JP6812934B2 - 自動車 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車に関し、詳しくは、モータと蓄電装置とを備える自動車に関する。
従来、この種の自動車としては、駆動輪に変速機を介して接続されたモータと、モータに電力ラインを介して接続されたバッテリと、電力ラインに取り付けられたコンデンサと、を備える自動車において、コンデンサの電圧変動値が所定値以上のときに、モータの回転数が減少するように変速機の変速比を制御するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この自動車では、こうした制御により、モータの回転に伴う誘起電圧がコンデンサの耐圧を超えるのを抑制している。
国際公開第2015/072296号
駆動輪とモータとの間に変速機が設けられていないと共に耐圧の十分に大きいコンデンサを備える自動車において、モータの回転に伴う誘起電圧(逆起電圧)が大きくなったときに、モータとバッテリとの接続を解除できない或いは解除のタイミングが遅いと、バッテリにその耐圧を超える電圧が作用する可能性がある。
本発明の自動車は、モータに電力ラインを介して接続された蓄電装置にその耐圧を超える電圧が作用するのを抑制することを主目的とする。
本発明の自動車は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明の自動車は、
駆動輪に接続されたモータと、
前記モータに電力ラインを介して接続された蓄電装置と、
前記電力ラインに設けられたリレーと、
前記モータおよび前記リレーを制御する制御装置と、
を備える自動車であって、
前記制御装置は、
前記モータの回転に伴って生じる逆起電圧が前記蓄電装置の耐圧を超える可能性があると判断したときには、
前記逆起電圧が前記蓄電装置の耐圧よりも低い所定電圧に至る到達予定時刻を予測し、
前記到達予定時刻が、前記モータのトルクを値0に移行させるトルク移行処理に要する時間と前記リレーをオフとするリレーオフ処理に要する時間との和だけ現在時刻よりも後の時刻と同一時刻またはそれよりも早い時刻となったときに、前記トルク移行処理、前記リレーオフ処理の順に実行する、
ことを要旨とする。
この本発明の自動車では、モータの回転に伴って生じる逆起電圧が蓄電装置の耐圧を超える可能性があると判断したときには、逆起電圧が蓄電装置の耐圧よりも低い所定電圧に至る到達予定時刻を予測し、到達予定時刻が、モータのトルクを値0に移行させるトルク移行処理に要する時間とリレーをオフとするリレーオフ処理に要する時間との和だけ現在時刻よりも後の時刻と同一時刻またはそれよりも早い時刻となったときに、トルク移行処理、リレーオフ処理の順に実行する。これにより、リレーオフ処理が完了する前に(モータと蓄電装置との接続の解除が完了する前に)モータの逆起電圧が蓄電装置の耐圧を超える、即ち、蓄電装置にその耐圧を超える電圧が作用するのを抑制することができる。この結果、蓄電装置をより保護することができる。
本発明の自動車において、前記制御装置は、前記逆起電圧が前記所定電圧に等しくなるときの所定車速から現在車速を減じた値を加速度で除して得られる時間だけ現在時刻よりも後の時刻を前記到達予定時刻として予測するものとしてもよい。このようにして到達予定時刻を予測することができる。
本発明の自動車において、前記モータは、駆動輪としての左輪および右輪をそれぞれ駆動する第1モータおよび第2モータを有し、前記制御装置は、前記第1モータの第1逆起電圧および前記第2モータの第2逆起電圧のうちの少なくとも一方が前記蓄電装置の耐圧を超える可能性があると判断したときには、前記第1逆起電圧および前記第2逆起電圧のうちの大きい側が前記所定電圧に至る前記到達予定時刻を予測し、前記到達予定時刻が、前記トルク移行処理に要する時間と前記リレーオフ処理に要する時間との和だけ現在時刻よりも後の時刻と同一時刻またはそれよりも早い時刻となったときに、前記第1モータおよび前記第2モータについての前記トルク移行処理、前記リレーオフ処理の順に実行するものとしてもよい。こうすれば、リレーオフ処理が完了する前に第1モータや第2モータの逆起電圧が蓄電装置の耐圧を超える、即ち、蓄電装置にその耐圧を超える電圧が作用するのを抑制することができる。しかも、左輪のトルクと右輪のトルクとに差が生じるのを抑制することができ、車両が不安定になるのを抑制することができる。
