JP6786029B2 - 香りオイルの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は香りを有するオイルの製造方法に関し、更に詳しくは、少なくとも抽出工程と移行工程を有する新規な香りオイルの製造方法、及び、該製造方法で得られる香りオイルに関するものである。
植物等の生物からそこに含まれる成分を抽出する方法としては、水蒸気蒸留法を用いて抽出して2層に分かれた上層(油相)を分離する方法;水に直接浸漬させて加熱しその2層に分かれたものから主に上層(油相)を分離する直接抽出法;有機溶媒を用いて抽出する溶媒抽出法;油性成分を加えて圧搾することにより抽出する圧搾法;油性成分を加えて加熱することにより抽出する加熱抽出法;超臨界流体を用いて抽出する超臨界抽出法;フリーズドライ法;等、種々の方法が知られている。
しかしながら、これらの抽出方法は、水相を主な目的物として分離するものではなく、水に溶解する成分や、生物から抽出された水溶液中の成分を抽出するものではなかった。
また、これらの抽出方法は何れも、水;油性成分等の有機溶媒;超臨界液体;等の抽出溶媒(抽出媒体)を抽出過程で外から添加するので、得られた抽出物は、完全に天然の「抽出に使用された生物」由来のものとは言えなかった。
また、これらの抽出方法によって生じた抽出液は、抽出溶媒(水、水蒸気、油性成分、超臨界流体等)の極微量の残留によって、用途によっては利用することができない場合があった。
また、有機溶媒、水(水蒸気)等の抽出溶媒を使用せず、比較的低温で減圧して直接抽出する所謂「低温真空抽出法」が知られている(例えば、特許文献1〜4)。
特許文献1には、植物を破砕及び撹拌しながら加熱及び減圧して植物由来の蒸気を生成させる油性成分(香気成分)の抽出方法が記載されている。そして、この方法を用いれば、ハーブ、果物、花又は野菜から香気成分を抽出できるとされている。
また、特許文献2には、シークワーサ由来の香気成分含有抽出液を、比較的低温で減圧して、高濃度の油性成分(精油)を抽出する抽出方法が記載されている。そして、この方法を用いれば、高濃度の精油が得られるので、アロマセラピー用、香料用等に好適であるとされている。
特許文献3には、魚類の養殖に当たり、該魚類と同じ属に属する魚類を真空乾燥して得られた粉末餌を該養殖対象である魚類に与える方法が記載されており、該粉末餌の製造方法として、比較的低温で減圧して得られた抽出残渣(魚類粉末体)を得る方法が記載されている。
また、特許文献4には、泥染めした後に一旦乾燥したイグサを、破砕しつつ比較的低温で減圧して抽出する抽出液の製造方法が記載されている。そして、この方法で抽出された抽出液は、青畳の独特の芳香を有するので、脳機能改善、認知症予防治療に好適であるとされている。
しかしながら、かかる公知文献に記載の方法は、ハーブ等から直接油性液体(精油)を抽出するものであったり、抽出残渣である粉末を得るものであったり、水性液体を抽出対象として抽出して利用するものであったりした。
しかしながら、確かに上記のように比較的低温で減圧して得られた油性成分(精油、エッセンシャルオイル)は、熱分解されて生じる不要成分の混入は抑制できてはいるものの、水に微量でも溶解する香り成分は、得られた全抽出液の下層の水相に溶解してしまい、上層の油相にはあまり溶解していなかった。
しかも、抽出媒体を使用せずに生物そのものからのみ抽出すると、全抽出液の中で、通常は下層(水相)が上層(油相)より体積的に格段に多いので、上記の公知の方法を用いることで上層(油相)として得られた精油(エッセンシャルオイル)には、水に溶解する香り成分や油性であっても水に若干でも溶解する香り成分は、分配係数が一定であるので殆ど含有されていなかった。
このように、従来の「生物の香りを有する油性成分(オイル)」として知られているものは、「精油(エッセンシャルオイル)」と言われているものであっても、生物本来の香りを有するものではなかった。
況や、食用オイル等を用いて、浸漬抽出したものや圧搾法で得たものは、水溶性の成分(油溶性であっても水に溶解する成分)の十分な配合に欠けるものであったり、油溶性の不要の香り成分を含むものであったりした。また、前記した対象を加熱する抽出方法では、加熱により生じた不要の香り成分をも含むものであった。
料理用、化粧料用、芳香剤用、アロマテラピー用等として、香りに対する要望は近年益々強くなって来ているが、前記した従来の香りオイルでは不十分であった。
特開2012−062374号公報 特開2013−203911号公報 特開2014−193158号公報 特開2015−074757号公報
本発明は上記背景技術に鑑みてなされたものであり、その課題は、生物本来の香りを有する香りオイルの製造方法を提供することにある。
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定の温度と特定の圧力で、生物からまず香り成分を含有する水溶液を抽出し、次いで、特定の温度と特定の圧力で、該水溶液中の香り成分を、該水溶液の上層に設けたオイルに移行させることによって、今まで知られていなかった新規な「生物本来の香りを有する香りオイル」が得られることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、生物本来の香りを有する香りオイルの製造方法であって、
少なくとも、以下の工程(1)及び工程(2)を有することを特徴とする香りオイルの製造方法を提供するものである。
(1)香り成分を含有する生物から、少なくとも主たる抽出中は、該生物を10℃以上50℃以下の温度範囲に維持しつつ、減圧器Aによって抽出容器内の圧力を10kPa以下に維持して、該生物から、香り成分を含有する水溶液を抽出する抽出工程
(2)工程(1)で得られた香り成分を含有する水溶液を下層とし、オイルを上層とし、該下層と該上層を10℃以上50℃以下の温度範囲に維持しつつ、減圧器Bによって移行容器内の圧力を10kPa以下に維持して、該下層の水溶液の水を水蒸気として該上層を通過させて留去すると共に、該下層から蒸発した香り成分を該上層に移行させる移行工程
また、本発明は、上記工程(1)において、加熱ユニットによって上記生物の温度を上昇させ、減圧器Aによって該生物中の水を蒸発させるときの蒸発熱で該生物の温度を下降させることによって、該生物の温度を上記温度範囲に維持する上記の香りオイルの製造方法を提供するものである。
また、本発明は、上記工程(1)において、上記抽出容器内に設けられた粗破砕撹拌機によって、少なくとも主たる抽出中は、該生物を1mm以上20mm以下に粗破砕しつつ撹拌しながら抽出する上記の香りオイルの製造方法を提供するものである。
また、本発明は、上記工程(2)において、加熱ユニットによって上記下層と上記上層の温度を上昇させ、減圧器Bによって該下層中の水を蒸発させるときの蒸発熱で該温度を下降させることによって、該下層と該上層の温度を上記温度範囲に維持する上記の香りオイルの製造方法を提供するものである。
また、本発明は、上記工程(1)又は上記工程(2)において、上記減圧器A又は上記減圧器Bが水エジェクタである上記の香りオイルの製造方法を提供するものである。
また、本発明は、上記の香りオイルの製造方法によって製造されるものであることを特徴とする香りオイルを提供するものである。
また、本発明は、料理用、化粧料用、芳香剤用、香水用、アロマテラピー用、マッサージオイル用又は薬用である上記の香りオイルを提供するものである。
本発明の製造方法によって得られた香りオイルは、前記問題点と課題を解決し、抽出対象である生物の本来の香りを有する香りオイルを提供することができる。
例えば、前記した、水蒸気蒸留法、水やオイルと言った加熱溶媒を用いる直接抽出法等では、抽出対象である生物や抽出物を加熱してしまうので、熱に対して不安定な香り成分は分解してしまう。また、例えば料理等で、加熱オイルを用いて(例えば炒める等して)抽出した場合には、上記した熱分解成分の混入がある上に、本来抽出されるべきでない成分まで(例えば過飽和となり)抽出されてしまう場合がある。
しかしながら、本発明の製造方法によれば、全ての工程で温度に上限があるので、熱に対して不安定な香り成分も分解されずに抽出される。また、不必要な成分まで抽出されることがない。本発明の製造方法によれば、全ての工程で50℃以下(好ましくは45℃以下)が維持されるので、すなわち、通常の生物が生存できる温度以下が維持されるので、生体内の例えば細胞水が変質することがなく、生命体が本来有する香り成分が含有された香りオイルが得られる。例えば細胞内の酵素は、高い温度では(「40℃〜50℃」を超えると)失活する。本発明の製造方法によれば、酵素は、実質的に失活せずに残存している。
本発明の工程(1)及び/又は工程(2)において、特定の大きな排気能力を有する減圧器を用いれば、水の蒸発熱で対象を冷却することができ、対象の熱分解が防げる。
そして、大きな排気能力を有する減圧器にしては高い減圧度(すなわち抽出容器内及び/又は移行容器内の低い圧力)を達成できる減圧器を用いることによって、低い抽出温度及び/又は移行温度にしては長時間を必要とせず効率的に主たる抽出を完了させることができる。また、減圧器に必要以上に高い減圧度を要求せず、その分を排気能力のアップに振り向けることにより、本格商業生産規模の大きなスケールであっても、上記行為(性能)が実現できた。
精油(エッセンシャルオイル)は油性であり、また、生物からの抽出液は、油性溶媒(オイル)を用いて抽出された油性溶液として使用されることが多い。
しかしながら、生物が有する香り成分には水溶性のものがあり、また、油溶性ではあっても水に溶解するものがある。例えば、大量の水に対しては若干溶解したり、上層に油相、下層に水相を配して分液したときに、分配係数は一定であるので水相にも溶解したりするために、油性溶液として獲得し損なっている成分が存在する。
また、精油(エッセンシャルオイル)は、その抽出方法から、低沸点の油性成分や、水と共沸し易い油性成分に限られ、獲得し損なっている香り成分が存在する。
本発明の製造方法によれば、まず、最初の抽出工程で、抽出温度の上限を規定し(十分低温で)、抽出圧力の上限を規定して(十分減圧して)、香り成分を含有する水溶液を得るので、抽出対象である生物に含有されている水溶性の香り成分が熱分解せず、またそれらを実質的にほぼ全部抽出できる。なお、油溶性であっても水溶性であれば、「水溶性」と言う。
次いで、移行工程で、該水溶液を下層としオイルを上層とし、低温で減圧して蒸発した水相の香り成分を上層のオイルに移行させるので、水溶性の香り成分に富んだ、更には、生物に含まれる水性の香り成分を殆ど全て含有する新規な香りオイルが得られる。
本発明の香りオイルの製造方法では、水、水蒸気又は有機溶媒と言った抽出溶媒・抽出蒸気を実質的に使用しないので(外部からは添加しないので)、生物由来の香り成分のみを「水溶液」として、更には該香り成分を移行させて「香りオイル」として、何れも高濃度で収率良く回収することができる。
本発明の製造方法で得られた香りオイルは、「生物内に含有される物質」以外の物質を含有させないことが可能であるため、オイル中の成分(媒体であるオイル以外)は、水を含め生物由来の成分だけで構成させることができ、極めて安全であり、また安心して提供ができる。また、「生物由来以外のもの」(抽出溶媒、分解物等)の風味や臭いがない。
