JP6730739B2 - 生物成長材の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、生物の全体若しくは一部を固液分離対象物とし、該固液分離対象物を特定の方法で固液分離して得た固体又は液体を含有する生物成長材の製造方法、該製造方法で製造された生物成長剤、及び、該製造方法に用いる固液分離装置に関するものである。
微生物、生物組織等の生物の培養に用いられる培養液は、通常、炭素源、ビタミン類、無機塩類等を含み、該生物が生存したり増殖したりするための栄養素を供給する。
培養液を含む培地としては、合成培地;合成培地に酵母抽出物、血清等を配合した半合成培地;動植物の煮出し汁、土壌・腐植質の抽出液等の天然物を用いた天然培地;等が知られており、そこに使用される具体的物質としては、例えば、酵母エキス、トリプシン、ブドウ糖、寒天、肉エキス、ペプトン、D−マンニット、塩化ナトリウム、卵黄、乳糖、ショ糖、乳酸、酒石酸、クエン酸鉄アンモニウム、リン酸一水素カリウム、各種指示薬、動植物の煮出し汁、土壌・腐植質の抽出液等が知られている。
しかしながら、培養対象の微生物の生存・増殖に好ましい培養液の選択は従来から行われてはいるが、単一物質を見出して該物質を含有させることに注力するあまり、培養対象の微生物の生存・増殖に特異的に真に好ましい培養液については満足できるものではなかった。
また、野菜、果物、花卉、漢方薬、香辛料等を与える植物は、化学肥料、有機肥料、栽培液等を供給することで、土壌栽培や水耕栽培が行われている。
このうち、堆肥・生肥は、有機物を微生物によって分解させたり、植物系残渣を自然に堆積醗酵させたりした有機肥料のことを言い、上記植物の生産に多用されている。
例えば、特許文献1には、植物廃棄物を、加圧しつつ細かく磨り潰し、高温化して細粉化させる細粉化工程と、土壌菌を混ぜ合わせて攪拌させる攪拌工程と、この土壌菌を混ぜ合わせたものを放置して生肥を生成する放置工程と、を具備する植物廃棄物の処理方法が記載され、それによって得られた生肥が有用であることが記載されている。
しかしながら、堆肥・生肥の製造には醗酵が必須であるが、該醗酵は時間もコストも必要であり、製造は極めて面倒である上に、あらゆる動植物を醗酵させるので、生産すべき(育てるべき)植物に特異的に効くものではなかった。また、醗酵によって未知の有効微量有機成分を消費してしまっている可能性があり、また、相当な熱が伴うので該未知の有効微量有機成分を変化させてしまっている可能性もある。
上記のことは、植物以外にも、藻類等の「原生生物界に属する生物」の生産や、カビ類、キノコ類等の「菌界に属する生物」の生産にも言えていて、該生産すべき生物(原生生物界、菌界、植物界等に属する生物)に特異的に効く「栽培液、培養液」として十分満足できるものは存在しなかった。
一方、魚類の養殖に関しては、同じ魚類由来の材料を飼料として使用すると、魚類の生育を速められ、成育した後の個体のサイズも大きくでき、該魚類の生産効率が高められることが知られている。
例えば、特許文献2には、同一魚類の頭部又は骨部から採取した脂質を、該魚類の飼料に混ぜて給餌する技術が記載され、魚類の成長に関しては共喰いが効果的である旨が記載されている。
また、特許文献3には、養殖魚用飼料であって、該養殖魚と同じ属に属する魚類由来の材料を含有する飼料が記載され、該魚類由来の材料を、同じ属に属する魚類の鮮魚加工残渣から得ることも記載されている。
しかしながら、魚類以外の生物については、「該生物に分類上近い生物」由来の材料を含有する生物成長材や、それを含有する栽培液又は培養液は殆ど知られていなかった。
確かに、生産した植物の実等を有用物(例えば食用)として収穫した後に、残った不用な茎・葉・根等をそのまま土に鋤き込み肥料とすることや、所謂緑肥が使用されることも知られている。しかしながら、生物を特定の方法で加工して、扱い易い分離した形での「固体又は液体の生物成長材」を製造することや、該特定の製造方法で得られた生物成長材を含有させて栽培液や培養液等を製造すると、扱い易いに優れるだけでなく、成長・品質的に(性能的に)優れたものができることは知られていなかった。
特開2003−306393号公報 特開昭51−107996号公報 特開2014−193158号公報
本発明は上記背景技術に鑑みてなされたものであり、その課題は、成長、生育、増殖等の速度を速めたり、大きいものを生産できたりして、生産効率を向上させる生物成長材を提供することにある。
また、生産された(増殖された)個体若しくは該個体の一部が、食用の場合は美味である、そのサイズが大きい、栄養価が高い等の優れた効果を有する生物成長材を提供することにある。
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、「原生生物界、菌界又は植物界に属する生物」の全体若しくは一部を、特定の方法で固液分離したものが、該生物が有する細胞内物質の分解がなく、極めて該生物の成長・生育・増殖速度を速め、上記課題を解決できることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、原生生物界、菌界又は植物界に属する生物の全体若しくは一部を固液分離対象物とし、該固液分離対象物を容器内において50℃以下で固液分離し、該固液分離された固体又は液体を該生物の成長を促すために使用する、該固体又は該液体を含有する生物成長材の製造方法であって、
該容器内に設置された破砕撹拌機によって、少なくとも主たる固液分離中は、該生物の細胞が有する細胞膜を実質的に破壊しないように、該生物を20mm以下に破砕しつつ撹拌し、
該容器に設置された加熱ユニットによって該容器を加熱し、該生物が有する細胞内物質を失活させないように、該固液分離対象物の温度を10℃以上50℃以下の温度範囲に維持し、
内容積が1mの容器を用いた場合に換算して、常圧体積20m/時間以上の気体排出能力を有する減圧器を用い、少なくとも主たる固液分離中は、該容器内の圧力を10kPa以下に維持して、細胞水の蒸発熱で該固液分離対象物の温度が50℃を超えないように吸熱して、
該生物の全体若しくは一部を固液分離することを特徴とする生物成長材の製造方法を提供するものである。
また、本発明は、上記減圧器が、水循環ポンプを有する横噴射型の水エジェクタである上記の生物成長材の製造方法を提供するものである。
また、本発明は、上記容器の下部が円筒状になっており、その内壁に複数の凸型固定刃を有すると共に、上記破砕撹拌機は、1個に複数の回転刃を有する回転刃体を有し、該回転刃体を回転させることによって、容器内の上記固液分離対象物を、該凸型固定刃と該回転刃で破砕する上記の生物成長材の製造方法を提供するものである。
また、本発明は、上記生物の全体若しくは一部を固液分離対象物として固液分離して得た固体又は液体の一方を該生物特有の有用物として使用し、他方を生物成長材とする上記の生物成長材の製造方法を提供するものである。
また、本発明は、上記固液分離対象物である「生物の一部」が、該生物から該生物特有の有用物部分を除いた後の残部である上記の生物成長材の製造方法を提供するものである。
また、本発明は、上記の生物成長材の製造方法を使用して得たものであることを特徴とする生物成長材を提供するものである。
また、本発明は、上記の生物成長材の製造方法を使用する用途に用いる固液分離装置であって、
少なくとも、破砕撹拌機、加熱ユニット、気体取出口及び固体粉末取出口を有する上記容器;並びに;上記減圧器を具備するものであることを特徴とする固液分離装置を提供するものである。
本発明によれば、前記問題点と課題を解決し、生物(の一部)の生産効率が上がり、また優れた生物(の一部)が収穫できる。ここで、「生物の一部」とは、例えば、「生物」がトマトの木全体の場合、トマトの実(食べる部分)のことを言う。
すなわち、本発明の製造方法で製造された生物成長材を用いれば、「原生生物界、菌界又は植物界に属する生物」の成長、生育、増殖等の速度を速めたり、最終的に大きいものを生産できたりして、生産効率を著しく向上させることが可能である。
また、本発明の生物成長材を用いて生産された(増殖された)生物の個体若しくは該個体の一部が、食用、観賞用、嗜好用等に使用される場合は、美味である、香りが良い、サイズが大きい、栄養価が高い等の優れた効果を奏する。
具体的には、例えば、野菜、果物、花卉、漢方薬、香辛料、ハーブ、健康食品等を供する(の原料となる)原生生物、菌、又は、植物の生産において、培養液;土壌栽培、水耕栽培等の栽培液;等の中に、本発明の特定の方法で製造された生物成長材を含有させることで、上記した優れたものを得ることができる。
生物に含まれる成分を抽出し分離する方法としては、水蒸気蒸留法;水に直接浸漬させて加熱し分離する直接抽出法;有機溶媒を用いて抽出する溶媒抽出法;油性成分を加えて圧搾することにより抽出する圧搾法;超臨界流体を用いて抽出する超臨界抽出法;フリーズドライ法;等、種々の方法が知られている。
しかしながら、これらの方法は、外部から抽出媒体を追加するものであり、生物由来物以外の物質が残留するものであったり;(生物が死ぬと言うことは細胞内物質に変質が起っていることであるところ)、生物的には高温(例えば50℃より高い温度)を加えたり;分離した一方しか使用できなかったり;等するものであった。
本発明の生物成長材の製造方法によれば、例えば、生物(固液分離対象物)の切り口が新鮮である、比較的低温で処理を行う、高い排気量(排気速度)で気体として(蒸発させ)、「最終的には液体となるもの」を分離する等の相乗効果で、生物が有する「酵素等の細胞内物質」の分解・失活がなく、細胞膜を実質的に破壊せずに固液分離できる。
