインバータ62aを共用しており、画像信号Bの反転信号iB(図では符号に上付きバーの反転記号を付している)を出力する第1のCMOSインバータ62aと、pチャネルTFT81aとnチャネルTFT81bとから成り、共通電圧Vcom(A)と画像信号data(B)と第1のCMOSインバータ62aの出力(iB)が参照入力されることによって2値データを出力する第1の2値選択回路81と、pチャネルTFT82aとnチャネルTFT82bとから成り、共通電圧Vcom(A)と画像信号data(B)と第1のCMOSインバータ62aの出力(iB)が参照入力されることによって2値データを出力する、出力線が第1の2値選択回路81の出力線に並列的に接続されている第2の2値選択回路82と、を有している。そして、第1の2値選択回路81の出力及び第2の2値選択回路82の出力が、共通電圧Vcom(A)と画像信号data(B)について排他的論理和(Exclusive OR :EXOR)の論理ゲート出力を構成している。
第1の2値選択回路81は、pチャネルTFT81aとnチャネルTFT81bを、ゲート電極部を共通接続するとともにドレイン電極部を共通接続したCMOSインバータであり、画像信号data(B)がH(1)の信号である場合にのみ、2値データ(Y)を出力する。逆に、画像信号data(B)がL(0)の信号である場合、第1の2値選択回路81はインバータとして機能せず、ハイインピーダンスの状態、即ち等価回路的に開(オープン)状態となり、2値データ(Y)を出力しない。第2の2値選択回路82は、pチャネルTFT82aとnチャネルTFT82bを、ソース電極部同士及びドレイン電極部同士を接続した4端子型のトランスファゲート回路であり、nチャネルTFT82bのゲート電極部に入力される第1のインバータ62aの出力(iB)を制御入力としている。そして、第1のインバータ62aの出力(iB)がHの信号(1)である場合、即ち画像信号data(B)がLの信号(0)である場合にのみ、2値データ(Y)を出力する。逆に、第1のインバータ62aの出力(iB)がLの信号(0)である場合、第2の2値選択回路82はトランスファゲート回路として機能せず、ハイインピーダンスの状態、即ち等価回路的に開(オープン)状態となり、2値データ(Y)を出力しない。このように、第2の2値選択回路82の出力線が第1の2値選択回路81の出力線に並列的に接続されているので、第1の2値選択回路81の出力及び第2の2値選択回路82の出力が、共通電圧Vcom(A)と画像信号data(B)について排他的論理和の論理ゲート出力を構成することになる。即ち、画素電極制御回路63は、共通電圧Vcom(A)と画像信号data(B)について排他的論理和の論理ゲート回路となっている。
図11(b)は、共通電圧Vcom(A)と画像信号data(B)を2値入力とする、排他的論理和の論理ゲート回路の出力(Y)を記載した真理値表である。画像信号data(B)が画素に入力された場合、即ち画像信号data(B)がH(3V:「1」)の信号である場合に、画素電極電圧Pixelと共通電圧Vcom(A)との間に電位差が生じて、ノーマリホワイトモードであれば黒表示、ノーマリブラックモードであれば白表示となる。このように共通電圧Vcom(A)を反転駆動させても、画素電極電圧Pixelと共通電圧Vcom(A)との間の電位差は保持されるので、画素における表示を保持した状態で、液晶の劣化を防ぐための、液晶に対する交流駆動が実現する。一方、画像信号data(B)が画素に入力されない場合、即ち画像信号data(B)がL(0V:「0」)の信号である場合に、画素電極電圧Pixelと共通電圧Vcom(A)との間には電位差が生じず、ノーマリホワイトモードであれば白表示、ノーマリブラックモードであれば黒表示となる。このように共通電圧Vcom(A)を反転駆動させても、画素電極電圧Pixelと共通電圧Vcom(A)との間の電位差がない状態が保持されるので、画素における表示を保持した状態で、液晶の劣化を防ぐための、液晶に対する交流駆動が実現する。
また、画素における表示を書き換える場合、図10に示す駆動選択回路64の前段の入力部61における、第1及び第2のnチャネルTFT61a,61bを直列的に接続させて成るトランスファゲート回路をオンにする。即ち、ゲート信号線39(GLn)を伝送されてきた信号をHとし、画像信号線選択線38(SLn)を伝送されてきた信号をHとする。この状態で、画像信号線37(DLn)を伝送されてきた信号(data)を保持回路62へ伝送させる。例えば、信号(data)がHである場合、保持回路62はHの信号(data)を保持する。そして、図11(b)におけるdata(B)がHの場合に相当する表示が画素で実行される。即ち、画素の表示は、ノーマリホワイトモードであれば黒表示、ノーマリブラックモードであれば白表示となる。一方、信号(data)がLである場合、保持回路62はLの信号(data)を保持する。そして、図11(b)におけるdata(B)がLの場合に相当する表示が画素で実行される。即ち、画素の表示は、ノーマリホワイトモードであれば白表示、ノーマリブラックモードであれば黒表示となるように、書き換えられる。
