JP6175335B2 - 電気駆動機器を備える車両 - Google Patents
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Description
電気自動車では、一般的に、多数のバッテリを、乗車空間の床下または後部の荷室に積載している。しかしながら、電気自動車の乗車空間または荷室にすべてのバッテリを配置する場合、乗車空間や荷室の積載能力と、航続距離との間に、トレードオフが成立する。電気自動車の航続距離を上げるためには、乗車空間や荷室の積載能力を犠牲する必要がある。
このように、電気自動車などの車両では、乗車空間や荷室を犠牲にしないで、車両の航続距離を向上する、ことが求められる。そこで、車両のたとえばエンジン室などの前部に、バッテリなどの電気駆動機器を配置することが考えられる(特許文献1)。
これにより、乗車空間や荷室が犠牲となり難い。
そして、収容用縦壁部材および入力用縦壁部材による二重壁により、車両の前部に配置されたバッテリを含む電気駆動機器を保護できる。衝突の衝撃は入力用縦壁部材に入力され、入力用縦壁部材と収容用縦壁部材との間のフレームが座屈することにより、衝撃を吸収できる。
特に、入力用縦壁部材は、一対のロアフレームおよび一対のアッパフレームの中の一方のフレーム対の先端部分を相互に連結し、縦に配置されるため、車両の幅方向に広い面状の入力壁として機能し得る。よって、たとえばフルラップ衝突またはオフセット衝突のように衝撃が前方から略真直ぐに入力される場合でも、斜め方向から入力される場合でも、これらの衝撃を面状の入力用縦壁部材で受け支えることができる。従来の車両では一対のロアフレームの間にエンジンがマウントされるために採用することができなかったフレーム構造により、高い衝突吸収能力を得ることができる。
また、入力用縦壁部材の後側には、一方のフレーム対とは異なる高さ位置において、他方のフレーム対が連結または配置される。これにより、入力用縦壁部材と収容用縦壁部材との間のフレームが座屈し始めた後に、入力用縦壁部材が後側から他方のフレーム対により支えられる。座屈を開始した後に、入力用縦壁部材を縦の姿勢に維持する機能が得られる。よって、強い衝撃が入力される場合であっても入力用縦壁部材の姿勢を縦に維持し、この縦に維持された入力用縦壁部材に対して衝撃が入力される状態に維持できる。斜め方向から入力される衝撃についても、それを入力用縦壁部材で受け続け、衝撃の入力方向が変化したり、入力用縦壁部材以外から衝撃が入力されるように変化したりし難くなる。入力用縦壁部材で衝撃を受け続けて、斜め方向から入力される衝撃についても、正面方向から入力される衝撃と同様に高い衝撃吸収能力を得ることを期待できる。
図1は、本発明の第1実施形態に係る、電気自動車1を上から見た概略透視図である。図2は、図1の電気自動車1を左側から見た概略透視図である。以下、図1での電気自動車1の姿勢を基準として、上下前後および左右を使用する。
電気自動車1は、車両の一種である。電気自動車1は、バッテリモジュールの蓄電電力でモータを駆動する。このバッテリモジュール、モータは、電気駆動機器である。車両には、この他にもたとえば、電気駆動機器とともにエンジンなどの燃料駆動機器を備えるハイブリッド自動車、燃料駆動機器を備える既存の自動車、がある。
図1の電気自動車1は、複数の骨格部材を有する車体2を有する。図1の車体2は、乗員が乗車する乗車空間3、乗車空間3の前側の前室4、乗車空間3の後側の荷室5、を有する。乗車空間3と荷室5とは1つに連結される。車体2は、2ボックスタイプである。これらの空間は、複数の骨格部材により画成される。図1には、複数の骨格部材のうち、一対のメインフレーム6、一対のアッパサイドフレーム7、を図示している。車体2の下部には、二対の車輪8,9が配置される。一対の前輪8は、前室4に配置される。一対の後輪9は、荷室5に配置される。
図3は、電気自動車1の駆動系の一例である。駆動系は、電気駆動機器として、第1バッテリモジュール21、第2バッテリモジュール22、DC(Direct Current)/DCコンバータ23、前モータ24、後モータ25、コントロールユニット26、を有する。
しかしながら、電気自動車1の乗車空間3または荷室5にすべてのバッテリを配置する場合、乗車空間3や荷室5の積載能力と、航続距離との間に、トレードオフが成立する。電気自動車1の航続距離を上げるためには、大量のバッテリモジュール21,22を積載するために、乗車空間3や荷室5の積載能力を犠牲する必要がある。図1においても、たとえば第1バッテリモジュール21を第2バッテリモジュール22と併せて乗車空間3に積載する場合、後側のシート10の高さを更に上げなければならなくなる。乗車空間3の快適性が損なわれる。
