実施例1に係る漏洩防止具につき、図1から図4を参照して説明する。先ず図1の符号10は、本発明の適用された漏洩防止具である。
図1及び図2に示されるように、漏洩防止具10は、分割構造を有する筐体5と、筐体5の排出部としての突部14に接続された排出キャップ16と、接続治具7及び導出ホース8とを主として備える。この漏洩防止具10の筐体5は、本実施例では周方向に略均等に3分割された円弧状の分割筐体11,12,13からなり、これ等の分割筐体11,12,13を流路構成部材としての流体管1の継手部2近傍に発生した損壊部(図示略)を含む外周面に外嵌し、分割筐体11,12,13同士の対向するフランジ4,4を複数のボルト・ナット3で締結することで、筐体5内部の密封性を確保し、損壊部からの流体の漏洩を防止するようにしたものである。
ここで本実施例の流体管1は、例えば、地中に略水平方向に埋設される上水道用のダクタイル鋳鉄製であり、断面視略円形状に形成され、内周面がモルタル層で被覆されている。尚、本発明に係る流体管は、その他鋳鉄、鋼等の金属製、あるいはコンクリート製、塩化ビニール、ポリエチレン若しくはポリオレフィン製等であってもよい。更に尚、流体管の内周面はモルタル層に限らず、例えばエポキシ樹脂等により被覆されてもよく、若しくは適宜の材料を粉体塗装により流体管の内周面に被覆してもよい。また、本実施例では流体管内の流体は上水であるが、本実施例の上水に限らず、例えば工業用水や農業用水、下水等の他、ガスやガスと液体との気液混合体であっても構わない。
流体管1の損壊部としては、地震や自動車等による地盤の振動又は土圧、地盤の不等沈下や過剰な流体圧などにより発生した亀裂等の他、腐食による発生した孔等が含まれる。本実施例で損壊部は、流体管1の継手部2近傍に発生したものとして説明するが、漏洩部や損壊部の発生箇所は、上記したものに限られず、例えば継手部2に生じた漏洩部からの漏洩や、流体管の直管部や曲部、あるいは弁筐体のスリーブ等、様々な箇所で発生し得る損壊部に対し、本発明に係る漏洩防止具を適用できる。
円弧状に形成された各分割筐体11,12,13は、金属製等からなり、流体管1の外周に沿って湾曲するとともに、流体管1の外周面との間に一定量の漏洩流体の収容空間を備える。また各分割筐体11,12,13は、その内周部に形成された凹部にシール材5aが嵌合されており、更に特に図示しないが各フランジ4,4の接合面にも、延設されたシール材5aとは別体のパッキンが設けられている。
また第1分割筐体11は、その周方向の略中央に外径方向に円筒状に突出し、突端に排出口14aを有する突部14が設けられ、この突部14を含む後述する排出機構に着脱可能に接続される導出ホース8により、筐体5内部の漏洩流体を外部の適所に排出可能に構成されている。本実施例では、突部14が鉛直上方を向く位置に第1分割筐体11が配置され、当該位置の第1分割筐体11の周端の各フランジ4,4に、第2分割筐体12及び第3分割筐体13が接続される。
なお、本実施例では筐体5は、周方向に略等配に3分割された構造を有しているが、筐体は非等配に分割されてもよく、また、分割数は2つでもよいし、4つ以上であってもよい。同じく、流体管1の配管方向も水平に限らず、例えば垂直方向であってもよい。
次に、図2及び図3を参照して本実施例1の排出機構について説明する。ここで筐体5の内側を基端側若しくは上流側とし、導出ホース8側を先端側若しくは下流側として説明する。
本実施例1の排出機構は、第1分割筐体11の周方向の略中央に外径方向に突出して設けられ、突端に排出口14aを有する突部14と、この突部14に螺合により接続された排出キャップ16と、この排出キャップ16に接続された接続治具7とから構成されており、この接続治具7に導出ホース8の端部が着脱可能に接続される。すなわち排出キャップ16は、導出ホース8の上流側に設けられる。ここで、突部14は本発明の排出部を構成し、排出キャップ16は本発明の開閉部を構成し、また導出ホース8は本発明の導出部材を構成している。
