JP6807211B2 - Cu−Zr−Sn−Al系銅合金板材および製造方法並びに通電部材 - Google Patents

Cu−Zr−Sn−Al系銅合金板材および製造方法並びに通電部材 Download PDF

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Description

本発明は、高圧端子やバスバーなどの通電部材用素材として有用であり、特にアルミニウム系通電部材と接合して使用される通電部材に好適なCu−Zr−Sn−Al系銅合金板材およびその製造方法に関する。また、その銅合金板材を素材に用いた通電部材に関する。
Cu−Zr系銅合金は、65%IACS以上といった高い導電率を有することから、高圧端子やバスバーなど電源回路周りの通電部材として有用である。最近では導電性、強度、加工性の要求レベルが高まりつつあり、例えば導電率70%IACS以上、圧延方向の0.2%耐力400MPa以上であり、かつ曲げ軸が圧延平行方向(B.W.)となる90°W曲げ試験において割れが発生しない最小曲げ半径MBRと板厚tとの比MBR/tの値が0.5以下である曲げ加工性を備えていることが望まれる。また、電気モーターの駆動力を利用して走行する自動車では性能向上のために高電圧化が進んでいる。それに対応するためには、例えば200℃×1000時間での応力緩和率が30%以下となるような耐応力緩和特性を備えていることも望まれる。従来、時効条件や最終的な加工度を適正化することによって、Cu−Zr系銅合金板材の導電性および強度を上記所望のレベルに調整することは可能であった。しかし、曲げ加工性および耐応力緩和特性をも同時に上記所望の範囲に調整することは必ずしも容易でないのが現状である。
一方、自動車等の車載部品においては、リサイクル性、軽量化、低コスト化等の観点でワイヤーハーネス等の電線部材にアルミニウム系材料が多用されるようになってきた。この場合、アルミニウム系の電線部材と銅合金系の端子部材とを、かしめ結合などにより電気的に接続して使用すると、両者が同じ水分存在環境に接したときに、ガルバニック腐食(異種金属接触腐食)が生じるという問題がある。すなわち、電気的により卑な金属であるアルミニウム系材料側で腐食が起こる。大気雰囲気であっても、条件によっては両部材の接続箇所に水分が付着することがあり、そのような場合にガルバニック腐食環境となる。
アルミニウム系部材と銅合金部材の間で起きるガルバニック腐食を防止するために、両部材の接続箇所を樹脂で被覆する対策や、両部材の間に中間の電位を有する防食めっき層を介在させる対策などが提案されている。しかし、樹脂被覆による場合には完全に密封する必要がありコストがかかる。防食めっき層の場合も車載用途では振動を受けることから、防食めっき層が摩耗により消失化する懸念があり、万全とは言えない。したがって、アルミニウム系部材との間のガルバニック腐食を顕著に軽減するための、安価かつ確実な手法の確立が望まれている。
特許文献1には、Cu−Zr系銅合金板材の製造において、980℃程度の温度で行う熱間圧延と、その後の急冷処理によって溶体化処理を施す工程を採用して、種々の粒径の結晶粒を混在させ、また{110}<112>結晶方位(いわゆるBrass方位)を発達させるとともに{112}<111>結晶方位(いわゆるCopper方位)を抑制させる技術が記載されている。これにより強度、伸び、曲げ加工性、耐熱クリープ特性等の諸特性が向上するという。しかし、この手法で得られる結晶配向ではB.W.における曲げ加工性の改善に関しては不十分である。また、アルミニウム系材料と接合した場合に起きるガルバニック腐食の問題は未解決である。
特許文献2には、Cu−Zr系銅合金においてMg、Ti、Zn、Ga、Y、Nb、Mo、Ag、In、Snの1種以上を含有させる組成を採用することによって、耐応力緩和性を改善することが記載されている。その応力緩和特性は150℃×1000時間の試験で評価されている(表2、表3)。しかし、200℃での耐熱性を十分に改善するには至っていない。また、アルミニウム系材料と接合した場合に起きるガルバニック腐食の問題は未解決である。
特許文献3には、種々の元素を含有する銅合金系において、第1種の高温圧延(例えば800〜1000℃、加工率20〜90%)と、第2種の高温圧延(例えば450〜600℃、加工率60〜95%)を有する製造工程を採用し、圧延板の幅方向(TD)に向く(111)結晶面の配向を高める手法が開示されている。これによるとTDのヤング率が向上するという。Zrを含有する銅合金も例示されている(表1の1−20、表2の2−9、表4の4−6、表5の5−2、表6の6−10)。応力緩和特性は150℃×1000時間の試験で評価されている(段落0060)。しかし、特許文献3の技術では200℃での耐応力緩和特性を十分に改善することは難しい。また、アルミニウム系材料と接合した場合に起きるガルバニック腐食の問題は未解決である。
