JP6805698B2 - E−オレフィン化合物の製造方法 - Google Patents

E−オレフィン化合物の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6805698B2
JP6805698B2 JP2016196603A JP2016196603A JP6805698B2 JP 6805698 B2 JP6805698 B2 JP 6805698B2 JP 2016196603 A JP2016196603 A JP 2016196603A JP 2016196603 A JP2016196603 A JP 2016196603A JP 6805698 B2 JP6805698 B2 JP 6805698B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
olefin
carbon atoms
compound
formula
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016196603A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018058784A (ja
Inventor
宏之 伊藤
宏之 伊藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
DIC Corp
Original Assignee
DIC Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by DIC Corp filed Critical DIC Corp
Priority to JP2016196603A priority Critical patent/JP6805698B2/ja
Priority to CN201710875111.0A priority patent/CN107892646A/zh
Publication of JP2018058784A publication Critical patent/JP2018058784A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6805698B2 publication Critical patent/JP6805698B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C41/00Preparation of ethers; Preparation of compounds having groups, groups or groups
    • C07C41/01Preparation of ethers
    • C07C41/32Preparation of ethers by isomerisation
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07BGENERAL METHODS OF ORGANIC CHEMISTRY; APPARATUS THEREFOR
    • C07B2200/00Indexing scheme relating to specific properties of organic compounds
    • C07B2200/09Geometrical isomers