なお本実施例では、他の分割筐体12,13にも周方向の略中央に外径方向に突出した突部が設けられるが、当該突部は排出口を有さず突端面が閉塞している。
以下、本実施例1に係る漏洩流体の排出機構の各構成について詳述すると、図3に示されるように、先ず突部14は、筐体5内部に連通する略円筒形状に形成され、その外径側の突端部14bに一部開口した排出口14aを備える。排出口14aは、突部14の仮想の軸線Oから径方向にずれた位置にて、筐体5の内外を連通して開口形成されている。
また、突部14の外周面には、その基端側から順に雄ネジ部14c、略半周分凹設された回止溝14d、及び環状の凹部14eが設けられ、この凹部14eにOリング18が配設されている。更に、突端部14bの外面には排出口14aの周縁方向に沿って環状の凹部14fが設けられ、この凹部14fにOリング19が配設されている。
次に排出キャップ16は、略筒形状に形成され、その内径側を閉塞する内壁部16bに一部開口した連通口16aを備え、後述するように排出口14aを開閉可能に構成される。連通口16aは、排出口14aと略同径であって、突部14と同軸となる排出キャップ16の仮想の軸線Oから径方向にずれた位置にて開口形成されている。
また、排出キャップ16は、その基端側の内周面には雌ネジ部16cが突部14の雄ネジ部14cに螺合し、且つ突部14との間でOリング18,19を挟圧することで、突部14に対し密封状態で回動可能に接続されている。また排出キャップ16の雌ネジ部16cの先端側には径方向に貫通した小孔16gが形成され、この小孔16gに内径方向に螺挿した回止ネジ17の先端が、排出キャップ16の回動に伴い突部14の回止溝14dに沿って移動するように構成される。よって排出キャップ16は、突部14に対し略半周分のみの回動が許容されている。更に排出キャップ16の先端側の内周面には接続治具7に螺合される本発明のネジ部を構成する雌ネジ部16dが設けられている。
本実施例1に係る排出キャップ16による排出口14aの開閉操作について説明すると、この排出キャップ16を突部14に対し周方向の一方に、回止ネジ17が回止溝14dの一方の周端に係止する位置まで回動すると、図4(a)に示されるように、排出キャップ16の連通口16aが排出口14aに略同心に位置する。すなわち排出口14aは、連通口16aを介し筐体5の外部に開放された開放状態となる。
また、この排出キャップ16を突部14に対し周方向の他方に、回止ネジ17が回止溝14dの他方の周端に係止する位置まで回動すると、図4(b)に示されるように、排出キャップ16の内壁部16bが排出口14aを塞ぐように位置する。すなわち排出口14aは、内壁部16bによって閉塞された閉塞状態となる。
図3に示されるように、接続治具7は、略筒形状に形成された本体部7aと、この本体部7aに軸方向に移動可能に外嵌された断面視略L字状の外嵌部7bとからなる。外嵌部7bの先端と本体部7aの先端側の挿口部とにより外径側に開放する凹部9が形成されている。
また接続治具7は、本体部7aの基端側に雄ネジ部7dが設けられ、接続治具7は、この雄ネジ部7dが排出キャップ16の雌ネジ部16dに図示しないシールテープ等を介し螺合することで、排出キャップ16に対し密封状態で接続されている。
図1及び図4に示されるように、導出ホース8は、樹脂材等からなるホース本体8aと、その基端側に設けられた接続部8bとからなり、後述するように接続治具7に対し着脱可能に構成されている。更に接続部8bは、ホース本体8aにねじ込み等により接続され、その内周に亘りシール材8cを備えるとともに、シール材8cの基端側には軸方向に挟持された係止部材8dが内径方向に付勢状態で配設されている。更に係止部材8dは、その基端側から先端側に向けて漸次縮径した曲面状の内面を有している。
