JPH08176202A - デンプン加水分解生成物の製造方法 - Google Patents

デンプン加水分解生成物の製造方法

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JPH08176202A
JPH08176202A JP7246436A JP24643695A JPH08176202A JP H08176202 A JPH08176202 A JP H08176202A JP 7246436 A JP7246436 A JP 7246436A JP 24643695 A JP24643695 A JP 24643695A JP H08176202 A JPH08176202 A JP H08176202A
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starch
enzyme
shps
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suspension
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イアン・カニングハム・ムッター・デア
Sibel Roller
ジーベル・ローラー
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Unilever Bestfoods North America
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 デンプンを10〜30重量%(乾燥分)
を含む水性デンプン懸濁液を58℃〜80℃の範囲の温
度に加熱し、それをブタ膵臓α−アミラーゼで58°〜
63℃で処理し、そして酵素を不活性化することによ
り、食品中で脂肪および/または油代用品として使用す
るのに適したデンプン加水分解生成物を製造する。 【効果】 冷水に部分的に溶け、90℃で注ぐことがで
きず、部分的に糊化したデンプン顆粒を含み、交差−偏
光下で複屈折を示す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、食品組成物中で脂
肪および/または油代用品としての用途を有するデンプ
ン加水分解生成物に関する。本発明はまた、このデンプ
ン加水分解生成物の製造方法および、このような生成物
を、食品生成物中で通常使用される脂肪および/または
油の代わりに食品組成物中で使用することに関する。本
発明は特にこのデンプン加水分解生成物を低脂肪のおよ
び脂肪を含まないサラダドレッシング中で使用すること
に関する。
【0002】
【従来の技術】デンプン加水分解生成物は、デンプンを
酸または酵素変換することによって得られる。デンプン
の酸または酵素変換によって得られる組成物中の成分、
それ故組成物の特性は、変換方法において使用される操
作条件、特に反応物の濃度、反応が行なわれる温度およ
び反応が行なわれる時間によって決まる。
【0003】デンプン加水分解生成物(Starch hydroly
sis products, SHPs)は、食品組成物中の脂肪−お
よび油−代用品として、既に提案されている。例えば、
英国特許第1,423,780号明細書は、デンプン懸
濁液をα−アミラーゼ、好ましくは細菌α−アミラーゼ
で、澱粉顆粒が膨潤する温度で、5〜30分間処理する
ことを特徴とする、25%以下のデキストロース当量
(dextrose equivalent,DE)を有するデンプン加水分
解生成物の製造方法を開示している。この方法で製造さ
れるSHPsは、報じられるところでは、凍結−解凍安
定である温度可逆的なゲルを形成する。これらのSHP
sを用いる推奨される食品には、切ることができる、低
脂肪のマヨネーズがある。米国特許第4,510,16
6号明細書には、デンプンが5未満のDEを有するこ
と、および、デンプン固体が10〜50重量%のデンプ
ンの水性分散体が55℃で少なくとも約10秒の熱流粘
度を有し、4℃で24時間以内に少なくとも25gの強
度を有するゲルを形成できることを特徴とする食品中で
脂肪または油の代わりとして使用するための変換したデ
ンプンも開示している。変換したデンプンは、水性デン
プンスラリーとα−アミラーゼとを所望の変換率(DE
によって示される)に達するまで加熱することによって
得られ得る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】我々は、先行技術のS
HPsを用い、油を添加しないで製造したサラダドレッ
シングが、容認できないのりまたはゴム様のコンシステ
ンシーを有するかあるいはこのような製品中で所望され
ない他の官能特性を有することを見出した。デンプン分
子中のα−D−(1→4)結合の加水分解攻撃を触媒す
るα−アミラーゼは、広く自然の中に;植物、細菌およ
び動物中に生じる。α−アミラーゼが触媒するデンプン
の加水分解を用いて製造されるSHPの特性は、使用す
るα−アミラーゼの種類によって決まることが見出され
た。
【0005】
【課題を解決するための手段】我々は驚くべきことに、
先行技術のSHPsの欠点を持たないSHPsが、変換
酵素としてブタ膵臓α−アミラーゼを用いて製造され得
ることを見出した。本発明によれば、(i)デンプンを
10〜30重量%(乾燥分(dry substance))を含む水性
デンプン懸濁液を調製し、(ii)この水性デンプン懸
濁液を、デンプンの糊化温度よりもあまり高くない58
℃〜80℃の範囲の温度に加熱し、(iii)得られた
水性デンプン懸濁液を、ブタ膵臓α−アミラーゼで58
°〜63℃の範囲の温度で生成物の水溶性フラクション
に必要なDEおよび/または分子量を達成するのに適し
た時間処理し、そして(iv)酵素を不活性化する工程
を含むことを特徴とする、部分的に糊化したデンプン顆
粒を含むデンプン加水分解生成物の製造方法が提供され
る。
【0006】本発明による方法により得ることができる
SHPsは、好ましくは3〜12、より好ましくは4〜
10の範囲のDEを有し、冷水、すなわち20℃または
それ以下の温度の水に部分的に溶ける。さらに、SHP
sは一般に90℃で注ぐことができず、顕微鏡試験によ
って観察できる部分的に糊化したデンプン顆粒を含みそ
して交差−偏光(crossed-polarised light) 下で複屈折
(birefringency) を特徴的に示す。これらのSHPs
は、部分的にまたは完全に、食品組成物中で通常使用さ
れる食用の脂肪または油の代わりに用いることができ
る。特に、それらは、先行技術のSHPsから製造され
るサラダドレッシングに結びついているテクスチャーの
欠点を持たない低脂肪のおよび脂肪を含まないサラダド
レッシング、例えばマヨネーズを製造するために使用で
きる。
【0007】本発明のデンプン加水分解生成物は、1重
量%のレベルでは20℃の水に部分的に溶け、典型的に
は、沸騰後でさえなお水に溶けないフラクションを20
重量%〜60重量%含む。当該生成物の水に溶けるフラ
クションは、6〜30kDaの範囲、好ましくは8〜2
0kDaの範囲のその分子量曲線中のピークを示す。従
って、それ故本発明は、食品組成物中の脂肪および/ま