Description

本発明は医薬、農薬、液晶材料等の化成品の製造中間体及び原体として有用なE−オレフィン化合物の製造方法に関する。
E−オレフィン化合物は、医薬、農薬、液晶材料の分野において優れた特性を示すことが多く、有用な化合物である。特に、液晶材料においては、E−オレフィン化合物は対応する飽和化合物よりも高い透明点、比較的低い粘度及び大きな弾性定数を示すことが知られており、極めて重要な化合物である。一般的にE−オレフィン化合物は、E−オレフィン化合物及び対応するZ−オレフィン化合物を含む組成物を、アリールスルフィン酸類を触媒として用いた異性化反応により、組成物中のE−オレフィン化合物の比率を高める工程を経て製造されている(非特許文献1、2)。また、アリールスルフィン酸は不安定であることが知られているため、一般的には対応するアリールスルフィン酸塩として購入・保管し、使用する際に反応系内にて塩酸等の酸と反応させ、新鮮なアリールスルフィン酸を生成させて使用している。この際、E−オレフィン化合物及び対応するZ−オレフィン化合物を含む組成物、スルフィン酸塩、酸及び溶媒を室温にて混合した後、所定の反応温度に加熱するという工程が一般的に用いられている(特許文献1、非特許文献1及び非特許文献2)。
Figure 0006805698
また、特許文献2では、アリールスルフィン酸類を触媒として用いた異性化反応により得られるE−オレフィン化合物及び対応するZ−オレフィン化合物を含む組成物におけるE−オレフィン化合物の比率をより高くする方法が提案されている。
特表2012−528798号公報 特開2016−121076号公報
H. Nozaki, Y. Nishikawa, M. Kawanishi, R. Noyori, Tetrahedron, 23,2173 (1967) T. W. Gibson, P.Strassburger, J. Org. Chem., 41, 791 (1976)
ところで、特許文献2においても言及されているように、純粋なE−オレフィン化合物を得るためには、上述の異性化反応後に、残存するZ−オレフィン化合物を除去するために、多くの精製操作を繰り返し行うことが必要となる。このため、歩留まりが悪化し、ひいてはコスト高となっていた。特に液晶材料としてE−オレフィン化合物を適用する場合には、極めて高い純度まで精製する必要があるため、異性化反応の段階でより高い比率でE−オレフィン化合物を得ることが好ましい。
そこで本発明は、従来の方法と比べて高い比率で目的とするE−オレフィン化合物を得ることが可能な、E−オレフィン化合物の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、分子中に1つ又は2つ以上のZ体を表すオレフィン構造を有するオレフィン誘導体を溶媒存在下で異性化させて、Z体を表すオレフィン構造の少なくとも1つがE体を表すオレフィン構造に異性化した異性化体を得る、異性化体の製造方法であって、異性化体を選択的に析出させながら異性化を行う製造方法により、従来の方法と比べて高い比率で目的とする異性化体、すなわちE−オレフィン化合物を得ることが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
かかる製造方法により、従来の方法と比べて高い比率で目的とする異性化体が得られる理由は必ずしも明らかでないが、本発明者らは、異性化体を選択的に析出させると、溶液中の異性化体の濃度が下がるので、平衡が偏り、より多くのオレフィン誘導体が熱力学的に安定な異性化体に変換されるものと考えている。
本発明によれば、従来の方法と比べて高い比率で目的とするE−オレフィン化合物を得ることが可能な、E−オレフィン化合物の製造方法を提供することができる。
実施例1及び2に関して、ガスクロマトグラフィー分析により、E−オレフィン誘導体の比率の経時変化を測定した結果を示す図である。
本発明は、分子中に1つ又は2つ以上のZ体を表すオレフィン構造を有するオレフィン誘導体を溶媒存在下で異性化させて、Z体を表すオレフィン構造の少なくとも1つがE体を表すオレフィン構造に異性化した異性化体を得る、異性化体の製造方法であって、異性化体を選択的に析出させながら異性化を行う製造方法である。なお、本明細書中、分子中に1つ又は2つ以上のZ体を表すオレフィン構造を有するオレフィン誘導体を「Z−オレフィン誘導体」ともいい、Z−オレフィン誘導体におけるZ体を表すオレフィン構造の少なくとも1つがE体を表すオレフィン構造により置換されたオレフィン誘導体を「E−オレフィン誘導体」ともいい、これらの誘導体の両方を含む組成物を「E/Z−オレフィン組成物」ともいう。上記異性化体はE−オレフィン誘導体に相当する。
Z−オレフィン誘導体の異性化方法は特に限定されず、従来公知の方法を適用することができるが、温和な条件で反応させることができ、E−オレフィン誘導体を析出させやすくなる点から、硫黄化合物及びラジカル開始剤を作用させる方法によりZ−オレフィン誘導体を異性化させることが好ましい。
オレフィン誘導体は、E体及びZ体の立体異性体が存在するものであればよく、オレフィンの炭素−炭素二重結合における両方の炭素原子がそれぞれ1つ又は2つの置換基を有する二置換オレフィン、三置換オレフィン又は四置換オレフィンを用いることができる。その中で、オレフィンの炭素−炭素二重結合における両方の炭素原子がそれぞれ1つの置換基を有する二置換オレフィン、すなわち構造中に「−CH=CH−」を有するオレフィン誘導体が好ましい。本発明においては、Z−オレフィン誘導体を単独で原料として用いてもよく、E/Z−オレフィン組成物を原料として用いてもよい。E/Z−オレフィン組成物は、Z−オレフィン誘導体の含有量が例えば10質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることが好ましい。通常、オレフィン誘導体を製造すると、E−オレフィン誘導体及びZ−オレフィン誘導体が混ざったE/Z−オレフィン組成物が得られるので、これを原料として用いることができる。
本発明において製造される異性化体(E−オレフィン誘導体)は、通常E/Z−オレフィン組成物として得られる。原料と生成物の双方がE/Z−オレフィン組成物である場合には、組成物中のE−オレフィン誘導体の比率が向上したこと、すなわちZ−オレフィン誘導体におけるZ体を表すオレフィン構造の少なくとも一部がE体を表すオレフィン構造に変換されたことをもって、異性化体が製造されたものとする。
オレフィン誘導体は、例えばアルキル基(該アルキル基中の1つ又は2つ以上のCH基は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−CH=CH−、−CO−、−OCO−、−COO−又は−C≡C−で置換されてよく、該アルキル基中の1つ又は2つ以上の水素原子は任意にハロゲン原子に置換されていてもよい。)等の炭素骨格を基本とした鎖状構造を有する化合物、又は、シクロへキシレン基(この基中に存在する1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は−O−又は−S−に置き換えられてもよい。)、フェニレン基(この基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置き換えられてもよく、この基中に存在する水素原子はフッ素原子に置換されてもよい。)、ナフチレン基(この基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置き換えられてもよく、この基中に存在する水素原子はフッ素原子に置換されてもよい。)等の炭素骨格を基本とした環状構造を有する化合物であることが好ましい。オレフィン誘導体中に、1つの「−CH=CH−」を有していてもよく、2つ以上の「−CH=CH−」を有していてもよい。
オレフィン誘導体が2つ以上の「−CH=CH−」を有している場合、全ての「−CH=CH−」がE体を表すオレフィン誘導体、一部の「−CH=CH−」がE体を表し、残りの「−CH=CH−」がZ体を表すオレフィン誘導体、及び全ての「−CH=CH−」がZ体を表すオレフィン誘導体のように、それぞれの「−CH=CH−」がE体又はZ体を表す複数の異性体が存在する。本発明において、Z−オレフィン誘導体は、オレフィン誘導体中の1つ又は2つ以上の「−CH=CH−」がZ体を表す化合物であり、「−CH=CH−」が全てZ体を表す化合物であっても、1つ又は2つ以上のE体を表す「−CH=CH−」を含む化合物であってもよい。また、E−オレフィン誘導体は、オレフィン誘導体中の少なくとも1つの「−CH=CH−」がE体を表す化合物であり、「−CH=CH−」が全てE体を表す化合物であっても、1つ又は2つ以上のZ体を表す「−CH=CH−」を含む化合物であってもよいが、「−CH=CH−」が全てE体を表す化合物であることが好ましい。なお、異性化体であるE−オレフィン誘導体は、異性化体の原料としたZ−オレフィン誘導体よりも、E体を表す「−CH=CH−」を少なくとも1つ多く有する。
本発明の製造方法に適用されるオレフィン誘導体においては、E−オレフィン誘導体の融点が、E−オレフィン誘導体を選択的に析出させやすくする観点から、Z−オレフィン誘導体の融点よりも10℃以上高いことが好ましく、15℃以上高いことが好ましく、20℃以上高いことがより好ましく、30℃以上高いことが更に好ましく、40℃以上高いことが特に好ましく、50℃以上高いことが最も好ましい。E−オレフィン誘導体の融点は、Z−オレフィン誘導体の融点よりも高いことが一般的に知られているが、本発明者らの経験上、融点の差が大きいほど溶解性の差も大きくなる。このため、融点の差が大きいと、反応系中でE−オレフィン誘導体のみを選択的に析出させやすくなるものと考えられる。
なお、実施例における式(2)で表されるE−オレフィン誘導体(純度:99.9%)の融点は175℃であり、実施例における式(1)で表されるE/Z−オレフィン組成物(純度:99.5%、「E体:18.7%、Z体:80.8%」)の融点は106℃である。純粋なZ−オレフィン誘導体は製造することができず融点を測定することはできなかったが、その融点は、当然に上記E/Z−オレフィン組成物の融点よりも低い。なお、融点は以下に示す方法で測定することができる。
<装置>
・偏光顕微鏡
・METTLER TOLEDO FP82HT Hot Stage
・METTLER TOLEDO FP90 Central Processor
<器具>
・スライドガラス
・カバーガラス
<サンプル調整>
・試料を約10mgスライドガラスにサンプリングし、カバーガラスを被せる。
<測定>
・昇温速度(1.0℃/min)
・ネマチック相から等方相になる温度の測定を、同一サンプルで2回行い、その平均値を融点(ネマチック相から等方相になる温度)とする。
本発明の方法は、極めて高い純度が求められる、液晶表示素子用の液晶組成物として用いられる化合物及び該化合物を合成するための中間体の製造に好適に適用することができる。このような化合物は、通常再結晶により精製していること等からも明らかであるように、E−オレフィン誘導体の結晶性が高い。このため、反応系中でも比較的容易に析出させることができる。
構造中に1つ以上の環状構造を有するZ−オレフィン誘導体は、一般式(1)
Figure 0006805698

