JP6485112B2 - 二軸配向ポリプロピレンフィルム - Google Patents

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Description

本発明は、曲げ剛性は低く柔軟であるにも関わらず、引張剛性に優れた、離型用フィルムとして好適に用いることのできる
とうmと二軸配向ポリプロピレンフィルムに関する。
二軸配向ポリプロピレンフィルムは、透明性、機械特性、電気特性等に優れるため、包装用途、離型用途、テープ用途、ケーブルラッピングやコンデンサをはじめとする電気用途等の様々な用途に用いられている。特に、表面の離型性や機械特性に優れることから、プラスチック製品や建材や光学部材など、様々な部材の離型用フィルムとして好適に用いられる。
離型用フィルムへの要求特性はその使用用途によって適宜設定されるが、一般的にフィルムのコシが弱く、柔軟性が高いことが求められる。ポリエチレンフィルムは、高い柔軟性を活かして離型用フィルム用途で広く使用されている。フィルムのコシを表す指標としては、曲げ剛性や引張弾性率が用いられるが、ポリエチレンフィルムでは、曲げ剛性が低く柔軟性が高いものの、引張弾性率も低いため、製品への貼り合わせ時に張力によりフィルムが伸びてしまったり、薄膜化が困難な場合があった。またポリエチレンフィルムは、一般的にフィッシュアイなどの欠点が発生しやすく、光学部材用などの高品位が要求される離型フィルム用途では使用が困難である場合があった。
一方、ポリプロピレンフィルムは、フィッシュアイなどが発生しにくく、また、薄膜化しても適度な引張剛性が保たれるなどの特徴を有するが、曲げ剛性が高いため、ハンドリング性が低下する場合があった。例えば特許文献1には、ポリプロピレンフィルムの曲げ剛性(ループスティフネス値)について記載があるが、柔軟性は不十分であった。また、未延伸フィルムであることから、フィルムの配向が弱く、引張弾性も不十分であった。特許文献2には、二軸延伸したポリプロピレンフィルムの記載があるが、このフィルムは、引張剛性に優れるものの、高結晶原料を高倍率で延伸しているため、曲げ剛性が高く柔軟性が不十分であった。
特開2008−255233号公報 特平09−001650号公報
本発明の課題は、上記した問題点を解決することにある。すなわち、曲げ剛性は低く柔軟であるにも関わらず、引張剛性に優れた、離型用フィルムとして好適に用いることのできる
とうmと二軸配向ポリプロピレンフィルムを提供することにある。
上述した課題を解決し、目的を達成するための本発明は、以下である。
フィルムの長手方向における引張弾性率E MD と幅方向における引張弾性率E TD の和E MD+TD の値が2.0GPa以上7.0GPa以下であり、フィルムの長手方向におけるループスティフネスR MD と幅方向におけるループスティフネスR TD の和R MD+TD の値が20mg以上300mg以下であり、離型用フィルムとして用いられる二軸配向ポリプロピレンフィルム。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、曲げ剛性は低く柔軟であるにも関わらず、引張剛性に優れることから、離型用フィルムとして好適に使用することができる。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、フィルムの長手方向における引張弾性率EMDと幅方向における引張弾性率ETDの和EMD+TDの値が、2.0GPa以上7.0GPa以下である。EMD+TDの値が2.0GPa未満であると、離型用フィルムとして用いたとき、例えば製品の表面に本発明のフィルムを貼り合わせる際に、張力によりフィルムが変形しシワなどが入ってしまう場合がある。シワが入らないようにするために離型用フィルムの厚みを厚くする場合があるが、樹脂量が増加して生産性が低下したり、曲げ剛性が大きくなり柔軟性が低下する場合がある。EMD+TDの値が7.0GPaを超えると、曲げ剛性が大きくなり柔軟性が低下し、離型用フィルムとしてのハンドリング性が低下する場合がある。EMD+TDの値はより好ましくは2.0GPa以上5.0GPa以下、更に好ましくは2.0GPa以上4.0GPa以下である。EMD+TDの値を上記範囲とするためには、フィルムの原料組成を後述する範囲とし、曲げ剛性を低減させつつ引張剛性を高くすること、また、製膜条件を後述する範囲とし、フィルムを高倍率で延伸して二軸配向ポリプロピレンフィルムを得ることが好ましい。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、フィルムの長手方向における引張弾性率EMDと幅方向における引張弾性率ETDは、それぞれ0.8GPa以上3.5GPa以下であることが好ましい。EMD+TDの値が上述した2.0GPa以上7.0GPa以下であっても、EMDまたはETDのどちらかが0.8GPa未満であると、使用中にフィルムに張力がかかった時、伸びやすくなったり、フィルムが裂けやすくなる場合がある。EMDまたはETDのどちらかの値が3.5GPaを超えると、もう一方の方向との強度バランスが悪くなり、フィルムが裂けやすくなったり、曲げ剛性が大きくなり柔軟性が低下し、離型用フィルムとしてのハンドリング性が低下する場合がある。EMDとETDの値はそれぞれ1.0GPa以上3.0GPa以下であることがより好ましく、更に好ましくは1.1GPa以上2.8GPa以下、最も好ましくは1.5GPa以上2.7GPa以下である。EMDとETDの値をそれぞれ上記範囲とするためには、フィルムの原料組成を後述する範囲とし、曲げ剛性を低減させつつ引張剛性を高くすること、また、製膜条件を後述する範囲とし、フィルムを高倍率で延伸して二軸配向ポリプロピレンフィルムを得ることが好ましい。
