以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
[1.紙幣処理装置の構成]
図1に示すように、第1の実施の形態による紙幣処理装置1は、例えば金融機関に設置される現金処理装置(いわゆるテラーマシン)であり、金融機関の職員や顧客(以下これを使用者と呼ぶ)の操作により、現金(特に紙幣)に関する入金取引や出金取引等の各種取引を行う。
以下では、紙幣処理装置1のうち使用者が対峙する正面側を前側とし、その反対を後側とし、前側から見た場合の左及び右をそれぞれ左側及び右側とし、さらに上側及び下側を定義して説明する。
媒体処理装置としての紙幣処理装置1は、全体を覆う筐体2が直方体状に形成されており、該筐体2における上面の前寄りに、使用者との間で紙幣を受け渡す受渡部4が設けられている。受渡部4は、筐体2における後側部分の上面よりも上方に隆起しており、且つ手前側に対して奥側(後側)が高くなるよう緩やかに傾斜されている。これにより受渡部4は、筐体2の前側に位置する使用者から容易にアクセスし得るように、すなわち使用者が紙幣の投入や取出を容易に行い得るようになっている。
紙幣処理装置1には、筐体2の内部に、制御部11、入金部12、第1出金部13、第2出金部14、搬送部15、鑑別部16、一時保留部17、複数の紙幣収納庫18及びリジェクト庫19が設けられている。
制御部11は、紙幣処理装置1の全体を統括的に制御している。この制御部11は、図示しないCPU(Central Processing Unit)を中心に構成され、図示しないROMやフラッシュメモリ等から所定のプログラムを読み出して実行することにより、入金処理や出金処理等のような種々の処理を行う。また制御部11は、内部にRAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブやフラッシュメモリ等でなる記憶部を有しており、この記憶部に種々の情報やプログラム等を記憶させる。
媒体取込部及び媒体取込装置としての入金部12は、受渡部4の最も後側に配置されており、紙幣を収納する集積空間や、該集積空間から紙幣を1枚ずつに分離する分離部、及び該集積空間を外部から遮蔽するカバー等を有している(詳しくは後述する)。この入金部12は、集積された紙幣が使用者により集積空間内に投入されると、これを1枚ずつに分離する分離処理を行って繰り出し、搬送部15に引き渡す。
第1出金部13は、受渡部4における前後方向の中央付近に位置している。この第1出金部13は、紙幣を集積した状態で収納する集積空間や、搬送部15から受け取った紙幣を集積空間内へ放出する放出部、及び所定のアクチュエータにより開閉可能なカバー等を有している。この第1出金部13は、搬送部15から紙幣が搬送されてくると、カバーを閉塞した状態で、放出部により紙幣を集積空間内へ放出して集積させた後、該カバーを開放して使用者に紙幣を取り出させる。
第2出金部14は、第1出金部13と同様の集積空間、放出部及びカバーを有している。ただしカバーは、前面部分が左右方向に関して3分割されており、このうち左右の両外側に位置する部分が上面部分で連結されて一体の部品となっている。この両外側に位置する部分は、所定のアクチュエータから供給される駆動力により開閉され、中央に位置する部分が使用者により手動で開閉されるようになっている。
搬送部15は、筐体2内の各部を結ぶ搬送路Yに沿って配置された各種ローラやベルト、並びにこれらを駆動するためのギアやモータ等により構成されている。また搬送部15は、搬送路の分岐点に図示しない切替器を適宜配置している。この搬送部15は、制御部11の制御に基づき、搬送路に沿って紙幣を搬送すると共に、切替器により当該紙幣の搬送先を切り替える。因みに図2では、搬送部15を構成する部品の一部のみを模式的に示している。
鑑別部16は、入金部12の後方下側であって、搬送部15の搬送路Y上に配置されている。この鑑別部16は、種々のセンサを有しており、搬送部15により搬送されてくる紙幣の金種、真偽、正損、走行状態などを基に、取り扱うことのできる取扱可能紙幣であるか否かを鑑別し、その鑑別結果を制御部11へ送出する。また鑑別部16は、紙幣における損傷の程度を基に、再利用することができる再利用可能紙幣であるか否かを鑑別し、その鑑別結果を制御部11へ送出することもできる。
一時保留部17は、第2出金部14の前方下側に配置されており、搬送部15により搬送されてきた紙幣を内部に一時的に収納(保留)し、また保留している紙幣を1枚ずつ搬送部15へ繰り出す。
各紙幣収納庫18は、内部に紙幣を集積した状態で収納する集積空間や、搬送部15から搬送されてきた紙幣を該集積空間内へ放出して集積させる放出機構、及び集積空間内に集積されている紙幣を1枚ずつに分離して繰り出し、搬送部15に引き渡す分離機構等を有している。この紙幣収納庫18は、搬送部15から搬送されてくる紙幣(正常紙幣)を上下方向に重ねて内部に収納し、また収納している紙幣を1枚ずつ繰り出して搬送部15へ引き渡す。
リジェクト庫19は、内部に紙幣を収納する集積空間や、搬送部15から搬送されてきた紙幣を該集積空間内へ放出して集積させる放出機構等を有している。このリジェクト庫19は、鑑別部16において再利用不可能と鑑別された紙幣(リジェクト紙幣)が搬送部15により搬送されてくると、内部に収納する。
かかる構成により紙幣処理装置1は、図示しない操作部を介して使用者から入金取引を開始する操作を受け付けると、制御部11において所定の入金プログラムを読み出して実行することにより、入金処理を開始する。
具体的に制御部11は、第2出金部14における外側のカバーを開放した上で、表示部(図示せず)に所定のメッセージを表示することにより、使用者に紙幣を入金部12の集積空間内へ投入させ、分離処理によりこの紙幣を1枚ずつ分離して搬送部15へ順次引き渡す。搬送部15は、この紙幣を搬送路Yに沿って鑑別部16へ順次搬送する。
続いて制御部11は、鑑別部16により各紙幣が取扱可能紙幣であるか否かを鑑別させ、その鑑別結果を基に、取扱可能紙幣を搬送部15により一時保留部17へ搬送して収納させる一方、取り扱うことができないと鑑別された紙幣(以下これを入金リジェクト紙幣又はリジェクト媒体と呼ぶ)を第2出金部14へ搬送して収納させる。
その後制御部11は、鑑別した紙幣の枚数や合計金額等を所定の表示部(図示せず)に表示し、使用者に入金取引を継続するか否かを問い合わせる。ここで使用者から入金取引の継続が指示されると、制御部11は一時保留部17に収納されている紙幣を順次繰り出して搬送部15により搬送させ、再度鑑別部16において金種及び損傷の程度を鑑別させる。続いて制御部11は、再利用可能と鑑別された紙幣をその金種に応じた紙幣収納庫18へ搬送して収納させる一方、再利用できないと鑑別された紙幣(リジェクト紙幣)をリジェクト庫19へ搬送して収納させる。
また紙幣処理装置1は、使用者から操作部(図示せず)を介して出金取引を開始する操作を受け付けると、制御部11において所定の出金プログラムを読み出して実行することにより、出金処理を開始する。具体的に紙幣処理装置1の制御部11は、操作部(図示せず)を介して使用者に出金額を指定させる。これに応じて制御部11は、出金する紙幣の金種及び枚数を決定する。また制御部11は、第1出金部13又は第2出金部14の何れか一方を選択して選択出金部とする。
次に制御部11は、各紙幣収納庫18から出金額に応じた金種及び枚数の紙幣を順次繰り出し、これを搬送部15により選択出金部へ順次搬送させ、該選択出金部において集積空間内に紙幣を順次放出して集積させる。その後制御部11は、全ての紙幣を選択出金部へ搬送し終えると、選択出金部のカバーを開放して紙幣を使用者に取り出させる。
このように紙幣処理装置1は、入金処理において入金部12に紙幣を投入させ、これを1枚ずつに分離して取り込むようになっている。
[2.入金部の構成]
次に、入金部12の構成について説明する。入金部12は、図1に示したように、その一部が受渡部4における筐体2の上面よりもさらに上方に突出すると共に、残りの部分が筐体2の内部に埋め込まれている。
図2(A)に拡大した斜視図を示すように、入金部12における受渡部4の上面よりも上方に突出した部分は、側カバー部21及び中央カバー部22により入金機構部23の周囲が覆われている。側カバー部21及び中央カバー部22は、全体として、中心軸を左右方向に沿わせた三角柱のような形状を形成しており、さらに前面部分や上端の稜線近傍が丸みを帯びている。
