JP6786290B2 - ケイ酸含有組成物およびケイ酸含有組成物の製造方法 - Google Patents

ケイ酸含有組成物およびケイ酸含有組成物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ケイ酸含有組成物およびケイ酸含有組成物の製造方法に関する。特に、有機溶剤を用いた場合であっても、優れた保存安定性を有するケイ酸含有組成物およびそのようなケイ酸含有組成物の効率的な製造方法に関する。
従来、シロキサン重合体は、官能基としてアルコキシ基又はクロルを有する化合物を、出発原料としており、それを高分子量化することが提案されていた。
しかしながら、高価なアルコキシシラン化合物等を出発原料としており、製造コストが高く、かつ、反応性を制御することが困難であって、事実上、実用化できないという問題があった。
そこで、シリル基を有するケイ素化合物として、安価な水ガラスを原料としてなるケイ酸や、その効率的な取得方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
より具体的には、特許文献1には、水ガラスに酸を加えて中和する第1工程と、次いで第1工程を終えた液に、テトラヒドロフランを加えて混合し、静置して、水相とテトラヒドロフランを含む有機相に分層させる第2工程と、第2工程を終えた液に、多量の塩を加えて混合し、水相の塩濃度を飽和状態とし、ケイ酸を有機層へ移行する第3工程と、第3工程で得られた有機層からケイ酸を抽出する第4工程と、を含む水ガラスを原料としたケイ酸の取得方法が提案されている。
また、シリル基を有するシロキサン重合体のムーニー粘度を調節する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
より具体的には、水蒸気又は加熱水を使用する脱溶媒工程を含む水との接触中に、シロキサン末端重合体におけるシリル基の加水分解および結合を減じる方法に関する。
すなわち、シリル基を有するシロキサン末端重合体を脱溶媒前、すなわち、THF(テトラヒドロフラン)等の不活性溶媒下に、安定化量の酸又はハロゲン化アシルで処理することにより、シロキサン末端重合体のムーニー粘度を調節する方法である。
特開平10−158008号公報(特許請求の範囲等) 特開平10−36436号公報(特許請求の範囲等)
しかしながら、特許文献1に開示された水ガラスを原料としたケイ酸の取得方法では、得られるケイ酸の保存安定期間が、室温(25℃)で、3日程度と極端に短く、取り扱いが困難であるという問題が見られた。
また、特許文献2に開示されたシロキサン末端重合体は、保存安定期間はある程度長くなるものの、有機樹脂との均一混合が困難であって、やはり、取り扱いが困難であるという問題が見られた。
そこで、本発明者らは、このような問題を検討した結果、ケイ酸と、所定の粘度安定剤と、有機溶剤と、を含んでなるケイ酸含有組成物を構成し、さらには、粘度安定剤および有機溶剤の配合量をそれぞれ所定量とすることによって、ケイ酸含有組成物の保存安定性が良好となることを見出し、本発明を完成させたものである。
すなわち、本発明は、優れた保存安定性として、例えば、25℃、10日以上の放置条件(経過日数)であっても、増粘現象を効果的に抑制できるケイ酸含有組成物、およびそのようなケイ酸含有組成物の効率的な製造方法を提供することを目的とする。
本発明によれば、ケイ酸と、粘度安定剤と、有機溶剤と、を含んでなるケイ酸含有組成物であって、粘度安定剤が、有機酸および有機酸エステル、あるいはいずれか一方であり、ケイ酸100重量部に対して、粘度安定剤の配合量を0.01〜500重量部の範囲内の値とし、かつ、有機溶剤の配合量を、全体量に対して、25〜99.9重量%の範囲内の値とすることを特徴とするケイ酸含有組成物が提供され、上述した問題点を解決することができる。
すなわち、ケイ酸と、所定の粘度安定剤と、有機溶剤と、を含んでなるケイ酸含有組成物を構成し、さらには、粘度安定剤および有機溶剤の配合量をそれぞれ所定量とすることによって、ケイ酸含有組成物の保存安定性を優れたもの、例えば、25℃、10日以上の放置条件であっても、顕著な増粘現象を抑制することができる。
また、本発明のケイ酸含有組成物を構成するにあたり、粘度安定剤が、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、安息香酸、酢酸、フェノール、p−トルエンスルホン酸エステル、メタンスルホン酸エステル、および、安息香酸エステルからなる群から選択される少なくとも一つであることが好ましい。
このように構成することによって、比較的少量の配合であっても、所定の粘度安定効果を得ることができる。
また、本発明のケイ酸含有組成物を構成するにあたり、有機溶剤が、アルコール化合物、エーテル化合物、ケトン化合物、およびエステル化合物からなる群から選択される少なくとも一つであることが好ましい。
このように構成することによって、ケイ酸含有組成物における各成分の均一性が向上し、所定の粘度安定効果がさらに良好になるとともに、取り扱い性も良好となる。
