JP6786935B2 - 二軸配向ポリプロピレンフィルム - Google Patents

二軸配向ポリプロピレンフィルム Download PDF

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本発明は、表面平滑性、透明性および易滑性に優れ、精密部材用のカバーフィルム、保護フィルム、工程フィルムとして好適に用いることのできる二軸配向ポリプロピレンフィルムに関する。
二軸配向ポリプロピレンフィルムは、透明性、離型性、機械特性、電気特性等に優れるため、包装用途、離型用途、工程基材用途、テープ用途、ケーブルラッピングやコンデンサをはじめとする電気用途等の様々な用途に用いられている。中でも優れた離型性を活かして、カバーフィルム、保護フィルム、工程フィルムとして好適に用いられる。
近年、電子機器の小型化、精密化に伴い、カバーフィルム、保護フィルム、工程フィルムの表面平滑性への要求が高まりつつある。また、カバーフィルムを貼った状態で製品の欠点検出をする場合もあり、高い透明性が求められる場合がある。一方で、フィルム表面を平滑化すると、フィルムの滑り性が悪くなり、製膜中にシワが入ったり、後加工工程でのハンドリング性が十分でない場合があった。
ポリプロピレンフィルムの透明性と易滑性を両立する方法として、特許文献1〜5には、易滑粒子を用いたポリプロピレンフィルムについて記載されている。しかし、特許文献1および2はヘイズが高く透明性が十分でないため、欠点検出を実施する工程に用いることができない場合があった。特許文献3〜5は、透明性には優れているが、使用している粒子の粒子径が大きいため、表面平滑性が十分でない場合があった。しかし、一般にポリプロピレン樹脂は表面張力が低く、他部材との相溶性が低いため、単に粒子径を小さくすると、粒子が凝集してフィルムのヘイズが上昇する場合があった。また、粒子径を小さくすると表面平滑性は向上するものの、易滑性が発現しにくくなるため、一般に粒子の添加量を増やす必要があり、ヘイズが上昇し透明性が高いフィルムを得るのが困難な場合があった。
特開2007−105893号公報 特開2005−138386号公報 特開平11−048335号公報 特開平5−214120号公報 特開平6−297658号公報
本発明の課題は、上記した問題点を解決することにある。すなわち、表面平滑性、透明性および易滑性に優れ、精密部材用のカバーフィルム、保護フィルム、工程フィルムとして好適に用いることのできる二軸配向ポリプロピレンフィルムを提供することにある。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、両側の最表面に位置する表層(I)および基層(II)を含み、表層(I)に含まれるシランカップリング処理したシリカ粒子の平均粒子径(φ)が0.7μm以下であり、フィルム両面の中心面平均表面粗さ(SRa)が共に100nm以下であり、フィルム両面の十点平均粗さ(SRz)が共に2,000nm以下であり、フィルムの一方の面と他方の面との間の静摩擦係数μsが0.7以下であり、フィルムのヘイズが10%以下であることを特徴とする。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、表面平滑性、透明性および易滑性に優れることから、精密部材用のカバーフィルム、保護フィルム、工程フィルムとして好適に使用することができる。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、両側の最表面に位置する表層(I)、および基層(II)を含んでいる。これらの構成を有していれば、さらに他の層が含まれていてもよい。
また、表層(I)には粒子が含まれ、その平均粒子径(φ)は0.7μm以下である。平均粒子径(φ)が0.7μmを超えると、表面粗さが大きくなり表面平滑性が低下する場合がある。また、延伸時に粒子界面にボイドが発生しやすくなり、透明性が低下したり、表層(I)に添加した粒子が製膜中に脱落し、表面粗さが大きくなったり、ヘイズが上昇する場合がある。平均粒子径(φ)は、0.5μm以下であることがより好ましく、0.2μm以下であることが更に好ましい。表面平滑性の観点からは平均粒子径(φ)は小さいほど好ましいが、0.05μm未満であると、易滑性が悪化したり、粒子が凝集して粗大粒子となり、透明性が低下する場合がある。また、ハンドリング性向上および表面平滑性向上の観点から、2種類以上の平均粒子径の異なる粒子を原料として併用しても構わない。
表層(I)に含有せしめる粒子は、本発明の効果を損なわないものであれば特に限定はされず、無機粒子としては、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、カーボンブラック、ゼオライト粒子等、有機粒子としては、アクリル系樹脂粒子、スチレン系樹脂粒子、ポリエステル系樹脂粒子、ポリウレタン系樹脂粒子、ポリカーボネート系樹脂粒子、ポリアミド系樹脂粒子、シリコーン系樹脂粒子、フッ素系樹脂粒子、あるいは上記樹脂の合成に用いられる2種以上のモノマーの共重合樹脂粒子等が挙げられる。ただし、ポリプロピレン樹脂は表面エネルギーが低いために、粒子を添加して延伸すると、延伸時に粒子界面が剥離してボイドが発生し、ヘイズが上昇して透明性が低下する場合がある。透明性向上の観点から、粒子表面は疎水性であることが好ましく、表面にシランカップリング処理をした上記無機粒子または有機粒子を用いることが好ましく、特にシリコーン粒子や、シランカップリング処理したシリカ粒子が好ましい。