上述の構成により、LCDは、表示領域における書き換え駆動を1画素(ドット)毎に行うことができ、それ以外の全ての画素を静止画駆動させることができるので、消費電力が極めて低くなる。例えば、腕時計用の白黒表示のLCDにおいて、静止画駆動及び書き換え駆動を全画面走査して行う場合に100μW程度の消費電力であったものが、上記のLCDにおいては10μW程度以下、さらには3μW程度以下にまで抑えることができる。これにより、複雑な表示構成のLCDであっても、例えば、1回の電池交換で駆動可能な期間を10倍以上に伸ばすことが可能となる。
図12は、上記従来のLCDを適用したデジタル表示式腕時計の表示パネルを示す図である。図12に示すように、例えば、表示パネルにおいて、時間を表示させる表示領域91と、分を表示させる表示領域92と、秒を表示させる表示領域93とで、書き換え周期を相違させている。秒を表示させる表示領域93では1秒毎に書き換え駆動するのに対して、分を表示させる表示領域92では1分毎に書き換え駆動し、時間を表示させる表示領域91では1時間毎に書き換え駆動する。従って、表示領域91〜93以外の表示領域は静止画の表示領域94である。
図13(a),(b)は、光反射性の画素電極を有する光反射部を備えたノーマリブラックの垂直配向型(Vertical Align :VA型)であって、画素内回路を有するLCDを示す図である。VA型のLCDは、液晶分子に電圧が印加されていない初期配向が、基板の面と垂直となっている。これにより、初期配向状態における液晶分子の複屈折率(Δn)がほぼ0であることから、ノーマリブラックの黒表示に優れている。
図13(a)は、画素内回路の回路図である。nチャネルTFT201a、nチャネルTFT201bを有する第1の入力部201は、図10の入力部61に相当する。第1のCMOSインバータ202aと第2のCMOSインバータ202bを直列的に接続して成る保持回路202は、図10の保持回路62に相当する。保持回路202において、第1のCMOSインバータ202aはpチャネルTFT202a1及びnチャネルTFT202a2から成り、第2のCMOSインバータ202bはpチャネルTFT202b1及びnチャネルTFT202b2から成る。また、pチャネルTFT203a、nチャネルTFT203b、nチャネルTFT203c、pチャネルTFT203d、pチャネルTFT203eおよびnチャネルTFT203fを有する画素電極制御回路203は、図10の画素電極制御回路63に相当する。ただし、排他的論理和の論理ゲート回路を構成しているのは、pチャネルTFT203a、nチャネルTFT203b、nチャネルTFT203c、pチャネルTFT203dおよびpチャネルTFT203eであり、nチャネルTFT203fは、LCDの電源をオフするときに各画素の表示のリセットをするためのスイッチング素子であり、画素電極に印加される画素電極電圧(Vpixel)と共通電圧を同電位(例えば、0V等の接地電位)としてリセットするものである。画像信号線選択線SELによってオンオフ制御されるnチャネルTFT204aと、ゲート信号線GATEによってオンオフ制御されるnチャネルTFT204bと、を有する第2の入力部204は、保持回路202の第1のCMOSインバータ202aと第2のCMOSインバータ202bとの接続部に、反転画像信号xDATAを入力している。これにより、第1のCMOSインバータ202aおよびの第2のCMOSインバータ202bの反転動作を確実に行えるようにしている。また第2の入力部204は、画素電極制御回路203のnチャネルTFT203bのゲート電極部と、画素電極制御回路203のnチャネルTFT203cのソース電極部とに、排他的論理和の論理ゲート回路を構成するための反転画像信号xDATAを入力している。
ゲート信号線GATEは図10のゲート信号線39(GLn)に相当し、画像信号線選択線SELは、図10の画像信号線選択線38(SLn)に相当し、画像信号線DATAは図10の画像信号線37(DLn)に相当し、共通電圧線VCOMは図10の共通電圧線Vcomに相当する。リセットゲート信号線RSTGATEは、リセット時にはnチャネルTFT203fのゲート電極部にLの信号を入力してそれをオンさせるとともにpチャネルTFT203eをオフさせる。またリセットゲート信号線RSTGATEは、非リセット時にはnチャネルTFT203fのゲート電極部にHの信号を入力してそれをオフさせるとともにpチャネルTFT203eをオンさせる。第1の電源線VDD(例えば、3Vを印加する)および第2の電源線VSS(例えば、0Vを印加する)は、保持回路202の第1のCMOSインバータ202aおよび第2のCMOSインバータ202bに、電源を供給する。
図13(b)は、(a)のA1−A2線における模式的な断面図である。アレイ側基板241は、液晶245側の面上に、ゲート信号線220(GATE)及びリセットゲート信号線230(RSTGATE)が配置され、その上に窒化珪素等から成るゲート絶縁層242が配置され、その上に第1の入力部201、保持回路202、画素電極制御回路203及び第2の入力部204を有する画素内回路が配置され、その上にアクリル系樹脂等から成る絶縁層243が配置され、その上にMo層上にAl層を積層して成るとともに画素電極でもある光反射層205が配置され、その上にポリイミド等から成る第1の配向層244が配置されている。カラーフィルタ側基板247は、液晶245側の面上に、ITO等の透明導電性材料から成るベタ電極である共通電極210、第2の配向層246が配置されている。
