以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
[1.第1の実施の形態]
[1−1.紙幣処理装置の構成]
図1に示すように、第1の実施の形態による紙幣処理装置1は、例えば金融機関に設置される現金処理装置(いわゆるテラーマシン)であり、金融機関の職員や顧客(以下これを使用者と呼ぶ)の操作により、現金(特に紙幣)に関する入金取引や出金取引等の各種取引を行う。
以下では、紙幣処理装置1のうち使用者が対峙する正面側を前側とし、その反対を後側とし、前側から見た場合の左及び右をそれぞれ左側及び右側とし、さらに上側及び下側を定義して説明する。
媒体処理装置としての紙幣処理装置1は、大きく分けて下側の下部2及び上側の上部3により構成されている。下部2は、全体として直方体状に形成されており、媒体としての紙幣に関する種々の処理を行う部分が組み込まれている。下部2における上面の前寄りには、使用者との間で紙幣を受け渡す受渡部4が設けられている。
受渡部4は、下部2における後側部分の上面よりも上方に隆起しており、且つ手前側に対して奥側(後側)が高くなるよう緩やかに傾斜されている。これにより受渡部4は、下部2の前側に位置する使用者から容易にアクセスし得るように、すなわち使用者が紙幣の投入や取出を容易に行い得るようになっている。
上部3は、下部2における前後方向の中央付近から上方へ向けて立設されており、前後方向に短く上下方向に長い直方体状ないし板状に形成されている。上部3の前面における上側約半分の領域は、下側が前方へ飛び出るように傾斜されると共に、タッチパネル5が組み込まれている。タッチパネル5は、例えば液晶ディスプレイの表面にタッチセンサが組み込まれた構成でなり、種々の情報を表示して使用者に通知する他、所定の操作入力画面を表示して該使用者に種々の操作指示を入力させる。
因みに紙幣処理装置1は、例えば金融機関において、下部2における上部3の後面よりも後側の部分を壁面に埋め込むようにして、すなわち上部3の後面をこの壁面と対向させた状態で設置される。
紙幣処理装置1には、図2に模式的なブロック図を示すように、下部2における筐体10の内部に、制御部11、入金部12、第1出金部13、第2出金部14、搬送部15、鑑別部16、一時保留部17、複数の紙幣収納庫18及びリジェクト庫19が設けられている。
制御部11は、紙幣処理装置1の全体を統括的に制御している。この制御部11は、図示しないCPU(Central Processing Unit)を中心に構成され、図示しないROMやフラッシュメモリ等から所定のプログラムを読み出して実行することにより、入金処理や出金処理等のような種々の処理を行う。また制御部11は、内部にRAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブやフラッシュメモリ等でなる記憶部を有しており、この記憶部に種々の情報やプログラム等を記憶させる。
媒体取込部及び媒体取込装置としての入金部12は、受渡部4の最も後側、すなわち上部3の直前に配置されており、紙幣を収納する集積空間や、該集積空間から紙幣を1枚ずつに分離する分離部、及び該集積空間を外部から遮蔽するカバー等を有している(詳しくは後述する)。この入金部12は、集積された紙幣が使用者により集積空間内に投入されると、これを1枚ずつに分離する分離処理を行って繰り出し、搬送部15に引き渡す。
第1媒体排出部としての第1出金部13は、受渡部4における前後方向の中央付近に位置している。この第1出金部13は、紙幣を集積した状態で収納する第1排出媒体集積空間としての集積空間13Sや、搬送部15から受け取った紙幣を集積空間13S内へ放出する放出部13E、及び所定のアクチュエータにより開閉可能な第1排出カバーとしてのカバー13C等を有している。この第1出金部13は、搬送部15から紙幣が搬送されてくると、カバー13Cを閉塞した状態で、放出部13Eにより紙幣を集積空間13S内へ放出して集積させた後、該カバー13Cを開放して使用者に紙幣を取り出させる。
第2媒体排出部としての第2出金部14は、第1出金部13の集積空間13S、放出部13E及びカバー13Cとそれぞれ対応する第2排出媒体集積空間としての集積空間14S、放出部14E及び第2排出カバーとしてのカバー14Cを有している。カバー14Cは、左右方向に3分割されており、このうち左右の両外側に位置する部分が所定のアクチュエータにより一体に開閉され、中央に位置する部分が使用者により手動で開閉されるようになっている。
搬送部15は、筐体10内の各部を結ぶ搬送路Yに沿って配置された各種ローラやベルト、並びにこれらを駆動するためのギアやモータ等により構成されている。また搬送部15は、搬送路の分岐点に図示しない切替器を適宜配置している。この搬送部15は、制御部11の制御に基づき、搬送路に沿って紙幣を搬送すると共に、切替器により当該紙幣の搬送先を切り替える。因みに図2では、搬送部15を構成する部品の一部のみを模式的に示している。
鑑別部16は、入金部12の後方下側であって、搬送部15の搬送路Y上に配置されている。この鑑別部16は、種々のセンサを有しており、搬送部15により搬送されてくる紙幣の金種、真偽、正損、走行状態などを基に、取り扱うことのできる取扱可能紙幣であるか否かを鑑別し、その鑑別結果を制御部11へ送出する。また鑑別部16は、紙幣における損傷の程度を基に、再利用することができる再利用可能紙幣であるか否かを鑑別し、その鑑別結果を制御部11へ送出することもできる。
一時保留部17は、第2出金部14の前方下側に配置されており、搬送部15により搬送されてきた紙幣を内部に一時的に収納(保留)し、また保留している紙幣を1枚ずつ搬送部15へ繰り出す。
各紙幣収納庫18は、内部に紙幣を集積した状態で収納する集積空間や、搬送部15から搬送されてきた紙幣を該集積空間内へ放出して集積させる放出機構、及び集積空間内に集積されている紙幣を1枚ずつに分離して繰り出し、搬送部15に引き渡す分離機構等を有している。この紙幣収納庫18は、搬送部15から搬送されてくる紙幣(正常紙幣)を上下方向に重ねて内部に収納し、また収納している紙幣を1枚ずつ繰り出して搬送部15へ引き渡す。
リジェクト庫19は、内部に紙幣を収納する集積空間や、搬送部15から搬送されてきた紙幣を該集積空間内へ放出して集積させる放出機構等を有している。このリジェクト庫19は、鑑別部16において再利用不可能と鑑別された紙幣(リジェクト紙幣)が搬送部15により搬送されてくると、内部に収納する。
かかる構成により紙幣処理装置1は、使用者からタッチパネル5を介して入金取引を開始する操作を受け付けると、制御部11において所定の入金プログラムを読み出して実行することにより、入金処理を開始する。
具体的に制御部11は、第2出金部14のカバー14Cにおける外側部分を開放した上で、タッチパネル5に所定のメッセージを表示することにより、使用者に紙幣を入金部12の集積空間内へ投入させ、分離処理によりこの紙幣を1枚ずつ分離して搬送部15へ順次引き渡す。搬送部15は、この紙幣を搬送路Yに沿って鑑別部16へ順次搬送する。
続いて制御部11は、鑑別部16により各紙幣が取扱可能紙幣であるか否かを鑑別させ、その鑑別結果を基に、取扱可能紙幣を搬送部15により一時保留部17へ搬送して収納させる一方、取り扱うことができないと鑑別された紙幣(以下これを入金リジェクト紙幣又はリジェクト媒体と呼ぶ)を第2出金部14へ搬送して収納させる。
その後制御部11は、鑑別した紙幣の枚数や合計金額等をタッチパネル5に表示し、使用者に入金取引を継続するか否かを問い合わせる。ここで使用者から入金取引の継続が指示されると、制御部11は一時保留部17に収納されている紙幣を順次繰り出して搬送部15により搬送させ、再度鑑別部16において金種及び損傷の程度を鑑別させる。続いて制御部11は、再利用可能と鑑別された紙幣をその金種に応じた紙幣収納庫18へ搬送して収納させる一方、再利用できないと鑑別された紙幣(リジェクト紙幣)をリジェクト庫19へ搬送して収納させる。
また紙幣処理装置1は、使用者からタッチパネル5を介して出金取引を開始する操作を受け付けると、制御部11において所定の出金プログラムを読み出して実行することにより、出金処理を開始する。具体的に紙幣処理装置1の制御部11は、タッチパネル5を介して使用者に出金額を指定させる。これに応じて制御部11は、出金する紙幣の金種及び枚数を決定する。また制御部11は、第1出金部13又は第2出金部14の何れか一方を選択して選択出金部とする。
