JP2002241901A - シャドウマスク用素材及びその製造方法 - Google Patents

シャドウマスク用素材及びその製造方法

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JP2002241901A
JP2002241901A JP2001034961A JP2001034961A JP2002241901A JP 2002241901 A JP2002241901 A JP 2002241901A JP 2001034961 A JP2001034961 A JP 2001034961A JP 2001034961 A JP2001034961 A JP 2001034961A JP 2002241901 A JP2002241901 A JP 2002241901A
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rolling
surface roughness
etching
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Yasuhiro Sotani
保博 曽谷
Yukio Kimura
幸雄 木村
Masayasu Ueno
雅康 植野
Shogo Tomita
省吾 富田
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JFE Engineering Corp
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NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 シャドウマスクの製造工程中において、レジ
スト密着性、真空引き性、及びエッチング穿孔性に優れ
るシャドウマスク用素材、及びその製造方法を提供す
る。 【解決手段】 表面に概ね円形の断面形状を有する微小
なクレータ(凹部)の集合体を有し、表面粗さがL方向
(圧延方向)とC方向(圧延方向に直角な方向)でほぼ
等しく、かつ、中心線平均粗さRaが0.2〜2μm、凹凸
の平均間隔Smが〜200μmであることを特徴とするシャ
ドウマスク用素材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シャドウマスク用
素材、より詳しくは、シャドウマスクの製造工程中にお
いて、レジスト密着性、真空引き性、及びエッチング穿
孔性に優れるシャドウマスク用素材、及びその製造技術
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、カラーテレビの高品位化に伴い、
色ずれの問題に対応できる低熱膨張のシャドウマスク用
材料としてFe-Ni系のインバー合金が採用されている。
高精度・高精細な開孔を有するシャドウマスクを得るた
めには、シャドウマスクの製造工程で、 脱脂した素材両面にフォトレジストを塗付する際のレ
ジスト密着性、ついで その上に原版を密着させるための真空引き性、さらに 露光・現像した後に塩化第二鉄等の溶液でエッチング
する際の穿孔性を改善することが特に重要である。
【0003】これらに対応すべく、特公平3−7364
0号公報、特開平1−56820号公報、特開平2−1
92802号公報、特開平2−197301に号公報に
示されるように、表面粗さを付与したダルロールを用い
た圧延によって素材の表面粗さ、形態を調整した素材、
及びその製造方法が開示されている。
【0004】特公平3−73640号公報に記載される
方法は、シャドウマスク素材の表面粗度(Ra)を0.2〜
0.7μm、Sm(基準長さ内における断面曲線の凹凸間隔
の平均値)を100μm以下、結晶粒度番号を8.0以上とす
ることによりエッチング穿孔性に優れるマスクを提供す
るものである。
【0005】特公平3−73640号公報に記載される
発明は、最終圧延において、レーザ加工後にショットブ
ラストまたは液体ホーニングした圧延ロールを用いるこ
とにより、素材のRaを0.2〜1.5μm、Smを50〜200μmと
して、エッチング穿孔性に優れるようにしたマスクを得
るものである。
【0006】特開平2−192802号公報に記載され
る発明は、ダルロールを用いた圧延を3〜5パス繰り返
すことで、素材のRaが0.2〜1.0μm、凹凸の面積占有率
が80%以上になるようにするものである。
【0007】特開平2−197301に号公報
に記載される発明は、レーザ加工したロールを用い
た圧延により、素材のRaが0.3〜1.2μm、Smが20〜300
μmであり、微視的表面粗さの形状が台形上の凸部と椀
状凹部からなり、山頂高さが2〜10μm、山頂面直径
が2〜30μmである表面性状を得るものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述した発明