[式中、R及びRは各々独立してフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ヒドロキシル基、シアノ基、カルボキシ基、メタンスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基又はトリフルオロメタンスルホニルオキシ基、炭素原子数1から15のアルキル基(当該アルキル基中に存在する1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は各々独立して−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CO−、−CH=CH−又は−C≡C−に置き換えられてもよく、アルキル基中の1又は2以上の水素原子はフッ素原子で置換されていてもよい。)又は−S−Rを表し、
は炭素原子数1〜4のアルキレン基であり、
は塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ヒドロキシル基、シアノ基、カルボキシ基、メタンスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基又はトリフルオロメタンスルホニルオキシ基を表し、
及びAは各々独立して
(a)1,4−シクロへキシレン基(この基中に存在する1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は−O−又は−S−に置き換えられてもよい。)
(b)1,4−フェニレン基(この基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置き換えられてもよく、この基中に存在する水素原子はフッ素原子に置換されてもよい。)
(c)ナフタレン−2,6−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又はデカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基(ナフタレン−2,6−ジイル基又は1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置き換えられてもよく、ナフタレン−2,6−ジイル基又は1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基中に存在する水素原子はフッ素原子に置換されてもよい。)
からなる群より選ばれる基であり、
及びZは各々独立して単結合又は炭素原子数1〜10の直鎖状のアルキレン基を表し、該アルキレン基中に存在する1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は各々独立して−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CO−、−CH=CH−又は−C≡C−に置き換えられてもよく、Z及びZ中に存在する水素原子はフッ素原子に置換されてもよく、
及びnは各々独立して0から5の整数を表すが、m+nは1から5を表し、

Figure 0006805698

(式中の黒点はA、A、Z、Z、R及びR中のYと直接結合する原子を表す。)
を表し、
及びAが複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていてもよく、Z及びZが複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていてもよい。]
で表される化合物であることが好ましい。
一般式(1)で表されるZ−オレフィン誘導体に対応するE−オレフィン誘導体(以下、「一般式(1)で表される化合物のE体」ともいう。)は、一般式(1)中のY
Figure 0006805698

(式中の黒点はA、A、Z、Z、R及びR中のYと直接結合する原子を表す。)
を表すものである。
一般式(1)で表される化合物のE体は、例えば液晶表示素子用の液晶組成物として用いられる化合物及び該化合物を合成するための中間体として有用である。液晶組成物は、応答速度を向上させる観点から粘度が低いことが好ましく、また広い温度範囲にてネマチック層を維持するために、個々の成分が他の成分との高い混和性を有することが好ましい。また、液晶組成物の種類は液晶パネルの表示方式に合わせて選択することができる。例えば、液晶パネルが、VA(Vertical Alignment)方式又はPSA(Polymer-SustainedAlignment)方式である場合には、誘電率異方性(Δε)の値が負の液晶組成物が使用され、IPS(In-Plane-Switching)方式である場合には、Δεの値が正又は負の液晶組成物が使用される。
一般式(1)において、A及びAは各々独立して、液晶組成物の粘度を低下させるためにはトランス−1,4−シクロヘキシレン基、無置換のナフタレン−2,6−ジイル基又は無置換の1,4−フェニレン基であることが好ましく、他の液晶成分との混和性を高くするためには、トランス−1,4−シクロヘキシレン基又は無置換の1,4−フェニレン基であることが好ましい。
一般式(1)で表される化合物のE体を用いてΔεが正の化合物を製造する場合、A及びAは各々独立して、Δεを大きくするためには
Figure 0006805698

が好ましく、
Figure 0006805698

が更に好ましい。
一般式(1)で表される化合物のE体を用いてΔεが負の化合物を製造する場合、A及びAはそれぞれ独立して下記の構造が好ましい。
Figure 0006805698
液晶表示素子とした際の長期信頼性を向上させるには、液晶組成物は窒素原子を含有しないことが好ましい。
一般式(1)においてR及びRは、液晶組成物の粘度を低下させるためには、炭素原子数1〜12のアルキル基、炭素原子数2〜12のアルケニル基、炭素原子数1〜12のアルコキシ基又は炭素原子数2〜12のアルケニルオキシ基であることが好ましく、炭素原子数1〜8のアルキル基又は炭素原子数2〜8のアルケニル基であることがより好ましく、炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基であることが特に好ましい。また、直鎖状であることが好ましい。また、R及びRの少なくとも一方は、メタンスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基、ヒドロキシル基、トリフルオロメトキシ基、カルボキシ基であることが好ましい。
Δεが正の化合物を製造する場合、R又はRのいずれか一方は、Δεを大きくするためにはフッ素原子、シアノ基、トリフルオロメチル基又はトリフルオロメトキシ基であることが好ましく、粘度を低下させるためにはフッ素原子であることが好ましい。
一般式(1)においてZ及びZは、各々独立して、液晶組成物の粘度を低下させるとともに他の液晶成分との混和性を高くするためには−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−CHCH−、−CF=CF−、−C≡C−又は単結合であることが好ましく、−CFO−、−OCF−、−CHCH−又は単結合であることが更に好ましく、単結合であることが特に好ましく、大きなΔεを示すためには単結合又は−CFO−であることが好ましい。Yと直接結合するZ及びZは、炭素原子数1〜10の直鎖状のアルキレン基又は単結合を表すことが好ましく、炭素原子数1〜4の直鎖状のアルキレン基又は単結合を表すことが好ましい。
一般式(1)におけるR、R、A、A、Z、Z、m及びnは、E−オレフィン誘導体をより析出させやすくする観点から、以下の組み合わせ:
及びRは各々独立してフッ素原子、炭素原子数1〜12のアルキル基、炭素原子数2〜12のアルケニル基、炭素原子数1〜12のアルコキシ基又は炭素原子数2〜12のアルケニルオキシ基を表し、
及びAは各々独立して
(a)1,4−シクロへキシレン基(この基中に存在する1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は−O−又は−S−に置き換えられてもよい。)
(b)1,4−フェニレン基(この基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置き換えられてもよく、この基中に存在する水素原子はフッ素原子に置換されてもよい。)
からなる群より選ばれる基であり、
及びZは各々独立して−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−CHCH−、−CF=CF−、−C≡C−又は単結合であり、
及びnは各々独立して0から4の整数を表すが、m+nは1から4である;
であると好ましく、以下の組み合わせ:
及びRは各々独立してフッ素原子、炭素原子数1〜8のアルキル基又は炭素原子数1〜8のアルコキシ基を表し、

