JP5335878B2 - 紙幣入出金装置 - Google Patents

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Description

この発明は、例えば紙幣を取り扱うような紙幣入出金装置に関する。
従来、金融機関などで使用される現金自動取引装置には、紙幣入出金機が実装されている。この紙幣入出金機は、利用者による紙幣の入出金を許容する入出金口と、紙幣を判別する紙幣判別部と、前記紙幣判別部を通過し紙幣を搬送する紙幣搬送路とが備えられている。また、この紙幣入出金機は、入金された紙幣を一旦収納する一時保管庫と、入金紙幣を収納する入金庫と、出金用の紙幣を繰り出す出金庫と、入出金兼用の紙幣を収納し繰り出すリサイクル庫と、入金庫やリサイクル庫に収納しない入金紙幣や出金庫から繰り出された紙幣のうち出金しない紙幣を収納するリジェクト庫と、リサイクル庫に対して補充する紙幣を繰り出しリサイクル庫から回収する紙幣を収納する装填・回収庫などの各ユニットが組み合わされて構成されている。
現金自動取引装置の普及に伴い、このような紙幣入出金機に対して、従来の機能や性能を確保しつつ、より小型し、低コストにし、使いやすくするといったニーズが高まっている。
また、国内での外国紙幣の取り扱いの増加や、国外での紙幣入出金機のニーズの高まりに伴い、日本円紙幣だけでなく、外国紙幣も取り扱える紙幣入出金機が求められている。
また、取り扱う紙幣の金種、利用者操作に関わる入出金口の配置、係員操作に関わる前後面操作等の様々なニーズに対応できる汎用性の高い紙幣入出金機が求められている。
このようなニーズのある紙幣入出金機の特に入出金口は、様々な構成のものが提案されている。
例えば、装置前面の垂直面に入出金口を配し、該入出金口から水平方向に紙幣を投入/放出するように収納部を配設した紙幣処理機が提案されている。(特許文献1参照)。この紙幣処理機の収納部は、ドラム形状で回転可能に構成されており、投入された紙幣の繰出動作や放出紙幣の集積動作に、所定の位置まで回転する。これにより、水平方向の入出金口(紙幣スロット)が実現されている。
また、装置前面の水平面に入出金口を配し、該入出金口から垂直方向に紙幣を投入/放出するように収納部を配置した紙幣処理装置も提案されている(特許文献2参照)。この紙幣処理装置の収納部は、回転可能に構成されており、投入された紙幣の繰り出し動作や放出紙幣の集積動作の際に、収納部を所定の位置まで回転する。これにより、垂直方向の入出金口(紙幣スロット)が実現されている。
また、入金口内の紙幣収納部を回転移動可能に構成し、略水平位置もしくは略垂直位置のどちらの入金位置にも対応できる紙幣取扱装置も提案されている(特許文献3参照)。これにより、入出金口(紙幣スロット)を略垂直面に配する装置筐体と、略水平面に配する装置筐体のいずれにも実装可能に構成されている。
一方、この種の装置は、金融機関の自動機コーナーで終日無人で稼動するため、利用者の現金の入出金の取引に対し、高い信頼性が要求される。例えば、入金取引において、折れや破れのある紙幣を利用者が入金口に投入する場合がある。このような紙幣は、装置内へ向けて繰り出す際に、大きく傾いたり、破れたりすることがあり、搬送状態によっては、紙幣搬送路でジャムが発生する原因となる。
さらに、外国紙幣も取り扱える装置では、金種の数が日本円の場合より増えるだけでなく、紙幣のサイズが金種によって長手、短手方向とも大きく異なる場合が多い。このため、入金口に投入された多数枚の紙幣は、整列性が大きく乱れている可能性がある。また、外国紙幣は、各国の紙幣の流通事情から見て、紙幣の折れや破れの度合いも日本紙幣より悪条件の紙幣がある。
しかし、上述した先行技術文献1のように紙幣を水平方向に入出金する入出金口の場合、紙幣投入時に、重力により紙幣の端を揃えることができない。このため、不揃いの状態で装置内に紙幣が取り込まれることが多く、それが原因で紙幣ジャムを引き起こすことがあり、繰り出し時の紙幣ジャム低減が重要な課題となる。
また、先行技術文献2のように垂直方向に紙幣を投入させる入出金口は、利用者から見て死角となる部分が多い。このため、特に外国紙幣などサイズが小さい紙幣が入出金口内に取り忘れられ、次の取引ができなくなることがある。このような場合、装置を取扱不可にせざるを得なくなることもあるため、紙幣の取り忘れ防止が重要な課題となる。
また、先行技術文献3のように紙幣を入金口内に投入させるポケット式の入出金口の場合、駆動部の存在する入出金口に利用者が手を入れる必要がある。このため、利用者が手を挿入するのを心理的に怖がるといった問題があり、入出金口のユーザーインターフェースをユーザーフレンドリーにすることが重要な課題となる。
特開平10−181928号公報 特開平9−208134号公報 特開2000−331214号公報
この発明は、上述した問題に鑑み、利用者の満足度を向上させることを目的とする。
この発明は、紙幣の入出金口を有し、該入出金口への紙幣の入金と該入出金口からの紙幣の出金を行う紙幣入出金装置であって、前記入出金口より装置内側に備えられ、紙幣を収納する紙幣収納部と、前記紙幣収納部に収納する紙幣又は収納された紙幣を重ねあわせた方向に押圧する前板と後板を備え、前記前板と前記後板は、紙幣の入出金方向に移動する構成とした紙幣入出金装置であることを特徴とする。
この発明により、紙幣収納部に収納する紙幣又は収納された紙幣を重ねあわせた方向に押圧する前板と後板を備え、前記前板と前記後板は、紙幣の入出金方向に移動する紙幣入出金装置を提供し、利用者の満足度を向上させることができる。
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
図1は、現金自動取引装置101の外観を示す斜視図である。
