JP6795106B2 - ポリプロピレンフィルム、および離型フィルム - Google Patents

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Description

本発明は表面柔軟性を改善し、かつ表面平滑性、透明性、離型性に優れた離型フィルムとして好適に用いることのできるポリプロピレンフィルムに関する。
ポリプロピレンフィルムは、透明性、機械特性、電気特性等に優れるため、包装用途、離型用途、テープ用途、ケーブルラッピングやコンデンサをはじめとする電気用途等の様々な用途に用いられている。特に、表面の離型性や機械特性に優れることから、プラスチック製品や建材や光学部材など、様々な部材の離型フィルムや工程フィルムとして好適に用いられる。
離型フィルムへの要求特性はその使用用途によって適宜設定されるが、近年、感光性樹脂などの粘着性を有する樹脂層のカバーフィルムとして用いられる場合がある。粘着性を有する樹脂層をカバーする場合、カバーフィルムの離型性が悪いと、剥がす際にきれいに剥離できず、保護面である樹脂層の形状が変化したり、保護面にカバーフィルムの僅かな凹凸の転写痕が残る場合があるため、表面が軟質である表面弾性率の低いフィルムが求められる。また、カバーフィルムの表面平滑性が悪いと、たとえば光学用部材の離型フィルムとして用いたときに、フィルムの表面凹凸が光学用部材に転写して製品の視認性に影響を及ぼす場合がある。さらに、カバーフィルムの透明性が悪いと、感光性樹脂と貼り合わせた後、欠点観察などの工程検査を行う際に妨げとなる場合がある。以上のことから、光学部材など要求特性の高い離型フィルムで用いるためには、表面柔軟性、表面平滑性、透明性を兼ね備えた離型性に優れたフィルムが求められる。
離型性向上の手段としては、たとえば特許文献1および2に、フィルム表層にβ晶を形成する手法や、フィルム内層に粒子またはポリメチルペンテン樹脂を添加するなど表面を粗面化することで離型性を向上している例が記載されている。また、特許文献3に、分子量分布が異なるポリプロピレン樹脂のブレンドを行うことで、透明性を高めたフィルムを得る例が記載されている。さらに特許文献4に、2層からなる積層フィルムの片表面に分岐鎖状ポリプロピレン樹脂を含有することで表面に微細突起を形成し表面平滑性と滑り性を両立させた離型フィルムの例が記載されている。さらに柔軟性を付与するため、たとえば、特許文献5および6に、3層からなる積層フィルムの内層部に低融点ポリプロピレンを添加して、柔軟性および高い透明性を備えた離型フィルムが記載されている。
特開2018−127620号公報 特開2015−178594号公報 特開2014−055283号公報 特開2007−126644号公報 国際公開第2015/129851号公報 国際公開第2018/147335号公報
しかしながら、特許文献1および2に記載の方法は、表面柔軟性が乏しく改善余地があった。また特許文献3に記載の方法は、剛性が高くなるため表面の柔軟性が不十分であった。さらに特許文献4に記載の方法は、反対面が粗面化し透明性、表面柔軟性が不十分であった。さらに特許文献5および6に記載の方法は、最表層はポリプロピレン樹脂からなるフィルムのため、表面柔軟性が十分とは言えないものであった。
そこで本発明の課題は、上記した問題点を解決することにある。すなわち、表面柔軟性を改善し、表面平滑性、透明性、離型性に優れたポリプロピレンフィルムを提供することにある。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明のポリプロピレンフィルムは、以下である。
(1) 少なくとも一方の表面のナノインデンテーション法で測定した弾性率が2.5GPa以下であり、示差走査熱量計DSCで25℃から250℃まで20℃/minで昇温し、ついで250℃から25℃まで20℃/minで降温したときの、結晶化ピーク温度(Tc)が110℃以上である、ポリプロピレンフィルム。
(2) 少なくとも3層以上の積層フィルムであって、内層(B層)は、分岐鎖状ポリプロピレン樹脂を含有し、表層(A層)は、融点が50℃以上135℃以下の低融点ポリプロピレン樹脂を含有する、ポリプロピレンフィルム。
(3) 示差走査熱量計DSCで25℃から250℃まで20℃/minで昇温し、ついで250℃から25℃まで20℃/minで降温したときの、結晶化ピーク温度(Tc)が110℃以上であり、表面突起最大高さStが小さい表面Xの表面突起最大高さStが150nm以下であり、表面突起最大高さStが大きい表面Yの表面突起最大高さStが、前記表面Xの表面突起最大高さStの1.3倍以上であり、少なくとも一方の表面の光沢度が144%以上である、ポリプロピレンフィルム。
本発明のポリプロピレンフィルムは、表面柔軟性を改善し、かつ表面平滑性、透明性、離型性に優れることから、離型フィルムとして好適に使用することができる。
本発明のポリプロピレンフィルムは、少なくとも一方の表面のナノインデンテーション法で測定した弾性率が2.5GPa以下であり、示差走査熱量計DSCで25℃から250℃まで20℃/minで昇温し、ついで250℃から25℃まで20℃/minで降温したときの、結晶化ピーク温度(Tc)が110℃以上のフィルムである。以下、この態様の本発明のポリプロピレンフィルムを、本発明1、又は、本発明1のポリプロピレンフィルム、という。
また本発明の他の態様に係るポリプロピレンフィルムは、少なくとも3層以上の積層フィルムであって、内層(B層)は、分岐鎖状ポリプロピレン樹脂を含有し、表層(A層)は、融点が50℃以上135℃以下の低融点ポリプロピレン樹脂を含有するフィルムである。以下、この態様の本発明のポリプロピレンフィルムを、本発明2、又は、本発明2のポリプロピレンフィルム、という。
さらに本発明の他の態様に係るポリプロピレンフィルムは、示差走査熱量計DSCで25℃から250℃まで20℃/minで昇温し、ついで250℃から25℃まで20℃/minで降温したときの、結晶化ピーク温度(Tc)が110℃以上であり、表面突起最大高さStが小さい表面Xの表面突起最大高さStが150nm以下であり、表面突起最大高さStが大きい表面Yの表面突起最大高さStが、表面Xの表面突起最大高さStの1.3倍以上であり、少なくとも一方の表面の光沢度が144%以上である、ポリプロピレンフィルムである。以下、この態様の本発明のポリプロピレンフィルムを、本発明3、又は、本発明3のポリプロピレンフィルム、という。そして、単に本発明と記した場合、それは本発明1と本発明2と本発明3のいずれも含む意味で記す。
本発明においてポリプロピレンフィルムとは、フィルムの全質量100質量%に対して、ポリプロピレン樹脂を80質量%以上100質量%以下含むフィルムを意味する。ポリプロピレンフィルム中のポリプロピレン樹脂は、90質量%以上100質量%以下であることが好ましく、95質量%以上100質量%以下であることがさらに好ましい。なお、本発明のポリプロピレンフィルムは、微多孔フィルムではなく、多数の空孔を有していないフィルムを意味し、具体的には空孔率が0%以上20%未満のポリプロピレンフィルムを意味する。ポリプロピレンフィルムの空孔率は、0%以上10%未満がより好ましく、0%以上5%未満であることがさらに好ましい。ポリプロピレンフィルムの空孔率は、フィルムの比重(ρ)とフィルムを280℃、5MPaで熱プレス後、25℃の水で急冷したシートの比重(d)より下記式より求めることができる。
