以下、本発明の炊飯器について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。また、以下の図面において、同一の符号を付したものは、同一又はこれに相当するものであり、このことは明細書の全文において共通することとする。さらに、明細書全文に表わされている構成要素の形態は、あくまでも例示であって、これらの記載に限定されるものではない。
実施の形態1.
以下図1〜図20に示される実施の形態1について説明する。
図1は、本発明の実施の形態1に係る電気炊飯器の斜視図である。図2は、図1の電気炊飯器のX−X線における縦断面図である。また、図2では、一部構成については断面表示(ハッチング)を省略している。
図1の実線で示す両矢印で、R方向が炊飯ユニット(「おひつ部」ともいう)1及び誘導加熱調理器10の右方向であるものとする。L方向は左方向である。
図1の破線で示す両矢印のBK方向が炊飯ユニット1及び誘導加熱調理器10の後ろの方向であるものとする。FRは、同じくその前方の方向を示している。
図1に示されるように、電気炊飯器100は、炊飯ユニット1と、誘導加熱調理器10と、を備えている。炊飯ユニット1は、誘導加熱調理器10の上面を構成するトッププレート22の上に置かれているだけであり、ネジ等の連結手段で固定していないので、持ち上げれば誘導加熱調理器10の上面から簡単に離すことができる。誘導加熱調理器10は、炊飯ユニット1を載置する部材であり、例えば、電気炊飯器100の側面視において略L字形状に構成されている。
図1、図2に示されるように、炊飯ユニット1は、角型(立方体)形状の本体1Aと、この本体1Aにヒンジ部(図示せず)で連結された蓋体1Bと、ハンドル1C(図示せず)と、内釜3と、内釜温度検出手段5と、給電コイルを主体に構成された給電手段6と、受電コイル7と、蓋開閉ボタン8と、蓋体加熱手段9Aと、内釜側面加熱手段9Bと、報知手段70の一例である表示手段11と、使用者によって炊飯条件などが入力される第2の入力操作手段12と、を備えている。18は、後述する米の重量を計測する操作部であり、複数の操作キー18Aを配置してある。1つの操作キー(スイッチ)18Aは、重量の計測開始きーであり、さらに計測結果をキャンセルする操作キー(スイッチ)18Aもある。
蓋体1Bを除き、炊飯ユニット1の外郭を構成する四角形のケースは、プラスチック材料から形成されている。1Fは前壁面を、1Rは右壁面(右側面)を示す。
同様に、前記誘導加熱調理器10の外郭を形成する本体ケース10Aも、プラスチック材料から形成されている。10Fは、その本体ケース10Aの前壁面、10Rは右壁面である。
誘導加熱調理器10は、その内部空間に、冷却ファン13と、誘導加熱コイル14と、送電コイル17と、防磁板19と、制御装置50と、キッチン等の室内空気の温度を検出する外気温度検出手段15と、を備える。誘導加熱コイルは、以下の説明では「加熱コイル」と呼ぶ。
炊飯ユニット1の前記本体1Aは、内釜3を収容する部材であり、この本体1Aには、蓋体1B及び(図示していない)U字形状のハンドル1Cが取り付けられている。そのハンドルは、電気炊飯器本体1Aの左右側面に両方の端部が回動自在に固定され、炊飯ユニット1全体を持ち上げる際に使用される。
蓋体1Bは、例えば、本体1Aの上面全体を覆うように設けられている平面視で正方形又は長方形の部材である。蓋体1Bは、本体1Aの平面形状と殆ど同じ大きさの平面形状を有している。
前記内釜3は、上部に開口部を有する略有底筒状の部材である。磁性金属や炭素等の材料で形成されており、この内釜3には、例えば米等の被調理物が投入される。内釜温度検出手段5は、内釜3の温度を検出する温度検出手段(「温度監視手段」ともいう)であり、例えばサーミスタ5Aで構成されている。なお、サーミスタは、内釜3の外表面に接触して温度を計測するものであるが、非接触で温度を検出する赤外線温度センサー5B等を使用しても良い。赤外線温度センサー5Bは、図2に示すように、誘導加熱調理器10の内部に設置され、破線の矢印で示すように内釜3から放射される赤外線を受信して温度を計測する。
給電手段6は、例えば内釜3よりも炊飯ユニット1の後方(背面)側に設けられている蓄電手段である。給電手段6は、例えば、鉛蓄電池、ニッケル水素蓄電池、リチウムイオン蓄電池等の二次電池95(図8参照)で構成されている。なお、給電手段6は、二次電池95で構成されることに限定されるものではなく、乾電池等の一次電池で構成されていてもよい。このように、給電手段6が一次電池で構成されている場合には、給電手段6を頻繁に取り替える可能性を考慮して、給電手段6を容易に取り替えられるような位置に設けることが望ましい。
受電コイル7は、例えば、炊飯ユニット1の内部に設けられているコイルであり、送電コイル17から送られる電力に基づいて給電手段6に給電するように機能する。なお、非接触で給電手段6に給電する方式としては、電磁誘導方式、磁界共鳴方式、電界結合方式等があるが、本実施の形態1においては、電磁誘導方式である例について説明する。
前記蓋開閉ボタン8は、炊飯ユニット1の前面側から後方側に向かう力が加えられることで、前記蓋体1Bが本体1Aから開放されるように構成されており、例えば、本体1Aの前面に設けられている。例えば、図1に示される状態で、蓋開閉ボタン8に対して、炊飯ユニット1の前方側から後方側に向かう力が加えられることで、蓋体1Bは、本体1Aとのロック機構(図示せず)が外れ、蓋体1Bの後方に内蔵させたバネ機構(図示せず)の力で開放する。
蓋体加熱手段9Aは、内釜3の上方に設けられる加熱手段であり、例えば、蓋体1Bの内部に設けられている。内釜側面加熱手段9Bは、内釜3の側方に設けられる加熱手段であり、例えば、本体1Aの内部に設けられている。炊飯ユニット1が誘導加熱調理器10の上に正しく載置された状態においては、蓋体加熱手段9A及び内釜側面加熱手段9Bは、誘導加熱調理器10から供給される外部電源の電力によって駆動される。炊飯ユニット1が誘導加熱調理器10の上に載置されていない状態においては、蓋体加熱手段9A及び内釜側面加熱手段9Bは、例えば、給電手段6の電力によって駆動される。
前記表示手段11は、2つの表示画面から構成されている。2つの表示画面11A、11Bは、電気炊飯器100の各種情報を画面表示する表示手段であり、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(Electro Luminescence)等で構成されている。
前記蓋体1Bに設けた第1の表示画面11Aは、例えば、炊飯ユニット1が誘導加熱調理器10の上から取り外された場合において、保温可能な時間を表示する。第1の表示画面11Aは、また例えば、給電手段6の蓄電状態を表示する。第1の表示画面11Aは、また例えば、現在の蓄電状態を0%〜100%の範囲内で表示する。さらに第1の表示画面11Aは、給電手段6の充電が完了するまでに要する時間を表示する。
前記本体1Aの前面に配置した第2の表示画面11Bは、炊飯する米の重量や、最適な水量等の情報を文字や数字で表示する。
前記蓋体1Bの前方部には、前記第2の入力操作手段12が配置されている。その入力操作手段12は、例えば、予熱工程、炊飯工程、むらし工程等の工程を実行するための操作入力等を受け付ける操作手段である。押圧式の入力キーが複数個配置されている。詳しくは、図6で説明する。なお、押圧式の入力キーに代えて、または併用するためにタッチ式の入力キーを設けても良い。
また、第2の入力操作手段12と同じ位置には、第1の表示画面11Aが配置されている。そして、第2の入力操作手段12で、炊飯量や、米の銘柄、炊飯の硬さ、予約炊飯する場合の炊飯完了時刻や時間帯等の各種炊飯条件を使用者が入力でき、その入力結果を第1の表示画面11Aでその都度確認できる。詳しくは、図6で説明する。
前記冷却ファン13は、誘導加熱調理器10において、半導体集積回路や電子回路等で構成された制御装置50において発生した熱を、空気中に逃がすための送風手段である。冷却ファン13が回転すると、冷却ファン13から加熱コイル14側に向かう空気流れが生成される。加熱コイル14は、発生する磁力線によって内釜3自体を加熱し、その内釜3の内部に収納される米や水等の被調理物を加熱するものであり、例えば、炊飯ユニット1が誘導加熱調理器10の上に載置された状態で、その内釜3の下方に位置するように設けられている。加熱コイル14は、細い銅線等がドーナツ状に巻かれて形成されている。
前記送電コイル17は、誘導加熱調理器10から電力を供給するものである。送電コイル17は、加熱コイル14よりも冷却ファン13の空気流れの上流側に位置している。すなわち、送電コイル17は、加熱コイル14よりも誘導加熱調理器10の後方側に位置し、冷却ファン13よりも前方側に位置している。このように送電コイル17を設けることで、加熱コイル14を冷却して温度上昇した空気が送電コイル17に供給される可能性を低減できる。
防磁板19は、加熱コイル14から発せられる電磁波が送電コイル17に達しないように遮蔽する部材である。防磁板19は、例えば、加熱コイル14の周囲を取り囲むように、一定の高さを有しており、平面視で環状に設けられている。防磁板19は、例えば、誘導加熱調理器10の上部にあるトッププレート22の下面から下方に延びている。なお、防磁板19は、加熱コイル14よりも誘導加熱調理器10の本体部の径方向外側において環状に設けられている例に限定されるものではなく、少なくとも加熱コイル14と送電コイル17との間に位置するように設けられていればよい。
前記外気温度検出手段15は、電気炊飯器100が置かれている空間の外部の温度を検出するためのものである。誘導加熱調理器10の後部に垂直に立ち上がっている後部垂直部16の壁面に設置されている。この外気温度検出手段15の検出温度は、内釜温度検出手段5の検出温度とともに、後述する保温可能時間の算出に使用される。
なお、外気温度検出手段15は、この実施の形態1では、誘導加熱調理器10に備えるようにしているが、炊飯ユニット1に備えるようにしてもよい。
図1において、2は、炊飯ユニット1の底面の4つの隅部に1つずつ配置した脚部である。この脚部の内部には、重量センサー4が配置されており、炊飯ユニット1の重量をグラム単位で計測できる。この重量センサーについて後で詳しく説明する。
図1において、20は、誘導加熱調理器10の上面前方部に横長帯状に配置した第1の入力操作手段である。この入力操作手段では、押圧式の各種入力ボタン(キー)が配置されている。この入力操作手段において、前記炊飯ユニット1とは無関係に、誘導加熱調理器10単独で誘導加熱調理を行えるように、火力や調理メニュー(湯沸しや煮物等)、調理時間等の各種条件を入力できる。
前記炊飯ユニット1を誘導加熱調理器10の上面の所定位置に載置した状態では、図1と図2に示すように、第1の入力操作手段20は、前記炊飯ユニット1によって上方から覆い隠された状態となる。
21は、誘導加熱調理器10の上面で前記第1の入力操作手段20の後方を真横に横切るように左右に長く形成した突起部(凸条)である。この突起部21は、誘導加熱調理器10の上面の横幅全体に及ぶような長さを有しており、耐熱性と弾力性を有した材料で形成されており、誘導加熱調理器10の上面を構成する耐熱性のガラス等から形成されたトッププレート22の上面に固定されている。なお、この突起部は、例えばシリコンゴムから形成されている。
図2において、23は、前記内釜3の上面開口を開閉自在に塞ぐ内蓋であり、アルミニウム等の熱伝導性の良い金属薄板で、平面形状が円形に形成されている。前記蓋体加熱手段9Aである電気ヒータは、この内蓋23の上面に配置されている。
24は、その内蓋23の周囲に取り付けられたシール用パッキンであり、シリコンゴム等の耐熱性と弾力性に富む材料で形成されている。前記蓋体1Bを閉じた状態では、内蓋23とパッキン24によって内釜3は密閉される。なお、内蓋23には、炊飯時の蒸気抜きのための小さな孔が形成されており、炊飯ユニット1の外部に連通する蒸気排出通路が蓋体1Bの内部を貫通するように形成されている。
図2において、25は、前記内釜3の周囲を近接して囲んでいる耐熱樹脂製又は誘導加熱されないような非磁性金属(例えば、アルミニウム)製の内側胴部であり、この外側に前記内釜側面加熱手段9Bである電気ヒータが巻かれている。
26は、前記後部垂直部16の中に収容した無線通信モジュール(無線通信部)であり、家庭内に設置したローカルネットワーク設備(電力指令装置を含む)との間で無線通信できるようになっており、インターネット回線を通じて遠隔地にある携帯情報端末や通信機器等と情報の授受ができる。また炊飯ユニット1に対する遠隔操作信号も受信できる。無線通信手段としては、例えば、Bluetooth(登録商標)、Wi−Fi(登録商標)等の周知の手段を採用することができる。
図2において、27は、前記第2の表示画面11Bを支持する支持板である。28は、内釜3の底部中央に対応して前記内側胴部25に形成した窓であり、赤外線を透過する材料で覆われている。29は、その窓に対応した位置に設けた窓であり、前記トッププレート22に形成している。トッププレート22は、通常は誘導加熱調理器10の内部構造が目視できないように、可視光線を遮断する塗装膜等が裏(下)面に施されているが、前記窓29の部分にはそのような塗装膜はないので、赤外線が容易に透過する。
図2において、30は、後部垂直部16の内部に配置された載置検知センサーの1つであるリードスイッチ31(図3参照)に対応するよう、炊飯ユニット1の後面に設置した永久磁石である。
32は、支持基板であり、内釜温度検出手段5を構成する赤外線温度センサー5Bを支持しており、誘導加熱調理器10の内部に水平に設置してある。
34は、基準位置判定手段33の一部を構成する赤外線信号送受信部であり、前記防磁板19より外側で、かつ前記第1の入力操作手段20よりも後方の位置に配置されている。赤外線信号送受信部34は、1つではなく2つ以上設置し、少なくとも1つは赤外線信号送信用で、他の少なくとも1つは赤外線信号受信用である。その場合、接近状態で並べて設置すると後述する窓37を共用できて構造上有利である。
35は、基準位置判定手段33の一部を構成する赤外線信号送受信部であり、前記赤外線信号送受信部34の垂直延長線上に配置されている。この赤外線信号送受信部35も、赤外線信号送受信部34と同様に、1つではなく2つ以上設置しても良い。
36Aは、赤外線信号を解読する第1の信号処理部である。なお、赤外線信号送受信部34側にも同様な第2の信号処理部36Bがある。誘導加熱コイル14の駆動中に無線通信ではノイズが発生したりする懸念があるため、赤外線信号で通信を行うようにしている。101は、電源プラグであり、102は電源コードである。
図3において、37は、前記トッププレート22に形成した窓であり、前記窓29と同様に赤外線信号を透過させるためのものである。
39は、炊飯ユニット1の底面を構成する耐熱プラスチック製の底板であり、赤外線信号を透過させるための窓を形成している。
40は、前記赤外線信号送受信部34を支持した支持基板である。
図3において、1Fは、炊飯ユニット1の本体1Aの前壁面、10Fは、前記誘導加熱調理器10の外郭を形成する本体ケース10Aの前壁面である。
図3において、第1の入力操作手段20の前後方向の範囲は、実線の矢印で示した通りである。
この第1の入力操作手段20には、複数の押圧式電子スイッチ41が横一列に一定の間隔で配置されている。各電子スイッチ41は、上部にある操作部41Aが押されると、内部接点が閉じて所定の信号を発生させることができる。41Bは押圧棒で、プラスチック製である。
42は、各電子スイッチ41を実装した回路基板である。43は、薄く湾曲性のあるプラスチック材料で形成された保護シート(又は保護板)であり、前記操作部41Aの上を密封状態に覆っており、上方からの水の浸入を防止している。この保護シート43が使用者の指で押された場合、操作部41Aは微小寸法下方に移動して電子スイッチ41の内部接点が閉じる。
44は、プレスチック製の支持枠45に形成した透孔であり、前記操作部41Aの上下動を許容するように、その操作部41Aの外形寸法より大きな口径である。
第1の入力操作手段20には、その操作入力結果を表示する表示手段70Dがある。図示していないが、液晶表示画面とレーザ発光ダイオード素子(LED)等から構成されている。LEDは、第1の入力操作手段20の保護シート43を下方から光で照らして、当該保護シート43の特定部分を赤や黄色に表示させ、使用者に対して各電子スイッチ41の入力結果を表示する。
また液晶表示画面は、保護シート43の一部に開口を設け、それを透明なシートで上から覆い、この開口に液晶表示画面を臨ませるように設置している構成である。
この実施の形態1で、第1の入力操作手段20の入力機能を有効・無効にする説明を行うが、入力機能を無効にした場合には、上記表示手段70Aも同時に表示機能は無効となり、画面表示は消される。逆に第1の入力操作手段20の入力機能が有効になる場合(最初に起動されるとき、無効化が解除されるとき)には、同時に有効になり、表示動作が行われるようになる。
図3において、Sは、前記誘導加熱調理器10の上面と炊飯ユニット1の底板39との対向面の間に形成された空隙であり、高さは10mm〜15mm程度である。
図3は、炊飯中の状態を示しており、炊飯ユニット1には、所定の米と水が内釜3に収容されているので、炊飯ユニット1の重量よりも重い。この状態で、炊飯ユニット1の本体1Aの前壁面1Fと、前記誘導加熱調理器10の外郭を形成する本体ケース10Aの前壁面10Fとの対向間隔G1は、数mm程度ある。このため空隙Sは、前記間隔G1によって前方に連通している。なお、炊飯ユニット1の本体1Aの前壁面1Fだけではなく左右両壁面と、前記誘導加熱調理器10の外郭を形成する本体ケース10Aの左右両壁面の下端が同一水平面で揃っているので、前記空隙Sは、前方と左右両側に連通している。
前記突起部(凸条)は、炊飯ユニット1の底板39と、第1の入力操作手段20の上面との対向間隔Hを狭めている。言い換えると前記空隙Sの中を狭めているので、この突起部21より後方にある誘導加熱コイル14の真上の位置で発生する熱気が、この突起部21を乗り越えて第1の入力操作手段20側に流れることが抑制される。このため、炊飯動作を行った際に、誘導加熱コイル14によって炊飯ユニット1の底面が高温になっても、第1の入力操作手段20の部分が過熱状態になることが抑制される。
炊飯ユニット1の使用が終わって、そのユニット1を前記誘導加熱調理器10の上から取り除いた後、第1の入力操作手段20の部分が熱くて、直ぐに誘導加熱調理器10による別の加熱調理を開始できないという事態を招かない。
図3において、20Wは、前記第1の入力操作手段20の前後方向の幅を示しており、50mm〜70mm程度である。
