JP6807038B2 - メタルマスク用素材およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、メタルマスク用素材およびその製造方法に関するものである。
例えば有機ELディスプレイの作製において、基板へ蒸着しカラーパターニングを生成する為にメタルマスクが用いられる。このようなメタルマスクは、開孔部を作製する方法の一つとして、Fe−Ni合金の薄板にエッチング加工を行う方法が知られている。このエッチング特性を向上させるために、種々の提案がなされている。例えば特許文献1には、高精細なエッチングパターンの形成を可能とするために、圧延方向と直角方向に測定した表面粗さが、Ra:0.08〜0.20μmであり、圧延方向に測定した表面粗さが、Ra:0.01〜0.10μmであり、且つ、圧延方向と直角方向に測定した表面粗さが、圧延方向に測定した表面粗さより、Raで0.02μmを超えて粗い表面粗さを有することを特徴とするエッチング加工用素材について記載されている。また特許文献2には、圧延面の結晶方位(111)、(200)、(220)、(311)のX線回折強度を調整することでエッチング性を向上させたメタルマスク材料について記載されている。
特開2010−214447号公報 特開2014−101543号公報
特許文献1は、圧延方向と直角方向に測定した表面粗さRaと、圧延方向に測定した表面粗さRaとをそれぞれ調整することでエッチング特性を向上させ、特許文献2は圧延面の結晶方位を調整することでエッチング性を向上させた発明である。しかし、より高精彩な有機ELディスプレイを作製するために、使用するマスクにもより高精度なパターン形成が必要であり、それに伴いメタルマスク用素材もさらなるエッチング性の向上が求められている。一方で素材内の残留応力に関しても、多様な深さのハーフエッチングでも反り等の変形が出ないように調整することが望ましい。本発明の目的は、エッチング後の形状変化を抑制するとともに、さらに良好なエッチング性を有するメタルマスク用素材とその製造方法を提供することである。
本発明者等は上記目的を達成するために、化学組成、表面粗さ、残留応力等のエッチング加工に影響を及ぼす種々の要因について鋭意検討した。その結果、より高精度なエッチング加工を可能とし、さらにエッチング後の形状変化を大幅に抑制できることを知見し、本発明に想到した。
すなわち本発明の一態様は、質量%で、C:0.01%以下、Si:0.5%以下、Mn:1.0%以下、Ni:30〜50%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなるメタルマスク用素材であって、
前記メタルマスク用素材は、圧延方向における表面粗さと圧延方向と直交する方向における表面粗さとがともに、0.05μm≦Ra≦0.25μm、Rz≦1.5μm以下、スキューネスRskが0未満であり、
前記メタルマスク用素材から長さ150mm、幅30mmの試料を切り出し、前記試料を片側からエッチングし、前記試料の板厚の60%を除去したときの反り量が15mm以下である、板厚が0.01mm以上0.10mm未満であるメタルマスク用素材である。
好ましくは、前記スキューネスRskが−3.0以上である。
好ましくは、前記メタルマスク用素材の圧延方向におけるスキューネスRskと圧延方向と直交する方向におけるスキューネスRskとの差が0.7以下である。
好ましくは、前記メタルマスク用素材の圧延方向における表面粗さRaと圧延方向と直交する方向における表面粗さRaとの差が0.02μm未満である。
好ましくは、前記メタルマスク用素材から長さ150mm、幅30mmの試料を切り出し、前記試料を片側からエッチングし、前記試料の板厚の20%、30%、50%のいずれかを除去したときの反り量が15mm以下である。
本発明の他の一態様は、質量%で、C:0.01%以下、Si:0.5%以下、Mn:1.0%以下、Ni:30〜50%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる冷間圧延用素材を冷間圧延してメタルマスク用素材を得るメタルマスク用素材の製造方法であって、
前記冷間圧延用素材に対する仕上冷間圧延工程の最終パスにおける条件が、圧下率:35%以下、圧延ロールの噛み込み角:1.0°未満であり、
前記メタルマスク用素材は、圧延方向における表面粗さと圧延方向と直交する方向における表面粗さとがともに、0.05μm≦Ra≦0.25μm、Rz≦1.5μm以下、スキューネスRskが0未満であるとともに、
前記メタルマスク用素材から長さ150mm、幅30mmの試料を切り出し、前記試料を片側からエッチングし、前記試料の板厚の60%を除去したときの反り量が15mm以下であり、