[2−1.カバー部の構成]
側カバー部21は、上方に突出した部分のうち左右の両側面及びその近傍部分を占めており、筐体2に固定されている。一方、中央カバー部22は、左右それぞれの側カバー部21の間に挟まれた部分を占めており、図2(B)に示すように、後側に設けられた回動軸を中心として、筐体2に対し回動可能に構成されている。
すなわち中央カバー部22は、回動することにより、入金部12の内部を外部から遮蔽(すなわち閉塞)した閉塞状態(図2(A))と、入金部12の内部における前側部分を外部と連通(すなわち開放)させた開放状態(図2(B))とに遷移することができる。説明の都合上、以下では、開放状態において入金部12の前側において開口されている部分、すなわち側カバー部21が左右の両辺を形成し、中央カバー部22の前面部分における下端が上辺を形成し、筐体2の一部が下辺を形成する部分を、開口部12Eと呼ぶ。
カバー部としての中央カバー部22は、図3(A)に模式的な側面図を示すように、入金機構部23の主に上側部分を覆うカバー本体部31を中心に構成されている。カバー本体部31は、光透過度の高い、すなわち透明度の高い樹脂材料により構成されており、入金機構部23の前側における下寄りの箇所から上側を経て後側の中央付近に至るような曲面状の部分と、その左右両側を覆う平面状の部分とにより構成されている。またカバー本体部31における前面の下寄りには、つまみ31Tが設けられている。
カバー本体部31の後側には、カバーフレーム32が取り付けられている。カバーフレーム32は、カバー本体部31における後側面部分の下端よりも下方へ延設されており、その下端近傍に、左右方向に貫通する丸孔でなる軸孔が穿設されている。一方、入金機構部23の背面には、軸受部34が取り付けられている。この軸受部34には、左右方向に貫通する丸孔でなる軸孔が穿設されている。さらに、カバーフレーム32及び軸受部34の軸孔には、中心軸を左右方向に沿わせた細長い円柱状に形成されたカバー回動軸33がそれぞれ挿通されている。
かかる構成により中央カバー部22は、入金機構部23や筐体2(図3)等に対し、カバー回動軸33を中心として回動することができる。例えば中央カバー部22は、矢印R1方向(すなわち時計回り)に最も回動した場合、図3(A)に示したように、入金機構部23の前側にカバー本体部31の前側部分を位置させ、開口部12Eを閉塞してその内部を外部から遮蔽した閉塞状態となる。
入金部12は、図2(A)に示したように、中央カバー部22が閉塞状態であるとき、カバー本体部31の前下端が筐体2の一部分と極めて近接若しくは当接させている。これにより入金部12は、この閉塞状態において、入金機構部23に対する前側からのアクセスを阻止している。その一方で入金部12は、カバー本体部31が透明な樹脂材料により構成されているため、使用者等に対し、入金機構部23や収納されている紙幣の様子を目視させることができる。
一方、中央カバー部22は、閉塞状態において使用者によりカバー本体部31のつまみ31Tに対して上後方へ向かう力が加えられると、カバー回動軸33を中心として矢印R2方向(すなわち反時計回り)に回動する。中央カバー部22は、矢印R2方向に最も回動された場合、図3(B)に示すように、入金機構部23の上側にカバー本体部31の前側部分を位置させ、内部の空間を外部と連通させた、すなわち開口部12Eを開放した開放状態となる。
また中央カバー部22には、カバー本体部31における左側板の下端近傍に、左連動レバー35Lが設けられている。左連動レバー35Lは、全体として前後方向に長く左右方向に薄い薄板状に形成された本体部36を中心に構成されており、その下辺における前端近傍に、左方向へ突出した連動板37を有している。
因みにカバー本体部31の右側には、左連動レバー35Lと左右対称に構成された右連動レバー35Rが設けられている。説明の都合上、以下では左連動レバー35L及び右連動レバー35Rをまとめて連動レバー35と呼ぶ。
[2−2.入金機構部の構成]
媒体支持部としての入金機構部23は、図4並びに図5(A)及び(B)に示すように、大きく分けて、底部25、背部26、左側部27及び右側部28、並びにバックアップ部29により構成されている。また、入金部12において閉塞状態である中央カバー部22により閉塞された空間であって、入金機構部23の前側に形成される空間をフレーム空間24又は内部空間と呼ぶ。このフレーム空間24の内部には、紙幣が集積された状態で収納されるようになっている(詳しくは後述する)。
図6に模式的な側面図を示すように、底部25は、入金機構部23における下側部分に位置しており、その上面が概ね平坦なフロアガイド41となっており、後面が底部搬送ガイド42となっている。因みに図4では、説明の都合上、中央カバー部22及び左側部27を省略している。
このフロアガイド41は、その上側に、紙面を上下に向けた姿勢で集積された複数の紙幣、すなわち束ねられた状態の紙幣が載置されることが想定された載置面となっている。またフロアガイド41は、前側が後側よりも高くなるように傾斜されており、集積された紙幣を後側の背部26に寄りかからせることになる。底部搬送ガイド42は、法線を後方向ないし後斜め上方向に向けた平面となっている。説明の都合上、以下では、上方向を集積方向とも呼び、また下方向を反集積方向とも呼ぶ。
底部25内における上寄りの部分には、前後方向のほぼ中央付近にピッカローラ43が設けられると共に、その後端にフィードローラ44が設けられている。ピッカローラ43は、中心軸を左右方向に沿わせた扁平な円柱状に形成されており、その周側面における一部分に、紙幣に対する摩擦力が高い高摩擦部材が取り付けられている。またピッカローラ43は、中心部分においてピッカローラ中心軸43Xに挿通されており、図示しないモータから駆動力が供給されると、このピッカローラ中心軸43Xと一体に矢印R2方向へ、すなわち図6における反時計回りに回転する。
因みに底部25には、図4に示したように、左右方向に沿って所定間隔ごとに複数のピッカローラ43が配置されている。各ピッカローラ43は、何れもピッカローラ中心軸43X(図6)に挿通されると共に、フロアガイド41に適宜形成された孔部を介して、それぞれの上端近傍を該フロアガイド41よりも上側に突出させている。
フィードローラ44(図6)は、ピッカローラ43と同様、中心軸を左右方向に沿わせた扁平な円柱状に形成されており、その周側面における一部分に、紙幣に対する摩擦力が高い高摩擦部材が取り付けられている。またフィードローラ44は、やはりピッカローラ43と同様、中心部分においてフィードローラ中心軸44Xに挿通されており、図示しないモータから駆動力が供給されると、このフィードローラ中心軸44Xと一体に矢印R2方向へ、すなわち図4における反時計回りに回転する。
因みに底部25には、図4に示したように、左右方向に沿って所定間隔ごとに複数のフィードローラ44が配置されている。各フィードローラ44は、何れもフィードローラ中心軸44X(図6)に挿通されると共に、フロアガイド41に適宜形成された孔部を介して、それぞれの上端近傍を該フロアガイド41よりも上側に突出させている。
背部26(図6)は、入金機構部23における後側部分に位置しており、その前面における上側約2/3の部分が概ね平坦なフロントガイド46となっており、その下側が背部搬送ガイド47となっている。フロントガイド46は、下側が上側よりも前方に位置するように傾斜しており、フロアガイド41に対して約90度の角度をなしている。また背部26の前面における上側部分及び上面には、背部支持板90が取り付けられている(詳しくは後述する)。
このフロントガイド46は、その前側に、紙面を上下に向けた姿勢で集積された複数の紙幣における後側部分、すなわち各紙幣における後端部分と当接若しくは近接することにより、この集積された紙幣を支えることが想定されている。
背部搬送ガイド47は、法線を前方向ないし前斜め下方向に向けた平面となっており、フロントガイド46よりも後側に位置している。この背部搬送ガイド47は、底部25の底部搬送ガイド42との間に所定の隙間を形成しており、この隙間に沿って紙幣を下方向へ案内することができる。