次に図4について説明する。図4は、前方の脚部2の部分の拡大した縦断面図である。重量センサー4は、底板39の上面に固定されており、太い支柱状の脚部2の真上には、図示していないが、歪センサー4Sが配置されている。脚部2によって前記歪センサー4Sを押す力、すなわち、炊飯ユニット1の重量に応じて、歪センサー4Sからの出力で重量を計測できる。なお、このような歪センサー4Sを用いた重量センサーは、既に古くから提案されており、詳しい説明は省略する。46は、底板39に形成した貫通孔であり、前記脚部2の上下動を許容する大きさ(口径)である。
図4に示した状態は、炊飯ユニット1を載置して炊飯動作を行っている状態であるが、図5に示した状態は、炊飯ユニット1を載置しているものの、内釜3の内部には、米だけしか収容していない状態であり、必要な量の水を入れていないため軽い。このため、前記対向間隔G1よりは大きな対向間隔G2になっている。
次に、図6に基づいて、第2の入力操作手段12と、第1の表示画面11Aについて説明する。
図6は、実施の形態1に係る電気炊飯器100の蓋体1Bの前半部分の平面図である。蓋体1Bのほぼ左右中央には、液晶表示画面等から構成された第1の表示画面11Aが配置されている。
第1の表示画面11Aには、時刻と、米種表示部60と、硬さ表示部61と、メニュー表示部62とが表示される。また、第1の表示画面11Aの外側で左側には、米種スイッチ63と、硬さスイッチ64と、メニュースイッチ65と、切/保温スイッチ66が設けられ、第1の表示画面11Aの外側で右側には、炊飯スイッチ67と、予約スイッチ68と、時刻スイッチ69とが設けられている。炊飯動作開始後は、前記切/保温スイッチ66を押すと、炊飯中止の指令信号が制御装置50に対して発せられる。また、保温動作開始後は、前記切/保温スイッチ66を押すと、保温中止の指令信号が発せられる。この実施の形態1では、むらし工程に続いて自動的にある時間内は保温工程が制御装置50で実行されるような制御プログラムになっている。
12Vは、音声入力モードを選択する場合のスイッチであり、これを押すと、後述する音声報知手段90Vから「音声入力モードに切り替わりました」という案内が出て、以後、音声で入力できる。なお、再びスイッチ12Vを押せば、音声入力モードは解除される。音声報知手段90Vから「音声入力モードは解除されました」という案内がされる。なお、音声入力モードは、音声入力手段の一例である。
91は、近距離無線通信(NFC)を行う無線通信部(入出力手段)であり、NFC機能を備えた情報処理端末器を接近又は接触させると通信が行える。
米種スイッチ63は、炊飯する米の種類を設定するための入力手段である。米種スイッチ63が押下される度に、これに対応して米種表示部60の表示が「白米」、「無洗米」、「玄米」、「発芽玄米」に切り替わる。米種スイッチ63により設定された米の種類に関する情報は、後述する制御装置50に入力される。
図6では、米種スイッチ63に銘柄と併記されているが、このスイッチ63で米の具体的な銘柄も指定できるが、スイッチ63の押し方で入力機能が2種類(銘柄と米種)の中から1方だけを選択できる。なお、詳しい説明は省略する。
硬さスイッチ64は、炊きあがりの硬さを設定するための入力手段である。硬さスイッチ64が押下される度に、これに対応して硬さ表示部61の表示が「かため」、「やわらか」に切り替わる。硬さスイッチ64に入力された炊きあがりの硬さに関する情報は、制御装置50に入力され、制御装置50が炊きあがりの硬さを選択する。「かため」が設定された場合には、後述する「硬めモード」で炊飯動作を行い、「やわらか」が設定された場合には、後述する「軟らかめモード」で炊飯動作を行う。なお、本実施の形態1では、硬さスイッチ64及び制御装置50により硬さ選択手段が構成されている。
本実施の形態1及びこれ以降の実施の形態で説明する電気炊飯器は、「軟らかめモード」と、この軟らかめモードよりも硬めに米飯を炊きあげる「硬めモード」の2種類の炊き分けが可能であるものとする。
メニュースイッチ65は、炊飯メニューを設定するための入力手段である。メニュースイッチ65が押下される度に、これに対応してメニュー表示部62の表示が「リゾット」、「おかゆ」、「炊き込み」に切り替わる。また、メニュースイッチ65により設定された炊飯メニューに関する情報は、制御装置50に入力される。
切/保温スイッチ66は保温動作の終了/開始を切り替えるための入力手段、炊飯スイッチ67は炊飯開始を指示するための入力手段、予約スイッチ68は炊飯予約を設定するための入力手段、時刻スイッチ69は現在時刻や予約時刻などの時刻を設定するための入力手段である。切/保温スイッチ66、炊飯スイッチ67、予約スイッチ68、時刻スイッチ69により設定された情報は、制御装置50に入力される。
前記各種スイッチ63〜69は、押圧式入力手段12P(図8参照)を構成している。なお、押圧式のスイッチ63〜69ではなく、タッチ式のスイッチにした場合には、タッチ式入力手段12Tとなる。後述する図8では、そのタッチ式入力手段12Tも図示している。
次に誘導加熱調理器10の制御関係の構成について、図7を参照しながら説明する。図7において、80は、主制御装置であり、マイクロコンピュータを中核として構成されており、半導体記憶装置(フラッシュメモリーやROM、RAM)などの記憶手段80Rと、時刻を計算する計時手段(時計回路)80Tを内蔵している。全体の加熱制御動作を司るコンピュータプログラムと各種制御用データテーブルは、前記記憶手段80Rに格納されている。
71は、商用電源(例えば50Hz又は60Hzで、電圧100V又は200V)である。電源コード102とプラグ101を介して電源部72が商用電源の電力供給を受ける。電源部72では、整流回路等を内蔵し、所定の電圧の電力に変換する機能を有している。
73は、インバーター回路であり、前記電源部72からの電力を受けて、高周波電力を発生させ、誘導加熱コイル14に供給するものである。インバーター回路には、半導体電力制御素子、スイッチング素子等の各種電気部品が実装されている。20は、前記第1の入力操作手段であり、前記押圧式の電子スイッチ41を押圧式入力手段として使用している。
70は、報知手段であり、表示手段70Dと音声合成装置等の音声報知手段70Vとを備えている。表示手段70Dは、液晶表示画面と、半導体発光素子(LEDなど)とを備えている。誘導加熱動作の状態や条件(例えば、火力値、加熱時間)を文字や数字、図形等で表示できる。
音声報知手段70Vには、図示していないが、音を発するブザーやスピーカを備えている。表示手段70Dは、前述したように第1の入力操作手段20のある場所に配置されており、使用者が第1の入力操作手段20を操作した際に、その入力結果の確認が直ぐにできるようにしている。
74は、前記トッププレート22に接触してその温度を計測する天板温度検出手段であり、例えばサーミスタが使用されている。温度検出結果のデータは、前記主制御装置80に送信される。
図7において、被加熱物温度検出手段は、炊飯ユニット1を載せた場合には、内釜3の外表面から放射される赤外線を受信して温度を計測する赤外線温度センサー5Bから構成されている。この温度センサーは、炊飯ユニット1以外の一般の鍋やフライパン等の温度も計測できるので、主制御装置80によって被加熱物(一般の金属鍋など)の温度制御も可能になっている。
次に炊飯ユニット1の制御関係の構成について、図8を参照しながら説明する。図8において、50は、制御装置であり、マイクロコンピュータを中核として構成されており、半導体記憶装置(フラッシュメモリーやROM、RAM)などの記憶手段50Rと、時刻を計算する計時手段(時計回路)50Tを内蔵している。吸水工程や炊飯(沸騰)工程等の火力や通電時間、目標加熱温度等の条件を含めた全体の炊飯制御動作を司る炊飯用コンピュータプログラムと、米の重量を計測する重量計測用コンピュータプログラムと、自己点検プログラムや異常時対処用のコンピュータプログラムプログラムと、各種制御用のデータテーブルとは、前記記憶手段50Rに格納されている。
93は、蓋体1Bの開放を検知するセンサーであり、前記蓋開閉ボタン8の近傍に設置してある。蓋体1Bの機械的ロックを外した場合、このセンサーから蓋開放信号が制御装置50に送信される。
重量計測手段94は、前述した4つの重量センサー4と、それらのセンサーからの出力電圧に基づいて、炊飯ユニット1の重量を計算する処理回路(図示せず)とを備えている。
12は、前記第2の入力操作手段であり、前記蓋体1Bに設けた押圧式の各種スイッチ63〜69を押圧式入力手段12Pとして使用している。
90は、報知手段であり、第1の表示画面11A、第2の表示画面11B、音声合成装置等の音声報知手段90Vと、を備えている。音声合成装置90Vには、図示していないが、音を発するブザーやスピーカを備えている。
5Aは、前記内釜3に接触してその温度を計測するサーミスタであり、温度検出結果のデータは、前記制御装置50にその都度送信される。
図7において、被加熱物温度検出手段は、炊飯ユニット1を載せた場合、内釜3の外表面から放射される赤外線を受信して温度を計測する赤外線温度センサー5Bから構成されている。この温度センサーは、炊飯ユニット1以外の一般の鍋やフライパン等の温度も計測できるので、主制御装置80によって被加熱物(一般の金属鍋など)の温度制御も可能になっている。
95は、前記給電手段6を構成する二次電池であり、例えば、鉛蓄電池、ニッケル水素蓄電池、リチウムイオン蓄電池等で構成されている。なお、給電手段6は、この二次電池95で構成されることに限定されるものではなく、乾電池等の一次電池で構成されていてもよい。
前記基準位置判定手段33は、炊飯ユニット1が誘導加熱調理器10の所定位置に載置されたか否か判定するものである。基準位置判定手段33の判定結果は制御装置50に出力される。なお、制御装置50が、基準位置判定手段33の有する機能を備えていてもよい。
この実施の形態1では、前記基準位置判定手段33は2つの手段を備えている。1つは、炊飯ユニット1の後面に設置した永久磁石30と、後部垂直部16に設けた(載置検知センサーの1つである)リードスイッチ31(図3参照)との組み合わせである。
もう1つは、前記したように1対の赤外線信号送受信部34、35の組み合わせである。
基準位置判定手段33は、例えば、加熱コイル14に電流を流した場合における抵抗値が基準抵抗値以上であるか否かを判定する構成を採用しても良い。具体的には例えば、制御装置50が、加熱コイル14に電流を流した場合における抵抗値が基準抵抗値以上であると判定した場合には、炊飯ユニット1が誘導加熱調理器10のトッププレート22の上の正しい位置にあると判定する。また、制御装置50が、加熱コイル14に電流を流した場合における抵抗値が基準抵抗値未満であると判定した場合には、炊飯ユニット1が誘導加熱調理器10の上から取り外されていると判定する。
なお、基準位置判定手段33は、前記赤外線温度センサー5Bの検出温度に基づいて、炊飯ユニット1が誘導加熱調理器10の所定位置に取り付けられたか否か判定するように構成してもよい。この場合には、例えば、制御装置50は、赤外線温度センサー5Bの検出温度が閾値温度以上である場合には、炊飯ユニット1が誘導加熱調理器10に取り付けられている可能性が高いために、炊飯ユニット1が所定位置に載置されていると判定する。また赤外線温度センサー5Bの検出温度が閾値温度未満である場合には、炊飯ユニット1が誘導加熱調理器10から取り外されている可能性が高いために、炊飯ユニット1が載置されていないと判定する。
なお、制御装置50が、記憶手段50R及び計時手段50Tを備える構成に限定されるものではない。例えば、記憶手段50R及び計時手段50Tが制御装置50とは別に構成されており、記憶手段50R及び計時手段50Tの出力が制御装置50に入力されるように構成してもよい。
また、音声報知手段70Vにおいては、音声(ガイド音声)は予め設定されている音量又は使用者により設定された音量で出力される。また、それら音量は複数段階に設定できるようになっている。
制御装置50は、例えば、内釜3の温度検出手段であるサーミスタ5Aの検出温度と、制御装置50に予め記憶されている閾値温度と、外気温度検出手段15の検出温度に基づき、内釜3が初期温度から閾値温度を下回るまでの時間を算出し、保温可能時間を決定し、第1の表示画面11Aに保温可能時間を表示させる。サーミスタ5Aの検出温度が閾値温度よりも高ければ高い程、炊飯ユニット1が誘導加熱調理器10から取り外された場合に、内釜3の温度が閾値温度に達するまでの時間は長くなるため、保温可能時間は長く設定される。
このように、第1の表示画面11Aが保温可能時間を表示することで、使用者に対して被調理物(ご飯)を速やかに食することを促したり、炊飯ユニット1を誘導加熱調理器10に戻して被調理物(ご飯)の保温を行ったりすることを促すことができる。したがって、炊飯したご飯の温度が制御装置50に予め記憶されている閾値温度を下回って、そのご飯の味が劣化してしまう可能性を低減することができる。
図9は、本発明の実施の形態1に係る電気炊飯器100の時間変化に伴う温度変化の例を示す図である。なお、図9における横軸は時間を示しており、図9における縦軸は内釜3の温度を示している。
内釜3の温度は、例えば、内釜温度検出手段5であるサーミスタ5Aの検出温度である。図9に示されるように、予熱工程を実行し、予熱工程を実行した後に炊飯工程を実行し、炊飯工程を実行した後にむらし工程を実行する場合には、炊飯工程において内釜3の温度変化が急峻になる時間帯が存在する。このように内釜3の温度変化が急峻になる時間帯においては、加熱コイル14に供給される電力が大きくなる。
したがって、内釜3の温度変化が急峻になる時間帯においては、給電手段6の給電よりも被調理物(米と水)の加熱を優先するために、主制御装置80は、送電コイル17への電力供給を停止するとよい。具体的には例えば、主制御装置80は、内釜3の単位時間当たりの変化温度が所定以上である場合に、送電コイル17への電力供給を停止し、内釜3の単位時間当たりの変化温度が所定未満である場合に、送電コイル17への電力供給を継続する。このようにして、炊飯工程における被加熱物の温度上昇を妨げる可能性を低減することができる。なお、主制御装置80は、内釜3の温度に基づいて、送電コイル17への電力供給を停止するか否かを決定する例に限定されるものではない。
例えば、炊飯工程であるか否かに応じて送電コイル17への電力供給を停止するか否かを決定するようにしてもよい。具体的には、主制御装置80は、予熱工程を終了して炊飯工程を開始した場合に、送電コイル17への電力供給を停止し、炊飯工程を終了してむらし工程を開始した場合に、送電コイル17への電力供給を開始させる。
また例えば、加熱コイル14に供給される電流値が閾値電流値以上であるか否かに応じて送電コイル17への電力供給を停止するか否かを決定するようにしてもよい。具体的には、主制御装置80は、加熱コイル14に供給される電流値が閾値電流値以上である場合に、送電コイル17への電力供給を停止し、加熱コイル14に供給される電流値が閾値電流値未満である場合に、送電コイル17への電力供給を継続させる。
この実施の形態1では、以上説明したように、炊飯ユニット1の制御装置50と、誘導加熱調理器10の主制御装置80とは、赤外線信号送受信部34と赤外線信号送受信部35との間の通信によって、少なくとも炊飯動作中(予熱工程から、むらし工程まで)は常に最新の制御データを送信・受信しており、炊飯ユニット1と誘導加熱調理器10とが赤外線通信によって相互に連携した動作を行っている。
次に、本実施の形態1に係る電気炊飯器100の動作について説明する。
図10は、本発明の炊飯ユニット1と誘導加熱調理器10の相互の動作関係を説明する図である。誘導加熱調理器10の電源プラグ101を商用電源71に繋いだあとの動作ステップを、符号SP1〜SP6で示している。
誘導加熱調理器10の電源プラグ101を商用電源71に繋いだだけでは、誘導加熱動作も炊飯動作も開始されない(SP1)。
次に炊飯ユニット1を誘導加熱調理器10の上に置くと(SP2)、正しい位置であれば、載置検知センサーであるリードスイッチ31がONとなる(SP3)。
この段階から、炊飯ユニット専用モードとなる、このため、誘導加熱調理器10の側では何ら入力操作や加熱動作指令を使用者が与えなくとも、自動的に所定の時間内に、誘導加熱調理器10側から基準位置判定用の赤外線信号が発信され、炊飯ユニット1を起動する。
その後、炊飯動作が開始され(SP4)、炊飯動作が終了した(SP5)後で、炊飯ユニット1を誘導加熱調理器10の上から降ろすと、炊飯ユニット専用モードは自動的に解除され、誘導加熱調理器10単体で、他の鍋やフライパン等の調理器具を使用した誘導加熱調理を行うことができる。
次に図11について説明する。
図11は、誘導加熱調理器10の動作ステップを示したものである。動作ステップはS1〜S12で示している。
まず、電源プラグ101を商用電源71に繋ぐと、炊飯ユニット1が正しい位置に載置されていれば、リードスイッチ31がON(閉)となる(S1)。
すると、使用者が第1の入力操作手段20や炊飯ユニット1の第2の入力操作手段12を何も操作しなくとも、主制御装置80は、赤外線温度センサー5Bや、その他の電流センサー(図示せず)によって誘導加熱調理器10の内部構成部品に異常がないかどうかの自己チェックを開始する(S2)。
そして異常が無かった場合、主制御装置80は送電コイル17を駆動し、所定の電力を供給開始する。報知手段70も起動する(S3)。一方、冷却ファン13を「弱」モードで運転開始する(S4)。このため冷却風で送電コイル17が冷却される。
この段階では、主制御装置80は、リードスイッチ31がONしていることによって、炊飯ユニット1が正しい位置に載置されていることが分かっているが、次に、主制御装置80は基準位置判定手段(B)33を駆動する。そして、赤外線信号送受信部34から赤外線信号を、赤外線信号送受信部35に向けて送信する(S5)。
その後、赤外線信号送受信部35側から、応答信号が赤外線で送信されるので、その応答信号を受けて、基準位置判定手段33は炊飯ユニット1が正しい位置に載置されていることを最終確認する(S6)。もし、赤外線信号送受信部35に向けて赤外線信号送受信部34から赤外線信号を送信した後、瞬時に所定の応答信号が無かった場合には、炊飯ユニット1が正しい位置に載置されていないか、または窓37の上面に、前回調理した際の調理液が滴下して汚れとなって固着しており、赤外線通信を妨げている場合が想定される。これら何れの場合でも主制御装置80側ではエラーとなる。
炊飯動作中も2つの赤外線信号送受信部34、35の間で、動作データや温度データ等を交換するため、仮に窓37の汚れが原因でも炊飯動作は許可しない。なお、ステップS6で、基準位置判定結果がNGになった場合には、図16に示す異常対応ステップに進むが、これについては後で説明する。
次のステップS7では、主制御装置80は、第1の入力操作手段20からの入力指令信号発生を無効化する処理をする。具体的には、第1の入力操作手段20の入力信号を発生させるための信号を遮断して、入力信号が発生しないようにするが、この無効化手段については、この方法に何ら限定されない。
