JP2019007006A - 熱収縮性ポリプロピレンフィルム - Google Patents

熱収縮性ポリプロピレンフィルム Download PDF

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一馬 岡田
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Abstract

【課題】
熱収縮性及び品位に優れた熱収縮性ポリプロピレンフィルムを提供すること。
【解決手段】
主収縮方向の120℃、15分間処理後の熱収縮率が15%以上であり、主収縮方向の80℃、15分間処理後の熱収縮率が10%以下であり、長辺が50μm以上のフィッシュアイ個数が20個/m以下である熱収縮性ポリプロピレンフィルムとする。
【選択図】なし

Description

本発明は熱収縮性及び品位に優れた熱収縮性ポリプロピレンフィルムに関する。
熱収縮性フィルムは、意匠性の付与や内容物の保護を目的としたラベル包装用として広範に用いられ、これに加え近年では、特許文献1に示されるような熱収縮による機能層の配向制御を目的とした機能層塗工用の熱収縮性基材としての需要が高まっている。中でもポリプロピレン製の熱収縮性フィルムは強度、離型性に優れることから、これら用途において好ましく用いられる。これまでに、耐熱性の低いポリプロピレン系コポリマーを使用した高熱収縮フィルムについて報告がされているが(例えば特許文献2、3、4)、オレフィンコポリマーは熱劣化や分散不良によりフィッシュアイが発生しやすく、ラベル用途や離型基材として用いるには不適な場合があった。
特開2008−112172号公報 特許第04198263号明細書 特開2005−138386号公報 特開2001−294678号公報
本発明の課題は、上記した問題点を解決することにある。すなわち、熱収縮性及び品位に優れた熱収縮性ポリプロピレンフィルムを提供することである。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の熱収縮性ポリプロピレンフィルムは、主収縮方向の120℃、15分間処理後の熱収縮率が15%以上であり、主収縮方向の80℃、15分間処理後の熱収縮率が10%以下であり、長辺の長さが50μm以上となるフィッシュアイ個数が20個/m以下であることを本旨とする。
本発明の熱収縮性ポリプロピレンフィルムは、フィルム面内の特定の方向において高い収縮性を持つにも関わらず、フィッシュアイの数が少ないことから、熱収縮性フィルムの各用途において好適に使用することができる。
本発明の熱収縮性ポリプロピレンフィルムは、主収縮方向において、120℃、15分間処理後の熱収縮率が15%以上である。120℃15分間処理後の熱収縮率が15%未満であると、例えば、本発明の熱収縮フィルムに他の製品を貼合あるいは塗工して、本フィルムを収縮させることにより製品に配向を付与するような、いわゆる熱収縮性基材として用いた場合、収縮後の製品の配向が不十分となる場合がある。熱収縮率は、好ましくは17%以上、より好ましくは20%以上、更に好ましくは25%以上である。上限は特に限定されないが、後述する80℃以下での寸法安定性が問題となることから、実質的には50%程度が上限である。この120℃、15分間処理後の熱収縮率は、実施例の欄に記載した方法により測定した値をいう。主収縮方向における、120℃、15分間処理後の熱収縮率を上記範囲とするためには、原料の組成、積層構成を後述する範囲内とし、縦延伸条件、横延伸条件、熱固定条件、弛緩条件を後述する範囲内とすることが好ましい。
なお、本発明における主収縮方向とはフィルム面内において、MD方向を0°とした場合に、該MD方向に対して15°、30°、45°、60°、75°、90°、105°、120°、135°、150°、165°の角度をなす各々の方向で熱収縮率を測定したとき、最も高い値を示す方向をいう。
本発明においては、フィルムを製膜する方向に平行な方向を、製膜方向、長手方向あるいはMD方向と称し、フィルム面内で製膜方向に直交する方向を幅方向あるいはTD方向と称する。
本発明の熱収縮性ポリプロピレンフィルムは、主収縮方向において、80℃15分間処理後の熱収縮率が10%以下である。80℃、15分間処理後の熱収縮率が10%を超える場合、製膜工程中や塗工工程、巻取り後の保管時に収縮し、平面性が低下するおそれがある。80℃、15分間処理後の熱収縮率は、より好ましくは8%以下、更に好ましくは5%以下である。下限は特に限定されないが、フィルムが膨張することにより巻きムラなどの問題が起こる可能性があることから、実質的には−1.0%程度が下限である。この80℃、15分間処理後の熱収縮率は、実施例の欄に記載した方法により測定した値をいう。熱収縮率を上記範囲とするためには、原料の組成、積層構成を後述する範囲内とし、縦延伸条件、横延伸条件、熱固定条件、リラックス条件を後述する範囲内とすることが好ましい。
120℃、15分間処理後の熱収縮率を15%以上とし、80℃、15分間処理後の熱収縮率を10%以下とする、相反する特性を実現するためには、原料の組成、積層構成を後述する範囲内とし、また、縦延伸条件、横延伸条件、熱固定条件、リラックス条件を後述する好ましい範囲を選択することで達成できる。特に、結晶性や融点の低いポリプロピレン原料を含有し、該樹脂の融点よりも高い温度で延伸や熱処理を行うことが好ましい。