次に制御部11は、各紙幣収納庫18から出金額に応じた金種及び枚数の紙幣を順次繰り出し、これを搬送部15により選択出金部へ順次搬送させ、該選択出金部において集積空間内に紙幣を順次放出して集積させる。その後制御部11は、全ての紙幣を選択出金部へ搬送し終えると、選択出金部のカバー(13C又は14C)を開放して紙幣を使用者に取り出させる。
このように紙幣処理装置1は、入金処理において入金部12に紙幣を投入させ、これを1枚ずつに分離して取り込むようになっている。
[1−2.入金部の構成]
次に、入金部12の構成について説明する。入金部12は、図2に示したように、その一部が受渡部4における筐体10の上面よりもさらに上方に突出すると共に、残りの部分が筐体10の内部に埋め込まれている。
図3(A)に拡大した斜視図を示すように、入金部12における受渡部4の上面よりも上方に突出した部分は、側カバー部21及び中央カバー部22により入金機構部23の周囲が覆われている。側カバー部21及び中央カバー部22は、全体として、中心軸を左右方向に沿わせた三角柱のような形状を形成しており、さらに前面部分や上端の稜線近傍が丸みを帯びている。
側カバー部21は、上方に突出した部分のうち左右の両側面及びその近傍部分を占めており、筐体10に固定されている。一方、中央カバー部22は、左右それぞれの側カバー部21の間に挟まれた部分を占めており、図3(B)に示すように、後側に設けられた回動軸(詳しくは後述する)を中心として、筐体10に対し回動可能に構成されている。
すなわち中央カバー部22は、回動することにより、入金部12の内部を外部から遮蔽(すなわち閉塞)した閉塞状態(図3(A))と、入金部12の内部における前側部分を外部と連通(すなわち開放)させた開放状態(図3(B))とに遷移することができる。
入金部12は、側カバー部21が取り外されると、図4(A)及び(B)に示すように、内部に組み込まれている入金機構部23の一部を周囲に露出させた状態となる。因みに図4(A)及び(B)は、それぞれ入金部12から筐体10及び側カバー部21を省略した上で、中央カバー部22を開放状態及び閉塞状態とした様子を表している。
[1−2−1.入金機構部の構成]
集積部としての入金機構部23(図4(A))は、大きく分けて、底部25、背部26、左側部27及び右側部28、並びにバックアップ部29により構成されている。また入金機構部23は、この底部25、背部26、左側部27及び右側部28により下側、後側、左側及び右側をそれぞれ囲むようにして、集積空間30を形成している。
図5に模式的な側面図を示すように、底部25は、入金機構部23における下側部分に位置しており、その上面が概ね平坦なフロアガイド31となっており、後面が底部搬送ガイド32となっている。因みに図5では、説明の都合上、中央カバー部22及び左側部27を省略している。
このフロアガイド31は、その上側に、紙面を上下に向けた姿勢で集積された複数の紙幣、すなわち束ねられた状態の紙幣が載置されることが想定された載置面となっている。またフロアガイド31は、後側よりも前側のほうが高くなるように傾斜されており、集積された紙幣を後側の背部26に寄りかからせることになる。底部搬送ガイド32は、法線を後方向ないし後斜め上方向に向けた平面となっている。説明の都合上、以下では、上方向を集積方向とも呼び、また下方向を反集積方向とも呼ぶ。
底部25内における上寄りの部分には、前後方向のほぼ中央付近にピッカローラ33が設けられると共に、その後端にフィードローラ34が設けられている。ピッカローラ33は、中心軸を左右方向に沿わせた扁平な円柱状に形成されており、その周側面における一部分に、紙幣に対する摩擦力が高い高摩擦部材が取り付けられている。またピッカローラ33は、中心部分においてピッカローラ中心軸33Xに挿通されており、図示しないモータから駆動力が供給されると、このピッカローラ中心軸33Xと一体に矢印R2方向へ、すなわち図5における反時計回りに回転する。
因みに底部25には、図4(A)に示したように、左右方向に沿って所定間隔ごとに複数のピッカローラ33が配置されている。各ピッカローラ33は、何れもピッカローラ中心軸33X(図5)に挿通されると共に、フロアガイド31に適宜形成された孔部を介して、それぞれの上端近傍を該フロアガイド31よりも上側に突出させている。
フィードローラ34(図5)は、ピッカローラ33と同様、中心軸を左右方向に沿わせた扁平な円柱状に形成されており、その周側面における一部分に、紙幣に対する摩擦力が高い高摩擦部材が取り付けられている。またフィードローラ34は、やはりピッカローラ33と同様、中心部分においてフィードローラ中心軸34Xに挿通されており、図示しないモータから駆動力が供給されると、このフィードローラ中心軸34Xと一体に矢印R2方向へ、すなわち図5における反時計回りに回転する。
因みに底部25には、図4(A)に示したように、左右方向に沿って所定間隔ごとに複数のフィードローラ34が配置されている。各フィードローラ34は、何れもフィードローラ中心軸34X(図5)に挿通されると共に、フロアガイド31に適宜形成された孔部を介して、それぞれの上端近傍を該フロアガイド31よりも上側に突出させている。
背部26(図5)は、入金機構部23における後側部分に位置しており、その前面における上側約2/3の部分が概ね平坦なフロントガイド36となっており、その下側が背部搬送ガイド37となっている。フロントガイド36は、上側よりも下側が先方に位置するように傾斜しており、フロアガイド31に対して約90度の角度をなしている。
このフロントガイド36は、その前側に、紙面を上下に向けた姿勢で集積された複数の紙幣における後側部分、すなわち各紙幣における後端部分と当接若しくは近接することにより、この集積された紙幣を支えることが想定されている。
背部搬送ガイド37は、法線を前方向ないし前斜め下方向に向けた平面となっており、フロントガイド36よりも後側に位置している。この背部搬送ガイド37は、底部25の底部搬送ガイド32との間に所定の隙間を形成しており、この隙間に沿って紙幣を下方向へ案内することができる。
背部26におけるフロントガイド36及び背部搬送ガイド37の間には、ゲートローラ38が設けられている。このゲートローラ38は、フィードローラ34等と同様に、中心軸を左右方向に沿わせた扁平な円柱状に形成されている。このゲートローラ38は、フィードローラ34との間に、紙幣を1枚のみ通過させ得るような狭い隙間を形成している。説明の都合上、以下では、フィードローラ34及びゲートローラ38をまとめて分離取込部39と呼び、両者の隙間をゲート39Gと呼ぶ。
左側部27(図4(A))は、底部25の左側ないし上側であって、背部26の左側ないし前側に位置しており、固定された左サイドフレーム41Lを有している。この左サイドフレーム41Lは、全体として左右方向に薄い板状になっている。
左サイドフレーム41Lには、背部26のフロントガイド36よりも前側に、概ね上下方向に沿った、すなわち集積方向に沿った長孔でなる左サイドフレーム溝42Lが形成されている。集積方向溝としての左サイドフレーム溝42Lは、その長軸がフロントガイド36の前面とほぼ平行となるように、すなわち上側よりも下側が前方に位置するように、鉛直方向に対してやや傾斜されている。また左サイドフレーム41Lの右側面は、少なくとも左サイドフレーム溝42Lの周辺部分において、平坦に形成されている。
左サイドフレーム41Lの右側、すなわち入金機構部23における中心側には、左サイドガイド43Lが設けられている。左サイドガイド43Lは、全体として左右方向に薄く上下方向に長い板状に形成されており、背部26のフロントガイド36及び底部25のフロアガイド31に取り付けられている。因みに入金機構部23では、フロントガイド36及びフロアガイド31に対する左サイドガイド43Lの取付位置を、左右方向に調整し得るようになっている。
左サイドガイド43Lは、その右側面が平坦な平面状に形成されており、さらに左サイドフレーム溝42Lのほぼ左側に、概ね上下方向に沿った長孔でなる左サイドガイド溝44Lが形成されている。この左サイドガイド溝44Lは、その長軸が該左サイドフレーム溝42Lの長軸と平行であり、またその短軸が該左サイドフレーム溝42Lの短軸よりもやや長くなっている。
