JP6782545B2 - 異常判定装置、異常判定方法及びプログラム - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1に記載の転てつ機用状態監視装置は、スイッチアジャスタの歪みを監視し、歪みの検出値を転換力に変換して出力又は表示する。また、特許文献1には、出力又は表示された転換力と、転てつ機が正常であるときに事前に計測された基準転換力との比較により状態監視を行うことが記載されている。
但し、異常判定装置1が対象とする分岐装置は、新交通システムの分岐装置に限らない。分岐レールの向きを切り替えることで車両の走行経路を切り替えるいろいろな交通システムに用いられる電動の分岐装置の監視に異常判定装置1を用いることができる。
ここで、図2〜図5を参照して、分岐装置が行う分岐レールの切替について説明する。具体的には、軌道の分岐点で車両が直進する場合と左側へ曲がる場合とでの分岐装置による分岐レールの向きの変化の例について説明する。
同図に示す新交通システム700は、軌道800と、車両900とを備える。軌道800は、路面810と、ガイドレール820と、分岐レール830と、分岐装置840とを備える。分岐レール830は、固定分岐レール831と可変分岐レール832とを備える。分岐装置840は、駆動装置841とロッド842とを備える。車両900は、車両本体910と、支持物920と、案内輪930と、分岐輪940と、走行用タイヤ950とを備える。
また、車両900の進行方向を矢印B11で示している。
路面810は、車両900が走行する面である。路面810は、例えばコンクリートの表面にておよそ水平に形成されている。車両900は、路面810に接している走行用タイヤ950を回転させることで路面810上を走行する。
ガイドレール820は、車両900が路面810上を走行するように車両900の向きを制約する。図2の例では、ガイドレール820は軌道800の両側それぞれ(路面810の両脇それぞれ)に設けられており、車両900は、案内輪930をガイドレール820に当てながら(当接させながら)走行する。これにより、車両900は路面810上から逸脱しないように向きを制約される。
図2の例では、軌道800の分岐先のそれぞれに固定分岐レール831が設置されており、固定分岐レール831それぞれの手前(車両900の進行方向に向かって後ろ側)に可変分岐レール832が設置されている。具体的には、車両900が直進する際の分岐先の軌道の右側(車両900の進行方向に向かって右側)に固定分岐レール831が設置され、その固定分岐レール831の手前に可変分岐レール832が設置されている。また、車両900が左へ曲がる際の分岐先の軌道の左側(車両900の進行方向に向かって左側)に固定分岐レール831が設置され、その固定分岐レール831の手前に可変分岐レール832が設置されている。
駆動装置841は、可変分岐レール832の向きを切り替える転換力を出力する。ここで、可変分岐レール832の転換とは、車両の走行経路を切り替えるために、可変分岐レール832の向きを切り替えることである。
車両本体910は、例えば乗客又は貨物など搬送対象を収容する。また、車両本体910の下部には走行用タイヤ950が設けられている。また、車両本体910から両横に突出して支持物920が設けられている。
支持物920は、案内輪930及び分岐輪940を支持している。具体的には、支持物920の左右それぞれの端部に、案内輪930及び分岐輪940が設けられている。支持物920は、案内輪930及び分岐輪940と車両本体910との間隔をおよそ一定に保っている。
分岐輪940は、軌道800の分岐箇所にて分岐レール830に沿って移動することで、車両900を分岐先の軌道800のいずれかへ導く。図2の例では、車両900の右側(車両900の進行方向に向かって右側)の分岐輪940が右可変分岐レール832b及び右固定分岐レール831bに沿って移動することで、車両900を直進させている。
走行用タイヤ950は、車両本体910の下側(路面810に近い側)に設けられ、路面810に接している。走行用タイヤ950が回転することで、車両900移動(走行)する。
固定分岐レール831についても同様である。
一方、図3の例では、車両900の進行方向左側の分岐輪940は、左可変分岐レール832aの内壁833よりも内側に位置している。これにより、図2に示すように車両900の進行方向左側の分岐輪940は、左可変分岐レール832aから離れて移動し得る。
これにより、図2に示すように、車両900は右可変分岐レール832bに沿って移動することで直進する。