導出ホース8を接続治具7に対し取付ける場合、導出ホース8の接続部8bを接続治具7の本体部7aの挿口部に軸方向に嵌挿するに伴い、係止部材8dが本体部7aの外面に乗り上げて外径方向に押圧される。そして、係止部材8dが軸方向に凹部9の位置に達すると同時に内径方向に付勢力で戻されて凹部9に嵌合し、且つシール材8cが本体部7aの外面に密接することで、導出ホース8の接続治具7に密封状態で取付けられる。図4(a)に示されるように、この取付状態で係止部材8dは、凹部9を形成する本体部7aの端部に係止されるため、導出ホース8の抜け出しが防止されている。すなわち導出ホース8はその軸方向に挿入するのみで、接続治具7に対し取付けることができる。
また導出ホース8を接続治具7から取外す場合、接続治具7の外嵌部7bを本体部7aに対し軸方向の先端側に移動させるに伴い、凹部9の軸方向の幅が狭まり、係止部材8dが本体部7aの外面に乗り上げて外径方向に押圧され、凹部9への嵌合が解除される。この状態で、導出ホース8を軸方向に引き抜くことで、接続治具7から取外すことができる。
次に、上記した漏洩防止具を用いて、流体管1に発生した損壊部からの流体漏洩を防止する工程について説明する。
図1に示されるように、地中に埋設された既設流路を構成する流体管1の場合、周知の方法で漏洩箇所を特定し、当該箇所を掘削して流体管1の損壊部を含む所定区間を露出させる。なお、この漏洩防止工程は、当該工程の作業途中においても継続している漏洩を直ちに防止する必要があるため、地面を掘削して流体管1を露出させる区間は必要最小限に限られ、当該区間が作業スペースとして使用されている。
流体管1の外面を清掃等した後、流体管1の損壊部を含む周方向に沿って、分割筐体11,12,13により囲う。ここで上記した分割筐体11の突部14には、排出キャップ16の回動位置を、図4(a)に示されるように、排出口14aを開放した状態として接続し、且つ排出キャップ16に接続治具7及び導出ホース8の接続部8bを予め接続しておく。導出ホース8のホース本体8aの先端は、例えば地上に配置した図示しない排水タンクや排水溝など、筐体5の取付け現場となる損壊部から離れた適所で排水処理することが望ましい。
図2に示されるように、各分割筐体11,12,13の互いのフランジ4,4に挿通したボルト・ナット3を順次締結する。ボルト・ナット3の締結完了に伴い、各分割筐体11,12,13からなる筐体5が構築され、その内面のシール材5aにより、流体管1の損壊部を含む外面が密封される。ボルト・ナット3の締結過程及び締結完了後に、損壊部から漏洩する流体は、筐体5内部を満たし、更に開放状態の排出口14aを介し導出ホース8を経て、ホース本体8aの他端の放出口から外部の排水処理が可能な適所に放出され排水処理される。
次に、図4(b)に示されるように、排出キャップ16を把持して、突部14及び導出ホース8に対し略反転、すなわち略180度回動操作することで、排出口14aを排出キャップ16の内壁部16bにより閉塞する閉塞状態とする。
このように、流体管1から漏洩する流体を導出ホース8により筐体5から離れた適所に導出した状況で、排出キャップ16が突部14に対し相対移動して排出口14aを開閉できるため、排出口14aの閉塞操作に際し排出口14aから流体が筐体5周囲に飛散することなく、良好な現場環境にて、筐体5を流体管1に容易且つシール材5aによる高い密封状態にて外嵌することができる。
また、排出キャップ16が導出ホース8に対し相対移動して排出口14aを開閉することで、流体を筐体5外に導出している導出ホース8が、排出キャップ16の動作に追従して移動することがないため、排出口14aを容易に開閉することができる。
更に、排出キャップ16が突部14の外面に嵌合して設けられることで、排出キャップ16の外面を把持して開閉操作し易い。
