JPH10273471A - フマル酸の製造方法 - Google Patents

フマル酸の製造方法

Info

Publication number
JPH10273471A
JPH10273471A JP7723197A JP7723197A JPH10273471A JP H10273471 A JPH10273471 A JP H10273471A JP 7723197 A JP7723197 A JP 7723197A JP 7723197 A JP7723197 A JP 7723197A JP H10273471 A JPH10273471 A JP H10273471A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
acid
fumaric acid
maleic acid
amount
thiourea
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP7723197A
Other languages
English (en)
Inventor
Naoyuki Watanabe
尚之 渡辺
Yoshizo Ubukawa
喜三 生川
Naoki Kato
尚樹 加藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP7723197A priority Critical patent/JPH10273471A/ja
Publication of JPH10273471A publication Critical patent/JPH10273471A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高純度のフマル酸を効率よく且つ高収率で得
ることのできる製造方法の提供。 【解決手段】 チオ尿素の存在下、マレイン酸を水溶液
中で異性化させてフマル酸とし、この水溶液からフマル
酸を結晶として回収することからなるフマル酸の製造方
法において、原料マレイン酸濃度が20〜60重量%で
あり、且つフマル酸結晶を回収する際に原料マレイン酸
に対して0.1〜5重量%の無機酸を存在させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フマル酸の製造方
法に関する。詳しくはチオ尿素の存在下、マレイン酸を
異性化させてフマル酸を製造する方法の改良に関する。
フマル酸は、ポリエステル樹脂、リンゴ酸、アスパラギ
ン酸等の製造原料、界面活性剤、殺虫剤等の中間原料と
して、更には清涼飲料、菓子類等の食品に広く使用され
ている。
【0002】
【従来の技術】従来、フマル酸の製造方法としては、ベ
ンゼンの接触酸化による無水マレイン酸の製造及びナフ
タレン又はo−キシレンの接触酸化による無水フタル酸
の製造の際に得られるマレイン酸含有廃水をチオ尿素と
塩酸と亜硫酸水素ナトリウム又は亜硫酸ソーダを用いて
異性化させる方法(英国特許第2207915A号明細
書)或いはオルソキシレンの酸化により無水フタル酸を
製造する際の廃ガスから得られる低濃度のマレイン酸の
水溶液をチオ尿素及び塩酸又は硫酸を用いて異性化する
方法(特開昭48−29713号公報)が知られてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前者の
方法では、マレイン酸含有廃水がベンゼン、ナフタレン
等の接触酸化によるアルデヒド、キノン等の副生物を含
有しているため、反応系内に亜硫酸水素ナトリウム又は
亜硫酸ソーダのような還元剤を添加せねばならない。
【0004】また、後者の方法では、無機酸を大量に添
加するため、マレイン酸濃度が高い場合には触媒である
チオ尿素が分解し、フマル酸の収率が逆に低下する(比
較例1)という問題がある。本発明の目的は、従来法に
おける課題を解決し、純度の高いフマル酸を効率よく製
造する方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
を解決するために鋭意検討した結果、原料のマレイン酸
濃度が20重量%以上という高濃度でマレイン酸からフ
マル酸を製造する際に、原料マレイン酸に対して特定量
の無機酸を存在させることにより、フマル酸の収率が向
上することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】即ち、本発明の要旨は、チオ尿素の存在
下、マレイン酸を水溶液中で異性化させてフマル酸と
し、この水溶液からフマル酸を結晶として回収すること
からなるフマル酸の製造方法において、原料マレイン酸
