JP6785119B2 - ガラクトキシログルカンのガラクトース部分分解物の製造方法 - Google Patents

ガラクトキシログルカンのガラクトース部分分解物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ガラクトキシログルカンのガラクトース部分分解物及びその製造方法に関する。
ガラクトキシログルカンのガラクトース部分分解物(以下、単に「ガラクトース部分分解物または部分分解物」という場合がある。)は、ガラクトキシログルカンの側鎖の一部を構成するガラクトースを、微生物由来の精製β−ガラクトシダーゼを用いて部分的に分解することによって除去して得られた非イオン性の高分子多糖類である。かかるガラクトース部分分解物は、該ガラクトース部分分解物と水性溶媒とを混合したときの混合物の熱挙動が、上記ガラクトキシログルカンの熱挙動とは逆であり、具体的には、加熱するとゲル化し、冷却するとゾル化し、このゾル/ゲルの変化が可逆的であるという熱挙動を示す。このような熱挙動は、可逆的熱ゲル化特性と呼ばれている。
また、ガラクトース部分分解物は、天然多糖類由来であり、化学修飾されていないことから人体および環境に安全であるため、該ガラクトース部分分解物を用いて製造された組成物は、食品、化粧品、または医薬品製剤等において幅広く利用され得る。(特許文献1、2参照)
このガラクトース部分分解物の製造方法として、特許文献1には、1%ガラクトキシログルカン水溶液を精製酵素β−ガラクトシダーゼと反応させ、得られた反応物を凍結乾燥したものを粉末ゲル化剤とする方法、または得られた反応物にアルコールを加えて沈殿・濾取後、乾燥粉末化して、粉末ゲル化剤とする方法が記載されている。また、特許文献2には、約3%ガラクトキシログルカン水溶液をβ−ガラクトシダーゼと反応させ、得られた反応物に等容量のエタノールを加え、1時間放置後、沈殿物を吸引ろ過により回収し、送風乾燥、粉砕、篩過工程を経て粉末のガラクトース部分分解物を得る方法が記載されている。
特開平8−283305号公報 国際公開第97/29777号
しかし、上記特許文献1に記載された方法で得られたガラクトース部分分解物を水に溶解させて組成物を調製した場合、得られたガラクトース部分分解物の水溶液(ゾル状)およびゲルが、アルカリ性条件下で加熱されると不可逆的に変色(着色)するおそれがある。
かかる変色が発生すると、例えば、食品や化粧品等といったアルカリ性の条件下で加熱する工程を経て製造される用途に適用されたとき、製品の品質低下を招くことになる。
このように、従来のガラクトース部分分解物は、熱安定性が十分であるとはいい難い。
上記事情に鑑み、本発明は、熱安定性に優れたガラクトキシログルカンのガラクトース部分分解物及びその製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、従来のガラクトース部分分解物がアルカリ加熱条件下で着色する原因について鋭意研究したところ、驚くべきことに、ガラクトース部分分解物に遊離ガラクトース量が3.0質量%を超えて含有されていると、アルカリ条件下での加熱で着色が生じ易いのに対し、遊離ガラクトースが3.0質量%以下含有されていると、アルカリ条件下での加熱で着色が生じ難いことを見出した。
また、アルコールと水とを含有する含水アルコールで洗浄することによって、アルコールのみで洗浄する場合よりも、遊離ガラクトース量を低減し得ることを見出した。
加えて、含水アルコールでガラクトキシログルカンのガラクトース部分分解物を洗浄することによって、比較的少量で、また、同じ使用量であれば少ない洗浄回数で、遊離ガラクトースの含有量を3.0質量%以下にし得ることも見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
ガラクトキシログルカンのガラクトース部分分解物であって、
残存する遊離ガラクトース量が3.0質量%以下である。
かかる構成によれば、残存する遊離ガラクトース量が3.0質量%以下であることによって、ガラクトース部分分解物は、アルカリ性条件下での加熱による変色が、抑制されたものとなる。
従って、熱安定性に優れた上記ガラクトース部分分解物となる。
上記構成のガラクトキシログルカンのガラクトース部分分解物においては、
前記残存する遊離ガラクトース量が1.5質量%以下であることが好ましい。
かかる構成によれば、残存する遊離ガラクトース量が1.5質量%以下であることによって、ガラクトース部分分解物は、アルカリ性条件下での加熱による変色が、より抑制されたものとなる。
従って、熱安定性により優れた上記ガラクトース部分分解物となる。
本発明のガラクトキシログルカンのガラクトース部分分解物の製造方法は、
ガラクトキシログルカンのガラクトース部分分解物を製造する方法であって、
下記工程(1)〜(3)を含む工程を行うことによって、残存する遊離ガラクトース量が3.0質量%以下である粉状のガラクトース部分分解物を製造する:
(1)残存する遊離ガラクトース量が3.0質量%を超える粉状のガラクトース部分分解物を、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール及び第三級ブチルアルコールよりなる群から選択される1つ以上のアルコールと水とを含有する含水アルコールで少なくとも1回洗浄する工程、
(2)工程(1)で得られた洗浄物を脱水する工程、
(3)工程(2)で得られた脱水物を乾燥する工程。
かかる構成によれば、工程(1)にて上記含水アルコールで洗浄することによって、ガラクトース部分分解物中の遊離ガラクトースを、比較的多く上記含水アルコール中に移動させることができる。これにより、ガラクトース部分分解物中の遊離ガラクトースを低減できる。