現金自動取引装置101は、装置筐体101bを有している。該装置筐体101bの上部内部には、左部に顧客操作部105が備えられ、右部にカード・明細票処理機構102が備えられている。前記顧客操作部105は、取引の内容を表示および入力する。前記カード・明細票処理機構102は、上部正面板101aに設けられたカードスロット102aと連通して利用者のカードを処理し、取引明細票を印字して放出する。
現金自動取引装置101の上部正面板101aには、入出金口(紙幣スロット)21が設けられている。現金自動取引装置101の内部には、紙幣を処理する紙幣入出金機1が備えられている。
紙幣入出金機1の下部の紙幣収納部は、装置筐体101bとは別の数十mmの厚い鉄板で構成された金庫筐体106で囲まれている。装置筐体101bも堅固な筐体構造であるが、金庫筐体106はさらに堅固な構造で、セキュリティを高める。この現金自動取引装置101は、カード、紙幣、明細票を媒体とし、利用者の預入れ、支払、振込等の処理を行うことができる。
図2は、現金自動取引装置101の制御関係を示す制御ブロック図である。
現金自動取引装置101に納められたカード・明細票処理機構102、紙幣入出金機1および顧客操作部105は、バス107aを介して本体制御部107と接続されており、本体制御部107の制御の下に必要な動作を行う。本体制御部107は、上記の他に、インターフェース部107b、係員操作部107c、外部記憶装置107dともバス107aで接続されており、必要なデータのやりとりを行うが、本発明の特徴には直接関係がないので詳細な説明は省略する。なお、図2に示した101eは、上記各機構、構成部分に電力を供給する電源部である。
図3は、主に紙幣入出金機1の制御関係を示す制御ブロック図である。
紙幣入出金機1に設けられた制御部35は、装置の本体制御部107とバス107aを介して接続され、本体制御部107からの指令および紙幣入出金機1の状態検出に応じて紙幣入出金機1の制御を行い、また、紙幣入出金機1の状態を、必要に応じて本体制御部107に送る。紙幣入出金機1の中では、各ユニット(紙幣収納部としての入出金口機構20、紙幣判別部30、一時保管庫40、紙幣搬送路50、入金庫60、取忘回収庫61、偽券回収庫62、リジェクト庫63、出金庫70、リサイクル庫80、装填・回収庫81)の駆動モータや電磁ソレノイドやセンサと接続され、取引に応じて、センサで状態を監視しながら、アクチュエータを駆動制御する。
図4は、紙幣入出金機1の構成を示す構成図である。
紙幣入出金機1は、利用者が紙幣の投入・取り出しを行う入出金口機構20と、紙幣の判別を行う紙幣判別部30と、入金した紙幣を取引成立までの間一旦収納する一時保管庫40と、入金時取引が成立した紙幣を収納する1ヶの入金庫60と、利用者が入金時および出金時に取り忘れた紙幣を回収する1ヶの取忘回収庫61と、偽券と判別された紙幣を収納する1ヶの偽券回収庫62と、出金に不適切な紙幣を収納する1ヶのリジェクト庫63と、出金用の紙幣を収納する1ヶの出金庫70と、入出金兼用の2ヶのリサイクル庫80と、リサイクル庫80に補充する紙幣や、リサイクル庫から回収した紙幣を収納する装填・回収庫81と、紙幣判別部30を通り、入出金口機構20、一時保管庫40、入金庫60、取忘回収庫61、偽券回収庫62、リジェクト庫63、出金庫70、リサイクル庫80、装填・回収庫81に対し、紙幣を搬送する紙幣搬送路50と、図示せぬ制御部とから構成されている。
また、紙幣入出金機1は、入出金口機構20、紙幣判別部30、一時保管庫40と、取忘回収庫61と、偽券回収庫62と、装填・回収庫81と、紙幣搬送路50から構成される上部搬送機構1aと、入金庫60、リジェクト庫63、出金庫70、リサイクル庫80および、各収納庫の上面に配する、開閉可能な搬送路90から構成される下部紙幣機構1bから構成される。さらに、下部紙幣機構1bは、約50mm程度の厚い鉄板で構成される金庫筐体106の中に実装されており、上部搬送機構1aと下部紙幣機構1bとの搬送路は、連結搬送路501hおよび501iで接続されている。
連結搬送路501hは、下部紙幣機構1bを囲う金庫筐体106の上面の上部搬送機構1aの搬送路501gに連結する位置に設けられ、連結搬送路501iは下部紙幣機構1bの搬送路901aに連結する位置に設けられ、連結搬送路501hと連結搬送路501iはお互い連結する位置に設けられている。金庫筐体106の上面鉄板にあけられたスリットは、紙幣が通過するための長さと該スリットに搬送されてきた紙幣を挟持して繰り出すよう取り付けられたに搬送ローラの幅の大きさを有する。下部紙幣機構1bを金庫筐体106で囲わない構成を取る場合は下部紙幣機構1b上に直接上部搬送機構1aが載置されれば必ずしも必要はない。搬送路の駆動源(モータ)は、上部搬送機構1aの搬送路と下部紙幣機構1bの搬送路で別々に設けてもよいが、単一の駆動源を用い、駆動力を搬送路501g−501h−501i−901a間に設けられたギヤで伝達するようにしてもよい。
また、紙幣搬送路50は、紙幣判別部30を双方向に通過し、矢印501a〜501qおよび901a〜901eに示す搬送路を経由して、入出金口機構20、一時保管庫40、入金庫60、取忘回収庫61、偽券回収庫62、リジェクト庫63、出金庫70、リサイクル庫80、装填・回収庫81を接続している。各矢印のうち片方向矢印は、紙幣がその矢印方向にのみ搬送する一方向紙幣搬送路で、両方向の矢印は、紙幣が取引動作毎に双方向のいずれかに切り替えて搬送する双方向搬送路である。
これらの紙幣搬送路50は、図示せぬ駆動モータで駆動し、各取引動作毎にモータの回転方向を切り替える。さらに、紙幣搬送路50の分岐点には、切り替えゲート502,503,504、505、506、507および5ヶ所の902があって、取引動作毎にそれぞれ記号a,bのように紙幣搬送方向を切り替える。
以上の構成の紙幣入出金機1により、利用者による入出金動作、係員による装填・回収動作、利用者が取り忘れた紙幣の自動回収動作を行う。