本発明の製造方法で得られた香りオイルの香りを嗅ぐことによって、生物本来の香りがどのようなものであるかが初めて分かった。本発明の製造方法で得られた香りオイルは、今までにない成分(組成)を有する新規のものであることは、その香りが今までのものとは全く異なることから明らかである。
該成分(組成)を化学分析で同定することは実際的ではない。例えば、「香り」は、現在の分析装置を用いて測定し、「物質の構造や量(組成)」によって完全に特定できないことは技術常識である。
本発明の最初の抽出工程で得られた水溶液ですら、有機溶媒、水(水蒸気)等の抽出溶媒を使用せず、低温で減圧して生物から直接抽出したものであるので、従来の一般的な水性抽出液とは成分(組成)が異なるものである。従って、それを更に後段の移行工程で、低温で減圧して香り成分をオイル側に移行させて得られた本発明の香りオイルは、新規のものであることは明らかである。
そもそも香りを有する液体は、油性溶液として種々の用途に使用されることが多い。本発明の香りオイルは、水溶性の有効成分(香り成分)を(もれなく)含有しているにもかかわらず油性溶液であり、今までにない優れた独特の香りを有するので、その用途が極めて広い。
本発明の工程(1)に使用される抽出装置、及び、工程(2)に使用される移行装置(移行装置では若干の機器・部品は不要であり、また形態が異なっていてもよい)の全体の一形態を示す概略図である。 本発明の工程(1)に使用される装置に具備されている抽出容器、冷却器、回収獲得容器等の一形態を示す概略断面図である。 本発明の工程(1)に使用される装置に具備されている抽出容器の一形態を示す概略縦断面図である。 本発明の工程(1)に使用される装置に具備されている抽出容器が有する粗破砕撹拌機の一形態を示す概略斜視図である。 本発明の工程(2)に使用される移行容器を示す概略断面図である。 (a)留去(蒸発)開始前の「香り成分を含有する水溶液」(下層)とオイル(上層)との状態を示す (b)下層の「香り成分を含有する水溶液」の水を留去して香りを上層に移行させた後の状態を示す
以下、本発明について説明するが、本発明は、以下の具体的態様に限定されるものではなく、技術的思想の範囲内で任意に変形することができる。
本発明の「香りオイルの製造方法」は、少なくとも、以下の工程(1)及び工程(2)を有することを特徴とする。
(1)香り成分を含有する生物から、少なくとも主たる抽出中は、該生物を10℃以上50℃以下の温度範囲に維持しつつ、減圧器Aによって抽出容器内の圧力を10kPa以下に維持して、該生物から、香り成分を含有する水溶液を抽出する抽出工程
(2)工程(1)で得られた香り成分を含有する水溶液を下層とし、オイルを上層とし、該下層と該上層を10℃以上50℃以下の温度範囲に維持しつつ、減圧器Bによって移行容器内の圧力を10kPa以下に維持して、該下層の水溶液の水を水蒸気として該上層を通過させて留去すると共に、該下層から蒸発した香り成分を該上層に移行させる移行工程
<工程(1)>
工程(1)は、抽出対象である生物から、香り成分を含有する水溶液を抽出する抽出工程であり、香り成分を含有する生物から、少なくとも主たる抽出中は、該生物を10℃以上50℃以下の温度範囲に維持しつつ、減圧器Aによって抽出容器内の圧力を10kPa以下に維持して「香り成分を含有する水溶液」を抽出する。なお、工程(1)を「抽出工程(1)」と記載する場合がある。
抽出容器内に投入する生物は、特に限定はないが、植物、動物、キノコ若しくは海藻、又は、それらの一部であることが好ましい。「『植物、動物、キノコ若しくは海藻』の一部」としたのは、他の部分からの抽出が不要又は不適である場合等に、生物全体から香り抽出にとって必要又は好適な部分(該一部)だけを取り出して(切り出して)抽出容器に投入できると言う意味である。
上記植物の一部としては、特に限定はないが、該植物の、果肉、果皮、茎、花托、幹、花、葉、萼、種子、根、球根等であることが、これらの部位(植物の一部)には、馴染みのある香り、芳香、風味(味と香りの合体)等があるために好ましい。
本発明にとって抽出対象となる具体的な生物については、全く限定はないが、例えば、上記植物又は植物の一部としては、具体的には、ワサビ、サンショ、ニンニク、トウガラシ等の香辛野菜;タマネギ、ナガネギ、セロリ、ニンジン等の風味野菜;イチゴ、リンゴ、オレンジ、ブルーベリー等の果物;バラ、サクラ等の葉又は花弁;ラベンダー、ペパーミント、コリアンダー、ローズマリー、タイム等のハーブ;等が挙げられる。
例えば、本発明の香りオイルの製造方法で製造された「バラの花弁から得られた香りオイル」は、従来公知のバラの精油とは全く異なる香りがする。また、本発明の香りオイルの製造方法で製造された「ニンニクから得られた香りオイル(移行されるベースのオイルは菜種油)」は、ニンニクを菜種油で炒めたもの(ニンニクを加熱した菜種油中に入れてニンニクの香りを該菜種油に移行したもの)とは全く異なる香りや風味がする。
本発明の抽出工程(1)においては、まず抽出の対象となる生物を、例えば図3に示したような抽出容器内に投入するが、その際の大きさについては、該抽出容器に入りさえすれば特に限定はない。
ただし、後記するように、該抽出容器内の粗破砕撹拌機によって(図4参照)、少なくとも主たる抽出中に、該生物を1mm以上20mm以下に粗破砕しつつ撹拌しながら抽出することが、抽出効率が高い点、細胞膜を通過した細胞水を取り出せる点、香りを逃がさない点等から好ましいので、抽出容器内に投入する前の生物の大きさは、それより大きいことが好ましい。
最初からそもそも小さい「生物の一部」が存在するので(例えば、花弁、イチゴ、ニンニク等)、その場合は、その部位をそのまま投入することが好ましいが、投入前の切断が必要な場合の投入時大きさは、具体的には、例えば、2mm以上100mm以下が好ましく、5mm以上70mm以下がより好ましく、10mm以上50mm以下が特に好ましい。切断について小さ過ぎると、該切断が無駄になる場合、細胞膜を破ってしまう場合、切断面が劣化する場合、香りが逃げる場合等がある。
生物(の一部)をそのまま投入したり、上記のように切断して投入したりすることが好ましく、特に限定はしないが、ペースト状、すりおろし状にして投入することは、上記点から好ましくない場合があり、また、投入前の加熱処理、(途中までの中間)乾燥、液体への浸漬処理等も、上記点から好ましくない場合がある。
本発明においては、生物を抽出容器内に、少なくとも主たる抽出中は、該生物を10℃以上50℃以下の温度範囲に維持しつつ、減圧器Aによって抽出容器内の圧力を10kPa以下に維持して抽出する。
本発明の香りオイルの製造方法の抽出工程(1)に使用される抽出装置は、例えば一例を図1に示したように、少なくとも、以下の容器や機器を有していることが好ましい。
生物を粗破砕しつつ撹拌する粗破砕撹拌機110、生物及び抽出容器100内を加熱する加熱ユニット120、生物から発生する気体を取り出す気体取出口130、及び、抽出後に生物の粉末残渣を取り出す粉末残渣取出口140を有する抽出容器100;
該気体取出口130から取り出された気体を冷却する冷却器200;
該抽出容器100内を減圧する「減圧器A」300;並びに;
該冷却器200で冷却されて液化した抽出液を回収し、そこから、水相(水層、通常は下層)として「香り成分を含有する水溶液」601を、油相(油層、通常は上層)として「精油等の油性成分」を獲得する回収獲得容器400;を具備している。
抽出対象となる生物は、生物投入口103から抽出容器100に投入される。投入される生物は、前記した通り、予め切断しておいてもよく、該生物の全部であっても、該生物の一部を取り(切り)出したものでもよい。
本発明における抽出工程(1)では、外部から「抽出対象物である生物(の一部)以外のもの」を実質的には投入しないことが好ましい。具体的には、抽出溶媒も抽出蒸気も実質的に添加しないことによって、得られる「香り成分を含有する水溶液」601は、抽出対象物である生物に含有される成分のみからなり、更に、該生物に含有される水溶性成分の実質的に全てを含有させることができる。
本発明の趣旨の範囲内であれば、図に示されたものには限定されないが、図2、図3に本発明における抽出装置の抽出容器100の概略図を示す。
抽出容器100は、生物を収容し、粗破砕撹拌機110で粗破砕しながら撹拌し、該粗破砕・撹拌下に、加熱ユニット120によって外部から熱を加えつつ減圧して抽出する容器である。
本発明における抽出装置の抽出容器100の粗破砕撹拌機110は、少なくとも、投入された生物を粗破砕しつつ撹拌できるようになっている。
抽出容器100は、以下に限定される訳ではないが、具体的には、例えば、粗破砕撹拌機110を収容した下部半円筒部101と、その上に形成された上部角形部102とからなる。少なくとも下部半円筒部101の周囲には、抽出容器100の内部に熱を加える蒸気室121がある。
下部半円筒部101の最下部の中央には、抽出後の残渣を取り出す粉末残渣取出口140が設けられている。
図1〜3に示すように、上記上部角形部102の上部には、生物投入口103が設けられていると共に、その生物投入口103を塞ぐ生物投入口蓋104が設けられている。
上記上部角形部102の上部には、吸引される蒸気の気体取出口130が設けられ、言い換えれば、生物から発生する気体を取り出す気体取出口130が設けられ、この気体取出口130には、冷却器200につながる気体配管131が接続されている。
本発明の香りオイルの製造方法における破砕工程(1)においては、投入された生物を撹拌羽根で粗破砕しながら撹拌し、該粗破砕・撹拌下に抽出を行うことが好ましい。このようにしながら抽出することで、有効成分(香り成分)の熱分解、酸化等による変性を防ぐことができる。
上記粗破砕・撹拌は、「複数の回転刃113a、113bを有する回転刃体112a、112b」及び「抽出装置の内面(好ましくは上記下部半円筒部101の下内面)に設けられた複数の凸型固定刃111」を備えた抽出装置内で行うことが、上記効果を得るために特に好ましい。
例えば、図4は、前記粗破砕撹拌機110の構成を示す斜視図であり、粗破砕撹拌機110は、抽出容器100の外部に設けられたモータにより回転されるものであり、抽出容器100の端壁105a、105bに回転可能に支持される左右の端板106a、106bと、その先端間に両端が固定された、ほぼ「く」の字115の形をなす回転刃体112a、112bとによって構成することにより、中心軸を有しない構造(中心軸なしで回転可能の構造)に構成されている。
回転刃体112a、112bをほぼ「く」の字形にすることによって、生物を撹拌羽根で好適に粗破砕しながら撹拌し易くすると共に、抽出完了後は、粉末残渣を抽出容器100の内壁から良好に掻き取り、粉末残渣取出口140に向けて掻き寄せることによって、好適に生物由来粉末残渣Cを粉末残渣取出口140から獲得できる。
本発明においては、上記粗破砕撹拌機110が2個以上の回転刃体112a、112bを有し、該回転刃体112a、112bを同方向に回転させることで、上記生物を好適に粗破砕しつつ撹拌し、抽出完了後には、粉末残渣を上記抽出容器100の内壁から掻き取り、上記粉末残渣取出口140に向けて掻き寄せるようになっていることが好ましい。
なお、抽出工程(1)で、最後に抽出容器に残った生物由来粉末残渣も、生物由来のもの(成分)のみからなっているので、かかる優位点を利用する等して有効利用することもできる。
粗破砕撹拌機110の回転速度、すなわち、抽出容器100の左右の端壁105a、105bに回転可能に支持されている左右の端板106a、106bの回転速度は、1回転/分以上8回転/分以下が好ましく、2回転/分以上6回転/分以下がより好ましく、4回転/分以上5回転/分以下が特に好ましい。