尚、本願においては、フィルムの製膜する方向に平行な方向を、製膜方向あるいは長手方向あるいはMD方向と称し、フィルム面内で製膜方向に直交する方向を幅方向あるいはTD方向と称する。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、フィルムの長手方向におけるループスティフネスRMDと幅方向におけるループスティフネスRTDの和RMD+TDの値が20mg以上300mg以下である。RMD+TDの値が20mg未満であると、フィルムのコシが低下し過ぎて離型用フィルムとして用いたとき、ハンドリング性が低下する場合がある。RMD+TDの値が300mgを超えると、曲げ剛性が大きくなり柔軟性が低下し、離型用フィルムとしてのハンドリング性が低下する場合がある。RMD+TDの値はより好ましくは30mg以上250mg以下、更に好ましくは30mg以上200mg以下である。RMD+TDの値を上記範囲とするためには、フィルムの原料組成を後述する範囲とし、引張剛性を高くしつつ、曲げ剛性を低減させること、また、製膜条件や二軸配向ポリプロピレンフィルムの厚みを後述する範囲とすることが好ましい。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、EMD+TD/RMD+TDの値が0.010以上であることが好ましい。EMD+TD/RMD+TDの値が大きいと、曲げ剛性は低く柔軟であるにも関わらず、引張剛性に優れたフィルムとなり、離型用フィルムとして優れたハンドリング性を有するため好ましい。EMD+TD/RMD+TDの値はより好ましくは0.015以上、更に好ましくは0.020以上、最も好ましくは0.025以上である。EMD+TD/RMD+TDの値は大きいほど好ましいが、実質的に上限は0.100程度であり、0.090以下がより好ましく、0.080以下が更に好ましい。EMD+TD/RMD+TDの値を上記範囲とするためには、フィルムの原料組成を後述する範囲とし、曲げ剛性を低減させつつ引張剛性を高くすること、また、製膜条件を後述する範囲とし、フィルムを高倍率で延伸して二軸配向ポリプロピレンフィルムを得ること、二軸配向ポリプロピレンフィルムの厚みを後述する範囲とすることが好ましい。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、フィルムの長手方向における静摩擦係数μsが0.5以下であることが好ましい。μsが0.5を超えると、フィルムの滑り性が悪く、製膜中にシワが入ったり、離型用フィルムとして用いたとき、例えば製品の表面に本発明のフィルムを貼り合わせる際に、シワが入りやすくなる場合がある。μsはより好ましくは0.45以下、更に好ましくは0.4以下である。μsは小さいほど好ましいが、実質的には0.1程度が下限である。μsを上記範囲とするためには、フィルムの原料組成を後述する範囲とし、表層に易滑粒子を添加することや、表層の樹脂の結晶性を高くすること、また、製膜条件を後述する範囲とし、フィルムを高倍率で延伸してフィルム表面の配向を高くすることが好ましい。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、全ヘイズが2.0%以下であることが好ましい。全ヘイズが2.0%を超えると、例えば、離型用フィルムを貼り合わせた後に、欠点検査を実施するような用途で使用する場合に、欠点検査ができなくなる場合がある。全ヘイズは、より好ましくは1.0%以下、更に好ましくは0.8%以下、最も好ましくは0.5%以下である。全ヘイズは透明性の観点から低いほど好ましいが、実施的には0.05%程度が下限である。全ヘイズを上記範囲とするためには、フィルムの原料組成を後述する範囲とし低立体規則性ポリプロピレンなどを使用すること、また、キャスト条件や縦延伸条件を後述する範囲内とし、キャストシートのβ晶を低減させることが好ましい。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、幅方向の110℃1時間処理後の熱収縮率が1.0%以下であることが好ましい。熱収縮率が1.0%を超えると、離型フィルムとして使用中に温度がかかる工程がある場合、フィルムがカールしやすくなる場合がある。熱収縮率は、より好ましくは0.5%以下、更に好ましくは0.3%以下、最も好ましくは0.1%以下である。下限は特に限定されないが、フィルムが膨張しすぎる場合もあり、実質的には−1.0%程度が下限である。熱収縮率を上記範囲とするためには、原料組成を後述する範囲内とし、特に、耐熱性の低いエチレン成分の含有量を低下させることや、縦延伸条件、横延伸条件、熱固定条件、リラックス条件を後述する範囲内とし、フィルムの強度や柔軟性を維持しつつ熱収を低減させることが好ましい。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、融点Tmが158℃以上であることが好ましい。融点が158℃未満であると、耐熱性が不足し熱収縮率が大きくなる場合や、エチレン成分の含有量が多いため、引張剛性が低下したり、フィッシュアイが発生しやすくなる場合がある。融点Tmはより好ましくは160℃以上、更に好ましくは163℃以上である。融点Tmを上記範囲とするためには、原料組成を後述する範囲内とし、特に、耐熱性の低いエチレン成分の含有量を低下させることや、縦延伸条件、横延伸条件、熱固定条件、リラックス条件を後述する範囲内とすることが好ましい。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムの厚みは用途によって適宜調整されるものであり特に限定はされないが、0.5μm以上100μm以下であることが好ましい。厚みが0.5μm未満であると、ハンドリングが困難になる場合があり、100μmを超えると、樹脂量が増加して生産性が低下したり、曲げ剛性が大きくなり柔軟性が低下する場合がある。本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、厚みを薄くしても、引張剛性に優れるためハンドリング性を保つことができる。このような特徴を活かすためには、厚みは、1μm以上20μm以下であることがより好ましく、1μm以上15μm以下であることが更に好ましい。厚みは他の物性を悪化させない範囲内で、押出機のスクリュウ回転数、未延伸シートの幅、製膜速度、延伸倍率などにより調整可能である。
