ところで、特許文献1に記載のものでは、第1アームに連結された第2アームに、第2モータ及び第3モータが固定されている。このため、第1アームを回転させる際の慣性モーメントが大きくなり、アームを目標位置で停止させるまでの時間が長くなるおそれがある。
また、各モータへ電力を供給する電力供給線等を含むケーブルを、ロボットに設置する必要がある。モータの配置に応じて適切にケーブルを設置しなければ、ケーブルの耐久性が低下するおそれがある。
本発明は、こうした課題を解決するためになされたものであり、その主たる目的は、アームを目標位置で停止させるまでの時間を短縮することができ、且つケーブルの耐久性が低下することを抑制することのできる水平多関節型ロボットを提供することにある。
上記課題を解決するための第1の手段は、
筐体を有する基台と、
第1カバーを有し、第1軸線を中心として前記基台に水平回転自在に連結された第1アームと、
第2カバーを有し、第2軸線を中心として前記第1アームに水平回転自在に連結された第2アームと、
前記第2アームを水平回転駆動する第2アーム駆動モータと、
第3軸線に沿って前記第2アームに垂直往復動自在に連結された第3軸と、
前記第3軸を垂直往復動駆動する第3軸駆動モータと、
を備える水平多関節型ロボットであって、
前記第2アーム駆動モータは、前記第1アームにおいて前記第1軸線寄りの部分に固定されており、
前記第3軸駆動モータは、前記第2アームに固定されており、
前記筐体は、前記第1軸線の方向の両側から、前記第1アームにおける前記水平回転自在に接続された部分を覆う第1部及び第2部を有しており、
前記筐体の前記第2部の内部から前記第1アームの内部へ第2モータケーブルが挿入されて前記第2アーム駆動モータに接続されており、
前記筐体の前記第2部には、前記第1軸線上に導出開口が形成されており、
前記第2カバーには、前記第2軸線上に導入開口が形成されており、
前記筐体の前記第2部の内部から外部へ前記導出開口を通じて第3モータケーブルが導かれ、前記導入開口を通じて前記第2カバーの内部へ前記第3モータケーブルが挿入されて前記第3軸駆動モータに接続されており、
前記筐体の内部において、前記第2モータケーブル及び前記第3モータケーブルは、それぞれ第1固定部材及び第2固定部材により前記基台に固定されており、
前記第2モータケーブルのうち前記第1固定部材よりも前記第2アーム駆動モータ側の部分は、前記第3モータケーブルから離間して設置されており、
前記第3モータケーブルのうち前記第2固定部材よりも前記第3軸駆動モータ側の部分は、前記第2モータケーブルから離間して設置されている。
上記構成によれば、第2アームを水平回転駆動する第2アーム駆動モータは、第1アームにおいて第1軸線寄りの部分に固定されている。このため、第1アームに連結された第2アームに第2アーム駆動モータが固定されている構成と比較して、第1軸線を中心として第1アームを回転させる際の慣性モーメントを小さくすることができる。したがって、アームを目標位置で停止させるまでの時間を短縮することができる。なお、第3軸駆動モータは、第2アームに固定されている。このため、第3軸駆動モータが第1アームに固定されている構成と比較して、第3軸駆動モータから第3軸へトルクを伝達する構成が簡潔になるため、第3軸駆動モータから第3軸へ高トルクを伝達することができる。
また、基台の筐体は、第1軸線の方向の両側から、第1アームにおける水平回転自在に接続された部分を覆う第1部及び第2部を有している。筐体の第2部の内部から第1アームの内部へ第2モータケーブルが挿入されて第2アーム駆動モータに接続されている。一方、筐体の第2部には、第1軸線上に導出開口が形成されている。第2カバーには、第2軸線上に導入開口が形成されている。そして、筐体の第2部の内部から外部へ導出開口を通じて第3モータケーブルが導かれ、導入開口を通じて第2カバーの内部へ第3モータケーブルが挿入されて第3軸駆動モータに接続されている。
ここで、ロボットの筐体内の複数のケーブルは、設置スペースを減らすために、束ねられていることが一般的である。しかしながら、第2モータケーブルは、第1アームに固定された第2アーム駆動モータに接続されている。一方、第3モータケーブルは、第2アームに固定された第3軸駆動モータに接続されている。このため、第2モータケーブルと第3モータケーブルとは、第1アーム及び第2アームの駆動状態に応じて異なる動きをする。そして、第2モータケーブル及び第3モータケーブルは共に、筐体の第2部の内部を通っている。したがって、筐体の第2部の内部において、第2モータケーブルと第3モータケーブルとが、絡まったり擦れたりすることで、これらのケーブルの耐久性が低下するおそれがある。
