JP5776607B2 - 誘導性負荷駆動装置 - Google Patents
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以下、本発明の第1の実施形態について図1〜図5を参照しながら説明する。
図1に示すように、駆動装置1(誘導性負荷駆動装置に相当)は、図示しないバッテリから電源線2およびグランド線3(一対の電源線に相当)を通じて与えられる電力をリニアソレノイド4(誘導性負荷に相当)に供給する。また、駆動装置1は、リニアソレノイド4に流れる負荷電流Irをフィードバック制御してリニアソレノイド4を駆動する。リニアソレノイド4は、例えば、自動車などの車両に搭載される自動変速機における変速用のアクチュエータとして用いられるものである。
第1判定信号DG1および第2判定信号DG2は、リニアソレノイド4の各端子に関する短絡故障の発生有無および故障内容に応じて、その態様が次の(a)〜(f)のように変化する。
図4(a)に示すように、リニアソレノイド4の各端子に関する短絡故障が生じていない非短絡状態(通常の状態)では、リニアソレノイド4の下流側端子CNLの端子電圧VNLは、ローサイドスイッチSWLのゲート駆動信号(PWM信号Sl)に同期したパルス状の電圧となる。そのため、第1判定信号DG1は、LレベルおよびHレベルが交互に繰り返されるパルス信号となる。また、ハイサイドスイッチSWHを通じて流れる電流は、定常値(定常電流)である。そのため、第2判定信号DG2は、Hレベルに固定される。また、検出電圧Vfbは、目標電流に対応した任意の電圧となる。
図4(b)に示すように、リニアソレノイド4の上流側端子CNHが、例えばグランド線3とショートするなどして地絡した場合、リニアソレノイド4には電流が流れない。そのため、リニアソレノイド4の下流側端子CNLも接地電位(グランド線3の電圧=0V)に固定される。従って、第1判定信号DG1は、Lレベルに固定される。また、ハイサイドスイッチSWHのソースが接地電位に固定される。そのため、ハイサイドドライバ5において過電流が検知され、第2判定信号DG2はLレベルに固定される。また、検出電圧Vfbは、シャント抵抗Rsに電流が流れないため、Lレベルに固定される。
図4(c)に示すように、リニアソレノイド4の上流側端子CNHが、例えば電源線2とショートするなどして天絡した場合、第1判定信号DG1および第2判定信号DG2は、非短絡状態と同様の態様となる。
図4(d)に示すように、リニアソレノイド4の下流側端子CNLが地絡した場合、リニアソレノイド4に電流が流れるものの、下流側端子CNLの端子電圧VNLが接地電位に固定される。そのため、第1判定信号DG1は、Lレベルに固定される。また、ハイサイドスイッチSWHに流れる電流は、リニアソレノイド4の抵抗成分により、過大な電流とはならない。そのため、ハイサイドドライバ5において過電流が検知されず、第2判定信号DG2はHレベルに固定される。また、検出電圧Vfbは、シャント抵抗Rsに電流が流れないため、Lレベルに固定される。
図4の(e)に示すように、リニアソレノイド4の下流側端子CNLが天絡した場合、リニアソレノイド4には電流が流れず、リニアソレノイド4の下流側端子CNLの端子電圧VNLが電源線2の電圧(電圧VB)に固定される。そのため、第1判定信号DG1は、Hレベルに固定される。また、ハイサイドスイッチSWHのドレインおよびソースが同電位となるため、ハイサイドスイッチSWHにも電流が流れない。そのため、ハイサイドドライバ5において過電流が検知されず、第2判定信号DG2は、Hレベルに固定される。また、シャント抵抗Rsには、ローサイドスイッチSWLのスイッチング動作に同期して過大な電流が流れる。そのため、検出電圧Vfbは、通常時に比べて高い電圧を示す。ただし、実際には、制御回路8による電流フィードバック制御により、ローサイドスイッチSWLのオンデューティが低減されるため、検出電圧Vfbが通常時と同程度の電圧を示すこともある。
図4の(f)に示すように、リニアソレノイド4の各端子間が短絡した場合、リニアソレノイド4には電流が流れず、リニアソレノイド4の下流側端子CNLの端子電圧VNLがローサイドスイッチSWLのスイッチング動作に同期して電圧値が変動する。そのため、第1判定信号DG1は、LレベルおよびHレベルが交互に繰り返されるパルス信号となる。また、ハイサイドスイッチSWHには、ローサイドスイッチSWLのスイッチング動作に同期して過電流が流れる。そのため、第2判定信号DG2は、LレベルおよびHレベルが交互に繰り返されるパルス信号となる。また、シャント抵抗Rsには、ローサイドスイッチSWLのスイッチング動作に同期して過大な電流が流れる。そのため、検出電圧Vfbは、通常時に比べて高い電圧を示す。ただし、実際には、制御回路8による電流フィードバック制御により、ローサイドスイッチSWLのオンデューティが低減されるため、検出電圧Vfbが通常時と同程度の電圧を示すこともある。