仕上冷間圧延後の素材の板厚が0.01mm以上0.10mm未満であることを特徴とするメタルマスク用素材の製造方法である。
好ましくは、前記圧延ロールの噛み込み角が0.4°未満である。
好ましくは、前記仕上冷間圧延工程における最終パスの圧下率が15%以下である
好ましくは、前記仕上冷間圧延工程の最終パスに用いるロールの円周方向(ロールの回転方向)と直交する方向の表面粗さRaが0.05〜0.25μmである。
好ましくは、前記仕上冷間圧延工程の圧延速度が60m/min以上である、請求項6〜8のいずれかに記載のメタルマスク用素材の製造方法。
上記の特徴を有する本発明によれば、エッチング加工後の形状変化が少なく、エッチングのムラも少ない、優れたエッチング加工性を発揮するメタルマスク用素材を得ることが可能である。
以下、本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は、ここで取り挙げた実施形態に限定されるものではなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜組み合わせや改良が可能である。なお本発明のメタルマスク用素材とは、コイル状に巻き回されている鋼帯や、その鋼帯を切断して作製された矩形状の薄板も含む。
本発明のメタルマスク用素材を、質量%で、C:0.01%以下、Si:0.5%以下、Mn:1.0%以下、Ni:30〜50%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物である化学組成のFe−Ni合金とした理由は以下のとおりである。
[C:0.01質量%以下]
Cは、エッチング性に影響を及ぼす元素である。Cが過度に多く含まれるとエッチング性を阻害するため、Cの上限を0.01%とした。Cは0%でも良いが、製造工程上少なからず含まれるものであるため、下限は特に限定しない。
[Si:0.5質量%以下、Mn:1.0質量%以下]
Si、Mnは、通常、脱酸の目的で使用され、Fe−Ni合金に微量含有されているが、過剰に含有すれば偏析を起こし易くなるため、Si:0.5%以下、Mn:1.0%以下とした。好ましいSi量とMn量は、Si:0.1%以下、Mn:0.5%以下である。SiとMnの下限は、例えばSiは0.05%、Mnは0.05%と設定することができる。
[Ni:30〜50質量%]
Niは、熱膨張係数を調整する作用を有し、低熱膨張特性に大きな影響を及ぼす元素である。含有量が30%より少なく、または50%を越えるものでは熱膨張係数を低める効果がなくなるため、Niの範囲は30〜50%とする。好ましいNi量は32〜45%である。
上記以外を構成するのはFe及び不可避的不純物である。
まず、本発明のメタルマスク用素材について説明する。
(表面粗さ)
本実施形態のメタルマスク用素材の表面粗さは、算術平均粗さRa(JIS−B−0601−2001に準拠)が0.05〜0.25μmであり、かつ最大高さRz(JIS−B−0601−2001に準拠)が1.5μm以下であることを特徴とする。上記範囲内のRaおよびRzを有することで、本発明の素材は高精度なエッチング加工が可能となる。Raが0.25μmを超える場合、素材表面が粗すぎるためエッチングの進行にばらつきが生じ、高精度なエッチング加工が困難となる。Raが0.05μm未満の場合、レジストの密着性が低下する傾向にある。また上記Raの範囲を満たしていても、Rzが1.5μmを超える場合、素材表面の一部に、粗さ曲線における大きな山部分が形成され、その山部からエッチングが進行してエッチングムラの要因となるため、好ましくない。より好ましいRaの上限は0.13μmであり、より好ましいRzの上限は1.0μmである。Rzの下限は特に限定しないが、Rzが低すぎるとシート状レジストの密着性低下の可能性があるため、Rzの下限を0.3μmに設定すると好ましい。また上記の表面粗さの規定は、局所的なエッチングムラを抑制するために、メタルマスク用素材の圧延方向と直交する方向(以降、「幅方向」または「圧延直角方向とも記載する)の表面粗さと、圧延方向(以降、「長手方向」とも記載する)の表面粗さとの両方で満たすことが好ましい。さらには、素材の圧延直角方向と圧延方向とにおけるRaの差を、0.02μm未満に調整することが好ましい。これにより、エッチングの進行ムラを抑制することができる。なお表面粗さの測定には、一般的に使用されている接触式または非接触式の粗さ計を用いることができる。
