JP6783933B2 - コーティング用硬化性組成物および積層体 - Google Patents

コーティング用硬化性組成物および積層体 Download PDF

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Description

本発明はコーティング用硬化性組成物および積層体に関する。
近年、金属から樹脂材料への代替や、樹脂材料を利用した構造物・成形物に関する検討が盛んに行われている中で、ポリプロピレン等のポリオレフィンへの親和性を有する素材・材料に注目が集まっている。
しかし、従来のコーティング剤では、ポリオレフィンに対してコーティング時の液濡れ性や塗膜硬化性はコントロールできるが、表面への密着性向上が大きな課題となっており、様々な素材・材料を用いた検討が行われている。しかしながら、未だ、充分な特性発現には至っておらず、改善が求められていた。
ところで、特許文献1には、(A)重合性置換基を2個以上有するポリマー成分と、(B)重合性置換基を1個以上有する化合物とを、(C)リビング重合開始剤により硬化すること特徴とする熱硬化性樹脂組成物が提案されている。特許文献1では、モータ、トランス等の電気機器用コイルの電気絶縁および固着に用いることが開示されている。
特開2010−144109号公報
本発明は、ポリオレフィン等の低表面エネルギー素材の基材に対して、コーティング膜を形成した際であっても、基材との密着性に優れ、コーティング膜の表面硬化性にも優れるコーティング用硬化性組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した。その結果、以下の構成を有するコーティング用硬化性組成物により上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、例えば以下の[1]〜[5]である。
[1]不飽和結合を有する重合体(a)を25〜95質量部、
重合性不飽和基を有する単量体(b)を5〜75質量部(但し、重合体(a)および単量体(b)の合計を100質量部とする)、および
硬化用触媒(c)を含有する組成物であり、
前記硬化用触媒(c)が、オルガノボラン−アミン錯体(c−1)または遷移金属のカルボン酸塩と、3級アミノ基を有するポリアミンとの混合物(c−2)であり、
前記硬化用触媒(c)が、前記オルガノボラン−アミン錯体(c−1)である場合には、前記(a)と(b)との合計100gあたり、オルガノボラン−アミン錯体(c−1)を0.001〜0.1molを含有し、
前記硬化用触媒(c)が、前記遷移金属のカルボン酸塩と、3級アミノ基を有するポリアミンとの混合物(c−2)である場合には、前記(a)と(b)との合計100gあたり、遷移金属のカルボン酸塩と、3級アミノ基を有するポリアミンとを合計で、0.001〜0.1molを含有し、遷移金属のカルボン酸塩と、3級アミノ基を有するポリアミンとのモル比(遷移金属のカルボン酸塩:3級アミノ基を有するポリアミン)が、1:0.05〜1:5であり、
前記重合体(a)の酸価が0.1mg−KOH/g未満であり、重合性不飽和基を有する単量体(b)が酸基を有さず、かつ硬化用触媒(c)がオルガノボラン−アミン錯体(c−1)である場合には、前記組成物は酸基を有する化合物(d)を、前記オルガノボラン−アミン錯体(c−1)と、前記酸基を有する化合物(d)とのモル比(c−1:d)が1:0.01〜1:5の範囲で含有するコーティング用硬化性組成物。
[2]重合体(a)が、不飽和ポリエステル樹脂である、[1]に記載のコーティング用硬化性組成物。
[3] 基材と、前記基材に隣接して形成された、[1]または[2]に記載のコーティング用硬化性組成物のコーティング膜とを有する積層体。
[4]前記基材が、低表面エネルギー素材の基材である、[3]に記載の積層体。
[5]前記低表面エネルギー素材が、ポリオレフィンである[4]に記載の積層体。
本発明によれば、ポリオレフィン等の低表面エネルギー素材の基材に対して、コーティング膜を形成した際であっても、基材との密着性に優れ、コーティング膜の表面硬化性にも優れるコーティング用硬化性組成物を提供することができる。
以下、本発明のコーティング用硬化性組成物を説明する。以下では、本発明のコーティング用硬化性組成物を単に「組成物」ともいう。また、アクリルおよびメタクリルを総称して「(メタ)アクリル」、アクリレートおよびメタクリレートを総称して「(メタ)アクリレート」とも記載する。
<コーティング用硬化性組成物>
本発明の組成物は、以下で説明する特定の重合体(a)(以下、単に「重合体(a)」ともいう)、特定の単量体(b)(以下、単に「単量体(b)」ともいう)、および特定の硬化用触媒(c)(以下、単に「硬化用触媒(c)」ともいう)を含有する。本発明の組成物は、後述する特定の場合には、以下で説明する特定の化合物(d)(以下、単に、「化合物(d)」ともいう)を必須成分として含有する。また、本発明の組成物は、必要に応じて、さらに他の成分を含んでもよい。
〔重合体(a)〕
重合体(a)は、不飽和結合を有有する。
重合体(a)が有する、不飽和結合としては、重合性を有する炭素・炭素二重結合が好ましい。なお、重合性を有する炭素・炭素二重結合を、エチレン性不飽和結合とも呼ぶ。