この点、上記構成によれば、筐体の内部において、第2モータケーブル及び第3モータケーブルは、それぞれ第1固定部材及び第2固定部材により基台に固定されている。そして、第2モータケーブルのうち第1固定部材よりも第2アーム駆動モータ側の部分は、第3モータケーブルから離間して設置されている。このため、第2モータケーブルのうち第1固定部材よりも第2アーム駆動モータ側の部分が第1アームの駆動に伴って動いたとしても、第3モータケーブルと絡まったり擦れたりすることがない。また、第3モータケーブルのうち第2固定部材よりも第3軸駆動モータ側の部分は、第2モータケーブルから離間して設置されている。このため、第3モータケーブルのうち第2固定部材よりも第3軸駆動モータ側の部分が第2アームの駆動に伴って動いたとしても、第2モータケーブルと絡まったり擦れたりすることがない。したがって、ケーブルの耐久性が低下することを抑制することができる。
第2の手段では、前記筐体の内部において、前記第3モータケーブルの曲率は、前記第2モータケーブルの曲率よりも小さく設定されている。
第3モータケーブルは、第2アームに固定された第3軸駆動モータに接続されている。このため、第3モータケーブルの動きは、第2モータケーブルの動きよりも大きくなる。したがって、第3モータケーブルは、第2モータケーブルよりも断線等が生じ易い。
この点、上記構成によれば、筐体の内部において、第3モータケーブルの曲率は、第2モータケーブルの曲率よりも小さく設定されている。このため、第3モータケーブルの曲がりを第2モータケーブルよりも抑制することができ、第3モータケーブルに断線等が生じることを抑制することができる。
具体的には、第3の手段のように、前記筐体の内部において、前記第2モータケーブル及び前記第3モータケーブルは前記第1軸線を含む共通の所定平面に沿って配置されており、且つ前記第1軸線に対して前記第3モータケーブルは前記第2モータケーブルよりも離れているといった構成を採用することができる。こうした構成によれば、筐体の内部において第2モータケーブル及び第3モータケーブルを効率的に設置しつつ、第3モータケーブルの曲率を第2モータケーブルの曲率よりも小さくし易くなる。さらに、第3モータケーブルが第2モータケーブルよりも遠回りすることで、第3モータケーブルの可動部分の長さがより長くなる。したがって、第1アーム及び第2アームの動作の影響を受けて第2モータケーブルよりもねじれ易い第3モータケーブルのねじれを、第3モータケーブルのより長い可動部分で緩和することができる。したがって、第3モータケーブルの耐久性を向上させることができる。
第3モータケーブルのうち第2固定部材よりも第3軸駆動モータ側の部分を、第2モータケーブルから離間して設置する際に、第3モータケーブルを多数の固定部材により基台に固定することが考えられる。しかしながら、その場合、第3モータケーブルのうち可動部分が短くなり、第3モータケーブルのねじれを可動部分で緩和しにくくなる。
この点、第4の手段では、前記第3モータケーブルのうち前記第2固定部材よりも前記第3軸駆動モータ側の部分は、前記筐体内を仕切る仕切部材により、前記第2モータケーブルから離間させられているといった構成を採用している。このため、第3モータケーブルのうち第2固定部材よりも第3軸駆動モータ側の部分を多数の固定部材により基台に固定する必要がなく、第3モータケーブルのうち可動部分を長くすることができる。したがって、第2アームの回転に伴う第3モータケーブルのねじれを、第3モータケーブルのより長い可動部分で緩和することができる。したがって、第3モータケーブルの耐久性を向上させることができる。
第5の手段では、前記筐体の前記第2部の内部において、前記仕切部材よりも前記第3モータケーブル側の容積は、前記仕切部材よりも前記第2モータケーブル側の容積よりも大きくなっている。
上記構成によれば、筐体の第2部の内部において、仕切部材よりも第3モータケーブル側の容積は、仕切部材よりも第2モータケーブル側の容積よりも大きくなっている。このため、第2モータケーブルよりも動きの大きい第3モータケーブルを、より大きな容積内で可動させることができる。したがって、第3モータケーブルの擦れやねじれを抑制することができ、第3モータケーブルの耐久性を向上させることができる。
第6の手段では、前記第3モータケーブルは、前記筐体の内部において前記第1軸線から離れた位置で前記基台に固定されている。
上記構成によれば、第3モータケーブルは、筐体の内部において第1軸線から離れた位置で基台に固定されている。このため、第3モータケーブルが第1軸線上で基台に固定された構成と比較して、第2アームの回転に伴うケーブルのねじれを、第3モータケーブルのより長い部分で緩和することができる。したがって、第3モータケーブルの耐久性を向上させることができる。