は、いずれも仕上圧延工程でダルロールを用いて素材に
表面粗さを付与したり調整したりするものであり、以下
に述べるような致命的な問題がある。
【0009】(1)特公平3−73640号公報、特開
平1−56820号公報、特開平2−192802号公
報に記載される技術においては、圧延でロールの粗さを
素材に転写させているが、粗さの転写率は高々50%で
ある。そのため素材に所望のRaを付与しようとすると、
その2倍程度のRaをもった圧延ロールを用いる必要があ
る。Raが0.4〜3.0μm程度のダルロールをショットブラ
スト加工などによって作り、それを圧延に用いると、素
材のSmは50μm以下という小さい値にはできない。通常
素材のSmは100μm前後になる。そのためレジスト密着
性が改善されない。
【0010】(2)特開平2−197301に号公報に
記載される技術のようにレーザ加工を用いる場合は比較
的自由にRaとSmを選択できるが、上記のような素材に微
視的な鋭い山状の凸形状を得るためにはロールに鋭い凹
状の形状を作らなければならない。実際には特開平2−
197301に示されるレーザの照射条件ではこのよう
なロール加工はできない。また素材に微視的な鋭い山が
形成されると、素材同士接触によりスリ疵が発生した
り、製造工程中に存在するゴムロールなどが削れること
により汚れが発生したりする。また凸部と凹部で電気化
学的性質が異なるために、エッチングムラを生じる。
【0011】(3)圧延では必ず素材は圧延方向(L方
向)に伸ばされる。そのためロールにより転写される素
材の表面粗さのパターンは例えば図3に示すように、圧
延方向にうろこ状に伸びた形態となる。圧延ロールの加
工法としてショットブラスト、液体ホーニング、レー
ザ、放電加工などいずれを採用しても必ずL方向に延び
た形態となる。図3にL方向(圧延方向)とそれに垂直
なC方向での表面粗さの測定結果を併記する。表面粗
さ、断面曲線がL方向とC方向で異なり、C方向にくら
べL方向が間延びした形態となる。このため、Smは必ず
C方向に比べL方向が大きくなる。一般にRaについても
L方向とC方向では異なる。このように圧延ロールによ
る転写で素材の表面粗さを作り込む方法では、本質的に
L方向とC方向でSm、Raといった表面粗さのパラメータ
を等しくすることはできない。
【0012】(4)図3に示した圧延でロールの粗さを
転写させた素材を良く観察すると、粗さの凸部と凹部の
境界に微視的なクラックが発生している場合がある。ロ
ールの凹凸部で局部的に変形ひずみが集中してクラック
が発生する。すなわちダルロールによる加工ひずみは微
視的に見れば均一ではない。またこれらのクラックは多
くはL方向に伸ばされている。またうろこ状のロール
の、ダル目の転写に加え、ロール研削痕の転写が生じ
る。ロールを研削する際に砥石目が円周方向に残ったも
ので、素材を圧延すると図3に示すようにL方向に研削
痕が転写される。これらのマイクロクラックや研削痕
は、エッチング時に微視的な欠陥を生じる原因になるだ
けでなく、L方向とC方向で異方性を持っているために
エッチングムラを生じる原因となる。
【0013】(1)〜(4)の結果、前記いずれの公報
に記載された発明も、レジスト密着性、真空引き性、エ
ッチング穿孔性が充分ではない。特に圧延工程を用いる
ことによりレジスト密着性、真空引き性、エッチング穿
孔性がL方向とC方向で異なることが問題となる。エッ
チング穿孔時に孔がL方向にゆがんで開孔不良やムラを
生じたり、孔縁がいびつになりいわゆる穿孔のキレが悪
くなったりする。
【0014】(5)圧延ロールで圧延する場合、圧延長
が長くなるに従ってロールの粗度低下が生じる。これは
ダルロールを用いる場合に顕著に生じ、避けられない事
態である。従って、圧延初期の素材と圧延終期の素材の
表面粗さが異なるという問題が生じ、これを回避するた
めに頻繁にロール組替えを行う必要がある。よって、生
産性の低下を招く。
【0015】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
もので、シャドウマスクの製造工程中において、レジス
ト密着性、真空引き性、及びエッチング穿孔性に優れる
シャドウマスク用素材、及びその製造方法を提供するこ
とを課題とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
の第1の手段は、表面に概ね円形の断面形状を有する微
小なクレータ(凹部)の集合体を有し、表面粗さがL方
向(圧延方向)とC方向(圧延方向に直角な方向)でほ
ぼ等しく、かつ、中心線平均粗さRaが0.2〜2μm、凹
凸の平均間隔Smが〜200μmであることを特徴とするシ
ャドウマスク用素材(請求項1)である。
【0017】断面形状とは、表面から見たクレータの形
状をいう。また、概ね円形とは、楕円形とみなしたと