本発明の熱収縮性ポリプロピレンフィルムは、長辺の長さが50μm以上となるフィッシュアイの個数が20個/m以下である。なお、本発明において長辺とは、フィッシュアイの大きさを計測するにおいて、該フィッシュアイに外接する長方形を想定したとき、一組の対辺の長さが最大となる長方形の該長さが最大となる対辺をいう。係るフィッシュアイの個数は好ましくは15個/m以下であり、より好ましくは10個/m、更に好ましくは5個/m以下である。20個/mを超える場合、他フィルムとの貼合や、フィルム表面へ塗工を行う場合に欠点が転写してしまい不良率が増加する場合がある。下限は特に限定されないが、生産設備の清浄度や異物管理によるコスト増加、生産性低下が問題となることから、実質的には0.001個/m以上である。フィッシュアイ個数を上記の範囲とするには、原料組成、溶融押出条件を後述する範囲内とし、樹脂の劣化や分散不良による異物発生を抑えることにより達成される。本発明におけるフィッシュアイの個数は、実施例の欄に記載した方法により測定した値をいう。
本発明の熱収縮性ポリプロピレンフィルムは、フィルムの長手方向における、120℃、15分間処理後の熱収縮率が10%以上であることが好ましい。より好ましくは12%以上であり、さらに好ましくは15%以上、特に好ましくは20%以上である。上限は特に限定されないが、後述する80℃以下での寸法安定性が問題となることから、実質的には50%程度が上限である。フィルムの長手方向における、120℃、15分間処理後の熱収縮率が10%未満である場合、本フィルムを熱収縮性基材として用いた場合、収縮後の製品の配向が不十分となる場合がある。フィルムの長手方向における、120℃、15分間処理後の熱収縮率を上記範囲とするためには、原料の組成、積層構成を後述する範囲内とし、縦延伸条件、横延伸条件、熱固定条件、弛緩条件を後述する範囲内とすることが好ましい。
本発明の熱収縮性ポリプロピレンフィルムは、フィルムの長手方向における、120℃、15分間処理後の熱収縮率をSMD、フィルムの幅方向における、120℃、15分間処理後の熱収縮率をSTDとしたとき、SMD/STDが0.8以上であることが好ましい。SMD/STDが0.8未満では、例えば、連続式の貼合工程や塗工工程において幅方向への熱収縮が発生し、平面性が低下する場合がある。SMD/STDの値はより好ましくは1.0以上、更に好ましくは1.2以上である。SMD/STDを上述した範囲とするには、原料の組成、積層構成を後述する範囲内とし、縦延伸条件、横延伸条件、熱固定条件、弛緩条件を後述する範囲内とすることが好ましい。本発明におけるSMD、STDは、実施例の欄に記載した方法により測定した値をいう。なお、本発明の技術的範囲に、フィルムの長手方向または幅方向とフィルムの主収縮方向とが一致する場合が含まれることは明らかである。
本発明の熱収縮性ポリプロピレンフィルムは、フィルムの長手方向におけるヤング率をEMD、幅方向におけるヤング率をETDとした場合に、EMD/ETDの値は0.7以上であることが好ましく、より好ましくは0.8以上、さらに好ましくは0.9以上である。一方、上限については1.4以下であることが好ましく、より好ましくは1.3以下、さらに好ましくは1.2以下である。EMD/ETDの値が0.7未満である場合、工程張力によりフィルムが伸張する場合がある。一方、EMD/ETDの値が1.4を超える場合、長手方向へ裂け易くなりハンドリング性が低下したり、製膜中に破断しやすくなる場合がある。EMD/ETDの値を上記範囲とするためには、原料組成、積層構成を後述する範囲内とし、縦延伸条件、横延伸条件、熱固定条件、弛緩条件を後述する範囲内とすることが好ましい。
本発明の熱収縮性ポリプロピレンフィルムの最大断面高さ(St)は2000nm以下であることが好ましい、より好ましくは1500nm以下であり、更に好ましくは1000nm以下である。最大断面高さ(St)が2000nmを超える場合、熱収縮性基材として用いた場合、得られる製品に表面形状が転写する場合がある。本発明における最大断面高さ(St)は、実施例の欄に記載した方法により測定した値をいう。
本発明の熱収縮性ポリプロピレンフィルムは、フィルムを示差走査熱量計DSCで30℃から260℃まで20℃/分で昇温した際の融解ピーク温度が155℃以上であることが好ましい、より好ましくは165℃以上であり、更に好ましくは168℃以上である。融解ピークが複数存在する場合は、最も高温の融解ピークの融解ピーク温度を用いる。融解ピーク温度が160℃未満である場合、高温での延伸、熱処理をすることが困難となるため、80℃の15分間処理後の熱収縮率が増加する場合があり、製膜工程中や塗工工程、巻取り後の保管時に収縮し、平面性が低下する恐れがある。融解ピーク温度は高過ぎると120℃の15分間処理後の熱収縮率が低くなる場合があるため、融解ピーク温度の上限は180℃である。融解ピーク温度を上記範囲とするためには、原料組成、積層構成を後述する範囲内とし、縦延伸条件、横延伸条件、熱固定条件、弛緩条件を後述する範囲内とすることが好ましい。特に、メソペンタッド分率の高い高結晶の原料を使用することに加え、幅方向、長手方向に二軸延伸することが重要である。