特開2005−298931号公報 特開2011−117055号公報 国際公開第2012/026610号
本発明は、Zrを含有する銅合金の板材において、導電性、強度、B.W.での曲げ加工性および耐応力緩和特性に優れ、かつアルミニウム系材料と電気的に結合した際のガルバニック腐食抑制作用の高い(すなわち相手金属の溶解速度を低減させる効果の大きい)材料を提供することを目的とする。
発明者らの研究によれば、以下のことがわかった。
(a)Cu−Zr系銅合金においてSnとAlを複合添加した化学組成を採用するとともに、熱間圧延で750℃未満の温度域で行う圧延パスでの合計圧下量を制限することによって、導電性と強度を高く維持しながら、耐応力緩和性を向上させることができる。
(b)Cu−Zr系銅合金においてSnやAlを適量に添加すると、最終的な冷間圧延でかなりの強加工を行っても圧延集合組織であるBrass方位{011}<211>の発達が抑制されB.W.での曲げ加工性が向上する。
(c)Cu−Zr系銅合金にAlを添加すると、アルミニウム系材料と電気的に結合した際のガルバニック腐食抑制作用が向上する。
本発明はこのような知見に基づいて完成したものである。
上記目的は、質量%で、Zr:0.01〜0.50%、Sn:0.01〜0.50%、Al:0.005〜0.30%、Mg、Si、P、Ti、Cr、Mn、Co、Ni、Zn、Fe、Ag、Ca、Bの合計含有量:0〜0.50%、残部がCuおよび不可避的不純物である化学組成を有し、板厚中央部の試料面についてEBSD(電子線後方散乱回折)法によりステップサイズ0.2μmで測定した結晶方位分布において、FCC結晶の<011>方向および<211>方向が、それぞれ板厚方向(ND)に対して15°以内である領域の面積割合をSBおよびSCとするとき、下記(1)式および(2)式を満たす結晶配向を有し、結晶方位差15°以上の境界を結晶粒界とみなした場合のKAM値が3.0以下である銅合金板材によって達成される。
B+SC≧0.60 …(1)
0.55≦SB/SC≦1.50 …(2)
前記「板厚中央部」は、板厚をt(mm)とするとき、板厚方向において、板厚中心位置±0.10tの領域をいう。上記成分元素のうち、Mg、Si、P、Ti、Cr、Mn、Co、Ni、Zn、Fe、Ag、Ca、Bは任意含有元素である。
KAM(Kernel Average Misorientation)値は、測定領域の平面内に0.2μm間隔で配置された電子線照射スポットについて、隣接するスポット間の結晶方位差(以下これを「隣接スポット方位差」という。)をすべて測定し、15°未満である隣接スポット方位差の測定値のみを抽出して、それらの平均値を求めたものに相当する。すなわち、KAM値は結晶粒内の格子歪の量を表す指標であり、この値が大きいほど結晶格子の歪が大きい材料であると評価することができる。
上記銅合金板材において、特に導電率が70%IACS以上、圧延方向の0.2%耐力が400MPa以上、JIS H3110:2012に記載の90°W曲げ試験において、曲げ軸が圧延平行方向(B.W.)となる場合の割れが発生しない最小曲げ半径MBRと板厚tとの比MBR/tの値が0.5以下であるものが好適な対象となる。
上記の銅合金板材の製造方法として、前記化学組成を有する銅合金の鋳片を製造し、熱間圧延、冷間圧延、時効処理の各工程を上記の順に有する手順で銅合金板材を製造するに際し、
熱間圧延工程において、総圧下量(mm)に対する750℃未満の温度域での圧下量(mm)の割合を0〜30%とし、かつ最終パス圧延温度を700℃以上とする条件で熱間圧延を施し、
冷間圧延工程において、中間焼鈍を挿入しないか、または再結晶が生じない温度での1回以上の中間焼鈍を挿入する方法により、総圧延率を80%以上とする条件で冷間圧延を施す、銅合金板材の製造方法が提供される。
また、上記の銅合金板材を素材に用いた部材であって、アルミニウム系部材と接合された状態で使用される通電部材が提供される。「アルミニウム系」とは、純Al、あるいはAlに合金元素を添加したAl合金を意味する。
ここで、ある板厚h0(mm)からある板厚h1(mm)までの圧延率は下記(3)式によって定まる。
圧延率R(%)=(h0−h1)/h0×100 …(3)