次に、二軸配向ポリプロピレンフィルムに用いると好ましいポリプロピレン原料について説明する。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムには、少なくとも2種類のポリプロピレン原料(ポリプロピレン原料A、および、ポリプロピレン原料Bとする)を用いることが好ましい。ポリプロピレン原料Aとしては、フィルムの引張剛性を向上させるため、結晶性の高いポリプロピレン原料を用いることが好ましく、ポリプロピレン原料Bとしては、フィルムの柔軟性を向上(曲げ剛性を低下)させるため立体規則性の低いポリプロピレン原料を用いることが好ましい。
ポリプロピレン原料Aは、好ましくは冷キシレン可溶部(以下CXS)が4質量%以下でありかつメソペンタッド分率は0.95以上であるポリプロピレンであることが好ましい。これらを満たさないと製膜安定性に劣ったり、フィルムの引張剛性が低下する場合がある。
ここで冷キシレン可溶部(CXS)とはフィルムをキシレンで完全溶解せしめた後、室温で析出させたときに、キシレン中に溶解しているポリプロピレン成分のことをいい、立体規則性の低い、分子量が低い等の理由で結晶化し難い成分に該当していると考えられる。このような成分が多く樹脂中に含まれているとフイルムの引張剛性に劣ることがある。従って、CXSは4質量%以下であることが好ましいが、更に好ましくは3質量%以下であり、特に好ましくは2質量%以下である。CXSは低いほど好ましいが、0.1質量%程度が下限である。このようなCXSを有するポリプロピレンとするには、樹脂を得る際の触媒活性を高める方法、得られた樹脂を溶媒あるいはプロピレンモノマー自身で洗浄する方法等の方法が使用できる。
同様な観点からポリプロピレン原料Aのメソペンタッド分率は0.95以上であることが好ましく、更に好ましくは0.97以上である。メソペンタッド分率は核磁気共鳴法(NMR法)で測定されるポリプロピレンの結晶相の立体規則性を示す指標であり、該数値が高いものほど結晶化度が高く、融点が高くなり、高温での使用に適するため好ましい。メソペンタッド分率の上限については特に規定するものではない。このように立体規則性の高い樹脂を得るには、n−ヘプタン等の溶媒で得られた樹脂パウダーを洗浄する方法や、触媒および/または助触媒の選定、組成の選定を適宜行う方法等が好ましく採用される。
また、ポリプロピレン原料Aとしては、より好ましくはメルトフローレート(MFR)が1〜10g/10分(230℃、21.18N荷重)、特に好ましくは2〜5g/10分(230℃、21.18N荷重)の範囲のものが、製膜性やフィルムの引張剛性の観点から好ましい。MFRを上記の値とするためには、平均分子量や分子量分布を制御する方法などが採用される。
ポリプロピレン原料Aとしては、主としてプロピレンの単独重合体からなるが、本発明の目的を損なわない範囲で他の不飽和炭化水素による共重合成分などを含有してもよいし、プロピレンが単独ではない重合体がブレンドされていてもよい。このような共重合成分やブレンド物を構成する単量体成分として例えばエチレン、プロピレン(共重合されたブレンド物の場合)、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチルペンテン−1、3−メチルブテンー1、1−ヘキセン、4−メチルペンテン−1、5−エチルヘキセン−1、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、ビニルシクロヘキセン、スチレン、アリルベンゼン、シクロペンテン、ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネンなどが挙げられる。共重合量またはブレンド量は、引張剛性の観点から、共重合量では1mol%未満とし、ブレンド量では10質量%未満とするのが好ましい。
続いてポリプロピレン原料Bについて説明する。
ポリプロピレン原料Bとしては、上述したポリプロピレン原料Aとの相溶性が良く、かつ、柔軟性や透明性を向上させるために、結晶性や立体規則性の低いポリプロピレン原料であることが好ましい。このようなポリプロピレン原料Bとしては、非晶性ポリプロピレンや低立体規則性ポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、α−オレフィン共重合体などを用いることができるが、少ない添加量で優れた透明性を得ることができることから、非晶性ポリプロピレンや低立体規則性ポリプロピレンが特に好ましい。
ポリプロピレン原料Bとして、好ましく用いられる非晶性ポリプロピレンとしては、主としてアタクチックな立体規則性を有するポリプロピレンポリマーが主成分であることが好ましく、具体的には、ホモポリマーあるいは、α−オレフィンとのコポリマーが挙げられる。特に後者、即ち、非晶性ポリプロピレン−α−オレフィン共重合体が好ましい。なお、本願において「主成分」とは、特定の成分が全成分中に占める割合が50質量%以上であることを意味し、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、最も好ましくは95質量%以上である。
