以下、本発明の実施の形態による負荷駆動装置を、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1に、第1の実施の形態による負荷駆動装置1を示す。負荷駆動装置1は、負荷駆動用スイッチ素子4、遮断用スイッチ素子6、中央処理部8、表示装置11等を備えている。なお、以下では、負荷駆動電源3からグランドに流れる電流を考慮して、負荷駆動電源3側を上流側とし、グランド側を下流側とする。
負荷2は、例えば電磁弁を構成している。負荷2は、直流電源からなる負荷駆動電源3に電気的に接続されている。負荷駆動電源3は、直流の駆動電圧V0を負荷2に印加する。負荷2は、負荷駆動電源3からの電力供給によって、例えば電磁弁の開弁、閉弁、方向切り替え等のような動作を行う。負荷2は、例えば電磁弁のソレノイドのようなコイルSCと、コイルSCに並列接続された還流ダイオードFDとを備えている(図14参照)。
なお、負荷2は、電磁弁に限らず、例えばブザー、ランプでもよい。このため、負荷2は、電磁弁のソレノイド等のような誘導負荷に限らず、抵抗負荷であってもよい。また、負荷の具体的な構成に応じて、還流ダイオードを省いてもよい。
図1に示すように、負荷駆動用スイッチ素子4は、負荷2と負荷駆動電源3との間に設けられ、負荷駆動制御部5によって制御される。即ち、負荷駆動用スイッチ素子4は、負荷駆動電源3の下流側であって、負荷2の上流側に配置されている。負荷駆動用スイッチ素子4は、例えば電界効果トランジスタ(FET)のような半導体スイッチ素子によって構成されている。このため、負荷駆動用スイッチ素子4は、負荷駆動制御部5からゲート電圧のような駆動信号が入力され、駆動信号に応じてONとOFFが制御される。これにより、負荷駆動用スイッチ素子4は、負荷駆動制御部5によって例えばON/OFF制御またはPWM制御され、負荷2に供給する電流を制御する。このとき、負荷駆動制御部5は、中央処理部8からの駆動制御信号S1に基づいて、負荷駆動用スイッチ素子4を駆動するための駆動信号を出力する。
なお、負荷駆動用スイッチ素子4は、FETに限らず、例えばバイポーラトランジスタでもよい。また、負荷駆動用スイッチ素子4は、負荷2と負荷駆動電源3との間の接続状態をONとOFFで切り替えるだけの制御、即ちON/OFF制御を行うのであれば、リレー(継電器)であってもよい。
遮断用スイッチ素子6は、負荷2とグランドとの間に設けられている。即ち、遮断用スイッチ素子6は、負荷2の下流側(グランド側)に配置されている。このため、遮断用スイッチ素子6の両端のうち上端部6Aは負荷2に接続され、下端部6Bはグランドに接続されている。遮断用スイッチ素子6は、負荷異常時に負荷電流ILを緊急遮断する。このとき、負荷駆動電源3から負荷2を経由して、遮断用スイッチ素子6の下流側に接続されたグランドまでの経路が、負荷電流経路を形成している。
遮断用スイッチ素子6は、例えば電界効果トランジスタ(FET)のような半導体スイッチ素子によって構成されている。このため、遮断用スイッチ素子6は、中央処理部8からゲート電圧のような導通・遮断制御信号S2が入力され、導通・遮断制御信号S2に応じてONとOFFが制御される。なお、遮断用スイッチ素子6は、FETに限らず、例えばリレーであってもよい。
電圧検出部7は、遮断用スイッチ素子6のうち負荷2側に接続され、遮断用スイッチ素子6のうち負荷2側の素子端部電圧Veを検出する。具体的には、電圧検出部7は、遮断用スイッチ素子6の両端のうち上端部6Aの素子端部電圧Veを検出する。電圧検出部7は、素子端部電圧Veに応じた信号を中央処理部8に出力する。なお、電圧検出部7は、素子端部電圧Veが検出可能であればよく、遮断用スイッチ素子6の上端部6Aに接続されてもよく、負荷2の下端部に接続されてもよく、これらの間の線路の途中に接続されていてもよい。
中央処理部8は、負荷駆動制御部5に駆動制御信号S1を送信(出力)する。これに加え、中央処理部8は、遮断用スイッチ素子6の導通と遮断の制御を行う。このため、中央処理部8は、遮断用スイッチ素子6を制御するための導通・遮断制御信号S2を、遮断用スイッチ素子6に出力する。
中央処理部8は、例えばマイクロコンピュータによって構成されている。中央処理部8は、メモリ(図示せず)に格納された図2に示す故障診断処理プログラムを実行する。これにより、中央処理部8は、遮断用スイッチ素子6が正しく遮断されているか否かを診断する。
診断用電圧源9は、負荷駆動電源3の駆動電圧V0のよりも低い診断用電圧Vd(Vd<V0)を出力する。一例を示すと、駆動電圧V0が20〜30V程度であるときに、診断用電圧Vdは4〜5V程度である。このため、診断用電圧源9は、例えば降圧チョッパのように、直流の駆動電圧V0を降圧する直流降圧回路によって構成されている。診断用電圧源9の出力側は、遮断用スイッチ素子6の上端部6Aに接続されている。診断用電圧源9は、遮断用スイッチ素子6が遮断状態(OFF)にある場合に、上端部6Aの電圧を一定値(診断用電圧Vd)に保つ。遮断用スイッチ素子6の導通(ON)と遮断(OFF)とに応じて、遮断用スイッチ素子6の上端部6Aの素子端部電圧Veが切り替わるように、診断用電圧源9は、プルアップ抵抗(図示せず)を備えている。
なお、診断用電圧源9は、常に診断用電圧Vdを出力してもよい。また、診断用電圧源9は、消費電力を低減するために、遮断用スイッチ素子6の故障診断中のみ診断用電圧Vdを出力してもよい。この場合、診断用電圧源9は、中央処理部8によって、その動作が制御される構成としてもよい。
中央処理部8は、遮断用スイッチ素子6の上端部6Aの素子端部電圧Veを、電圧検出部7を介して読み取る。これにより、中央処理部8は、電圧検出部7によって検出した素子端部電圧Veに基づいて、遮断用スイッチ素子6が正しく遮断されていることを診断する。このように、診断用電圧源9によって、負荷2に電流を流さずに遮断用スイッチ素子6の診断を行う事が可能となる。