しかしながら、図13に示している、光反射性の画素電極を有する光反射部を備えたノーマリブラックのVA型であって画素内回路を有するLCDは以下の問題点があった。まず、図14(a),(b)に示すように、VA型のLCDは、画素電極205にスロット状の開口s1を形成し、共通電極210にスリット状の開口s2、s3を形成することによって、電圧印加時の液晶分子245aの配向を制御することができる。すなわち、開口s1,s2,s3のある各部位には、画素電極205と共通電極210との間で、電気力線Esで表される斜め電界が生じ、液晶分子245aは電気力線Esに直交する方向に倒れる。これにより、液晶分子245aの倒れる方向を制御することができるので、液晶分子245aの配向の乱れ(ディスクリネーション)やドメインが生じにくくなり、光抜け、輝度むら等の表示不良の発生を抑えて、コントラストを改善することができる(例えば、特許文献2を参照)。
しかしながら、開口s1は入力部201、保持回路202、画素電極制御回路203を有する画素内回路に平面視で重なっているために、カラーフィルタ側基板247の側から入射した外部の光が、開口s1を通って画素内回路を構成するTFTのチャネル部に入射していた。このとき、TFTに光リーク電流が流れるために、画素を書き換え駆動するときに画素電極電圧(Vpixel)が変動するという問題点があった。すなわち、共通電圧Vcomは交流駆動されるが、それがHの信号であるときとLの信号であるときとで液晶245に印加される電圧が異なっていた。例えば、書き換え駆動するときに、共通電圧VcomがLの信号(0V)である場合、画素電極電圧は3Vの設定であるが、光リーク電流の影響によって3Vよりも低い画素電極電圧3V−Δv(Δvは、光リーク電流による電圧の低下分である)となる。一方、書き換え駆動するときに、共通電圧VcomがHの信号(3V)である場合、画素電極電圧は0Vの設定であるが、光リーク電流による電圧の低下はなく、0Vのままである。その結果、フリッカーが発生していた。
従って、本発明は、上記従来の問題点に鑑みて完成されたものであり、その目的は、光反射部を備えたノーマリブラックのVA型であって画素内回路を有するLCDにおいて、画素内に存在するTFT、例えば画素内回路を構成するTFTの光リーク電流に起因するフリッカーの発生を効果的に抑えることである。
本発明の液晶表示装置は、対向配置された第1の基板および第2の基板と、それらの基板によって挟持された液晶と、前記第1の基板上の所定方向に配置された複数本のゲート信号線と、前記ゲート信号線と交差させて配置された複数本の画像信号線と、前記ゲート信号線と前記画像信号線の交差部に対応して配置された第1の薄膜トランジスタと、前記第1の薄膜トランジスタに接続されているとともに、第2の薄膜トランジスタを有して画素電極電圧を制御する画素内回路と、前記画素内回路よりも前記液晶に近い位置にあるとともに、前記画素内回路に接続されている光反射性の画素電極と、前記液晶の側の前記第2の基板上に配置された共通電極と、を有している垂直配向型でノーマリブラックの液晶表示装置であって、前記画素電極は、前記第1の薄膜トランジスタのチャネル部および前記第2の薄膜トランジスタのチャネル部に平面視で重ならないとともに前記ゲート信号線に平面視で重なっている開口を有している構成である。
本発明の液晶表示装置は、好ましくは、前記開口は、帯状の開口である。
また本発明の液晶表示装置は、好ましくは、前記開口は、スロット状の開口である。
また本発明の液晶表示装置は、好ましくは、前記開口は、前記画像信号線に平面視で重なっている。
また本発明の液晶表示装置は、好ましくは、前記共通電極は、前記開口に平面視で重ならないとともに前記開口に平行な他の開口を有している。
また本発明の液晶表示装置は、好ましくは、前記共通電極は、前記開口に平面視で重ならない、X字状または円形状の開口を有している。
また本発明の液晶表示装置は、好ましくは、前記画素内回路は、書き換え駆動と静止画駆動のいずれかを選択する駆動選択回路を有しており、前記駆動選択回路は、前記書き換え駆動が選択された前記画素電極を、入力された画像信号によって書き換え駆動する画素電極制御回路と、前記書き換え駆動が非選択の前記画素電極を、保持されている前記画像信号によって静止画駆動する保持回路と、を有している。
本発明の液晶表示装置は、対向配置された第1の基板および第2の基板と、それらの基板によって挟持された液晶と、前記第1の基板上の所定方向に配置された複数本のゲート信号線と、前記ゲート信号線と交差させて配置された複数本の画像信号線と、前記ゲート信号線と前記画像信号線の交差部に対応して配置された第1の薄膜トランジスタと、前記第1の薄膜トランジスタに接続されているとともに、第2の薄膜トランジスタを有して画素電極電圧を制御する画素内回路と、前記画素内回路よりも前記液晶に近い位置にあると
ともに、前記画素内回路に接続されている光反射性の画素電極と、前記液晶の側の前記第2の基板上に配置された共通電極と、を有している垂直配向型でノーマリブラックの液晶表示装置であって、前記画素電極は、前記第1の薄膜トランジスタのチャネル部および前記第2の薄膜トランジスタのチャネル部に平面視で重ならないとともに前記ゲート信号線に平面視で重なっている開口を有している構成であることから、以下の効果を奏する。
第2の基板側から入射した外部の光が画素電極の開口を通って画素内に存在するTFT、