上記非晶性ポリプロピレンは、ホモポリプロピレン重合の際、アイソタクチックポリプロピレンの副産物として製造することができる。ガラス転移温度が一般のポリプロピレンと比べると低いため、ホモポリプロピレンの沸騰n−ヘプタン(またはキシレン)可溶分として抽出することができる。あるいは、結晶性ポリプロピレンとは、触媒及び重合条件を変えて独立して重合することも可能である。本発明に好ましく用いられる非晶性ポリプロピレンは、従来公知の製造方法により製造されたものであれば特に限定することなく使用することができる。以上のような特徴を有する非晶性ポリプロピレンとしては、住友化学(株)製“タフセレン”などの市販品を適宜選択の上、使用することができる。
本発明における非晶性ポリプロピレンとして非晶性ポリプロピレン−α−オレフィン共重合体を用いる場合、該α−オレフィンとしては、例えば1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、4−メチル・1−ペンテン、あるいはプロピレン―エチレン−1−ブテンなどが望ましい。
またこのようなα−オレフィンを用いた非晶性ポリプロピレン−α−オレフィン共重合体としては、プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・エチレン・1−ブテン共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、プロピレン・エチレン・環状オレフィン共重合体、プロピレン・エチレン・ブタジエン共重合体などが挙げられる。
ポリプロピレン原料Bとして、好ましく用いられる低立体規則性ポリプロピレンとしては、プロピレンの単独重合体であって、重合触媒としてメタロセン触媒を用いて製造されたものが好ましい。低立体規則性ポリプロピレンの融点は、100℃以下であり、60〜90℃であることがより好ましく、65〜85℃であることが特に好ましい。重量平均分子量は4万〜20万であることが好ましく、分子量分布Mw/Mnは1〜3であることが好ましい(Mw:重量平均分子量、Mn:数平均分子量)。以上のような特徴を有する低立体規則性ポリプロピレンとしては、出光興産(株)製“エルモーデュ”などの市販品を適宜選択の上、使用することができる。
また本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、上述したポリプロピレン原料Aおよびポリプロピレン原料Bの他に、引張剛性向上の観点から分岐鎖状ポリプロピレンHを含有させてもよい。添加する場合は、0.05〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜8質量%、さらに好ましくは1〜5質量%含有することが好ましい。上記分岐鎖状ポリプロピレンHを含有させることで溶融押出した樹脂シートの冷却工程で生成する球晶サイズを小さく制御でき、透明性や強度に優れたポリプロピレンフィルムを得ることができる。
上記の分岐鎖状ポリプロピレンHとしては、製膜性の観点からメルトフローレート(MFR)は1〜20g/10分の範囲にあるものが好ましく、1〜10g/10分の範囲にあるものがより好ましい。また溶融張力については、1〜30cNの範囲にあるものが好ましく、2〜20cNの範囲にあるものがより好ましい。また、ここでいう分岐鎖状ポリプロピレンHとは、カーボン原子10,000個中に対し5箇所以下の内部3置換オレフィンを有するポリプロピレンである。この内部3置換オレフィンの存在はH−NMRスペクトルのプロトン比により確認することができる。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、フィルムを構成するポリマー中に含まれるエチレン成分の含有量が10質量%以下であることが好ましい。より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは3質量%以下である。エチレン成分の含有量が多いほど、結晶性が低下して、柔軟性や透明性を向上させやすいが、エチレン成分の含有量が10質量%を超えると、引張剛性が低下したり、耐熱性が低下したり、フィッシュアイが発生しやすくなる場合がある。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、フィルムを構成するポリマー中に含まれる石油樹脂の含有量が5質量%以下であることが好ましい。より好ましくは3質量%以下、更に好ましくは1質量%以下であり、石油樹脂を含まないことが最も好ましい。石油樹脂を添加することにより、透明性や引張剛性させることができるが、石油樹脂の含有量が5質量%を超えると、曲げ剛性が強くなって柔軟性が低下したり、また、原料コストが高くなる場合がある。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、フィルムを構成するポリマー中に含まれるシクロオレフィンポリマーの含有量が5質量%以下であることが好ましい。より好ましくは3質量%以下、更に好ましくは1質量%以下であり、シクロオレフィンポリマーを含まないことが最も好ましい。シクロオレフィンポリマーを添加することにより、耐熱性や引張剛性を向上させることができるが、シクロオレフィンポリマーの含有量が5質量%を超えると、曲げ剛性が強くなって柔軟性が低下したり、ポリプロピレンとの相溶性の問題から透明性が低下してヘイズが悪化したり、また、原料コストが高くなる場合がある。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、柔軟性と引張剛性の両立、透明性、耐熱性観点からフィルムを構成するポリマー中に含まれるポリプロピレンポリマーの含有量が95質量%以上であることが好ましい。より好ましくは96質量%以上、更に好ましくは97質量%以上であり、最も好ましくは98質量%以上である。