また、本発明のケイ酸含有組成物を構成するにあたり、ケイ酸含有組成物における粘度(典型的には、初期値)を、20mPa・sec以下の値(測定温度:25℃、ケイ酸濃度:2重量%)とすることが好ましい。
このように構成することによって、ケイ酸含有組成物における塗布等の取り扱い性がさらに良好となる。
また、本発明のケイ酸含有組成物を構成するにあたり、ケイ酸含有組成物が水を含む場合、当該ケイ酸含有組成物における含水率を、水を含む全体量に対して、10重量%以下の値とすることが好ましい。
このように構成することによって、ケイ酸含有組成物における保存安定性をさらに優れたものとすることができる。
また、本発明の別の態様は、ケイ酸と、粘度安定剤と、有機溶剤と、を含んでなるケイ酸含有組成物の製造方法であって、下記工程(1)〜(2)を含むことを特徴とするケイ酸含有組成物の製造方法である。
(1)有機溶剤又は水に溶解してなる水ガラスをイオン交換処理又は鉱酸処理して、ケイ酸含有溶液とする工程
(2)得られたケイ酸含有溶液に、粘度安定剤として、有機酸および有機酸エステル、あるいはいずれか一方を配合し、当該粘度安定剤の配合量を、ケイ酸100重量部に対して、0.01〜500重量部の範囲内の値とし、かつ、有機溶剤の配合量を、全体量に対して、25〜99.9重量%の範囲内の値としてなるケイ酸含有組成物とする工程
このように実施することにより、優れた保存安定性を有するケイ酸含有組成物を、より効率的かつ安定的に製造することができる。
また、本発明のケイ酸含有組成物の製造方法を実施するにあたり、下記反応式(1)に準じて、工程(1)において、化合物(A)(構造式中、繰り返し数nは、1〜10000の整数、以下同様である。)で表される、ケイ酸を、分子内に(B)で表される構造を含むスルホン酸により、イオン交換して、化合物(C)(構造式中、繰り返し数nは、1〜10000の整数、以下同様である。)で表される、第1のケイ酸含有溶液を得た後、工程(2)において、化合物(C)で表される、第1のケイ酸含有溶液に、化合物(D)で表される、有機酸を配合して、エステル交換反応により、化合物(E)(構造式中、繰り返し数nは、1〜10000の整数、以下同様である。)で表される、ケイ酸含有組成物を製造することが好ましい。
すなわち、このように製造することにより、優れた保存安定性を有するケイ酸含有組成物を、より効率的かつ安定的に製造することができる。
また、本発明のケイ酸含有組成物の製造方法を実施するにあたり、工程(2)の後に、工程(2´)を設け、当該工程(2´)において、工程(2)で得られた第2のケイ酸含有溶液に対して、塩析処理を行うことが好ましい。
このように工程(2´)を設けて、所定の塩析処理を行うことにより、ケイ酸含有溶液中の不純物濃度や含水率をより少なくして、さらに優れた保存安定性を得ることができる。
図1は、粘度安定剤の種類(合計5種+コントロール)に基づく、ケイ酸含有組成物の保存安定性を説明するために供する図である。 図2は、ケイ酸含有組成物における粘度安定剤の配合量(合計4水準+コントロール)の影響を説明するために供する図である。
[第1の実施形態]
第1の実施形態は、ケイ酸と、粘度安定剤と、有機溶剤と、を含んでなるケイ酸含有組成物であって、粘度安定剤が、有機酸および有機酸エステル、あるいはいずれか一方であり、ケイ酸100重量部に対して、粘度安定剤の配合量を0.01〜500重量部の範囲内の値とし、かつ、有機溶剤の配合量を、全体量に対して、25〜99.9重量%の範囲内の値とすることを特徴とするケイ酸含有組成物である。
以下、第1の実施形態のケイ酸含有組成物について、具体的に説明する。
1.ケイ酸
(1)種類
ケイ酸は、例えば、化学式[SiOx(OH)4-2xn(xは0〜2の整数、繰り返し数nは1〜10000の整数である。)で表わされる化合物であれば含めることができるが、より具体的には、オルトケイ酸、メタケイ酸、メタニケイ酸、これらの少なくとも二つの化合物からなる混合物、あるいは、ポリケイ酸である。
そして、このようなケイ酸の典型例としては、水ガラスの主成分であるケイ酸ナトリウムから、ナトリウムイオンを脱離させたケイ素含有化合物が挙げられる。
(2)配合量
ケイ酸の配合量を、ケイ酸含有組成物の全体量に対して、すなわち、ケイ酸、粘度安定剤、および有機溶剤の各配合量の合計量を100重量%としたときに、0.05〜50重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、このようにケイ酸の配合量を制限することによって、ケイ酸含有組成物の保存安定性を優れたものとすることができるためである。
より具体的には、かかるケイ酸の配合量が0.05重量%未満の値になると、反応性が著しく低下する場合があるためである。
一方、かかるケイ酸の配合量が50重量%を超えると、ゲル化時間が極端に短くなって、取り扱いが困難となる場合があるためである。
したがって、ケイ酸の配合量を、ケイ酸含有組成物の全体量に対して、0.5〜40重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、1〜30重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