この第1の入力操作手段20からの入力操作部の無効化処理により、例えば、炊飯ユニット1を瞬間的に持ち上げて、第1の入力操作手段20を操作しても、そのような操作は主制御装置80に入力されないので、炊飯を直前で止めて、誘導加熱調理器10を単独で使用開始するということはできない。
次に誘導加熱調理器10では、音声報知手段70V等の報知手段70によって、これから炊飯動作を行うことが報知される(S8)。
次のステップS9では、炊飯ユニット1において炊飯開始の指令が行われたかどうかを判断するため、待機状態に入る。炊飯ユニット1を載置したあと、内釜3の中の水の量を調節する等、実際の炊飯開始までは時間が必要である。そのため、待機時間を計時手段80Tで計測する(S10)。
例えば、炊飯を開始したことを示す指令信号がなく(S11)、無線通信部26を経由した炊飯開始の指令信号もなく(S12)、ステップ10の段階から所定時間T1(例えば、60分)を経過した場合(S13:図12参照)、主制御装置80は、何らかの理由で炊飯を見合せているものと判断する。
図12に示すように、主制御装置80は送電コイル17の駆動停止指令を出し、また冷却ファン13の運転を停止する(S14)。
次に誘導加熱調理器10では、音声報知手段70V等の報知手段70によって、炊飯動作をキャンセルしたことが報知される(S15)。ステップ10の段階から所定時間T2(例えば、61分)を経過した場合(S16)、主制御装置80は、第1の入力操作手段20からの入力操作部の無効化処理を解除する(S17)。このため、この段階で、例えば、炊飯ユニット1を他の場所へ移動させれば、第1の入力操作手段20を操作して、誘導加熱調理器10で別の加熱調理を開始できる。なお、この第1の入力操作手段20の操作も無い場合には、主制御装置80は、自ら主電源を自動で遮断し、不用意に加熱動作が行われないように安全性を考慮した動作をする(S18)。
次に炊飯開始の指令信号があった場合(図11のS11参照)について、図13を参照しながら説明する。
炊飯工程開始のステップS19に進み、主制御装置80は、炊飯ユニット1から赤外線信号送受信部34、35間の通信によって炊飯条件の情報を取得する(S20)。例えば、炊飯のための加熱時間や炊飯量等を示すデータを取得すれば良い。
次のステップS21では、冷却ファン13を「強」運転モードに変更し、インバーター回路73を駆動する(S22)。これにより、炊飯ユニット1の内釜は、加熱コイル14によって誘導加熱され、温度が上昇するので、予熱工程に入り、以後は炊飯工程に進む。
主制御装置80は、炊飯時間を把握するために経過時間の計測を開始し(S23)、また、無線通信部26を介して炊飯条件を示す情報を、電力指令装置(図示せず)等へ送信する。
「炊飯条件」とは、炊飯のための加熱時間や最大消費電力、炊飯量等をいう。なお、経過時間を主制御装置80側で把握しなくとも、炊飯ユニット1側から、炊飯開始からの経過時間や残りの加熱時間等の情報が、随時2つの赤外線信号送受信部34、35の間の交信で取得できるので、前記ステップS23は省略しても良い。
図13に示すように、主制御装置80は、以後ステップS26、S27、S28及びS29の判定、チェックを行う。
まず、炊飯中でも再び、基準位置判定手段33を駆動し(S25)、一定の時間間隔で、炊飯ユニット1が載置されているかどうかのチェックを行う(S26)。
また、トッププレート22が異常な高温度になっていないかどうかや、インバーター回路73の実装基板が過熱状態になっていないか等のチェックを行う(S27)。
そして、炊飯停止の指令が出ていないかどうのチェック(S28)と、予定されている炊飯時間を超過していないかどうかのチェックを行う(S29)。これらチェックは、所定の時間間隔で繰り返し行われる。
そして、制御装置50の動作プログラムに規定している所定の炊飯時間(例えば3合の炊飯量で、標準コースでは40分間)が経過した場合(S29)、誘導加熱調理器10の報知手段70によって炊飯動作が完了したことを報知する(S30)。
次に図14に示すように、送電コイル17の駆動停止指令を出す(S31)。そしてインバーター回路73の駆動を停止する(S32)。さらに報知手段70によってむらし工程に入ることを報知する(S33)。
むらし時間を把握するために経過時間の計測を開始し(S34)、所定のむらし工程の時間(例えば5分又は10分間)が経過した場合(S35)、冷却ファン13の運転を停止する(S36)。これにより加熱コイル14は、この段階で十分冷却されており、トッププレート22の温度は40℃〜50℃以下である。
そして、主制御装置80は、第1の入力操作手段20からの入力操作部の無効化処理を解除する(S37)。そして、主制御装置80は、自ら主電源を自動で遮断し、不用意に加熱動作が行われないように安全性を考慮した動作をする(S38)。
なお、この実施の形態1では、むらし工程に続いて自動的にある時間内は保温工程が制御装置50で実行されるような制御プログラムになっていると説明したので、炊飯ユニット1をそのまま誘導加熱調理器10の上に載置したままにしておくと、実際は、むらし工程の後、例えば1時間は保温工程が続行し、その間は、基準位置判定手段33は駆動され(前記ステップS25参照)、一定の時間間隔で、炊飯ユニット1が載置されているかどうかのチェックが行われる。但し、その場合、既に誘導加熱調理器10側で加熱コイル14は駆動していないので、図16に示したステップSB11だけが行われ、第1の入力操作手段20からの入力指令操作を無効化する処理(図11のS7)は解除される。
次に図15の動作について説明する。
この図15に示す動作は、図11に示すステップS6において「No」判定となった以後のものである。つまり、基準位置判定結果がNG(不適合)であったため、再度基準位置判定を行うものである。
まず、ステップSA1において、さらに報知手段70によって、基準位置判定結果がNG(不適合)であったことを報知する。具体的には、炊飯ユニット1が正しい位置に置かれていないか、または窓37に汚れがある可能性を使用者に示唆し、窓の清掃やチェックを促す。
そして、以後の是正動作や再チェック動作を一定の時間内で完了させるため、経過時間の計測を開始する(SA2)。
次に再び、誘導加熱調理器10の赤外線信号送受信部34から赤外線信号を送信する(SA3)。そして、赤外線信号送受信部35からの応答信号の状態に基づいて、基準位置の判定を行う(SA4)。ここで、所定の応答信号が得られたことにより、正規の位置に炊飯ユニット1が存在することが確認されると、報知手段70によって「炊飯ユニットの正しいセットを確認しました」等の音声での報知を行い、ステップS7に進む第1の処理が行われる。
そして、所定時間T4(例えば、5分間又は10分間)内に、ステップSA4における基準位置の判定で「Yes」にならなかった場合、ステップSA7に示すように送電コイル17と冷却ファン13の運転を停止し、報知手段70によって「炊飯動作に進めませんので、運転中止します」等の音声での報知を行い、自動的に主電源を遮断し(SA9)、一連の動作を終了する。つまり、一定の猶予期間(時間T4)の間に、是正できなかった場合は、安全上炊飯動作前に強制的に運転を停止する第2の処理が行われる。
この図14の動作ステップには、図11で説明したような、第1の入力操作手段20からの入力指令操作を無効化する処理(S7)は含まれていない。そのような処理の前の段階(ステップS6)であるからである。
次に図16の動作について説明する。この図16に示す動作は、図13に示すステップS26において「No」判定になった以後のものである。つまり、炊飯動作を開始した後の工程において、基準位置判定結果がNG(不適合)であったため、再度基準位置判定を行うものである。
まず、ステップSB1において、主制御装置80はインバーター回路73の駆動を一時的に停止する。
さらに報知手段70によって、例えば「正しく炊飯ユニット1が載置されていませんので、正しい位置にセットして下さい」等の音声ガイドを行う(SB2)。
インバーター回路73が駆動開始された時点から例えば、15分経過しているかどうかの判定が行われる(SB3)。例えば、誘導加熱開始されてから10分間しか経過していない場合、内釜3の状況は、予熱工程であるので、この時点で加熱中止しても、後で再び炊飯すれば何ら支障はない。そのためSB3で、15分経過していない場合には、ステップSB9に進む。
ステップSB9では、送電コイル17と冷却ファン13が停止され、報知手段70によって炊飯動作は途中で中止したことを知らせる(SB10)。そして、第1の入力操作手段20からの入力指令操作を無効化する処理(図11のS7)は解除する(SB11)。
この後、主制御装置80は、自ら主電源を遮断し(SB12)、一連の動作を全て終了する。なお、加熱コイル14によってトッププレート22が高温になっている可能性もあるので、前記ステップSB9において、冷却ファン13の運転停止のタイミングは、所定時間(例えば数分間)遅らせ、誘導加熱調理器10の温度を下げてから停止するようにしても良い。
インバーター回路73が駆動開始された時点から例えば、15分経過しているかどうかの判定を行う前記ステップSB3で、仮に15分経過していた場合には、ステップSB5に進む。
次に図17の動作について説明する。
この図17に示す動作は、図13に示すステップS28において「No」判定になった以後のものである。つまり、炊飯動作を開始した後の工程において、何らかの理由で炊飯停止指令が炊飯ユニット1側から出された場合に対応するものである。図6に示す第2の入力操作手段12のスイッチ66が押された場合である。
まず、ステップSD1において、主制御装置80はインバーター回路73の駆動を一時的に停止する。
ステップSD2において、報知手段70は例えば「炊飯動作を途中で中止する操作が行われました」等の音声ガイドを行う。
インバーター回路73が駆動開始された時点から、例えば15分経過しているかどうかの判定が行われる(SD3)。例えば、誘導加熱開始されてから25分間経過している場合、内釜3の状況は、既に沸騰工程であるので、この時点で加熱中止すると、一旦米が冷えたあとで再び炊飯開始しても、元のような炊飯結果は得られず、味覚の劣るご飯になる懸念がある。
そのため、この段階では、再び炊飯を直ぐに開始すれば何ら支障はないので、炊飯再開を促す。そのためSD8では、報知手段70において「直ぐに炊飯ユニットをセットして、再度炊飯ボタン(炊飯スイッチ67)を押して下さい」のような音声ガイドを行う。
SD8の報知から1分以内に炊飯ボタン(炊飯スイッチ67)を押して炊飯する指令が発せられた場合(SD9)、インバーター回路73の駆動を再開し、ステップS29に進む。
インバーター回路73が駆動開始された時点から、例えば15分以内である場合には、ステップSD5に進む。報知手段70は例えば「炊飯動作を途中で中止します」等の音声ガイドを行い(SD5)、送電コイル17と冷却ファン13の駆動を中止する(SD6)。そして自動的に主電源を遮断し(SD7)、一連の動作を終了する。
図13に示すステップS27において「No」判定になった場合、つまり異常が検知された場合には、所定の異常対応ステップSC1に進む。異常の内容によっては、直ぐにインバーター回路73を停止させる等の対応を実行するものである。
次に図18の動作について説明する。
この図18は、炊飯ユニット1側の動作ステップを示したものである。
炊飯ユニット1の動作ステップはSR1〜SR15で示している。
炊飯ユニット1を誘導加熱調理器10の上に正しくセットした場合、受電コイル7が送電コイル17によって駆動開始される。使用者が炊飯ユニット1の第2の入力操作手段12を何も操作しなくとも、制御装置50は、サーミスタ5Aや、その他の電流センサー(図示せず)によって炊飯ユニット1の内部構成部品に異常がないかどうかの自己チェックを開始する(SR2)。
そして異常が無かった場合、制御装置50は炊飯ユニット1が正しい位置に載置されていることが分かっているが、次に、誘導加熱調理器10の赤外線信号送受信部34からの赤外線信号を、赤外線信号送受信部35で受信し、赤外線信号送受信部34に向けて応答信号を送信する(SR3)。
その後、蓋体1Bの第1の表示画面11Aを起動し、第2の表示画面11Bは起動しない(SR4)。まだ米の重量計測段階ではないため、第2の表示画面11Bを起動させて表示させる必要がないためであり、また省エネにもなる。
ステップSR4では、報知手段90にて例えば「これから炊飯を開始します」という音声ガイドを行う。
制御装置50は、記憶手段50Rから前回の炊飯で使用された最新の炊飯条件を読み出す。例えば、白米で炊飯量は3合、炊き方は「やわらか」という条件を読み出す(SR5)。
次に読み出した炊飯条件を、第1の表示画面11Aにて表示させる。例えば「白米」という表示をさせ、それを変更するには、スイッチ63を押せば良い。1回押すと「無洗米」、2回押すと「発芽玄米」のように順次次の候補に選択枠が進み、また元の「白米」まで巡回するから、希望の米種を炊飯希望条件として選択できる(SR6)。
同様に、米の銘柄とご飯の炊き加減、すなわちご飯の硬さの情報も、順次読み出して、それらを修正できる(SR7、SR8)。
この段階で、制御装置50は第2の表示画面11Bを起動し、米の重量を計測できることを表示する。また音声報知手段90Vでも報知する(SR9)。
次に米の重量計測工程と報知工程に進む。米の重量を計測する方法と、計測した結果に応じて、内釜3に投入する水の量の適否を第2の表示画面11Bと、音声報知手段90Vで案内するものである(SR9)。このステップについては後で詳しく説明する。
最終的に米の量や種類、銘柄、水の量の調整等を終えた段階で、炊飯スイッチ67を押すと、音声報知手段90Vでは、例えば「米の重量計測結果300gでした。適正水量判定しましたので、炊飯開始します」のような音声ガイドを行う。また第2の表示画面11Bは表示動作を終える(OFFする)(SR10)。
次に「白米で、炊き方は・・・、炊きあがり予想時刻は、18時50分です」のような最終的な炊飯条件を、音声ガイドで行う(SR11)。
制御装置50は、炊飯スイッチ67が押されてから10秒程度経過すると、使用者の取り消し操作は無いと推測し、誘導加熱調理器10に対して所定の「炊飯指令信号」を送信する。この場合の当該指令信号は、赤外線信号送受信部35から赤外線信号送受信部34側へ送信されるものである(SR12)。
ここでいう「炊飯指令信号」は、炊飯工程の詳細を確定する制御プログラムではない。米の量や種類、銘柄等を示す基礎データを送れば、それに基づいて主制御装置80の記憶手段80Rに格納してあるコンピュータソフトウエア(炊飯制御プログラム)を使用して炊飯のための誘導加熱コイル14の通電制御を実行できる。但し、炊飯工程の詳細を確定する制御プログラム自体を直接送信しても良い。
そして次は予熱工程が終わったかどうかを判定し(SR13)、予熱工程が終わったと判定された場合には次のステップ(SR14)に進み、赤外線信号送受信部35から予熱工程が終わったことを示す信号が赤外線で送信される(SR14)。
そして次は炊飯工程が終わったかどうかを判定し(SR15)、炊飯工程が終わったと判定された場合には次のステップ(SR16)に進み、赤外線信号送受信部35から炊飯工程が終わったことを示す信号が赤外線で送信される(SR16)。
図19に示すように、次はむらし工程が終わったかどうかを判定し(SR17)、むらし工程が終わったと判定された場合には次のステップ(SR18)に進み、赤外線信号送受信部35からむらし工程が終わったことを示す信号が赤外線で送信される。
そして、炊飯ユニット1側の報知手段90によって、第1の表示画面でも炊飯終了(むらし終了)が表示され、音声報知手段90でも、炊飯終えて、むらし工程終えていることが音声で報知される(SR19)。以上のステップで一連の炊飯動作を終える。
次に、図20の動作ステップについて説明する。
図20は、図18のステップSR9からSR10までの間を詳しく説明するためのものである。
前記ステップSR9は、図20に示したステップSR9A〜SR9Mまでを含んでいる。
最初のステップSR9Aでは、音声入力モードに自動的に切り替わることを音声報知手段90Vで知らせる。この音声ガイドには、内釜3の中には、米だけを入れておくこと、また蓋体1Bは開いたままにして重量を計測することの説明を含ませてある。そして音声入力モードに自動的に切り替える(SR9B)。
次に重量を計測するモードを希望するかどうか尋ねる音声ガイドを報知手段90が行う(SR9C)。炊飯に習熟している使用者によっては、経験で水の量を適正なレベルにできる場合もあり、炊飯ユニット1での計測を希望しない場合には、音声で「計測しない」など、所定の言葉を話せば、蓋体1Bの適当な個所に設けたマイクを介して音声入力され、通常のステップSR10へ一挙に進む。そして、同時に音声入力モードは自動的に解除される。
ステップSR9Cで、重量計測モードを希望するとの使用者が発声した場合、制御装置50は、蓋体1Bが開いているかどうかを判定する(SR9D)。この判定は、蓋体開放センサー93からの出力を制御装置50が判定して行う。なお、蓋体1Bが開放されていない場合には、音声報知手段90Vで開放するように音声でガイドしても良い。
次のステップSR9Eで、「計測開始」と使用者が発声した場合、制御装置50は、重量計測手段94によって、4つの重量センサー4の計測値から炊飯ユニット1全体の重量を計算で求める(SR9F)。
そして計測した結果を音声で報知する(SR9G)。そしてその重量に見合った水量を計算し、結果を音声報知手段90Vで報知する(SR9H)。この報知を聞いて、使用者が蓋体1Bの開いたままの炊飯ユニット1の内釜3の中に水を注入すると、その注入の過程で重量計測手段94が適正重量と現在の重量との乖離を計算し、音声で知らせる(SR9K)。
このような注水又は入れ過ぎた水の取り出し過程を経て、最終的に適正水量レベルになったと制御装置50で判定された場合(SR9L)は、音声入力モードを自動的に解除することを音声報知手段90Vと第2の表示画面11Bで報知し、前記したステップSR10に進む。すなわち、最終的に米の量や種類、銘柄、水の量の調整等を終えた段階で、適正水量を計測したことを音声報知手段90Vと第2の表示画面11Bで報知する(SR10)。
次のステップSR11では、炊飯スイッチ67を押すことを音声で推奨し、さらに音声報知手段90Vでは、例えば「白米で、炊き方は・・・で炊飯開始します。炊きあがり予想時刻は、18時50分です」のような音声ガイドを行う(SR11)。
この実施の形態1では、このような米の重量計測と水の注入段階で自動的に音声入力モードに設定したため、使用者が水を入れる動作に集中でき、また蓋体1Bを開けたり、閉めて第1の表示画面11Aを確認したりする動作を避けることができ、使用者の利便性を向上させる効果が期待できる。
実施の形態1の総括.
