JP6994432B2 - 管路工事用治具および管路工事方法 - Google Patents
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Description
(a)バルブ全体をいわゆるノーブロー作業バッグで包み込んで外部と遮断状態にする、
(b)弁体(以下、「閉止部材」と称す)を、レンチ等の工具で緩め方向に回してバルブ本体から除去する、
(c)「閉止部材」を、バルブ本体の挿入口(以下、「閉止部材挿入口」と称す)を介して挿入した後、工具で締め込んでバルブ本体に装着する、
(d)ノーブロー作業バッグをバルブから除去する、
といった手順を踏むように構成されたものである。
ところで、一般に、可燃性ガスの供給を停止(バルブを閉塞)した状態で配管の工事等をおこなった場合、その後、バルブよりも下流側の配管(例えば、その配管がガスコンロ等のガス消費器具に接続されている場合では、直近のガス栓までの配管)の気密試験をおこない、漏れ等の異常がないことを確認してから、可燃性ガスの供給を再開(バルブを開栓)するようにしている。
すなわち、バルブを閉塞しなければ「閉止部材」を着脱することができない場合において、仮に、影響の及ぶ可燃性ガスの顧客(需要者)が100世帯あったとすると、その全ての顧客に対して、可燃性ガスの供給を停止する旨の説明や、可燃性ガスの供給を再開した後のエアパージ(顧客の立ち合いを含む)等をおこなわなければならないこととなる。 このような場合、「閉止部材」を着脱する際に、さらなる時間と労力を要することになるため、作業効率の低下を助長する、といった問題が生じる。
(a)貫通体に締結された螺合体とその周囲(管路の外面)を被覆部材で被覆する、
(b)被覆部材を管路に押圧固定して、螺合体およびその周囲を密閉する、
(c)貫通体を緩め方向(例えば、反時計回り)に回転させて螺合体との螺合状態を解除する、
(d)貫通体を管路の「一方の貫通穴」(管路のうちの貫通体挿入側の貫通穴)から取り外す、
(e)貫通体を接続部材本体の「一方の貫通穴」から挿入して螺合体に螺合させる、
(f)貫通体を締め方向(例えば、時計回り)に回転させて螺合体に締結する、
といった手順を踏むことによりおこなわれる。
・被覆部材によって螺合体およびその周囲が密閉されるため、貫通体と螺合体との締結状態が解除されたとしても(貫通体と螺合体との間に隙間が生じた場合であっても)、「他方の貫通穴」(管路のうちの螺合体取付側の貫通穴)側から流体が外部に流出することがなく、また、
・被覆部材に設けられた回転規制部によって螺合体の回転が規制されるため、貫通体を緩め方向または締め方向に回しても、これに伴って、螺合体が供回りすることがない。
・流体の外部への流出を抑制するための処置(例えば、流体が可燃性ガスであればノーブロー作業バッグで覆う処置)を施す必要がなく、また、
・螺合体の供回りを防止するための処置(例えば、螺合体にレンチ等の工具をセットする処置)もおこなう必要がない、
ものといえる。
図1に示すように、管路PLを構成するガス管Pは、金属製のパイプ部材(例えば、いわゆる白ガス管)からなり、基幹となるガス供給ラインから供給された可燃性ガス(本実施形態では、都市ガス)をガスメータ(不図示)等に導出するための配管である。
(a)閉止部材VCのねじ部Cb側を、閉止部材挿入口Biを介して挿入して閉止部材貫通口Boから突出させる、
(b)座金部材VWを介在させた状態でねじ部Cbにナット部材VNを螺合する、
(c)ねじ部Cbおよびナット部材VNを締結する、
ことによりおこなわれる。
詳しくは後述するが、本実施形態において、ねじ部Cbおよびナット部材VNの締結は、ナット部材VN側ではなく、閉止部材VC側をレンチ等の工具で締め込むことによりおこなわれるようになっている。
図1、3および図4に示すように、管路工事用治具1は、被覆部材10と、固定部材20と、バッグ取付部材30とを備えている。なお、上記被覆部材10と、固定部材20と、バッグ取付部材30とが、それぞれ、特許請求の範囲に記載の「被覆部材」と、「固定部材」と、「バッグ取付部材」とに該当する。
大径孔部12aは、多角形状(本実施形態では「6角形状」)に形成されたナット部材VNの外周部Ncと嵌合可能の形状を有している。
