JP2022133706A - オリーブの実若しくは葉又は該実の搾りかすからの水溶液の抽出方法 - Google Patents

オリーブの実若しくは葉又は該実の搾りかすからの水溶液の抽出方法 Download PDF

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Abstract

【課題】オリーブに含有される水及び水溶性物質を、変質させずに含有されているままの構造でオイルとは別に得る方法を提供する。【解決手段】オリーブの実、オリーブの実の搾りかす、又は、オリーブの葉を抽出被対象物とし、以下の工程(1)ないし(4)を全て有する低温真空抽出法を用いてオリーブの細胞内水及び/又は細胞外水を得る抽出方法。(1)該抽出被対象物Aを、抽出装置が有する抽出容器100内に投入する工程(2)外部から熱を加えつつ減圧し、該抽出被対象物Aを45℃以下に維持しつつ、減圧器300で該抽出容器100内を減圧にする工程(3)該抽出被対象物Aを、該抽出容器100内で減圧下に、0.5mm以上20mm以下に粗破砕しつつ撹拌する工程(4)留出してきた気体を冷却して抽出対象水溶液Bを得る工程【選択図】図1

Description

本発明は、オリーブの実、オリーブの実の搾りかす、又は、オリーブの葉を抽出被対象物とし、特定の工程を有する低温真空抽出法を用いて、抽出対象水溶液を得る抽出方法に関するものである。
オリーブの実からオリーブオイルを得る方法は、昔から知られている。そして、得られたオリーブオイル含有物を脱水して、オリーブオイルを精製する方法も知られている。
例えば、特許文献1には、オリーブオイル、なたね油、ごま油等を、正浸透プロセスで脱水する方法・技術が記載されている。
しかしながら、特許文献1では、脱水して得られた水は、不要物として扱われている。
特許文献2には、ポリフェノールとヒドロキシチロソールを含むオリーブオイルを製造する方法が記載され、該製造過程で得られる植物水から、ポリフェノールをオイルの側に移す技術が示されている。
しかしながら、特許文献2では、植物水と言う概念は示されているが、一旦得られた該植物水は、除去されるべき不要物として扱われている。
オリーブの実を圧搾して得られる水溶液の方を有効利用する技術として、特許文献3では皮膚化粧料に利用し、特許文献4では頭髪用化粧料に利用し、特許文献5では食品組成物に利用している。
しかしながら、特許文献3、4、5発明における何れの水溶液(特許文献3、4、5の明細書中では「ベジテーション水」と表現されている)も、圧搾で得られているので、本発明における「細胞外水」のみであり、本発明における「細胞内水」も、本発明における「細胞内水及び細胞外水の混合水」も、何れも得られていない。
特許文献6には、オリーブの実から搾油する際に産出されるオリーブ絞り粕を脱水機にかけて、該脱水機からの排水を木質チップと混合して醗酵させて堆肥とするオリーブ絞り粕の処理方法が記載されている。
しかしながら、特許文献6の技術は、オリーブ絞り粕の処理方法に関するものであり、しかも、特許文献6において脱水機から排水として得られる水は、減圧して留出した水ではないので、本発明における「細胞外水」のみであり、本発明において、減圧して得られる「細胞内水」も「細胞内水及び細胞外水」(両方の混合物(混合水))も、何れも得られていない。
一方、特許文献7、8、9には、オリーブの葉からの抽出物を有効利用する技術が記載されている。
特許文献7には、オリーブ葉の水又はエタノール溶液抽出物を、カラムクロマト法にて処理し、得られた分画物を必須成分とする皮膚外用剤組成物が記載されている。
また、特許文献8には、オリーブ果実とオリーブ葉を一緒に乳酸発酵させる発酵工程と、得られたペースト状物から油分を抽出する抽出工程とを含む、オリーブ抽出油の製造方法が記載されている。
また、特許文献9には、植物由来エキスを含有し、前記植物由来エキスがビワ葉エキス、又は、オリーブ葉エキスであるビールテイスト飲料が記載されている。
しかしながら、特許文献7は、抽出して得られるものが水溶性成分ではあるものの、カラムクロマト法を用いて、活性酸素除去作用を有する物質の獲得を目的としているものである。
また、特許文献8と特許文献9は、オリーブの葉に含まれる油分又は有機物エキスを利用するものであり、オリーブの葉から水分を抽出するものではなく、水分に着目したものでもなかった。
更に、特許文献7、8、9の何れも、オリーブの葉から得られるものが、減圧して留去したものではないので、本発明における減圧して得られる「細胞内水」も「細胞内水及び細胞外水の混合水」も、何れも得られていない。
上記したように、オリーブの実、オリーブの実の搾りかす、又は、オリーブの葉から従来技術を用いて得られる水溶液は、本願発明の抽出方法で得られる何れの水溶液ともその組成が異なるものである。また、当然のことながら、従来知られた抽出方法は、本願発明の抽出方法とは異なるものである。
植物に含有されている化学構造のままの形で、植物に含有されている水溶液を簡便に得る方法に関しては技術がなく、また、植物に含有されている水溶液をそのままの形で得る方法も殆どなかった。況や、該植物が、オリーブの実若しくは葉又は該実の搾りかすである場合には、該方法は尚更なかった。
近年、自然志向・天然物志向が叫ばれているが、植物由来の水溶液の取得方法が従来技術では不十分であった。況や、該植物が、オリーブの実若しくは葉又は該実の搾りかすである場合には、尚更不十分であった。
また、オリーブオイル調製時に大量に出る搾りかすは、産業廃棄物として捨てられていたが、その処理方法や、その有効利用についても、従来技術では十分ではなかった。
特開2019-187380号公報 国際公開第2018/189730号 特開2000-319161号公報 特開2001-206822号公報 特開2001-252054号公報 特開2020-028822号公報 特開2001-026518号公報 特開2012-039890号公報 特開2020-043791号公報
本発明は上記背景技術に鑑みてなされたものであり、その課題は、オリーブに含有されている「新規な特定の水及び水溶性物質組成」を、変質させず、オリーブに含有されているままの構造で、オリーブオイルとは別に、簡便に得る方法を提供することである。
また、該方法で得られたものを有用物として含有してなる、若しくは、該方法で得られたものを原料としてなるオリーブ由来品を提供することにある。
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、45℃を超えない温度で減圧にして抽出する等、特定の要件が付加された低温真空抽出法を用いると、上記課題を解決でき、新規な抽出対象水溶液を得ることができることを見出して、本発明を完成するに至った。
また、オリーブの実の搾りかすには、そもそも、圧搾、遠心分離等の公知の方法では抽出し得ず、低温減圧下でしか抽出できない「水性成分組成の水溶液」が存在すること、言い換えれば、特定の低温真空抽出法でしか抽出できない水溶液(すなわち、オリーブの細胞内水)が存在することを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、オリーブの実、オリーブの実の搾りかす、又は、オリーブの葉を抽出被対象物とし、以下の工程(1)ないし工程(4)を全て有する低温真空抽出法を用い、抽出対象水溶液として、オリーブの細胞内水及び/又は細胞外水を得ることを特徴とする抽出方法を提供するものである。
(1)該抽出被対象物を、抽出装置が有する抽出容器内に投入する工程
(2)外部から熱を加えつつ減圧し、該抽出被対象物を45℃以下に維持しつつ、減圧器で該抽出容器内を減圧にする工程
(3)該抽出被対象物を、該抽出容器内で、減圧下に、0.5mm以上20mm以下に粗破砕しつつ撹拌する工程
(4)該抽出容器内から留出してきた気体を冷却して抽出対象水溶液を得る工程
また、本発明は、上記抽出被対象物が、オリーブの実の搾りかすであり、該抽出対象水溶液がオリーブの細胞内水である前記の抽出方法を提供するものである。
また、本発明は、前記抽出被対象物が、オリーブの実、又は、オリーブの葉であり、該抽出対象水溶液がオリーブの細胞内水及び細胞外水である前記の抽出方法を提供するものである。
また、本発明は、実質的に抽出媒体も加熱水蒸気も使用せずに、オリーブの細胞内水及び/又は細胞外水を得る前記の抽出方法を提供するものである。
また、本発明は、前記の抽出方法を使用して得られるものであることを特徴とするオリーブの細胞内水及び/又は細胞外水を提供するものである。
また、本発明は、前記のオリーブの細胞内水及び/又は細胞外水を含有してなる若しくは原料としてなる、化粧料、アロマセラピー材料、石鹸、外用剤、又は、飲食品であることを特徴とするオリーブ由来品を提供するものである。
本発明によれば、前記問題点と課題を解決し、生の(天然の)オリーブ実又は葉に含有されているままの「新規な特定の水及び水溶性物質組成」を、変質させずに得ることができる。すなわち、新規な「オリーブの細胞内水及び/又は細胞外水」を、抽出対象水溶液として得ることができる。
オリーブの実を、圧搾、遠心分離、パーコレーション等して、すなわち搾油して得られるオリーブオイルの中に混入していたり、オリーブオイルと共に得られたりする「水や水溶性成分」は、「オリーブの細胞外水」である。そして、オリーブオイルを搾った後に残った「オリーブの実の搾りかす」には、「オリーブの細胞内水」が残っている。