本実施形態のメタルマスク用素材は、上述した表面粗さに加えて、スキューネスRsk(JIS−B−0601−2001に準拠)が0未満であることを特徴とする。上記の数値範囲を満たすことで、素材表面の粗さ曲線は谷部よりも山部の方が広くなっているため、エッチングをより均一に進行させることが可能である。仮にRsk>0の場合、粗さ曲線の山部と谷部とのエッチング進行の差が大きくなる傾向にあるが、Rskを0未満にすることで、エッチングムラをさらに抑制することが可能である。これは、短時間でエッチングが進行し、エッチングの進行が不均一になりやすい薄板材ほど顕著になる。より好ましくは、Rsk<−1.0である。Rskの下限は特に限定しないが、低すぎるRskを有する素材は製造が困難なため、−3.0程度を下限とすることが好ましい。さらに素材の圧延方向と幅方向におけるRskの差は、0.7以内が好ましく、0.5以内がより好ましく、0.2以内がさらに好ましい。ここで本実施形態のRskは、圧延方向と圧延直角方向との両方において負値となっている。なお本実施形態のメタルマスク用素材は、上述したRskの効果を十分に得て、より高精細なパターンを形成するためには、板厚0.10mm未満の素材に適用する。好ましくは板厚0.06mm未満であり、より好ましくは板厚0.03mm未満である。下限は特に限定しないが、あまりに薄すぎるとエッチングが困難であるため、0.01mmに設定する。
(反り量)
本実施形態のメタルマスク用素材は、長さ150mm、幅30mmの試料を切り出し、前記試料を片側からエッチングし、前記試料の板厚の60%を除去したときの反り量が15mm以下であることを特徴とする。上記に示すように、残留応力を低減させることで、応力のバランスがより崩れる板厚中央付近のエッチングを行っても、変形を抑制し、良好にエッチング加工を進行させることができる。そのため多様な深さのハーフエッチングに対応でき、エッチングパターンの自由度を向上させることができる。好ましくは、前記試料の板厚の20%、30%、50%のいずれかを除去したときの反り量が15mm以下である。より好ましくは、前記試料の板厚の20、30、50%のいずれを除去しても反り量が15mm以下である。またこの反り量は13mm以下が好ましく、11mm以下がより好ましく、9mm以下がさらに好ましい。最も好ましくは、応力バランスが崩れやすく、大きな反りが発生しやすい、試料の板厚を50%除去した際における反り量が9mm以下であり、板厚の20%または30%を除去した際における反り量が6mm以下であることが好ましい。本実施形態では、切り出した試料の長さ方向が圧延方向となるように試料を切断し、反りを測定している。なお本実施形態における反り量の測定方法は、試料の片側からエッチングで除去した後、カットサンプルの上端を垂直定盤に接する状態で吊り下げ、反りにより垂直定盤から離れたカットサンプルの下端と、垂直定盤との水平距離を反り量として測定している。
続いて、本実施形態のメタルマスク用素材の製造方法について説明する。
本実施形態の製造方法は、例えば、真空溶解−熱間鍛造−熱間圧延−冷間圧延という工程を適用することができる。必要に応じて、冷間圧延前の段階で1200℃程度で均質化熱処理を行い、冷間圧延工程中には、冷間圧延材の硬さを低減するために800〜950℃の焼鈍を1回以上行うことができる。上記冷間圧延工程では、表面のスケールを除去する研磨工程や、素材端部のオフゲージ部(板厚が厚い部分)の除去および圧延加工で発生する耳波部を除去するために耳切り工程を行ってもよい。熱処理工程時に使用する炉も、縦型炉、横型炉(水平炉)等既存のものを使用しても良いが、通板中の折れの防止や、素材の急峻度をより高めるために、自重によるたわみが発生し難い縦型炉を使用することが好ましい。
本実施形態の製造方法は、仕上冷間圧延工程の最終パスにおける圧下率を35%以下に調整する。上記の圧下率が35%を超える場合、素材の残留歪が大きくなり、エッチング加工時に変形の発生が増加する傾向にある。好ましい圧下率の上限は15%、より好ましい圧下率の上限は10%、さらに好ましい圧下率の上限は6%である。なお過度に圧下率が少ないと、上述する表面粗さに調整することが困難となり、圧延機と素材との間でスリップが起きやすくなるため、圧下率の下限は2%と設定することができる。なお仕上冷間圧延における圧延パス回数は特に規定しないが、例えば板厚が0.1mm未満といった薄い素材を加工する際に発生しやすい割れ等を防止するために、圧延パスは複数回(例えば、3回以上。好ましくは4回以上。さらに好ましくは5回以上。)行っても良い。また、上記の圧下率の規定は、仕上冷間圧延の全パスに適用することが好ましい。