一連の圧延パスからなる圧延工程での「総圧延率」は、当該圧延工程における初パス開始前の板厚h0(mm)および最終パス終了後の板厚h1(mm)をそれぞれ上記(3)式に代入することによって求まる圧延率R(%)に相当する。
「圧下量」は圧延による板厚減少量である。熱間圧延工程において、例えば、熱間圧延開始直前の板厚がh0(mm)、750℃以上の温度での最後の圧延パス終了後の板厚がh1(mm)、熱間圧延最終パス終了後(すなわち巻き取り前)の板厚がh2(mm)であるとき、総圧下量(mm)はh0−h2、750℃未満の温度域での圧下量(mm)はh1−h2となる。この場合、「総圧下量に対する750℃未満の温度域での圧下量の割合」は下記(4)式によって表される。
総圧下量に対する750℃未満の温度域での圧下量の割合(%)=(h1−h2)/(h0−h2)×100 …(4)
本発明によれば、Cu−Zr−Sn−Al系銅合金を採用することによって、導電率が70%IACS以上、圧延方向の0.2%耐力が400MPa以上、B.W.での90°W曲げ試験のMBR/t値が0.3以下、200℃×1000時間での応力緩和率30%以下の特性を有し、かつアルミニウム系材料と電気的に結合した際に優れたガルバニック腐食抑制作用を発揮する銅合金板材が実現できた。この銅合金板材は、例えば電気モーターで駆動する自動車に搭載されるような高耐電圧・高耐熱性が要求される通電部材や、アルミニウム系の電線に締結して使用される車載用端子部材などに極めて有用である。
〔化学組成〕
本発明では、Cu−Zr系銅合金をベースにSnおよびAlを複合添加したCu−Zr−Sn−Al系銅合金を適用する。以下、化学組成における「%」は特に断らない限り「質量%」を意味する。
Zrは本来、マトリックス(金属素地)であるCu相の結晶粒界に第二相として析出し、強度や耐応力緩和特性の向上に有利に作用すると考えられている。そのZr含有相はCu3Zrを主体とするものであると考えられる。本発明では、SnおよびAlを添加することにより、結晶粒内にもZr含有相の析出を促進させ、強度および耐応力緩和特性の一層の向上を図っている。その作用を十分に発揮させるために、Zr含有量は0.01%以上を確保する必要があり、0.03%以上とすることがより好ましい。多量のZr含有は熱間加工性の低下を招くので、Zr含有量は0.50%以下の範囲とすることが好ましい。
SnおよびAlは、Cu相中に固溶し、結晶粒内歪を与えることで強度向上に寄与する。SnとAlを複合添加することにより、結晶粒内の各所にSn原子およびAl原子によるコットレル雰囲気が形成されやすい状態となる。マトリックスに加工歪を導入するとコットレル雰囲気に転位が固着され、その転位固着箇所がZrの析出サイトとして機能する。その結果、Zr系析出物が、結晶粒界だけでなく、結晶粒内の上記サイトを起点とした箇所に微細分散した組織状態が得られ、導電性の確保、強度の向上、および耐応力緩和特性の向上を同時に実現させることができるものと考えられる。
また、SnやAlの添加により、最終的な冷間圧延を高い圧延率で実施しても圧延集合組織であるBrass方位{011}<211>の過度な発達を抑制でき、その分、Copper方位{211}<111>が増大することがわかった。それにより、Brass方位とCopper方位の量的バランスが後述のように適正化された結晶配向の板材が得られ、強度を維持しながらB.W.での曲げ加工性の向上が図れるのである。
さらにAlの含有は、アルミニウム系材料と電気的に結合した際に、優れたガルバニック腐食抑制作用を発揮することが確認された。少量のAlを含有させることにより、接合相手材であるアルミニウム系材料の腐食速度を大幅に低減することから、銅合金部材の表面に存在するAlが、ガルバニック腐食環境で、アルミニウム系部材からのAlの溶出を効果的に抑制しているものと考えられる。
上記の作用を十分に発揮させるために、Snは0.01%以上、Alは0.005%以上の含有量をそれぞれ確保する必要がある。Snは0.03%以上とすることがより好ましく、Alは0.01%以上とすることがより好ましい。ただし、SnやAlの含有量が過剰になると導電性が低下する。また、多量にSnを含有させると、Brass方位の発達が逆に増大するようになる。種々検討の結果、Snは0.50%以下、Alは0.30%以下の含有量にそれぞれ制限される。Snは0.45%以下、Alは0.20%以下とすることがより好ましい。
Mgは、Cu相中に固溶して強度、耐応力緩和特性を向上させる作用を有するので、必要に応じて含有させることができる。その場合、Mg含有量は0.005〜0.10%の範囲とすることがより効果的である。