重合体(a)としては、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ジアリルフタレートプレポリマー、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂、ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂、ポリブタジエン、ポリイソプレン、イソプレン−イソブテン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体が挙げられる。重合体(a)は1種で用いても、2種以上を用いてもよい。重合体(a)としては、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレートプレポリマー、イソプレン−イソブテン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体が好ましく、中でも、不飽和ポリエステル樹脂が、低表面エネルギー基材との密着性発現に必要なコーティング膜の表面硬化性と製膜性発現を両立できるため特に好ましい。
不飽和ポリエステル樹脂としては、特に限定はなく、例えば、二塩基酸等の多塩基酸と多価アルコール類とを縮合反応させることによって得ることができる。
前記多塩基酸としては、二塩基酸が好ましく、具体的には、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸等のα,β−不飽和二塩基酸;フタル酸、無水フタル酸、ハロゲン化無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、シクロペンタジエン−無水マレイン酸付加物、コハク酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、1,10−デカンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸無水物、4,4'−ビフェニルジカルボン酸、および、これらのジアルキルエステル等の飽和二塩基酸等が挙げられるが、特に限定されるものではない。二塩基酸は、1種で用いても、2種以上を用いてもよい。
前記多価アルコール類としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール等のエチレングリコール類、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等のプロピレングリコール類、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、ビスフェノールAとプロピレンオキシドまたはエチレンオキシドとの付加物、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,3−プロパンジオール、1,2−シクロヘキサングリコール、1,3−シクロヘキサングリコール、1,4−シクロヘキサングリコール、パラキシレングリコール、ビシクロヘキシル−4,4'−ジオール、2,6−デカリングリコール、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート等が挙げられる。
多価アルコール類は、1種で用いても、2種以上を用いてもよい。また、必要によりエポキシ樹脂、ジイソシアナート、ジシクロペンタジエン等による変性を行ってもよい。
前記ビニルエステル樹脂としては、特に限定されるものでなく、例えば、エポキシ(メタ)アクリレートおよび、末端カルボキシル基のポリエステルに、α、β−不飽和カルボンエステル基を含有するエポキシ化合物を反応させて得られるポリエステル(メタ)アクリレートが挙げられる。なお、前記エポキシ(メタ)アクリレートは、エポキシ樹脂とアクリル酸またはメタクリル酸とから得られ、前記末端カルボキシル基のポリエステルは、飽和ジカルボン酸および/または不飽和ジカルボン酸と多価アルコールとから得られる。
ジアリルフタレートプレポリマーとしては、特に限定されるものでなく、ジアリルフタレート、すなわち、フタル酸ジアリルを重合、必要に応じて他の単量体と共重合することにより得られるプレポリマーが挙げられる。
前記ウレタン(メタ)アクリレート樹脂としては、特に限定されるものではなく、例えば、ポリイソシアネートとポリヒドロキシ化合物あるいは多価アルコール類とを反応させた後、さらに水酸基含有(メタ)アクリル化合物および必要に応じて水酸基含有アリルエーテル化合物を反応させることによって得ることができる。また、水酸基含有(メタ)アクリル化合物とポリヒドロキシ化合物あるいは多価アルコール類とを反応させた後、さらにポリイソシアネートを反応させてもよい。
前記ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂としては、特に限定されるものではなく、例えば、不飽和あるいは飽和ポリエステルの末端に(メタ)アクリル化合物を反応させることによって得ることができる。
重合体(a)を得る際の各原料の配合条件、反応条件等は、適宜調整すればよく特に制限はない。
重合体(a)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)により測定される重量平均分子量(Mw)が、ポリスチレン換算値で、好ましくは800〜150,000である。Mwが前記範囲内にあると、基材密着性発現に必要なコーティング膜の表面硬化性と製膜性の両立という観点から好ましい。