従来公知の固液分離方法では、細胞膜が破壊されるため細胞膜を通過した液は取れないし、固液分離対象物を高温にする従来方法では、酵素等の(未だ分析されていない物質も含む)細胞内物質が分解又は失活する。
また、外部から抽出溶媒・蒸気等を加えないで固液分離することができるので、そうすることで、該生物由来物だけを本発明の生物成長材に含ませることができる。また、逆に、該生物由来物の全てを本発明の生物成長材(液体と固体)に含ませることができるので、該生物が本来有している微量成分がそのまま使用でき、複数の微量成分の相乗効果があるならば(あると考えられるが)、確実にその効果を得ることができる。
水溶性ではあるが蒸気圧が高い物質(揮発し難い物質)は、固液分離した固体側に含有される。従って、固体側を栽培液又は培養液に含有させて使用すれば、該固体中の有効成分が栽培液又は培養液中に溶解する。
また、本発明の生物成長材は、所謂精油、極微量成分、低沸点成分、不安定物質等を、分解・変質・失活させずに含有している。
本発明の生物成長材は、前記したように今までに知られていない効果を奏するので新規な組成物であるが、上記の組成態様を化学分析で同定することは実際的ではないので、該組成態様を組成物名と含有比では表せない。例えば、味、香り、風味は、現在の分析装置では「含有物質の構造や量」では完全に特定できないことは常識である。なお、細胞内の酵素等の細胞内物質は分解・失活し易いが、実際、本発明によれば実質的に分解・失活せずに残存しているはずである。
本発明によれば、該生物の細胞内に存在する細胞水を、含有組成比を変えずに、生体内に存在する組成のままの状態で獲得できる。生体内に存在する組成のままの細胞水は、本発明の実施例等の結果によれば、栽培液又は培養液中の生物成長材として特に有効であると考えられる。
本発明では、大きな気体排出能力を有する特定の減圧器を用いること等によって、固液分離対象物である生物の温度の上昇を、水の蒸発熱によって抑制し、少なくとも主たる固液分離中は、該温度を特定の範囲に収めておくことが可能になり、過昇温による酵素等の細胞内物質の分解・失活を防止できる。
また、大きな気体排出能力を有する減圧器にしては高い減圧度(容器内の低い圧力)を達成できる減圧器を用いることによって、低い固液分離温度にしては長時間を必要とせず効率的に主たる固液分離を完了させることができる。
更に、特定の減圧度によって、細胞膜を通過した細胞液を効果的に固液分離でき、失活していない細胞内物質を効率的に獲得でき、主たる固液分離を終えた後には、さらさらであって良好な形態の固体粉末を獲得できる。
「特定の構造・機能を有する破砕撹拌機」を有する固液分離装置を用いれば、少なくとも主たる固液分離中は、細胞膜を実質的に破壊しないで破砕できて、上記効果を奏する液体を獲得できるが、また該固液分離完了後は、固体粉末を、容器の内壁から良好に掻き取ることができ、固体粉末取出口に向けて掻き寄せることができ、固体を歩留まり良く獲得できる。
生物由来の健康食品、漢方薬等は、固体又は液体の何れかを用いる場合が多い。もし固体(粉末)の側を用いるときは、本発明の製造方法で固液分離されたもう一方の液体を、栽培液に配合して土壌に撒いたり水耕栽培に用いたりでき、また培養液や培地に配合して培養できて、前記した効果を得ることができる。
もし液体の側を用いるときは、もう一方の固体(粉末)を上記と同様に配合して使用できて、前記した効果を得ることができる。
野菜、果物等の一般食品;それら由来の飲食品;花卉;香辛料;ハーブ;等は、生物の一部を用いる場合が多い。例えば、野菜の場合、飲食品に用いられるのは、実、葉等その一部の場合が多い。また、花卉、香辛料、ハーブ等の場合も、本来の目的に用いられるのは、その一部の場合が多い。
その際、本来の目的に用いられた部分を除いた後の残部を、本発明において固液分離対象物として使用すれば(使用しても)、前記した本発明の効果を奏することができることが確かめられている。本発明によれば、廃棄物も有効利用できて、コストダウンを図ることができる。
該残部を土壌等に鋤き込むことに比べ、取り扱いが容易である。また、本発明の生物成長材を用いることによって、土壌への鋤き込み、堆肥、緑肥等では必然的に起こる「醗酵」による有効物質(細胞内物質)の分解(消滅)もない。本発明の生物成長材を用いることによって、上記した緑肥等に比べ優れた効果を奏することができる。
本発明に使用する固液分離装置の全体の一形態を示す概略図である。 本発明に使用する固液分離装置に具備されている容器、冷却器、回収獲得容器等の一形態を示す概略断面図である。 本発明に使用する固液分離装置に具備されている容器の一形態を示す概略縦断面図である。 本発明に使用する固液分離装置に具備されている容器が有する破砕撹拌機の一形態を示す概略斜視図である。 本発明に使用する装置に具備されている好ましい減圧器である横噴射型の水エジェクタの一形態を示す概略断面図である。 本発明に使用する装置に具備されている好ましい減圧器である横噴射型の水エジェクタと水タンクと循環ポンプ等の一形態を示す概略断面図である。 長ネギについて本発明の生物成長材の効果を示す写真である(実施例1)。左側が製造例1で得た液体の生物成長材を含む栽培液で栽培した場合で、図の右側が対照である精製水で栽培した場合である。 (a)栽培開始時の写真 (b)栽培開始から1日目の写真 (c)栽培開始から2日目の写真 バラについて本発明の生物成長材の効果を示す写真である(実施例2)。 (a)栽培開始時の写真 (b)栽培開始から10日後の写真 ラベンダーについて本発明の生物成長材の効果を示す3日後の写真である(実施例2)。右側が本発明の生物成長材を用いて成長させたラベンダーの写真で、左側が水道水を用いて成長させたラベンダーの写真である。 トマトの木、シシトウの木を含む野菜(の木)から固液分離した本発明の生物成長材である液体の効果を、シシトウの木で評価した写真であり、左側が製造例3で得た液体の生物成長材を含む栽培液で栽培した場合で、右側が対照である精製水で栽培した場合である(実施例3)。 (a)10日後のシシトウの木の葉の写真 (b)10日後のシシトウの木の根の写真
以下、本発明について説明するが、本発明は、以下の具体的態様に限定されるものではなく、技術的思想の範囲内で任意に変形することができる。
本発明の生物成長材の製造方法は、
原生生物界、菌界又は植物界に属する生物の全体若しくは一部を固液分離対象物とし、該固液分離対象物を容器内において50℃以下で固液分離し、該固液分離された固体又は液体を該生物の成長を促すために使用する、該固体又は該液体を含有する生物成長材の製造方法であって、
該容器内に設置された破砕撹拌機によって、少なくとも主たる固液分離中は、該生物の細胞が有する細胞膜を実質的に破壊しないように、該生物を20mm以下に破砕しつつ撹拌し、
該容器に設置された加熱ユニットによって該容器を加熱し、該生物が有する細胞内物質を失活させないように、該固液分離対象物の温度を10℃以上50℃以下の温度範囲に維持し、
内容積が1mの容器を用いた場合に換算して、常圧体積20m/時間以上の気体排出能力を有する減圧器を用い、少なくとも主たる固液分離中は、該容器内の圧力を10kPa以下に維持して、細胞水の蒸発熱で該固液分離対象物の温度が50℃を超えないように吸熱して、
該生物の全体若しくは一部を固液分離することを特徴とする。
本発明の生物成長材の製造方法に使用される固液分離装置は、例えば一例を図1に示したように、
上記の生物成長材の製造方法を使用する用途に用いる固液分離装置であって、
少なくとも、破砕撹拌機、加熱ユニット、気体取出口及び固体粉末取出口を有する上記容器;並びに;上記減圧器を具備するものであることを特徴とする固液分離装置である。
また、本発明の生物成長材の製造方法に使用される固液分離装置は、上記の生物成長材の製造方法に用いられ得る能力を有しているものである。
好ましくは、そして詳しくは、固液分離対象物である「生物の全体若しくは一部」を破砕しつつ撹拌する破砕撹拌機110(以下、「 」内を単に、「生物」と略記することがある)、該生物及び容器100内を加熱する加熱ユニット120、生物から発生する気体を取り出す気体取出口130、及び、固液分離後に固体の生物成長材の方を取り出す固体粉末取出口140を有する容器100;
該気体取出口130から取り出された気体を冷却する冷却器200;
該容器100内を減圧する減圧器300;並びに;
該冷却器200で冷却されて液化した液体の生物成長材の方を回収獲得する回収獲得容器400;を具備している。
固液分離対象となる生物は、生物投入口103から容器100に投入される。投入される生物は、予め裁断しておいてもよいが、該生物の細胞を(特に細胞膜を)、実質的に破壊しないようにする必要がある。なお、全く破壊しないようにする必要はなく、破壊された細胞はあってもよい。
限定はされないが、固液分離の対象となる生物は、本発明の前記した効果を発揮させる目的で、すなわち、得られる生物成長材が細胞内物質を含有するように、更には該生物に含有される成分の実質的に全てを含有するように、投入前に該生物の乾燥、加熱、すり潰し及び/又は醗酵は、しないことが好ましい。
上記生物は、原生生物界、菌界又は植物界に属する生物であれば特に限定はない。
原生生物界に属する生物としては、例えば、緑藻、褐藻、紅藻、珪藻、ユーグレナ、クリプト植物、渦鞭毛植物等の藻類;繊毛虫、根足虫、胞子虫、鞭毛虫等の原生動物;等が挙げられる。