第7の手段では、前記導入開口を通じて前記第2カバーの内部へ導かれた前記第3モータケーブルは、前記第2軸線から離れた位置で前記第2アームに固定されている。
上記構成によれば、導入開口を通じて第2カバーの内部へ導かれた第3モータケーブルは、第2軸線から離れた位置で第2アームに固定されている。このため、導入開口を通じて第2カバーの内部へ導かれた第3モータケーブルが第2軸線上で第2アームに固定された構成と比較して、第2アームの回転に伴う第3モータケーブルのねじれを、第3モータケーブルのより長い部分で緩和することができる。したがって、第3モータケーブルの耐久性を向上させることができる。
第8の手段では、中空状で不撓性に形成され、第1端部が前記導出開口に対向し且つ前記第1軸線を中心として前記基台に対して水平回転自在に連結され、第2端部が前記導入開口に対向し且つ前記第2軸線を中心として前記第2アームに対して水平回転自在に連結されたケーブルガイドを備え、前記第3モータケーブルは、前記筐体の前記第2部の内部から前記導出開口を通じて前記ケーブルガイドの内部へ導かれ、前記導入開口を通じて前記第2カバーの内部へ導かれている。
上記構成によれば、第1アームは第1軸線を中心として基台に水平回転自在に連結され、ケーブルガイドの第1端部は第1軸線を中心として基台に対して水平回転自在に連結されている。このため、第1アーム及びケーブルガイドは、共に第1軸線を中心として回転させられる。したがって、ケーブルガイドが不撓性に形成されていても、ケーブルガイドが第1アームの回転を妨げることはない。なお、不撓性とは、可撓性や柔軟性ではないという意味であり、完全な剛体である必要はない。
また、第2アームは第2軸線を中心として第1アームに水平回転自在に連結され、ケーブルガイドの第2端部は第2軸線を中心として第2アームに対して水平回転自在に連結されている。このため、第2アームは、第2軸線を中心として、第1アーム及びケーブルガイドに対して回転させられる。したがって、ケーブルガイドが不撓性に形成されていても、ケーブルガイドが第2アームの回転を妨げることはない。
ケーブルガイドは中空状に形成され、第1端部が導出開口に対向しており、第2端部が導入開口に対向している。そして、第3モータケーブルは、筐体の内部から導出開口を通じてケーブルガイドの内部へ導かれ、導入開口を通じて第2カバーの内部へ導かれている。ここで、第1アームの回転に伴ってケーブルガイドが回転させられても、ケーブルガイドは不撓性に形成されているため、振られることが抑制される。さらに、ケーブルガイドの内部の第3モータケーブルが振られることは、不撓性のケーブルガイドによって抑制される。したがって、アームの動作が、第3モータケーブルを収納する部材の振動による影響を受けることを抑制することができ、アームを目標位置で停止させるまでの時間を短縮することができる。なお、第1カバーを通じて第2カバーの内部へ第3モータケーブルを通す構成と比較して、アームの内部の構成を簡潔にすることができるとともに、メンテナンス性を向上させることができる。
以下、一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。本実施形態は、機械組立工場などの組立ラインにて用いられる産業用ロボットに具現化している。
図1,2に示すように、水平多関節型ロボット10は、基台80、第1アーム11、第2アーム20、第3軸30、ケーブル70、ケーブルガイド50等を備えている。
基台80は、筐体81、ケーブル挿入部82等を備えている。基台80は、床Fに固定されている。なお、基台80を天井に固定することもできる。筐体81は、本体部81a、垂直部81b、及び水平部81cを備えている。本体部81a(第1部に相当)は、楕円筒状に形成されている。垂直部81bは、円筒状に形成されており、本体部81aの周縁部の一部から垂直方向に延びている。水平部81c(第2部に相当)は、半円筒状に形成されており、垂直部81bにおける本体部81aと反対側の端部から水平方向に延びている。筐体81の下部には、ケーブル挿入部82が設けられている。
基台80には、ベアリング14,15を介して、第1アーム11が水平回転自在に連結されている。ベアリング14,15は、ラジアル方向の荷重とスラスト方向の荷重と軸線が傾斜する方向の荷重(モーメント荷重)とを支えることができるものであり、例えば4点接触式のものである。第1アーム11は、軸線C1(第1軸線に相当)を中心として水平回転自在となっている。すなわち、第1アーム11は、軸線C1の方向の両側(下側及び上側)から、基台80に対して水平回転自在に支持(すなわち接続)されている。第1アーム11は、第1アーム11のフレーム等(図示略)を覆う第1カバー18を有している。