また、重合体(a)は、GPC法により測定される分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))が、好ましくは1.0〜20.0、より好ましくは1.5〜18.0、さらに好ましくは1.5〜15.0である。
重合体(a)は、酸価が0〜70.0mg−KOH/gであることが好ましく、0〜55.0mg−KOH/gであることがより好ましい。前記範囲内では、単量体、硬化用触媒との良好な相溶性が得られやすいことや溶媒への良好な溶解性が得られやすいため好ましい。
重合体(a)としては、市販品を用いてもよく、市販品としては、例えば、不飽和ポリエステルとしては、昭和電工社製:リゴラック、ジャパンコンポジット社製:ポリホープ、日本ユピカ社製:ユピカが挙げられ、ジアリルフタレートプレポリマーとしては、大阪ソーダ社製:ダイソーダップ、ダイソーイソダップが挙げられ、イソプレン−イソブテン共重合体としては、JSR社製:JSR BUTYLが挙げられ、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体としては、日本ゼオン社製:Nipol NBRが挙げられる。
〔単量体(b)〕
本発明のコーティング用硬化性組成物は、重合性不飽和基を有する単量体(b)を含む。本発明の組成物は、前記単量体(b)が、前記重合体(a)とともに重合することにより、基材等の表面にコーティング膜を形成することができる。
前記単量体(b)としては、(メタ)アクリルモノマー、(メタ)アクリルモノマー以外のモノマーが挙げられる。ここで、(メタ)アクリルモノマーとは、アクリロイル基(H2C=CH−CO−)またはメタクリロイル基(H2C=CCH3−CO−)を有するモノマーである。
(メタ)アクリルモノマーとしては、アクリルモノマーおよびメタクリルモノマーから選択される少なくとも1種のモノマーを用いることができる。
(メタ)アクリルモノマーとしては、極性基を有する(メタ)アクリルモノマー、極性基を有しない(メタ)アクリルモノマーが挙げられる。
極性基としては、酸素、窒素、および硫黄から選択される少なくとも1種の原子を含むことが好ましく、酸素および窒素から選択される少なくとも1種の原子を含むことがより好ましい。
極性基を有する(メタ)アクリルモノマーとしては、酸素含有(メタ)アクリルモノマー、窒素含有(メタ)アクリルモノマー、硫黄含有(メタ)アクリルモノマーが挙げられ、酸素含有(メタ)アクリルモノマー、窒素含有(メタ)アクリルモノマーが好ましい。
酸素含有(メタ)アクリルモノマーとしては、例えば、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、β−カルボキシエチルアクリレート、2−アクリロイロキシエチル−コハク酸、2−アクリロイロキシエチル−フタル酸、2−アクリロイルオキシエチルアシッドフォスフェート、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシランが挙げられる。
窒素含有(メタ)アクリルモノマーとしては、例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリンが挙げられる。
硫黄含有(メタ)アクリルモノマーとしては、例えば、2−メチルチオエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
極性基を有しない(メタ)アクリルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルへキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロへキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、およびベンジル(メタ)アクリレート等の単官能(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2−エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,12−ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、ブチルジ(メタ)アクリレートおよびヘキシルジ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレートが挙げられる。
(メタ)アクリルモノマーは、1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
(メタ)アクリルモノマー以外のモノマーとしては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル;マレイン酸、フマル酸等の不飽和カルボン酸系化合物;無水マレイン酸、無水フマル酸等の不飽和カルボン酸無水物系化合物;エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン;塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン化オレフィン;スチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン等のスチレン系モノマー;ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等のジエン系モノマー;ジアリルフタレート、ジアリルイソフタレート等のアリル系モノマー;N−フェニルマレイミドが挙げられる。