また、上述した粒子の脱落を防止する観点および表面平滑性向上の観点からは、使用する粒子の粒度分布ができるだけ狭いことが好ましい。このような観点から、シリカ粒子としてはゾルゲル法によるシリカ粒子を用いることが好ましく、また、有機粒子では重合法によるシリコーン粒子やアクリル系樹脂粒子、スチレン系樹脂粒子を用いることが好ましい。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、表層(I)の粒子含有量が0.01〜1.0質量%であることが好ましい。含有量が0.01質量%未満では、摩擦係数低減の効果が得られない場合がある。含有量が1.0質量%を超えると、ヘイズが上昇し透明性が低下する場合がある。含有量は、より好ましくは0.05〜0.7質量%、更に好ましくは0.05〜0.65質量%、最も好ましくは0.1〜0.6質量%である。なお、2種類以上の平均粒子径の異なる粒子を用いる場合は、用いた粒子全種類の合計の粒子含有量が上記範囲内であることが好ましい。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、易滑性と透明性を両立するため、上述したように表層(I)と基層(II)の少なくとも2層の積層構成からなる。ここで基層(II)にも粒子が含有されていても構わないが、透明性向上の観点から、基層(II)の粒子含有量は表層(I)の粒子含有量より少ないことが好ましい。基層(II)の粒子含有量は、より好ましくは0〜0.1質量%、更に好ましくは0〜0.05質量%、最も好ましくは0〜0.025質量%である。なお、基層(II)に含有せしめる粒子としては、表層(I)に含有せしめると好ましいとして上記において説明した粒子と同様の粒子であることが好ましい。なお、2種類以上の平均粒子径の異なる粒子を用いる場合は、用いた粒子全種類の合計の粒子含有量が上記範囲内であることが好ましい。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、表層(I)の厚みをd(μm)、表層(I)に含まれる粒子の平均粒子径をφ(μm)としたとき、φ/dの値が0.05〜0.8であることが好ましい。より好ましくは0.1〜0.75、更に好ましくは0.15〜0.7である。φ/dの値が0.8を超えると、製膜工程や後加工工程でフィルム表面に強い剪断力がかかったときに、表層の粒子が脱落しやすくなる場合がある。φ/dの値が0.05未満であると、粒子を含有する表層(I)の厚みが厚くなり、透明性が低下してヘイズが上昇したり、コストが上がってしまう場合がある。φ/dの値は他の物性を悪化させない範囲内で、押出機のスクリュウ回転数、未延伸シートの幅、製膜速度、延伸倍率などにより調整可能である。なお、2種類以上の平均粒子径の異なる粒子を用いる場合は、用いた粒子全種類の内、最も平均粒子径が大きい粒子の平均粒子径Φmaxが上記範囲内であることが好ましい。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、表層(I)の厚みdが0.1〜0.9μmであることが好ましい。より好ましくは0.1〜0.7μm、更に好ましくは0.1〜0.5μmである。表層(I)の厚みdが0.9μmを超えると、粒子を含有する表層(I)の厚みが厚くなり、透明性が低下してヘイズが上昇したり、コストが上がってしまう場合がある。0.1μm未満では、積層精度が不安定となり、表層(I)の厚みムラが大きくなったり、平均粒子径に対して表層(I)の厚みが薄くなりすぎて、製膜工程や後加工工程でフィルム表面に強い剪断力がかかったときに、表層の粒子が脱落しやすくなる場合がある。表層(I)の厚みdは他の物性を悪化させない範囲内で、押出機のスクリュウ回転数、未延伸シートの幅、製膜速度、延伸倍率などにより調整可能である。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、フィルム両面の中心面平均表面粗さ(SRa)が共に100nm以下である。SRaが一方の面でも100nmを超えると、カバーフィルムや工程フィルムに用いたとき、表面形状が製品に転写し、製品の性能や品位が低下する場合がある。SRaは、より好ましくは両面ともに80nm以下、更に好ましくは両面ともに50nm以下、最も好ましくは両面ともに25nm以下である。更に、光学フィルム用途など、表面形状の転写レスや打痕レスへの要求特性が高い用途では、SRaは、より好ましくは両面ともに23nm以下、更に好ましくは両面ともに20nm以下である。SRaは低いほど好ましいが、実質的には両面ともに5nm程度が下限である。SRaを上記範囲とするためには、フィルムの原料組成やフィルムの積層構成を後述する範囲とし粒子による表面平滑性の低下を防ぐこと、また、製膜時のキャスト条件や縦延伸条件を後述する範囲内とし、キャストシートのβ晶を低減させることが好ましい。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、フィルム両面の十点平均粗さ(SRz)が共に2,000nm以下である。SRzが一方の面でも2,000nmを超えると、カバーフィルムや工程フィルムに用いたとき、表面形状を製品に転写し、製品の性能や品位が低下する場合がある。SRzは、より好ましくは両面ともに1,600nm以下、更に好ましくは両面ともに1,200nm以下、最も好ましくは両面ともに500nm以下である。更に、光学フィルム用途など、表面形状の転写レスや打痕レスへの要求特性が高い用途では、SRzは、より好ましくは両面ともに350nm以下、更に好ましくは両面ともに300nm以下である。SRzは低いほど好ましいが、実質的には両面ともに10nm程度が下限である。SRzを上記範囲とするためには、フィルムの原料組成やフィルムの積層構成を後述する範囲とし粒子による表面平滑性の低下を防ぐこと、また、製膜時のキャスト条件や縦延伸条件を後述する範囲内とし、キャストシートのβ晶を低減させることが好ましい。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、フィルムの一方の面と他方の面との間の静摩擦係数μsが0.7以下である。静摩擦係数μsが0.7を超えると、フィルムの滑り性が悪くハンドリングが困難となり、製膜中や後加工時にシワが入ったり、製品ロールの巻き姿が低下する場合がある。静摩擦係数μsは、より好ましくは0.6以下、更に好ましくは0.5以下、最も好ましくは0.4以下である。静摩擦係数μsは、ハンドリング性の観点からは低い方が好ましいが、静摩擦係数μsを低くするためには、表面を粗す必要がありヘイズが上昇して透明性が低下してしまうため、0.2程度が下限である。摩擦係数μsを上記範囲とするためには、原料組成やフィルムの積層構成、製膜時の縦延伸条件、横延伸条件を後述する範囲内とすることが好ましい。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、ヘイズが10%以下である。ヘイズが10%を超えると、フィルム表面の表面粗さが粗く、カバーフィルムや工程フィルムに用いたとき、表面形状を製品に転写し、製品の性能や品位が低下する場合がある。ヘイズは、より好ましくは2.0%以下、更に好ましくは1.0%以下である。また、本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムを製品に貼り合わせた状態で製品の欠点検出を実施する場合などは、より高い透明性が求められる。このような場合は、ヘイズは、より好ましくは0.8%以下、更に好ましくは0.6%以下である。ヘイズは透明性の観点から低いほど好ましいが、実質的には0.05%程度が下限である。