例えば画素内回路を構成するTFTのチャネル部に入射することを効果的に抑えることがで
きる。その結果、画素内に存在するTFTの光リーク電流に起因するフリッカーの発生を効
果的に抑えることができる。開口は、ゲート信号線に平面視で重なっていることから、開口を通った光の大部分は、光反射性を有するAl,Mo等の金属から成るゲート信号線によって反射されて、入射光路とほぼ同じ光路を戻り外部へ出射されるので、画素内に存在するTFTのチャネル部に入射することをより抑えることができる。その結果、フリッカー
の発生をより抑えることができる。
本発明の液晶表示装置は、前記開口は、帯状の開口である場合、第2の基板側から入射した外部の光が開口を通って画素内に存在するTFTのチャネル部に入射することを効果的
に抑えることができるとともに、ゲート信号線に平面視で重なるのに適した形状の開口となる。
また本発明の液晶表示装置は、前記開口は、スロット状の開口である場合、画素電極が開口によって複数に分断されることがないので、画素内回路と画素電極との電気的な接続部であるコンタクトホール等を一箇所設ければよいこととなり、構成が簡易化される。
また本発明の液晶表示装置は、前記開口は、前記画像信号線に平面視で重なっている場合、開口を通った光の大部分は、光反射性を有するAl,Mo等の金属から成る画像信号線によって反射されて、入射光路とほぼ同じ光路を戻り外部へ出射されるので、画素内に存在するTFTのチャネル部に入射することをより抑えることができる。その結果、フリッカーの発生をより抑えることができる。
また本発明の液晶表示装置は、前記共通電極は、前記開口に平面視で重ならないとともに前記開口に平行な他の開口を有している場合、開口と他の開口によって液晶の配向制御が容易になる。その結果、表示品質がより向上する。
また本発明の液晶表示装置は、前記共通電極は、前記開口に平面視で重ならない、X字状または円形状の開口を有している場合、開口とX字状または円形状の開口とによって液晶の配向制御が容易になる。その結果、表示品質がより向上する。
また本発明の液晶表示装置は、前記画素内回路は、書き換え駆動と静止画駆動のいずれかを選択する駆動選択回路を有しており、前記駆動選択回路は、前記書き換え駆動が選択された前記画素電極を、入力された画像信号によって書き換え駆動する画素電極制御回路と、前記書き換え駆動が非選択の前記画素電極を、保持されている前記画像信号によって静止画駆動する保持回路と、を有している場合、画素内回路は10個乃至15個程度のTFTを有しているため光リーク電流の影響を受けやすく、従って本発明の構成が有効に機能するものである。
以下、本発明のLCDの実施の形態について、図面を参照しながら説明する。但し、以下で参照する各図は、本発明のLCDの構成部材のうち、本発明の構成を説明するために必要な主要な部材を示している。従って、本発明に係るLCDは、各図に示されていない、配線導体、回路基板、制御IC、制御LSI等の周知の構成部材を備えていてもよい。
図1〜図4は、本発明のLCDについて実施の形態の各例を示すものである。そして、図1は、本発明のLCDについて実施の形態の一例を示す図であり、(a)は画素内回路及び開口を有する画素の平面図、(b)は(a)の構成においてTFT及び回路配線を省いた構成の平面図である。なお図1(b)は、開口の構成をみやすくしたものである。図1に示すように、本発明のLCDは、対向配置された第1の基板(アレイ側基板)および第2の基板(カラーフィルタ側基板)と、それらの基板によって挟持された液晶と、第1の基板上の所定方向に配置された複数本のゲート信号線と、ゲート信号線と交差させて配置された複数本の画像信号線と、ゲート信号線と画像信号線の交差部に対応して配置された第1のTFTであるTFT201a,201bと、TFT201a,201bに接続されているとともに、第2のTFTであるTFT202a1,202a2,202b1,202b2,203a〜203f,204a,204bを有して画素電極電圧を制御する画素内回路と、画素内回路よりも液晶に近い位置にあるとともに、画素内回路に接続されている光反射性の画素電極205と、液晶の側の第2の基板上に配置された共通電極210と、を有している垂直配向型でノーマリブラックのLCDであって、画素電極205は、TFT201a,201b,202a1,202a2,202b1,202b2,203a〜203f,204a,204bのチャネル部に平面視で重ならない開口205aを有している構成である。
この構成により、以下の効果を奏する。第2の基板側から入射した外部の光が画素電極205の開口205aを通って画素内に存在するTFT201a,201b,202a1,202a2,202b1,202b2,203a〜203f,204a,204bのチャネル部に入射することを効果的に抑えることができる。その結果、画素200内に存在するTFT201a,201b,202a1,202a2,202b1,202b2,203a〜203f,204a,204bの光リーク電流に起因するフリッカーの発生を効果的に抑えることができる。なお、本発明のLCDについて、図5〜図14に示す従来のLCDと同じ部位には同じ符号を付しており、それらの詳細な説明は省く。
