以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
<1.車両の概略>
まず、図1及び図2を参照して、本発明の実施形態に係る車両1の概略について説明する。図1は、本実施形態に係る車両1の駆動系の概略構成の一例を示す模式図である。図2は、本実施形態に係る車両1における電池パック10の位置の一例を示す模式図である。
車両1は、本実施形態に係る電池パック10を搭載する車両の一例である。具体的には、車両1は、図1に示したように、駆動輪59a,59b,59c,59dを駆動するための駆動源として、駆動モータ63f,63rを備える電気自動車である。駆動輪59a,59b,59c,59dは、車両1の前左輪、前右輪、後左輪、後右輪にそれぞれ相当する。なお、以下では、車両1の進行方向を前方向とし、進行方向に対して逆方向を後方向とし、進行方向を向いた状態における左側及び右側をそれぞれ左方向及び右方向とし、鉛直上側及び鉛直下側をそれぞれ上方向及び下方向として、説明する。
駆動モータ63fは、減速機61fを介して、駆動輪59a及び駆動輪59bと接続されている。一方、駆動モータ63rは、減速機61rを介して、駆動輪59c及び駆動輪59dと接続されている。駆動モータ63fによって生成された駆動力は、減速機61fを介して、駆動輪59a及び駆動輪59bへそれぞれ伝達される。一方、駆動モータ63rによって生成された駆動力は、減速機61rを介して、駆動輪59c及び駆動輪59dへそれぞれ伝達される。減速機61f,61rは、駆動モータ63f,63rから入力される動力を所定の減速比で変換して、各駆動輪へそれぞれ出力する機能を有する。減速機61f,61rの当該機能は、例えば、ギヤによって実現される。なお、車両1の構成から減速機61f,61rは省略されてもよく、その場合には、駆動モータ63fと駆動輪59a,59bの各々は直接的に接続されてもよく、駆動モータ63rと駆動輪59c,59dの各々は直接的に接続されてもよい。
駆動モータ63f,63rは、図示しないインバータ装置を介して電池パック10内の複数の電池モジュールと電気的に接続されている。電池パック10から供給される直流電力は、インバータ装置によって交流電力に変換され、駆動モータ63f,63rへ供給される。それにより、駆動モータ63f,63rによって動力が生成される。
電池パック10は、具体的には、高電圧(例えば、350V)の電力供給源である。例えば、電池パック10内の複数の電池モジュールに蓄電される電力は、インバータ装置を介して、駆動モータ63f,63rへ供給される他、車両1内の各種装置へ供給される電力を蓄電する低電圧バッテリへ供給され得る。
本実施形態に係る電池パック10は、車両1の床下に配置される。具体的には、電池パック10は、図2に示したように、車両1の車室の底部に相当するフロアパネル55より下方、かつ、車両1の底部を覆うアンダーカバー57より上方に配置される。より具体的には、電池パック10は、車両の床下において、フロントシート51の下方からリアシート53の下方へ延在するように設けられる。
このように、本実施形態では、電池パック10を搭載するための空間として、車両1の床下が利用される。それにより、電池パック10の寸法が比較的大きい場合であっても、車室空間を比較的広く確保することが可能となる。ゆえに、より多くの電池モジュールを電池パック10内に設けることが可能となる。よって、車両1の走行可能な距離をより長くすることが実現される。
ここで、車両1の衝突時において、上述したように、車両1の前後方向に沿った比較的大きい圧縮力が、電池パック10に付加され得る。そのような場合において、車両1の床下に配置された電池パック10内に設けられた電池モジュールの破損を防止することが望ましいと考えられる。本実施形態に係る電池パック10によれば、車両1の衝突時において、車両1の床下に配置された電池パック10内に設けられた電池モジュールの破損を防止することが可能となる。以下では、そのような電池パック10の詳細について、説明する。
<2.電池パック>
続いて、図3〜図6を参照して、本実施形態に係る電池パック10の構成について説明する。図3は、本実施形態に係る電池パック10の外観の一例を示す斜視図である。図4は、本実施形態に係る電池パック10の内部の構成の一例を示す斜視図である。具体的には、図4では、筐体100の上面部110が取り外された状態の電池パック10が示されている。なお、図4では、理解を容易にするために、二点鎖線によって表される電池モジュール171及び冷却部材173の内部を透過して、筐体100の内部が示されている。電池パック10は、図3及び図4に示したように、複数の電池モジュール171と、複数の電池モジュール171を冷却するための冷却部材173と、複数の電池モジュール171及び冷却部材173を収容する筐体100と、備える。なお、電池パック10には、外部の装置との通信や電池モジュール171の充放電に関する制御を行う制御装置及び各種センサが含まれ得る。
電池モジュール171は、複数のセルを含んで構成され、筐体100に複数収容される。当該複数のセルは、各電池モジュール171において、電気的に直列に接続される。また、このような複数の電池モジュール171は、電池パック10において、電気的に直列又は並列に接続される。例えば、複数の電池モジュール171の一部は、互いに電気的に直列に接続され、他の一部は、互いに電気的に並列に接続されてもよい。
本実施形態では、図4に示したように、複数の電池モジュール171は、筐体100内において車両1の前方側の前方側空間180fと車両1の後方側の後方側空間180rに分割されて位置する。具体的には、前方側の電池モジュール171及び後方側の電池モジュール171は、後述する前方側の底面部材161f上及び後方側の底面部材161r上に、ネジ締結等によって、それぞれ固定される。以下では、前方側の電池モジュール171及び後方側の電池モジュール171を、それぞれ区別して電池モジュール171f及び電池モジュール171rとも称する。