ヘイズを上記範囲とするためには、フィルムの原料組成やフィルムの積層構成を後述する範囲とし粒子などによる透明性の低下を防ぐこと、また、製膜時のキャスト条件や縦延伸条件を後述する範囲内とし、キャストシートのβ晶を低減させることが好ましい。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、表層(I)と金属ロール(SUSロール、表面粗度0.2S)との摩擦係数(μk)の平均値が0.50以下であることが好ましい。より好ましくは、0.48以下、更に好ましくは0.45以下である。金属ロールとの摩擦係数(μk)の平均値が0.50を超えると、製膜工程や後加工工程でフィルムを搬送中に、フィルムが蛇行したり、しわが入る場合がある。金属ロールとの摩擦係数(μk)の平均値は小さいほど好ましいが、0.1程度が下限である。金属ロールとの摩擦係数(μk)の平均値を上記範囲とするためには、原料組成やフィルムの積層構成、製膜時の縦延伸条件、横延伸条件を後述する範囲内とすることが好ましい。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、表層(I)と金属ロールとの摩擦係数(μk)を10回連続で測定したとき、10回目の測定値を2回目の測定値で除した値(μkの変化率)が1.2以下であることが好ましい。より好ましくは1.18以下、更に好ましくは1.15以下である。μkの変化率が大きい場合、金属ロールと表層(I)との強い擦れ(剪断力)により表層(I)の粒子が脱落し、摩擦係数が悪化する場合があり、μkの変化率が1.2を超えると、製膜工程や後加工工程でフィルム表面に強い剪断力がかかったときに、表層の粒子が脱落しやすくなる場合がある。μkの変化率を上記範囲とするためには、原料組成やフィルムの積層構成、製膜時の縦延伸条件、横延伸条件を後述する範囲内とすることが好ましく、特に粒度分布の狭い粒子を用いることや、表層(I)の厚みやφ/dの値を前述の範囲にすることが効果的である。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、フィルムの長手方向における引張弾性率EMDと幅方向における引張弾性率ETDの和EMD+TDの値が4.5GPa以上であることが好ましい。EMD+TDの値が4.5GPa未満であると、カバーフィルムや工程フィルムに用いたとき、フィルムを搬送する際に、装置の張力によりフィルムが変形し、シワが入ったりフィルムが変形する場合がある。また、保護フィルム用途では被着体に貼り合わせてロール状に巻き取った後、変形してシワが発生し、品位が低下する場合がある。EMD+TDの値はより好ましくは5.0GPa以上、更に好ましくは5.5GPa以上、最も好ましくは6.0GPa以上である。EMD+TDの値は高いほど好ましいが、20GPa程度が上限であり、より好ましくは10GPa以下、更に好ましくは7GPa以下である。
また、EMDの値およびETDの値は、共に2GPa以上であることが好ましい。EMD+TDの値が4.5GPa以上であっても、長手方向と幅方向の引張弾性率に一定以上の差がある場合、フィルムが裂けるなど、ハンドリング性が低下する場合がある。EMD+TDの値を上記範囲とするためには、フィルムの原料組成を後述する範囲とし、低立体規則性ポリプロピレンなどの柔軟成分を低減させつつ高透明フィルムを得ること、また、製膜条件を後述する範囲とし、フィルムを高倍率で延伸して二軸配向ポリプロピレンフィルムを得ることが好ましい。
尚、本願においては、フィルムの製膜する方向に平行な方向を、製膜方向あるいは長手方向あるいはMD方向と称し、フィルム面内で製膜方向に直交する方向を幅方向あるいはTD方向と称する。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、フィルムの幅方向の120℃15分処理後の熱収縮率が、1.0%以下であることが好ましい。熱収縮率が1.0%を超えると、工程フィルムに用いたとき、本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルム上に塗液を塗工して乾燥する際に、乾燥温度でフィルムが変形してシワが入る場合がある場合がある。幅方向の120℃15分処理後の熱収縮率は、より好ましくは0.8%以下、更に好ましくは0.5%以下、最も好ましくは0.4%以下である。下限は特に限定されないが、フィルムが膨張しすぎる場合もあり、実質的には−1.0%程度が下限である。熱収縮率を上記範囲とするためには、原料組成を後述する範囲内とし、透明性を維持しつつ耐熱性の低い成分の添加量を出来る限り低減させることや、製膜時の縦延伸条件、横延伸条件、熱固定条件、リラックス条件を後述する範囲内とし、強度を維持しつつ熱収を低減させることが好ましい。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムの全厚みは用途によって適宜調整されるものであり特に限定はされないが、0.5μm以上100μm以下であることが好ましい。全厚みが0.5μm未満であると、ハンドリングが困難になる場合があり、100μmを超えると、未延伸シートの厚みが厚くなるため、押出時の冷却ロールでの除冷速度が遅くなり、β晶が形成しやすくなって、フィルムのヘイズが高くなる場合がある。全厚みは5〜60μmであることがより好ましく、5〜30μmであることが更に好ましい。全厚みは他の物性を悪化させない範囲内で、押出機のスクリュウ回転数、未延伸シートの幅、製膜速度、延伸倍率などにより調整可能である。