たは油代用品として使用するのに適したデンプン加水分
解生成物であって、冷水に部分的に溶け、かつ、その水
溶性フラクションが、6〜30kDaの範囲のその分子
量曲線中のピークを有することを特徴とする生成物をも
また提供する。
【0008】本発明により製造され得るSHPsのため
に、酵素変換されるデンプン源は、穀類または根デンプ
ンであり、典型的には、オオムギスターチ、コムギスタ
ーチ、コーンスターチ、ポテトスターチ、タピオカスタ
ーチ、ライススターチまたはサゴスターチから選択され
得る。これらのデンプンは、化学的に変性(例えばリン
交差結合)されていてもよく、また、ワキシーコーンス
ターチおよび高アミロースコーンスターチのような遺伝
的な変種であってもよい。我々は、本発明によりコムギ
スターチから製造されるSHPsが、他のデンプン源を
用いて製造されるSHPsよりもより良好な脂肪まがい
の特性を有するので、好ましいことを見出した。
【0009】異なる源からのデンプンは、異なる糊化温
度を有することがある。例えば、コムギスターチおよび
タピオカスターチの糊化温度が異なる場合だけでなく、
ヨーロッパのコムギスターチは、アメリカのコムギスタ
ーチが糊化する温度と異なる温度で糊化する場合もあ
る。この違いは、少なくとも部分的には、種々の地域で
支配している気候条件が異なるためである。これらの違
いを考慮すると、本発明の方法では、デンプンを、水性
懸濁液中で、58°〜80℃の範囲の温度に、しかし、
使用するデンプンの糊化温度よりもあまり高くない温度
に加熱する必要がある。この糊化温度は、経験的に決定
することができる。その結果、デンプン顆粒を膨潤さ
せ、そしてデンプンは酵素が触媒する加水分解の着手前
または間に部分的に糊化され得る。好ましくは、水性デ
ンプン懸濁液を、デンプンの膨潤が始まる温度よりわず
かに低い、例えば1〜2℃低い温度に加熱する。
【0010】上記の加熱した水性デンプン懸濁液を次い
で、ブタ膵臓α−アミラーゼで58°〜63℃、好まし
くは58〜60℃の範囲の温度で適当な時間処理する。
本発明において使用するのに適した典型的なブタ膵臓α
−アミラーゼは、報告された活性がpH6.9,水分1
3%で25単位/固体mgであるE.C. 3.2.1.1. TypeVI
-B (Sigma) No. A-3176である。この酵素の1単位は、
20℃,pH6.9で3分間でデンプンから1mgのマ
ルトースを遊離する量と定義される。報告されたβ−ア
ミラーゼ活性はpH4.8で7.4単位/固体mgであ
る。報告されたこの酵素の最適pHは6〜7であり、こ
の酵素は50℃以上で不耐熱性である。本発明で使用す
る酵素の濃度は典型的には700〜2100単位/リッ
トルの範囲にある。
【0011】3〜12の範囲の好ましいDEおよび/ま
たはその水溶性フラクションについて6〜30kDaの
範囲のピークを有する好ましい分子量曲線を有する生成
物を与えるためのデンプンの酵素変換に適当な時間は、
一般に、5〜30分であり、4〜10の最も好ましい範
囲のDEを有する生成物については、典型的には11〜
15分である。
【0012】当該生成物の水溶性フラクションについて
の所望のDEおよび/または分子量が達成された時、酵
素を不活性化することによって基質がさらに加水分解さ
れるのを妨げることが必要である。不活性化は、典型的
には、酵素を含む組成物を、少なくとも80℃、好まし
くは90℃〜95℃の温度に加熱することによって達成
される。
【0013】酵素の不活性化に次いで、SHPは使用前
に冷却される。SHPは、場合により、当該技術におい
てそれ自体公知の技術によって、例えば凍結乾燥または
噴霧乾燥によって、乾燥され得る。本発明により得られ
るSHPsは、好ましくは、3〜12、より好ましくは
4〜10の範囲のDEを有し、冷水(すなわち、約20
℃の温度の水)に部分的に溶ける。典型的には、SHP
sは90℃で注ぐことができない。本発明により得られ
るSHPsはまた、部分的に糊化したデンプン顆粒を含
み、一般に、交差−偏光下で、デンプン結晶が少しある
ことを示す複屈折を示す。我々は、本発明のSHPs
が、典型的には、5〜160g、好ましくは5〜55g
の範囲の破壊強度、および、(24時間熟成した)変性
したデンプンの20%ペーストについて測定して25g
/mmより大きくない、好ましくは2〜13g/mmの
ゲル強度、および、ブラベンダーアミログラフ中で51
〜59℃で測定して80〜1200BU(ブラベンダー
単位)のピーク粘度を有することも見出した。
【0014】本SHPsは、食品組成物中、特に油を含
まない(0%油)または脂肪を含まない(0%脂肪)組
成物中で、油−および/または脂肪−代用品としても使
用され得る。本SHPsは特に、油を含まない(0%
油)サラダドレッシング中、例えば低カロリーマヨネー
ズ中で、脂肪擬態品(mimetics)──形態(body)を与える
および/またはコンシステンシーを付与するキャリヤー
──として有用である。
【0015】
【実施例】実験 本発明によるSHPsは、以下の例に記載したように製
造された。これらの例で使用した酵素は、ブタ膵臓α−
アミラーゼ(報告された活性がpH6.9で25単位/
固体mgである、Sigma Chemical Companyから入手した
製品A-3176, Type VI-B)であった。1単位は、20℃,
pH6.9で3分間でデンプンから1mgのマルトース
を遊離する量として定義された。報告されたβ−アミラ
ーゼ活性は、pH4.8で7.4単位/固体mgであっ
た。報告された最適pHは6〜7で、この酵素は50℃
以上で不耐熱性であった。
【0016】例1〜9 コムギデンプンを、0.02Mリン酸ナトリウム緩衝液
(pH7)中で、0.02M塩化ナトリウムを添加して
または添加しないで、分散させて、30%の最終デンプ
ン濃度とした。従って、9kgのデンプンを21リット
ルの緩衝液と;12kgのデンプンを28リットルの緩
衝液と;および20kgのデンプンを46.7リットル
の緩衝液と混合した。酵素を同一緩衝液中に溶解させ、
デンプンスラリーに添加して、時間0で適当な活性(単
位/デンプンスラリーのリットル)とした。加水分解
は、45回転/分で反対方向に回転する中心のかい状の
棒を備えた、100リットルの、表面をきれいにした、
水蒸気でおおったミキサー(Agemore) 中で行なった。容
器の温度は、反応の間5psigの、そして酵素不活性
化段階(90〜95℃)の間15psigの間欠水蒸気
圧をスチームジャケットに適用することによって制御さ
れた。
【0017】デンプンの酵素加水分解は、58〜60℃
で行い、添加した酵素の濃度は、700〜2100単位
/リットルであった。加水分解の時間(保持時間)は1
1から15分の間であり、3.8〜9.0のDEsを生
じさせた。反応はデンプンミックスを90℃以上に素早
く加熱して酵素を不活性化することによって止めた。熱
SHPを金属トレーに注ぎ、冷却させそして凍結乾燥の
前に−30℃で送風凍結した。乾燥したら、この材料を
ハンマーミルで粉砕して粉末を得た。
【0018】加水分解の過程は、デンプン混合物の試料
を定期的に取り、それを沸騰させて酵素を不活性化し、
次いで凍結乾燥しそしてDNSA法により還元糖を測定
することによって監視した。反応パラメータの例を表I