き、長径、短径の差が長径と短径の平均径の20%以内の
ものをいう。従って、理想形すなわち円形は、この差が
0%ということになる。本手段においては、クレータの
存在によって発生する表面粗さがL方向とC方向で当方
的であり、Ra、Smなどの表面粗さを表すパラメータがL
方向とC方向でほぼ等しい。ほぼ等しいとは、対象とす
る全面積での表面粗さを表すパラメータの計測値の95%
以上について、これらC方向、L方向の差が両者の平均
値の20%以内に収まることをいう。
【0018】よって、シャドウマスクの製造工程におい
てエッチングムラが生じる可能性が小さくなる。また、
中心線平均粗さRaは0.2μmより小さいとレジスト密着
力が弱くなって、真空引きの際に空気の流路抵抗が高く
なり真空引き性が悪化する。逆にRaが2μmより大きい
とレジスト密着力が強すぎてレジストが残存する。よっ
て、本手段においては、Raの範囲を0.2〜2μmに限定
する。
【0019】また、凹凸の平均間隔Smが200μmより大き
いと局部的にレジスト密着性が低下する。逆にSmが10μ
mより小さいと真空引き性が低下する。よって、本手段
においては、Smの範囲を10〜200μmの範囲に限定す
る。なお、本手段(請求項1)及び各実施の形態におい
て、Ra、Smは、JISB0601により測定した値とする。ま
た、クレータの形状を概ね円形の断面形状とすること
で、レジスト密着性、真空引き性が向上する。
【0020】前記課題を解決するための第2の手段は、
前記第1の手段であって、表面におけるクレータの占有
率が70%以上であることを特徴とするもの(請求項2)
である。
【0021】クレータの占有率とは、素材の表面積をA
、その中に含まれるクレータの開口面積の総和をAと
するとき、A/A×100 [%]をいう。本手段において
は、平滑部分の割合が小さくなるので、シャドウマスク
の製造工程において、充分なレジスト密着性、真空引き
性を確保できる。クレータの占有面積率が仮想的に100
%を越える表面も得られる。すなわち、例えばクレータ
同士が重なるように硬質粒子を投射することにより得ら
れる。クレータ同士の重なる率すなわちオーバーラップ
率は50%以下とする。50%を越えると1つのクレータで
形成される表面粗さがとなりのクレータでつぶれてしま
い、所望のRaを確保できなくなる。
【0022】前記課題を解決するための第3の手段は、
前記第1の手段又は第2の手段であって、クレータの開
口部直径が20〜200μm、深さが2〜15μmであること
を特徴とするもの(請求項3)である。
【0023】クレータの開口部直径が200μmを超える
と、局部的に密着性が低下する。逆に、20μmよりも小
さくなると、真空引きの際、流路抵抗が高くなり、真空
引き性が悪化する。又、本手段でのクレータ開口部直径
の最小値は10μm程度である。このような理由から、本
手段においては、クレータ開口部の直径を20〜200μm
に限定する。
【0024】クレータの深さが2μmより小さいと、レ
ジスト密着性、真空引き性が十分でなくなり、エッチン
グ時にムラを生じる。逆に15μmより大きいと、金属粉
等による汚れが除去できにくくなる。そのため、本手段
においては、クレータの深さを2〜15μmに限定する。
【0025】前記課題を解決するための第4の手段は、
前記第1の手段から第3の手段であって、Fe−Ni系合金
からなることを特徴とするもの(請求項4)である。
【0026】シャドウマスク用素材としては、従来は低
炭素Alキルド鋼やリムド鋼が用いられてきたが、最近で
はパソコン用や大画面用モニター等に用いられる高精度
シャドウマスクのニーズが高く、低熱膨張性に優れるFe
−Ni系のインバー合金が主流になりつつある。Fe−Ni系
インバー合金に、前記第1の手段から第3の手段を適用
することは、これらの用途に必要とされる高精細の品質
を満足させるために好適なことである。
【0027】本手段は、FeとNi以外の合金成分について
は特に限定していないが、例えば以下のようなものが使
用できる。すなわち、mass%で、Ni:30〜52%、C:0.
1%以下、Si:0.4%以下(0を含む)、Cr:0.1%以下
(0を含む)、Co:0.05%以下(0を含む)、O:0.01
%以下(0を含む)、S:0.005%以下(0を含む)、
N:0.01%以下(0を含む)、Al:0.05%以下(0を含
む)、P:0.01%以下(0を含む)、Ca:0.01%以下
(0を含む)、Mg:0.01%以下(0を含む)、Ti:0.1
%以下(0を含む)、Mo:0.01%以下(0を含む)、
V:0.01%以下(0を含む)、Nb:0.01%以下(0を含
む)で残部が実質的にFeからなるもの。ただし、実質的
にFeからなるとは、本手段の特性を無くさない限り、不
可避不純物をはじめ他の微量元素を含むものが、その範
囲に含まれることを意味する。
【0028】又、必要に応じて1mass%の以下のMn、0.