次に、二軸配向ポリプロピレンフィルムに用いると好ましいポリプロピレン原料について説明する。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムに用いるポリプロピレン原料は、上述した物性を満足すれば特に限定されないが、強度や耐熱性の観点から高結晶性のポリプロピレン原料Aを用いることが好ましい。
ポリプロピレン原料Aは、好ましくは冷キシレン可溶部(以下CXS)が4質量%以下でありかつメソペンタッド分率は0.95以上であるポリプロピレンであることが好ましい。これらを満たさないと製膜安定性に劣ったり、フィルムの強度が低下したり、寸法安定性および耐電圧性の低下が大きくなる場合がある。
ここで冷キシレン可溶部(CXS)とは試料をキシレンで完全溶解せしめた後、室温で析出させたときに、キシレン中に溶解しているポリプロピレン成分のことをいい、立体規則性の低い、分子量が低い等の理由で結晶化し難い成分に該当していると考えられる。このような成分が多く樹脂中に含まれているとフイルムの熱寸法安定性に劣ったり、高温での絶縁破壊電圧が低下する等の問題を生じることがある。従って、CXSは4質量%以下であることが好ましいが、更に好ましくは3質量%以下であり、特に好ましくは2質量%以下である。CXSは低いほど好ましいが、0.1質量%程度が下限である。このようなCXSを有するポリプロピレンとするには、樹脂を得る際の触媒活性を高める方法、得られた樹脂を溶媒あるいはプロピレンモノマー自身で洗浄する方法等の方法が使用できる。
同様な観点からポリプロピレン原料Aのメソペンタッド分率は0.92以上であることが好ましく、更に好ましくは0.94以上である。メソペンタッド分率は核磁気共鳴法(NMR法)で測定されるポリプロピレンの結晶相の立体規則性を示す指標であり、該数値が高いものほど結晶化度が高く、融点が高くなり、高温での寸法安定性が高くなるので好ましい。メソペンタッド分率の上限については特に規定するものではない。このように立体規則性の高い樹脂を得るには、n−ヘプタン等の溶媒で得られた樹脂パウダーを洗浄する方法や、触媒および/または助触媒の選定、組成の選定を適宜行う方法等が好ましく採用される。
また、ポリプロピレン原料Aとしては、より好ましくはメルトフローレート(MFR)が1〜10g/10分(230℃、21.18N荷重)、特に好ましくは2〜5g/10分(230℃、21.18N荷重)の範囲のものが、製膜性やフィルム強度の観点から好ましい。MFRを上記の値とするためには、平均分子量や分子量分布を制御する方法などが採用される。
ポリプロピレン原料Aとしては、主としてプロピレンの単独重合体からなるが、本発明の目的を損なわない範囲で他の不飽和炭化水素による共重合成分などを含有してもよいし、プロピレンが単独ではない重合体がブレンドされていてもよい。このような共重合成分やブレンド物を構成する単量体成分として例えばエチレン、プロピレン(共重合されたブレンド物の場合)、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチルペンテン−1、3−メチルブテンー1、1−ヘキセン、4−メチルペンテン−1、5−エチルヘキセン−1、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、ビニルシクロヘキセン、スチレン、アリルベンゼン、シクロペンテン、ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネンなどが挙げられる。共重合量またはブレンド量は、耐絶縁破壊特性、寸法安定性の点から、共重合量では1mol%未満とし、ブレンド量では10質量%未満とするのが好ましい。
また本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、上述したポリプロピレン原料Aの他に、強度向上や寸法安定性向上の観点から分岐鎖状ポリプロピレンHを含有させてもよい。添加する場合は、0.05〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜8質量%、さらに好ましくは1〜5質量%含有せしめることが好ましい。上記分岐鎖状ポリプロピレンHを含有させることで溶融押出した樹脂シートの冷却工程で生成する球晶サイズを小さく制御でき、透明性や強度や表面平滑性に優れたポリプロピレンフィルムを得ることができる。
上記の分岐鎖状ポリプロピレンHとしては、製膜性の観点からMFRは1〜20g/10分の範囲にあるものが好ましく、1〜10g/10分の範囲にあるものがより好ましい。また溶融張力については、1〜30cNの範囲にあるものが好ましく、2〜20cNの範囲にあるものがより好ましい。また、ここでいう分岐鎖状ポリプロピレンHとは、カーボン原子10,000個中に対し5箇所以下の内部3置換オレフィンを有するポリプロピレンである。この内部3置換オレフィンの存在はH−NMRスペクトルのプロトン比により確認することができる。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、フィルムを構成するポリマー中に含まれるエチレン成分の含有量が10質量%以下であることが好ましい。より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは3質量%以下である。エチレン成分の含有量が多いほど、結晶性が低下して、透明性を向上させやすいが、エチレン成分の含有量が10質量%を超えると、強度が低下したり、耐熱性が低下して熱収縮率が悪化したりする場合がある。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、フィルムを構成するポリマー中に含まれる石油樹脂の含有量が5質量%以下であることが好ましい。より好ましくは3質量%以下、更に好ましくは1質量%以下であり、石油樹脂を含まないことが最も好ましい。