一方、右可変分岐レール832bは、端部P22を軌道800の内側寄りに向けている。これにより、車両900の進行方向右側の分岐輪940は、右可変分岐レール832bの内壁833よりも外側に位置するようになる。
図4に示す構成は図2の場合と同様である。図4の各部に対応する図2の各部と同一の符号(700、800、810、820、830、831、831a、831b、832、832a、832b、840、841、842、900、910、920、930、940、950)を付して説明を省略する。また、図4に示す回転中心P11及びP12も、図2の場合と同様であり、説明を省略する。
また、図2の例では、車両900の右側の分岐輪940が右可変分岐レール832b及び右固定分岐レール831bに沿って移動しているのに対し、図4の例では、車両900の左側の分岐輪940が左可変分岐レール832a及び左固定分岐レール831aに沿って移動している。これにより、車両900が左へ曲がっている。図4における車両900の進行方向を矢印B12で示している。
図5に示す構成は図3の場合と同様である。図5の各部に対応する図3の各部と同一の符号(700、800、810、820、830、832、832a、832b、833、900、910、920、930、940)を付して説明を省略する。
具体的には、図5の例では、車両900の進行方向左側の分岐輪940は、左可変分岐レール832aの内壁833よりも外側に位置している。これにより、図4に示すように車両900の進行方向左側の分岐輪940は、左可変分岐レール832aに沿って移動する。
これにより、図4に示すように、車両900は左可変分岐レール832aに沿って移動することで左へ曲がる。
一方、左可変分岐レール832aは、端部P21を軌道800の内側寄りに向けている。これにより、車両900の進行方向左側の分岐輪940は、左可変分岐レール832aの内壁833よりも外側に位置するようになる。
転換力測定部110は、駆動装置841が出力する転換力の向き及び大きさを測定する。具体的には、転換力測定部110は、ロッド842に設置された荷重センサを備え、転換時にロッド842にかかる荷重を測定する。
図6の例では、図2に示された各部に加えて、転換力測定部110の荷重センサ111が示されている。具体的には、ロッド842に荷重センサ111が設けられている。荷重センサ111として歪ゲージを用いる場合、図6のようにロッド842に荷重センサ111(歪ゲージ)を貼り付けてロッド842の圧縮又は引張を検出することで、上記のように駆動装置841が出力する転換力の向き及び大きさを測定することができる。
但し、転換力測定部110が備える荷重センサは、歪ゲージに限らない、転換力測定部110が、静電容量型ロードセルなど歪ゲージ以外のセンサを備えるようにしてもよい。
あるいは、転換力測定部110が、転換力を出力するモータの負荷(例えば負荷トルク)を測定することで、転換力を測定するようにしてもよい。
電圧測定部130は電圧センサを備え、駆動装置841に供給される電圧を測定する。
図7は、電流及び電圧の測定箇所の例を示す説明図である。同図の例では、電圧測定部130の電圧センサ131は、駆動装置841に電力を供給する電源850の電圧を測定する。また、電流測定部120の電流センサ121は、電源850から駆動装置841への電流を測定する。すなわち、電流センサ121、電圧センサ131は、それぞれ、駆動装置841の電源電流、電源電圧を測定する。
図8は、変位センサの設置位置の例を示す説明図である。同図に示す各部のうち、図3の各部と同一の部分には同一の符号(700、800、810、820、830、832、832a、832b、833、900、910、920、930、940)を付して説明を省略する。
変位センサ141として、変位センサ141自らと可変分岐レール832との距離、又は、変位センサ141自らと可変分岐レール832との距離の変化を測定可能ないろいろなセンサを用いることができる。例えば、変位センサ141は、渦電流式のセンサであってもよいし、レーザ式、超音波式、又は、ワイヤ式のセンサであってもよい。
変位測定部140は、左変位センサ141aと左可変分岐レール832aとの距離の変化を検出することで、左可変分岐レール832aの変位(左可変分岐レール832aの位置の変化)を検出する。同様に、変位測定部140は、右変位センサ141bと右可変分岐レール832bとの距離の変化を検出することで、右可変分岐レール832bの変位(右可変分岐レール832bの位置の変化)を検出する。