本発明の熱収縮性ポリプロピレンフィルムの厚みは用途によって適宜調整されるものであり特に限定はされないが、0.5μm以上、200μm以下であることが好ましい。厚みが0.5μm未満であるとハンドリングが困難になる場合があり、200μmを超えると樹脂量が増加して生産性の低下につながる。厚みは、1μm以上、150μm以下であることがより好ましく、2μm以上、100μm以下であることが更に好ましい。厚みは他の物性を悪化させない範囲内で、押出機のスクリュウ回転数、未延伸シートの幅、製膜速度、延伸倍率などにより調整可能である。
続いて、本発明の熱収縮性ポリプロピレンフィルムに用いると好ましいポリプロピレン原料について説明する。
本発明の熱収縮性ポリプロピレンフィルムには、少なくとも2種類のポリプロピレン原料(便宜的にこの2種類のポリプロピレン原料を各々、ポリプロピレン原料A、ポリプロピレン原料Bと称する)を用いることが好ましい。うち一つのポリプロピレン原料であるポリプロピレン原料Aはフィルム表面の強度や滑り性を向上させるため結晶性の高いポリプロピレン原料を含有することが好ましい。一方、他の一つのポリプロピレン原料であるポリプロピレン原料Bはフィルムの熱収縮性を向上させるため、結晶性や融点の低いポリプロピレン原料を含有することが好ましい。
ポリプロピレン原料Aのメソペンタッド分率は0.95以上であることが好ましく、更に好ましくは0.97以上である。メソペンタッド分率は核磁気共鳴法(NMR法)で測定されるポリプロピレンの結晶相の立体規則性を示す指標であり、該数値が高いものほど結晶化度が高く、融点が高くなり、高温での使用に適するため好ましい。メソペンタッド分率の上限については特に規定するものではない。このように立体規則性の高い樹脂を得るには、n−ヘプタン等の溶媒で得られた樹脂パウダーを洗浄する方法や、触媒および/または助触媒の選定、組成の選定を適宜行う方法等が好ましく採用される。
また、ポリプロピレン原料Aとしては、好ましくはメルトフローレート(MFR)が0.5〜20g/10分(230℃、21.18N荷重)、より好ましくはメルトフローレート(MFR)が1〜10g/10分(230℃、21.18N荷重)、特に好ましくは2〜5g/10分(230℃、21.18N荷重)の範囲のものが、製膜性やフィルムの引張剛性の観点から好ましい。MFRを上記の値とするためには、平均分子量や分子量分布を制御する方法などが採用される。
ポリプロピレン原料Aとして好ましく用いられるポリプロピレンとしては、融点が150℃以上であり、好ましくは155℃以上、さらに好ましくは160℃以上である。融点が150℃以下である場合、80℃15分間処理後の熱収縮率が大きくなり、製膜工程中や塗工工程、巻取り後の保管時に収縮し、平面性が低下する恐れがある。融点の上限は特にないが、一般的に170℃が上限である。
ポリプロピレン原料Aは主としてプロピレンの単独重合体からなるが、本発明の目的を損なわない範囲で他の不飽和炭化水素による共重合成分、例えばポリプロピレン−α−オレフィン共重合体などを含有してもよい。好ましく用いられるポリプロピレン−α−オレフィン共重合体について、該α−オレフィンとして、例えばエチレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチルペンテン−1、3−メチルブテンー1、1−ヘキセン、4−メチルペンテン−1、5−エチルヘキセン−1、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、ビニルシクロヘキセン、スチレン、アリルベンゼン、シクロペンテン、ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネンなどが挙げられる。共重合体中のα−オレフィンのモル分率は、引張剛性やフィッシュアイの観点から、好ましくは5%以下、より好ましくは3%未満である。ポリプロピレン原料A中の共重合体添加量は好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下である。
続いてポリプロピレン原料Bについて説明する。
ポリプロピレン原料Bとしては、フィルムの熱収縮性を向上させるために、結晶性や融点の低いポリプロピレン原料を含むことが好ましい。このようなポリプロピレン原料Bとしては、低立体規則性ポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、ポリプロピレン−α−オレフィン共重合体などを用いることができる。
ポリプロピレン原料Bとしてはポリプロピレン−α−オレフィン共重合体が好ましく用いられるが、当該α−オレフィンとしては、例えばエチレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチルペンテン−1、3−メチルブテンー1、1−ヘキセン、4−メチルペンテン−1、5−エチルヘキセン−1、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、ビニルシクロヘキセン、スチレン、アリルベンゼン、シクロペンテン、ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネンなどが望ましい。共重合体中に含まれるα−オレフィンのモル分率は、好ましくは10%以下、より好ましくは5%未満である。10%を超える場合、フィッシュアイの発生により品位が低下する場合がある。