前方側の電池モジュール171fは、前方側空間180f内において、複数設けられてもよい。例えば、前方側の電池モジュール171fは、図4に示したように、前方側空間180f内において、左右方向に複数並設される。また、後方側の電池モジュール171rは、後方側空間180r内において、複数設けられてもよい。例えば、後方側の電池モジュール171rは、図4に示したように、後方側空間180r内において、左右方向に複数並設される。なお、図4では、筐体100内において、電池モジュール171f及び電池モジュール171rが、それぞれ4個並設される例を示しているが、前方側空間180f及び後方側空間180rの各々について、電池モジュール171の個数及び配置は、特に限定されない。
冷却部材173は、筐体100内に設けられる複数の電池モジュール171を冷却可能な冷却機構を有する。冷却部材173の冷却機構として、種々の機構が適用され得る。例えば、冷却部材173の冷却機構として、ファンの回転により外気等を電池モジュール171へ送風することによって、電池モジュール171を冷却可能な機構が適用されてもよい。その場合、冷却部材173は、具体的には、ファン及び当該ファンを回転駆動するモータを備える。また、冷却部材173の冷却機構として、エバポレータにより筐体100内の空気を冷却することによって、電池モジュール171を冷却可能な機構が適用されてもよい。その場合、冷却部材173は、具体的には、エバポレータ及び当該エバポレータへ供給される冷媒が循環する流路を備える。
本実施形態では、図4に示したように、冷却部材173は、前方側空間180fと後方側空間180rとの間に位置する。具体的には、冷却部材173は、後述する前方側の底面部材161f上において、前方側の電池モジュール171fより後方側に位置し、ネジ締結等によって、底面部材161fに対して固定され得る。また、本実施形態に係る冷却部材173は、具体的には、電池モジュール171と比較して、剛性が低い。それにより、車両1の衝突時における後述する電池パック10の圧壊において、冷却部材173が圧壊されるより以前に、電池モジュール171が圧壊されることをより確実に防止することができる。
本実施形態では、上述したように、電池パック10は車両1の床下に配置されるので、筐体100は、車両1の床下に位置する。筐体100は、図3及び図4に示したように、底面部160、前側面部120、左側面部130、後側面部140、右側面部150、及び上面部110を含む。底面部160、前側面部120、左側面部130、後側面部140、右側面部150、及び上面部110の内部には閉空間が形成され、当該閉空間内に複数の電池モジュール171が収容される。以下では、底面部160、前側面部120、左側面部130、後側面部140、右側面部150、及び上面部110をそれぞれ形成する部材を底面部材、前側面部材、左側面部材、後側面部材、右側面部材、及び上面部材と称する。また、前側面部120、左側面部130、後側面部140、及び右側面部150を、特に区別しない場合には、単に、側面部とも称する。また、前側面部材、左側面部材、後側面部材、及び右側面部材を、特に区別しない場合には、単に、側面部材とも称する。
また、以下では、図5及び図6を適宜参照して、筐体100の詳細について説明する。図5は、本実施形態に係る電池パック10の内部の構成の一例を示す、車両1の前後方向に直交する断面についての断面図である。具体的には、図5は、図3に示したA−A断面についての断面図である。A−A断面は、前方側の電池モジュール171fを通る断面である。図6は、本実施形態に係る電池パック10の内部の構成の一例を示す、車両1の左右方向に直交する断面についての断面図である。具体的には、図6は、図3に示したB−B断面についての断面図である。B−B断面は、前方側の電池モジュール171f、冷却部材173、及び後方側の電池モジュール171rを通る断面である。
本実施形態では、底面部160は、互いに接合された複数の底面部材を含む。具体的には、図4〜図6に示したように、底面部160は、前方側の底面部材161fと、後方側の底面部材161rと、を含む。底面部160を形成する底面部材は、例えば、略矩形の板形状を有する。また、底面部材は、金属材料によって形成され得る。
筐体100に収容される複数の電池モジュール171は、上述したように、筐体100内において前方側空間180fと後方側空間180rに分割されて位置する。具体的には、図4〜図6に示すように、前方側空間180f内の電池モジュール171fは、前方側の底面部材161f上に配設される。一方、後方側空間180r内の電池モジュール171rは、後方側の底面部材161r上に配設される。ゆえに、前方側空間180fは底面部材161f上に位置し、後方側空間180rは底面部材161r上に位置する。このように、前方側空間180f及び後方側空間180rの各々は、互いに異なる底面部材上に位置する。
また、底面部材161f及び底面部材161rは、互いに接合される。具体的には、底面部材161fの後端部及び底面部材161rの前端部が互いに接合される。底面部材161fの後端部及び底面部材161rの前端部は、例えば、摩擦撹拌接合等の溶接や接着剤を利用して接合され得る。このように、前方側空間180fの下方に位置する底面部材161fと、後方側空間180rの下方に位置する底面部材161rとは、直接的に接合されてもよい。
より具体的には、図6に示したように、底面部材161fの後端部の上部と、底面部材161rの前端部の下部とが、互いに接合され、底面部材161fの後端部の上部及び底面部材161rの前端部の下部によって接合部163が形成される。底面部材161f及び底面部材161rの接合部163は、車両1の上下方向に略直交してもよい。