負荷側逆流防止素子10は、遮断用スイッチ素子6の診断時に、診断用電圧源9から負荷2を介して負荷駆動用スイッチ素子4に電流が流れるのを防止する。負荷駆動用スイッチ素子4の内部にグランド等に接続される箇所がある場合に、この負荷側逆流防止素子10が必要となる。これにより、遮断用スイッチ素子6の上端部6Aの電圧を正確に検出することが可能となる。なお、例えば負荷駆動用スイッチ素子4の内部にグランド等に接続される箇所がない場合には、負荷2が直接的に負荷駆動用スイッチ素子4に接続されていてもよい。即ち、負荷駆動装置1は、負荷側逆流防止素子10を備えていなくてもよい。負荷側逆流防止素子10の具体例を、図8に示す。図8は、単一のダイオードDを用いて負荷側逆流防止素子10を構成した例を示している。
表示装置11は、中央処理部8による故障診断の判断結果を出力する判断結果出力手段を構成している。表示装置11は、例えば液晶モニタによって構成され、各種の情報を表示する。表示装置11の入力側は、中央処理部8に接続されている。中央処理部8は、遮断用スイッチ素子6の故障診断処理を実行したときに、その診断結果に応じた信号を表示装置11に出力する。これにより、表示装置11は、中央処理部8による故障診断の判断結果を表示し、オペレータに通知する。
なお、判断結果出力手段は、表示装置11に限らない。判断結果出力手段は、オペレータに故障診断の結果が通知可能なものであればよく、例えば、ランプ、ブザー等であってもよい。
また、負荷駆動用スイッチ素子4、遮断用スイッチ素子6、中央処理部8等は、負荷2を駆動するための負荷駆動回路12を構成している。負荷駆動回路12は、負荷2および表示装置11に接続されている。
次に、第1の実施の形態による負荷駆動装置1の中央処理部8が実行する故障診断処理プログラムについて、図2を参照して説明する。
遮断用スイッチ素子6の故障診断処理を開始すると、負荷駆動電源3を負荷2と遮断するように、中央処理部8は、駆動制御信号S1を負荷駆動制御部5に出力する。これにより、負荷駆動用スイッチ素子4はOFFに切り替わる。
その後、ステップS1で、中央処理部8は、遮断用スイッチ素子6をOFF(遮断状態)にするための導通・遮断制御信号S2を遮断用スイッチ素子6に出力する。続くステップS2では、電圧検出部7によって検出した素子端部電圧Ve(上端部6Aの電圧)が領域(A),(B),(C)のいずれの範囲かを判定する。
このとき、領域(A)は、素子端部電圧Veが診断用電圧源9による診断用電圧Vd付近となる領域である。このため、中央処理部8は、素子端部電圧Veが、診断用電圧Vdの半分よりも高い第1しきい値VH(例えば、VH=0.7×Vd)以上か否かに基づいて、素子端部電圧Veが領域(A)の範囲内か否かを判定する。
領域(C)は、素子端部電圧Veがグランド電位付近となる領域である。このため、中央処理部8は、素子端部電圧Veが診断用電圧Vdの半分よりも低い第2しきい値VL(例えば、VL=0.3×Vd)以下か否かに基づいて、素子端部電圧Veが領域(C)の範囲内か否かを判定する。
領域(B)は、領域(A)と領域(C)の中間レベルとなる領域である。このため、中央処理部8は、素子端部電圧Veが、第1しきい値VHよりも低く、第2しきい値VLよりも高い範囲内(VH>Ve>VL)か否かに基づいて、素子端部電圧Veが領域(B)の範囲内か否かを判定する。
ステップS2で素子端部電圧Veが領域(A)の範囲内であると判定したときには、ステップS3に移行する。ステップS3では、中央処理部8は、遮断用スイッチ素子6をON(接続状態)にするための導通・遮断制御信号S2を遮断用スイッチ素子6に出力する。続くステップS4では、ステップS2と同様に、電圧検出部7によって検出した素子端部電圧Ve(上端部6Aの電圧)が領域(A),(B),(C)のいずれの範囲かを判定する。
ステップS4で素子端部電圧Veが領域(C)の範囲内であると判定したときには、ステップS5に移行する。ステップS5では、遮断用スイッチ素子6は正常であると判断し、処理を終了する。
一方、ステップS2で素子端部電圧Veが領域(C)の範囲内であると判定したときには、ステップS6に移行する。ステップS6では、遮断用スイッチ素子6に完全短絡故障が発生していると判断する。その後、ステップ10に移行して、遮断用スイッチ素子6に発生した異常の内容として、完全短絡故障が生じた旨を表示装置11に表示して、オペレータに通知し、処理を終了する。
ステップS2で素子端部電圧Veが領域(B)の範囲内であると判定したときには、ステップS7に移行する。ステップS7では、遮断用スイッチ素子6にスイッチング不良が発生していると判断する。その後、ステップ10に移行して、遮断用スイッチ素子6に発生した異常の内容として、スイッチング不良が生じた旨を表示装置11に表示して、オペレータに通知し、処理を終了する。
ステップS4で素子端部電圧Veが領域(A)の範囲内であると判定したときには、ステップS8に移行する。ステップS6では、遮断用スイッチ素子6に完全開放故障が発生していると判断する。その後、ステップ10に移行して、遮断用スイッチ素子6に発生した異常の内容として、完全開放故障が生じた旨を表示装置11に表示して、オペレータに通知し、処理を終了する。
ステップS4で素子端部電圧Veが領域(B)の範囲内であると判定したときには、ステップS9に移行する。ステップS9では、遮断用スイッチ素子6にスイッチング不良が発生していると判断する。その後、ステップ10に移行して、遮断用スイッチ素子6に発生した異常の内容として、スイッチング不良が生じた旨を表示装置11に表示して、オペレータに通知し、処理を終了する。