本発明によれば、「オリーブの実の搾りかす」から、オリーブの細胞内水を得ることができる。
以下、「圧搾、遠心分離、パーコレーション等」の、従来の「オリーブオイルと共に水溶液も得られる方法」(搾油方法)を、単に「圧搾等」と略記することがある。
該「オリーブの細胞内水」は、通常の搾油法(圧搾等)をしても獲得することはできず、減圧にして気化させて留出させるしかない。
本発明をするに際して行った検討によれば、水蒸気蒸留法、有機溶媒抽出法、亜臨界抽出法、超臨界抽出法等では、該「オリーブの細胞内水」は得られない。また、常圧下でも減圧下でも、45℃より高い温度で加熱すると、得られる水溶液が変質する。また、水や有機溶媒と言った抽出媒体を使用したり、水蒸気蒸留法を用いたり、(亜)超臨界流体を使用したりすると、得られる水溶液中への「上記の残留物によるコンタミネーション」が避けられない。
本発明の「オリーブの細胞内水」が新規な物であることは、本発明の「オリーブの細胞内水」が、上記のような他の抽出方法で獲得したオリーブ由来の水溶液とは、例えば、実施例に示した通り、両者で互いに物性が異なることから明らかである。
本発明における「オリーブの細胞内水」と、本発明における「オリーブの細胞外水」は、本発明の明細書に記載された製造方法で得られるものであり、また、そのようにして得られたものとして定義される。溶解されている極微量のオリーブ由来物や水の構造は、それぞれの化学(組成)式やパラメーター等では到底表現できない。すなわち、その特定には「不可能・非実際的事情」がある。
本発明において、「オリーブの細胞内水」と「オリーブの細胞外水」は、上記した通り、製造方法で規定される(定義される)ものである。そのため、「細胞内水」とは、必ずしも、細胞内に含まれている全ての水のことを言うのではない。また、「細胞外水」とは、細胞内に含まれている水溶液を全く含まない水溶液のことを言うのではない。
従って、本明細書中及び本発明中(特許請求の範囲中)で、「細胞内水」を「オリーブ水A」と、「細胞外水」を「オリーブ水B」と読み換えることができる。「オリーブ水A」と「オリーブ水B」は、プロダクトバイプロセスとして明確である。
オリーブの実の搾りかすを抽出被対象物として用いるときは、オリーブオイルを圧搾等で得る過程で、「オリーブの細胞外水」は、該オリーブオイルと共に除かれているので、「オリーブの実の搾りかす」からは、「オリーブの細胞内水」のみを得ることができる。
一方、オリーブの実又はオリーブの葉を、そのまま抽出被対象物として、本発明の抽出方法で抽出したときは、「オリーブの細胞外水」は、事前に除かれていないので、「オリーブの細胞内水及び/又は細胞外水」を得ることができる。
ここで、「オリーブの細胞内水又は細胞外水」とは、一方だけでもよいし、両方の混合物でもよいし、抽出後にオリーブオイルを分離して得られたものでもよい。
また、「オリーブの細胞内水及び細胞外水」とは、別々に得られた両方のものを意味せず、両方の混合物を意味する。上記した通り、「オリーブの細胞内水」は、新規な物であるので、「オリーブの細胞内水及び細胞外水」、すなわち「両方の混合水溶液」も新規な物である。
オリーブの実の搾りかすは、産業廃棄物であり、その廃棄処分にコストがかかる。本発明によれば、廃棄コストの削減になると共に、不要物であった「オリーブの実の搾りかす」を有効利用できる。
更に、前記した通り、「オリーブの実の搾りかす」からは、予め「オリーブの細胞外水」がオリーブオイルと共に除かれているので、純度が高い「オリーブの細胞内水」を得ることができる。
オリーブの葉は、該葉に含有される特定物質を得るために利用されると言う報告はあるが、オリーブの葉に含有される、水や「酵素等の水溶性成分」を、熱分解も変性もない、そのままの化学種と組成比で含有する水溶液は知られていない。
本発明のオリーブの葉由来の水溶液が新規な物であることは、上記のような他の抽出方法で獲得したオリーブの葉由来の水溶液とは、例えば、実施例に示した通り、両者で互いに物性が異なることから明らかである。
本発明によれば、オリーブの葉の細胞内に存在する細胞水を、酵素等の水溶性成分の含有組成比を変えずに、生体内に存在する組成のままの状態で獲得できる。生体内に存在する組成のままの細胞内水や細胞外水は、上記したように今までに知られていない独特の性質を有する。
本発明において、特に、大きな気体排出能力を有する特定の減圧器を用いることや、特定の装置・方法で抽出被対象物を粗破砕しつつ撹拌すること等によって、抽出対象物である粗破砕されたものの温度の上昇を、水の蒸発熱によって抑制し、少なくとも主たる抽出中は、該温度を特定の範囲に収めておくことが可能になり、過昇温による該抽出被対象物が細胞内に有する酵素等の失活を防止できる。
また、大きな気体排出能力を有する減圧器にしては高い減圧度(抽出容器内の低い圧力)を達成できる減圧器を用いることによって、低い抽出温度にしては長時間を必要とせず効率的に主たる抽出を完了させることができる。
本発明のオリーブの細胞内水及び/又は細胞外水、すなわち、本発明の「オリーブの細胞内水」、又は、本発明の「オリーブの細胞内水及び細胞外水の混合物(混合水溶液)」は、それらを含有させて、又は、それらを原料として加工して、様々な製品が得られる。
それらは、例えば、化粧料、アロマセラピー材料、石鹸、外用剤、飲食品等のオリーブ由来品として有効利用できるだけでなく、今までにない優れた性質を有する製品(オリーブ由来品)が得られる。
本発明に使用する抽出装置の全体の一形態を示す概略図である。 本発明に使用する抽出装置に具備される抽出容器、冷却器、回収容器等の一形態を示す概略断面図である。 本発明に使用する抽出装置に具備される抽出容器の一形態を示す概略縦断面図である。 本発明に使用する抽出装置に具備される抽出容器が有する破砕撹拌機の一形態を示す概略斜視図である。 本発明に使用する装置に具備される好ましい減圧器である横噴射型の水エジェクタの一形態を示す概略断面図である。 本発明に使用する装置に具備される好ましい減圧器である横噴射型の水エジェクタと水タンクと循環ポンプ等の一形態を示す概略断面図である。
以下、本発明について説明するが、本発明は、以下の具体的態様に限定されるものではなく、技術的思想の範囲内で任意に変形することができる。
[本発明の抽出方法]
本発明の抽出方法は、オリーブの実、オリーブの実の搾りかす、又は、オリーブの葉を抽出被対象物とし、以下の工程(1)ないし工程(4)を全て有する低温真空抽出法を用い、抽出対象水溶液として、オリーブの細胞内水及び/又は細胞外水を得ることを特徴とする。
(1)該抽出被対象物を、抽出装置が有する抽出容器内に投入する工程
(2)外部から熱を加えつつ減圧し、該抽出被対象物を45℃以下に維持しつつ、減圧器で該抽出容器内を減圧にする工程
(3)該抽出被対象物を、該抽出容器内で、減圧下に、0.5mm以上20mm以下に粗破砕しつつ撹拌する工程
(4)該抽出容器内から留出してきた気体を冷却して抽出対象水溶液を得る工程
工程(2)(3)(4)は、時間的に重複して、すなわち同時に行われてもよい。以下、「オリーブの細胞内水」を、単に「細胞内水」と、「オリーブの細胞外水」を、単に「細胞外水」と略記することがある。
上記「低温真空抽出法」とは、抽出被対象物を撹拌しながら外部から熱を加えつつ減圧して、抽出被対象物を撹拌下に50℃以下に保ちつつ、抽出被対象物に含有される物質を抽出する方法である。好ましくは実質的に抽出媒体も加熱水蒸気も使用せずに、好ましくは抽出被対象物を粗破砕しつつ撹拌下に、オリーブの細胞内水及び/又は細胞外水を抽出することが好ましい。
そして、本発明の抽出方法は、該低温真空抽出法において、抽出被対象物を限定すると共に、抽出被対象物の温度を更に限定し、抽出時の抽出被対象物を粗破砕するサイズを更に限定している。
上記で「実質的に使用せず」とは、抽出被対象物全体に対して、5質量%以下しか使用しないことであり、好ましくは3質量%以下、より好ましくは1質量%以下、特に好ましくは0質量%である。抽出媒体も加熱水蒸気も意識して添加しないことが特に好ましい。
なお、本明細書中の他の(ものに関する)「実質的に何々しない」も、上記数値以下である、又は、0%であることを示し、意識してそうしないことが特に好ましい。「実質的に何々である(する)」は、上記の逆である。
<抽出被対象物と抽出対象水溶液>
本発明の抽出方法は、抽出被対象物としてオリーブの特定部位及びオリーブ由来物を用いる。すなわち、抽出被対象物として、「オリーブの実、オリーブの実の搾りかす、又は、オリーブの葉」を用いる。以下、上記括弧内を、単に「オリーブの特定部位又は由来物」と略記することがある。
抽出被対象物として、オリーブの実又は葉を用いるときは、本発明の抽出方法を用いて抽出される抽出対象水溶液は、オリーブの細胞内水及びオリーブの細胞外水である。
抽出被対象物として、オリーブの実の搾りかすを用いるときは、本発明の抽出方法を用いて抽出される抽出対象水溶液は、オリーブの細胞内水である。
ここで、「オリーブの実の搾りかす」とは、オリーブの実からオリーブオイルを取得した際に後に残る外見が固形状のもののことを言う。