空孔率(%)=〔(d−ρ)/d〕×100
本発明1のポリプロピレンフィルムは、少なくとも一方の表面のナノインデンテーション法で測定した弾性率が2.5GPa以下(以下、少なくとも一方の表面をナノインデンテーション法で測定した弾性率のことを、単に表面弾性率、と記すことがある)であるため、表面柔軟性を有し、粘着性を有する樹脂層の表面保護用の離型フィルムとして用いる場合、保護面である樹脂層の形状を変形させず、保護面にカバーフィルムの僅かな凹凸形状痕を転写させず保護できる。一方で表面弾性率が2.5GPaを超えると、剛性が高く、粘着性を有する樹脂層の表面保護用の離型フィルムとして用いる場合、剥離する際に保護面である樹脂層の形状が変化したり、保護面にカバーフィルムの凹凸転写痕が残る。上記した観点から表面弾性率は、2.3GPa以下が好ましく、2.1GPa以下がより好ましく、1.9GPa以下が最も好ましい。表面弾性率の下限は特に限定されず小さいほど好ましいが、現実的に0.5GPaより小さくすることは容易ではないので、現実的な下限は0.5GPa程度である。本発明1のポリプロピレンフィルムの表面弾性率を2.5GPa以下とするには、後述するように積層フィルムとし、さらにフィルム表層に低融点ポリプロピレン樹脂を添加し、製膜時における縦延伸と横延伸の各延伸温度の関係を縦延伸温度が高くなるよう調整することで達成できる。
また本発明1のポリプロピレンフィルムは、示差走査熱量計DSCで25℃から250℃まで20℃/minで昇温し、ついで250℃から25℃まで20℃/minで降温したときの、結晶化ピーク温度(Tc)が110℃以上である。Tcが高温であることは球晶形成のしやすさを意味するものである。ポリプロピレンフィルムの表面凹凸を形成する方法として、結晶変態を利用する手法が用いられているが、フィルム製造工程において溶融押出後の冷却ドラム上で固化させてβ晶系球晶を形成し、延伸工程で、熱的に不安定なβ晶をα晶に結晶変態させ、フィルム表面に凹凸を形成している。β晶が大きい場合には延伸後のフィルム表面凹凸が大きくなり粗面化しやすい。他方、β晶を小さくすることで延伸後のフィルム表面凹凸は微細に形成される。すなわち、本発明1のポリプロピレンフィルムにおいては、表面保護用の離型フィルムとして表面平滑性、透明性を得る観点から、球晶サイズを小さく形成することが重要であり、結晶化ピーク温度(Tc)は110℃以上であることが重要である。同様の理由、つまり球晶サイズを小さく形成して表面平滑性、透明性を得る観点から、Tcは112℃以上が好ましく、114℃以上がより好ましい。他方、Tcが110℃未満の場合は球晶サイズが大きくなり延伸後のフィルム表面凹凸は粗面化されたものとなる。本発明1のポリプロピレンフィルムのTcの上限は特に限定されないが、125℃であれば表面平滑性や透明性は十分な値となるため、上限は125℃とするものである。Tcを110℃以上とするには、後述するように積層フィルムとし、フィルム内層に分岐鎖状ポリプロピレン樹脂を添加することで達成できる。
本発明1〜3のポリプロピレンフィルムに用いられるポリプロピレン原料は特に限定されないが、好ましくは冷キシレン可溶部(以下CXS)が4質量%以下であり、かつメソペンタッド分率が0.94以上であるポリプロピレンであることが好ましく、0.95以上であるポリプロピレンであることがより好ましい。ポリプロピレン原料がこれらを満たさないと、製膜安定性が低下したり、フィルムの機械特性が低下する場合がある。
ここで冷キシレン可溶部(CXS)とは、ポリプロピレンフィルムをキシレンで完全溶解せしめた後、室温で析出させたときに、キシレン中に溶解しているポリプロピレン成分のことをいい、立体規則性が低い、分子量が低い等の理由で結晶化し難い成分が、冷キシレン可溶部(CXS)に該当すると考えられる。このような結晶化し難い成分が多く樹脂中に含まれていると、ポリプロピレンフィルムの機械特性が低下する場合がある。従って、ポリプロピレン原料のCXSは4質量%以下であることが好ましいが、さらに好ましくは3質量%以下であり、特に好ましくは2質量%以下である。CXSは低いほど好ましいが、0.1質量%程度が下限である。ポリプロピレン樹脂のCXSを上記範囲とするには、樹脂を得る際の触媒活性を高める方法、得られた樹脂を溶媒あるいはプロピレンモノマー自身で洗浄する方法等が使用できる。
同様な観点からポリプロピレン原料のメソペンタッド分率は0.94以上であることが好ましく、より好ましくは0.95以上、さらに好ましくは0.96以上である。メソペンタッド分率は、核磁気共鳴法(NMR法)で測定されるポリプロピレンの結晶相の立体規則性を示す指標であり、該数値が高いものほど結晶化度が高く、融点が高くなり、高温での使用に適するために好ましい。メソペンタッド分率の上限については特に規定するものではない。このように立体規則性の高い樹脂を得るには、n−ヘプタン等の溶媒で得られた樹脂パウダーを洗浄する方法や、触媒および/または助触媒の選定、組成の選定を適宜行う方法等が好ましく採用される。
また、ポリプロピレン原料としては、より好ましくはメルトフローレート(MFR)が1〜10g/10分(230℃、21.18N荷重)、特に好ましくは2〜5g/10分(230℃、21.18N荷重)の範囲のものが、製膜性やフィルムの機械特性の観点から好ましい。MFRを上記の値とするためには、平均分子量や分子量分布を制御する方法などが採用される。
ポリプロピレン原料としては、本発明の目的を損なわない範囲で他の不飽和炭化水素による共重合成分などを含有してもよいし、プロピレンが単独ではない重合体がブレンドされていてもよい。このような共重合成分やブレンド物を構成する単量体成分として、例えばエチレン、プロピレン(共重合されたブレンド物の場合)、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチルペンテン−1、3−メチルブテンー1、1−ヘキセン、4−メチルペンテン−1、5−エチルヘキセン−1、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、ビニルシクロヘキセン、スチレン、アリルベンゼン、シクロペンテン、ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネンなどが挙げられる。共重合量またはブレンド量は、球晶形成、耐熱性の観点から、共重合量では1mol%未満とし、ブレンド量では10質量%未満とするのが好ましい。
本発明1〜3のポリプロピレンフィルムに用いる原料であるポリプロピレン原料には、本発明の効果を損なわない範囲において、酸化防止剤、熱安定剤、帯電防止剤や無機あるいは有機粒子からなる滑剤、さらにはブロッキング防止剤や充填剤、非相溶性ポリマーなどの各種添加剤を含有させてもよい。特に、ポリプロピレンや表面自由エネルギーの低い樹脂の酸化劣化を抑制する目的で、酸化防止剤を含有せしめることが好ましい。酸化防止剤の含有量は、ポリプロピレン原料100質量%に対して2質量%以下とすることが好ましく、より好ましくは1質量%以下、さらに好ましくは0.5質量%以下である。