また、上記のように排出キャップ16による閉塞操作に際しては、排出キャップ16の雌ネジ部16cが突部14の雄ネジ部14cに対し略180度回動するに伴い、排出キャップ16が突部14に向けて軸方向に僅かに螺入される。従って、突部14の凹部14fに配設されたOリング19は、螺入された排出キャップ16との間で挟圧され、その密封性能を発揮する。
このように、排出キャップ16は、突部14の周方向に回動可能に設けられるため、排出キャップ16の動作に際し排出口14aの外径方向に大きく張り出すことなく、排出口14aを開閉することができる。
続いて、接続治具7の外嵌部7bを本体部7aに対し軸方向に移動させることで、導出ホース8の係止部材8dを凹部9から脱嵌させ、接続治具7に対する係止状態を解除させる。そして、導出ホース8の接続部8bを把持して、接続治具7から取り外す。
このように、排出キャップ16に、導出ホース8を着脱可能に接続する接続治具7が設けられることで、筐体5を流体管1に外嵌して排出キャップ16により排出口14aを閉塞した状態にて、導出ホース8を接続治具7から取外して撤去することができる。また、筐体5の突部14と導出ホース8との間に、接続治具7が接続された排出キャップ16を介設できるため、排出口14aを開閉するための機構を単純化できる。
図4(c)に示されるように、接続治具7を排出キャップ16に対し回動操作することで、排出キャップ16から取り外す。なお上記した手順に限らず、例えば、導出ホース8を接続治具7に接続したままの状態で、接続治具7を排出キャップ16に対し回動操作して、接続治具7及び導出ホース8を排出キャップ16から取り外すようにしてもよい。
このように、排出キャップ16に、接続治具7を着脱可能に螺合する雌ネジ部16dが設けられることで、接続治具7を排出キャップ16に対し容易に着脱することができる。
最後に、図4(d)に示されるように、接続治具7を取外した排出キャップ16の雌ネジ部16dに、プラグ6の雄ネジ部6dを螺合させることで、本工程を終了する。
このように、排出キャップ16の雌ネジ部16dに、取付可能に螺合するプラグ6が設けられることで、接続治具7を取外した状態の雌ネジ部16dにプラグ6を螺合させて閉塞し、異物の進入を防止することができる。
次に、実施例2に係る漏洩防止具につき、図5を参照して説明する。尚、前記実施例に示される構成部分と同一構成に付いては同一符号を付して重複する説明を省略する。
以下、本実施例2に係る排出機構の各構成について詳述すると、図5に示されるように、先ず突部24は、筐体5内部に連通する略円筒形状に形成され、その側壁部24bに一部開口した排出口24aを備える。排出口24aは、突部24の仮想の軸線に略直交する径方向に向けて、筐体5の内外を連通して開口形成されている。
また、突部24の外周面には、排出口24aの周囲を囲むように、接続治具7の雄ネジ部7dに螺合する本発明のネジ部を構成する雌ネジ部24dが設けられ、更に突部24の外周面の先端側には、雄ネジ部24cが設けられている。
次に排出キャップ26は、図示下方に開放された有底筒状の弁体部21と、この弁体部21に延設部22を介し連設されたキャップ部23とからなる。更に弁体部21は、突部24の内径と略同径の外径を備え、その周壁部26bに一部貫通して開口した連通口26aを備え、後述するように排出口24aを開閉可能に構成される。連通口26aは、排出口24aと略同径であって、排出口24aと略同じ高さ位置の中心を有する。また周壁部26bの外面には、連通口26aを上下に挟む位置に、環状の凹部が設けられ、この凹部にOリング28,29が配設されている。
また排出キャップ26のキャップ部23は、断面視で下方に開放した有底筒状に形成されており、その内周面に突部24の雄ネジ部24cと螺合する雌ネジ部23cが設けられている。ここで、突部24は本発明の排出部を構成し、排出キャップ26は本発明の開閉部を構成している。