03mass%以下のB等の合金元素を含有させても、本発明
の作用効果は損なわれない。これらMnとBは、熱間加工
性の向上に有効である。ただし、これらMnとBを複合的
に含有させる場合には、その合計値は1mass%以下とす
ることが好ましい。
【0029】なお、シャドウマスク用素材として事実上
問題のない熱膨張特性は、0〜100℃の温度領域におけ
る平均熱膨張係数が2.0×10−6/℃以下であること
である。このような特性を満足できる組成は、Ni含有量
30〜52mass%であり、残部が実質的にFeからなるもので
ある。
【0030】前記課題を解決するための第5の手段は、
前記第1の手段から第3の手段であって、Fe−Ni−Co系
合金からなることを特徴とするもの(請求項5)であ
る。
【0031】本手段においても、前記第4の手段と同
様、前記第1の手段から第3の手段を適用することは、
高精度シャドウマスクとしての用途に必要とされる高精
細の品質を満足させるために好適なことである。
【0032】Coが1mass%未満の場合は、低熱膨張性に
余り影響を与えない。又、Coが20mass%を超えると、低
熱膨張性が悪化する。よって、Coの範囲は1〜20mass%
とすることが好ましい。又、この範囲のCoを含有する場
合には、所望の低熱膨張性能(0〜100℃の温度領域に
おける平均熱膨張係数が2.0×10−6/℃以下)を満
足させるためには、Niの含有量は26〜38mass%となる。
【0033】本手段は、Fe、Ni、Co以外の合金成分につ
いては特に限定していないが、例えば以下のようなもの
が使用できる。すなわち、mass%で、Ni:26〜38%、C
o:1〜20%、C:0.1%以下、Si:0.4%以下(0を含
む)、Cr:0.1%以下(0を含む)、O:0.01%以下
(0を含む)、S:0.005%以下(0を含む)、N:0.0
1%以下(0を含む)、Al:0.05%以下(0を含む)、
P:0.01%以下(0を含む)、Ca:0.01%以下(0を含
む)、Mg:0.01%以下(0を含む)、Ti:0.1%以下
(0を含む)、Mo:0.01%以下(0を含む)、V:0.01
%以下(0を含む)、Nb:0.01%以下(0を含む)で残
部が実質的にFeからなるもの。ただし、実質的にFeから
なるとは、本手段の特性を無くさない限り、不可避不純
物をはじめ他の微量元素を含むものが、その範囲に含ま
れることを意味する。
【0034】又、必要に応じて1mass%の以下のMn、0.
03mass%以下のB等の合金元素を含有させても、本発明
の作用効果は損なわれない。これらMnとBは、熱間加工
性の向上に有効である。ただし、これらMnとBを複合的
に含有させる場合には、その合計値は1mass%以下とす
ることが好ましい。
【0035】前記課題を解決するための第6の手段は、
前記第1の手段から第5の手段であるシャドウマスク用
素材の製造方法であって、平板上の素材の表面に硬質粒
子を投射することにより表面粗さを付与することを特徴
とするもの(請求項6)である。
【0036】平板上の素材の表面に硬質粒子を投射する
ことにより、前記第1の手段から第5の手段であるシャ
ドウマスク用素材を容易に製造することができる。
【0037】前記課題を解決するための第7の手段は、
前記第1の手段から第5の手段であるシャドウマスク用
素材の製造方法であって、平板上の素材をブライトロー
ルで圧延した後に、その表面に硬質粒子を投射すること
により表面粗さを付与することを特徴とするもの(請求
項7)である。
【0038】ブライトロールとは表面粗さRaが0.15〜0.