菌界に属する生物としては、ツボカビ;ケカビ等の接合菌;酵母、アカパンカビ等の子嚢菌;キノコ等の担子菌;地衣植物;等が挙げられる。
植物界に属する生物としては、マツ、スギ、イチョウ、ソテツ等の裸子植物;双子葉類、単子葉類等の被子植物;シダ植物;コケ植物;水草類;等が挙げられる。
限定はされないが、上記原生生物界に属する生物が藻類であり、上記菌界に属する生物がカビ類又はキノコ類であり、上記植物界に属する生物が裸子植物、被子植物、シダ植物又はコケ植物であることが、上記理由から、及び、本発明の前記した成長効果を得易いために好ましい。
本発明の生物成長材の製造方法としては、上記生物の全体若しくは一部を固液分離対象物として固液分離して得た固体又は液体の一方を該生物特有の有用物として使用し、他方を生物成長材とすることが上記理由から好ましい。
藻類、菌類、植物等から、本発明の方法を用いて固体粉末を得て、それらを例えば健康食品等に使用して、他方の液体を栽培液又は培養液に含有させて、該生物の培養・成長に使用することが特に好ましい。
上記生物としては、別の分類では、例えば、野菜、果物、花卉、漢方薬、香辛料、ハーブ、健康食品等を供する(の原料となる)生物が挙げられる。
これらの生物は、大量に生産されていることもあり、本来の目的に用いられた後の残部が、本発明における「生物の一部」、すなわち固液分離対象物として有効に使用できる。
本発明の生物成長材の製造方法としては、上記固液分離対象物である「生物の一部」が、該生物から該生物特有の有用物部分を除いた後の残部であることが上記理由から好ましい。
例えば、上記生物が植物又はキノコであれば、本来の目的に用いられ有用部分が除かれた残部としては、果物の果皮、種子等の「食用部分以外の部分」;野菜、キノコ等の「食用部分以外の部分」;花卉の茎、根等の「観賞用以外の部分」;漢方薬草、香草若しくはハーブ等の「本来の目的部分以外の部分」;等が挙げられる。
本発明の生物成長材の製造方法は、「上記生物の全体若しくは一部」以外の物質を、上記容器内に実質的に投入しないで固液分離することが好ましい。
本発明によれば、外部から「固液分離対象物である生物以外のもの」を実質的には投入する必要がなく、従って投入しない(具体的には、固液分離溶媒も固液分離蒸気も実質的に添加しない)ことによって、得られる生物成長材は、固液分離対象物である生物に含有される成分のみからなり、更には、該生物(の細胞)に含有される成分の実質的に全てを含有させることができる。
本発明によって得られる生物成長材は、上記のような成分組成であることが好ましい。
本発明の範囲内であれば、図に示されたものには限定されないが、図2、図3に本発明における固液分離装置の容器100の概略図を示す。
容器100は、生物Aを収容し、破砕撹拌機110で破砕しながら撹拌し、該破砕・撹拌下に、加熱ユニット120によって外部から熱を加えつつ減圧して固液分離する容器である。
本発明における固液分離装置の容器100の破砕撹拌機110は、少なくとも、投入された生物Aを破砕しつつ撹拌できるようになっている。
容器100は、破砕撹拌機110を収容した下部半円筒部101と、その上に形成された上部角形部102とからなる。少なくとも下部半円筒部101の周囲には、容器100の内部に熱を加える蒸気室121がある。
下部半円筒部101の最下部の中央には、固液分離後の固体を取り出す固体粉末取出口140が設けられている。
図1〜3に示すように、上記上部角形部102の上部には、生物投入口103が設けられていると共に、その生物投入口103を塞ぐ生物投入口蓋104が設けられている。
上記上部角形部102の上部には、吸引される蒸気の気体取出口130が設けられ、言い換えれば、生物Aから発生する気体を取り出す気体取出口130が設けられ、この気体取出口130には、冷却器200につながる気体配管131が接続されている。
本発明の生物成長材の製造方法においては、投入された生物Aを撹拌羽根で破砕しながら撹拌し、該破砕・撹拌下に固液分離を行う。このようにしながら固液分離することで、有効成分である細胞内物質の熱分解、酸化等による変性を防ぐことができる。
上記破砕・撹拌は、「複数の回転刃113a、113bを有する回転刃体112a、112b」及び「固液分離装置の内面(好ましくは上記下部半円筒部101の下内面)に設けられた複数の凸型固定刃111」を備えた固液分離装置内で行うことが、上記効果を得るために特に好ましい。
例えば、図4は、前記破砕撹拌機110の構成を示す斜視図であり、破砕撹拌機110は、容器100の外部に設けられたモータにより回転されるものであり、容器100の端壁105a、105bに回転可能に支持される左右の端板106a、106bと、その先端間に両端が固定された、ほぼ「く」の字115の形をなす回転刃体112a、112bとによって構成することにより、中心軸を有しない構造(中心軸なしで回転可能の構造)に構成されている。
回転刃体112a、112bをほぼ「く」の字形にすることによって、生物Aを撹拌羽根で破砕しながら撹拌し易くすると共に、固液分離完了後は、固体を容器100の内壁から良好に掻き取り、(容器100の下側のほぼ中央に位置する)固体粉末取出口140に向けて掻き寄せることによって、歩留まり良く好適に、「固体である生物成長材」を固体粉末取出口140から獲得できる。
本発明の生物成長材の製造方法は、上記破砕撹拌機110が2個以上の回転刃体112a、112bを有し、該回転刃体112a、112bを同方向に回転させることで、上記生物Aを破砕しつつ撹拌し、固液分離完了後には、固体を上記容器100の内壁から掻き取り、上記固体粉末取出口140に向けて掻き寄せることが好ましい。ただし、回転刃体112は1個でも好ましい。
破砕撹拌機110の回転速度、すなわち、容器100の左右の端壁105a、105bに回転可能に支持されている左右の端板106a、106bの回転速度は、1回転/分以上8回転/分以下が好ましく、2回転/分以上6回転/分以下がより好ましく、4回転/分以上5回転/分以下が特に好ましい。
回転速度が小さ過ぎるときは、破砕、撹拌及び/又は固液分離の効率が悪くなる場合、容器100内で破砕されつつある生物Aに温度ムラが生じる場合等があり、一方、回転速度が大き過ぎるときは、破砕撹拌機110に過剰の負荷がかかる場合、細胞膜に障害を与える場合等がある。
本発明の生物成長材の製造方法は、上記容器100の下部が円筒状になっており、その内壁に複数の凸型固定刃111を有すると共に、上記破砕撹拌機110は、1個に複数の回転刃113a、113bを有する回転刃体112a、112bを有し、該回転刃体112a、112bを回転させることによって、容器100内の生物Aを、該凸型固定刃111と該回転刃113a、113bとで破砕する。
図4における111は、下部半円筒部101の内面に固着された複数の凸型固定刃であり、回転刃体112a、112bにおける凸型固定刃111に対応する箇所には、回転刃体112a、112bにおける凸型固定刃111の部分を通過するための回転刃溝114a、114bが形成され、その溝の両側に、凸型固定刃111との間で生物Aを破砕するための回転刃113a、113bが設けられている。
なお、図4では、凸型固定刃111と回転刃113a、113bとは、噛み合いが時間をずらして順次行われるように、周方向に位置をずらして配設し、これにより破砕撹拌機110の駆動モータの動力の瞬間的増大が起こらないようにしている。
1個の回転刃体に設けられる回転刃の対数は、容器100、破砕撹拌機110、回転刃体112a、112bの大きさや、固液分離の対象となる生物Aの種類にも依存するが、1個の回転刃体に回転刃が、5対以上20対以下で設けられていることが好ましく、8対以上14対以下が特に好ましい。
1個の回転刃体に設けられた回転刃が少な過ぎると、破砕、撹拌及び/又は固液分離の効率が悪くなる場合、蒸発が抑制されて温度が上昇する場合等があり、一方、多過ぎると、過度の破砕と撹拌が行われるために、回転に負荷がかかる場合、細胞水の固液分離速度が上がり過ぎて水の蒸発熱で生物Aの温度が下がる場合等がある。
なお、回転刃体に設けられた回転刃の上記対数は、1個の回転刃溝に1対の回転刃があるとする。例えば、図4では、1個の回転刃体に回転刃溝が10個設けられているので、1個の回転刃体に回転刃は10対設けられていることになる。
本発明においては、破砕撹拌機110によって、少なくとも主たる固液分離中は、投入された生物Aの細胞が有する細胞膜を実質的に破壊しないように、該生物を20mm以下に破砕しつつ撹拌することが必須である。
主たる固液分離中の生物Aのサイズは、好ましくは15mm以下、より好ましくは10mm以下、特に好ましく5mm以下である。
また、元々の生物のサイズが、野菜、果物等(の一部)のように大きい場合には、下限は、好ましくは1mm以上、より好ましくは1.3mm以上、特に好ましくは1.6mm以上である。
上記サイズは、破砕された生物Aの最大差し渡し長さの重量平均値(体積平均値)である。
上記サイズが小さ過ぎると、生物Aの細胞膜を破壊する(破壊する細胞膜の割合が大きくなってしまう)場合があり、一方、上記サイズが大き過ぎると、固液分離に時間がかかり過ぎる等、効率よく固液分離できない場合がある。
容器100の中には、図3に示すように、下部半円筒部101の片側上部に、この上に載る生物Aが円滑に落ちるように傾斜面107が設けられている。
容器100には、更に、前記容器100内の真空度を計測する真空計108と温度計109a、109bが設けられている。これらは、固液分離工程における容器内の圧力(減圧度)と温度を測定し、固液分離時の生物Aの温度を間接的に測定するために設けられたものであり、また、固液分離の開始と終了を判定するために設けられている。