以上の説明から明らかなようにこの実施の形態1においては、第1の発明の電気炊飯器100を開示していた。
すなわち、実施の形態1における電気炊飯器100は、
誘導加熱調理器10と、この上部に載置され、内蔵した内釜3が誘導加熱される炊飯ユニット1とを備えた電気炊飯器100であって、
前記誘導加熱調理器10は、前記内釜3を誘導加熱する加熱コイル14と、当該加熱コイル14の通電条件を設定するため前記加熱コイル14よりも前方側に位置している第1の入力操作手段20とを備え、
前記炊飯ユニット1は、被炊飯物を収容する内釜3と、炊飯条件を設定する第2の入力操作手段12とを備え、
前記誘導加熱調理器10に前記炊飯ユニット1を載置した状態で前記第1の入力操作手段20の上方を前記炊飯ユニット1が覆い隠し、
前記誘導加熱調理器10の上面と炊飯ユニット1の下面の少なくとも何れか一方には、前記第1の入力操作手段20と前記加熱コイル14との間において、前記誘導加熱調理器10の上面と炊飯ユニット1の下面との対向間隔Hを狭める突起部21を備え、
さらに、前記誘導加熱調理器10の前記第1の入力操作手段20上面と炊飯ユニット1の下面との間には、外部に通ずる空隙Sが形成されているものである。
この構成の電気炊飯器によれば、誘導加熱調理器10の上面前方部に配置されている第1の入力操作手段20の過熱を防止することができる。
さらに、実施の形態1における電気炊飯器100は第3の発明となる構成を備えていた。
すなわち、実施の形態1の加熱調理システムは、
上面にトッププレート22を備えた誘導加熱調理器10と、前記誘導加熱調理器10の前記トッププレート22上に近接又は接触するように置かれて内蔵した内釜3が誘導加熱される炊飯ユニット1と、を備え、
前記誘導加熱調理器10は、前記内釜3を誘導加熱する加熱コイル14と、当該加熱コイル14の通電条件を設定するため前記加熱コイル14よりも前方側に位置している第1の入力操作手段20とを備え、
前記炊飯ユニット1は、炊飯条件を設定する第2の入力操作手段12を備え、
前記誘導加熱調理器10に前記炊飯ユニット1を載置した状態で前記第1の入力操作手段20の上方を前記炊飯ユニット1が覆い隠し、
前記第1の入力操作手段20と前記加熱コイル14との間において、前記誘導加熱調理器10の上面と炊飯ユニット1の下面と間には、外部に通ずる空隙Sが形成され、
前記空隙Sよりも後方で前記炊飯ユニット1の底面と前記誘導加熱調理器10の前記トッププレート22との対向部には、当該炊飯ユニット1と前記誘導加熱調理器10との間で赤外線信号を通過させるための窓37を形成し、
前記誘導加熱調理器10は、前記炊飯ユニット1による炊飯工程を開始する前に、前記赤外線信号によって前記炊飯ユニット1の載置を確認し、この後前記第1の入力操作手段20の入力操作を無効化するものである。
この第3の発明の加熱調理システムによれば、誘導加熱調理器10の上面前方部に配置されている第1の入力操作手段20の過熱を、前記空隙Sによって防止することができるとともに、前記炊飯ユニット1による炊飯工程を開始する前に、前記赤外線信号によって前記炊飯ユニット1の載置を確認し、この後誘導加熱調理器10の第1の入力操作手段20の入力操作を無効化するので、所定の炊飯ユニット1を使用する場合、第1の入力操作手段20によって不用意な入力操作がされることを防止できるものである。
さらに、実施の形態1における電気炊飯器100は、第4の発明となる構成を備えていた。
すなわち、実施の形態1の加熱調理システムは、
上面にトッププレート22を備えた誘導加熱調理器10と、前記誘導加熱調理器10の前記トッププレート22上に近接又は接触するように置かれて内蔵した内釜3が誘導加熱される炊飯ユニット1と、を備え、
前記誘導加熱調理器10は、前記内釜3を誘導加熱する加熱コイル14と、当該加熱コイル14の通電条件を設定するため前記加熱コイル14よりも前方側に位置している第1の入力操作手段20とを備え、
前記炊飯ユニット1は、炊飯条件を設定する第2の入力操作手段12を備え、
前記誘導加熱調理器10に前記炊飯ユニット1を載置した状態で前記第1の入力操作手段20の上方を前記炊飯ユニット1が覆い隠し、
前記第1の入力操作手段20と前記加熱コイル14との間において、前記誘導加熱調理器10の上面と炊飯ユニット1の下面と間には、外部に通ずる空隙Sが形成され、
前記空隙Sよりも後方で前記炊飯ユニット1の底面と前記誘導加熱調理器10の前記トッププレート22との対向部には、当該炊飯ユニット1と前記誘導加熱調理器10との間で、炊飯工程開始前及び炊飯工程開始後において赤外線信号を通過させるための窓37を形成し、
前記誘導加熱調理器10は、前記炊飯ユニット1による炊飯工程を開始する前に、前記赤外線信号によって前記炊飯ユニット1の載置を確認し、この後前記第1の入力操作手段20の入力操作を無効化し、さらに前記誘導加熱調理器10は、前記赤外線信号によって前記炊飯ユニット1が所定の炊飯工程を終了したことを検知した場合、前記第1の入力操作手段20において、入力操作が無効化されている状態を解除するものである。
この第4の発明の加熱調理システムによれば、誘導加熱調理器10の上面前方部に配置されている第1の入力操作手段20の過熱を、前記空隙Sによって防止することができるとともに、前記炊飯ユニット1による炊飯工程を開始する前に、前記赤外線信号によって前記炊飯ユニット1の載置を確認し、この後誘導加熱調理器10の第1の入力操作手段20の入力操作を無効化するので、所定の炊飯ユニット1を使用する場合、炊飯動作中においては第1の入力操作手段20によって不用意な入力操作がされることを防止できるものである。また炊飯工程が終われば自動的に入力操作の無効状態が解除され、誘導加熱調理器10単体での使用に支障となることはない。
この実施の形態1にて説明したように、第5の発明の加熱調理システムは、
上面にトッププレート22を備えた誘導加熱調理器10と、前記誘導加熱調理器10の前記トッププレート22上に近接又は接触するように置かれて使用され内釜3を内蔵した炊飯ユニット1と、を備え、
前記誘導加熱調理器10は、前記内釜3を誘導加熱する加熱コイル14と、当該加熱コイル14の通電条件を設定するため前記加熱コイル14よりも前方側に位置している第1の入力操作手段20とを備え、
前記炊飯ユニット1は、炊飯条件を設定する第2の入力操作手段12を備え、
前記誘導加熱調理器10に前記炊飯ユニット1を載置した状態で前記第1の入力操作手段20の上方を前記炊飯ユニット1が覆い隠し、
前記第1の入力操作手段20上面と前記炊飯ユニット1の下面との間には、外部に通ずる空隙Sが形成され、
前記空隙Sよりも後方で前記炊飯ユニット1の底面と前記誘導加熱調理器10の前記トッププレート22との対向部には、当該炊飯ユニット1と前記誘導加熱調理器10との間で炊飯制御のための情報を伝達する赤外線信号を通過させるための窓37を形成し、
前記誘導加熱調理器10又は炊飯ユニット1は、前記炊飯ユニット1による炊飯工程中又は予約炊飯の期間中の少なくとも何れか一方の場合、前記赤外線信号によって前記炊飯ユニット1の載置を確認し、所定の基準位置に前記炊飯ユニット1が無いと判定したときは、炊飯工程の進捗度合に応じて、炊飯動作を継続するか中止するかを決定する処理を行うとともに、炊飯動作継続又は中止の段階で、事前に報知(図15のSA8、図16のSB2とSB10、図17のSD5とSD8等)することを特徴とする構成である。
この構成の加熱調理システムによれば、その上面前方部に配置されている第1の入力操作手段20の過熱を防止することができる。
また炊飯ユニット1による炊飯工程を開始する前又は後で、前記赤外線信号によって前記炊飯ユニット1の載置を確認し、炊飯工程の進捗度合、すなわち、炊飯開始からの経過時間や内釜3の温度情報に応じて、炊飯動作を継続するか中止するかを決定する処理を行うとともに、炊飯動作継続又は中止の段階で、事前に使用者へ報知するので、使用者の使用上の誤解や誤操作を防止できるという利点がある。
なお、炊飯工程の進捗度合を、炊飯開始からの経過時間だけではなく、内釜3の温度情報も加味して判断するように主制御装置80又は制御装置50の制御プログラムを変更しても良い。
実施の形態2.
図21〜図23は、本発明の実施の形態2に関するものである。図21は、電気炊飯器の側方から見た縦断面図である。図22は、図21の電気炊飯器の前方の拡大縦断面図である。図23は、図21の電気炊飯器の制御関係構成を示すブロック図である。なお、実施の形態1と同一又は相当部分には、同一の符号を付し、重複した説明を省略している。
この実施の形態2における電気炊飯器100は第2の発明となる構成を備えているものである。
すなわち、この実施の形態2の電気炊飯器100は、誘導加熱調理器10と、この上部に載置され、内蔵した内釜3が誘導加熱される炊飯ユニット1とを備えた電気炊飯器100であって、
前記誘導加熱調理器10は、前記内釜3を誘導加熱する加熱コイル14と、当該加熱コイル14の通電条件を設定するため前記加熱コイル14よりも前方側に位置している第1の入力操作手段20とを備え、
前記炊飯ユニット1は、被炊飯物を収容する内釜3と、炊飯条件を設定する第2の入力操作手段12とを備え、
前記誘導加熱調理器10に前記炊飯ユニット1を載置した状態で前記第1の入力操作手段20の上方を前記炊飯ユニット1が覆い隠し、
前記第1の入力操作手段20と前記加熱コイル14との間において、前記誘導加熱調理器10の上面と炊飯ユニット1の下面と間には、外部に通ずる空隙SSが形成され、
前記空隙SSに対応して前記炊飯ユニット1の底面には、当該炊飯ユニット1に内蔵された冷却ファンの冷却風を流すための通気孔を形成しているものである。
この実施形態2の発明の電気炊飯器100によれば、誘導加熱調理器10の上面前方部に配置されている入力操作部の過熱を、炊飯ユニット1に流れる冷却風によって防止することができる。
実施の形態2に係る電気炊飯器100について以下詳細に説明する。
図21において、103は、実施の形態1の永久磁石30に代えて設置したICタグである。このタグの情報を読み取るリーダー(ICタグ情報読み取り部)104は、実施の形態1の載置検知センサー(リードスイッチ)31に相当するものである。
図21において、105は、誘導加熱調理器10の底面の4隅部に取り付けた支持脚部であり、この内部には、実施の形態1の重量センサー4に相当する重量センサー4(図示せず)が配置されている。
図22において、22Aは、誘導加熱調理器10の上面を構成するトッププレート22の周囲(前後左右)に形成した傾斜部である。つまり、傾斜部よりも内側は、最も外周縁部の上面に比較して、10mm程度高くなっている。
図22において、106は、炊飯ユニット1の底板39の下面に一体に形成した突起部である。この突起部は、図22から明らかなように前記傾斜部22Aの周囲を囲むように、底板39の下面に平面視で正方形又は長方形に形成されている。
前記突起部106は、図22に示すように前記傾斜部22Aの外側に嵌合する形になっている。なお、傾斜部22Aと突起部106とは、密着していなくとも良く、数mm程度の隙間を保っていることでも良い。この傾斜部22Aと突起部106との嵌合により、前記炊飯ユニット1が誘導加熱調理器10の上で前後左右に不用意に移動しないようなストッパー機能が発揮される。
前記突起部106の突出高さは、周縁部の下端面と面一で良く、特に下方へ大きく突出させる必要はない。大きく突出させると、炊飯ユニット1をテーブル等の上に置いた際に安定性が悪くなる。
130は、冷却ファンであり、炊飯ユニット1の内部、特に内釜3の底部やその周囲に熱気が滞留することを抑制するために設置されている。107は、その冷却ファン130の吸気風路を構成する通気孔であり、手指が挿入できない程度の口径数mm程度の円形の孔や細いスリット状である。太い矢印は、冷却ファン130に吸引される冷却用空気の流れを示している。
図23において、194は、米の重量を計測する重量計測手段であり、前記重量センサー4(図示せず)を備えている。なお、この重量計測手段は、実施の形態1のように炊飯ユニット1だけを計測するものではなく、炊飯ユニット1を載置した状態での誘導加熱調理器10の重量を計測するものである。
この実施の形態2においても、基本的な動作は実施の形態1と同じであるので、実施の形態1と同等な効果が期待できる。
実施の形態3.
図24〜図26は、本発明の実施の形態3に関するものである。図24は、電気炊飯器の前方下部の縦断面図である。図25は、図24に示した電気炊飯器の前方部にある操作入力部の縦断面図である。図26は、図24に示した電気炊飯器の左側面下部の縦断面図である。なお、実施の形態1と同一又は相当部分には、同一の符号を付し、重複した説明を省略している。
この実施の形態3における電気炊飯器100は、特に誘導加熱調理器10の前方部にある第1の入力操作手段20の温度上昇を抑制すること、及び炊飯ユニット1の左右側面部の温度上昇も抑制して、安全性の高い炊飯器を提供することを目的にした構成を備えているものである。
図24に示しているように、炊飯ユニット1は、その底板39は平面視で長方形又は正方形に近い形状であり、その周辺4隅の下面には、プラスチック製又はゴム製の支持脚2が固定されている。支持脚は、上部が太く、下部に行くに従って細くなる形状であるため、周囲は傾斜面2Sとなっている。
CLは、垂直方向に伸びた中心線であり、前記支持脚2の中心を示している。この図24から分かるように、炊飯ユニット1の前面と誘導加熱調理器10の外郭の前壁面10Fの位置は、ほぼ面一になっている。そして、その前壁面1F、10Fから所定距離離れたところに前記支持脚2が配置されている。
支持脚2の傾斜面2Sが、トッププレート22が途中から上方へ盛り上がる傾斜部22Aの所に当り、これよりも後方には支持脚2は移動しにくい構造である。つまり、炊飯ユニット1が後方へ簡単に移動しないように支持脚2と傾斜部22Aがストッパーになっている。
この構造であるため、後部垂直部16に炊飯ユニット1を最も接近させた状態(基準位置)にするには、この支持脚2が図24に示しているように傾斜部22Aに当るまで後ろに移動させれば良い。
なお、支持脚2の位置は、図24に示すように第1の入力操作手段20の前後方向の幅20Wの中にあるため、炊飯ユニット1の前方側にある2つの支持脚2は、第1の入力操作手段20の位置を避けるよう、左右方向に離れて設けてある。これによって支持脚2が第1の入力操作手段20を上方から押すという事態は発生しない。このことは、次の図25からも明らかである。
図25について説明する。
赤外線信号を透過させる窓37は、赤外線透過させるガラス板等で密閉状態に覆われている。そしてこの窓37はトッププレート22の傾斜部22Aに形成したところがこの実施の形態3の1つの特徴である。
赤外線信号は、図25に破線IRで示すように垂直ではなく、前方に傾いた方向になる。またHZは、炊飯ユニット1やその他金属鍋等が載置されて誘導加熱される最大外周範囲を示している。この範囲は、加熱コイル14の最大外径寸法によって定まる。
トッププレート22上での一般的な鍋やフライパン等の調理器具での調理時に、溢れた調理液や調理の具材等で窓37が覆われる可能性があり、それを放置すると固形化して汚れがこびりついてしまう懸念がある。
そこで、この実施の形態3では重要な窓37が汚れにくいようにトッププレート22の傾斜部22Aに配置したものである。また前方から第1の入力操作手段20を操作するときに、窓37が前方側から目視しやすいので、汚れがあった場合でも使用者がそれに気が付きやすいという利点もある。
次に図26について説明する。
この図26は、図24に示した電気炊飯器の左側面下部の縦断面図である。図示していないが、右側面下部の形状は、この図26と左右対称になる。
図26から分かるように、トッププレート22は、炊飯ユニット1の底板39と出来るだけ接近して誘導加熱できるようにするため、左右端部の一部(横幅WL)を除いて一段と高くしている。言い換えると左右端部には、ほぼ垂直に立ち上がった段部22L、22R(図示していない)が一体に形成されている。
図26において、1Pは、炊飯ユニット1の外郭を構成するプラスチック製のケースの下部内側に、一体成型で形成した突起部(又は、「リブ」ともいう)である。この突起部1Pは、炊飯ユニット1のケースの下部内側に、一定の間隔(例えば30〜50mm)で形成されている。この突起部1Pの先端が、図26に示しているように前記段部22Lに接触又は近接している。このため、仮に誘導加熱調理器10の上に正しく置かれた炊飯ユニット1は、前記突起部1Pがあるため、左右方向の不用意な移動が防止される。
このため、図26に示すように、炊飯ユニット1のケースの少なくとも左右の下部には、所定の横幅寸法WLの空隙Sが形成される。しかも、その空隙は、対向間隔G1の隙間を介して外部と連通しているので、空隙Sに熱気が籠ることが防止され、炊飯ユニット1のケースの温度上昇を抑制できる。仮に炊飯動作中に、使用者が炊飯ユニット1の左側面下部に触れても、トッププレート22の段部22Lのところには手が触れることはない。
図26に示しているように、この実施の形態3では、トッププレート22は、炊飯ユニット1の底板39と接近又は接触する部分と、左右の周辺部は別部材で形成しており、周辺部22Tは熱伝導性の低いプラスチック材料で形成しており、このため、(左側と右側の)周辺部22Tの温度上昇を特に抑制できる。なお、前方と後方の周辺部も同様に別部材で形成しても良い。
トッププレート22において、炊飯ユニット1の底板39と接近又は接触する部分は耐熱性が高く、かつ加熱コイル14からの磁力線を透過させやすい材料を選ぶ必要がある。これに対し、左右の周辺部は別部材で形成すれば、そのような高耐熱性材料を使用しなくとも良いので、コスト的にも有利である。
この実施の形態3においても、基本的な動作は実施の形態1と同じであるので、実施の形態1と同等な効果が期待できる。
さらにこの実施の形態3では、炊飯ユニット1の外郭ケースの温度上昇を抑制でき、また炊飯ユニット1の設置安定性を高める効果が期待できる。
実施の形態4.