第1アーム11の先端部には、ベアリング26を介して、第2アーム20が水平回転自在に連結されている。ベアリング26も、ベアリング14と同様のものである。第2アーム20は、軸線C2(第2軸線に相当)を中心として水平回転自在となっている。第2アーム20は、第2アーム20のフレーム等(図示略)を覆う第2カバー28を有している。なお、第2アーム20は、第1アーム11の必ずしも先端部に連結されていなくてもよく、例えば第1アーム11の先端部よりも中央寄りの部分に連結されていてもよい。
第2アーム20の先端部には、第3軸30が垂直往復動自在に連結されている。第3軸30は、軸線C3(第3軸線に相当)に沿って往復動自在となっている。また、第3軸30は、軸線C3を中心として水平回転自在となっている。
基台80には、第1アーム11を水平回転駆動する第1モータ12が固定されている。第1モータ12の出力軸は、減速機13を介して第1アーム11の基端部に固定されている。減速機13は、基台80に固定されている。第1モータ12の出力軸と減速機13とは、軸線C1を中心として同軸に配置されている。
第1アーム11の基端部には、第2アーム20を水平回転駆動する第2モータ21が固定されている。第2モータ21(第2アーム駆動モータに相当)の出力軸は、プーリ22を介してベルト23に連結されている。第2モータ21の出力軸とプーリ22とは、軸線C1を中心として同軸に配置されている。すなわち、第2モータ21は、第1アーム11において軸線C1寄りの部分、詳しくは軸線C1上の部分に固定されている。
ベルト23には、プーリ24が連結されている。プーリ24は、減速機25を介して第2アーム20の基端部に固定されている。減速機25は、第1アーム11に固定されている。プーリ24の回転軸と減速機25とは、軸線C2を中心として同軸に配置されている。
第2アーム20の基端部には、第3軸30を垂直往復動駆動する第3モータ31が固定されている。第3モータ31(第3軸駆動モータに相当)は、第2アーム20において軸線C2寄りの部分に固定されている。第3モータ31の出力軸は、プーリ(図示略)を介してベルト32に連結されている。ベルト32には、プーリやボールねじナット等(図示略)を介して第3軸30が連結されている。
また、第2アーム20の基端部には、第3軸30を水平回転駆動する第4モータ41が固定されている。第4モータ41は、第2アーム20において軸線C2寄りの部分に固定されている。第4モータ41の出力軸は、プーリ(図示略)を介してベルト42に連結されている。ベルト42には、プーリ43を介してベルト44が連結されている。ベルト44には、プーリ等(図示略)を介して第3軸30が連結されている。
こうした構成によれば、第1モータ12によって、減速機13を介して第1アーム11が水平回転駆される。第1アーム11は、ベアリング14,15により支持されて水平回転させられる。第2モータ21によって、減速機25を介して第2アーム20が水平回転駆される。第2アーム20は、ベアリング26により支持されて水平回転させられる。第3モータ31によって、第3軸30が垂直往復動駆動される。第4モータ41によって、第3軸30が水平回転駆動される。
筐体81の外部からケーブル挿入部82を介して、筐体81の内部へケーブル70が挿入されている。ケーブル70は、第1モータ12、第2モータ21、第3モータ31、及び第4モータ41へ電力を供給する電力供給線や、各モータの回転位置を検出する検出器の出力信号を送信する信号線、ユーザが各種信号の入出力に用いる入出力線等を含んでいる。
筐体81の本体部81a(第1部に相当)は、軸線C1の方向の第1モータ12側(一方側)から、第1アーム11におけるベアリング14により支持された部分を覆っている。筐体81の水平部81c(第2部に相当)は、軸線C1の方向の第1モータ12と反対側(他方側)から、第1アーム11におけるベアリング15により支持された部分を覆っている。すなわち、筐体81は、軸線C1の方向の両側から、第1アーム11における水平回転自在に支持(接続)された部分をそれぞれ覆う本体部81a及び水平部81cを有している。
筐体81の内部において、ケーブル70は、ケーブル71,73,74に分かれており、ケーブル71(第1モータケーブル)が第1モータ12に接続されている。ケーブル73(第2モータケーブルに相当)は、筐体81の水平部81cの内部から開口17を通じて第1アーム11の第1カバー18の内部へ、第1モータ12と反対側から挿入されている。そして、ケーブル73は第2モータ21に接続されている。すなわち、第1アーム11に対して基台80の第1モータ12側には、第1アーム11の第1カバー18の内部へケーブル73を挿入するための開口(空間)は形成されていない。