濃度が20〜60重量%であり、且つフマル酸結晶を回
収する際に原料マレイン酸に対して0.1〜5重量%の
無機酸を存在させることを特徴とするフマル酸の製造方
法、にある。以下、本発明を詳細に説明する。
【0007】
【発明の実施の形態】
(マレイン酸)本発明で使用されるマレイン酸は、精製
品でも粗精製品でもよい。精製品であれば、市販のマレ
イン酸や無水マレイン酸を水に溶解して使用できる。粗
精製品であれば、無水マレイン酸製造プロセス(例えば
SRI international ReportNo.46C October 1989 )
の中間工程で得られる粗マレイン酸や無水フタル酸製造
プロセスの排ガスに水を接触させて回収される粗マレイ
ン酸水溶液(例えば特公昭40−23784号公報)の
ように不純物が存在するマレイン酸を使用することも可
能である。
【0008】異性化反応は水溶液媒体中で実施される
が、この時のマレイン酸濃度は、20〜60重量%、好
ましくは25〜50重量%である。上記濃度より低いと
溶解するフマル酸が多くなるため、収率を低下させるこ
とになり好ましくなく、上記濃度より高いと反応進行と
共に大量のフマル酸が析出し、反応系が固化し、系の撹
拌ができない状況になり好ましくない。
【0009】(チオ尿素)チオ尿素は工業品が市販され
ているが、その純度は98%以上であり、この程度の純
度を持つチオ尿素が使用される。異性化反応に使用され
るチオ尿素の量は、原料のマレイン酸に対し0.5〜5
重量%、好ましくは1〜3重量%である。この使用量よ
り少ないとマレイン酸の転化率が低く好ましくなく、上
記使用量より多いとマレイン酸(又はフマル酸)とチオ
尿素が反応してできる2−イミノ−4−オキソ−チアゾ
ール−5−酢酸が大量に生成し、フマル酸の収率を低下
させるだけの状況になり好ましくない。
【0010】(無機酸)無機酸としては、硫酸、塩酸、
リン酸、硝酸等から任意に選ばれる。これら無機酸を二
つ以上併用しても何ら問題ない。系内に添加される量
は、原料のマレイン酸に対して0.1〜5重量%、好ま
しくは0.1〜4.9重量%である。上記添加量より少
ないと、回収時に副生物が沈殿してしまうため好ましく
なく、上記添加量より大きいと、純粋なフマル酸を得る
ために大量のリンスが必要になり好ましくない。
【0011】本発明においては、スラリーを固液分離し
てフマル酸を回収する際に、無機酸を存在させることが
必要である。従って、無機酸は固液分離時、固液分離前
又は異性化反応時に添加するのがよいが、異性化反応前
に予め仕込んでおく方がマレイン酸の転化率の面から好
ましい。
【0012】(異性化反応)異性化反応は、通常マレイ
ン酸水溶液を適当な温度、例えば50〜90℃、好まし
くは触媒であるチオ尿素の分解が押さえられる50〜8
0℃まで加熱した後、チオ尿素を添加して実施される。
チオ尿素の添加方法としては、粉体で添加してもよい
が、スラリー又は水溶液で添加する方が、反応温度を制
御しやすい点で好ましい。この時のチオ尿素の濃度は5
0重量%以下であり、15重量%以下では均一系で添加
されることになる。
【0013】触媒添加時の圧力は、特に規定するもので
はないが、除熱の面から減圧ないし常圧、例えば0.2
〜1kgf/cm2 (20.3〜101.3kPa)が
選ばれる。触媒添加後は、温度50〜90℃、好ましく
は50〜80℃で2時間以上、好ましくは3時間以上反
応生成物を加温する。上限は、経済的理由から例えば8
時間以下が選ばれる。温度が低いとマレイン酸の転化率
が悪くなり好ましくなく、温度が高いとリンゴ酸の生成
があり、フマル酸の収率を悪化させることになり好まし
くない。この時の圧力は常圧から加圧条件下、例えば1
〜5kgf/cm2(101.3〜506.5kPa)
で好ましく行われる。
【0014】この反応はフマル酸の溶解度が小さいため
に、フマル酸が析出する反応晶析の形態で進行する。こ
の反応晶析は通常、撹拌槽タイプの晶析槽を用いて実施
される。反応はバッチで行ってもよいし、マレイン酸の
水溶液と触媒を連続的に供給する一方で、反応スラリー
を連続的に抜き出す連続式でもよいし、連続的に供給す
る一方で抜き出しを間欠的に行う方法を採ることも可能
である。異性化反応をバッチで行う際には、反応系の除
熱面からチオ尿素を分割して投入することが好ましく、
通常10分以上、例えば1〜2時間程度の時間をかけて
投入することが好ましい。
【0015】(固液分離)上記操作を行って得られるス
ラリーを固液分離してフマル酸を回収する。スラリーの
固液分離は、10〜50℃の温度範囲、好ましくは、2