本発明における容器100には、生物A及び容器100内を加熱する加熱ユニット120が設置されている。加熱ユニット120では、蒸気供給装置122によって加熱された水蒸気が、容器100(好ましくは容器100の下部半円筒部101)の周囲に設置された蒸気室121に送り込まれる。
本発明においては、加熱ユニット120による加熱水蒸気の蒸気室への流量によって加熱をコントロールし、生物Aからの細胞水の蒸発熱を冷却に利用すべく減圧装置の気体排出量によって冷却をコントロールする。
生物Aの温度は、上記加熱ユニット120によって、少なくとも主たる固液分離中は、該生物Aを、該生物Aが有する酵素を失活させないように、10℃以上50℃以下の温度範囲に維持する。特に、主たる固液分離中は、細胞水の蒸発熱で生物Aを冷却し、該加熱ユニット120によって加熱し、温度範囲を10℃以上50℃以下に維持する。
該生物Aの温度は、少なくとも主たる固液分離中は、20℃以上45℃以下が好ましく、25℃以上42℃以下がより好ましく、30℃以上40℃以下が更に好ましく、33℃以上37℃以下が特に好ましい。
該温度が低過ぎると、商業的規模や工業的規模を考えた場合、蒸発固液分離に時間がかかり過ぎる場合;低い温度における水の蒸気圧の低さに適応した低圧力まで、「商業的規模や工業的規模の生物Aの量に十分に対応した気体排出能力の大きさを有しつつ、真空度(減圧度)を上げられる減圧器」が、そもそも存在しない又は極めて大型(コスト大)になる場合;等がある。
一方、該温度が高過ぎると、該生物Aが有する細胞内物質を分解・失活させてしまう場合、該生物Aの細胞膜に障害を与えてしまい該細胞膜を正常に通過した細胞水が得られない場合等がある。
上記温度範囲であると、自然界の生物が有する、成分組成・純度、極微量成分、低沸点成分、不安定物質等を、変質も分解もさせずに得ることができる。
主たる固液分離中の生物Aの温度(範囲)は、本発明の効果を得るために極めて重要であり、たとえ投入する生物Aが個体として死んでいたとしても、通常の生物が正常にその生命を維持できる、又は、細胞が死なない上記温度範囲(特に温度上限)が望ましい。
液体が容器100の気体取出し口から殆ど出てしまった後は、すなわち主たる固液分離が終わった後は、該生物Aの温度は上記上限温度よりも高くしてもよい。
本発明における容器100内の破砕撹拌機110は、上記した通り、少なくとも主たる固液分離中は、該生物Aの細胞が有する細胞膜を実質的に破壊しないように、前記したサイズの範囲に破砕しつつ撹拌できるようになっているが、固液分離が終了した後は、生物成長材を固体粉末として確保すべく、温度を上記上限温度より高くして、良好に粉末化を図ることも好ましい。また、該生物A中の細胞水が少なくなると、水の蒸発熱による冷却を期待できない場合がある。
主たる固液分離が終了して、上記固体粉末取出口140から「固体である生物成長材」を獲得するまでの温度範囲は、特に限定はないが、25℃以上80℃以下が好ましく、30℃以上60℃以下がより好ましく、33℃以上40℃以下が特に好ましい。
ここで、「主たる固液分離」とは、固液分離初期から、容器100に投入した固液分離対象の生物Aの90質量%が固液分離されるまでを言う。
容器100に設けられた温度計109a、109bは、破砕撹拌機110を含む容器100の熱伝導等を利用して、固液分離中の生物Aの温度は十分正確に測定できるようになっており、細胞水の蒸発熱で生物Aが急速に冷却されそうになっても、逆に、上記加熱ユニット120によって生物Aが急速に加熱されそうになっても、固液分離中の生物Aの温度は十分正確に測定できるようになっている。
減圧器300については後述するが、減圧器300の気体排出能力を、「内容積が1mの容器を用いた場合に換算して、常圧体積20m/時間以上」とすることによって、加熱ユニット120によって生物Aが急速に加熱されそうになっても、細胞水の蒸発熱で該生物Aの温度を十分な速度で下げることができるようになっている。
本発明においては、細胞水の蒸発熱によって、該生物Aの温度を前記温度の上限以下に維持するように、該容器100内を減圧しつつ固液分離する。
該減圧器300としては、蒸発熱による冷却によって、前記した生物Aの温度範囲を好適に維持するため、上記の気体排出能力を有する水エジェクタ301(特に好ましくは水循環ポンプ302を有する横噴射型の水エジェクタ301)が用いられる。
1回の固液分離で使用する生物Aの質量は、使用する容器の体積に依存するので特に限定はないが、1kg以上1500kg以下が好ましく、3kg以上1000kg以下がより好ましく、5kg以上500kg以下が特に好ましい。
該質量が小さ過ぎると、バッチを繰り返して固液分離することになるので、コストアップになり商業的に使用できなくなる。また、本発明における前記又は後記した特殊な固液分離条件(容器内圧力、気体排出能力等)や、装置(回転刃体112を有する粉砕撹拌機110、減圧器300等)を適用する意味が薄れる場合がある。すなわち、本発明における「主たる固液分離中の圧力」、減圧器種類、気体排出能力、蒸発熱を冷却に利用すること、等の(好ましい)要件・特徴が生かされない場合がある。本発明は、生物Aの量が上記下限以上の時に特にその効果を奏する。言い換えれば、上記下限は、本発明の固液分離条件が有効に働く(初めて意味を持つ)ようになる点から重要である。
一方、1回の固液分離で使用する生物Aの質量が大き過ぎると、本発明の前記効果を発揮できるような、減圧器300が存在しない場合;特に、生物Aの昇温を水の蒸発熱で抑制できるだけの気体排出能力と減圧度を有する減圧器300が存在しない又は極めて高価となる場合;等がある。
容器100の実質体積は特に限定はないが、実質体積の範囲は、本発明における細胞水の蒸発による固液分離の条件が有効に効くか否かの点から重要である。生物Aの最大投入容量(L)として、すなわち投入できる生物Aの嵩(L)として、20L以上5000L以下が好ましく、35L以上4000L以下が好ましく、50L以上3000L以下が特に好ましい。なお、生物Aの最大投入容量(L)は、前記した容器100の下部半円筒部101の体積にほぼ等しい。
容器100の実質体積又は下部半円筒部101の体積が小さ過ぎると、1回の処理量が少なくなり過ぎてコストアップになり、商業的に使用できなくなる場合等がある。
一方、大き過ぎると、本発明の前記効果を発揮できるような減圧器300がそもそも存在しない場合;具体的には、特に、生物Aの昇温を水の蒸発熱で抑制できるだけの気体排出能力と減圧度を有する減圧器300が存在しないか又は極めて高価となる場合;容器100の筐体に減圧負荷がかかり過ぎる場合;等がある。
本発明の生物成長材の製造方法においては、上記容器の体積をV[L]とし、該容器に投入される生物の質量をM[kg]とするときに、V[L]をM[kg]の2倍以上5倍以下に設定することが好ましく、2.2倍以上3.5倍以下がより好ましく、2.5倍以上3.0倍以下が特に好ましい。
V[L]/M[kg]の値が小さ過ぎると、破砕、撹拌等を良好に実行できない場合がある。
一方、V[L]/M[kg]の値が大き過ぎると、大きな容器100が無駄になる場合;容器100が大き過ぎて、減圧器300の気体排出能力が十分に発揮できず、その結果、蒸発熱による生物Aの冷却ができず、該生物Aの温度が前記温度範囲の上限を超えてしまう場合;等がある。
本発明における容器100には、生物Aから発生する気体を取り出す気体取出口130が設置されている。気体取出口130の近傍も、十分な熱伝導等で前記温度範囲に維持して、気体取出口130の近傍で水滴が生じないようにする(結露させないようにする)ことが好ましい。
本発明における容器100には、固液分離後に「固体である生物成長材」を取り出す固体粉末取出口140が設けられている。固体粉末取出口140は、図4に示したように、容器100のほぼ下部中央(下部半円筒部101の下部中央近傍)に設けられることが好ましい。
破砕撹拌機110を前記したような構造にすることによって、すなわち、図4に示したように、回転刃体112a、112bを「く」の字115a、115bの形にすることによって、固液分離終了後の固体を、容器100の下部中央に集め易くなり、該固体の取出しが容易となるが、そのために、固体粉末取出口140は、容器100の下部中央近傍に設けられることが好ましい。
かかる形状の回転刃体112a、112bは、固体Cを容器100の内壁から良好に掻き取り、容器100の下部中央近傍に設けられた固体粉末取出口140に向けて掻き寄せることによって、歩留まり良く(さらさらの)個体Cが獲得できる。
本発明の生物成長材の製造方法における固液分離装置には、例えば図1に示したように、上記容器100の工程的後ろに、該容器100に設けられた気体取出口130から取り出された気体を冷却する冷却器200が具備されている。
該冷却器200の冷却媒体としては、「0℃以上であり、上記容器100の気体取出口130から取り出された気体の温度より5℃以上低い(特に好ましくは7℃以上低い)温度」の水を用いることが、冷却して液化する効率の点から好ましい。
冷却媒体である水の温度が高過ぎると、固液分離気体の一部が液化されず収率が落ちる場合がある。このような冷却器200としては、公知のものが用いられ得る。
本発明の生物成長材の製造方法における固液分離装置には、例えば図1に示したように、上記冷却器200の後ろに、容器100内を減圧する減圧器300が具備されている。