筐体81の水平部81cの内部から第1アーム11の第1カバー18の内部へ、第1モータ12と反対側からケーブル73が挿入されている部分は、シール部材16によりシールされている。すなわち、筐体81の水平部81cと第1アーム11の第1カバー18との隙間から油等が漏れ出さないように、シール部材16によりシールされている。
筐体81の水平部81cの下部(本体部81a側の端部)には、支持部材91が固定されている。図3に示すように、支持部材91は、矩形板状(板状)の水平部92と、円弧板状(板状)の垂直部93とを有している。水平部92の一方の先端部に、垂直部93の上端部(軸線方向の一方の端部)が接続されている。支持部材91の垂直部93が上記開口17の外延に沿って配置されている。そして、固定部材73a,73bにより、ケーブル73が支持部材91に固定されている。すなわち、ケーブル73は、支持部材91及び固定部材73a,73bにより、基台80に固定されている。なお、支持部材91及び固定部材73a,73bにより、第1固定部材が構成されている。
ケーブル73において、固定部材73bよりも第2モータ21側の部分が、固定部材73cにより第2モータ21のケーシングに固定されている。そして、ケーブル73において、固定部材73bと固定部材73cとの間の可動部分73uが、U字状に曲げられて第2モータ21のケーシングの外周面に巻き付けられている。詳しくは、U字状の可動部分73uの一対の平行部分が、第2モータ21のケーシングの外周面に沿って配置されている。ケーブル73の先端部は、第2モータ21に電気的に接続されている。
ケーブル74(第3モータケーブルを含む)は、筐体81の内部において軸線C1から離れた位置で、固定部材74aにより基台80(詳しくは筐体81)に固定されている。固定部材74a(第2固定部材に相当)は、筐体81と一体に形成されていてもよい。
基台80は、筐体81内を仕切る仕切部材95を有している。図4に示すように、仕切部材95は、半円筒状(筒状)の垂直部96と、扇形板状(板状)の水平部97とを有している。垂直部96の上端部(軸線方向の一方の端部)に、水平部97の中心角側(一方)の端部が接続されている。仕切部材95の垂直部96が筐体81の垂直部81b内に配置され、仕切部材95の水平部97が筐体81の水平部81c内に配置されている。
筐体81の水平部81cの内部は、仕切部材95の水平部97により上下の空間に仕切られている。そして、ケーブル74のうち固定部材74aよりも第3モータ31側の部分は、仕切部材95により、ケーブル73から離間させられている。また、ケーブル73のうち固定部材73bよりも第2モータ21側の部分は、ケーブル74から離間して設置されている。さらに、筐体81の水平部81cの内部において、仕切部材95の水平部97よりも上側(ケーブル74側)の容積は、仕切部材95の水平部97よりも下側(ケーブル73側)の容積よりも大きくなっている。
筐体81の内部において、ケーブル74の曲率は、ケーブル73の曲率よりも小さく設定されている。詳しくは、筐体81の内部において、ケーブル73,74は、軸線C1を含みロボット10の正面方向へ広がる垂直平面(所定平面に相当)に沿って配置されている。且つ、軸線C1に対して、ケーブル74はケーブル73よりも離れている。
ケーブル74は、第3モータ31に接続されるケーブル75と、第4モータ41に接続されるケーブル76と、ユーザが各種信号の入出力に用いる入出力線(図示略)とを含んでいる。このため、ケーブル74の太さは、ケーブル73の太さの3〜4倍になっている。
筐体81の水平部81cには、軸線C1上に導出開口83が形成されている。第2アーム20の第2カバー28には、軸線C2上に導入開口29が形成されている。ケーブル74は、筐体81の内部から導出開口83を通じてケーブルガイド50の内部(筐体81の外部)へ導かれ、導入開口29を通じて第2カバー28の内部へ導かれている。
ケーブルガイド50は、中空状で不撓性に形成されている。不撓性とは、可撓性や柔軟性ではないという意味であり、完全な剛体である必要はない。例えば、ケーブルガイド50は、硬性の樹脂や金属により形成することができる。ケーブルガイド50は、第1端部51、傾斜部54、水平部53、及び第2端部52を有している。
第1端部51は、導出開口83に対向している。第1端部51は、ベアリング56を介して、軸線C1を中心として基台80に水平回転自在に連結されている。ベアリング56も、ベアリング14と同様のものである。傾斜部54は、第1端部51から傾斜方向へ延びている。水平部53は、傾斜部54から水平方向へ延びて第2端部52へ繋がっている。すなわち、水平部53は、第2端部52から水平方向に延びている。第2端部52は、導入開口29に対向している。第2端部52は、ベアリング57を介して、軸線C2を中心として第2アーム20に水平回転自在に連結されている。ベアリング57も、ベアリング14と同様のものである。