Ti、Si、P、Niは、析出物を形成して強度向上に寄与するので、必要に応じてこれらの1種以上を含有させることができる。その場合、Ti含有量は0.005〜0.20%、Si含有量は0.05〜0.10、P含有量は0.01〜0.10%、Ni含有量は0.005〜0.35%の範囲とすることがより好ましい。
Niは、析出物を形成して強度向上に寄与するので、必要に応じて含有させることができる。その場合、Ni含有量は0.005〜0.35%の範囲とすることが好ましい。
Crは、結晶粒内析出型の元素であり、Zrとともに添加すると相互作用により互いの析出物が微細化する。析出物の微細化は強度、耐応力緩和特性の向上に有効である。そのため、必要に応じてCrを含有させることができる。Crを含有させる場合、その含有量は0.01〜0.35%の範囲とすることがより効果的である。
その他、Mn、Co、Zn、Fe、Ag、Ca、B等を含有させることができる。
Mg、Si、P、Ti、Cr、Mn、Co、Ni、Zn、Fe、Ag、Ca、Bの合計含有量は0.50%以下の範囲とすることが望ましい。これらの元素の過剰含有は、熱間加工性の低下、導電性の低下、Brass方位の過剰形成による曲げ加工性の低下などを招く要因となる。
〔結晶配向〕
圧延を経て製造された銅系材料の板材において、{011}結晶面が板面に平行で且つ<211>方向が圧延方向に平行な結晶の方位はBrass方位と呼ばれる。また、{211}結晶面が板面に平行で且つ<111>方向が圧延方向に平行な結晶の方位はCopper方位と呼ばれる。Cu−Zr系銅合金では通常、圧延集合組織はBrass方位優先の結晶配向となる。しかし、Brass方位の配向度が高くなると曲げ加工性の異方性が強まり、特にB.W.での曲げ加工性の改善が難しくなる。一方、本出願人は、Cu−Zr系銅合金のプレス打抜き性を改善するうえで有効なCube方位{001}<100>の配向度を高めた板材を開発し、特願2016−072690に開示した。この場合B.W.の曲げ加工性も改善される。ただし、Cu−Zr系銅合金の冷間圧延材でCube方位を発達させるためには、熱間圧延工程において、動的再結晶が生じる700℃から600℃までの温度域での圧下を低減しながらその温度域で動的再結晶を生じさせる必要があり、熱間圧延工程上の制約が厳しくなる。そこで、本発明者らは更に研究を進めた。その結果、SnとAlを複合添加することによって、700℃未満の低温での圧下を必要とすることなくBrass方位の配向度を軽減した冷間圧延材を得ることができ、その場合にB.W.の曲げ加工性は顕著に改善されることを見いだした。
Brass方位の結晶は{011}面が圧延面に平行となっている。すなわちFCC結晶の<011>方向が板厚方向(ND)に平行となっている。Brass方位の配向度を軽減することはB.W.の曲げ加工性改善には有効となる。ただし、強度レベルを高く維持するためには、<011>方向が板厚方向(ND)に平行となっている結晶(主としてBrass方位の結晶)と、<211>方向が板厚方向(ND)に平行となっている結晶(主としてCopper方位の結晶)の、量的バランスが重要である。その具体的な条件が下記(1)式および(2)式である。
B+SC≧0.60 …(1)
0.55≦SB/SC≦1.50 …(2)
ここで、SBは、EBSD(電子線後方散乱回折)法によりステップサイズ0.2μmで測定した結晶方位分布において、FCC結晶の<011>方向が板厚方向(ND)に対して15°以内である領域の面積割合である。SCは、上記結晶方位分布において、FCC結晶の<211>方向が板厚方向(ND)に対して15°以内である領域の面積割合である。SBはBrass方位の結晶の量的割合と相関があり、SCはCopper方位の結晶の量的割合と相関がある。
上記(1)式に代えて下記(1)’式を適用することがより効果的である。
B+SC≧0.70 …(1)’
上記(2)式に代えて下記(2)’式を適用することがより効果的である。
0.60≦SB/SC≦1.45 …(2)’
〔KAM値〕