に示す。 表I SHPsの製造に使用する反応パラメーター 酵素の量 59〜63℃での保持時間 NaCl DE (単位/リットル) (分) 1 あり 4.4 1400 30 2 あり 4.5 1400 5 3 なし 4.9 1400 17 4 あり 6.7 1400 12 5 あり 8.4 1400 19 6 あり 9.0 1400 22 7 なし 9.2 2100 22 8 なし 9.6 2800 27 9 あり 11.0 1400 30 80gのSHPsを蒸留水に分散させて全容積を400
mlにすることによってスラリーを調製した。これらの
スラリーを、8本またの試料ボール、7本またのセンサ
ーおよび700−cmg測定ヘッドを備えたブラベンダ
ービスコグラフ(Type 801201) 中で1分につき1.5℃
で25°から97℃に加熱した。このスラリーを97℃
で15分間保持し、次いで30℃に冷却した。粘度を、
加熱および冷却サイクルを通じてチャート記録計で監視
し、その際この記録計は、各試料の間で、ボール中で4
00mlの蒸留水で0粘度に合わせられた。ピーク粘度
はブラベンダー単位で記録した。
【0019】一連の製造したSHPsの粘度特性を表I
Iに示す。 表II ブラベンダービスコグラフで測定したデンプンペーストの粘度 (特記なき限り、全てのペーストは20%重量/容積の試料を含んでいた) 例 DE 出発粘度 ペースト化温度 ピーク粘度 No (Pasting temp.) 温度 (BU) (℃) (BU) (℃) 1 4.4 100 28 1163 53 2 4.5 38 27 1200 57 3 4.9 365 34 615 53 4 6.7 50 25 410 54 5 8.4 60 27 220 55 6 9.0 460 37 460 51 7 9.2 140 35 180 59 8 9.6 65 40 83 58 9 11.0 40 27 350 52 SHPsのゲル化特性 SHPsを蒸留水に20%(重量/容積)の濃度で分散
させ、上述したようにブラベンダービスコグラフ中で加
熱し、97℃で15分間保持しそして、熱い間に、首が
テープで延長されている120ml容積のガラスジャー
に注いだ。このジャーを縁の上まで満たし、冷却し、2
0℃でまたは4℃で24時間熟成させた。
【0020】熟成したデンプンゲルは、堅い薄膜を形成
し、それを縁でワイヤーチーズカッターで取り去った。
ゲルを、先端が半球形のPerspectプローブ(直径13m
m×3.5cm)を備えたLFRA/Stevens テクスチャー
分析計で分析した。プローブを、ゲルの中心を20ml
の最大深さまで0.5mm/秒の速度で貫通するよう合
わせた。プローブ上の負荷を、チャート記録計で貫通距
離の関数として連続して記録した。テクスチャー分析計
を、チャート記録計用紙上でフルスケールのふれとして
0.200mV(200gの負荷に相当)の応答範囲が
得られるように、標準の200gおもりで調整した。
【0021】SHPsのゲル化特性を表IIIに示す。 表III Stevens/LFRAテクスチャー分析計において測定した デンプンペーストのゲル調製物 (特記なき限り、全てのゲルは20%のデンプンを含んでいた) 例 DE 破壊強度 弾性限度 ゲル強度 No (g) (mm) (g/mm) 1 4.4 50.0 3.9 12.8 2 4.5 159 6.3 25.4 3 4.9 42.5 3.5 12.1 4 6.7 38.2 3.8 10.1 5 8.4 24.8 4.3 5.8 6 9.0 54.2 4.9 11.1 7 9.2 8.0 3.7 2.2 8 9.6 5.0 2.1 2.4 9 11.0 46.4 5.4 8.6 顕微鏡検査 製造した全てのSHPsは、光学顕微鏡により測定され
るように、いくつかの部分的に糊化したデンプン粒子を
含んでいた。従って、堅く固まったデンプン粒子を含
む、大きさが30〜100μmの密な角ばった断片(com
pact,angular fragments) が観察された。断片は水中で
除々に水和した。複屈折も観察された。対照的に、Aveb
e のPaselli SA2 のような市販のポテトSHPは、もと
のままのまたは部分的に糊化した顆粒を含んでいなかっ
た。
【0022】例10〜18 以下の例中で、低DE SHPsを、いくつかのラテン
アメリカのデンプン(ブラジルのコーンスターチ、ブラ
ジルのコムギスターチおよびメキシコのタピオカスター
チ)から製造した。これらの例において、α−アミラー
ゼは、例1〜9で使用したのと同じブタ膵臓α−アミラ
ーゼであった。
【0023】コムギデンプンSHPsは、デンプン
(1.2kg)を2.8リットルの10mMリン酸ナト
リウム緩衝液(pH7)に分散させて、最終デンプン濃
度を30%とすることによって製造された。酵素を10
mlの同じ緩衝液に溶かし次いで時間0でデンプンスラ
リーに添加した。デンプン混合物を、およそ60℃での
糊化の開始まで、オーバーヘッドパドルミキサーを用い
て攪拌した。これに続いて、反応物は、ミキサー装置に
よって攪拌するには濃すぎたので、手で攪拌した。反応
期間(「保持時間」)の終わりに、混合物の温度を80
℃に上げて酵素を不活性化した。
【0024】タピオカスターチの加水分解を、実質的に
上述したようにして行なった。但し、デンプンスラリー
を70℃に加熱し、(室温で)60℃に冷却し、その後
酵素を添加した(さもなければブタアミラーゼは熱で不
活性化されるだろう)。反応期間の終わりに、混合物の
温度を80℃に上げて酵素を不活性化する。この研究で
製造された全てのSHPsの含水率は非常に似ていた。
従って、ブラジルのコムギから製造した例10および1
1のSHPsは、それぞれ2.4%および2.6%の水
分を含んでいた;メキシコのタピオカスターチからの例
13および14からのSHPsは、それぞれ2.8%お
よび2.1%の水分を含んでいた;そしてブラジルのコ
ーンからの例17および18からのSHPsは、それぞ
れ2.9%および3.1%の水分を含んでいた。
【0025】表Vは、ブラベンダービスコグラフで測定
されたラテンアメリカのデンプンおよびそれらのSHP
sのレオロジー特性を示す。ブラジルのコムギで得られ
る結果は、ヨーロッパーのコムギから製造されたSHP
sについて得られた結果に似ていた。例えば、ブラジル
のコムギから製造されたDEが4.9の例10からのS
HPは、1300BUのピーク粘度を有していて、ヨー
ロッパのコムギから製造されたDEが4.5の例2から
のSHPは1200BUのピーク粘度を有していた。
【0026】メキシコのタピオカスターチとその生成物
は、表Vに示されているように、ブラジルのコムギスタ
ーチおよびその生成物よりも粘性であった。ブラジルの
コーンおよびそのSHPsはメキシコのタピオカおよび
その生成物ほど粘性でなかったが、それは、ブラジルの
コムギスターチおよびその生成物よりも粘性であった。
従って、ラテンアメリカのデンプンを粘度が減少する順
序で挙げると、その順序は、メキシコタピオカ、ブラジ
ルコーン、ブラジルコムギであろう。粘度に関するこれ
らの一般的傾向は、タピオカ、コーンおよびコムギから
のヨーロッパのデンプンについて一致していた。
【0027】コーンスターチSHPsを上述したように