本発明のポリプロピレン原料には、本発明の目的を損なわない範囲で種々の添加剤、例えば結晶核剤、酸化防止剤、熱安定剤、すべり剤、帯電防止剤、ブロッキング防止剤、充填剤、粘度調整剤、着色防止剤などを含有せしめることもできる。
これらの中で、酸化防止剤の種類および添加量の選定は長期安定性の観点から重要である。すなわち、かかる酸化防止剤としては立体障害性を有するフェノール系のもので、そのうち少なくとも1種は分子量500以上の高分子量型のものが好ましい。その具体例としては種々のものが挙げられるが、例えば2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT:分子量220.4)とともに1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン(例えばBASF社製Irganox(登録商標)1330:分子量775.2)またはテトラキス[メチレン−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(例えばBASF社製Irganox(登録商標)1010:分子量1177.7)等を併用することが好ましい。これら酸化防止剤の総含有量はポリプロピレン全量に対して0.03〜1.0質量%の範囲が好ましい。酸化防止剤が少なすぎると押出工程でポリマーが劣化してフィルムが着色したり、長期耐熱性に劣る場合がある。酸化防止剤が多すぎるとこれら酸化防止剤のブリードアウトにより透明性が低下する場合がある。より好ましい含有量は0.1〜0.9質量%であり、特に好ましくは0.2〜0.8質量%である。
本発明のポリプロピレン原料には、本発明の目的に反しない範囲で、結晶核剤を添加することができる。既述の通り、分岐鎖状ポリプロピレン(H)は既にそれ自身でα晶またはβ晶の結晶核剤効果を有するものであるが、別種のα晶核剤(ジベンジリデンソルビトール類、安息香酸ナトリウム等)、β晶核剤(1,2−ヒドロキシステアリン酸カリウム、安息香酸マグネシウム、N,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキサミド等のアミド系化合物、キナクリドン系化合物等)等が例示される。但し、上記別種の核剤の過剰な添加は延伸性の低下やボイド形成等による透明性や強度の低下を引き起こす場合があるため、添加量は通常0.5質量%以下、好ましくは0.1質量%以下、更に好ましくは0.05質量%以下とすることが好ましい。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、上述した原料を用い、二軸延伸されることによって得られる。二軸延伸の方法としては、インフレーション同時二軸延伸法、ステンター同時二軸延伸法、ステンター逐次二軸延伸法のいずれによっても得られるが、その中でも、製膜安定性、厚み均一性、フィルムの高剛性と寸法安定性を制御する点においてステンター逐次二軸延伸法を採用することが好ましい。
次に、上記ポリプロピレン原料を用いたフィルムの構成について説明する。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、柔軟性と高い引張剛性の両立、さらには透明性、滑り性の観点から、少なくとも2層の積層構成とすることが好ましい。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、積層構成の内、少なくとも1層(以後、I層とする。)は、引張剛性の観点からポリプロピレン原料Aを96質量%以上含むことが好ましい。I層中のポリプロピレン原料Aの含有量は、より好ましくは97質量%以上、更に好ましくは98質量%以上である。I層中のポリプロピレン原料Aの含有量が96質量%未満であると、フィルムの配向が低くなり引張剛性が低下したり、また、耐熱性の低い添加成分が多い場合には、滑り性が低下する場合がある。
また、本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、積層構成の内、少なくとも1層(以後、II層とする。)は、柔軟性の観点からポリプロピレン原料Aとポリプロピレン原料Bの混合割合が10:90〜95:5(質量比。以下同じ)であることが好ましい。より好ましくは30:70〜90:10、更に好ましくは40:60〜85:15である。II層中のポリプロピレン原料Bの混合割合が90を超えると、安定した押出が困難となり生産性が低下する場合がある。5未満であるとフィルムの柔軟性が低下する場合がある。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、少なくとも2層以上の積層構成であり、上述したI層およびII層が少なくとも1層ずつ含まれていることが好ましい。フィルムの厚み方向における、I層およびII層の積層厚み割合は、それぞれ10%以上であることが好ましく、より好ましくは15%以上、更に好ましくは20%以上である。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、表層がI層であることが滑り性の観点から好ましく、II層が表層にあると、ブロッキングなどにより滑り性が低下する場合がある。また、滑り性向上の観点から表層のI層に易滑性粒子などを添加してもよい。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、上述した積層構成の内、少なくとも片面の表層に易滑粒子を含むことが、摩擦係数低減の観点から好ましい。