本発明では、本来粒界析出型のCu−Zr系析出相を結晶粒内に微細分散させた特異な組織状態によって、強度と耐応力緩和特性の向上作用を得ている。しかし、単に微細第二相粒子を結晶粒内に多く分散させるだけでは、強度および耐応力緩和特性をバランス良く向上させることができない。微細第二相粒子の結晶粒内分散に加え、時効処理後においても適度な結晶格子歪を有していること、すなわちマトリックスの過度な軟化が生じていないこと重要となる。結晶格子歪の分布状態を定量的に評価する指標として、KAM値を挙げることができる。結晶格子歪が過大になると耐応力緩和特性は低下に転じ、曲げ加工性も低下する。発明者らの検討によれば、SnとAlを複合添加して強化を図った当該銅合金において、圧延方向の0.2%耐力400MPa以上および200℃×1000時間の応力緩和率30%以下の特性を両立させるためには、結晶方位差15°以上の境界を結晶粒界とみなした場合の結晶粒内における、ステップサイズ0.2μmで測定したKAM値(上述)を3.0以下とすることが極めて有効であり、1.2〜2.8とすることがより好ましい。KAM値は化学組成や後述の熱間圧延条件によって適正範囲に調整することができる。
〔導電率〕
高圧端子やバスバーなど電源回路周りの通電部材として良好な導電性を確保することを考慮すると、導電率は70%IACS以上であることが望ましい。
〔0.2%耐力〕
圧延平行方向(LD)の0.2%耐力は400MPa以上であることが望ましい。この強度レベルを有する材料であれば高圧端子やバスバーをはじめとする種々の通電部材に広く適用できる。450MPa以上であるものがより好適な対象となる。
〔曲げ加工性〕
JIS H3110:2012に記載の90°W曲げ試験において、曲げ軸が圧延平行方向(B.W.)となる場合の割れが発生しない最小曲げ半径MBRと板厚tとの比MBR/tの値が0.5以下であることが好ましい。この曲げ試験でMBR/tが0.3以下であるものは、高圧端子やバスバーなどの通電部材への加工に際し、優れた曲げ加工性を有していると評価される。MBR/tが0.3以下であることがより好ましい。
〔耐応力緩和特性〕
車載用途での通電部材を考慮したとき、後述の耐応力緩和特性の評価方法において、長手方向が圧延方向(LD)である試験片を200℃で1000時間保持した場合の応力緩和率が30%以下、より好ましくは25%以下となる耐応力緩和特性を有していることが望まれる。優れた耐応力緩和特性を安定して実現するためには、過度な結晶粒の微細化を抑制することが効果的である。例えば、時効処理を終えた板材製品において、最終工程後の平均結晶粒径が7μm以上であることが好ましく、10μm以上であることがより好ましい。ただし、結晶粒の過度な粗大化は強度低下を招くので、平均結晶粒径は100μm以下の範囲であることが好ましく、50μm以下であることがより好ましい。ここで、平均結晶粒径は、上記KAM値を求める際のEBSD測定において結晶方位差15°以上の境界を結晶粒界とみなした場合、Area法に基づき算出された平均結晶粒径を採用することができる。
〔製造方法〕
上述の特性を具備するCu−Zr−Sn−Al系銅合金板材は、溶解・鋳造、熱間圧延、冷間圧延、時効処理を上記の順に実施するシンプルな工程により製造することができる。
なお、熱間圧延後には必要に応じて面削が行われ、冷間圧延前や時効処理後には必要に応じて酸洗、研磨、あるいは更に脱脂が行われる。以下、各工程について説明する。
〔溶解・鋳造〕
連続鋳造、半連続鋳造等により鋳片を製造すればよい。Zrなどの酸化を防止するためには、不活性ガス雰囲気または真空溶解炉で行うのが好ましい。
〔熱間圧延〕
鋳片を加熱炉に装入して加熱する。加熱温度は850〜1000℃の範囲とすることが好ましい。850℃以上の加熱温度を確保することによって鋳造組織中の粗大なCu−Zr系第二相の溶体化が進行しやすくなり、最終的に強度と耐応力緩和特性をバランス良く向上させるうえで有利となる。加熱温度の上限を1000℃以下の範囲に管理することにより、鋳造組織中の融点が低い箇所での熱間加工割れを防止することができる。上記温度範囲での保持時間(材料温度が上記温度範囲にある時間)は0.5時間以上とすることが好ましい。過剰な加熱保持は不経済であるので、通常、上記保持時間は6時間以内の範囲で設定すればよい。
加熱後の鋳片を炉から出したのち、熱間圧延を開始する。通常、銅合金の熱間圧延は添加元素が固溶する高温域で行い、その後、水冷することが多い。Cu−Zr系銅合金であれば750℃以上の高温域で熱間圧延したのち水冷する方法が一般的である。本発明でもその手法に従うことができる。最終パス圧延温度は700℃以上の範囲で設定することができる。ただし、熱間圧延工程での総圧下量(mm)に対する750℃未満の温度域での圧下量(mm)の割合を0〜30%とする必要があり、0〜20%とすることがより好ましい。最終パス圧延温度が700℃を下回る場合や、750℃未満の温度域での圧下量(mm)の割合が30%を超える場合には、熱間圧延によって材料中に付与される歪が過大となり、時効処理後の板材製品におけるKAM値を上述の適正範囲に安定して収めることが難しくなる。なお、ある圧延パスでの圧延温度は、その圧延パスでのワークロールに入る直前の材料表面温度として把握することができる。熱間圧延での総圧延率は例えば60〜95%の範囲とすればよい。熱間圧延後は常法に従い板材をコイル状に巻き取ることができる。