(メタ)アクリルモノマー以外のモノマーは、1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
前記単量体(b)としては、重合体(a)及び硬化用触媒(c)と相溶性を有することが好ましく、詳細な機構は不明ではあるが、良好な硬化性と基材密着性が得られるという点から、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロへキシル(メタ)アクリレート、スチレン、N−フェニルマレイミド、マレイン酸、無水マレイン酸が特に好ましい。
〔硬化用触媒(c)〕
本発明のコーティング用硬化性組成物は、硬化用触媒(c)を含む。本発明の組成物は、前記硬化用触媒(c)からラジカルが発生することにより、重合体(a)および単量体(b)の重合反応が進行し、組成物の硬化を開始することが可能である。
前記硬化用触媒(c)は、オルガノボラン−アミン錯体(c−1)または遷移金属のカルボン酸塩と、3級アミノ基を有するポリアミンとの混合物(c−2)である。以下、順に説明する。
(オルガノボラン−アミン錯体(c−1))
オルガノボラン−アミン錯体(c−1)とは、オルガノボランとアミンとから形成される錯体である。オルガノボラン−アミン錯体(c−1)を構成するオルガノボランとしては、例えば、BR3で表される化合物が挙げられる。前記式中、Rはそれぞれ独立に、炭素数1〜8の、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、またはフェニル基を表す。
オルガノボランとしては、例えば、トリエチルボラン、トリブチルボラン、トリヘキシルボラン、モノメトキシジエチルボランが挙げられる。オルガノボランとしては、アルキルボランが大気中での良好な硬化性や基材密着性が得られるため好ましい。
オルガノボラン−アミン錯体のアミンは、分子内に少なくとも1つのアミノ基を有していればよく、好ましくは2または3のアミノ基を有している。
アミンとしては、例えば、ジエチルアミン、ジブチルアミン、トリエチルアミン、メトキシプロピルアミン等のモノアミン;1,3−ジアミノプロパン、ジエチレントリアミン等のポリアミンが挙げられる。
オルガノボラン−アミン錯体は、前述のオルガノボランとアミンとから形成される錯体だけではなく、同一分子内に、オルガノボランとアミンとを有し、かつ同一分子内で錯体を形成している錯体であってもよい。このようなオルガノボラン−アミン錯体としては、例えば、下記式(A)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0006783933
式(A)において、NからBに向かう矢印は、配位結合を表す。
オルガノボラン−アミン錯体の具体例としては、トリエチルボラン−1,3−ジアミノプロパン錯体、トリエチルボラン−ジエチレントリアミン錯体、トリノルマルブチルボラン−3−メトキシ−1−プロピルアミン錯体等が挙げられる。
オルガノボラン−アミン錯体は、1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
(遷移金属のカルボン酸塩と、3級アミノ基を有するポリアミンとの混合物(c−2))
本発明では、硬化用触媒(c)として、オルガノボラン−アミン錯体(c−1)に換えて、遷移金属のカルボン酸塩と、3級アミノ基を有するポリアミンとの混合物(c−2)を用いてもよい。
前記遷移金属のカルボン酸塩を構成する遷移金属としては、例えば、鉄、銅、亜鉛、ニッケル、コバルト、マンガン、クロムが挙げられ、鉄または銅が好ましい。すなわち、遷移金属のカルボン酸塩としては、カルボン酸鉄、カルボン酸銅が好ましい。
遷移金属のカルボン酸塩を構成する金属の価数としては、通常は2価以下であり、好ましくは1価または2価である。前記金属が鉄である場合には2価、銅である場合には1価が好ましい。
遷移金属のカルボン酸塩としては、例えば、遷移金属の酢酸塩、遷移金属のギ酸塩、遷移金属のシュウ酸塩、遷移金属のステアリン酸塩、遷移金属の2−エチルヘキサン酸塩、遷移金属のナフテン酸塩、遷移金属の安息香酸塩が挙げられ、遷移金属の酢酸塩、遷移金属のギ酸塩が好ましく、遷移金属の酢酸塩がより好ましい。
なお、遷移金属のカルボン酸塩は、水和物の形で接着剤組成物中に含まれていてもよい。
遷移金属のカルボン酸塩としては、具体的には、酢酸鉄(II)、酢酸銅(I)、ギ酸鉄(II)、ギ酸銅(I)、シュウ酸鉄(II)、シュウ酸銅(I)、ステアリン酸鉄(II)、ステアリン酸銅(I)、ビス(2−エチルヘキサン酸)鉄(II)、ビス(2−エチルヘキサン酸)銅(I)、ナフテン酸鉄(II)、ナフテン酸銅(I)等が挙げられ、酢酸鉄(II)、酢酸銅(I)、ギ酸鉄(II)が好ましく、酢酸鉄(II)、酢酸銅(I)がより好ましい。
遷移金属のカルボン酸塩は、1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
前記3級アミノ基を有するポリアミンは、分子内にアミンを2つ以上有する。
3級アミノ基を有するポリアミンは、分子内に2つ以上のアミンを有するが、通常は分子内に2〜6、好ましくは2〜4、より好ましくは2または3のアミンを有する。ポリアミンが分子内に有するアミンの数が前記範囲内であると、充分な硬化性および良好な接着性を発現できるため好ましい。