易滑粒子は、本発明の効果を損なわないものであれば特に限定はされず、例えば無機粒子や有機粒子などが使用できる。無機粒子としては、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、カーボンブラック、ゼオライト粒子等、有機粒子としては、アクリル系樹脂粒子、スチレン系樹脂粒子、ポリエステル系樹脂粒子、ポリウレタン系樹脂粒子、ポリカーボネート系樹脂粒子、ポリアミド系樹脂粒子、シリコーン系樹脂粒子、フッ素系樹脂粒子、あるいは上記樹脂の合成に用いられる2種以上のモノマーの共重合樹脂粒子等が挙げられる。ただし、ポリプロピレン樹脂は表面エネルギーが低いために、粒子を添加して延伸すると、延伸時に粒子界面が剥離してボイドが発生し、ヘイズが上昇して透明性が低下する場合がある。透明性向上の観点から、表面にシランカップリング処理をした上記無機粒子または有機粒子を用いることが好ましく、特にシランカップリング処理したシリカ粒子が好ましい。
易滑粒子の平均粒子径は、0.1μm以上1.0μm未満であることが好ましい。平均粒子径が0.1μm未満であると、粒子が凝集して粗大粒子となり、透明性が低下する場合がある。平均粒子径が1.0μm以上であると、延伸時に粒子界面にボイドが発生しやすくなり、透明性が低下する場合がある。また、表層に添加した粒子が製膜中に脱落し、表面粗さが大きくなったり、ヘイズが上昇する場合がある。平均粒子径は、0.15μm以上0.9μm未満であることがより好ましく、0.15μm以上0.8μm未満であることが更に好ましい。また、ハンドリング性向上の観点から、2種類以上の平均粒子径の異なる粒子を併用しても構わない。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、少なくとも2層の積層構成とし少なくとも片面の表層に易滑粒子を含むことが好ましい。このとき易滑粒子を含む層の厚みは0.2〜2.0μmであることが好ましい。0.2μm未満であると、製膜中に易滑粒子が脱落する場合がある。2.0μmを超えると、ヘイズが上昇し透明性が低下する場合がある。易滑粒子を含む層の厚みは0.2〜1.6μmであることがより好ましく、0.3〜1.4μmであることが更に好ましい。
易滑粒子を含む層の原料における、易滑粒子の含有量は、0.01質量%以上1.0質量%未満であることが好ましい。含有量が0.01質量%未満では、摩擦係数低減の効果が得られない場合がある。含有量が1.0質量%以上では、ヘイズが上昇し透明性が低下する場合がある。含有量は、より好ましくは0.05質量%以上0.9質量%未満であり、更に好ましくは0.1質量%以上0.8質量%未満である。
次に本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムの製造方法を説明するが、必ずしもこれに限定されるものではない。
まず、ポリプロピレン原料AをA層用の単軸押出機に供給し、ポリプロピレン原料Aとポリプロピレン原料Bを50:50(質量比)でドライブレンドした原料をB層用の単軸押出機に供給し、200〜260℃にて溶融押出を行う。そして、ポリマー管の途中に設置したフィルターにて異物や変性ポリマーなどを除去した後、マルチマニホールド型のA層/B層/A層の複合Tダイにて1/8/1の積層厚み比になるように積層し、キャストドラム上に吐出し、A層/B層/A層の層構成を有する積層未延伸シートを得る。この際、キャストドラムは表面温度が10〜40℃であることが透明性の観点から好ましく、40〜90℃であることが滑り性の観点から好ましい。キャスティングドラムへの密着方法としては静電印加法、水の表面張力を利用した密着方法、エアーナイフ法、プレスロール法、水中キャスト法などのうちいずれの手法を用いてもよいが、平面性が良好でかつ表面粗さの制御が可能なエアーナイフ法が好ましい。エアーナイフのエアー温度は、0〜50℃、好ましくは0〜30℃で、吹き出しエアー速度は130〜150m/sが好ましく、幅方向均一性を向上させるために2重管構造となっていることが好ましい。また、フィルムの振動を生じさせないために製膜下流側にエアーが流れるようにエアーナイフの位置を適宜調整することが好ましい。
得られた未延伸シートは、空気中で放冷された後、縦延伸工程に導入される。縦延伸工程ではまず複数の100℃以上150℃未満に保たれた金属ロールに未延伸シートを接触させて延伸温度まで予熱され、長手方向に3〜8倍に延伸した後、室温まで冷却する。延伸温度が150℃以上であると、フィルムの配向が弱くなり、引張剛性が低下する場合がある。また延伸倍率が3倍未満であるとフィルムの配向が弱くなり、引張剛性が低下する場合がある。
次いで縦一軸延伸フィルムをテンターに導いてフィルムの端部をクリップで把持し横延伸を120〜165℃の温度で幅方向に7〜13倍に延伸する。延伸温度が低いと、フィルムが破断したり柔軟性や透明性が低下する場合があり、延伸温度が高すぎると、フィルムの配向が弱く引張剛性が低下する場合がある。また、倍率が高いとフィルムが破断する場合があり、倍率が低いとフィルムの配向が弱く引張剛性が低下する場合がある。
続く熱処理および弛緩処理工程ではクリップで幅方向を緊張把持したまま幅方向に2〜20%の弛緩率で弛緩を与えつつ、100℃以上160℃度未満の温度で熱固定し、続いて80〜100℃での冷却工程を経てテンターの外側へ導き、フィルム端部のクリップ解放し、ワインダ工程にてフィルムエッジ部をスリットし、フィルム製品ロールを巻き取る。ここで、弛緩率は熱寸法安定性を得る観点から5〜18%がより好ましく、8〜15%が更に好ましい。20%を超える場合はテンター内部でフィルムが弛みすぎ製品にシワが入る場合があり、弛緩率が2%より小さい場合は熱寸法安定性が得られない場合がある。また、弛緩を与える際の温度は、より好ましくは100℃以上140℃未満であり、特に110℃での熱寸法安定製を向上させるためには、更に好ましくは100℃以上130℃未満である。弛緩を与える際の温度が160℃以上では、フィルムが破れたり、平面性が悪化する場合があり、100℃未満では、寸法安定性が得られない場合がある。