また、工程(2)にて洗浄物を脱水することによって、上記のように含水アルコール(洗浄液)中に移動させた遊離ガラクトースを、洗浄液と共に除去することができる。ここで、洗浄液がガラクトース部分分解物から隔離されず、これに接触している場合には、この状態で乾燥すると、洗浄液が残っている分だけ、ガラクトース部分分解物から洗浄液中に一旦移動させた遊離ガラクトースがガラクトース部分分解物に再度移動し、その結果、遊離ガラクトースを十分に低減できないおそれがある。しかし、洗浄物を脱水することによって、遊離ガラクトースを含有する洗浄液を除去することができるため、遊離ガラクトースを十分に低減することが可能となる。
さらに、このようにして得られた脱水物を工程(3)で乾燥することによって、遊離ガラクトースが低減されたガラクトース部分分解物を得ることができる。
このように、上記含水アルコールで洗浄し、脱水、乾燥するだけで、比較的多くの遊離ガラクトースを上記含水アルコールに移動させることができ、これによって、簡便に、残存する遊離ガラクトース量が3.0質量%以下であるガラクトース部分分解物が製造される。
よって、上記の通り熱安定性に優れたガラクトース部分分解物を、簡便に製造し得る。
上記構成のガラクトキシログルカンのガラクトース部分分解物の製造方法においては、
工程(1)において、前記ガラクトース部分分解物の2〜20倍量の前記含水アルコールと前記ガラクトース部分分解物とを混合することによって洗浄を行うことが好ましい。
かかる構成によれば、ガラクトース部分分解物の2〜20倍量の含水アルコールでガラクトース部分分解物を洗浄することによって、残存する遊離ガラクトース量を、より低減し易くなる。
よって、熱安定性に優れたガラクトース部分分解物を、より簡便に製造し得る。
上記構成のガラクトキシログルカンのガラクトース部分分解物の製造方法においては、
前記含水アルコールにおける前記アルコールの濃度が、20〜70質量%であることが好ましく、30〜60質量%であることがより好ましい。
かかる構成によれば、含水アルコールにおける前記アルコールの濃度が、20〜70質量%であることによって、残存する遊離ガラクトース量を、より低減し易くなり、30〜60質量%であることによって、残存する遊離ガラクトース量を、さらに低減し易くなる。
よって、熱安定性に優れたガラクトース部分分解物を、より簡便に製造し得る。
上記構成のガラクトキシログルカンのガラクトース部分分解物の製造方法においては、
前記アルコールがメタノールであることが好ましい。
かかる構成によれば、メタノールは、エタノール、イソプロピルアルコール及び第三級ブチルアルコールよりも遥かに沸点が低いため、アルコールとしてメタノールを用いることによって、脱水物をより短時間で乾燥し得る。また、乾燥時間が短くなる分、乾燥に晒されることによって悪影響が及ぼされるおそれを回避し得る。
よって、熱安定性に優れたガラクトース部分分解物を、より簡便に製造し得る。
上記構成のガラクトキシログルカンのガラクトース部分分解物の製造方法においては、
前記残存する遊離ガラクトース量が1.5質量%以下であることが好ましい。
かかる構成によれば、熱安定性により優れたガラクトース部分分解物を製造し得る。
上記構成のガラクトキシログルカンのガラクトース部分分解物の製造方法においては、
工程(1)において、前記洗浄を1回行うことが好ましい。
かかる構成によれば、作業性がより向上し得る。
上記構成のガラクトキシログルカンのガラクトース部分分解物の製造方法においては、
下記工程(4)、(5)をさらに行うことが好ましい:
(4)工程(3)で得られた乾燥物を粉砕する工程、
(5)工程(4)で得られた粉砕物を篩過する工程。
かかる構成によれば、さらに工程(4)、工程(5)を行うことによって、水への溶解性が向上されたガラクトース部分分解物を製造し得る。
以上の通り、本発明によれば、熱安定性に優れたガラクトキシログルカンのガラクトース部分分解物及びその製造方法が提供される。
以下に、本発明に係るガラクトキシログルカンのガラクトース部分分解物及びその製造方法の実施形態について、説明する。
本実施形態のガラクトキシログルカンのガラクトース部分分解物は、残存する遊離ガラクトース量が3.0質量%以下である。
前記ガラクトキシログルカンは、双子葉、単子葉植物など高等植物の細胞壁(一次壁)の構成成分であり、また、一部の植物種子の貯蔵多糖類として存在する非イオン性の高分子多糖類である。
このガラクトキシログルカンは、グルコース、キシロースおよびガラクトースを構成糖として有しており、主鎖としてβ−1,4結合してなるグルコースを有し、側鎖としてキシロースを有し、そのキシロースにさらに結合されたガラクトースを有する。
ガラクトキシログルカンは、いかなる植物由来のガラクトキシログルカンでもよく、例えばタマリンド、ジャトバ、ナスタチウムの種子、大豆、緑豆、インゲンマメ、イネ、オオムギなどの穀物またはリンゴなどの果実の表皮から入手できる。最も入手し易く、含有量も多いことを考慮すると、好ましくは、豆科植物タマリンド種子由来のガラクトキシログルカンである。かかるガラクトキシログルカンとしては、市販のものを採用し得る。市販品としては、例えば、グリロイド(登録商標)等が挙げられる。
前記ガラクトキシログルカンのガラクトース部分分解物は、ガラクトキシログルカンの側鎖ガラクトースが、部分分解されて除去されてなる物質である。以下、ガラクトキシログルカンのガラクトース部分分解物を、「ガラクトース部分分解物」と略称する場合がある。