右側部28(図4(A)及び図5)は、左側部27とほぼ左右対称に構成されており、左サイドフレーム41L、左サイドフレーム溝42L、左サイドガイド43L及び左サイドガイド溝44Lとそれぞれほぼ左右対称な右サイドフレーム41R、右サイドフレーム溝42R、右サイドガイド43R及び右サイドガイド溝44Rを有している。
因みに入金部12では、上述した集積空間30内に、すなわち底部25におけるフロアガイド31の上側且つ背部26におけるフロントガイド36の前側に、紙面を上下方向に向けた姿勢で集積された紙幣を収納するようになっている。この集積空間30における左端及び右端は、左サイドガイド43Lの右側面及び右サイドガイド43Rの左側面により規定されている。
実際上、入金部12では、紙幣における長辺の長さに合わせて左サイドガイド43L及び右サイドガイド43Rの取付位置が適切に調整されており、これにより紙幣の左右方向に関する位置をできるだけ中央に揃えた状態で取り込むようになっている。
説明の都合上、以下では、左サイドフレーム41L及び右サイドフレーム41Rをまとめてサイドフレーム41又は集積側部と呼び、左サイドフレーム溝42L及び右サイドフレーム溝42Rをまとめてサイドフレーム溝42又は集積方向溝と呼ぶ。また以下では、左サイドガイド43L及び右サイドガイド43Rをまとめてサイドガイド43と呼び、左サイドガイド溝44L及び右サイドガイド溝44Rをまとめてサイドガイド溝44と呼ぶ。
[1−2−2.中央カバー部の構成]
次に、中央カバー部22(図4(A))の構成について説明する。カバー部としての中央カバー部22は、図6(A)に模式的な側面図を示すように、入金機構部23の主に上側部分を覆うカバー本体部51を中心に構成されている。
カバー本体部51は、光透過性の高い、すなわち透明度の高い樹脂材料により構成されており、入金機構部23の前側におけるフロアガイド31近傍の箇所から上側を経て後側の中央付近に至るような曲面と、その左右両側を覆う平面とにより構成されている。またカバー本体部51における前面の下寄りには、つまみ51Tが設けられている。
カバー本体部51の後側には、カバーフレーム52が取り付けられている。カバーフレーム52は、カバー本体部51における後側面部分の下端よりも下方へ延設されており、その下端近傍に、左右方向に貫通する丸孔でなる軸孔が穿設されている。一方、背部26の背面には、軸受部54が取り付けられている。この軸受部54には、左右方向に貫通する丸孔でなる軸孔が穿設されている。さらに、カバーフレーム52及び軸受部54の軸孔には、中心軸を左右方向に沿わせた細長い円柱状に形成されたカバー回動軸53がそれぞれ挿通されている。因みに軸受部54には、図示しないトルクリミッタが組み込まれている。
かかる構成により中央カバー部22は、入金機構部23や筐体10(図3)等に対し、カバー回動軸53を中心として回動することができる。例えば中央カバー部22は、矢印R1方向(すなわち時計回り)に最も回動した場合、図6(A)に示したように、入金機構部23の前側にカバー本体部51の前側部分を位置させ、集積空間30を外部から遮蔽した閉塞状態となる。
入金部12は、図3(A)に示したように、中央カバー部22が閉塞状態であるとき、カバー本体部51の前下端が筐体10の一部分と極めて近接若しくは当接させている。これにより入金部12は、この閉塞状態において、入金機構部23に対する前側からのアクセスを阻止している。その一方で入金部12は、カバー本体部51が透明な樹脂材料により構成されているため、使用者等に対し、入金機構部23や収納されている紙幣の様子を目視させることができる。
一方、中央カバー部22は、閉塞状態において使用者によりカバー本体部51のつまみ51Tに対して上後方へ向かう力が加えられると、カバー回動軸53を中心として矢印R2方向(すなわち反時計回り)に回動する。中央カバー部22は、矢印R2方向に最も回動された場合、図6(B)に示すように、入金機構部23の上側にカバー本体部51の前側部分を位置させ、集積空間30を外部と連通させた、すなわち開放した開放状態となる。
また中央カバー部22には、カバー本体部51における左側板の下端近傍に、左連動レバー55Lが設けられている。左連動レバー55Lは、概ね前後方向に長く左右方向に薄い板状でなる連動レバー本体部61を中心に構成されている。連動レバー本体部61は、その後端近傍において、カバー本体部51における左側板の内側(すなわち右側)に取り付けられている。
また図7に斜視図を示すように、連動レバー本体部61の下辺における前端近傍には、右方向へ向けて、すなわち左側部27の左サイドフレーム41Lがある方向へ向けて、連動板62が延設されている。カバー部連動体としての連動板62は、上下方向に薄い板状に形成されており、また左サイドフレーム41Lから十分に離れている。因みに図7では、説明の都合上、左側部27の左サイドフレーム41L及び左サイドガイド43Lを省略している。
この左連動レバー55Lは、例えば十分な厚さを有する金属板に対し、所定形状への切削加工及び屈曲加工がなされることにより、連動レバー本体部61及び連動板62が形成されている。このため左連動レバー55Lは、十分な強度を有しており、外力が加えられた場合にもその形状を良好に維持することができる。
さらに連動レバー本体部61の前端近傍における左側には、左方向へ向けてロックポスト63が立設されている。ロックポスト63は、中心軸を左右方向に沿わせた円柱状に形成されており、左右方向に沿った中心軸の長さ及び直径が、何れも十分に小さくなっている。
一方、入金機構部23の左側部には、左ロックレバー回動軸56Lを介して左ロックレバー57L(図6(A))が設けられている。左ロックレバー回動軸56Lは、中心軸を左右方向に沿わせた円柱状に形成されており、制御部11の制御に従い、入金機構部23の底部25に組み込まれたアクチュエータ(図示せず)により回動する。
左ロックレバー57Lは、全体として上下方向に長く左右方向に薄い板状に形成されたロックレバー本体部66を中心に構成されている。このロックレバー本体部66は、その下端近傍において、左ロックレバー回動軸56Lが挿通されている。またロックレバー本体部66の前辺における上端近傍には、前方に突出したロック爪67が設けられている。
左ロックレバー57Lは、図6(A)に実線で示したように、中央カバー部22が閉塞状態であるとき、左ロックレバー回動軸56Lを中心として矢印R1方向(すなわち時計回り)に回動することにより、ロック爪67を左連動レバー55Lのロックポスト63に係合させる。これにより入金部12は、中央カバー部22を閉塞状態に保持することができる。
一方、左ロックレバー57Lは、図6(A)に破線で示したように、左ロックレバー回動軸56Lを中心として矢印R2方向(すなわち反時計回り)に回動することにより、ロック爪67を左連動レバー55Lのロックポスト63から引き離す。これにより入金部12は、使用者の操作により中央カバー部22を閉塞状態から開放状態へ遷移させ得るようになる。
因みに、カバー本体部51における右側板の下端近傍には、左連動レバー55Lと左右対称に構成された右連動レバー55Rが設けられている。また入金機構部23の右側部には、左ロックレバー回動軸56L及び左ロックレバー57Lとそれぞれ左右対称に構成された右ロックレバー回動軸56R及び右ロックレバー57Rが設けられている。
このため入金部12では、右側部分においても、左側部分と同様に、右ロックレバー57Rのロック爪67を右連動レバー55Rのロックポスト63に係合させ、或いはこの係合を解除することができる。説明の都合上、以下では左連動レバー55L及び右連動レバー55Rをまとめて連動レバー55とも呼び、また左ロックレバー回動軸56L及び右ロックレバー回動軸56Rをまとめてロックレバー回動軸56と呼び、さらに左ロックレバー57L及び右ロックレバー57Rをまとめてロックレバー57とも呼ぶ。
[1−2−3.バックアップ部の構成]
次に、バックアップ部29(図4(A))の構成について説明する。媒体押圧部としてのバックアップ部29は、図8に斜視図を示すように、直方体状のバックアップ本体部71を中心に構成されている。バックアップ本体部71は、中空の直方体状に構成されており、下面が開放されている。
バックアップ本体部71の下側には、バックアップ当接部72が設けられている。バックアップ当接部72は、バックアップ本体部71よりも小さい中空の直方体状に構成されており、その上面が開放されている。因みにバックアップ当接部72は、図示しないスプリングを介してバックアップ本体部71に取り付けられている。