次に、第1の実施の形態による負荷駆動装置1の故障診断動作について、図3ないし図6を参照して説明する。
負荷駆動装置1が起動すると、中央処理部8は、図2に示す故障診断処理プログラムを実行する。このとき、起動時の診断に際して、負荷駆動電源3を負荷2と遮断するように、中央処理部8は、駆動制御信号S1を負荷駆動制御部5に出力し、負荷駆動制御部5を通じて負荷駆動用スイッチ素子4を制御する。
まず、遮断用スイッチ素子6が正常な場合の動作の一例を、図3を参照して説明する。
図3に示すように、中央処理部8は、遮断用スイッチ素子6へ出力する導通・遮断制御信号S2のONとOFFを、一定周期で切り替える。遮断用スイッチ素子6の上端部6Aの素子端部電圧Veは、電圧検出部7により検出され、中央処理部8に出力される。
中央処理部8から出力される導通・遮断制御信号S2に対して遮断用スイッチ素子6が適切に遮断(OFF)されているときには、遮断用スイッチ素子6の抵抗値は非常に高い値になる。このため、上端部6Aの素子端部電圧Veは診断用電圧源9の出力する診断用電圧Vdと同じ値になる。これを、中央処理部8で読み取って判断することで、遮断用スイッチ素子6が適切に遮断されていることを診断することができる。
また、遮断用スイッチ素子6が適切に導通(ON)されているならば、そのときの導通抵抗は、十分に小さい値になる。このため、上端部6Aの素子端部電圧Veは、グランド電位と殆ど同じ低い電圧(ゼロ電圧)になる。以上のように、遮断用スイッチ素子6が正常であれば、遮断用スイッチ素子6の上端部6Aの素子端部電圧Veは、導通・遮断制御信号S2に応じて、診断用電圧Vdとゼロ電圧との間で切り替わる。このため、中央処理部8は、このような素子端部電圧Veの値を評価することによって、遮断用スイッチ素子6の故障検出を行うことができる。
次に、遮断用スイッチ素子6が開放故障を起こした場合について、図4を用いて説明する。
開放故障の場合には、導通・遮断制御信号S2がOFFのときに、遮断用スイッチ素子6の上端部6Aの素子端部電圧Veは、診断用電圧源9の出力電圧(診断用電圧Vd)と同じ値になる。この点は、遮断用スイッチ素子6が正常なときと同じである。しかしながら、遮断用スイッチ素子6が開放故障を起こしているため、導通・遮断制御信号S2に拘わらず、遮断用スイッチ素子6は、遮断状態(OFF)となる。即ち、導通・遮断制御信号S2がONのときには、素子端部電圧Veは、導通・遮断制御信号S2と連動せず、診断用電圧Vdを保ったままとなる。このような場合には、中央処理部8は、遮断用スイッチ素子6に開放故障が生じ、異常状態であると判定する。
次に、遮断用スイッチ素子6が短絡故障を起こした場合について、図5を用いて説明する。
短絡故障の場合には、遮断用スイッチ素子6は、常に導通状態となる。このため、遮断用スイッチ素子6の上端部6Aの素子端部電圧Veは、導通・遮断制御信号S2に拘わらず、常にグランドと同電位の低い電圧(ゼロ電圧)となる。このような場合には、中央処理部8は、遮断用スイッチ素子6に短絡故障が生じ、異常状態であると判定する。
さらに、完全な開放または短絡でなく、スイッチング不良により、遮断用スイッチ素子6が中途半端な抵抗値で切り替わるような故障も考えられる。その場合の動作を、図6を用いて説明する。
この場合、導通・遮断制御信号S2がOFFのときに、素子端部電圧Veは診断用電圧Vd付近の値にはならない。また、導通・遮断制御信号S2がONのときに、素子端部電圧Veはグランド電位にならない。このことから、中央処理部8は、遮断用スイッチ素子6が異常であると判定する。
適切な素子端部電圧Veが検出されたか否かを判断する手法として、中央処理部8がアナログ値を基に判定する手法だけでなく、中央処理部8の外部に比較器を設ける手法も考えられる。導通・遮断制御信号S2がOFFのときに、素子端部電圧Veが診断用電圧Vd付近の所定のしきい値(例えば、第1しきい値VH)を超え、かつ、導通・遮断制御信号S2がONのときに、素子端部電圧Veがグランド電位付近の他の所定のしきい値(例えば、第2しきい値VL)を下回れば、遮断用スイッチ素子6が正常であると判定することが可能である。
なお、図6に示した素子端部電圧Ve等の波形は、スイッチング不良の一例であり、その形態は一意に定まらない。しかしながら、中央処理部8は、導通・遮断制御信号S2のON、OFFの切り替えに対して、測定対象の素子端部電圧Veが適切に現れるかを診断する。このため、本手法によって様々な形態のスイッチング不良の検出が可能となり、信頼性の向上が期待される。また、図3ないし図6に示した導通・遮断制御信号S2の波形は、一例であり、必ずしも図示したパターンの波形で診断を行う必要はない。
かくして、第1の実施の形態によれば、遮断用スイッチ素子6のうち負荷2側には、診断用電圧源9が接続され、中央処理部8は、駆動制御信号S1によって負荷駆動電源3と負荷2とを遮断させた状態で、遮断用スイッチ素子6を導通(ON)させる導通・遮断制御信号S2を出力したときの素子端部電圧Veと、遮断用スイッチ素子6を遮断(OFF)させる導通・遮断制御信号S2を出力したときの素子端部電圧Veとに基づいて、遮断用スイッチ素子6が正常か異常かの判断を行う。
従って、中央処理部8は、例えばONの導通・遮断制御信号S2を出力した状態で、素子端部電圧Veが診断用電圧Vdと同程度の値となるときには、遮断用スイッチ素子6に開放故障が生じたものと判定できる。また、中央処理部8は、例えばOFFの導通・遮断制御信号S2を出力した状態で、素子端部電圧Veが診断用電圧源9のグランド電位と同程度の値となるときには、遮断用スイッチ素子6に短絡故障が生じたものと判定できる。さらに、中央処理部8は、例えばOFFの導通・遮断制御信号S2を出力した状態で、素子端部電圧Veが診断用電圧Vd付近の値にはならず、かつ、ONの導通・遮断制御信号S2を出力した状態で、素子端部電圧Veがグランド電位にならないときには、遮断用スイッチ素子6にスイッチング不良が生じたものと判定できる。この結果、中央処理部8は、導通・遮断制御信号S2の出力状態(ONとOFF)と素子端部電圧Veとの関係に基づいて、遮断用スイッチ素子6が正常か異常かの判断を行うことができる。