蓋体部13は、本体部11および回転規制部12に、「気密性」を有した状態で溶接等により固定されるようになっている。これにより、所定圧力の可燃性ガスが、被覆部材10の上面11B側から流入したとしても、底面11C側から流出(漏出)しないようになっている。
・ガス栓GVのナット部材VNが、回転規制部12の大径孔部12aと小径孔部12bとの段差部分に当接した状態で、大径孔部12aと嵌合するとともに、
・ガス栓GVの外周面BoSが、「気密性」を有した状態で、Oリング15の内周面に密着(内接)する、
ようになっている。
図1、図3および図4に示すように、固定部材20は、金属部材からなり、一対の押え部21,21と、これら押え部21,21を接続する左右一対の連結板部22,22とを有している。なお、一対の押え部21,21は、何れも、同様な構成を有しているため、以下において、一方の押え部21について説明し、必要がある場合を除き、他方の押え部21の説明を省略する。同様に、一対の連結板部22,22についても、一方の連結板部22について説明し、他方の連結板部22の説明を省略する。
具体的に、連結板部22には、かぎ状に形成された受け部24Aが、また、押え部21には、受け部24Aに係止可能な係止アームを有する本体部24Bが、それぞれ、取り付けられている。
・一対の押え部21,21が、それぞれ、ガス栓GVの両側に位置するガス管P,Pに密着固定される、
・押え部21,21がガス管P,Pに密着固定されるのにしたがって、被覆部材10がガス栓GVに押圧固定される、
ように構成されている。
図1、図3および図4に示すように、バッグ取付部材30は、金属部材からなり、本体部30Aと、鍔部30Bとを有している。
このため、本実施形態では、閉止部材VCとナット部材VNとの締結状態が解除されて、閉止部材貫通口Boから可燃性ガスが流出しても、
・その圧力によって被覆部材10およびバッグ取付部材30がガス栓GVから外れてしまうことがなく、また、
・閉止部材貫通口Bo側から可燃性ガスが外部に流出してしまうことがない、
ように構成されている。
詳しくは後述するが、本実施形態では、この鍔部30Bと一対の支持板部51,51との間に、後述するノーブロー作業バッグ40のガス栓側挿入部42が配置されるようになっている。なお、上記ノーブロー作業バッグ40が特許請求の範囲に記載の「ノーブロー作業バッグ」に該当する。
図4に示すように、ノーブロー作業バッグ40は、円筒状のバッグ本体41と、ガス栓GVの閉止部材挿入口Bi側に取り付けられるガス栓側挿入部42と、作業者の手を挿入する挿入口としての作業員側挿入部(図示省略)とを有している。
また、バッグ本体41の上底部(図示省略)には、下底部と同様に、その中心部に形成された孔部を覆うように、作業員側挿入部(図示省略)が接着剤等によって貼着されている。この作業員側挿入部は、ガス栓側挿入部42と同様に、例えば、直径200mmの円状の生ゴム板からなり、その中心部に直径50mm~100mm程度の孔部が形成されている。
本実施形態にかかる管路工事方法は、管路工事用治具取付工程Aをおこなうことから始まる。
具体的に、管路工事用治具取付工程Aでは、図1、図3および図4に示すように、
(a)まず、被覆部材10の回転規制部12を、Oリング15を介して、ガス栓GVのナット部材VNに嵌合させる、
(b)次に、一対の押え部21,21をガス管P,Pに覆い被せた状態で、各スナップ錠24,24をロック状態にする、
といった作業をおこなう。
・ガス栓本体VBの外周面BoS(閉止部材貫通口Bo側の外周面)およびナット部材VNが、被覆部材10によって「気密性」を有した状態で密閉(被覆)されるとともに、
・ナット部材VNの外周部Ncが、被覆部材10の回転規制部12に嵌合され、かつ、
・バッグ取付部材30が、ガス栓本体VBの外周面BiS(閉止部材挿入口Bi側の外周面)に「気密性」を有した状態で装着される、
ようになっている。
本実施形態では、上述したような管路工事用治具取付工程Aをおこなった後、次工程であるノーブロー作業バッグ取付工程Bがおこなわれるようになっている
ノーブロー作業バッグ取付工程Bでは、管路工事用治具1のバッグ取付部材30にノーブロー作業バッグ40を取り付ける作業をおこなう。