制御回路8は、簡略モードの短絡故障検出動作を実行する際、第1判定信号DG1がパルス信号ではないという第1条件および第2判定信号DG2がパルス信号であるという第2条件のうち、少なくとも一方の条件を満たす場合、短絡故障が生じていると判断する。また、制御回路8は、第1条件および第2条件のいずれの条件も満たさない場合、短絡故障が生じていないと判断する。すなわち、制御回路8は、第1判定信号DG1および第2判定信号DG2のエッジの有無を検出することにより、短絡故障の有無を判断する。
制御回路8は、詳細モードの短絡故障検出動作を実行する際、第1判定信号DG1がパルス信号であるとともに、第2判定信号DG2がHレベルである場合、非短絡状態であると特定する。また、制御回路8は、第1判定信号DG1および第2判定信号DG2がいずれもLレベルである場合、第1地絡状態であると特定する。また、制御回路8は、第1判定信号DG1がLレベルであるとともに、第2判定信号DG2がHレベルである場合、第2地絡状態であると特定する。また、制御回路8は、第1判定信号DG1および第2判定信号DG2がいずれもHレベルである場合、第2天絡状態であると特定する。また、制御回路8は、第1判定信号DG1および第2判定信号DG2がいずれもパルス信号である場合、端子間短絡状態であると特定する。このように、詳細モードによれば、短絡故障の発生有無が正しく判断されるだけでなく、短絡故障の内容が正しく特定される。
端子電圧検出部7は、リニアソレノイド4の下流側端子CNLの端子電圧VNLに応じて変化する第1判定信号DG1を出力する。また、ハイサイドドライバ5は、ハイサイドスイッチSWHに流れる電流に応じて変化する第2判定信号DG2を出力する。それら第1判定信号DG1および第2判定信号DG2は、リニアソレノイド4の各端子に関する短絡故障の発生有無および故障内容に応じて態様が変化するものである。そして、制御回路8は、第1判定信号DG1および第2判定信号DG2に基づいてリニアソレノイド4の各端子に関する短絡故障を検出する短絡故障検出動作を実行する。従って、本実施形態によれば、リニアソレノイド4の各端子に関する短絡故障を確実に検出することができる。
以下、本発明の第2の実施形態について、図6〜図8を参照しながら上記実施形態と異なる点を主体に説明する。
図6に示す駆動装置31は、図1に示した駆動装置1に対し、抵抗R2が省かれているとともに、制御回路8に代えて制御回路32(制御部に相当)を備えている点が異なる。制御回路32は、制御回路8に対し、第2判定入力端子Pc2が省かれている点が異なっている。これに伴い、ハイサイドドライバ5のDIAG端子Pd5(トランジスタT1のドレイン)は、制御回路32の第1判定入力端子Pc1に接続されるとともに、抵抗R4を介して電源端子10に接続されている。つまり、端子電圧検出部7(コンパレータ12)の出力端子およびハイサイドドライバ5のDIAG端子Pd5は、共通接続されるとともに、抵抗R4を介して電圧Vsにプルアップされている。
判定信号DGは、リニアソレノイド4の各端子に関する短絡故障の発生有無および故障内容に応じて、その態様が次の(a)〜(f)のように変化する。
図7(a)に示すように、非短絡状態では、端子電圧VNLがゲート駆動信号(PWM信号Sl)に同期したパルス状の電圧となるため、コンパレータ12の出力段のトランジスタは、オン/オフを繰り返す。また、ハイサイドスイッチSWHを通じて流れる電流が定常値であるため、ハイサイドドライバ5のトランジスタT1は、オフ状態となる。従って、判定信号DGは、LレベルおよびHレベルが交互に繰り返されるパルス信号となる。また、検出電圧Vfbは、目標電流に対応した任意の電圧となる。
図7(b)に示すように、第1地絡状態では、リニアソレノイド4に電流が流れないため、端子電圧VNLが接地電位に固定される。そのため、コンパレータ12の出力段のトランジスタは、オフ状態となる。また、ハイサイドスイッチSWHのソースが接地電位に固定される。そのため、ハイサイドドライバ5において過電流が検知され、トランジスタT1は、オン状態となる。従って、判定信号DGは、Lレベルに固定される。また、検出電圧Vfbは、シャント抵抗Rsに電流が流れないため、Lレベルに固定される。
図7(c)に示すように、第1天絡状態では、判定信号DGは、非短絡状態と同様の態様となる。