(a)1,4−シクロへキシレン基
(b)1,4−フェニレン基(この基中に存在する水素原子はフッ素原子に置換されてもよい。)
からなる群より選ばれる基であり、
は−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−CHCH−又は単結合であり、
及びZは存在せず、すなわちn1は0を表し、
は1から4の整数である;
であるとより好ましく、以下の組み合わせ:
及びRは各々独立してフッ素原子、炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数1〜5のアルコキシ基を表し、

(a)1,4−シクロへキシレン基
(b)1,4−フェニレン基(この基中に存在する水素原子はフッ素原子に置換されてもよい。)
からなる群より選ばれる基であり、
は−CHO−、−OCH−、−CHCH−又は単結合であり、
及びZは存在せず、すなわちn1は0を表し、
は1から3の整数である;
であると更に好ましい。
一般式(1)で表される化合物は、以下の一般式(1a)、一般式(1b)、一般式(1c)、一般式(1d)又は一般式(1e)で表される化合物からなる群より選ばれる化合物であることが好ましい。
Figure 0006805698

[式中、A1a2及びZ1a2は前記一般式(1)における、A及びZと同じ意味を表し、
1a1は炭素原子数1から15のアルキル基を表し、当該アルキル基中に存在する1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は各々独立して、−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−S−、−COO−、−OCO−又は−CO−に置き換えられてもよく、
1a2は炭素原子数1から8のアルキル基を表し、当該アルキル基中に存在する1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は各々独立して、−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−S−、−COO−、−OCO−又は−CO−に置き換えられてもよく、
1a1は単結合又は炭素原子数1から4の直鎖状のアルキレン基を表し、該アルキレン基中に存在する1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は各々独立して−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CO−、又は−C≡C−に置き換えられてもよく、W1a1中に存在する水素原子はフッ素原子に置換されてもよく、
1a2は単結合又は−CH=CH−を表し、
1a1は1から5の整数を表す。]
Figure 0006805698

[式中、A1b1、A1b2、Z1b1及びZ1b2は前記一般式(1)における、A、A、Z及びZと同じ意味を表し、
1b1及びR1b2は各々独立して炭素原子数1から8のアルキル基を表し、当該アルキル基中に存在する1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は各々独立して、−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−S−、−COO−、−OCO−又は−CO−に置き換えられてもよく、
1b1及びW1b2は各々独立して単結合又は炭素原子数1から4の直鎖状のアルキレン基を表し、該アルキレン基中に存在する1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は各々独立して−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CO−、又は−C≡C−に置き換えられてもよく、W1b1及びW1b2中に存在する水素原子はフッ素原子に置換されてもよく、
1b2及びY1b3は各々独立して単結合又は−CH=CH−を表し、
1b1及びn1b1は各々独立して0から5の整数を表すが、m1b1+n1b1は1から5を表す。]
Figure 0006805698

[式中、A1c2及びZ1c2は前記一般式(1)におけるA及びZと同じ意味を表し、
1c3
Figure 0006805698

から選ばれる基を表し、
1c1は炭素原子数1から15のアルキル基を表し、当該アルキル基中に存在する1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は各々独立して、−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−S−、−COO−、−OCO−又は−CO−に置き換えられてもよく、
1c2はフッ素原子、トリフルオロメトキシ基又はシアノ基を表し、
1c1は1から5の整数を表す。]
Figure 0006805698

[式中、A1d2及びA1d3は一般式(1)におけるAと同じ意味を表し、Z1d2、Z1d3及びZ1d4は一般式(1)におけるZと同じ意味を表し、
1d1は炭素原子数1から15のアルキル基を表し、当該アルキル基中に存在する1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は各々独立して、−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−S−、−COO−、−OCO−又は−CO−に置き換えられてもよく、
1d2は炭素原子数1から8のアルキル基を表し、当該アルキル基中に存在する1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は各々独立して、−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−S−、−COO−、−OCO−又は−CO−に置き換えられてもよく、
1d1は単結合又は炭素原子数1から4の直鎖状のアルキレン基を表し、該アルキレン基中に存在する1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は各々独立して−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CO−、又は−C≡C−に置き換えられてもよく、W1d1中に存在する水素原子はフッ素原子に置換されてもよく、
1d2は単結合又は−CH=CH−を表し、
1d1及びn1d2は各々独立して0から4の整数を表す。]
Figure 0006805698

[式中、A1e2及びZ1e2は前記一般式(1)における、A及びZと同じ意味を表し、
1e1は炭素原子数1から15のアルキル基を表し、当該アルキル基中に存在する1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は各々独立して、−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−S−、−COO−、−OCO−又は−CO−に置き換えられてもよく、
1e2はヒドロキシル基、ヒドロキシメチル基、ブロモメチル基、クロロメチル基、メタンスルホニルオキシメチル基、トルエンスルホニルオキシメチル基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基又は
Figure 0006805698