背部26におけるフロントガイド46及び背部搬送ガイド47の間には、ゲートローラ48が設けられている。このゲートローラ48は、フィードローラ44等と同様に、中心軸を左右方向に沿わせた扁平な円柱状に形成されている。このゲートローラ48は、フィードローラ44との間に、紙幣を1枚のみ通過させ得るような狭い隙間を形成している。説明の都合上、以下では、フィードローラ44及びゲートローラ48をまとめて分離取込部49と呼び、両者の隙間をゲート49Gと呼ぶ。
左側部27(図4)は、底部25の左側ないし上側であって、背部26の左側ないし前側に位置しており、固定された左サイドフレーム51Lを有している。この左サイドフレーム51Lは、全体として左右方向に薄い板状になっており、その右側面により、フレーム空間24における左方向の範囲を規制している。
左サイドフレーム51L(図4)には、背部26のフロントガイド46よりも前側に、概ね上下方向に沿った、すなわち集積方向に沿った長孔でなる左サイドフレーム溝52Lが形成されている。集積方向溝としての左サイドフレーム溝52Lは、その長軸がフロントガイド46の前面とほぼ平行となるように、すなわち下側が上側よりも前方に位置するように、鉛直方向に対してやや傾斜されている。また左サイドフレーム51Lの右側面は、少なくとも左サイドフレーム溝52Lの周辺部分において、平坦に形成されている。
左サイドフレーム51Lの右側、すなわち入金機構部23における中心側には、左サイドガイド53Lが設けられている。左サイドガイド53Lは、全体として左右方向に薄く上下方向に長い板状に形成されたサイドガイド本体部71(詳しくは後述する)を中心に構成され、背部26のフロントガイド46及び底部25のフロアガイド41に取り付けられている。因みに入金機構部23では、フロントガイド46及びフロアガイド41に対する左サイドガイド53Lの取付位置を、左右方向に調整し得るようになっている(詳しくは後述する)。また以下では、左右方向をガイド方向とも呼ぶ。
左サイドガイド53Lのサイドガイド本体部71は、その右側面が平坦な平面状に形成されており、さらに左サイドフレーム溝52Lのほぼ右側に、概ね上下方向に沿った長孔でなる左サイドガイド溝54Lが形成されている。この左サイドガイド溝54Lは、その長軸が該左サイドフレーム溝52Lの長軸と平行であり、またその短軸が該左サイドフレーム溝52Lの短軸よりもやや長くなっている。
右側部28(図4及び図5)は、左側部27とほぼ左右対称に構成されており、左サイドフレーム51L、左サイドフレーム溝52L、左サイドガイド53L及び左サイドガイド溝54Lとそれぞれほぼ左右対称な右サイドフレーム51R、右サイドフレーム溝52R、右サイドガイド53R及び右サイドガイド溝54Rを有している。すなわち右側部28では、右サイドフレーム51Rにおけるサイドガイド本体部71の左側面がフレーム空間24における右方向の範囲を規定している。
さらに入金部12では、フレーム空間24において、左サイドガイド53Lのサイドガイド本体部71よりも右側且つ右サイドガイド53Rのサイドガイド本体部71よりも左側の空間に、紙面を上下方向に向けた姿勢で紙幣を集積するようになっている。以下では、フレーム空間24のうち左サイドガイド53L及び右サイドガイド53Rのサイドガイド本体部71同士により挟まれた、紙幣を集積して収納する空間を、ガイド空間30又は集積空間とも呼ぶ。すなわちガイド空間30は、フロアガイド41、フロントガイド46、左サイドガイド53Lのサイドガイド本体部71及び右サイドガイド53Rのサイドガイド本体部71により下側、後側、左側及び右側がそれぞれ規定された空間となる。
実際上、入金部12では、紙幣における長辺の長さに合わせて左サイドガイド53L及び右サイドガイド53Rの取付位置が適切に調整されることにより、ガイド空間30における左右方向の大きさが適切に規定されている。これにより入金部12では、紙幣の左右方向に関する位置をできるだけ中央に揃えた状態で、該紙幣を取り込むことができる。
説明の都合上、以下では、左サイドフレーム51L及び右サイドフレーム51Rをまとめてサイドフレーム51と呼び、左サイドフレーム溝52L及び右サイドフレーム溝52Rをまとめてサイドフレーム溝52又は集積方向溝と呼ぶ。また以下では、左サイドガイド53L及び右サイドガイド53Rをまとめてサイドガイド53と呼び、左サイドガイド溝54L及び右サイドガイド溝54Rをまとめてサイドガイド溝54と呼ぶ。
[2−3.バックアップ部の構成]
次に、バックアップ部29(図4)の構成について説明する。押圧部としてのバックアップ部29は、図7に斜視図を示すように、直方体状のバックアップ本体部61を中心に構成されている。バックアップ本体部61は、中空の直方体状に構成されており、下面が開放されている。
バックアップ本体部61の下側には、バックアップ当接部62が設けられている。バックアップ当接部62は、バックアップ本体部61よりも小さい中空の直方体状に構成されており、その上面が開放されている。因みにバックアップ当接部62は、図示しないスプリングを介してバックアップ本体部61に取り付けられている。
バックアップ本体部61の左辺における前後方向のほぼ中央には、左バックアップ腕部63Lが設けられている。左バックアップ腕部63Lは、押圧接続部としての水平腕部64及び垂直腕部65を有している。水平腕部64は、全体として上下方向に薄く左右方向に長い薄板状に構成されており、その上面がバックアップ本体部61の上面部分と連続した平面を形成している。垂直腕部65は、全体として左右方向に薄く上下方向に長い薄板状に構成されており、水平腕部64の左端から下方へ向けて垂設されている。因みに水平腕部64及び垂直腕部65における前後方向の長さは、左サイドガイド溝54L(図4)における短軸の長さよりも短く、且つ左サイドフレーム溝52Lにおける短軸の長さよりも長くなっている。
垂直腕部65の左側面には、左サイドフレーム51L(図4)に対する摩擦係数が小さいスライダ66が取り付けられている。このスライダ66は、上下方向及び前後方向の長さが、垂直腕部65とほぼ同等となっている。スライダ66の左側面には、上寄り及び下寄りの2箇所に、スライドローラ67及び68が上下方向に沿って並べて設けられている。
押圧支持部としてのスライドローラ67及び68は、中心軸を左右方向に沿わせた円筒状に形成されており、自在に回転し得るように支持されている。スライドローラ67及び68における左右方向の長さは、左サイドフレーム51Lにおける左サイドフレーム溝52Lの近傍部分の厚さ(すなわち左右方向の長さ)よりも十分に長くなっている。またスライドローラ67及び68の直径は、左サイドフレーム溝52Lの短軸(すなわち前後方向の間隔)よりも僅かに短くなっている。連動ローラ69は、スライドローラ67及び68と同様の円筒状に形成されており、またスライドローラ68から独立して自在に回転し得るようになっている。
因みにバックアップ部29には、バックアップ本体部61の右辺における前後方向のほぼ中央に、左バックアップ腕部63Lと左右対称に構成された右バックアップ腕部63Rが設けられている。また説明の都合上、左バックアップ腕部63L及び右バックアップ腕部63Rをまとめてバックアップ腕部63とも呼ぶ。
ところで入金部12では、バックアップ部29が図7に示したように組み立てられた後、図4及び図5(A)等に示したように、該バックアップ部29が入金機構部23のフレーム空間24に組み込まれる。このときバックアップ部29は、左バックアップ腕部63L及び右バックアップ腕部63Rを、左サイドガイド53L及び右サイドガイド53Rをそれぞれ介して、左側部27及び右側部28にそれぞれ組み込ませる。
具体的に左バックアップ腕部63Lは、図8に拡大した模式図を示すように、入金機構部23の組立時等に、左端側から、左サイドガイド53Lの左サイドガイド溝54L(図4)に挿通される。これにより左バックアップ腕部63Lは、垂直腕部65、スライダ66、スライドローラ67及び68並びに連動ローラ69を左サイドガイド53Lよりも左側に、すなわちガイド空間30の外側に位置させる。
続いて左バックアップ腕部63Lは、左端側から、左側部27における左サイドフレーム51Lの左サイドフレーム溝52Lに挿通される。このとき左バックアップ腕部63Lは、連動ローラ69を左サイドフレーム51Lよりも左側に突き抜けさせた上で、図9に示すようにスライドローラ67及び68を左サイドフレーム溝52L内に入り込ませて、スライダ66(図8)の左側面を左サイドフレーム51Lの右側面に当接させる。
