JP6811200B2 - 焼成用セッター - Google Patents

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Description

本明細書は、焼成用セッターに関する技術を開示する。特に、電子部品の焼成に用いられるセッターに関する技術を開示する。
焼成用セッターでは、基材と被焼成物(電子部品)が付着したり、基材と被焼成物の間で構成成分が互いに移動することを抑制するために、基材上にコーティング層を設けている。特許文献1には、基材上に2層以上のコーティング層を設けた焼成用セッターが開示されている。特許文献1では、コーティング層によって、基材に含まれるSiOが被焼成物に混入することを防止している。また、特許文献1では、コーティング層の表層(被焼成物と接する層)に、被焼成物との反応性が低い材料が選択されている。具体的には、特許文献1では、コーティング層の表層の構成材料として、ZrO質、Al質、Al−MgO質が用いられている。すなわち、コーティング層の表層は、SiOを含まない材料で構成されている。
特開2002−154884号公報
特許文献1の焼成用セッターは、被焼成物とSiOの接触を極力避けることにより、被焼成物の特性が変動する(設定値からずれる)ことを抑制している。しかしながら、上記焼成用セッターであっても、使用初期(新品の焼成用セッターの使用開始から所定の期間)は、被焼成物の特性が変動する。そのため、従来は、実際の製品(被焼成物)を焼成する前に、ダミーの被焼成物を焼成用セッター上に配置して焼成している。すなわち、従来の焼成用セッターは、実際に使用する前に、空焼きを行うことが必要である。この空焼きの時間を削減、あるいは、短縮することができれば、被焼成物の生産性が向上する。本明細書は、コーティング層の構造を見直し、従来にない新たな焼成用セッターを提供することを目的とする。
本明細書で開示する焼成用セッターは、コーティング層に意図的にSi成分を含有させていることを特徴とする。すなわち、被焼成物に接触する層(コーティング層)に、被焼成物の特性を変動させる成分(Si成分)を敢えて含有させる。本発明者は、焼成用セッターの使用初期に被焼成物の特性が変動する原因、換言すると、使用初期に空焼きを行うことによってその後の被焼成物の特性が安定する理由について研究した。その結果、焼成用セッターの使用初期に空焼きを行うことにより、コーティング層の表層にガラス層が形成されていることが確認された。このガラス層によって、基材と被焼成物の構成成分が一方から他方に移動することが抑制され、被焼成物の特性が安定するという知見を得た。本発明者は、ガラスの主成分であるSi成分をコーティング層に適量添加することにより、コーティング層の表面にガラス層を形成することができることを確認した。本明細書で開示する焼成用セッターは、上記知見に基づくものであり、従来とは正反対の技術的思想を有する。
本明細書で開示する焼成用セッターは、電子部品の焼成に用いられる。その焼成用セッターは、基材と、基材表面を被覆しているコーティング層を備えていてよい。また、コーティング層は、Si成分を、SiO換算したときに0.5質量%以上30質量%以下含んでいてよい。
上記焼成用セッターは、使用前、あるいは、使用初期にコーティング層の表層にガラス層が形成され、そのガラス層によって基材と被焼成物の構成成分が一方から他方に移動することを抑制することができる。なお、コーティング層のSi成分を0.5質量%(SiO換算)以上とすることにより、コーティング層の表層に確実にガラス層を形成することができる。また、コーティング層に含まれるSi成分が0.5質量%以上ということは、Si成分が不純物としてではなく、コーティング層内に意図的に含有させたことを意味する。コーティング層のSi成分を30質量%以下とすることにより、被焼成物がコーティング層に付着することを抑制することができる。
上記焼成用セッターでは、コーティング層は、Ba,Mn,Al,Naから選択される少なくとも一種の成分を含んでいてよい。これらの成分は、ガラス層の原料となり得る。
上記焼成用セッターでは、コーティング層に含まれるSi成分が、コーティング層の表面側に偏在していてよい。Si成分がコーティング層の表層に移動し易く、コーティング層の表層にガラス層がより早く形成される。
上記焼成用セッターでは、コーティング層はZrOを主成分とし、コーティング層内にSiOが含まれていてよい。SiOを原料とし、コーティング層の表層にガラス層が形成される。また、上記焼成用セッターでは、コーティング層は、ZrOとZrSiOの混合物を主成分としてもよい。この場合、ZrSiOを構成しているSiを原料とし、コーティング層の表層にガラス層が形成される。