オリーブの実から「オリーブの実の搾りかす」を得る方法、すなわちオリーブの実からの搾油方法としては、遠心分離法、圧搾法、パーコレーション法等(すなわち「圧搾等」)、何れでもよく、それらの組み合わせでもよい。
本発明の抽出方法の原料(抽出被対象物)となる「オリーブの実の搾りかす」は、通常の方法・公知の方法で得られる。好ましくは45℃以下で、より好ましくは常温(20℃±10℃)で圧搾等して得られたものが、本発明で得られる細胞内水の熱分解を避けるために好ましい。「オリーブの実の搾りかす」は、加熱工程を有さずに得られたものが好ましい。
「オリーブの実の搾りかす」の原料となる「オリーブの実」;抽出被対象物である「オリーブの実」、「オリーブの実の搾りかす」、「オリーブの葉」は、冷蔵又は冷凍(凍結)は許容されるが、加熱や乾燥は行わないことが、水溶液を抽出する、天然の状態のまま獲得する等の点から好ましい。
例えば、パーム油は飽和脂肪酸を多く含むため常温では固形であり、破砕した果肉を煮沸しなければ抽出できない。一般に、実から採取される植物油の多くが、加熱工程や溶剤抽出工程を経て得られるのに対して、オリーブオイルの製造には加熱も溶剤も不要である。言い換えれば、「オリーブの実の搾りかす」は、加熱しなくても溶剤を使用しなくても得ることができる。
従って、45℃以下で抽出し、好ましくは抽出媒体を使用しない本発明の抽出方法と極めて良くマッチングしている。「オリーブ以外の実からオイルを獲得した残りかす」では、加熱されていたり溶剤が使用されていたりすることが多いので、本発明の特徴が生かせない場合がある。
細胞内水の獲得方法と細胞外水の獲得方法とは異なり、細胞外水は常温常圧で圧搾等することによって搾り出すことができるが、細胞内水は低温真空抽出法等で、抽出被対象物を減圧することによってしか取り出すことができない。
なお、前記した通り、「細胞内水」と「細胞外水」の定義は、本明細書に記載の抽出方法や獲得方法で獲得できるものとして定義される。
本発明の抽出方法を用いて、抽出被対象物の温度を45℃以下に維持しつつ減圧にして揮発成分を留出させることで、オリーブの実、オリーブの実の搾りかす、オリーブの葉の何れからも、好適に細胞内水を得ることができる。
オリーブの実からオリーブオイルを取得するためにオリーブの実を圧搾等すると、主に細胞外水がオリーブオイルと共に取り出せる。オリーブオイルに溶解又は分散している水溶液や、圧搾等して得られた液体を静置したとき下層になっている水溶液は細胞外水である。
従って、抽出被対象物として、オリーブの実の搾りかすを用いた場合、細胞外水は予め除かれているので、本発明の抽出方法を使用して得られる水溶液は細胞内水である。
なお、オリーブの実を圧搾等してオリーブオイルを取得して、本発明の原料となる「搾りかす」を得る際には、該搾りかす中の細胞内水の変質を防止するために、45℃以下で圧搾等することが好ましい。
一方、オリーブの実やオリーブの葉では、細胞外水が予め除かれていないから、本発明の抽出方法を使用して得られる水溶液は、細胞内水と細胞外水である。
抽出被対象物がオリーブの実又は葉の場合、オリーブの細胞内水及び細胞外水が得られるが、ここで「及び」とは、「オリーブの細胞内水と細胞外水の混合物」が得られると言う意味である。
<抽出装置>
本発明の抽出方法に使用される抽出装置は、例えば一例を図1に示したように、少なくとも、
オリーブの特定部位又は由来物を粗破砕しつつ撹拌する粗破砕撹拌機110、オリーブの特定部位又は由来物及び抽出容器100内を加熱する加熱ユニット120、オリーブの特定部位又は由来物から発生する気体を取り出す気体取出口130、及び、好ましくは抽出後に粉末残渣を取り出す粉末残渣取出口140、を有する抽出容器100;
該気体取出口130から取り出された気体を冷却する冷却器200;
該抽出容器100内を減圧する減圧器300;並びに;
該冷却器200で冷却されて液化した抽出液を回収し、そこから抽出対象水溶液を獲得する回収獲得容器400;を具備している。
本発明の抽出方法に用いられる抽出装置は、本発明の抽出方法に用いられ得る能力を有し、本発明の抽出方法を使用する用途に用いる抽出装置であって、少なくとも、上記粗破砕撹拌機110、上記加熱ユニット120、上記気体取出口を有する上記抽出容器100、上記冷却器200、上記減圧器300、及び、上記回収獲得容器400を具備するものである。
<工程(1)>
本発明における工程(1)は、抽出被対象物を、抽出装置が有する抽出容器内に投入する工程である。
すなわち、抽出被対象物Aである「オリーブの特定部位又は由来物」を、投入口103から抽出容器100に投入する。
投入される「オリーブの特定部位又は由来物」は、例えば抽出容器100内に投入し易いように、予め裁断しておいてもよく、一部を取り(切り)出しておいてもよいが、オリーブの葉を使用する場合は、その細胞を(特に細胞膜を)、実質的に破壊しないでおくことが好ましい。なお、全く破壊しないようにする必要はなく、破壊された細胞はあってもよい。また、オリーブの実や実の搾りかすを使用する場合は、実の中の液胞は破壊され易く、圧搾等するだけでも破壊するのでその限りではない。
「オリーブの特定部位又は由来物」は、本発明の前記した効果を発揮させる;得られる水溶液中に失活していない酵素等を好適に含有させる;得られる水溶液中に、「オリーブの特定部位又は由来物」に本来含有されている水と水溶性成分の実質的全てを含有させる;等のために、限定はされないが、「オリーブの特定部位又は由来物」を、投入前に、乾燥や加熱、発酵や加工等は、行っていないことが好ましい。
外部から、抽出媒体、加熱水蒸気、添加物等、「オリーブの特定部位又は由来物」以外のものを実質的に投入しなければ、得られる水溶液は、「オリーブの特定部位又は由来物」に含有される水と水溶性成分のみからなり、更に、「オリーブの特定部位又は由来物」に含まれる水と水溶性成分の実質的に全てを、得られる水溶液中に含有させることができる。
<工程(2)>
本発明における工程(2)は、外部から熱を加えつつ減圧し、該抽出被対象物を45℃以下に維持しつつ、減圧器で該抽出容器内を減圧にする工程である。
<<温度調節、加熱ユニット>>
抽出容器100には、前記抽出容器100内の真空度を計測する真空計108と温度計109a、109bが設けられている。これらは、抽出工程における容器内の圧力(減圧度)と温度を測定し、抽出時の抽出被対象物Aの温度を間接的に測定するために設けられたものであり、また、抽出の開始と終了を判定するために設けられている。
抽出容器100には、「オリーブの特定部位又は由来物」及び抽出容器100内を加熱する加熱ユニット120が設置されている。加熱ユニット120では、蒸気供給装置122によって加熱された水蒸気が、抽出容器100(好ましくは抽出容器100の下部半円筒部101)の周囲に設置された蒸気室に送り込まれる。
本発明においては、加熱ユニット120による加熱水蒸気の蒸気室への流量によって加熱をコントロールし、「オリーブの特定部位又は由来物」から蒸発する水の蒸発熱を冷却に利用すべく、減圧装置の気体排出量によって冷却をコントロールする。
「オリーブの特定部位又は由来物」の温度は、上記加熱ユニット120によって、「オリーブの特定部位又は由来物」と「得られる水溶液」の熱分解や変質等を防ぐために45℃以下に維持する。抽出被対象物Aを、該加熱ユニット120によって加熱し、水の蒸発熱で冷却し、温度範囲を15℃以上43℃以下に維持することが好ましく、より好ましくは20℃以上40℃以下、更に好ましくは22℃以上38℃以下、特に好ましくは25℃以上37℃以下にする。
該温度が低過ぎると、商業的規模や工業的規模を考えた場合、抽出に時間がかかり過ぎる場合;低い温度における水の蒸気圧の低さに適応して、「商業的規模や工業的規模の量に十分に対応した気体排出能力の大きさを有しつつ、真空度(減圧度)を上げられる減圧器」が存在しない又は極めて大型(コスト大)になる場合;等がある。
一方、該温度が高過ぎると、「オリーブの特定部位又は由来物」が有する水の情報や酵素等の水溶性成分を失活・分解させてしまう場合、オリーブの葉の場合は、葉の細胞膜に障害を与えてしまい該細胞膜を正常に通過した細胞内水が得られない場合がある。
上記温度範囲であると、自然界の植物が有する、成分組成・純度、極微量成分、低沸点成分、不安定物質等を、変質も分解もさせずに得ることができる。また、上記温度範囲であれば、水の2次構造(例えばクラスター等)が安定して存在する。
抽出中の温度(範囲)は、本発明の効果を得るために極めて重要であり、たとえ投入する細胞等の物体が死んでいたとしても、通常の植物が正常にその生命を維持できる上記温度範囲(温度上限)が望ましい。
細胞水の殆どが抽出容器100の気体取出し口130から出てしまった後は、すなわち主たる抽出が終わった後は、該温度は上記した上限温度よりも高くしてもよい。
ここで、「主たる抽出」とは、抽出初期から、抽出容器100に投入した抽出被対象物Aに含有される「水と水溶性成分の合計」の90質量%が抽出されるまでを言う。
抽出容器100に設けられた温度計109a、109bは、粗破砕撹拌機110を含む抽出容器100の熱伝導等を利用して、抽出中の「オリーブの特定部位又は由来物」の温度を十分正確に測定できるようになっており、水の蒸発熱で急速に冷却されそうになっても、逆に、上記加熱ユニット120によって急速に加熱されそうになっても、抽出中の抽出被対象物Aの温度は十分正確に測定できるようになっている。