30μmのロールをいい、ダルロールの表面粗さRaが1〜
5μmであるのに対してフラットな表面を有する。ブラ
イトロールを使用した場合には、ダルロールを使用した
場合に比して、圧延長が長くなることに伴う表面粗度の
低下が小さいので、必要なロール組換え回数が減少する
と共に、ブライトロールで圧延した材料の長周期のうね
り成分は極めて小さくなるため、シャドウマスク製造工
程におけるエッチング穿孔性が向上する。さらに、ブラ
イト仕上げされた材料に上記の硬質粒子を直接投射し
て、表面粗さを付与するため、所望の表面形態が精度よ
く安定して得られる。
【0039】
【発明の実施の形態】図1に示すように、ほぼ球状の硬
質粒子1を直接素材2に対して投射することにより、素
材2の表面にクレータ3を形成する。このようにする
と、図2に示すように、微小で等方的な、断面形状がほ
ぼ円形のクレータが多数得られる。クレータによって形
成される凹凸の間隔は圧延法で得られるSmよりはるかに
小さいものが安定して得られる。
【0040】加工に使う硬質粒子1は概ね球形のものを
用いる。硬質粒子1としては鉄系すなわち炭素鋼、ステ
ンレス鋼、ハイス等、又は、アルミナ、カーボランダム
等のセラミクス、及びガラス等を用いることができる。
粒子径は平均粒径で20〜400μmのものを用いるが、50
〜200μmのものを用いるのが好ましい。
【0041】硬質粒子1を素材2に投射するときの速度
は50〜200m/secである。これを実現するためのショット
ブラスト法は、空気式の投射装置では空気圧を0.2〜1.0
Mpaの範囲で選ぶ。機械式の投射装置ではロータの回転
速度を粒子の投射速度以上になるように選ぶ。水中での
ウエットブラストすなわち液体ホーニング法を用いても
よい。
【0042】硬質粒子1が素材2に衝突し、素材2が粒
子形状にそって変形するが、素材への硬質粒子の埋め込
みは粒子径の2〜30%である。大きすぎると素材に硬質
粒子が刺さり込んでしまう。上記の速度条件はこの条件
からきている。素材表面に形成される一つ一つのクレー
タ形状は硬質粒子形状の一部にそったものになる。すな
わちおおむね球形の部分形状である。
【0043】クレータの開口部の直径dは20〜200μ
m、クレータ間のdのバラツキに関しては、平均径に対
し±50%のバラツキ範囲にあるものが70%以上存在す
る。クレータの深さhは2〜15μmとなる。
【0044】
【実施例】(実施例1)表1に示すように、従来のダル
ロールを用いた圧延による方法と、本発明の直接硬質粒
子を投射する方法で素材に表面粗度を付与し、エッチン
グ性を比較した。素材として、板厚0.2mmのFe-36%Ni合
金薄板を用いた。各方法によって得られたRa、Smの値、
及びエッチングムラ、エッチング穿孔性を表1に併せて
示す。
【0045】No.1〜5は従来のダルロールを用いた圧
延によるもの、No.6、7は本発明の直接硬質粒子を投
射するものである。仕上圧延での圧下率は10〜20%と
し、No.4は4パスの圧延を行った。No.1〜5のダルロ
ールの加工方法を表1に併せて示す。
【0046】No.1はグリットブラスト加工をしたダル
ロールを用いて圧延を行ったもので、Smが比較的小さい
ためにレジスト密着性、真空引き性は良好であったが、
L方向とC方向でエッチング性に差が生じた。また孔縁
にクラックが残存しそれを起点にしみが観察された。
【0047】No.2と3はレーザ加工後、液体ホーニン
グまたはショットブラストでダル加工をしたロールを用
いて圧延を行ったもので、Smが大きいNo.2でレジスト
密着が劣りエッチングムラがより目立った。いずれもL
方向とC方向でエッチング性に差が生じた。また孔縁に
クラックが残存しそれを起点にしみが観察された。
【0048】No.4はショットブラスト加工したダルロ
ールを用いて圧延を行ったもので、粗度の転写が充分に
なされていた。しかしL方向とC方向でエッチング性に
差が生じた。また孔縁にクラックが多くピット状の欠陥
を生じただけでなく、開孔にゆがみを生じた。
【0049】No.5は特開平2−197301号公報に
示す方法でレーザ加工したダルロールを用いて圧延を行
ったもので、台形状凸部と椀状凹部からなる表面形態を
有している。レジスト密着にムラを生じエッチングムラ
の原因となった。また開孔精度も悪く、ピットも観察さ
れた。
【0050】No.6、7はブライトロールを用いて圧延
を行った素材に硬質粒子を投射して表面粗度を付与し
た。素材の結晶粒度は粒度番号でいずれも8〜9のもの
を用いた。
【0051】No.6は平均粒径50μmのハイス粒子を用い
素材表面に直接ショットブラストして表面粗度を付与し
たものである。No.7は平均粒径100μmのアルミナ粒子
を用い素材表面に直接液体ホーニングして表面粗度を付
与したものである。いずれもレジスト密着性、真空引き
性とも良好であった。エッチングムラも生じずL、C方
向でエッチング性は均一であった。また開孔精度も高く
クラックやそれに起因するピットも観察されず、孔縁の