入金動作時、紙幣入出金機1は、入出金口機構20に投入された紙幣を、一枚ずつに分離し、紙幣判別部30で紙幣の金種、真偽を判定する。判別できた場合は、切り替えゲート503を503aに切り替え、紙幣を一時保管庫40に一旦収納する。紙幣判別部30で判別できなかった場合や、傾き異常や紙幣同志の間隔の異常となった場合については、当該紙幣を入金リジェクト紙幣として、一時保管庫40に取り込まず、切り替えゲート503を503bに切り替え、入出金口機構20に収納し、利用者に返却する。
取引が確定すると、一時保管庫40に収納された紙幣を、収納時とは逆の順に逆の方向に送出し、紙幣判別部30を通過させ、切り替えゲート502を図示502b方向に切り替え、入金庫60、リサイクル庫80、リジェクト庫90のいずれかの切り替えゲート903を図示903b方向に切り替えて指定の収納庫に収納し、入金動作を終了する。
出金取引時、紙幣入出金機1は、出金庫70、リサイクル庫80の各金種毎の金庫から所定の枚数づつ紙幣を繰り出し、紙幣判別部30で紙幣の金種を判別し、切り替えゲート503で分岐させて入出金口機構20に収納し、利用者に紙幣を支払う。この支払いのとき、後述するように、装置筐体101の筐体面101aよりも利用者側に紙幣が突出した状態とすることができる。
また、紙幣入出金機1は、装填・回収庫81とリサイクル庫80との間で、紙幣判別部30を経由して装填、回収動作を行うことができる。装填動作は、リサイクル庫80に金種毎にセットしたい紙幣を、個別にセットするのではなく装填・回収庫81に一括して係員がセットし、装置内で自動的にリサイクル庫80に収納する動作である。回収動作は、リサイクル庫80が満杯になった時等に、係員が各リサイクル庫から個別に紙幣を抜き取るのでなく、所定枚数の紙幣をリサイクル庫80から装填・回収庫81に自動的に回収収納する動作である。装填動作と逆のルートで移動する動作であり、詳細説明は省略する。
また、紙幣入出金機1は、入金取引時および出金取引時に、利用者が入出金口機構20に紙幣を忘れた場合に、その取忘紙幣を自動で回収することができる。取忘回収動作は、入出金口機構20に残された紙幣を一括して取忘回収庫61に収納する動作である。
次に、図5〜図14に示す入出金口機構20の構成図と共に、本発明の主要部である入出金口機構20の構成を詳細に説明する。
図5に示すように、入出金口機構20は、現金自動取引装置101の上部に傾斜配置された上部正面板101aの入出金口21の内側に設けられている。入出金口21には、開口部20aが設けられている。入出金口機構20は、この開口部20aから利用者が紙幣を入出金方向202へ入出金できるように構成されている。開口部20aには、入出金方向202と直交する開閉方向217へスライドして開閉する開閉する筐体シャッタ201が設けられている。
なお、筐体シャッタ201は、装置内に雨や埃、異物等の進入を防ぐためのものであるが、室内に設置するなど、環境の影響を受けにくい場合などは設けなくても良い。また、外環境の影響を著しく受けやすい場所に設置する際には、現金自動取引装置101の装置筐体101bと紙幣入出金機1にそれぞれシャッタを設けて、2重シャッタ構造にしてもよい。
入出金口機構20は、図5に示すように、集積繰出姿勢(収納空間A内の紙幣210が水平から75°±10°程度傾いた姿勢)の際に現金自動取引装置101の前方となる利用者側に配する前板204と、利用者の反対側に配する後板205(可動板)と、前板204と後板205の間に配する中板203とが互いに平行に配設されており、これらと直角で底板となる紙幣ホッパー216が設けられている。これらで囲われた空間は、紙幣210の収納空間Aを形成している。前板204、後板205および中板203は、図示せぬ駆動モータにより収納空間A内で互いに近づく方向と遠ざかる方向(以下、挟持移動方向という)に移動制御される。また、前板204の基部(紙幣ホッパー216との当接側)から先端までの長さと後板205の基部(紙幣ホッパー216との当接側)から先端までの長さは略同一に構成されており、中板203の基部(紙幣ホッパー216との当接側)から先端までの長さはこれらの半分以下の長さに構成されている。なお、中板203の長さはこれに限定されるものではなく、適宜の長さに構成できる。
さらに、図5に示すように、収納空間A下部の利用者側には、紙幣繰出手段としてのフィードローラ206とゲートローラ207からなる分離機構が配設されている。このため、収納空間Aに投入された紙幣210は、フィードローラ206の回転動作により装置内へ繰り出され、繰り出し方向には回転しないゲートローラ207で2枚送りが防止される。こうして、入出金口機構20の紙幣210は矢印208方向へ繰り出され、入金ユニット搬送路251aを経てメイン紙幣搬送路501(図4)に合流して装置内に取り込まれる。なお、フィードローラ206は、前板204の幅よりも充分小さいローラ幅のローラを複数配置して構成されており、櫛歯状に設けられた前板204のスリットから収納空間Aへ一部が突出するように配置されている。
また、入出金口機構20は、姿勢変更手段としての入出金口機構回転モータ222により、フィードローラ206の回転中心を回転支点として、図6に示すように、後板205と前板204の各先端が開口部20aの上端と下端にそれぞれ近接する位置まで回転する。図6は、回転によって入出金姿勢(収納空間A内の紙幣210が水平から25°±10°程度傾いた姿勢)となった状態を示しており、この状態で、開口部20aと収納空間Aが連通する。従って、収納空間Aの紙幣を利用者に放出し、また利用者による収納空間Aへの紙幣投入を許容することができる。ここで、入出金姿勢で水平より25°±10°程度傾斜させていることにより、利用者に対して紙幣の視認性を高めていると共に、投入された紙幣の整列性を高めている。