該減圧器300としては、水の蒸発熱による吸熱で、該生物Aの温度が50℃を超えないように、又は、所定の好ましい温度を超えないように、内容積が1mの容器を用いた場合に換算して、常圧体積20m/時間以上の気体排出能力を有する減圧器300を用いる。
容器100の内容積が大きければ、より大きい気体排出能力を有する減圧器300を用いる必要がある。容器100の内容積に比較して、小さい気体排出能力しか有さない減圧器300を用いると(容器100の内容積に応じて気体排出能力を大きくしていかないと)、水の蒸発熱で生物Aを冷却することができ難くなり、該生物Aが昇温してしまう場合がある。
具体的には、例えば、内容積が1mの容器を用いた場合は、常圧体積20m/時間以上の気体排出能力を有する減圧器300が必須であり、内容積が0.1mの容器を用いた場合は、常圧体積2m/時間以上の気体排出能力を有する減圧器300が必須であり、内容積が0.5mの容器を用いた場合は、常圧体積10m/時間以上の気体排出能力を有する減圧器300が必須であり、内容積が2mの容器を用いた場合は、常圧体積40m/時間以上の気体排出能力を有する減圧器300が必須である。
「内容積が1mの容器を用いた場合に換算して、常圧体積20m/時間以上の気体排出能力」が必須であるが、該値は、常圧体積22m/時間以上300m/時間以下が好ましく、常圧体積25m/時間以上200m/時間以下がより好ましく、常圧体積27m/時間以上150m/時間以下が特に好ましい。
減圧器300の気体排出能力が小さ過ぎると、固液分離効率が落ちる場合、水の蒸発熱による生物Aの過昇温防止効果が得られ難くなって、該生物Aの温度が上がり過ぎる場合等がある。
減圧器300の気体排出能力が大き過ぎると、そもそも下記する減圧度を達成しつつ、このような大きな気体排出能力を有する減圧器300が存在しない又は極めて高価若しくは極めて大型となる場合がある。
図1に一例を示したように、水タンク303に水(好ましくは、予め水チリングユニットで冷却した水)を貯め、水循環ポンプ302で加圧した水を送液し、水エジェクタ301において該加圧水を噴出させることにより減圧することが好ましい。流動液体は静止液体より圧力が低い性質(ベルヌーイの定理)を用いて減圧して気体を排出する。
減圧器300による減圧度は、少なくとも主たる固液分離中は、該容器内の圧力を1kPa[1気圧(101.3kPa)に対して、−100.3kPa]以上10kPa[1気圧(101.3kPa)に対して、−91.3kPa]以下に維持して、該生物Aの細胞から細胞膜を通過した細胞水と酵素とを固液分離することが好ましい。
より好ましくは1.3kPa(1気圧に対して、−100kPa)以上9kPa(1気圧に対して、−92.3kPa)以下であり、特に好ましくは2kPa(1気圧に対して、−99.3kPa)以上8.6kPa(1気圧に対して、−92.7kPa)以下であり、更に好ましくは3.3kPa(1気圧に対して、−98kPa)以上8.3kPa(1気圧に対して、−93kPa)以下である。
減圧度が低過ぎると(圧力が高過ぎると)、水の蒸発熱による生物Aの冷却が期待できずに、生物Aの温度が高くなり過ぎる場合、固液分離に時間がかかり過ぎる場合等があり、その結果、細胞に含まれる酵素等の細胞内物質が失活する場合がある。また、細胞膜を通過して細胞水を水蒸気として固液分離できない場合がある。
一方、減圧度が高過ぎると(圧力が低過ぎると)、下記する「該圧力における水の沸点」と「生物の前記温度範囲」との関係で、そこまで低圧力にする必要がない場合があり、また、そもそも前記した気体排出能力を有した上に、そこまで減圧度を上げられる減圧器300が存在しない又は極めて大型で極めて高価になる場合等がある。
温度(℃) 水の蒸気圧(kPa)
10 1.2
20 2.3
30 4.2
40 7.4
50 12.3
減圧器300による容器内圧力(減圧度)は、少なくとも主たる固液分離中は、固液分離対象物である生物Aの温度における水の蒸気圧の0.1倍以上1倍以下が好ましく、0.2倍以上0.99倍以下がより好ましく、0.4倍以上0.95倍以下が更に好ましく、0.6倍以上0.9倍以下が特に好ましい。
容器内圧力が上記下限以上であると、過度の蒸発熱による生物Aや細胞水の冷却がない。一方、容器内圧力が上記上限以下であると、商業的規模で十分な気体排出能力を有することを条件で、そのような圧力を実現できる減圧器が商業的規模で存在可能であり、また、細胞水が穏やかに沸騰して細胞膜を破損しない。
上記減圧器300は、水を噴射することによって減圧を達成する水エジェクタ301であることが前記理由から好ましく、水循環ポンプ302を有する横噴射型の水エジェクタ301であることが、高い減圧度と共に高い気体排出能力を有するために特に好ましい。すなわち、減圧度と気体排出能力の両立ができ、前記本発明の効果を奏し易い点から好ましい。水循環ポンプ302を有して横噴射型であると、特に気体排出能力を上げ易い。
減圧器には、一般的に、ロータリーポンプ、オイル拡散ポンプ、水銀拡散ポンプ、差動ポンプ等がある。例えば、ロータリーポンプでは約1Pa(10−2mmHg)、オイル拡散ポンプでは約0.1mPa(10−6mmHg)という何れも高真空度は達成できるものの気体排出能力が極めて低い。一方、一般的なエジェクタでは、通常は10kPaより高い圧力にしかならない。
上記気体排出能力と減圧度(真空度)の両立は、「水エジェクタ301」で好適に達成でき、特に、水循環ポンプ302を有する横噴射型の水エジェクタを用いることによって、好適に両立が可能である。
前記した高い気体排出能力の数値は、かかる水エジェクタで達成できるとは言っても汎用的な数値ではない。前記した高い気体排出能力の数値は、(例えば好ましい態様を下記する)水エジェクタを有する減圧器の構造(特に、吸引孔、水位、消音器等);噴射する水の温度;噴射速度;噴射ノズル径;単位時間当たりの噴射量;噴射距離等を調整して得る。
本発明における特に好ましい「横噴射型の水エジェクタ」の態様を図5と図6に示す。
図5と図6に示した「横噴射型の水エジェクタ」は、水を受ける筒形の水入口片1と、該水入口片1の下流側に設けられ、該水入口片1から流入する水と吸引ガスとを混合する主管スロート6と、該主管スロート6の下流側端部に接続して設けられ、内径が末広がり形状をなすパイプからなる出力片7を有している。
更に要すれば、円筒形状をなし、該出力片7の下流側端部に設けられ、水と吸引ガスとの混合物を流す消音器12と、該消音器12に取付けられ、水が流出する際に該消音器12内に空気を取り入れて、該消音器12内の気圧の急変を防止する吸気管11とを備えている。
また、上記した水エジェクタ301においては、水入口片1と主管スロート6と出力片7とを収容する外被管8を備え、該外被管8に、細胞水と酵素の気体を供給する吸引管3を取付け、該外被管8を消音器12に接続し、主管スロート6は、水入口片1の終端部に連接して設けられ複数個のガス吸引孔4を有する円筒形パイプからなる。
また、前記水タンク303からの水を吸込んで水入口片1より吐出する水循環ポンプ302、前記水入口片1、前記主管スロート6、前記出力片7、及び、前記消音器12を含む循環路を、前記水タンク302内の水位17より低く設定してあることが好ましい。
図5は、水エジェクタ301とそれに連結される消音器12の概略を、図6には、水エジェクタ301を横方向に設置して水タンク303に接続する形態を示す。図5の水エジェクタ301において、水入口片1は、水の流れ抵抗を減少させるため面取りが施されている。
該水入口片1よりも直径の太い主管スロート6が入口片1に接続されている。該主管スロート6の形状は単純なパイプ形状である。
該主管スロート6の入口部には、パイプ管壁を貫通する複数個の吸引孔4が開けられており、該吸引孔4は、吸引管3を通じ真空引き(減圧)する際に、吸込みガス(細胞水と酵素の気体)を主管スロート6内に吸引するためのものである。
主管スロート6の終端付近には、直径が主管スロート6より太いパイプ状の出方片7が連結されている。該出口片7は、出口方向に向かって末広がり状に広がる内部形状を有している。
また、水入口片1、主管スロート6、及び、出口片7を被覆する外被管8が、外側に円筒状に接続されている。これら1〜8で示す部材により、水エジェクタ301が構成される。
12は消音器であり、図5のように、該消音器12の内径は、水エジェクタ301の出力片7の出口の内径より太いパイプ形状を有する。
図5に示す水エジェクタ入口片1には、図6に示す水循環ポンプ302からの吐出配管15を、入口側フランジ2を介して接続されている。
真空引き機能は、吸引管3だけを通じて行うように、中空円形状の仕切板5が設けられている。該仕切板5の内側部は、主管スロート6の外側部に固着され、該仕切板5の外周部は、外被管8に固着され十分な気密性が保たれるようになっている。
本発明における減圧器300の好ましい態様は、図6に示すように、水エジェクタの極めて高い気体排出能力を図るために、消音器12を漬ける水を溜めた水タンク303を備え、水エジェクタ301で使用された水は、一旦、水タンク303に蓄えられる構造になっている。水タンク303の水は、冷却水で20℃以下に冷却されることが好ましい(図1)。
水エジェクタ301は、その終端の出力側フランジ9を使い、該水タンク303の外側より固着されている。
消音器12は、フランジ10で水タンク303の内側より、出力側フランジ9と同位置に固着されている。これにより水タンク303内では、水エジェクタ301と消音器12は、水タンク303の内部で連結されている。
消音器12は、水平部12aとその先端で直角に下方に曲げた垂直部12bとを有し、終端12cからは、吸引ガスが混合された水が水タンク303内の水中に流出する構成となっている。