回転速度が低過ぎるときは、粗破砕、撹拌及び/又は抽出の効率が悪くなる場合、抽出容器100内で粗破砕されつつある生物に温度ムラが生じる場合等があり、一方、回転速度が高過ぎるときは、粗破砕撹拌機110に過剰の負荷がかかる場合、高速が無駄である場合、生物(の細胞膜等)に障害を与える場合等がある。
本発明の香りオイルの製造方法の抽出工程(1)においては、上記抽出容器100の下部が円筒状になっており、その内壁に複数の凸型固定刃111を有すると共に、上記粗破砕撹拌機110は、1個に複数の回転刃113a、113bを有する回転刃体112a、112bを有し、該回転刃体112a、112bを回転させることによって、抽出容器100内の生物を、該凸型固定刃111と該回転刃113a、113bとで粗破砕することが好ましい。
そうすることで、好適に生物の粗破砕ができて好適に抽出ができ、本発明の前記効果を奏し易くなり、特に、生物の細胞膜を通過した抽出物が得られ、生物によっては、細胞膜を通過して得られる「香り成分を含有する水溶液」601がそうでないものより優れる場合がある。
図4における111は、下部半円筒部101の内面に固着された複数の凸型固定刃であり、回転刃体112a、112bにおける凸型固定刃111に対応する箇所には、回転刃体112a、112bにおける凸型固定刃111の部分を通過するための回転刃溝114a、114bが形成され、その溝の両側に、凸型固定刃111との間で生物を粗破砕するための回転刃113a、113bが設けられている。
なお、図4では、凸型固定刃111と回転刃113a、113bとは、噛み合いが時間をずらして順次行われるように、周方向に位置をずらして配設し、これにより粗破砕撹拌機110の駆動モータの動力の瞬間的増大が起こらないようにすることも好ましい。
1個の回転刃体に設けられる回転刃の対数は、抽出容器100、粗破砕撹拌機110、回転刃体112a、112bの大きさや、抽出の対象となる生物の種類にも依存するが、1個の回転刃体に回転刃が、5対以上20対以下で設けられていることが好ましく、8対以上14対以下が特に好ましい。
1個の回転刃体に設けられた回転刃が少な過ぎると、粗破砕、撹拌及び/又は抽出の効率が悪くなる場合、蒸発が抑制されて温度が上昇する場合等があり、一方、多過ぎると、過度の粗破砕と撹拌が行われるために、回転に負荷がかかる場合、抽出速度が上がり過ぎて水の蒸発熱で生物の温度が下がり過ぎる場合等がある。
なお、回転刃体に設けられた回転刃の上記対数は、1個の回転刃溝に1対の回転刃があるとする。例えば、図4では、1個の回転刃体に回転刃溝が10個設けられているので、1個の回転刃体に回転刃は10対設けられていることになる。
本発明においては、粗破砕撹拌機110によって、少なくとも主たる抽出中は、投入された生物を1mm以上20mm以下に粗破砕しつつ撹拌することが好ましい。
主たる抽出中の該生物のサイズは、好ましくは1.2mm以上15mm以下、より好ましくは1.4mm以上10mm以下、特に好ましくは1.6mm以上7mm以下である。
上記サイズは、粗破砕された生物の差し渡し長さの体積平均値である。
上記数値範囲のサイズに生物を粗破砕しつつ抽出することで、好適に粗破砕ができて好適に抽出ができ、本発明の前記した効果を奏し易くなる。
上記サイズが小さ過ぎると、過度の破砕が無駄になる場合、本発明の前記効果を奏し難くなる場合等がある。特に、生物の細胞膜を殆ど破壊してしまって細胞膜を通過した抽出物が得られず、生物によっては、得られる「香り成分を含有する水溶液」601に差異が生じる場合がある。一方、上記サイズが大き過ぎると、抽出に時間がかかり過ぎる場合がある。
抽出容器100の中には、図3に示すように、下部半円筒部101の片側上部に、この上に載る生物が円滑に落ちるように傾斜面107を設けることも好ましい。
抽出容器100には、更に、前記抽出容器100内の真空度を計測する真空計108と温度計109a、109bが設けられていることが好ましい。これらは、抽出工程における容器内の圧力(減圧度)と温度を測定し、抽出時の生物の温度を間接的に測定するために設けられたものであり、また、抽出の開始と終了を判定するために設けられている。
本発明における抽出容器100には、生物及び抽出容器100内を加熱する加熱ユニット120が設置されている。加熱ユニット120では、蒸気供給装置122によって加熱された水蒸気が、抽出容器100(好ましくは抽出容器100の下部半円筒部101)の周囲に設置された蒸気室に送り込まれる。
本発明においては、加熱ユニット120による加熱水蒸気の蒸気室への流量によって加熱をコントロールし、「生物から蒸発する水」等の蒸発熱を生物の冷却に利用すべく、減圧器(の排気速度等)によって冷却をコントロールすることが好ましい。言い換えれば、抽出工程(1)において、加熱ユニットによって上記生物の温度を上昇させ、減圧器Aによって該生物中の水を蒸発させるときの蒸発熱で該生物の温度を下降させることによって、該生物の温度を上記温度範囲に維持することが好ましい。
生物の温度は、上記加熱ユニット120によって、少なくとも主たる抽出中は、該生物に含有される香り成分等を熱変性させないように、また、例えば、なるべく該生物が有する酵素等を失活させないように、10℃以上50℃以下の温度範囲に維持する。すなわち、主たる抽出中は、細胞水等の生物内の水の蒸発熱で生物を冷却し、該加熱ユニット120によって加熱し、温度範囲を10℃以上50℃以下に維持する。
該生物の温度は、少なくとも主たる抽出中は、10℃以上50℃以下の温度範囲に維持するが、好ましくは20℃以上45℃以下、より好ましくは25℃以上42℃以下、更に好ましくは30℃以上40℃以下、特に好ましくは33℃以上37℃以下にする。
該温度が低過ぎると、抽出に時間がかかり過ぎる場合がある。
一方、該温度が高過ぎると、生物内の香り成分が熱分解又は化学反応してしまう(変性してしまう)場合がある。また、特に限定はされないが(特にデメリットにならない場合があるが)、該生物が有する酵素を失活させてしまう場合、該生物の細胞膜に障害を与えてしまい該細胞膜を正常に通過した「香り成分を含有する細胞水」が水溶液601として好適に得られない場合がある。
上記温度範囲であると、自然界の生物が有する、成分組成・純度、極微量成分、低沸点成分、不安定物質等を、変質も分解もさせずに得ることができる。また、上記温度範囲であると、特に水溶性成分の変質も分解もさせ難い。
主たる抽出中の生物の温度(範囲)は、本発明の効果を得るために極めて重要であり、たとえ投入する生物や生物の細胞が死んでいたとしても、通常の生物が正常にその生命を維持できる上記温度範囲(温度上限)が望ましい。
細胞水の殆どが抽出容器100の気体取出口から出てしまった後は、すなわち主たる抽出が終わった後は、該生物の温度は上記上限温度よりも高くしてもよい。主たる抽出が終了した後は、「生物由来粉末残渣C」として確保すべく、温度を上記上限温度より高くして、良好に粉末化を図ることも好ましい。また、該生物中の水が少なくなると、水の蒸発熱による冷却を期待できないので上限温度を規定できない場合がある。
ここで、「主たる抽出」とは、抽出初期から、抽出容器100に投入した抽出対象の生物の有する全水溶液の90質量%が抽出されるまでを言う。ただ、95質量%が抽出されるまで上記温度範囲に維持することが好ましい。
抽出容器100に設けられた温度計109a、109bは、粗破砕撹拌機110を含む抽出容器100の熱伝導等を利用して、抽出中の生物の温度は十分正確に測定できるようになっており、細胞水の蒸発熱で生物が急速に冷却されそうになっても、逆に、上記加熱ユニット120によって生物が急速に加熱されそうになっても、抽出中の生物の温度は十分正確に測定できるようになっている。
「減圧器A」300については後述するが、減圧器Aの排気能力を、「内容積が1mの抽出容器を用いた場合に換算して、常圧体積20m/時間以上」とすることによって、加熱ユニット120によって生物が急速に加熱されそうになっても、生物中の水の蒸発熱で該生物の温度を50℃以下に下げることができる。
本発明においては、生物に含有される水の蒸発熱によって、該生物の温度を前記温度の上限以下に維持するように、該抽出容器100内を減圧しつつ抽出する。
該減圧器Aとしては、蒸発熱による冷却によって、前記した生物の温度範囲を好適に維持するため、上記の排気能力を有する水エジェクタ301(特に好ましくは水循環ポンプ302を有する横噴射型の水エジェクタ301)を用いることが好ましい。
1回の抽出で使用する生物の質量は、使用する抽出容器の体積に依存するので特に限定はないが、1kg以上1500kg以下が好ましく、3kg以上1000kg以下がより好ましく、5kg以上500kg以下が特に好ましい。
該質量が小さ過ぎると、バッチを繰り返して抽出することになるので、コストアップになり商業的に使用できなくなる。また、本発明における前記又は後記した特殊な抽出条件(容器内圧力、排気能力等)や、装置(回転刃体112を有する粗破砕撹拌機110、減圧器A等)を適用する意味が薄れる場合がある。すなわち、本発明における「主たる抽出中の圧力」、減圧器種類、排気能力、蒸発熱を冷却に利用すること等の(好ましい)要件・特徴が生かされない場合がある。本発明は、生物の量が上記下限以上の時に特にその効果を奏する。
一方、1回の抽出で使用する生物の質量が大き過ぎると、本発明の前記効果を発揮できるような、減圧器Aが存在しない場合;特に、生物の昇温を水の蒸発熱で抑制できるだけの排気能力と減圧度を有する減圧器Aが存在しない又は極めて高価となる場合;等がある。
抽出容器100の実質体積は、特に限定はないが、生物の最大投入容量(L)として、すなわち投入できる生物の嵩(L)として、20L以上5000L以下が好ましく、35L以上4000L以下が好ましく、50L以上3000L以下が特に好ましい。なお、生物の最大投入容量(L)は、前記した抽出容器100の下部半円筒部101の体積にほぼ等しい。
抽出容器100の実質体積又は下部半円筒部101の体積が小さ過ぎると、1回の処理量が少なくなり過ぎる場合等がある。
一方、大き過ぎると、本発明の前記効果を発揮できるような減圧器Aが存在しない場合;特に、生物の昇温を水の蒸発熱で抑制できるだけの排気能力と減圧度を有する減圧器Aが存在しない又は極めて高価となる場合;抽出容器100の筐体に減圧負荷がかかり過ぎる場合;等がある。
本発明の香りオイルの製造方法の抽出工程(1)においては、抽出容器の体積をV[L]とし、該抽出容器に投入される生物の質量をM[kg]とするときに、V[L]をM[kg]の1.5倍以上6倍以下に設定することが好ましく、2倍以上5倍以下がより好ましく、2.5倍以上4倍以下が特に好ましい。
V[L]/M[kg]の値が小さ過ぎると、粗破砕、撹拌等を良好に実行できない場合がある。
一方、V[L]/M[kg]の値が大き過ぎると、大きな抽出容器100が無駄になる場合;抽出容器100が大き過ぎて、減圧器Aの排気能力が十分に発揮できず、その結果、蒸発熱による生物の冷却ができず、該生物の温度が前記温度範囲の上限を超えてしまう場合;等がある。
本発明における抽出容器100には、生物から発生する気体を取り出す気体取出口130が設置されている。気体取出口130の近傍も、十分な熱伝導等で前記温度範囲に維持して、気体取出口130の近傍で水滴が生じないようにする(結露させないようにする)ことが好ましい。