この場合、前記蓄電装置は、第1蓄電装置と第2蓄電装置とを有し、前記電力ラインは、前記第1モータと前記第1蓄電装置とを接続する第1電力ラインと、前記第2モータと前記第2蓄電装置とを接続する第2電力ラインとを有し、前記リレーは、前記第1電力ラインに設けられた第1リレーと、前記第2電力ラインに設けられた第2リレーとを有するものとしてもよい。
本発明の第1実施例としての電気自動車20の構成の概略を示す構成図である。 車速Vと上限トルクTmaxとの関係の一例を示す説明図である。 電子制御ユニット50により実行される処理ルーチンの一例を示す説明図である。 車速V、モータ32の逆起電圧Ece、モータ32のトルクTm、システムメインリレー40の状態の時間変化の様子の一例を示す説明図である。 第2実施例としての電気自動車120の構成の概略を示す構成図である。 電子制御ユニット150により実行される処理ルーチンの一例を示す説明図である。
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の第1実施例としての電気自動車20の構成の概略を示す構成図である。第1実施例の電気自動車20は、図示するように、モータ32と、インバータ34と、蓄電装置としてのバッテリ36と、システムメインリレー40と、電子制御ユニット50と、を備える。
モータ32は、永久磁石が埋め込まれた回転子と三相コイルが巻回された固定子とを有する同期発電電動機として構成されており、回転子が駆動輪22a,22bに車軸DSおよびデファレンシャルギヤ24を介して連結された駆動軸26に接続されている。インバータ34は、モータ32の駆動に用いられると共に電力ライン38を介してバッテリ36に接続されている。モータ32は、電子制御ユニット50によって、インバータ34の図示しない複数のスイッチング素子がスイッチング制御されることにより、回転駆動される。また、モータ32は、回転子の回転に伴って逆起電圧Eceを生じ、この逆起電圧Eceは、モータ32の回転数Nm(車速V)が大きいほど大きくなる。
バッテリ36は、例えばリチウムイオン二次電池やニッケル水素二次電池として構成されており、上述したように、電力ライン38を介してインバータ34に接続されている。この電力ライン38には、コンデンサ39が取り付けられている。コンデンサ39としては、車速Vが許容上限車速Vmaxのときのモータ32の逆起電圧Eceよりもある程度高い耐圧を有するものが用いられる。
システムメインリレー40は、電力ライン38におけるインバータ34やコンデンサ39よりもバッテリ36側に設けられ、電子制御ユニット50によってオンオフ制御されることにより、バッテリ36とインバータ34やコンデンサ39との接続や接続の解除を行なう。
電子制御ユニット50は、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROMや、データを一時的に記憶するRAM、入出力ポートを備える。電子制御ユニット50には、各種センサからの信号が入力ポートを介して入力されている。電子制御ユニット50に入力される信号としては、例えば、モータ32の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ(例えばレゾルバ)33からの回転位置θmや、モータ32の各相の相電流を検出する図示しない電流センサからの相電流Iu,Ivを挙げることができる。バッテリ36の端子間に取り付けられた図示しない電圧センサからのバッテリ36の電圧Ebや、バッテリ36の出力端子に取り付けられた図示しない電流センサからのバッテリ36の電流Ib、コンデンサ39の端子間に取り付けられた図示しない電圧センサからのコンデンサ39(電力ライン38)の電圧EHも挙げることができる。イグニッションスイッチ60からのイグニッション信号や、シフトレバー61の操作位置を検出するシフトポジションセンサ62からのシフトポジションSPも挙げることができる。アクセルペダル63の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ64からのアクセル開度Accや、ブレーキペダル65の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ66からのブレーキペダルポジションBP、車速センサ68からの車速Vも挙げることができる。電子制御ユニット50からは、各種制御信号が出力ポートを介して出力されている。電子制御ユニット50から出力される信号としては、例えば、インバータ34の複数のスイッチング素子へのスイッチング制御信号や、システムメインリレー40へのオンオフ制御信号を挙げることができる。電子制御ユニット50は、回転位置検出センサ33からのモータ32の回転子の回転位置θmに基づいてモータ32の電気角θeや回転数Nmを演算している。