利用者への紙幣放出は、紙幣放出機構により行う。紙幣放出機構は、紙幣を一括して搬送する一括搬送機構(挟持手段)と、紙幣の枚数に応じて適度に紙幣に押圧を付与する押圧付与機構により構成される。
前記一括搬送機構は、駆動ローラとしての上部ローラ291および下部ローラ292と図示せぬ駆動部により構成されている。上部ローラ291は、後板205と重なるように配置されており、入出金口機構20に対して後板205の挟持移動方向と同一の方向に後板205と独立してスライド移動し、スライド移動したどの位置でも回転動作する。下部ローラ292は、前板204と重なるように配置されており、入出金口機構20に対して固定されており、その場で回転動作する。
前記押圧付与機構は、一括搬送機構を構成する上部ローラ291および下部ローラ292と前板204および後板205と図示せぬ駆動部から構成される。
利用者に紙幣を放出する際には、押圧付与機構の図示せぬ駆動部により、上部ローラ291を挟持移動方向に移動させ、紙幣の表面を押下する位置、つまり図6の291aに示す位置まで移動させる。これにより、上部ローラ291と、該上部ローラ291に対向する下部ローラ292とで紙幣を挟み込み、紙幣枚数に応じて適度に押圧を付加する。このように紙幣に押圧を付加した状態で、上部ローラ291および下部ローラ292を一括搬送機構の図示せぬ駆動部により回転させ、紙幣を利用者側に一括して搬送する。その際、紙幣束の先端が上部正面板101aよりも利用者側にせり出すように放出する。
すなわち、入出金口機構20は、図6に示した入出金姿勢の回転角度で利用者操作を許容し、図示7に示した集積繰出姿勢で収納空間A内の紙幣を装置内へ繰り出し、また装置内から収納空間Aに集積する動作を行う。以下、入金、出金、取忘回収の取引に従い、図7〜図13を用いて説明する。
入金取引時、図7に示すように、利用者が紙幣を入金するときは、筐体シャッタ201を矢印217a方向に201aの位置まで移動させて全開し、紙幣ホッパー216に支持された、前板204と中板203(中板203は後板205に近接)の間に紙幣210が投入されるようにする。このとき、前板204と後板205を上部正面板101aよりも利用者側へ突出させ、図示204bおよび205bの位置まで入出金方向202と平行な突出方向に移動させる。
なお、紙幣ホッパー216の底部から前板204および後板205先端までの中間程度の位置にストッパとなる支え板209を設けるとよい。この支え板209により、投入された紙幣の端面を支えることができる。支え板209は、図7の209aに示すように挟持移動方向へスライド移動する構成とする、あるいは入出金方向202(図5参照)にスライド移動する構成とすると良い。
これにより、紙幣投入時は紙幣の端面を支持し、それ以外は支え板209を退避させることができる。特に、紙幣投入時に支え板209が紙幣の端面を支持することにより、利用者は、装置の内側にまで手を挿入する必要がなく、装置の外側で紙幣を投入できる。
また、入出金方向202にスライド移動する構成とした場合には、紙幣放出時に支え板209で紙幣を入出金方向202へ押し出すこともできる。この支え板209は、入出金口機構20ではなく紙幣入出金機1の筐体もしくは紙幣入出金機1の入出金口機構20以外の非移動部に取り付けることが好ましい。これにより、入出金口機構20の回転動作と独立して支え板209を利用することができ、装置の構成を簡潔にできる。
図7に示すように紙幣が投入されたら、後板205、中板203と上部ローラ291を矢印218aに示す挟持方向に紙幣表面に当接する図示205a、203a、291aまで移動させて紙幣を挟持し、支え板209を、入出金口機構の外で、図示209aの位置まで移動させ、上部ローラ291および下部ローラ292をそれぞれ219aおよび219bに示す取込方向(突出方向と逆の方向)に回転させる。また、前板204と後板205とを取込方向へスライド移動して装置内部へ収納する。
なお、収納空間A内の支え板209近傍に投入検知センサ224(図7)を設け、後板205、中板203と上部ローラ291を挟持方向へ移動させる動作は、投入検知センサ224により紙幣の投入を検知してから実行する構成としてもよい。この場合、支え板209の位置までしっかりと紙幣が投入されたことを確認した上で挟持動作を実行できるため、投入が不完全なことによる搬送ジャムや、これに伴う紙幣入出金機1の装置ダウンを防止できる。
また、紙幣を挟持する際に、後板205、中板203および上部ローラ291等を移動させるモータ(過剰投入検知手段)のパルスカウントを取得し、このパルスカウントが基準値より少なければ紙幣詰めすぎと判断してエラーメッセージを顧客操作部105に表示して紙幣を返却してもよい。これにより、紙幣の詰めすぎによって装置内で搬送ジャムが生じることを防止できる。
次に、図8に示すように、入金された紙幣の繰り出し動作時、筐体シャッタ201を矢印217bの方向に動かして閉じる。ここで、利用者の手を検知する手検知センサとして機能する入口センサ223(図13参照)を設け、利用者が紙幣から手を離したことを確認してから筐体シャッタ201を閉じる構成としてもよい。これにより、利用者の手がある状態で筐体シャッタ201を閉じてしまうことを防止できる。また、利用者が紙幣から手を離すことを促すため、前記後板205、中板203と上部ローラ291を挟持方向へ移動させて紙幣を挟持した後、一括搬送機構により少し退避方向へ取り込んでは停止する動作を繰り返し、間欠的に紙幣を取り込む構成としてもよい。このとき、一括搬送機構は間欠移動手段として機能する。これにより、急に紙幣が内側へ移動することで紙幣を持っていた手が装置内に引き込まれるといった恐怖心を利用者に与えることがなく、利用者は心理的に安心して利用できる。