図9の線L21は、荷重センサ111による可変分岐レール832の転換時の荷重の測定値(駆動装置841が出力する転換力の測定値)の例を示す。線L21のグラフの横軸は時刻を示し、縦軸は荷重を示す。
時刻T12から時刻T13までの間、線L21に示されるように、駆動装置841は転換力の出力を停止しており、左可変分岐レール832a及び右可変分岐レール832bは、図2及び図3に示される状態を維持している。
時刻T14の後、線L21に示されるように、駆動装置841は転換力の出力を停止しており、左可変分岐レール832a及び右可変分岐レール832bは、図4及び図5に示される状態を維持している。
環境温度測定部160は、例えば外気温を測定するなど、監視対象である分岐箇所における環境温度を測定する。
測定結果取得部210は、測定部100による各種測定値を取得する。測定結果取得部210は、例えば異常判定装置本体200が備える通信回路を含んで構成され、異常判定装置本体200と測定部100との通信インタフェースとして機能する。
表示部230は、例えば液晶パネル又はLED(Light Emitting Diode、発光ダイオード)パネル等の表示面を備え、各種画像を表示する。特に、表示部230は、異常判定部291が分岐装置840の異常の有無および異常発生箇所を判定した判定結果を表示する。
測定結果記憶部281は、測定部100による各種測定値を記憶する。例えば、測定結果記憶部281は、測定部100の各部が測定した測定値の履歴を、測定を行った機能部毎に、かつ、測定時刻を示す情報と対応付けて記憶する。
制御部290は、異常判定装置1の各部を制御して各種処理を実行する。制御部290は、例えば異常判定装置1が備えるCPU(Central Processing Unit、中央処理装置)が記憶部280からプログラムを読み出して実行することで構成される。
また、変位測定部140が測定する変位に所定の閾値以上のオフセットが生じている場合、異常判定部291は、可変分岐レール832又はロッド842が変形している可能性有りと判定する。この場合、異常判定部291は、異常発生個所を可変分岐レール832と判定する。
ここでいう可変分岐レール832の切替速度は、可変分岐レール832の向きを切り替える際の、可変分岐レール832の変位の速さである。例えば、異常判定部291は、変位センサ141が測定する可変分岐レール832の変位を時間で除算して、可変分岐レール832の切替速度を算出する。
また、電圧測定部130が測定する電圧が所定の上限閾値より大きい場合、又は、所定の下限閾値よりも小さい場合、異常判定部291は、電源の不具合の可能性有りと判定する。この場合、異常判定部291は、異常発生個所を電源と判定する。
また、電流測定部120が測定する電流が所定の上限閾値より大きい場合、又は、所定の下限閾値よりも小さい場合、異常判定部291は、電源の不具合の可能性有りと判定する。この場合、異常判定部291は、異常発生個所を電源と判定する。
また、駆動装置温度測定部150が測定する温度が所定の第二閾値よりも高い場合、異常判定部291は、駆動装置841内部で焼損が起きている可能性があると判定する。この場合、異常判定部291は、異常発生個所を駆動装置841と判定する。ここで、第二閾値は、第一閾値よりも高い温度に設定されている。
ここでいう経時的変化は、例えば経年変化(年単位など比較的長い時間の経過による変化)である。あるいは、数カ月の経過など比較的短い時間の経過による変化であってもよい。
線L31は、荷重センサ111が検出する荷重の経時的変化の例を示している。この荷重センサ111が検出する荷重は、図10を参照して説明した転換力測定部110が測定する転換力の例に該当する。
この荷重の増加は、転換力を出力するモータの負荷の増加を示している。モータの負荷が高い状態は故障の原因につながる。そこで、異常判定部291は、荷重が大きい状態を検出すると表示部230に、可変分岐レール832の異常の可能性を示して点検を促すメッセージ(アラーム)を表示させる。
例えば、測定結果記憶部281が、図11の時刻T21にて荷重センサが測定した荷重を記憶しておく。そして、異常判定部291は、この時刻T21における荷重を基準として、荷重センサ111の測定値が、この基準よりも所定の荷重以上大きくなったことを検出すると、表示部230にアラームを表示させる。
そこで、異常判定部291が、荷重の増加に代えて、可変分岐レール832の切替時間の増加を検出するようにしてもよい。