〔冷間圧延〕
上記のようにして得られた熱間圧延材に、中間焼鈍を挿入しないか、または再結晶が生じない温度での1回以上の中間焼鈍を挿入する方法で総圧延率80%以上の冷間圧延を施して冷間圧延材を得る。総圧延率を85%以上とすることがより好ましい。この冷間圧延で蓄積された歪は、次に行う時効処理で結晶粒内の多くの位置を析出サイトとして微細な第二相粒子を多数生成させるための駆動力となる。また、この歪は強度向上にも有効である。この冷間圧延工程での圧延率の上限は、圧延機の能力や目標板厚に応じて設定されるが、通常、98%以下の合計圧延率とすればよい。中間焼鈍を挿入しない場合は95%以下の圧延率となるように管理してもよい。本発明で対象としている銅合金は、Zrとともに、SnとAlを複合添加した化学組成を有している。この複合添加によって、冷間圧延率を上記のように高く設定した場合でも、Brass方位の発達を抑制することができることがわかった。そのメカニズムについては現時点で未解明である。ただし、総圧延率が80%に満たない場合は、Brass方位の発達が不足して上記(1)式あるいは(2)式を満たす結晶配向バランスを安定して得ることが難しくなる。冷間圧延後の板厚は例えば0.1〜1.0mmである。
冷間圧延工程の途中で1回以上の中間焼鈍を挟む場合は、中間焼鈍前に導入されている歪状態が、中間焼鈍を経ても引き継げるように、再結晶が生じない条件で中間焼鈍を行う。中間焼鈍条件は、例えば温度200〜750℃、時間1分〜3時間の範囲内に設定することができる。中間焼鈍を挿入する場合も、冷間圧延工程での総圧延率を80%以上とする。例えば中間焼鈍を1回挿入して、75%圧延→中間焼鈍→80%圧延の工程で板厚h0からh1まで冷間圧延する場合、h1=h0×0.25×0.2=0.05h0となるから、前記(3)式より総圧延率は(h0−0.05h0)/h0×100=95%と求まる。
製造コストの面からは、中間焼鈍を行わない冷間圧延工程を適用することが好ましい。
〔時効処理〕
上記のようにして得られた冷間圧延材に時効処理を施し、第二相粒子を析出させる。時効処理温度を250〜750℃の範囲に設定することにより、導電率70%IACS以上かつ圧延方向の0.2%耐力400MPa以上の時効処理材を得ることができる。この時効処理では、冷間圧延で蓄積した歪エネルギーが駆動力となり、結晶粒内の多くの箇所から多数の第二相が微細に析出する。結晶粒内に微細分散した第二相粒子はその周囲に格子歪を形成し、その歪場は転位の運動を妨げる機能を発揮する。固溶元素や第二相粒子によってもたらされる適度な歪場の存在は、耐応力緩和特性の向上に寄与する。前述のKAM値はこのような結晶粒内の歪場の分布を反映した指標とみなすことができる。一方、結晶粒内に第二相が微細析出することにより、結晶粒界での粗大な第二相の生成が抑制される。粗大第二相の生成抑制は曲げ加工性の向上に有利となる。
時効処理時に材料を昇温すると、時効処理前に既に蓄積されている歪が開放される方向に原子拡散が生じる。この歪の開放化(再結晶化の進行を含む)は強度低下につながる一方で、更なる時効析出は強度向上につながる。これらの強度低下−強度向上のバランスによって、所定の強度レベルが維持される。化学組成および目標特性に応じた適切な時効条件は、予め予備実験により把握しておくことができる。時効処理温度を250〜750℃の範囲に設定する場合、時効時間1分〜3時間の範囲で適正な時効処理条件を見いだすことができる。
以上の工程により、導電性、強度、曲げ加工性、耐応力緩和特性の各特性が良好であり、かつアルミニウム系材料と電気的に結合した際に優れたガルバニック腐食抑制作用を発揮するCu−Zr−Sn−Al系銅合金板材が得られる。
時効処理後には必要に応じて更に冷間圧延を施して強化を図ることも可能である。
表1に示す化学組成の銅合金を溶製し、半連続鋳造法にて鋳造し、厚さ100〜220mmの鋳片を得た。得られた鋳片を表2に示す条件で加熱した後、熱間圧延を施した。表2に熱間圧延工程での最終パス圧延温度、総圧延率を示してある。また、総圧下量(mm)に対する750℃未満の温度域での圧下量(mm)の割合を「750℃未満での圧下割合」の欄に示してある。熱間圧延工程での最終圧延パス後の板厚は5〜20mmとした。熱間圧延中に材料に割れが生じた一部の比較例(No.22)では、その時点で製造工程を終了した。なお、各パスでの圧延温度は、熱間圧延機のワークロール入り側での材料表面温度をモニターすることによって行った。熱間圧延後には面削を行って酸化スケールを除去し、次工程に供するための熱間圧延材とした。