減圧器300については後述するが、減圧器300の気体排出能力を、「内容積が1mの抽出容器を用いた場合に換算して、常圧体積20m/時間以上」とすることによって、加熱ユニット120によって抽出被対象物Aが急速に加熱されそうになっても、細胞水の蒸発熱で該抽出被対象物Aの温度を45℃以下に下げることができるようになっている。
本発明においては、水の蒸発熱によって、「オリーブの特定部位又は由来物」の温度を前記温度の上限以下に維持するように、該抽出容器100内を減圧しつつ抽出する。
<<抽出被対象物の質量、圧力調節、減圧器>>
該減圧器300としては、蒸発熱による冷却によって、前記した温度範囲を好適に維持するため、上記の気体排出能力を有する水エジェクタ301(特に好ましくは水循環ポンプ302を有する横噴射型の水エジェクタ301)を用いることが好ましい。
1回の抽出で使用する抽出被対象物Aである「オリーブの特定部位又は由来物」の質量は、使用する抽出容器の体積等にも依存するので特に限定はないが、1kg以上2000kg以下が好ましく、3kg以上1000kg以下がより好ましく、5kg以上500kg以下が特に好ましい。
該質量が小さ過ぎると、バッチを繰り返して抽出することになるので、コストアップになり商業的に使用できなくなる。また、本発明における前記又は後記した特殊な抽出条件(容器内圧力、気体排出能力等)や、装置(回転刃体112を有する粗粉砕撹拌機110、減圧器300等)を適用する意味が薄れる場合がある。すなわち、本発明における、抽出中の圧力、減圧器300の種類、気体排出能力、蒸発熱を冷却に利用すること、等の(好ましい)要件・特徴が生かされない場合がある。限定はされないが、本発明は、抽出被対象物Aである「オリーブの特定部位又は由来物」の量が上記下限以上の時に特にその効果を奏する。言い換えれば、上記下限は、本発明の抽出条件が有効に働く(初めて意味を持つ)ようになる観点から重要である。
一方、1回の抽出で使用する抽出被対象物Aの質量が大き過ぎると、本発明の前記効果を発揮できるような、減圧器300が存在しない場合;特に、昇温を水の蒸発熱で抑制できるだけの気体排出能力と減圧度を有する減圧器300が存在しない又は極めて高価となる場合;等がある。
抽出容器100の実質体積は特に限定はないが、実質体積の範囲は、本発明における抽出の条件が有効に効くか否かの点から重要である。最大投入容量(L)として、すなわち投入できる嵩(L)として、10L以上5000L以下が好ましく、20L以上2000L以下が好ましく、50L以上1000L以下が特に好ましい。なお、抽出被対象物Aの最大投入容量(L)は、前記した抽出容器100の下部半円筒部101の体積にほぼ等しいことが好ましい。
抽出容器100の実質体積又は下部半円筒部101の体積が小さ過ぎると、1回の処理量が少なくなり過ぎてコストアップになり、商業的に使用できなくなる場合等がある。
一方、大き過ぎると、本発明の前記効果を発揮できるような減圧器300がそもそも存在しない場合;具体的には、特に、昇温を水の蒸発熱で抑制できるだけの気体排出能力と減圧度を有する減圧器300が存在しないか又は極めて高価となる場合;抽出容器100の筐体に減圧負荷がかかり過ぎる場合;等がある。
本発明の抽出方法においては、上記抽出容器の体積をV[L]とし、該抽出容器に投入される抽出被対象物の質量をM[kg]とするときに、V[L]をM[kg]の2倍以上5倍以下に設定することが好ましく、2.2倍以上3.5倍以下がより好ましく、2.5倍以上3.0倍以下が特に好ましい。
V[L]/M[kg]の値が小さ過ぎると、粗破砕、撹拌等を良好に実行できない場合がある。
一方、V[L]/M[kg]の値が大き過ぎると、大きな抽出容器100が無駄になる場合;抽出容器100が大き過ぎて、減圧器300の気体排出能力が十分に発揮できず、その結果、蒸発熱による抽出被対象物Aの冷却ができず、該抽出被対象物Aの温度が前記温度範囲の上限を超えてしまう場合;等がある。
本発明における抽出容器100には、発生する気体を取り出す気体取出口130が設置されている。気体取出口130の近傍も、十分な熱伝導等で前記温度範囲に維持して、気体取出口130の近傍で水滴が生じないようにする(結露させないようにする)ことが好ましい。
本発明の抽出方法における抽出装置には、例えば図1に示したように、上記冷却器200の後ろに、抽出容器100内を減圧する減圧器300が具備されている。
該減圧器300としては、水の蒸発熱で抽出被対象物Aの温度が45℃を超えないように、内容積が1mの抽出容器を用いた場合に換算して、常圧体積20m/時間以上の気体排出能力を有する水エジェクタ301を用いることが好ましい。
抽出容器100の内容積が大きければ、大きい気体排出能力を有する減圧器300を用いる必要がある。抽出容器100の内容積に比較して、小さい気体排出能力しか有さない減圧器300を用いると(抽出容器100の内容積に応じて気体排出能力を大きくしていかないと)、細胞水の蒸発熱で冷却することができ難くなり、「オリーブの特定部位又は由来物」が、昇温してしまう場合がある。
具体的には、例えば、内容積が0.1mの抽出容器を用いた場合は、常圧体積2m/時間以上の気体排出能力を有する水エジェクタ301が好ましく、内容積が1mの抽出容器を用いた場合は、常圧体積20m/時間以上の気体排出能力を有する水エジェクタ301が好ましく、内容積が2mの抽出容器を用いた場合は、常圧体積40m/時間以上の気体排出能力を有する水エジェクタ301が好ましい。
減圧器300の気体排出能力が小さ過ぎると、抽出効率が落ちる場合、水の蒸発熱による過昇温防止効果が得られ難くなって、温度が上がり過ぎる場合等がある。
一方、減圧器300の気体排出能力が大き過ぎると、大きさが無駄になる場合、下記する減圧度を達成しつつ、このような大きな気体排出能力を有する減圧器300が存在しない又は極めて高価となる場合等がある。
<<<抽出容器内の圧力>>>
図1に一例を示したように、水タンク303に水(好ましくは、予め水チリングユニットで冷却した水)を貯め、水循環ポンプ302で加圧した水を送液し、水エジェクタ301において該加圧水を噴出させることにより減圧する。流動液体は静止液体より圧力が低い性質(ベルヌーイの定理)を用いて気体を排出する。
減圧器300による減圧度は、少なくとも主たる抽出中は、該抽出容器内の圧力を、21.3kPa[1気圧(101.3kPa)に対して、-80.0kPa]以下に維持して抽出することが好ましい。
より好ましくは、1.0kPa[1気圧(101.3kPa)に対して、-100.3kPa]以上10.0kPa[1気圧(101.3kPa)に対して、-91.3kPa]以下に維持して抽出することが好ましく、更に好ましくは1.3kPa(1気圧に対して、-100kPa)以上9.0kPa(1気圧に対して、-92.3kPa)以下であり、特に好ましくは3.3kPa(1気圧に対して、-98.0kPa)以上8.3kPa(1気圧に対して、-93.0kPa)以下である。
減圧度が低過ぎると(圧力が高過ぎると)、水の蒸発熱による冷却が期待できずに温度が高くなり過ぎる場合、抽出に時間がかかり過ぎる場合等があり、その結果、細胞に含まれる酵素等の水溶性成分が失活若しくは変質する場合がある。
一方、減圧度が高過ぎると(圧力が低過ぎると)、下記する「該圧力における水の沸点」と「前記温度範囲」との関係で、そこまで低圧力にする必要がない場合があり、また、そもそも前記した気体排出能力を有した上に、そこまで減圧度を上げられる減圧器300が存在しない又は極めて大型で極めて高価になる場合等がある。
温度(℃) 水の蒸気圧(kPa)
20 2.3
30 4.2
40 7.4
50 12.3
減圧器300による容器内圧力(減圧度)は、少なくとも主たる抽出中は、水のそれぞれの温度における蒸気圧の0.10倍以上1.0倍以下が好ましく、0.20倍以上0.95倍以下がより好ましく、0.40倍以上0.90倍以下が特に好ましい。
抽出容器100内の圧力が上記下限以上であると、過度の蒸発熱による冷却がない。一方、上記上限以下であると、商業的規模で十分な気体排出能力を有することを条件で、そのような圧力を実現できる減圧器300が通常規模で存在可能であり、水を穏やかに沸騰させる。
<<<水エジェクタ>>>
上記減圧器300は、水循環ポンプ302を有する横噴射型の水エジェクタ301であることが、高い気体排出能力を有するために好ましい。すなわち、減圧度と気体排出能力の両立ができ、前記本発明の効果を奏し易い点から好ましい。水循環ポンプ302を有して横噴射型であると、特に気体排出能力を上げ易い。
減圧器には、ロータリーポンプ、オイル拡散ポンプ、水銀拡散ポンプ、差動ポンプ等がある。例えば、ロータリーポンプでは、約1Pa(10-2mmHg)、オイル拡散ポンプでは約0.1mPa(10-6mmHg)という何れも高真空度は達成できるものの気体排出能力が極めて低い。一方、一般的なエジェクタでは、通常は10kPaより高い圧力にしかならない。
上記気体排出能力と減圧度の両立は、「水エジェクタ301」でしか達成し得ないし、特に、水循環ポンプ302を有する横噴射型の水エジェクタを用いることによって、好適に両立が可能である。