製造した。但し、デンプンスラリーを75℃に加熱しそ
して60℃に冷却し、その後酵素を加えた。30%の濃
度での最初のコーンSHP(例15)の製造の際に、攪
拌が困難になって均質な生成物を製造できない程度まで
デンプンが濃くなったので、問題が生じた。それ故、次
のコーンSHPs(例16〜18)を、10%の濃度で
製造した。反応期間の終わりに、混合物の温度を80℃
に上げて酵素を不活性化した。
【0028】各加水分解反応の過程を、反応混合物を定
期的に試料採取し(5〜10ml)10分間沸騰させて
酵素を不活性化することによって監視した。これらの試
料を凍結し、その後Lyolab BII実験室用凍結乾燥器(Lif
e Science Labs. Ltd., Luton, Beds., 英国) 中で凍結
乾燥した。反応の終わりで熱いSHPsの大部分を金属
トレーに注ぎ、室温で冷却し、そして凍結し、その後、
Edwards 'Mini-Fast'実験室/パイロット用凍結乾燥器
(Model 3400, Edwards High Vacuum, Crawley,West Sus
sex, 英国) 中で凍結乾燥した。乾燥したら、全ての材
料を粉砕して粉末,ハンマーミル(Christy & Norris Lt
d.) 中でバルク試料,および Braunコーヒー粉砕器中で
または乳棒およびモーターで時間経過(time-course) 試
料にした。
【0029】SHPsを製造する際に使用する加工パラ
メーターを表IVにまとめる。ブラジルのコムギからの
SHPsの製造に使用した反応パラメーターは、ヨーロ
ッパのコムギSHPsの製造に使用したものと実質的に
非常に似ていた。ラテンアメリカからのユッカおよびコ
ーンSHPsの製造に使用した反応パラメーターは、酵
素の添加前に各デンプン基質を予備糊化した点でコムギ
SHPsについての反応パラメーターと異なっていた。
方法論におけるこの変更は、前もって予備糊化しないで
コーンおよびタピオカ基質で不十分な酵素活性を示した
以前の結果を考慮して、行なわれた。
【0030】 表IV SHPsの製造に使用した反応パラメーター 例 デンプン基質 初期デン DE 酵素の量 60℃での プン濃度 (単位/ 保持時間 (%) リットル) (分) 10 ブラジルのコムギ 30 4.9 2,100 4.5 11 ブラジルのコムギ 30 10.7 2,100 14.5 12 ブラジルのコムギ 30 11.7 2,100 20.0 13 メキシコのタピオカ 30 4.6 2,100 8.0* 14 メキシコのタピオカ 30 6.8 2,100 20.0* 15 ブラジルのコーン 30 6.2 2,100 20.0** 16 ブラジルのコーン 10 7.3 2,100 6.0** 17 ブラジルのコーン 10 7.8 2,100 8.0** 18 ブラジルのコーン 10 6.3 2,100 10.0** * デンプンは70℃まで加熱することによって予備糊
化した。酵素は60℃に冷却した時に添加した。
【0031】** デンプンは75℃まで加熱すること
によって予備糊化した。酵素は60℃に冷却した時に添
加した。 表V ブラベンダービスコグラフ中で測定したデンプンペーストの粘度 例 DE 濃度 出発 ペースト化 ピーク粘度 30℃での (%重量 粘度 温度 粘度 /容積)(BU) (℃) (BU)(℃) (BU) 天然の ブラジルの 0.4 10 0 67 385 97 1200 コムギ 10 4.9 20 840* 35 1315 55 2080 11 10.7 20 370* 35 755 55 1130 天然の メキシコの 0.4 10 0 65 2015 77 1250 ユッカ 13 4.6 15 600 32 1910 54 1705 14 6.8 15 30 32 2290 54 2105 天然の ブラジルの 0.4 10 0 70 1075 91 1950 コーン 18 6.3 20 615* 38 590 49 ND 17 7.8 15 58 37 63 55 ND * 初期攪拌で減少した粘度 表VIは、 Stevens/LFRAテクスチャー分析計において
測定したラテンアメリカのデンプンおよびそれらのSH
Psのゲル特性を示す。再度、ブラジルのコムギスター
チから製造したSHPsは、ヨーロッパのコムギスター
チから得られたものに広範囲で似たゲル化特性を有して
いた。例えば、ブラジルのコムギから製造したDEが1
0.7の例11からのSHPは、6.8g/mmのゲル
強度を有しており、ヨーロッパのコムギから製造したD
Eが11.0の例9からのSHPは、8.6g/mmの
ゲル強度を有していた。天然のメキシコのタピオカスタ
ーチは、その「ヨーロッパ」の相当するもの(タピオ
カ)と同様に、この研究で使用した濃度でゲル化しなか
った。しかし、メキシコのタピオカから製造した例13
(DE=4.6)および例14(DE=6.8)からの
SHPsは、ヨーロッパおよびブラジルのコムギから製
造したものに似たゲル強度を持つゲルをもたらした。ブ
ラジルのコーンから製造した2つのSHPsは、ゲル強
度について実質的に異なっていた:DEが6.3の例1
8からのSHPは17.5g/mmのゲル強度を有して
おり、DEが7.8の例17からのSHPは8.5g/
mmのゲル強度を有していた。
【0032】 表VI Stevens/LFRAテクスチャー分析計において測定した デンプンペーストのゲル特性 例 DE 濃度 破壊負荷 弾性限度 ゲル強度 (%重量 /容積) (g) (mm) (g/mm) 天然の ブラジルの 0.4 10 157.6 6.13 25.7 コムギ 10 4.9 20 71.6 5.25 13.6 11 10.7 20 30.8 4.63 6.7 天然の メキシコの 0.4 10 ゲルが形成されない ユッカ 13 4.6 15 37.0 6.25 5.9 14 6.8 15 42.8 7.13 6.0 天然の ブラジルの 0.4 10 182.4 9.25 19.7 コーン 18 6.3 20 71.2 4.13 17.2 17 7.8 15 20.8 4.38 4.7 顕微鏡検査 微分干渉コントラスト(differential interference con
trast)および交差偏光は共に、3つの天然のデンプン全
ての中で典型的な未糊化デンプン粒子を示した。さら
に、偏光は、天然デンプン中で明確なマルテズの十字(M
altese cross) を示した。全てのSHPsは、異なる大
きさの部分的に糊化したデンプンの断片を含んでいた。
いくつかのコムギ毛および細胞壁材料も、ブラジルのコ
ムギから製造したSHPs中で観察された。交差偏光下
で、コーンSHPsは、僅かな複屈折(明るさ(brightn
ess))を示すが、未糊化顆粒は観察されなかった。メキ
シコのタピオカから製造したSHPsは、コーンよりも
僅かに大きい複屈折を示し、従っておそらくいくつかの
より少ない糊化デンプンを含んでいた。ブラジルのコム
ギからのSHPsは、この研究で製造した全てのSHP
sの中で最も大きい複屈折を示し、断片の中のいくつか
においてマルテズの十字を見ることができた。全体とし
て、この研究において製造した全てのSHPsは、大抵
の市販のマルトデキストリン中では見られない、密集し