こうして構成された第1実施例の電気自動車20では、電子制御ユニット50は、アクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動軸26に要求される要求トルクTd*を設定し、要求トルクTd*をモータ32の上限トルクTmaxで制限(上限ガード)してモータ32のトルク指令Tm*に設定し、モータ32がトルク指令Tm*で駆動されるようにインバータ34の複数のスイッチング素子のスイッチング制御を行なう。
図2は、車速Vと上限トルクTmaxとの関係の一例を示す説明図である。図示するように、車速Vが所定車速V1以下の領域では、モータ32の定格トルクTmratをモータ32の上限トルクTmaxに設定するものとした。車速Vが所定車速V1よりも高く且つ所定車速V3以下の領域では、車速Vの増加に従って徐々に小さくなり、車速Vが所定車速V2のときに値0になると共に車速Vが所定車速V3のときに負の所定トルクTgとなるように、モータ32の上限トルクTmaxを設定するものとした。さらに、車速Vが所定車速V3よりも高い領域では、負の所定トルクTgをモータ32の上限トルクTmaxに設定するものとした。ここで、所定車速V2としては、例えば、所定車速V1よりも数km/h〜10数km/h程度高い値が用いられ、所定車速V3としては、例えば、所定車速V2よりも数km/h〜10数km/h程度高い値が用いられる。また、図2には、上述の許容上限車速Vmaxや、モータ32の逆起電圧Eceがバッテリ36の耐圧Ebdに等しくなるときの車速V(以下、「所定車速Vbd」という)、モータ32の逆起電圧Eceがバッテリ36の耐圧Ebdよりも低い所定電圧Exに等しくなるときの車速V(以下、「所定車速Vx」という)についても図示した。所定電圧Exとしては、例えば、バッテリ36の耐圧Ebdよりも数V〜10数V程度低い値が用いられる。所定車速Vxとしては、例えば、所定車速V3よりも10km/h〜30km/h程度高い値が用いられ、所定車速Vbdとしては、例えば、所定車速Vxよりも数km/h〜10数km/h程度高い値が用いられ、許容上限車速Vmaxとしては、例えば、所定車速Vbdよりも10km/h〜30km/h程度高い値が用いられる。
次に、こうして構成された第1実施例の電気自動車20の動作、特に、モータ32の逆起電圧Eceがバッテリ36の耐圧Ebdを超える(車速Vが所定車速Vbdを超える)可能性があるときの動作について説明する。なお、モータ32の逆起電圧Eceがバッテリ36の耐圧Ebdを超える可能性があるときとしては、例えば、比較的長距離の降坂路で運転者がアクセルペダル63を比較的大きく踏み込んでいるときを考えることができる。図3は、電子制御ユニット50により実行される処理ルーチンの一例を示す説明図である。このルーチンは、システムメインリレー40がオンのときに繰り返し実行される。
図3の処理ルーチンが実行されると、電子制御ユニット50は、車速センサ68からの車速Vや図示しない時計からの現在時刻tnを入力し(ステップS100)、入力した車速Vを所定車速V3と比較する(ステップS110)。第1実施例では、所定車速V3を、モータ32の逆起電圧Eceがバッテリ36の耐圧Ebdを超える(車速Vが所定車速Vbdを超える)可能性があるか否かを判断するための閾値として用いるものとした。車速Vが所定車速V3未満のときには、モータ32の逆起電圧Eceがバッテリ36の耐圧Ebdを超える可能性は十分に低いと判断し、本ルーチンを終了する。
ステップS110で車速Vが所定車速V3以上のときには、モータ32の逆起電圧Eceがバッテリ36の耐圧Ebdを超える可能性があると判断し、今回に入力した車速V(現在車速)から前回に入力した車速V(前回車速)を減じた値を本ルーチンの実行間隔Δtで除して加速度αを計算する(ステップS120)。続いて、現在時刻tnと車速V(現在車速)と所定車速Vxと加速度αとを用いて、式(1)により、車速Vが所定車速Vxに至る、即ち、モータ32の逆起電圧Eceが所定電圧Exに至る到達予定時刻txを予測する(ステップS130)。なお、電気自動車20では、駆動輪22a,22bとモータ32とが接続されており、車速Vとモータ32の回転数Nmとに相関関係がある。このため、車速Vや所定車速Vxに代えて、モータ32の回転数Nmや所定車速Vxに対応する所定回転数Nxを用いるものとしてもよい。また、加速度αは、車速Vを用いて演算するのに代えて、加速度センサを取り付けてこの加速度センサにより検出された値を用いるものとしてもよい。