線L33に示される可変分岐レール832の切替速度が遅いほど、線L32に示される可変分岐レール832の切替時間が長くなる。そこで、異常判定部291が、荷重の増加、可変分岐レール832の切替時間の増加及び可変分岐レール832の切替速度の低下のうち、いずれか1つのみを検出するようにしてもよい。
あるいは、異常判定部291が、荷重の増加又は可変分岐レール832の切替時間の増加と、可変分岐レール832の切替速度の低下とを検出するようにしてもよい。これにより、荷重センサ111又は変位センサ141のいずれかが故障した場合でも、可変分岐レール832の異常を検知し得る。
また、図12の電圧V11は、電圧測定部130が測定する電圧の基準値を示し、電圧V11を含む領域A11は、異常判定部291が正常と判定する範囲を示す。
図12の例では、時刻T31までは、電圧測定部130による電圧測定値が正常の範囲内(領域A11の範囲内)にある。一方、時刻T31より後は、電圧測定部130による電圧測定値が正常の範囲内を逸脱している。ここで、図12の例のように電圧測定部130による電圧測定値が上昇する原因として、電源の異常が考えられる。
図12の例の場合、時刻T31より後のある時点で、電圧測定値が正常値の上限(閾値)よりも大きいと判定すると、異常判定部291は、記憶部280が記憶している情報に基づいて、電源の異常を示して点検を促すアラームを表示部230に表示させる。
また、図13の電圧V21は、電圧測定部130が測定する電圧の基準値を示し、電圧V21を含む領域A21は、異常判定部291が電圧について正常と判定する範囲を示す。線L51は、電圧との関係で決定された電流の基準値を示し、領域A21の範囲内、かつ、線L51を含む領域A22は、異常判定部291が正常と判定する範囲を示す。
また、記憶部280は、第1の測定値と第2の測定値の基準値との関係を示す情報を予め記憶しておく。そして、異常判定部291は、第1の測定値の正常の範囲について、第2の測定値の基準値(図13では線L51)を求め、得られた基準値から所定の範囲を、第1の測定値と第2の測定値との組み合わせの正常の範囲(図13では領域A22)に決定する。
或いは、記憶部280が、第1の測定値と第2の測定値との組み合わせの正常の範囲(図13では領域A22)を示す情報を予め記憶しておくようにしてもよい。
例えば、駆動装置841に供給される電源電圧に異常がある場合、駆動装置841自体には異常がなくても駆動装置841を流れる電流にも異常が生じることが考えられる。
この場合、仮に異常判定部291が、電流測定部120が測定する電流のみに基づいて異常有りと判定すると、異常判定部291は、電流の異常を検出したことから駆動装置841内の異常と判断する。すると、駆動装置841自体には異常がないにもかかわらず、異常判定部291は、駆動装置841に異常があると誤判定してしまう。
図14は、異常判定部291が異常の有無を判定する順序の例を示す説明図である。
異常判定処理を開始した異常判定部291は、まず、電圧の異常の有無を判定する(ステップS11)。具体的には、異常判定部291は、電圧測定部130による電圧測定値が所定の正常範囲内にあるか否かを判定する。
ステップS12の後、図14の処理を終了する。
このように、異常判定部291が、電圧の異常の有無を判定し、電圧の異常有りと判定した場合に、電流の異常の有無を判定することで、電流の異常の有無を判定する際、電源が正常であると想定することができる。これにより、異常判定部291は、電流の異常有りと判定した場合に、異常発生個所の候補から電源を除外することができる。
転換力の異常有りと判定した場合(ステップS22:YES)、異常判定部291は、駆動装置の異常時の処理、及び、可変分岐レールの異常時の処理を行う(ステップS23)。具体的には、異常判定部291は、ステップS21での電流の異常有りとの判定結果に基づいて、異常発生個所が駆動装置と推定され、駆動装置内の断線又は接触不良など駆動装置内の故障の可能性があることを示すメッセージを表示部230に表示させる。さらに、異常判定部291は、ステップS22での転換力の異常有りとの判定結果に基づいて、異常発生個所が可変分岐レールと推定され、可変分岐レールが錆又は凍結等で固渋している可能性があることを示すメッセージを表示部230に表示させる。
ステップS23の後、図14の処理を終了する。
ステップS24の後、図14の処理を終了する。
転換力の異常有りと判定した場合(ステップS31:YES)、異常判定部291は、分岐レールの異常時の処理を行う(ステップS32)。具体的には、異常判定部291は、異常発生個所が可変分岐レールと推定され、可変分岐レールが錆又は凍結等で固渋している可能性があることを示すメッセージを表示部230に表示させる。