た、部分的に糊化したデンプン顆粒の鋭い断片を含んで
いた。
【0033】生成物試験 油を含まないサラダドレッシングを、上述した例10、
11、13および14中で得られたSHPsを用いて作
った。サラダドレッシングの配合(対照および0%油)
は次の通りであった: 対照 実験 32.5%油 0%油 (実際=34%脂肪 (実際=1.5%脂肪 卵黄のため) 卵黄のため) 油 32.5 0 水 49.9 76.4 卵黄 4.9 4.9 デンプン 4.6 4.6 (National Purity HPC) 蔗糖 3.2 3.2 酢 3.1 3.1 (12%酢酸) 塩 1.5 1.5 マスタード粉 0.1 0.1 ソルビン酸カリウム 0.1 0.1 キサンタンガム 0.1 0.1 脂肪擬態品 0 6.0 サラダドレッシングの製造方法 評価した全ての脂肪擬態品のために次の標準的な製造方
法を使用した。1kgのバッチサイズを作った。
【0034】i)全ての乾燥成分を平なべの中で互いに
混合しそして水および酢を加えた。平なべと内容物の重
量を測定した。 ii)混合物を90℃に加熱しそしてこの温度で30秒
間保持した。 iii)次いでこの混合物を20℃に冷却しそして平な
べと内容物の重量を再度測定した。評価による重量の損
失を、水の添加によって修正した。 iv)卵黄および油(使用する場合)をデンプンペース
トに除々に加え、この混合物を Silversonミキサーを用
いて全部の12分間混合した。
【0035】v)ドレッシングを100mlの無菌びん
に分けて入れて貯蔵した。 油を含まないドレッシングの製造の間、この研究で製造
したSHPsは、容易に分散され滑らかな、そして加熱
時に濃くなるペーストを形成した。最終のSHPペース
トは一般に、対照ドレッシングよりもいくぶん薄かっ
た。製造の24時間後のドレッシングの官能評価を表I
Vに示す。ブラジルのコムギおよびメキシコのタピオカ
SHPsは両方とも、非常に僅かなデンプン質の異臭が
場合により検出されたが、容認できる(テクスチャーの
点で)油を含まないドレッシングを、製造の24時間後
に評価した時もたらした。
【0036】6日および14日間の貯蔵後、32.5%
の油を含む対照ドレッシングは、外観、テクスチャーお
よび風味の点で未変化のままであった。しかし、ブラジ
ルのコムギSHPsで作った油を含まないドレッシング
は、時間と共にわすかによりゲル様の構造を発達させ
た。それにもかかわらず、ドレッシングは、かなり容認
できると考えれた。さらに、より加水分解したブラジル
のコムギSHP(例11からのSHP、DE=10.
7)で作ったドレッシングは、2週間の貯蔵期間にわた
って濃厚化効果により明らかに改善され、24時間での
デンプン質の異臭を持った注ぐことができるドレッシン
グから、テクスチャーに関して対照に似た濃厚なドレッ
シングに変化し、また14日後に風味を高めた。
【0037】テクスチャー、口触り(mouthfeel) および
風味が時間と共に僅かに改善することも、メキシコのタ
ピオカSHPsを使って作ったドレッシングにおいて観
察された。 表VII 製造の24時間後の油を含まないドレッシングの非公式官能評価 外観 テクスチャー 風味対照 (32.5% 白色、不透明、 滑らか、クリーミー クリーミー、 油) 濃い、スプーンですくい 口をおおう 十分に熟成し 取れる、滑らか、 た(rounded) デンプン基質 ブラジルの小麦 : 例10のSHP 濃い、つやのある、 滑らか、濃い 十分にバラン (DE=4.9) 帯黄色、スプーンですくい (しかし対照より スのとれた、 取れる、僅かにゲル化 濃くない) 対照より少な い酸味 例11のSHP 滑らか、つやのある、 形のない、 非常に僅かな (DE=10.7) スプーンですくい取れる、 水っぽい、 デンプン質の ゲル化しない 濃厚でもクリーミー 異臭 でもないメキシコのタピオカ : 例13のSHP 滑らか、つやのある、 対照より薄い、 容認できる、 (DE=4.6) スプーンですくい取れる、 わずかに水っぽい 対照より少な 半透明、対照より薄い い酸味 例14のSHP 滑らか、つやのある、 滑らか、濃厚 完全に容認で (DE=6.8) 濃厚、スプーンですくい しかし対照より きない、デン 取れる、僅かにゲル化 薄い プン質の異臭 ラテンアメリカのデンプンで得られる結果が、ヨーロッ
パ源のデンプンで得られる結果と一致していたことに注
意することが重要である。従って、ヨーロッパのSHP
sもラテンアメリカのSHPsも、貯蔵時間にわたって
進行する濃厚化効果を持つ満足できるドレッシングを与
えた。時間と共に僅かに改善されることが、メキシコの
タピオカSHPsと同様に「ヨーロッパ」のタピオカS
HPsで観察された。
【0038】あるドレッシング、例えば例10からのS
HP(ブラジルのコムギからの)を含むドレッシング
は、容認できるテクスチャーを有すると考えられたが、
全てのドレッシングは、「クリーミーな口触り」の点で
対照と異なっていた。従って、対照ドレッシングは、つ
るつるする/油っこい感覚で「クリーミー」と考えられ
たが、最も良好な油を含まないドレッシングは、口の中
でねばねばしそしてゆっくりと崩壊するために「クリー
ミー」であると考えられた。
【0039】表VIII中にまとめた、ドレッシングの
レオロジー分析の結果は、表VI中の官能観察を裏付け
る。従って、感覚評価で最も薄いと考えられたドレッシ
ング、例えば例11からのブラジルのコムギSHPおよ
び例13からのメキシコのタピオカSHPを含むドレッ
シングはまた、最も低い器械粘度も有していた。SHP
ドレッシングのゲル様構造は、評価者によって「もっと
も濃い」と評価されるが、Carri-med 器械は最初のゲル
化構造の崩壊の後で粘度を測定することは明らかであろ
う。官能評価の際に非公式に観察されたSHPドレッシ
ング中の粘度の発達の時間依存は、器械で確認された。
【0040】 表VIII 24時間、6日間および14日間の貯蔵の後の ラテンアメリカのSHPsを含むドレッシングの粘度(PaS) 貯蔵時間 24時間 6日間 14日間 剪断速度(s-1) 剪断速度(s-1) 剪断速度(s-1) デンプン基質 10 30 100 10 30 100 10 30 100 対照 13.9 5.8 2.5 12.9 5.5 2.4 12.5 5.3 2.3 (32.5%油) ブラジルの 小麦 : SHP 例10 7.0 2.9 1.2 9.0 3.4 1.3 10.3 3.8 1.4 (DE=4.9) SHP 例11 5.2 2.5 1.2 6.2 2.7 1.2 7.3 3.1 1.4 (DE=10.7) メキシコの タピオカ : SHP 例13 5.6 2.5 1.2 6.9 2.9 1.3 7.9 3.2 1.3 (DE=4.6) SHP 例14 6.6 3.1 1.4 8.1 3.5 1.5 8.7 3.7 1.6 (DE=6.8) 例19〜22 本発明によるSHPsの試料をさらに、コムギスターチ
およびポテトスターチを用いて製造した。ポテトスター
チは、Roquette Freres (ref:474095)から入手した。コ
ムギスターチもRoquette Freres (ref:466539)から入手
した。使用した酵素は、ブタ膵臓α−アミラーゼE.C.3.