本発明1のポリプロピレンフィルムは、フィルムの表面平滑性、透明性、離型性向上の観点から、少なくとも3層以上の積層フィルムであって、内層(B層)は、分岐鎖状ポリプロピレン樹脂を含有することが好ましい。内層(B層)が分岐鎖状ポリプロピレン樹脂を含有することで、ポリプロピレンフィルムの結晶化ピーク温度(Tc)を高温化し、溶融押出した樹脂シートの冷却工程で生成する球晶サイズを容易に小さく制御できる。また本発明1では、内層(B層)に分岐鎖状ポリプロピレン樹脂を含有することで結晶変態を利用した二軸延伸後の表面凹凸の急峻な高低差を低減でき、緻密で微細な表面凹凸となるため平滑性、透明性、離型性を向上することができる。なお、本発明1のポリプロピレンフィルムが4層以上の積層フィルムの場合、複数存在する内層の中の少なくとも1つが、分岐鎖状ポリプロピレン樹脂を含有する内層(B層)であることが好ましい。
本発明1のポリプロピレンフィルムの内層(B層)を構成する分岐鎖状ポリプロピレン樹脂の含有量は、B層全体を100質量%としたときに0.05〜10質量%が好ましい。ポリプロピレンフィルムの結晶化ピーク温度(Tc)を高温化し、溶融押出した樹脂シートの冷却工程で生成する球晶サイズを小さく制御し、二軸延伸後のフィルム表面凹凸の急峻な高低差を低減した緻密で微細な表面凹凸を形成する観点から、分岐鎖状ポリプロピレン樹脂の含有量の下限はより好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上である。他方、分岐鎖状ポリプロピレン樹脂の含有量の上限はより好ましくは8質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である。
ここでいう分岐鎖状ポリプロピレン樹脂とは、カーボン原子10,000個中に対し5箇所以下の内部3置換オレフィンを有するポリプロピレンである。そして分岐鎖状ポリプロピレン樹脂は、より好ましくは、カーボン原子10,000個中に対し1箇所以上5箇所以下の内部3置換オレフィンを有する。この内部3置換オレフィンの存在はH−NMRスペクトルのプロトン比により確認することができる。
本発明1のポリプロピレンフィルムは、フィルムの表面平滑性、透明性、及び離型性向上の観点から、少なくとも3層以上の積層フィルムであって、表層(A層)は、融点が50℃以上135℃以下の低融点ポリプロピレン樹脂を含有することが好ましい。表層(A層)に融点が50℃以上135℃以下の低融点ポリプロピレン樹脂を含有することでフィルム表面の弾性率が低下し、粘着性を有する樹脂層の表面保護用の離型フィルムとして用いる場合、保護面にカバーフィルムの表面凹凸の転写痕を生じにくくできる。
ここで融点が50℃以上135℃以下の低融点のポリプロピレン樹脂は、柔軟性を向上させるために、結晶性の低いポリプロピレン樹脂であることが好ましい。このような融点が50℃以上135℃以下の低融点のポリプロピレン樹脂としては、非晶性ポリプロピレン樹脂や低立体規則性ポリプロピレン樹脂、シンジオタクチックポリプロピレン樹脂、α−オレフィン共重合体などを用いることができるが、少ない添加量で優れた透明性、表面弾性率を制御できることから、非晶性ポリプロピレン樹脂や低立体規則性ポリプロピレン樹脂が特に好ましい。好ましく用いられる非晶性ポリプロピレン樹脂としては、主としてアタクチックな立体規則性を有するポリプロピレンポリマーが主成分であることが好ましく、具体的には、ホモポリマーあるいは、α−オレフィンとのコポリマーが挙げられる。特にメタロセン系触媒により製造される低立体規則性ポリプロピレン樹脂が低分子量または非晶性のいわゆるべたつき成分が少ないため好ましい。低立体規則性ポリプロピレン樹脂の融点は、50℃以上135℃以下であり、60℃以上130℃以下がより好ましく、65℃以上125℃以下であることが特に好ましい。融点が50℃以上135℃以下の低融点ポリプロピレン樹脂の重量平均分子量は、好ましくは3万〜40万、より好ましくは4万〜30万、更に好ましくは4万〜20万であり、分子量分布Mw/Mnは好ましくは1〜4であり、1〜3であることがより好ましい(Mw:重量平均分子量、Mn:数平均分子量)。また<2、1>エリトロ部位欠損が0.01mol%以上であることが好ましい。以上のような特徴を有する低立体規則性ポリプロピレン樹脂としては、出光興産(株)製“エルモーデュ”、日本ポリプロ(株)製“WINTEC”、ExxonChemical製“Vistamaxx”などの市販品を適宜選択の上、使用することができる。
本発明1のポリプロピレンフィルムの表層(A層)に含まれる低融点ポリプロピレン樹脂の含有量は、A層全体を100質量%としたときに10〜90質量%が好ましい。フィルム表面の弾性率が低下し、粘着性を有する樹脂層の表面保護用の離型フィルムとして用いる場合、保護面にカバーフィルムの表面凹凸の転写痕を生じにくくなる観点から、低融点ポリプロピレン樹脂の含有量の下限はより好ましくは15質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上である。他方、低融点ポリプロピレン樹脂の含有量の上限はより好ましくは70質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下である。
本発明1〜3のポリプロピレンフィルムを積層フィルムとする方法としては、ラミネートによるフィルム同士を貼り合わせる方法、共押出によるフィードブロック方式やマルチマニホールド方式、コーティングによる方法などがあげられるが、生産効率およびコストの観点から溶融共押出による積層方法、コーティングによる積層方法が好ましい。また積層は、フィルム厚さ方向に3層以上積層されてなる構成が好ましく、具体的には両表層をA層とし、内層として少なくともB層を有する3層以上の構成であり、たとえばA層/B層/A層の3層構成およびA層/B層/C層/B層/A層など5層以上の構成である。ここで表層となるA層は、融点が50℃以上135℃以下の低融点ポリプロピレン樹脂を含有して構成される層と定義するものである。また内層となるB層は、分岐鎖状ポリプロピレンを含有して構成される層と定義するものである。なおC層はポリプロピレン樹脂であればよく、特に限定されない。
本発明1〜3のポリプロピレンフィルムは、フィルム全体の厚みに対する表層(A層)の厚み割合が1〜20%であることが好ましい。より好ましくは1〜18%、更に好ましくは1〜15%である。表層(A層)の割合が20%を超えると、表面が平滑になりすぎ、離型性を損なう場合がある。1%未満では、内層(B層)が表面にまで影響し透明性が損なわれる場合ある。表層(A層)の厚みは他の物性を悪化させない範囲内で、押出機のスクリュウ回転数、未延伸シートの幅、製膜速度、延伸倍率などにより調整可能である。
ここで表層(A層)と内層(B層)は、例えば、フィルム断面を作成し走査型電子顕微鏡SEMなどを用いた断面観察を行うことで、低融点ポリプロピレン樹脂を含有するA層と分岐鎖状ポリプロピレン樹脂の含有するB層との樹脂界面を判定することも可能である。