ポリプロピレン原料Bとして好ましく用いられるポリプロピレンとしては、融点が120℃以下であり、好ましくは100℃以下、さらに好ましくは90℃以下である。融点が120℃よりも高い場合、熱収縮性ポリプロピレンフィルムの収縮性が不十分となる場合がある。一方でポリプロピレン原料Bとして、好ましく用いられるポリプロピレンの融点は、50℃以上であることが好ましく、より好ましくは60℃以上、更に好ましくは65℃以上である。融点が50℃未満である場合、得られる熱収縮性ポリプロピレンフィルムは強度に乏しいものとなる場合がある。
ポリプロピレン原料Bとして好ましく用いられるポリプロピレンは、重量平均分子量が50万以下であることが好ましく、より好ましくは40万以下、さらに好ましくは30万以下である。重量平均分子量が50万以上である場合、溶融粘度の増加が問題となる場合がある。一方で、ポリプロピレン原料Bに好ましく用いられるポリプロピレンは、重量平均分子量が1万以上であることが好ましく、より好ましくは3万以上、さらに好ましくは5万以上である。重量平均分子量が1万未満である場合、得られる熱収縮性フィルムは収縮性に劣る場合がある。
以上のような特徴を有するポリプロピレン原料としては、出光興産(株)製“エルモーデュ”(登録商標)などの市販品を適宜選択の上、使用することができる。
本発明において用いられるポリプロピレン原料には、本発明の目的を損なわない範囲で種々の添加剤、例えば酸化防止剤、熱安定剤、すべり剤、帯電防止剤、ブロッキング防止剤、充填剤、粘度調整剤、着色防止剤などを含有せしめることもできる。
これらの中で、酸化防止剤の種類および添加量の選定は長期安定性の観点から重要である。すなわち、かかる酸化防止剤としては立体障害性を有するフェノール系のもので、そのうち少なくとも1種は分子量500以上の高分子量型のものが好ましい。その具体例としては種々のものが挙げられるが、例えば2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT:分子量220.4)とともに1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン(例えばBASF社製Irganox(登録商標)1330:分子量775.2)またはテトラキス[メチレン−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(例えばBASF社製Irganox(登録商標)1010:分子量1177.7)等を使用することが好ましい。これら酸化防止剤の総含有量はポリプロピレン全量に対して0.03〜1.0質量%の範囲が好ましい。酸化防止剤が少なすぎると押出工程でポリマーが劣化してフィルムが着色したり、長期耐熱性に劣る場合がある。酸化防止剤が多すぎるとこれら酸化防止剤のブリードアウトにより透明性が低下する場合がある。より好ましい含有量は0.1〜0.9質量%であり、特に好ましくは0.2〜0.8質量%である。
また、本発明において用いられるポリプロピレン原料には、本発明の目的に反しない範囲で、結晶核剤を添加することができる。結晶核剤としてはα晶核剤(ジベンジリデンソルビトール類、安息香酸ナトリウム等)、β晶核剤(1,2−ヒドロキシステアリン酸カリウム、安息香酸マグネシウム、N,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキサミド等のアミド系化合物、キナクリドン系化合物等)等が例示される。但し、上記別種の核剤の過剰な添加は延伸性の低下やボイド形成等による透明性や強度の低下を引き起こす場合があるため、添加量は通常0.5質量%以下、好ましくは0.1質量%以下、更に好ましくは0.05質量%以下とすることが好ましい。
続いて本発明の熱収縮性ポリプロピレンフィルムの構成について例を具体的にあげて説明する。
本発明の熱収縮性ポリプロピレンフィルムは、少なくとも2層の異なる性質を持つ層から構成され、好ましいプロピレン原料として先に説明したポリプロピレン原料Aを主成分とするA層と、好ましいプロピレン原料として先に説明したポリプロピレン原料Aと好ましいプロピレン原料として先に説明したポリプロピレン原料Bとを含有するB層の2層を含むことが好ましい。ここで述べる主成分とは熱収縮性フィルムの各層を構成する成分のうち最も質量%の高いもの(含有量の多いもの)をいう。
本発明の熱収縮性ポリプロピレンフィルムを構成するA層は、熱収縮性の制御や滑り性の観点からA層の質量を100質量%としたとき、ポリプロピレン原料Aを96質量%以上含むことが好ましい。A層中のポリプロピレン原料Aの含有量は、より好ましくは97質量%以上、更に好ましくは98質量%以上である。A層中のポリプロピレン原料Aの含有量が96質量%未満である場合、前述した80℃、15分間での寸法安定性が悪化したり、高温での滑り性が低下する場合がある。