2.1.1 Type VI-B (Sigma Chemia Co.) No. A-3176(活性
−25単位/固体mg;水分13%)であった。
【0041】反応は、700cm.g感度カトリッジを
備えたブラベンダービスコグラフ(801201)中で行なっ
た。デンプン(約30%乾燥デンプン含有率)を0.0
1Mのリン酸ナトリウム緩衝液中に懸濁させて全量を4
98gとし、これをブラベンダー容器に移した。ブラベ
ンダー容器中のスラリーに酵素を乾燥粉末として添加し
た。
【0042】デンプンを25℃から60℃に1.5℃/
分の速度で加熱しそして温度を60℃で20分間(1つ
の実験で15分間)保持した。デンプンを1.5℃/分
で90℃に加熱し次いで15分間水浴中で沸騰させて酵
素を不活性化した。得られるSHPsを冷却し次いで凍
結しそしてEdwards MED 0.5 パイロットスケールの凍結
乾燥器中で凍結乾燥した。乾燥したSHPsをコーヒー
粉砕機で微細な粉末に粉砕した。
【0043】SHP試料の還元糖含有率を、ジニトロサ
リチル酸(DNSA)法(Miller G.L. (1959) "Use of
dinitorosalicylic acid reagent for determination
of reducing sugar(還元糖の測定のためのジニトロサリ
チル酸試薬の使用)" Analyt.Chem., 31, 426)を用いて
測定した。結果をデキストロース当量(DE)で示し
た。
【0044】方法条件は、以下の表IXに記載する。 表IX SHPsの製造に使用する条件および得られるDEs 酵素濃度 (単位/乾燥デンプンg) 実験 デンプン 湿ったデンプン 乾燥デンプン ブタのα− DE No. 源 の含有率(%) の含有率(%) アミラーゼ 19 ポテト 30 24 8 8 20 ポテト 36 28.8 7.3 7 21 コムギ 30 26.1 8.1 9.7 22 ポテト 32.6 26.1 8 7.1 上述したようにして製造したSHPの全ての試料が90
℃で注ぐことができず、半固体であって破砕機に玉しゃ
くしで移さなければならないことが観察された。
【0045】例23〜25 3種のSHPsを本発明によりコムギスターチを用いて
製造した。ブタのα−アミラーゼをSigma Chemical Com
pany Ltd. から入手した。この酵素調製物(No. A-688
0, Type VI-A)は、塩化ナトリウムおよび増量剤として
ラクトースを含んでおり、報告された活性はpH6.9
で14単位/固体mgであった。1単位は、20℃,p
H6.9で3分間でデンプンから1mgのマルトースを
遊離する量として定義された。報告されたβ−アミラー
ゼ活性は、pH4.8で3.3単位/固体mgであっ
た。ブタのα−アミラーゼについての報告された最適温
度は37℃であった。
【0046】加熱用マントル上の5リットルの丸底フラ
スコ中で、コムギスターチ(1.2kg)を、2.8リ
ットルの0.06Mのリン酸ナトリウム緩衝液(pH
7)に分散させて、30%デンプンの最終濃度および4
リットルの最終容積にした。酵素を同一緩衝液に溶かし
そしてデンプンスラリーに添加して時間0で適当な活性
単位とした。反応混合物を、糊化の開始まで、頂部負荷
(top-loaded)パドルミキサーを用いて攪拌した。この
後、この混合物を手で攪拌し、混合物の温度を上げた。
【0047】酵素により、デンプンを適当な温度で時間
の長さ(保持時間)を変えて加水分解して種々のDEs
を製造した。デンプン混合物を70°〜85℃に急速に
加熱して酵素を不活性化することによって反応を終わら
せた。熱SHPを金属トレーに注ぎ、冷却しそして凍結
乾燥前に−30℃で送風凍結した(Edwards Mini-FastMo
del 3400)。乾燥したら、材料をハンマーミル(Christy
and Norris Ltd)で粉砕して粉末を得た。
【0048】選択した加水分解反応の過程を、5mlの
デンプン混合物を定期的に取り、それを10mlのメタ
ノールに加えて酵素を不活性化しデンプンを沈澱させる
ことによって、監視した。これらの試料をロータリーエ
バポレーターによって乾燥させた。SHPsの製造に使
用する加工パラメーターの詳細を以下の表X中に示す。
【0049】 表X 実験 酵素量 保持時間 保持温度No. DE (g) 単位/l (分) (℃) 23 3.8 0.20 700 11 58 24 4.5 0.20 700 15 59 25 9.0 0.60 2100 11 60 SHPsを、油が15%の、および油が0%のサラダド
レッシング中で脂肪擬態品として評価した。これらのド
レッシングおよび対照ドレッシングの配合は以下の通り
であった:成分 対照(32.5%油) 15%油 0%油 (%) (%) (%) 熱可溶性デンプン 4.6 4.6 4.6 (Purity HPC, National Starch) 卵黄 4.9 4.9 4.9 酢 3.1 3.1 3.1 (12%酢酸) 塩 1.5 1.5 1.5 蔗糖 3.2 3.2 3.2 マスタード粉 0.1 0.1 0.1 ソルビン酸カリウム 0.1 0.1 0.1 キサンタンガム 0.1 0.1 0.1 水 49.9 63.6 76.4 油 32.5 15.0 0 SHP 0 3.8 6.0 注: 1)ドレッシングの全脂肪含有率は、卵黄が脂肪を含ん
でいるために、添加した油の量によって示唆されるより
も1〜2%高かった。 作ったドレッシングは次の通りであった(表XI): 表XI ドレッシング 油含有率 使用SHP A 15% 例23 B 15% 例24 C 15% 例25 D 0% 例23 E 0% 例24 F 0% 例25 ドレッシングは、上の例10〜18中に記載した方法に
より作った。4℃で貯蔵の後、ドレッシングを2時間室
温と平衡させて、官能評価した。結果を以下の表XII
〜XIVに示す。