一般にフレキシブルチューブは、垂れ下がり防止のためにU字状に屈曲(屈曲部が上側に)されている。これに対して、ケーブルガイド50は、U字状に形成されておらず、第2端部52から延びる水平部53を有している。そして、垂直方向において、ケーブルガイド50が存在する範囲は、第3軸30が垂直往復動する範囲に含まれている。すなわち、ケーブルガイド50の上端は、上限まで移動した第3軸30の上端よりも低くなっている。ケーブルガイド50の下端は、下限まで移動した第3軸30の下端よりも高くなっている。さらに、ケーブルガイド50の上端は、下限まで移動した第3軸30の上端よりも低くなっている。ケーブルガイド50の下端は、上限まで移動した第3軸30の下端よりも高くなっている。
ケーブル74は、軸線C2から離れた位置で、固定部材74bにより第2アーム20に固定されている。すなわち、ケーブル74は、軸線C2上では第2アーム20に固定されていない。詳しくは、ケーブル74は、第3モータ31に対して第3軸30と反対側の位置で第2アーム20に固定されている。第2カバー28の内部において第3モータ31に対して第3軸30と反対側の空間は、第3モータ31の取り付け位置を調整するために用いられる。ケーブル74は、ケーブル75とケーブル76とに分かれている。そして、ケーブル75は第3モータ31に接続され、ケーブル76は第4モータ41に接続されている。
次に、図2を参照して、水平多関節型ロボット10の動作について説明する。
矢印A1で示すように、第1アーム11及びケーブルガイド50は、共に軸線C1を中心として回転させられる。矢印A2で示すように、第2アーム20は、軸線C2を中心として、第1アーム11及びケーブルガイド50に対して回転させられる。したがって、不撓性に形成されたケーブルガイド50が、第1アーム11及び第2アーム20の回転を妨げることはない。
矢印A1で示すようにケーブルガイド50が回転させられても、ケーブルガイド50は不撓性に形成されているため、振られることが抑制される。さらに、ケーブルガイド50の内部のケーブル74が振られることは、不撓性のケーブルガイド50によって抑制される。図1に示すように、ケーブルガイド50が軸線C1を中心として回転させられると、ケーブル74にねじれが生じる。ここで、ケーブル74は、筐体81の内部において軸線C1から離れた位置で基台80に固定されている。このため、第1アーム11及びケーブルガイド50の回転に伴うケーブル74のねじれを、ケーブル74のより長い部分で緩和することができる。
第2アーム20が軸線C2を中心として回転させられると、ケーブル74にねじれが生じる。ここで、ケーブル74は、軸線C2から離れた位置で第2アーム20に固定されている。このため、第2アーム20の回転に伴うケーブル74のねじれを、ケーブル74のより長い部分で緩和することができる。
ここで、ロボット10の筐体81内のケーブル73,74は、設置スペースを減らすために、束ねられていることが一般的である。しかしながら、ケーブル73は、第1アーム11に固定された第2モータ21に接続されている。一方、ケーブル74は、第2アーム20に固定された第3モータ31に接続されている。このため、ケーブル73とケーブル74とは、第1アーム11及び第2アーム20の駆動状態に応じて異なる動きをする。そして、ケーブル73及びケーブル74は共に、筐体81の水平部81cの内部を通っている。したがって、筐体81の水平部81cの内部において、ケーブル73とケーブル74とが、絡まったり擦れたりすることで、これらのケーブル73,74の耐久性が低下するおそれがある。
この点、筐体81の内部において、ケーブル73及びケーブル74は、それぞれ支持部材91及び固定部材73b、固定部材74aにより基台80に固定されている。そして、ケーブル73のうち固定部材73bよりも第2モータ21側の部分は、ケーブル74から離間して設置されている。このため、ケーブル73のうち固定部材73bよりも第2モータ21側の部分が第1アーム11の駆動に伴って動いたとしても、ケーブル74と絡まったり擦れたりすることがない。また、ケーブル74のうち固定部材74aよりも第3モータ31側の部分は、ケーブル73から離間して設置されている。このため、ケーブル74のうち固定部材74aよりも第3モータ31側の部分が第2アーム20の駆動に伴って動いたとしても、ケーブル73と絡まったり擦れたりすることがない。したがって、ケーブル73,74の耐久性が低下することを抑制することができる。
ケーブル74は、第2アーム20に固定された第3モータ31に接続されている。このため、ケーブル74の動きは、ケーブル73の動きよりも大きくなる。したがって、ケーブル74は、ケーブル73よりも断線等が生じ易い。