本発明の熱収縮性ポリプロピレンフィルムを構成するB層は、B層の質量を100質量%としたとき、ポリプロピレン原料Aを5質量%以上含むことが好ましく、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは20質量%以上である。ポリプロピレン原料Aが5質量%未満である場合、A層との積層乱れが発生する場合がある。一方、120℃、15分間処理後の熱収縮性が十分に得られない場合があることから、好ましくは90質量%以下であり、より好ましくは80質量%以下、更に好ましくは70質量%以下である。
本発明の熱収縮性ポリプロピレンフィルムを構成するB層は、B層の質量を100質量%としたとき、ポリプロピレン原料Bを10質量%以上含むことが好ましく、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは30質量%以上である。ポリプロピレン原料Bが10質量%未満である場合、120℃、15分間処理後の熱収縮性が十分に得られない場合がある。一方、80℃、15分間処理後の寸法安定性が悪化する場合があることから、好ましくは95質量%以下であり、より好ましくは90質量%以下、更に好ましくは80質量%以下である。
本発明の熱収縮性ポリプロピレンフィルムの、総厚みに対するA層およびB層の厚み割合は、それぞれが10%以上あることが好ましく、より好ましくはそれぞれ15%以上、更に好ましくはそれぞれ20%以上である。
本発明の熱収縮性ポリプロピレンフィルムは、表層(最外層)が先に説明したA層であることが滑り性の観点から好ましい。B層が表層にある場合、ブロッキングなどにより滑り性が低下する場合がある。
本発明の熱収縮性ポリプロピレンフィルムは上述した積層構成の内、少なくとも片面の表層に易滑性付与を目的として粒子を含んでもよい。このような粒子は、本発明の効果を損なわないものであれば特に限定はされず、例えば無機粒子や有機粒子などが使用できる。無機粒子としては、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、カーボンブラック、ゼオライト粒子等、有機粒子としては、アクリル系樹脂粒子、スチレン系樹脂粒子、ポリエステル系樹脂粒子、ポリウレタン系樹脂粒子、ポリカーボネート系樹脂粒子、ポリアミド系樹脂粒子、シリコーン系樹脂粒子、フッ素系樹脂粒子、あるいは上記樹脂の合成に用いられる2種以上のモノマーの共重合樹脂粒子等が挙げられる。
含有される粒子の平均粒子径は、0.1μm以上1.0μm未満であることが好ましい。平均粒子径が0.1μm未満であると、粒子が凝集して粗大粒子となり、塗工した機能層へ形状転写する場合がある。平均粒子径が1.0μm以上であると、延伸時に粒子界面にボイドが発生しやすくなり、塗工した機能層へ形状転写する場合がある。また、表層に添加した粒子が製膜中に脱落し、表面粗さが大きくなる場合がある。平均粒子径は、0.15μm以上0.9μm未満であることがより好ましく、0.15μm以上0.8μm未満であることが更に好ましい。
次に本発明の熱収縮性ポリプロピレンフィルムの製造方法を具体的に例を挙げて説明するが、本発明は必ずしもこれに限定して解釈されるものではない。
まず、A層用の原料をA層用の単軸押出機に供給し、B層用の原料をB層用の単軸押出機に供給し、200〜260℃にて溶融押出を行う。そして、ポリマー管の途中に設置したフィルターにて異物や変性ポリマーなどを除去した後、マルチマニホールド型のA層/B層/A層の複合Tダイにて、1/20/1〜1/5/1の積層厚み比になるように積層し、キャストドラム上に吐出し、A層/B層/A層の層構成を有する積層未延伸シートを得る。この際、キャストドラムは表面温度が10〜130℃であることが好ましく、より好ましくは20〜100℃である。キャスティングドラムへの密着方法としては静電印加法、水の表面張力を利用した密着方法、エアーナイフ法、プレスロール法、水中キャスト法などのうちいずれの手法を用いてもよいが、平面性が良好でかつ表面粗さの制御が可能なエアーナイフ法が好ましい。
続いて、上記のようにして得られたキャストシートを二軸延伸することで、所望の強度、熱収縮特性とする。二軸延伸の方法としては、インフレーション同時二軸延伸法、ステンター同時二軸延伸法、ステンター逐次二軸延伸法など、いずれの方法も選択できるが、製膜安定性、厚み均一性、フィルムの熱収縮性制御の観点からステンター逐次二軸延伸法を採用することが好ましく、TD方向へ延伸した後、MD方向への延伸を行うことが熱収縮性制御の観点から特に好ましい。
続いて、具体的な延伸方法について説明する。以下の説明は延伸方法の一例であってこの方法に限定されるものではない。
まず得られた未延伸キャストシートをテンター式延伸機に導いてフィルムの端部をクリップで把持し、幅方向へ延伸することで一軸延伸フィルムを得る。幅方向の延伸温度は120〜170℃が好ましく、130℃〜165℃がより好ましく、150℃〜165℃が更に好ましい。また、幅方向の延伸温度は、ポリプロピレン樹脂Bの融点よりも高温であることが好ましく、融点より30℃以上高いことがより好ましく、50℃以上高いことが更に好ましい。延伸温度が120℃未満である場合や、ポリプロピレン樹脂Bの融点未満である場合、フィルムの破断や、延伸ムラが発生する場合や、80℃、15分処理後の熱収縮率が増大し、製膜工程中や塗工工程、巻取り後の保管時に収縮し、平面性が低下する恐れがある。一方170℃を超えると、フィルムの配向が弱く引張剛性が低下したり、樹脂溶融による破膜が発生する場合がある。幅方向への延伸倍率は1.5〜15倍が好ましく、より好ましくは2.5〜12倍であり、さらに好ましくは6〜10倍である。延伸倍率が1.5倍未満である場合、引張剛性の低下や、生産性が悪化する場合がある。一方、延伸倍率が15倍を超える場合フィルムの破断が発生しやすくなる場合がある。