前記した高い気体排出能力の数値は、かかる水エジェクタで達成できるとは言っても汎用的な数値ではない。前記した高い気体排出能力の数値は、(例えば好ましい態様を下記する)水エジェクタを有する減圧器300の構造(特に、吸引孔、水位、消音器等);噴射する水の温度;噴射速度;噴射ノズル径;単位時間当たりの噴射量;噴射距離等を調整して得ることができる。
本発明における特に好ましい「横噴射型の水エジェクタ」の態様を図5と図6に示す。
図5と図6に示した「横噴射型の水エジェクタ」は、水を受ける筒形の水入口片1と、該水入口片1の下流側に設けられ、該水入口片1から流入する水と吸引ガスとを混合する主管スロート6と、該主管スロート6の下流側端部に接続して設けられ、内径が末広がり形状をなすパイプからなる出力片7を有している。
更に要すれば、円筒形状をなし、該出力片7の下流側端部に設けられ、水と吸引ガスとの混合物を流す消音器12と、該消音器12に取付けられ、水が流出する際に該消音器12内に空気を取り入れて、該消音器12内の気圧の急変を防止する吸気管11とを備えている。
また、上記した水エジェクタ301においては、水入口片1と主管スロート6と出力片7とを収容する外被管8を備え、該外被管8に、細胞水と酵素の気体を供給する吸引管3を取付け、該外被管8を消音器12に接続し、主管スロート6は、水入口片1の終端部に連接して設けられ複数個のガス吸引孔4を有する円筒形パイプからなる。
また、前記水タンク303からの水を吸込んで水入口片1より吐出する水循環ポンプ302、前記水入口片1、前記主管スロート6、前記出力片7、及び、前記消音器12を含む循環路を、前記水タンク302内の水位17より低く設定してあることが好ましい。
図5は、水エジェクタ301とそれに連結される消音器12の概略を、図6には、水エジェクタ301を横方向に設置して水タンク303に接続する形態を示す。
該水入口片1よりも直径の太い主管スロート6が入口片1に接続されている。該主管スロート6の形状は単純なパイプ形状である。
該主管スロート6の入口部には、パイプ管壁を貫通する複数個の吸引孔4が開けられており、該吸引孔4は、吸引管3を通じ真空引き(減圧)する際に、吸込みガス(細胞水と酵素の気体)を主管スロート6内に吸引するためのものである。
主管スロート6の終端付近には、直径が主管スロート6より太いパイプ状の出方片7が連結されている。該出口片7は、出口方向に向かって末広がり状に広がる内部形状を有している。
また、水入口片1、主管スロート6、及び、出口片7を被覆する外被管8が、外側に円筒状に接続されている。
12は消音器であり、図5のように、該消音器12の内径は、水エジェクタ301の出力片7の出口の内径より太いパイプ形状を有する。
図5に示す水エジェクタ入口片1には、図6に示す水循環ポンプ302からの吐出配管15を、入口側フランジ2を介して接続されている。
真空引き機能は、吸引管3だけを通じて行うように、中空円形状の仕切板5が設けられている。該仕切板5の内側部は、主管スロート6の外側部に固着され、該仕切板5の外周部は、外被管8に固着され十分な気密性が保たれるようになっている。
本発明における減圧器300は、図6に示すように、水エジェクタの極めて高い気体排出能力を図るために、消音器12を漬ける水を溜めた水タンク303を備え、水エジェクタ301で使用された水は、一旦、水タンク303に蓄えられる構造になっている。水タンク303の水は、冷却水で20℃以下に冷却されることが好ましい(図1)。
水エジェクタ301は、その終端の出力側フランジ9を使い、該水タンク303の外側より固着されている。
消音器12は、フランジ10で水タンク303の内側より、出力側フランジ9と同位置に固着されている。これにより水タンク303内では、水エジェクタ301と消音器12は、水タンク303の内部で連結されている。
消音器12は、水平部12aとその先端で直角に下方に曲げた垂直部12bとを有し、終端12cからは、吸引ガスが混合された水が水タンク303内の水中に流出する構成となっている。
また、水流を作る水循環ポンプ302に接続されている戻り配管14を通じて、水が循環して再利用される構造となっている。
戻り配管14、水循環ポンプ302、吐出配管15、水エジェクタ301、及び、消音器12からなる循環路は、水タンク303内の水位17より低く設定されている。
消音器12における水エジェクタ301の連接部近くに、空気を取入れる吸気管11が設けられ、吸気管11の吸気口は、水タンク水位17より上部に位置させることにより、吸気口が水面下に浸らない構造とする。水タンク303には、水位17の設定のためのオーバーフロー通風口18が設置されている。
本発明における好ましい水エジェクタ301は、図5に示したように、主管スロート6に吸引孔4が設けられている。それによって、管同士の隙間からガスを吸込む従来の水エジェクタと比べて、前記したような高い(大きい)気体排出能力を有するようになる。
また、本発明の好ましい水エジェクタ301とそれに連結される消音器12は、図6のように、水の循環路が水タンク303の水位17より低く、横向き水平に使用設置することが可能となり、該「水循環ポンプを有する横噴射型の水エジェクタ」は、従来のエジェクタや水エジェクタの減圧器と比べて、前記したような高い(大きい)気体排出能力を有するようになる。
本発明の抽出方法は、45℃以下という比較的低温での水の蒸気圧を勘案しても、該蒸気圧に対し必要以上に抽出容器100内の圧力(減圧度)を必要以上に低くすることに拘らず、その分を気体排出能力の向上に振り向けて、初めて達成できた(完成した)。また、そのように条件設定することで、商業的工業的規模の量(処理量)でも、十分な圧力(減圧度)と十分な気体排出能力を有する減圧器300が存在し得るようにできた。
主たる抽出(抽出初期から、抽出容器100に投入した抽出被対象物の有する水溶液(水と水溶性成分)の90質量%が抽出されるまで)に要する時間は、投入量にもより特に限定はされないが、15分以上24時間以下が好ましく、30分以上12時間以下がより好ましく、1時間以上6時間以下が特に好ましい。
時間が短過ぎる場合は、本格生産規模で、45℃以下(好ましくは前記温度以下)と言う比較的低温で、短時間で水を蒸発させるだけの減圧器がない又は極めて大型になる場合等がある。
一方、時間が長過ぎる場合は、時間が無駄でコストアップになる場合;本発明における前記又は後記した特殊な抽出条件(容器内圧力、気体排出能力等)や、装置(回転刃体112を有する粗粉砕撹拌機110、減圧器300等)を適用する意味が薄れる場合;等がある。すなわち、本発明における、「主たる抽出中の圧力」、減圧器300の種類、気体排出能力、「蒸発熱を冷却に利用すること」等の(好ましい)要件・特徴が生かされない場合がある。
<工程(3)>
<<粗破砕と撹拌>>
本発明における工程(3)は、該抽出被対象物を、該抽出容器内で、減圧下に、0.5mm以上20mm以下に粗破砕しつつ撹拌する工程である。
本発明の工程(3)について好ましい態様は以下である。
すなわち、前記工程(3)において、前記抽出容器100の下部が円筒状になっており、その内壁に複数の凸型固定刃を有すると共に、1個に複数の回転刃を有する回転刃体を有し、該回転刃体を回転させることによって、前記抽出容器100内の抽出被対象物Aを、該凸型固定刃と該回転刃で粗破砕するようになっている粗破砕撹拌機110で、粗破砕しつつ撹拌することが好ましい。
更に、工程(3)においては、前記粗破砕撹拌機が2個以上の回転刃体を有し、該回転刃体を同方向に回転させることで、上記抽出被対象物Aを粗破砕しつつ撹拌することが特に好ましい。
本発明の趣旨の範囲内であれば、図に示されたものには限定されないが、図2、図3に、本発明における抽出容器100の概略図を示す。
抽出容器100は、抽出被対象物Aを収容し、粗破砕撹拌機110で粗破砕しながら撹拌し、該粗破砕・撹拌下に、加熱ユニット120によって外部から熱を加えつつ減圧して抽出できるようになっていることが好ましい。
本発明における抽出装置の抽出容器100の粗破砕撹拌機110は、少なくとも、投入された抽出被対象物Aである「オリーブの特定部位又は由来物」を粗破砕しつつ撹拌できるようになっていることが好ましい。
<<<粗破砕撹拌機>>>
本発明の抽出方法においては、投入された抽出被対象物Aである「オリーブの特定部位又は由来物」を撹拌羽根で粗破砕しながら撹拌し、該粗破砕・撹拌下に抽出を行うことが好ましい。このようにしながら抽出することで、有効成分の熱分解、酸化等による変性を好適に防止・抑制することができる。
上記粗破砕・撹拌は、「複数の回転刃113a、113bを有する回転刃体112a、112b」及び「抽出装置の内面(好ましくは上記下部半円筒部101の下内面)に設けられた複数の凸型固定刃111」を備えた抽出装置内で行うことが、上記効果を得るために特に好ましい。
例えば、図4は、前記粗破砕撹拌機110の構成を示す斜視図であり、粗破砕撹拌機110は、抽出容器100の外部に設けられたモータにより回転されるものであり、抽出容器100の端壁105a、105bに回転可能に支持される左右の端板106a、106bと、その先端間に両端が固定された、ほぼ「く」の字115a、115bの形をなす回転刃体112a、112bとによって構成することにより、中心軸を有しない構造(中心軸なしで回転可能の構造)に構成されている。