次に、本実施例2に係る排出キャップ26による排出口24aの開閉操作について説明すると、この排出キャップ26のキャップ部23を把持して、突部24に対し周方向の一方に所定位置まで回動すると、図5(a)に示されるように、排出キャップ26の連通口26aが排出口24aに略同心に位置する。すなわち排出口24aは、連通口26aを介し筐体5の外部に開放された開放状態となる。
また、この排出キャップ26のキャップ部23を把持して、突部24に対し周方向の他方に所定位置まで回動すると、図5(b)に示されるように、排出キャップ26の周壁部26bが排出口24aを塞ぐように位置する。すなわち排出口24aは、周壁部26bによって閉塞された閉塞状態となる。
なお、キャップ部23の外面は、特に図示しないが本実施例では各頂点が丸みを帯びた平面視略八角形状に形成されており、当該キャップ部23の外面を把持することで、排出口24aの開閉操作をし易く構成されているが、これに限らず、例えば所定数の略多角形状でもよいし、略楕円形や略円形であっても構わない。
このように、突部24は、接続治具7が接続される雌ネジ部24dを有し、接続治具7が突部24に対し接続されるため、排出キャップ26が、これら接続治具7及び突部24に対し、相対移動し易い。
また、排出キャップ26が、突部24の内面に嵌合して設けられることで、排出口24aの開閉機構を小型化できる。
次に、実施例3に係る漏洩防止具につき、図6を参照して説明する。尚、前記実施例に示される構成部分と同一構成に付いては同一符号を付して重複する説明を省略する。
以下、本実施例3に係る排出機構の各構成について詳述すると、図6に示されるように、先ず突部34は、筐体5内部に連通する略筒形状に形成され、外端が開放されたベース部35と、このベース部35の外面に設けられた雄ネジ部35bに密封状に螺合する雌ネジ部37bを備え、外端が開放された先端部37とからなる分割構造を有する。
突部34の先端部37は、その側壁部37cに一部開口した排出口34aを備え、ベース部35の外端との間に空隙を有した状態で螺合されている。すなわち排出口34aは、ベース部35の仮想の軸線に略直交する径方向に向けて、筐体5の内外を連通して開口形成されている。
また、先端部37の外側部には、排出口34aの周囲を囲むように、接続治具7の雄ネジ部7dに螺合する本発明のネジ部を構成する雌ネジ部34dが設けられている。また先端部37の排出口34aよりも外端側の内周面には、凹部が設けられ、この凹部にOリング39が配設されている。
次に排出キャップ36は、図示下方に開放された有底筒状の弁体部31と、この弁体部31に連設された円周面を備えた円柱部32と、更にこの円柱部32に連設されたキャップ部33とからなる。更に弁体部31は、ベース部35の雌ネジ部35aに螺挿可能な雄ネジ部31aを備え、その周壁部36bにて互いに対向する2箇所に貫通して開口した連通口36aを備え、後述するように排出口34aを開閉可能に構成される。連通口36aは、排出口34aよりも僅かに小径である。また弁体部31の円柱部32寄りの外周面には、外側方に張り出す鍔部31bが形成されており、この鍔部31bには図示下方に開口する凹部が設けられ、この凹部にOリング38が配設されている。
また排出キャップ36の円柱部32は、先端部37の内面に設けられた凹部との間でOリング39を挟圧することで、密封状態で先端部37に内嵌されている。ここで、突部34は本発明の排出部を構成し、排出キャップ36は本発明の開閉部を構成している。