また、水流を作る水循環ポンプ302に接続されている戻り配管14を通じて、水が循環して再利用される構造となっている。
戻り配管14、水循環ポンプ302、吐出配管15、水エジェクタ301、及び、消音器12からなる循環路は、水タンク303内の水位17より低く設定されている。
消音器12における水エジェクタ301の連接部近くに、空気を取入れる吸気管11が設けられ、吸気管11の吸気口は、水タンク水位17より上部に位置させることにより、吸気口が水面下に浸らない構造とする。水タンク303には、水位17の設定のためのオーバーフロー通風口18が設置されている。
本発明における好ましい水エジェクタ301は、図5に示したように、主管スロート6に吸引孔4が設けられている。それによって、管同士の隙間からガスを吸込む従来の水エジェクタと比べて、前記したような高い(大きい)気体排出能力を有するようになる。
また、本発明の好ましい水エジェクタ301とそれに連結される消音器12は、図6のように、水の循環路が水タンク303の水位17より低く、横向き水平に使用設置することが可能となり、該「水循環ポンプを有する横噴射型の水エジェクタ」は、従来のエジェクタや水エジェクタの減圧器と比べて、前記したような高い(大きい)気体排出能力を有するようになる。
本発明の生物成長材の製造方法は、10℃以上50℃以下という比較的低温での水の蒸気圧を勘案しても、該蒸気圧に対し必要以上に容器100内の圧力(減圧度)を低くすることに拘らず、その分を気体排出能力の向上に振り向けて、対象となる生物Aを細胞水等の蒸発熱で冷却することで初めて達成できた(完成した)。また、そのように条件設定することで、商業的工業的規模の生物Aの量(処理量)でも、十分な圧力(減圧度)と十分な気体排出能力を有する減圧器300が存在し得るようにできた。
生物成長材の製造方法は、減圧器300として、該生物Aが有する細胞内物質を失活させないために、細胞水等の水の蒸発熱で該生物Aの温度が50℃を超えないように(好ましくは前記した上限温度を超えないように)、内容積が1mの容器を用いた場合に換算して、常圧体積20m/時間以上の気体排出能力を有する水エジェクタ301を用い、該水エジェクタ301によって、少なくとも主たる固液分離中は、該容器内の圧力を10kPa以下に維持して該生物Aを固液分離する。
主たる固液分離(固液分離初期から、容器に投入した固液分離対象の生物Aの90質量%が固液分離されるまで)に要する時間は、投入量にもより特に限定はされないが、1時間以上24時間以下が好ましく、3時間以上20時間以下がより好ましく、4時間以上16時間以下が特に好ましい。
時間が短過ぎる場合は、蒸発熱による冷却ができないで昇温する場合、そもそも本格生産規模で、50℃以下(好ましくは前記温度以下)と言う比較的低温で、短時間で細胞水を蒸発させるだけの減圧器がない又は極めて大型になる場合等がある。
一方、時間が長過ぎる場合は、時間が無駄でコストアップになる場合;本発明における前記又は後記した特殊な固液分離条件(容器内圧力、気体排出能力等)や、装置(回転刃体112を有する粉砕撹拌機110、減圧器300等)を適用する意味が薄れる場合;等がある。すなわち、本発明における、「主たる固液分離中の圧力」、減圧器種類、気体排出能力、「蒸発熱を冷却に利用すること」等の(好ましい)要件・特徴が生かされない場合がある。
本発明の生物成長材の製造方法における固液分離装置には、例えば図1、図2に示したように、上記冷却器200で冷却されて液化した固液分離液を回収し、そこから液体Bを獲得する回収獲得容器400が具備されている。
上記冷却器200からの固液分離液を回収獲得容器400に貯めると、下層に水相(水層)401が、上層に油相(油層)402が位置する場合があるので、液体取出しバルブ405を開いて、水相(水層)取出し口404から、下層の水相(水層)401である液体Bのみを最終容器(図示せず)に抜き出すことができる。
本発明の生物成長材の製造方法では、上記回収獲得容器400に回収された液体Bから、比重の差を利用して、下層の水相401と上層の油相402を別々に獲得することも好ましく、その一方だけを生物成長材として用いることもできる。
本発明の生物成長材の製造方法は、下記に限定はされないが、具体的には例えば下記のように行われる。
まず、固液分離作業開始に当り、冷却水供給装置に冷却水を充填し、冷却器200に冷却水を循環させる。次いで、生物Aを生物投入口103から容器100内に投入して生物投入口蓋104を閉じる。
そして、破砕撹拌機110は、図2〜図4の矢印Rの回転方向に回転させ、容器100内の生物Aを撹拌しながら、回転刃113a、113bと凸型固定刃111との間で生物Aを破砕する。
かかる破砕撹拌機110によって破砕することで、細胞膜を殆ど破壊せず、また破砕しながら固液分離することで、細胞水等の細胞内物質の「変性」や「散逸による減量」を防ぐことができる。
上記撹拌・破砕と同時に、蒸気供給装置から蒸気室121内に加熱用蒸気を供給することにより、外部から熱を加える。容器100に加えられた熱は、生物Aに伝達され、生物Aが破砕撹拌機110によって撹拌されることにより、固液分離が促進されると共に(固液分離点、温度等が)均一になる。この固液分離は、生物Aが、回転刃113a、113bと凸型固定刃111とによって破砕されて小さくなることによって更に促進され均一になる。
その際、蒸気室121内に送り込む加熱用蒸気の温度や量を調整したり、減圧器300である水エジェクタ301に供給する水の量・圧力・噴射速度等を調整して気体排出能力や容器内の圧力を適切に設定したりして、生物Aの温度を10℃以上50℃以下の範囲(更にはより好ましい範囲)に維持する。
水循環ポンプ302を有する横噴射型の水エジェクタ301等の減圧器300で吸引することにより、容器100内の気体、すなわち、固液分離液の蒸気及び空気を、気体配管131を通じて吸引し、容器100内の生物Aに含まれている「揮発成分である細胞内物質」と細胞水の蒸発を開始させる。その際、減圧器300で吸引する量や吸引力を調節して、固液分離時の圧力(減圧度)を、前記した好ましい範囲にする。
容器100内の生物Aに含まれる「揮発成分である細胞内物質の蒸気」及び「細胞水の主成分である水の蒸気」(水蒸気)は、気体配管131を通して吸引され、冷却器200に導入され液化されて、回収液となって回収獲得容器400内に溜まる。
回収獲得容器400内に、回収液、すなわち「油相(油層)402及び/又は水相(水層)401」が所定量まで貯まったら、減圧器300での吸引を停止し回収液を回収する。回収液は、要すれば静置して分液をして油相(油層)402を油相(油層)取出し口403から採取し、水相(水層)401を水相(水層)取出し口404から獲得して液体の生物成長材とする。
「液体の生物成長材」すなわち液体Bを獲得後、容器100内に残った「固体の生物成長材」すなわち固体Cを、固体粉末取出し口140から回収する。
前記した通り、固液分離方法や抽出方法としては、前記した通り、水蒸気蒸留法、直接抽出法、溶媒抽出法、圧搾法、超臨界抽出法、フリーズドライ法等、種々の方法が知られている。
このうち、水蒸気蒸留法や直接抽出法では、生物Aと媒体を(通常は60℃以上に)加熱するため、酵素を含め細胞内物質(有効成分)が変性・熱分解する、散逸する等で、細胞内物質(有効成分)をそのまま含むものが十分に得られない。なお、生物Aが50℃より高くなると、酵素等の細胞内物質が失活する。
また、水蒸気蒸留法では、抽出に用いた水蒸気が液化した水が細胞水に混合することで、全て天然由来の抽出液ではなくなるし、抽出残渣物にも外部からの水(由来物)が混入することになる。
また、溶媒抽出法では、水溶性成分が抽出され難い、抽出溶媒が抽出液中に残留することにより抽出残渣物を生物成長材として使用することが困難になり、また、その溶媒を除去する際に有効成分である細胞内物質も除去されてしまう。また、溶媒抽出法では、溶媒を使用することが必須であるため、生物由来の細胞水を得ることが難しい。
更に、抽出液の収量も一般には少ない。抽出溶媒として水を用いる場合でも、抽出のために加えた水が残留するので、全て天然由来であるとは言えない。
圧搾法でも、抽出溶媒として用いた油性成分が抽出液中に残留し、抽出残渣物を有効活用することが困難であり、また、その油性成分を完全に除去することが不可能である。また、抽出溶媒を使用するため、生物由来の水溶性の細胞内物質を得ることが難しい。
抽出溶媒を使用しない圧搾法は、採取するときに沸点が100℃より高い油(例えば、ごま油、つばき油等)を通常は用いるが、水性液を採取する場合や揮発性物質を採取する場合は、収率が著しく落ちるため使用できない。
超臨界抽出法では、高圧を要するので高価な設備を必要とする、媒体由来の極微量の不純物が混入する等の問題点がある。
また、フリーズドライ法では、水が氷になるのでその際に細胞膜が破壊される。
また、生物Aを破砕・撹拌をしながらではなく、一旦破砕・撹拌をした後に固液分離する方法では、細胞内物質(有効成分)が効率的に固液分離できない場合があった。すなわち、破砕・撹拌をしながらではなく、加熱・減圧して固液分離する方法では、複数の細胞内物質(有効成分)を十分に固液分離できない場合があった。
また、生物Aを「破砕しつつではなく加熱・減圧」して固液分離する通常の方法では、生物Aの組織や細胞の中に含まれている種々の成分を効率的に獲得し利用できない場合があった。