なお、ガラクトキシログルカンとは、側鎖ガラクトースが後述する酵素処理による部分分解によって除去されていないガラクトキシログルカン(完全ガラクトキシログルカン)を意味する。また、かかる完全ガラクトキシログルカンは、ネイティブガラクトキシログルカンとも称される場合がある。
上記部分分解には酵素が用いられる。酵素としては、例えば、β−ガラクトシダーゼが挙げられる。
前記β−ガラクトシダーゼは、ガラクトキシログルカンに含まれるガラクトースとキシロースの結合を加水分解してガラクトースを遊離する酵素である。β−ガラクトシダーゼとしては、植物由来のものおよび微生物由来のもののいずれでもよいが、微生物Aspergillus oryzaeまたはBacillus circulans由来の酵素、または、ガラクトキシログルカン含有種子中の酵素が好ましい。かかるβ−ガラクトシダーゼとしては、市販のものを採用し得る。
このβ−ガラクトシダーゼによる酵素反応では、反応の進行につれて側鎖ガラクトースが部分的に除去され、その除去率が30%付近になると反応液は急激に増粘しゲル化する。ガラクトースの除去率が30〜55%の範囲では、加熱によってゲル化し冷却によってゾル化する可逆的熱応答ゲル化性を有するものとなる。ガラクトース除去率が30%未満ではゲル化せず、また、55%を越えると強固過ぎるゲルが得られる傾向にある(特許文献1、2参照)。
この点を考慮すれば、ガラクトースが30〜55%部分分解されてなる上記ガラクトース部分分解物を用いることが好ましい。除去率をこの範囲とすることによって、水に添加し、加熱することによって十分にゲル化を発揮させつつも、強固過ぎないゲル組成物を作製し得る。これにより、可逆的に、加熱によって十分にゲル化し、冷却によって十分にゾル化する可逆的熱応答ゲル化性を発揮させ易くなる。
加えて、その結果、得られたゲル組成物の弾力性及び強度をより十分に発揮させ得る。
ガラクトキシログルカンは、通常、側鎖キシロースを約37%、側鎖ガラクトースを約17%含有している(Gidleyら、カーボハイドレート リサーチ(Carbohydrate Research)、214(1991)219−314頁参照)。よって、ガラクトースが30〜55%部分分解されてなるガラクトース部分分解物は、側鎖キシロースを39〜41%、側鎖ガラクトースを8〜12%含有していると算出される。
なお、ガラクトースの部分分解率(すなわち、ガラクトースの除去率)は、得られた部分分解物がセルラーゼ分解されることによって生成されるガラクトキシログルカンオリゴ糖量を、高速液体クロマトグラフィー(以下、HPLCと称する。)(アミノカラム)で測定することにより算出することができる。
本実施形態のガラクトース部分分解物は、遊離ガラクトースを3.0質量%以下含有するものである。かかる本実施形態のガラクトース部分分解物は、従来のガラクトース部分分解物よりも、遊離ガラクトースを少なく含有している。すなわち、遊離ガラクトースの残存という点では、従来よりも精製されたガラクトース部分分解物といえる。
そこで、以下において、遊離ガラクトースを3.0質量%を超えて含有するガラクトース部分分解物を、「未精製ガラクトース部分分解物」といい、遊離ガラクトースを3.0質量%以下含有する本実施形態のガラクトース部分分解物を、「精製ガラクトース部分分解物」という場合がある。
残存する遊離ガラクトース量が3.0質量%以下であることによって、ガラクトース部分分解物は、アルカリ性条件下での加熱による変色が、抑制されたものとなる。
また、遊離ガラクトース量が少ない程、上記の着色が抑制され得る点を考慮すると、残存する遊離ガラクトース量は、好ましくは、1.5質量%以下である。
なお、残存する遊離ガラクトース量は、ガラクトース部分分解物中に含まれるガラクトースの水素をガラクトースデヒドロゲナーゼによって離脱させ、水素により還元されたβ−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドの吸光度の増加量を測定することにより算出し得る。
本実施形態のガラクトース部分分解物の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば、以下の製造方法が採用され得る。
すなわち、例えば、ガラクトキシログルカンからβ−ガラクトシターゼを用いた酵素反応によって側鎖ガラクトースを除去し、残存する遊離ガラクトース量が3.0質量%を超える粉状のガラクトース部分分解物を生成する生成工程と、
下記工程(1)〜(3)を含む工程を行うことによって、残存する遊離ガラクトース量が3.0質量%以下である粉状のガラクトース部分分解物を製造する方法が採用され得る。
(1)残存する遊離ガラクトース量が3.0質量%を超える前記ガラクトース部分分解物を、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール及び第三級ブチルアルコールよりなる群から選択される1つ以上のアルコールと水とを含有する含水アルコールで少なくとも1回洗浄する工程、
(2)工程(1)で得られた洗浄物を脱水する工程、
(3)工程(2)で得られた脱水物を乾燥する工程。
生成工程においては、まず、タマリンド種子由来のガラクトキシログルカンを水に溶解し(溶解工程)、クエン酸等の酸でpH5.0〜6.5に調製し(pH調整工程)、β−ガラクトシターゼを添加し、撹拌しながら50〜60℃で1〜16時間反応させる(酵素反応工程)。次いで、95〜100℃、10〜30分間加熱して酵素を失活させた後(酵素失活工程)、乾燥し、粉砕することによって、残存する遊離ガラクトース量が3.0質量%を超える粉状のガラクトース部分分解物(未精製ガラクトース部分分解物)を生成する(粉状化工程)。