入出金口機構20を図8に図示する集積繰出姿勢の角度に回転移動させた後、中板203をフィードローラ206の方向に移動させて紙幣を押し付け、前板204aの基部側がフィードローラ206側へ移動するように前板204aを少し回転させる。また、紙幣から見て前板204aの表面より向こう側に下部ローラ292全体が位置するように下部ローラ292を移動させる。これにより、中板203aで紙幣をフィードローラ206へ向かって押圧でき、フィードローラ206の回転動作により紙幣を送り出し、繰り出し方向には回転しないゲートローラ207で2枚送りを防止できる。こうして、入出金口機構20の紙幣210は矢印208方向へ繰り出され、紙幣搬送路50に合流して装置内に取り込まれる。
また、後板205を205aの位置に後退させ、入金動作時に紙幣判別部30で判別できなかった紙幣や、傾きや紙幣同志の間隔の異常となった入金リジェクト紙幣を装置内から搬送してきて後板205aと中板203aの間に集積する。これらの入金リジェクト紙幣を投入時と同様に後板205と前板204により挟持し、入出金姿勢に入出金口機構20を回転し、図7に示した上部ローラ291および下部ローラ292をそれぞれ矢印219aおよび219bの逆方向に回転させ、紙幣を利用者に一括して返却する。この際、後板205と前板204を紙幣と同じく入出金口21を通じて上部正面板101aの外側まで押し出してもよい。前板204は、図14の平面図に示すように、上方から見て先端中央に凹部199が形成されており、該凹部199によって利用者が直接紙幣を把持できるようになっている。また、後板205および前板204によって返却紙幣を上下から挟持することで、利用者が紙幣を抜き取りやすいようになっている。
出金取引時、図9に示すように、出金紙幣は、装置内から矢印501l(図4,図9参照)方向に搬送されてきて、図示せぬガイドとの間で、摩擦抵抗力を受けながら通過し、中板203a、後板205aの間の空間に集積する。
次に、図10に示すように、図示せぬ駆動部により中板203、後板205をそれぞれ図9に示す203a、205aの位置まで移動させて、入出金口機構20に収納された紙幣を、中板203aおよび前板204と後板205aとで挟み込む。紙幣を挟持した後、図11に示すように、入出金口機構20を入出金姿勢の位置に回転移動させる。
入出金口機構20の回転後、押圧付与機構の図示せぬ駆動部により、上部ローラ291を、紙幣を押下する位置、つまり図12に示す291aの位置まで移動させて、下部ローラ292と上部ローラ291aとで紙幣を挟持する。なお、回転移動させる前に上部ローラ291を移動させて紙幣を挟持するようにしてもよい。
紙幣を挟持した後、図12に示すように、筐体シャッタ201を矢印217aの方向に動かし、201aの位置にして、シャッタを開く。シャッタを開いた後、一括搬送機構の図示せぬ駆動部により、上部ローラ291aと下部ローラ292を回転させて、入出金口21を通じて、利用者に紙幣を放出する。その際、紙幣が上部正面板101aよりも利用者側にはみ出す位置まで搬送する。
また、後板205および前板204を、入出金口21を通じて上部正面板101aよりも利用者側、つまり図12の205b、204bの位置に紙幣と共に移動させる。これにより、利用者が入出金口21内を覗き込まなくても紙幣を容易に取り出すことが可能になる。
また、後板205および前板204を突出させた後、図7に示したように紙幣の装置内側の端を支え板209によって支える。これにより、誤って紙幣が収納空間Aの奥へ押し込まれることを防止している。また、後板205と前板204で押圧したままでは利用者が紙幣を抜き取れないので、支え板209で紙幣を支えた後、後板205を上方へ移動させて押圧を解放する。ローラは移動せずに挟持位置のままで、図示せぬ駆動モータの励磁を無励磁にする。これにより、適度な挟持力で紙幣を挟持し、利用者が紙幣を抜き取り易くなっている。
さらに、抜取センサとして機能する入口センサ223により、利用者が紙幣を抜き取ったことを検出した後、後板205を205aの位置まで移動させて、入出金口機構20の空間を広くし、万が一、一括搬送がうまくいかずに、搬送し損ねた紙幣が入出金口内に残った場合でも、利用者が目視で確認しやすいようになっている。
なお、紙幣を放出する際の放出位置は、放出する紙幣のサイズによらず一定位置としてもよいし、紙幣入出金機に紙幣長さを測定するセンサを設けて、そのセンサによって測定された紙幣長さによって放出位置を調節しても良い。また、出金時に紙幣判別部30により識別した識別結果により放出位置を調節しても良い。
利用者が入金時および出金時に、万が一、紙幣を取り忘れた場合、その取忘紙幣の自動回収を行う。取忘回収時、図13に示すように、紙幣が入口センサ223上に残留している場合は、上部ローラ291の位置を291aから紙幣表面291b位置まで移動し、下部ローラ292と共に紙幣を挟み込み、放出時と逆方向に上部ローラ291および下部ローラ292を回転させて、入出金口機構20内に紙幣を収納する。入口センサ223上に紙幣が残留していないことを確認した後、筐体シャッタ201を217b方向に移動し、シャッタを閉じる。また、入出金口機構内の図示せぬセンサにて、他の部分に紙幣が残留している場合でも容易に検知できる。
筐体シャッタ201を閉じた後、入出金口機構20を図11に示す入出金姿勢の位置から図13に示す集積繰出姿勢の位置まで回転移動させる。回転移動した後、入金取引時と同様に、フィードローラ206の回転動作により紙幣を送り出し、繰り出し方向には回転しないゲートローラ207で2枚送りを防止する。こうして、入出金口機構20の紙幣210は矢印208方向へ繰り出され、紙幣搬送路50に合流して装置内に取り込まれ、取忘回収庫61に収納される。
次に、現金自動取引装置での入出金の取引および取忘回収における、入出金口機構20の動作の詳細について、図15〜図18の制御フローチャートに従い、順に説明する。
図15は、利用者が取引を開始し、取引を選択する際のフローチャートを示す。
現金自動取引装置101は、顧客操作部105にガイダンス表示により顧客操作部105に取引の内容を表示する(ステップS101)。