tx=tn+(Vx-V)/α (1)
そして、現在時刻tnと、モータ32のトルクを負の所定トルクTgから値0に所定レートで移行させるトルク移行処理に要する時間Ts(例えば、数十msec〜数百msecなど)と、システムメインリレー40をオフとするリレーオフ処理に要する時間Tr(例えば、数十msecなど)とを用いて、式(2)により、バッテリ36とインバータ34やコンデンサ39との接続の解除を完了する接続解除完了予定時刻tsdを予測する(ステップS140)。
tsd=tn+Ts+Tr (2)
こうして到達予定時刻txおよび接続解除完了予定時刻tsdを計算すると、到達予定時刻txと接続解除完了予定時刻tsdとを比較する(ステップS150)。そして、到達予定時刻txが接続解除完了予定時刻tsdよりも遅い時刻のときには、本ルーチンを終了する。
ステップS150で到達予定時刻txが接続解除完了予定時刻tsdと同一時刻またはそれよりも早い時刻のときには、トルク移行処理を実行し(ステップS160)、トルク移行処理が完了すると、リレーオフ処理を実行して(ステップS160,S170)、本ルーチンを終了する。こうした制御により、モータ32の逆起電圧Eceが所定電圧Exに至る時刻またはそれよりも若干遅い時刻にリレーオフ処理が完了するから、リレーオフ処理が完了する前に(インバータ34やコンデンサ39とバッテリ36との接続の解除が完了する前に)モータ32の逆起電圧Eceがバッテリ36の耐圧Ebdを超える、即ち、バッテリ36にその耐圧を超える電圧が作用するのを抑制することができる。この結果、バッテリ36をより保護することができる。なお、トルク移行処理が完了した後にリレーオフ処理を実行することにより、モータ32のトルクが値0のとき、即ち、モータ32の回生電力が値0で電力ライン38の電流が値0のときにシステムメインリレー40をオフすることができ、システムメインリレー40の溶着を抑制することができる。
図4は、車速V、モータ32の逆起電圧Ece、モータ32のトルクTm、システムメインリレー40の状態の時間変化の様子の一例を示す説明図である。図示するように、時刻t1に車速Vが所定車速V3以上に至ると、モータ32の逆起電圧Eceがバッテリ36の耐圧Ebdを超える(車速Vが所定車速Vbdを超える)可能性があると判断する。続いて、時刻t2に到達予定時刻txが接続解除完了予定時刻tsd(=tn+Ts+Tr)と同一時刻になると、トルク移行処理、リレーオフ処理を順に実行し、時刻t3にリレーオフ処理を完了する。こうした制御により、モータ32の逆起電圧Eceがバッテリ36の耐圧Ebdに至る(車速Vが所定車速Vbdに至る)時刻t4よりも前に、リレーオフ処理を完了することができる。
以上説明した第1実施例の電気自動車20では、モータ32の逆起電圧Eceがバッテリ36の耐圧Ebdを超える(車速Vが所定車速Vbdを超える)可能性があると判断したときには、モータ32の逆起電圧Eceがバッテリ36の耐圧Ebdよりも低い所定電圧Exに至る到達予定時刻txを予測し、到達予定時刻txが、トルク移行処理に要する時間Tsとリレーオフ処理に要する時間Trとの和だけ現在時刻tnよりも後の接続解除完了予定時刻tsdと同一時刻またはそれよりも早い時刻となったときに、トルク移行処理、リレーオフ処理の順に実行する。こうした制御により、リレーオフ処理が完了する前に(インバータ34やコンデンサ39とバッテリ36との接続の解除が完了する前に)モータ32の逆起電圧Eceがバッテリ36の耐圧Ebdを超える、即ち、バッテリ36にその耐圧を超える電圧が作用するのを抑制することができる。この結果、バッテリ36をより保護することができる。
第1実施例の電気自動車20では、蓄電装置として、バッテリ36を用いるものとしたが、蓄電可能な装置であればよく、キャパシタなどを用いるものとしてもよい。
第1実施例では、走行用のモータ32を備える電気自動車20の構成としたが、モータ32に加えてエンジンも備えるハイブリッド自動車の構成としてもよい。
図5は、第2実施例としての電気自動車120の構成の概略を示す構成図である。第2実施例の電気自動車120は、図示するように、車両の左右方向に互いに対向配置される左前輪122aおよび右前輪122bと1つの操舵輪としての後輪122cとを備える三輪自動車として構成されており、モータ132a,132bと、インバータ134a,134bと、2つの蓄電装置としてのバッテリ136a,136bと、システムメインリレー140a,140bと、操舵装置142と、電子制御ユニット150と、を備える。