本発明は、前記の生物成長材の製造方法を使用して得たものであることを特徴とする生物成長材でもある。また、本発明は、前記の生物成長材の製造方法を使用して得た固体又は液体の一方を該生物特有の有用物として使用したときの、他方の液体又は固体である上記の生物成長材でもあり、上記固液分離対象物である「生物の一部」が、該生物から該生物特有の有用物部分を除いた後の残部である上記の生物成長材でもある。
前記した通り、生物成長に効果を奏する有効成分の具体的な化学構造は不明であり、該有効成分を直接特定することは不可能である。また、該有効成分は極微量である可能性があり、複数物質の相乗効果の可能性もあるので、本発明の生物成長材を、構造やパラメーター等で直接特定することはおよそ実際的でない。
本発明の生物成長材は、液体の場合でも固体の場合でも、生物を成長させるための栽培液又は培養液に含有されて使用される。また、錠剤状、カプセル状、顆粒状等の剤型に加工して使用される。また、他の有機肥料、化学肥料、腐葉土、牛糞、堆肥等に混合させて使用することもできる。
該栽培液としては、土壌栽培に用いられるもの、水耕栽培に用いられるもの等が含まれる。土壌栽培に用いるときは、土壌に直接撒いてもよいし、散水する際にその水に含有させて土壌に撒いてもよい。水耕栽培に用いるときは、該水耕水の中に含有させて使用する。
本発明の生物成長材を培養生物や栽培生物に対して使用するときの濃度は上記したような使用態様によって異なるが、栽培液として製品とするときは、使用時の希釈も考慮して、本発明の生物成長材が液体の場合には、栽培液全体に対して該液体の生物成長材が、1質量%以上100質量%以下が好ましく、10質量%以上90質量%以下がより好ましく、20質量%以上80質量%以下が特に好ましい。
本発明の生物成長材が固体粉末の場合には、土壌に固体のまま撒いてもよいし鋤き込んでもよい。該粉末固体を分散させて栽培液を調製するときは、栽培液全体に対して該固体粉末の生物成長材が、1質量%以上50質量%以下が好ましく、2質量%以上35質量%以下がより好ましく、5質量%以上20質量%以下が特に好ましい。なお、該固体粉末には、比較的蒸気圧が高い水溶性成分が含まれる場合がある。
培養液として使用するときは、本発明の生物成長材が液体であっても固体であっても、培養液全体に対して該生物成長材が、1質量%以上99質量%以下が好ましく、2質量%以上60質量%以下がより好ましく、5質量%以上30質量%以下が特に好ましい。培養液は、シャーレ等の培地を調製するときに使用してもよいし、水槽内の水に配合させて使用してもよい。
生物成長材を製造するときに固液分離対象物として用いる生物Aと、該生物成長材を使用して成長させる生物との関係は、分類学上近ければ近い程、本発明の前記効果を奏し易いが、界が同一であればよい。好ましくは門が同じもの同士であり、より好ましくは綱が同じもの同士であり、更に好ましくは目が同じもの同士であり、特に好ましくは科が同じもの同士であり、最も好ましくは(種類が)同じもの同士である。
前記した通り、本発明における固液分離対象物としては、生物から「該生物特有の有用物部分を除いた後の残部」である「生物の一部」を用いることも好ましい。
例えば、上記生物に食用となる部分がある場合、本来の栽培目的に用いられ食用部分が除かれた残部としては、果物の果皮、種子等の「食用部分以外の部分」;野菜、キノコ等の「食用部分以外の部分」;花卉の茎、根等の「観賞用部分以外の部分」;漢方薬草、香草若しくはハーブ等の「本来の目的部分以外の部分」;等が挙げられる。また、本来の目的部分ではあるが、出荷しなかった等の理由で不要となったものを、該「生物の一部」として用いることも好ましい。
固液分離対象物となる「生物の一部」は、限定はされないが、具体的には、例えば、ナス、ピーマン、オクラ、シシトウ、インゲン、スイカ、トマト、カボチャ、ソラマメ、ダイズ等の果菜の場合には、茎、葉、根等が挙げられる。例えば、コマツナ、ホウレンソウ、ハクサイ、キャベツ、レタス、アスパラガス、長ネギ、ウド、ブロッコリー等の果菜の場合には、不要となった葉、根等が挙げられる。タマネギ、ニンニク等の鱗茎の場合には、地上部分の茎、葉等が挙げられる。マツタケ、シイタケ、エノキダケ等のキノコの場合には、不要となった部分(足、柄等)が挙げられる。ダイコン、カブ、ニンジン、ゴボウ、イモ、レンコン、ユリ等の根菜の場合には、茎、葉、花等が挙げられる。
本発明の製造方法で得られた生物成長材が、分類学上近い生物の成長に有効である作用原理は明らかではないが、生物の長い進化の過程で、該生物の成長に有効に働く微量物質が該生物の個体内に(細胞内に)存在するようになったと考えられる。該微量物質は物質自体として未知の物質であるか否かは同定されていないので不明であるが、「特定の生物の成長に効くと言う機能を有する物質」としては未知物質であると考えられる。該微量物質は、一種の生物の個体内に複数種類存在し、相乗的にその成長速度等に効いている可能性がある。
現在、不要物として廃棄されている部分にも、その生物の成長に有効な微量成分が存在するが、従来の抽出方法では、該微量物質は分解してしまい、効果が確認できるように抽出できていなかったものと考えられる。
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限りこれらの実施例に限定されるものではない。
製造例1
固液分離対象物である生物Aとして長ネギを用いた。まず長ネギを5cmの長さに切って得られた嵩が約100Lの切断長ネギ(約40kg)を、図1〜3に示した容器100(投入容量100L、容器の体積(内容積)0.2m)に投入し、図2と図4に示したような回転刃体112a、112bを有する破砕撹拌機110によって、回転刃体を4回転/分で回転させ、破砕しながら固液分離した。
その際、該破砕撹拌機110(1.5kW)によって、少なくとも主たる固液分離中は、長ネギの細胞が有する細胞膜を実質的に破壊しないように、該長ネギを撹拌しつつ約2mm〜約6mmに破砕した。
蒸気量28〜140kg/hrの加熱ユニット120で加熱すると共に、水エジェクタ301で真空引きし、水の蒸発熱で長ネギの温度を35℃±2℃に保った。水エジェクタ301の水温と、冷却器200の冷却水の水温は、共に10℃±2℃に保った。
使用した水エジェクタ301は、横噴射型の水エジェクタ(3.7kW)であり、引かれる方がオープンの場合、常圧体積20m/時間以上の気体排出能力を有する水エジェクタであった。
容器100内の圧力は、少なくとも主たる固液分離中は、3.3kPa(1気圧に対して、−98.0kPa)以上6.3kPa(1気圧に対して、−95.0kPa)以下に常に保った。主たる固液分離時間は5時間であった。
固液分離した後の液体Bを回収獲得容器400に回収したので、比重の差を利用して、下層の水層401を、液体取出しバルブ405を開いて、水相(水層)取出し口404から獲得し、上層である油層402は油相(油層)取出し口403から回収した。水相(水層)と油相(油層)を混合し、得られた混合液を液体の生物成長材とした。
原料の長ネギと得られた生物成長材は、容器内でも冷却・回収時でも下層上層獲得時でも常に35℃±2℃を保った。
最後に、容器100の固体粉末取出し口140から、固体の生物成長材を粉末として得た。
得られた長ネギからの「液体の生物成長材」は、水を加えて約50〜80℃で加熱抽出した液や、25℃で単純に搾取した液体と、異なった風味(香りと味)がした。成分組成が異なっているものと推認された。また、常に35℃±2℃を保ったので、酵素等の細胞内物質が失活・分解・変質しないで残っていた。
また、得られた長ネギからの「固体の生物成長材」は、着色がなく、さらさらとした粉末であり食することができた。
製造例2
製造例1の長ネギに代えて、加工していない、バラの木の全体、ミカンの果皮、及び、ラベンダーの全体を用いた以外は、製造例1と同様にして、液体及び固体の生物成長材を得た。
何れも、他の固液分離方法や抽出方法で得られたものとは異なった味及び/又は香りがした。成分組成が異なっているものと推認された。また、常に35℃±2℃を保ったので、酵素等の細胞内物質が失活・分解・変質しないで残っていたはずである。
製造例3
製造例1の長ネギに代えて、トマトの木、及び、シシトウの木から、それぞれ食用となるトマト及びシシトウを収穫した後の「茎と葉の部分」を用いた以外は、製造例1と同様に固液分離して、液体及び固体の生物成長材を得た。
製造例4
製造例1の長ネギに代えて、原生生物界に属する生物である褐藻を固液分離対象物として用いて、製造例1と同様に固液分離して、フコイダンを含有する固体(粉末)の方を食用とし、液体の方を生物成長材とした。
製造例5
製造例1の長ネギに代えて、菌界に属する生物である生のシイタケを固液分離対象物として用いて、製造例1と同様に固液分離して、固体(粉末)の方を食用とし、液体の方を生物成長材とした。
実施例1
製造例1で得た液体及び固体の生物成長材を、それぞれ5倍(質量比)に水で希釈し、それぞれ土壌に撒いて、長ネギを育てたところ、成長速度が速く、収穫した長ネギも大きく、風味も良かった。
また、製造例1で得た液体の生物成長材を30質量部、及び、精製水70質量部からなる栽培液(A1)を容器に入れて、長ネギを該容器に入れて栽培を開始した。比較のために、精製水のみからなる栽培液(B1)を容器に入れて、同じ長さに切った長ネギを該容器に入れて栽培を同時に開始した(図7(a)参照)。図7(a)(b)(c)では、左側が栽培液(A1)、右側が比較の栽培液(B1)である。
図7(b)に示したように、翌日には成長速度に差が出てきた。更に、栽培開始から2日目には、栽培液(A1)で栽培した長ネギ(左側)の長さは、比較のために栽培液(B1)で栽培した長ネギ(右側)の長さの約2倍になった(図7(c)参照)。