(式中の黒点はA1e2中のR1e2と直接結合する炭素原子を表し、R1e3は炭素原子数1から5のアルキル基又は水素原子を表す。)を表し、
1e1は1から4の整数を表す。]
好ましい化合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
一般式(1a)の中では以下の一般式(1a−1)〜一般式(1a−23)で表される各化合物が好ましい。
Figure 0006805698

(式中、R1a1、Z1a2及びR1a2は前記一般式(1a)における、R1a1、Z1a2及びR1a2と同じ意味を表す。)
Figure 0006805698

[式中、R1a1、Z1a2及びR1a2は前記一般式(1a)における、R1a1、Z1a2及びR1a2と同じ意味を表す。]
Figure 0006805698

[式中、R1a1、Z1a2及びR1a2は前記一般式(1a)における、R1a1、Z1a2及びR1a2と同じ意味を表す。]
Figure 0006805698

[式中、R1a1、Z1a2及びR1a2は前記一般式(1a)における、R1a1、Z1a2及びR1a2と同じ意味を表す。]
Figure 0006805698

[式中、R1a1、Z1a2及びR1a2は前記一般式(1a)における、R1a1、Z1a2及びR1a2と同じ意味を表す。]
一般式(1b)の中では以下の一般式(1b−1)〜一般式(1b−10)で表される各化合物が好ましい。
Figure 0006805698

[式中、R1b1及びR1b2は前記一般式(1b)における、R1b1及びR1b2と同じ意味を表す。]
Figure 0006805698

[式中、R1b1及びR1b2は前記一般式(1b)における、R1b1及びR1b2と同じ意味を表す。]
一般式(1c)の中では以下の一般式(1c−1)〜一般式(1c−65)で表される各化合物が好ましい。
Figure 0006805698

[式中、R1c1、R1c2、Z1c2及びA1c3は前記一般式(1c)における、R1c1、R1c21c1及びA1c3と同じ意味を表す。]
Figure 0006805698

[式中、R1c1、R1c2、Z1c2及びA1c3は前記一般式(1c)における、R1c1、R1c2、Z1c2及びA1c3と同じ意味を表す。]
Figure 0006805698

[式中、R1c1、R1c2、Z1c2及びA1c3は前記一般式(1c)における、R1c1、R1c2、Z1c2及びA1c3と同じ意味を表す。]
Figure 0006805698

[式中、R1c1、R1c2、Z1c2及びA1c3は前記一般式(1c)における、R1c1、R1c2、Z1c2及びA1c3と同じ意味を表す。]
Figure 0006805698

[式中、R1c1、R1c2、Z1c2及びA1c3は前記一般式(1c)における、R1c1、R1c2、Z1c2及びA1c3と同じ意味を表す。]
Figure 0006805698

[式中、R1c1、R1c2、Z1c2及びA1c3は前記一般式(1c)における、R1c1、R1c2、Z1c2及びA1c3と同じ意味を表す。]
Figure 0006805698

[式中、R1c1、R1c2、Z1c2及びA1c3は前記一般式(1c)における、R1c1、R1c2、Z1c2及びA1c3と同じ意味を表す。]
Figure 0006805698

[式中、R1c1、R1c2及びA1c3は前記一般式(1c)における、R1c1、R1c2及びA1c3と同じ意味を表す。]
一般式(1d)の中では以下の一般式(1d−1)〜一般式(1d−35)で表される各化合物が好ましい。
Figure 0006805698

[式中、R1d1、R1d2及びZ1d2は前記一般式(1d)における、R1d1、R1d2及びZ1d2と同じ意味を表す。]
Figure 0006805698

[式中、R1d1、R1d2及びZ1d2は前記一般式(1d)における、R1d1、R1d2及びZ1d2と同じ意味を表す。]
Figure 0006805698

Figure 0006805698

[式中、R1d1、R1d2及びZ1d2は前記一般式(1d)における、R1d1、R1d2及びZ1d2と同じ意味を表す。]
一般式(1e)の中では以下の一般式(1e−1)〜一般式(1e−13)で表される各化合物が好ましい。
Figure 0006805698

[式中、R1e1、R1e2及びZ1e2は前記一般式(1e)における、R1e1、R1e2及びZ1e2と同じ意味を表す。]
硫黄化合物としては、硫黄原子が1つ以上含まれる化合物であれば特に限定されないが、硫黄ラジカルを発生させやすく反応促進効果に優れる点から、有機硫黄化合物であると好ましく、下記一般式(A)〜(H)で表される化合物群から選ばれる化合物であるとより好ましい。また硫黄化合物は、同様の点から、S−S結合含有化合物であると好ましく、下記一般式(A)、(C)、(D)、(E)及び(F)で表される化合物群から選ばれる化合物であるとより好ましく、下記一般式(A)、(D)及び(F)で表される化合物群から選ばれる化合物であると更に好ましい。なお、S−S結合含有化合物は、S−S結合を1つ有する化合物であっても、S−S結合を2つ以上有する化合物であってもよい。また、S−S結合における2つのS原子は、それぞれ独立に酸化されていないS原子、すなわち−S−であっても、酸化されたS原子、すなわち−S(=O)−又は−S(=O)−であってもよい。
Figure 0006805698