モータ132a,132bは、それぞれ、左前輪122a,右前輪122b内に配置されると共に永久磁石が埋め込まれた回転子と三相コイルが巻回された固定子とを有する同期発電電動機(いわゆるインホイールモータ)として構成されており、左前輪122a,右前輪122bを駆動する。インバータ134a,134bは、それぞれ、モータ132a,132bの駆動に用いられると共に電力ライン138a,138bを介してバッテリ136a,136bに接続されている。モータ132a,132bは、それぞれ、電子制御ユニット150によって、インバータ134a,134bの図示しない複数のスイッチング素子がスイッチング制御されることにより、回転駆動される。また、モータ132a,132bは、それぞれ回転子の回転に伴って逆起電圧Ecea,Ecebを生じ、この逆起電圧Ecea,Ecebは、それぞれモータ132a,132bの回転数Nma,Nmb(左前輪122a,右前輪122bの車輪速Nwa,Nwb)が大きいほど大きくなる。
バッテリ136a,136bは、それぞれ、例えばリチウムイオン二次電池やニッケル水素二次電池として構成されており、上述したように、電力ライン138a,138bを介してインバータ134a,134bに接続されている。電力ライン138a,138bには、それぞれ、コンデンサ139a,139bが取り付けられている。コンデンサ139a,139bとしては、それぞれ、左前輪122a,右前輪122bの車輪速Nwa,Nwbが許容上限車輪速Nmaxa,Nmaxbのときのモータ132a,132bの逆起電圧Ecea,Ecebよりもある程度高い耐圧を有するものが用いられる。
操舵装置142は、ステアリング144と後輪122cとがステアリングシャフトを介して機械的に接続されて構成されており、運転者によるステアリング144の操作に基づいて後輪122cを操舵する(後輪122cの切れ角を調節する)。なお、操舵装置142は、ステアリング144と後輪122cとが機械的に接続されていないいわゆるステアリングバイワイヤとして構成されるものとしてもよい。
電子制御ユニット150は、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROMや、データを一時的に記憶するRAM、入出力ポートを備える。電子制御ユニット150には、各種センサからの信号が入力ポートを介して入力されている。電子制御ユニット150に入力される信号としては、例えば、モータ132a,132bの回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ(例えばレゾルバ)133a,133bからの回転位置θma,θmbや、モータ132a,132bの各相の相電流を検出する図示しない電流センサからの相電流Iua,Iva,Iub,Ivbを挙げることができる。また、バッテリ136a,136bの端子間に取り付けられた図示しない電圧センサからのバッテリ136a,136bの電圧Eba,Ebbや、バッテリ136a,136bの出力端子に取り付けられた図示しない電流センサからのバッテリ136a,136bの電流Iba,Ibb、コンデンサ139a,139bの端子間に取り付けられた図示しない電圧センサからのコンデンサ139a,139b(電力ライン138a,138b)の電圧EHa,EHbも挙げることができる。操舵装置142に取り付けられてステアリング144の操舵角を検出する図示しない操舵角センサからの操舵角θstや、左前輪122a,右前輪122bに取り付けられた車輪速センサ123a,123bからの左前輪122a,右前輪122bの車輪速Nwa,Nwbも挙げることができる。さらに、第1実施例の電気自動車20と同様に、イグニッションスイッチ60やシフトポジションセンサ62、アクセルペダルポジションセンサ64、ブレーキペダルポジションセンサ66、車速センサ68からの各信号も挙げることができる。電子制御ユニット150からは、各種制御信号が出力ポートを介して出力されている。電子制御ユニット150から出力される信号としては、例えば、インバータ134a,134bの複数のスイッチング素子へのスイッチング制御信号や、システムメインリレー140a,140bへのオンオフ制御信号を挙げることができる。電子制御ユニット150は、回転位置検出センサ133a,133bからのモータ132a,132bの回転子の回転位置θma,θmbに基づいてモータ132a,132bの電気角θea,θebや回転数Nma,Nmbを演算している。