回転刃体112a、112bをほぼ「く」の字形にすることによって、抽出被対象物Aを撹拌羽根で粗破砕しながら撹拌し易くすると共に、抽出完了後は、粉末残渣Cを抽出容器100の内壁から良好に掻き取り、(抽出容器100の下側のほぼ中央に位置する)粉末残渣取出口140に向けて掻き寄せることができる。
本発明の抽出方法は、上記粗破砕撹拌機110が2個以上の回転刃体112a、112bを有し、該回転刃体112a、112bを同方向に回転させることで、上記抽出被対象物Aを粗破砕しつつ撹拌することが好ましい。
粗破砕撹拌機110の回転速度、すなわち、抽出容器100の左右の端壁105a、105bに回転可能に支持されている左右の端板106a、106bの回転速度は、特に限定はないが、1回転/分以上8回転/分以下が好ましく、2回転/分以上6回転/分以下がより好ましく、4回転/分以上5回転/分以下が特に好ましい。
回転速度が遅過ぎるときは、粗破砕、撹拌及び/又は抽出の効率が悪くなる場合、抽出容器100内で粗破砕されつつある抽出被対象物Aに温度ムラが生じる場合等があり、一方、回転速度が速過ぎるときは、粗破砕撹拌機110に過剰の負荷がかかる場合等がある。
本発明の抽出方法は、上記抽出容器100の下部が円筒状になっており、その内壁に複数の凸型固定刃111を有すると共に、上記粗破砕撹拌機110は、1個に複数の回転刃113a、113bを有する回転刃体112a、112bを有し、該回転刃体112a、112bを回転させることによって、抽出容器100内の抽出被対象物Aを、該凸型固定刃111と該回転刃113a、113bとで粗破砕する。
図4における111は、下部半円筒部101の内面に固着された複数の凸型固定刃であり、回転刃体112a、112bにおける凸型固定刃111に対応する箇所には、回転刃体112a、112bにおける凸型固定刃111の部分を通過するための回転刃溝114a、114bが形成され、その溝の両側に、凸型固定刃111との間で、抽出被対象物Aである「オリーブの特定部位又は由来物」を粗破砕するための回転刃113a、113bが設けられている。
なお、図4では、凸型固定刃111と回転刃113a、113bとは、噛み合いが時間をずらして順次行われるように、周方向に位置をずらして配設し、これにより粗破砕撹拌機110の駆動モータの動力の瞬間的増大が起こらないようにしている。
1個の回転刃体に設けられる回転刃の対数は、抽出容器100、粗破砕撹拌機110、回転刃体112a、112bの大きさや、抽出の対象となるものの種類にも依存するが、1個の回転刃体に回転刃が、5対以上20対以下で設けられていることが好ましく、8対以上14対以下が特に好ましい。
1個の回転刃体に設けられた回転刃が少な過ぎると、粗破砕、撹拌及び/又は抽出の効率が悪くなる場合、蒸発が抑制されて温度が上昇する場合等があり、一方、多過ぎると、過度の粗破砕と撹拌が行われるために、回転に負荷がかかる場合、抽出速度が上がり過ぎて水の蒸発熱で温度が下がる場合等がある。
なお、回転刃体に設けられた回転刃の上記対数は、1個の回転刃溝に1対の回転刃があるとする。例えば、図4では、1個の回転刃体に回転刃溝が10個設けられているので、1個の回転刃体に回転刃は10対設けられていることになる。
本発明においては、粗破砕撹拌機110によって、少なくとも主たる抽出中は、抽出被対象物Aである「オリーブの特定部位又は由来物」を、減圧下に、0.5mm以上20mm以下に粗破砕しつつ撹拌することが必須である。
好ましくは0.7mm以上15mm以下、より好ましくは1.0mm以上10mm以下、特に好ましくは1.2mm以上7mm以下である。
上記サイズは、粗破砕されるものの差し渡し長さの重量平均値(体積平均値)である。
上記サイズが小さ過ぎると、抽出被対象物Aがオリーブの葉の場合、細胞膜を破壊する(破壊する細胞膜の割合が大きくなってしまう)場合等があり、一方、上記サイズが大き過ぎると、抽出に時間がかかり過ぎる場合等がある。
<工程(4)>
本発明における工程(4)は、該抽出容器内から留出してきた気体を冷却して抽出対象水溶液を得る工程である。
本発明の抽出方法における抽出装置には、例えば図1に示したように、上記抽出容器100の後ろに、「該抽出容器100に設けられた気体取出口130から取り出された気体を冷却する冷却器200」が具備されている。このような冷却器200は、公知のものが用いられ得る。
該冷却器200の冷却媒体としては、「0℃以上であり、上記抽出容器100の気体取出口130から取り出された気体の温度より5℃以上低い(特に好ましくは7℃以上低い)温度」の水を用いることが、冷却して液化する効率の点から好ましい。
冷却媒体である水の温度が高過ぎると、抽出気体の一部が液化されず収率が落ちる場合がある。一方、低過ぎると、得られる抽出対象水溶液Bの温度が低くなり過ぎて問題が生じる場合等がある。
本発明の抽出方法における抽出装置には、例えば図1、図2に示したように、上記冷却器200で冷却されて液化した抽出液を回収し、そこから抽出対象水溶液Bを獲得する回収獲得容器400が具備されている。
上記冷却器200からの抽出液を回収獲得容器400に貯めると、下層に水相(水層)401が、上層に油相(油層)402が位置するので、抽出対象水溶液取出しバルブ405を開けて、水相(水層)取出し口404から、下層の水相(水層)401である抽出対象水溶液Bを最終容器(図示せず)に抜き出す。
本発明の抽出方法では、上記回収獲得容器400に回収された抽出液から、比重の差を利用して、下層の「水相401を形成する抽出対象水溶液B」を獲得する。
ただし、本発明において、低温真空抽出法を用いて45℃以下で抽出すると、オリーブオイル等の「油性成分や精油」は殆ど抽出されないので、油層(油相)402が形成されないことが多い。その場合は、回収獲得容器400に溜まった液体は、全て抽出対象水溶液Bとして回収獲得する。
<抽出作業の具体例>
本発明の抽出方法は、下記に限定はされないが、具体的には例えば下記のように行われる。
まず、抽出作業開始に当り、冷却水供給装置に冷却水を充填し、冷却器200に冷却水を循環させる。次いで、「オリーブの実、オリーブの実の搾りかす、又は、オリーブの葉」を、投入口103から抽出容器100内に投入して投入口蓋104を閉じる。
そして、粗破砕撹拌機110は、図2~図4の矢印Rの回転方向に回転させ、抽出容器100内のものを撹拌しながら、回転刃113a、113bと凸型固定刃111との間で粗破砕する。
かかる粗破砕撹拌機110によって粗破砕することで、葉の場合は細胞膜を殆ど破壊せず、また粗破砕しながら抽出することで、「変性」や「散逸による減量」を防ぐこともできる。
上記撹拌・粗破砕と同時に、蒸気供給装置から蒸気室121内に加熱用蒸気を供給することにより、外部から熱を加える。抽出容器100に加えられた熱は、「オリーブの特定部位又は由来物」に伝達され、粗破砕撹拌機110によって撹拌されることにより、抽出が促進されると共に(抽出温度等が)均一になる。この抽出は、回転刃113a、113bと凸型固定刃111とによって粗破砕されて小さくなることによって、更に促進され均一になる。
その際、蒸気室121内に送り込む加熱用蒸気の温度や量を調整したり、減圧器300である水エジェクタ301に供給する水の量・圧力・噴射速度等を調整して気体排出能力や抽出容器100内の圧力を適切に設定したりして、抽出被対象物Aの温度を45℃以下(更にはより(又は特に)好ましい範囲)に維持する。
水循環ポンプ302を有する横噴射型の水エジェクタ301等の減圧器300で吸引することにより、抽出容器100内の気体、すなわち、抽出液の蒸気及び空気を、気体配管131を通じて吸引し、抽出容器100内の「オリーブの特定部位又は由来物」に含まれている水と水溶性成分の蒸発を開始させる。その際、減圧器300で吸引する量や吸引力を調節して、抽出時の圧力(減圧度)を、前記した好ましい範囲にする。
抽出容器100内の水溶液(水と水溶性成分)は、気体配管131を通して吸引され、冷却器200に導入され液化されて、回収獲得容器400内に溜まる。
回収獲得容器400内に、抽出液が所定量まで貯まったら、減圧器300での吸引を停止し抽出対象水溶液Bを回収する。
抽出対象水溶液B等を獲得後、抽出容器100内に残った粉末残渣Cを、好ましくは粉末残渣取出し口140から回収する。
[他の抽出方法との比較]
前記した通り、抽出方法には、本発明以外にも、前記した通り、水蒸気蒸留法、直接抽出法、溶媒抽出法、圧搾法、超臨界抽出法、フリーズドライ法等、種々の方法が知られている。
このうち、水蒸気蒸留法や直接抽出法では、抽出被対象物Aと媒体を(通常は60℃以上に)加熱するため、酵素を含め有効成分が変性・熱分解する、水性の有効成分が散逸する等で、水性の有効成分をそのまま含む、抽出対象水溶液が十分に得られない。なお、抽出被対象物Aが50℃以上になると、細胞内に存在する酵素が失活する。
また、水蒸気蒸留法では、抽出に用いた水蒸気が液化した水が細胞水に混合することで、全て天然由来の抽出液であると言う本発明の効果がなくなる。
また、溶媒抽出法では、水溶性成分が抽出され難い;抽出溶媒が抽出液(水溶液)中に残留する;その抽出溶媒を後に除去する際に有効成分も除去されてしまう;等の場合がある。また、溶媒抽出法では、溶媒を使用することが必須であるため、「オリーブの特定部位又は由来物」から、変質も分解もなく、水溶液を得ることが難しく、更に抽出液の収量も少ない。