続いて、フィルムの寸法安定性を高めるため、弛緩処理及び熱固定処理を行うことが好ましい。弛緩処理、熱固定処理はクリップで幅方向を緊張把持したまま幅方向に0〜20%の弛緩率で弛緩を与えつつ、100℃以上160℃度未満の温度で熱固定し、続いて80〜100℃での冷却工程を経てテンターの外側へ導き、フィルム端部のクリップを解放する。ここで、熱処理温度は、130℃以上、160℃未満がより好ましく、140℃以上、160℃未満が更に好ましい。また、熱処理温度は、ポリプロピレン樹脂Bの融点よりも高温であることが好ましく、融点より30℃以上高いことがより好ましく、50℃以上高いことが更に好ましい。ここで、弛緩率は0〜18%がより好ましく、0〜15%が更に好ましい。20%を超える場合は120℃、15分間処理後の熱収縮性が不十分となる場合がある。また、熱固定温度は、より好ましくは100℃以上、140℃未満、更に好ましくは110℃以上130℃未満である。弛緩を与える際の温度が160℃以上の場合では、120℃、15分間処理後の熱収縮性が不十分になる場合がある。一方100℃未満では、80℃以下の温度におけるフィルムの寸法安定性が不十分となる場合がある。
続いて、上記横一軸延伸フィルムを長手方向へ延伸する。まず一軸延伸フィルムを長手方向に延伸可能な温度に制御する。温度制御の方法は、温度制御された回転ロールを用いる方法、熱風オーブンを使用する方法などを採用することができる。長手方向の延伸温度としてはフィルム特性とその均一性の観点から、100〜150℃、さらに好ましくは110〜140℃、最も好ましくは130〜140℃の温度を採用することが好ましい。延伸温度が100℃未満の場合、延伸ムラやフィルム破断が発生する場合や80℃、15分処理後の熱収縮率が増大し、製膜工程中や塗工工程、巻取り後の保管時に収縮し、平面性が低下する恐れがある。延伸温度が150℃を超える場合、フィルムの配向が弱く、高温での熱収縮性が低下する場合がある。長手方向の延伸倍率としては、好ましくは2〜7倍、より好ましくは2.5〜6.5倍、更に好ましくは3〜6倍である。延伸倍率が2倍未満であるとフィルムの配向が弱くなり、熱収縮性、引張剛性が低下する場合がある。一方、7倍以上ではフィルム破断が発生する場合がある。
以上のようにして得られた本発明の熱収縮性ポリプロピレンフィルムは、高温での熱収縮性に優れると同時にフィッシュアイが少ないことから、例えば、意匠性の付与や内容物の保護を目的としたラベル包装用や、機能層形成後の熱収縮性が求められる離型基材用途として好ましく用いることができる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。なお、物性や特性は以下の方法により測定、評価を行った。
(1)フィルム厚み
マイクロ厚み計(アンリツ社製)を用いて5点測定し、算術平均値として求めた。
(2)120℃、15分間処理後の熱収縮率
測定方向に対し長さ200mm、幅10mmの試料を5本切り出し、両端から25mmの位置に標線として印しを付けて、万能投影機で標線間の距離を測定し試長(l。150mmとなる)とする。次に、試験片の長さ方向の一方の端(下端となる)に3gの荷重をかけ、120℃に保温されたオーブン内で15分間、吊した状態で加熱し、試験片を取り出して室温で冷却後、先で付した標線間の寸法(l)を万能投影機で測定して下記式にて各試料の熱収縮率を求め、5本の算術平均値をその測定方向における熱収縮率として算出した。
熱収縮率={(l−l)/l}×100(%)。
(3)80℃、15分間処理後の熱収縮率
測定方向に対し長さ200mm、幅10mmの試料を5本切り出し、両端から25mmの位置に標線として印しを付けて、万能投影機で標線間の距離を測定し試長(l。150mmとなる)とする。次に、試験片の長さ方向の一方の端(下端となる)に3gの荷重をかけ、80℃に保温されたオーブン内で15分間、吊した状態で加熱し、試験片を取り出して室温で冷却後、先で付した標線間の寸法(l)を万能投影機で測定して下記式にて各試料の熱収縮率を求め、5本の算術平均値をその測定方向における熱収縮率として算出した。
熱収縮率={(l−l)/l}×100(%)。
(4)長辺が50μm以上のフィッシュアイ個数
1辺20cmの正方形のフィルム試料を5枚切り出し、照明拡大鏡を用いて長辺が50μm以上のフィッシュアイの個数をカウントした。試料5枚における合計の個数を算出し、これを5倍することで1mあたりのフィッシュアイ個数を算出した。なお、フィッシュアイのカウントにおいては鮮明に撮像可能である場合には写真を撮像して求めても良い。
(5)最大断面高さ(St)
測定は(株)菱化システム社製VertScan2.0 R5300GL-Lite-ACを使用して行い、付属の解析ソフトにより撮影画面を多項式4次近似にて面補正してフィルムの表面形状を求めた。測定条件は下記のとおり。測定は、フィルムの表裏両面について、それぞれn=3で測定を行い、各面の最大断面高さの平均値を求め、最大断面高さの平均値が低い方の面の、最大断面高さの平均値をStとして採用した。