【0050】 表XII 4℃で短期貯蔵した後のドレッシング(15%油)の官能評価ドレッシング 外観 味覚 対照 滑らか、白色、 非常に滑らか、口当たりのよい、 (32.5%油) つやのある、 ねばねばする、好ましい強い味、 (熟成6日) 十分に形状を保つ 薄皮が残る A つやのある、滑らか、 非常に滑らか、口当たりのよい、 (熟成1日) 対照より割るかに薄い 僅かに酢に似た、 かたまりの多くない(not lumpy) B つやのある、 非常に滑らか、ねばねばする、 (熟成1日) チキソトープ、 口当たりのよい、 十分に形状を保つ わずかにデンプン質の風味 しかし十分に好まれる C スプーンですくい 非常に滑らか、 (熟成1日) 取れる、つやのある、 粒状でない(not grainy)、 Bまたは対照より薄い 強い味、明らかに一番好ましい 表XIII 4℃でのより長期の貯蔵の後のドレッシング(15%油)の官能評価ドレッシング 外観 味覚 対照 白色、不透明、 酢に似た「刺激」、 (32.5%油) 濃い、スプーンで 薄膜状、滑らか、 (熟成 109日) すくい取れる わずかにねばつく、 A スプーンですくい 非常に滑らか、 (熟成 100日) 取れる、濃い、 わずかに酢に似た、 対照に似ている、 粒状でない、十分に好まれる、 僅かに黄色 2番目に好ましい B スプーンですくい テクスチャーに関して対照に (熟成 100日) 取れる、非常に 最も近い、好ましい風味、 対照に似ている 一番好ましい C スプーンですくい 滑らか、対照よりわずかに濃い、 (熟成 100日) 取れる、「ムース様」 酢に似た後刺激、 のコンシステンシー 3番目に好ましい の気配 表XIV 4℃で24時間貯蔵の後のドレッシング(0%油)の官能評価ドレッシング 外観 テクスチャー 味覚 D 半透明、 スプーンですくい 甘い、 僅かに黄色 取れる、対照より 酢に似た、 わずかにゲル様 好ましい E 半透明、 濃い、滑らか、 容認できる ほぼ透明、 スプーンですくい 甘い、 わずかに黄色 取れかつ僅かに 強い味のある、 ゲル様 異臭がない F 透明かつ スプーンですくい 刺激性、 クリーミー、 取れる、濃い− 容認できる わずかに黄色 形態を与える、 異臭がない クリーミ、滑らか 上記に加えて、油が0%のドレッシングを、上記の配合
および手順に従って、しかし先行技術のSHPsを用い
て作った。これらは、National Starch & Chemical Com
panyから入手した「Instant N-Oil 」 (米国特許第4,
510,166号明細書に従う生成物であると思われ
る)および、英国特許第1,423,780号明細書に
従ってポテトスターチを細菌α−アミラーゼを用いて変
換することによって製造したおよび当該特許の所有者か
ら直接入手したポテトSHPであった。これらのSHP
sを用いて作ったドレッシングの官能評価の結果を以下
の表XVに示す。
【0051】 表XV ドレッシング 外観 テクスチャー 味覚 「Instant オレンジ− かろうじて 僅かに N-Oil 」を 黄色、 注ぐことができる、 異臭が 用いる 半透明 滑らかに流れない、 検出された スプーンですくい 取れない、 まあまあの 粘度(body) ポテトSHP クリーミー、 濃くかつスプーンで デンプン質、 (Acadamie der 薄黄色、つやの すくい取れる、 粉質状、 Wissenschaften ある、半透明 強くゲル化 非常に酸味 DDR) レオロジー分析は、感覚観察を裏付けた。図1は、対照
ドレッシング(32.5%油)および3種の、油が0%
のドレッシング(EおよびFおよび先行技術のポテトS
HP)の、剪断速度に対する剪断応力の流動曲線を示
し、本発明のコムギSHPsを含むドレッシングの流動
特性が、対照ドレッシングの流動特性に非常に似ていた
ことを示している;ドレッシングFは、対照よりわずか
に薄く、ドレッシングEは対照よりわずかに濃かった。
ドレッシングFについての流動曲線の形状は、対照曲線
の形状にもっともぴったりと合っていた。他方、先行技
術のポテトSHPを含むドレッシングに関する流動曲線
は完全に異なっていた。
【0052】図1の結果は、表の形でも示すことができ
る。以下の表XVIは3つの異なる剪断速度での動的収
量(dynamic yields)および粘度を示す。再度、これらの
結果は、先行技術のSHPを含むドレッシングのレオロ
ジー特性が、対照または本発明のSHPsを含むドレッ
シングのレオロジー特性と非常に異なっていたことを示
す。
【0053】レオロジー分析の間、先行技術のポテトS
HPを含むドレッシンングは、ゲルのように崩壊しばら
ばらになる傾向があるが、他のドレッシングは、剪断力
の下で滑らかでペースト様のままである点で、先行技術
のポテトSHPを含むドレッシングは極めて異なる挙動
を示すことが注目された。デンプンを含む全てのドレッ
シングは、熟成と共に濃くなる傾向があったが、問題
は、先行技術のポテトSHPを含むドレッシンングにお
いて最も厳しく、本発明のドレッシングFにおいて最も
はなはだしくなかった。
【0054】 表XVI サラダドレッシングのレオロジー特性 (全ドレッシングは貯蔵23日後に評価した)試料 動的収量 粘度(NM-2.5 (NM-2) 剪断速度 0.5s-1 2.5s-1 10s-1 対照 77.2 186 44.1 14.0 (32.5%油) ドレッシングE 60.4 201.0 49.1 15.2 ドレッシングF 38.9 130.0 32.4 10.2 先行技術の 93.4 326.7 73.2 20.4 ポテトSHP 0%油 (英国特許第 1,423,780号 明細書)分子量曲線 本発明の生成物の水溶性フラクションの分子量曲線を、
先行技術の生成物と比較するために調査した。
【0055】全ての試料を、85℃に加熱し45μmの
膜に通すことによって、0.1Mの硫酸ナトリウム中
0.1%溶液として作った。これらの試料をTSK P
Wカラムセット(5000/4000/4000)から
45℃で0.5ml/分で溶出した。不溶性のフラクシ
ョンの量を、生成物の1%混合物を水中で5分間沸騰さ
せた後不溶性材料を単離しそして乾燥することによって
測定した。一連のプルラン(pullulan)標準を冷硫酸ナト
リウム溶液中で作り同一条件下で溶出した。
【0056】分子量曲線の調査の結果を図2に示す。図
2中、溶出液中のフラクションの量は時間に対してプロ
ットされ、その際、プルラン標準についての結果を当て
はめることによって、時間軸は分子量目盛りに変換され
る。グラフ上のプロットは次の通りである。 −破線Aは、例1〜9の方法に従ってしかし例23〜2
5で使用したブタのα−アミラーゼを用いてポテトスタ
ーチから作られた本発明のデンプン加水分解生成物につ
いての結果を表している。 −連続線Bは、例7の生成物を表している。 −点線Cは、先行技術の生成物であるPaselli SA2 を表
している。 −一点鎖線Dは、英国特許第1,423,780号明細
書に記載された方法に従って製造されたと思われる先行
技術の生成物を表している。
【0057】全ての試料は、流れの最後に塩ピーク(硫
酸ナトリウム)を含みそしてこれは低分子量のSHP材
料と一致している場合もある。低分子量材料、すなわち
三糖、二糖および単糖を塩ピークから完全に分離するこ
とは不可能であったので、データは、分子量分布および