本発明のLCDにおいて、光反射性の画素電極205は画素内回路よりも液晶に近い位置にあるが、これは視認者側である第2の基板(カラーフィルタ側基板)の側の外部から入射した光は、画素内回路に到達する前に画素電極205に入射するからである。すなわち、光は画素内回路に到達する前に画素電極205によって反射されることとなる。また、画素電極205にある開口205aは、帯状の開口であって、スリット状の開口またはスロット状の開口として構成し得るが、スロット状の開口であることが好ましい。この場合、画素電極205が開口205aによって複数に分断されることがないので、画素内回路と画素電極205との電気的な接続部であるコンタクトホール等を一箇所設ければよいこととなり、構成が簡易化される。
本発明のLCDにおける画素電極205は、例えば、アルミニウム(Al),チタン(Ti),モリブデン(Mo),タンタル(Ta),タングステン(W),クロム(Cr),銀(Ag),銅(Cu),ネオジウム(Nd)等から選ばれた元素から成る金属材料、これらの元素を主成分とする合金材料を用いて形成される。画素電極205は、これら材料の単層構造、または、例えば下層がMo層で上層がAl層である積層構造とすることができる。積層構造とすることにより、低抵抗化を実現することができる。
また、共通電極210は、透光性を有しており、酸化インジウムスズ(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、酸化珪素を添加したインジウム錫酸化物(ITSO)、酸化亜鉛(ZnO)、リンやボロンが含まれるシリコン(Si)等の透光性の導電性材料を用いて形成することができる。
従って、本発明のLCDは、バックライトが不要な光反射型LCDであってよく、また光反射部及び光透過部を有する半透過型LCDであってもよい。半透過型LCDにおける光透過部は、画素電極がITO等の透明電極から成る。また半透過型LCDは、バックライトはあってもなくてもよい。ただし、TFTの光リーク電流を効果的に抑制するためには、光反射型LCDであることが好適である。
図1(a)の構成において、画素内回路は、書き換え駆動と静止画駆動のいずれかを選択する駆動選択回路を有している。駆動選択回路は、書き換え駆動が選択された画素電極を、入力された画像信号DATAによって書き換え駆動する画素電極制御回路203と、書き換え駆動が非選択の画素電極を、保持されている画像信号DATAによって静止画駆動する保持回路202と、を有している構成である。また画素内回路には、第1の入力部201、第2の入力部204が含まれる。従って、画素内回路は10個乃至15個程度のTFTを有しているため光リーク電流の影響を受けやすく、従って本発明の構成が有効に機能するものである。
画素電極制御回路203は、排他的論理和の論理ゲート回路であり、書き換え駆動時に以下のように動作する。画像信号DATAがHの信号(「1」)であり、共通電圧VCOMがHの信号(「1」)である場合、画像信号DATAは保持回路202を通じて、pチャネルTFT203a及びnチャネルTFT203bから成る4端子型のトランスファゲート回路のpチャネルTFT203aに入力されるが、pチャネルTFT203aはオフ状態となる。これにより、トランスファゲート回路がオフ状態となり、共通電圧VCOMはトランスファゲート回路を通過しない。また画像信号DATAは、保持回路202を通じてpチャネルTFT203eのソース電極部に入力されるが、リセットゲート信号(RST GATE)が通常はLの信号であるためにpチャネルTFT203eはオン状態であり、pチャネルTFT203eを通過する。しかし、pチャネルTFT203dがオフ状態であるため、画像信号DATAはpチャネルTFT203dを通過しない。nチャネルTFT203cはオン状態であり、反転画像信号xDATA(L:「0」)を通過させて画素電極電圧(Vpixel)は(L:「0」)となる。従って、図11(b)の真理値表の最上段の状態(1,1,0)となる。
画像信号DATAがHの信号(「1」)であり、共通電圧VCOMがLの信号(「0」)である場合、pチャネルTFT203aはオフ状態、nチャネルTFT203bはオフ状態、トランスファゲート回路はオフ状態、nチャネルTFT203cはオフ状態、pチャネルTFT203dはオン状態、pチャネルTFT203eはオン状態となる。その結果、共通電圧VCOMはトランスファゲート回路を通過せず、画像信号DATAは保持回路202、pチャネルTFT203e、pチャネルTFT203dを通じて画素電極に印加され、画素電極電圧は(L:「0」)となる。従って、図11(b)の真理値表の2段目の状態(1,0,1)となる。
画像信号DATAがLの信号(「0」)であり、共通電圧VCOMがHの信号(「1」)である場合、pチャネルTFT203aはオン状態、nチャネルTFT203bはオン状態、トランスファゲート回路はオン状態、nチャネルTFT203cはオン状態、pチャネルTFT203dはオフ状態、pチャネルTFT203eはオン状態となる。その結果、共通電圧VCOMはトランスファゲート回路を通過し、画素電極に印加され、画素電極電圧は(H:「1」)となる。画像信号DATAは保持回路202、pチャネルTFT203eを通過するが、pチャネルTFT203dを通過しない。従って、図11(b)の真理値表の3段目の状態(0,1,1)となる。