バックアップ本体部71の左辺における前後方向のほぼ中央には、左バックアップ腕部73Lが設けられている。左バックアップ腕部73Lは、水平腕部81及び垂直腕部82を有している。水平腕部81は、全体として上下方向に薄く左右方向に長い薄板状に構成されており、その上面がバックアップ本体部71の上面部分と連続した平面を形成している。垂直腕部82は、全体として左右方向に薄く上下方向に長い薄板状に構成されており、水平腕部81の左端から下方へ向けて垂設されている。
因みに水平腕部81及び垂直腕部82における前後方向の長さは、左側部27(図4(A))の左サイドガイド溝44Lにおける短軸の長さよりも短く、且つ左サイドフレーム溝42Lにおける短軸の長さよりも長くなっている。
垂直腕部82の左側面には、左サイドフレーム41L(図4(A))に対する摩擦係数が小さいスライダ83が取り付けられている。このスライダ83は、上下方向及び前後方向の長さが、垂直腕部82とほぼ同等となっている。
スライダ83の左側面には、上寄り及び下寄りの2箇所に、ローラ回転軸84及び85がそれぞれ設けられている。ローラ回転軸84は、中心軸を左右方向に沿わせた細長い円柱状に形成されており、スライドローラ86が挿通されている。
溝ローラとしてのスライドローラ86は、中心軸を左右方向に沿わせた円筒状に形成されており、その中心部分においてローラ回転軸84に挿通された状態で支持され、該ローラ回転軸84に対して自在に回転し得る。このスライドローラ86における左右方向の長さは、左サイドフレーム41Lにおける左サイドフレーム溝42Lの近傍部分の厚さ(すなわち左右方向の長さ)よりも十分に長くなっている。またスライドローラ86の直径は、左サイドフレーム溝42Lの短軸(すなわち前後方向の間隔)よりも僅かに短くなっている。
ローラ回転軸85は、ローラ回転軸84と同様に中心軸を左右方向に沿わせた細長い円柱状に形成されているものの、その長さが該ローラ回転軸84よりも長くなっている。このローラ回転軸85には、スライドローラ87に加えて連動ローラ88が挿通されている。
溝ローラとしてのスライドローラ87は、スライドローラ86と同様に構成されており、その中心部分においてローラ回転軸85に挿通された状態で支持され、該ローラ回転軸85に対して自在に回転し得る。因みにスライドローラ87は、スライドローラ86のほぼ真下に位置している。
媒体押圧部連動体としての連動ローラ88は、スライドローラ86及び87と同様の円筒状に形成されている。また連動ローラ88は、スライドローラ87と同様にローラ回転軸85により回転可能に支持されており、該スライドローラ87から独立して、自在に回転することができる。
因みにバックアップ部29には、バックアップ本体部71の右辺における前後方向のほぼ中央に、左バックアップ腕部73Lと左右対称に構成された右バックアップ腕部73Rが設けられている。また説明の都合上、左バックアップ腕部73L及び右バックアップ腕部73Rをまとめてバックアップ腕部73とも呼ぶ。
ところでバックアップ部29は、図8に示したように組み立てられた後、図4(A)等に示したように、入金機構部23の集積空間30内に組み込まれる。このときバックアップ部29は、左バックアップ腕部73L及び右バックアップ腕部73Rを、左側部27及び右側部28にそれぞれ組み込ませる。
具体的に左バックアップ腕部73Lは、図9に拡大した模式図を示すように、入金機構部23の組立時等に、左端側から、左側部27における左サイドガイド43Lの左サイドガイド溝44L(図4(A))に挿通される。これにより左バックアップ腕部73Lは、垂直腕部82、スライダ83、スライドローラ86及び87並びに連動ローラ88を左サイドガイド43Lよりも左側に、すなわち集積空間30の外側に位置させる。
続いて左バックアップ腕部73Lは、左端側から、左サイドフレーム41Lの左サイドフレーム溝42Lに挿通される。このとき左バックアップ腕部73Lは、連動ローラ88を左サイドフレーム41Lよりも左側に突き抜けさせた上で、図10に示すようにスライドローラ86及び87を左サイドフレーム溝42L内に入り込ませて、スライダ83(図9)の左側面を左サイドフレーム41Lの右側面に当接させる。
因みにバックアップ部29の右バックアップ腕部73R(図8)は、左バックアップ腕部73Lと左右対称となるように、右側部28(図4(A))に組み込まれる。
この結果、バックアップ部29は、左右それぞれにおいて、バックアップ腕部73のスライドローラ86及び87をサイドフレーム溝42にそれぞれ入り込ませ、且つスライダ83をサイドフレーム41の内側面に当接させた状態となる(図9)。これによりバックアップ部29は、図4(A)に示したように、バックアップ本体部71の上面やバックアップ当接部72の下面を底部25のフロアガイド31とほぼ平行とすることができる。
またバックアップ部29は、左右のサイドフレーム41によりスライダ83を介して挟まれており、また上下方向に離れたスライドローラ86及び87をサイドフレーム溝42の内側面に対してそれぞれ当接若しくは極めて近接させている(図10)。
このためバックアップ部29は、スライドローラ86及び87をサイドフレーム溝42内で摺動又は回転させ、且つスライダ83をサイドフレーム41に摺動させながら、上下方向へ自在に移動することができる。このときバックアップ部29は、その姿勢を殆ど変化させること無く、すなわちバックアップ本体部71の上面やバックアップ当接部72の下面を底部25のフロアガイド31とほぼ平行に保ったまま、上下方向へ移動することができる。
バックアップ部29は、外力が加えられていなければ、重力の作用により、下方向へ移動しようとする。このためバックアップ部29は、集積空間30内に紙幣が集積されていなければ、バックアップ当接部72の下面をピッカローラ33(図5)の上端近傍に当接させる。
またバックアップ部29は、集積空間30内に紙幣が集積されていれば、該紙幣の上側に載置された状態となり、その自重を紙幣に作用させて、この紙幣を下方向(すなわち反集積方向)へ押圧することができる。
[1−3.中央カバー部の開閉動作及びバックアップ部の押圧動作の連動]
かかる構成に加えて入金部12では、中央カバー部22の回動による開閉動作と、バックアップ部29の上下方向への移動による押圧動作とを連動させるようになっている。ここでは、まず中央カバー部22の左連動レバー55Lとバックアップ部29の左バックアップ腕部73Lを連動させる様子について説明する。
図9に示したように、左バックアップ腕部73Lは、連動ローラ88を左サイドフレーム41Lの左側面よりも左側に突出させている。この状態で入金部12は、その製造時等に、入金機構部23に中央カバー部22が取り付けられる。
このとき中央カバー部22の左連動レバー55Lは、連動板62が連動ローラ88よりも下側に位置するように組み付けられ、さらに該連動板62の右端における左右方向の位置が、連動ローラ88における周側面の範囲内に合わされる。すなわち左連動レバー55Lは、連動板62における右端側の一部分を、連動ローラ88の真下に位置させる。また中央カバー部22の右連動レバー55Rは、左連動レバー55Lの場合と同様、連動板62の一部分を連動ローラ88の真下に位置させる。
これにより入金部12では、中央カバー部22の回動と、バックアップ部29の上下方向への移動とを連動させることが可能となる。そこで以下では、左連動レバー55Lの連動板62と、左バックアップ腕部73Lの連動ローラ88とをまとめて、左連動部90Lと呼ぶ。これと同様に、右連動レバー55Rの連動板62と、右バックアップ腕部73Rの連動ローラ88とをまとめて、右連動部90Rと呼ぶ。さらに以下では、左連動部90L及び右連動部90Rをまとめて、連動部90とも呼ぶ。
次に、入金部12における中央カバー部22の回動とバックアップ部29の上下方向への移動とが連動する様子を、段階的に説明する。
まず図11(A)及び(B)に示すように、入金部12において中央カバー部22が閉塞状態であり、且つ集積空間30内に紙幣が収納されていない場合、すなわち入金機構部23においてバックアップ部29が集積空間30内で最も下側に位置している場合を想定する。因みに図11(A)及び(B)は、入金部12の左側面図及び正面図を模式的に表したものであり、一部の部品を省略若しくは簡略化している。