2.粘度安定剤
(1)種類
粘度安定剤の種類としては、有機酸および有機酸エステル、あるいはいずれか一方の化合物である。
この理由は、有機酸や有機酸エステルを所定量用いることにより、ケイ酸含有組成物の保存安定性を優れたものとできるためである。
より具体的な有機酸又は有機酸エステルとしては、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、安息香酸、酢酸、フェノール、p−トルエンスルホン酸エステル、メタンスルホン酸エステル、および、安息香酸エステルからなる群から選択される少なくとも一つが挙げられる。
この理由は、このように粘度安定剤の種類を制限することによって、ケイ酸含有組成物の保存安定性をさらに優れたものとすることができるためである。
なお、粘度安定剤の種類に関し、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、安息香酸、酢酸は、それぞれ水分子が結合した錯体や、酸無水物であっても良く、例えば、p−トルエンスルホン酸一水和物やp−トルエンスルホン酸無水物、メタンスルホン酸一水和物やメタンスルホン酸無水物、安息香酸一水和物や安息香酸無水物等であっても良い。
さらに、p−トルエンスルホン酸エステル、メタンスルホン酸エステル、および、安息香酸エステルは、それぞれ炭素数が1〜6のアルキルエステル部分を含むことが好ましい。
したがって、かかる粘度安定剤として、例えば、p−トルエンスルホン酸メチル、p−トルエンスルホン酸エチル、p−トルエンスルホン酸プロピル、メタンスルホン酸メチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル等の少なくとも一つであることが好ましい。
ここで、図1に言及して、粘度安定剤の種類(合計5種+コントロール)が、ケイ酸含有組成物溶液(塩析処理済であって、以下、第3のケイ酸含有溶液と称する場合もある。)の保存安定性に対して及ぼす影響を説明する。
すなわち、図1の横軸は、ケイ酸含有組成物溶液の保存期間に対応した経過時間(日)が採って示してあり、縦軸には、ケイ酸含有組成物溶液の粘度(mPa・sec)が採って示してある。
そして、ラインAが、粘度安定剤の種類として、p−トルエンスルホン酸一水和物に対応しており、その配合量は、ケイ酸100重量部に対して、55重量部の割合である。
同様に、ラインBが、p−トルエンスルホン酸無水物に対応しており、その配合量は、ケイ酸100重量部に対して、55重量部の割合である。
同様に、ラインCが、メタンスルホン酸に対応しており、その配合量は、ケイ酸100重量部に対して、55重量部の割合である。
同様に、ラインDが、メタンスルホン酸メチルに対応しており、その配合量は、ケイ酸100重量部に対して55重量部の割合である。
また、ラインEが、酢酸に対応しており、その配合量は、ケイ酸100重量部に対して55重量部の割合である。
そして、ラインFが、粘度安定剤を全く配合しない場合に対応しており、すなわち、コントロールとして、その配合量は、ケイ酸100重量部に対して、0重量部の割合である。
これらのラインA〜Eと、ラインFの粘度変化の挙動の差異から、粘度安定剤の種類による効果発現の程度に差異があるものの、所定量の粘度安定剤を配合することにより、ケイ酸含有組成物溶液の保存安定性を優れたものとすることができると言える。
より具体的には、ラインFに示されるように、粘度安定剤を全く配合しない場合には、7日程度まで、急激な粘度増加が続き、10日前後に、ゲル化して、その後の粘度測定が不可となったことを示している。
また、ラインA〜Eに示されるように、粘度安定剤として、所定量のメタンスルホン酸メチル等を用いた場合には、初期値と比較して、50日を過ぎた際の粘度も、大差無い値である。
なお、ケイ酸含有組成物溶液について、塩析処理を行わず、相当量の水や不純物が含まれる場合は、ラインFよりも粘度変化が短期間に生じることが判明している。すなわち、3日程度で、ゲル化することが判明している。
(2)配合量
また、粘度安定剤の配合量を、ケイ酸100重量部に対して、0.01〜500重量部の範囲内の値とすることを特徴とする。
この理由は、このように粘度安定剤の配合量を制限することによって、ケイ酸含有組成物の保存安定性を優れたものとすることができるためである。
より具体的には、かかる粘度安定剤の配合量が0.01重量部未満の値になると、保存安定性を向上させる効果が発現しない場合があるためである。
一方、かかる粘度安定剤の配合量が500重量部を超えた値になると、ケイ酸含有組成物の反応性が低下したり、あるいは、用途が過度に制限されたりする場合があるためである。
したがって、粘度安定剤の配合量を、ケイ酸100重量部に対して、0.1〜300重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、1〜100重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