[式中、R及びRは各々独立して置換又は無置換のフェニル基、置換又は無置換の炭素原子数1から8のアルキル基、置換又は無置換の炭素原子数2から8のアルケニル基及び水素原子から選ばれる基を表す。]
及び/又はRがフェニル基である場合、該フェニル基は、無置換であるか、又は直鎖状又は分岐状の炭素原子数1から8のアルキル基、直鎖状又は分岐状の炭素原子数1から8のアルコキシ基、直鎖状又は分岐状の炭素原子数2から8のアルケニル基、塩素原子、アミノ基あるいはヒドロキシ基等で置換されていることが好ましい。
及び/又はRがアルキル基又はアルケニル基である場合、該アルキル基又はアルケニル基は直鎖状であっても分岐状であってもよい。また、R及び/又はRがアルキル基又はアルケニル基である場合、該アルキル基又はアルケニル基は、無置換であるか、又は塩素原子、アミノ基あるいはヒドロキシ基等で置換されていることが好ましい。
これらの硫黄化合物の具体例としては、ジフェニルジスルフィド、フェニルスルフィド、ベンゼンチオール、(フェニルスルホニル)フェニルスルフィド、ジフェニルジスルホン、ジフェニルスルホキシド、ジフェニルスルホン、ジ−p−トリルジスルフィド、2,2'−ジアミノジフェニルジスルフィド、4,4'−ジアミノジフェニルジスルフィド、4,4'−ジヒドロキシジフェニルジスルフィド、3,3'−ジヒドロキシジフェニルジスルフィド、ビス(p−メトキシフェニル)ジスルフィド、4,4'−ジクロロジフェニルジスルフィド、4,4'−ジフルオロジフェニルジスルフィド、ビス(4−カルボキシフェニル)ジスルフィド、ジメチルジスルフィド、ジエチルジスルフィド、ジプロピルジスルフィド、ジイソプロピルジスルフィド、ジアリルジスルフィド等が挙げられる。これらの中で、ジフェニルジスルフィド、(フェニルスルホニル)フェニルスルフィド又はジフェニルジスルホンが好ましく、ジフェニルジスルフィドがより好ましい。
異性化反応に用いる硫黄化合物の添加量は、例えば、原料であるオレフィン誘導体全量に対して、0.1〜10モル%とすることができる。硫黄化合物の添加量の下限値は、原料であるオレフィン誘導体全量に対して、0.2モル%以上、0.5モル%以上、1%以上又は2%以上であることが好ましい。また、硫黄化合物の添加量の上限値は、原料であるオレフィン誘導体全量に対して、8モル%以下、7モル%以下、6モル%以下又は5モル%以下であることが好ましい。
ラジカル開始剤としては、従来公知のものを用いることができる。その具体例としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス−(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス−(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオナート)、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)等のアゾ化合物;ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、t−ブチルペルオキシピバレート、1,1’−ビス−(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、t−アミルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート等の有機過酸化物が挙げられるが、反応促進効果に優れる点から、アゾ化合物が好ましい。なお、ラジカル開始剤は、異性化反応の反応温度、基質の種類などに合わせて、適切な半減期温度を有するものを適宜選択することができる。
異性化反応に用いるラジカル開始剤の添加量は、例えば、原料であるオレフィン誘導体全量に対して、0.1〜10モル%とすることができる。ラジカル開始剤の添加量の下限値は、原料であるオレフィン誘導体全量に対して、0.2モル%以上、0.5モル%以上、1%以上又は2%以上であることが好ましい。また、ラジカル開始剤の添加量の上限値は、原料であるオレフィン誘導体全量に対して、8モル%以下、7モル%以下、6モル%以下又は5モル%以下であることが好ましい。
本発明の方法における反応温度は、E−オレフィン誘導体を選択的に析出することができ、且つE−オレフィン誘導体の融点未満の温度であれば特に問題ないが、例えば20℃〜120℃とすることができる。E−オレフィン誘導体を析出させやすくする観点から、上記温度は20℃〜90℃であることが好ましく、20℃〜70℃であることがより好ましく、30℃〜50℃であることが更に好ましい。
本発明の方法に使用する溶媒としては、例えば、トルエン、ベンゼン、キシレン等の芳香族系溶媒、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の飽和炭化水素系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン等の塩素系溶媒、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテル等のエーテル系溶媒、メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒を好適に用いることができ、トルエン、THF、メタノールが特に好ましい。これらの溶媒は必要に応じて混合して使用してもよい。
溶媒は基質の種類に合わせて適宜選択することができる。例えば、極性が低い基質を用いた場合には極性溶媒(例えばアルコール系溶媒、エーテル系溶媒等)を選択することが好ましく、極性が高い基質を用いた場合には非極性溶媒(例えば芳香族系溶媒、飽和炭化水素系等)を選択することが好ましい。また、目的のE−オレフィン誘導体を再結晶精製するのに適した溶媒を用いることも好ましい。
異性化反応に用いる溶媒の量は特に限定されないが、例えば、E/Z−オレフィン組成物100質量部に対して、100〜1000質量部とすることができる。
本発明の方法は、反応性の向上及び副反応の抑制の観点から、窒素等の不活性雰囲気下で行うことが好ましいが、他の気体の混入をできる限り避けることが好ましい。例えば、雰囲気中の酸素の濃度は10%以下であると好ましく、7%以下であるとより好ましく、3%以下であると更に好ましい。
本発明の方法により、Z−オレフィン誘導体の質量に対するE−オレフィン誘導体の質量比率(E体/Z体)を、90/10以上、すなわち、E/Z−オレフィン組成物におけるE−オレフィン誘導体の含有量を90質量%以上に高めることができる。Z−オレフィン誘導体の質量に対するE−オレフィン誘導体の質量比率は、より高いことが好ましく、(E体/Z体)=93/7以上であることが好ましく、97/3以上であることがより好ましい。Z−オレフィン誘導体の質量に対するE−オレフィン誘導体の質量比率(E体/Z体)は、ガスクロマトグラフィーにより定量可能である。
異性化反応後のE/Z−オレフィン組成物に残存したZ−オレフィン誘導体を除去し、目的とするE−オレフィン誘導体を得るために、E/Z−オレフィン組成物を更に精製してもよい。精製方法としてはクロマトグラフィー、再結晶、蒸留、昇華、再沈殿、吸着、分液処理等が挙げられる。精製剤を用いる場合、精製剤としてシリカゲル、アルミナ、活性炭、活性白土、セライト、ゼオライト、メソポーラスシリカ、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、備長炭、木炭、グラフェン、イオン交換樹脂、酸性白土、二酸化ケイ素、珪藻土、パーライト、セルロース、有機ポリマー、多孔質ゲル等が挙げられる。このような精製を繰り返すと、E−オレフィン誘導体の単離収率が低下するという問題があるが、本発明の方法によれば、異性化反応によりZ−オレフィン誘導体の質量に対するE−オレフィン誘導体の質量比率をより高めることができるため、精製の回数を減らすことができ、E−オレフィン誘導体の収率を向上することができる。
以下、例を挙げて本発明を更に詳述するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
ガスクロマトグラフィー分析については、以下の条件にて実施した。
サンプル調製:1質量%アセトン溶液
カラム導入量:1μL
装置:GC2010(島津製作所)
カラム: J&WDB-17MS(30m×0.25μm×0.25mm)
キャリアーガス:窒素
カラム圧力:(226 kPa)、カラム流量: 3.19 mL/min、平均速度:58.8 cm/sec
スプリット比: 50:1
インジェクション温度: 300℃、検出器温度:(FID) 320℃
カラム昇温設定: 100℃(1 min)→10℃/min→300℃(14 min)
(実施例1)
Figure 0006805698