図7(d)に示すように、第2地絡状態では、リニアソレノイド4に電流が流れるものの、端子電圧VNLが接地電位に固定される。そのため、コンパレータ12の出力段のトランジスタは、オフ状態となる。また、ハイサイドスイッチSWHに流れる電流は、リニアソレノイド4の抵抗成分により、過大な電流とはならない。そのため、ハイサイドドライバ5において過電流が検知されず、トランジスタT1は、オフ状態となる。従って、判定信号DGは、Hレベルに固定される。また、検出電圧Vfbは、シャント抵抗Rsに電流が流れないため、Lレベルに固定される。
図7の(e)に示すように、第2天絡状態では、リニアソレノイド4に電流が流れず、端子電圧VNLが電源線2の電圧に固定される。そのため、コンパレータ12の出力段のトランジスタは、オン状態となる。また、ハイサイドスイッチSWHのドレインおよびソースが同電位となるため、ハイサイドスイッチSWHにも電流が流れない。そのため、ハイサイドドライバ5において過電流が検知されず、トランジスタT1は、オフ状態となる。従って、判定信号DGは、Lレベルに固定される。また、シャント抵抗Rsには、ローサイドスイッチSWLのスイッチング動作に同期して過大な電流が流れる。そのため、検出電圧Vfbは、通常時に比べて高い電圧を示す。ただし、実際には、制御回路8による電流フィードバック制御により、ローサイドスイッチSWLのオンデューティが低減されるため、検出電圧Vfbが通常時と同程度の電圧を示すこともある。
図7の(f)に示すように、端子間短絡状態では、リニアソレノイド4に電流が流れず、端子電圧VNLがローサイドスイッチSWLのスイッチング動作に同期して電圧値が変動する。具体的には、端子電圧VNLは、ローサイドスイッチSWLがオフのときにHレベル(電圧VB相当)になり、オンのときにLレベル(接地電位相当)になる。そのため、コンパレータ12の出力段のトランジスタは、ローサイドスイッチSWLがオフのときにオンになり、ローサイドスイッチSWLがオンのときにオフになる。
制御回路32は、簡略モードの短絡故障検出動作を実行する際、判定信号がパルス信号ではないという条件を満たす場合、短絡故障が生じている(短絡故障有り)と判断する。また、制御回路32は、上記条件を満たさない場合、短絡故障が生じていない(短絡故障無し)と判断する。すなわち、制御回路32は、判定信号DGのエッジの有無を検出することにより、短絡故障の有無を判断する。
制御回路32は、詳細モードの短絡故障検出動作を実行する際、判定信号DGに加え、検出電圧Vfbに基づいて、非短絡故障状態または第1天絡状態と、第1地絡状態と、第2地絡状態と、第2天絡状態または端子間短絡状態とのいずれの状態であるのかを特定する。具体的には、制御回路32は、判定信号DGがパルス信号である場合、非短絡故障状態または第1天絡状態であると特定する。また、制御回路32は、判定信号DGがLレベルであるとともに、検出電圧VfbがLレベルである場合、第1地絡状態であると特定する。また、制御回路32は、判定信号DGがHレベルである場合、第2地絡状態であると特定する。また、制御回路32は、判定信号DGがLレベルであるとともに、検出電圧Vfbが任意の電圧値である場合、第2天絡状態または端子間短絡状態であると特定する。このように、詳細モードによれば、短絡故障の発生有無が正しく判断されるだけでなく、短絡故障の内容が正しく特定される。ただし、第2天絡状態および端子間短絡状態の切り分けはできない。
なお、本発明は上記し且つ図面に記載した各実施形態に限定されるものではなく、次のような変形または拡張が可能である。
ハイサイドスイッチSWHおよびローサイドスイッチSWLは、Nチャネル型のパワーMOSFETに限らずともよく、バイポーラトランジスタやIGBTなど、他のスイッチング素子であってもよい。トランジスタT1は、MOSFETに限らずともよく、例えばバイポーラトランジスタなど、他のスイッチング素子であってもよい。
制御回路8および制御回路32は、通常モードおよび詳細モードの短絡故障検出動作のうち、少なくともいずれか一方を実行する構成であればよい。
端子電圧検出部および負荷電流検出部としては、図1などに示した構成に限らずともよい。
第2の実施形態の駆動装置31において、ハイサイドドライバ5のDIAG端子Pd5の信号およびコンパレータ12の出力信号を入力するAND回路を備え、そのAND回路の出力信号を判定信号DGとして制御回路32に与える構成としてもよい。
Claims (7)
- 一対の電源線を通じて与えられる電力を誘導性負荷に供給し、前記誘導性負荷に流れる電流をフィードバック制御して前記誘導性負荷を駆動する誘導性負荷駆動装置であって、
前記一対の電源線のうち高電位側電源線と前記誘導性負荷の一方の端子との間に介在するハイサイドスイッチと、