具体的に、ノーブロー作業バッグ取付工程Bでは、ガス栓側挿入部42を鍔部30Bと一対の支持板部51,51との間に位置させた状態で、ノーブロー作業バッグ40をバッグ取付部材30に取り付ける作業をおこなう。
閉止部材取外工程Cでは、ノーブロー作業バッグ40内において、閉止部材VCをガス栓本体VBから取り外す作業をおこなう。
具体的に、閉止部材取外工程Cでは、工具を用いて、閉止部材VCを緩め方向(例えば、反時計回り)に回転させる作業をおこなう。
・ノーブロー作業バッグ40内で、閉止部材VCを緩み方向に回転させても、これに伴って、ナット部材VNが供回りすることがなく、
・閉止部材貫通口Boから可燃性ガスが流出しても、可燃性ガスが外部に流出してしまうことがない、
ようになっている。
・ガス栓本体VBの外周面BiSにバッグ取付部材30が「気密性」を有した状態で取り付けられているため、ノーブロー作業バッグ40に可燃性ガスが充満しても、ガス栓本体VBとバッグ取付部材30との間から可燃性ガスが流出することがなく、
・バッグ取付部材30に鍔部30Bが形成されているため、ノーブロー作業バッグ40が可燃性ガスの充満(膨張)によりバッグ取付部材30上を移動しても、その移動が鍔部30Bによって規制されるため、ノーブロー作業バッグ40が作業中に外れてしまうおそれもない。
仮栓挿入工程Dでは、ガス栓本体VBの閉止部材挿入口Biに、例えば、ガス不透過性のスポンジ(例えば、ゴム製のスポンジ、図示省略)を挿入(装着)する作業をおこなう。これは、新たな閉止部材VCを取り付けるまでの間において、安全性の観点から可燃性ガスの不必要な流出を抑制する必要があるからである。
本実施形態では、このような仮栓挿入工程Dをおこなった後、次工程である閉止部材取付工程Eがおこなわれるようになっている。
閉止部材取付工程Eでは、仮栓挿入工程Dにおいて挿入したスポンジを取り外した後、新たな閉止部材VCをガス栓本体VBに取り付ける作業をおこなう。
本実施形態では、閉止部材取外工程Cにおいて閉止部材VCを取り外した状態で、ナット部材VNが被覆部材10内に残ったままとなっているため、本閉止部材取付工程Eにおいては、新たな閉止部材VCを、閉止部材挿入口Biを介して挿入して、ナット部材VNに螺合させた後、レンチ等の工具で締め込むだけでよい。
本実施形態では、このような閉止部材取付工程Eをおこなった後、ノーブロー作業バッグ取外工程Fがおこなわれるようになっている。
ノーブロー作業バッグ取外工程Fでは、バッグ取付部材30に装着されるノーブロー作業バッグ40を取り外す作業をおこなう。
本実施形態では、このようなノーブロー作業バッグ取外工程Fをおこなった後、次工程である管路工事用治具取外工程Gがおこなわれるようになっている。
管路工事用治具取外工程Gでは、ロック状態にあったスナップ錠24,24を、それぞれ、アンロック状態にして、管路工事用治具1をガス管Pおよびガス栓GVから取り外す作業をおこなう。
本管路工事方法は、このような管路工事用治具取外工程Gをおこなうことで終了するようになっている。
・被覆部材10によってナット部材VNおよびその周囲が密閉されるため、閉止部材VCとナット部材VNとの締結状態が解除されたとしても(閉止部材VCとナット部材VNとの間に隙間が生じた場合であっても)、閉止部材貫通口Bo側から外部に可燃性ガスが流出することがなく、また、
・被覆部材10に設けられた回転規制部12によってナット部材VNの回転が規制されるため、閉止部材VCを緩め方向に回しても、これに伴って、ナット部材VNが供回りすることがない、
ように構成されている。
・可燃性ガスの外部への流出を抑制するための処置(例えば、閉止部材貫通口Bo側をノーブロー作業バッグで覆う処置)を施す必要がなく、また、
・ナット部材VNの供回りを防止するための処置(例えば、ナット部材VNにレンチ等の工具をセットする処置)をおこなう必要もない、
ものといえる。
・その圧力によって被覆部材10およびバッグ取付部材30がガス栓GVから外れてしまうことを防止することができるばかりか、
・閉止部材貫通口Bo側から可燃性ガスが外部に流出してしまうことをより確実に防止することが可能となっている。