本発明1または2のポリプロピレンフィルムは、適度な表面平滑性、透明性、離型性を得る観点から、表面突起最大高さStが小さい表面Xの表面Xにおける表面突起最大高さStが100nm以下であり、表面突起最大高さStが大きい表面Yの表面突起最大高さStが、表面Xの表面突起最大高さStの1.5倍以上であることが好ましい。表面Xにおける表面突起最大高さStは95nm以下がより好ましく、85nm以下がさらに好ましい。他方、表面Xの反対面となる表面Yの表面突起最大高さStが、表面Xの表面突起最大高さStの1.6倍以上がより好ましく、1.7倍以上がさらに好ましい。表面Xはその反対面の表面Yよりも表面突起最大高さStを小さくすることで、表面平滑性と透明性を発現でき、反対面の表面Yは表面突起最大高さStを大きくすることで離型性を発現でき、すなわち表面Xの表面突起最大高さStと表面Yとの表面突起最大高さStに1.5倍以上の表裏格差を有することが効果的である。
また本発明1または2のポリプロピレンフィルムは、表面Xの表面突起最大高さStを100nm以下に制御することで、粘着性を有する樹脂層の表面保護用の離型フィルムとして用いる場合、保護面にカバーフィルムの表面凹凸の転写痕を生じにくくできるため好ましい。他方の表面Yの上限は特に限定されないが、透明性、平滑性を損なわない観点から、表面Xの表面突起最大高さStの5倍を上限とするものである。本発明1および2のポリプロピレンフィルムの表面Xにおける表面突起最大高さStを100nm以下として、他方の表面Yの表面突起最大高さStを表面Xの表面突起最大高さStの1.5倍以上とするには、後述するように3層以上の積層フィルム構成とし、各層の原料組成、キャスティングドラム温度、縦延伸と横延伸の各延伸温度の関係を縦延伸温度が高くなるよう調整することで達成可能である。特に表層(A層)に添加する低融点ポリプロピレン樹脂、内層(B層)に添加する分岐鎖状ポリプロピレン樹脂を好ましい範囲に調整することが効果的である。ここで一般的には表面Xはキャストドラム設置面とするものである。
本発明1〜3のポリプロピレンフィルムは、表面平滑性を得る観点から、少なくとも一方の表面の算術平均高さSaが20nm以下であることが好ましく、より好ましくは16nm以下、さらに好ましくは12nm以下、最も好ましくは10nm以下である。フィルムの両面の算術平均高さSaが20nmを超えると、表面凸形状の高さが全体的に高いフィルムとなるため、粘着性を有する樹脂層の表面保護用の離型フィルムとして用いる場合、保護面にカバーフィルムの表面凹凸の転写痕を生じる場合がある。表面の算術平均高さSaの下限は特に限定されず小さいほど好ましいが、現実的には1nm程度である。本発明のポリプロピレンフィルム1〜3の少なくとも一方の表面における算術平均高さSaを20nm以下とするには、後述するように積層フィルムとし、特に表層(A層)には低融点ポリプロピレン樹脂を含有し、製膜時におけるキャスティングドラム温度、縦延伸と横延伸の各延伸温度の関係を縦延伸温度が高くなるよう調整することで達成できる。
本発明1〜3のポリプロピレンフィルムは、少なくとも一方の表面のヘイズが2%以下であることが好ましい。より好ましくは1.5%以下、さらに好ましくは1%以下である。フィルムの両面のヘイズが2%を超えると、フィルムの透明性が低いため、感光性樹脂と貼り合わせた後、欠点観察などの工程検査を行う際に妨げとなる場合がある。ヘイズの下限は、特に限定されないが、実質的には0.1%程度が下限である。少なくとも一方の表面のヘイズを2%以下とするには、3層以上の積層フィルム構成とし、各層の原料組成、縦延伸と横延伸の各延伸温度の関係を縦延伸温度が高くなるよう調整することで達成可能である。特に表層(A層)に添加する低融点ポリプロピレン樹脂、内層(B層)に添加する分岐鎖状ポリプロピレン樹脂を好ましい範囲に調整することが効果的である。
本発明1〜3のポリプロピレンフィルムは、静摩擦係数μsが0.8以下であることが好ましい。より好ましくは0.75以下、さらに好ましくは0.65以下である。静摩擦係数μsが0.8を超えると、フィルムの走行性が低いため、フィルムをロールtoロールで搬送し巻き取る際、また感光性樹脂と貼り合わせた後、搬送し巻き取る際にフィルムに皺や傷が入る場合がある。静摩擦係数μsの下限は、特に限定されないが、実質的には0.2程度が下限である。静摩擦係数μsを0.8以下とするには、3層以上の積層フィルム構成とし、内層(B層)に分岐鎖状ポリプロピレン樹脂を含有し、製膜条件を好ましい範囲に制御することで達成可能である。
本発明1〜3のポリプロピレンフィルムは、少なくとも一方の表面の光沢度が145%以上であることが好ましい。より好ましくは147%以上、さらに好ましくは149%以上である。少なくとも一方の表面の光沢度が145%以上である場合には、表面で光学的に光を乱反射する表面凹凸が少ないことになり、表面平滑性が高く、粘着性を有する樹脂層の表面保護用の離型フィルムとして用いる場合、保護面にカバーフィルムの表面凹凸の転写痕を生じにくくなる。光沢度は高い方が好ましいが、実質的には155%程度が上限である。少なくとも一方の表面の光沢度を145%以上とするには、3層以上の積層フィルム構成とし、表層(A層)に低融点ポリプロピレン樹脂を含有し、製膜時のキャスティング温度、縦延伸と横延伸の各延伸温度の関係を縦延伸温度が高くなるよう調整することで達成可能である。
本発明1〜3のポリプロピレンフィルムは、感光性樹脂などの粘着性を有する樹脂層のカバーフィルムとして用いられ、加工時の搬送工程、粘着層への貼り付け工程および剥離工程でのハンドリング性の観点から長手方向と幅方向の引張試験における破断伸度の和が200%以上であることが好ましい。破断伸度の和は220%以上がより好ましく、240%以上がさらに好ましい。上限は特に限定されないが、破断伸度を高めるには製膜時の延伸倍率を低くする必要があり、生産速度の低下、採取フィルム面積の低下など生産性が劣る観点から450%とするものである。長手方向と幅方向の引張試験における破断伸度の和を上記範囲とするためには、フィルムの原料組成やフィルムの積層構成、延伸倍率など製膜条件を好ましい範囲に制御することで達成可能である。
本発明1〜3のポリプロピレンフィルムは、感光性樹脂などの粘着性を有する樹脂層のカバーフィルムとして用いられ、搬送工程、貼り付けおよび剥離工程でのハンドリング性の観点から長手方向と幅方向の引張試験におけるヤング率の和が3.5GPa以上であることが好ましい。ヤング率の和は3.8GPa以上がより好ましく、4.0GPa以上がさらに好ましい。上限は特に限定されないが、ヤング率を高めるには製膜時の延伸倍率を高める必要があり、破膜しない延伸倍率で行う製膜性の観点から7.0GPaとするものである。長手方向と幅方向の引張試験におけるヤング率の和を上記範囲とするためには、フィルムの原料組成やフィルムの積層構成などの製膜条件を好ましい範囲に制御することで達成可能である。
ここで本発明1〜3のポリプロピレンフィルムにおいて、「長手方向」とは、フィルム製造工程における流れ方向に対応する方向(以降、「MD」という場合がある)であり、「幅方向」とは、前記のフィルム製造工程における流れ方向と直交する方向(以降、「TD」という場合がある)である。フィルムサンプルがリール、ロール等の形状の場合はフィルム巻き取り方向が長手方向といえる。一方、フィルムの外観からは何れの方向がフィルム製造工程における流れ方向に対応する方向であるかが不明なフィルムの場合は、例えば、フィルム平面上の任意の直線を基準に15°刻みで線を引き、その各線に平行にスリット状のフィルム片をサンプリングして引張試験器にて破断強度を求め、最大の破断強度を与える方向を、そのフィルム幅方向とみなし、そのフィルム幅方向に直交する方向を長手方向とみなす。詳細は後述するが、サンプルの幅が150mm未満で引張試験器では破断強度を求めることができない場合は、広角X線によるポリプロピレンフィルムのα晶(110)面の結晶配向を次のように測定し、下記の判断基準に基づいてフィルム長手および幅方向とする。すなわち、フィルム表面に対して垂直方向にX線を入射し、2θ=約14°(α晶(110)面)における結晶ピークを円周方向にスキャンし、得られた回折強度分布の回折強度が高い方向をフィルム幅方向とし、それと直交する方向を長手方向とする。