前記誘導性負荷の他方の端子電圧を検出し、その検出電圧値が判定電圧値未満である場合に第1レベルになるとともに、前記検出電圧値が前記判定電圧値以上である場合に第2レベルになる第1判定信号を出力する端子電圧検出部と、
前記ハイサイドスイッチを通じて流れる電流を検出し、その検出電流値が判定電流値以上である場合に第1レベルになるとともに、前記検出電流値が前記判定電流値未満である場合に第2レベルになる第2判定信号を出力するハイサイド電流検出部と、
前記誘導性負荷の他方の端子と前記一対の電源線のうち低電位側電源線との間の給電経路に介在するローサイドスイッチと、
前記誘導性負荷の他方の端子と前記ローサイドスイッチとの間に流れる負荷電流を検出し、その検出値に応じた検出電圧を出力する負荷電流検出部と、
前記ハイサイドスイッチおよび前記ローサイドスイッチの駆動を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記ハイサイドスイッチをオンに固定するとともに、前記検出電圧および前記負荷電流の目標値に基づいて前記負荷電流の検出値が前記目標値に一致するように前記ローサイドスイッチをPWM駆動する通常動作と、
前記ハイサイドスイッチをオン/オフ繰り返すことにより電流制限する保護動作と、
前記第1判定信号および前記第2判定信号に基づいて、前記誘導性負荷の各端子に関する短絡故障を検出する短絡故障検出動作と、
を実行することを特徴とする誘導性負荷駆動装置。 - 前記制御部は、
前記短絡故障検出動作を実行する際、
前記第1判定信号がパルス信号ではないという条件および前記第2判定信号がパルス信号であるという条件のうち少なくとも一方を満たす場合、前記短絡故障が生じていると判断することを特徴とする請求項1に記載の誘導性負荷駆動装置。 - 前記制御部は、
前記短絡故障検出動作を実行する際、
前記短絡故障が生じていない非短絡状態または前記誘導性負荷の一方の端子と前記高電位側電源線との間が短絡した第1天絡状態、前記誘導性負荷の一方の端子と前記低電位側電源線との間が短絡した第1地絡状態、前記誘導性負荷の他方の端子と前記高電位側電源線との間が短絡した第2天絡状態、前記誘導性負荷の他方の端子と前記低電位側電源線との間が短絡した第2地絡状態、および前記誘導性負荷の各端子間が短絡した端子間短絡状態のうち、いずれの状態であるかを特定することを特徴とする請求項1または2に記載の誘導性負荷駆動装置。 - 前記制御部は、
前記短絡故障検出動作を実行する際、
前記第1判定信号がパルス信号であるという条件および前記第2判定信号が第2レベルであるという条件を満たす場合、前記非短絡状態または前記第1天絡状態であると特定し、
前記第1判定信号が第1レベルであるという条件および前記第2判定信号が第1レベルであるという条件を満たす場合、前記第1地絡状態であると特定し、
前記第1判定信号が第1レベルであるという条件および前記第2判定信号が第2レベルであるという条件を満たす場合、前記第2地絡状態であると特定し、
前記第1判定信号が第2レベルであるという条件および前記第2判定信号が第2レベルであるという条件を満たす場合、前記第2天絡状態であると特定し、
前記第1判定信号がパルス信号であるという条件および前記第2判定信号がパルス信号であるという条件を満たす場合、前記端子間短絡状態であると特定することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の誘導性負荷駆動装置。 - 前記第1判定信号および前記第2判定信号の論理和である判定信号を出力するAND回路を備え、
前記制御部は、
前記短絡故障検出動作を実行する際、
前記第1判定信号および前記第2判定信号に代えて前記AND回路から出力される判定信号に基づいて、前記誘導性負荷の各端子に関する短絡故障を検出することを特徴とする請求項1に記載の誘導性負荷駆動回路。 - 前記制御部は、
前記短絡故障検出動作を実行する際、
前記判定信号がパルス信号ではないという条件を満たす場合、前記短絡故障が生じていると判断することを特徴とする請求項5に記載の誘導性負荷駆動装置。 - 前記端子電圧検出部は、オープンコレクタまたはオープンドレインのトランジスタにより出力段が構成され、
前記ハイサイド電流検出部は、オープンコレクタまたはオープンドレインのトランジスタにより出力段が構成され、
前記端子電圧検出部の出力端子および前記ハイサイド電流検出部の出力端子が共通接続されるとともに、プルアップ用抵抗を介して前記第2レベルに相当する電圧にプルアップされることにより、前記AND回路が構成されていることを特徴とする請求項5または6に記載の誘導性負荷駆動装置。
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