ところで、車両1の衝突時には、上述したように、車両1の前後方向に沿った比較的大きい圧縮力が、外部から電池パック10に対して、付加される場合がある。具体的には、車両1の衝突時において、まず、当該圧縮力は筐体100に対して作用する。ここで、本実施形態に係る筐体100の底面部160には、上述したように、接合部163が形成される。底面部材161f及び底面部材161rは、接合部163を介して、筐体100に付加される圧縮力の方向と一致する前後方向に連設される。ゆえに、接合部163は筐体100において当該圧縮力に対して脆弱な部分に相当する。よって、車両1の衝突時には、電池パック10において、当該圧縮力による接合部163を起点とした圧壊が生じ得る。具体的には、車両1の衝突が発生した直後において、接合部163が当該圧縮力によって破壊され、その後、電池パック10は車両1の前後方向に圧壊される。それにより、電池パック10の圧壊において、接合部163の近傍の部分を優先的に圧壊することができる。
本実施形態では、電池パック10における底面部材、電池モジュール171、及び冷却部材173の位置関係を適切に規定することによって、車両1の衝突時における電池モジュール171の破損を防止することが実現される。このような電池パック10の圧壊の詳細については、後述する。
また、底面部材161f及び底面部材161rの接合部163は、上述したように、車両1の上下方向に略直交してもよい。このように、底面部160を形成する複数の底面部材は、互いに車両1の上下方向で対向して接合された接合部163を有してもよい。それにより、車両1の衝突時において、電池パック10に付加される圧縮力が、接合部163に対してせん断方向に作用し得る。ゆえに、車両1の衝突時に、接合部163をより破壊されやすくすることができる。
前側面部120、左側面部130、後側面部140、及び右側面部150は、それぞれ底面部160の対応する辺と接続される。具体的には、図5及び図6に示したように、各側面部の内周側の面の下部が、底面部160の各辺と接続される。左側面部130及び右側面部150は、車両1の前後方向に延在して互いに対向する一対の側面部であり、前側面部120及び後側面部140は、車両1の幅方向に延在して互いに対向する一対の側面部である。前側面部120、左側面部130、後側面部140、及び右側面部150をそれぞれ形成する側面部材は、例えば、中空又は中実の角柱形状を有する。また、側面部材は、金属材料によって形成され得る。各側面部は、底面部160に対して、例えば、溶接等によって、接合され得る。また、互いに隣接する側面部は、例えば、溶接等によって、接合され得る。
上面部110は、底面部160と対向し、各側面部の上端部と接続される。上面部110は、具体的には、図3に示したように、中央部において上方側に突出し、当該中央部より外縁部側の部分が各側面部の上端部と接続される。上面部材は、例えば、金属材料又は樹脂によって形成され得る。上面部110の中央部に相当する部分は、上面部材として金属材料が利用される場合には、例えば、プレス加工によって形成され、上面部材として樹脂が利用される場合には、例えば、射出成形によって形成され得る。上面部材は、底面部160を形成する底面部材と比較して剛性が低くてもよい。上面部110は、各側面部に対して、例えば、ネジ締結等によって、取り外し可能に固定され得る。
<3.圧壊の様子>
続いて、図7及び図8を参照して、本実施形態に係る電池パック10の圧壊の様子について説明する。図7及び図8は、本実施形態に係る電池パック10の圧壊の様子を示す模式図である。具体的には、図7は、車両1の衝突が発生した直後における電池パック10の状態を模式的に示す、図6に対応する断面についての断面図である。また、図8は、図7と比較して後の時刻における電池パック10の状態を模式的に示す、図6に対応する断面についての断面図である。
車両1の衝突時には、図7に示したように、車両1の前後方向に沿った比較的大きい圧縮力P10が、外部から電池パック10に対して、付加される場合がある。具体的には、車両1の衝突時において、まず、圧縮力P10は筐体100に対して作用する。
ここで、本実施形態に係る筐体100の底面部160には、図6に示したように、底面部材161fの後端部の上部及び底面部材161rの前端部の下部によって接合部163が形成される。このような接合部163は、上述したように、筐体100において圧縮力P10に対して脆弱な部分に相当する。ゆえに、車両1の衝突時において、接合部163は、筐体100の他の部分と比較して、破壊されやすい。よって、車両1の衝突が発生した直後において、接合部163は圧縮力P10によって破壊される。
具体的には、圧縮力P10が接合部163に対してせん断方向に作用することによって、接合部163はせん断方向に破断する。それにより、車両1の衝突が発生した直後において、図7に示したように、底面部材161fの後端部の上部及び底面部材161rの前端部の下部は、互いに分離される。
そして、接合部163が破壊された後において、電池パック10は、圧縮力P10によって、車両1の前後方向に圧壊される。本実施形態では、電池パック10の圧壊が進行するより以前において、接合部163が優先的に破壊されるので、電池パック10において電池モジュール171が位置する前方側又は後方側の部分を圧壊させることなく、接合部163の近傍の部分に対して、圧縮力P10を付加することができる。それにより、電池パック10の圧壊において、接合部163の近傍の部分を優先的に圧壊させることができる。
具体的には、図8に示したように、接合部163が破壊された後において、電池パック10は、前方側の底面部材161f及び後方側の底面部材161rが車両1の前後方向に沿って相対的に近づく方向に移動するように、変形し得る。ゆえに、電池パック10の圧壊過程において、例えば、図8に示したように、冷却部材173の後部に後方側の底面部材161rの前端部が衝突する。よって、冷却部材173に対して、底面部材161f及び底面部材161rを介して、圧縮力P10が付加される。それにより、冷却部材173を優先的に圧壊させることができる。