画像信号DATAがLの信号(「0」)であり、共通電圧VCOMがLの信号(「0」)である場合、pチャネルTFT203aはオン状態、nチャネルTFT203bはオン状態、トランスファゲート回路はオン状態、nチャネルTFT203cはオフ状態、pチャネルTFT203dはオン状態、pチャネルTFT203eはオン状態となる。その結果、共通電圧VCOMはトランスファゲート回路を通過し、画素電極に印加され、画素電極電圧は(L:「0」)となる。画像信号DATAは保持回路202、pチャネルTFT203e、pチャネルTFT203dを通過し、画素電極に印加され、画素電極電圧は(L:「0」)となる。従って、図11(b)の真理値表の最下段の状態(0,0,0)となる。
本発明の画素内回路は、画素電極電圧を制御するものであり、上記の構成、機能のものに限定されない。例えば、画素内回路は、画素電極電圧をオンオフする2ビット制御型に限らず、中間電圧を印加可能な3ビット以上の制御を行う多ビット制御型であってもよい。
本発明のLCDは、図1に示すように、開口205aは、第1のTFTであるTFT201a,201bおよび第2のTFTであるTFT202a1,202a2,202b1,202b2,203a〜203f,204a,204bに平面視で重ならないことが好ましい。この場合、第2の基板側から入射した外部の光が画素電極205の開口205aを通ってTFT201a,201b,202a1,202a2,202b1,202b2,203a〜203f,204a,204bのチャネル部に入射することをより抑えることができる。その結果、フリッカーの発生をより抑えることができる。
また本発明のLCDは、図1に示すように、開口205aは、ゲート信号線GATEに平面視で重
なっている。これにより、開口205aを通った光の大部分は、光反射性を有するAl,Mo
等の金属から成るゲート信号線GATEによって反射されて、入射光路とほぼ同じ光路を戻り外部へ出射されるので、画素内に存在するTFT201a,201b,202a1,202a2,202b1,202b2
,203a〜203f,204a,204bのチャネル部に入射することをより抑えることができる。その結果、フリッカーの発生をより抑えることができる。開口205aは、その一部がゲート信号線GATEに平面視で重なっていてもよい。また、開口205aは、ゲート信号線GATEに平面視で平行に配置されていることがより好ましい。その場合、それらの重なる面積が大きくなり、開口205aを通った光を外部に出射させる効果が向上する。
また本発明のLCDは、図2に示すように、開口205bは、画像信号線DATAに平面視で重なっていることが好ましい。この場合、開口205bを通った光の大部分は、光反射性を有するAl,Mo等の金属から成る画像信号線DATAによって反射されて、入射光路とほぼ同じ光路を戻り外部へ出射されるので、画素内に存在するTFT201a,201b,202a1,202a2,202b1,202b2,203a〜203f,204a,204bのチャネル部に入射することをより抑えることができる。その結果、フリッカーの発生をより抑えることができる。この場合、開口205bは、その一部が画像信号線DATAに平面視で重なっていてもよい。また、開口205bは、画像信号線DATAに平面視で平行に配置されていることがより好ましい。その場合、それらの重なる面積が大きくなり、開口205bを通った光を外部に出射させる効果が向上する。
また本発明のLCDは、図1に示すように、共通電極210は、開口205aに平面視で重ならないとともに開口205aに平行な他の開口210a,210bを有していることが好ましい。この場合、開口205aと他の開口210a,210bによって、液晶の配向制御が容易になる。その結果、表示品質がより向上する。すなわち、液晶分子は、平面視したときに、帯状の開口205aの周辺ではその長手方向に直交する方向(配向方向aとする)に配向するとともに、帯状の開口210a,210bの周辺ではそれらの長手方向に直交する方向(配向方向bとする)に配向し、配向方向aと配向方向bが同じになるためである。
共通電極210にある他の開口210a,210bは、帯状の開口であって、スリット状の開口またはスロット状の開口として構成し得る。スリット状の開口である場合、開口端は開放された構成となるが、開放端同士をバスバー等によって電気的に接続すればよい。その場合、共通電極210の一箇所に共通電圧の印加部を設ければよいこととなる。
また本発明のLCDは、図2、図3に示すように、共通電極210は、開口205bに平面視で重ならない、X字状または円形状の開口210d,210eを有していることが好ましい。この場合、開口205bと開口210dとによって液晶の配向制御が容易になる。その結果、表示品質がより向上する。すなわち、液晶分子は、平面視したときに、開口210dの周辺では開口210dを中心とした放射状に配向するのであり、開口205bの配向制御が伝わりにくい画素200の中央部等に開口210dを配置することによって、液晶の配向制御が容易になる。なお、X字状の開口210dは、その交差する2つの帯状部のそれぞれが、矩形状の画素200の対角線にほぼ平行となっている形状である。X字状の開口210dは、十字状の開口に比べて開口付近の液晶を放射状に配向させることがより容易であることが本発明者によって見出されたのであり、好適な構成である。
図2の例は、開口205aが、平面視でL字状の形状とされることによって、ゲート信号線GATEに平面視で重なるとともに画像信号線DATAに平面視で重なっている構成である。また、共通電極210は、画素200の周縁に近い位置に、開口205bに平面視で重ならないとともに開口205bに平行な他の開口210cを有している。さらに、共通電極210は、画素200の中央部に近い部位にX字状の開口210dが配置されている。図3の例は、図2と同様の構成であって、X字状の開口210dに代えて円形状の開口210eがある構成である。