また、負荷駆動装置1は、遮断用スイッチ素子6のうち負荷2側(上端部6A)に接続され、素子端部電圧Veを検出して中央処理部8に出力する電圧検出部7を備えている。このため、電圧検出部7によって、遮断用スイッチ素子6の上端部6Aの素子端部電圧Veを直接的に検出することができる。
また、負荷2と負荷駆動用スイッチ素子4との間には、診断用電圧源9から負荷2に向かって電流が流れるのを防止する負荷側逆流防止素子10が設けられている。これにより、例えば負荷駆動用スイッチ素子4の内部にグランド等に接続される箇所があったときでも、診断用電圧源9から負荷2に向かう電流を防止することができる。
なお、第1の実施の形態による中央処理部8は、遮断用スイッチ素子6が異常な場合を、完全開放故障、完全短絡故障、スイッチング不良の3つの状態に分けて検出し、表示装置11に出力するものとした。本発明はこれに限らず、中央処理部8は、例えば遮断用スイッチ素子6の正常と異常だけを判断して、表示装置11に出力してもよい。
また、負荷側逆流防止素子10は、負荷2と負荷駆動用スイッチ素子4との間に設けたものに限らない。例えば図1中に破線で示すように、負荷側逆流防止素子10に代えて、診断用電圧源9よりも上流側(負荷2側)に接続され、負荷2と遮断用スイッチ素子6との間に負荷側逆流防止素子13を設けてもよい。また、負荷側逆流防止素子10,13を両方とも設けてもよい。
また、負荷側逆流防止素子10は、ダイオードDを用いたものに限らない。図9に示す第1の変形例のように、電界効果トランジスタ(FET)を用いて負荷側逆流防止素子14を構成してもよい。この場合、FETの内蔵ダイオードDによって、負荷2の上流に向かう電流を防止することができる。
次に、図10は本発明の第2の実施の形態による負荷駆動装置を示している。第2の実施の形態の特徴は、診断用電圧源と遮断用スイッチ素子との間には、負荷から診断用電圧源に向かって電流が流れるのを防止する診断側逆流防止素子が設けられていることにある。なお、本実施の形態では、前記第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
第2の実施の形態による負荷駆動装置21は、第1の実施の形態による負荷駆動装置1とほぼ同様に構成されている。このため、負荷駆動装置21は、負荷駆動用スイッチ素子4、遮断用スイッチ素子6、中央処理部8、表示装置11等を備えている。これに加えて、負荷駆動装置21は、診断用電圧源9と遮断用スイッチ素子6との間に設けられた診断側逆流防止素子22を備えている。
診断側逆流防止素子22は、診断用電圧源9の出力端と遮断用スイッチ素子6の上端部6Aとの間に接続されている。即ち、診断側逆流防止素子22は、診断用電圧源9と負荷2との間に接続されている。具体的には、診断側逆流防止素子22は、診断用電圧源9の出力端と、診断用電圧源9と遮断用スイッチ素子6との接続点との間に接続されている。診断側逆流防止素子22は、負荷2が駆動しているときに、負荷電流経路と診断用電圧源9との間の相互の干渉を防止している。
診断側逆流防止素子22は、負荷側逆流防止素子10とほぼ同様に構成されている。このため、診断側逆流防止素子22は、例えば単一のダイオードDを用いて構成されている(図11参照)。
負荷駆動回路23は、負荷駆動用スイッチ素子4、遮断用スイッチ素子6、中央処理部8等に加えて、診断側逆流防止素子22を含んでいる。負荷駆動回路23は、負荷2および表示装置11に接続されている。
第2の実施の形態による負荷駆動装置21は、上述のような構成を有する。このように構成された第2の実施の形態でも、上述した第1の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
また、負荷2を駆動している状態から遮断用スイッチ素子6を遮断したときであって、遮断用スイッチ素子6と負荷駆動用スイッチ素子4との間で遮断のタイミングがずれた場合、または、負荷2となる電磁弁の誘導性エネルギが放出される場合がある。このような場合には、診断用電圧源9に瞬間的に大きな電圧が印加され、診断用電圧源9の回路にダメージを与える可能性がある。
これに対し、第2の実施の形態では、診断用電圧源9と遮断用スイッチ素子6との間に診断側逆流防止素子22を設けている。このため、診断側逆流防止素子22によって、負荷2の駆動時に負荷電流経路と診断用電圧源9との間の相互の干渉を防止することが可能となる。
なお、第2の実施の形態では、診断側逆流防止素子22は、ダイオードDによって構成するものとした。本発明はこれに限らず、図12に示す第2の変形例のように、スイッチ素子24Aを用いて診断側逆流防止素子24を構成してもよい。
例えば、ノーマリオフの負荷2を駆動する場合、遮断用スイッチ素子6に開放故障が生じたときには、負荷2を駆動すること自体ができない。このため、遮断用スイッチ素子6の開放故障は、安全側の故障とみなして、許容されることがある。このように、遮断用スイッチ素子6の短絡故障のみを検出できればよい場合には、遮断用スイッチ素子6の遮断が適切に行えるか否かを診断すればよい。このとき、診断側逆流防止素子24は、遮断用スイッチ素子6の遮断時にのみ診断用電圧源9の出力電圧(診断用電圧Vd)を遮断用スイッチ素子6の上端部6Aに印加する。