平均を導き出すのには不適当であった。代わりに、プル
ラン標準を当てはめることによって求められた分子量目
盛りを示す。
【0058】溶出曲線CおよびDは、先行技術の材料
が、極めて異なる分子量分布を有していることを示して
いる。これらのSHPsは両方とも、水に完全に溶け
る。Cは2つの主成分を有しているが、Dは分子量が減
少すると共に面積が増大する広い分布を示す。Dはま
た、低分子量,約6000ダルトンのピークも示してお
り、これは、Cの低分子量成分と一致している。線Dに
よって示される生成物は、塩ピークと合流する高率の低
分子量材料も含んでいる。
【0059】本発明のSHPsは、加熱しても水に完全
に溶けず、分析は、可溶性フラクションだけに当てはま
る。溶出曲線は、分子量が減少すると共に面積が増大し
そして両方の場合で約12000ダルトンのピークを示
す広い分布の分子量を示している。このピークは、D中
のピークよりも著しく高い分子量で生じ、本発明の生成
物中ではより低い分子量の材料はずっと少なかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 対照ドレッシング(32.5%油)および3
種の、油が0%のドレッシングの、剪断速度に対する剪
断応力の流動曲線を示す。
【図2】 分子量曲線の調査の結果である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ジーベル・ローラー イギリス国、ロンドン エス・イー1 0 エイエイ、バウロ・ロード、103、サウ ス・バンク・ユニバーシテイ、ケア・オ ブ・スクール・オブ・アプライド・サイエ ンシズ

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (i)デンプンを10〜30重量%(乾
    燥分)を含む水性デンプン懸濁液を調製し、(ii)こ
    の水性デンプン懸濁液を、デンプンの糊化温度よりもあ
    まり高くない58℃〜80℃の範囲の温度に加熱し、
    (iii)得られた水性デンプン懸濁液を、ブタ膵臓α
    −アミラーゼで58°〜63℃の範囲の温度で生成物の
    水溶性フラクションに必要なDEおよび/または分子量
    を達成するのに適した時間処理し、そして(iv)酵素
    を不活性化する工程を含むことを特徴とする、部分的に
    糊化したデンプン顆粒を含むデンプン加水分解生成物の
    製造方法。
  2. 【請求項2】 工程(iii)の温度が約60℃であ
    る、請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 工程(iii)の時間が、5〜30分で
    ある、請求項1または2記載の方法。
  4. 【請求項4】 デンプンが、コーンスターチ、コムギス
    ターチ、オオムギスターチ、タピオカスターチ、ポテト
    スターチ、ライススターチまたはサゴスターチである、
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 【請求項5】 デンプンがコムギスターチである、請求
    項4記載の方法。
  6. 【請求項6】 請求項1の工程(ii)で加熱されるデ
    ンプンの水性懸濁液の温度が58°〜63℃である、請
    求項5記載の方法。
  7. 【請求項7】 懸濁液を90°〜95℃の温度に加熱す
    ることによって酵素が不活性化される、請求項1〜6の
    いずれか1項に記載の方法。
  8. 【請求項8】 水性デンプン懸濁液をα−アミラーゼ酵
    素で処理する工程(iii)が、6〜30kDaの範囲
    のその分子量曲線中のピークを有する水溶性フラクショ
    ンを有する生成物を与える時間行なわれる、請求項1〜
    7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 【請求項9】 水性デンプン懸濁液をα−アミラーゼ酵
    素で処理する工程(iii)が、3〜12の範囲のDE
    を達成する時間行なわれる、請求項1〜8のいずれか1
    項に記載の方法。
  10. 【請求項10】 酵素を不活性化した後、懸濁液を乾燥
    させる工程をさらに含む、請求項1〜9のいずれか1項
    に記載の方法。
  11. 【請求項11】 食品組成物中の脂肪および/または油
    代用品として使用するのに適したデンプン加水分解生成
    物であって、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方
    法によって得ることができ、冷水中で部分的に溶け、9
    0℃で注ぐことができず、部分的に糊化したデンプン顆
    粒を含みそして交差−偏光下で複屈折を示すことを特徴
    とする、上記生成物。
  12. 【請求項12】 4℃で24時間で25g/mm以下の
    ゲル強度を有する濃度20%(wt/v)で水性ゲルを
    形成できる、請求項11記載のデンプン加水分解生成
    物。
  13. 【請求項13】 3〜12の範囲のDEを有する請求項
    11または12記載のデンプン加水分解生成物。
  14. 【請求項14】 食品組成物中の脂肪および/または油
    代用品として使用するのに適したデンプン加水分解生成
    物であって、冷水に部分的に溶け、かつ、その水溶性フ
    ラクションが、6〜30kDaの範囲のその分子量曲線
    中のピークを有することを特徴とする、上記生成物。
  15. 【請求項15】 分子量曲線中のピークが8〜20kD
    aの範囲にある、請求項14記載の生成物。
  16. 【請求項16】 1つまたはそれ以上の食品成分ならび
    に形態を与えるおよび/またはコンシステンシーを付与
    するキャリヤーを含む食品組成物であって、形態を与え
    るおよび/またはコンシステンシーを付与するキャリヤ
    ーが、請求項11〜15のいずれか1項に記載のデンプ
    ン加水分解生成物からなることを特徴とする、上記組成
    物。
  17. 【請求項17】 油を含まない、請求項16記載の食品
    組成物。
  18. 【請求項18】 サラダドレッシングである、請求項1
    6または17記載の食品組成物。
JP7246436A 1994-09-27 1995-09-25 デンプン加水分解生成物の製造方法 Withdrawn JPH08176202A (ja)

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