図27〜図32は、本発明の実施の形態4に関するものである。図27は、1つの家屋(家庭)の全体像を示す説明図である。図28は、図27に示した電気炊飯器の縦断面図である。図29は、図27に示した電気炊飯器の蓋体の平面図である。図30は、図27に示した家庭における誘導加熱調理器と電力指令装置との連携関係を時系列に示す説明図である。図31は、電気炊飯器の予約炊飯動作のステップを示すフローチャートである。図32は、誘導加熱調理器の監視と通知動作を示すフローチャートである。なお、実施の形態1と同一又は相当部分には、同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
この実施の形態4における電気炊飯器100は、特に誘導加熱調理器10が備えた通信機能によって使用者の利便性を更に向上させることを目的にした構成を備えているものである。
また誘導加熱調理器10の内部構造を改良し、加熱コイルの冷却効率向上を図っているものである。
以下、図27〜図32を参照して、実施の形態4を説明する。
この実施の形態4で、「家電機器」EEとは、主に家庭で使用されることを想定して設計された電気機器をいい、電気炊飯器100等のキッチン内家電機器、テレビジョンの受像機等の映像機器、空気調和機、電気掃除機、電気洗濯機(乾燥機能付きを含む)、お風呂に使用される給湯機器等含むが、これに限定されない。なお、以下の説明では、家電機器EEという場合には、特に断りがない限り、電気炊飯器100を含む。
この実施の形態4で家電機器EEの「識別情報」とは、家電機器EEを特定するための情報で、家電機器EEに固有の情報のことであり、的確な修理や点検を行う場合に必要となる重要な情報である。例えば、具体的には、以下のようなものが識別情報に含まれるが、これらには限定されない。なお、家電機器EEについては、あとで詳しく説明する。
(1)家電機器の製造者名
(2)型名
(3)形式番号
(4)定格消費電力
(5)購入年月日(製造業者や販売業者の品質保証期間の起算日になる場合が多い)
(6)使用開始年月日(食器洗い乾燥機では、法定点検時期の起算日になる)
(7)品質保証書番号
この実施の形態4でいう「統合管理装置」200とは、2つ以上の家電機器EEを連携して動作させるための装置をいう。例えば、本発明の対象となる電気炊飯器100と、他の家電機器EE、例えば空気調和機や換気装置とを連携させる装置をいう。「連携」とは、一方の運転状態を示す情報や取得したデータを、他方の家電機器が運転や表示等に利用することをいう。このため、統合管理装置200は、家電機器EEの運転や停止、待機状態等の現在状況に関する情報を、有線又は無線信号で家電機器EEから取得する機能を有する。
この実施の形態4でいう「電力指令装置」とは、「統合管理装置」200の内、消費電力の制限機能を有し、1つの家庭における総消費電力の上限を規制する機能を備えたものをいう。1つの家電機器において、「統合管理装置」が「電力指令装置」を兼ねている場合がある。また1つの家電機器の「電力指令装置」が、他の家電機器についても電力指令装置であるとは限らない。以下の説明では、電力指令装置と統合管理装置では、共に参照符号は200を用いる。
この実施の形態4でいう「居住者」とは、後述する1つの家屋に居住する者をいい、血縁関係にある親子、兄弟、姉妹等を含むが、後述する居住空間HAに所定期間だけ臨時で宿泊する訪問者や、生活を共にするその他の者を含んでいる。1つ又は複数の居住空間を1人又は数人で借用している者も含む。なお、電気炊飯器100やその他家電機器EEを使用した場合には、居住者を「使用者」と呼ぶ。
この実施の形態4では、「家庭」とは、特定の管理者が管理する1つの家屋を意味しており、複数の部屋があり、複数の家族が入居している集合住宅も含む場合がある。すなわち、そのような集合住宅でも、1つの家屋の場合と同様に商用電力の上限が1つの電力遮断機器(1つのブレーカーBK、あるいは複数の電力遮断器等)で、一元管理されている場合は、ここでいう家庭とみなす。
本実施の形態4において、後述する統合管理装置(「電力指令装置」ともいう)200の「動作情報」とは、1つの家庭に設定されている上限の総電力量を示す情報、現在使用している使用電力量を示す情報、前記総電力量と使用電力量の差を表す情報、前記電力指令装置200が制御対象にしている家電機器EEを具体的に特定する名称等の情報、当該家電機器EEの使用状態を示した情報、各家電機器EEで使用されている電力量の情報(例えば1分間の平均電力量)等をいうが、これに限定されるものではない。
本実施の形態4において、「家電機器側の電力制限情報」とは、電力指令装置200から家電機器が受けた電力消費量に関する何らかの信号に関する情報をいい、後述する電力削減要請信号AS1、電力削減指令信号AS2等のような指令に関する情報を含んだものをいう。それら情報には、その信号の受信時期(年月と秒単位の時刻)と信号の意味を示す情報が含まれる。例えば、後述する電気炊飯器100に対するある時点の電力削減指令信号AS2について「受信時刻:2017年5月1日 17時00秒 瞬間最大消費電力量を2%下げ」のような情報である。なお、この家電機器側の電力制限情報は、家電機器、例えば電気炊飯器100では、その全体を制御する主制御装置80の記憶手段80Rの中に時系列で記憶されており、主電源を遮断しても消えない。主電源投入と遮断を1回の調理と考えて、少なくとも10回分は記憶保持されるようになっている。それを超えた分が順次自動的に消去される。
本実施の形態4において、「家電機器側の位置情報」とは、居住空間HAの中のどの部屋に、家電機器が存在しているのかを示す情報(コード)であり、例えば居間はコード001、キッチンはコード002、寝室は003、のように事前に電力指令装置200の中央制御部によってルール化されており、家電機器EEを使用して電力指令装置200の(電力)制御対象になる場合には、その家電機器の識別情報とともに当該位置情報が電力指令装置200に登録される。なお、電力指令装置200の(電力)制御対象ではない家電機器EEであっても、その設置位置、使用場所を示す最新の位置情報を発信させても良い。
キッチンの厨房家具の中に設置されて使用されるビルトイン式の誘導加熱調理器や、壁に固定して使用される空気調和機のように、最初の設置位置が変化しない(非可搬式)家電機器EEの場合は、そのまま永続的に位置情報を利用できる。
この実施の形態4の説明では、電気炊飯器100やその他個々の可搬性家電機器の最新の位置を把握する手段についての詳細な説明は省略する。
(全体構成)
図27は、本実施の形態4の電気炊飯器100を使用した1つの家屋の例を示している。図27において、HA1は1つの家屋の居住空間(キッチン)を示す。なお、他の居住空間はこの図27には示していないが、そのほかに「居間」や「浴室」等があり、これ以外の部屋があっても良い。
全ての居住空間HAには、家屋の外部にある電力会社の商用電源71から例えば、電圧が200Vの電力が供給されている。その電力は、電力量計110を介して家屋の内部に引き込まれている。111は、電圧が200Vの前記商用電源71にブレーカーBKを介して接続された電源線(主幹線)である。前記電源線111には、各種家電機器EEがそれぞれ接続されている。電気炊飯器100以外の家電機器は図示を省略している。
200は、ブレーカーBKを介して電力が供給される電力指令装置(統合管理装置を兼ねている)であり、居住空間HA(キッチン)の壁面等のように、家族が容易に接近できる場所に壁掛け状態で設置されているか、又は床面の上に置いてある。
図27において、ADは、電源タップである。なお、この実施の形態4では、居住空間HAの各家電機器EE自体から、設置されている居住空間HAを示す位置情報、部屋情報等の識別コードを電力指令装置200に対して送信するため、この電源タップは省略しても良い。
図27において、112は、前記電力指令装置200に接続されたルーターであり、このルーターは、電力削減指令信号や電力逼迫情報等を発信する地域電力会社や公共機関、情報提供機関等の外部機関113にインターネット等の広域の通信回路網(「通信ネットワーク」又は「インターネット」ともいう)114を介して接続している。
115は、情報通信端末機器である。この実施の形態4でいう「情報通信端末機器」115は、使用者が気軽に携帯して屋内や屋外、その他外出先等で通話やデータ(メール情報を含む)の通信を行える端末機器のことである。電話はできないが、インターネットで情報をダウンロードしたり、メールを送信したり、遠隔操作信号を発信できる機器は「携帯用通信機器」と呼ぶ。持ち運びできる小型のパーソナル・コンピュータも、情報通信端末機器の1種である。
本実施の形態4における情報通信端末機器115は、各家電機器EEの入出力部に数センチメートル程度接近させ(又は接触させても良い)、近距離通信で信号の授受をさせる機能を備えている。なお、この近距離通信とは、Near Field Communication(略称:NFC)としてとして知られている無線通信の国際規格技術のことである。
このNFCの通信では、家電機器EE側に、いわゆる無線タグ(NFCタグ)が埋め込まれている。当該NFCタグは、NFC用の通信制御IC(以下、「NFC制御回路」という)と、この制御回路に接続されていて、外部から所定の周波数の無線を受けると前記制御回路のための電力が発生するアンテナと、前記NFC制御回路に接続されているマイクロチップメモリー(以下、「NFC記憶部」という)とから構成されている。
一方、情報通信端末機器115側では、そのNFCタグを介して家電機器EEの1つである前記電気炊飯器100の(炊飯ユニット1の)NFC記憶部(図示せず)からデータを読み取る(ステータス情報を取得)こと、さらには、逆に情報通信端末機器115側から制御データ(制御コマンド)を前記炊飯ユニット1のNFC記憶部(図示せず)へ送り、制御装置50が、前記NFC記憶部に記憶された前記制御コマンドに従って制御動作することができる(このような形式のNFCタグを、「アクティブ・タグ」と呼ぶ場合がある)。電気炊飯器100以外の家電機器EEでも同様な構成を備えている。つまり、この実施の形態4のNFCは、家電機器EEの内部記憶装置にある情報を、情報通信端末機器115側で読み出す機能(このような機能のNFCタグを、「単純タグ」と呼ぶ場合がある)だけではなく、家電機器EE側の動作も情報通信端末機器115からの制御コマンドによって起動できる機能まで保有している。言い換えると、情報通信端末機器115は、家電機器EEからの各種情報の読み出しだけではなく、NFC記憶部への書き込み機能を有しており、リーダーとライターの2つの機能を保有している。
なお、NFCの利点は、一般的には通信で交換できるデータの形式を制限しておらず、テキストデータは勿論、動画やXMLデータ等を交換できる点にあると言われている。
通信回路網114には、図示していないが、中継サーバーを介して情報通信端末機器115の基地局が接続されており、情報通信端末機器115から当該基地局を介してルーター112にアクセスすることができるようになっている。つまり、この家庭の居住者が所有している情報通信端末機器115を、遠隔地から通信回路網114に接続すれば、電力指令装置200に接続することができる。
また当該電力指令装置200を介して電気炊飯器100の無線通信部26(図2参照)に接続し、居住空間HAから離れた場所より遠隔制御することができる。但し、この実施の形態4においては、情報通信端末機器115から電気炊飯器100やその他家電機器EEに対する直接的な遠隔操作はできないようにしてある。これは家電機器EEの中には、電熱調理器等のように室内へ直接放射熱を発するものもあるため、家屋の外から多くの人が利用する通信回路を経由して遠隔操作することは、安全面を考慮して採用せず、その代わり、全て電力指令装置200を経由した操作となるようにしている。
家屋の内部では、ルーター112や家庭用サーバー(図示せず)、ローカルネットワーク設備(図示せず)を経由して電気炊飯器100と接続できるようにしても良い。
次に図28について説明する。図28は、電気炊飯器100全体を、実施の形態1の図2と同じように真横から見た場合の縦断面図である。一部構成については断面表示(ハッチング)を省略している。
誘導加熱調理器10は、その内部空間に、冷却ファン13と、薄い円盤状(ドーナッツ状)に巻いた加熱コイル14と、送電コイル17と、平面視で円形の防磁板19と、制御装置50と、キッチン等の室内空気の温度を検出する外気温度検出手段15と、を備えている。
前記防磁板19は、誘導加熱調理器10の内部空間を横に仕切るような高さを有しており、この防磁板19と、水平に設置された大きな平面積のプラスチック製仕切り板96とによって、平面視で円形の部屋97が区画されている。
前記部屋97は、加熱コイル14を収容している。前記冷却ファン13は、この部屋97よりも後部にあって、吹出口は前方に、また吸気口は後方になるように縦に設置してある。
98は、通気口であり、前記部屋97を構成する防磁板19の後部に形成してある。
前記冷却ファン13から吹出された冷却風は、この通気口98から部屋97の中を貫通するように進み、左側方に設けた排気口(図示せず)を介して、誘導加熱調理器10の外部へ放出される。
なお、冷却ファン13を、図28において更に右側に配置し、冷却ファン13の冷却風で、前記送電コイル17を先に冷却してから、部屋97の中を冷却するようにしても良い。
あるいは、部屋97の手前で風路を2つに分岐させ、1つは送電コイル17側に、残りの1つは部屋97に送風するようにしても良い。
99は、冷却ファン13から見て冷却用空気流の上流側に配置した風向板である。
図28に太い矢印で示したものは、冷却ファン13によって誘導加熱調理器10の内部空間に発生する冷却風の流れである。
図28から明らかなように、この実施の形態4では、主制御装置80の背後側の吸気孔から居住空間HAに新鮮な空気が吸引され、その冷却風は主制御装置80の周囲を流れてそれを冷却し、その後で前記部屋97に送り込まれる。このため、加熱コイル14が効果的に冷却されるとともに、その真上に存在するトッププレート22も冷却される。
96Aは、前記仕切り板96の中央部に形成した透孔である。この透孔は、内釜3から放射される赤外線を感知して非接触で温度を感知する赤外線温度センサー5Bの真上に形成され、赤外線を通過させるように開口している。
前記仕切り板96によって、その下方には防磁板19で囲まれた下部空間108が区画され、この空間に支持基板32によって固定された赤外線温度センサー5Bが配置されている。この構造であるため、赤外線温度センサー5Bは、加熱コイル14からの高熱を受けにくいので、より正確な温度検知ができる。
また、炊飯ユニット1との間で重要な制御情報を伝達する手段である赤外線信号送受信部34は、前記部屋97の前方側にあり、加熱コイル14とは防磁板19を挟んで反対側にある。このため、この赤外線信号送受信部34も加熱コイル14からの熱的な影響を受けにくい。また第1の入力操作手段20についても同様に、温度上昇が避けられる構成である。
なお、防磁板19によって部屋97を区画形成していたが、防磁板に添って例えばプラスチック板等を配置しても良い。つまり、部屋97の全部を防磁板19で構成する必要はない。
次に図29について説明する。図29は、図27に示した電気炊飯器の蓋体の平面図である。
図29において、20は、電気炊飯器100の炊飯ユニット1の第2の入力操作手段(入力操作部)であり、炊飯動作を開始したり予約を確定したりする「炊飯開始スイッチ」67、炊き上がった米飯を一定の所定の温度で保温するモードを指令する「保温スイッチ」75、通常の炊飯やおかゆや炊き込みご飯などの各種炊飯メニューの選択を行う「メニュースイッチ」65、白米や玄米など炊飯するお米の種類を選択して入力する「お米種類スイッチ」63、炊飯ユニット1の状態と次に必要な操作を音声にて報知したり報知する音量を調整したり音声モードの入り切りを行う「音声ナビゲージョン用スイッチ」76、予約炊飯機能の設定を行う「予約スイッチ」68、各種入力操作やモードを取り消し又は切るための「切/取消スイッチ」66、炊き方(炊き加減)の「ふつう」、「かため」、通常炊飯とは異なる「おかゆ」をそれぞれ選択できる「炊き方スイッチ(硬さスイッチ)」64を、それぞれ備えている。
これら各スイッチは、使用者が押すことによって内蔵された電気接点が閉じられ、入力信号が発生するような機械的スイッチ又は静電容量式のタッチ式スイッチの何れでも良く、また組合せて使用しても良い。前記保温スイッチ75は、むらし工程が終わったあとに操作されると、保温モードを開始する。
77は、一度押すことによって消費電力を所定量だけ減らすことができる節電スイッチである。例えば、予熱工程でこの節電スイッチを押すと、最初の数分間だけ消費電力が減らせるが、その分予熱工程の所要時間が長くなるので、液晶表示画面等で構成される第1の表示画面11Aには、その旨注意事項が表示され、また前記音声ガイド(ナビゲージョン)用スイッチ76をその都度押さなくても「節電モードを選択しました。予熱工程の時間が数分間延びます」というような案内が行なわれる。
78は、一度押すことによって、健康的な炊飯に関する情報を第1の表示画面11Aに表示する健康情報表示スイッチである。なお、このキーを押した場合、誘導加熱調理器10の無線通信部26と電力指令装置200を介して外部機関113の情報サーバーから、米や炊飯方法等の情報を入手できる。
91は、NFC入出力部を有した情報通信端末機器115を接近させて、近距離無線通信を可能とするためのNFC入出力部であり、蓋体1Bの上面に接近してその内部に埋め込まれている。さらに蓋体1B上面には、NFC入出力部91の無線タグ(NFCタグ)91Tの位置を使用者が容易に視認できるよう、情報通信端末機器115を接近又は接触する目標位置を「TOUCH」と文字で表示している。
図29において、81は、前記第1の表示画面11Aに表示された電力優先情報であり、電力削減要請信号AS1、電力削減指令信号AS2等のような指令に関する情報を、無線通信部26で受信した場合、誘導加熱調理器10の主制御装置80が炊飯ユニット1に、赤外線信号送受信部34を介して赤外線信号で情報を転送し、それを受けて制御装置50が前記第1の表示画面11Aの駆動回路(図示せず)に表示を指令している。但し、炊飯ユニット1が予熱工程や炊飯工程を実行中の期間中だけ表示する。
82は、同じく第1の表示画面11Aに表示された沸騰工程表示情報である。この図28に示した状態は、現在炊飯工程実行しており、内釜3の内部は沸騰状態であるが、電力指令装置200から電力削減要請信号AS1と電力削減指令信号AS2を受信しても、電力を削減するような対応をしない家電機器(電気炊飯器)であることが、使用者には容易に分かる。