図12に示す診断側逆流防止素子24は、診断用電圧源9と遮断用スイッチ素子6との間を接続または遮断するスイッチ素子24Aを備えている。スイッチ素子24Aの導通と遮断は、遮断用スイッチ素子6を切り替える導通・遮断制御信号S2のON/OFFとは逆論理の関係で連動して切り替わる。このため、NOT回路からなる論理素子24Bを介して、導通・遮断制御信号S2がスイッチ素子24Aの制御信号(切替信号)として入力される。
従って、遮断用スイッチ素子6を遮断させたときに、スイッチ素子24Aが導通する。このため、遮断用スイッチ素子6が正常ならば、電圧検出部7は診断用電圧源9の出力電圧(診断用電圧Vd)と同じ電圧を検出し、中央処理部8へ出力する。もし、素子端部電圧Veが診断用電圧源9の本来の出力電圧(診断用電圧Vd)よりも明らかに低い電圧であった場合には、中央処理部8は、遮断用スイッチ素子6が短絡故障を起こしていると判定する。起動時診断が終了し、負荷2を駆動する際には、遮断用スイッチ素子6を導通させることによって、スイッチ素子24Aは遮断される。そのため、負荷電流経路から診断用電圧源9への電流の流入は発生せず、負荷駆動時に負荷電流経路と診断用電圧源9との間の相互の干渉を防止することが可能である。
次に、図13は本発明の第3の実施の形態による負荷駆動装置を示している。第3の実施の形態の特徴は、負荷電流検出部と、診断側逆流防止素子と、比較器とを備えたことにある。なお、本実施の形態では、前記第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
第3の実施の形態による負荷駆動装置31は、第1の実施の形態による負荷駆動装置1とほぼ同様に構成されている。このため、負荷駆動装置31は、負荷駆動用スイッチ素子4、遮断用スイッチ素子6、中央処理部38、表示装置11等を備えている。但し、負荷駆動装置31は、第1の実施の形態による電圧検出部7が省かれている。一方、負荷駆動装置31は、負荷電流検出部32と、診断側逆流防止素子37と、比較器36とを備えている。
図13および図14に示すように、負荷電流検出部32は、負荷2の下流側に接続されている。負荷電流検出部32は、負荷2を流れる負荷電流ILに応じた電位差ΔVを発生させる電流・電圧変換素子33と、基準電圧Vrefと電位差ΔVとの差に応じた信号を増幅する増幅回路34と、を有している。
電流・電圧変換素子33は、例えば抵抗素子Rによって構成され、負荷2と遮断用スイッチ素子6の上端部6Aとの間に接続されている。即ち、電流・電圧変換素子33の上端部33Aは、負荷2に接続され、電流・電圧変換素子33の下端部33Bは、遮断用スイッチ素子6に接続されている。このとき、遮断用スイッチ素子6の下端部6Bはグランドに接続されている。このため、負荷駆動電源3から負荷2を経由して、遮断用スイッチ素子6の下流側に接続されたグランドまでの経路が、負荷電流経路を形成する。電流・電圧変換素子33は、負荷電流経路の途中に接続されている。
電流・電圧変換素子33は、その内部を流れる電流に比例する電位差ΔVを、その両端子間に発生させる。このとき、電流・電圧変換素子33には、負荷電流ILと同じ電流が流れる。このため、電流・電圧変換素子33は、負荷電流ILに応じた電位差ΔVを発生させる。電流・電圧変換素子33は、その両端子それぞれの電位を、増幅回路34に出力する。
増幅回路34は、基準電圧Vrefと電位差ΔVとの差に応じた信号を増幅して中央処理部38に出力する。このため、増幅回路34は、電流・電圧変換素子33の2端子間(上端部33Aと下端部33Bとの間)の電位差ΔVを取得する。また、増幅回路34には、電位差ΔVとは別個の診断用電圧源35から基準電圧Vrefが入力される。このため、増幅回路34は、基準電圧Vrefから電位差ΔVに比例する値を減算した電圧値を、中央処理部38に出力する。
増幅回路34は、例えば演算増幅器OPAを含む差動増幅回路によって構成されている。この場合、演算増幅器OPAの反転入力端子には、電流・電圧変換素子33の上端部33Aの電位が入力されている。演算増幅器OPAの非反転入力端子には、電流・電圧変換素子33の下端部33Bの電位が入力されている。これに加えて、演算増幅器OPAの非反転入力端子は、基準電圧入力部34Aとなっている。このため、演算増幅器OPAの非反転入力端子には、比較器36を介して基準電圧Vrefが入力されている。
このため、負荷電流ILが流れておらず、電流・電圧変換素子33の2端子間に電位差ΔVが発生しない場合には、増幅回路34は、演算増幅器OPAの非反転入力端子に入力される電圧(基準電圧Vref)をそのまま出力する。
診断用電圧源35は、第1の実施の形態による診断用電圧源9とほぼ同様に構成されている。このため、診断用電圧源35は、診断用電圧として、駆動電圧V0よりも低い基準電圧Vrefを出力する。診断用電圧源35の出力側は、遮断用スイッチ素子6の上端部6Aに接続されている。
図14に示すように、診断用電圧源35は、例えば増幅回路34の基準電圧Vrefと同じ電圧を出力する定電圧源によって構成されている。診断用電圧源35は、遮断用スイッチ素子6が導通しているときに、比較器36の入力側の電圧(入力電圧Vi)が、遮断用スイッチ素子6の上端部6Aの素子端部電圧Veに追従可能となるように、プルアップ抵抗PURを備えている。即ち、図14に示す診断用電圧源35は、故障診断用の電圧源と、増幅回路34、比較器36の基準電圧源とを兼ねている。なお、診断用電圧源35は、基準電圧Vrefとは異なる電圧値となった診断用電圧を出力してもよい。即ち、診断用電圧源35は、増幅回路34等の基準電圧源とは別個に設けられてもよい。