この生成工程によれば、残存する遊離ガラクトースが3.0質量を超える、例えば、5.0%を超える粉状のガラクトース部分分解物を製造し得る。
工程(1)における洗浄は、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール及び第三級ブチルアルコールよりなる群から選択される1つ以上のアルコールと水とを含有する含水アルコールを用いて行う。なお、含水アルコールには、不可避的不純物を1質量%以下含んでいてもよい。よって、例えば、含水アルコールに水とアルコールのみが含有されている態様においても、かかる態様には、含水アルコールに不可避的不純物が1質量%以下含まれていることも包含される。
かかる含水アルコールによる洗浄によって、ガラクトース部分分解物中から含水アルコール中に遊離ガラクトースを移動させることができる。また、上記特定の含水アルコールを用いることによって、比較的多くの遊離ガラクトースをガラクトース部分分解物中から含水アルコール中に移動させることができる。
上記アルコールのうち、メタノールが好ましい。メタノールは沸点が64.7℃であり、エタノール、イソプロピルアルコールの沸点(78.4℃、82.6℃)よりも遥かに低いことから、工程(3)における乾燥において、工程(2)により得られた脱水物をより短時間で乾燥し得る。また、乾燥時間が短くなる分、乾燥に晒されることによって悪影響が及ぼされるおそれを回避し得る。
含水アルコールにおけるアルコールの濃度は、20〜70質量%であることが好ましく、30〜60質量%であることがより好ましい。
洗浄に用いる含水アルコール量は、未精製ガラクトース部分分解物の2〜20倍量(質量)であることが好ましい。
洗浄は、未精製ガラクトース部分分解物に含水アルコールを添加して混合することによって行い得る。
洗浄時間は、特に限定されるものではないが、1回の洗浄あたり、10〜120分間行うことが好ましく、30分〜60分間行うことがより好ましい。
洗浄温度は、20〜60℃が好ましく、25〜40℃がより好ましい。
含水アルコール溶媒での洗浄回数は、特に限定されない。洗浄を複数回行う場合は、洗浄が終了した後、工程(2)によって洗浄物を脱水し、得られた脱水物に含水アルコールを加えて、再度次の洗浄を行い得る。また、1回の洗浄が終了した後、工程(2)によって洗浄物を脱水し、工程(3)によって含水アルコールを乾燥させた後、得られた乾燥物に含水アルコールを加えて、再度次の洗浄を行っても良い。例えば、洗浄を複数回行うと、その分、遊離ガラクトースを低減し得る一方、操作が煩雑になる傾向にある。この点を考慮すれば、洗浄を1回行うことが好ましい。
工程(2)における脱水は、ろ過機または脱水機を用いて行い得る。ろ過機または脱水機としては、特に限定されないが、例えば、ヌッチェ(吸引ろうと)といった減圧ろ過機、フィルタープレスといった加圧ろ過機や、遠心脱水機等が挙げられる。
工程(1)で得られた洗浄物を工程(2)で脱水することによって、工程(1)で含水アルコール(洗浄液)中に移動させた遊離ガラクトースを、洗浄液と共に除去することができる。
ここで、洗浄液がガラクトース部分分解物から隔離されず、これに接触している場合には、この状態で乾燥すると、洗浄液が残っている分だけ、ガラクトース部分分解物から洗浄液中に一旦移動させた遊離ガラクトースがガラクトース部分分解物に再度移動し、その結果、遊離ガラクトースを十分に低減できないおそれがある。しかし、洗浄物を脱水することによって、遊離ガラクトースを含有する洗浄液を除去することができるため、遊離ガラクトースを十分に低減することが可能となる。
また、脱水後に洗浄物(すなわち、脱水物)に含まれる(残存している)含水アルコール量が多過ぎる場合には、その分、残存する遊離ガラクトース量も多くなり、また、工程(3)での乾燥時間が大幅に増加することになる。加えて、沸点の違いにより、含水アルコール中のアルコールが水よりも先に蒸発するため、含水アルコールが多く残っていると、その分、水も多く残ることになる。その結果、この水に起因して、ガラクトース部分分解物同士の結合(凝集)が生じ、その粉砕性の低下につながる。これに対し、脱水によって、洗浄物に含まれる含水アルコール量が少なくなる程、残存する遊離ガラクトース量は少なくなり、また、乾燥に要する時間が短くなる。さらに、ガラクトース部分分解物の粉砕性も向上することになる。
工程(3)の乾燥は、乾燥機を用いて行い得る。乾燥機としては、特に限定されないが、例えば、棚式乾燥機、真空乾燥機等が挙げられる。
工程(2)で得られた脱水物を工程(3)で乾燥することによって、遊離ガラクトースが低減された粉状のガラクトース部分分解物を得ることができる。
乾燥温度は、30〜90℃が好ましい。
乾燥時間は、2〜30時間が好ましい。
真空乾燥機を用いる場合、その真空度は1〜100kPa(絶対圧)が好ましい。
本実施形態のガラクトース部分分解物の製造方法は、さらに、下記工程(4)、(5)を備えていてもよい。
(4)工程(3)で得られた乾燥物を粉砕する工程
(5)工程(4)で得られた粉砕物を篩過する工程
工程(4)における粉砕は、粉砕機を用いて行い得る。粉砕機は、特に限定されないが、例えば、ハンマーミル、ピンミル等が挙げられる。また、試験用・少量生産用には、種々の粉砕機能を有するサンプルミルも使用し得る。
粉砕機の回転数は、粉砕機能に応じて適宜設定すればよく、特に限定されるものではない。例えば、ハンマーミルを用いる場合には5000〜18000rpm、ピンミルを用いる場合には2000〜11000rpmが好ましい。サンプルミルを用いる場合には2000〜18000rpmが好ましい。