本実施形態に係る電池パック10では、上述したように、前方側空間180fは底面部材161f上に位置し、後方側空間180rは底面部材161r上に位置する。また、冷却部材173は、前方側空間180fと後方側空間180rとの間に位置する。ゆえに、冷却部材173は、底面部材161f及び底面部材161rによって形成される脆弱な部分である接合部163の近傍の部分に相当する。よって、車両1の衝突時に、前方側空間180f内に設けられる電池モジュール171f及び後方側空間180r内に設けられる電池モジュール171rを圧壊させることなく、上述したように、冷却部材173を優先的に圧壊させることができる。従って、冷却部材173を圧壊させることによって、衝突のエネルギを吸収することができるので、電池モジュール171の破損を防止することができる。
また、本実施形態では、車両1の衝突時において、電池パック10は、圧縮力P10によって、車両1の前後方向に圧壊されるので、電池パック10を上方へ屈曲させることなく、電池モジュール171の破損を防止することができる。ゆえに、電池パック10の上方に位置する車室空間内のドライバの安全性を確保しつつ、電池モジュール171の破損を防止することができる。
以上説明したように、本実施形態に係る電池パック10によれば、車両1の衝突時において、車両1の床下に配置された電池パック10内に設けられた電池モジュール171の破損を防止することが可能となる。
なお、上記では、冷却部材173が、前方側の底面部材161f上において、前方側の電池モジュール171fより後方側に位置する例について説明したが、冷却部材173と各底面部材との位置関係は、係る例に限定されない。冷却部材173は、前方側空間180fと後方側空間180rとの間に位置すればよく、冷却部材173と各底面部材との位置関係として、各種関係が適用され得る。
例えば、冷却部材173は、前方側の底面部材161f上から後方側の底面部材161r上へ亘って設けられてもよい。その場合、冷却部材173の前部は前方側の底面部材161f上に固定され、冷却部材173の後部は後方側の底面部材161r上に固定され得る。また、冷却部材173は、後方側の底面部材161r上において、後方側の電池モジュール171rより前方側に位置してもよい。その場合、冷却部材173は、後方側の底面部材161r上に固定され得る。
このように、冷却部材173と各底面部材との位置関係として、各種関係を適用した場合であっても、電池パック10の圧壊過程において、接合部163が破壊された後に、冷却部材173に対して、底面部材を介して、圧縮力P10が付加され得る。なお、電池パック10の圧壊過程において、冷却部材173に電池モジュール171が衝突する場合には、冷却部材173に対して、底面部材及び電池モジュール171を介して、圧縮力P10が付加され得る。それにより、電池パック10の圧壊において、冷却部材173を優先的に圧壊させることができるので、電池モジュール171の破損を防止することができる。
<4.変形例>
続いて、図9〜図15を参照して、各種変形例に係る電池パックについて説明する。以下で説明する各種変形例では、図3〜図8を参照して説明した本実施形態に係る電池パック10と比較して、主に筐体の構成が異なる。ゆえに、以下では、各種変形例に係る筐体について、主に説明する。
[4−1.第1の変形例]
まず、図9〜図11を参照して、第1の変形例に係る電池パック20について説明する。図9は、第1の変形例に係る電池パック20の内部の構成の一例を示す、車両1の左右方向に直交する断面についての断面図である。具体的には、図9は、第1の変形例に係る電池パック20における、図3に示したB−B断面と対応する断面についての断面図である。
第1の変形例では、図9に示したように、図3〜図8を参照して説明した本実施形態に係る電池パック10と比較して、底面部260の構成が主に異なる。具体的には、第1の変形例に係る底面部260は、図9に示したように、前方側の底面部材261fと、中央側の底面部材261mと、後方側の底面部材261rと、を含む。
前方側空間180f内の電池モジュール171fは、前方側の底面部材261f上に配設される。一方、後方側空間180r内の電池モジュール171rは、後方側の底面部材261r上に配設される。ゆえに、前方側空間180fは底面部材261f上に位置し、後方側空間180rは底面部材261r上に位置する。
第1の変形例では、前方側の底面部材261fと中央側の底面部材261mとが直接的に接合され、中央側の底面部材261mと後方側の底面部材261rとが直接的に接合される。具体的には、底面部材261fの後端部と底面部材261mの前端部とが互いに接合され、底面部材261mの後端部と底面部材261rの前端部とが互いに接合される。底面部材261fの後端部及び底面部材261mの前端部並びに底面部材261mの後端部及び底面部材261rの前端部は、例えば、摩擦撹拌接合等の溶接や接着剤を利用して接合され得る。このように、第1の変形例では、前方側空間180fの下方に位置する底面部材261fと、後方側空間180rの下方に位置する底面部材261rとは、他の底面部材261mを介して接合される。
より具体的には、図9に示したように、底面部材261fの後端部の下部と、底面部材261mの前端部の上部とが、互いに接合され、底面部材261fの後端部の下部及び底面部材261mの前端部の上部によって接合部263fが形成される。また、底面部材261mの後端部の上部と、底面部材261rの前端部の下部とが、互いに接合され、底面部材261mの後端部の上部及び底面部材261rの前端部の下部によって接合部263rが形成される。前方側の接合部263f及び後方側の接合部263rは、車両1の上下方向に略直交してもよい。