本発明1〜3のポリプロピレンフィルムは、フィルム長手方向の熱収縮力が20mN以上となる温度は116℃以上が好ましく、より好ましくは120℃以上、さらに好ましくは124℃以上、最も好ましくは128℃以上である。フィルム長手方向において、熱収縮力が20mN以上となる際の温度が116℃未満である場合、離型フィルムとして、被着体に貼り合わせた後で、加熱ロールやオーブンなどの高温工程を通過する場合において、収縮により被着体から剥がれたり、カールが生じたりする場合がある。熱収縮力が20mN以上となる温度の上限は、特に限定されないが、実質的には160℃程度が上限である。熱収縮力が20mN以上となる際の温度の値を上記範囲とするには、3層以上の積層フィルム構成とし、各層の原料組成、キャスティングドラム温度、縦延伸と横延伸の各延伸温度の関係を縦延伸温度が高くなるよう調整することで達成可能である。
本発明1〜3のポリプロピレンフィルムの厚みは用途によって適宜調整されるものであり特に限定はされないが、感光性樹脂などの粘着性を有する樹脂層のカバーフィルムとして用いられ、加工時の搬送工程、粘着層への貼り付けおよび剥離工程でのハンドリング性の観点から、5μm以上100μm以下であることが好ましい。厚みが5μm未満であると、ハンドリングが困難になる場合があり、100μmを超えると、樹脂量が増加して生産性が低下する場合がある。厚みは、5μm以上80μm以下であることがより好ましく、5μm以上60μm以下であることがさらに好ましく、5μm以上40μm以下であることが最も好ましい。厚みは他の物性を悪化させない範囲内で、押出機のスクリュウ回転数、未延伸シートの幅、製膜速度、延伸倍率などにより調整可能である。
本発明2のポリプロピレンフィルムは、少なくとも、表層(A層)と内層(B層)を含む3層以上の積層フィルムであって、内層(B層)は、分岐鎖状ポリプロピレン樹脂を含有し、表層(A層)は、融点が50℃以上135℃以下の低融点ポリプロピレン樹脂を含有するポリプロピレンフィルムである。ここでA層を構成する融点が50℃以上135℃以下の低融点ポリプロピレン樹脂を含有する層を内層とした場合、フィルムの表面弾性率を低くすることができず、またB層を構成する分岐鎖状ポリプロピレン樹脂を含有する層を表層とした場合、二軸延伸後の表面凹凸の急峻な高低差が生じてしまう。本発明2のポリプロピレンフィルムは、内層(B層)に分岐鎖状ポリプロピレンを含有することで結晶変態を利用した二軸延伸後の表面凹凸の急峻な高低差を低減し、緻密で微細な表面凹凸を形成し、表層(A層)には、融点が50℃以上135℃以下の低融点ポリプロピレン樹脂を含有することで、フィルム表面の弾性率を低下させるものである。本発明2のポリプロピレンフィルムは、この内層と表層のフィルム構成とすることにより、表面柔軟性を改善し、かつ表面平滑性、透明性、離型性に優れる効果を最も得ることができ、粘着性を有する樹脂層の表面保護用の離型フィルムとして用いる場合、保護面にカバーフィルムの表面凹凸の転写痕を生じにくくできる。また、フィルムの透明性が高いため、感光性樹脂と貼り合わせ後、欠点観察などの工程検査を行う際に妨げに欠点誤検出を低減することができるものである。なお、本発明2のポリプロピレンフィルムが4層以上の積層フィルムの場合、複数存在する内層の中の少なくとも1つが、分岐鎖状ポリプロピレン樹脂を含有する内層(B層)であればよい。
本発明3のポリプロピレンフィルムは、示差走査熱量計DSCで25℃から250℃まで20℃/minで昇温し、ついで250℃から25℃まで20℃/minで降温したときの、結晶化ピーク温度(Tc)が110℃以上であり、表面突起最大高さStが小さい表面Xの表面突起最大高さStが150nm以下であり、表面突起最大高さStが大きい表面Yの表面突起最大高さStが、表面Xの表面突起最大高さStの1.3倍以上であり、少なくとも一方の表面における光沢度が144%以上である。本発明3のポリプロピレンフィルムは、結晶化ピーク温度(Tc)、表面Xにおける表面突起最大高さStと反対面の表面Yの表面突起最大高さStの関係、少なくとも一方の表面における光沢度を制御することにより、表面柔軟性を改善し、かつ表面平滑性、透明性、離型性に優れる効果を最も得ることができ、粘着性を有する樹脂層の表面保護用の離型フィルムとして用いる場合、保護面にカバーフィルムの表面凹凸の転写痕を生じにくくでき、フィルムの透明性が高いため、感光性樹脂と貼り合わせ後、欠点観察などの工程検査を行う際に、欠点誤検出を低減することができるものである。
次に本発明のポリプロピレンフィルムの製造方法について説明するが、必ずしもこれに限定されるものではない。
まず、表層(A)、及び内層(B層)の各原料を各単軸押出機に供給し、200〜260℃にて溶融押出を行う。そして、ポリマー管の途中に設置したフィルターにて異物や変性ポリマーなどを除去した後、マルチマニホールド型のA層/B層/A層の複合Tダイにて例えば1/15/1の積層厚み比になるように積層し、キャストドラム上に吐出し、A層/B層/A層の層構成を有する積層未延伸シートを得る。この際、キャストドラムは表面温度が15〜50℃であることがフィルム表面の平滑性、透明性を得る観点から好ましい。キャスティングドラムへの密着方法としては静電印加法、水の表面張力を利用した密着方法、エアナイフ法、プレスロール法、水中キャスト法などのうちいずれの手法を用いてもよいが、平面性の観点からエアナイフ法が好ましい。エアナイフのエアー温度は、20〜50℃で、吹き出しエアー速度は130〜150m/sが好ましく、幅方向均一性を向上させるために2重管構造となっていることが好ましい。また、フィルムの振動を生じさせないために製膜下流側にエアーが流れるようにエアナイフの位置を適宜調整することが好ましい。ここで溶融積層ポリマーはキャスティングドラム面に接触している側の表面が平滑表面になるため表面X、その反対面を表面Yとする。
得られた未延伸シートは、空気中で放冷された後、縦延伸工程に導入される。縦延伸工程ではまず複数の110℃以上160℃以下に保たれた金属ロールに未延伸シートを接触させて延伸温度まで予熱され、長手方向に3〜8倍に延伸した後、室温まで冷却する。延伸温度が160℃以上の場合、延伸ムラが生じたり、フィルムが破断したりする場合がある。また延伸倍率が3倍未満であると、延伸ムラが生じたり、フィルムの配向が弱くなり、機械特性が低下する場合がある。
次いで縦一軸延伸フィルムをテンターに導いてフィルムの端部をクリップで把持し、横延伸を100〜160℃未満で幅方向に7〜13倍に延伸する。延伸温度が縦延伸温度より高いと、表層(A層)に含有する低融点ポリプロピレン樹脂が一部溶融しフィルムが破膜したり、破膜しなくても二軸延伸後のフィルム表面が大きく粗面化する場合がある。ただし、延伸温度が高すぎると、フィルムの剛性が低下する場合がある。