0〜50℃で行う。この温度より低いと、反応の際に生
成する2−イミノ−4−オキソ−チアゾール−5−酢酸
が析出し、得られるフマル酸の純度を悪化させることに
なり好ましくなく、この温度より高いと、フマル酸の溶
解度が高くなり、回収率が低下することになり好ましく
ない。この操作を行うことにより得られる結晶は、99
%以上の純度を持つフマル酸として回収することができ
る。
【0016】必要に応じて得られる結晶を水でリンスし
ても良い。このリンス操作に用いる水の量は、特に限定
するものではないが、湿ケーキに対して5重量倍以下、
好ましくは、3重量倍以下で行う。リンス量が少なすぎ
るとリンス効果が十分でなく、多すぎるとフマル酸の回
収率が低下する。リンス水の温度についても特に限定さ
れるものではない。この操作を行うことにより得られる
結晶は、99.8%以上の純度を持つフマル酸として回
収することができる。固液分離装置は、限定されるもの
ではないが、ヌッチェ、遠心分離器等を使用できる。こ
のフマル酸を製造する方法において、チオ尿素とマレイ
ン酸と無機酸を本質的な原料として使用する方法が好ま
しい。
【0017】
【実施例】以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明を
具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り
実施例に限定されるものではない。尚、マレイン酸(以
下MAと略記する)、フマル酸(以下FAと略記す
る)、チオ尿素(以下TUと略記する)、2−イミノ−
4−オキソ−チアゾール−5−酢酸(以下ITAと略記
する)の分析は高速クロマトグラフィーにより定量し
た。
【0018】比較例1 無水マレイン酸を水に添加して調整した39.02重量
%MA水溶液1000gと98重量%硫酸39.8gを
1.5Lガラス製反応器に仕込み、70℃に昇温した。
この水溶液に10重量%TU水溶液70.23g(添加
TU量 原料のMAに対して1.8重量%)を2時間か
けて連続的に添加した。この温度で2時間撹拌の後、3
0℃まで冷却して得られたFAを遠心分離器を用いて回
収した。この時のMAの転化率は74.6%、FAの収
率は71.9%であった。
【0019】実施例1 無水マレイン酸を水に添加して調整した39.02重量
%MA水溶液1000gと98重量%硫酸11.94g
を1.5Lガラス製反応器に仕込み、80℃に昇温し
た。この水溶液に10重量%TU水溶液70.23g
(添加TU量 原料のMAに対して1.8重量%)を2
時間かけて連続的に添加した。この温度で2時間撹拌の
後、30℃まで冷却して、得られたFAを遠心分離器を
用いて回収した。この時のMAの転化率は99.5%、
FAの収率は96.9%であった。
【0020】
【発明の効果】本発明によれば、マレイン酸の異性化に
よるフマル酸の製造において高純度のフマル酸を効率よ
く且つ高収率で得ることができる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 チオ尿素の存在下、マレイン酸を水溶液
    中で異性化させてフマル酸とし、この水溶液からフマル
    酸を結晶として回収することからなるフマル酸の製造方
    法において、原料マレイン酸濃度が20〜60重量%で
    あり、且つフマル酸結晶を回収する際に原料マレイン酸
    に対して0.1〜5重量%の無機酸を存在させることを
    特徴とするフマル酸の製造方法。
  2. 【請求項2】 異性化反応を50〜90℃で行う請求項
    1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 フマル酸結晶の回収を10〜50℃で行
    う請求項1又は2に記載の方法。
JP7723197A 1997-03-28 1997-03-28 フマル酸の製造方法 Pending JPH10273471A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7723197A JPH10273471A (ja) 1997-03-28 1997-03-28 フマル酸の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7723197A JPH10273471A (ja) 1997-03-28 1997-03-28 フマル酸の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH10273471A true JPH10273471A (ja) 1998-10-13