粉砕回数は、特に限定されない。例えば、粉砕状況に応じて、1回の粉砕で十分に粉砕できなかった場合には、粉砕を適宜繰り返して十分に粉砕することが好ましい。例えば、サンプルミルの場合には10〜60秒間の粉砕を、1〜3回行うことが好ましく、ハンマーミルやピンミルの場合には5〜20分間の連続粉砕を、1〜3回行うことが好ましい。粉砕回数が多すぎると、生じる熱によってガラクトース部分分解物が凝集を起こし、その水に対する溶解性が低下するおそれがある。しかし、粉砕回数が1〜3回であることによって、上記溶解性の低下を抑制し得る。
工程(5)における篩過は、篩(JIS−Z−8801−1:2006準拠の篩)の目開きは75〜500μm(30〜200メッシュ)が好ましく、150〜300μm(50〜100メッシュ)がより好ましい。篩の目開きが小さくなるほどガラクトース部分分解物の粒子サイズが小さくなり、ガラクトース部分分解物の粒子サイズが小さいほど水に対する溶解性が高くなる。
なお、メッシュとは、1インチの長さの間にある網目の数を示す値である。
上記製造方法を用いて遊離ガラクトース量を低減することによって、ガラクトース部分分解物を熱安定化することができる。すなわち、上記工程(1)〜(3)を含む工程を行って、ガラクトース部分分解物に残存する遊離ガラクトース量が3.0質量%以下とすることによって、ガラクトース部分分解物を上記熱安定化する、ガラクトース部分分解物の安定化方法を行い得る。
上記の通り、本実施形態のガラクトース部分分解物は、
ガラクトキシログルカンのガラクトース部分分解物であって、
残存する遊離ガラクトース量が3.0質量%以下である。
残存する遊離ガラクトース量が3.0質量%以下であることによって、ガラクトース部分分解物は、アルカリ性条件下での加熱による変色が、抑制されたものとなる。
従って、熱安定性に優れた上記ガラクトース部分分解物となる。
本実施形態のガラクトース部分分解物においては、
前記残存する遊離ガラクトース量が1.5質量%以下であることが好ましい。
残存する遊離ガラクトース量が1.5質量%以下であることによって、ガラクトース部分分解物は、アルカリ性条件下での加熱による変色が、より抑制されたものとなる。
従って、熱安定性により優れた上記ガラクトース部分分解物となる。
本実施形態のガラクトース部分分解物の製造方法は、
ガラクトキシログルカンのガラクトース部分分解物を製造する方法であって、
下記工程(1)〜(3)を含む工程を行うによって、残存する遊離ガラクトース量が3.0質量%以下である粉状のガラクトース部分分解物を製造する:
(1)残存する遊離ガラクトース量が3.0質量%を超える粉状のガラクトース部分分解物を、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール及び第三級ブチルアルコールよりなる群から選択される1つ以上のアルコールと水とを含有する含水アルコールで少なくとも1回洗浄する工程、
(2)工程(1)で得られた洗浄物を脱水する工程、
(3)工程(2)で得られた脱水物を乾燥する工程。
かかる構成によれば、工程(1)にて上記含水アルコールで洗浄することによって、ガラクトース部分分解物中の遊離ガラクトースを、比較的多く上記含水アルコール中に移動させることができる。これにより、ガラクトース部分分解物中の遊離ガラクトースを低減できる。
また、工程(2)にて洗浄物を脱水することによって、上記のように含水アルコール(洗浄液)中に移動させた遊離ガラクトースを、洗浄液と共に除去することができる。ここで、洗浄液がガラクトース部分分解物から隔離されず、これに接触している場合には、この状態で乾燥すると、洗浄液が残っている分だけ、ガラクトース部分分解物から洗浄液中に一旦移動させた遊離ガラクトースがガラクトース部分分解物に再度移動し、その結果、遊離ガラクトースを十分に低減できないおそれがある。しかし、洗浄物を脱水することによって、遊離ガラクトースを含有する洗浄液を除去することができるため、遊離ガラクトースを十分に低減することが可能となる。
さらに、このようにして得られた脱水物を工程(3)で乾燥することによって、遊離ガラクトースが低減されたガラクトース部分分解物を得ることができる。
このように、上記含水アルコールで洗浄し、脱水、乾燥するだけで、比較的多くの遊離ガラクトースを上記含水アルコールに移動させることができ、これによって、簡便に、残存する遊離ガラクトース量が3.0質量%以下であるガラクトース部分分解物が製造される。
よって、上記の通り熱安定性に優れたガラクトース部分分解物を、簡便に製造し得る。
本実施形態のガラクトース部分分解物の製造方法においては、
工程(1)において、前記ガラクトース部分分解物の2〜20倍量の前記含水アルコールと前記ガラクトース部分分解物とを混合することによって洗浄を行うことが好ましい。
ガラクトース部分分解物の2〜20倍量の含水アルコールでガラクトース部分分解物を洗浄することによって、残存する遊離ガラクトース量を、より低減し易くなる。
よって、熱安定性に優れたガラクトース部分分解物を、より簡便に製造し得る。
本実施形態のガラクトース部分分解物の製造方法においては、
前記含水アルコールにおける前記アルコールの濃度が、20〜70質量%であることが好ましく、30〜60質量%であることがより好ましい。
含水アルコールにおける前記アルコールの濃度が、20〜70質量%であることによって、残存する遊離ガラクトース量を、より低減し易くなり、30〜60質量%であることによって、残存する遊離ガラクトース量を、さらに低減し易くなる。