本発明のポリプロピレンフィルムは、表層(A層)に低融点ポリプロピレン樹脂を含有している場合には、横延伸温度は縦延伸温度より低い温度で延伸することが適度な表面平滑性、透明性、離型性を得る効果を得られやすい。横延伸温度は、100℃以上縦延伸温度未満とすることが好ましい。
続く熱処理および弛緩処理工程ではクリップで幅方向を緊張把持したまま幅方向に2〜20%の弛緩率で弛緩を与えつつ、100℃以上160℃度未満の温度で熱固定し、続いて80〜100℃での冷却工程を経てテンターの外側へ導き、フィルム端部のクリップ解放し、ワインダ工程にてフィルムエッジ部をスリットし、フィルム製品ロールを巻き取る。熱処理および弛緩工程の条件制御は、熱収縮率を調整する上で非常に重要である。弛緩率は、より好ましくは5〜18%、さらに好ましくは8〜15%である。また、熱固定温度は、表層(A層)に低融点ポリプロピレン樹脂を含有している場合は、100℃以上横延伸温度以下がより好ましく、120℃以上横延伸温度以下がさらに好ましい。
以上のようにして得られた本発明の積層ポリプロピレンフィルムは、包装用フィルム、離型フィルム、工程フィルム、衛生用品、農業用品、建築用品、医療用品など様々な用途で用いることができるが、特に離型性に優れることから、離型フィルム、工程フィルムとして好ましく用いることができる。特に、透明平滑性に優れることから、粘着性樹脂層のカバーフィルムなどの離型フィルムとして好ましく用いられる。
本発明における特性値の測定方法、並びに効果の評価方法は次のとおりである。
(1)フィルム厚み
ポリプロピレンフィルムの任意の10箇所の厚みを、23℃65%RHの雰囲気下で接触式のアンリツ(株)製電子マイクロメータ(K−312A型)を用いて測定した。その10箇所の厚みの平均値をポリプロピレンフィルムのフィルム厚みとした。
(2)フィルム表面をナノインデンテーション法で測定した弾性率(表面弾性率)
測定には(株)エリオニクス製のナノインデンター「ENT−2100」を用いた。ポリプロピレンフィルムに、東亞合成(株)製「“アロンアルファ”(登録商標)プロ用耐衝撃」を1滴塗布し、瞬間接着剤を介してポリプロピレンフィルムを専用のサンプル固定台に固定して、表面層側を測定面として測定を行った。測定には稜間角115°の三角錐ダイヤモンド圧子(Berkovich圧子)を用いた。測定データは「ENT−2100」の専用解析ソフト(version 6.18)により処理され、押込み弾性率EIT(GPa)を測定した。測定は、フィルムの両面について、それぞれn=10で行い、その平均値を求め、表には両面の測定値の平均値の内、小さい方の値を記載した。
測定モード:負荷−除荷試験
最大荷重:0.5mN
最大荷重に達した時の保持時間:1秒
荷重速度、除荷速度:0.05mN/sec
(3)結晶化ピーク温度(Tc)
示差走査熱量計(セイコーインスツル(株)製EXSTAR DSC6220)を用いて、窒素雰囲気中で3mgのポリプロピレンフィルムを25℃から250℃まで20℃/minで昇温し、5分間保持した。ついで250℃から25℃まで20℃/minで降温する。この降温時に得られる発熱カーブのピーク温度を、ポリプロピレンフィルムの結晶化温度(Tc)とした。なお複数のピーク温度が観測できる場合には80℃から130℃の領域で最も高温の温度をポリプロピレンフィルムの結晶化温度(Tc)とした。
(4)表面突起最大高さ(St)、算術平均高さ(Sa)
測定は(株)菱化システムのVertScan2.0 R5300GL−Lite−ACを使用して行い、付属の解析ソフトにより撮影画面を多項式4次近似面補正にてうねり成分を除去し、次いで補間処理(高さデータの取得ができなかった画素に対し周囲の画素より算出した高さデータで補う処理)を行った。
Stは両面で測定を行い、小さい値の表面を表面Xとして求めた。またSaは両面で測定を行い、小さな値が得られた表面の値を表に記した。
測定条件は下記のとおり。
製造元:(株)菱化システム
装置名:VertScan2.0 R5300GL−Lite−AC
測定条件:CCDカメラ SONY HR−57 1/2インチ(1.27センチ)
対物レンズ 10x
中間レンズ 0.5x
波長フィルタ 520nm white
測定モード:Phase
測定ソフトウェア:VS-Measure Version5.5.1
解析ソフトフェア:VS−Viewer Version5.5.1
測定面積:1.252×0.939mm
(5)ヘイズ
一辺が5cmの正方形状のフィルムサンプルを3点(3個)準備する。次にサンプルを常態(23℃、相対湿度50%)において、40時間放置する。それぞれのサンプルを日本電色工業(株)製濁度計「NDH5000」を用いて、JIS「透明材料のヘイズの求め方」(K7136 2000年版)に準ずる方式で実施する。フィルムサンプル3点(3個)それぞれのヘイズを平均して、フィルムのヘイズとした。なお測定はフィルムの両面について行い、小さな値が得られた表面の値を表に記した。
(6)静摩擦係数μs
東洋テスター工業製摩擦測定器を用い、ASTM D1894−95(JIS K 7312−1996)に準じて、フィルム平面上の任意の直線を基準に45°刻みでスリット状のフィルム片をサンプリング(幅80mm、長さ200mmの長方形)し、その同一角度のフィルムの一方の面と他方の面とが接触するように重ねて摩擦させた時の初期の立ち上がり抵抗最大値を静摩擦係数μsとした。測定は5回行い、その平均値を求めた。ポリプロピレンフィルムの静摩擦係数μsは45°刻みで測定した中で最も小さい静摩擦係数μsを用いた。
(7)光沢度
JIS K−7105(1981)に準じ、スガ試験機(株)製 デジタル変角光沢計UGV−5Dを用いて入射角60°受光角60°の条件でフィルム表面について測定した5点のデータの平均値を光沢度(%)とした。測定は、フィルムの両面について行い、高い光沢度が得られた表面の値を表に記した。
(8)フィルム長手方向および幅方向の破断伸度の和、ヤング率の和
フィルムを試験方向長さ150mm×幅方向長さ10mmの矩形に切り出しサンプルとした。引張試験機((株)オリエンテック製テンシロンAMF/RTA−100)を用いて、JIS K7161(1994)に規定された方法に準じて、25℃、65%RH雰囲気で5回測定を行い、平均値を求めた。ただし、初期チャック間距離50mmとし、引張速度を300mm/分として、試験を開始してから荷重が1Nを通過した点を伸びの原点とした。また破断伸度はフィルムが破断した時点の伸長(%)の5回測定時の平均値を求めた。
なお、ヤング率の算出のために用いるフィルム厚みは上記(1)で測定した値を用いた。
(9)離型性
ポリプロピレンフィルムの、「(7)光沢度」の項で得られた高い光沢度を有する側の表面に、日東電工(株)製ポリエステル粘着テープNO.31Bをローラーで貼付し、それを19mm幅にカットしてサンプルを作製した。そのサンプルを、引張試験機を用いて500mm/minの速度で剥離し、以下の基準で評価した。AとBが合格、Cが不合格とした。
A:フィルム表面と粘着テープとが一定速度で剥離が可能
B:フィルム表面と粘着テープとの剥離時に速度が上下する
C:フィルム表面と粘着テープとの剥離時に速度が上下し、表面Xに剥離痕が残る
(10)凹凸転写抑止性