石油樹脂を添加することにより、透明性や強度向上させることができるが、石油樹脂の含有量が5質量%を超えると、耐熱性が低下して熱収縮率が悪化したり、また、原料コストが高くなる場合がある。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、フィルムを構成するポリマー中に含まれるシクロオレフィンポリマーの含有量が5質量%以下であることが好ましい。より好ましくは3質量%以下、更に好ましくは1質量%以下であり、シクロオレフィンポリマーを含まないことが最も好ましい。シクロオレフィンポリマーを添加することにより、耐熱性や強度向上させることができるが、シクロオレフィンポリマーの含有量が5質量%を超えると、ポリプロピレンとの相溶性の問題から透明性が低下してヘイズが悪化したり、また、原料コストが高くなる場合がある。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、透明性、耐熱性、強度の観点からフィルムを構成するポリマー中に含まれるポリプロピレンポリマーの含有量が95質量%以上であることが好ましい。より好ましくは96質量%以上、更に好ましくは97質量%以上であり、最も好ましくは98質量%以上である。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムに用いるポリプロピレン原料には、本発明の目的を損なわない範囲で種々の添加剤、例えば結晶核剤、酸化防止剤、熱安定剤、すべり剤、帯電防止剤、ブロッキング防止剤、充填剤、粘度調整剤、着色防止剤などを含有せしめることもできる。
これらの中で、酸化防止剤の種類および添加量の選定は長期耐熱性の観点から重要である。すなわち、かかる酸化防止剤としては立体障害性を有するフェノール系のもので、そのうち少なくとも1種は分子量500以上の高分子量型のものが好ましい。その具体例としては種々のものが挙げられるが、例えば2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT:分子量220.4)とともに1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン(例えばBASF社製“Irganox”(登録商標)1330:分子量775.2)またはテトラキス[メチレン−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(例えばBASF社製“Irganox”(登録商標)1010:分子量1177.7)等を併用することが好ましい。これら酸化防止剤の総含有量はポリプロピレン全量に対して0.03〜1.0質量%の範囲が好ましい。酸化防止剤が少なすぎると押出工程でポリマーが劣化してフィルムが着色したり、長期耐熱性に劣る場合がある。酸化防止剤が多すぎるとこれら酸化防止剤のブリードアウトにより透明性が低下する場合がある。より好ましい含有量は0.05〜0.9質量%であり、特に好ましくは0.1〜0.8質量%である。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムで用いるポリプロピレン原料には、本発明の目的に反しない範囲で、結晶核剤を添加することができる。既述の通り、分岐鎖状ポリプロピレン(H)は既にそれ自身でα晶またはβ晶の結晶核剤効果を有するものであるが、別種のα晶核剤(ジベンジリデンソルビトール類、安息香酸ナトリウム等)、β晶核剤(1,2−ヒドロキシステアリン酸カリウム、安息香酸マグネシウム、N,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキサミド等のアミド系化合物、キナクリドン系化合物等)等が例示される。但し、上記別種の核剤の過剰な添加は延伸性の低下やボイド形成等による透明性や強度の低下を引き起こす場合があるため、含有量は通常0.5質量%以下、好ましくは0.1質量%以下、更に好ましくは0.05質量%以下とすることが好ましい。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、上述した原料を用い、例えば二軸延伸されることによって得られる。二軸延伸の方法としては、インフレーション同時二軸延伸法、ステンター同時二軸延伸法、ステンター逐次二軸延伸法のいずれによっても得られるが、その中でも、製膜安定性、厚み均一性、フィルムの高剛性と寸法安定性を制御する点においてステンター逐次二軸延伸法を採用することが好ましい。
次に本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムの製造方法を、さらに具体的に説明するが、必ずしもこれに限定されるものではない。
まず、ポリプロピレン原料Aを98質量部、シリカ粒子を2質量部、二軸押出機に投入し、シリカ粒子の2質量%マスター原料を作製する。マスター原料25質量部とポリプロピレン原料A75質量部をドライブレンドしてA層(表層(I))用の単軸押出機に供給し、ポリプロピレン原料AをB層(基層(II))用の単軸押出機に供給し、200〜260℃にて溶融押出を行う。そして、ポリマー管の途中に設置したフィルターにて異物や変性ポリマーなどを除去した後、マルチマニホールド型のA層/B層/A層複合Tダイにて1/22/1の積層厚み比になるように積層し、キャスティングドラム上に吐出し、A層/B層/A層の層構成を有する積層未延伸シートを得る。この際、キャスティングドラムは表面温度が10〜40℃であることが、透明性向上や十点平均粗さ(SRz)低減や中心面平均表面粗さ(SRa)低減の観点から好ましい。また、A層/B層の2層積層構成としても構わない。
キャスティングドラムへの密着方法としては静電印加法、水の表面張力を利用した密着方法、エアーナイフ法、プレスロール法、水中キャスト法などのうちいずれの手法を用いてもよいが、平面性が良好でかつ表面粗さの制御が可能なエアーナイフ法が好ましい。エアーナイフのエアー温度は、0〜50℃、好ましくは0〜30℃で、吹き出しエアー速度は130〜150m/sが好ましく、幅方向均一性を向上させるために2重管構造となっていることが好ましい。また、フィルムの振動を生じさせないために製膜下流側にエアーが流れるようにエアーナイフの位置を適宜調整することが好ましい。