本明細書では、基材表面にコーティング層が被覆されており、電子部品の焼成に用いられる焼成用セッターの製造方法も開示する。その製造方法は、コーティング層を構成する主骨材にSi成分を含む原料を加えてコーティング材を作製する工程と、コーティング材を基材表面に塗布する工程とを備えていてよい。また、コーティング材を作製する工程において、Si成分をSiO換算したときにコーティング層に含まれるSi成分が0.5質量%以上30質量%以下となるように上記した原料を添加してよい。この製造方法によって得られた焼成用セッターを加熱(焼成)すると、コーティング層の表層にガラス層が形成され、基材と被焼成物の構成成分が一方から他方に移動することを抑制することができる。
上記製造方法において、上記原料が水ガラスとシリカゾルの少なくとも一方を含む液状であってよい。コーティング材に含まれるSi成分量を容易に調整することができる。また、Si成分をコーティング層内に均等に分散させることができる。なお、水ガラス及びシリカゾルは、構成元素としてSiを含んでいる。
なお、上記製造方法において、上記原料とともに、Ba,Mn,Al,Naから選択される少なくとも一種の成分を含む原料を加えてよい。これらの成分は、ガラス層の原料となり得る。
本明細書では、基材表面にコーティング層が被覆されており、電子部品の焼成に用いられる焼成用セッターの他の製造方法も開示する。その製造方法は、Si成分を構成元素に含まない主骨材とSi成分を構成元素に含む副骨材とを混合してコーティング材を作製する工程と、コーティング材を基材表面に塗布する工程とを備えていてよい。この製造方法によって得られた焼成用セッターを加熱すると、副骨材中のSi成分によってコーティング層の表層にガラス層が形成され、基材と被焼成物の構成成分が一方から他方に移動することを抑制することができる。
実施例のまとめを示す。
本明細書で開示する焼成用セッターは、例えば、チタン酸バリウム(TiBaO)を主成分とするセラミックスコンデンサを焼成するためのセッターとして好適に用いることができる。この焼成用セッターは、基材と、基材の表面を被覆するコーティング層を備えていてよい。コーティング層は、焼成用セッターの表面に露出し、被焼成物(セラミックスコンデンサ等)との接触面を構成していてよい。なお、基材とコーティング層の間に中間層が設けられていてもよい。また、特に限定されないが、コーティング層の厚みは30〜500μmであってよく、中間層の厚みは50〜500μmであってよい。
基材は、セラミックス製であってよい。基材の材料の一例として、アルミナ(Al),ムライト(Al−SiO質),アルミナ−ムライト,コーディエライト(MgO−Al−SiO質)等の酸化物が挙げられる。また、非酸化物の材料の一例として、焼結SiC(SSC),シリコン含浸SiC(SiSiC),再結晶SiC(Re−SiC),窒化ケイ素(Si),サイアロン(SIALON:ケイ素,アルミニウム,酸素,窒素を含むセラミックス)等が挙げられる。
コーティング層は、セラミックス製であってよい。コーティング層の主成分(主骨材)は、酸化物無添加ZrO,安定化ZrO(Y安定化ZrO,CaO安定化ZrO),部分安定化ZrO(Y部分安定化ZrO,CaO部分安定化ZrO)であってよい。これらの材料は、例えば、セラミックスコンデンサ(電子部品)を構成するチタン酸バリウム(TiBaO)との反応性が低い。
コーティング層は、主成分に加え、Si成分を含んでいてよい。Si成分は、Si単体の状態でコーティング層内に存在していてもよいし、他の元素と結合した化合物の状態でコーティング層内に存在していてもよい。化合物の状態で存在する場合、Si成分は、ケイ酸(SiO),ケイ酸ナトリウム(NaSiO),ケイ酸アルミニウム(Al−SiO−HO),ケイ酸ジルコニウム(ZrSiO)等を構成していてよい。なお、Si成分がケイ酸ジルコニウムを構成している場合、そのケイ酸ジルコニウムは、コーティング層の副骨材として主骨材とともに混合されたものであってよい。
コーティング層に含まれるSi成分は、Si成分をSiO換算したときに、0.5質量%以上30質量%以下であってよい。Si成分(SiO換算)は、0.7質量%以上であってもよく、1質量%以上であってよい。また、Si成分(SiO換算)は、20質量%以下であってよく、10質量%以下であってよい。コーティング層に含まれるSi成分が0.5質量%未満の場合、コーティング層の表層に安定してガラス層が形成されず、被焼成物の構成成分がコーティング層内に、あるいは、コーティング層の構成成分が被焼成物に移動し易くなる。また、コーティング層に含まれるSi成分が30質量%を超えると、被焼成物に含まれる成分とSi成分が反応し、被焼成物とセッターが付着し易くなる。
