JP7126359B2 - アルミニウムへの耐接触腐食性に優れた銅合金材及び端子 - Google Patents
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Description
近年、自動車の高性能・高機能化に伴い、車両に搭載される電気機器、制御機器等が増加し、自動車に搭載されるワイヤーハーネスの数も増加している。一方で、自動車の軽量化に対する要求が強いことから、ワイヤーハーネスの軽量化が検討されている。一般にワイヤーハーネスには銅線が用いられているが、銅線より軽量なアルミニウム線(純アルミニウム線又はアルミニウム合金線)を用いたワイヤーハーネスの開発が進められている。
特許文献1には、銅又は銅合金からなる基材の表面にアルミニウム層を形成した端子材が記載されている。
特許文献2には、銅又は銅合金材からなる基材の上に亜鉛又は亜鉛合金からなる中間亜鉛層と、錫又は錫合金からなる錫層とをこの順に積層した端子材が記載されている。
この銅合金材は、板材、条材、線材、棒材のいずれかの形態を有する。
この銅合金材は、必要に応じて表面に被覆層(Sn又はSn合金被覆層等)を形成してもよい。
[銅合金材の組成]
本発明に係る銅合金材は、基本組成として、Al:2~9質量%、Ni:1~8質量%を含み、残部がCu及び不可避不純物からなり、必要に応じて、Zn,Ti,Mn,Si,Cr,Zr,Mg,Co,Fe,Sn,P,Bの1種以上を含む。以下、上記各元素の作用について説明する。
銅合金材に添加されるAlは、次に説明するように、銅合金材に接触するアルミニウムの接触腐食を抑制する作用を有する。
金属の酸化被膜は水酸基と結合しやすく、この水酸基を介して水の吸着層を作りやすい。この吸着層は10nm程度の厚さで、酸素を透過させやすいので、いったん水の吸着層ができるとアルミニウムとの接触部分で腐食現象(接触腐食)が促進される。一方、Alを添加した銅合金は耐酸化性が付与され(表面に形成されたAl酸化被膜により酸化の進行が止められる)、銅合金材露出面にCuの酸化被膜が形成されにくくなるため、銅合金材は水をはじき、銅合金材と接触するアルミニウムの腐食現象(接触腐食)が抑制される。
さらに、銅合金材の製造工程において雰囲気焼鈍を行うと、銅合金材の最表層の内側にAl内部酸化層が付与される。このAl内部酸化層が形成されると、前記金属間化合物と同様の作用によりアルミニウムの接触腐食が抑制される。
以上の観点から、銅合金材のAl含有量は2質量%以上とする。その一方でAl含有量が9質量%を超えると、冷間圧延板の長手方向に沿った両側面で耳割れ(切欠き)が発生しやすくなる。この耳割れは、通常、板の両側を所定幅切り落とし、板幅を狭くして圧延することで回避するが、本合金系の場合は、そのように板幅を狭くして圧延しても、その板幅で耳割れの発生を回避できない場合がある。このことはNiが共添された場合により著しくなる傾向があるため、Al含有量は9質量%以下とする。従って、本発明に係る銅合金板においてAl含有量は2~9質量%であり、好ましくは下限値が3.5質量%、上限値が7質量%である。
Niは、Alとの間で前記金属間化合物を形成し、アルミニウムの接触腐食を低減させる。このため、銅合金材のNi含有量は1質量%以上とする。一方、Ni含有量が8質量%を超えると、Alと同様に、冷間圧延板の長手方向に沿った側面で耳割れが発生しやすくなる。従って、本発明に係る銅合金板においてNi含有量は1~8質量%であり、好ましくは下限値が2質量%、上限値が5質量%である。