このように、電気自動車1などの車両では、乗車空間3や荷室5を犠牲にしないで、車両の航続距離を向上する、ことが求められる。そこで、車体2のたとえばエンジン室などの前室4に、バッテリなどの電気駆動機器を配置することが考えられる。これにより、乗車空間3や荷室5が犠牲とならない。
しかしながら、バッテリなどの電気駆動機器を車体2の前室4に配置する場合、乗車空間3や荷室5に配置する場合と比べて、車体2の衝突性能に影響を与える可能性がある。電気自動車1を含む自動車の衝突試験には、たとえばフルラップ衝突試験、オフセット衝突試験がある。バッテリなどを乗車空間3などに配置する場合には、燃料駆動機器を備える既存の自動車の車体2をそのまま流用し、これらの試験に対応し得る。
このように電気自動車1などの車両では、たとえば車両の衝突性能への影響または乗車空間3や荷室5の積載能力への影響を抑えつつ、車両の航続距離を向上する、ことが求められる。
収容用縦壁部材31は、一対のメインフレーム6から一対のアッパサイドフレーム7に至る高さを有する。収容用縦壁部材31は、一対のメインフレーム6の中央部分および一対のアッパサイドフレーム7の中央部分を相互に連結する。収容用縦壁部材31は、たとえば高剛性角材を矩形枠形状に組み立てたものでよい。収容用縦壁部材31は、また、防塵等のために鋼板としてよい。
床板部材32の上に、第1バッテリモジュール21、DC/DCコンバータ23、コントロールユニット26、が並べて搭載される。床板部材32の下側に、前モータ24が配置される。前モータ24は、一対のメインフレーム6に取り付けられる。
収容用縦壁部材31とトーボード11との間に、第1バッテリモジュール21などの電気駆動機器を収容できる。
また、床板部材32により、収容用縦壁部材31とトーボード11との間の剛性を、向上できる。一対のメインフレーム6の後部分は、前部分より座屈し難くなる。電気駆動機器の保護機能を向上できる。
入力用縦壁部材41は、図4に示すように、第1横フレーム42、第2横フレーム43、第1縦フレーム44、第2縦フレーム45、を有する。これらのフレーム42〜45は、高剛性材料で形成してよい。
第1横フレーム42は、車体2の左右方向に長い横長のフレーム部材である。第1横フレーム42は、一対のメインフレーム6の前端に取り付けられる。第1横フレーム42の前側に、一対のクラッシュボックス12が取り付けられる。これにより、一対のメインフレーム6の間を連結する。
第1縦フレーム44および第2縦フレーム45は、横長の第1横フレーム42の左右方向の両端に立設される。
第2横フレーム43は、車体2の左右方向に長い横長のフレーム部材である。第2横フレーム43の左右方向の両端は、第1縦フレーム44の上端および第2縦フレーム45の上端に連結される。第2横フレーム43の後側には、一対のアッパサイドフレーム7の先端が連結される。
また、入力用縦壁部材41は、一対のメインフレーム6の先端部分および一対のアッパサイドフレーム7の先端部分を相互に連結する縦壁として機能する。
また、入力用縦壁部材41は、収容用縦壁部材31から前側に離間した位置で縦に配置される。入力用縦壁部材41を、衝突時の衝撃が入力される面状部材として機能させることができる。車体2の前室4に、二重壁構造を実現する。
また、入力用縦壁部材41は、図4に示すように縦置きの矩形枠のフレーム構造を有する。そして、図2および図1に示すように、この矩形枠のフレーム構造から後ろへ向かって、一対のメインフレーム6および一対のアッパサイドフレーム7が延在する。また、一対のメインフレーム6および一対のアッパサイドフレーム7は、収容用縦壁部材31により相互に連結される。車体2の前室4における二重壁構造から、後方へ向かって、一対のメインフレーム6および一対のアッパサイドフレーム7が伸びる。そのフレーム枠の内側に、第1バッテリモジュール21を含む電気駆動機器が搭載される。第1バッテリモジュール21を含む電気駆動機器は、車体2の前室4に搭載されているにもかかわらず、乗車空間3と同様に高度に保護され得る空間に配置できる。
しかも、本実施形態では、第1バッテリモジュール21を含む電気駆動機器の前側に、収容用縦壁部材31および入力用縦壁部材41による二重壁構造が実現される。車体2の前室4に配置した第1バッテリモジュール21などの電気駆動機器を好適に保護できる。衝突の衝撃は入力用縦壁部材41に入力される。入力用縦壁部材41と収容用縦壁部材31との間で、一対のメインフレーム6および一対のアッパサイドフレーム7が座屈する。これにより、衝撃を吸収できる。