よって、熱安定性に優れたガラクトース部分分解物を、より簡便に製造し得る。
本実施形態のガラクトース部分分解物の製造方法においては、
前記アルコールがメタノールであることが好ましい。
メタノールは、エタノール、イソプロピルアルコール及び第三級ブチルアルコールよりも遥かに沸点が低いため、アルコールとしてメタノールを用いることによって、脱水物をより短時間で乾燥し得る。また、乾燥時間が短くなる分、乾燥に晒されることによって悪影響が及ぼされるおそれを回避し得る。
よって、熱安定性に優れたガラクトース部分分解物を、より簡便に製造し得る。
本実施形態のガラクトース部分分解物の製造方法においては、
前記残存する遊離ガラクトース量が1.5質量%以下であることが好ましい。
これによって、熱安定性により優れたガラクトース部分分解物を製造し得る。
本実施形態のガラクトース部分分解物の製造方法においては、
工程(1)において、前記洗浄を1回行うことが好ましい。
これによって、作業性がより向上し得る。
本実施形態のガラクトース部分分解物の製造方法においては、
下記工程(4)、(5)をさらに行うことが好ましい:
(4)工程(3)で得られた乾燥物を粉砕する工程、
(5)工程(4)で得られた粉砕物を篩過する工程。
さらに工程(4)、工程(5)を行うことによって、水への溶解性が向上されたガラクトース部分分解物を製造し得る。
以上の通り、本実施形態によれば、熱安定性に優れたガラクトキシログルカンのガラクトース部分分解物及びその製造方法が提供される。
以上の通り、本実施形態によれば、熱安定性に優れたガラクトース部分分解物及びその製造方法が提供される。
本実施形態のガラクトース部分分解物は、従来技術に比べ熱安定性に優れることから、医薬品、化粧品、工業用途に幅広く使用することができ、特に化粧品に使用されることが有用である。さらに、アルカリ性条件下で使用される洗浄料を製造する場合等においては、ガラクトース部分分解物に起因する着色が防止されるため、外観に優れた製品が製造され得るため、この点で有用である。
以上、本実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に特に限定されるものではなく、本発明の意図する範囲内において適宜設計変更可能である。
以下、本発明について、実施例を参照しながらより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(製造例1)工程(1)で使用される未精製ガラクトース部分分解物の製造
ガラクトキシログルカン〔DSP五協フード&ケミカル社製、グリロイド(登録商標)〕1gを水99gに添加し、75℃で15分撹拌し、基質を1質量%含有する1質量%ガラクトキシログルカン水溶液を得た。精製酵素β−ガラクトシダーゼを用い、1質量%ガラクトキシログルカン水溶液を、酵素濃度2.4×10−5質量%、pH5.6、50℃で反応させた後、100℃で20分間加熱することにより、反応を停止させた。反応溶液は、反応開始後約15時間でゲル化し、これにより、ゲル状の組成物を得た。得られたゲル状の組成物におけるガラクトース除去率を、以下の方法で算出した。
ゲル状の組成物(1質量%水溶液)7gにセルラーゼオノズカRS〔ヤクルト社製〕0.15質量%溶液(50mM酢酸緩衝液、pH4.0)を1mL加え、50℃、オーバーナイトで反応させた。前述で調製した1質量%ガラクトキシログルカン水溶液も同様の方法で反応させ、対照とした。反応後、反応液を98℃で30分間加熱することによって酵素を失活させて、試料を得た。その後、得られた試料を前処理カートリッジ〔東ソー社製、IC−SP〕および0.45μmのセルロースアセテート製メンブレンフィルターにかけ、得られたろ液10μLを、アセトニトリル:水=60:40(v/v)を0.6mL/分で流しているHPLCのアミノカラムにアプライし、ガラクトキシログルカンのオリゴ糖(7糖(ガラクトース0個)、8糖(ガラクトース1個)、9糖(ガラクトース2個))の溶出面積を示差屈折率計で検出した。次いで、1ユニット(7糖)あたりのガラクトース量を、(8糖の面積+(9糖の面積×2))/(7糖の面積+8糖の面積+9糖の面積)により算出した。上記式を用いてゲル状の組成物について算出されたガラクトース量の、対照のガラクトキシログルカンについて算出されたガラクトース量からの減少率をガラクトース除去率(%)としてさらに算出したところ、約45%であった。
そして、前述で得られたゲル状の組成物を送風乾燥した後、粉砕し、篩過して、粉状の未精製ガラクトース部分分解物を得た。
得られた未精製ガラクトース部分分解物について、以下に示す方法で、残存する遊離ガラクトースの含有量を、ガラクトース部分分解物の量に対する百分率として測定したところ、6.89質量%であった。
・遊離ガラクトース量の定量:
ガラクトース部分分解物0.25gを水99.75gに溶解し、0.25質量%の試料溶液を得た。試料溶液200μLと、10mM β−NAD(β−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)50μLと、水200μLと、1.0Mトリス塩酸緩衝液(pH8.0)500μLとを混合し、GDH(ガラクトースデヒドロゲナーゼ)10μLを加えた後、室温で1時間静置した。1時間経過後、波長340nmでの試料溶液の吸光度を測定した。
上記1時間経過後には、ガラクトース部分分解物中の遊離ガラクトース量に応じてβ−NADHが生成している。そこで、生成したβ−NADHのモル吸光係数(6200μL/μmol・cm)と、上記測定で得られた吸光度とから、ガラクトース部分分解物中の遊離ガラクトースの量(g)を算出した。