利用者に取引が選択されると(ステップS102)、現金自動取引装置101は、入金取引が選択されていれば入金取引を実行し(ステップS103)、出金取引が選択されていれば出金取引を実行する(ステップS104)。
図16は、入金取引についてのフローチャートであり、図17は、出金取引についてのフローチャートである。図16および図17で太枠の処理は、入出金口機構20の移動動作を伴う処理である。図18は、取忘回収についてのフローチャートである。
図16に示すように、入金取引を実行する紙幣入出金機1は、顧客操作部105に入金限度枚数などを表示するガイダンス表示を実行する(ステップS1)。次に、図6に示したように入出金口機構20を入出金姿勢に移動した後、筐体シャッタ201を開けるシャッタ開処理を実行し(ステップS2)、入金準備処理を実行し、図7に示したように、前板204と後板205を上部正面板101aよりも利用者側へ開口部20aから突出させる(ステップS3)。そして、入出金口機構20に入金紙幣がセットされるのを待つ(ステップS4:N)。
入出金口機構20に紙幣が投入されると(ステップS4:Y)、前板204と後板205を開口部20aの内側へ取り込み(ステップS5)、シャッタ閉処理により筐体シャッタ201を閉じる(ステップS6)。
そして、入金紙幣を計数する入金計数処理で、入出金口機構20を図8に示した集積繰出姿勢に移動し、入金紙幣の繰り出し分離動作を行う(ステップS7)。
このステップS7では、入出金口機構20に投入された紙幣を一枚ずつ分離して紙幣判別部30へ搬送し、紙幣の真偽などの判別を行い、紙幣判別部30で入金可能な紙幣と判別された紙幣を一時保管庫40に一旦収納する。
このとき、すべての入金紙幣が入金可能な紙幣と判別され一時保管庫40に一旦収納される正常な動作以外に、紙幣判別部30で判別できなかったり傾きや紙幣同士の間隔の異常となったりして入金リジェクトが発生しこの入金リジェクト紙幣を入出金口機構20に収納する場合や、入金紙幣の分離中に前述した異常紙幣検出により入金紙幣を入出金口機構20に残したまま入金計数途中の異常停止となる場合がある。
入金計数途中の異常停止があれば(ステップS8:Y)、入金リジェクトの有無を判別し、入金リジェクトがあれば(ステップS14:Y)、ガイダンスを表示し(ステップS19)、入金リジェクト紙幣と異常紙幣とを入出金口機構20から返却する(ステップS20)。このとき、入金リジェクト紙幣と異常紙幣を入出金口機構20の収納空間Aに収納した状態で、入出金口機構20を集積繰出姿勢から入出金姿勢へ変更する。
前記ステップS14で入金リジェクトがなければ(ステップS14:N)、ガイダンスを表示し(ステップS17)、異常紙幣を入出金口機構20から返却する(ステップS18)。このとき、異常紙幣を入出金口機構20の収納空間Aに収納した状態で、入出金口機構20を集積繰出姿勢から入出金姿勢へ変更する。
前記ステップS8で入金計数途中の異常停止がなく(ステップS8:N)、入金リジェクトがあった場合(ステップS9:Y)、ガイダンスを表示し(ステップS15)、入金リジェクト紙幣を入出金口機構20から返却する(ステップS16)。このとき、入金リジェクト紙幣を入出金口機構20の収納空間Aに収納した状態で、入出金口機構20を集積繰出姿勢から入出金姿勢へ変更する。
このようにして入出金口機構20を入出金姿勢に変更した後、シャッタ開処理によって筐体シャッタ201を開き(ステップS21)、前板204と後板205を上部正面板101aよりも利用者側へ開口部20aから突出させ(ステップS22)、紙幣が抜き取られることを確認する(ステップS23)。
紙幣が抜き取られたことを確認した後(ステップS23:Y)、紙幣入出金機1は、前板204と後板205を装置内へ取り込み(ステップS24)、シャッタ閉処理を行い(ステップS25)、利用者に入金リジェクト紙幣を返却する。
入金リジェクト紙幣などを返却した後に、再度入金計数処理を受け付ける場合は(ステップS26:Y)、ステップS1のガイダンス処理へ戻り、入金計数処理を受け付けない場合は(ステップS26:N)、ステップS10のガイダンス処理へ進む。
前記ステップS23で抜き取りが検知されず(ステップS23:N)、所定時間が経過した場合には(ステップS27:Y)、取り忘れと判定し、次の取引を継続するために、取忘回収処理(ステップS28)を行う。
ステップS7の入金計数処理で入金計数途中の異常停止がなく(ステップS8:N)、入金リジェクトなどが発生しなかった場合(ステップS9:N)、ステップS7の入金計数処理で計数した紙幣の枚数などのガイダンスを顧客操作部105に表示する(ステップS10)。入金額を了承する利用者の確認(確認ボタンの押下)があると(ステップS11:Y)、センタ交信を行い(ステップS12)、入金取引が成立して入金収納処理を行い(ステップS12)、入金取引を終了する。この入金収納処理(ステップS12)では、一時保管庫40の紙幣について再度紙幣判別部30で金種情報などを判別し、入金庫60、およびリサイクル庫80のいずれかに収納する処理を行う。
利用者が入金額を了承する確認を行わず(ステップS11:N)、かつ入金の取消を選択した場合は(ステップS29:Y)、一時保管庫40の紙幣を入出金口機構20に収納する取消返却処理を行う(ステップS30)。その後、シャッタ開処理を行い(ステップS31)、前板204と後板205を上部正面板101aよりも利用者側へ開口部20aから突出させて紙幣放出処理を行う(ステップS32)。紙幣が抜き取られたことを確認すると(ステップS33:Y)、前板204と後板205を装置内へ取り込み(ステップS34)、シャッタ閉処理を行うことにより(ステップS35)、利用者への入金紙幣の返却を完了する。
再投入を許可する場合は(ステップS36:Y)、ステップS1のガイダンス処理に戻り、再投入を許可しない場合は(ステップS36:N)、入金取引を終了する。