このとき連動部90は、各連動レバー55の連動板62を、各バックアップ腕部73の連動ローラ88から下方に引き離している。すなわちこのとき入金部12では、中央カバー部22及びバックアップ部29が連動していない。
次に図12(A)及び(B)に示すように、使用者から中央カバー部22に対してつまみ51T等を介して上後方向へ力が加えられ、中央カバー部22が閉塞状態から僅かに矢印R2方向(図12(A)における反時計回り)に回動した場合を想定する。
このとき連動部90は、各連動レバー55の連動板62を、各バックアップ腕部73の連動ローラ88における下端近傍に当接させる。これにより連動部90は、いわば連動板62及び連動ローラ88の連動を開始した状態となり、中央カバー部22に加えられる力をバックアップ部29に伝達し得る状態となる。
ここで中央カバー部22は、さらに使用者からつまみ51T等を介して上後方向へ力が加えられると、さらに矢印R2方向へ回動し、これに伴って各連動レバー55の連動板62を主に上方向へ変位させていく。このとき連動部90は、連動板62及び連動ローラ88の連動を継続する。
これによりバックアップ部29は、連動ローラ88を介して上方向へ向かう力が加えられ、集積空間30内を上方向へ移動していく。すなわち入金機構部23では、バックアップ部29のバックアップ当接部72の下面がフロアガイド31から引き離されていき、該バックアップ当接部72及び該フロアガイド31の間に形成される空間を上下方向に拡張していく。
因みに連動部90では、中央カバー部22の回動に伴って連動板62が前後方向に変位するため、該連動板62における連動ローラ88の当接箇所も前後方向に変位する。しかしながら連動ローラ88は、ローラ回転軸85を中心として回動し得るため、連動板62との間に摩擦力を作用させることが無く、中央カバー部22の回動を阻害することも無い。
やがて入金部12は、図13(A)及び(B)に示すように、中央カバー部22が矢印R2方向へ最も回動された開放状態に遷移される。このときも連動部90は、引き続き連動板62及び連動ローラ88を連動させている。また入金機構部23では、図10に示したように、バックアップ部29のバックアップ腕部73における上側のスライドローラ86がサイドフレーム溝42の上端に到達し、該バックアップ部29が最も上側に到達する。
このとき入金部12では、図4(A)に示したように、集積空間30におけるバックアップ当接部72の下面とフロアガイド31との間に、十分な高さの空間が形成される。これにより入金部12は、使用者に対し、この集積空間30内へ紙幣の束を投入させることができる。
因みに紙幣処理装置1には、入金部12に対し、最大で300枚の紙幣を投入できることが要求されている。そこで入金部12では、中央カバー部22が開放状態でありバックアップ部29が最も上方に持ち上げられたときに、集積空間30内に最大で300枚の紙幣を集積し得るよう、各部の長さが適切に設定されている。
またこのとき入金部12では、中央カバー部22における前面部分の下端を、バックアップ部29における前面部分の前側に位置させており、両者の間に隙間を形成しないようになっている。これにより入金部12では、使用者が誤って紙幣をバックアップ部29の上側に投入してしまうことを未然に防止している。さらに中央カバー部22は、軸受部54に組み込まれたトルクリミッタの作用により、使用者がつまみ51Tから手を離しても、開放状態を維持できる。これに伴いバックアップ部29は、上方に持ち上げられた状態を維持できる。
今度は、使用者から中央カバー部22に対してつまみ51T等を介して前下方向へ力が加えられ、該中央カバー部22が開放状態から矢印R1方向(図13(A)における時計回り)に回動する場合、すなわち集積空間30を徐々に閉塞していく場合を想定する。
この場合、中央カバー部22は、各連動レバー55の連動板62を主に下方向へ変位させていく。このときも連動部90は、引き続き連動板62及び連動ローラ88を連動させている。このためバックアップ部29は、連動ローラ88を支える連動板62が下方向へ移動することに伴い、集積空間30内を下方向へ移動していく。
やがて入金部12では、図14(A)及び(B)に示すように、バックアップ部29におけるバックアップ当接部72の下面が、集積されている紙幣の最上面に当接する。これによりバックアップ部29は、紙幣の上側に載置された状態となり、重力の作用により該紙幣に対して下方向へ向かう力を作用させ、またこの紙幣により下側から支持される。
続いて入金部12では、この状態から中央カバー部22がさらに矢印R1方向へ回転すると、連動レバー55の連動板62がさらに下方向へ移動する一方で、バックアップ腕部73の連動ローラ88が下降せず、そのままの位置を維持しようとする。この結果、連動部90は、連動板62及び連動ローラ88の連動を解除することになる。やがて中央カバー部22は、閉塞状態(図6(A))に戻る。
かくして入金部12では、バックアップ部29が紙幣の上側に載置されて下方向へ向かう力を作用させるため、該紙幣の最下面からピッカローラ33に作用する力を増加させ、両者の間に作用する摩擦力を高めることができる。この結果、入金部12では、回転するピッカローラ33から紙幣に対して後方へ向かう力を十分に作用させることができ、紙幣を安定的に後方へ送り出すこと、すなわち分離して取り込むことができる。
[1−4.受渡部における各部の高さの関係]
ところで紙幣処理装置1(図1)は、上述したように、前側に立つ使用者にタッチパネル5の内容を視認させる他、該使用者に該タッチパネル5の操作や受渡部4に対する紙幣の投入若しくは取出を行わせる。このため紙幣処理装置1では、上部3に設けられるタッチパネル5の高さを所定の範囲内に収めることにより、身長が異なる様々なユーザに対して良好に視認させると共に容易に操作させることが可能となる。
また紙幣処理装置1の受渡部4では、前側に立つ使用者に対し、入金部12から紙幣を投入させ、また第1出金部13及び第2出金部14から紙幣を出金して取り出させる。このため紙幣処理装置1では、受渡部4に設けられる入金部12、第1出金部13及び第2出金部14についても、それほど低くない所定の範囲内に収めることにより、使用者に容易に操作させることが可能となる。
ところで受渡部4では、図15に模式的な側面図を示すように、第1出金部13及び第2出金部14において、紙幣を収納する集積空間13S及び14Sを、回動式のカバー13C及び14Cにより閉塞又は開放する。すなわち第1出金部13及び第2出金部14は、集積空間13S及び14Sの前上側にカバー13C及び14Cを位置させた閉塞状態において、該集積空間13S及び14S内の紙幣を保護することができる。また第1出金部13及び第2出金部14は、この閉塞状態からカバー13C及び14Cを後方へ回動させた開放状態において、集積空間13S及び14S内の紙幣を前上側から取り出させることができる。
しかしながら第1出金部13及び第2出金部14は、開放状態において、カバー13C及び14Cを閉塞状態よりも後側ないし上側に位置させることになる。また受渡部4では、上述したように、入金部12の中央カバー部22も回動方式となっており、開放状態において入金機構部23の上後側に位置する(図6)。
ここで、受渡部4の入金部12、第1出金部13及び第2出金部14においてそれぞれの操作性を高めるには、例えば入金部12におけるフロアガイド31の高さを、第1出金部13において開放状態にあるカバー13Cの上端よりも高くすることが考えられる。第1出金部13及び第2出金部14についても、同様のことが考えられる。
しかしながら紙幣処理装置1では、仮に受渡部4の各部をこのように配置した場合、第2出金部14の集積空間から入金部12における中央カバー部22の上端までの高さが極めて大きくなり、これに伴ってタッチパネル5を比較的上方に配置する必要性が生じる。すなわちこの場合、使用者に対する総合的な操作性を低下させる恐れがある。
そこで受渡部4では、図15に示したように、入金部12のフロアガイド31における前端(すなわち手前側の端部)の高さを、第1出金部13における閉塞状態にあるカバー13C(図中に破線で示す)の上端よりも僅かに高く、且つ第2出金部14における開放状態にあるカバー14Cの上端よりも高くするよう、各部の高さを定めた。
一方、紙幣処理装置1では、上述したように、入金取引において、使用者に入金部12から紙幣を投入させると共に、入金リジェクト紙幣が発生した場合に、これを使用者に返却する必要がある。