本発明に使用する抽出容器100には、抽出後に生物の粉末残渣を取り出す粉末残渣取出口140が設けられていることが好ましい。粉末残渣取出口140は、図4に示したように、抽出容器100のほぼ下部中央(下部半円筒部101の下部中央近傍)に設けられることが特に好ましい。
粗破砕撹拌機110を前記したような構造にすることによって、すなわち、図4に示したように、回転刃体112a、112bを「く」の字115a、115bの形にすることによって、抽出終了後の粉末残渣を、抽出容器100の下部中央に集め易くなり、該粉末残渣の取出しが容易となるが、そのために、粉末残渣取出口140は、抽出容器100の下部中央近傍に設けられることが好ましい。
本発明の香りオイルの製造方法における抽出装置には、例えば図1に示したように、上記抽出容器100の工程的後ろに、該抽出容器100に設けられた気体取出口130から取り出された気体を冷却する冷却器200が具備されている。
該冷却器200の冷却媒体としては、「0℃以上であり、上記抽出容器100の気体取出口130から取り出された気体の温度より5℃以上低い(特に好ましくは7℃以上低い)温度」の水を用いることが、冷却して液化する効率の点から好ましい。
冷却媒体である水等の冷却媒体の温度が高過ぎると、抽出気体の一部が液化されず収率が落ちる場合がある。一方、低過ぎると、コスト的に無駄になる場合がある。
このような冷却器200としては、公知のものが用いられ得る。
本発明における抽出装置には、例えば図1に示したように、上記冷却器200の後ろに、抽出容器100内を減圧する減圧器Aが具備されている。
該減圧器Aとしては、生物内の水の蒸発熱で冷却して、該生物の温度が50℃を超えないように、その排気能力は十分に大きいことが好ましい。特に、減圧器Aとしては、たとえ真空度は高くなり難くても(圧力を低くし難くても)十分に大きな排気能力が実現可能な点等から水エジェクタがより好ましい。
更に、該減圧器Aとしては、内容積が1mの抽出容器を用いた場合に換算して、常圧体積20m/時間以上の排気能力を有する水エジェクタ301を用いることが特に好ましい。
抽出容器100の内容積が大きければ、大きい排気能力を有する減圧器Aを用いる必要がある。抽出容器100の内容積に比較して、小さい排気能力しか有さない減圧器Aを用いると(抽出容器100の内容積に応じて排気能力を大きくしていかないと)、生物中の水の蒸発熱で該生物を冷却することができ難くなり、該生物が昇温してしまう場合がある。
具体的には、例えば、内容積が1mの抽出容器を用いた場合は、常圧体積20m/時間以上の排気能力を有する水エジェクタ301が好ましく、内容積が0.1mの抽出容器を用いた場合は、常圧体積2m/時間以上の排気能力を有する水エジェクタ301が好ましく、内容積が0.5mの抽出容器を用いた場合は、常圧体積10m/時間以上の排気能力を有する水エジェクタ301が好ましく、内容積が2mの抽出容器を用いた場合は、常圧体積40m/時間以上の排気能力を有する水エジェクタ301が好ましい。
「内容積が1mの抽出容器を用いた場合に換算して、常圧体積20m/時間以上の排気能力」が好ましいが、該値は、常圧体積22m/時間以上300m/時間以下がより好ましく、常圧体積25m/時間以上200m/時間以下が更に好ましく、常圧体積27m/時間以上150m/時間以下が特に好ましい。
減圧器Aの排気能力が小さ過ぎると、減圧器のバルブを全開にしても、又は、減圧器が水エジェクタのときは水の噴射を最大にしても、抽出効率が落ちる場合、水の蒸発熱による生物の過昇温防止効果が得られ難くなって、該生物の温度が上がり過ぎる場合等がある。
減圧器Aの排気能力が大き過ぎると、そもそも下記する減圧度を達成しつつ、このような大きな排気能力を有する減圧器Aが存在しない場合、又は、極めて高価若しくは極めて大型となる場合がある。
図1に一例を示したように、水タンク303に水(より好ましくは、予め水チリングユニットで冷却した水)を貯め、水循環ポンプ302で加圧した水を送液し、水エジェクタ301において該加圧水を噴出させることにより減圧することが好ましい。水エジェクタは、「流動液体は静止液体より圧力が低い」という性質(ベルヌーイの定理)を用いて気体を排出する。
減圧器Aによる減圧度は、少なくとも主たる抽出中は、該抽出容器内の圧力を10kPa(1気圧(101.3kPa)に対して、−91.3kPa)以下に維持して、抽出対象である生物から、(細胞水等の)「該生物に含まれる水溶性の香り成分を含有する水溶液」601を抽出する。
より好ましくは1kPa(1気圧(101.3kPa)に対して、−100.3kPa)以上10kPa以下であり、更に好ましくは1.3kPa(1気圧に対して、−100kPa)以上9kPa(1気圧に対して、−92.3kPa)以下であり、特に好ましくは2kPa(1気圧に対して、−99.3kPa)以上8.6kPa(1気圧に対して、−92.7kPa)以下であり、最も好ましくは3.3kPa(1気圧に対して、−98kPa)以上8.3kPa(1気圧に対して、−93kPa)以下である。
減圧度が低過ぎると(圧力が高過ぎると)、水の蒸発熱による生物の冷却が期待できずに、生物の温度が高くなり過ぎる場合、抽出に時間がかかり過ぎる場合等があり、その結果、該生物に含まれる香り成分が分解したり変性したりする場合、酵素が失活する場合等がある。また、熱により水溶性の香り成分の香りが変化してしまう場合等がある。
一方、減圧度が高過ぎると(圧力が低過ぎると)、下記「水の温度と蒸気圧の関係」すなわち「ある圧力における水の沸点」と、「生物の前記温度範囲」との関係で、抽出中に生物中の水が沸騰してしまう場合があり、そもそも前記した排気能力を有した上に、そこまで減圧度を上げられる減圧器Aが存在しない又は極めて大型で高価になる場合等があり、そこまで低圧力にする必要がない場合等がある。
温度(℃) 水の蒸気圧(kPa)
20 2.3
30 4.2
40 7.4
50 12.3
上記減圧器Aは、水循環ポンプ302を有する横噴射型の水エジェクタ301であることが、高い減圧度と共に高い排気能力を有するために好ましい。すなわち、減圧度と排気能力の両立ができ、前記本発明の効果を奏し易い点から好ましい。水循環ポンプ302を有して横噴射型であると、特に排気能力(の最大値)を上げ易い。
減圧器には、一般的に、ロータリーポンプ、オイル拡散ポンプ、水銀拡散ポンプ、差動ポンプ等がある。例えば、ロータリーポンプでは約1Pa(10−2mmHg)、オイル拡散ポンプでは約0.1mPa(10−6mmHg)という何れも高真空度(高減圧度)は達成できるものの排気能力が極めて低い。一方、一般的で汎用のエジェクタでは、通常は10kPaより高い圧力にしかならない。
上記排気能力と減圧度の両立は、「水エジェクタ301」でしかほぼ達成し得ないし、「水エジェクタ301」が特に好ましい。更に、水循環ポンプ302を有する横噴射型の水エジェクタを用いることによって、更に好適に両立が可能である。
前記した高い排気能力の数値は、かかる水エジェクタで達成できるとは言っても汎用的な数値ではない。前記した高い排気能力の数値は、噴射する水の温度、噴射ノズル径、噴射速度、単位時間当たりの噴射量、噴射距離等を調整して得る。
本発明の香りオイルの製造方法は、抽出工程(1)において、10℃以上50℃以下(好ましくは20℃以上45℃以下)という比較的低温での水の蒸気圧を勘案して、該蒸気圧に対し必要以上に抽出容器100内の圧力(減圧度、真空度)を低くすることに拘らず、その分を排気能力の向上に振り向けて、対象となる生物を細胞水等の蒸発熱で冷却することで初めて達成できた(完成した)。
本発明の香りオイルの製造方法は、減圧器Aとして、生物が有する水の蒸発熱で該生物の温度が50℃(好ましくは45℃、更に好ましくは40℃)を超えないように、内容積が1mの抽出容器を用いた場合に換算して、常圧体積20m/時間以上の排気能力を有する水エジェクタ301を用い、該水エジェクタ301によって、少なくとも主たる抽出中は、該抽出容器内の圧力を10kPa以下に維持することが好ましい。
主たる抽出(抽出初期から、抽出容器に投入した抽出対象の生物の有する全水の90質量%が抽出されるまで)に要する時間は、投入量にもより特に限定はされないが、1時間以上24時間以下が好ましく、3時間以上20時間以下がより好ましく、4時間以上16時間以下が特に好ましい。
時間が短過ぎる場合は、蒸発熱による冷却ができないで昇温する場合、そもそも本格生産規模で、50℃以下((特に)好ましくは前記温度以下)と言う比較的低温で、短時間で細胞水を蒸発させるだけの減圧器Aがない又は極めて大型になる場合等がある。
一方、時間が長過ぎる場合は、時間が無駄でコストアップになる場合;本発明における前記又は後記した特殊な抽出条件(容器内圧力、排気能力等)や、装置(回転刃体112を有する粗破砕撹拌機110、減圧器A等)を適用する意味が薄れる場合;等がある。すなわち、本発明における、「主たる抽出中の圧力」、減圧器種類、排気能力、「蒸発熱を冷却に利用すること」等の(好ましい)要件・特徴が生かされない場合がある。
本発明の香りオイルの製造方法における抽出装置には、例えば図1、図2に示したように、上記冷却器200で冷却されて液化した抽出液を回収し、そこから「香り成分を含有する水溶液」601を獲得する回収獲得容器400が具備されている。
上記冷却器200からの抽出液を回収獲得容器400に貯めると、下層に水相(水層)401が、上層に油相(油層)402が位置するので、下層の「香り成分を含有する水溶液」601を取出しバルブ405を開いて、水相(水層)取出口404から、最終容器(図示せず)に抜き出す。
本発明の製造方法の抽出工程(1)では、上記回収獲得容器400に回収された抽出液から、比重の差を利用して、下層の水相401を形成する「香り成分を含有する水溶液」601を獲得する。
回収獲得容器400の側面の途中に、油相(油層)取出口403を設ければ、油相(油層)402である精油等の生物由来の油性成分を抜き出すことができる。すなわち、下層401の「香り成分を含有する水溶液」601を下から抜き出して、油相(油層)402がちょうど油相(油層)取出口403の高さになったときに、油相(油層)取出口403から、精油等の生物由来の油性成分を抜き出すことができる。
本発明では、上記回収獲得容器400に回収された抽出液から、上層に油相があるときは、比重の差を利用して、該油相をも獲得することができるので、該油相をも獲得することが好ましい。
油相(油層)402の抽出液は、「精油」と呼ばれることがある。該油相の精油は、本発明の後記する移行工程(2)では使用しないが、これもまた有用であるので種々の用途に使用できる。
本発明の移行工程(2)を経て得られた香りオイルDは、香り成分として水溶性のものも含むものであり、該精油とは異なる香りがする。
すなわち、同じ植物から得られた油性溶液(香りオイル)ではあっても、本発明の製造方法で得られた香りオイルDは、一旦は水に溶解した水溶性成分をも含むものであり、精油より高沸点成分をも含むものであり、該精油とは異なる新規の香りがするものであり、極めて独特で有用なものである。
本発明の香りオイルの製造方法における抽出工程(1)は、下記に限定はされないが、具体的には例えば下記のように行われる。
まず、抽出作業開始に当り、冷却水供給装置に冷却水を充填し、冷却器200に冷却水を循環させる。次いで、生物Aを生物投入口103から抽出容器100内に投入して生物投入口蓋104を閉じる。