3級アミノ基を有するポリアミンは、少なくとも一つの3級アミノ基を有し、より好ましくは、少なくとも二つの3級アミノ基を有し、さらに好ましくは少なくとも二つの3級アミノ基を有し、かつ1級および2級のアミノ基を有さない。
3級アミノ基を有するポリアミンとしては、例えば、N,N,N',N'−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N',N'',N''−ペンタメチルジエチレントリアミン、トリス[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミン、N,N−ジメチル−1,2−エタンジアミン、1,1,4,7,10,10−ヘキサメチルトリエチレンテトラミン、1,4,8,11−テトラメチル−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン、トリス(2−ピリジルメチル)アミン、N,N,N',N'−テトラキス(2−ピリジルメチル)エチレンジアミンが挙げられ、N,N,N',N'−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N',N'',N''−ペンタメチルジエチレントリアミン、トリス[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミンが好ましい。
3級アミノ基を有するポリアミンは、1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
遷移金属のカルボン酸塩および3級アミノ基を有するポリアミンの組み合わせは特に制限されないが、混合物(c−2)としては、例えば、酢酸鉄(II)と、N,N,N',N'−テトラメチルエチレンジアミンとの混合物、酢酸鉄(II)と、N,N,N',N'',N''−ペンタメチルジエチレントリアミンとの混合物、酢酸鉄(II)とトリス[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミンとの混合物、酢酸銅(I)とN,N,N',N'',N''−ペンタメチルジエチレントリアミンとの混合物、酢酸銅(I)とトリス[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミンとの混合物が挙げられる。
〔酸基を有する化合物(d)〕
本発明のコーティング用硬化性組成物は、前記重合体(a)の酸価が0.1mg−KOH/g未満であり、重合性不飽和基を有する単量体(b)が酸基を有さず、かつ硬化用触媒(c)がオルガノボラン−アミン錯体(c−1)である場合(X)(以下、「条件(X)を満たす場合」とも記す)には、酸基を有する化合物(d)を必須成分として含む。
なお、本発明のコーティング用硬化性組成物は、前記重合体(a)の酸価が0.1mg−KOH/g未満であり、重合性不飽和基を有する単量体(b)が酸基を有さず、かつ硬化用触媒(c)がオルガノボラン−アミン錯体(c−1)である場合(X)、以外の場合(以下、「条件(X)を満たさない場合」とも記す)には、任意成分として酸基を有する化合物(d)を含んでいてもよい。
前記酸基を有する化合物(d)とは、その分子内に酸基を有する化合物であり、前記(a)、(b)および(c)に該当しない化合物を意味する。
化合物(d)としては、有機酸、無機酸として知られている化合物であれば、広く用いることができる。
本発明において酸基とは、酸性を示す基であればよく、例えばカルボキシル基、リン酸基、スルホ基、酸無水物基として知られる無水カルボン酸基、ジスルホン酸無水物基、ピロリン酸基が挙げられる。
化合物(d)は、その分子内に少なくとも1つの酸基を有していればよく、分子内に好ましくは1〜6個の酸基を有しており、より好ましくは1〜4個の酸基を有している。
化合物(d)としては、酢酸、クエン酸、ギ酸、乳酸、グルタル酸、フタル酸、コハク酸、リシノレイン酸等のカルボン酸含有化合物、無水酢酸、無水フタル酸、無水コハク酸等のカルボン酸無水物含有化合物、スルホン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸等のスルホン酸含有化合物、リン酸、リン酸モノアルキルエステル、リン酸ジアルキルエステル等のリン酸含有化合物が挙げられる。
〔他の成分〕
本発明の組成物は、さらに必要に応じて、他の成分を含んでもよい。
他の成分としては、例えば、可塑剤、滑剤、硬化促進剤、硬化剤、増粘剤、被膜形成助剤、剥離剤、充填剤、消泡剤、耐熱性付与剤、難燃性付与剤、帯電防止剤、導電性付与剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、重合禁止剤、防曇剤、抗菌・防カビ剤、光触媒、染料、顔料、カップリング剤、チクソ性付与剤、可撓性付与剤、補強材(繊維、布、不織布等)、(メタ)アクリルモノマー以外の硬化性モノマー・オリゴマー、溶媒等が挙げられる。
≪組成物の組成、製造方法、用途等≫
本発明の組成物は、上述の重合体(a)、単量体(b)および硬化用触媒(c)を含有する組成物である。
本発明の組成物は、重合体(a)を25〜95質量部、単量体(b)を5〜75質量部含有する。但し、重合体(a)および単量体(b)の合計を100質量部とする。