・ガス栓本体VBの外周面BiS側にバッグ取付部材30が「気密性」を有した状態で取り付けられているため、ノーブロー作業バッグ40に可燃性ガスが充満しても、ガス栓本体VBとバッグ取付部材30との間から可燃性ガスが流出することがなく、
・バッグ取付部材30に鍔部30Bが形成されているため、ノーブロー作業バッグ40が可燃性ガスの充満(膨張)によりバッグ取付部材30上を移動しても、その移動が鍔部30Bによって規制されるため、ノーブロー作業バッグ40が作業中に外れてしまうおそれもない。
10 被覆部材
11 本体部
11A 平坦面
11B 上面
11C 底面
12 回転規制部
12a 大径孔部
12b 小径孔部
13 蓋体部
15 Oリング
16 貫通穴
16a 大径孔部
16b 小径孔部
17 溝部
20 固定部材
21 押え部
22 連結板部
23 ヒンジ部材
24 スナップ錠
24A 受け部
24B 本体部
30 バッグ取付部材
30A 本体部
30a 溝部
30B 鍔部
35 Oリング
40 ノーブロー作業バッグ
41 バッグ本体
42 ガス栓側挿入部
42a 孔部
51 支持板部
PL 管路
P ガス管
GV ガス栓
VB ガス栓本体
Bf 流通路
Bp ガス管接続口
Bi 閉止部材挿入口
BiS 外周面
Bo 閉止部材貫通口
BoS 外周面
VC 閉止部材
Ch 貫通部
Cb ねじ部
Ct 工具取付部
VW 座金部材
VN ナット部材
Nc 外周部
Claims (6)
- 流体が流通する流通路を有する管路の工事に用いられる管路工事用治具であって、
前記管路は、
流体の流通方向と交叉する方向に前記流通路を隔てて貫通する一対の貫通穴と、
一対の前記貫通穴をそれぞれ塞いだ状態で前記管路に回動自在に貫挿される貫通体と、
前記管路に貫挿された前記貫通体の端部と螺合可能な螺合体と、を備え、
前記管路工事用治具は、
前記管路のうちの前記螺合体が配置される一方の前記貫通穴側を前記螺合体とともに被覆して密閉する被覆部材と、
前記管路に対して前記被覆部材を押圧固定する固定部材と、を備え、
前記被覆部材は、
前記螺合体の少なくとも一部に当接して前記螺合体の回転を規制する回転規制部を有する、
ことを特徴とする管路工事用治具。 - 前記管路は、管体と、前記管体に接続される管体接続部材と、を有し、
一対の前記貫通穴、前記貫通体および前記螺合体は、前記管体接続部材に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の管路工事用治具。 - 前記被覆部材は、前記固定部材によって前記管路に押圧固定された状態で前記管路のうちの一方の前記貫通穴の周囲を塞ぐようにシールするシール部材を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の管路工事用治具。
- 前記管路工事用治具は、前記管路に固定された状態で、前記管路のうちの他方の前記貫通穴の周囲を覆うように配置され、ノーブロー作業バッグを装着することが可能なバッグ取付部材をさらに備えることを特徴とする請求項1~請求項3の何れか1項に記載の管路工事用治具。
- 前記螺合体は、多角状に形成された外周部を有し、
前記回転規制部は、前記外周部と嵌合可能な形状に形成されていることを特徴とする請求項1~請求項4の何れか1項に記載の管路工事用治具。 - 流体が流通する流通路を有する管路を工事する管路工事方法であって、
前記管路は、
流体の流通方向と交叉する方向に前記流通路を隔てて貫通する一対の貫通穴と、
一対の前記貫通穴をそれぞれ塞いだ状態で前記管路に回動自在に貫通する貫通体と、
前記管路に貫挿された前記貫通体の端部と螺合可能な螺合体と、を備え、
前記管路のうちの前記螺合体が配置される一方の前記貫通穴側を前記螺合体とともに被覆して密閉する被覆部材を前記管路に取り付ける被覆部材取付工程と、
前記被覆部材取付工程をおこなった後、前記螺合体との螺合状態を解除することで前記貫通体を前記管路から取り外す貫通体取外工程と、を含み、
前記被覆部材は、
前記螺合体の少なくとも一部に当接して前記螺合体の回転を規制する回転規制部を有する、
ことを特徴とする管路工事方法。
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