そして、粗破砕撹拌機110は、図2〜図4の矢印Rの回転方向に回転させ、抽出容器100内の生物Aを撹拌しながら、回転刃113a、113bと凸型固定刃111との間で生物Aを粗破砕する。かかる粗破砕撹拌機110によって粗破砕することで、粗破砕しながらでき、生物中の香り成分の「変性」や「散逸による減量」を防ぐことができる。
上記撹拌・粗破砕と同時に、蒸気供給装置から蒸気室121内に加熱用蒸気を供給することにより、外部から熱を加える。抽出容器100に加えられた熱は、生物に伝達され、生物が粗破砕撹拌機110によって撹拌されることにより、抽出が促進されると共に(抽出点、温度等が)均一になる。この抽出は、生物が、回転刃113a、113bと凸型固定刃111とによって粗破砕されて小さくなることによって更に促進され均一になる。
その際、蒸気室121内に送り込む加熱用蒸気の温度や量を調整したり、減圧器Aである水エジェクタ301に供給する水の量・圧力・噴射速度等を調整して排気能力や抽出容器内の圧力を適切に設定したりして、生物の温度を10℃以上50℃以下の範囲(更には、前記したより(特に)好ましい範囲)に維持する。
特に好ましくは、水循環ポンプを有する横噴射型の水エジェクタ301等の減圧器Aで吸引することにより、抽出容器100内の気体、すなわち、抽出液の蒸気及び空気を、気体配管131を通じて吸引し、抽出容器100内の生物に含まれている香り成分等の成分と水の蒸発を開始させる。その際、減圧器Aで吸引する量や吸引力を調節して、抽出時の圧力(減圧度)を好ましい範囲にする。
抽出容器100内の「生物に含まれる香り成分の蒸気及び水の蒸気(水蒸気)」は、気体配管131を通して吸引され、冷却器200に導入され液化されて、回収液となって回収獲得容器400内に溜まる。
回収獲得容器400内に、回収液、すなわち「油相(油層)402及び水相(水層)401」が所定量まで貯まったら、減圧器Aでの吸引を停止し回収液を回収する。回収液は、好ましくは静置して、分液をして上層である油相(油層)402を油相(油層)取出口403から採取して精油等とし、下層である水相(水層)401を水相(水層)取出口404から獲得して「香り成分を含有する水溶液」601とする。「香り成分を含有する水溶液」601は、以下の工程(2)で使用する。
なお、香り成分を含有する水溶液601等を獲得後、好ましくは、抽出容器100内に残った生物由来粉末残渣Cを、粉末残渣取出口140から回収する。
<工程(2)>
本発明の香りオイルの製造方法における工程(2)は、前記した工程(1)で得られた「香り成分を含有する水溶液」を下層とし、オイルを上層とし、該下層と該上層を10℃以上50℃以下の温度範囲に維持しつつ、減圧器Bによって移行容器内の圧力を10kPa以下に維持して、該下層の水溶液の水を水蒸気として該上層を通過させて留去すると共に、該下層から蒸発した香り成分を該上層に移行させる移行工程である。
以下、工程(2)を「移行工程(2)」と記載する場合がある。また、前記した工程(1)で得られた「香り成分を含有する水溶液」の括弧内を、単に「水溶液」と略記することがある。
移行工程(2)では、まず、前記した抽出工程(1)で得られた「香り成分を含有する水溶液」601とオイル602とを、投入口501から移行容器500内に投入する。限定はされないが、該水溶液601には、外部から加えた物質が含まれておらず、生物に含まれている「水及び水溶性成分からなるもの」であることが好ましい。該水溶液601としては、例えば、生物の細胞水が挙げられる。また、移行工程(2)では、抽出工程(1)で得られた水溶液601とオイル602のみを移行容器500内に投入することが好ましい。
該水溶液601は、作業者が容器から手で投入してもよく、配管を通じて投入されるようになっていてもよい。
通常は、水溶液の比重は、ほぼ1g/cmであるのに対して、オイルの比重は1g/cm未満であるので、移行容器500内では、図5(a)に示したように、該水溶液601が下層となり、該オイル602が上層となる。
図5(a)に、移行工程(2)で使用される移行容器500の一例と、該移行容器500内の「香り成分を含有する水溶液」601とオイル602との状態(態様、位置関係)を示す概略縦断面図を示す。
図5(b)に、移行工程(2)において、図5(a)の下層の水溶液の水を、水蒸気として上層であるオイル602を通過させて留去すると共に、該下層から蒸発した香り成分を該上層に移行させた後、すなわち移行工程(2)のほぼ終了した後の状態(態様)を示す。
該移行容器500は、抽出工程(1)で用いられる抽出容器100と同一容器であって、抽出工程(1)が終了した後、同一容器内に、得られた水溶液601を移し替えてもよい(再度戻してもよい)。この場合、抽出装置と移行装置は、ほぼ同一であることが好ましい。
また、該移行容器500や移行装置は、抽出工程(1)で使用した抽出容器100と(ほぼ)同一性能を備えた(例えば内容量の異なる又は相似の)別の(型番の)容器や装置であってもよく、本発明の移行工程(2)の移行条件を満足できるのであれば、全く別性能の容器や装置であってもよい。
ただし、抽出工程(1)と移行工程(2)の温度、容器内圧力、内容量、工程時間等については、必須条件、好ましい条件共に同一又は近いので、限定はされないが、同一容器・装置又はほぼ同一性能の容器・装置を使用することが好ましい。
移行工程(2)で使用するオイルは、移行工程(2)の温度(10℃以上50℃以下の範囲のある温度)において、液体であり、水より比重が小さく、水に完溶せずに、移行容器500内で2層に分かれるものであれば特に限定はない。
該オイルは、実質的に無臭のもの、又は、抽出工程(1)で得られた水溶液601中の「香り」を妨げない程度に臭いが少ないものが好ましい。また、臭いをなくしたり減少させたりするために、精製、加工等をした後のものを使用することも好ましい。オイル自体に香りがない又は少ないと、抽出対象の生物からの水溶性の香り成分だけの香りがする香りオイルDが得られる。
ただし、該オイル自体の香りと該生物からの香りとが一緒になって所望の香りを作り出す場合等には、該オイルには、該オイル自体の香りがあってもよい。
該オイルの沸点は、特に限定はなく、該香りオイルDの用途に応じて決められるが、常圧(1気圧)で水より高いことが好ましい。また、該オイルの沸点は、移行工程(2)における移行容器500内の圧力(すなわち、好ましい圧力である1kPa以上10kPa以下の範囲のある圧力)において、水より高いことが好ましい。
また、該オイルの蒸気圧は、移行工程(2)の温度(10℃以上50℃以下の範囲のある温度)において、水より低いことが好ましい。
そのようなオイルの沸点やオイルの蒸気圧であると、移行工程(2)で、下層の「香り成分を含有する水溶液」601の水を留去しても(蒸発させても)、上層のオイル602が移行容器500内に残存して、水溶液中の香りが移行した香りオイルDを得ることができる。
該オイルは、本発明の製造方法で得られた香りオイルDを食用・料理用・飼料用等に使用する場合は、動物油又は植物油と言った食用油(精製・加工した食用油も含む)であることが好ましく、化粧料用、芳香剤用、香水用、アロマテラピー用、マッサージオイル用、薬用等に使用するときは、天然物である油性液体、無害物の油性液体等、それらの用途に好適に使用できるものであることが好ましい。
該オイルとして好ましい植物油としては、具体的には、例えば、大豆油、えごま油等のゴマ油、キャノーラ油等の菜種油、とうもろこし油、ホホバ油、綿実油、やし油、米油、クルミ油、パーム油、オリーブ油、落花生油、米糠油、椿油、サフラワー油、しそ油、グレープシードオイル(ぶどう油)、アボカド油、亜麻仁油、ココナッツ油、トリュフ油、紅花油、ひまわり油等が挙げられる。
該オイルとして好ましい動物油としては、具体的には、例えば、魚油、鶏油、EPA、DHA等が挙げられる。
また、所謂てんぷら油、サラダ油、食卓油、ドレッシング油等と用途の名で呼ばれている一般的総称の油も挙げられる。
これらは、1種で使用又は2種以上を混合して使用できる。
本発明の香りオイルの製造方法の移行工程(2)に使用される移行装置は、上記した通り、本発明における「特定の香り移行の条件」が達成できて、実際に香りの移行が好適にできるようなものであれば、前記抽出装置と実際に同じもの、又は、例えば倍率だけが違う等(ほぼ)相似仕様のものでも、前記抽出装置とは異なる仕様のものでもよいが、一例を図1に示した抽出装置と同様の(仕様の)ものが使用でき、温度範囲と圧力範囲の実現が可能(容易)な点等から、同様の(仕様の)ものを使用することが好ましい。
ただし、粗破砕撹拌機は、有していても有していなくてもよく、有している場合には、香りの移行時には(減圧時には)それを回転させても回転させなくてもよいが、回転させないことが、下層の上に常に上層が存在している状態にして、下層(水溶液601)の香りの上層(オイル602)への移行を確実にできる点から好ましい。
移行装置は、移行容器500については一例を図5に示したようなものであり、移行装置については図1に示した抽出装置と(ほぼ)同仕様の、少なくとも以下の容器や機器を有しているものが好ましい。以下、別装置であっても、抽出装置と移行装置で共通する(仕様の)機器等の符号については、同じ符号を用いている(図1及び図5参照)。
水溶液601、オイル602及び移行容器500内を加熱する加熱ユニット120、水溶液601から発生しオイル602を通過した水蒸気を取り出す気体取出口530、及び、移行後に香りオイルDを取り出す香りオイル取出口540を有する移行容器500;
該気体取出口530から取り出された気体を冷却する冷却器200;
該移行容器500内を減圧する「減圧器B」300;並びに;
該冷却器200で冷却されて液化した水等を回収する回収獲得容器400;
を具備している。
図5に示したように、水溶液601とオイル602とは、投入口501から移行容器500に投入する。どちらを先に投入してもよい。
本発明における移行工程(2)では、限定はされないが、外部から「水溶液とオイル以外のもの」を実質的には投入しないことが好ましい。そうすることによって、最終的に得られる香りオイルD、すなわち「(水溶性の)香り成分を含有するオイル」は、媒体として用いた該オイル以外は、抽出対象物である生物に含有される成分のみを含有することとなり、更には、該生物に含有される水溶性の香り成分の実質的に全てを含有させることもできる。香り成分は微量であるので、水溶性の香り成分であっても、そのほぼ全部がオイル602に溶解(移行)することが考えられる。
図5に示すように、移行容器500の上部には、投入口501が設けられている。該投入口501は、減圧中は密閉できるようになっている。
該移行容器500の上部には、吸引される蒸気の気体取出口530が設けられ、言い換えれば、水溶液601から発生する気体である水蒸気を取り出す気体取出口530が設けられ、この気体取出口530には、冷却器200につながる気体配管131が接続されている。
図5に示したように、移行容器500には、内部の真空度を計測する真空計508と温度計509a、509bが設けられている。これらは、移行工程における移行容器500内の圧力(減圧度)と温度を測定し、移行時の水溶液601とオイル602の温度を測定するために設けられたものであり、また、移行の開始と終了を判定するために設けられている。
本発明における移行容器500には、水溶液601とオイル602と移行容器500内を加熱する蒸気室521が設けられ(図5)、加熱ユニット120(図1)が設置されている。