抽出媒体として水を用いる場合でも、上記障害に加えて、抽出のために加えた水が残留するので、全て天然由来の抽出水溶液であると言う本発明の効果がなくなる。
オリーブの実又は葉を抽出被対象物とする場合、圧搾法では、抽出媒体として用いた油性成分が抽出液中に残留し、その油性成分を完全に除去することが不可能である。また、そもそも、本発明の細胞内水を得ることができない。
抽出媒体を使用しない圧搾法は、沸点が100℃より高い油を採取するときに通常は用いられるが、水性抽出液を採取する場合は、収率が著しく落ちるため使用できない。
超臨界抽出法では、高圧を要するので高価な設備を必要とする、媒体由来の極微量の不純物が混入する等の問題点がある。
また、フリーズドライ法では、オリーブ由来の水が氷になるので、その際に問題が生じ本発明の前記効果が得られない。
また、抽出被対象物Aを破砕・撹拌をしながらではなく、一旦粗破砕・撹拌をした後に抽出する方法では、有効成分が効率的に抽出できない場合がある。すなわち、通常の減圧抽出法等のように、粗破砕・撹拌をしながらではなく加熱・減圧して抽出する方法では、複数の有効成分を十分に抽出できない場合がある。
「粗破砕しつつではなく」加熱・減圧して抽出する通常の減圧抽出法を含め、上記他の抽出方法では、「オリーブの特定部位又は由来物」の中に含まれている種々の成分を効率的に取得できない若しくは利用できない場合がある。
[オリーブの細胞内水及び/又は細胞外水]
本発明は、前記の抽出方法を使用して得られるものであることを特徴とするオリーブの細胞内水及び/又は細胞外水でもある。
本発明における「オリーブの細胞内水」と、本発明における「オリーブの細胞外水」は、本明細書に記載された製造方法で得られるものであり、また、そのようにして得られたものとして定義される。言い換えれば、「オリーブの細胞外水」とは、実であっても葉であっても常圧で圧搾等して取り出せる水溶液のことであり、「オリーブの細胞内水」とは、40℃で前記した減圧度で抽出される水溶液のうち、「オリーブの細胞外水」を除いた水溶液のことを言う。
「植物の細胞(膜)の外の細胞壁や細胞間隙」であるアポプラストに存在する水溶液を「アポプラスト液」と言い、葉や実にもアポプラスト(液)があるが、「オリーブの細胞外水」には、該アポプラスト液が含まれる。アポプラストと対をなす概念としてシンプラストがあるが、「オリーブの細胞内水」には、該シンプラスト液が含まれる。
従って、オリーブの実の搾りかすに対して本発明の抽出方法を適用させれば、「オリーブの細胞内水」のみが得られる。圧搾等をせずに、オリーブの実又は葉に対して本発明の抽出方法を適用させれば、「オリーブの細胞内水及び細胞外水」、すなわち、オリーブの細胞内水とオリーブの細胞外水の混合水溶液が得られる。
細胞内水が得られるか否かは、100℃以下では温度(の高さ)より減圧度(真空度)(の高さ)に大きく依存する。従って、「細胞内水」であるか否かは、抽出における「減圧」の有無により決まる。「細胞内水」の定義は、「減圧」により抽出されることが要件である。
なお、抽出温度が45℃より高いと、「オリーブの特定部位又は由来物」の分解、変質、失活等が起こるので、オリーブに含まれる細胞内水のままの構造ではなくなる。
従って、圧搾等して得られたオリーブオイル中に含有される水溶液;オリーブオイルから脱水して得られた水溶液;オリーブの実を圧搾して得られた液体を静置したときの下層である水溶液;等の「圧搾等してオリーブオイルと共に得られる水溶液」は、「細胞外水」である。上記のようにして得られる水溶液、すなわち「細胞外水」は、「ベジテーション水」と言われることがある(特許文献3~5)。
それらは、細胞内水を含有しない「細胞外水のみからなるもの」なので、本発明においては好ましくない、或いは本発明からは除かれる。
また、オリーブの実の搾りかすを脱水機で脱水して得られた水溶液は、細胞内水を含有しない「細胞外水のみからなるもの」なので、本発明においては好ましくない、或いは本発明からは除かれる。
細胞内水に溶解されている極微量のオリーブ由来物や水の構造は、それぞれの化学(組成)式やパラメーター等では表現できない。せいぜい実施例に示した程度の成分分析しかできないので、細胞内水(と細胞外水)は、製造方法を用いた表現でしか定義できず、すなわち、その特定には「不可能・非実際的事情」がある。
本発明の「オリーブの細胞内水及び/又は細胞外水」は、抽出被対象物Aである「オリーブの実、オリーブの実の搾りかす、又は、オリーブの葉」、すなわち「オリーブの特定部位又は由来物」に含有されている成分のみからなるものとすることが可能である。実質的に抽出媒体も加熱水蒸気も使用しなくても抽出可能であり、45℃以下に常に保たれているので、分解も変質もしていないからである。
従って、本発明は、抽出被対象物Aである、オリーブの実、オリーブの実の搾りかす、又は、オリーブの葉に含有されている成分のみからなる上記のオリーブの細胞内水及び/又は細胞外水であることが好ましい。
[オリーブ由来品]
本発明は、前記の「オリーブの細胞内水及び/又は細胞外水」を含有してなる若しくはそれを原料としてなる、化粧料、アロマセラピー材料、石鹸、外用剤、又は、飲食品であることを特徴とするオリーブ由来品である。
化粧料としては、しわ取り、しみ取り、保湿用の化粧料として、特に化粧水として特に有用である。また、評価例1に示したように芳香がある場合が多いので、アロマセラピーに有用である。また、料理材料、ジュース材料等の飲食品としても特に有用である。
上記オリーブ由来品は、それぞれ公知の方法で製造できる。「オリーブの細胞内水」や、「オリーブの細胞内水と細胞外水の混合水溶液」は、そのまま上記用途に使用することもできるし、用途毎に公知の配合物を配合して、それぞれのオリーブ由来品を得ることもできる。
そうして得られたオリーブ由来品は、今までにない優れた性質を有する。得られたオリーブ由来品が今までにない性質を有することからも、本発明の「オリーブの細胞内水」と「オリーブの細胞内水と細胞外水の混合水溶液」が新規な物であることの立証となる。
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限りこれらの実施例に限定されるものではない。
以下、実施例中の「%」は、質量に関するものは「質量%」である。
実施例1
<オリーブの実の搾りかすから、オリーブの細胞内水の獲得>
9.5kgの「オリーブの実の搾りかす」を、図2~4に示す容器内に投入した。
図1、2に示すように、外部から熱を加えつつ減圧し、該「オリーブの実の搾りかす」を38℃に維持しつつ、図5、6に示す減圧器で容器内を減圧にした。容器内の圧力は、1気圧(101.3kPa)に対して、-97.0kPa~-98.0kPaの圧力(真空度)とした。
投入した「オリーブの実の搾りかす」を、上記減圧下に、約2.0mmに粗破砕しつつ撹拌した。
容器内から留出される気体を、図1に示したように冷却器で冷却した。減圧開始から20分で、抽出対象水溶液(この場合は、オリーブの細胞内水)が得られ始めた。
抽出対象水溶液(オリーブの細胞内水)が得られなくなるまで、1時間30分かけて、38℃に維持しつつ、上記圧力を維持した。
本発明の工程(1)ないし工程(4)の全てを行った結果、図1、2に示したような回収容器に、抽出対象水溶液、すなわちオリーブの細胞内水1.5kgを獲得した。油相(油層)は存在しなかった。
実施例2
<オリーブの実から、オリーブの細胞内水と細胞外水とが混合した水溶液の獲得>
8.0kgのオリーブの実を、図2~4に示す容器内に投入した。
図1、2に示すように、外部から熱を加えつつ減圧し、該オリーブの実を39℃に維持しつつ、図5、6に示す減圧器で容器内を減圧にした。容器内の圧力は、1気圧(101.3kPa)に対して、-97.0kPa~-98.0kPaの圧力(真空度)とした。
投入したオリーブの実を、上記減圧下に、約2.0mmに粗破砕しつつ撹拌した。
容器内から留出される気体を、図1に示したように冷却器で冷却した。減圧開始から15分で、抽出対象水溶液(この場合は、オリーブの細胞内水と細胞外水の混合水溶液)が得られ始めた。
抽出対象水溶液(オリーブの細胞内水と細胞外水の混合)が得られなくなるまで、2時間10分かけて、39℃に維持しつつ、上記圧力を維持した。
本発明の工程(1)ないし工程(4)の全てを行った結果、図1、2に示したような回収容器に、抽出対象水溶液、すなわち「オリーブの細胞内水と細胞外水の混合水溶液」2.8kgを獲得した。油相(油層)は存在しなかった。
実施例3
<オリーブの葉から、オリーブの細胞内水と細胞外水とが混合した水溶液の獲得>
4.0kgのオリーブの葉を、図2~4に示す容器内に投入した。
図1、2に示すように、外部から熱を加えつつ減圧し、該オリーブの葉を37℃に維持しつつ、図5、6に示す減圧器で容器内を減圧にした。容器内の圧力は、1気圧(101.3kPa)に対して、-97.0kPa~-98.0kPaの圧力(真空度)とした。
投入したオリーブの葉を、上記減圧下に、約1.0mmに粗破砕しつつ撹拌した。
容器内から留出される気体を、図1に示したように冷却器で冷却した。減圧開始から25分で、抽出対象水溶液(この場合は、オリーブの細胞内水と細胞外水の混合水溶液)が得られ始めた。