コーティング層に含まれるSi成分は、コーティング層内に均等に分散していてもよいし、コーティング層の厚み方向の特定の位置に偏在していてもよい。特に、Si成分は、コーティング層の表面側に偏在していてよい。あるいは、コーティング層の深部(基材側)から表層に向けて、Si成分の濃度が傾斜して(表層に向かうに従って濃くなって)いてもよい。なお、上記したように、Si成分は、ケイ酸ジルコニウム(副骨材)の形態で存在していてもよい。すなわち、Si成分は、骨材の構成元素として存在していてもよい。また、Si成分は、コーティング層を構成する骨材の間に存在していてもよい。あるいは、Si成分は、骨材(粒子)の周囲を被覆するガラスを構成していてもよい。
コーティング層は、上記した主成分(主骨材)及びSi成分に加え、Ba,Mn,Al,Naから選択される少なくとも一種の成分を含んでいてよい。これらの成分は、Si成分とともにガラスを構成する。コーティング層がSi成分に加え、Ba,Mn,Al,Na等を含んでいれば、使用前(被焼成物の焼成に用いられる前)にセッターを焼成することにより、コーティング層の表層にガラス層を形成することができる。
なお、上記したように、基材とコーティング層の間に中間層を設けてもよい。中間層を設けることにより、基材とコーティング層の密着性を向上させることができる。また、中間層を設けることにより、基材とコーティング層の熱膨張率の差に起因するコーティング層の剥離を抑制することもできる。なお、中間層は、基材成分(Si成分等)が被焼成物に移動することを抑制することもできる。中間層の材料は、例えば、アルミナ、アルミナ−ムライトであってよい。
上記したように、本明細書で開示する焼成用セッターは、基材の表面をコーティング層が被覆しており、コーティング層内にSi成分が含まれている。Si成分は、コーティング層の作製方法(焼成用セッターの製造方法)によって、種々の形態でコーティング層内に存在し得る。以下、コーティング層の作製方法(焼成用セッターの製造方法)を幾つか説明する。
(第1製造方法)
コーティング層を構成する主骨材にSi成分を含む原料(Si原料)を加えてコーティング材を作製し、そのコーティング材を中間層の表面、あるいは、基材表面に塗布する。なお、Si原料は、Si成分をSiO換算したときにコーティング層に含まれるSi成分が0.5質量%以上30質量%以下となるように加える。Si原料は、固体(粉体)であってもよいし、液体であってもよい。Si原料が固体の場合、Si原料は、上記したケイ酸,ケイ酸ナトリウム等であってよい。また、Si原料が液体の場合、Si原料は、水ガラスとシリカゾル等であってよい。
コーティング材は、スプレーコート法を用いて中間層の表面(または、基材表面)に塗布することができる。なお、基材とコーティング層の間に中間層を設ける場合、中間層が形成された基材表面にコーティング材を塗布する。中間層の表面、または、基材表面にコーティング材を塗布した後、1200〜1450℃で焼成し、コーティング材を基材表面に固着させてもよい。なお、主骨材の種類によっては、焼成により、Si原料の一部(または全部)が主骨材に固溶する。
(第2製造方法)
コーティング層を構成する主骨材にSi成分を含む原料(Si原料)と、Ba,Mn,Al,Naから選択される少なくとも一種の成分を含む原料を加える。その後の工程(塗布、焼成)は、第1製造方法と同一のため、説明を省略する。
(第3製造方法)
Si成分を構成元素に含まない主骨材と、Si成分を構成元素に含む副骨材とを混合してコーティング材を作製し、そのコーティング材を中間層の表面(または、基材表面)に塗布する。その後の工程(焼成)は、第1製造方法と同一のため、説明を省略する。この方法では、例えば、主骨材としてジルコニア(ZrO)を用い、副骨材としてケイ酸ジルコニウム(ZrSiO)等を用いることができる。また、この方法では、コーティング材を中間層の表面(または、基材表面)に溶射することにより、コーティング材塗布後の焼成を省略することもできる。
上記第1〜第3製造方法のいずれかを用いて焼成用セッターを作製し、作製した焼成用セッターの特性を評価した。焼成用セッターの作製条件及び評価結果を、図1に示す。