製造元:株式会社菱化システム
装置名:VertScan2.0 R5300GL-Lite-AC
測定条件:CCDカメラ SONY HR-57 1/2インチ(12.7mm)
対物レンズ 5x
中間レンズ 0.5x
波長フィルタ 530nm white
測定モード:Wave
測定ソフトウェア:VS-Measure Version5.5.1
解析ソフトフェア:VS-Viewer Version5.5.1
測定面積:1.252×0.939mm
(6)長手方向、及び幅方向のヤング率
フィルム試料の長手方向および幅方向に対して長い方の辺が平行となるよう長さ150mm×幅10mmの矩形に、それぞれ5枚ずつ切り出しサンプルとした。引張試験機(オリエンテック製テンシロンUCT−100)を用いて、室温23℃、相対湿度65%の雰囲気で、初期引張チャック間距離50mm、引張速度を300mm/分としてフィルムの長手方向のヤング率の測定用のサンプルと幅方向のヤング率の測定用のサンプルについてそれぞれ引張試験を行った。サンプルが2%伸長したとき(チャック間距離が51mmとなったとき)のフィルムにかかる荷重を読み取り、試験前の試料の断面積(フィルム厚み×10mm)で除した値をF2値とし、原点とF2値の測定に用いた点を通る直線の傾きを弾性率と定義した。試験は長手方向、幅方向にそれぞれ5回ずつ行い、各々の方向で算術平均値としてヤング率を算出した。
(7)融解ピーク温度
示差走査熱量計(セイコーインスツル製EXSTAR DSC6220)を用いて、窒素雰囲気中で3mgの試料を30℃から260℃まで20℃/分の条件で昇温する。この昇温時に得られる吸熱カーブのピーク温度を融解ピーク温度とした。融解ピークが複数存在する場合は、最も高温の融解ピークの融解ピーク温度を用いた。なお、測定n数は3回行い、算術平均値を用いた。
(8)フィルムの平面性
コアに巻き取った500mm幅の熱収縮性ポリプロピレンフィルムを1mだけ巻き出し、フリーテンション(フィルムの自重により垂直方向に垂らした状態)および、フィルム幅全体にまたムラ無く一様に1kg/m、及び3kg/mのテンションを付加し、ヘコミやうねりといった平面性不良箇所の有無を目視にて確認した。
◎:フリーテンションで平面性不良の箇所がない。
○:フリーテンションでは平面性不良の箇所が見られ、1kg/m幅のテンションでは消えるもの。
△:1kg/m幅のテンションでは平面性不良の箇所が見られ、3kg/m幅のテンションでは消えるもの。
×:3kg/m幅のテンションでも平面性不良の箇所が消えないもの。
(9)被着体への転写評価
試料となる熱収縮性ポリプロピレンフィルムおよび厚み40μmの日本ゼオン株式会社製“ゼオノアフィルム”(登録商標)を各々幅100mm、長さ100mmの正方形にサンプリングし、前記ポリプロピレンフィルムの粗面と“ゼオノアフィルム”とが接触するように重ねて、それを2枚の表面が平滑なアクリル板(幅100mm、長さ100mm)に挟んで台上におき、該アクリル板の上から2kgの荷重をかけ、23℃の雰囲気下で24時間静置した。24時間後に、“ゼオノアフィルム”の表面(ポリプロピレンフィルムが接していた面)を目視で観察し、以下の基準で評価した。なお、ポリプロピレンフィルムの粗面とは、前記(5)項記載の最大断面高さ(St)の平均値が高い方の面を粗面とした。
A:きれいであり、荷重をかける前と同等
B:弱い凹凸が確認される
C:強い凹凸が確認される。
(実施例1)
表層としてポリプロピレン原料として結晶性PP(a)((株)プライムポリマー社製、TF850H、融点164℃)をA層用の単軸の溶融押出機に供給し、コア層としてポリプロピレン原料として、上記結晶性PP(a)50質量部と、低立体規則性PP(b)(出光興産(株)製、“エルモーデュ”(登録商標)S901、融点80℃)50質量部とをドライブレンドしたものをB層用の単軸の溶融押出機に供給し、240℃で溶融押出を行い、60μmカットの焼結フィルターで異物を除去後、フィードブロック型のA層/B層/A層から成る3層構成の複合Tダイにて、1/8/1の厚み比で積層し、30℃に表面温度を制御したキャストドラムに吐出してキャストシートを得た。次にこれを、テンター式延伸機に端部をクリップで把持させて導入し、160℃で3秒間予熱後、155℃でフィルムの幅方向に8.0倍延伸した。続く熱処理工程で弛緩を与えずに140℃で熱処理を行ない、その後100℃の冷却工程を経てテンターの外側へ導き、フィルム端部のクリップを解放した後、端部をスリットしコアに巻き取った。次いで、このロールからフィルムを巻き出し、複数のセラミックロールを用いて140℃に予熱を行いフィルムの長手方向に3.0倍延伸を行い、フィルムをコアに巻き取り、厚み40μmの熱収縮性ポリプロピレンフィルムを得た。熱収縮性ポリプロピレンフィルムの物性および評価結果を表1に示す。
(実施例2)
キャストシートを、まず複数のセラミックロールを用いて120℃に予熱を行いフィルムの長手方向に4.5倍延伸を行った。これをテンター式延伸機に端部をクリップで把持させて導入し、160℃で3秒間予熱後、150℃でフィルムの幅方向に8.0倍延伸した。続く熱処理工程では、140℃で10%の弛緩をしながら、熱処理を行なった。その後100℃の冷却工程を経てテンターの外側へ導き、フィルム端部のクリップを解放した後、端部をスリットしコアに巻き取り、厚み40μmの熱収縮性ポリプロピレンフィルムを得たことを除いて実施例1と同様に実施した。