ステップS32の後、図14の処理を終了する。
変位の異常有りと判定した場合(ステップS41:YES)、異常判定部291は、ステップS41で異常有りと判定した異常に応じた処理を行う(ステップS42)。
また、左右の変位量が相違する場合、異常判定部291は、異常発生個所が可変分岐レール832と推定され、可変分岐レール832とロッド842との締結が緩んでいる可能性があることを示すメッセージを表示部230に表示させる。
また、変位測定部140が測定する変位に所定の閾値以上のオフセットが生じている場合、異常判定部291は、異常発生個所が可変分岐レール832と推定され、可変分岐レール832又はロッド842が変形している可能性があることを示すメッセージを表示部230に表示させる。
ステップS42の後、図14の処理を終了する。
例えば、異常判定部291は、異常が発見されなかったことを示すメッセージを表示部230に表示させる。あるいは、ステップS51では、異常判定部291が、特に何も処理を行わないようにしてもよい。
ステップS51の後、図14の処理を終了する。
図15は、異常の傾向を示す測定値の履歴の第1の例を示すグラフである。
同図のグラフの横軸は可変分岐レール832の切替速度を示し、縦軸は荷重を示す。点P31〜P35は、それぞれ、1回の可変分岐レール832の転換における切替速度の平均値と、当該転換の際にロッド842にかかった荷重の平均値とを示している。例えば、可変分岐レール832の転換が行われる毎に、異常判定部291が当該転換での切替速度の平均値とロッド842にかかった荷重の平均値とを求める。そして、異常判定部291は、転換が行われたタイミングを示す情報(例えば転換が開始された年月日及び時刻を示す情報)と対応付けて測定結果記憶部281に記憶させておく。
可変分岐レール832の転換が行われた時刻は、点P31、P32、P33、・・・、P35の順である。点P31が示す転換が最も古く、点P35が示す転換が最も新しい。図15では、この時系列の順序を破線の矢印で示している。
異常の傾向を検出した場合、異常判定部291は、1回目の検出では、注意喚起を促すメッセージを表示部230に表示させる。また、2回目の異常の傾向の検出では、異常判定部291は、点検を促すメッセージを表示部230に表示させる。異常判定部291は、測定値自体が異常判定の閾値を超えているか否かにかかわらず、これらの処理を行う。
一方、点P32と点P33との間では、切替速度の低下が閾値よりも大きくなっている。このため、異常判定部291は要注意と判定する。ここでいう要注意の判定は、注意喚起を促すメッセージを表示部230に表示させる判定である。図15では、要注意の判定結果を三角で示している。
一方、点P34と点P35との間では、切替速度の低下が閾値よりも大きくなっている。このため、異常判定部291は要点検と判定する。ここでいう要点検の判定は、点検を促すメッセージを表示部230に表示させる判定である。図15では、要点検の判定結果をバツ印で示している。
同図のグラフの横軸は可変分岐レール832の切替速度を示し、縦軸は荷重を示す。点P41〜P46は、それぞれ、1回の可変分岐レール832の転換における切替速度の平均値と、当該転換の際にロッド842にかかった荷重の平均値とを示している。例えば、可変分岐レール832の転換が行われる毎に、異常判定部291が当該転換での切替速度の平均値とロッド842にかかった荷重の平均値とを求める。そして、異常判定部291は、転換が行われたタイミングを示す情報(例えば転換が開始された年月日及び時刻を示す情報)と対応付けて測定結果記憶部281に記憶させておく。
異常判定部291が異常の傾向を検出する方法、及び、異常を検出した場合の処理は、図15を参照して説明したのと同様である。
一方、点P42と点P43との間では、切替速度の低下が閾値よりも大きくなっている。このため、異常判定部291は要注意と判定する。図16では、要注意の判定結果を三角で示している。
一方、点P45と点P46との間では、負荷の増加が閾値よりも大きくなっている。このため、異常判定部291は要点検と判定する。図16では、要点検の判定結果をバツ印で示している。
図17は、異常判定装置1が分岐装置840に関する異常の判定を行う処理手順の例を示すフローチャートである。異常判定装置1は、例えば定期的に図17の処理を行う。