こうして構成された第2実施例の電気自動車20では、電子制御ユニット150は、アクセル開度Accと車速Vとに基づいて車両に要求される要求トルクTd2*を設定し、操舵角θstに基づいてモータ132a,132bのトルク配分比Da,Db(Da+Db=1)を設定する。続いて、要求トルクTd2*にモータ132a,132bのトルク配分比Da,Dbを乗じてモータ132a,132bの仮トルク指令Tmatmp,Tmbtmpを設定し、仮トルク指令Tmatmp,Tmbtmpをモータ132a,132bの上限トルクTmaxa,Tmaxbで制限(上限ガード)してモータ132a,132bのトルク指令Tma*,Tmb*を設定し、モータ132a,132bがトルク指令Tma*,Tmb*で駆動されるようにインバータ134a,134bの複数のスイッチング素子のスイッチング制御を行なう。
ここで、モータ132a,132bの上限トルクTmaxa,Tmaxbは、図2の横軸の「車速V」を「左前輪122a,右前輪122bの車輪速Nwa,Nwb」に置き換えたものとして考えることができる。第2実施例では、図2の所定車速V1,V2,V3,Vx,Vbdおよび許容上限車速Vmaxをそれぞれ対応する所定車輪速Nw1,Nw2,Nw3,Nwx,Nwbdおよび許容上限車輪速Nwmaxに置き換えて説明する。
図6は、電子制御ユニット150により実行される処理ルーチンの一例を示す説明図である。このルーチンは、システムメインリレー140a,140bが共にオンのときに繰り返し実行される。
図6の処理ルーチンが実行されると、電子制御ユニット150は、車輪速センサ123a,123bからの左前輪122a,右前輪122bの車輪速Nwa,Nwbのうち大きい側を大側車輪速Nwとして入力すると共に図示しない時計からの現在時刻tnを入力し(ステップS200)、入力した大側車輪速Nwを所定車輪速Nw3と比較する(ステップS210)。第2実施例では、所定車輪速Nw3を、モータ132a,132bの逆起電圧Ecea,Ecebのうちの少なくとも一方がバッテリ136a,136bの耐圧Ebda,Ebdbを超える(車輪速Nwa,Nwbのうちの少なくとも一方が所定車輪速Nwbdを超える)可能性があるか否かを判断するための閾値として用いるものとした。大側車輪速Nwが所定車輪速Nw3未満のときには、モータ132a,132bの逆起電圧Ecea,Ecebのうちの少なくとも一方がバッテリ136a,136bの耐圧Ebda,Ebdbを超える可能性は十分に低いと判断し、本ルーチンを終了する。
ステップS210で大側車輪速Nwが所定車輪速Nw3以上のときには、モータ132a,132bの逆起電圧Ecea,Ecebのうちの少なくとも一方がバッテリ136a,136bの耐圧Ebda,Ebdbを超える可能性があると判断し、今回に入力した大側車輪速Nw(現在大側車輪速)から前回に入力した大側車輪速Nw(前回大側車輪速)を減じた値を本ルーチンの実行間隔Δt2で除して大側車輪速加速度αwを計算する(ステップS220)。続いて、現在時刻tnと大側車輪速Nw(現在大側車輪速)と所定車輪速Nwxと大側車輪速加速度αwとを用いて、式(3)により、大側車輪速Nwが所定車輪速Nwxに至る、即ち、モータ132a,132bの逆起電圧Ecea,Ecebのうちの大きい側が所定電圧Exに至る到達予定時刻tx2を予測する(ステップS230)。なお、電気自動車120では、モータ132a,132bがそれぞれ左前輪122a,右前輪122b内に配置されており、左前輪122a,右前輪122bの車輪速Nwa,Nwbとモータ132a,132bの回転数Nma,Nmbとに相関関係がある。このため、大側車輪速Nwや所定車輪速Nwに代えて、モータ132a,132bの回転数Nma,Nmbのうちの大きい側としての大側回転数や、所定車輪速Nwに対応する所定回転数を用いるものとしてもよい。
tx2=tn+(Vwx-Vw)/αw (3)
そして、現在時刻tnと、モータ132a,132bのトルクを並行して(同時に)負の所定トルクTgから値0に所定レートで移行させる第2トルク移行処理に要する時間Ts2(例えば、数十msec〜数百msecなど)と、システムメインリレー140a,140bを並行して(同時に)オフとする第2リレーオフ処理に要する時間Tr2(例えば、数十msecなど)とを用いて、式(4)により、バッテリ136a,136bとインバータ134a,134bやコンデンサ139a,139bとの接続の解除を完了する接続解除完了予定時刻tsd2を予測する(ステップS240)。