因みにバックアップ部29の右バックアップ腕部63R(図7)は、左バックアップ腕部63Lと左右対称となるように、右サイドガイド53Rを介して右側部28(図4)に組み込まれる。
この結果、バックアップ部29は、左右それぞれにおいて、バックアップ腕部63のスライドローラ67及び68をサイドフレーム溝52にそれぞれ入り込ませ、且つスライダ66をサイドフレーム51の内側面に当接させた状態となる(図8)。これによりバックアップ部29は、図6に示したように、バックアップ本体部61の上面やバックアップ当接部62の下面を底部25のフロアガイド41とほぼ平行とすることができる。
またバックアップ部29は、左右のサイドフレーム51によりスライダ66を介して挟まれており、また上下方向に離れたスライドローラ67及び68をサイドフレーム溝52の内側面に対してそれぞれ当接若しくは極めて近接させている(図9)。
このためバックアップ部29は、スライドローラ67及び68をサイドフレーム溝52内で摺動又は回転させ、且つスライダ66をサイドフレーム51に摺動させながら、上下方向へ自在に移動することができる。このときバックアップ部29は、その姿勢を殆ど変化させること無く、すなわちバックアップ本体部61の上面やバックアップ当接部62の下面を底部25のフロアガイド41とほぼ平行に保ったまま、上下方向へ移動可能となっている。
バックアップ部29は、外力が加えられていなければ、重力の作用により、下方向へ移動しようとする。このためバックアップ部29は、ガイド空間30内に紙幣が集積されていなければ、バックアップ当接部62の下面をピッカローラ43(図4)の上端近傍に当接させる。またバックアップ部29は、ガイド空間30内に紙幣が集積されていれば、該紙幣の上側に載置された状態となり、その自重を紙幣に作用させて、この紙幣を下方向(すなわち反集積方向)へ押圧する。
続いて入金部12では、入金機構部23にバックアップ部29が組み付けられた状態で、中央カバー部22(図4等)が取り付けられる。このとき中央カバー部22の左連動レバー35Lは、図8に示したように、連動板37が連動ローラ69よりも下側に位置するように組み付けられる。また中央カバー部22の右連動レバー35Rは、左連動レバー35Lの場合と同様、連動板37の一部分を連動ローラ69の真下に位置させる。
これにより入金部12では、中央カバー部22の回動と、バックアップ部29の上下方向への移動とを連動させることが可能となる。そこで以下では、左連動レバー35Lの連動板37と、左バックアップ腕部63Lの連動ローラ69とをまとめて、左連動部70Lと呼ぶ。これと同様に、右連動レバー35Rの連動板37と、右バックアップ腕部63Rの連動ローラ69とをまとめて、右連動部70R(図5(A))と呼ぶ。さらに以下では、左連動部70L及び右連動部70Rをまとめて、連動部70とも呼ぶ。
例えば入金部12は、中央カバー部22が閉塞状態であり、且つガイド空間30内に紙幣が収納されていない場合、図10(A)に示すように、すなわち入金機構部23においてバックアップ部29がガイド空間30内で最も下側に位置している。因みに図10(A)は、入金部12の左側面図を模式的に表したものであり、一部の部品を省略若しくは簡略化している。このとき連動部70は、各連動レバー35の連動板37を、各バックアップ腕部63の連動ローラ69から下方に引き離している。
入金部12は、使用者から中央カバー部22に対してつまみ31T等を介して上後方向へ力が加えられると、開口部12Eを徐々に開放させると共に、連動部70において、連動レバー35の連動板37をバックアップ腕部63の連動ローラ69に当接させて連動させる。これによりバックアップ部29は、中央カバー部22の回動に連動して、ガイド空間30内で上方へ持ち上げられる。
やがて入金部12は、図10(B)に示すように、中央カバー部22が矢印R2方向(図3)へ最も回動され、開口部12Eを開放させた開放状態に遷移される。このとき入金機構部23では、図9に示したように、バックアップ部29のバックアップ腕部63における上側のスライドローラ67がサイドフレーム溝52の上端に到達し、該バックアップ部29が最も上側に到達する。これにより入金部12では、図4及び図5(A)に示したように、ガイド空間30におけるバックアップ当接部62の下面とフロアガイド41との間に、十分な高さの空間が形成される。このため入金部12は、使用者に対し、このガイド空間30内へ紙幣の束を投入させることができる。
また入金部12は、使用者からつまみ31Tに対して前下方向へ力が加えられると、中央カバー部22を開放状態から矢印R1方向(図3)に回動させ、開口部12Eを徐々に閉塞していくと共に、連動部70によりバックアップ部29を該ガイド空間30内で下方へ移動させていく。
やがて入金部12では、図10(C)に示すように、バックアップ部29におけるバックアップ当接部62の下面が、集積されている紙幣の最上面に当接する。これによりバックアップ部29は、紙幣の上側に載置された状態となり、重力の作用により該紙幣に対して下方向へ向かう力を作用させ、またこの紙幣により下側から支持される。
続いて入金部12では、この状態から中央カバー部22がさらに矢印R1方向へ回転すると、連動レバー35の連動板37がさらに下方向へ移動する一方で、バックアップ腕部63の連動ローラ69が下降せず、そのままの位置を維持しようとする。この結果、連動部70は、連動板37及び連動ローラ69の連動を解除する。その後、中央カバー部22は回動を継続し、やがて開口部12Eを完全に閉塞した閉塞状態(図3(A))に戻る。
かくして入金部12では、バックアップ部29が紙幣の上側に載置されて下方向への力を作用させるため、該紙幣の最下面からピッカローラ43に作用する力を増加させ、両者の間に作用する摩擦力を高めることができる。この結果、入金部12では、回転するピッカローラ43から紙幣に対して後方へ向かう力を十分に作用させることができ、紙幣を安定的に後方へ送り出すこと、すなわち分離して取り込むことができる。
[2−4.サイドガイドの位置調整]
次に、入金機構部23におけるサイドガイド53の取付位置を調整するための構成について説明する。ここでは、左側の左サイドガイド53Lに着目して説明する。右サイドガイド53Rについては、左サイドガイド53Lと左右対称であるため、その説明を省略する。
[2−4−1.サイドガイドの構成]
左サイドガイド53Lは、図11、図12及び図13に斜視図を示すように、大きく分けてサイドガイド本体部71、サイドガイド支持部72及びロック部73により構成されている。
サイドガイド本体部71は、左右方向に薄く上下方向に長い板状に形成されており、上述したように、上下方向に沿った長孔でなる左サイドガイド溝54Lが形成されている。またサイドガイド本体部71の下辺における前端近傍には、下方へ向けて前下係合突起81が立設されている。この前下係合突起81は、前後方向に長く、上下方向に短く、左右方向に薄い微小な直方体状ないし板状に形成されている。
一方、入金機構部23における底部25のフロアガイド41(図4及び図5)には、4個のフロア位置決め孔41Hが形成されている。各フロア位置決め孔41Hは、フロアガイド41の前左端近傍における、左右方向に沿って離散した4箇所にそれぞれ配置されている。
各フロア位置決め孔41Hは、上方から見た形状が長方形状であり、いわゆる角孔となっており、左右方向及び前後方向の長さが、サイドガイド本体部71の前下係合突起81よりも僅かに大きくなっている。この4個のフロア位置決め孔41Hは、その何れかに、上述したサイドガイド本体部71の前下係合突起81が挿通されるようになっている(詳しくは後述する)。因みにフロアガイド41の前右端近傍には、前左端近傍と同様に、4個のフロア位置決め孔41Hが形成されている。
サイドガイド支持部72は、全体として、上下方向よりも左右方向がやや短く、且つ前後方向に薄い板状に形成されており、サイドガイド本体部71の後辺上寄りから右方向へ、すなわち内側へ向けて立設されている。