ここで、図2に言及して、粘度安定剤(p−トルエンスルホン酸一水和物およびメタンスルホン酸)の配合量が、ケイ酸含有組成物溶液の保存安定性に対して及ぼす影響を説明する。
すなわち、図2の横軸は、粘度安定剤(p−トルエンスルホン酸一水和物およびメタンスルホン酸)の配合量(ケイ酸100重量部に対する重量部、合計4水準+コントロール)が採って示してあり、縦軸には、ケイ酸含有組成物溶液の粘度(mPa・sec)が採って示してある。
そして、図2中のラインAがp−トルエンスルホン酸一水和物に対応した10日後の粘度変化曲線、およびラインBが、メタンスルホン酸に対応した10日後の粘度変化曲線を表している。
これらのラインA〜Bの粘度変化曲線から、粘度安定剤の配合量を所定値(例えば、0.01〜500重量部、より好ましくは、0.1〜300重量部)とすることによって、ケイ酸含有組成物溶液の保存安定性を優れたものとすることができると言える。
3.有機溶剤
(1)種類
有機溶剤の種類は特に制限されるものではないが、通常、アルコール化合物、エーテル化合物、ケトン化合物、およびエステル化合物の少なくとも一つが好ましい。
より具体的には、イソプロピルアルコール、テトラヒドロフラン、プロピレングリコールモノエチルエーテル、酢酸エチル、およびメチルエチルケトンからなる群から選択される少なくとも一つであることが好ましい。
この理由は、このように有機溶剤の種類を制限することによって、ケイ酸含有組成物の保存安定性をさらに優れたものとすることができるためである。
(2)配合量
また、有機溶剤の配合量を、ケイ酸含有組成物の全体量、すなわち、ケイ酸、粘度安定剤、および有機溶剤の各配合量の合計量を100重量%としたときに、25〜99.9重量%の範囲内の値とすることを特徴とする。
この理由は、このように有機溶剤の配合量を制限することによって、ケイ酸含有組成物の保存安定性を優れたものとすることができるためである。
より具体的には、かかる有機溶剤の配合量が25重量%未満の値になると、著しく増粘し、取り扱いが困難となる場合があるためである。
一方、かかる有機溶剤の配合量が99.9重量%を超えると、含まれるケイ酸の濃度が過度に少なくなって、ケイ酸としての反応性が低下する場合があるためである。
したがって、有機溶剤の配合量を、ケイ酸含有組成物の全体量に対して、60〜99重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、70〜90重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
4.水
また、ケイ酸含有組成物は、基本的に水を含まないほうが良く、すなわち、全体量に対して、含水率は0重量%であることが好ましいものの、仮に、水を含む場合であっても、当該ケイ酸含有組成物における含水率を、水を含む全体量に対して、10重量%以下の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる含水率を制限することによって、ケイ酸含有組成物の保存安定性をさらに優れたものとすることができるためである。
より具体的には、かかる含水率が10重量%を超えた値になると、著しく増粘し、取り扱いが困難となる場合があるためである。
但し、かかる含水率を過度に低くしようとすると、ケイ酸含有組成物の製造上の歩留まりが著しく低下する場合がある。
したがって、ケイ酸含有組成物における含水率を、全体量に対して、0.01〜5重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、0.1〜1重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
5.粘度
(1)初期値
また、ケイ酸含有組成物における粘度(初期値)を、20mPa・sec以下の値(例えば、測定温度:25℃、ケイ酸濃度:2重量%)とすることが好ましい。
この理由は、かかるケイ酸含有組成物の粘度の値を制限することによって、ケイ酸含有組成物の用途を広げたり、あるいは、保存安定性をさらに優れたものとすることができるためである。
より具体的には、かかるケイ酸含有組成物における粘度が20mPa・secを超えると、取り扱い性が低下して、ケイ酸含有組成物の用途が過度に制限される場合があるためである。
但し、かかるケイ酸含有組成物における粘度を過度に低くしようとすると、ケイ酸含有組成物の製造上の歩留まりが著しく低下する場合がある。
したがって、ケイ酸含有組成物における粘度を、0.1〜15mPa・secの範囲内の値とすることがより好ましく、1〜10mPa・secの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、ケイ酸含有組成物における粘度(初期)は、後述する実施例1に記載するように、典型的には、ケイ酸含有組成物の作成直後において、JIS Z 8803に準拠し、測定温度25℃において、B型粘度計を用いて測定することができる。