重合体(a)および単量体(b)の合計100質量部に対する重合体(a)の配合量は、好ましくは25〜93質量部であり、より好ましくは27〜93質量部であり、特に好ましくは30〜90質量部である。また、単量体(b)の配合量は、好ましくは7〜75質量部であり、より好ましくは7〜73質量部であり、特に好ましくは10〜70質量部である。前記範囲内では、大気中での良好な硬化性が得られ、低表面エネルギー素材から形成される基材に対する密着性に優れるため好ましい。
本発明の組成物が含有する硬化用触媒(c)の量は、硬化用触媒(c)の種類によって異なる。
本発明の組成物は、硬化用触媒(c)が、オルガノボラン−アミン錯体(c−1)である場合には、前記重合体(a)と単量体(b)との合計100gあたり、オルガノボラン−アミン錯体(c−1)を0.001〜0.1mol、好ましくは0.002〜0.1mol、より好ましくは0.003〜0.08mol、最も好ましくは、0.004〜0.08molを含む。前記範囲では、大気中での硬化性と基材への密着性を発現しながら、良好なコーティング液のポットライフを確保できるため好ましい。
本発明の組成物は、硬化用触媒(c)が、遷移金属のカルボン酸塩と、3級アミノ基を有するポリアミンとの混合物(c−2)である場合には、前記重合体(a)と単量体(b)との合計100gあたり、遷移金属のカルボン酸塩と、3級アミノ基を有するポリアミンとを合計で、0.001〜0.1mol、好ましくは0.002〜0.09mol、より好ましくは0.002〜0.08mol、特に好ましくは0.004〜0.08molを含む。前記範囲では、大気中での硬化性と基材への密着性を発現しながら、良好なコーティング液のポットライフを確保できるため好ましい。また、遷移金属のカルボン酸塩と、3級アミノ基を有するポリアミンとのモル比(遷移金属のカルボン酸塩:3級アミノ基を有するポリアミン)は、1:0.05〜1:5、好ましくは1:0.1〜1:4であり、より好ましくは1:0.15〜1:3.5である。前記範囲では、大気中での硬化性と基材への密着性を発現しながら、良好なコーティング液のポットライフを確保できるため好ましい。
本発明の組成物は、前述のように条件(X)を満たす場合には、化合物(d)を必須成分として含む。条件(X)を満たす場合には、本発明の組成物は化合物(d)を、前記オルガノボラン−アミン錯体(c−1)と、化合物(d)とのモル比(c−1:d)が1:0.01〜1:5の範囲、好ましくは1:0.03〜1:4.5の範囲、より好ましくは1:0.05〜1:4の範囲で含有する。前記範囲では、大気中での硬化性と基材への密着性を発現しながら、良好なコーティング液のポットライフを確保できるため好ましい。
本発明の組成物は、条件(X)を満たさない場合には、化合物(d)を任意成分として含んでいてもよい。条件(X)を満たさない場合であり、かつ、硬化用触媒(c)が、オルガノボラン−アミン錯体(c−1)である場合には、本発明の組成物は化合物(d)を、前記オルガノボラン−アミン錯体(c−1)と、化合物(d)とのモル比(c−1:d)が、通常は1:0〜1:5の範囲、好ましくは1:0〜1:4.5の範囲、より好ましくは1:0〜1:4で含有する。前記範囲では、大気中での硬化性と基材への密着性を発現しながら、良好なコーティング液のポットライフを確保できるため好ましい。また、条件(X)を満たさない場合であり、かつ、硬化用触媒(c)が、遷移金属のカルボン酸塩と、3級アミノ基を有するポリアミンとの混合物(c−2)である場合には、本発明の組成物は化合物(d)を、前記遷移金属のカルボン酸塩と、化合物(d)とのモル比(遷移金属のカルボン酸塩:d)が、通常は1:0〜1:5の範囲、好ましくは1:0〜1:4.5の範囲、より好ましくは1:0〜1:4で含有する。前記範囲では、大気中での硬化性と基材への密着性を発現しながら、良好なコーティング液のポットライフを確保できるため好ましい。
本発明の組成物が、前述の他の成分を含む場合には、本発明の効果を奏する限り、その量については特に限定は無い。他の成分(但し、溶媒を除く)の量としては、通常は重合体(a)および単量体(b)の合計を100質量部とすると、0.01〜50質量部の範囲で含まれる。
また、本発明の組成物が、溶媒を含む場合には、通常は重合体(a)および単量体(b)の合計を100質量部とすると、10〜1900質量部の範囲で含まれる。
本発明の組成物の製造方法としては、特に制限は無い。前記組成物は、通常は組成物を構成する成分、すなわち、重合体(a)、単量体(b)、硬化用触媒(c)並びに、必要に応じて、化合物(d)、および他の成分を混合することにより得ることができる。
前記組成物は、重合体(a)、単量体(b)、必要に応じて化合物(d)と、硬化用触媒(c)とが混合等により接触すると、重合反応が開始、すなわち、硬化反応が開始するため、使用の直前に各成分を混合してコーティング用硬化性組成物を得るか、重合体(a)、単量体(b)、必要に応じて化合物(d)と、硬化用触媒(c)とが接触しないように二液型または多成分型(一部の成分が固形、粉体でも良い)の接着剤として調製して保存し、使用直前に両者あるいは全ての成分を混合することが好ましい。
本発明の組成物を、硬化させる際の温度としては、通常は−20〜80℃であり、好ましくは0〜60℃である。本発明の組成物は、常温(例えば、10〜30℃)であっても、硬化することが可能であるため、本発明の組成物は、コーティング用常温硬化型組成物として用いることができる。このため、コーティング膜を基材上に形成することが容易であり、基材として、熱に弱い素材を使用することも可能である。