この点、筐体81の内部において、ケーブル74の曲率は、ケーブル73の曲率よりも小さく設定されている。このため、ケーブル74の曲がりをケーブル73よりも抑制することができ、ケーブル74に断線等が生じることを抑制することができる。
ケーブル74のうち固定部材74aよりも第3モータ31側の部分を、ケーブル73から離間して設置する際に、ケーブル74を多数の固定部材により基台80に固定することが考えられる。しかしながら、その場合、ケーブル74のうち可動部分が短くなり、ケーブル74のねじれを可動部分で緩和しにくくなる。
この点、ケーブル74のうち固定部材74aよりも第3モータ31側の部分は、筐体81内を仕切る仕切部材95により、ケーブル73から離間させられている。このため、ケーブル74のうち固定部材74aよりも第3モータ31側の部分を多数の固定部材により基台80に固定する必要がなく、ケーブル74のうち可動部分を長くすることができる。したがって、第2アーム20の回転に伴うケーブル74のねじれを、ケーブル74のより長い可動部分で緩和することができる。したがって、ケーブル74の耐久性を向上させることができる。
以上詳述した本実施形態は、以下の利点を有する。
・筐体81の内部において、ケーブル73及びケーブル74は軸線C1を含む共通の所定平面に沿って配置されており、且つ軸線C1に対してケーブル74はケーブル73よりも離れている。このため、筐体81の内部においてケーブル73及びケーブル74を効率的に設置しつつ、ケーブル74の曲率をケーブル73の曲率よりも小さくし易くなる。
・筐体81の水平部81cの内部において、仕切部材95よりもケーブル74側の容積は、仕切部材95よりもケーブル73側の容積よりも大きくなっている。このため、ケーブル73よりも動きが大きく且つ太いケーブル74を、より大きな容積内で可動させることができる。したがって、ケーブル74の擦れやねじれを抑制することができ、ケーブル74の耐久性を向上させることができる。
・ケーブル74は、筐体81の内部において軸線C1から離れた位置で基台80に固定されている。このため、ケーブル74が軸線C1上で基台80に固定された構成と比較して、第2アーム20の回転に伴うケーブル74のねじれを、ケーブル74のより長い部分で緩和することができる。したがって、ケーブル74の耐久性を向上させることができる。
・導入開口29を通じて第2カバー28の内部へ導かれたケーブル74は、軸線C2から離れた位置で第2アーム20に固定されている。このため、導入開口29を通じて第2カバー28の内部へ導かれたケーブル74が軸線C2上で第2アーム20に固定された構成と比較して、第2アーム20の回転に伴うケーブル74のねじれを、ケーブル74のより長い部分で緩和することができる。したがって、ケーブル74の耐久性を向上させることができる。
・第1アーム11は、軸線C1の方向の両側から基台80に対して水平回転自在に支持されている。このため、第1アーム11が軸線C1の方向の片側から基台80に対して支持されている構成と比較して、第1アーム11を支持する部分の剛性を高くすることができる。その結果、第1アーム11の回転動作のぶれを抑制することができ、アームの位置精度を向上させることができる。
・基台80の筐体81は、軸線C1の方向の両側から、第1アーム11における水平回転自在に支持された部分を覆っている。そして、筐体81の内部から第1アーム11の内部へ、第1モータ12と反対側からケーブル73が挿入されて第2モータ21に接続されている。このため、第1アーム11に対して基台80の第1モータ12側からケーブル73を挿入するための開口を形成する必要がなく、第1モータ12側から第1アーム11を支持する部分の剛性を向上させることができる。さらに、第1モータ12と反対側から第1アーム11を支持する部分を利用して、筐体81の内部から第1アーム11の内部へケーブル73を挿入することができる。
・ケーブル73において、固定部材73bと固定部材73cとの間の可動部分73uが、U字状に曲げられて第2モータ21のケーシングの外周面に巻き付けられている。このため、第2モータ21が第1アーム11と共に基台80に対して回転した際に、可動部分73uを円滑に送り出したり戻したりすることができる。その結果、ケーブル73の耐久性を向上させることができる。
・垂直方向において、ケーブルガイド50が存在する範囲は、第3軸30が垂直往復動する範囲に含まれている。このため、ケーブルガイド50及びケーブル74がワークエリア内に入ることを抑制することができる。さらに、基台80が上側になるように水平多関節型ロボット10が設置された場合も、同様の作用効果を奏することができる。