但し、ケイ酸含有組成物につき、作成直後か否かの判断が困難な場合には、後述する所定時間経過後(3日または10日)の粘度から、初期粘度を推定することもできる。
(2)3日後
また、25℃、3日経過後のケイ酸含有組成物における粘度(以下、3日後粘度)を、25mPa・sec以下の値(測定温度:25℃、ケイ酸濃度:2重量%)とすることが好ましい。
この理由は、かかる3日後粘度の値を制限することによって、ケイ酸含有組成物の用途を広げたり、あるいは、保存安定性をさらに優れたものとすることができるためである。
但し、かかる3日後粘度を過度に低くしようとすると、ケイ酸含有組成物の製造上の歩留まりが著しく低下する場合がある。
したがって、ケイ酸含有組成物における3日後粘度を、0.5〜20mPa・secの範囲内の値とすることがより好ましく、2〜15mPa・secの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(3)10日後
また、25℃、10日経過後のケイ酸含有組成物における粘度(以下、10日後粘度)を、50mPa・sec以下の値(測定温度:25℃、ケイ酸濃度:2重量%)とすることが好ましい。
この理由は、かかる10日後粘度の値を制限することによって、ケイ酸含有組成物の用途を広げたり、あるいは、保存安定性をさらに優れたものとすることができるためである。
但し、かかる10日後粘度を過度に低くしようとすると、ケイ酸含有組成物の製造上の歩留まりが著しく低下する場合がある。
したがって、ケイ酸含有組成物における10日後粘度を、1〜30mPa・secの範囲内の値とすることがより好ましく、3〜20mPa・secの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
[第2の実施形態]
第2の実施形態は、第1の実施形態のケイ酸含有組成物の製造方法であって、下記工程(1)〜(2)を含むことを特徴とするケイ酸含有組成物の製造方法である。
(1)有機溶剤又は水に溶解してなる水ガラスをイオン交換処理又は鉱酸処理して、ケイ酸含有溶液とする工程
(2)得られたケイ酸含有溶液に、粘度安定剤として、有機酸および有機酸エステル、あるいはいずれか一方を配合し、当該粘度安定剤の配合量を、ケイ酸100重量部に対して、0.01〜500重量部の範囲内の値とし、かつ、有機溶剤の配合量を、全体量に対して、25〜99.9重量%の範囲内の値としてなるケイ酸含有組成物とする工程
以下、第2の実施形態のケイ酸含有組成物の製造方法について、具体的に説明する。
1.工程(1)
工程(1)は、ケイ酸含有溶液(以下、第1のケイ酸含有溶液と称する場合がある。)を得るための工程であって、有機溶剤又は水に溶解してなる水ガラスをイオン交換処理又は鉱酸処理して、ナトリウムイオンを離脱させ、ケイ酸として、そのケイ酸を含有する第1のケイ酸含有溶液とすることを特徴とする。
すなわち、まずは、所定量の水ガラスを、所定量の有機溶剤又は水に溶解させ、所定濃度、例えば、0.5〜5重量%の水ガラス溶液とする。
但し、水ガラスを、このように有機溶剤又は水に溶解させて、所定の水ガラス溶液としても良いが、市販の所定濃度のケイ酸ナトリウム水溶液等を入手して、そのままイオン交換処理又は鉱酸処理に供することも可能である。
さらに言えば、水ガラスは、有機溶剤又は水(これらの混合物を含む。)に溶解してあって、所定粘度を有していれば良く、すなわち、イオン交換処理等が実施できる態様であれば良い。
次いで、イオン交換処理を行う場合、強酸性イオン交換樹脂等が充填してあるカラムに、水ガラス溶液を注入し、所定速度で通過させる。
そして、イオン交換反応によって、ナトリウムイオンを離脱させ、ケイ酸とするとともに、所定濃度でケイ酸を含有する有機溶剤液とすることができる。
ここで、イオン交換処理条件として、以下の内容とすることが好ましい。
すなわち、イオン交換処理材としては、陽イオン交換樹脂を用いることが好ましく、水素型強酸性陽イオン交換樹脂を用いることがさらに好ましい。
より具体的には、強酸性陽イオン交換樹脂は、スルホン酸基等を交換基として持つイオン交換樹脂であって、塩酸や硫酸と同様に解離して、強酸性を示し、Na+イオンやCa2+イオンのような陽イオンを交換することができる。
また、強酸性陽イオン交換樹脂であれば、全てのpH領域(0〜14)で使用でき、温度にも比較的安定であって、100〜120℃の高温にも耐えることができる。
そして、交換基であるスルホン酸基は強酸性であり、アルカリ側は勿論のこと、酸性の溶液中でも、解離して、イオン交換反応を生じさせることが可能である。
また、イオン交換処理温度、すなわち、カラム内の温度を制御して、通常、1〜40℃の範囲内の値とすることが好ましく、10〜30℃の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
さらに、イオン交換処理時間は、樹脂との接触時間を空間時間で表わされるが、通常、1時間あたり、1〜20の空間速度で通液することが好ましいと言える。
以上は、イオン交換処理により、ケイ酸とするとともに、所定濃度でケイ酸を含有する水溶液とする方法を示したが、いわゆる中和反応を利用しても、ケイ酸を得ることができる。