このサイドガイド支持部72は、前後方向に薄くほぼ鉛直方向に沿った板状の鉛直部75と、該鉛直部75の上端から後ろ斜め上方へ延長された板状の傾斜部76と、該傾斜部76の後端から上方へ短く延長された後端部77とにより構成されている。因みにサイドガイド支持部72は、鉛直部75、傾斜部76及び後端部77における左右方向の長さが、互いにほぼ同等となっている。
基部としての傾斜部76には、右寄り(すなわち内側寄り)の部分に、上下方向に貫通した4個の位置決め孔83が形成されている。ガイド側係合部及び孔部としての位置決め孔83は、前後方向に対して左右方向が短い角孔となっており、その後辺が後端部77に隣接している。各位置決め孔83は、傾斜部76に対し、左右方向に沿って離散的に整列するように配置されている。またサイドガイド支持部72に形成された各位置決め孔83の間隔は、フロアガイド41における各フロア位置決め孔41Hの間隔と同等に揃えられている。
ロック部73は、サイドガイド支持部72の鉛直部75における後面であって、上下方向の中央付近且つやや左寄りの箇所、詳細には傾斜部76における位置決め孔83よりも左側の箇所から、後ろ斜め上方に向けて立設されている。
このロック部73は、図13に示すように、鉛直部75から後ろ斜め上方へ向かう板状の下傾斜部85と、該下傾斜部85の後端から上方へ向かう板状の鉛直部86と、該鉛直部86の上端から前斜め上方へ向かう比較的短い上傾斜部87とにより構成されている。また鉛直部86の後面における上端よりもやや下側には、後ろ斜め上方へ向けて、保持部としての係合爪部88が立設されている。因みにロック部73は、下傾斜部85、鉛直部86、上傾斜部87及び係合爪部88における左右方向の長さが、互いにほぼ同等となっている。
ところで左サイドガイド53Lは、所定の樹脂材料が成型加工されて製造されており、サイドガイド本体部71、サイドガイド支持部72及びロック部73が一体の部品として構成されている。このうちサイドガイド本体部71及びサイドガイド支持部72は、十分な厚さを有することにより剛性が比較的高くなっており、容易に変形しないようになっている。一方、ロック部73は、やや薄く構成されており、切替操作部としての上傾斜部87に対して前後方向へ向かう外力が加えられると、該ロック部73全体を撓ませるようにして弾性変形し、この外力の印加が解除されると、元の形状に戻ろうとして弾性力を作用させるようになっている。このためロック部73は、仮に上傾斜部87に前方へ向かう力が加えられると、全体的に撓むと共に、該上傾斜部87や係合爪部88を後方向へ付勢する付勢作用を生じさせる。そこで以下では、ロック部73を付勢部材とも呼ぶ。
また左サイドガイド53Lでは、前方から見た場合、サイドガイド支持部72における傾斜部76の位置決め孔83がサイドガイド支持部72の後端部77よりもやや下側に見える一方、ロック部73における上傾斜部87の上側部分が、該後端部77よりも上側に見える。このため、仮に後端部77よりも上側が他の部材等により覆われた場合、使用者や作業者に対し、位置決め孔83を見せ得る一方、ロック部73の上傾斜部87を見せることや触れさせることができなくなる。
[2−4−2.背部支持板の構成]
次に、背部26(図4及び図5)に設けられている背部支持板90について説明する。背部支持板90は、背部26におけるフロントガイド46の上端近傍から上面部分に渡る部分に取り付けられている。
図14に示すように、背部支持板90は、大きく分けて前側に位置する前部91と、上側に位置する上部92とにより構成されている。前部91は、左右方向に長く前後方向に薄い板状に形成されており、フロントガイド46の上端近傍を形成している。上部92は、左右方向に長く上下方向に薄い板状に形成されており、前部91の上端から後方へ向けて立設されている。因みに背部支持板90は、例えば1枚の金属板が所定形状に切削された後、前部91及び上部92の接続部分において屈曲されることにより製造される。
図14の一部を拡大した図15に示すように、背部支持板90の左端寄りであって、前部91から上部92に渡る範囲には、比較的大きな貫通孔でなる左貫通孔部93Lが穿設されている。左貫通孔部93Lは、前部91に形成された比較的大きな角孔と、上部92に形成された比較的大きな角孔とが、前部91及び上部92の稜線で互いに接続されたような形状となっている。説明の都合上、以下では左貫通孔部93Lのうち上部92の後辺及び右辺をそれぞれ孔部後辺94及び孔部上側辺95と呼ぶ。
孔部上側辺95には、上方へ向けて差込突起部96及び位置指示部97が立設されている。支持側係合部及び突起部としての差込突起部96は、左右方向に薄く、前後方向に対して上下方向に長い小さな直方体状に形成されている。位置指示部97は、差込突起部96と同様に左右方向に薄く、差込突起部96よりも前後方向に長く、上下方向に短い小さな直方体状に形成されている。この差込突起部96及び位置指示部97は、互いに連接されており、右方向から見て英文字の「L」に似た形状となっている。換言すれば、位置指示部97は、差込突起部96に対して、左右方向(すなわちガイド方向)と交差する後方向側に位置しており、前後方向に沿って直線状に配置されている。
差込突起部96は、上下方向の長さ、すなわち上部92の上面からの突出距離が、サイドガイド53のサイドガイド支持部72における傾斜部76の厚さ(すなわち上下方向の長さ)よりも、十分に大きく(すなわち長く)なっている。この差込突起部96は、上述したサイドガイド支持部72に形成された4個の位置決め孔83の何れかに挿通されるようになっている(詳しくは後述する)。
因みに背部支持板90の右端寄りであって、前部91から上部92に渡る範囲には、左貫通孔部93Lと左右対称に構成された右貫通孔部93R(図14)が設けられている。
[2−4−3.サイドガイドの取付及び位置調整]
ところで紙幣処理装置1は、設置される国や地域によって、取り扱う紙幣の種類が異なり、その大きさも異なる。このため入金部12では、取り扱う紙幣の大きさ、特に長手方向の長さが判明すると、ガイド空間30における左右方向の長さ、すなわち入金機構部23に対してサイドガイド53を取り付けるべき位置が決定される。
具体的に入金機構部23では、サイドガイド53のサイドガイド支持部72に形成された4箇所の位置決め孔83(図13等)のうち、背部支持板90の差込突起部96(図15)を差し込むべき箇所が選定される。また入金機構部23では、底部25のフロアガイド41に形成された4箇所のフロア位置決め孔41H(図4等)のうち、サイドガイド本体部71の前下係合突起81(図11等)を係合させるべき箇所が選定される。
そのうえで入金機構部23では、その製造工程において、作業者により、入金機構部23にサイドガイド53が取り付けられる。例えば左サイドガイド53Lは、まず入金機構部23におけるフレーム空間24内の左端近傍、すなわち左サイドフレーム51Lの近傍に寄せられる。
このとき左サイドガイド53Lは、作業者により、サイドガイド本体部71を左側に向けると共にサイドガイド支持部72を後側に向けた姿勢とされる。また左サイドガイド53Lは、フレーム空間24内において、フロアガイド41からやや上方に離れると共に、フロントガイド46及び背部支持板90の前部91からやや前方に離れた位置に、すなわち宙に浮いた状態に支持される。
このとき左サイドガイド53Lは、サイドガイド支持部72において位置決め孔83が形成されている傾斜部76の下面を、背部支持板90における差込突起部96の上端よりも上側に位置させている。また左サイドガイド53Lは、ロック部73をフロントガイド46よりも前側に位置させている。
この状態で左サイドガイド53Lは、まず後方へ変位されることにより、サイドガイド本体部71の後端やサイドガイド支持部72の後面を、フロントガイド46や背部支持板90の前部91等に当接させる。このとき左サイドガイド53Lのロック部73(図13)は、下傾斜部85や鉛直部86の下側部分を背部支持板90の左貫通孔部93L(図15)内に入り込ませるものの、該鉛直部86の上側部分を孔部後辺94に当接させた後、さらに左サイドガイド53L全体が後方へ押し付けられる。これによりロック部73は、上傾斜部87及びその近傍を前方へ倒すようにして撓んだ状態となる。