本実施形態の製造方法において、仕上冷間圧延の最終パスにて使用するロールは、ロールの円周方向(ロールの回転方向)と直交する方向の表面粗さがRa:0.05〜0.25μmのロールを用いることができる。好ましいRaの上限は0.15μmである。これによりメタルマスク用素材に所望の粗さを付与することができる。なおロールの材質は特に限定せず、例えばJIS−G4404に規定される合金工具鋼ロールを使用することができる。
本実施形態の製造方法は仕上冷間圧延において、被圧延材とワークロールとが接触を開始する角度である噛み込み角を1.0°未満に設定する。噛み込み角を上述した数値の範囲内に調整することで、意図的に圧延油を被圧延材とワークロールとの間に導入し、ワークロール表面の凹凸部が被圧延材に過度に転写されることを抑制する。これにより、メタルマスク用素材の圧延直角方向の表面粗さと、圧延方向の表面粗さとの差を小さくし、Rskをより確実に負値に調整できる傾向にある。また、ワークロールと素材の圧延面との間に圧延油を導入することにより、素材表面のRskを0未満に調整し、より良好なエッチング加工性を有するメタルマスク素材を得ることができる。さらにRskを確実に負値に調整したい場合は、噛み込み角を0.4°未満に調整することが好ましい。ここで噛み込み角が小さすぎると、スリップの発生や形状調整不良等が発生する可能性があるため、下限を0.05°に設定することができる。また上記噛み込み角の規定は、仕上冷間圧延の全パスに適用されることが好ましい。なお本実施形態における噛み込み角をθとしたとき、θ=180/π・arccos((R−(h−h)/2)/R)の計算式より噛み込み角を導出することができる。ここでR:ロール半径、h:圧延前の素材板厚、h:圧延後の素材板厚である。
本実施形態の製造方法は、圧延速度を60m/min以上に設定することが好ましい。圧延速度を60m/min以上に設定することで、圧延油をワークロールとメタルマスク用素材との間に確実に導入し、Rskを負値に調整するためのオイルピットをより確実に形成させることが可能である。より好ましい圧延速度の下限は、80m/minである。なお、圧延速度の上限は特に設定しないが、早すぎると多量の圧延油がワークロールと素材との間に導入され、スリップ不良が発生する可能性が考えられるため、例えば、300m/minに設定することができる。
本実施形態の製造方法において、仕上圧延後にメタルマスク用素材に残留する歪を除去し、素材に発生する形状不良を抑制するために、歪取り焼鈍を行っても良い。歪取り焼鈍は、400〜700℃程度の温度で行うことが好ましい。なお焼鈍時間は特に限定しないが、長すぎると引張強さ等の特性が大幅に劣化し、短すぎると歪みを除去する効果が得られないため、0.5〜2.0min程度とすることが好ましい。
以下の実施例で本発明を更に詳しく説明する。
本実施例のメタルマスク用素材の化学組成を表1に示す。本実施例のFe−Ni合金は、真空溶解−熱間鍛造−均質化熱処理−熱間圧延で厚さ2〜3mmに仕上げる工程の後、冷間圧延を実施した。熱間圧延後のFe−Ni合金には2回の焼鈍を含む冷間圧延を行い、Fe−Ni合金冷間圧延材を作製した。仕上冷間圧延の最終パス前のFe−Ni合金冷間圧延材のそれぞれの厚さは、0.0208mm(試料No.1)と0.054mm(試料No.2)であり、試料No.1は仕上冷間圧延後に0.020mm(圧下率4%)、試料No.2は仕上冷間圧延後に0.050mm(圧下率7%)となるように圧延条件を調整した。この時の試料No.1のロールの噛み込み角は0.26°であり、仕上圧延時のパス数は7回であった。また試料No.2のロールの噛み込み角は0.51°であり、仕上圧延時のパス数4回であった。また、試料No.1と試料No.2において、仕上冷間圧延時の圧延速度は平均80m/minであった。また、仕上冷間圧延に用いたロールの円周方向(ロールの回転方向)と直交する方向の粗さRaが0.05〜0.2μmの範囲内であるロールを用いた。仕上冷間圧延後には、500℃の温度で1分間歪取り焼鈍を行った。
Figure 0006807038
続いて得られた試料の表面粗さと反りを測定した。表面粗さRa、Rz、Rskの測定は、JISB0601,JISB0651で示される測定方法に従い、ランダムに3箇所を選んで長手方向と幅方向の表面粗さを測定した。測定装置には触針式粗さ計を使用し、評価長さ4mm、測定速度0.3mm/s、カットオフ値0.8mmの条件で測定した。表2には、3箇所の平均値を示す。また反りの測定は、長さ150mm、幅30mmのカットサンプルを作成し、板厚の2/5となるように片側からエッチングした後、カットサンプルを垂直上盤に吊下げた際の反り量を測定し、評価を行った。なお上記カットサンプルは、長さ方向が圧延方向となるように、作製した試料の幅方向中央部から採取した。エッチング液は塩化第二鉄水溶液を使用し、液温50℃のエッチング液を噴霧させ試験片の腐食を実施した。結果を表2に示す。