また、キャスティングドラムへ密着させた後に、フィルムの非キャスティングドラム面をさらに強制的に冷却させることが、非キャスティングドラム面のβ晶生成を抑え、フィルムの平滑性や透明性を向上させ、ヘイズや十点平均粗さ(SRz)や中心面平均表面粗さ(SRa)を低減させるため、好ましい。非キャスティングドラム面の冷却方法は、エアーによる空冷、プレスロール法、水中キャスト法などのうちいずれの手法を用いてもよいが、設備として簡易で、表面粗さの制御がし易く、平滑性が良好となるエアーによる空冷が好ましい。
得られた未延伸シートは、空気中で放冷された後、縦延伸工程に導入される。縦延伸工程ではまず複数の120℃以上150℃未満に保たれた金属ロールに未延伸シートを接触させて予熱し延伸温度まで昇温され、長手方向に3〜8倍に延伸した後、室温まで冷却する。延伸温度が150℃以上であると、フィルムの配向が弱くなり、強度が低下する場合がある。また延伸倍率が3倍未満であるとフィルムの配向が弱くなり、強度が低下する場合がある。
次いで縦一軸延伸フィルムをテンターに導いてフィルムの端部をクリップで把持し横延伸を140〜165℃の温度で幅方向に7〜13倍に延伸する。延伸温度が低いと、フィルムが破断したり透明性が低下してヘイズが上昇する場合があり、延伸温度が高すぎると、フィルムの配向が弱く強度が低下する場合がある。また、倍率が高いとフィルムが破断する場合があり、倍率が低いとフィルムの配向が弱く強度が低下する場合がある。
本発明においては、続く熱処理および弛緩処理工程ではクリップで幅方向を緊張把持したまま幅方向に2〜20%の弛緩率で弛緩を与えつつ、100℃以上160℃度未満の温度で熱固定し、クリップで幅方向を緊張把持したまま80〜100℃での冷却工程を経てテンターの外側へ導き、フィルム端部のクリップを解放し、ワインダ工程にてフィルムエッジ部をスリットし、フィルム製品ロールを巻き取る。
以上のようにして得られた本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、包装用フィルム、離型用フィルム、工程フィルム、衛生用品、農業用品、建築用品、医療用品など様々な用途で用いることができるが、特に表面平滑性、透明性および易滑性に優れることから、精密部材用のカバーフィルム、保護フィルム、工程フィルムとして好適に用いることができる。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムをカバーフィルムとして用いる例を、レジスト用のカバーフィルムを例にとって説明する。シリコーン離型処理を施したPETフィルムを工程フィルムとして巻き出し、フィルム上にレジスト用塗液を塗工する。塗液を所定の温度で乾燥した後、本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムをレジスト用カバーフィルムとして貼り合わせて、PETフィルム、レジスト層、二軸配向ポリプロピレンフィルムの積層体を巻き取り、製品とする。本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、表面が平滑であるため、レジスト面への凹凸転写が少なく、高精細な露光パターンが要求される用途で好ましく用いることができる。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムを保護フィルムとして用いる例を、光学部材用の保護フィルムを例にとって説明する。本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムをコーターから巻き出し、片面に粘着剤を塗工して80〜100℃で乾燥し、粘着剤層付きの保護フィルムを得る。その後、光学用部材の製膜工程や検査工程で、粘着剤層付きの保護フィルムを貼り合わせて使用することができる。本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、表面が平滑であるため、光学部材への表面凹凸転写が少なく、高精細な画像表示素子の部材用保護フィルムとして好ましく用いることができる。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムを工程フィルムとして用いる例を、光学フィルムの溶液製膜用の工程フィルムを例にとって説明する。本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムをコーターから巻き出し、光学部材の溶液を塗工して80〜100℃で乾燥し、その後、工程フィルムから光学フィルムを剥離して、溶媒が完全に除去されるまで更に乾燥して光学フィルムを得る。本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、表面が平滑であるため、光学フィルムへの表面凹凸転写が少なく、高精細な画像表示素子の部材用保護フィルムとして好ましく用いることができる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。なお、特性は以下の方法により測定、評価した。
(1)フィルム厚み
マイクロ厚み計(アンリツ社製)を用いて5点測定し、平均値を求めた。
(2)平均粒子径(φ)
フィルムを135℃の熱キシレンに溶解し、不溶分について走査型電子顕微鏡(3,000倍)で撮影し、観察された粒子50個について粒子径(長軸径)を測定し、その平均値を平均粒子径とした。
(3)静摩擦係数μs
東洋テスター工業製摩擦測定器を用い、ASTM D1894に準じて、フィルムの一方の面と他方の面とが接触するように重ねてMD方向同士を摩擦させた時の初期の立ち上がり抵抗値を測定し、最大値を静摩擦係数μsとした。ただし、初期の立ち上がりが大きくて測定値上限(5.0)を超えた場合は測定不能とした。サンプルは、幅80mm、長さ200mmの長方形とし、5セット(10枚)切り出した。5回測定を行い、平均値を求めた。
(4)フィルムのヘイズ
フィルムを、ヘイズメーター(日本電色工業社製、NDH−5000)を用いて、JIS−K7136(2000)に準じて23℃でのヘイズ値(%)を3回測定し、平均値を用いた。
(5)フィルムの表面粗さ(SRa、SRz)