また、第1の変形例では、前方側空間180fと後方側空間180rとの間に位置する冷却部材173は、例えば、図9に示したように、前方側の底面部材261f上から後方側の底面部材261r上へ亘って設けられる。具体的には、冷却部材173の前部は前方側の底面部材261fの後端部上に位置し、冷却部材173の後部は後方側の底面部材261rの前端部上に位置する。また、冷却部材173の前部は前方側の底面部材261f上に固定され、冷却部材173の後部は後方側の底面部材261r上に固定され得る。冷却部材173は、例えば、ネジ締結等によって、各底面部材に対して固定される。
続いて、図10及び図11を参照して、第1の変形例に係る電池パック20の圧壊の様子について説明する。図10及び図11は、第1の変形例に係る電池パック20の圧壊の様子を示す模式図である。具体的には、図10は、車両1の衝突が発生した直後における電池パック20の状態を模式的に示す、図9に対応する断面についての断面図である。また、図11は、図10と比較して後の時刻における電池パック20の状態を模式的に示す、図9に対応する断面についての断面図である。
第1の変形例に係る筐体200の底面部260には、図9に示したように、前方側の接合部263f及び後方側の接合部263rが形成される。底面部材261f及び底面部材261mは、接合部263fを介して、圧縮力P10の方向と一致する前後方向に連設される。また、底面部材261m及び底面部材261rは、接合部263rを介して、圧縮力P10の方向と一致する前後方向に連設される。ゆえに、接合部263f及び接合部263rは、筐体200において圧縮力P10に対して脆弱な部分に相当する。よって、車両1の衝突時において、接合部263f及び接合部263rは、筐体200の他の部分と比較して、破壊されやすい。それにより、車両1の衝突が発生した直後において、接合部263f及び接合部263rのうちの少なくとも一方は圧縮力P10によって破壊される。
以下では、理解を容易にするために、接合部263rが、接合部263fと比較して、圧縮力P10に対してより脆弱であり、圧縮力P10によって、より優先的に破壊される場合について説明する。具体的には、圧縮力P10が接合部263rに対してせん断方向に作用することによって、接合部263rはせん断方向に破断する。それにより、車両1の衝突が発生した直後において、図10に示したように、底面部材261mの後端部の上部及び底面部材261rの前端部の下部は、互いに分離される。
そして、接合部263rが破壊された後において、電池パック20の圧壊が進行する。具体的には、図11に示したように、接合部263rが破壊された後において、電池パック20は、前方側の底面部材261f及び後方側の底面部材261rが車両1の前後方向に沿って相対的に近づく方向に移動するように、変形し得る。ゆえに、電池パック20の圧壊過程において、例えば、図11に示したように、冷却部材173に対して、冷却部材173の前部及び後部がそれぞれ固定される底面部材261f及び底面部材261rを介して、圧縮力P10が付加される。それにより、冷却部材173を優先的に圧壊させることができる。
このように、第1の変形例に係る電池パック20によれば、上述した電池パック10と同様に、車両1の衝突時に、前方側空間180f内に設けられる電池モジュール171f及び後方側空間180r内に設けられる電池モジュール171rを圧壊させることなく、冷却部材173を優先的に圧壊させることができる。それにより、冷却部材173を圧壊させることによって、衝突のエネルギを吸収することができるので、電池モジュール171の破損を防止することができる。また、第1の変形例に係る電池パック20によれば、上述した電池パック10と同様に、車両1の衝突時において、電池パック20を上方へ屈曲させることなく電池モジュール171の破損を防止することができる。ゆえに、第1の変形例に係る電池パック20によれば、上述した電池パック10と同様に、車両1の衝突時において、車両1の床下に配置された電池パック20内に設けられた電池モジュール171の破損を防止することが可能となる。
なお、上記では、冷却部材173が、前方側の底面部材261f上から後方側の底面部材261r上へ亘って設けられる例について説明したが、冷却部材173と各底面部材との位置関係は、係る例に限定されない。冷却部材173は、前方側空間180fと後方側空間180rとの間に位置すればよく、冷却部材173と各底面部材との位置関係として、各種関係が適用され得る。
例えば、冷却部材173は、中央側の底面部材261m上に位置してもよい。その場合、冷却部材173は、中央側の底面部材261m上に固定され得る。また、冷却部材173は、前方側の底面部材261f上から中央側の底面部材261m上へ亘って設けられてもよい。その場合、冷却部材173の前部は前方側の底面部材261f上に固定され、冷却部材173の後部は中央側の底面部材261m上に固定され得る。また、冷却部材173は、中央側の底面部材261m上から後方側の底面部材261r上へ亘って設けられてもよい。その場合、冷却部材173の前部は中央側の底面部材261m上に固定され、冷却部材173の後部は後方側の底面部材261r上に固定され得る。
このように、冷却部材173と各底面部材との位置関係として、各種関係を適用した場合であっても、電池パック20の圧壊過程において、接合部263f及び接合部263rのうちの少なくとも一方が破壊された後に、冷却部材173に対して、底面部材を介して、圧縮力P10が付加され得る。なお、電池パック20の圧壊過程において、冷却部材173に電池モジュール171が衝突する場合には、冷却部材173に対して、底面部材及び電池モジュール171を介して、圧縮力P10が付加され得る。それにより、電池パック20の圧壊において、冷却部材173を優先的に圧壊させることができるので、電池モジュール171の破損を防止することができる。
[4−2.第2の変形例]