次に図30について説明する。図30は、図27に示した居住空間における誘導加熱調理器10と電力指令装置200との連携関係を時系列に示す説明図である。
図30において、L1〜L10が、電気炊飯器100から電力指令装置200に送信される運転情報信号である。
図30において、破線で示す四角の枠は、誘導加熱調理器10が炊飯ユニット1のために関係する範囲を示している。
L1は、誘導加熱調理器10に商用電源71が接続された主電源投入(ON)を示す信号である。なお、誘導加熱調理器10に主電源を投入する電源スイッチがある場合には、当該スイッチを押してONした時点で発信される。
L2は、予約炊飯モードを選択した情報である。L3は、炊飯開始の予約時刻が接近した場合(例えば、予約炊飯の設定時刻の5分前)、発信される予告情報(「開始要請信号」ともいう)である。
図30において、KSは、前記開始予告情報(「開始要請信号」ともいう)L3から短時間(通常は数秒以内)の内に、電力指令装置200から発信される「炊飯開始許可信号」である。この信号が電気炊飯器100に届かない限り、電気炊飯器100の主制御装置80は、実際の加熱開始指令信号を、インバーター回路73に発信しない。
L4は、運転情報信号の1つであり、実際にインバーター回路73が駆動され、誘導加熱動作を開始し、予熱工程が開始されたことを示す。
L5は、炊飯工程が開始されたことを示す運転情報信号である。L6は、炊飯工程が終わったことを示す運転情報信号である。この炊飯工程の実行時間帯には外部からの操作や指令によって電力の削減が行われない。つまり、この電気炊飯器100が実際に電力削減指令信号AS2を受信しても、電力が削減されるのは、次の運転情報信号L6以降である。なお、電力指令装置200では、電気炊飯器100を電力削減対象電気機器に登録しておいても、当該電力指令装置200は、炊飯工程であるとの運転情報信号L5を受けると、電力削減指令信号AS2を受信しても、それに応じて電気炊飯器100に、電力削減指令信号を発信しないようになっている。
L6は、炊飯工程が終了した運転情報信号を示す。L7は、むらし工程が終了したことを示す。L8は、保温工程開始を示す運転情報信号である。L9は、保温工程終了を示す運転情報信号である。なお、保温工程は、蓋体加熱手段9Aと内釜側面加熱手段9Bの2つだけを通電して行う。
L10は、商用電源71と誘導加熱調理器10との接続を遮断した主電源遮断(OFF)を示す信号である。これら各情報L1〜L10には、その現在時刻が秒単位まで含まれている。なお、各運転情報信号に対する電力指令装置200側からの応答信号もあるが、詳細な説明は省略する。
電力指令装置200は、電気炊飯器100の要求電力に対して(他の家電機器EEよりも)優先順位を最も高くして、電気炊飯器100の要求電力を最優先で確保するようにしているので、ブレーカーBKの定格容量が超えそうになっても、あるいは使用者が指定した上限の電力容量を超えそうになっても、沸騰工程において電力が削減されることがなく、美味しいご飯を炊くことができる。
(電気炊飯器の予約炊飯動作)
次にこの実施の形態4の特徴の1つである電気炊飯器100の予約炊飯動作について、図31を参照しながら説明する。
ステップSE1〜SE8までが予約炊飯の設定までの動作を示しており、炊飯ユニット1の制御装置50の動作である。
使用者が、第1の入力操作手段20の予約スイッチ68を押し、炊飯時刻の設定を行い、最後に炊飯開始スイッチ67を押すと、予約炊飯の設定確定信号が生成され、予約炊飯の設定が確定する(SE1)。
この確定信号を受けて予約炊飯モードの設定を示す運転情報信号L2を、無線通信部26から電力指令装置200に発信させる(SE2)。その際に、炊飯動作開始時刻情報を、「20:00」のように、24時間表示で併せて送信する。また予約設定者(使用者と推定される)の情報を、例えば「居住者B」を示すコード番号等でそれらデータに含めて送信すると良い。
次に、使用者が設定した炊飯開始時刻と、現在時刻の時間間隔を計算する。なお、使用者が炊飯希望時刻を設定する場合、「炊飯完了時刻」を設定するようになっている。つまり、帰宅時に炊飯完了させておきたいと考えて、設定時刻を「20時00分」と設定するが、制御装置50ではこの入力を受けて、炊飯工程(この場合、予熱工程、炊飯工程、むらし工程の3つを含む)の所要時間を計算し、予熱工程の開始時刻を計算する(SE3)。
ステップSE3の計算結果から、60分以上の時間がある場合には、次のステップSE4では、「Yes」となり、次のステップSE5に進む。ステップSE5の「待機処理」とは、制御装置50に内蔵されている待機判断部が、炊飯開始時刻の情報を受信した場合、現在時刻からその指定時刻の所定時間(例えば5分前)までの間は、待機状態にするため、制御装置50への電源供給を遮断し、第1の表示画面11Aも動作も停止することである。これにより炊飯ユニット1側での電力消費を無くすことになる。なお、前記待機判断部は、現在時刻から炊飯(開始)の指定時刻の所定時間(例えば5分間)前になるかどうかを、計時手段50Tからの時刻情報を使用して一定時間(例えば1分間)間隔でチェックしている。これ以降の動作については説明を省略する。
一方、前記ステップSE3の計算結果から、60分以上の時間が無い場合には、ステップSE6に進む。ステップSE6では、指定時刻の所定時間(例えば5分間)前になるかどうかを一定時間間隔でチェックし、このステップで「Yes」となると、次のステップS7に進む。
ステップSE7では、予約炊飯モードでの炊飯開始を示す運転情報信号(予告信号)L3を、無線通信部26から電力指令装置200に発信させる。その際に、炊飯動作開始時刻情報を、「20:00」のように、24時間表示で併せて送信する。
次のステップSE8では、音声報知手段90Vと第1の表示画面11Aによって、炊飯動作を開始したことを音声や文字で報知する。これ以降の動作については説明を省略する。
(予約炊飯中の監視動作)
次に図32について説明する。
この実施の形態4の特徴の1つである電気炊飯器100の予約炊飯中の監視動作について、説明すると、ステップSU1〜SU8までが監視動作のステップを示しており、誘導加熱調理器10の主制御装置80の動作である。炊飯ユニット1は、前述したように予約炊飯中は、制御装置50に電力が供給されない場合もあるので、誘導加熱調理器10の主制御装置80で監視動作を実行するようになっている。
この実施の形態4の特徴の1つである電気炊飯器100の監視動作は、予約炊飯中だけではなく、炊飯中でも行われるので、図32では予約炊飯とは記載していない。
まず、監視動作は、ステップSU1で示すように炊飯工程又は予約炊飯工程が開始された段階からスタートする。
事前に近距離無線通信部91に情報通信端末機器115を接近させて、当該情報通信端末機器115を炊飯ユニット1に登録してある場合、炊飯工程又は予約炊飯工程が開始されると、主制御装置80は、炊飯ユニット1の制御装置50から事前に送信された登録データ(記憶手段80Rに格納してある)と照合し(SU2)、登録されている情報通信端末機器115がある場合には、当該情報通信端末機器115を指定して無線通信部26から炊飯開始又は予約炊飯セットしたことを報知する(SU3)。
なお、情報通信端末機器115は、誘導加熱調理器10側に登録しておいても良い。また電気炊飯器100(誘導加熱調理器10、炊飯ユニット1を含む)に対し、情報通信端末機器115の識別情報やアドレス等を事前に登録する方法は、MACアドレス送信等、色々知られているため、これらについての説明は省略する。
この後、仮に炊飯ユニット1が何らかの理由で誘導加熱調理器10のトッププレート22の上面の所定位置(基準位置)から移動した場合について説明する。例えば、居住者Aが電気炊飯器100について予約炊飯セットしたものの、別の居住者Bがその事情を知らずに、不用意に炊飯ユニット1を移動させてしまった場合が該当する。
誘導加熱調理器10では、炊飯中も予約炊飯期間中(予約炊飯セットしてから、実際の炊飯工程、むらし工程、保温工程が全て終了するまで)は、一定時間又は所定のタイミングで、図11のステップS6のように基準位置判定動作を行っている。
従って、仮に炊飯ユニット1が何らかの理由で誘導加熱調理器10の基準位置から移動した場合には、ステップSU4は「No」となり、ステップSU6に進む。そのため、事前に登録された情報通信端末機器115が、仮に居住空間HAの外部の遠隔地にあっても、無線通信部26から電力指令装置200を経由して、当該情報通信端末機器115に通知される。当該情報通信端末機器115から何らかの返信があった場合には(SU7)、ステップSU8に進み、誘導加熱調理器10の報知手段70で文字や音声等で報知する。また炊飯ユニット1に対して誘導加熱調理器10側から電力が供給されている場合には、その炊飯ユニット1にも誘導加熱調理器10から外部の返信情報を送付する。
ここでいう「返信」とは、情報通信端末機器115側で事前に複数種類の定形メッセージや警報から選択して登録してあるものであり、例えば「警報」という返信指定があった場合には、誘導加熱調理器10や炊飯ユニット1では、炊飯ユニットが使用中であるので、至急確認するように在宅の居住者に求める内容になっている。この返信は、情報通信端末機器115で、特に使用者が操作しない限り、速やかに(例えば10秒以内)に自動的に発信されるように設定しておいても良い。
仮に炊飯ユニット1が誘導加熱調理器10の基準位置から移動せずに、炊飯工程、むらし工程、保温工程が全て終了した場合には(SU5)、一連の監視動作は終了する。なお、この監視動作は、すべて誘導加熱調理器10の主制御装置80だけで実行するものではなく、その一部の動作を炊飯ユニット1に担当させても良い。実施の形態1で説明したように、炊飯ユニット1には二次電池等の給電部95を備えており、監視のための情報処理を実行させることは可能である。
なお、この実施の形態4では、誘導加熱調理器10で、炊飯中も予約炊飯期間中(予約炊飯セットしてから、実際の炊飯工程、むらし工程、保温工程が全て終了するまで)は、ステップS6で示したように基準位置判定動作を行っていたが、保温工程を対象にしないようにしても良い。すなわち、むらし工程を終えた段階で、誘導加熱調理器10と炊飯ユニット1との連携関係を維持は終了させるという意味であり、むらし工程を終えた段階で、炊飯ユニット1の位置が誘導加熱調理器10の上から外れて、他の場所例えば食卓等の上に変化しても、誘導加熱調理器10は何ら動作に影響受けないことである。このようにすると、むらし工程を終えた場合、第1の入力操作手段20に対する入力操作機能の制限は行わないので、誘導加熱調理器10を別の調理に直ぐに使用できる。
実施の形態4の総括.
以上の説明から明らかなように、この実施の形態4の加熱調理システムは、
上面にトッププレート22を備えた誘導加熱調理器10と、前記誘導加熱調理器10の前記トッププレート22上に近接又は接触するように置かれて使用され内釜3を内蔵した炊飯ユニット1と、を備え、
前記誘導加熱調理器10は、前記内釜3を誘導加熱する加熱コイル14と、当該加熱コイル14の通電条件を設定するため前記加熱コイル14よりも前方側に位置している第1の入力操作手段20とを備え、
前記炊飯ユニット1は、炊飯条件を設定する第2の入力操作手段12を備え、
前記誘導加熱調理器10に前記炊飯ユニット1を載置した状態で前記第1の入力操作手段20の上方を前記炊飯ユニット1が覆い隠し、
前記第1の入力操作手段20上面と前記炊飯ユニット1の下面との間には、外部に通ずる空隙Sが形成され、
前記空隙Sよりも後方で前記炊飯ユニット1の底面と前記誘導加熱調理器10の前記トッププレート22との対向部には、当該炊飯ユニット1と前記誘導加熱調理器10との間で炊飯制御のための情報を伝達する赤外線信号を通過させるための窓37を形成し、
前記誘導加熱調理器10は、前記炊飯ユニット1による炊飯工程中又は予約炊飯の期間中の少なくとも何れか一方の場合、前記赤外線信号によって前記炊飯ユニット1の載置を確認し、所定の基準位置に前記炊飯ユニット1が無いと判定したときは、外部に無線で報知する無線通信部26を備えていることを特徴とする構成である。
この構成の加熱調理システムによれば、誘導加熱調理器の上面前方部に配置されている第1の入力操作手段20の過熱を、前記空隙Sによって防止することができるとともに、炊飯ユニット1が炊飯中や予約炊飯期間中に、基準位置から外れたことが検知された場合、電力指令装置200や情報通信端末機器115等のような、外部機器に対して報知されるので、炊飯を確実に実行するように監視でき、使用者の利便性、安心感を増大させることができる。
この実施の形態4においても、基本的な動作は実施の形態1と同じであるので、実施の形態1と同等な効果が期待できる。
さらにこの実施の形態4では、炊飯ユニット1が炊飯中や予約炊飯期間中に、基準位置から外れたことが検知された場合、情報通信端末機器115等に対して報知されるので、炊飯を確実に実行するように監視でき、使用者の利便性、安心感を増大させることができる。
さらにこの実施の形態4では、前記仕切り板96によって、その下方には防磁板19で囲まれた下部空間108が区画され、この空間に支持基板32によって固定された赤外線温度センサー5Bが配置されているので、赤外線温度センサー5Bは、加熱コイル14からの高熱を受けにくいので、より正確な温度検知ができる。
また、赤外線信号送受信部34は、前記部屋97の前方側にあり、加熱コイル14とは防磁板19を挟んで反対側にあるため、この赤外線信号送受信部34も加熱コイル14からの熱的な影響を受けにくいので、熱による故障や異常等の発生を抑制できる。また第1の入力操作手段20についても同様に、温度上昇が避けられる構成であるので、そこに配置された電子部品の故障や短寿命化が抑制できる。
さらにこの実施の形態4では、図28で説明したように、誘導加熱調理器10のトッププレート22の下方に部屋97を区画形成し、この内部に加熱コイル14を配置し、この部屋を冷却ファン13から供給された冷却風で冷却するようにしたので、加熱コイル14の過熱が防止され、トッププレート22の過熱防止に貢献する。
さらにその冷却ファンは、前記送電コイル17も冷却するので、送電コイル17の過熱も防止できる。
実施の形態5.
図33〜図36は、本発明の実施の形態5に関するものであり、図33は、誘導加熱調理器と炊飯ユニットの制御動作を示すフローチャート1である。図34は、図33の誘導加熱調理器と炊飯ユニットの制御動作を示すフローチャート2である。図35は、図33の誘導加熱調理器と炊飯ユニットの制御動作を示すフローチャート3である。図36は、図33の炊飯ユニットの制御動作を示すフローチャートである。なお、実施の形態1と同一又は相当部分には、同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
この実施の形態5における電気炊飯器100は、誘導加熱調理器10の起動時の動作プログラムを変更している。また、特に炊飯ユニット1の制御装置50の動作プログラムを変更し、使用者が米の重量を計測する場合の操作性を向上させることを目的にした構成を備えているものである。
以下、図33に示す制御動作のステップは、実施の形態1の図11におけるステップS1からS12までを改良したものである。
図11と同一又は同じステップは、同一符号を付けて説明する。
まず、誘導加熱調理器10の電源プラグ101を商用電源71に繋ぐと、炊飯ユニット1が正しい位置に載置されていれば、リードスイッチ31がON(閉)となる(S1)。
すると、使用者が第1の入力操作手段20や炊飯ユニット1の第2の入力操作手段12を何も操作しなくとも、主制御装置80は、赤外線温度センサー5Bや、その他の電流センサー(図示せず)によって誘導加熱調理器10の内部構成部品に異常がないかどうかの自己チェックを開始する(S2)。
そして異常が無かった場合、主制御装置80は送電コイル17を駆動し、所定の電力を供給開始する。報知手段70も起動する(S3)。一方、冷却ファン13を「弱」モードで運転開始する(S4)。このため冷却風で送電コイル17が冷却される。
この段階では、主制御装置80は、リードスイッチ31がONしていることによって、炊飯ユニット1が正しい位置に載置されていることが分かっているが、次に、炊飯ユニット1は、基準位置判定手段33Aを起動する。実施に形態1では、主制御装置80が基準位置判定手段(B)33を駆動していたが、この実施の形態5では、制御装置50に給電手段6から電力が供給された段階で、制御装置50の動作プログラムが開始され、赤外線信号送受信部35から、赤外線信号送受信部34に向けて赤外線信号が送信される(SM5)。
すると、赤外線信号送受信部35で受けた赤外線信号を基準位置判定手段33Bで解読してその結果を主制御装置80へ入力する。主制御装置80は、炊飯ユニット1が正しい位置に載置されていることを最終確認する(SM6)。
もし、赤外線信号送受信部34に向けて赤外線信号送受信部35から事前に定めてある正規の赤外線信号が送信された後、基準位置判定手段33B側で、そのような正規の赤外線信号が受信できなかった場合には、炊飯ユニット1が正しい位置に載置されているとしても、窓37の上面に、前回調理した際の調理液が滴下して汚れとなって固着しており、赤外線通信を妨げている場合が想定される。この場合は主制御装置80側ではエラー判定を下す。このエラー判定(SM6)以後の動作は、図35に示している。
炊飯動作中も2つの赤外線信号送受信部34、35の間で、動作データや温度データ等を交換するため、仮に窓37の汚れが原因でも炊飯動作は許可しない。なお、ステップSA6で、基準位置判定結果がNGになった場合には、図14に示す異常対応ステップに進むが、これについては後で説明する。
次のステップS7では、主制御装置80は、第1の入力操作手段20からの入力指令信号発生を無効化する処理をする。具体的には、第1の入力操作手段20の入力信号を発生させるための信号を遮断して、入力信号が発生しないようにするが、この無効化手段については、この方法に何ら限定されない。
この第1の入力操作手段20からの入力操作部の無効化処理により、例えば、炊飯ユニット1を瞬間的に持ち上げて、第1の入力操作手段20を操作しても、そのような操作は主制御装置80に入力されないので、炊飯を直前で止めて、誘導加熱調理器10を単独で使用開始するということはできない。
次に炊飯ユニット1では、音声報知手段90V等の報知手段90によって、これから炊飯動作を行うことが報知される(SM8)。
なお、実施の形態1では、誘導加熱調理器10で、音声報知手段70V等の報知手段70によって報知するようにしていたので、この部分も実施の形態1と異なっている。
次のステップS9では、炊飯ユニット1において炊飯開始の指令が行われたかどうかを判断するため、待機状態に入る。炊飯ユニット1を載置したあと、内釜3の中の水の量を調節する等、実際の炊飯開始までは時間が必要である。そのため、待機時間を計時手段80Tで計測する(S10)。