ここで受渡部4は、仮に入金リジェクト紙幣を第1出金部13から返却する場合、開放状態としたカバー13Cの上端が入金部12のフロアガイド31よりも高くなるため、該入金部12に紙幣を投入する場合の操作性を極めて低下させる恐れがある。そこで紙幣処理装置1では、上述したように、入金取引において入金リジェクト紙幣が発生した場合に、これを第2出金部14から出金して使用者に返却するようにした。これにより紙幣処理装置1では、入金部12に対する紙幣の投入と第2出金部14からの入金リジェクト紙幣の取出との何れに関しても、良好な操作性を実現することができる。
[1−5.動作及び効果]
以上の構成において、第1の実施の形態による紙幣処理装置1の入金部12は、中央カバー部22における連動レバー55の連動板62と、バックアップ部29におけるバックアップ腕部73の連動ローラ88とにより連動部90を構成し、両者を連動させるようにした(図9)。
本来、入金部12では、集積空間30内に収納された紙幣の上側にバックアップ部29を載置することにより、該紙幣をピッカローラ33に押し付けて分離及び取り込みの精度を高めている。このため入金部12では、新たな紙幣を投入する場合、このバックアップ部29を一時的に持ち上げて、バックアップ当接部72の下側に十分な大きさの空間を形成する必要が生じる。
その一方で入金部12では、集積空間30に収納されている紙幣を保護する等の目的により、中央カバー部22を閉塞状態としておき、集積空間30に対する紙幣の投入時にのみ、この中央カバー部22を一時的に開放状態に遷移させる必要がある。このため入金部12では、集積空間30に紙幣を投入する場合、中央カバー部22を閉塞状態から一時的に開放状態に遷移させると共に、バックアップ部29を一時的に持ち上げる必要があった。
この点において入金部12は、連動部90により、使用者に中央カバー部22を持ち上げるように回動させて閉塞状態(図6(A))から開放状態(図6(B))へ遷移させることに連動して、バックアップ部29を上方へ変位させることができる(図11、図12及び図13)。これにより入金部12では、集積空間30内におけるバックアップ当接部72の下側に、十分な大きさの空間を形成することができる。すなわち入金部12は、使用者に対し、例えば一方の手により中央カバー部22のつまみ51T(図6)を持ち上げるように操作させながら、他方の手により紙幣の束を把持させて集積空間30内へ投入させる、といった容易な操作を行わせることができる。
また入金部12は、使用者に中央カバー部22を降ろすように回動させて開放状態から閉塞状態へ遷移させるだけで、連動部90により、持ち上げていたバックアップ部29を紙幣の上側に載置させると共に、集積空間30を閉塞することができる(図14)。これにより入金部12は、使用者に対し、持ち上げていたバックアップ部29を紙幣の上に降ろすといった操作を別途させる必要が無い。また入金部12では、使用者が過失によりバックアップ部29を降ろす操作を失念して上方へ持ち上げたままとした場合に生じ得る、ピッカローラ33と紙幣との間に作用する摩擦が不十分となり該紙幣の分離性能が低下する、といった問題も未然に防止できる。
これを換言すれば、入金部12は、使用者により中央カバー部22を回動させて開放状態又は閉塞状態へ遷移させる開閉動作を行わせるだけで、連動部90により、バックアップ部29を上昇又は下降させる押圧動作を行い、紙幣の投入に必要な空間の形成や該バックアップ部29による紙幣の押圧を実現できる。
さらに連動部90は、連動レバー55の連動板62及びバックアップ腕部73の連動ローラ88を常に当接させるのでは無く、中央カバー部22がある程度開放されている間のみ連動させ(図12〜図14)、特に中央カバー部22が閉塞状態である場合に、この連動を解除するようにした(図11)。このため連動部90は、集積空間30内に収納された紙幣が順次取り込まれてその枚数が順次減少していき、バックアップ部29が連動ローラ88と一体に徐々に下方へ移動してきたとしても、中央カバー部22に対して、何ら影響を及ぼすこと無く閉塞状態を維持させることができる。
さらに連動部90では、連動レバー55を中央カバー部22と一体に回動させることにより、連動板62を主に上下方向に移動させるようにし、且つ該連動板62の一部を、バックアップ腕部73の連動ローラ88の真下に常に位置させるようにした(図9等)。これにより連動部90では、集積空間30内に残っている紙幣の枚数に拘わらず、中央カバー部22を回動させて開放状態に遷移することにより、その途中で連動板62が連動ローラ88に確実に当接するため、バックアップ部29を確実に最も上側に持ち上げることができる(図13)。
これを換言すれば、入金部12では、集積空間30内に紙幣が残っている状態であっても、中央カバー部22を開放状態に遷移させることによりバックアップ部29を持ち上げることができ、新たな紙幣を該集積空間30内へ追加投入させることもできる。これにより使用者は、透明な中央カバー部22を介して集積空間30内の紙幣がある程度少なくなったことを視認した場合、この紙幣の取込処理が終了するのを待つこと無く、任意のタイミングで、追加の紙幣を投入することができる。
また連動部90では、中央カバー部22を開放状態から閉塞状態に遷移させる場合、バックアップ部29のバックアップ当接部72が紙幣の最上面に当接した時点で、連動部90における連動板62及び連動ローラ88の連動を解除する(図14)。このため入金部12では、集積空間30内に収納されている紙幣の枚数に拘わらず、中央カバー部22を確実に閉塞状態にまで遷移させることができる。
以上の構成によれば、第1の実施の形態による紙幣処理装置1の入金部12は、中央カバー部22における連動レバー55の連動板62と、バックアップ部29におけるバックアップ腕部73の連動ローラ88とを連動部90として連動させるようにした。これにより入金部12は、中央カバー部22を閉塞状態から開放状態に遷移させることに連動して、バックアップ部29を上方へ変位させることができるので、新たな紙幣を集積空間30に投入させることができる。また入金部12は、中央カバー部22を開放状態から閉塞状態に遷移させることに連動して、バックアップ部29を下降させ紙幣の上面に当接させることができるので、紙幣の分離及び取込の精度を高めることができる。
[2.第2の実施の形態]
第2の実施の形態による紙幣処理装置101(図1及び図2)は、第1の実施の形態による紙幣処理装置1と比較して、入金部12に代わる入金部112を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
入金部112は、図11(A)及び(B)と対応する図16(A)及び(B)に示すように、中央カバー部22及び入金機構部23に代わる中央カバー部122及び入金機構部123を有している。入金機構部123は、第1の実施の形態による入金機構部23と比較して、バックアップ移動部124を有する点において相違するものの、他の点については概ね同様に構成されている。
バックアップ移動部124は、図示しないモータやギア、或いはベルト等により構成されている。このバックアップ移動部124は、制御部11の制御に基づき、バックアップ部29に対して上方向又は下方向へ向かう駆動力を作用させることにより、該バックアップ部29を上方向又は下方向へ移動させる。
中央カバー部122は、第1の実施の形態による中央カバー部22と比較して、連動レバー55に代わる連動レバー155(左連動レバー155L及び右連動レバー155R)を有する点、及びカバー本体部51からつまみ51Tが省略されている点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。すなわち中央カバー部122は、カバー回動軸53を中心として回動し得るようになっている。
また中央カバー部122は、重力の作用により矢印R1方向へ回動しようとするものの、図示しないストッパと当接することにより、図16に示したように入金機構部123の前側、すなわち集積空間30を外部から閉塞した閉塞状態を維持する。
左連動レバー155Lは、連動レバー本体部61及び連動板62とそれぞれ対応する連動レバー本体部161及び連動板162により構成されている。連動レバー本体部161は、連動レバー本体部61と同様、概ね前後方向に長く左右方向に薄い板状に構成されている。連動板162は、連動板62と同様に上下方向に薄い板状であるものの、連動レバー本体部161における先端近傍のみではなく、先端から後端までの長い範囲に渡って設けられている。