これらの元素は銅合金材の密度を低減する作用があり、これらの元素の1種以上が必要に応じて添加され、又は不可避不純物として含有される。このうちTiは、酸化物に疎水性があり、銅合金材に接触するアルミニウムの接触腐食を低減する作用を有し、Sn,P,Bは銅合金板の弾性率を下げ、銅合金板の膨張係数をアルミニウムに近づける作用を有する。銅合金板とアルミニウムの膨張係数が近いと、例えばアルミニウム線に銅合金製端子を圧着(かしめ接合)したときなどに、緩みが生じにくい。緩みが生じると、両者の間に隙間ができ、そこに海水等が入って耐食性が低下する。
これらの元素の含有量は、Zn:10質量%以下、Ti:1質量%以下、Mn:0.5質量%以下、Si:0.2質量%以下、Cr:0.2質量%以下、Zr:0.2質量%以下、Mg:0.2質量%以下、Co:1質量%以下、Fe:3質量%以下、Sn:1質量%以下、P:0.1質量%以下、B:0.1質量%以下の範囲とする。Zn含有量は、好ましくは3質量%以下、より好ましくは1質量%以下、Ti含有量は好ましくは0.5質量%以下、Fe含有量は好ましくは1.5質量%以下、P含有量は好ましくは0.08質量%以下である。これらの元素の含有量の下限値はいずれも0質量%である。
主な不可避不純物として、O、H、As、Bi、Se、Pbが挙げられる。溶湯中のガスは鋳造後、鋳塊あるいは板の延性を低下させる作用があり、曲げ加工性などを低下させる。また、Alと化合物を作りやすいAs、Bi、Se、Pbのような元素は銅合金マトリクスとの密着性が低く、これらもボイドとして作用するため、鋳塊あるいは板の延性を低下させる作用があり、曲げ加工性を低下させる。この好ましくない性質は、板の冷間圧延前に発現し、鋳塊や熱延板の段階で延性低下が生じる。上記不可避不純物の有害な作用を回避するには、銅原料としてAs、Bi、Se、Pbの含有量の少ない地金やスクラップを使用し、また、溶湯を被覆する木炭の赤熱化(水分除去)、地金やスクラップ及び樋や鋳型の乾燥、並びに溶湯の脱酸等を行うことが好ましい。
(導電率Ec)
Alを含有する銅合金の導電率は、Al含有量の影響を受けて著しく低下する。合金元素として2~9質量%のAlだけを含む銅合金(Cu-Al二元合金)の導電率は、おおむね前記式(1)の右辺の数値に等しくなる。式(1)においてAは原子%で表したAlの含有量であり、前記式(2)で表される。式(2)においてcはAlの含有量(質量%)、63.5はCuの原子量、27.0はAlの原子量である。式(1)の分母は、Alの含有量を原子%(A原子%)で表した銅合金の体積抵抗率(電気抵抗率)の実験式である。この実験式は、出願人がAl含有量が異なる種々のCu-Al二元合金を作製し、その体積抵抗率を測定して求めた。その測定方法は下記のとおりである。
図1に、後述する実施例の銅合金材(発明例、比較例)のAl含有量と導電率の座標が○、□でプロットされている。○はアルミニウムへの耐接触腐食性が優れるもの、□は耐接触腐食性が劣るものであり、プロットの近傍に実施例の番号が付されている。○のプロットは全て式(1)の右辺の曲線より高導電率側の領域、すなわち式(1)を満たす領域に分布している。
銅合金材が先に説明した組成を有し、かつ式(1)を満たすとき、前記銅合金材はアルミニウムへの耐接触腐食性が優れる(アルミニウムの接触腐食が抑制される)。より具体的には、共に表面被覆されていないアルミニウムと前記銅合金材を室温に保持した塩水内で接触させた場合の、前記アルミニウムの接触腐食量(重量減少)が、前記アルミニウムとSnめっきされた従来の銅合金材を前記塩水内で接触させた場合の接触腐食量以下である。
本発明において室温とは、気温が20℃から40℃に保たれた状態で、各測定に使用する機材及び材料がこの温度と平衡している状態であることを意味する。また、表面被覆されていないアルミニウムとは、各種めっき、樹脂等で被覆されていないアルミニウム材を意味する。アルミニウム材の表面に存在するAl酸化膜(Al化合物の酸化膜を含む)は前記表面被覆に含まれない。