すなわち、水ガラス溶液に、所定濃度の鉱酸、例えば、塩酸や硫酸を配合し、中和することによっても、ナトリウムイオンを離脱させて、ケイ酸とするとともに、所定濃度でケイ酸を含有する水溶液とすることができる。
2.工程(2)
工程(2)は、工程(1)で得られたケイ酸含有溶液(第1のケイ酸含有溶液)に、所定の粘度安定剤を、所定量配合することによって、ケイ酸含有組成物溶液(第2のケイ酸含有溶液)を得る工程である。
例えば、撹拌装置付きの容器内に、工程(1)で得られた第1のケイ酸含有溶液を収容した状態で、常温下に撹拌しながら、所定の粘度安定剤を、約0.1〜10g/分の速度で、滴下しながら配合し、第2のケイ酸含有溶液を得ることができる。
すなわち、所定濃度の第1のケイ酸含有溶液に対して、所定の粘度安定剤を、所定速度で配合することにより、ケイ酸含有組成物を均一に含有してなる第2のケイ酸含有溶液とすることができる。
なお、この段階のケイ酸含有組成物溶液(第2のケイ酸含有溶液)は、比較的不純物が多い場合があることから、粗ケイ酸含有組成物溶液と称する場合がある。
3.工程(2´)
工程(2´)は、任意工程ではあるものの、工程(2)で得られた第2のケイ酸含有溶液に対して、塩析処理を行い、第3のケイ酸含有溶液として、より優れた保存安定性を得るための工程である。
すなわち、工程(2)で得られた粗ケイ酸含有組成物を含む第2のケイ酸含有溶液に対し、所定の塩析処理を行い、不純物濃度や含水率が少ないケイ酸含有組成物を得て、それを含有する第3のケイ酸含有溶液とする工程である。
ここで、塩析処理としては、典型的には、粗ケイ酸含有組成物に対して、所定量の塩基、例えば、NaClやKClと、所定量の有機溶剤、例えば、イソプロピルアルコールやTHFを添加し、さらに、所定時間静置して、有機溶剤層と、水層の2層に分離抽出させることにより、実施することができる。
すなわち、NaCl等の塩基が飽和状態である水層に対して、粗ケイ酸含有組成物の溶解度は低いため、粗ケイ酸含有組成物は、分離されて、溶解度が高い有機溶剤層へと抽出されることになる。
したがって、ケイ酸含有組成物が含まれる有機溶剤層を分取することにより、高純度であって、かつ、低含水率の第3のケイ酸含有溶液を得ることができる。
その結果、得られた高純度等の第3のケイ酸含有溶液は、抽出前のケイ酸含有組成物(第2のケイ酸含有溶液)よりも、さらに優れた保存安定性を発揮することができる。より具体的には、室温でのゲル化時間を約3日から、10日に延長することができる。
4.反応式
なお、参考として、工程(1)において、水ガラスをイオン交換処理して、第1のケイ酸含有溶液とする工程と、工程(2)において、工程(1)で得られた第1のケイ酸含有溶液に、粘度安定剤として、R−OHで表わされる有機酸を配合し、エステル交換することによって、第2のケイ酸含有溶液とする工程の一例を、反応式(1)として示す。
ここで、化合物(A)(構造式中、繰り返し数nは、1〜10000の整数。)が、ケイ酸ナトリウムを示している。
同様に、分子内に(B)で表される構造を含むスルホン酸が、スルホン酸基を有するイオン交換樹脂等を示しており、化合物(C)(構造式中、繰り返し数nは、1〜10000の整数。)が、ケイ酸を示しており、化合物(D)が、有機酸を示しており、化合物(E)(構造式中、繰り返し数nは、1〜10000の整数。)が、エステル交換したケイ酸を示している。
また、粘度安定剤として、有機酸エステルを用いる場合には、反応式(1)中で、R−OHで表わされる有機酸のかわり、あるいは、R−OHで表わされる有機酸と併用して、R−CO−O−R´で表わされる有機酸エステル(R´は、炭素数1〜6のアルキル基等)を用いれば良い。
なお、反応式(1)中、有機酸の一部を示すRは、p−トルエンスルホン酸基(CH364SO2−)、メタンスルホン酸基(CH3SO2−)、安息香酸基(C64CO2−)、酢酸基(CH3CO2−)等である。
以下、本発明を実施例によってさらに詳細に説明する。但し、本発明はこれらの記載によって、特に理由なく制限されるものではない。
[実施例1]
1.ケイ酸含有組成物溶液の製造
(1)工程(1)
まず、主成分がメタケイ酸ソーダである水ガラスを、水に均一に溶解させ、400gの濃度4重量%の水ガラス水溶液(ケイ酸ソーダ)を準備した。
次いで、強酸性のスルホン酸基を有するイオン交換樹脂360mlが充填してある、直径50mm、長さ0.5mの円筒状カラムの上部に、準備した400gの水ガラス水溶液を注入し、30ml/分の速度で通過させた。
そして、スルホン酸に基づくイオン交換反応によって、水ガラスのナトリウムイオンを離脱させ、ケイ酸とするとともに、当該ケイ酸を2重量%の濃度で含有するケイ酸水溶液(第1のケイ酸含有溶液)とした。
(2)工程(2)
次いで、工程(2)を実施し、工程(1)で得られた第1のケイ酸含有溶液に対して、所定の粘度安定剤を、ケイ酸100重量部に対して、55重量部となるように配合した。