図1に示したように、加熱ユニット120では、蒸気供給装置122によって加熱された水蒸気が、移行容器500の周囲に設置された蒸気室521に送り込まれる。
本発明の移行工程(2)においても、抽出工程(1)と同様に、加熱ユニット120による加熱水蒸気の蒸気室521への流量によって加熱をコントロールし、水溶液601中の水等の蒸発熱を冷却に利用すべく、減圧器(の排気速度等)によって冷却をコントロールすることが好ましい。言い換えれば、移行工程(2)において、加熱ユニットによって、水溶液601(とオイル602)の温度を上昇させ、減圧器Bによって該水溶液601中の水を蒸発させるときの蒸発熱で温度を下降させることによって、該水溶液601(とオイル602)の温度を前記した所定の温度範囲に維持することが好ましい。
下層の水溶液601と上層のオイル602の温度は、上記加熱ユニット120によって、少なくとも主たる移行中は、香り成分、オイル等を熱変性させないように、10℃以上50℃以下の温度範囲に維持する。すなわち、主たる移行中は、水の蒸発熱で冷却し、該加熱ユニット120によって加熱し、温度範囲を10℃以上50℃以下に維持する。
下層の水溶液601と上層のオイル602の温度は、少なくとも主たる移行中は、10℃以上50℃以下の温度範囲に維持するが、好ましくは20℃以上45℃以下、より好ましくは25℃以上42℃以下、更に好ましくは30℃以上40℃以下、特に好ましくは33℃以上37℃以下にする。
該温度が低過ぎると、水溶液601中の水の蒸発と水溶液601中の香り成分のオイル602への移行に時間がかかり過ぎる場合、オイルが固体になってしまう(固体である)場合等がある。
一方、該温度が高過ぎると、香り成分が熱分解又は化学反応してしまう(変性してしまう)場合、下層の水溶液601が沸騰してしまい「下層の上に上層がある状態」が乱されて、香りの移行が良好に進行しない(香り成分が散逸する)場合、せっかく水溶液601からオイル中に移行した香り成分が該オイルから揮散してしまう場合等がある。また、特に限定はされないが(特にデメリットにならない場合があるが)、該水溶液601が含有する生物からの酵素等を失活させてしまう場合がある。
上記温度範囲であると、水溶性の香り成分の変質や分解をさせ難い上に、自然界の生物が有する、成分組成・純度、極微量成分、低沸点成分、不安定物質等を、変質も分解もさせずに、オイルに移行させることができる。
主たる移行中の温度(範囲)は、本発明の効果を得るために極めて重要である。
ここで、「主たる移行中」とは、下層の水溶液601の蒸発初期から、移行容器500に投入した全水溶液の90質量%が蒸発するまでを言う。ただ、好ましくは95質量%が蒸発するまで、より好ましく98質量%が蒸発するまで、特に好ましくは100質量%が蒸発するまで、上記温度範囲に維持する。なお、主たる移行後に上記範囲を超えて昇温すると、オイル中の香り成分が揮散する場合がある。
本発明の製造方法の移行工程(2)では、下層の水溶液601と上層のオイルとを10℃以上50℃以下の温度範囲に維持しつつ、減圧器Bによって移行容器500内の圧力を10kPa以下に維持して、該下層の水溶液601の水を水蒸気として該上層を通過させて留去すると共に、該下層から蒸発した香り成分を該上層に移行させる。
香り成分の下層の水溶液601から上層のオイルへの移行は、下層の水溶液601を沸騰(突沸)させないように、温度と圧力を調整しながら行うことが好ましい。下層の水溶液601が沸騰(突沸)すると香り成分がオイルの上層を通過せずに留去されてしまう場合がある。
移行工程(2)では、下層の水溶液601とそこに溶解している香り成分は、極めて小さな気泡で、又は、ほぼ分子サイズで上層のオイル602を通過する。それらの上層通過時の大きさや表面積は、それらが気体であるから液体であった時に比較して格段に大きくなっているため、接触面積が大きくなっており、香り成分は極めて効率的に上層のオイル602に移行する。
また、図5(b)に示したように、下層は最終的になくなるので、水溶性の香り成分が下層に残存することはなく、殆どがオイル602に移行して優れた香りオイルDが得られる。
また、使用したオイル602中の低沸点物(しばしば不要な臭いがする)は、移行工程(2)において、下層の水と同時に留去されるので、溶媒として使用したオイル602は、更に無臭のものとなり、生物中に含有される香り成分のみになる(生物由来の香りのみになる)。
図5に一例を示した通り、移行容器500に設けられた温度計509a、509bは、熱伝導等を利用して、水溶液601の温度、オイル602の温度、移行容器500内の水蒸気の温度を十分正確に測定できるようになっており、蒸発熱で急速に冷却されそうになっても、逆に、上記加熱ユニット120によって急速に加熱されそうになっても、該温度が十分正確に測定できるようになっている。
「減圧器B」300については後述するが、減圧器Bの排気能力を、「内容積が1mの移行容器を用いた場合に換算して、常圧体積20m/時間以上」とすることによって、加熱ユニット120によって急速に加熱されそうになっても、下層の水溶液601の水の蒸発熱で該温度を50℃以下に下げることができる。
本発明の移行工程(2)においては、水の蒸発熱によって、該温度を前記温度の上限以下に維持するように、該移行容器500内を減圧しつつ香りをオイル602に移行させる。
該減圧器Bとしては、蒸発熱による冷却によって、前記した温度範囲を好適に維持するため、上記の排気能力を有する水エジェクタ301(特に好ましくは水循環ポンプ302を有する横噴射型の水エジェクタ301)を用いることが好ましい。
移行容器500内における、投入直後における最初の、上層のオイル602の体積と下層の水溶液601の体積との比は、下層の蒸発・留去開始前の投入時において、3:1〜1:5が好ましく、2:1〜1:4がより好ましく、1:1〜1:3が更に好ましく、1:(2±0.5)が特に好ましい(図5(a)参照)。
下層の水溶液601の体積に比べて上層のオイル602の体積が小さ過ぎると、最終的に得られる香りオイルDの量が必要以上に少ない場合、香り成分がオイルから更に上に揮散する場合、(水溶性の)香り成分がオイルに飽和してしまいそれ以上溶解しない場合等がある。
一方、下層の水溶液601の体積に比べて上層のオイル602の体積が大き過ぎると、香りが薄い香りオイル(すなわち、香り成分の含有割合が低い香りオイル)しか得られない場合等がある。
移行容器500に投入するオイル602の量は、特に限定はないが、0.1L以上50L以下が好ましく、1L以上20L以下がより好ましく、3L以上10L以下が特に好ましい。
移行容器500に投入する水溶液601の量は、特に限定はなく、オイル602の量に対して上記した比で投入することが好ましいが、投入される水溶液601の絶対量としては、0.2L以上100L以下が好ましく、2L以上40L以下がより好ましく、6L以上20L以下が特に好ましい。
オイル602の量や水溶液601の量が少な過ぎると、バッチを繰り返して抽出することになるので、コストアップになり商業的に使用できなくなる場合がある。また、特に留去する水溶液601の量が少な過ぎると、本発明における後記する特殊な抽出条件(容器内圧力、排気能力等)や、装置(減圧器B等)を適用する意味が薄れる場合がある。すなわち、本発明における「主たる移行中の圧力」、減圧器種類、排気能力、蒸発熱を冷却に利用すること等の(好ましい)要件・特徴が生かされない場合がある。本発明は、オイル602の量や水溶液601の量、特に水溶液601の量が上記下限以上の時に特にその効果を奏する。
一方、オイル602の量や水溶液601の量が多過ぎると、特に水溶液601の量が多過ぎると、本発明の前記効果を発揮できるような、減圧器Bが存在しない場合;特に、昇温を該水溶液601の蒸発熱で抑制できるだけの排気能力と減圧度を有する減圧器Bが存在しない又は極めて高価となる場合;等がある。
移行容器の実質体積(内容積)、すなわちオイル602と水溶液601の合計の最大投入可能容量(L)は、特に限定はないが、2L以上500L以下が好ましく、3L以上400L以下が好ましく、5L以上300L以下が特に好ましい。
移行容器500の体積が小さ過ぎると、1回の処理量が少なくなり過ぎる場合等がある。
一方、大き過ぎると、本発明の前記効果を発揮できるような減圧器Bがそもそも存在しない場合;特に、昇温を水の蒸発熱で抑制できるだけの排気能力と減圧度を有する減圧器Bが存在しない又は極めて高価となる場合;移行容器500の筐体に減圧負荷がかかり過ぎる場合;等がある。
本発明の香りオイルの製造方法の移行工程(2)においては、移行容器500の体積をV[L]とし、該移行容器500に投入される「香り成分を含有する水溶液」601の体積をv[L]とするときに、V[L]をv[L]の1.5倍以上6倍以下に設定することが好ましく、2倍以上5倍以下がより好ましく、2.5倍以上4倍以下が特に好ましい。
V[L]/v[L]の値が小さ過ぎると、オイルの容量も考慮すると、移行容器500が満杯になり、移行を良好に実行できない場合がある。
一方、V[L]/v[L]の値が大き過ぎると、移行容器500が大き過ぎて、減圧器Bの排気能力が十分に発揮できず、その結果、蒸発熱による冷却ができず、該オイルと該水溶液の温度が後記の温度範囲の上限を超えてしまう場合;大きな移行容器500が無駄になる場合;等がある。
図5に一例を示したように、本発明における移行容器500には、水溶液601から発生する水蒸気を取り出す気体取出口530が設置されている。気体取出口530の近傍も、十分な熱伝導等で前記温度範囲に維持して、気体取出口530の近傍で水滴が生じないようにする(結露させないようにする)ことが好ましい。
また、本発明に使用する移行容器500には、移行後に香りオイルDを取り出す香りオイル取出口540が設けられていることが好ましい。香りオイル取出口540は、図5に示したように、移行容器500のほぼ下部中央に設けられることが特に好ましい。
本発明の香りオイルの製造方法における移行装置には、例えば図1に示したように、上記移行容器500の後ろに、該移行容器500に設けられた気体取出口530から取り出された水蒸気等の気体を冷却する冷却器200が具備されている。
該冷却器200の冷却媒体や該冷却媒体の(好ましい)温度については、抽出装置について前記したことと同様である。冷却器200としては、公知のものが用いられ得る。
本発明における移行装置には、例えば図1に示したように、上記冷却器200の後ろに、移行容器500内を減圧する「減圧器B」300が具備されている。
該減圧器Bとしては、水溶液601内の水の蒸発熱で冷却して、該水溶液601とオイル602(と好ましくは移行容器の内部)の温度が50℃を超えないように、その排気能力は十分に大きいことが好ましく、前記した抽出工程(1)における減圧器Aと同様の能力を有するものが、同様の理由から好ましい。移行工程(2)で用いる減圧器Bは、抽出工程(1)で用いる減圧器Aと同じものでもよい。
本発明の製造方法の移行工程(2)においては、加熱ユニットによって上記下層と上記上層の温度を上昇させ、減圧器Bによって該下層中の水を蒸発させるときの蒸発熱で該温度を下降させることによって、該下層と該上層の温度を上記温度範囲に維持することが好ましい。
すなわち、減圧器Bとしては、たとえ真空度は高くなり難くても(圧力を低くし難くても)十分に大きな排気能力が実現可能な点等から水エジェクタがより好ましい。