Family

ID=13628098

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP7723197A Pending JPH10273471A (ja) 1997-03-28 1997-03-28 フマル酸の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH10273471A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004216370A (ja) * 2002-12-27 2004-08-05 Sumitomo Chem Co Ltd 晶析方法および晶析装置
CN107892646A (zh) * 2016-10-04 2018-04-10 Dic株式会社 异构化体的制造方法
WO2018230011A1 (ja) * 2017-06-15 2018-12-20 花王株式会社 ジカルボン酸結晶の製造方法
JP2019001773A (ja) * 2017-06-15 2019-01-10 花王株式会社 ジカルボン酸結晶の製造方法

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004216370A (ja) * 2002-12-27 2004-08-05 Sumitomo Chem Co Ltd 晶析方法および晶析装置
CN107892646A (zh) * 2016-10-04 2018-04-10 Dic株式会社 异构化体的制造方法
WO2018230011A1 (ja) * 2017-06-15 2018-12-20 花王株式会社 ジカルボン酸結晶の製造方法
JP2019001773A (ja) * 2017-06-15 2019-01-10 花王株式会社 ジカルボン酸結晶の製造方法
CN110709376A (zh) * 2017-06-15 2020-01-17 花王株式会社 二羧酸结晶的制造方法
TWI746724B (zh) * 2017-06-15 2021-11-21 日商花王股份有限公司 二羧酸結晶之製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7307188B2 (en) Purification of carboxylic acids by complexation with selective solvents
GB2032920A (en) Process for preparing terephthalic acid
JP4012568B2 (ja) ハロ置換芳香族酸の製造方法
JPH10273471A (ja) フマル酸の製造方法
US3592847A (en) Process for the purification of terephthalic acid
JPH07206763A (ja) 精製3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸又はその酸二無水物の製造方法
JPH10218833A (ja) フマル酸の製造方法
JPH07238051A (ja) 高純度ナフタレンジカルボン酸の製造方法
JPS62212340A (ja) 2,6−ナフタレンジカルボン酸とトリメリツト酸の併産方法
JPH11189567A (ja) フマル酸の製造方法
JP3187212B2 (ja) ナフタレンジカルボン酸の連続製造法
JP2664467B2 (ja) ビフェニルジカルボン酸の精製法
JPH1180074A (ja) 高純度2,6−ナフタレンジカルボン酸の製造法
JP2002069031A (ja) 高純度ピロメリット酸および高純度無水ピロメリット酸の製造方法
JPH0460457B2 (ja)
JP3264753B2 (ja) 4−ビフェニルカルボン酸の製造方法
JPH0748314A (ja) ナフタレンジカルボン酸の連続製造法
JPH09124548A (ja) アルキル安息香酸の製造方法
JPS591250B2 (ja) ナフトキノンとフタル酸の分離方法
GB2183636A (en) Process for producing 2-6-Di (2-hydroxy-2-propyl)naphthalene
CN113929632A (zh) 一种阿昔莫司钙盐及其制备方法
JP2000169422A (ja) フマル酸の製造方法
JPH03279347A (ja) 4,4’―ジフェニルジカルボン酸の精製方法
JP2002069073A (ja) 高純度無水ピロメリット酸の製造方法
JPH03167153A (ja) 3,5―ジヨードサリチル酸の製造方法