例えば、炊飯を開始したことを示す指令信号がなく(S11)、無線通信部26を経由した炊飯開始の指令信号もなく(S12)、ステップ10の段階から所定時間T1(例えば、60分)を経過した場合(S13:図34参照)、主制御装置80は、何らかの理由で炊飯を見合せているものと判断する。
次に図34について説明する。
図34に示す制御動作のステップは、実施の形態1の図12におけるステップS13からS18までを改良したものである。つまり、炊飯動作開始の準備をした状態のまま、肝心の炊飯指令がなく時間が経過した場合の動作を示すものである。
ステップ10の段階から所定時間T1(例えば、60分)を経過した場合(S13)、炊飯ユニット1では、音声報知手段70V等の報知手段70によって、炊飯動作をキャンセルしたことを報知する(SM14)。このステップで炊飯ユニット1が報知することが、実施の形態の図12と異なる。
次に、誘導加熱調理器10は、制御装置50が炊飯ユニット1の給電を停止する(S15)。具体的には送電コイル17と冷却ファン13への給電を停止する指令を出す。
ステップ10の段階から所定時間T2(例えば、61分)を経過した場合(S16)、主制御装置80は、第1の入力操作手段20からの入力操作部の無効化処理を解除する(S17)。このため、この段階で、例えば、炊飯ユニット1を他の場所へ移動させれば、第1の入力操作手段20を操作して、誘導加熱調理器10で別の加熱調理を開始できる。なお、この第1の入力操作手段20の操作も無い場合には、主制御装置80は、自ら主電源を自動で遮断し、不用意に加熱動作が行われないように安全性を考慮した動作をする(S18)。
次に図35について説明する。
図35に示す制御動作のステップは、実施の形態1の図15におけるステップSA1からSA9までと同じものである。図33のステップSM6で「No」の判定となった場合は、この図35の処理が主制御装置80で実行される。つまり、炊飯動作開始前に、炊飯ユニット1が基準位置に存在しない事態を主制御装置80で検知した場合の動作を図35は示しており、図35に示すステップSA1〜SA9は、図15に示すステップSA1〜SA9と同じであるので、詳細な説明は省略する。
以下、図36について説明する。図36に示す制御動作のステップは、実施の形態1の図20におけるステップSR9以降を改良したものである。
実施の形態1の図20で説明した通り、使用者が炊飯するときのご飯の硬さの入力を終える(SR8)と、次に制御装置50は第2の表示画面11Bを起動し、米の重量を計測できることを表示する。また音声報知手段90Vでも報知する(SR9)。
この実施の形態5では、蓋体1Bが開けてある場合には、その後、蓋体1Bを閉じて、炊飯スイッチ67を押せば、米重量計測のステップを経由せずに直ぐに炊飯に移行できるものであり、炊飯の際の水加減に習熟した使用者にとって迅速に炊飯開始までのステップを進めることができるという利点がある。
図36において、第2の表示画面11Bが起動され(SR9)、所定の時間T6の計測を開始する(ST1)と、蓋体1Bが開放されているかどうかを判断するステップがある。
実施の形態1で説明したように蓋体1Bを開放する蓋開閉ボタンや、その開閉動作に連動する機構に、蓋体開放センサー93としてのマイクロスイッチやリードスイッチ等を設けて、蓋体1Bの開放を制御装置50が検知しても良い。
あるいは、第2の表示画面11Bが起動される前から、制御装置50が炊飯ユニット1の重心に位置が、前後に動く様子を監視し、蓋体1Bの開放を検知しても良い。
例えば、実施の形態1で述べたように、炊飯ユニット1や誘導加熱調理器10の前後方向に2つの重量センサーを設けて、この重量センサーにそれら炊飯ユニット1や誘導加熱調理器10の重量が加わるようにしている場合、蓋体1Bを開放すると、その蓋体1Bが後部のヒンジ部(図示せず)を介して垂直又はそれよりも安定する後方に傾いた状態で炊飯ユニット1に支持される。
このため、蓋体1Bを開放すると、その蓋体1Bの開放前後で、前方側の重量センサーの計測値は減り、後方のヒンジ部(図示せず)側に蓋体1Bの重量が掛かるため、後方の側の重量センサーの計測値は増える。
特に、第2の表示画面11Bが起動される前の段階で、米の銘柄とご飯の炊き加減、すなわちご飯の硬さの情報も、順次読み出して、それらを修正できるステップ(SR7、SR8)があるため、第2の入力操作手段12を操作している場面では、使用者は通常、蓋体1Bを閉じて行う必要があり、このときの前方側の重量センサーの計測値と、後方側の重量センサーの計測値のバランスが、その後の蓋体1Bの開放で変化する。
そこで、制御装置50は、蓋体開放センサー93としてのマイクロスイッチやリードスイッチ等のハードウエアを設けなくとも、上記のように複数の重量センサーの計測値のデータを分析するというソフトウエアで蓋体1Bの開放を検知できる。
図36において、蓋体1Bの開放が検知されると、制御装置50は次の動作ステップST12へ進む。そして念のため、もう1度蓋体1Bの開放有無をチェックし、このあと、炊飯スイッチ67が押されたことが検知される(ST13)と、第1の表示画面11Aと、音声報知手段90Vでは、そのまま蓋体1Bを閉めたままにし、開けないように、との注意喚起の報知を行い(ST15)、蓋体1Bが閉鎖されていることが検知される(ST16)と、前記したステップSR10に進む。
このため、ステップSR10では、音声報知手段90Vで、例えば「米の重量計測結果500gでした。適正水量判定しましたので、白米を柔らかモードで炊飯開始します」のような音声ガイドを行う。
また第2の表示画面11Bは表示動作を終える(OFFする)。
このように、米重量計測のステップを経由せずに直ぐに炊飯に移行できる。
一方、前記ステップST2で、蓋体1Bが開放されていると判定された場合には、次のステップST3に進む。
このステップST3では、米重量計測の操作部18に配置された操作キー18Aが操作され、米の計量指令があったかどうかを判断する。所定の操作キー18Aを押せば、米の重量の計測が蓋体1Bを開けたままの状態で行われる(ST4)。
重量計測手段94によって、内釜3の中に米を入れた状態で計量され、重量が音声報知手段90Vで報知され、また第2の表示画面11Bでも重量が数値で表示される(ST5)。
その後、その米の重量に見合った水量が、例えば「500ミリ・リットルです」のように音声によって音声報知手段90Vで報知され、また第2の表示画面11Bでも数値で表示される(ST6)。
そこで、蓋体1Bを開けたままの状態で、報知された量の水を注入し、所定の操作キー18Aを押せば、重量計測手段94によって、内釜3の中に米と水を入れた状態で再度計量され、その判定結果が音声報知手段90Vで報知され、また第2の表示画面11Bでも表示される(ST6)。
この後、炊飯スイッチ67が押されたことが検知される(ST13)と、第1の表示画面11Aと、音声報知手段90Vでは、そのまま蓋体1Bを閉めたままにし、開けないように、との注意喚起の報知を行い(ST15)、蓋体1Bが閉鎖されていることが検知される(ST16)と、前記したステップSR10に進む。
前記ステップST3で、米重量計測の操作部18に配置された操作キー18Aが操作されずに、時間が経過すると、その間にステップST8で経過時間のチェックがあり、第2の表示画面11Bが起動されてから30分経過していない場合には、重量計測の指令待ちであることを音声報知手段90Vで報知し、また第2の表示画面11Bで表示する(ST11)。
このような督促は、数分置きに行っても良い。もし、ステップST8で30分が経過していると判断されると、使用者が蓋体1Bを開けたまま、何らかの作業に手間取っているか、別の調理の準備に入ってしまい、炊飯セットは後回しにされている可能性あるので、使用者に注意を喚起するため、エラー報知を行う(ST9)。このエラー報知は、音声報知手段90と第2の表示画面11Bで行うことが良い。そして、制御装置50は、一連の炊飯条件の設定作業を中止し、第2の表示画面11Bと第1の表示画面11Aの動作を終了して、それらの画面表示を消す(ST10)。
なお、前記ステップST13で、炊飯スイッチ67が押されずに、そのまま時間経過すると、ステップST14で経過時間のチェックがあり、第2の表示画面11Bが起動されてから30分経過していない場合には、前記ステップST2に戻り、蓋体1Bが開放されているかどうかのチェックが再び行われる。しかし、30分経過している場合には、前記ステップST9に進み、エラー報知を行う。このエラー報知は、音声報知手段90と第1の表示画面11Aで行うことが良い。そして、制御装置50は、一連の炊飯条件の設定作業を中止し、第2の表示画面11Bと、第1の表示画面11Aの動作を終了して、それらの画面表示を消す(ST10)。
実施の形態5の総括.
以上の説明から明らかなように、この実施の形態5の加熱調理システムは、
上面にトッププレート22を備えた誘導加熱調理器10と、前記誘導加熱調理器10の前記トッププレート22上に近接又は接触するように置かれて使用され内釜3を内蔵した炊飯ユニット1と、を備え、
前記誘導加熱調理器10は、前記内釜3を誘導加熱する加熱コイル14と、当該加熱コイル14の通電条件を設定するため前記加熱コイル14よりも前方側に位置している第1の入力操作手段20とを備え、
前記炊飯ユニット1は、炊飯条件を設定する第2の入力操作手段12を備え、
前記誘導加熱調理器10に前記炊飯ユニット1を載置した状態で前記第1の入力操作手段20の上方を前記炊飯ユニット1が覆い隠し、
前記第1の入力操作手段20上面と前記炊飯ユニット1の下面との間には、外部に通ずる空隙Sが形成され、
前記空隙Sよりも後方で前記炊飯ユニット1の底面と前記誘導加熱調理器10の前記トッププレート22との対向部には、当該炊飯ユニット1と前記誘導加熱調理器10との間で炊飯制御のための情報を伝達する赤外線信号を通過させるための窓37を形成し、
前記誘導加熱調理器10又は炊飯ユニット1は、前記炊飯ユニット1による炊飯工程開始前に、前記赤外線信号によって前記炊飯ユニット1の載置を確認し、所定の基準位置に前記炊飯ユニット1が無いと判定したとき(図34のステップSM6)は、前記加熱コイル14に通電を開始しないまま、炊飯動作を中止する処理(図35のステップSA8)を行うとともに、前記炊飯ユニット1の載置に問題のあることを検知した後の段階で、事前に報知(図35のステップSA1、SA8)することを特徴とする構成である。
この構成の加熱調理システムによれば、その上面前方部に配置されている第1の入力操作手段20の過熱を防止することができる。
また炊飯ユニット1による炊飯工程を開始する前の段階で、前記赤外線信号によって前記炊飯ユニット1の載置を確認し、炊飯ユニット1の載置に問題のあることを検知した後の段階で、炊飯動作を中止すること等、事前に使用者へ不具合を報知するので、使用者の使用上の誤解や誤操作を防止できるという利点がある。
実施の形態6.
図37は、本発明の実施の形態6に関するものであり、誘導加熱調理器の制御動作を示すフローチャートである。なお、実施の形態1と同一又は相当部分には、同一の符号を付し、重複した説明を省略する。また蓋体1Bの第2の入力操作手段12の構成は、図29(実施の形態4)と同じであるという前提で以下説明する。
この実施の形態6における電気炊飯器100は、誘導加熱調理器10の動作プログラムを変更している。また、特に炊飯ユニット1で炊飯工程を終えた後の制御装置50の動作プログラムを変更している。
電気炊飯器100の誘導加熱調理器10は、実施の形態1の図11〜図13に示す動作ステップS1〜S30と同じ動作を行うものである。
そしてステップS30以降を図37のように改良したものである。
まず、炊飯工程が終了する(S30)と、誘導加熱調理器10の報知手段70によってむらし工程に入ることを報知する(SU1)。
一方、炊飯ユニット1でも、これと同期して報知手段90によってむらし工程に入ることを音声で報知する。
むらし時間を把握するために経過時間の計測を開始し(SU2)、所定のむらし工程の時間(例えば5分間)が経過した場合、報知手段70によって、例えば「むらし工程は終了したので、すぐに食べることができます」というような案内を音声で報知する(SU3)。
保温スイッチ75は、むらし工程が終わったあとに操作されると、保温モードを開始することを指令するものであるため、次のステップSU4では、保温スイッチ75が使用者に押されたかどうかの判断を行う。
保温スイッチ75が押された場合は、炊飯ユニット1の制御装置50は主制御装置80に対して、外気温度検出手段15からの温度計測結果のデータ提供を求め、提供されたデータに基づいて保温可能時間を計算する(SU5)。なお、制御装置50がデータ提供を求めず、主制御装置80自身で保温可能時間を計算し、その結果を制御装置50が取得する方法でも良い。後者の場合には、制御装置50は保温スイッチ75が押されたことを示す特定の識別コード又はデータを、赤外線信号送受信部35から発信させ、主制御装置80は、そのデータ等を受けて、保温可能時間の計算動作を開始する。
所定時間内に保温スイッチ75が押されなかった場合には、ステップSU5に進む。例えば、炊飯開始時点では使用者は炊飯のことをはっきり自覚していても、その後に炊飯のことを忘れる可能性がある。このように炊飯を忘れてしまうと、電気炊飯器100の近傍には居ない場合があり、むらし工程の終了も気が付かないで、そのまま放置される可能性がある。
ステップSU5では、所定時間(例えば15分間)は、そのまま保温スイッチ75が押されたかどうかのチェックを、例えば1分おきにチェックするが、この猶予時間を過ぎると、ステップ10へ進む。
ステップ10では、誘導加熱調理器10の報知手段70によって保温工程を終了したことを報知する。
このステップSU4〜SU10の間では、蓋体加熱手段9A、内釜側面加熱手段9B、誘導加熱コイル14は、最小限度の加熱量(火力)で加熱する場合と、全く通電されない場合がある。居住空間の気温が低い冬季等では、外気温度検出手段15が低い気温の室温データを主制御装置80に入力するため、炊飯ユニット1が、上記の所定時間(例えば15分間)の間に冷えてしまう可能性ある。
そこで、このような場面を想定して主制御装置80では、蓋体加熱手段9A、内釜側面加熱手段9B、誘導加熱コイル14の全部又は一部を駆動して、全体では例えば30W〜100W程度の消費電力で保温動作を暫定的に行う場合もプログラムされている。
ステップSU7では、算出された保温可能時間TX(例えば3時間)の保温動作を開始する。また報知手段70によって保温工程に入ることを報知する(SU7)。
この実施の形態6の保温工程は、実施の形態1とは異なり、誘導加熱コイル14を駆動して行われる。このため、蓋体加熱手段9Aと内釜側面加熱手段9Bだけでは温度を上げにくい内釜3の底部も所定の保温温度(例えば70℃前後)を維持できる。
そして、保温可能時間TX(例えば3時間)が経過するかどうかのチェック(SU8)と、基準位置に炊飯ユニット1が存在するかどうかのチェック(SU9)を、繰り返し行う(例えば数秒以内の時間間隔で)。
そのため、炊飯動作を指示した使用者とは別の使用者が、炊飯ユニット1が保温動作中であることに気が付かず、誘導加熱調理器10を別の加熱調理に使用するために移動させてしまった場合には、ステップSU9は「Yes」判定となる。すると、誘導加熱調理器10の報知手段70によって保温工程を終了したことを報知する。またこれとほぼ同時に炊飯ユニット1側の報知手段90でも同様に保温工程を終了したことを報知する(SU10)。
さらに誘導加熱調理器10の第1の入力操作手段20の入力機能を復活させる。つまり主制御装置80への入力禁止措置を解除する(SU11)。
このため、直ぐに誘導加熱調理器10の第1の入力操作手段20を操作して、希望する加熱調理が開始できる。
前記保温工程において、誘導加熱コイル14が駆動されていた場合には、インバーター回路73は駆動が停止される(SU12)。また、蓋体加熱手段9Aや内釜側面加熱手段9Bが給電手段6からの電力で加熱されていた場合には、炊飯ユニット1の制御装置50はそれらの加熱を停止する(SU12)。
さらに、誘導加熱コイル14が駆動されていた場合、送電コイル17から給電が行われていた場合には、それらを冷却していた冷却ファン13の運転も停止する(SU13)。
そして、主制御装置80は自ら主電源回路を遮断する。一方、移動された炊飯ユニット1の制御装置50側でも、基準位置判定手段33によって基準位置には無いことが分かっているので、制御装置50は、送電コイル17への給電を停止し、第2の入力操作手段12の機能を停止する。
実施の形態6の総括.
以上の説明から明らかなように、この実施の形態6の加熱調理システムは、
上面にトッププレート22を備えた誘導加熱調理器10と、前記誘導加熱調理器10の前記トッププレート22上に近接又は接触するように置かれて使用され内釜3を内蔵した炊飯ユニット1と、を備え、
前記誘導加熱調理器10は、前記内釜3を誘導加熱する加熱コイル14と、当該加熱コイル14の通電条件を設定するため前記加熱コイル14よりも前方側に位置している第1の入力操作手段20とを備え、
前記炊飯ユニット1は、炊飯条件を設定する第2の入力操作手段12を備え、
前記誘導加熱調理器10に前記炊飯ユニット1を載置した状態で前記第1の入力操作手段20の上方を前記炊飯ユニット1が覆い隠し、
前記第1の入力操作手段20上面と前記炊飯ユニット1の下面との間には、外部に通ずる空隙Sが形成され、
前記空隙Sよりも後方で前記炊飯ユニット1の底面と前記誘導加熱調理器10の前記トッププレート22との対向部には、当該炊飯ユニット1と前記誘導加熱調理器10との間で赤外線信号を通過させるための窓37を形成し、
前記誘導加熱調理器10は、所定の位置に前記炊飯ユニット1が載置されて保温工程を実行中に、前記赤外線信号によって前記炊飯ユニット1の載置を監視し、また前記第1の入力操作手段20の入力操作を無効にし続け、
さらに前記誘導加熱調理器10は、所定の位置に炊飯ユニット1があることを前記赤外線信号によって検知できない場合、前記炊飯ユニット1の保温工程を終了させ、かつ前記第1の入力操作手段20の入力操作の無効化を解除する構成であった。
この構成の加熱調理システムによれば、その上面前方部に配置されている第1の入力操作手段20の過熱を防止することができる。
また炊飯ユニット1による保温工程の段階で、前記赤外線信号によって前記炊飯ユニット1の載置を確認し、炊飯ユニット1の載置に問題のあることを検知した段階で、保温動作を中止し、かつ第1の入力操作手段20の入力操作の無効化を解除することができるので、使用者の使用上の誤解や誤操作を防止できるという利点がある。
実施の形態7.