次に左サイドガイド53Lは、やや下方へ変位されることにより、サイドガイド支持部72における傾斜部76(図12)の下面を、背部支持板90における差込突起部96の上端に当接させる。このとき入金機構部23では、作業者がフレーム空間24を前斜め上方から見下ろすようにしてサイドガイド支持部72の傾斜部76における位置決め孔83の近傍を目視した場合、該傾斜部76により差込突起部96が隠れているものの、後端部77の後方に位置指示部97(図15)を視認することができる。
この状態で作業者は、左サイドガイド53Lの後側部分に関して、紙幣の大きさに応じて選定された位置決め孔83を位置指示部97に合わせるようにして、サイドガイド支持部72における左右方向の位置を調整する。またこのとき作業者は、左サイドガイド53Lの前側部分に関して、紙幣の大きさに応じて選定されたフロア位置決め孔41H(図4等)にサイドガイド本体部71の前下係合突起81を合わせるようにして、該サイドガイド本体部71における左右方向の位置を微調整する。
続いて作業者は、左サイドガイド53Lをさらに下方へ押し込む。このとき左サイドガイド53Lは、図16に示すように、後側部分において、選定された位置決め孔83に差込突起部96を挿通させ、該差込突起部96の上端近傍をサイドガイド支持部72における傾斜部76の上面よりも上側に突出させる。これにより左サイドガイド53Lは、後側部分において、左右方向及び前後方向の位置が精度良く定められる。以下、位置決め孔83に差込突起部96が挿通された状態を係合状態とも呼ぶ。
また左サイドガイド53Lは、前側部分において、選定されたフロア位置決め孔41H(図4等)にサイドガイド本体部71の前下係合突起81を挿入させて係合させる(図5等)。これにより左サイドガイド53Lは、前側部分においても、左右方向及び前後方向の位置が精度良く定められる。
これに加えて左サイドガイド53Lのロック部73(図13)は、下方向へ押し込まれる途中で、係合爪部88が背部支持板90の孔部後辺94(図15)から前方へ向かう力を受け、一時的に、上傾斜部87及びその近傍をさらに前方へ倒すようにして撓んだ状態となる。その直後にロック部73は、さらに下方向へ押し込まれることにより、係合爪部88が孔部後辺94よりも下側に到達すると、復元力の作用により、上傾斜部87及びその近傍を後方へ押し戻し、係合爪部88を孔部後辺94の下側に入り込ませた状態、すなわちロックした状態となる(図16)。これにより左サイドガイド53Lは、上方向への移動が禁止された状態となり、上方向へ向かう力が加えられたとしても、ロック部73を孔部後辺94にロックさせた状態を維持することができる。
すなわち左サイドガイド53Lは、位置決め孔83に差込突起部96を挿通させ、前下係合突起81をフロア位置決め孔41Hに挿入させ、さらにロック部73を孔部後辺94にロックさせることにより、入金機構部23に対して左右方向、前後方向及び上下方向の位置が固定される。因みに右サイドガイド53Rは、左サイドガイド53Lと左右対称の作業工程を経て、入金機構部23に対して固定される。
ところで紙幣処理装置1では、例えば製造後に出荷されて実際に使用が開始されてから、国や地域においてこれまでと異なる大きさの紙幣が新たに発行されるなどして、取り扱う紙幣の大きさが変更される場合がある。このとき入金部12では、側カバー部21や筐体2を分解することなく、サイドガイド53の取付位置を変更し得るようになっている。
具体的に入金部12では、まず、ガイド空間30に紙幣を収納していない状態において、作業者により中央カバー部22(図2(B)及び図5(A))が開けられ、開口部12Eを開放した開放状態になる。このとき入金部12では、フレーム空間24において、上述した連動部70の作用により、バックアップ部29が持ち上げられている。
このとき入金部12では、図5(A)に示したように、バックアップ部29におけるバックアップ当接部62の下端が、サイドガイド53におけるサイドガイド支持部72の後端部77とほぼ同等の高さとなっている。このため入金部12では、開口部12Eを正面から覗き込んだ作業者に対し、傾斜部76の位置決め孔83やこれに挿通された差込突起部96を見せることができ、サイドガイド53の取付位置を確認させることができる。その一方で入金部12では、バックアップ部29をロック部73における上傾斜部87のほぼ前側ないし上側に位置させているため、該上傾斜部87を見せることや指先を触れさせることを抑止している。
ここで作業者は、連動レバー35を一時的に外方へ撓ませるなどして連動ローラ69との係合を解除させ、該連動ローラ69を該連動レバー35よりも下側に位置させる。これにより入金部12は、中央カバー部22とバックアップ部29との連動が解除され、中央カバー部22を開放状態としたまま、図5(B)に示したように、バックアップ部29が下降してガイド空間30内における最下部に位置する。このとき入金部12では、サイドガイド支持部72の傾斜部76やロック部73の上傾斜部87に対して外部からアクセスし得る状態、すなわち該傾斜部76及び上傾斜部87の前方や上方に他の部材が無く、且つ外部と連通された状態となる。
この状態で作業者は、外部から開口部12Eを介して指先をガイド空間30内(すなわちフレーム空間24内)における上傾斜部87の近傍に到達させる。続いて作業者は、例えば指先によりサイドガイド支持部72の鉛直部75及びロック部73の上傾斜部87を前後方向から挟むようにして、該ロック部73を撓ませながら上傾斜部87を前方に倒すことにより、係合爪部88と背部支持板90の孔部後辺94との係合を解除させる。
さらに作業者は、指先で鉛直部75及び上傾斜部87をつまんだ状態のまま、サイドガイド53全体を上方へ引き上げて変位させる。これによりサイドガイド53は、位置決め孔83を差込突起部96から引き抜き、且つ前下係合突起81をフロア位置決め孔41Hから引き抜いた状態、すなわち入金機構部23から取り外され、取付前と同様に、フレーム空間24内を左右方向へ自由に移動し得る状態となる。
これにより入金部12は、作業者に対し、製造時と同様の手順により、新たな取付位置に合わせて、すなわち新たに選択された位置決め孔83及びフロア位置決め孔41Hに差込突起部96及び前下係合突起81をそれぞれ合わせるようにして、左サイドガイド53Lを再び取り付けさせることができる。また入金部12は、右サイドガイド53Rについても、入金機構部23から取り外させた上で、新たな取付位置に合わせて取り付けさせることができる。
因みに入金部12では、バックアップ部29のバックアップ腕部63がサイドガイド53のサイドガイド溝54に挿通されている(図8)。このため入金部12では、バックアップ腕部63がサイドガイド溝54を介してサイドガイド53の移動範囲を規制しており、入金機構部23から取り外された該サイドガイド53をフレーム空間24内に留めて、紛失させないようになっている。
また入金部12では、取り外されたサイドガイド53の位置決め孔83を差込突起部96から引き抜いた後で、サイドガイド溝54における下端が、最も下側に位置するバックアップ部29のバックアップ腕部63に当接するよう、各部の大きさや配置が定められている。
[3.動作及び効果]
以上の構成において、紙幣処理装置1の入金部12では、サイドガイド53のサイドガイド支持部72における上側の傾斜部76に4箇所の位置決め孔83を形成すると共に、背部26に取り付ける背部支持板90に差込突起部96を設け、何れかの位置決め孔83に差込突起部96を挿通させるようにした(図16)。
また入金部12は、入金機構部23にサイドガイド53を取り付けたときに、ロック部73の係合爪部88を背部支持板90の孔部後辺94に係合させるようにし、且つロック部73の上傾斜部87を位置決め孔83の近傍に位置させた(図13、図16等)。
このため入金部12では、作業者に中央カバー部22を開放状態にさせて開口部12Eを開放させ、且つバックアップ部29との連動を解除させることにより(図5(B))、位置決め孔83及び差込突起部96並びに上傾斜部87等に対して容易にアクセスさせること、すなわち目視させながら指先で直接触れさせることができる。これにより入金部12では、金融機関等に設置済の紙幣処理装置1において、側カバー部21や筐体2等を取り外させることなく、入金部12の中央カバー部22を開放させるだけで、サイドガイド53の取付位置を極めて容易に変更させることができる。