次に、本実施例3に係る排出キャップ36による排出口34aの開閉操作について説明すると、この排出キャップ36のキャップ部33を把持して、突部34に対し周方向の一方に所定位置まで回動すると、図6(a)に示されるように、排出キャップ36は突部34に対し図示上方に螺挿され、排出キャップ36の連通口36aが排出口34aに略同じ高さに位置する。すなわち排出口34aは、連通口36aを介し筐体5の外部に開放された開放状態となる。
また、この排出キャップ36のキャップ部33を把持して、突部34に対し周方向の他方に所定位置まで回動すると、図6(b)に示されるように、排出キャップ36は突部34に対し図示下方に螺挿され、排出キャップ36の円柱部32が排出口34aを塞ぐように位置する。当該位置で、鍔部31bの凹部に設けられたOリング38は、ベース部35の外端との間で挟圧されて密封状態となる。すなわち排出口34aは、円柱部32によって閉塞された閉塞状態となる。
なお、キャップ部33は、本実施例3では六角ナットを円柱部32の外面に溶接等により固着して構成されており、当該キャップ部33の外面を把持することで、排出口34aの開閉操作をし易く構成されているが、これに限らず、例えば所定数の略多角形状でもよいし、略楕円形や略円形であっても構わない。
次に、実施例4に係る漏洩防止具につき、図7を参照して説明する。尚、前記実施例に示される構成部分と同一構成に付いては同一符号を付して重複する説明を省略する。
以下、本実施例4に係る排出機構の各構成について詳述すると、図7に示されるように、先ず突部44は、筐体5内部に連通する形状に形成され、外端側の側壁が一部開放されたベース部45と、このベース部45の外面に設けられた雄ネジ部45bに密封状に螺合する雌ネジ部37bを備え、外端が開放された先端部37とからなる分割構造を有する。
突部44の先端部37は、その側壁部37cに一部開口した排出口44aを備え、ベース部45の外端との間に空隙を有した状態で螺合されている。すなわち排出口44aは、ベース部45の仮想の軸線に略直交する径方向に向けて、筐体5の内外を連通して開口形成されている。
突部44のベース部45は、その基端側が外周面に雄ネジ部45bを有する大径部に形成され、またその先端側が前記大径部よりも小径の外周面を有し外端が閉塞された小径部に形成されている。また小径部は、有底筒状に形成され、その外周面に雄ネジ部45cが設けられるとともに、互いに対向する2箇所に貫通して開口した連通口45aを備え、後述するように排出口44aを開閉可能に構成される。連通口45aは、排出口44aよりも僅かに小径である。
次に排出キャップ46は、図示下方に開放された有底筒状の弁体部41と、この弁体部41に連設されたキャップ部43とからなる。更に弁体部41は、ベース部45の小径部の雄ネジ部45cに螺挿可能な雌ネジ部41cを備え、また弁体部41の図示下方に開放した端部には、外側方に張り出す鍔部41bが形成されており、この鍔部41bには図示下方に開口する凹部が設けられ、この凹部にOリング48が配設されている。
また排出キャップ46の弁体部41は、凹部との間でOリング49を挟圧することで、密封状態で先端部37に内嵌されている。ここで、突部44は本発明の排出部を構成し、排出キャップ46は本発明の開閉部を構成している。
次に、本実施例4に係る排出キャップ46による排出口44aの開閉操作について説明すると、この排出キャップ46のキャップ部43を把持して、突部44に対し周方向の一方に所定位置まで回動すると、図7(a)に示されるように、排出キャップ46は突部44に対し図示上方に螺挿され、ベース部45の小径部の連通口45aが排出口44aに略同じ高さに位置する。すなわち排出口44aは、連通口45aを介し筐体5の外部に開放された開放状態となる。
また、この排出キャップ46のキャップ部43を把持して、突部44に対し周方向の他方に所定位置まで回動すると、図7(b)に示されるように、排出キャップ46は突部44に対し図示下方に螺挿され、排出キャップ46の弁体部41が排出口44aを塞ぐように位置する。当該位置で、鍔部41bの凹部に設けられたOリング48は、大径部の外端面との間で挟圧されて密封状態となる。すなわち排出口44aは、弁体部41によって閉塞された閉塞状態となる。