本発明の組成物は、様々な基材にコーティングすることが可能であり、組成物を硬化させることによりコーティング膜を得ることが可能である。すなわち、本発明の積層体は、基材と、前記基材に隣接して形成されたコーティング用硬化性組成物のコーティング膜とを有する。
また、本発明の組成物は硬化させることによりコーティング膜が得られるが、本発明の組成物は、従来のコーティング用硬化性組成物と比べて、硬化養生時間の短縮が可能である。さらに本発明の組成物は、常温・大気雰囲気下での安全性のコントロール、組成物調製後の液ポットライフのコントロールが容易なことから、取扱い性にも優れる。
本発明の積層体は、基材が低表面エネルギー素材の基材であっても、コーティング膜と、基材との密着性に優れ、コーティング膜の表面硬化性にも優れるため、様々な用途に用いることができる。
基材としては、様々な素材からなる基材を用いることが可能であり、素材としては例えばポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体、ナイロン、ポリアセタール、炭素繊維強化熱可塑性プラスチック(CFRTP)等が挙げられる。
本発明の組成物は低表面エネルギー素材の基材をコーティングする際に好適に用いることが可能であり、低表面エネルギー素材としては、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、シリコーン、ポリテトラフルオロエチレン等が挙げられる。
本発明の積層体は、基材の形状、二次加工の条件等を適宜選択することにより、様々な用途、例えば電気機器、自動車、車輌、船舶、住宅設備機器等、様々な構造物を構成する部品、部材として用いることができる。
次に本発明について実施例を示してさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
〔実施例1〜25、比較例1〜12〕
各実施例、比較例は、それぞれ表1〜4に記載の処方となるように、各成分を計量し、混合を行った。なお、表1〜4において、部は質量部を意味する。
また、表1〜4において、硬化触媒(C)および化合物(D)における「mol」は、重合体(A)および単量体(B)の合計を100gとした場合の硬化触媒(C)および化合物(D)のmol(量)を表す。
具体的には、重合体(A)、単量体(B)、溶媒を計量してガラス容器に投入し、各成分が均一に溶解するまで(10分程度)混ぜたものをコーティング剤主剤とした。
得られたコーティング剤主剤に硬化触媒(C)を計量・投入して、均一に溶解もしくは分散するまで1分混ぜてコーティング用硬化性組成物を調製した。コーティング用硬化性組成物の液ポットライフを下記方法で評価した。
なお、化合物(D)を用いた実施例、比較例においては、重合体(A)、単量体(B)、化合物(D)、溶媒を計量・混合して得られたコーティング主剤に硬化触媒(C)を計量・投入して1分混ぜてコーティング用硬化性組成物を調製した。
得られたコーティング用硬化性組成物をポリプロピレンシート(25mm×100mm×1.6mm厚)にバーコーターを利用して塗工を行った。塗工後は23℃・大気雰囲気下で20hr静置して、硬化養生を行った。硬化養生後の塗工表面の評価、および基材とコーティング膜との密着性の評価を以下の基準で行った。
(液ポットライフ)
調製したコーティング用硬化性組成物を密閉したガラス製容器内で23℃にて保管した。
調製後、1時間保管後の液の増粘の様子を目視観察して液ポットライフの評価を行った。なお、以下の表1〜4では、「液ポットライフ」を「液ライフ」と記す。
◎:液増粘・外観変化が無い
○:液増粘が僅かに見られるが塗工可能
△:液増粘が見られ、塗工後に表面筋や表面荒れが発生する
×:液が硬化してしまい、塗工不可
(塗工表面)
硬化養生後の塗工表面のタック・ベトツキ感を指触にて確認、評価した。
◎:タック・ベトツキ感が無い
○:タック・ベトツキ感が僅かにある
△:タック・ベトツキ感があり、指触後の指に付着物がある
×:タック・ベトツキ感が明らかにあり、未反応物の臭気がする
(密着性)
硬化養生後の塗工サンプルの塗工面(コーティング膜)に粘着テープを貼りつけて23℃/50%RH雰囲気で1hr静置した。
静置後、島津製作所オートグラフAG−Xにて10kNロードセルを用いて引張速度1cm/minにて粘着テープを剥離し、ポリプロピレンシート上のコーティング膜残渣を目視にて確認、評価した。
◎:コーティング剤が剥がれず、残渣が面積で100%残っている
○:コーティング剤が少し剥がれ、残渣が面積で100%未満〜80%以上である
△:コーティング剤が剥がれ、残渣が面積で80%未満〜50%以上である
×:コーティング剤が剥がれ、残渣が面積で50%未満〜0%である
各実施例、比較例の結果を表1〜4に示す。
Figure 0006783933
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Figure 0006783933
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表1〜4において、硬化用触媒(C)、化合物(D)のmolは、重合体(A)および単量体(B)の合計100gあたりの、硬化用触媒(C)、化合物(D)のmol数を意味する。