また入金部12では、サイドガイド53のサイドガイド本体部71における前下端近傍に前下係合突起81を設ける一方、フロアガイド41(図4)に左右方向に沿って並ぶ4個のフロア位置決め孔41Hを設けた。このため入金部12では、サイドガイド53を後側部分において位置決め孔83に差込突起部96を挿通させて位置決めすることに加えて、前側部分において前下係合突起81をフロア位置決め孔41Hに挿通させて位置決めすることができる。これにより入金部12では、入金機構部23に対してサイドガイド53を前側及び後側の双方により、極めて安定的に固定することができる。
さらに入金部12では、サイドガイド53の位置決め孔83を傾斜部76において主に上下方向に沿って貫通する孔とし(図13)、またフロアガイド41に形成するフロア位置決め孔41Hも主に上下方向に沿った孔とした。すなわち入金部12では、入金機構部23からサイドガイド53を取り外す場合に移動する方向が主に上下方向となり、該サイドガイド53に対して前後方向や左右方向に力が加えられたとしても、取り付けられた状態を積極的に維持できる。
これにより入金部12では、使用者が入金取引等において開口部12Eを介して紙幣を投入するときに、紙幣束の側面との摩擦で後方向へ向かう力を受けた場合や、使用者がガイド空間30内から紙幣を取り出そうとして、紙幣束の側面との摩擦で前方向へ向かう力を受けたとしても、サイドガイド53が取り付けられた状態を安定的に維持できる。
そのうえ入金部12では、背部支持板90における差込突起部96の上下方向の長さを、サイドガイド53のサイドガイド支持部72における傾斜部76の上下方向の長さ、すなわち位置決め孔83における上下方向の長さ(深さ)よりも長くした。このため入金部12では、位置決め孔83に挿通された差込突起部96の上端近傍を、サイドガイド支持部72における傾斜部76の上面よりも上方に突出させることができる(図16)。これにより入金部12では、差込突起部96が挿通されている位置決め孔83を容易に特定させること、すなわち入金機構部23に対するサイドガイド53の取付位置を容易に確認させることができる。
さらに入金部12では、中央カバー部22を光透過性の高い樹脂材料により構成した。このため入金部12では、中央カバー部22により開口部12Eを閉塞した閉塞状態(図2(A))においても、作業者に外側から位置決め孔83の近傍を視認させること、すなわち入金機構部23に対するサイドガイド53の取付位置を容易に確認させることができる。具体的に作業者は、サイドガイド支持部72の傾斜部76に設けられた各位置決め孔83と、その何れに差込突起部96の差込突起部96が挿通されているのかを、すなわちサイドガイド53の左右方向に関する取付位置を、確認することができる。
これに加えて入金部12では、差込突起部96の後方に位置指示部97(図15)を形成した。このため入金部12では、中央カバー部22を介して、作業者がガイド空間30を前斜め上方から目視した場合、サイドガイド53の傾斜部76により差込突起部96が隠れているものの、後端部77の後方に位置指示部97を視認させることができる。これにより入金部12では、作業者に対し、所望の位置決め孔83を差込突起部96に挿通させるよう、サイドガイド53における左右方向の位置を調整する場合に、その作業性を格段に高めて、容易に且つ短時間で完了させることができる。
さらにサイドガイド53では、サイドガイド支持部72における傾斜部76に位置決め孔83を設ける一方、ロック部73を該サイドガイド支持部72とは別体の構成とした(図12及び図13)。これによりサイドガイド53は、サイドガイド支持部72の強度を高めて位置決め孔83が背部支持板90の差込突起部96に挿通されたときに安定的に支持させることと、ロック部73の強度をやや弱めに設定して弾性変形を容易に行わせることとを、高い次元で両立させることができる。
また入金部12では、中央カバー部22を開放状態としたときに、連動部70(図8及び図9)の作用によりバックアップ部29を持ち上げ、バックアップ当接部62の下側に紙幣を投入するための十分な空間を形成すると共に、該バックアップ当接部62の下面をサイドガイド支持部72の後端部77と同等の高さに合わせるようにした(図5(A))。
これにより入金部12では、一般の使用者が紙幣を投入する目的で中央カバー部22を開放状態に遷移させたときに、ロック部73の上傾斜部87に対するアクセスをバックアップ部29によって抑制することができる。すなわち入金部12では、連動部70における連動板37及び連動ローラ69の連動を解除する手法を知っている作業者等によってのみ、中央カバー部22とバックアップ部29との連動を解除させた上で、サイドガイド53の取付位置を変更させることができる。
その一方で入金部12では、作業者に対し、連動部70の連動を解除させなくとも、後端部77よりも低い傾斜部76に形成された位置決め孔83や、その何れかに挿通された差込突起部96を視認させ、サイドガイド53の取付位置を確認させることができる。
以上の構成によれば、紙幣処理装置1の入金部12では、フレーム空間24において、背部支持板90の差込突起部96をサイドガイド53の位置決め孔83に挿通させると共に、ロック部73の係合爪部88を背部支持板90の孔部後辺94に係合させて、該サイドガイド53を入金機構部23に取り付けるようにした。このため入金部12では、側カバー部21や筐体2等を取り外させることなく、作業者に中央カバー部22を開放状態にさせて開口部12Eを開放させ、さらにバックアップ部29との連動を解除させることにより、上傾斜部87等に対して容易にアクセスさせることができ、サイドガイド53の取付位置を極めて容易に変更させることができる。
[4.他の実施の形態]
なお上述した実施の形態においては、サイドガイド53のサイドガイド支持部72における傾斜部76に位置決め孔83(図13)を設けると共に、背部支持板90に差込突起部96(図15)を設ける場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば傾斜部76の下面に下方へ突出した差込突部を形成すると共に、背部支持板90に複数の位置決め孔を設けても良い。また、図17(A)〜(C)に示すように、入金部112において、左サイドガイド153Lの傾斜部176に丸孔でなる位置決め孔183を複数形成すると共に、背部支持板190に短い円柱状の差込突起部196を設けても良い。或いは、図18(A)〜(C)に示すように、入金部212において、左サイドガイド253Lの傾斜部276に角孔でなる位置決め孔283を複数形成するとともに、背部支持板290の孔部後辺294に位置決め孔283よりも少ない複数の角柱状の差込突起部296を設けても良い。要は、サイドガイドの傾斜部及び背部支持板にそれぞれ種々の形状を形成し、これらを適宜係合させることにより、該サイドガイドの位置を定めることができれば良い。またこれらの場合、作業者が位置決め孔等を前方や上方から見た場合に、差込突部が差し込まれている位置決め孔を視認できること、すなわち入金機構部に対するサイドガイドの取付位置を確認できることが望ましい。またこれらの場合、サイドガイドを左右方向に関して離散的な複数箇所に取り付ける以外にも、連続的な任意の箇所に取り付けるようにしても良い。
また上述した実施の形態においては、傾斜部76に位置決め孔83を上下方向に貫通する孔として形成し(図11等)、該位置決め孔83を貫通した差込突起部96の上端近傍を傾斜部76の上面よりも上方へ突出させる場合について述べた(図16)。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば位置決め孔83を傾斜部76の下面側に、上面に到達しない窪みとして形成し、差込突起部96を該位置決め孔83に挿入させることにより位置決めしても良い。この場合、位置指示部97によってサイドガイド53の取付位置を確認できれば良い。
さらに上述した実施の形態においては、サイドガイド本体部71の前下係合突起81(図11等)を左右方向に薄い板状に形成すると共に、フロアガイド41に形成する4箇所のフロア位置決め孔41H(図4等)を前後方向に長い角孔とする場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、位置決め孔83及び差込突起部96の場合と同様に、それぞれを種々の形状として互いに係合させても良い。或いは、例えば位置決め孔83及び差込突起部96によりサイドガイド53における前側部分も十分に固定できる場合に、前下係合突起81及びフロア位置決め孔41Hを省略しても良い。