前記ステップS33で利用者が紙幣を所定時間以上抜取しなかった場合には(ステップS37:Y)、取り忘れと判定し、次の取引を継続するために、取忘回収処理(ステップS38)を行う。
図17は出金取引処理を示すフローチャートである。出金取引を実行する紙幣入出金機1は、ガイダンス表示により暗証番号や出金金額などの入力を利用者に指示し(ステップS51)、センタ交信により入力内容の取引の実行指示を受け(ステップS52)、出金処理を開始する(ステップS53)。この出金処理では、金種毎に、所定の出金庫70やリサイクル庫80から、所定枚数ずつ繰り出した紙幣を、紙幣判別部30で金種判定し、集積繰出姿勢の入出金口機構20の収納空間Aに一括して収納する(図9)。そして、収納空間Aに出金紙幣を収納した状態で、紙幣入出金機1は入出金口機構20を集積繰出姿勢から入出金姿勢に変更する(図10、図11)。
紙幣入出金機1は、シャッタ開処理を行い(ステップS54)、図12に示したように一括搬送機構により紙幣を利用者に放出する(ステップS55)。このとき、前板204と後板205を上部正面板101aよりも利用者側へ開口部20aから突出させると共に、前板204に対する駆動手段(例えばソレノイド)の励磁をOFFとし、紙幣を抜き取りやすいようにしている。
紙幣の抜き取りを検知すると(ステップS56:Y)、紙幣入出金機1は、前板204と後板205を上部正面板101a内に取り込み(ステップS57)、シャッタ閉処理を行う(ステップS58)。
利用者が紙幣を所定時間以上抜取しなかった場合には(ステップS56:N,ステップS59:Y)、取り忘れと判定し、取り忘れ紙幣を取忘回収庫61に収納して次の取引を継続するために、図18と共に説明する取忘回収処理(ステップS60)を行う。
図18は取忘回収処理を示すフローチャートである。
入金リジェクト紙幣などの返却、取消返却、出金紙幣の取忘などで、利用者が紙幣を所定時間以上抜取しなかった場合には、取り忘れと判定し、次の取引を継続するために、この取忘回収処理を行う。
ここで、取り忘れの検知の際に、前板204を振動させて少し動かす構成としている。この前板204の振動により、取り忘れ紙幣が少し移動するため、センサによる検知を確実にできる。これにより、紙幣が取り忘れられているにもかかわらずセンサにぎりぎりかからず取り忘れ無しと誤検知することを防止している。
紙幣入出金機1は、前板204と後板205を装置内へ取り込むことで、放出したが抜き取られなかった紙幣を入出金口機構20内に収納する(ステップS61)。紙幣の取り込みが完了すると(ステップS62:Y)、紙幣入出金機1は、シャッタ閉処理を行う(ステップS63)。シャッタ閉処理後、紙幣入出金機1は、入出金口機構20を集積繰出姿勢に姿勢変更し(ステップS64)、紙幣を入出金口機構20から繰り出して取忘回収庫61に収納する。
以上の実施形態により、利用者は、紙幣投入時に駆動部のある入出金口21内に手を挿入する恐怖感を感じることなく、入金操作を行うことができる。つまり、入出金口21より利用者側へ突出している前板204と後板205の間に紙幣を投入すればよいため、利用者の心理的な感覚は、装置内に手を挿入する感覚ではなく、装置外の投入口に投入している感覚となる。このため、心理的な恐怖感がなく心理的に安心して紙幣の投入操作を行える。
また、車椅子利用者にとっても、手を入金口の奥まで挿入する必要が無く、突出している前板204と後板205の間に紙幣を投入すれば良いため、入金位置までの距離が近くなり、操作性を向上することができる。
また、金種毎にサイズが大きく異なる海外紙幣などでは、紙幣を寝かした状態で投入すると紙幣が不揃いになることがあるが、本発明によれば、入出金姿勢の入出金口機構20に寝かした状態で投入された紙幣を、集積繰出姿勢への姿勢変更によって回転移動し、立位の状態に向きを変えることができる。これにより、重力の効果で紙幣端の不揃いを矯正し、紙幣ジャム等の搬送異常を軽減することができる。しかも、不揃いを矯正するのに重力を利用することで、簡素な構成にでき、安価で実現できる。
また、紙幣放出時に、紙幣を挟み込んで、利用者に一括して紙幣を放出することができる。その際、装置筐体101bの正面よりも利用者側に紙幣を押し出す。これにより、利用者が紙幣を受け取る操作においても、心理的な恐怖感がなく、車椅子利用者でも容易に受け取れるという投入時と同様の効果が得られる。
また、紙幣放出時に前板204と後板205で紙幣を挟持していることにより、屋外に設置されていて強風が吹いたような場合でも紙幣が飛び散ることなく利用者に確実に紙幣を渡すことができる。
また、紙幣放出時に前板204で紙幣の底部を支えていることにより、前板204が受け皿の役割を果たし、利用者が紙幣を受け取りやすくなる。
また、仮に一括搬送がうまくいかずに、搬送し損ねた紙幣が入出金口21内に残った場合でも、入出金口機構20を構成する押板としての後板205を移動させて入出金口機構20内を広げ、収納空間Aを見やすくすることで、利用者が目視で確認しやすいようになっており、紙幣の取り忘れを防止できる。
また、取り忘れ紙幣があった場合でも、入出金口21内のセンサで取り忘れ紙幣を容易に検知でき、そのまま一括搬送機構により回収できる。これにより、装置がダウンすることなく、次の取引を継続することができる。
このように、上述した紙幣入出金機1により、搬送ジャムや取り忘れを低減した、ユーザーフレンドリーな入出金インターフェースを持つ信頼性の高い紙幣入出金機を実現することができる。