ポリプロピレンフィルムおよび厚み40μmの日本ゼオン(株)製“ゼオノアフィルム”(登録商標)を、幅100mm、長さ100mmの正方形にサンプリングし、ポリプロピレンフィルムの、「(7)光沢度」の項で得られた表面の光沢度が低い側の面に“ゼオノアフィルム”が接触するように重ねて、それを2枚のアクリル板(幅100mm、長さ100mm)に挟んで、2.5kgの荷重をかけ、23℃の雰囲気下で36時間静置した。36時間後に、“ゼオノアフィルム”の表面(ポリプロピレンフィルムが接していた面)を目視で観察し、以下の基準で評価した。AとBが合格、Cが不合格とした。
A:きれいであり、荷重をかける前と同等
B:弱い凹凸が確認される
C:強い凹凸が確認される
(11)ポリプロピレン樹脂の融点(Tm)
示差走査熱量計(セイコーインスツル(株)製EXSTAR DSC6220)を用いて、窒素雰囲気中で3mgのポリプロピレン樹脂チップを25℃から250℃まで20℃/minで昇温し、5分間保持した。ついで250℃から25℃まで20℃/minで25℃まで降温、再度、25℃から250℃まで20℃/minで昇温し、5分間保持した。この再昇温時に得られる吸熱カーブのピーク温度をポリプロピレン樹脂の融点(Tm)とした。
(12)熱収縮力が20mN以上となる温度
TMA(SII・ナノテクノロジー(株)社製/型式TMA/SS6100)を用いて、以下の条件でフィルム長手方向の熱収縮力曲線を測定した。
(a)サンプル:幅4mm×長さ20mm
(b)温度プログラム:30℃から加熱レート10℃/minにて昇温
<熱収縮開始温度>
上記熱収縮力曲線において、昇温過程で熱収縮力が20mNとなる温度を読み取った。測定は3回行い、平均を求めた。
(実施例1)
表層(A層)用のポリプロピレン樹脂全体を100質量%として(株)プライムポリマー製のポリプロピレン樹脂(MFR3g/10分、融点164℃)を70質量%と、低融点ポリプロピレン樹脂として出光興産(株)製、“エルモーデュ”(登録商標)S901、(融点80℃)30質量%とをブレンドしたものをA層用の単軸の溶融押出機に供給し、内層(B層)用のポリプロピレン樹脂全体を100質量%として、(株)プライムポリマー製のポリプロピレン樹脂(MFR3g/10分、融点164℃)を98質量%と、Basell社製分岐鎖状ポリプロピレン樹脂(Profax PF−814)を2質量%とをブレンドしたものをB層用の単軸の溶融押出機に供給し、260℃で溶融押出を行い、60μmカットの焼結フィルターで異物を除去後、フィードブロック型のA層/B層/A層から成る3層構成の複合Tダイにて、1/13/1の厚み比(全体厚みに対して両面A層の比率=13%)で積層し、22℃に表面温度を制御したキャストドラムに吐出しエアナイフによりキャスティングドラムに密着させた。その後、キャスティングドラム上のシートの非冷却ドラム面に、温度25℃、圧力0.3MPaの圧空エアーを噴射させて冷却し、未延伸シートを得た。続いて、該シートをセラミックロールを用いて148℃に予熱し、周速差を設けた148℃のロール間でフィルムの長手方向に4.5倍延伸を行った。次にテンター式延伸機に端部をクリップで把持させて導入し、168℃で3秒間予熱後、140℃で幅方向に8.0倍に延伸し、幅方向に12%の弛緩を与えながら120℃で熱処理をおこない、その後100℃の冷却工程を経てテンターの外側へ導き、フィルム端部のクリップを解放し、フィルムをコアに巻き取り、厚み12μmのポリプロピレンフィルムを得た。得られたポリプロピレンフィルムの物性および評価結果を表1に示す。
(実施例2)
内層(B層)に含まれる分岐鎖状ポリプロピレン樹脂を表1に示した含有量に変更した以外は実施例1と同様にして、厚み11μmのポリプロピレンフィルムを得た。得られたポリプロピレンフィルムの物性および評価結果を表1に示す。
(実施例3および4)
表層(A層)に含まれる低融点ポリプロピレン樹脂を表1に示した含有量に変更した以外は実施例1と同様にして、厚み12μmのポリプロピレンフィルムを得た。得られたポリプロピレンフィルムの物性および評価結果を表1に示す。
(実施例5)
表層(A層)に含まれる低融点ポリプロピレン樹脂および内層(B層)に含まれる分岐鎖状ポリプロピレン樹脂をそれぞれ表1に示した含有量に変更した以外は実施例1と同様にして、厚み15μmのポリプロピレンフィルムを得た。得られたポリプロピレンフィルムの物性および評価結果を表1に示す。
(実施例6)
実施例1と同様にして、A層/B層/A層を1/10/1の厚み比(全体厚みに対して両面A層の比率=17%)で積層した未延伸シートを得た後、該シートをセラミックロールを用いて148℃に予熱し、周速差を設けた148℃のロール間でフィルムの長手方向に4.5倍延伸を行った。次にテンター式延伸機に端部をクリップで把持させて導入し、168℃で3秒間予熱後、縦延伸と同じ温度である148℃で幅方向に8.0倍に延伸し、幅方向に12%の弛緩を与えながら140℃で熱処理をおこない、その後100℃の冷却工程を経てテンターの外側へ導き、フィルム端部のクリップを解放し、フィルムをコアに巻き取り、厚み12μmのポリプロピレンフィルムを得た。得られたポリプロピレンフィルムの物性および評価結果を表1に示す。
(実施例7)
表層(A層)に含まれる低融点ポリプロピレン樹脂として日本ポリプロ(株)製“WINTEC”(登録商標)WFX4M(融点125℃)を30質量%用いる変更をした以外は実施例1と同様にして、厚み12μmのポリプロピレンフィルムを得た。得られたポリプロピレンフィルムの物性および評価結果を表1に示す。
(実施例8)
内層(B層)に含まれる分岐鎖状ポリプロピレン樹脂として日本ポリプロ(株)製“WAYMAX”(登録商標)MFX6を2質量%用いる変更をした以外は実施例1と同様にして、厚み12μmのポリプロピレンフィルムを得た。得られたポリプロピレンフィルムの物性および評価結果を表1に示す。
(比較例1)
ポリプロピレン樹脂として(株)プライムポリマー製のポリプロピレン樹脂(MFR3g/10分、融点164℃)を100質量%、単軸の溶融押出機に供給し、260℃で溶融押出を行い、60μmカットの焼結フィルターで異物を除去後、Tダイにて、25℃に表面温度を制御したキャストドラムに吐出しエアナイフによりキャスティングドラムに密着させた。その後、キャスティングドラム上のシートの非冷却ドラム面に、温度25℃、圧力0.3MPaの圧空エアーを噴射させて冷却し、未延伸シートを得た。続いて、該シートをセラミックロールを用いて148℃に予熱し、周速差を設けた148℃のロール間でフィルムの長手方向に4.6倍延伸を行った。次にテンター式延伸機に端部をクリップで把持させて導入し、168℃で3秒間予熱後、155℃で幅方向に7.8倍に延伸し、幅方向に12%の弛緩を与えながら150℃で熱処理をおこない、その後100℃の冷却工程を経てテンターの外側へ導き、フィルム端部のクリップを解放し、フィルムをコアに巻き取り、厚み12μmのポリプロピレンフィルムを得た。得られたポリプロピレンフィルムの物性および評価結果を表1に示す。
(比較例2)