さらに上述した実施の形態においては、位置決め孔83が形成されたサイドガイド支持部72とは別に構成されたロック部73の係合爪部88(図13等)を背部支持板90の孔部後辺94に係合させることにより、入金機構部23にサイドガイド53が取り付けられた状態を保持する場合について述べた(図16)。しかしながら本発明はこれに限らず、例えばサイドガイド53における同一の部品に位置決め孔83及び係合爪部88を設けても良い。また、ロック部73の弾性変形を利用して係合爪部88を孔部後辺94に係合させてサイドガイド53が取り付けられた状態を維持し、或いはこれを解除する構成に限らず、例えばねじを用いる等、種々の構成を利用することにより、サイドガイド53が取り付けられた状態を維持し、或いはこれを解除するようにしても良い。
さらに上述した実施の形態においては、サイドガイド53に設けたロック部73の係合爪部88を背部支持板90の孔部後辺94に係合させる場合について述べた(図16)。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば背部支持板90側にロック部を設け、該ロック部の係合爪部をサイドガイド53側の一部分に係合させることにより、該サイドガイド53の取付状態を保持するようにしても良い。
さらに上述した実施の形態においては、差込突起部96の後側に板状の位置指示部97を設ける場合について述べた(図15)。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば差込突起部96の左斜め後方等、種々の位置に種々の形状でなる位置指示部97を設けても良い。要は、傾斜部76や後端部77により隠されずに、差込突起部96の位置を示すような位置及び形状であれば良い。或いは、該位置指示部97を省略しても良い。
さらに上述した実施の形態においては、位置決め孔83を主に上下方向に沿った形状とし(図11)、また差込突起部96を主に上下方向に沿った直方体状に形成して(図15)、入金機構部23に対してサイドガイド53を上下方向へ移動させることにより、該サイドガイド53の取付及び取り外しを行う場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、位置決め孔83及び差込突起部96をそれぞれ他の種々の形状とすることにより、サイドガイド53を前後方向等、他の方向へ移動させることにより取付及び取り外しを行うようにしても良い。
さらに上述した実施の形態においては、サイドガイド支持部72における上側の傾斜部76に位置決め孔83を設けると共に(図11)、差込突起部96が形成された背部支持板90をフロントガイド46の上端近傍に取り付ける場合について述べた(図6)。しかしながら本発明はこれに限らず、例えばサイドガイド支持部72の下端近傍に位置決め孔83を設けると共に、差込突起部96が形成された背部支持板90をフロントガイド46の下端近傍やフロアガイド41の後端近傍に設けても良い。
さらに上述した実施の形態においては、サイドガイド53にサイドガイド溝54を設け、該サイドガイド溝54にバックアップ部29のバックアップ腕部63を挿通させる場合について述べた(図8)。しかしながら本発明はこれに限らず、例えばサイドガイド53と干渉しない位置にバックアップ腕部63を配置し、サイドガイド溝54を省略しても良い。
さらに上述した実施の形態においては、中央カバー部22を開放状態としたときに、バックアップ部29におけるバックアップ当接部62の下端をサイドガイド支持部72の後端部77と同等の高さとして、傾斜部76の位置決め孔83等を目視させながら、ロック部73の上傾斜部87に対するアクセスを抑制する場合について述べた(図5(A))。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば中央カバー部22を開放状態としたときに、バックアップ当接部62の下端を後端部77よりも高く位置させて上傾斜部87に対するアクセスを抑制しないようにしても良い。或いは、バックアップ当接部62の下端を後端部77よりも低く位置させて傾斜部76の位置決め孔83等を目視させないようにしても良い。
さらに上述した実施の形態においては、連動部70により中央カバー部22とバックアップ部29とを連動させる場合について述べた(図10)。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば中央カバー部22の開閉とバックアップ部29の上下方向への移動とを互いに独立させても良い。この場合、例えば図5(B)に示した場合と同様に、中央カバー部22を開放状態としながらバックアップ部29を下方に位置させることにより、上傾斜部87に対するアクセスが可能となる。
さらに上述した実施の形態においては、中央カバー部22を光透過度の高い樹脂材料により構成する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば光透過度の低い材料により構成し、中央カバー部22が閉塞状態であるときに入金部12の外側から位置決め孔83等を視認し難くし、或いは視認できないようにしても良い。これにより、第三者に入金部12の内部が不用意に覗き見られる可能性を格段に抑えて、セキュリティ性を向上させることができる。なお、この場合であっても、中央カバー部22を開放状態とし、さらに連動部70による連動を解除してバックアップ部29を下方に位置させることにより、位置決め孔83等を視認することができる。
さらに上述した実施の形態においては、サイドガイド53のサイドガイド支持部72における傾斜部76に4箇所の位置決め孔83を設けると共に(図11)、フロアガイド41(図4)に4箇所のフロア位置決め孔41Hを設ける場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、位置決め孔83及びフロア位置決め孔41Hを、それぞれ3箇所以下又は5箇所以上設けても良い。
さらに上述した実施の形態においては、左サイドガイド53L及び右サイドガイド53Rの双方を位置調整する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば左サイドガイド53L及び右サイドガイド53Rの何れか一方を位置調整するように
しても良い。
さらに上述した実施の形態においては、フレーム空間24内において、ガイド空間30における左右方向の範囲を規定するサイドガイド53に本発明を適用する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えばガイド空間30における上下方向の範囲や前後方向の範囲等、種々の方向の範囲を規定するガイドに本発明を適用しても良い。
さらに上述した第1の実施の形態においては、媒体としての紙幣を取り扱う紙幣処理装置1の入金部12に本発明を適用する場合について述べた。しかしながらこれに限らず、例えば各種証券や金券、或いは入場券のような紙葉状の媒体、若しくは種々の形状の媒体を取り扱う種々の装置において、当該媒体を取り込む取込部に本発明を適用するようにしても良い。
さらに本発明は、上述した実施の形態及び他の実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した実施の形態と上述した他の実施の形態の一部又は全部を任意に組み合わせた実施の形態や、一部を抽出した実施の形態にもその適用範囲が及ぶものである。
さらに上述した実施の形態においては、開口部としての開口部12Eと、カバー部としての中央カバー部22と、媒体支持部としての入金機構部23と、分離取込部としての分離取込部49と、ガイド部としてのサイドガイド53と、支持側係合部としての差込突起部96と、ガイド側係合部としての位置決め孔83と、保持部としての係合爪部88と、切替操作部としての上傾斜部87とによって媒体取込装置としての入金部12を構成する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる開口部と、カバー部と、媒体支持部と、分離取込部と、ガイド部と、支持側係合部と、ガイド側係合部と、保持部と、切替操作部とによって媒体取込装置を構成しても良い。