図17の処理で、転換力測定部110は、分岐装置840が可変分岐レール832の向きを切り替える転換力を測定する(ステップS101)。また、電圧測定部130は、駆動装置841に供給される電源電圧を測定する(ステップS102)。電流測定部120は、駆動装置841を流れる電流を測定する(ステップS103)。
ステップS101〜S103の実行順序は任意でよい。例えば、異常判定装置1がステップS101とステップS102とステップS103とを並行処理で実行するようにしてもよい。
ステップS111の後、図17の処理を終了する。
このように、異常判定部291が異常発生個所を切り分けて異常の有無を判定する点で、ユーザは、軌道の切替部分に障害が発生した場合に、障害の発生個所を把握するための情報を得られる。これにより、ユーザが、障害の発生個所を速やかに特定できることが期待される。障害の発生個所を速やかに特定することで、ユーザは、速やかに障害を解消し得る。
異常判定部291が、過去の測定値に基づいて異常判定の閾値を設定することで、装置の個体差に応じた閾値を設定することができる。この閾値を用いることで、異常判定部291は、より高精度に異常の有無を判定することができる。
また、異常判定部291が、測定値の変化量に基づいて異常の傾向を検出してユーザに通知することで、ユーザは、故障など不具合発生の可能性を比較的早い段階で把握できる。これにより、ユーザは、時間的余裕を持って対策を行うことができる。また、ユーザが、故障等の発生を未然に防ぐことができる可能性がある。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
100 測定部
110 転換力測定部
120 電流測定部
130 電圧測定部
140 変位測定部
150 駆動装置温度測定部
160 環境温度測定部
200 異常判定装置本体
210 測定結果取得部
220 操作入力部
230 表示部
280 記憶部
281 測定結果記憶部
290 制御部
291 異常判定部
Claims (4)
- 向きを可変に設けられた分岐レールの向きを切り替える転換力を出力する駆動装置と、前記駆動装置からの転換力を前記分岐レールに伝達するロッドとを備える分岐装置に関する異常の有無を判定する異常判定装置が、
前記駆動装置が出力する前記転換力を測定する転換力測定部と、
前記駆動装置に供給される電圧を測定する電圧測定部と、
前記駆動装置を流れる電流を測定する電流測定部と、
前記転換力の大きさと、前記電圧の大きさと、前記電流の大きさとに基づいて、かつ、前記電圧の大きさ及び前記電流の大きさのうち少なくともいずれか1つの経年変化に基づいて、前記分岐レールにおける異常と、前記駆動装置における異常と、前記駆動装置への供給電力の異常とを切り分けて異常の有無を判定する異常判定部と、
を備える異常判定装置。 - 車両の走行経路に沿って前記走行経路の左右それぞれに設けられた前記分岐レールの変位を、左右の分岐レールそれぞれについて測定する変位測定部をさらに備え、
前記異常判定部は、左の前記分岐レールの変位と右の前記分岐レールの変位との差に基づいて、前記分岐レールの異常の有無を判定する、
請求項1に記載の異常判定装置。 - 向きを可変に設けられた分岐レールの向きを切り替える転換力を出力する駆動装置と、前記駆動装置からの転換力を前記分岐レールに伝達するロッドとを備える分岐装置に関する異常の有無を判定する異常判定装置が、
前記駆動装置が出力する前記転換力を測定し、
前記駆動装置に供給される電圧を測定し、
前記駆動装置を流れる電流を測定し、
前記転換力の大きさと、前記電圧の大きさと、前記電流の大きさとに基づいて、かつ、前記電圧の大きさ及び前記電流の大きさのうち少なくともいずれか1つの経年変化に基づいて、前記分岐レールにおける異常と、前記駆動装置における異常と、前記駆動装置への供給電力の異常とを切り分けて異常の有無を判定する、
異常判定方法。 - 向きを可変に設けられた分岐レールの向きを切り替える転換力を出力する駆動装置と、前記駆動装置からの転換力を前記分岐レールに伝達するロッドとを備える分岐装置に関する異常の有無を判定するコンピュータに、前記駆動装置が出力する前記転換力の大きさと、前記駆動装置に供給される電圧の大きさと、前記駆動装置を流れる電流の大きさとに基づいて、かつ、前記電圧の大きさ及び前記電流の大きさのうち少なくともいずれか1つの経年変化に基づいて、前記分岐レールにおける異常と、前記駆動装置における異常と、前記駆動装置への供給電力の異常とを切り分けて異常の有無を判定させるためのプログラム。
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