本発明に係る銅合金材は、主たる用途として圧着端子用端子材あるいは通電部材への適用を想定している。これらの用途において、十分な接圧やばね力を確保するには、0.2%耐力は400MPa以上であることが好ましい。一方、0.2%耐力が900MPaを超えると、接点の摩耗やコネクタ挿入力の増大を生じる。従って、銅合金材の0.2%耐力は、400~900MPaの範囲内であることが好ましい。
本発明に係る銅合金材を母材として、必要に応じて、表面被覆層を形成することができる。その表面被覆層自体は端子用銅合金材等において周知のものでよく、例えば次のようなものが好適である。
銅合金材表面に形成されたSn又はSn合金層。
銅合金材表面に形成されたCu-Sn合金層とSn又はSn合金層。この表面被覆層は、例えば銅合金材表面にCuめっきとSn又はSn合金めっきをこの順にした後、リフロー処理を行って形成される。Cu-Sn合金層はCuめっきのCuとSn又はSn合金めっきのSnにより形成される。
銅合金材表面に形成されたNi層とSn又はSn合金層。
銅合金材表面に形成されたNi層とCu-Sn合金層とSn又はSn合金層。この表面被覆層は、例えば銅合金材表面にNiめっき、Cuめっき、Sn又はSn合金めっきをこの順にした後、リフロー処理を行って形成される。
銅合金材表面に形成されたNi層とCu層とCu-Sn合金層とSn又はSn合金層。Cu-Sn合金層は、例えば銅合金材表面にNiめっき、Cuめっき、Sn又はSn合金めっきをした後、リフロー処理を行うことにより形成できる。Cu-Sn合金層の形成に使われなかったCuめっきが銅層として残存する。
本発明に係る銅合金は、例えば、鋳塊を均質化熱処理し、続いて熱間圧延又は温間圧延した後、冷間圧延と焼鈍を繰り返して製造することができる。Cu-Al-Ni化合物は主に熱間圧延の高温プロセス、Al-Ni化合物は主に冷間圧延間の焼鈍中に形成されると考えられる。最終冷間圧延後は低温焼鈍が行われる。各加熱工程の好ましい条件を例示すると、次のとおりである。
均質化熱処理は、600~950℃×30分~2時間の範囲から選択する。均質化熱処理後、そのまま熱間圧延又は温間圧延を行う。冷間圧延間の焼鈍は、バッチ焼鈍であれば、450~560℃×1~3時間の範囲から選択し、連続焼鈍であれば750~850℃×10~60秒の範囲から選択する。低温焼鈍は、300~400℃×10秒~10分の範囲から選択する。いずれも、合金元素の含有量が多いほど、高温長時間の条件を選択することが好ましい。
この熱延板から、破断延性値確認用の直径10mm、長さ60mmの平行仕上げ部と両端に引張試験機に取り付ける掴み部を持った円柱形の引張試験片を作製し、引張試験を行って破断させた。両断した試験片を突き合わせて破断後のくびれ部の直径の最小値φminを測定し、破断延性値(=ln(φ0/φmin))を算出した。ここで、φ0は試験前の引張試験片の直径(=10mm)である。その結果を表2~8に示す。
破断延性値が0.5を下回った熱延材(No.19,26)については、その後のプロセス(冷間圧延と焼鈍)を行わなかった。これは、熱延板の破断延性値が0.5を下回った場合は、その後のプロセスを適用して製品板厚にしたとしても、曲げ加工を行うと割れてしまうからである。