表1〜4に記載した、各成分の詳細を以下に示す。
(重合体(A))
ユピカ8510:日本ユピカ社製 ユピカ8510(不飽和ポリエステル樹脂)、Mw20000、Mw/Mn4.10、酸価18.5mg−KOH/g
DG774−E:大立高分子工業社製 DG774−E(不飽和ポリエステル樹脂)、Mw4000、Mw/Mn2.00、酸価43.0mg−KOH/g
DN281:大立高分子工業社製 DN281(不飽和ポリエステル樹脂)、Mw33000、Mw/Mn6.70、酸価0mg−KOH/g
GV150:日本ユピカ社製 ユピコートGV150(飽和ポリエステル)、Mw14000、Mw/Mn2.40、酸価6mg−KOH/g
S400:カネカ社製 カネビニルS400(ポリ塩化ビニル)、Mw62000、Mw/Mn2.00、酸価0mg−KOH/g
前記ユピカ8510、DG774−E、およびDN281は、上述の重合体(a)に相当する。
(単量体(B))
St:NSスチレンモノマー社製 スチレン
n−pmid:日本触媒社製 イミレックスP(N−フェニルマレイミド)
MMA:三菱ケミカル社製 アクリエステルM(メチルメタクリレート)
THF−MA:共栄社化学社製 ライトエステルTHF(テトラヒドロフルフリルメタクリレート)
THF−A:大阪有機化学工業社製 ビスコート#150(テトラヒドロフルフリルアクリレート)
DMAA:KJケミカルズ社製 DMAA(ジメチルアクリルアミド)
BZMA:三菱ケミカル社製 アクリエステルBZ(ベンジルメタクリレート)
MAA:三菱ケミカル社製 メタクリル酸
無水マレイン酸:東京化成工業社製 無水マレイン酸
単量体(B)は、全て上述の単量体(b)に相当する。
(硬化用触媒(C))
TEB−DAP:BASF社製 TEB−DAP(トリエチルボラン−1,3−ジアミノプロパン錯体) 分子量:172.12
Fe(Ac)2:東京化成工業社製 Iron(II) acetate、分子量:173.9
TMEDA:広栄化学工業社製 Tetramethylethylenediamine 分子量:116.24
TEB−DAPは、上述の(c−1)に相当し、Fe(Ac)2およびTMEDAを組み合わせて用いることにより、上述の(c−2)に相当する。
(化合物(D))
GluOH:東京化成工業社製 Glutaric acid M:132.12
無水コハク酸:東京化成工業社製 無水コハク酸 M:100.07
GluOHと無水コハク酸は、上述の化合物(d)に相当する。
(硬化剤)
L−45:綜研化学社製 イソシアネート系硬化剤
TPA−100:旭化成ケミカルズ社製 デュラネートTPA−100 イソシアネート系硬化剤
TD−75:綜研化学社製 イソシアネート系硬化剤
(溶媒)
MEK:丸善石油化学社製 MEK(メチルエチルケトン)
表1〜4の結果から、本発明のコーティング用硬化性組成物は、被着体(ポリオレフィン)への密着性に優れ、表面硬化性にも優れることが分かる。また、本発明のコーティング用硬化性組成物は、常温・大気雰囲気下で使用が可能であるため、ポリオレフィン等をコーティング可能な、常温硬化型コーティング剤として使用することができる。

Claims (5)

  1. 不飽和結合を有する重合体(a)を25〜95質量部、
    重合性不飽和基を有する単量体(b)を5〜75質量部(但し、重合体(a)および単量体(b)の合計を100質量部とする)、および
    硬化用触媒(c)を含有する組成物であり、
    前記硬化用触媒(c)が、オルガノボラン−アミン錯体(c−1)または遷移金属のカルボン酸塩と、3級アミノ基を有するポリアミンとの混合物(c−2)であり、
    前記硬化用触媒(c)が、前記オルガノボラン−アミン錯体(c−1)である場合には、前記(a)と(b)との合計100gあたり、オルガノボラン−アミン錯体(c−1)を0.001〜0.1molを含有し、
    前記硬化用触媒(c)が、前記遷移金属のカルボン酸塩と、3級アミノ基を有するポリアミンとの混合物(c−2)である場合には、前記(a)と(b)との合計100gあたり、遷移金属のカルボン酸塩と、3級アミノ基を有するポリアミンとを合計で、0.001〜0.1molを含有し、遷移金属のカルボン酸塩と、3級アミノ基を有するポリアミンとのモル比(遷移金属のカルボン酸塩:3級アミノ基を有するポリアミン)が、1:0.05〜1:5であり、
    前記重合体(a)の酸価が0.1mg−KOH/g未満であり、重合性不飽和基を有する単量体(b)が酸基を有さず、かつ硬化用触媒(c)がオルガノボラン−アミン錯体(c−1)である場合には、前記組成物は酸基を有する化合物(d)を、前記オルガノボラン−アミン錯体(c−1)と、前記酸基を有する化合物(d)とのモル比(c−1:d)が1:0.01〜1:5の範囲で含有するコーティング用硬化性組成物。
  2. 重合体(a)が、不飽和ポリエステル樹脂である、請求項1に記載のコーティング用硬化性組成物。
  3. 基材と、前記基材に隣接して形成された、請求項1または2に記載のコーティング用硬化性組成物のコーティング膜とを有する積層体。
  4. 前記基材が、低表面エネルギー素材の基材である、請求項3に記載の積層体。
  5. 前記低表面エネルギー素材が、ポリオレフィンである請求項4に記載の積層体。
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