フィルムを、表面粗さ計(SURFCORDER ET4000A:(株)小坂研究所製)を用い、JIS B 0601:2001に基づき、下記測定条件にて測定を行い、中心面平均表面粗さ(SRa)(nm)および十点平均粗さ(SRz)(nm)を求めた。ただし、測定は二軸配向ポリプロピレンフィルムの両面(押出時にキャスティングドラムと接触する面(キャスティングドラム面)と接触しない面(非キャスティングドラム面)についてそれぞれ3カ所測定し、平均値とした。
<測定条件>
測定速度:0.1mm/S
測定範囲:長手方向1000μm、幅方向400μm
測定ピッチ:長手方向1μm、幅方向5μm
カットオフ値λc:0.2mm
触針先端半径:0.5μm 。
(6)金属ロールとの摩擦係数(μk)の平均値およびμkの変化率
テープ走行性試験機を用いて下記条件にてフィルム長手方向の摩擦係数(μk)を測定した。
測定装置:(株)横浜システム研究所製テープ走行性試験機TBT−300型
試料寸法:幅方向10mm、長手方向:300mm(測定長:100mm)
測定環境:温度23.5℃、湿度65%RH
ガイドロール(金属ロール):SUS27(6mmφ,表面粗度0.2S)
巻き付け角度:90°
走行速度:3.3cm/s
初期荷重:100g
繰り返し走行回数:10回
フィルム端部をテープ走行性試験機に粘着テープで貼り付け、ガイドロールに沿わせる。装置貼り付け部と反対のフィルム端部に初期荷重おもりをつり下げ、測定部位100mmについて、10回(5往復)分測定をおこなった。入側張力T1、出側張力T2から次式を用いて摩擦係数(μk)を算出した。
摩擦係数(μk)=(2/π)×ln(T1/T2)
なお、1回目〜3回目の摩擦係数の平均値を「摩擦係数(μk)の平均値」とした。また、10回目の摩擦係数測定値を2回目の測定値で除した値をμkの変化率とした。
(7)幅方向の120℃15分処理後の熱収縮率
フィルムの幅方向のそれぞれについて、幅10mm、長さ200mm(測定方向)の試料を5本切り出し、両端から25mmの位置に標線として印しを付けて、万能投影機で標線間の距離を測定し試長(l)とする。次に、試験片を紙に挟み込み荷重ゼロの状態で120℃に保温されたオーブン内で、15分加熱後に取り出して、室温で冷却後、寸法(l)を万能投影機で測定して下記式にて求め、5本の平均値を熱収縮率とした。
熱収縮率={(l−l)/l}×100(%) 。
(8)長手方向および幅方向の引張弾性率(EMD、ETD
フィルムを試験方向長さ150mm×幅10mmの矩形に切り出しサンプルとした。引張試験機(オリエンテック製テンシロンAMF/RTA−100)を用いて、JIS K7161(1994)に規定された方法に準じて、25℃、65%RH雰囲気で5回測定を行い、平均値を求めた。ただし、初期チャック間距離50mmとし、引張速度を300mm/分として、試験を開始してから荷重が1Nを通過した点を伸びの原点とした。
(実施例1)
結晶性ポリプロピレン(結晶性PP(a))(プライムポリマー(株)製、TF850H、MFR:2.9g/10分)を98質量部、表面シランカップリング処理したゾルゲル法によるシリカ粒子(トクヤマ社製、SSP−01M、平均粒子径0.1μm)を2質量部、この比率で混合されるように計量ホッパーから二軸押出機に原料供給し、260℃で溶融混練を行い、ストランド状にダイから吐出して、25℃の水槽にて冷却固化し、チップ状にカットしてA層用のポリプロピレン原料(1)を得た。
表層(A)用のポリプロピレン原料として、上記ポリプロピレン原料(1)25質量部と上記結晶性PP(a)75質量部とをドライブレンドして、A層用の単軸の溶融押出機に供給し、基層(B層)用のポリプロピレン原料として、上記結晶性PP(a)100質量部をB層用の単軸の溶融押出機に供給し、240℃で溶融押出を行い、60μmカットの焼結フィルターで異物を除去後、フィードブロック型のA/B/A複合Tダイにて1/22/1の厚み比で積層し、30℃に表面温度を制御したキャスティングドラムに吐出し、エアナイフによりキャスティングドラムに密着させた。その後、キャスティングドラム上のシートの非冷却ドラム面に、温度30℃、圧力0.3MPaの圧空エアーを噴射させて冷却し、未延伸シートを得た。続いて、該シートをセラミックロールを用いて140℃に予熱し、周速差を設けた140℃のロール間でフィルムの長手方向に4.6倍延伸を行った。次にテンター式延伸機に端部をクリップで把持させて導入し、170℃で3秒間予熱後、165℃で幅方向に8.0倍に延伸し、幅方向に10%の弛緩を与えながら150℃で熱処理をおこない、その後100℃の冷却工程を経てテンターの外側へ導き、フィルム端部のクリップを解放し、フィルムをコアに巻き取り、厚み12μm(表層0.5μm)の二軸配向ポリプロピレンフィルムを得た。平均粒子径(φ)は0.1μmであった。二軸配向ポリプロピレンフィルムの物性および評価結果を表1に示す。
(実施例2)
実施例1において積層時の厚み比を1/16/1とし、また、表面シランカップリング処理したゾルゲル法によるシリカ粒子(トクヤマ社製、SSP−01M、平均粒子径0.1μm)の代わりに、平均粒子径が0.4μmの表面シランカップリング処理したゾルゲル法によるシリカ粒子(トクヤマ社製、SSP−04M、平均粒子径0.4μm)を用い、それ以外は実施例1と同様の方法で厚み18μm(表層1.0μm)の二軸配向ポリプロピレンフィルムを得た。平均粒子径(φ)は0.4μmであった。二軸配向ポリプロピレンフィルムの物性および評価結果を表1に示す。
(実施例3)
実施例2において積層時の厚み比を1/23/1とし、それ以外は実施例2と同様の方法で厚み25μm(表層1.0μm)の二軸配向ポリプロピレンフィルムを得た。平均粒子径(φ)は0.4μmであった。二軸配向ポリプロピレンフィルムの物性および評価結果を表1に示す。
(実施例4)
実施例1において積層時の厚み比を1/10/1とし、また、表面シランカップリング処理したゾルゲル法によるシリカ粒子(トクヤマ社製、SSP−01M、平均粒子径0.1μm)の代わりに、表面シランカップリング処理した爆燃法によるシリカ粒子(電気化学工業社製、SFP−20MHE、平均粒子径0.3μm)を用い、それ以外は実施例1と同様の方法で厚み12μm(表層1.0μm)の二軸配向ポリプロピレンフィルムを得た。平均粒子径(φ)は0.35μmであった。二軸配向ポリプロピレンフィルムの物性および評価結果を表1に示す。