更に、該減圧器Bとしては、内容積が1mの移行容器を用いた場合に換算して、常圧体積20m/時間以上の排気能力を有する水エジェクタ301を用いることが特に好ましい。
移行容器500の内容積が大きければ、大きい排気能力を有する減圧器Bを用いる必要がある。移行容器の内容積に比較して、小さい排気能力しか有さない減圧器Bを用いると(移行容器の内容積に応じて排気能力を大きくしていかないと)、水溶液601中の水の蒸発熱で該水溶液601とオイル602(と移行容器500の内部)を冷却することができ難くなり、所定の温度より昇温してしまう場合がある。
具体的には、例えば、内容積が1mの移行容器を用いた場合は、常圧体積20m/時間以上の排気能力を有する水エジェクタ301が好ましく、内容積が0.1mの移行容器を用いた場合は、常圧体積2m/時間以上の排気能力を有する水エジェクタ301が好ましく、内容積が0.5mの移行容器を用いた場合は、常圧体積10m/時間以上の排気能力を有する水エジェクタ301が好ましく、内容積が2mの移行容器を用いた場合は、常圧体積40m/時間以上の排気能力を有する水エジェクタ301が好ましい。
「内容積が1mの移行容器を用いた場合に換算して、常圧体積20m/時間以上の排気能力」が好ましいが、該値は、常圧体積22m/時間以上300m/時間以下がより好ましく、常圧体積25m/時間以上200m/時間以下が更に好ましく、常圧体積27m/時間以上150m/時間以下が特に好ましい。
減圧器Bの排気能力が小さ過ぎると、減圧器のバルブを全開にしても、又は、減圧器が水エジェクタのときは水の噴射を最大にしても、水溶液の蒸発効率が落ちる場合、水の蒸発熱による該水溶液とオイル(と移行容器の内部)の過昇温防止効果が得られ難くなって、該温度が上がり過ぎる場合等がある。
一方、減圧器Bの排気能力が大き過ぎると、そもそも下記する減圧度を達成しつつ、このような大きな排気能力を有する減圧器Bが存在しない又は極めて高価若しくは極めて大型となる場合がある。
前記抽出装置と同様、図1に一例を示したように、水タンク303に水(好ましくは、予め水チリングユニットで冷却した水)を貯め、水循環ポンプ302で加圧した水を送液し、水エジェクタ301において該加圧水を噴出させることにより減圧することが好ましい。「流動液体は静止液体より圧力が低い」と言う性質(ベルヌーイの定理)を用いて気体を排出する。
減圧器Bによる減圧度は、少なくとも主たる抽出中は、該移行容器内の圧力を10kPa(1気圧(101.3kPa)に対して、−91.3kPa)以下に維持して、抽出対象である水溶液601から、細胞水等の「該水溶液に含まれる水溶性の香り成分を含有する水溶液」を抽出する。
より好ましくは1kPa(1気圧(101.3kPa)に対して、−100.3kPa)以上10kPa以下であり、更に好ましくは1.3kPa(1気圧に対して、−100kPa)以上9kPa(1気圧に対して、−92.3kPa)以下であり、特に好ましくは2kPa(1気圧に対して、−99.3kPa)以上8.6kPa(1気圧に対して、−92.7kPa)以下であり、最も好ましくは3.3kPa(1気圧に対して、−98kPa)以上8.3kPa(1気圧に対して、−93kPa)以下である。
減圧度が低過ぎると(圧力が高過ぎると)、下層の水溶液の水の蒸発熱による、該水溶液とオイル(と移行容器の内部)の冷却が期待できずに、水溶液601とオイル602の温度が高くなり過ぎる場合、抽出に時間がかかり過ぎる場合等があり、その結果、該水溶液601に含まれる香り成分が分解したり変性したりする場合、酵素が失活する場合、該水溶液601から移行してオイル602中に存在する香り成分が熱により変化してしまう場合等がある。
一方、減圧度が高過ぎると(圧力が低過ぎると)、抽出工程(1)の箇所で上記した「水の温度と蒸気圧の関係」すなわち「ある圧力における水の沸点」と、「生物の前記温度範囲」との関係で、下層の水溶液601が沸騰して「下層の上に上層が位置する形態」が崩れて、下層の香り成分が好適に上層に移行しないで留去されてしまう場合等がある。また、そもそも前記した排気能力を有した上に、そこまで減圧度を上げられる減圧器Bが存在しない又は極めて大型で高価になる場合等があり、そこまで低圧力にする必要がない場合がある。
上記「減圧器B」300は、水循環ポンプ302を有する横噴射型の水エジェクタ301であることが、高い減圧度と共に高い排気能力を有するために好ましい。すなわち、減圧度と排気能力の両立ができ、前記本発明の効果を奏し易い点から好ましい。水循環ポンプ302を有して横噴射型であると、特に排気能力(の最大値)を上げ易い。
本発明においては、工程(1)又は工程(2)において、減圧器A又は減圧器Bが水エジェクタであることが好ましく、上記工程(1)の上記減圧器A、及び、上記工程(2)の減圧器Bが、両方とも水エジェクタであることが特に好ましい。そして、減圧器が水エジェクタの場合には、減圧器A又は減圧器B(好ましくは減圧器A及び減圧器B)が水循環ポンプを有する横噴射型の水エジェクタであることが特に好ましい。
上記排気能力と減圧度の両立は、殆ど「水エジェクタ301」でしか達成し得ないため、「水エジェクタ301」が特に好ましい。更に、水循環ポンプ302を有する横噴射型の水エジェクタを用いることによって、更に好適に両立が可能である。
前記した高い排気能力の数値は、かかる水エジェクタで達成できるとは言っても汎用的な数値ではない。前記した高い排気能力の数値は、噴射する水の温度、噴射ノズル径、噴射速度、単位時間当たりの噴射量、噴射距離等を調整して得る。
本発明の香りオイルの製造方法は、移行工程(2)において、10℃以上50℃以下(好ましくは20℃以上45℃以下、更に好ましくは30℃以上40℃以下)という比較的低温での水の蒸気圧を勘案して、該蒸気圧に対し必要以上に移行容器500内の圧力(減圧度、真空度)を低くすることに拘らず、その分を排気能力の向上に振り向けて、対象となる水溶液とオイルを水の蒸発熱で冷却することで初めて達成できた(完成した)。
大量処理するためには、温度を上げ圧力を下げることが考えられる。しかし、蒸発熱で大量処理品の温度を下げるためには、減圧器に極めて高い排気能力が要求されるところ、そのような高い排気能力を有する減圧器は極めて特殊なものに限られるか、処理量や温度によっては、そのような高い排気能力を有する減圧器は存在しない。ここで、「大量処理」とは、前記した範囲の量のことを言う。
本発明は、前記した所定の温度範囲(更には好ましい温度範囲)に限定することによって、香り成分の熱分解を防ぐと共に、減圧器の能力を勘案して所定の圧力(範囲)にすることで達成できた。前記した所定の温度範囲(更には好ましい温度範囲)で、下層の水を沸騰させないことが好ましいが、該温度範囲内の温度で沸騰させられるだけの排気能力を有する減圧器は、そもそも極めて特殊なものに限られるか、そのような高い排気能力を有する減圧器は存在しない。大量処理する場合、本発明で規定する温度(範囲)と圧力(範囲)は、減圧器の能力を勘案すると、初めて見出されたものであり、有意に限定されるものである。
上記内容は、移行工程(2)を例にとって記載したが、移行工程(2)のみならず、対応する語を読み替えて、抽出工程(1)にも適用できる(同じことが言える)。
本発明の香りオイルの製造方法の移行工程(2)は、減圧器Bとして、下層の水溶液が有する水の蒸発熱で該水溶液601とオイル602(と好ましくは移行容器500の内部)の温度が50℃(好ましくは45℃、更に好ましくは40℃)を超えないように、内容積が1mの移行容器を用いた場合に換算して、常圧体積20m/時間以上の排気能力を有する水エジェクタ301を用い、該水エジェクタ301によって、少なくとも主たる移行中は、該移行容器内の圧力を10kPa以下に維持することが好ましい。
「主たる移行」に要する時間は、水溶液とオイルの量にもより特に限定はされないが、1時間以上24時間以下が好ましく、3時間以上20時間以下がより好ましく、4時間以上16時間以下が特に好ましい。
時間が短過ぎる場合は、蒸発熱による冷却ができないで昇温する場合、そもそも本格生産規模で、50℃以下((特に)好ましくは前記温度以下)と言う比較的低温で、短時間で下層の水溶液601を蒸発させるだけの減圧器Bがない又は極めて大型になる場合等がある。
一方、時間が長過ぎる場合は、時間が無駄でコストアップになる場合;本発明における前記又は後記した特殊な抽出条件(容器内圧力、排気能力等)や、装置(減圧器B等)を適用する意味が薄れる場合;等がある。すなわち、本発明における、「主たる移行中の圧力」、減圧器種類、排気能力、「蒸発熱を冷却に利用すること」等の(好ましい)要件・特徴が生かされない場合がある。
移行工程(2)において留去された液体は、主に水とオイル中の低沸点物(揮発性の不純物)であり不要なので、限定はないが通常は廃棄する。
<他の抽出方法との比較>
前記した通り、抽出方法には本発明以外にも、水蒸気蒸留法、直接抽出法、溶媒抽出法、圧搾法、超臨界抽出法等、種々の方法が知られている。
このうち、水蒸気蒸留法や直接抽出法では、生物Aと媒体を(通常は60℃以上に)加熱するため、香り成分や酵素を含め有効成分が変性・熱分解する、有効成分が散逸する等で、有効成分をそのまま含むものが十分に得られない。なお、生物が50℃より高温になると、細胞内に存在する酵素は通常は失活する。
また、水蒸気蒸留法や直接抽出法では、抽出に用いた水蒸気が液化した水や、浸漬に用いた水が水溶液601に混入することで、完全に天然由来の水溶液ではなくなるし、微量の不純物の混入が避けられない。香りは、極微量の不純物で変化することが知られている。
また、本発明におけるオイルとは別の有機溶媒を用いて抽出する溶媒抽出法では、水溶性成分が抽出され難い場合、抽出有機溶媒をオイルに変換しようとしても、有機溶媒がオイル中に残留する場合、その有機溶媒を除去する際に「香り成分等の有効成分」も除去される場合等がある。
オイルを用いた圧搾法では、水溶性の香り成分が抽出できない場合がある。
抽出溶媒やオイルを使用しない圧搾法は、沸点が100℃より高い油(例えば、ごま油、つばき油等)を生物から採取するときに通常は用いられるが、水溶性の香り成分は収率良く取得できない。
超臨界抽出法では、媒体由来の極微量の不純物が混入する、高圧を要するので高価な設備を必要とする等の問題点がある。
また、生物Aを破砕・撹拌をしながら抽出するのではなく、一旦粗破砕・撹拌をした後に抽出する方法では、香り成分が効率的に抽出できない。すなわち、通常の減圧抽出法等のように、「粗破砕・撹拌をしながらではなく加熱・減圧して抽出する方法」では、香り成分を散逸させず十分に抽出できない場合がある。
<香りオイルの用途>
本発明の製造方法で得られた香りオイルDは、天然の香りそのものを有しているので、料理用、化粧料用、芳香剤用、香水用、アロマテラピー用、マッサージオイル用、薬用等の香りオイルとして特に優れている。
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限りこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
<抽出工程(1)>
採りたてのバラの花弁、嵩が約600L(質量約200kg)を、図1〜3に示した抽出容器100(投入容量50L、抽出容器の体積(内容積)1m)に投入し、図2と図4に示したような2個の回転刃体112a、112bを有する粗破砕撹拌機110によって、回転刃体を4回転/分で回転させ、粗破砕しながら抽出液を抽出した。