なお、他の実施例として、図19および図20の入出金口機構20の構成図に示すように、入出金口機構20に開閉シャッタとしてのインナーシャッタ301を設けても良い。このインナーシャッタ301は、図19に示すように前板204の先端から後板205の先端までの長さで収納空間Aの開口部を遮蔽する位置から、図20に示すように収納空間Aの開口部を開放する位置まで筐体シャッタ201と平行にスライド移動する。また、インナーシャッタ301は、入出金口機構20に取り付けられており、入出金口機構20が入出金姿勢と集積繰出姿勢とに姿勢変更する回転移動の際に入出金口機構20と一体的に回転移動する。このインナーシャッタ301は、筐体シャッタ201の開閉動作と同時に開閉動作する構成とする。
これにより、入金処理や出金処理で入出金口機構20が姿勢変更する際にインナーシャッタ301が閉状態となり、姿勢変更時の回転の遠心力によって紙幣210が収納空間Aから飛び出したり、開口部付近に不揃いにセットされた紙幣がバランスを崩して装置内で散乱することを防止できる。
また、入金処理で紙幣投入後にインナーシャッタ301が閉まらなければ、インナーシャッタ301および筐体シャッタ201を開き、紙幣210を返却すると良い。この際、整列して再投入するように顧客操作部105等で利用者に案内すると良い。これにより、インナーシャッタ301が閉まりきらない状態で入金処理を実行することを防止できる。
また、入出金口機構20には、支え板209(図7参照)の代わりに、図19および図20に示すストッパ302を備えてもよい。このストッパ302は、入出金口機構20に対して取り付け、収納空間Aの最奥で底板として機能すると共に、収納空間Aの最奥(前板204および後板205の基部)から手前(前板204および後板205の先端)へ向かってスライド移動する構成とすると良い。このスライド移動は、前板204および後板205と連動して同距離だけ移動する構成とすると良い。
これにより、出金処理等で紙幣210を放出する最に、紙幣210を利用者側へ確実に押し出すことができ、利用者は紙幣210を容易に取り出すことができる。また、入金処理で紙幣投入を許容する最に、紙幣210が収納空間Aの奥まで入ってしまうことをストッパ302で防止でき、利用者は手を装置内部に挿入する必要がなく心理的に安心して利用できる。
また、紙幣投入時にインナーシャッタ301が閉まらなければ、インナーシャッタ301をスイング動作させて紙幣を内側へはたきおとす、ストッパ302や前板204を動かして紙幣に振動を与えて紙幣を中に滑り込ませるといった動作を実行し、インナーシャッタ301の閉動作をリトライする構成にしてもよい。これにより、インナーシャッタ301が閉まりきらず再投入を促す回数を抑制できる。
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
現金自動取引装置の外観を示す斜視図。 現金自動取引装置の制御関係を示すブロック図。 紙幣入出金機の制御関係を示すブロック図。 紙幣搬送路構成の模式図。 分離・スタック時の入出金口機構の側面図。 入金・放出時の入出金口機構の側面図。 入金時の入出金口機構の側面図。 繰り出し動作時の入出金口機構の側面図。 収納動作時の入出金口機構の側面図。 放出動作時の入出金口機構の側面図。 放出動作時の入出金口機構の側面図。 放出動作時の入出金口機構の側面図。 取忘回収時の入出金口機構の側面図。 入出金口機構の前板の平面図 取引選択時のフローチャート。 入金取引のフローチャート。 出金取引のフローチャート。 取忘回収のフローチャート。 他の実施形態の入出金口機構の側面図。 他の実施形態の入出金口機構の側面図。
1…紙幣入出金機、l20…入出金口機構、21…入出金口、101b…装置筐体、203…中板、204…前板、205…後板、206…フィードローラ、209…支え板、210…紙幣、222…入出金口機構回転モータ、291…上部ローラ、292…下部ローラ、301…インナーシャッタ、302…ストッパ

Claims (9)

  1. 紙幣の入出金口を有し、
    該入出金口への紙幣の入金と該入出金口からの紙幣の出金を行う紙幣入出金装置であって、
    前記入出金口より装置内側に備えられ、紙幣を収納する紙幣収納部と、
    前記紙幣収納部に収納する紙幣又は収納された紙幣を重ねあわせた方向に押圧する前板と後板を備え、
    前記前板と前記後板は、紙幣の入出金方向に移動する構成とした
    紙幣入出金装置。
  2. 前記前板と前記後板は、前記入出金口より利用者側へ突出する
    請求項1記載の紙幣入出金装置。
  3. 前記前板と前記後板は、前記入出金口より利用者側へ突出した位置で紙幣を挟持する
    請求項1または2記載の紙幣入出金装置。
  4. 前記前板と前記後板が挟持する紙幣の下端を支えるストッパを備え、
    前記ストッパは、紙幣の挟持方向又は入出金方向に移動する
    請求項1から3のいずれか1つに記載の紙幣入出金装置。
  5. 紙幣を挟持し搬送する搬送手段を有し、
    入金取引時に、
    前記前板と前記後板は、紙幣が投入される空間を形成し、
    前記搬送手段は、該空間に投入された紙幣を前記紙幣収納部に送り込む
    請求項1から4のいずれか1つに記載の紙幣入出金装置。
  6. 紙幣を挟持し搬送する搬送手段を有し、
    出金取引時に、
    前記搬送手段は、前記紙幣収納部から前記入出金口より突出した位置まで紙幣を搬送して放出許容する
    請求項1から4のいずれか1つに記載の紙幣入出金装置。
  7. 紙幣を識別する紙幣判別部を有し、
    前記紙幣判別部の識別結果により紙幣を放出する放出位置を調節する
    請求項6に記載の紙幣入出金装置。
  8. 紙幣長さを測定するセンサを備え、
    前記センサにより測定された紙幣長さにより、紙幣を放出する放出位置を調節する
    請求項6記載の紙幣入出金装置。
  9. 前記前板は、先端中央部に凹部が形成されている
    請求項1から8のいずれか1つに記載の紙幣入出金装置。
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