tsd2=tn+Ts2+Tr2 (4)
こうして到達予定時刻tx2および接続解除完了予定時刻tsd2を計算すると、到達予定時刻tx2と接続解除完了予定時刻tsd2とを比較する(ステップS250)。そして、到達予定時刻tx2が接続解除完了予定時刻tsd2よりも遅い時刻のときには、本ルーチンを終了する。
ステップS250で到達予定時刻tx2が接続解除完了予定時刻tsd2と同一時刻またはそれよりも早い時刻のときには、第2トルク移行処理を並行して実行し(ステップS260)、これが完了すると、第2リレーオフ処理を実行して(ステップS270)、本ルーチンを終了する。こうした制御により、モータ132a,132bの逆起電圧Ecea,Ecebのうちの大きい側が所定電圧Exに至る時刻またはそれよりも若干遅い時刻に第2リレーオフ処理が完了するから、第2リレーオフ処理が完了する前に(インバータ134a,134bやコンデンサ139a,139bとバッテリ136a,136bとの接続の解除が完了する前に)モータ132a,132bの逆起電圧Ecea,Ecebがバッテリ136a,136bの耐圧Ebda,Ebdbを超える、即ち、バッテリ136a,136bにその耐圧を超える電圧が作用するのを抑制することができる。この結果、バッテリ136a,136bをより保護することができる。しかも、第2トルク移行処理として、モータ132a,132bのトルクを並行して(同時に)負の所定トルクTgから値0に所定レートで移行させ、第2リレーオフ処理として、システムメインリレー140a,140bを並行して(同時に)オフとするから、左前輪122aのトルクと右前輪122bのトルクとに差が生じるのを抑制することができ、車両が不安定になるのを抑制することができる。
以上説明した第2実施例の電気自動車120では、モータ132a,132bの逆起電圧Ecea,Ecebのうちの少なくとも一方がバッテリ136a,136bの耐圧Ebda,Ebdbを超える(車輪速Nwa,Nwbのうちの少なくとも一方が所定車輪速Nwbdを超える)可能性があると判断したときには、モータ132a,132bの逆起電圧Ecea,Ecebのうちの大きい側が所定電圧Exに至る到達予定時刻tx2を予測し、到達予定時刻tx2が、第2トルク移行処理に要する時間Ts2と第2リレーオフ処理に要する時間Tr2との和だけ現在時刻tnよりも後の接続解除完了予定時刻tsdと同一時刻またはそれよりも早い時刻となったときに、第2トルク移行処理、第2リレーオフ処理を順に実行する。こうした制御により、第2リレーオフ処理が完了する前に(インバータ134a,134bやコンデンサ139a,139bとバッテリ136a,136bとの接続の解除が完了する前に)モータ132a,132bの逆起電圧Ecea,Ecebがバッテリ136a,136bの耐圧Ebda,Ebdbを超える、即ち、バッテリ136a,136bにその耐圧を超える電圧が作用するのを抑制することができる。この結果、バッテリ136a,136bをより保護することができる。しかも、第2トルク移行処理として、モータ132a,132bのトルクを並行して(同時に)負の所定トルクTgから値0に所定レートで移行させ、第2リレーオフ処理として、システムメインリレー140a,140bを並行して(同時に)オフとするから、左前輪122aのトルクと右前輪122bのトルクとに差が生じるのを抑制することができ、車両が不安定になるのを抑制することができる。
第2実施例の電気自動車120では、電子制御ユニット150は、図6の処理ルーチンを実行するものとしたが、左前輪122a側の電機駆動系(モータ132a、インバータ134a、バッテリ136a、電力ライン138a、コンデンサ139a、システムメインリレー140a)および右前輪122b側の電機駆動系(モータ132b、インバータ134b、バッテリ136b、電力ライン138b、コンデンサ139b、システムメインリレー140b)のそれぞれについて、図6の処理ルーチンと同様のルーチンを実行するものとしてもよい。なお、この場合、モータ132aについての第1実施例と同様のトルク移行処理の実行タイミングとモータ132bについてのトルク移行処理の実行タイミングとが若干ずれ、左前輪122aのトルクと右前輪122bのトルクとに若干の差が生じることがある。