すなわち、撹拌装置付きの容器内に、90gの2重量%濃度の第1のケイ酸含有溶液を収容した後、常温下、300rpmの回転速度で撹拌しながら、p−トルエンスルホン酸一水和物アルコール溶液(p−トルエンスルホン酸一水和物0.99g/イソプロピルアルコール(以下、IPAと称する場合がある。)90g)を6g/分の速度で、滴下して、約180gのケイ酸含有組成物溶液としての第2のケイ酸含有溶液とした。
(3)工程(2´)
最後に、工程(2´)を実施し、工程(2)で得られた第2のケイ酸含有溶液に対し、塩析処理を行い、不純物濃度が少ないケイ酸含有組成物を含むアルコール溶液(第3のケイ酸含有溶液)とした。
すなわち、塩析処理として、撹拌装置付きの容器内に、14gのNaClを添加し、25℃、1日の条件で、静置し、イソプロピルアルコール層と、水層の2層に分離させた。
そして、ケイ酸含有組成物を含むイソプロピルアルコール層を分取して取り出し、第3のケイ酸含有溶液として、高純度のケイ酸含有組成物を含むアルコール溶液(含水率:0.5重量%以下)を得た。
2.ケイ酸含有組成物の評価
得られた第3のケイ酸含有溶液につき、以下の測定を行い、評価した。
(1)保存安定性1
JIS Z 8803に準拠し、ラボ用デジタル回転式粘度計(Blookfield社製)を用いて、第3のケイ酸含有溶液の初期粘度(典型的には、作成直後の粘度)および3日後の粘度を、それぞれ測定し、以下の基準で保存安定性を評価した。
◎:3日後の粘度が、初期粘度の1.5倍以下である。
○:3日後の粘度が、初期粘度の3倍以下である。
△:3日後の粘度が、初期粘度の10倍以下である。
×:3日後の粘度が、初期粘度の10倍超である。
(2)保存安定性2
JIS Z 8803に準拠し、ラボ用デジタル回転式粘度計(Blookfield社製)を用いて、初期および10日経過後における第3のケイ酸含有溶液の粘度を、それぞれ測定し、以下の基準で保存安定性を評価した。
◎:10日後の粘度が、初期粘度の1.5倍以下である。
○:10日後の粘度が、初期粘度の3倍以下である。
△:10日後の粘度が、初期粘度の10倍以下である。
×:10日後の粘度が、初期粘度の10倍超である。
(3)反応性
第3のケイ酸含有溶液に含まれる、高純度のケイ酸含有組成物の反応性を、下記基準に準じて、評価した。
すなわち、厚さ1mmのガラスプレートの上に、第3のケイ酸含有溶液を塗布した後、室温、減圧条件下、4時間かけて、有機溶剤を飛散させた。その後、得られた粉状物をIPAに溶解させて、以下の基準に準じて、ケイ酸含有組成物の反応性を評価した。
○:IPAに溶解されない、強固にゲル化した粉状物(シリカゲル)が得られた。
△:ゲル化が不十分で、IPAに部分的に溶解する粉状物が得られた。
×:ゲル化が生じず、粉状物がIPAに完全に溶解した。
[実施例2〜4]
実施例2〜4は、粘度安定剤としてのp−トルエンスルホン酸一水和物の配合量を、ケイ酸100重量部に対して、4重量部(実施例2)、20重量部(実施例3)、および200重量部(実施例4)と変えたほかは、実施例1と同様にケイ酸含有組成物のアルコール溶液を製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
[実施例5〜8]
実施例5〜8は、粘度安定剤として、メタンスルホン酸を用いるとともに、その配合量を、ケイ酸100重量部に対して、4重量部(実施例5)、20重量部(実施例6)、55重量部(実施例7)、および200重量部(実施例8)と変えたほかは、実施例1と同様にケイ酸含有組成物のアルコール溶液を製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
[実施例9〜13]
実施例9〜13では、粘度安定剤の種類を、それぞれp−トルエンスルホン酸無水物(実施例9)、メタンスルホン酸メチル(実施例10)、酢酸(実施例11)、安息香酸(実施例12)、および安息香酸エチル(実施例13)に変えたほかは、実施例1と同様にケイ酸含有組成物のアルコール溶液を製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
[実施例14〜15]
実施例14〜15では、有機溶剤の種類を、テトラヒドロフラン(以下、THFと称する場合がある。)に変えたほかは、実施例1(p−トルエンスルホン酸一水和物)、および実施例7(メタンスルホン酸)と同様にケイ酸含有組成物のTHF溶液をそれぞれ製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
[実施例16〜17]
実施例16〜17では、粘度安定剤としてのp−トルエンスルホン酸一水和物の配合量を、ケイ酸100重量部に対して、1重量部(実施例16)、および0.5重量部(実施例17)に変えたほかは、実施例1と同様にケイ酸含有組成物のアルコール溶液を製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
[実施例18〜19]
実施例18〜19では、粘度安定剤としてのp−トルエンスルホン酸一水和物の配合量を、ケイ酸100重量部に対して2重量部に変えるとともに、実施例18では、有機溶剤の種類をIPA/酢酸エチル(混合重量比=50/50)とし、実施例19では、IPA/酢酸エチル(混合重量比=10/90)としたほかは、実施例1と同様にケイ酸含有組成物のアルコール溶液を製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