比較器36は、診断用電圧源35と診断側逆流防止素子37との間の接続点Pに接続され、診断側逆流防止素子37を介して入力される素子端部電圧Veが所定のしきい値よりも低いときに、基準電圧Vrefを増幅回路34の入力側に出力する。比較器36は、例えばシュミットトリガインバータSTIによって構成されている。比較器36は、入力電圧Viが基準電圧Vref付近の高電位のしきい値(例えば、第1しきい値Vth1)を超えたときに、グランド電位の電圧(ゼロ電圧)を出力する。比較器36は、入力電圧Viがグランド電位付近の低電位のしきい値(例えば、第2しきい値Vth2)を下回ったときに、基準電圧Vrefを出力する。
比較器36は、遮断用スイッチ素子6の上端部6Aの素子端部電圧Veと連動する入力端子の電圧(入力電圧Vi)に基づいて、遮断用スイッチ素子6の遮断と導通に応じた出力電圧Voを、増幅回路34の基準電圧入力部34Aとしての演算増幅器OPAの非反転入力端子に出力する。具体的には、比較器36は、遮断用スイッチ素子6が遮断(OFF)されていれば、出力電圧Voとしてグランド電位の電圧(ゼロ電圧)を出力する。比較器36は、遮断用スイッチ素子6が導通(ON)されていれば、出力電圧Voとして増幅回路34の基準電圧Vrefを出力する。増幅回路34の働きにより、起動時の故障診断においては、増幅回路34は、比較器36の出力電圧Voを、そのまま中央処理部38に向けて出力する。
このとき、増幅回路34および比較器36は、第1の実施の形態よる電圧検出部7に相当する要素として機能する。このため、遮断用スイッチ素子6への導通・遮断制御信号S2に対して、増幅回路34からの出力電圧Vaが適切に切り替わるか否かに基づいて、中央処理部38は、遮断用スイッチ素子6を診断する。
診断側逆流防止素子37は、診断用電圧源35と遮断用スイッチ素子6との間に設けられている。即ち、診断側逆流防止素子37は、診断用電圧源35と負荷2との間に接続されている。診断側逆流防止素子37は、第2の実施の形態による診断側逆流防止素子22とほぼ同様に構成されている。診断側逆流防止素子37は、負荷2が駆動しているときに、負荷電流経路と診断用電圧源9との間の相互の干渉を防止している。
なお、診断側逆流防止素子37は、診断用電圧源35側に接続された比較器36の入力電圧Viが、遮断用スイッチ素子6の上端部6Aの素子端部電圧Veに追従して変化する性質のものでなければならない。従って、診断側逆流防止素子37は、例えば診断用電圧源35から遮断用スイッチ素子6に向かう方向を順方向としたダイオードDによって構成されている。
負荷2が駆動しているときには、中央処理部38には、増幅回路34から負荷電流ILに応じた出力電圧Vaが入力される。このとき、中央処理部38は、負荷電流ILに応じて、負荷駆動制御部5に駆動制御信号S1を出力する。負荷駆動制御部5は、駆動制御信号S1に応じて負荷駆動用スイッチ素子4のONとOFFを制御する。これにより、中央処理部38は、負荷電流ILをフィードバック制御することができる。
中央処理部38は、例えばマイクロコンピュータによって構成されている。中央処理部38は、メモリ(図示せず)に格納された図15に示す故障診断処理プログラムを実行する。ここで、負荷2が停止しているときには、増幅回路34から遮断用スイッチ素子6の導通または遮断に応じた出力電圧Vaが入力される。このため、中央処理部38は、増幅回路34からの出力電圧Vaに基づいて、遮断用スイッチ素子6が正しく遮断されているか否かを診断する。
また、負荷駆動用スイッチ素子4、遮断用スイッチ素子6、負荷電流検出部32、比較器36、診断側逆流防止素子37、中央処理部38等は、負荷2を駆動するための負荷駆動回路39を構成している。負荷駆動回路39は、負荷2および表示装置11に接続されている。
次に、第3の実施の形態による負荷駆動装置31の中央処理部38が実行する故障診断処理プログラムについて、図15を参照して説明する。
遮断用スイッチ素子6の故障を診断する処理を開始すると、中央処理部38は、負荷駆動用スイッチ素子4をOFFにする駆動制御信号S1を出力し、負荷駆動電源3を負荷2と遮断する。
その後、ステップS21で、中央処理部38は、遮断用スイッチ素子6をOFF(遮断状態)にするための導通・遮断制御信号S2を遮断用スイッチ素子6に出力する。続くステップS22では、増幅回路34の出力電圧Vaが、基準電圧Vrefまたはゼロ電圧(グランド電位)のいずれかを判定する。
ステップS22で出力電圧Vaがゼロ電圧であると判定したときには、ステップS23に移行する。ステップS23では、中央処理部38は、遮断用スイッチ素子6をON(接続状態)にするための導通・遮断制御信号S2を遮断用スイッチ素子6に出力する。続くステップS24では、ステップS22と同様に、増幅回路34の出力電圧Vaが、基準電圧Vrefまたはゼロ電圧のいずれかを判定する。
ステップS24で出力電圧Vaが基準電圧Vrefであると判定したときには、ステップS25に移行する。ステップS25では、遮断用スイッチ素子6は正常であると判断し、処理を終了する。
一方、ステップS22で出力電圧Vaが基準電圧Vrefであると判定したときには、ステップS26に移行する。ステップS26では、遮断用スイッチ素子6に短絡故障が発生していると判断する。その後、ステップ28に移行して、遮断用スイッチ素子6に発生した異常の内容として、短絡故障が生じた旨を表示装置11に表示して、オペレータに通知し、処理を終了する。
ステップS24で出力電圧Vaがゼロ電圧であると判定したときには、ステップS27に移行する。ステップS27では、遮断用スイッチ素子6に開放故障またはスイッチング不良が発生していると判断する。その後、ステップ28に移行して、遮断用スイッチ素子6に発生した異常の内容として、開放故障またはスイッチング不良が生じた旨を表示装置11に表示して、オペレータに通知し、処理を終了する。
次に、第3の実施の形態による負荷駆動装置31の故障診断動作について、図16ないし図19を参照して説明する。