・ケーブルガイド50は、第2端部52から水平方向に延びる水平部53を有している。このため、第2端部52から垂直方向に延びてU字状に屈曲される構成と比較して、ケーブルガイド50の垂直方向における範囲を狭くすることができる。ケーブルガイド50は、不撓性で垂れ下がるおそれがないため、U字状に形成する必要がなく、垂直方向における存在範囲を狭くすることができる。
・ケーブルガイド50において、第1端部51が基台80に水平回転自在に連結された部分にはベアリング56が設けられ、第2端部52が第2アーム20に水平回転自在に連結された部分にはベアリング57が設けられている。このため、ケーブルガイド50に対する基台80及び第2アーム20の回転をそれぞれベアリング56,57により円滑にするとともに、ケーブルガイド50を支持する部分の剛性をそれぞれ向上させることができる。
・筐体81の内部から第1アーム11の内部へ、第1モータ12と反対側からケーブル73が挿入されている部分は、シール部材16によりシールされている。このため、筐体81の内部から第1アーム11の内部へケーブル73を挿入する部分から、油等が漏れ出ることを抑制することができる。
・第1アーム11の水平回転自在に支持された部分には、それぞれベアリング14,15が設けられている。このため、基台80に対する第1アーム11の回転をベアリング14,15により円滑にするとともに、第1アーム11を支持する部分の剛性を向上させることができる。
・ケーブル75,76は、第3モータ31,第4モータ41に対して第3軸30と反対側の位置で第2アーム20に固定されて、第3モータ31,第4モータ41にそれぞれ接続されている。このため、第2カバー28の内部において、第3モータ31,第4モータ41に対して第3軸30と反対側の空間を、ケーブル75,76を配線するための空間として利用することができる。さらに、第3モータ31,第4モータ41の取り付け位置を調整するためのデッドスペースを、ケーブル75,76を配線するための空間として利用することができる。
・第3モータ31が第1アーム11に固定されている構成と比較して、第3モータ31から第3軸30へトルクを伝達する構成が簡潔になるため、第3モータ31から第3軸30へ高トルクを伝達することができる。
・第1カバー18を通じて第2カバー28の内部へケーブル74を通す構成と比較して、アームの内部の構成を簡潔にすることができるとともに、メンテナンス性を向上させることができる。
なお、上記実施形態を、以下のように変更して実施することもできる。上記実施形態と同一の部材については、同一の符号を付すことにより説明を省略する。
・ベアリング14,15,26,56,57の少なくとも1つを省略して、支持部分が相対摺動することで回転自在に連結された構成を採用することもできる。
・ケーブル74が軸線C1上で基台80に固定された構成を採用することもできる。
・ケーブル74が、第3モータ31,第4モータ41よりも第3軸側の位置で、第2アーム20に固定された構成を採用することもできる。この場合も、ケーブル74は、軸線C2から離れた位置で第2アーム20に固定されている。このため、ケーブル74が軸線C2上で第2アーム20に固定された構成と比較して、第2アーム20の回転に伴うケーブル74のねじれを、ケーブル74のより長い部分で緩和することができる。なお、ケーブル74が軸線C2上で第2アーム20に固定された構成を採用することもできる。
・筐体81の水平部81cの内部において、仕切部材95よりもケーブル74側の容積と、仕切部材95よりもケーブル73側の容積とが同等の構成を採用することもできる。
・上記実施形態では、仕切部材95は、半円筒状(筒状)の垂直部96と、扇形板状(板状)の水平部97とを有していた。これに対して、水平部97は、網状に形成されていたり、格子状に形成されていたりしてもよい。要するに、仕切部材95により、ケーブル74のうち固定部材74aよりも第3モータ31側の部分が、ケーブル73から離間させられていればよい。
・上記実施形態では、筐体81の内部において、ケーブル73及びケーブル74は軸線C1を含む共通の所定平面に沿って配置されており、且つ軸線C1に対してケーブル74はケーブル73よりも離れていた。これに対して、軸線C1に対してケーブル74及びケーブル73が等距離に設置されており、ケーブル74のうち固定部材74aよりも第3モータ31側の部分が、ケーブル73から離間させられている構成を採用することもできる。その場合、筐体81の内部において、ケーブル74の曲率と、ケーブル73の曲率とが等しく設定されていてもよい。
・ケーブルガイド50が、第2端部52から垂直方向に延びてU字状に屈曲された構成を採用することもできる。また、垂直方向において、ケーブルガイド50が存在する範囲が、第3軸30が垂直往復動する範囲から一部はみ出していてもよい。
・シール部材16を省略することもできる。