抽出対象水溶液(オリーブの細胞内水と細胞外水の混合)が得られなくなるまで、1時間40分かけて、37℃に維持しつつ、上記圧力を維持した。
本発明の工程(1)ないし工程(4)の全てを行った結果、図1、2に示したような回収容器に、抽出対象水溶液、すなわち「オリーブの細胞内水と細胞外水の混合水溶液」2.7kgを獲得した。油相(油層)は存在しなかった。
比較例1
<オリーブの実の搾りかすから、脱水機でオリーブの細胞外水の獲得>
「オリーブの実の搾りかす」から、常法に従って、脱水機で液体を得、該液体からオイルを除いて水溶液(すなわち、細胞外水)を得た。
また、別途、「オリーブの実の搾りかす」に純水を加え、80℃に加熱・抽出して水溶液(すなわち、細胞外水)を得た。
比較例2
<オリーブの実を圧搾して得た液体からオリーブオイルと共に細胞外水の獲得>
オリーブの実を圧搾して得た液体を静置して、上層にオリーブオイルを、下層に水溶液を得た。該水溶液は、「ベジテーション水」とも言われている「細胞外水」である。
比較例3
<オリーブの実から加熱留去して水溶液の獲得>
オリーブの実を予め2mm程度に裁断し、そこに同質量の純水を加えて、常法に従って、撹拌下に110℃に加熱して、水分を留去して「水溶液」を獲得した。
比較例4
<オリーブの葉から加熱留去して水溶液の獲得>
オリーブの葉を予め1mm程度に裁断し、そこに同質量の純水を加えて、常法に従って、撹拌下に100℃に加熱して、水分を留去して「水溶液」を獲得した。
評価例1
<成分の定量分析>
実施例3で得られた水溶液、すなわち、オリーブの葉から本発明の抽出方法で抽出した「オリーブの細胞内水と細胞外水の混合水溶液」を、GC(ガスクロマトグラフィー)/MS(質量分析)で分析した。
結果を以下に示すが、定量下限を下回っているために、下記されていない成分が多数ある。そして、それらの成分によっても、「本発明の細胞内水」、「細胞外水」、「45℃より高い温度(例えば、比較例4の110℃)で抽出した水溶液」の間に、含有成分(比)、特性等に違いが出ていると考えられる。
成分名 混合水溶液中の水以外の成分の含有量
1,8-シネオール 24.9%
3-ヘキセン-1-オール 24.7%
シトロネラール 3.3%
リナロール 21.3%
アロマデンドレン 2.8%
ネロール 4.4%
α-テルピネオール 3.9%
ボルネオ―ル 2.9%
ベルベノン 2.0%
シトラール 6.1%
ゲラニオール 3.4%
評価例2
<化粧料としての評価>
実施例1~3及び比較例1~4で得られた水溶液、純水、並びに、市販の化粧水を、10人の男女に、コットンを使用して顔に付けてもらった。
それを1日に3回、5日間、繰り返してもらったところ、顔のしみ、顔のみずみずしさ等の改善具合が、以下の順番であった。
[実施例1~3の水溶液]>[市販の化粧水]≧[比較例1~4の水溶液]=[純水]
実施例1~3で得られた水溶液は、何れも、市販の化粧水より上記評価項目について良好な結果が得られた。
一方、比較例1~4で得られた水溶液は、何れも、純水と大差がなく、上記評価項目について良好な結果が得られなかった。
実施例1で得られた水溶液は、細胞内水であるので、良好な結果が得られ、実施例2、3で得られた水溶液は、細胞内水を含有するので、良好な結果が得られたと考えられた。
評価例2
<アロマセラピー材料としての評価>
実施例1~3及び比較例1~4で得られた水溶液を、リード式ディフューザーに浸み込ませ、10人の男女に嗅いでもらった。
実施例1~3で得られた水溶液は、全員が良い匂いであると回答した。また、過半数が、実施例1~3で得られた水溶液は、比較例1~4で得られた水溶液より良い匂いであると回答した。
細胞内水を含有することで、良い匂いになったと考えられた。
評価例3
<外用剤として評価>
評価例2と同様にして評価を行った。ただし、評価項目を、しもやけ、ひび、又は、あかぎれ等の改善・治癒の程度とした。その結果、効果は以下の順番であった。
[実施例1~3の水溶液]>[市販の化粧水]≧[比較例1~4の水溶液]=[純水]
評価例4
<飲食品として評価>
実施例1~3及び比較例1~4で得られた水溶液、それぞれ20gを、純水80g中に加え、均一に混合したものを飲んでもらった。
実施例1~3で得られた水溶液は、何れも比較例1~4で得られた何れの水溶液や純水よりも、美味しかったと回答した人が多かった。
本発明の抽出方法で得られた抽出対象水溶液は、今までのオリーブの実から圧搾等によって得られた水溶液とは異なる物性と成分組成を有し、実質的に完全にオリーブの葉又は実由来のものであり、また、抽出工程において酵素等の有効成分を失活させるような熱をかけず、抽出媒体も使用しないので、完全に天然の抽出水溶液であり、安全性が極めて高い。
また、オリーブオイルを搾った後の搾りかすを、本発明の抽出被対象物Aとして用いたときには、産業廃棄物の有効利用にもなる。
従って、本発明は、一般飲食品、健康食品、食品添加剤、医薬品等の分野にはもちろんのこと、アロマセラピー、化粧料、飼料等の製造分野や使用分野においても広く利用されるものである。
1 水入口片
2 入口側フランジ
3 吸引管
4 吸引孔
5 仕切板
6 主管スロート
7 出方片
8 外被管
9 出力側フランジ
10 フランジ
11 吸気管
12 消音器
12a 水平部
12b 垂直部
12c 終端
14 戻り配管
15 吐出配管
17 水タンク水位
18 オーバーフロー通風口
100 抽出容器
101 下部半円筒部
102 上部角形部
103 投入口
104 投入口蓋
105a 端壁
105b 端壁
106a 端板
106b 端板
108 真空計
109a 温度計
109b 温度計
110 粗破砕撹拌機
111 凸型固定刃
112a 回転刃体
112b 回転刃体
113a 回転刃
113b 回転刃
114a 回転刃溝
114b 回転刃溝
115a 「く」の字
115b 「く」の字
120 加熱ユニット
121 蒸気室
122 蒸気供給装置
130 気体取出口
131 気体配管
140 粉末残渣取出口
200 冷却器
300 減圧器
301 水エジェクタ
302 水循環ポンプ
303 水タンク
400 回収獲得容器
401 水相(水層)
402 油相(油層)
403 油相(油層)取出し口
404 水相(水層)取出し口
405 抽出対象水溶液取出しバルブ
A 抽出被対象物
B 抽出対象水溶液
C 粉末残渣
R 回転方向

Claims (11)

  1. オリーブの実、オリーブの実の搾りかす、又は、オリーブの葉を抽出被対象物とし、以下の工程(1)ないし工程(4)を全て有する低温真空抽出法を用い、抽出対象水溶液として、オリーブの細胞内水及び/又は細胞外水を得ることを特徴とする抽出方法。
    (1)該抽出被対象物を、抽出装置が有する抽出容器内に投入する工程
    (2)外部から熱を加えつつ減圧し、該抽出被対象物を45℃以下に維持しつつ、減圧器で該抽出容器内を減圧にする工程
    (3)該抽出被対象物を、該抽出容器内で、減圧下に、0.5mm以上20mm以下に粗破砕しつつ撹拌する工程
    (4)該抽出容器内から留出してきた気体を冷却して抽出対象水溶液を得る工程
  2. 前記抽出被対象物が、オリーブの実の搾りかすであり、該抽出対象水溶液がオリーブの細胞内水である請求項1に記載の抽出方法。
  3. 前記抽出被対象物が、オリーブの実、又は、オリーブの葉であり、該抽出対象水溶液がオリーブの細胞内水及び細胞外水である請求項1に記載の抽出方法。
  4. 実質的に抽出媒体も加熱水蒸気も使用せずに、オリーブの細胞内水及び/又は細胞外水を得る請求項1ないし請求項3の何れかの請求項に記載の抽出方法。
  5. 前記工程(2)を、101.3kPa(1気圧)に対し、80kPa以上低い圧力を維持しつつ行う請求項1ないし請求項4の何れかの請求項に記載の抽出方法。
  6. 前記減圧器が、水循環ポンプを有する横噴射型の水エジェクタである請求項1ないし請求項5の何れかの請求項に記載の抽出方法。
  7. 前記工程(3)において、前記抽出容器の下部が円筒状になっており、その内壁に複数の凸型固定刃を有すると共に、1個に複数の回転刃を有する回転刃体を有し、該回転刃体を回転させることによって、前記抽出容器内の抽出被対象物を、該凸型固定刃と該回転刃で粗破砕するようになっている粗破砕撹拌機で、粗破砕しつつ撹拌する請求項1ないし請求項6の何れかの請求項に記載の抽出方法。
  8. 前記粗破砕撹拌機が2個以上の回転刃体を有し、該回転刃体を同方向に回転させることで、上記抽出被対象物を粗破砕しつつ撹拌する請求項7に記載の抽出方法。
  9. 請求項1ないし請求項8の何れかの請求項に記載の抽出方法を使用して得られるものであることを特徴とするオリーブの細胞内水及び/又は細胞外水。
  10. 抽出被対象物である、オリーブの実、オリーブの実の搾りかす、又は、オリーブの葉に含有されている成分のみからなる請求項9に記載のオリーブの細胞内水及び/又は細胞外水。
  11. 請求項10又は請求項11に記載のオリーブの細胞内水及び/又は細胞外水を含有してなる若しくは原料としてなる、化粧料、アロマセラピー材料、石鹸、外用剤、又は、飲食品であることを特徴とするオリーブ由来品。

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