(実施例5)
実施例2において積層時の厚み比を1/58/1とし、それ以外は実施例2と同様の方法で厚み18μm(表層0.3μm)の二軸配向ポリプロピレンフィルムを得た。平均粒子径(φ)は0.4μmであった。二軸配向ポリプロピレンフィルムの物性および評価結果を表1に示す。
(実施例6)
結晶性PP(a)(プライムポリマー(株)製、TF850H、MFR:2.9g/10分)を99質量部、表面シランカップリング処理したゾルゲル法によるシリカ粒子(トクヤマ社製、SSP−04M、平均粒子径0.4μm)を1質量部がこの比率で混合されるように計量ホッパーから二軸押出機に原料供給し、260℃で溶融混練を行い、ストランド状にダイから吐出して、25℃の水槽にて冷却固化し、チップ状にカットしてA層用のポリプロピレン原料(2)を得た。
表層(A)用のポリプロピレン原料として実施例1に記載のポリプロピレン原料(1)25質量部と上記ポリプロピレン原料(2)10質量部と上記結晶性PP(a)65質量部とをドライブレンドして、A層用の単軸の溶融押出機に供給し、それ以外は実施例1と同様の方法で厚み12μm(表層0.5μm)の二軸配向ポリプロピレンフィルムを得た。平均粒子径φは0.11μmであった。二軸配向ポリプロピレンフィルムの物性および評価結果を表1に示す。
(実施例7)
実施例2において表面シランカップリング処理したゾルゲル法によるシリカ粒子(トクヤマ社製、SSP−04M、平均粒子径0.4μm)の代わりに、平均粒子径が0.7μmの表面シランカップリング処理したゾルゲル法によるシリカ粒子(トクヤマ社製、SSP−07M、平均粒子径0.7μm)を用い、それ以外は実施例1と同様の方法で厚み18μm(表層1.0μm)の二軸配向ポリプロピレンフィルムを得た。平均粒子径(φ)は0.7μmであった。二軸配向ポリプロピレンフィルムの物性および評価結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例4において表面シランカップリング処理した爆燃法によるシリカ粒子(電気化学工業社製、SFP−20MHE、平均粒子径0.3μm)の代わりに、表面処理を実施していない爆燃法によるシリカ粒子(電気化学工業社製、SFP−20M、平均粒子径0.3μm)を用い、それ以外は実施例1と同様の方法で厚み12μm(表層1.0μm)の二軸配向ポリプロピレンフィルムを得た。平均粒子径(φ)は0.35μmであった。二軸配向ポリプロピレンフィルムの物性および評価結果を表1に示す。
(比較例2)
実施例3においてエアナイフによりキャスティングドラムに密着後に、非冷却ドラム面の圧空エアーによる冷却を実施しなかったこと以外は実施例3と同様の方法で厚み25μm(表層1.0μm)の二軸配向ポリプロピレンフィルムを得た。平均粒子径(φ)は0.4μmであった。二軸配向ポリプロピレンフィルムの物性および評価結果を表1に示す。
(比較例3)
実施例2において表層(A)用のポリプロピレン原料として結晶性PP(a)(プライムポリマー(株)製、TF850H、MFR:2.9g/10分)を単独で用い、それ以外は実施例2と同様の方法で、厚み18μm(表層1.0μm)の二軸配向ポリプロピレンフィルムを得た。二軸配向ポリプロピレンフィルムの物性および評価結果を表1に示す。
(比較例4)
実施例2において表面シランカップリング処理したゾルゲル法によるシリカ粒子(トクヤマ社製、SSP−04M、平均粒子径0.4μm)の代わりに、平均粒子径が0.9μmの表面シランカップリング処理したソジュウムアルミノシリケート粒子(水澤化学社製、“シルトン”(登録商標)AMT08L、平均粒子径0.9μm)を用い、それ以外は実施例1と同様の方法で厚み18μm(表層1.0μm)の二軸配向ポリプロピレンフィルムを得た。平均粒子径(φ)は0.85μmであった。二軸配向ポリプロピレンフィルムの物性および評価結果を表1に示す。
Figure 0006786935

Claims (9)

  1. 両側の最表面に位置する表層(I)、および基層(II)を含み、表層(I)に含まれるシランカップリング処理したシリカ粒子の平均粒子径(φ)が0.7μm以下であり、フィルム両面の中心面平均表面粗さ(SRa)が共に100nm以下であり、フィルム両面の十点平均粗さ(SRz)が共に2,000nm以下であり、フィルムの一方の面と他方の面との間の静摩擦係数(μs)が0.7以下であり、フィルムのヘイズが10%以下である二軸配向ポリプロピレンフィルム。
  2. 表層(I)の粒子含有量が0.01〜1.0質量%であり、基層(II)の粒子含有量が表層(I)の粒子含有量より少ない、請求項1に記載の二軸配向ポリプロピレンフィルム。
  3. 前記粒子の平均粒子径をφ(μm)、表層(I)の厚みをd(μm)としたとき、φ/dの値が0.05〜0.8である、請求項1または2に記載の二軸配向ポリプロピレンフィルム。
  4. 表層(I)の厚みdが0.1〜0.9μmである、請求項1〜3のいずれかに記載の二軸配向ポリプロピレンフィルム。
  5. フィルム両面の中心面平均表面粗さ(SRa)が共に25nm以下である、請求項1〜4のいずれかに記載の二軸配向ポリプロピレンフィルム。
  6. フィルム両面の十点平均粗さ(SRz)が共に500nm以下である、請求項1〜5のいずれかに記載の二軸配向ポリプロピレンフィルム。
  7. フィルムのヘイズが0.8%以下である、請求項1〜6のいずれかに記載の二軸配向ポリプロピレンフィルム。
  8. 表層(I)と金属ロールとの摩擦係数(μk)を10回連続で測定したときの、1回目〜3回目の測定値の平均値が0.50以下であり、かつ10回目の測定値を2回目の測定値で除した値(μkの変化率)が1.2以下である、請求項1〜7のいずれかに記載の二軸配向ポリプロピレンフィルム。
  9. フィルムの全厚みが5〜30μmである、請求項1〜8のいずれかに記載の二軸配向ポリプロピレンフィルム。
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