まず、実施例1の試料について、製造条件等を説明する。縦横150×150mm,厚さ3mmのアルミナ−ムライト板(基材)の表面に、溶射法を用いてアルミナ(中間層)を溶射した。中間層の厚みは、およそ100μmに調整した。次に、中間層の表面に、スプレーコート法を用いて予め作製していたコーティング材をコートした。なお、コーティング材は、Y安定化ZrO(平均粒径10μm、最大粒径45μm)100gに対し、シリカゾル(SiO量:20〜21wt%、平均粒子径:15〜18nm)2.5gを添加し、10時間混合したスラリーを用いた。シリカゾルは、コーティング層に含まれるSi成分(SiO換算)が0.5質量%となるように、濃度及び添加量を調整した。コーティング材をコートした後、試料を1350℃で2時間焼成し、コーティング層を中間層(基材)に固着させ、試料を作製した。試料の焼成は大気雰囲気の電気炉で行った。なお、焼成後のコーティング層の厚みは、およそ150μmであった。
実施例1の試料は、Y安定化ZrO(主成分)とSi成分(シリカゾル)を混合したコーティング材を用いて作製したため、Si成分がコーティング層の全体にほぼ均一に存在している。実施例1の試料の製造方法は、上記第1製造方法に相当する。図1には、コーティング層(乾燥質量)に含まれるSi成分(SiO換算)の割合(Si含有率:単位は質量%)と、コーティング層内におけるSi成分の存在位置(Si位置)と、対応する製造方法(第1法)を示している。
次に、実施例2〜5の試料について説明する。実施例2〜5の試料は、シリカゾルの添加量(Si含有率)が実施例1と異なるだけであり、他の製造条件は実施例1と同一である。図1に示すように、実施例2〜5の試料では、Si含有率は、各々0.7質量%,1質量%,5質量%,10質量%である。なお、比較例として、シリカゾルを添加しないコーティング材(Si含有率「0質量%」)を用いた試料も作製した(比較例1)。
次に、実施例6の試料について説明する。実施例6の試料は、上記第2製造方法に相当する製造方法により作製した。アルミナ−ムライト板(基材)の表面に中間層を溶射し、中間層の表面にコーティング材をコートするという点においては、実施例1と同一である。実験例6では、予め作製したコーティング材が実施例1と相違する。実施例6のコーティング材は、実施例1と同一のY安定化ZrO100gに対し、実施例1と同一のシリカゾル25g,BaO(和光純薬工業(株)製、純度90%以上)1g及びMnO(和光純薬工業(株)製、純度70%以上)1gを添加し、10時間混合して作製した。コーティング層(乾燥質量)に含まれるSi成分(SiO換算),Ba成分(BaO換算),Mn成分(MnO換算)の割合は、各々5質量%,0.9質量%,0.7質量%である。すなわち、実施例6の試料は、実施例4の試料を作製する際に用いたコーティング材に、さらにBa成分とMn成分を加えたものに相当する。なお、コート後の焼成条件は、実施例1と同一である。
次に、実施例7〜9の試料について説明する。実施例7〜9の試料は、シリカゾルの添加量(Si含有率)が実施例6と異なるだけであり、他の製造条件は実施例6と同一である。図1に示すように、実施例7〜9の試料では、Si含有率は、各々10質量%,20質量%,30質量%である。なお、比較例として、シリカゾルの添加量をさらに増加させたコーティング材(Si含有率35質量%,50質量%)を用いた試料も作製した(比較例2及び3)。
次に、実施例10の試料について説明する。実施例10の試料は、溶射法を用いて、上記第3製造方法に相当する製造方法により作製した。すなわち、アルミナ−ムライト板(基材)の表面に中間層を溶射し、中間層の表面にコーティング材を溶射した。実施例10のコーティング材は、Y安定化ZrO(粒子径100〜200μm、純度98%)100gとZrSiO(粒子径100〜200μm、純度97%)30gを混合して作製した。コーティング層(乾燥質量)に含まれるSi成分(SiO換算)の割合は5質量%である。なお、実施例10では、コーティング材の溶射後、焼成(焼付)を行っていない。
次に、実施例11及び12の試料について説明する。実施例11及び12の試料は、実質的に上記第1製造方法に相当する製造方法により作製した。しかしながら、実施例11及び12では、Si成分の割合が異なるコーティング材を3種作製し、スプレーコートを3回に分けて行った。そのため、実施例11及び12の試料は、コーティング層の厚み方向におけるSi含有率が異なる。なお、コーティング層全体に含まれるSi成分の割合は、実施例3と同一(1質量%)になるように調整した。実施例11の試料は、コーティング層の上部にSi成分が最も多く、中部及び下部のSi成分の量は、上部に対して、各々40質量%,20質量%となるように調整した。また、実施例12の試料は、コーティング層の下部にSi成分が最も多く、上部及び中部のSi成分の量は、下部に対して、各々20質量%,50質量%となるように調整した。