次に、実施例5に係る漏洩防止具につき、図8を参照して説明する。尚、前記実施例に示される構成部分と同一構成に付いては同一符号を付して重複する説明を省略する。
以下、本実施例5に係る排出機構の各構成について詳述すると、図8に示されるように、先ず突部54は、筐体5内部に連通する略円筒形状に形成され、その外径側の突端部54bに一部開口した排出口54aを備える。排出口54aは、突部54の仮想の軸線Oと略同心の位置にて、筐体5の内外を連通して開口形成されている。
また、突部54の外周面には、その基端側から順に雄ネジ部54c、略半周分凹設された回止溝54d、及び環状の凹部54eが設けられ、この凹部54eにOリング58が配設されている。更に、突端部54bの外面には排出口54aの周縁方向に沿って環状の弁座部54fが設けられている。
次に排出キャップ56は、略筒形状に形成されており、その内径側の略中央を閉塞する内壁部56bが、排出キャップ56の内周面から内径方向に延出された複数の梁部56eによって支持固定されている。内壁部56bは、排出口54aよりも大径の平面視略円形状であって、排出口54aと略同心の位置に配設される。また内壁部56bの基端側の端面には、平板状のパッキン59が貼着されている。ここで内壁部56bを支持する梁部56e,56e同士の間隙は連通口56aとして形成される。
また、排出キャップ56は、その基端側の内周面に設けられた雌ネジ部56cが突部54の雄ネジ部54cに螺合し、且つ突部54との間でOリング58を挟圧することで、突部54に対し密封状態で回動可能に接続されている。また排出キャップ56の雌ネジ部56cの先端側には径方向に貫通した小孔56gが形成され、この小孔56gに内径方向に螺挿した回止ネジ57の先端が、排出キャップ56の回動に伴い突部54の回止溝54dに沿って移動するように構成される。よって排出キャップ56は、突部54に対し略半周分のみの回動が許容されている。更に排出キャップ56の先端側の内周面には接続治具7に螺合される本発明のネジ部を構成する雌ネジ部56dが設けられている。ここで、突部54は本発明の排出部を構成し、排出キャップ56は本発明の開閉部を構成している。
本実施例5に係る排出キャップ56による排出口54aの開閉操作について説明すると、この排出キャップ56を突部54に対し周方向の一方に、回止ネジ57が回止溝54dの一方の周端に係止する位置まで回動すると、図8(a)に示されるように、排出キャップ56は、当該回動に伴って突部54に対し軸方向に僅かに図示上方に螺出されることで、内壁部56bのパッキン59と弁座部54fとの間に空隙が生じる。すなわち排出口54aは、当該空隙及び連通口56aを介し筐体5の外部に開放された開放状態となる。
また、この排出キャップ56を突部54に対し周方向の他方に、回止ネジ57が回止溝54dの他方の周端に係止する位置まで回動すると、図8(b)に示されるように、排出キャップ56は、当該回動に伴って突部54に対し軸方向に僅かに図示下方に螺入されることで、内壁部56bのパッキン59が弁座部54fに対し密接する。すなわち排出口54aは、内壁部56bによって閉塞された閉塞状態となる。
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
例えば、前記実施例では、流体管1の損壊部を密封状に外嵌する複数の分割筐体からなる漏洩防止具を例に取り説明しているが、これに限らず本発明の漏洩防止具は、特に図示しないが例えば、流路構成部材の端部を閉塞する一体の筐体としての管帽に、内部流体を排出するために一部開口した排出口を設け、当該管帽に設けた排出口を上記した排出機構で開閉するように構成してもよい。