[実施例20]
実施例20では、粘度安定剤として、メタンスルホン酸を用いるとともに、当該メタンスルホン酸の配合量を、ケイ酸100重量部に対して2重量部とし、かつ、有機溶剤の種類をメチルエチルケトン(MEK)としたほかは、実施例1と同様にケイ酸含有組成物のアルコール溶液を製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
[比較例1]
比較例1では、粘度安定剤を全く配合しなかったほかは、実施例1と同様にケイ酸含有組成物溶液のアルコール溶液を製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
但し、比較例1は、ケイ酸含有組成物溶液の段階で、ゲル化してしまい、反応性評価に供することができなかった。したがって、表1中の評価3において、「−」と記している。
以上、詳述したように、本発明のケイ酸含有組成物によれば、基本的に、所定量のケイ酸と、所定の粘度安定剤と、有機溶剤と、を含んでなるケイ酸含有組成物、およびそれを含む所定溶液とすることによって、良好な反応性を維持したまま、優れた保存安定性が得られるようになった。
また、本発明のケイ酸含有組成物の製造方法によれば、水ガラスを原料として、良好な反応性を維持したまま、優れた保存安定性を有するケイ酸含有組成物、およびそれを含む所定溶液が効率的かつ安価に得られるようになった。

Claims (7)

  1. ケイ酸と、粘度安定剤と、有機溶剤と、を含んでなるケイ酸含有組成物であって、
    前記粘度安定剤が、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、安息香酸、酢酸、フェノール、p−トルエンスルホン酸エステル、メタンスルホン酸エステル、および、安息香酸エステルからなる群から選択される少なくとも一つであり、
    前記ケイ酸100重量部に対して、前記粘度安定剤の配合量を0.01〜500重量部の範囲内の値とし、
    かつ、
    前記有機溶剤の配合量を、全体量に対して、25〜99.9重量%の範囲内の値とすることを特徴とするケイ酸含有組成物。
  2. 前記有機溶剤が、アルコール化合物、エーテル化合物、ケトン化合物、およびエステル化合物からなる群から選択される少なくとも一つであることを特徴とする請求項1に記載のケイ酸含有組成物。
  3. 前記ケイ酸含有組成物における粘度を20mPa・sec以下の値(測定温度:25℃、ケイ酸濃度:2重量%)とすることを特徴とする請求項1または2に記載のケイ酸含有組成物。
  4. 前記ケイ酸含有組成物が水を含む場合、当該ケイ酸含有組成物における含水率を、水を含む全体量に対して、10重量%以下の値とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のケイ酸含有組成物。
  5. ケイ酸と、粘度安定剤と、有機溶剤と、を含んでなるケイ酸含有組成物の製造方法であって、下記工程(1)〜(2)を含むことを特徴とするケイ酸含有組成物の製造方法。
    (1)前記有機溶剤又は水に溶解してなる水ガラスをイオン交換処理又は鉱酸処理して、ケイ酸含有溶液とする工程
    (2)得られたケイ酸含有溶液に、前記粘度安定剤として、有機酸および有機酸エステル、あるいはいずれか一方を配合し、当該粘度安定剤の配合量を、前記ケイ酸100重量部に対して、0.01〜500重量部の範囲内の値とし、かつ、前記有機溶剤の配合量を、全体量に対して、25〜99.9重量%の範囲内の値としてなるケイ酸含有組成物とする工程
  6. 下記反応式(1)に準じて、前記工程(1)において、化合物(A)(構造式中、繰り返し数nは、1〜10000の整数。)で表される、前記ケイ酸を、分子内に(B)で表される構造を含むスルホン酸により、イオン交換して、化合物(C)(構造式中、繰り返し数nは、1〜10000の整数。)で表される、第1のケイ酸含有溶液を得た後、前記工程(2)において、前記化合物(C)で表される、前記第1のケイ酸含有溶液に、化合物(D)で表される、有機酸(当該有機酸を表すROHの一部であるRは、p−トルエンスルホン酸基、メタンスルホン酸基、安息香酸基、及び酢酸基からなる群から選択される少なくとも一つ)を配合して、エステル交換反応により、化合物(E)(構造式中、繰り返し数nは、1〜10000の整数。)で表される、前記ケイ酸含有組成物を製造する工程を含むことを特徴とする、請求項5に記載のケイ酸含有組成物の製造方法。
  7. 前記工程(2)の後に、工程(2´)を設け、当該工程(2´)において、工程(2)で得られた第2のケイ酸含有溶液に対して、塩析処理を行うことを特徴とする請求項5または6に記載のケイ酸含有組成物の製造方法。
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