式(1)のE/Zオレフィン組成物(50g、E体/Z体=4/96)、ジフェニルジスルフィド(347mg)及びエタノール(125mL)を室温にて、窒素で置換した反応容器で混合した後、内温47℃に加熱した。内温47℃にて2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(395mg)を加えた後、酸素濃度3%以下(約1%)の窒素雰囲気下で12時間攪拌した。なお、反応の途中で、析出物の生成が確認された。反応液をガスクロマトグラフィーにて分析したところ、E体/Z体=97/3であった。反応液を10℃まで冷却した後、メタノールを50mL加えた。その後、析出物をろ取し、メタノール(50mL)で上掛け洗浄した。得られた析出物をトルエン及びヘキサンの混合溶媒に溶解させた後、水(150mL)を加えて分液し、有機層を水(150mL)、飽和食塩水(150mL)の順に洗浄し、無水硫酸ナトリウムを加えて乾燥した。硫酸ナトリウムをろ別した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製することで、式(2)のE/Zオレフィン組成物(39.7g、E体/Z体=99/1)を得た。
(実施例2)
Figure 0006805698

式(1)のE/Zオレフィン組成物(45g、E体/Z体=4/96)、ジフェニルジスルフィド(312mg)及びエタノール(113mL)を室温にて、窒素で置換した反応容器で混合した後、内温47℃に加熱した。内温47℃にて2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(356mg)を加えた後、酸素濃度7%以下(約5%)の窒素雰囲気下で20時間攪拌した。なお、反応の途中で、析出物の生成が確認された。反応液をガスクロマトグラフィーにて分析したところ、E体/Z体=95/5であった。この反応溶液にトルエン(135mL)及び水(135mL)を加え、分液し、有機層を水(135mL)、飽和食塩水(135mL)の順に洗浄し、無水硫酸ナトリウムを加えて乾燥した。硫酸ナトリウムをろ別した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製することで、式(2)のE/Zオレフィン組成物(37.9g、E体/Z体=95/5)を得た。
なお、実施例1及び2に関して、ガスクロマトグラフィー分析により、E−オレフィン誘導体の比率の経時変化を測定した。その結果を図1に示す。図1から明らかであるように、反応系中の酸素濃度をより低くすることで、反応時間短縮やE−オレフィン誘導体の向上に効果があることが分かる。
(比較例1)
Figure 0006805698

式(1)のE/Zオレフィン組成物(3g、E体/Z体=4/96)、ベンゼンスルフィン酸ナトリウム(190mg)及びトルエン(7.5mL)を室温にて混合した後、内温95℃に加熱した。内温95℃にて酢酸(1.5mL)をゆっくりと加え、95℃にて更に3時間撹拌した。なお、反応の途中で、析出物の生成は確認されなかった。室温まで冷却した後、水(7.5mL)を加えて分液し、有機層を水(7.5mL)、飽和炭酸ナトリウム水溶液(7.5mL)及び飽和食塩水(7.5mL)の順に洗浄し、無水硫酸ナトリウムを加えて乾燥した。硫酸ナトリウムをろ別した後、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製することで、式(2)のE/Zオレフィン組成物(2.9g、E体/Z体=83/17)を得た。
以上の結果から明らかであるように、従来の方法と比べて、本発明の異性化方法を適用した場合には、より高い比率で目的とするE−オレフィン誘導体が得られる。

Claims (2)

  1. 分子中に1つ又は2つ以上のZ体を表すオレフィン構造を有するオレフィン誘導体を溶媒存在下で、硫黄化合物及びラジカル開始剤を作用させることにより異性化させて、前記Z体を表すオレフィン構造の少なくとも1つがE体を表すオレフィン構造に異性化した異性化体を得る、異性化体の製造方法であって、
    前記硫黄化合物が、一般式(A):
    Figure 0006805698

    [式中、R 及びR は各々独立して置換又は無置換のフェニル基、置換又は無置換の炭素原子数1から8のアルキル基、置換又は無置換の炭素原子数2から8のアルケニル基及び水素原子から選ばれる基を表す。]
    で表される化合物であり、
    前記ラジカル開始剤がアゾ化合物であり、
    前記分子中に1つ又は2つ以上のZ体を表すオレフィン構造を有するオレフィン誘導体が一般式(1):
    Figure 0006805698