上記実施例1〜12及び比較例1〜3の試料について評価を行った。まず、ペースト状のチタン酸バリウムをシート状に加工し、チタン酸バリウムシートを作製した。なお、チタン酸バリウムは、電子部品(セラミックスコンデンサ)の原料として用いられる。次に、チタン酸バリウムシートを試料上(コーティング層上)に載置し、電気炉を用いて1250℃で1時間焼成した。焼成後の試料について、チタン酸バリウムの構成元素(Ti,Ba)の試料内への移動の有無(成分移動)、及び、チタン酸バリウムシートとの付着の有無について評価した。
成分移動の有無は、試料表面の焼成前後の化学組成をEPMAを用いて測定し、前後のBa組成差0.5%以下を「A」,0.5%以上1%以下を「B」,1%以上3%以下を「C」,3%以上を「D」とした。評価結果を図1に示す。また、チタン酸バリウムシートとの付着の有無については、焼成後のチタン酸バリウムシートのセッターへの付着状態で評価し、固着無(付着跡なし)を「A」,固着無(一部組織に付着跡観察)を「B」,固着(分離可能)を「C」,固着(50%以上固着)を「D」とした。評価結果を図1に示す。また、図1には、「成分移動」及び「付着性」の結果に基づき、総合評価(評価)も示している。
図1に示すように、コーティング層のSi成分が0.5質量%以上35質量%以下であれば、チタン酸バリウムの成分が試料内に移動することが抑制されていることが確認された(実施例1−12,比較例2)。特に、Si成分が1質量%以上10質量%以下の場合に良好な結果であった(実施例3−7,10−12)。また、コーティング層のSi成分が30質量%以下であれば、チタン酸バリウムシートと試料の付着が抑制されることが確認された(実施例1−12,比較例1)。特に、Si成分が20質量%以下の場合に良好な結果であった(実施例3−7,10−12,比較例1)。なお、製造方法による特性の差異はみられなかった(実施例4,6,10、実施例5,7)。また、Si成分の存在位置による特性の差異もみられなかった(実施例3,11,12)。以上より、コーティング層のSi成分が0.5質量%以上30質量%以下含まれていれば、Si成分の存在位置及び存在形態に係らず、チタン酸バリウムの成分移動が抑制され、また、チタン酸バリウムシートと試料の付着が抑制されることが確認された。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。

Claims (9)

  1. 電子部品の焼成に用いられる焼成用セッターであり、
    基材と、基材表面を被覆しているコーティング層と、を備えており、
    コーティング層は、Si成分を、SiO換算したときに0.5質量%以上30質量%以下含んでいる焼成用セッター。
  2. コーティング層は、Ba,Mn,Al,Naから選択される少なくとも一種の成分を含んでいる請求項1に記載の焼成用セッター。
  3. Si成分が、コーティング層の表面側に偏在している請求項1または2に記載の焼成用セッター。
  4. コーティング層は、ZrOを主成分とし、
    コーティング層内に、SiOが含まれている請求項1から3のいずれか一項に記載の焼成用セッター。
  5. コーティング層は、ZrOとZrSiOの混合物を主成分とする請求項1から3のいずれか一項に記載の焼成用セッター。
  6. 基材表面にコーティング層が被覆されており、電子部品の焼成に用いられる焼成用セッターの製造方法であり、
    コーティング層を構成する主骨材にSi成分を含む原料を加え、コーティング材を作製する工程と、
    コーティング材を基材表面に塗布する工程と、を備え、
    コーティング材を作製する工程において、Si成分をSiO換算したときにコーティング層に含まれるSi成分が0.5質量%以上30質量%以下となるように前記原料を添加する、製造方法。
  7. 前記原料は、水ガラスとシリカゾルの少なくとも一方を含む液状である請求項6に記載の製造方法。
  8. 前記原料とともに、Ba,Mn,Al,Naから選択される少なくとも一種の成分を含む原料を加える、請求項6または7に記載の製造方法。
  9. 基材表面にコーティング層が被覆されており、電子部品の焼成に用いられる焼成用セッターの製造方法であり、
    Si成分を構成元素に含まない主骨材と、Si成分を構成元素に含む副骨材と、を混合し、コーティング材を作製する工程と、
    コーティング材を基材表面に塗布する工程と、を備え
    コーティング材を作製する工程において、Si成分をSiO 換算したときにコーティング層に含まれるSi成分が0.5質量%以上30質量%以下となるように主骨材と副骨材を配合する、製造方法。
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