続いて、図12及び図13を参照して、第2の変形例に係る電池パック30について説明する。図12及び図13は、第2の変形例に係る電池パック30の内部の構成の一例を示す斜視図である。具体的には、図12では、筐体300の上面部110が取り外された状態の電池パック30が示されている。なお、図12及び図13では、理解を容易にするために、二点鎖線によって表される電池モジュール171及び冷却部材173の内部を透過して、筐体300の内部が示されている。また、図13では、筐体300の左側面部330の一部の図示が省略されており、底面部160の左側面の一部が示されている。
第2の変形例では、図12に示したように、図3〜図8を参照して説明した本実施形態に係る電池パック10と比較して、車両1の前後方向に延在して互いに対向する一対の側面部に相当する左側面部330及び右側面部350の構成が主に異なる。具体的には、第2の変形例に係る左側面部330及び右側面部350は、互いに接合された複数の側面部材をそれぞれ含む。具体的には、図12に示したように、左側面部330は、前方側の左側面部材331fと、後方側の左側面部材331rと、を含む。また、右側面部350は、前方側の右側面部材351fと、後方側の右側面部材351rと、を含む。
前方側の左側面部材331f及び右側面部材351fは、前方側の底面部材161fとそれぞれ接合される。具体的には、図12に示したように、前方側の左側面部材331fの右側面の下部が、底面部材161fの左側部と接合され、前方側の右側面部材351fの左側面の下部が、底面部材161fの右側部と接合される。また、後方側の左側面部材331r及び右側面部材351rは、後方側の底面部材161rとそれぞれ接合される。具体的には、図12に示したように、後方側の左側面部材331rの右側面の下部が、底面部材161rの左側部と接合され、後方側の右側面部材351rの左側面の下部が、底面部材161rの右側部と接合される。各側面部材は、各底面部材に対して、例えば、溶接等によって、接合され得る。このように、第2の変形例では、前方側空間180fの下方に位置する底面部材161f及び後方側空間180rの下方に位置する底面部材161rの各々は、互いに異なる側面部材と接合される。
また、第2の変形例では、左側面部材331fと左側面部材331rとは互いに接合され、右側面部材351fと右側面部材351rとは互いに接合される。具体的には、左側面部材331fの後端部と左側面部材331rの前端部とが互いに接合される。また、右側面部材351fの後端部と右側面部材351rの前端部とが互いに接合される。左側面部材331fの後端部及び左側面部材331rの前端部並びに右側面部材351fの後端部及び右側面部材351rの前端部は、例えば、摩擦撹拌接合等の溶接や接着剤を利用して接合され得る。このように、前方側空間180fと対応する左側面部材331f及び右側面部材351fと、後方側空間180rと対応する左側面部材331r及び右側面部材351rとは、それぞれ直接的に接合されてもよい。
より具体的には、図12に示したように、左側面部材331fの後端部の右部と、左側面部材331rの前端部の左部とが、互いに接合され、左側面部材331fの後端部の右部及び左側面部材331rの前端部の左部によって接合部333が形成される。また、右側面部材351fの後端部の左部と、右側面部材351rの前端部の右部とが、互いに接合され、右側面部材351fの後端部の左部と、右側面部材351rの前端部の右部によって接合部353が形成される。接合部333及び接合部353は、車両1の左右方向に略直交してもよい。なお、左側面部材331fの後端部の左部と、左側面部材331rの前端部の右部とが、互いに接合されてもよい。また、右側面部材351fの後端部の右部と、右側面部材351rの前端部の左部とが、互いに接合されてもよい。
電池パック30では、図13に示したように、上述した電池パック10と同様に、筐体300の底面部160に接合部163が形成される。このように底面部160に形成される接合部163は、上述したように、筐体100において付加される圧縮力に対して脆弱な部分に相当する。ゆえに、車両1の衝突時には、電池パック30において、当該圧縮力による接合部163を起点とした圧壊が生じ得る。ところで、筐体300の剛性を向上させるために、各側面部材として比較的高剛性の部材を利用することが考えられる。そのような場合には、筐体300の剛性が前後方向の各位置について全体的に向上されるので、接合部163が破壊されるより以前に筐体300の他の部分において圧壊が進行するおそれがある。
ここで、第2の変形例に係る筐体300の左側面部330及び右側面部350には、接合部333及び接合部353がそれぞれ形成される。左側面部材331f及び左側面部材331rは、接合部333を介して、筐体300に付加される圧縮力の方向と一致する前後方向に連設される。また、右側面部材351f及び右側面部材351rは、接合部353を介して、筐体300に付加される圧縮力の方向と一致する前後方向に連設される。ゆえに、接合部333及び接合部353は、筐体300において付加される圧縮力に対して脆弱な部分に相当する。
また、前方側空間180fの下方に位置する底面部材161f及び後方側空間180rの下方に位置する底面部材161rの各々は、上述したように、互いに異なる側面部材と接合される。具体的には、前方側の左側面部材331f及び前方側の右側面部材351fは、前方側の底面部材161fとそれぞれ接合され、後方側の左側面部材331r及び後方側の右側面部材351rは、後方側の底面部材161rとそれぞれ接合される。ゆえに、筐体300において、左側面部330及び右側面部350にそれぞれ形成される接合部333及び接合部353の前後方向の位置は、図12及び図13に示したように、底面部160に形成される接合部163の前後方向の位置と略一致し得る。