この左連動レバー155Lは、カバー本体部51の左内側面に対し、第1の実施の形態における左連動レバー55Lよりも上側に取り付けられている。すなわち入金部112では、左連動レバー155Lの連動板162が左バックアップ腕部73Lの連動ローラ88よりも上側に位置している。因みに右連動レバー155Rは、第1の実施の形態と同様に、左連動レバー155Lと左右対称に構成されている。
かかる構成により入金部112は、図16(A)及び(B)に示したように、集積空間30内に紙幣が収納されておらず、バックアップ部29が該集積空間30内の最も下側に位置している場合、中央カバー部122により該集積空間30を閉塞した閉塞状態となっている。このとき入金部112では、連動ローラ88が連動板162から十分に引き離されている。
入金部112は、この閉塞状態において、使用者によりタッチパネル5を介して所定の開放操作指示を受け付けると、バックアップ移動部124によってバックアップ部29を上方向へ移動させ、やがて図17(A)に示すように、連動ローラ88を連動板162に当接させる。これにより入金部112では、連動ローラ88及び連動板162の連動を開始させる。本実施の形態では、連動ローラ88及び連動板162をまとめて連動部190とも呼ぶ。
このとき入金部112では、バックアップ部29におけるバックアップ当接部72の下面と底部25のフロアガイド31との間に十分な間隔、すなわち一度に投入可能な最大枚数(例えば300枚)の紙幣を投入し得るような間隔を形成している。また入金部112では、連動ローラ88が連動板162に当接するまでの間、中央カバー部122を閉塞状態に維持している。
続いて入金部112は、バックアップ部29をさらに上方向へ移動させることにより、連動ローラ88から連動板162に対して上方向へ向かう力を作用させる。これにより入金部112は、バックアップ部29により中央カバー部122を上後方へ持ち上げるようにして、矢印R2方向(図の反時計回り)に回動させることができる。
やがて入金部112は、図17(B)に示すように、バックアップ部29がさらに上昇し、且つ中央カバー部122が集積空間30を開放した開放状態に遷移する。このとき入金部112では、中央カバー部122が集積空間30を開放しており、且つバックアップ部29がフロアガイド31から十分に引き離されているため、使用者に対し、中央カバー部122を持ち上げる作業を行わせること無く、集積空間30内に紙幣を投入させることができる。
また入金部112は、使用者によりタッチパネル5を介して所定の閉塞操作指示を受け付けると、バックアップ移動部124によってバックアップ部29を下方向へ移動させていく。このとき中央カバー部122は、重力の作用により連動ローラ88を連動板162に当接させた状態、すなわちバックアップ部29により下側から支持された状態を維持しているため、バックアップ移動部124の下降に伴って矢印R1方向(図の時計回り)に回動していく。
その後、入金部112は、図17(A)に示したように中央カバー部122が閉塞状態に遷移すると、連動ローラ88を連動板162から引き離して連動を解除する。さらに入金部112は、バックアップ部29の下降を継続し、バックアップ当接部72の下面を紙幣の最上面に当接させた段階で、該バックアップ部29の下降を終了する。
以上の構成において、第2の実施の形態による紙幣処理装置101の入金部112は、
中央カバー部122における連動レバー155の連動板162と、バックアップ部29におけるバックアップ腕部73の連動ローラ88とにより連動部190を構成し、両者を連動させるようにした(図16)。
すなわち入金部112は、使用者の指示に基づいてバックアップ部29を上方へ移動させることにより、連動部190により、中央カバー部122を持ち上げるように回動させて閉塞状態(図16)から開放状態(図17(B))へ遷移させることができる。これにより入金部112では、集積空間30内におけるバックアップ当接部72の下側に、十分な大きさの空間を形成することができる。
また入金部112は、使用者の指示に基づいてバックアップ部29を下方へ移動させることにより、連動部190により、中央カバー部122を回動させて開放状態(図17(B))から閉塞状態(図16)へ遷移させ、さらに該バックアップ部29を紙幣の上側に載置することができる。
すなわち入金部112は、使用者の支持によりバックアップ部29を上昇又は下降させ、紙幣の投入に必要な空間の形成や該バックアップ部29を紙幣の上側に載置させることができ、このとき連動部190により中央カバー部22を回動させて開放状態又は閉塞状態へ遷移させることができる。
以上の構成によれば、第2の実施の形態による紙幣処理装置101の入金部112は、中央カバー部122における連動レバー155の連動板162と、バックアップ部29におけるバックアップ腕部73の連動ローラ88とを連動させて連動部190を構成した。これにより入金部112は、バックアップ部29を上方へ変位させることに連動して、中央カバー部122を閉塞状態から開放状態に遷移させ、新たな紙幣を集積空間30に投入させることができる。また入金部112は、バックアップ部29を下降させることに連動して、中央カバー部122を開放状態から閉塞状態に遷移させることができ、さらに該バックアップ部29を紙幣の上側に当接させて、紙幣の分離及び取込の精度を高めることができる。
[3.他の実施の形態]
なお上述した第1の実施の形態においては、中央カバー部22における連動レバー55に設けた板状の連動板62と、バックアップ部29におけるバックアップ腕部73に設けた円柱状の連動ローラ88とを連動させて連動部90とすることにより、中央カバー部22及びバックアップ部29を連動させる場合について述べた(図9)。しかしながら本発明はこれに限らず、中央カバー部22及びバックアップ部29にそれぞれ種々の形状でなる部品等を設けて連動部としても良い。
例えば図18(A)に示す入金部212のように、複数の棒状の部材を自在に回動し得るように連結した、いわゆるリンク機構を有する連動部290を構成しても良い。この入金部212では、図18(B)に示すように、中央カバー部22を開放状態に遷移させると、連動部290が直線状になってバックアップ部29を引っ張り上げる。また入金部212は、図18(C)に示すように、集積空間30内に収納された紙幣の上側にバックアップ部29を載置させ場合、連動部290を屈曲させながら、中央カバー部22を閉塞状態にまで回動させることができる。要は、中央カバー部22の回動とバックアップ部29の移動とを連動させることができれば良い。第2の実施の形態についても同様である。
また上述した第1の実施の形態においては、バックアップ部29のバックアップ腕部73において、ローラ回転軸85を中心に連動ローラ88を回転し得るように構成する場合について述べた(図8)。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば連動ローラ88をバックアップ腕部73の垂直腕部に固定して連動部材としても良い。この場合、例えば連動部材の表面に低摩擦部材を取り付ける等により、連動板62との間に生じる摩擦を低減させるとなお良い。またこの場合、連動部材を種々の形状とすることができる。第2の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、バックアップ部29のバックアップ腕部73において、スライドローラ86及び連動ローラ88を互いに独立して回転可能とする場合について述べた(図8)。しかしながら本発明はこれに限らず、例えばスライドローラ86及び連動ローラ88を一体化しても良い。第2の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、バックアップ部29のバックアップ腕部73にスライドローラ86及び87を設け、これらをサイドフレーム溝42内で回転させながら、該バックアップ部29を上下方向へ移動させる場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えばバックアップ腕部73の垂直腕部82に所定形状のスライド部材を固定し、このスライド部材をサイドフレーム溝42内で摺動させても良い。