図38〜図43は、本発明の実施の形態7に関するものであり、図38は、本発明の実施の形態7に係る電気炊飯器の斜視図である。図39は、炊飯ユニットの蓋体の平面図1である。図40は、炊飯ユニットの蓋体の平面図2である。図41は、図38の炊飯ユニットの制御手段の構成を示すブロック図である。図42は、図38の炊飯ユニットで、煮込み調理した場合の制御動作を示すフローチャートである。図43は、図38の炊飯ユニットの煮込み調理における制御パターンの説明図である。なお、実施の形態1と同一又は相当部分には、同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
この実施の形態7における電気炊飯器100では、特に炊飯ユニット1の調理メニューを充実化させている。すなわち、炊飯ユニット1では、「煮込み」調理、「おかゆ」、「蒸し」調理ができるようにしている。これを実現するため、炊飯ユニット1の制御装置50の動作プログラムを変更している。
また誘導加熱調理器10の主制御装置80の動作プログラムも一部変更している。
さらに内釜3の内部で炊飯工程時等に発生する水蒸気を逃がすための蒸気排出器(おねば回収器と呼ぶ場合もある)を利用して、内釜3内部へ注水できるようにし、使用者の炊飯開始前の水量の調節の利便性を向上させている。
さらに第2の入力操作手段12を改良し、そこに配置された第1の表示画面11Aの視認性や、米の重量の計測指示と結果の確認等も容易にできるように改良している。
この実施の形態7における電気炊飯器100は、誘導加熱調理器10と炊飯ユニット1で構成されていることは実施の形態1と同じである。
実施の形態7の具体的説明に入る前に、「煮込み」調理、「おかゆ」、「蒸し調理」について、概要を説明する。
(1)「煮込み」調理:野菜や肉等の具材を水や調味料を加えたスープ等に入れて加熱し、煮物調理を行うことができる電気炊飯器は、例えば特開2005−296366、特開2007−181521及び特開2004−329488によって提案されている。また炊飯用と煮物用に専用の内釜を用意し、炊飯と煮物に応じてその内釜を取り換えて使用することも上記特開2004−329488で提案されている。
(2)「おかゆ」:電気炊飯器において「おかゆ」メニューを用意し、おかゆを作ることができる構成は、例えば特開2007−135884や特開平8−164065によって提案されている。上記特開2007−135884に示されているように、加熱時間を比較的長くして作る濃厚なおかゆと、逆に比較的短い時間でつくる、薄いおかゆがある。おかゆをつくる場合には、炊飯とは別の加熱パターン、火力にする必要がある。
「蒸し」調理:内釜3の中に多数の通気孔を有した蒸し台や網を入れ、その上に野菜等を入れて内釜底部に入れた水を沸騰させて、その発生する蒸気で野菜等を加熱するものである。このため、炊飯時とは異なり、蓋体1Bを閉じて調理する必要はなく、むしろ蓋体1Bを開けたまま行う方が良い。
この実施の形態7の炊飯ユニット1は、以上のような各調理の特性を踏まえて、以下のような構成である。
図38において、12は、蓋体1Bに設けた第2の入力操作手段であり、液晶表示画面等で構成される第2の表示画面11Bを備えている。
122は、平面形状が円形の蒸気排出器である。この蒸気排出器は、炊飯時に内釜3の内部に発生する蒸気を排出する第1の通路(図示せず)を内部に形成している。つまり、内釜3の内部空間と炊飯ユニット1の外部空間とを連通させている。
蒸気排出器122は、例えば特開平9−187371や特開2014−83203によって提案されている。
次に図39について説明する。
図39において、12は、蓋体1Bに設けた第2の入力操作手段であり、液晶表示画面等で構成される第2の表示画面11Bを備えている。
前記蒸気排出器122は、上記第2の表示画面11Bの後方の位置にあり、すり鉢状に凹んだ円形の凹部123の中に着脱自在に装着されている。
124は、円形の蓋であり、プラスチック材料で円盤状に形成されている。この蓋124は、前記蒸気排出器122の上面開口を塞いでいる。この蓋124は、使用者が清掃や後述する注水時に簡単に開けることができる。125は、前記蓋124の後部を回動自在に支持するヒンジ軸である。ヒンジ軸125は、蓋体1Bと前記蓋124とを連結する部材である。この構成により、前記蓋124は、最も開いた状態では前記ヒンジ軸125を支点として、略垂直状態になる。
126は、前記蓋124に上下に貫通するように複数個形成した蒸気排出孔であり、この実施の形態7では、合計5つ設けてある。
127は、前記蓋124を開けた場合に露出する注水口であり、この注水口は、蒸気排出器122の内部を上下に貫通している。言い換えると、この蒸気排出器は、炊飯時に内釜3の内部に発生する蒸気を排出する第2の通路(図示せず)を内部に形成している。なお、前記第1の通路とこの第2の通路を兼用しても良いが、通常は第1の通路には、内釜3内部で炊飯時に発生する蒸気の排出量を抑制して、内釜3の沸騰時の気圧を保つ絞り部や制御弁機構等を設けることがあり、また炊飯完了時には外部からの冷たい空気の侵入を防止する逆止弁を設ける場合もあるため、これら目的機能に適合するように、別個に形成しても良い。
図39において、前記第2の表示画面11Bの表面(上面)は、使用者が指等を触れた際の静電容量の変化を捉えて入力を行えるタッチ式入力画面を兼用している。
図39において、120は、タッチ式キーであり、アイコンとも呼ばれる場合がある。このタッチ式キーは、制御装置50が、必要な都度使用者に目視できるように表示画面11Bの表示と対応させて出現させる。なお、このようなタッチ式入力キーは周知であるので、詳しい説明は省略する。
120Aは、炊飯を行うことを制御装置50に指令する「炊飯キー」、120Bは、おかゆを作ることを指令する「おかゆキー」、120Cは、煮物・煮込み調理を行うことを指令する「煮込みキー」、120Dは、蒸し調理を指令する「蒸し調理キー」である。121は、動作開始スイッチであり、タッチ式キーで構成されている。この動作開始スイッチ121は、例えば炊飯等の動作が開始されたあとは、第2の表示画面11Bの表面から消える。
これらキー120A〜120Dは、炊飯ユニット1が誘導加熱調理器10によって起動された際、メニュースイッチ65を押した場合に、第2の表示画面11Bに図38に示しているように一覧状態で出現する。また、これらキー120A〜120Dの何れか1つにタッチした後、動作開始スイッチ121が第2の表示画面11Bに現れる。
図40は、図39と同じく炊飯ユニットの蓋体の平面図である。図40において、120Rは、前の画面に戻すためのタッチ式キーであり、これにタッチすると、図39に示した表示画面の状態になる。
128は、タッチ式キーであり、制御装置50に対して米の重量を計測する指示を行うためのものである。
一旦、加熱を開始するキー121を押すと、このキー120Rは直ぐに消え、重量計測指示は行えない。
129は、水量表示部であり、重量計測手段94で算出した重量に基づいて、その最適水量に対して不足している水量をイメージで表示している。そのため、三角形の図形(インジケータ)129Aが縦一列に表示されるが、内釜3に水を入れて重量が増えると、青く光った図形129Aが増える。5つの図形129Aが全部青く光ったものになった状態が適正水量である。なお、過剰に水を入れると、青く光った図形129Aではなく、赤色の図形129Aに変わり、しかもそれが全部同時に点滅して、使用者に過剰水量であると警告する。
図41において、12Tは、第2の入力操作手段12を構成するタッチ式入力手段であり、図39と図40で示したタッチ式キー120A〜120D、120Rを含んでいる。
制御装置50を構成するマイクロコンピュータ(図示せず)は、炊飯を行う制御プログラムと、前記煮込み調理、おかゆ、蒸し調理を行える制御プログラムによって動作する。それら制御プログラムは、マイクロコンピュータの記憶手段(ROM)や記憶手段50Rに格納されている。
次に、第2の入力操作手段12で、煮込み調理開始の指令信号があった場合について、図42を参照しながら説明する。
図42は、炊飯ユニット1で、煮込み調理した場合の制御動作を示すフローチャートである。
ステップSW1は、煮込みキー120Dが押され、次に動作開始スイッチ121が押された場合である。
制御装置50は、音声報知手段90Vによって煮込み調理を開始することを知らせる(SW2)。
制御装置50は、蓋体開放センサー93によって蓋体1Bが閉じていることを確認し、閉じている場合、重量計測手段94に対して計測指令信号を出し、煮込み工程開始直前の段階の、炊飯ユニット1の重量を計測する(SW3)。
制御装置50は、重量計測手段94からの計測結果信号を受け、それに示された重量値を記憶手段50Rに記憶させる。
また計測結果について報知手段90によって報知する。具体的には音声報知手段で、例えば「現在の重量は1500gです」と報知し、また第2の表示画面11Bでも「計測結果:1500g」のように表示する(SW4)。
次に制御装置50は、誘導加熱調理器10に対して、赤外線信号送受信部35から赤外線信号によって、煮込み調理の実行に必要な基本的な情報を送信する。例えば、図43に示しているような動作パターンを行うために、煮込み工程と低温加熱工程を順次実行できるよう、区間A〜Xまでの実行プログラムを送信する。
なお、煮込み調理や炊飯等の各種調理の制御プログラムを、その都度炊飯ユニット1から誘導加熱調理器10に対して送信するのではなく、誘導加熱調理器10で事前に用意(記憶手段80Rに記憶)しておいて、炊飯ユニット1からは、各工程の進捗や内釜3の温度データ等を送信するという方法でも良い。
誘導加熱調理器10では、炊飯ユニット1からの煮込み調理開始の指令信号を受けて、加熱コイル14をインバーター回路73で駆動し、冷却ファン13の運転も開始する。
次のステップSW5では、炊飯ユニット1の内釜は、加熱コイル14によって誘導加熱され、温度が上昇するので、沸騰温度になったかどうかの判定を行う。
図43に示しているように、沸騰する温度レベルになった状態を、所定時間TY維持する必要がある。この時間の長さは、調理する具材によって異なるが、例えば30分以上である。
この時間TYは、煮込み調理の開始前に、第2の入力操作手段12において指定できる。あるいは煮込む材料を選択すると、制御装置50によって時間が設定される。
重量計測手段94に対して計測指令信号を出し、炊飯ユニット1の重量を計測するタイミング(以下、「計測時期」という)は、制御装置50によって事前に決定されている。また前記キー128を押して、その都度計測指令を行える。
前記したように、動作開始スイッチ121が押された段階P1は、前記計測時期の1つ(最初)である。
また、前記キー128が任意に押された段階も、前記計測時期の1つである。
以下の説明では、前記キー128が任意に押されなくとも、制御装置50によって自動的に重量計測する場面について説明する。
自動的な計測時期は、図41に符号P1〜P4で示しているように、合計4つある。
ステップSW6では、沸騰する温度レベルになった状態を確認した時点からの経過時間の計測を開始する。この時間は後述する「所定時間TY」維持したかどうかを判定する場合に必要である。この時間の長さは、調理する具材によって異なるが、例えば30分以上である。
ステップSW7で計測時期であるとの判断になると、ステップSW8に進み、制御装置50は、重量計測手段94に計測動作を指令する。そして重量計測手段94からの計測結果信号を受け、それに示された重量値と、記憶手段50Rに記憶させてある前回の重量値とを比較し、重量が減っているかどうかを判定する(SW9)。
ここでいう「重量の減少」は、事前に決定された重量値(例えば、100g)を基準にして、ここまで減少していない場合、ステップSW9は「No」となり、次のステップSW14で、沸騰工程(図41の区間B)を終えているかどうかを判定する。
ステップ重量が減っているという判定がされた場合(SW9)、次にその重量減少率を算出する(SW10)。
最初の重量(前述したように例えば1500g)に対して、減少の影響度を見るために率(%)を算出する。例えば100g軽くなった場合、1500gの6.6%相当であるので、「7%」と切り上げる。
このステップSW10で、判定が「No」であった場合、前記ステップSW14に進む。判定が「Yes」となった場合、その時の重量値と変化率(減少率)は、記憶手段50Rに格納して記憶される(SW12)。
次のステップSW13では、第2の表示画面11Bで「計測結果:1300g。重量200g減っています」のように表示する。また同様な情報を音声報知手段90Vでも音声で報知する。
次に制御装置50は、誘導加熱調理器10に対して、赤外線信号送受信部35から赤外線信号によって、煮込み調理を緊急に停止することを求める指令信号を送信する(SW13)。これによって炊飯ユニット1による煮込み調理は停止する。
なお、ステップSW14で、沸騰工程(図41の区間B)を終えているかどうかを判定し、終えている場合には、次の低温加熱工程に移行する。
次に図43について説明する。図43は、炊飯ユニット1の煮込み調理における制御パターンの説明図である。縦軸は内釜3の温度を示し、横軸は、煮込み調理開始からの経過時間を示している。内釜3の温度は、内釜温度検出手段5で計測されたものである。
図43から分かるように、区間Aでは、加熱コイル14は最大火力で加熱され、内釜3の温度は100℃まで一気に上昇する。
内釜3の温度が100℃になったことを内釜温度検出手段5で検出すると、この温度データは、誘導加熱調理器10に対して、赤外線信号送受信部35から赤外線信号で送信される。
誘導加熱調理器10は、インバーター回路73の火力を下げ、所定時間(TY)だけその状態を維持するように制御する。なお、実際には常に100℃である必要はなく、98℃以上維持されるようになれば良い。
図42のステップSW14で、沸騰工程(図43の区間B)を終えていると判定された時点で、図43の低温加熱工程のステップSW15に進む。
区間Cは、誘導加熱調理器10では、インバーター回路73を停止し、全く誘導加熱しない。そして内釜3が自然に冷えて85℃になることを炊飯ユニット1の内釜温度検出手段5が検出するまで待機する。
内釜3が自然に冷えて85℃になったことが内釜温度検出手段5で検知されると、その温度検出データを示す赤外線信号を受けて、誘導加熱調理器10では、インバーター回路73を駆動し、内釜3を加熱する。そして80℃〜85℃のあたりに維持する。
図43に示すように、区間Dは誘導加熱し、区間Eは自然放熱、その後の区間Nは再び誘導加熱というように、数回以上の断続的加熱を繰り返し、煮物の具材に煮汁や調味液等が浸透して美味しくなるようにしている。なお、このような区間D、Eのように通電と非通電を繰り返す方法ではなく、通電率を下げて単位時間あたりの加熱量を減らすという方法もあるが、この実施の形態7では、加熱を断続的(間欠的)に行うことで、内釜3の内部の調理液に対流を発生させるということを期待している。
低温加熱工程の長さは、一定ではなく、煮物の種類や量によって変化する。じっくりと肉や野菜を煮て、煮汁等を内部に浸透させるため、数時間以上の場合もある。
そして最後は、加熱コイル14による誘導加熱を停止し、自然に冷えるまで待つ。
図43では、最終的に70℃程度まで温度が下がった時点を煮物調理の完了としており、この時点で、炊飯ユニット1の報知手段90と、誘導加熱調理器10の報知手段90によって、それぞれ調理終了の報知が行われる。
図43に示しているP1〜P4は、前述したように、重量計測手段94に対して炊飯ユニット1が計測指令信号を出し、炊飯ユニット1の重量を計測するタイミング(計測時期)である。区間Bと、加熱コイル14での加熱を一時的に停止(休止)している区間E及び自然放熱の区間Xに、それぞれ1回ずつ設定してある。
この内、仮に煮込み工程の区間Bにおいて、計測時期P2の時点でステップSW11のように、大きく重量が減少したことが検知された場合、考えられる原因は、沸騰が激しくて水分が過剰に蒸発してしまったこと、又は沸騰が激しくて内釜3から被調理液が溢れてしまったこと等が想定される。
なお、この煮込み調理では、区間Cに入った場合、例えば図42のステップSW14の段階で、蓋体1Bを開けても良いと音声報知することもでき、また蓋体開放センサー93が蓋体1Bの開放を検知しても区間C〜区間Xではエラーとして処理しないので、内釜3の中からの水分蒸発量は増えることも想定される。
このような煮込み調理において、この実施の形態7では、煮汁や調味液が減少したことを重量計測手段94が所定の計測時期に把握し、過剰に減ってしまった場合には加熱動作を途中で自動停止することができる。このため、比較的長時間を要する煮込み調理に、使用者が常に傍で見守っていなくとも、安心して調理をすることができる。
また、この実施の形態7では、重量計測手段94が炊飯ユニット1の重量を自動計測するタイミング(計測時期)として、加熱コイル14による加熱の停止(休止)中を選んでいる。このため、このように加熱停止中には、内釜3の内部の被調理物の対流や沸騰による微振動等の影響もなく、静かな状態で計測でき、正確な重量測定が期待できる。
またこの実施の形態7では、蒸気排出器を利用して、内釜3内部へ注水できるようにしているので、例えば大体の目安で水を内釜3に入れた後、蓋体1Bを閉じた状態にし、その状態で蓋124を開けて、注水口127の上からコップ等で水を補充することができる。しかもその状態(蓋体1Bを開けたり、閉めたりしない)で、使用者が、計量指示キー128を押せば、その時点で重量計測手段94が重量を計測する。このため、この前に米の量を第2の入力操作手段12で有力しておけば、その米量に適合する水量を加味した総重量と、注水された結果の内釜3の総重量との差を、水量表示部129に表示された図形129Aで認識できる。
なお、図形129Aに加えて、あるいはそれに代えて、例えば不足している水量を示す数値を表示しても良い。
以上の通り、この実施の形態7では、炊飯開始前の水量の調節の利便性を向上させている構成を備えている。
さらに、煮込み工程の場合だけについて炊飯ユニット1による重量変化の検出効果を説明したが、蓋体1Bを開けたまま比較的長時間加熱する工程が必要な「おかゆ」や、同様に内釜3内の水を加熱して連続的な蒸気発生を必要とする「蒸し」調理に適用しても同様な効果が期待できる。
その他の実施形態と変形例.
前記実施の形態1及び2では、基準位置判定手段33を構成するものが、誘導加熱調理器10側では赤外線信号送受信部34であり、炊飯ユニット1側では赤外線信号送受信部35であった。そして誘導加熱調理器10側から最初に赤外線信号を発信し、炊飯ユニット1側からの赤外線信号の応答を確認して、炊飯ユニット1の載置位置が基準となる位置にあるかどうかを判定する方法であったが、このように双方向からそれぞれ別々に赤外線信号で情報を送信する形態を採用しなくとも良い。例えば、誘導加熱調理器10側から最初に赤外線信号を発信し、その反射光の状態を誘導加熱調理器10側で判定する方法でも良い。
前記実施の形態1〜7では、炊飯ユニット1側の制御装置50の記憶手段50Rに、炊飯動作を実行できる基本的な炊飯制御の動作プログラム(コンピューターソフトウエア)が格納され、それを利用して炊飯を行ったが、必ずしもこのように炊飯ユニット側で自律的に炊飯動作を実行できる動作プログラムを用意していなくとも良い。その場合は、誘導加熱調理器10側の主制御装置80に炊飯制御の動作プログラム(コンピューターソフトウエア)を格納しておき、この動作プログラムを利用して誘導加熱コイル14を制御して炊飯(予熱、炊飯、むらし)動作を実行し、炊飯工程の進捗を判断するために、内釜3の温度等の制御データを、赤外線信号で炊飯ユニット1側から随時取得するようにすれば良い。
さらに実施の形態1と2で示したように、所定の位置に設置したリードスイッチ31と永久磁石30、ICタグ103とリーダー(ICタグ情報読み取り部)104の組み合わせのような手段で、炊飯ユニット1の設置位置を確認し、炊飯ユニット1と誘導加熱調理器10との間の情報伝達だけを赤外線信号で行うようにしても良い。なお、誘導加熱調理器10は、高周波電力を使用し交番磁界が発生する関係で、電気的なノイズとして無線通信に影響与える懸念があり、この面でも赤外線信号での通信は有利である。
さらに実施の形態1〜7では、炊飯ユニット1と誘導加熱調理器10が重なり合っている部分で、しかも最も接近している部分に窓37を形成して、赤外線信号を送信していたので、室内の可視光線や太陽光等の外乱光の影響を受けない密着又は近接環境下での交信を実現でき、信号の伝達を確実にすることが期待できる。なお、第1の入力操作手段20に赤外線透過孔を設けて、その透過孔を介して赤外線信号を炊飯ユニット1に送信するようにしても良い。この場合、使用者が押圧操作するボタン(キー)部分又はタッチスイッチの部分を避けて、透過孔を配置すると良い。
さらに実施の形態1〜7では、誘導加熱調理器10は、後部垂直部16を有する形態であったため、通常の各種鍋やフライパン等の調理器具を誘導加熱する場合、後部垂直部16が背後側をガードしており、後方へそれら調理器具が落下することを防止できる構成であった。しかしながら、本発明の実施にあたり、後部垂直部16は必須ではない。すなわち、誘導加熱調理器10は上面全体が平坦な外形形状を有するものでも良い。