図4の例は、画素電極205が、ゲート信号線GATEに平面視で重なっている開口205cを有しており、共通電極210が、開口205cに平面視で重ならないとともに、開口205cに平行な平面視形状がコ字状の他の開口210fを有している構成である。
画素電極205は、例えば平面視形状が正方形状である場合、その縦辺の長さが150μm程度、横辺の長さが150μm程度のサイズであり、画素電極205に配置される帯状の開口205a,205b,205cはそれぞれ、幅が5μm〜10μm程度である。共通電極210に配置される帯状の開口210a,210b,210c,210fはそれぞれ、幅が5μm〜10μm程度である。共通電極210に配置されるX字状の開口210dは、帯状部の幅が5μm〜10μm程度、一つの帯状部の長さが18μm〜40μm程度である。共通電極210に配置される円形状の開口210eは、直径が7μm〜15μm程度である。
また、本発明のLCDは、以下のような好適な構成を採用し得る。1つの表示パネルにおいて、書き換え周期をそれぞれに最適なものとした表示領域を複数設けることができる。この場合、ある表示領域では書き換えと次の書き換えとの間の期間を非常に長く設定し、他の表示領域では書き換えと次の書き換えとの間の期間を短く設定することにより、消費電力の制御を高い精度で行うことができる。その結果、消費電力をより低減させることができる。
さらに、書き換え駆動を適用する表示領域を書き換え周期を相違させて複数設け、相違する書き換え周期の比を10倍以上とすることが良い。この場合、ある表示領域では書き換えと次の書き換えとの間の期間を非常に長く設定し、他の表示領域では書き換えと次の書き換えとの間の期間を短く設定することにより、消費電力の制御をきめ細かく高い精度で行うことができる。その結果、消費電力をより低減させることができる。さらに、相違する書き換え周期の比を10倍以上とすることにより、消費電力をより低減させる効果が高まる。
例えば、図12に示す例等のように、表示パネルにおいて、時間の表示領域91と、分の表示領域92と、秒の表示領域93とで、書き換え周期を大きく相違させることができる。秒の表示領域93では、1秒毎に書き換え駆動するのに対して、分の表示領域92では、1分毎に書き換え駆動し、時間の表示領域91では、1時間毎に書き換え駆動すればよい。従って、表示領域91〜93以外の表示領域は静止画の表示領域94である。好適な実施形態として、分の表示領域92と秒の表示領域93の書き換え駆動の周期の比は60倍となる。換言すれば、1/60になる。また、時間の表示領域91では、1時間毎に書き換え駆動すればよいので、秒の表示領域93と時間の表示領域91との書き換え駆動の周期の比は3600倍となる。換言すれば、1/3600になる。また、表示領域91〜93において、書き換え駆動を1画素(ドット)毎に行うことができるが、複数画素毎に書き換え駆動してもよい。また、表示領域91〜93において、全ての画素を書き換えてもよいし、書き換えに必要な画素のみを書き換えてもよい。例えば、1つの表示領域において、「5」の表示を「6」に書き換える場合、書き換え不要な画素と書き換え必要な画素を区別することができるので、書き換えが必要な画素のみを書き換えることができる。
また、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等からのメール着信の電波信号を腕時計で受信した際に、その腕時計のLCD等から成る表示パネルに、メール受信の表示を上述した画素選択駆動方式の書き換え駆動によって行わせることができる。このような複雑な表示機能を極めて低い消費電力でもって行うことができる。例えば、気温、湿度、高度、方位、照度、気圧、水深、水圧、天気予報、外国との時差、歩数計、潮汐時間、日の出・日没の時間、血圧、脈拍、メールの内容、ニュース速報、緊急地震速報等の告知などの表示を、それらの最適な書き換え周期または任意のタイミングでもって表示することができる。また、それらの書き換え周期または表示のタイミングを、外部から人が入力、変更等して制御することもできる。書き換え周期の変更、制御または表示のタイミングの制御は、LCDの周辺に設けられた制御LSI等によって行うことができる。
本発明のLCDにおいて、表示領域の書き換え周期に対応する書き換え期間は、書き換えを実行する動作期間及びそれ以外の書き換え休止期間を含んでおり、書き換え休止期間が動作期間よりも長いことが好ましい。この構成により、書き換えによる表示の切り換え動作が素早くなり、表示の切り換えプロセスが視認されなくなるので、表示の切り換えが見やすくなる。例えば、時計の秒の表示を書き換える場合、書き換え期間を1秒とし、書き換えを実行する動作期間を0.1〜0.3秒(10%〜30%)程度とし、それ以外の0.7〜0.9秒程度の期間を書き換え休止期間とすれば良い。
また、時計の秒を表示する表示領域のように書き換え周期が短い表示領域の画素数を、時計の分、時間を表示する表示領域のように書き換え周期が長い表示領域の画素数よりも少なくすることが好ましい。これにより、消費電力をさらに低減させることができる。例えば、好ましくは、書き換え周期が短い表示領域の画素数を、書き換え周期が長い表示領域の画素数の30%以下、より好ましくは、10%以下とすることが良い。