厚さ1mmのときの冷延材(板幅180mm)について、両側(圧延方向に平行な端縁)に切り欠きが発生しているか否かを観察し、切り欠きが発生している場合、その切り欠きの開口幅の最大値(圧延方向に平行に測定した値)を測定した。切り欠きの開口幅の最大値が2mm以上であった冷延材について、両側を切り落とし板幅60mmにして冷間圧延を継続し、再び開口幅の最大値が2mm以上の切り欠きが発生した場合、耳割れ有りと判定し、以後の冷間圧延を断念した。厚さ1mmのとき開口幅の最大値が2mm以上の切り欠きの発生がなかった冷延材は、その後の冷間圧延でも開口幅の最大値が2mm以上の切り欠きの発生がなく、板幅180mmのままで目標板厚(0.25mm)まで冷間圧延でき、これらは耳割れ無しと判定した。
密度がベリリウム銅の密度の8.4g/cm3未満であった冷延材(No.1~12,15,17~18,20~25,27~30)を供試材として、室温下で、耐接触腐食性(アルミニウム腐食重量減少率、通電電圧)を測定した。以上の結果を表2~8に示す。また、式(1)の右辺の計算値を表2~8に併せて示す。
なお、耐接触腐食性の測定に際し、一部の供試材(No.9,30,31)について表面処理した試験片を用いた。このうち、No.9は、供試材に対し0.1μm厚のNiめっき及び1μm厚のSnめっきを行った後、リフロー処理し、その後試験片を切出した。No.30は、供試材から試験片を切出し、試験片の全面に0.1μm厚のNiめっき及び1μm厚のSnめっきを行った後、リフロー処理した。No.31はNo.30の供試材から矩形の板を切出し、全面に0.1μm厚のNiめっき及び1μm厚のSnめっきを行った後、リフロー処理し、次いでプレス加工を想定して四辺をシャー切断し、試験片を作成した。No.30の試験片は切断端面を含め全面がNiめっき及びSnめっきに被覆され、No.9,31の試験片は両面のみNiめっき及びSnめっきにより被覆され、切断端面に母材(銅合金材)が露出している。他の供試材については、表面処理しない試験片を用いた。
各供試材から、長手方向が圧延方向となるように、JIS5号引張り試験片を機械加工にて作製し、JIS-Z2241に準拠して引張り試験を実施して、0.2%耐力を測定した。耐力は永久伸び0.2%に相当する引張り強さである。0.2%耐力は、400~900MPaの範囲が好ましい。
(導電率の測定)
導電率は、JIS-H0505に規定されている非鉄金属材料導電率測定法に準拠し、ダブルブリッジを用いた四端子法で測定した。
(密度の測定)
各供試材から採取した幅10mm×長さ25mmの矩形の試験片を用いて、重量を測定し、重量を体積で除して密度を算出した。試験片の長手方向は圧延方向と一致させた。密度がベリリウム銅の密度の8.4g/cm3未満のもののみ、次の耐接触腐食性の測定を行った。
(1)アルミニウム減少率の測定
アルミニウム減少率の測定には、各供試材から採取した正方形(辺の長さ1cm)の試験片と、板厚0.5mmで矩形(2cm×1.5cm)のアルミニウム板(純アルミニウム板:市販のJISA1050P)を用いた。前記試験片及びアルミニウム板を無水エタノールで溶剤脱脂したのち、試験片をアルミニウム板の平面中心に載せ、面圧1.5kg/cm2の樹脂製クリップで挟み込んだ。試験片は、切断バリがアルミニウム板の方を向かないように、アルミニウム板の上に載せた。また、アルミニウム板は試験前に重量を測定しておいた。クリップで挟んだ試験片とアルミニウム板を、4%NaCl水溶液中に24時間浸漬した後取り出した。アルミニウム板から腐食生成物や塩分などをナイロンブラシで流水中にて除去し、アルミニウム板を乾燥させ重量を測定した。試験前のアルミニウム板の重量w0と試験後のアルミニウム板の重量wから、試験後のアルミニウム板の重量の減少率(100×(w0-w)/w0)を計算した。