このようにして、ガラクトース部分分解物中の遊離ガラクトースの量を定量した。
(実施例1〜9)精製ガラクトース部分分解物の製造:
メタノールとして、メタノール(ナカライテスク社製、ナカライ規格一級、99.0%以上(GC))を用いた。
エタノールとして、エタノール(ナカライテスク社製、JIS試薬特級、99.5%以上(GC))を用いた。
イソプロピルアルコールとして、2−プロパノール(ナカライテスク社製、ナカライ規格一級、99.0%以上(GC))を用いた。
製造例1で得られた未精製ガラクトース部分分解物を、以下のように精製することによって、実施例1〜10の精製ガラクトース部分分解物を製造した。
すなわち、表1に示す通り、500mLガラスビーカーに所定量の脱イオン水と、所定量のメタノール、エタノールまたはイソプロピルアルコールとを加えて混合して、含水アルコールを調製した。次いで、汎用撹拌機〔新東科学社製、型式:BL1200〕によって攪拌して分散しながら、ガラクトース部分分解物20gを加え、そのまま攪拌を続けることによって、室温で60分間、1回の洗浄を行った。
洗浄終了後、洗浄物を室温で吸引ろ過することによって、10分間脱水した。
得られた脱水物をプラスチックトレーに移し、50℃の送風乾燥機〔エスペック社製、型式:SPH−201〕で10〜15時間乾燥した。
得られた乾燥物を小型粉砕機(サンプルミル)〔協立理工社製、型式:SK−M2〕で、18000rpmで10秒粉砕し、50メッシュ(目開き:150μm)の篩で篩過した。
50メッシュ篩上に残った粒子を、再度、粉砕して篩過し、既に得られた篩過物と混合することによって、実施例1〜9の精製ガラクトース部分分解物を、各18〜19g得た。
また、洗浄回数を2回とすること以外は実施例1〜9と同様にして、実施例10の精製ガラクトース部分分解物を18.4g得た。具体的には、上記と同様に1回目の洗浄を行った後、上記と同様の脱水を行い、脱水後、上記と同様に2回目の洗浄を行い、その後、上記と同様にして脱水及び乾燥を行った。
さらに、20倍のスケールで製造すること以外は実施例1〜9と同様にして、実施例11の精製ガラクトース部分分解物を341g得た。
一方、製造例1で得た未精製ガラクトース部分分解物を、上記洗浄も、脱水も乾燥も行うことなく用いて、比較例1とした。
メタノールのみで洗浄すること以外は実施例1〜9と同様にして、洗浄、脱水、乾燥、粉砕、篩過することによって、比較例2の精製ガラクトース部分分解物を得た。
50質量%メタノールを含有する含水アルコールを、ガラクトース部分分解物に対し1倍量用いること以外は実施例1〜9と同様にして、比較例3の精製ガラクトース部分分解物を得た。
そして、実施例1〜11、比較例1〜3について、上記と同様にして、遊離ガラクトース量を定量した。結果を表1に示す。
(比較例4)先行技術文献に沿ったガラクトース部分分解物の製造
特許文献2に記載のガラクトース部分分解物の製造方法に沿って、10分の1のスケールでガラクトース部分分解物の製造を行った。
すなわち、タマリンド種子由来のガラクトキシログルカン(DSP五協フード&ケミカル株式会社製、「グリロイド」)12gを400gの水に分散後、80℃で1時間撹拌して溶解し、55℃に保持した後クエン酸でpH5.8に調製し、β−ガラクトシダーゼ〔ヤクルト薬品工業(株)製、商品名「ラクターゼY−AO」〕20%水溶液0.45gを添加し、静置して2時間反応させた。95℃、30分加熱して酵素を失活させた後、室温に戻し、等容量のエタノール(400g)を加え、軽く混合後、1時間放置した。沈殿物を吸引濾過により回収し、送風乾燥機で約30時間乾燥した後に粉砕し、48メッシュで篩過して粉状のガラクトース部分分解物(ガラクトース除去率約44%)11gを得た(比較例4)。
上記と同様にして、残存する遊離ガラクトース量を測定したところ、5.34%であった。
Figure 0006785119
Figure 0006785119
Figure 0006785119
表1〜3に示すように、アルコールとして、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールのいずれを用いた場合でも、含水アルコールを用いて洗浄することによって、同程度の洗浄効果(遊離ガラクトース量の低減効果)が見られた。
また、試薬(ナカライ規格一級)のメタノールのみでは遊離ガラクトースが除去されないが、含水メタノールでは遊離ガラクトース量が除去され、これによって低減された。
さらに、含水アルコール量の使用量は、ガラクトース部分分解物1質量部に対し、1質量部(1倍)では十分な洗浄効果が見られなかったが、3質量部(3倍)では残存する遊離ガラクトース量が大きく低減された。洗浄回数を2回に増やすと、残存する遊離ガラクトース量はさらに低減された。
洗浄スケールを20倍に大きくした場合でも、残存する遊離ガラクトース量は低減された。
また、洗浄温度を40℃、50℃、60℃に変更すること以外は実施例1の条件と同様にして、精製ガラクトース部分分解物を得た場合でも、実施例1と同程度の遊離ガラクトース量の低減効果が見られた。
洗浄時間を10分、30分、120分に変更すること以外は実施例1の条件と同様にして、精製ガラクトース部分分解物を得た場合でも、実施例1と同程度の遊離ガラクトース量の低減効果が見られた。
(試験例1)遊離ガラクトース量が着色に及ぼす影響の確認