負荷駆動装置31が起動すると、中央処理部38は、図15に示す故障診断処理プログラムを実行する。このとき、起動時の故障診断に際して、負荷駆動電源3を負荷2と遮断するように、中央処理部38は、駆動制御信号S1を負荷駆動制御部5に出力し、負荷駆動制御部5を通じて負荷駆動用スイッチ素子4を制御する。
まず、遮断用スイッチ素子6が正常な場合の動作の一例を、図16を参照して説明する。
図16に示すように、中央処理部38は、遮断用スイッチ素子6へ出力する導通・遮断制御信号S2のONとOFFを、一定周期で切り替える。中央処理部38から出力される導通・遮断制御信号S2に対して遮断用スイッチ素子6が適切に遮断(OFF)されているときには、遮断用スイッチ素子6の抵抗値は非常に高い値になる。このため、上端部6Aの素子端部電圧Veは、診断用電圧源9の出力する基準電圧Vrefと同じ値になる。また、中央処理部38から出力される導通・遮断制御信号S2に対して遮断用スイッチ素子6が適切に導通(ON)されているときには、遮断用スイッチ素子6の抵抗値は非常に低い値になる。このため、上端部6Aの素子端部電圧Veは、グランド電位と殆ど同電位の低い電圧(ゼロ電圧)になる。このように、中央処理部38から出力される導通・遮断制御信号S2に連動して、遮断用スイッチ素子6の上端部6Aの素子端部電圧Veは、切り替わる。
ここで、遮断用スイッチ素子6の上端部6Aの素子端部電圧Veは、入力電圧Viとなって比較器36に入力される。比較器36は、入力電圧Viが高電位側の第1しきい値Vth1よりも大きい場合に、遮断用スイッチ素子6が遮断されているとみなし、グランド電位の電圧(ゼロ電圧)を出力する。また、入力電圧Viが低電位側の第2しきい値Vth2よりも低い場合に、遮断用スイッチ素子6が導通されているとみなし、基準電圧Vrefを出力する。
比較器36の出力電圧Voは、増幅回路34の基準電圧入力部34Aに、電流・電圧変換素子33からの入力とは別個に入力される。起動時の故障診断では、負荷2に負荷電流ILが流れないため、電流・電圧変換素子33の両端子間には電位差ΔVは発生しない。このため、増幅回路34は、基準電圧入力部34Aに入力される電圧を、そのまま中央処理部38に向けて出力する。即ち、起動時の故障診断では、増幅回路34の出力電圧Vaは、比較器36の出力電圧Voと同じ値になる。
次に、遮断用スイッチ素子6が開放故障を起こした場合について、図17を用いて説明する。
開放故障の場合には、導通・遮断制御信号S2がOFFのときに、遮断用スイッチ素子6の上端部6Aの素子端部電圧Veは、診断用電圧源9の出力電圧(基準電圧Vref)と同じ値になる。この点は、遮断用スイッチ素子6が正常なときと同じである。しかしながら、遮断用スイッチ素子6が開放故障を起こしているため、導通・遮断制御信号S2に拘わらず、遮断用スイッチ素子6は遮断状態(OFF)となる。即ち、導通・遮断制御信号S2がONのときには、素子端部電圧Veは、導通・遮断制御信号S2と連動せず、基準電圧Vrefを保ったままとなる。従って、中央処理部38が受け取る比較器36の出力電圧Voは、導通・遮断制御信号S2に拘わらず、グランド電位の電圧(ゼロ電圧)となる。このような場合には、中央処理部38は、遮断用スイッチ素子6に開放故障が生じ、異常状態であると判定する。
次に、遮断用スイッチ素子6が短絡故障を起こした場合について、図18を用いて説明する。
短絡故障の場合は常に導通状態となり、遮断用スイッチ素子6の上端部6Aの素子端部電圧Veは、導通・遮断制御信号S2のONとOFFの切り替わりに拘わらず、常にグランド電位と同じ低い電圧(ゼロ電圧)となる。従って、中央処理部38が受け取る比較器36の出力電圧Voは、導通・遮断制御信号S2に拘わらず、基準電圧Vrefとなる。このような場合には、中央処理部38は、遮断用スイッチ素子6に短絡故障が生じ、異常状態であると判定する。
さらに、完全な開放または短絡でなく、スイッチング不良により、遮断用スイッチ素子6が中途半端な抵抗値で切り替わるような故障も考えられる。その場合の動作を、図19を用いて説明する。
この場合、導通・遮断制御信号S2がOFFのときに、遮断用スイッチ素子6の上端部6Aの素子端部電圧Veは、基準電圧Vref付近の値にはならない。また、導通・遮断制御信号S2がONのときに、遮断用スイッチ素子6の上端部6Aの素子端部電圧Veは、グランド電位にならない。遮断用スイッチ素子6の上端部6Aの素子端部電圧Veは、比較器36の入力電圧Viになる。このスイッチング不良の例では、導通・遮断制御信号S2がONのときに、比較器36の入力電圧Viは、第2しきい値Vth2を僅かに下回る。しかしながら、導通・遮断制御信号S2がOFFのときに、比較器36の入力電圧Viは、第1しきい値Vth1を上回ることはない。このため、増幅回路34の出力電圧Vaは、導通・遮断制御信号S2のONとOFFの切り替わりに拘わらず、グランド電位の電圧(ゼロ電圧)を保ったままとなる。このような場合も、中央処理部38は、遮断用スイッチ素子6が異常であると判定する。
なお、図19に示した遮断用スイッチ素子6の上端部6Aの素子端部電圧Ve等の波形は、スイッチング不良の一例であり、その形態は一意に定まらない。しかしながら、中央処理部38は、導通・遮断制御信号S2のON、OFFの切り替えに対して、素子端部電圧Veに応じた増幅回路34の出力電圧Vaに基づいて、遮断用スイッチ素子6の導通と遮断が適切に切り替わるか否かを診断する。このため、本手法によって、様々な形態のスイッチング不良の検出が可能となり、信頼性の向上が期待される。また、図16ないし図19に示した導通・遮断制御信号S2の波形は、一例であり、必ずしも図示したパターンの波形で診断を行う必要はない。