上記の各熱間圧延材に表2に示す総圧延率で冷間圧延を施し、板厚0.6mmの冷間圧延材を得た。一部の例(本発明例No.4、比較例No.30)では冷間圧延工程の途中で中間焼鈍を1回挿入した。中間焼鈍条件は表2中に記載してある。それ以外の例では中間圧延を挿入せずに冷間圧延工程を終了した。中間焼鈍を挿入した例については中間焼鈍後に採取したサンプルの金属組織を光学顕微鏡にて観察して再結晶粒の有無を確認した。No.30では再結晶が生じていたので、表2中には中間焼鈍後の圧延率を記載した。次いで、各冷間圧延材に表2に示す条件で時効処理を施した。ここでは、表2中に示す温度まで昇温後、その温度で表2中に示す時間の保持を行ったのち冷却するというヒートパターンを採用した。加熱時の雰囲気は水素と窒素の混合ガス雰囲気または不活性ガス雰囲気とした。時効処理後には酸洗を施し、得られた時効処理材を供試材とした。供試材の板厚は上記冷間圧延により0.6mmに揃えてある。
Figure 0006807211
Figure 0006807211
各供試材について以下の調査を行った。
〔結晶配向〕
供試材から採取した試験片の圧延面をイオンミリングにより仕上げて、板厚中央部の試料面を調製した。その試料面内に無作為に設定した150μm×150μmの測定領域について、EBSD測定装置(TSLソリューションズ社製;SC−200)を備えるFE−SEM(電界放出形走査電子顕微鏡、日本電子社製;JSM−7001F)により、EBSD法でステップサイズ0.2μmにて結晶方位を測定し、<011>方向およびが板厚方向(ND)に対して15°以内である領域の面積割合SB、および<211>方向が板厚方向(ND)に対して15°以内である領域の面積割合SCを求めた。EBSD解析ソフトウエアとして、TSLソリューションズ社製、TSL OIM Analysis 7を使用した。各供試材につき無作為に設定した3個の測定領域で得られたSBおよびSCを平均した値を、その供試材のSBおよびSCとして採用し、SB+SCの値およびSB/SCの値を定めた。
〔KAM値〕
上記のEBSD法で測定した結晶方位分布データに基づいて、上記解析ソフトウエアにより、結晶方位差15°以上の境界を結晶粒界とみなした場合のKAM値を求めた。各供試材につき無作為に設定した3個の測定領域で求めたKAM値を平均した値を、その供試材のKAM値として採用した。
〔導電率〕
JIS H0505に従って各供試材の導電率を測定した。
〔0.2%耐力〕
各供試材からLDの引張試験片(JIS 5号)を採取し、試験数n=3でJIS Z2241の引張試験行い、n=3の平均値によって0.2%耐力を定めた。また、この0.2%耐力の値を後述の応力緩和率の測定に用いた。
〔曲げ加工性〕
JIS H3110:2012に記載の方法で曲げ軸が圧延平行方向(B.W.)となる場合の90°W曲げ試験を行った。割れが発生しない最小曲げ半径MBRと板厚tとの比MBR/tを求めた。
〔応力緩和率〕
応力緩和率は、供試材から圧延方向の長さが60mm、圧延直角方向の幅が10mmの試験片を切り出し、これを日本電子材料工業会標準規格EMAS−1011に示される片持ち梁方式の応力緩和試験にかけることによって求めた。試験片は、たわみ変位が板厚方向となるように、0.2%耐力の80%に相当する負荷応力を付与した状態でセットし、200℃で1000時間保持後の応力緩和率を測定した。
〔Al腐食速度〕
腐食試験用のAl系材料としてM6規格の純Alワッシャーを用意した。供試材から切り出した60mm×40mmの銅合金試料の中央にφ6mmの穴を形成した。この穴に、上記純Alワッシャーを介してM6規格の樹脂製ボルトおよび樹脂製ナットを取り付け、トルクレンチを用いて締め付けトルク10kgf・cmで締め付けた。樹脂製ナットと銅合金試料の間に1個の純Alワッシャーを挟むことによって、銅合金試料と純Alワッシャーが密着したガルバニック腐食試験片を構築した。このガルバニック腐食試験片を23℃の5%NaCl水溶液中に200時間浸漬した。純Alワッシャーの浸漬試験前および後の質量測定値から、下記(5)式により1年当たりの平均溶解量に換算した腐食速度Cv(mm/Y)を算出した。
Cv=(87600・ΔW)/(d・S・Δt) …(5)
ここで、ΔWは浸漬試験による純Alワッシャーの腐食減量(g)、dは純Alの密度(g/cm3)、Sは純Alワッシャーの液に接触する露出部分の表面積、Δtは浸漬時間(h)である。