    [式中、R 及びR は各々独立してフッ素原子、炭素原子数1〜12のアルキル基、炭素原子数2〜12のアルケニル基、炭素原子数1〜12のアルコキシ基又は炭素原子数2〜12のアルケニルオキシ基を表し、
    及びA は各々独立して
    (a)1,4−シクロへキシレン基(この基中に存在する1個の−CH −又は隣接していない2個以上の−CH −は−O−又は−S−に置き換えられてもよい。)
    (b)1,4−フェニレン基(この基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置き換えられてもよく、この基中に存在する水素原子はフッ素原子に置換されてもよい。)
    からなる群より選ばれる基であり、
    及びZ は各々独立して−CH O−、−OCH −、−CF O−、−OCF −、−CH CH −、−CF=CF−、−C≡C−又は単結合であり、
    m1及びn1は各々独立して0から4の整数を表すが、m1+n1は1から4であり、

    Figure 0006805698

    (式中の黒点はA 、A 、Z 、Z 、R 及びR 中のY と直接結合する原子を表す。)を表し、
    及びA が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていてもよく、Z 及びZ が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていてもよい。]
    で表されるオレフィン誘導体であり、
    前記異性化体を選択的に析出させながら異性化を行う製造方法。
  2. 前記異性化体の融点が、前記分子中に1つ又は2つ以上のZ体を表すオレフィン構造を有するオレフィン誘導体の融点よりも10℃以上高い、請求項に記載の製造方法。
JP2016196603A 2016-10-04 2016-10-04 E−オレフィン化合物の製造方法 Active JP6805698B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016196603A JP6805698B2 (ja) 2016-10-04 2016-10-04 E−オレフィン化合物の製造方法
CN201710875111.0A CN107892646A (zh) 2016-10-04 2017-09-25 异构化体的制造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016196603A JP6805698B2 (ja) 2016-10-04 2016-10-04 E−オレフィン化合物の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018058784A JP2018058784A (ja) 2018-04-12
JP6805698B2 true JP6805698B2 (ja) 2020-12-23

Family

ID=61802747

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016196603A Active JP6805698B2 (ja) 2016-10-04 2016-10-04 E−オレフィン化合物の製造方法

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP6805698B2 (ja)
CN (1) CN107892646A (ja)

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS459369Y1 (ja) * 1968-08-19 1970-05-02
US4338170A (en) * 1979-06-14 1982-07-06 Nissan Chemical Industries, Ltd. Isomerization of β-γ-unsaturated alcohol or its ester
JPH10273471A (ja) * 1997-03-28 1998-10-13 Mitsubishi Chem Corp フマル酸の製造方法
EP2279990B1 (en) * 2008-05-29 2016-10-26 JNC Corporation Liquid crystalline tetracyclic compound having fluorine atom, liquid crystal composition and liquid crystal display element
JP5470178B2 (ja) * 2010-07-06 2014-04-16 信越化学工業株式会社 尿素存在下のラジカル異性化によるe,e−脂肪族共役ジエン化合物の製造方法
JP2014019646A (ja) * 2012-07-12 2014-02-03 Jnc Corp フルオロビニル基を有する液晶化合物、液晶組成物および液晶表示素子
JP6512424B2 (ja) * 2014-12-24 2019-05-15 Dic株式会社 E−オレフィンの製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2018058784A (ja) 2018-04-12
CN107892646A (zh) 2018-04-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6797544B2 (ja) フッ素化ジベンゾフランおよびジベンゾチオフェン誘導体
KR20150122079A (ko) 4,6-다이플루오로다이벤조티오펜 유도체
KR20150108325A (ko) 4,6-다이플루오로다이벤조퓨란 유도체
KR20150086177A (ko) 2,3-디플루오로페닐 기를 함유하는 음성 액정 화합물, 및 그의 제조 방법 및 용도
JP6460089B2 (ja) 1,1,3,3−テトラフルオロアリルオキシ基を有する液晶性化合物、液晶組成物、および液晶表示素子
KR100644175B1 (ko) 알킬 및 아릴 트리플루오로메톡시테트라플루오로설푸란
CN105294526A (zh) 一种高双折射率液晶化合物及其制备方法以及其组合物
WO1998023563A1 (fr) Composes a cristaux liquides offrant une permittivite a anisotropie negative, compositions a cristaux liquides et afficheurs a cristaux liquides
JP3902802B2 (ja) ジエン化合物及び液晶媒質
JP6443708B2 (ja) E−オレフィン化合物の製造方法
WO2000039063A1 (fr) Composes de cristaux liquides presentant une anisotropie negative de permittivite
CN105732334B (zh) 烯烃衍生物组合物的制造方法
JP7027850B2 (ja) 液晶化合物及びその組成物
JP6805698B2 (ja) E−オレフィン化合物の製造方法
WO2021054309A1 (ja) 芳香族ビスエーテル化合物の製造方法
CN112480048B (zh) 化合物、液晶介质、液晶显示元件、液晶显示器
JP7079494B2 (ja) 新規化合物とその合成方法
JP5013071B2 (ja) 鉄触媒による芳香族化合物の製造方法
JP2004137258A (ja) 1,7,8−トリフルオロ−2−ナフトール及びこれを用いた液晶化合物の製造方法
JP4667607B2 (ja) 二置換フェナントレンおよびそれらの液晶混合物における使用
JP2006063049A (ja) フェニルシクロヘキセン誘導体またはスチレン誘導体の製造方法
JP2006347893A (ja) 新規t型化合物及びこれを含む液晶組成物
JP6489369B2 (ja) ジフルオロメチルエーテル骨格を有する化合物の製造方法及びその製造中間体化合物
JPH0776536A (ja) ハロゲン化ビニル誘導体およびこれを原料とする液晶化合物の製造方法
TWI757383B (zh) 硫醚化合物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190809

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200721

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200728

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200924

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20201104

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20201117

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6805698

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151