キレも良好であった。 (表1)
【0052】
【表1】
【0053】表1において、エッチングムラ品位につい
て、 A:ムラが全く無く良好 B:L、C方向でムラが少しある C:L、C方向でムラがめだつ というランク付けを行っている。
【0054】エッチング穿孔性については A:開孔精度、孔縁のキレも良好で欠陥なし B:開孔のゆがみ発生 C:孔縁にクラック、ピット発生 というランク付けを行っている。
【0055】(実施例2)表2に示すように硬質粒子の
投射条件を変えた場合の、エッチングムラと穿孔性を調
べた。ショット粒子にはステンレス鋼、ハイス、セラミ
クスのいずれかを用いた。粒子径は平均粒径で20〜400
μmのものを用いた。空気式の投射装置の場合は空気圧
を0.3〜0.9Mpaの範囲で選んだ。機械式の投射装置の場
合はロータ径300〜400mmのものを用い回転数を1000〜40
00rpmの範囲で選んだ。
【0056】Raが0.2〜2μm、クレータ間平均距離Smが
10〜200μmの範囲にあり、かつクレータの面積占有率が
70%以上の符号a〜g(本発明の実施例)については、
エッチングムラ、穿孔性とも極めて良好であった。
【0057】hはRaが0.1μmと小さいために、レジス
ト密着と真空引きが充分でなくエッチング時にムラを生
じた。iはRaが2.4μmと大きいため、金属粉の汚れが
脱脂でも除去できず、エッチングムラにつながった。
【0058】jはSmが220μmと大きいために真空引き
性に劣りエッチング時にムラを生じた。kはクレータの
面積占有率が62%と低く、平滑部においてレジスト密着
性が低下しエッチングムラを生じた。穿孔性に関しては
いずれもL、C方向の差異も生じず開孔精度も優れてい
た。
【0059】(表2)
【表2】
【0060】表2において、エッチングムラ品位につい
ては、 A:ムラは全く無く良好 B:ムラが少しある C:ムラがめだつ という区分で評価した。
【0061】また、クレータ面積占有率が100%を越え
るものはクレータがオーバーラップしたもので、数値か
ら100%を引いたものがオーバーラップ率を表す。
【図面の簡単な説明】
【図1】硬質粒子を素材に投射して、本発明のシャドウ
マスク用素材を製造する実施の形態の例を示す模式図で
ある。
【図2】本発明のシャドウマスク素材の表面粗さ・表面
形態を示す模式図である。
【図3】従来の圧延法によって得られたシャドウマスク
素材の表面粗さ・表面形態を示す模式図である。
【符号の説明】
1…硬質粒子 2…素材 3…クレータ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 植野 雅康 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 富田 省吾 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 Fターム(参考) 5C027 HH02 5C031 EE05

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面に概ね円形の断面形状を有する微小
    なクレータ(凹部)の集合体を有し、表面粗さがL方向
    (圧延方向)とC方向(圧延方向に直角な方向)でほぼ
    等しく、かつ、中心線平均粗さRaが0.2〜2μm、前記
    凹凸の平均間隔Smが10〜200μmであることを特徴とす
    るシャドウマスク用素材。
  2. 【請求項2】 表面におけるクレータの占有率が70%以
    上であることを特徴とする請求項1に記載のシャドウマ
    スク用素材。
  3. 【請求項3】 クレータの開口部直径が20〜200μm、
    深さが2〜15μmであることを特徴とする請求項1又は
    請求項2に記載のシャドウマスク用素材。
  4. 【請求項4】 Fe−Ni系合金からなることを特徴とする
    請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載のシャ
    ドウマスク用素材。
  5. 【請求項5】 Fe−Ni−Co系合金からなることを特徴と
    する請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載の
    シャドウマスク用素材。
  6. 【請求項6】 平板上の素材の表面に硬質粒子を投射す
    ることにより表面粗さを付与することを特徴とする請求
    項1から請求項5のうちいずれか1項に記載のシャドウ
    マスク用素材の製造方法。
  7. 【請求項7】 平板上の素材をブライトロールで圧延し
    た後に、その表面に硬質粒子を投射することにより表面
    粗さを付与することを特徴とする請求項1から請求項5
    のうちいずれか1項に記載のシャドウマスク用素材の製
    造方法。
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