また、負荷2の駆動を開始した以降は、遮断用スイッチ素子6が導通状態(ON)になる。このとき、比較器36は、増幅回路34に対して基準電圧Vrefを出力する。このため、増幅回路34は、電流・電圧変換素子33から取得した端子間の電位差ΔVに比例する電圧を基準電圧Vrefから減算した値を出力する。即ち、電流フィードバック制御を行うために、増幅回路34は、負荷電流ILに応じた信号(出力電圧Va)を出力する。これにより、負荷電流検出部32は、負荷電流ILを検出する通常の動作を行う。第3の実施の形態による負荷駆動装置31は、起動時診断のために中央処理部38への入力端子を追加することなく、簡易な構成で、遮断用スイッチ素子6の起動時の故障診断が可能である。
第3の実施の形態による負荷駆動装置31は、上述のような構成を有する。このように構成された第3の実施の形態でも、上述した第1の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
また、第3の実施の形態による負荷駆動装置31は、遮断用スイッチ素子6のうち負荷2側には、診断用電圧源35が接続され、負荷2を流れる負荷電流ILに応じた電位差ΔVを発生させる電流・電圧変換素子33と、基準電圧Vrefと電位差ΔVとの差に応じた信号を増幅して中央処理部38に出力する増幅回路34と、を有し、負荷電流ILを検出する負荷電流検出部32と、診断用電圧源35と遮断用スイッチ素子6との間に設けられ、遮断用スイッチ素子6から診断用電圧源35に向かって電流が流れるのを防止する診断側逆流防止素子37と、診断用電圧源35と診断側逆流防止素子37との間の接続点Pに接続され、診断側逆流防止素子37を介して入力される素子端部電圧Veが所定のしきい値(例えば、第2しきい値Vth2)よりも低いときに基準電圧Vrefを増幅回路34の入力側(基準電圧入力部34A)に出力する比較器36と、を備えている。
ここで、比較器36には、診断側逆流防止素子37による電圧降下を無視すれば、素子端部電圧Veと同じ値の入力電圧Viが入力される。このため、比較器36の出力電圧Voは、素子端部電圧Veに応じて変化する。具体的には、比較器36は、素子端部電圧Veが高電位側の第1しきい値Vth1よりも高いときにはグランド電位となった出力電圧Voを出力する。これに対し、比較器36は、素子端部電圧Veが低電位側の第2しきい値Vth2よりも低いときには基準電圧Vrefとなった出力電圧Voを出力する。
一方、負荷駆動電源3を負荷2と遮断された状態では、負荷電流ILが流れない。このとき、増幅回路34は、比較器36の出力電圧Voをそのまま出力する。従って、中央処理部38には、素子端部電圧Veに応じた増幅回路34からの出力電圧Vaが入力される。
このとき、中央処理部38は、駆動制御信号S1によって負荷駆動電源3と負荷2とを遮断させた状態で、遮断用スイッチ素子6を導通(ON)させる導通・遮断制御信号S2(制御信号)を出力したときの素子端部電圧Veと、遮断用スイッチ素子6を遮断(OFF)させる導通・遮断制御信号S2を出力したときの素子端部電圧Veとに基づいて、遮断用スイッチ素子6が正常か異常かの判断を行う。即ち、中央処理部38は、素子端部電圧Veに応じて変化する増幅回路34の出力電圧Vaに基づいて、遮断用スイッチ素子6が正常か異常かの判断を行うことができる。
また、負荷2の駆動を開始した以降は、遮断用スイッチ素子6が導通状態(ON)になる。このとき、増幅回路34は、電流・電圧変換素子33から取得した端子間の電位差ΔVに比例する電圧を、比較器36の出力電圧Voである基準電圧Vrefから減算し、この減算値に応じた出力電圧Vaを出力する。即ち、負荷2の駆動時には、増幅回路34は、負荷電流ILに応じた信号(出力電圧Va)を出力する。これにより、負荷電流検出部32は、負荷電流ILを検出し、負荷電流ILに応じた出力信号Vaを中央処理部38に入力することができる。
このため、負荷電流検出部32は、負荷2を駆動したときには、負荷電流ILの検出に用いることができる。これに加え、負荷電流検出部32は、負荷2と負荷駆動電源3との間を遮断したときには、素子端部電圧Veに応じた信号(出力電圧Va)を出力するために用いることができる。
この結果、第3の実施の形態による負荷駆動装置31は、負荷電流検出部32を用いて、素子端部電圧Veに応じた信号(出力電圧Va)を中央処理部38に入力することができる。従って、遮断用スイッチ素子6の故障診断を行うために、中央処理部38への入力端子を追加する必要がなく、簡易な構成で、遮断用スイッチ素子6の起動時の故障診断を行うことができる。
なお、第3の実施の形態による中央処理部38は、遮断用スイッチ素子6が異常な場合を、開放故障と、短絡故障またはスイッチング不良との2つの状態に分けて検出し、表示装置11に出力するものとした。本発明はこれに限らず、中央処理部38は、例えば遮断用スイッチ素子6の正常と異常だけを判断して、表示装置11に出力してもよい。
また、第3の実施の形態では、負荷側逆流防止素子10は、負荷2と負荷駆動用スイッチ素子4との間に設けた。本発明はこれに限らず、診断用電圧源よりも上流側に接続され、負荷と遮断用スイッチ素子との間に負荷側逆流防止素子を設けてもよい。また、単一の負荷側逆流防止素子に限らず、複数の負荷側逆流防止素子を設けてもよい。
前記第1ないし第3の実施の形態では、単一の負荷2に単一の遮断用スイッチ素子6を直列接続するものとした。本発明はこれに限らず、互いに直列接続された複数の負荷2に対して、単一の遮断用スイッチ素子6を直列接続してもよく、互いに並列接続された複数の負荷2に対して、単一の遮断用スイッチを直列接続してもよい。
前記各実施の形態は例示であり、異なる実施の形態で示した構成の部分的な置換または組み合わせが可能であることは言うまでもない。