ポリプロピレン樹脂全体を100質量%として(株)プライムポリマー社製のポリプロピレン樹脂(MFR3g/10分、融点164℃)を98質量%と、Basell社製分岐鎖状ポリプロピレン樹脂(Profax PF−814)を2質量%とをブレンドしたものを単軸の溶融押出機に供給し、260℃で溶融押出を行い、60μmカットの焼結フィルターで異物を除去後、Tダイにて、25℃に表面温度を制御したキャストドラムに吐出しエアナイフによりキャスティングドラムに密着させた。その後、キャスティングドラム上のシートの非冷却ドラム面に、温度25℃、圧力0.3MPaの圧空エアーを噴射させて冷却し、未延伸シートを得た。続いて、該シートをセラミックロールを用いて148℃に予熱し、周速差を設けた148℃のロール間でフィルムの長手方向に4.5倍延伸を行った。次にテンター式延伸機に端部をクリップで把持させて導入し、168℃で3秒間予熱後、155℃で幅方向に8.2倍に延伸し、幅方向に11%の弛緩を与えながら140℃で熱処理をおこない、その後100℃の冷却工程を経てテンターの外側へ導き、フィルム端部のクリップを解放し、フィルムをコアに巻き取り、厚み12μmのポリプロピレンフィルムを得た。得られたポリプロピレンフィルムの物性および評価結果を表1に示す。
(比較例3)
ポリプロピレン樹脂全体を100質量%として(株)プライムポリマー製のポリプロピレン樹脂(MFR3g/10分、融点164℃)を70質量%と、低融点ポリプロピレン樹脂として出光興産(株)製、“エルモーデュ”(登録商標)S901、(融点80℃)30質量%とをブレンドしたものを単軸の溶融押出機に供給し、260℃で溶融押出を行い、60μmカットの焼結フィルターで異物を除去後、Tダイにて、24℃に表面温度を制御したキャストドラムに吐出しエアナイフによりキャスティングドラムに密着させた。その後、キャスティングドラム上のシートの非冷却ドラム面に、温度25℃、圧力0.3MPaの圧空エアーを噴射させて冷却し、未延伸シートを得た。続いて、該シートをセラミックロールを用いて140℃に予熱し、周速差を設けた140℃のロール間でフィルムの長手方向に4.5倍延伸を行った。次にテンター式延伸機に端部をクリップで把持させて導入し、160℃で3秒間予熱後、135℃で幅方向に8.2倍に延伸し、幅方向に11%の弛緩を与えながら120℃で熱処理をおこない、その後100℃の冷却工程を経てテンターの外側へ導き、フィルム端部のクリップを解放し、フィルムをコアに巻き取り、厚み12μmのポリプロピレンフィルムを得た。得られたポリプロピレンフィルムの物性および評価結果を表1に示す。
(比較例4)
実施例1と同様にして複合Tダイにて、A層/B層/A層を1/15/1の厚み比(全体厚みに対して両面A層の比率=11.8%)で溶融押出し、85℃に表面温度を制御したキャストドラムに吐出しエアナイフによりキャスティングドラムに密着させた。その後、キャスティングドラム上のシートの非冷却ドラム面に、温度25℃、圧力0.3MPaの圧空エアーを噴射させて冷却し、未延伸シートを得た。続いて、該シートをセラミックロールを用いて146℃に予熱し、周速差を設けた146℃のロール間でフィルムの長手方向に4.6倍延伸を行った。次にテンター式延伸機に端部をクリップで把持させて導入し、168℃で3秒間予熱後、155℃で幅方向に8.0倍に延伸し、幅方向に12%の弛緩を与えながら145℃で熱処理をおこない、その後100℃の冷却工程を経てテンターの外側へ導き、フィルム端部のクリップを解放し、フィルムをコアに巻き取り、厚み18μmのポリプロピレンフィルムを得た。得られたポリプロピレンフィルムの物性および評価結果を表1に示す。
(比較例5)
A層用のポリプロピレン樹脂全体を100質量%として(株)プライムポリマー製のポリプロピレン樹脂(MFR3g/10分、融点164℃)を70質量%と、低融点ポリプロピレン樹脂として出光興産(株)製、“エルモーデュ”(登録商標)S901、(融点80℃)30質量%とをブレンドしたものをA層用の単軸の溶融押出機に供給し、B層用のポリプロピレン樹脂として(株)プライムポリマー製のポリプロピレン樹脂(MFR3g/10分、融点164℃)100質量%をB層用の単軸の溶融押出機に供給し、260℃で溶融押出を行い、60μmカットの焼結フィルターで異物を除去後、フィードブロック型のA層/B層/A層から成る3層構成の複合Tダイにて、1/15/1の厚み比(全体厚みに対して両面A層の比率=11.8%)で積層し、25℃に表面温度を制御したキャストドラムに吐出しエアナイフによりキャスティングドラムに密着させた。その後、キャスティングドラム上のシートの非冷却ドラム面に、温度25℃、圧力0.3MPaの圧空エアーを噴射させて冷却し、厚み50μmの未延伸ポリプロピレンフィルムを得た。該未延伸ポリプロピレンフィルムの物性および評価結果を表1に示す。
Figure 0006795106
上述のとおり、本発明のポリプロピレンフィルムは、包装用フィルム、離型フィルム、工程フィルム、衛生用品、農業用品、建築用品、医療用品など様々な用途で用いることができる。特に、表面柔軟性を改善し、かつ表面平滑性、透明性、離型性に優れることから、製品の表面平滑性が要求される用途の離型フィルム、工程フィルムとして好ましく用いることができ、さらに離型性に優れることから、粘着性樹脂層のカバーフィルムなどの離型フィルムとして好ましく用いられる。

Claims (8)

  1. 少なくとも3層以上の積層フィルムであって、内層(B層)は、分岐鎖状ポリプロピレン樹脂を含有し、表層(A層)は、融点が50℃以上135℃以下の低融点ポリプロピレン樹脂を含有し、
    少なくとも一方の表面のナノインデンテーション法で測定した弾性率が2.5GPa以下であり、示差走査熱量計DSCで25℃から250℃まで20℃/minで昇温し、ついで250℃から25℃まで20℃/minで降温したときの、結晶化ピーク温度(Tc)が110℃以上であり、静摩擦係数μsが0.8以下である、ポリプロピレンフィルム。
  2. 表面突起最大高さStが小さい表面Xの表面突起最大高さStが100nm以下であり、表面突起最大高さStが大きい表面Yの表面突起最大高さStが、前記表面Xの表面突起最大高さStの1.5倍以上である、請求項1に記載のポリプロピレンフィルム。
  3. 少なくとも一方の表面の算術平均高さSaが20nm以下である、請求項1または2に記載のポリプロピレンフィルム。
  4. 少なくとも一方の表面のヘイズが2%以下である、請求項1〜のいずれかに記載のポリプロピレンフィルム。
  5. 少なくとも一方の表面の光沢度が145%以上である、請求項1〜のいずれかに記載のポリプロピレンフィルム。
  6. フィルム長手方向の熱収縮力が20mN以上となる温度が116℃以上である、請求項1〜のいずれかに記載のポリプロピレンフィルム。
  7. 少なくとも3層以上の積層フィルムであって、内層(B層)は、分岐鎖状ポリプロピレン樹脂を含有し、表層(A層)は、融点が50℃以上135℃以下の低融点ポリプロピレン樹脂を含有し、
    示差走査熱量計DSCで25℃から250℃まで20℃/minで昇温し、ついで250℃から25℃まで20℃/minで降温したときの、結晶化ピーク温度(Tc)が110℃以上であり、表面突起最大高さStが小さい表面Xの表面突起最大高さStが150nm以下であり、表面突起最大高さStの大きい表面Yの表面突起最大高さStが、前記表面Xの表面突起最大高さStの1.3倍以上であり、少なくとも一方の表面の光沢度が144%以上である、ポリプロピレンフィルム。
  8. 請求項1〜のいずれかに記載のポリプロピレンフィルムを用いた離型フィルム。
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