よって、接合部163が形成される前後方向についての位置において、筐体300の剛性を低下させることができる。それにより、各側面部材として比較的高剛性の部材を利用した場合であっても、電池パック30の圧壊が進行するより以前において、接合部163、接合部333、及び接合部353を優先的に破壊されやすくすることができる。ゆえに、電池パック30の圧壊において、接合部163の近傍の部分を優先的に圧壊させることができる。よって、第2の変形例によれば、各側面部材として比較的高剛性の部材を利用した場合であっても、電池パック30の圧壊において、冷却部材173を優先的に圧壊させることができるので、電池モジュール171の破損を防止することができる。
また、接合部333及び接合部353は、上述したように、車両1の左右方向に略直交してもよい。このように、左側面部330を形成する複数の左側面部材及び右側面部350を形成する複数の右側面部材は、互いに車両1の左右方向で対向して接合された接合部333及び接合部353をそれぞれ有してもよい。それにより、車両1の衝突時において、電池パック30に付加される圧縮力が、接合部333及び接合部353に対してせん断方向に作用し得る。ゆえに、車両1の衝突時に、接合部333及び接合部353をより破壊されやすくすることができる。
[4−3.第3の変形例]
続いて、図14及び図15を参照して、第3の変形例に係る電池パック40について説明する。図14及び図15は、第3の変形例に係る電池パック40の内部の構成の一例を示す斜視図である。具体的には、図14では、筐体400の上面部110が取り外された状態の電池パック40が示されている。なお、図14及び図15では、理解を容易にするために、二点鎖線によって表される電池モジュール171及び冷却部材173の内部を透過して、筐体400の内部が示されている。また、図15では、筐体400の左側面部430の一部の図示が省略されており、底面部260の左側面の一部が示されている。
第3の変形例では、図14に示したように、図9〜図11を参照して説明した第1の変形例に係る電池パック20と比較して、車両1の前後方向に延在して互いに対向する一対の側面部に相当する左側面部430及び右側面部450の構成が主に異なる。具体的には、第3の変形例に係る左側面部430及び右側面部450は、互いに接合された複数の側面部材をそれぞれ含む。具体的には、図14に示したように、左側面部430は、前方側の左側面部材431fと、中央側の左側面部材431mと、後方側の左側面部材431rと、を含む。また、右側面部450は、前方側の右側面部材451fと、中央側の右側面部材451mと、後方側の右側面部材451rと、を含む。
前方側の左側面部材431f及び右側面部材451fは、前方側の底面部材261fとそれぞれ接合される。また、中央側の左側面部材431m及び右側面部材451mは、中央側の底面部材261mとそれぞれ接合される。また、後方側の左側面部材431r及び右側面部材451rは、後方側の底面部材261rとそれぞれ接合される。具体的には、各側面部材の内側面の下部が、各底面部材の側部と接合される。各側面部材は、各底面部材に対して、例えば、溶接等によって、接合され得る。このように、第3の変形例では、前方側空間180fの下方に位置する底面部材261f及び後方側空間180rの下方に位置する底面部材261rの各々は、互いに異なる側面部材と接合される。
第3の変形例では、前方側の左側面部材431fと中央側の左側面部材431mとが直接的に接合され、中央側の左側面部材431mと後方側の左側面部材431rとが直接的に接合される。具体的には、左側面部材431fの後端部と左側面部材431mの前端部とが互いに接合され、左側面部材431mの後端部と左側面部材431rの前端部とが互いに接合される。また、前方側の右側面部材451fと中央側の右側面部材451mとが直接的に接合され、中央側の右側面部材451mと後方側の右側面部材451rとが直接的に接合される。具体的には、右側面部材451fの後端部と右側面部材451mの前端部とが互いに接合され、右側面部材451mの後端部と右側面部材451rの前端部とが互いに接合される。
互いに接合され前後方向に連設する各側面部材は、例えば、摩擦撹拌接合等の溶接や接着剤を利用して接合され得る。このように、第3の変形例では、前方側空間180fと対応する左側面部材431f及び右側面部材451fと、後方側空間180rと対応する左側面部材431r及び右側面部材451rとは、他の側面部材である左側面部材431m及び右側面部材451mを介して接合される。
より具体的には、図14に示したように、左側面部430では、左側面部材431fの後端部の左部と、左側面部材431mの前端部の右部とが、互いに接合され、左側面部材431fの後端部の左部及び左側面部材431mの前端部の右部によって接合部433fが形成される。また、左側面部材431mの後端部の右部と、左側面部材431rの前端部の左部とが、互いに接合され、左側面部材431mの後端部の右部及び左側面部材431rの前端部の左部によって接合部433rが形成される。右側面部450では、右側面部材451fの後端部の右部と、右側面部材451mの前端部の左部とが、互いに接合され、右側面部材451fの後端部の右部及び右側面部材451mの前端部の左部によって接合部453fが形成される。また、右側面部材451mの後端部の左部と、右側面部材451rの前端部の右部とが、互いに接合され、右側面部材451mの後端部の左部及び右側面部材451rの前端部の右部によって接合部453rが形成される。
接合部433f、接合部433r、接合部453f、及び接合部453rは、車両1の左右方向に略直交してもよい。なお、左側面部材431fの後端部の右部と、左側面部材431mの前端部の左部とが、互いに接合されてもよい。また、左側面部材431mの後端部の左部と、左側面部材431rの前端部の右部とが、互いに接合されてもよい。また、右側面部材451fの後端部の左部と、右側面部材451mの前端部の右部とが、互いに接合されてもよい。また、右側面部材451mの後端部の右部と、右側面部材451rの前端部の左部とが、互いに接合されてもよい。