以上のようにして得られた本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、包装用フィルム、離型用フィルム、衛生用品、農業用品、建築用品、医療用品など様々な用途で用いることができるが、特に曲げ剛性は低く柔軟であるにも関わらず、引張剛性に優れることから、離型用フィルムとして好ましく用いることができる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。なお、特性は以下の方法により測定、評価を行った。
(1)フィルム厚み
マイクロ厚み計(アンリツ社製)を用いて5点測定し、平均値を求めた。
(2)長手方向および幅方向の引張弾性率(EMD、ETD
二軸配向ポリプロピレンフィルムを試験方向長さ150mm×幅10mmの矩形に切り出しサンプルとした。引張試験機(オリエンテック製テンシロンAMF/RTA−100)を用いて、JIS−K7127(1999)に規定された方法に準じて、25℃、65%RH雰囲気で5回測定を行い、平均値を求めた。ただし、初期チャック間距離50mmとし、引張速度を300mm/分として、試験を開始してから荷重が1Nを通過した点を伸びの原点とした。
(3)ループスティフネス(曲げ剛性)
二軸配向ポリプロピレンフィルムを試験方向長さ300mm、幅25.4mmの矩形に切り出しサンプルとした。東洋精機製作所株式会社製ループスティフネステスタを用いて曲げ剛性(mg)を測定した。ループ長は50mm、押しつぶし距離は5mmとした。測定は長手方向及び幅方向それぞれにつきサンプリング位置の異なるサンプル5個を用い測定し、その平均値を求めた。
(4)フィルムの全ヘイズ
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムを、ヘイズメーター(日本電色工業社製、NDH−5000)を用いて、JIS−K7136(2000)に準じて23℃でのヘイズ値(%)を3回測定し、平均値を用いた。
(5)静摩擦係数(μs)
東洋精機(株)製スリップテスターを用いて、測定を行った。測定方法として、測定範囲の装置下段に二軸配向ポリプロピレンフィルムのキャストドラムとの非接触面を上にして両面テープで貼り付け、装置上段に二軸配向ポリプロピレンフィルムのキャストドラムとの接触面を下にして巻き付け、測定開始場所にセットして、キャストドラムとの非接触面と接触面の間で摩擦させた時の値を測定し、初期の立ち上がり抵抗値を静摩擦係数(μs)として算出した。測定は、製膜の長手方向に3回実施し平均値をもとめた。
(6)幅方向の110℃1時間処理後の熱収縮率
フィルムの幅方向について、幅10mm、長さ200mm(測定方向)の試料を5本切り出し、両端から25mmの位置に標線として印しを付けて、万能投影機で標線間の距離を測定し試長(l)とする。次に、試験片を紙に挟み込み荷重ゼロの状態で85℃に保温されたオーブン内で、1時間加熱後に取り出して、室温で冷却後、寸法(l)を万能投影機で測定して下記式にて求め、5本の平均値を熱収縮率とした。
熱収縮率={(l−l)/l}×100(%)
(7)フィルムの融点Tm
二軸配向ポリプロピレンフィルム5mgを試料としてアルミニウム製のパンに採取し、示差走査熱量計(セイコー電子工業製RDC220)を用いて測定した。まず、窒素雰囲気下で室温から260℃まで10℃/分で昇温(ファーストラン)し、10分間保持した後、20℃まで10℃/分で冷却する。5分保持後、再度10℃/分で昇温(セカンドラン)した際に観測される融解ピーク温度をフィルムの融点とした。
(実施例1)
表層(A)用のポリプロピレン原料として結晶性PP(a)((株)プライムポリマー社製、TF850H、極限粘度[η]:1.8dl/g、MFR:2.9g/10分、アイソタクチック指数:96%)をA層用の単軸の溶融押出機に供給し、コア層(B)用のポリプロピレン原料として、上記結晶性PP(a)50質量部と、低立体規則性PP(b)(出光興産(株)製、エルモーデュS901、MFR:50g/10分、分子量分布Mw/Mn:2、融点:80℃)50質量部とをドライブレンドしてB層用の単軸の溶融押出機に供給し、240℃で溶融押出を行い、60μmカットの焼結フィルターで異物を除去後、フィードブロック型のA/B/A複合Tダイにて1/8/1の厚み比で積層し、30℃に表面温度を制御したキャストドラムに吐出してキャストシートを得た。ついで、複数のセラミックロールを用いて140℃に予熱を行いフィルムの長手方向に4.6倍延伸を行った。次にテンター式延伸機に端部をクリップで把持させて導入し、160℃で3秒間予熱後、155℃で8.0倍に延伸した。続く熱処理工程で、幅方向に10%の弛緩を与えながら120℃で熱処理を行ない、その後100℃で冷却工程を経てテンターの外側へ導き、フィルム端部のクリップ解放し、フィルムをコアに巻き取り、厚み12μmの二軸配向ポリプロピレンフィルムを得た。二軸配向ポリプロピレンフィルムの物性および評価結果を表1に示す。
(実施例2)
上記、結晶性PP(a)を98.65質量部、電気化学工業社製のシリカ粒子SFP−20MHE(粒径0.3μm、表面シランカップリング処理)を1.25質量部、さらに酸化防止剤であるBASF社製IRGANOX1010を0.1質量部がこの比率で混合されるように計量ホッパーから二軸押出機に原料供給し、240℃で溶融混練を行い、ストランド状にダイから吐出して、25℃の水槽にて冷却固化し、チップ状にカットしてポリプロピレン組成物(c)を得た。