300mLステンレスビーカーに脱イオン水196g、実施例1の精製ガラクトース部分分解物(遊離ガラクトース量:1.10%)または比較例1の未精製ガラクトース部分分解物(遊離ガラクトース量:6.89%)4gを入れ、撹拌棒で混合して軽く分散させた後、冷凍庫に1時間保管した。その後、汎用撹拌機〔新東科学社製、型式:BL1200〕を用いて室温で30分間撹拌し、ガラクトース部分分解物を2質量%含有する水溶液を調製した。各水溶液25gを50mL容量のコニカルチューブに入れ、さらに4質量%水酸化ナトリウム水溶液を、それぞれ0g(0質量%)、0.15g(0.012質量%)、0.30g(0.024質量%)、0.50g(0.04質量%)、1.00g(0.08質量%)加え、計50gとなるように脱イオン水を加えて混合して、試料溶液を調製した。得られた試料溶液を85℃の湯浴に浸け、試料溶液の温度が80℃に達してからさらに20分加熱し、放冷した後、室温にて、ポータブルpHメーター〔堀場製作所社製、型式:B−712〕を用いて試料溶液のpHを評価し、カラーメーター〔スガ試験機社製、型式:SM−T、光路透過、C光2度視野〕を用いて試料溶液の色相(b値)を評価した。
b値は、ハンターのLab表色系における色相・彩度を表す色座標であり、正の値は黄色味を示し、その値が大きいほど黄色味が強くなることを示す。
結果を表4に示す。
Figure 0006785119
表4に示すように、アルカリ性条件で加熱すると、実施例1の水溶液よりも比較例1の水溶液の方が、遥かにb値が大きくなった。各試料溶液の色調を肉眼で観察したところ、b値が5程度ではほぼ黄色は感じられなかったが、b値が10程度では明らかに黄色の溶液であり、15程度では濃黄色の溶液であることが観察された。
(試験例2)遊離ガラクトース量が粘度及びゲル破断応力に及ぼす影響の確認
300mLステンレスビーカーに脱イオン水197.5g、実施例1の精製ガラクトース部分分解物(遊離ガラクトース量:1.10%)または比較例1の精製ガラクトース部分分解物(遊離ガラクトース量:6.89%)2.5gを入れ、汎用撹拌機〔新東科学社製、型式:BL1200〕を用いて氷温(1±1℃)で1時間撹拌し、ガラクトース部分分解物を1.25質量%含有する水溶液を調製した。
得られた試料溶液を1±1℃の水浴に浸け、1時間静置した後、B形粘度計〔東機産業社製、型式:TVB−25L〕を用いて試料溶液の粘度(M2ロータ、30rpm、1分間の値)を測定した。その後、試料溶液を35gずつガラス製ゲルカップに移し、40℃の恒温器〔三洋電機(現、パナソニック)社製、型式:MIR−153〕に3時間静置後、クリープメーター〔山電社製、型式:RE2−33005S〕を用いて試料溶液のゲル破断応力(8mmのプランジャー、1mm/秒)を測定した。
結果を表5に示す。
Figure 0006785119
表5に示すように、実施例1は、比較例1よりも明らかに、粘度およびゲル破断応力が高かった。同量の粉状物で比較したとき、実施例1では、遊離ガラクトースが低減されたことにより、ガラクトース部分分解物の含量が相対的に高くなったため、比較例1よりも粘度およびゲル破断応力が向上したものと考えられる。
この結果から明らかなように、未精製ガラクトース部分分解物ではアルカリ性条件下で加熱すると水溶液の変色が見られたが、精製ガラクトース部分分解物ではアルカリ性条件下で加熱しても、更にはアルカリ性を高めて(濃度を上げて)加熱しても変色が見られなかった。さらに、精製ガラクトース部分分解物では、未精製ガラクトース部分分解物よりも、水溶液の粘度およびゲル破断応力の上昇も見られた。このように、本実施形態のガラクトース部分分解物はアルカリ性条件下で加熱したときの変色が抑制されており、熱安定性に優れた水溶液を提供し得ることがわかった。

Claims (6)

  1. ガラクトキシログルカンのガラクトース部分分解物を製造する方法であって、
    下記工程(1)〜(3)を含む工程を行うことによって、残存する遊離ガラクトース量が3.0質量%以下である粉状のガラクトース部分分解物を製造し
    (1)残存する遊離ガラクトース量が3.0質量%を超える粉状のガラクトース部分分解物を、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール及び第三級ブチルアルコールよりなる群から選択される1つ以上のアルコールと水とを含有する含水アルコールで少なくとも1回洗浄する工程、
    (2)工程(1)で得られた洗浄物を脱水する工程、
    (3)工程(2)で得られた脱水物を乾燥する工程
    工程(1)において、前記ガラクトース部分分解物の2〜20倍量の前記含水アルコールと前記ガラクトース部分分解物とを混合することによって洗浄を行う、ガラクトキシログルカンのガラクトース部分分解物の製造方法。
  2. 前記含水アルコールにおける前記アルコールの濃度が、20〜70質量%である、請求項に記載のガラクトキシログルカンのガラクトース部分分解物の製造方法。
  3. 前記アルコールがメタノールである、請求項1または2に記載のガラクトキシログルカンのガラクトース部分分解物の製造方法。
  4. 前記残存する遊離ガラクトース量が1.5質量%以下である、請求項のいずれかに記載のガラクトキシログルカンのガラクトース部分分解物の製造方法。
  5. 工程(1)において、前記洗浄を1回行う、請求項のいずれかに記載のガラクトキシログルカンのガラクトース部分分解物の製造方法。
  6. 下記工程(4)、(5)をさらに行う、請求項のいずれかに記載のガラクトキシログルカンのガラクトース部分分解物の製造方法:
    (4)工程(3)で得られた乾燥物を粉砕する工程、
    (5)工程(4)で得られた粉砕物を篩過する工程。
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