電池パック40では、図15に示したように、上述した第1の変形例と同様に、筐体400の底面部260に接合部263f及び接合部263rが形成される。このように底面部260に形成される接合部263f及び接合部263rは、上述したように、筐体400において付加される圧縮力に対して脆弱な部分に相当する。しかしながら、各側面部材として比較的高剛性の部材を利用した場合には、筐体400の剛性が前後方向の各位置について全体的に向上されるので、接合部263f及び接合部263rのうちの少なくとも一方が破壊されるより以前に筐体400の他の部分において圧壊が進行するおそれがある。
第3の変形例に係る筐体400の左側面部430及び右側面部450には、接合部433f及び接合部433r並びに接合部453f及び接合部453rがそれぞれ形成される。これらの各接合部において互いに接合される側面部材は、各接合部を介して、筐体400に付加される圧縮力の方向と一致する前後方向に連設される。ゆえに、各接合部は、筐体400において付加される圧縮力に対して脆弱な部分に相当する。
また、前方側空間180fの下方に位置する底面部材261f及び後方側空間180rの下方に位置する底面部材261rの各々は、上述したように、互いに異なる側面部材と接合される。ゆえに、筐体400において、左側面部430及び右側面部450にそれぞれ形成される接合部433f及び接合部453fの前後方向の位置は、図14及び図15に示したように、底面部260に形成される接合部263fの前後方向の位置と略一致し得る。また、筐体400において、左側面部430及び右側面部450にそれぞれ形成される接合部433r及び接合部453rの前後方向の位置は、図14及び図15に示したように、底面部260に形成される接合部263rの前後方向の位置と略一致し得る。
よって、接合部263f及び接合部263rが形成される前後方向についての各位置において、筐体400の剛性を低下させることができる。それにより、各側面部材として比較的高剛性の部材を利用した場合であっても、電池パック40の圧壊が進行するより以前において、接合部263f、接合部433f、及び接合部453f並びに接合部263r、接合部433r、及び接合部453rを優先的に破壊されやすくすることができる。ゆえに、電池パック40の圧壊において、接合部263f及び接合部263rの近傍の部分を優先的に圧壊させることができる。よって、第3の変形例によれば、上述した第2の変形例と同様に、各側面部材として比較的高剛性の部材を利用した場合であっても、電池パック40の圧壊において、冷却部材173を優先的に圧壊させることができるので、電池モジュール171の破損を防止することができる。
<5.むすび>
以上説明したように、本実施形態によれば、筐体100に収容される複数の電池モジュール171は、上述したように、筐体100内において前方側空間180fと後方側空間180rに分割されて位置する。また、冷却部材173は、前方側空間180fと後方側空間180rとの間に位置する。また、筐体100の底面部160は、互いに接合された複数の底面部材を含み、前方側空間180f及び後方側空間180rの各々は、互いに異なる底面部材上に位置する。
ここで、複数の底面部材の接合部は、車両1の衝突時に筐体100に付加される車両1の前後方向に沿った圧縮力に対して脆弱な部分に相当する。ゆえに、車両1の衝突時には、電池パック10において、当該圧縮力による接合部を起点とした圧壊が生じ得る。具体的には、車両1の衝突が発生した直後において、接合部が当該圧縮力によって破壊され、その後、電池パック10は車両1の前後方向に圧壊される。それにより、電池パック10の圧壊において、接合部の近傍の部分に相当する冷却部材173を優先的に圧壊させることができる。従って、冷却部材173を圧壊させることによって、衝突のエネルギを吸収することができるので、電池モジュール171の破損を防止することができる。
また、本実施形態では、車両1の衝突時において、電池パック10は、当該圧縮力によって、車両1の前後方向に圧壊されるので、電池パック10を上方へ屈曲させることなく、電池モジュール171の破損を防止することができる。ゆえに、電池パック10の上方に位置する車室空間内のドライバの安全性を確保しつつ、電池モジュール171の破損を防止することができる。よって、本実施形態に係る電池パック10によれば、車両1の衝突時において、車両1の床下に配置された電池パック10内に設けられた電池モジュール171の破損を防止することが可能となる。
また、上記では、各図面を参照して、電池パック10の各構成要素について説明したが、各構成要素の形状及び配置は、各図面に対応する例に限定されず、図面に示した形状及び配置は、一例に過ぎない。例えば、筐体100の形状は、前後方向について対称でなくともよく、左右方向について対称でなくともよい。また、筐体100内における電池モジュール171の配置は、前後方向について対称でなくともよく、左右方向について対称でなくともよい。また、筐体100内において、電池モジュール171は上下方向に多段に配設されてもよい。
また、上記では、電池パック10を搭載する車両1が、前左輪及び前右輪を駆動するための駆動モータ63fと、後左輪及び後右輪を駆動するための駆動モータ63rと、設けられる電気自動車である例について説明したが、本発明の技術的範囲は、係る例に限定されない。電池パック10を搭載する車両として、他の構成を有する車両が適用されてもよい。例えば、電池パック10は、各駆動輪について駆動モータが設けられる電気自動車に搭載されてもよい。また、電池パック10は、ハイブリッド自動車に搭載されてもよい。また、電池パック10が搭載される車両に設けられる駆動モータの数は、特に限定されない。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は係る例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は応用例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。