Figure 0006807038
表2の結果より、本発明のメタルマスク用素材は、良好なエッチング加工性を発揮するために最適な表面状態であり、板厚の半分を超える深いエッチング後の形状変化も抑制できることが確認できた。
(実施例2)
次に、試料No.1の長さ150mm、幅30mmのカットサンプルを複数準備し、エッチングの除去量を表3に示すように変更した本発明例の試料No.3〜5を作成し、反り量の測定を行った。反り量の測定方法や使用したエッチング液は、実施例1で使用したものと同様である。結果を表3に示す。
Figure 0006807038
表3の結果より、本発明のメタルマスク用素材は、エッチング深さを変更しても、反り量を抑制できることを確認した。特にエッチングによる素材の除去量が板厚の50%の場合、圧縮残留応力と引張残留応力のバランスが崩れ、過大な反りが発生しやすい傾向にあるが、本発明例の素材には過大な反りは確認されなかった。

Claims (10)

  1. 質量%で、C:0.01%以下、Si:0.5%以下、Mn:1.0%以下、Ni:30〜50%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなるメタルマスク用素材であって、
    前記メタルマスク用素材は、圧延方向における表面粗さと圧延方向と直交する方向における表面粗さとがともに、0.05μm≦Ra≦0.25μm、0.3μm≦Rz≦1.5μm、スキューネスRskが0未満であり、
    前記メタルマスク用素材から長さ150mm、幅30mmの試料を切り出し、前記試料を片側からエッチングし、前記試料の板厚の60%を除去したときの反り量が15mm以下であり、板厚が0.01mm以上0.10mm未満であるメタルマスク用素材。
  2. 前記スキューネスRskが−3.0以上である、請求項1に記載のメタルマスク用素材。
  3. 前記メタルマスク用素材の圧延方向におけるスキューネスRskと圧延方向と直交する方向におけるスキューネスRskとの差が0.7以下である、請求項1または2に記載のメタルマスク用素材。
  4. 前記メタルマスク用素材の圧延方向における表面粗さRaと圧延方向と直交する方向における表面粗さRaとの差が0.02μm未満である、請求項1〜3のいずれかに記載のメタルマスク用素材。
  5. 前記メタルマスク用素材から長さ150mm、幅30mmの試料を切り出し、前記試料を片側からエッチングし、前記試料の板厚の20%、30%、50%のいずれかを除去したときの反り量が15mm以下であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のメタルマスク用素材。
  6. 質量%で、C:0.01%以下、Si:0.5%以下、Mn:1.0%以下、Ni:30〜50%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる冷間圧延用素材を冷間圧延してメタルマスク用素材を得るメタルマスク用素材の製造方法であって、
    前記冷間圧延用素材に対する仕上冷間圧延工程における最終パスの条件が、圧下率:35%以下、圧延ロールの噛み込み角:1.0°未満であり、
    前記メタルマスク用素材は、圧延方向における表面粗さと圧延方向と直交する方向における表面粗さとがともに、0.05μm≦Ra≦0.25μm、0.3μm≦Rz≦1.5μm、スキューネスRskが0未満であるとともに、
    前記メタルマスク用素材から長さ150mm、幅30mmの試料を切り出し、前記試料を片側からエッチングし、前記試料の板厚の60%を除去したときの反り量が15mm以下であり、
    仕上冷間圧延後の素材の板厚が0.01mm以上0.10mm未満であることを特徴とするメタルマスク用素材の製造方法。
  7. 前記圧延ロールの噛み込み角が0.4°未満である、請求項6に記載のメタルマスク用素材の製造方法。
  8. 前記仕上冷間圧延工程における最終パスの圧下率が15%以下である、請求項6または7に記載のメタルマスク用素材の製造方法。
  9. 前記仕上冷間圧延工程の最終パスに用いるロールの円周方向と直交する方向の表面粗さRaが0.05〜0.25μmである、請求項6〜8のいずれかに記載のメタルマスク用素材の製造方法。
  10. 前記仕上冷間圧延工程の圧延速度が60m/min以上である、請求項6〜9のいずれかに記載のメタルマスク用素材の製造方法。
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