(実施例3)
複数のセラミックロールを用いて110℃に予熱を行い、フィルムの長手方向に6.0倍延伸を行ったことを除いた他は実施例1と同様に実施した。
(実施例4)
表層用のポリプロピレン原料として結晶性PP(a)95質量部、ポリプロピレンエチレンランダムコポリマー(c)(住友化学(株)製、ノーブレンS131、融点132℃)5質量部とをドライブレンドしたものを用い、内層用のポリプロピレン原料として結晶性PP(a)50質量部、低立体規則性PP(b)40質量部、ポリプロピレンエチレンランダムコポリマー(c)10質量部とをドライブレンドしたものを用いた。また、積層比は1/10/1とした。キャストシートをテンター式延伸機で、145℃で3秒間予熱後、140℃でフィルムの幅方向に8.5倍に延伸した。続く熱処理工程で弛緩を与えずに130℃で熱処理を行ない、その後100℃の冷却工程を経てテンターの外側へ導き、フィルム端部のクリップを解放した後、端部をスリットしコアに巻き取った。次いで、このロールからフィルムを巻き出し、複数のセラミックロールを用いて140℃に予熱を行いフィルムの長手方向に4.0倍延伸を行い、フィルムをコアに巻き取ったことを除いて、実施例1と同様に実施した。
(実施例5)
表層用のポリプロピレン原料として結晶性PP(a)97質量部、低立体規則性PP(b)3質量部とをドライブレンドしたものを用い、内層用のポリプロピレン原料として結晶性PP(a)75質量部、低立体規則性PP(b)25質量部、ポリプロピレンエチレンランダムコポリマー(c)5質量部とをドライブレンドしたものを用いた。また、積層比は1/6/1とした。キャストシートをテンター式延伸機で、165℃で3秒間予熱後、165℃でフィルムの幅方向に8.0倍に延伸した。続く熱処理工程で弛緩を与えずに155℃で熱処理を行ない、その後100℃の冷却工程を経てテンターの外側へ導き、フィルム端部のクリップを解放した後、端部をスリットしコアに巻き取った。次いで、このロールからフィルムを巻き出し、複数のセラミックロールを用いて120℃に予熱を行いフィルムの長手方向に3.0倍延伸を行い、フィルムをコアに巻き取ったことを除いて、実施例1と同様に実施した。
(比較例1)
ポリプロピレン原料として、結晶性PP(a)60質量部と低立体規則性PP(b)40質量部をドライブレンドしたものをA層用の単軸の溶融押出機、B層用の単軸の溶融押出機の両方に供給したことを除いて、実施例1と同様に実施したが、ロールへの粘着によりフィルムの採取は不可能であった。
(比較例2)
コア層(B)用のポリプロピレン原料として、結晶性PP(a)50質量部と、ポリプロピレンエチレンランダムコポリマー(c)50質量部とをドライブレンドしたものを用いた他は、実施例1と同様に実施した。
(比較例3)
キャストシートをテンター式延伸機で、125℃で3秒間予熱後、120℃でフィルムの幅方向に8.0倍に延伸した。熱処理、及び弛緩処理を行わず、100℃の冷却工程を経てテンターの外側へ導き、フィルム端部のクリップを解放した後、端部をスリットしコアに巻き取った。次いで、このロールからフィルムを巻き出し、複数のセラミックロールを用いて90℃に予熱を行いフィルムの長手方向に3.0倍延伸を行い、フィルムをコアに巻き取ったことを除いて、実施例1と同様に実施した。
(比較例4)
キャストシートを、まず複数のセラミックロールを用いて90℃に予熱を行いフィルムの長手方向に6.0倍延伸を行った。その後、テンター式延伸機で、140℃で3秒間予熱後、130℃で10.2倍に延伸した。弛緩処理を行わず120℃で熱処理し、100℃の冷却工程を経てテンターの外側へ導き、フィルム端部のクリップを解放した後、端部をスリットしコアに巻き取った他は、実施例2と同様に実施した。
Figure 2019007006

Claims (6)

  1. 主収縮方向の120℃、15分間処理後の熱収縮率が15%以上であり、主収縮方向の80℃、15分間処理後の熱収縮率が10%以下であり、長辺の長さが50μm以上となるフィッシュアイ個数が20個/m以下である熱収縮性ポリプロピレンフィルム。
  2. 長手方向の120℃、15分間処理後の熱収縮率が10%以上である、請求項1に記載の熱収縮性ポリプロピレンフィルム。
  3. 長手方向の120℃、15分間処理後の熱収縮率をSMD、幅方向の120℃、15分間処理後の収縮率をSTDとしたとき、SMD/STDの値が0.8以上である、請求項1または2に記載の熱収縮性ポリプロピレンフィルム。
  4. 長手方向のヤング率をEMD、幅方向のヤング率をETDとしたとき、EMD/ETDの値が0.7〜1.4である請求項1〜3のいずれかに記載の熱収縮性ポリプロピレンフィルム。
  5. 少なくとも片面の最大断面高さStが2000nm以下である、請求項1〜4のいずれかに記載の熱収縮性ポリプロピレンフィルム。
  6. フィルムを示差走査熱量計DSCで30℃から260℃まで20℃/分で昇温した際の融解ピーク温度が155℃以上である、請求項1〜5のいずれかに記載の熱収縮性ポリプロピレンフィルム。
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