また、本発明のLCDは、画素電極を光反射型電極とした光反射部を有するLCDであるが、この場合、保持回路等を画素電極の下方に配置することができ、保持回路等による光反射率の低下をなくすことができる。反射型LCDは、バックライトを設ける必要がないため、消費電力の低減に有効である。また、本発明のLCDは、光反射型電極を有する光反射部と透過型電極を有する光透過部を備えた、半透過型LCDであってもよい。
また、保持回路によって保持されるビット数を1以上とすることが好ましい。このビット数を複数として多ビット化した場合、静止画表示の際に階調表示を行うことができる。また、アナログ信号を記憶する保持回路とすれば、フルカラー表示を行うこともできる。
また、画素電極制御回路203は、図11(b)の真理値表に示すように、共通電圧VcomのH/Lのいずれの信号に対しても静止画駆動と書き換え駆動を行うものとされている。即ち、共通電圧Vcom(A)がH(3V)で画像信号data(B)がH(3V)である場合、共通電圧Vcom(A)と画素電圧Pixel(L:0V)との間に電位差が形成され、共通電圧Vcom(A)がL(0V)で画像信号data(B)がH(3V)である場合にも同様に共通電圧Vcom(A)と画素電圧Pixel(H:3V)との間に電位差が形成されて、液晶が交流駆動されている。これにより、例えば、秒表示の書き換え周期に合わせて1秒毎に共通電圧Vcom(A)のH/Lを反転させることができ、液晶分子の劣化を抑えることができる。即ち、液晶分子に直流電圧成分が長時間印加されることによって、液晶分子が画素電極表面で正負の電荷の偏り(微量不純物の固定化)を起こして寿命が短くなることを抑えることができる。
このように、共通電圧VcomのH/Lの反転を、書き換え周期に連動させて定期的に反転させることが好ましい。この場合、共通電圧VcomのH/Lの反転を、書き換え周期に連動させない場合と比較して、共通電圧Vcomを個別に制御するための制御回路等を付加する必要がなく、消費電力のさらなる低下に有効である。また、共通電圧VcomのH/Lの反転駆動は、液晶分子の劣化を抑制するための反転駆動と、排他的論理和(EXOR)の論理ゲート回路を構成する画素電極制御回路203の論理回路の制御入力としての画素電圧制御信号との、2つの役割を果たしており、これによっても消費電力のさらなる低下に寄与している。
また、本発明のLCDにおいて、静止画駆動が適用される表示領域において、各画素200に供給される共通電圧のハイ/ローを定期的に反転させることが好ましい。これにより、書き換え駆動が適用される表示領域は勿論のこと静止画駆動が適用される領域においても液晶分子の劣化が抑制される。また、共通電圧Vcomの反転の定期的な周期は、制御LSI等によって、1秒毎、数十秒毎、分単位、時間単位で適宜設定することもできる。さらに、共通電圧Vcomの反転の周期をn秒毎(nは自然数)にしてもよく、その場合、秒表示の書き換え周期を共通電圧Vcomの反転の制御のベースに用いることができ、共通電圧Vcomの反転の制御が容易になる。
本発明のLCDにおいて、画素電極制御回路203と画素電極205との間に1〜3pF程度の補助容量を並列的に接続してもよい。これにより、書き換え駆動する際に、画素電極電圧が次第に低下して1フレーム期間保持されにくくなるのを抑え、画素電極電圧を1フレーム期間保持することができる。
また、低温多結晶シリコン(Low-Temperature Poly Silicon :LTPS)を用いてnチャネルTFT及びpチャネルTFTを形成してもよい。この場合、CMOS回路を基礎とした駆動回路、SRAM回路、D/A変換器、画像表示部等をガラス基板上に一体的に集積化することができる。従って、音声処理回路、マイクロプロセッサを搭載したLCDをも、LTPSを用いて作製することができる。ガラス基板上に液晶表示パネルとその周辺駆動回路を一体的に形成できるので、電気的な信頼性が向上する。即ち、液晶表示パネルと駆動回路との電気的接続数を大幅に低減させることができ、振動に強く、軽量化がなされるので、携帯情報端末にとって好適なものとなる。また、電流駆動能力が高いので、高精細な画素、開口率の高い画素200を有するLCDを作製することができる。
LTPSの製造方法を以下に示す。まず、ガラス基板上に、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法によって、アモルファスシリコン膜を形成する。次に、アモルファスシリコン膜を多結晶化するために、450℃以下のガラス基板の温度でアモルファスシリコン膜にエキシマレーザ光を照射する。エキシマレーザ装置としては、例えば、ガスレーザ光源にArF(波長193nm),KrF(波長248nm)等を用いた、アモルファスシリコン膜の吸収が大きい紫外光を発振するものが使用できる。レーザ発振周波数約300Hz、レーザ光エネルギー約300W、パルス幅約20ns〜約60ns、照射エネルギー密度500mJ/cm2〜1J/cm2程度のパルスレーザ光をアモルファスシリコン膜に照射し、アモルファスシリコン膜を瞬間的に溶融し過冷却状態にした後に凝固させる。その結果、平均粒径0.3μm程度の結晶粒径を有する多結晶シリコンの膜に変化する。