その際、該粗破砕撹拌機110(1.5kW)によって、少なくとも主たる抽出中は、バラの花弁が有する細胞膜を実質的になるべく破壊しないように、該バラの花弁を撹拌しつつ約1mm〜約3mmに粗破砕した。
蒸気量28〜140kg/hrの加熱ユニット120で加熱すると共に、水エジェクタ301で真空引きし、水の蒸発熱でバラの花弁の温度を35℃±2℃に保った。水エジェクタ301の水温と、冷却器200の冷却水の水温は、共に10℃±2℃に保った。
使用した水エジェクタ301は、横噴射型の水エジェクタ(3.7kW)であり、引かれる方がオープンの場合、常圧体積20m/時間以上の排気能力を有する水エジェクタであった。
抽出容器100内の圧力は、少なくとも主たる抽出中は、3.3kPa(1気圧に対して、−98.0kPa)以上6.3kPa(1気圧に対して、−95.0kPa)以下に常に保った。主たる抽出時間は5〜8時間であった。
35℃±2℃の抽出液を回収獲得容器400に回収したので、比重の差を利用して、下層の水相401である「香り成分を含有する水溶液」601を、「香り成分を含有する水溶液取出しバルブ405」を開いて、水相(水層)取出口404から獲得した。
また、上層である油層402は油相(油層)取出口403から、バラの花弁から得られた精油として回収した。この「バラの花弁から得られた精油」も、通常市販されているバラの精油とは異なる香りがしたので有効利用した。
バラの花弁、それからの抽出液等は、抽出容器内でも冷却・回収時でも下層(水相)獲得時でも常に35℃±2℃を保った。
最後に、抽出容器100の粉末残渣取出口140から粉末残渣を得たが、これも有効利用した。
<移行工程(2)>
抽出工程(1)で、バラの花弁から水相として得られた「香り成分を含有する水溶液」20kg(20L)を、図5に示した移行容器(内容積60L)に投入し、次いで、「オイル」としてホホバ油10Lを投入した。その結果、図5(a)に示したように、下層に該水溶液601、上層にオイル602の2層となった。
移行容器500は、粗破砕撹拌機が設置されていないものを用いた。
図1に示した移行装置で、下層の水溶液601を蒸発させ、香り成分を含んだ水蒸気として該上層を通過させて留去した。
蒸気量28〜140kg/hrの加熱ユニット120で加熱すると共に、水エジェクタ301で真空引きし、水の蒸発熱で、水溶液601、オイル602及び移行容器500内の温度を、35℃±2℃に保った。水エジェクタ301の水温と、冷却器200の冷却水の水温は、共に10℃±2℃に保った。
使用した水エジェクタ301は、横噴射型の水エジェクタ(3.7kW)であり、引かれる方がオープンの場合、常圧体積20m/時間以上の排気能力を有する水エジェクタであった。
噴射させる水の量とバルブとで、移行容器500内の圧力は、少なくとも主たる抽出中は、3.3kPa(1気圧に対して、−98.0kPa)以上6.3kPa(1気圧に対して、−95.0kPa)以下に常に保った。主たる移行時間は、4〜5時間であった。 図5(a)のように2層であった内容物は、最終的に図5(b)のように上層の香りオイルDだけになった。
移行工程(2)中は、下層の水溶液601は沸騰(突沸)せず、図5(a)〜図5(b)のような2層〜1層の形態を保ったままであった。
下層がなくなったのを確認した後、香りオイルDを、香りオイル取出口540から取り出した。約10Lのバラの香りがするホホバ油が得られた。
下層の水溶液601中の水、及び、上層のオイル602(ホホバ油)中の低沸点物は、移行工程(2)の後、回収獲得容器に貯まったので廃棄した。
上記のようにして得られた「バラの香りのするオイル」(香りオイル)は、抽出工程(1)で得られた精油とも、市販されているバラのオイルとも、水蒸気蒸留法等の他の方法で得られたものとも、全く異なる香りを有していた。
得られた香りオイルDは、化粧料用、芳香剤用、香水用、アロマテラピー用、マッサージオイル用、薬用等のオイルとして優れたものであった。
実施例2
実施例1のバラの花弁に代えて、サクラの花弁、イチゴ、リンゴ、ラベンダーを用いて、実施例1と同様に、抽出工程(1)及び移行工程(2)を行った。
その結果、何れも市販されている公知のオイルとは全く異なる優れた香りがした。それらは、化粧料用、芳香剤用、香水用、アロマテラピー用、マッサージオイル用、薬用等のオイルとして優れたものであった。
実施例3
実施例1のバラの花弁に代えて、ワサビ、サンショ、ニンニク、タマネギ、ナガネギを用い、オイル602として実施例1のホホバ油に代えて、菜種油であるキャノーラ油を用いた以外は、実施例1と同様に抽出工程(1)及び移行工程(2)を行った。
その結果、何れも公知のオイルとは全く異なる優れた香りがした。料理用等のオイルとして優れたものであり、種々の料理に好適に使用されるものであり、種々の料理の上から滴下又はふりかけても、独特の香りがする優れたものであった。
比較例1
実施例3で使用したものと同じニンニク1個をみじん切りにしてフライパンに入れ、実施例3で使用しものと全く同じ「菜種油であるキャノーラ油」を用いて炒めて、ニンニクの香りを菜種油に移行させた。このように、料理として通常のやり方でニンニクオイルを得た。
実施例3で得られた香りオイルと、比較例1で得られたニンニクオイルとは、溶媒のオイルは菜種油(キャノーラ油)で同一であるものの、全く異なる香りと味がし、それらを用いた料理は、何れも全く異なる風味を有していた。実施例3で得られたニンニクの香りを有する香りオイルの方が、比較例1で得られたニンニクオイルより良い香りがし、それを用いた料理は何れも優れたものであった。
本発明の香りオイルの製造方法で得られた香りオイルは、今までの生物からの抽出液とは(水系の抽出物とも、油系の抽出物(精油)とも)異なる成分組成を有し、今までにない独特の風味(香りと味)を有し、媒体であるオイル以外は、実質的に完全に、抽出対象として用いた生物由来のものであり、また、抽出工程において酵素を失活させたり、香りを分解させたりするような熱をかけず、抽出溶媒を使用しないので、安全性が極めて高く、完全に天然物を有するものである。
従って、それらは、料理用、化粧料用、芳香剤用、香水用、アロマテラピー用、マッサージオイル用、薬用等として、家庭用品、一般食品、健康食品、食品添加剤、医薬品、介護用品、飼料等の分野において広く利用されるものである。
100 抽出容器
101 下部半円筒部
102 上部角形部
103 生物投入口
104 生物投入口蓋
105a 端壁
105b 端壁
106a 端板
106b 端板
107 傾斜面
108 真空計
109a 温度計
109b 温度計
110 粗破砕撹拌機
111 凸型固定刃
112a 回転刃体
112b 回転刃体
113a 回転刃
113b 回転刃
114a 回転刃溝
114b 回転刃溝
115a 「く」の字
115b 「く」の字
120 加熱ユニット
121 蒸気室
122 蒸気供給装置
130 気体取出口
131 気体配管
140 粉末残渣取出口
200 冷却器
300 減圧器A、減圧器B
301 水エジェクタ
302 水循環ポンプ
303 水タンク
400 回収獲得容器
401 水相(水層)(香り成分を含有する水溶液)
402 油相(油層)(精油)
403 油相(油層)取出口
404 水相(水層)取出口
405 香り成分を含有する水溶液取出しバルブ
500 移行容器
501 投入口
508 真空計
509a 温度計
509b 温度計
521 蒸気室
530 気体取出口
540 香りオイル取出口
601 香り成分を含有する水溶液
602 オイル
A 生物
B 香り成分を含有する水溶液
C 生物由来粉末残渣
D 香りオイル
R 回転方向

Claims (14)

  1. 生物本来の香りを有する香りオイルの製造方法であって、
    少なくとも、以下の工程(1)及び工程(2)を有することを特徴とする香りオイルの製造方法。
    (1)香り成分を含有する生物から、少なくとも主たる抽出中は、該生物を10℃以上50℃以下の温度範囲に維持しつつ、減圧器Aによって抽出容器内の圧力を10kPa以下に維持して、該生物から、香り成分を含有する水溶液を抽出する抽出工程
    (2)工程(1)で得られた香り成分を含有する水溶液を下層とし、オイルを上層とし、該下層と該上層を10℃以上50℃以下の温度範囲に維持しつつ、減圧器Bによって移行容器内の圧力を10kPa以下に維持して、該下層の水溶液の水を水蒸気として該上層を通過させて留去すると共に、該下層から蒸発した香り成分を該上層に移行させる移行工程
  2. 上記工程(1)において、加熱ユニットによって上記生物の温度を上昇させ、減圧器Aによって該生物中の水を蒸発させるときの蒸発熱で該生物の温度を下降させることによって、該生物の温度を上記温度範囲に維持する請求項1に記載の香りオイルの製造方法。
  3. 上記工程(1)において、少なくとも主たる抽出中は、上記抽出容器内の圧力を1kPa以上10kPa以下に維持して、該生物から、香り成分を含有する水溶液を抽出する請求項1又は請求項2に記載の香りオイルの製造方法。
  4. 上記工程(1)において、上記抽出容器内に設けられた粗破砕撹拌機によって、少なくとも主たる抽出中は、該生物を1mm以上20mm以下に粗破砕しつつ撹拌しながら抽出する請求項1ないし請求項3の何れかの請求項に記載の香りオイルの製造方法。
  5. 上記工程(1)において、上記抽出容器の下部が円筒状になっており、その内壁に複数の凸型固定刃を有すると共に、上記粗破砕撹拌機は、1個に複数の回転刃を有する回転刃体を有し、該回転刃体を回転させることによって、該抽出容器内の生物を、該凸型固定刃と該回転刃とで粗破砕する請求項4に記載の香りオイルの製造方法。
  6. 上記工程(2)において、加熱ユニットによって上記下層と上記上層の温度を上昇させ、減圧器Bによって該下層中の水を蒸発させるときの蒸発熱で該温度を下降させることによって、該下層と該上層の温度を上記温度範囲に維持する請求項1ないし請求項5の何れかの請求項に記載の香りオイルの製造方法。
  7. 上記工程(1)又は上記工程(2)において、上記減圧器A又は上記減圧器Bが水エジェクタである請求項1ないし請求項6の何れかの請求項に記載の香りオイルの製造方法。
  8. 上記水エジェクタが、水循環ポンプを有する横噴射型の水エジェクタである請求項7に記載の香りオイルの製造方法。
  9. 上記工程(1)又は上記工程(2)において、上記減圧器A又は上記減圧器Bが、内容積1mを排気する場合に換算して、常圧体積20m/時間以上の排気能力を有する水エジェクタである請求項1ないし請求項8の何れかの請求項に記載の香りオイルの製造方法。
  10. 上記生物が、植物、動物、キノコ若しくは海藻、又は、それらの一部である請求項1ないし請求項9の何れかの請求項に記載の香りオイルの製造方法。
  11. 上記植物又は植物の一部が、野菜、果物、香辛料原料、漢方薬原料、香草又はハーブである請求項10に記載の香りオイルの製造方法。
  12. 上記植物の一部が、該植物の、果肉、果皮、茎、花托、幹、花、葉、萼、種子、根又は球根である請求項10又は請求項11に記載の香りオイルの製造方法。
  13. 請求項1ないし請求項12の何れかの請求項に記載の香りオイルの製造方法によって製造されるものであることを特徴とする香りオイル。
  14. 料理用、化粧料用、芳香剤用、香水用、アロマテラピー用、マッサージオイル用又は薬用である請求項13に記載の香りオイル。

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