第2実施例の電気自動車120では、蓄電装置として、バッテリ136a,136bを用いるものとしたが、蓄電可能な装置であればよく、キャパシタなどを用いるものとしてもよい。
第2実施例の電気自動車120では、モータ132a,132bと、インバータ134a,134bと、バッテリ136a,136bと、システムメインリレー140a,140bと、を備えるものとしたが、バッテリやシステムメインリレーを1つだけ備えるものとしてもよい。この場合、図1の電気自動車20におけるモータ32およびインバータ34を図5の電気自動車120におけるモータ132a,132bおよびインバータ134a,134bに置き換えたものを考えればよい。
第2実施例の電気自動車120では、モータ132a,132bと、インバータ134a,134bと、バッテリ136a,136bと、システムメインリレー140a,140bと、を備えるものとしたが、これらに加えて、車体本体と左前輪122aおよび右前輪122bとに取り付けられると共に車体本体に対して左前輪122aおよび右前輪122bのうちの一方を持ち上げると共に他方を押し下げることにより車体本体を左右方向(幅方向)に傾斜させるリーン装置を更に備えるものとしてもよい。
第2実施例の電気自動車120では、左前輪122aと右前輪122bと後輪122cとを備える三輪自動車の構成としたが、前輪と左後輪と右後輪とを備える三輪自動車の構成としてもよいし、左右の前輪と左右の後輪とを備える四輪自動車の構成としてもよい。4輪自動車の構成の場合、4輪のうち、左右の前輪にそれぞれインホイールモータを設けるものとしてもよいし、左右の後輪にそれぞれインホイールモータを設けるものとしてもよいし、4輪の全てにそれぞれインホイールモータを設けるものとしてもよい。
第2実施例では、走行用のモータ132a,132bを備える電気自動車120の構成としたが、モータ132a,132bに加えてエンジンも備えるハイブリッド自動車の構成としてもよい。
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。第1実施例では、モータ32が「モータ」に相当し、バッテリ36が「蓄電装置」に相当し、システムメインリレー40が「リレー」に相当し、電子制御ユニット50が「制御装置」に相当する。第2実施例では、モータ132a,132bが「モータ」に相当し、バッテリ136a,136bが「蓄電装置」に相当し、システムメインリレー140a,140bが「リレー」に相当し、電子制御ユニット150が「制御装置」に相当する。
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明は、自動車の製造産業などに利用可能である。
20,120 電気自動車、22a,22b 駆動輪、24 デファレンシャルギヤ、26 駆動軸、32,132a,132b モータ、33,133a,133b 回転位置検出センサ、34,134a,134b インバータ、36,136a,136b バッテリ、38,138a,138b 電力ライン、39,139a,139b コンデンサ、40,140a,140b システムメインリレー、50,150 電子制御ユニット、60 イグニッションスイッチ、61 シフトレバー、62 シフトポジションセンサ、63 アクセルペダル、64 アクセルペダルポジションセンサ、65 ブレーキペダル、66 ブレーキペダルポジションセンサ、68 車速センサ、122a 左前輪、122b 右前輪、122c 後輪、123a,123b 車輪速センサ、142 操舵装置、144 ステアリング、DS 車軸。

Claims (1)

  1. 駆動輪に接続されたモータと、
    前記モータに電力ラインを介して接続された蓄電装置と、
    前記電力ラインに設けられたリレーと、
    前記モータおよび前記リレーを制御する制御装置と、
    を備える自動車であって、
    前記制御装置は、
    前記モータの回転に伴って生じる逆起電圧が前記蓄電装置の耐圧を超える可能性があると判断したときには、
    前記逆起電圧が前記蓄電装置の耐圧よりも低い所定電圧に至る到達予定時刻を予測し、
    前記到達予定時刻が、前記モータのトルクを値0に移行させるトルク移行処理に要する時間と前記リレーをオフとするリレーオフ処理に要する時間との和だけ現在時刻よりも後の時刻と同一時刻またはそれよりも早い時刻となったときに、前記トルク移行処理、前記リレーオフ処理の順に実行する、
    自動車。
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