No.31の試験片は、両面がNiめっき及びSnめっきで被覆され、切断端面に母材(黄銅)が露出したもので、従来材に相当する。No.31において、アルミニウム板の重量の減少率は0.009%であり、この数値を耐接触腐食性を判定する基準値とした。アルミニウム板の重量の減少率が基準値(0.009%)以下のものを、耐接触腐食性が優れる(アルミニウム板の腐食が抑制される)と判定した。
この試験は、銅合金材とアルミニウムが直接は接触していないが塩水を介して電気的に接触し、アルミニウムの腐食減肉が生じることを想定した試験である。電極間電圧の測定には、各供試材から採取した矩形(5cm×2cm)の試験片と、板厚0.5mmで矩形(5cm×2cm)のアルミニウム板(純アルミニウム板:市販のJISA1050P)を用いた。電極間電圧の測定のための電気回路を図2に示す。
アルミニウム板1は、直径1cmの円孔2aが開いたテフロン(登録商標)シート2で包んだ。自動車バッテリを想定した14V定電圧電源3の+極にアルミニウム板1と負荷を想定した0.25Wの白熱電球4を並列に接続し、-極をアースに接続する。アルミニウム板1は電源3の+極以外には接続しない。電球4に接続する他方の電線(電源3の+極に接続しない方の電線)はアースに接続する。中央部に高さ2mm、幅2mmのリブ5aを持つナイロン板5に、テフロンシート2に包んだアルミニウム板1と試験片6を、リブ5aに沿わせて固定する。このとき、アルミニウム板1と試験片6は圧延面が同じ方向を向き、リブ5aとアルミニウム板1の間及びリブ5aと試験片6の間は、できるだけ隙間が無いように固定する。0.25Wの白熱電球7の一方の電線を試験片6に取り付け、他方の電線をアースに接続し、電球7に並列に電圧計8を接続する。
従来材であるNo.31の試験片において、電極間電圧は0.021Vであり、この数値を耐接触腐食性を判定する基準値とした。電極間電圧が基準値(0.021V)以下のものを、耐接触腐食性が優れる(アルミニウム板の腐食が抑制される)と判定した。
比較例No.10は、Niを含有せずCu-Al-Ni化合物及びAl-Ni化合物が析出・分散していないため、導電率Ecが式(1)を満たさない。そのため、アルミニウムへの耐接触腐食性が劣る。なお、比較例No.10は焼鈍温度が低く、焼鈍で再結晶が生じていないため、0.2%耐力値が大きくなった。
比較例No.12はNi含有量が不足し、またCu-Al-Ni化合物及びAl-Ni化合物が析出しにくい低い温度(350℃)で焼鈍が行われたため、導電率が式(1)を満たさず、アルミニウムへの耐接触腐食性が劣る。比較例No.12の機械的特性は端子材として適正であった。
比較例No.14はNi含有量が過剰なため、冷間圧延中に耳割れが発生した。
比較例No.15はNiが含有されていないため、0.2%耐力値が低かった。また、Niが含有されていないため、Cu-Al-Ni化合物及びAl-Ni化合物が析出せず、導電率Ecが式(1)を満たさず、アルミニウムへの耐接触腐食性も劣る。
比較例No.16はAl含有量が不足しているため、密度がベリリウム銅と同程度の8.4g/cm3であり、Alの密度低減効果がなかった。
比較例No.17はNi含有量が不足し、導電率Ecが式(1)を満たさず、アルミニウムへの耐接触腐食性が劣る。
比較例No.19はTi含有量が過剰なため、延性破断値が低かった。
比較例No.20はMn含有量が過剰なため、Al及びNiによる接触腐食の抑制効果が発揮できず、アルミニウムへの耐接触腐食性が劣る。
比較例No.21はSi含有量が過剰なため、Al及びNiによる接触腐食の抑制効果が発揮できず、アルミニウムへの耐接触腐食性が劣る。
比較例No.22はCr含有量が過剰なため、Al及びNiによる接触腐食の抑制効果が発揮できず、アルミニウムへの耐接触腐食性が劣る。
比較例No.23はZr含有量が過剰なため、Al及びNiによる接触腐食の抑制効果が発揮できず、アルミニウムへの耐接触腐食性が劣る。