この場合、スライド部材を上下方向に長く形成し、或いは上下方向に離れた複数箇所に離散的に取り付けることにより、サイドフレーム溝42に対して上下方向に離れた複数箇所で当接させることにより、バックアップ部29の姿勢変化を抑止することが望ましい。さらにこの場合、サイドフレーム溝に代えて、集積方向に沿った形状でありスライド部材と係合する種々の被係合部材を設けても良い。第2の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、バックアップ部29のバックアップ腕部73において、垂直腕部82にスライダ83を取り付け、このスライダ83をサイドフレーム41に摺動させる場合について述べた(図8、図9)。しかしながら本発明はこれに限らず、例えばスライドローラ86及び87に代えて、図19(A)に示すようにフランジを有するスライドローラ386及び387を用いても良い。この場合、図9と対応する図19(B)に示すように、バックアップ腕部373において、スライダ83並びにスライドローラ86及び87に代えてスライドローラ386及び387を組み込むことができる。第2の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、左右方向の位置を調整可能なサイドガイド43をサイドフレーム41の内側に設け、該サイドガイド43により紙幣の左右方向に関する移動範囲を規制する場合について述べた(図4(A))。しかしながら本発明はこれに限らず、例えばサイドガイド43を固定式にしても良く、或いはサイドガイド43を省略してサイドフレーム41により紙幣の左右方向に関する移動範囲を規制しても良い。第2の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、バックアップ腕部73をバックアップ本体部71の側面における前後方向のほぼ中央に配置する場合について述べた(図8)。しかしながら本発明はこれに限らず、例えばバックアップ本体部71の側面における前後方向の前寄りや後寄りに配置しても良い。この場合、バックアップ部29全体の重心とバックアップ腕部73との間で前後方向の位置を一致又は近接させ、該バックアップ部29の姿勢変化を抑止することが望ましい。第2の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、中央カバー部22のカバー本体部51に対し、別部品でなる連動レバー55を取り付ける場合について述べた(図6)。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば中央カバー部22のカバー本体部51における左右の側板部分と一体に連動板62を成型しても良い。第2の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、使用者により手動で中央カバー部22を回動させる場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えばアクチュエータ等を組み込み、タッチパネル5を介した操作等に応じて中央カバー部22をこのアクチュエータ等の駆動力によって回動させても良い。
さらに上述した第1の実施の形態においては、中央カバー部22を閉塞状態から回動させることにより、入金機構部23の前側を開放した開放状態に遷移させる場合について述べた(図6)。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば中央カバー部22を閉塞状態から上方向へスライドさせて開放状態に遷移させ、或いは所定のリンク機構により変位して開放状態に遷移させる等、他の種々の手法により閉塞状態から開放状態に遷移させても良い。要は、中央カバー部22を閉塞状態から開放状態に遷移させるときに、連動部90によりバックアップ部29を連動して上方向へ移動させ、また中央カバー部22を開放状態から閉塞状態に遷移するときに、連動部90によりバックアップ部29を下方向へ移動させ得れば良い。第2の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、軸受部54にトルクリミッタ(図示せず)を組み込むことにより、使用者がつまみ51Tから手を離しても中央カバー部22が開放状態を維持する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば軸受部54にトルクリミッタを省略し、使用者がつまみ51Tから手を離すと中央カバー部22が閉塞状態への遷移を開始するようにしても良い。
さらに上述した第1の実施の形態においては、入金部12におけるフロアガイド31の前端の高さを、第1出金部13において開放状態であるカバーの上端よりも低くする場合について述べた(図15)。これに伴い第1の実施の形態では、入金取引において入金リジェクト紙幣が発生したときに、これを第2出金部14(図2及び図3)から使用者に返却するようにした。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば入金部12におけるフロアガイド31の前端31Fの高さを、第1出金部13において開放状態であるカバー13Cの上端よりも高くしても良い。この場合、入金取引において入金リジェクト紙幣が発生したときに、これを第1出金部13から使用者に返却しても良い。第2の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、開放状態(図13)において、中央カバー部22における前面部分の下端を、バックアップ部29における前面部分の前側に位置させ、両者の間に隙間を形成しない場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば開放状態において、中央カバー部22における前面部分の下端を、バックアップ部29の前面部分よりも上側に位置させても良い。この場合、例えばバックアップ部29の上側前寄りに、紙幣の誤投入を防止するための部材である投入抑止部を設けても良い。第2の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、中央カバー部22を光透過率の高い材料により構成し、閉塞状態において集積空間30内の様子を使用者に視認させる場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば中央カバー部22を光透過率の低い材料により構成し、閉塞状態において集積空間30内の様子を使用者に視認させないようにしても良い。この場合、例えば所定のセンサによりバックアップ部29の高さを検知し、これをタッチパネル5に表示することにより、集積空間30における紙幣の残量を使用者に把握させても良い。第2の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、下部2の上側に上部3を設け、この上部3にタッチパネル5を設ける場合について述べた(図1)。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば上部3を省略しても良い。第2の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、媒体としての紙幣を取り扱う紙幣処理装置1の入金部12に本発明を適用する場合について述べた。しかしながらこれに限らず、例えば各種証券や金券、或いは入場券のような紙葉状の媒体、若しくは種々の形状の媒体を取り扱う種々の装置において、当該媒体を取り込む取込部に本発明を適用するようにしても良い。第2の実施の形態についても同様である。
さらに本発明は、上述した各実施の形態及び他の実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した各実施の形態と上述した他の実施の形態の一部又は全部を任意に組み合わせた実施の形態や、一部を抽出した実施の形態にもその適用範囲が及ぶものである。
さらに上述した第1の実施の形態においては、集積部としての入金機構部23と、分離取込部としての分離取込部39と、媒体押圧部としてのバックアップ部29と、カバー部としての中央カバー部22と、連動部としての連動部90とによって媒体取込装置としての入金部12を構成する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる集積部と、分離取込部と、媒体押圧部と、カバー部と、連動部とによって媒体取込装置を構成しても良い。