次に、第2実施形態に係る電気自動車1について説明する。
第2実施形態に係る電気自動車1は、入力用縦壁部材41に対する車体2のフレーム構造が異なる以外は、第1実施形態のものと同様である。以下、第1実施形態と同じ名称および符号を用い、第1実施形態と重複する説明は省略する。
図5および図6に示すように、本実施形態の電気自動車1では、車体2の前室4には、収容用縦壁部材31および入力用縦壁部材41による二重壁構造が実現される。
収容用縦壁部材31の構造、並びに、一対のメインフレーム6および一対のアッパサイドフレーム7に対する収容用縦壁部材31の連結構造は、第1実施形態と同様である。
入力用縦壁部材41は、図4と同様に、第1横フレーム42、第2横フレーム43、第1縦フレーム44、第2縦フレーム45による縦枠フレーム構造を有する。第1横フレーム42は、一対のメインフレーム6と一対のクラッシュボックス12との間に連結される。
ただし、一対のアッパサイドフレーム7の先端は、第1実施形態と異なり、第2横フレーム43の後側に離間して位置する。一対のアッパサイドフレーム7の先端は、第2横フレーム43と連結さない。
これ以外の構成は、第1実施形態と同様であり、説明を省略する。
特に、入力用縦壁部材41の後側には、一対のアッパサイドフレーム7が、一対のメインフレーム6と異なる高さ位置で配置される。これにより、入力用縦壁部材41と収容用縦壁部材31との間で一対のメインフレーム6が座屈し始めた後には、入力用縦壁部材41を一対のアッパサイドフレーム7および一対のメインフレーム6により、左右方向および上下方向で後側から支えることができる。フレームが座屈し始めた後でも、入力用縦壁部材41を縦の姿勢に維持できる。
その結果、第1実施形態と同等の衝撃吸収能力が得られる。
さらに他にもたとえば、入力用縦壁部材41は、一対のアッパサイドフレーム7のみに連結されてよい。この場合、一対のメインフレーム6を、一対のアッパサイドフレーム7とは異なる高さ位置において、入力用縦壁部材41の後側に離間して配置してよい。これにより、入力用縦壁部材41を縦に維持する機能が得られる。
Claims (5)
- バッテリを含む電気駆動機器を備える車両であって、
車両の乗車空間の前隔壁から前方へ突出する一対のロアフレームと、
前記一対のロアフレームより高い位置において、前記前隔壁から前方へ突出する一対のアッパフレームと、
前記一対のロアフレームの中央部分および一対のアッパフレームの中央部分を相互に連結する縦壁であって、前記縦壁と前記前隔壁との間に、車両を駆動するための電気駆動機器が収容される、収容用縦壁部材と、
前記一対のロアフレームおよび前記一対のアッパフレームの中の少なくとも一方のフレーム対の先端部分を相互に連結する縦壁であって、前記収容用縦壁部材から前側に離間した位置で前記収容用縦壁部材と同じ前記一方のフレーム対に取り付けられて縦に配置される、入力用縦壁部材と、
を有し、
前記一対のロアフレームおよび前記一対のアッパフレームの中の他方のフレーム対は、前記一方のフレーム対とは異なる高さ位置において、縦に配置される前記入力用縦壁部材の後側に連結または配置される、
電気駆動機器を備える車両。 - 前記入力用縦壁部材は、
前記一対のロアフレームの間を連結する第1横フレーム、
前記第1横フレームの上側または下側に配置される第2横フレーム、および、
前記第1横フレームと前記第2横フレームとの間を連結する複数の縦フレーム、
を有し、
前記第1横フレーム、前記第2横フレームおよび前記複数の縦フレームによるフレーム枠形状を有する、
請求項1記載の、電気駆動機器を備える車両。 - 前記入力用縦壁部材より前側へ突出する一対のクラッシュボックスと、
前記一対のクラッシュボックスの前端に連結されるバンパビームと、
を有する請求項1または2記載の、電気駆動機器を備える車両。 - 前記入力用縦壁部材より前側に、ラジエタを取り付けるための枠フレームが配置される、
請求項1から3のいずれか一項記載の、電気駆動機器を備える車両。 - 前記前隔壁と前記収容用縦壁部材との間に配置される床板部材を有し、
前記電気駆動機器は、前記床板部材に搭載される、
請求項1から4のいずれか一項記載の、電気駆動機器を備える車両。
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