比較例No.25はCo含有量が過剰なため、Al及びNiによる接触腐食の抑制効果が発揮できず、アルミニウムへの耐接触腐食性が劣る。
比較例No.26はFe含有量が過剰なため、硬質のκ相が晶出し、延性破断値が低かった。
比較例No.27はSn添加量が過剰なため、Al及びNiによる接触腐食の抑制効果が発揮できず、アルミニウムへの耐接触腐食性が劣る。
比較例No.28はP含有量が過剰なため、Al及びNiによる接触腐食の抑制効果が発揮できず、アルミニウムへの耐接触腐食性が劣る。
比較例No.29はBの添加量が過剰なため、Al及びNiによる接触腐食の抑制効果が発揮できず、アルミニウムへの耐接触腐食性が劣る。
比較例No.31は、本実施例において耐接触腐食性の判定基準とした従来材である。試験片の両面がNiめっき及びSnめっきで被覆されていたが、切断端面に黄銅が露出していたため、アルミニウム減少率及び電極間電圧が共に比較例No.30より高い。
3 電源
6 試験片
8 電圧計
Claims (17)
- 0.2%耐力が400~900MPaである請求項1又は2に記載された銅合金材。
- さらに、Zn:0.05質量%以下、Ti:0.02質量%以下、Mn:0.003質量%以下、Si:0.2質量%以下、Cr:0.2質量%以下、Zr:0.2質量%以下、Mg:0.2質量%以下、Co:1質量%以下、Fe:0.91質量%以下、Sn:1質量%以下、P:0.0081質量%以下、B:0.1質量%以下より選択される1種以上を含む請求項1~3のいずれかに記載された銅合金材。
- 表面にSn又はSn合金被覆層が形成されている請求項1~4のいずれかに記載された銅合金材。
- 表面にCu-Sn金属間化合物層とSn又はSn合金被覆層がこの順に形成されている請求項1~4のいずれかに記載された銅合金材。
- 表面にNi被覆層とSn又はSn合金被覆層がこの順に形成されている請求項1~4のいずれかに記載された銅合金材。
- 表面にNi被覆層とCu-Sn金属間化合物層とSn又はSn合金被覆層がこの順に形成されている請求項5に記載された銅合金材。
- 前記Ni被覆層とCu-Sn金属間化合物層の間にさらにCu被覆層が形成されている請求項8に記載された銅合金材。
- 板材、条材、線材、棒材のいずれかである請求項1~9のいずれかに記載された銅合金材。
- 前記銅合金材が、さらに、Zn:0.05質量%以下、Ti:0.02質量%以下、Mn:0.003質量%以下、Si:0.2質量%以下、Cr:0.2質量%以下、Zr:0.2質量%以下、Mg:0.2質量%以下、Co:1質量%以下、Fe:0.91質量%以下、Sn:1質量%以下、P:0.0081質量%以下、B:0.1質量%以下より選択される1種以上を含む請求項11に記載されたアルミニウム線用端子。
- 前記銅合金材の表面にSn又はSn合金被覆層が形成されている請求項11又は12に記載されたアルミニウム線用端子。
- 前記銅合金材の表面にCu-Sn金属間化合物層とSn又はSn合金被覆層がこの順に形成されている請求項11又は12に記載されたアルミニウム線用端子。
- 前記銅合金材の表面にNi被覆層とSn又はSn合金被覆層がこの順に形成されている請求項11又は12に記載されたアルミニウム線用端子。
- 表面にNi被覆層とCu-Sn金属間化合物層とSn又はSn合金被覆層がこの順に形成されている請求項11又は12に記載されたアルミニウム線用端子。
- 前記Ni被覆層とCu-Sn金属間化合物層の間にさらにCu被覆層が形成されている請求項16に記載されたアルミニウム線用端子。
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