表層(A)用のポリプロピレン原料として上記結晶性PP(a)を98質量部と上記ポリプロピレン組成物(c)を2質量部とをドライブレンドしてA層用の単軸の溶融押出機に供給し、コア層(B)用のポリプロピレン原料として、上記結晶性PP(a)50質量部と、低立体規則性PP(b)(出光興産(株)製、エルモーデュS901、MFR:50g/10分、分子量分布Mw/Mn:2、融点:80℃)50質量部とをドライブレンドしてB層用の単軸の溶融押出機に供給し、240℃で溶融押出を行い、60μmカットの焼結フィルターで異物を除去後、フィードブロック型のA/B/A複合Tダイにて1/8/1の厚み比で積層し、50℃に表面温度を制御したキャストドラムに吐出してキャストシートを得た。ついで、複数のセラミックロールを用いて140℃に予熱を行いフィルムの長手方向に4.6倍延伸を行った。次にテンター式延伸機に端部をクリップで把持させて導入し、160℃で3秒間予熱後、155℃で8.0倍に延伸した。続く熱処理工程で、幅方向に10%の弛緩を与えながら120℃で熱処理を行ない、その後100℃で冷却工程を経てテンターの外側へ導き、フィルム端部のクリップ解放し、フィルムをコアに巻き取り、厚み12μmの二軸配向ポリプロピレンフィルムを得た。二軸配向ポリプロピレンフィルムの物性および評価結果を表1に示す。
(実施例3)
実施例2において、コア層(B)用のポリプロピレン原料として、上記結晶性PP(a)70質量部と、低立体規則性PP(b)(出光興産(株)製、エルモーデュS901、MFR:50g/10分、分子量分布Mw/Mn:2、融点:80℃)30質量部とをドライブレンドして使用し、それ以外は実施例2と同様の方法で二軸配向ポリプロピレンフィルムを得た。二軸配向ポリプロピレンフィルムの物性および評価結果を表1に示す。
(実施例4)
実施例2において、コア層(B)用のポリプロピレン原料として、上記結晶性PP(a)90質量部と、低立体規則性PP(b)(出光興産(株)製、エルモーデュS901、MFR:50g/10分、分子量分布Mw/Mn:2、融点:80℃)10質量部とをドライブレンドして使用し、それ以外は実施例2と同様の方法で二軸配向ポリプロピレンフィルムを得た。二軸配向ポリプロピレンフィルムの物性および評価結果を表1に示す。
(実施例5)
実施例2において、電気化学工業社製のシリカ粒子SFP−20MHEの代わりに、水澤化学株式会社製のシリカ粒子シルトンAMT−20S(粒径1.7μm、表面処理無し)を1.25質量部使用し、さらに、横延伸後の熱処理工程で、幅方向に10%の弛緩を与えながら150℃で熱処理を行ない、その後150℃で冷却工程を経てテンターの外側へ導き、フィルム端部のクリップ解放し、フィルムをコアに巻き取り、それ以外は実施例2と同様の方法で二軸配向ポリプロピレンフィルムを得た。二軸配向ポリプロピレンフィルムの物性および評価結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例2において、コア層(B)用のポリプロピレン原料としてポリプロピレン組成物(c)を使用(表層もコア層も同じ原料を使用)し、それ以外は実施例2と同様の方法で二軸配向ポリプロピレンフィルムを得た。原料の結晶性が高く、柔軟性が悪化した。二軸配向ポリプロピレンフィルムの物性および評価結果を表1に示す。
(比較例2)
実施例1において、表層(A)用のポリプロピレン原料として、上記結晶性PP(a)48質量部と、低立体規則性PP(b)(出光興産(株)製、エルモーデュS901、MFR:50g/10分、分子量分布Mw/Mn:2、融点:80℃)50質量部と上記ポリプロピレン組成物(c)2質量部とをドライブレンドしてA層用の単軸の溶融押出機に供給し、コア層(B)用のポリプロピレン原料として、表層(A)用のポリプロピレン原料と同じ原料をB層用の単軸の溶融押出機に供給し、それ以外は実施例1と同様の方法で二軸配向ポリプロピレンフィルムを得た。原料の結晶性が低く、引張剛性が悪化した。二軸配向ポリプロピレンフィルムの物性および評価結果を表1に示す。
(比較例3)
実施例2の横延伸工程において、横延伸倍率を5.5倍とし、それ以外は実施例2と同様の方法で二軸配向ポリプロピレンフィルムを得た。得られたフィルムの厚みは17μmであった。延伸倍率が低いため配向が弱く、フィルムの引張剛性が悪化した。二軸配向ポリプロピレンフィルムの物性および評価結果を表1に示す。
Figure 0006485112

Claims (5)

  1. フィルムの長手方向における引張弾性率EMDと幅方向における引張弾性率ETDの和EMD+TDの値が2.0GPa以上7.0GPa以下であり、フィルムの長手方向におけるループスティフネスRMDと幅方向におけるループスティフネスRTDの和RMD+TDの値が20mg以上300mg以下であり、離型用フィルムとして用いられる二軸配向ポリプロピレンフィルム。
  2. MD+TD/RMD+TDの値(GPa/mg)が0.01以上である、請求項1に記載の二軸配向ポリプロピレンフィルム。
  3. フィルムの長手方向における静摩擦係数μsが0.5以下である、請求項1または2に記載の二軸配向ポリプロピレンフィルム。
  4. 全ヘイズが2.0%以下である、請求項1〜3のいずれかに記載の二軸配向ポリプロピレンフィルム。
  5. フィルムの幅方向の110℃1時間処理後の熱収縮率が、1.0%以下である、請求項1〜4のいずれかに記載の二軸配向ポリプロピレンフィルム。
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