実施例2
製造例2で得た液体及び固体の生物成長材を、それぞれ5倍(質量比)に水で希釈し、それぞれ土壌に撒いて、それぞれ、バラ、ミカン、及び、ラベンダーを育てたところ、何れも成長速度が速く、収穫したものが大きく、味及び/香りも良かった。
また、製造例2でバラから得た液体の生物成長材からなる栽培液(A2)を容器に入れて、葉の付いたバラの枝を該容器に入れて栽培を開始した(図8(a)参照)。比較のために、精製水のみからなる栽培液(B2)を容器に入れて、同じサイズの葉のついた同じサイズのバラの枝を該容器に入れて対照とした。
図8(b)に示したように、生物成長材からなる栽培液(A2)では、栽培開始から10日目には、バラの枝から若葉が出てきた。一方、精製水からなる栽培液(B2)で栽培したものからは、10日目では若葉が出てこなかった(図示せず)。
また、製造例2でラベンダーから得た液体の生物成長材からなる栽培液(A3)を容器に入れて、葉の付いたラベンダーの枝を該容器に入れて栽培を開始した。比較のために、水道水からなる栽培液(B3)を容器に入れて、同じサイズの葉の付いたラベンダーの枝を該容器に入れて対照とした。
図9に示したように、栽培開始から3日目には、生物成長材からなる栽培液(A3)で栽培したもの(図9の右側)は、水道水からなる栽培液(B3)で栽培したもの(図9の左側)より、明らかにその成長速度が速かった。
実施例3
製造例3で得た液体及び固体の生物成長材を、それぞれ5倍(質量比)に水で希釈し、それぞれ土壌に撒いて、それぞれ、トマト、シシトウを育てたところ、何れも、成長速度が速く、収穫したものも大きく、風味も良かった。
また、別の野菜から得られた生物成長材を用いて上記野菜を育てたところ、成長速度が速く、収穫したトマトやシシトウも大きく、風味も良かった。野菜であれば、異なる野菜を用いても、効果があることが分かった。
また、製造例3で得た「トマトの木、シシトウの木を含む野菜からの生物成長材」30質量部、及び、精製水70質量部を、シシトウ(の木)の栽培液(A4)とし、シシトウ(の木)を育てた。対照として、精製水からなる栽培液(B4)を用いた。
10日後に比較したところ、本発明の生物成長材を含有する栽培液(A4)で栽培したシシトウの木(図10(a)の左側)は、精製水よりなる栽培液(B4)で栽培したシシトウの木(図10(a)の右側)より、葉の成長が速かった。
また、根についても、栽培液(A4)で栽培したシシトウの木(図10(b)の左側)は、精製水よりなる栽培液(B4)で栽培したシシトウの木(図10(b)の右側)より著しく成長が速かった。
実施例4
製造例4で褐藻を固液分離して得られた液体の生物成長材を、褐藻を育てている水槽の中に入れ、そこで褐藻を育てたところ、褐藻の成長速度・増殖速度が速く、早く収穫ができた。
実施例5
製造例5でシイタケを固液分離して得られた液体の生物成長材を、シイタケを育てている菌床に含ませ、そこでシイタケを育てたところ、成長速度が速く、得られたシイタケは風味も良かった。
本発明の生物成長材の製造方法で得られた生物成長材は、今までの生物からの抽出物や抽出残渣とは異なる成分組成を有し、実質的に完全に生物由来のものであり、また、固液分離工程において細胞内物質を分解させるような熱をかけず、固液分離溶媒も使用しないので、安全性が極めて高いのみならず、完全に天然物を有するものであり、生物成長液として極めて優れている。
従って、それらは、食物を生産する農業や水産業のみならず、一般食品、健康食品、医薬品等の製造分野や、植物工場、飼料工場等においても広く利用されるものである。
1 水入口片
2 入口側フランジ
3 吸引管
4 吸引孔
5 仕切板
6 主管スロート
7 出方片
8 外被管
9 出力側フランジ
10 フランジ
11 吸気管
12 消音器
12a 水平部
12b 垂直部
12c 終端
14 戻り配管
15 吐出配管
17 水タンク水位
18 オーバーフロー通風口
100 容器
101 下部半円筒部
102 上部角形部
103 生物投入口
104 生物投入口蓋
105a 端壁
105b 端壁
106a 端板
106b 端板
107 傾斜面
108 真空計
109a 温度計
109b 温度計
110 破砕撹拌機
111 凸型固定刃
112a 回転刃体
112b 回転刃体
113a 回転刃
113b 回転刃
114a 回転刃溝
114b 回転刃溝
115a 「く」の字
115b 「く」の字
120 加熱ユニット
121 蒸気室
122 蒸気供給装置
130 気体取出口
131 気体配管
140 固体粉末取出口
200 冷却器
300 減圧器
301 水エジェクタ
302 水循環ポンプ
303 水タンク
400 回収獲得容器
401 水相(水層)
402 油相(油層)
403 油相(油層)取出し口
404 水相(水層)取出し口
405 液体取出しバルブ
A 生物(生物の全体又は一部)
B 液体
C 固体
D 精油(液体)
R 回転方向

Claims (17)

  1. 原生生物界、菌界又は植物界に属する生物の全体若しくは一部を固液分離対象物とし、該固液分離対象物を容器内において50℃以下で固液分離し、該固液分離された固体又は液体を該生物の成長を促すために使用する、該固体又は該液体を含有する生物成長材の製造方法であって、
    該容器内に設置された破砕撹拌機によって、該生物の細胞が有する細胞膜を実質的に破壊しないように、該生物を20mm以下に破砕しつつ撹拌し、
    該容器に設置された加熱ユニットによって該容器を加熱し、該生物が有する細胞内物質を失活させないように、該固液分離対象物の温度を10℃以上50℃以下の温度範囲に維持し、
    内容積が1mの容器を用いた場合に換算して、常圧体積20m/時間以上の気体排出能力を有する減圧器を用い、該容器内の圧力を10kPa以下に維持して、細胞水の蒸発熱で該固液分離対象物の温度が50℃を超えないように吸熱して、
    該生物の全体若しくは一部を固液分離することを特徴とする生物成長材の製造方法。
  2. 上記減圧器が、水を噴射することによって減圧を達成する水エジェクタである請求項1に記載の生物成長材の製造方法。
  3. 上記減圧器が、水循環ポンプを有する横噴射型の水エジェクタである請求項1又は請求項2に記載の生物成長材の製造方法。
  4. 上記容器の体積をV[L]とし、該容器に投入する上記固液分離対象物の質量をM[kg]とするときに、V[L]をM[kg]の2倍以上5倍以下に設定する請求項1ないし請求項3の何れかの請求項に記載の生物成長材の製造方法。
  5. 上記水エジェクタにおいて噴射する水の温度を、0℃以上であり、上記容器の気体取出口から取り出される気体の温度より5℃以上低く設定する請求項2ないし請求項4の何れかの請求項に記載の生物成長材の製造方法。
  6. 上記容器の下部が円筒状になっており、その内壁に複数の凸型固定刃を有すると共に、上記破砕撹拌機は、1個に複数の回転刃を有する回転刃体を有し、該回転刃体を回転させることによって、容器内の上記固液分離対象物を、該凸型固定刃と該回転刃で破砕する請求項1ないし請求項5の何れかの請求項に記載の生物成長材の製造方法。
  7. 上記固液分離対象物を、上記生物の細胞が有する細胞膜を実質的に破壊しないように、10mm以下に破砕する請求項1ないし請求項6の何れかの請求項に記載の生物成長材の製造方法。
  8. 記容器内の圧力を1kPa以上10kPa以下に維持して固液分離する請求項1ないし請求項7の何れかの請求項に記載の生物成長材の製造方法。
  9. 「上記生物の全体若しくは一部」以外の物質を、上記容器内に実質的に投入しないで固液分離する請求項1ないし請求項8の何れかの請求項に記載の生物成長材の製造方法。
  10. 上記原生生物界に属する生物が藻類であり、上記菌界に属する生物がカビ類又はキノコ類であり、上記植物界に属する生物が裸子植物、被子植物、シダ植物又はコケ植物である請求項1ないし請求項9の何れかの請求項に記載の生物成長材の製造方法。
  11. 上記生物の全体若しくは一部を固液分離対象物として固液分離して得た固体又は液体の一方を該生物特有の有用物として使用し、他方を生物成長材とする請求項1ないし請求項10の何れかの請求項に記載の生物成長材の製造方法。
  12. 上記固液分離対象物である「生物の一部」が、該生物から該生物特有の有用物部分を除いた後の残部である請求項1ないし請求項11の何れかの請求項に記載の生物成長材の製造方法。
  13. 上記生物成長材は、上記生物を成長させるための栽培液又は培養液に含有されて使用されるものである請求項1ないし請求項12の何れかの請求項に記載の生物成長材の製造方法。
  14. 請求項1ないし請求項13の何れかの請求項に記載の生物成長材の製造方法を使用して得たものであることを特徴とする生物成長材。
  15. 請求項1ないし請求項13の何れかの請求項に記載の生物成長材の製造方法を使用して得た固体又は液体の一方を該生物特有の有用物として使用したときの、他方の液体又は固体である請求項14に記載の生物成長材。
  16. 上記固液分離対象物である「生物の一部」が、該生物から該生物特有の有用物部分を除いた後の残部である請求項14又は請求項15に記載の生物成長材。
  17. 上記生物を成長させるための栽培液又は培養液に含有されて使用されるものである請求項14ないし請求項16の何れかの請求項に記載の生物成長材。
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