各供試材につき試験数n=5で上記試験を行い、それらの中で最も大きいCv値をその供試材についてのAl腐食速度として採用した。
これらの結果を表2に示す。
Figure 0006807211
本発明例のものは、80%以上の冷間圧延を施してもBrass方位の過度の発達が抑制され、前記の(1)式および(2)式を満たす結晶配向が得られた。KAM値も3.0以下であり、結晶粒内には適度な格子ひずみが存在している。また、本発明例の供試材はいずれも結晶粒の過度な微細化が生じておらず、平均結晶粒径は7〜50μmの範囲にあった。その結果、200℃での優れた耐応力緩和特性とB.W.での優れた曲げ加工性が両立できた。また、Alを含有しない比較例No.23と比べAl腐食速度が低く、アルミニウム系材料と接続したときに優れたガルバニック腐食抑制作用を発揮することがわかる。
これに対し、比較例No.21はZrを含有しないため耐応力緩和特性が悪い。No.22はZr含有量が過剰であるため熱間圧延時に割れが生じ、その後の工程に進めることができなかった。No.23はAlを含有しないためAl腐食速度が高い。No.24はAl含有量が過剰であるため導電性に劣る。No.25はSnを含有しないため(2)式を満たす結晶配向バランスが得られず、強度が低い。No.26はSn含有量が過剰であるため、またNo.27はZr、Sn、Al以外の合金元素の含有量が過剰であるため、これらはいずれもBrass方位の発達が顕著となり、曲げ加工性に劣る。また導電性も低い。No.28は熱間圧延工程において700℃未満の温度域でさら圧延を継続したのでKAM値が高くなり、耐応力緩和特性と曲げ加工性に劣る。No.29は冷間圧延率が低いため(2)式を満たす結晶配向バランスが得られず、強度が低い。No.30は中間焼鈍で再結晶が生じたため(1)式を満たす結晶配向バランスが得られず、耐応力緩和特性に劣る。No.31は熱間圧延工程における「総圧下量に対する750℃未満の温度域での圧下量の割合」が30%を超えて大きいので、熱間圧延中に再結晶が過度に進行し、(1)式を満たす結晶配向バランスが得られていない。また、平均結晶粒径を調べると7μmを下回っていた。その結果、耐応力緩和特性に劣る。

Claims (4)

  1. 質量%で、Zr:0.01〜0.50%、Sn:0.01〜0.50%、Al:0.005〜0.30%、Mg、Si、P、Ti、Cr、Mn、Co、Ni、Zn、Fe、Bの合計含有量:0〜0.50%、残部がCuおよび不可避的不純物である化学組成を有し、板厚中央部の試料面についてEBSD(電子線後方散乱回折)法によりステップサイズ0.2μmで測定した結晶方位分布において、FCC結晶の<011>方向および<211>方向が、それぞれ板厚方向(ND)に対して15°以内である領域の面積割合をSおよびSとするとき、下記(1)式および(2)式を満たす結晶配向を有し、結晶方位差15°以上の境界を結晶粒界とみなした場合のKAM値が3.0以下である銅合金板材。
    +S≧0.60 …(1)
    0.55≦S/S≦1.50 …(2)
  2. 導電率が70%IACS以上、圧延方向の0.2%耐力が400MPa以上、JIS H3110:2012に記載の90°W曲げ試験において、曲げ軸が圧延平行方向(B.W.)となる場合の割れが発生しない最小曲げ半径MBRと板厚tとの比MBR/tの値が0.5以下である請求項1に記載の銅合金板材。
  3. 質量%で、Zr:0.01〜0.50%、Sn:0.01〜0.50%、Al:0.005〜0.30%、Mg、Si、P、Ti、Cr、Mn、Co、Ni、Zn、Fe、Bの合計含有量:0〜0.50%、残部がCuおよび不可避的不純物である銅合金の鋳片を製造し、熱間圧延、冷間圧延、時効処理の各工程を上記の順に有する手順で銅合金板材を製造するに際し、
    熱間圧延工程において、総圧下量(mm)に対する750℃未満の温度域での圧下量(mm)の割合を0〜30%とし、かつ最終パス圧延温度を700℃以上とする条件で熱間圧延を施し、
    冷間圧延工程において、中間焼鈍を挿入しないか、または再結晶が生じない温度での1回以上の中間焼鈍を挿入する方法により、総圧延率を80%以上とする条件で冷間圧延を施す、請求項1または2に記載の銅合金板材の製造方法。
  4. 請求項1または2に記載の銅合金板材を素材に用いた部材であって、アルミニウム系部材と接合された状態で使用される通電部材。
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