(第1実施形態)
以下、図面を参照して、この発明の第1実施形態について詳しく説明する。
図1~図3に示す車輪Wは、基本レール3a,3b及びトングレール4a,4bと回転接触する部材である。車輪Wは、レール頭部3c,4cの頭頂面と接触して摩擦抵抗を受ける踏面W1と、脱輪を防止するために車輪Wの外周部に連続して形成されたフランジ面W2などを備えている。
図1及び図2に示す分岐器1は、一つの軌道を二つ以上の軌道に分ける装置である。図1及び図2に示す分岐器1は、基準線LMが直線であり分岐線(他の一線)LBが曲線である片開き分岐器である。分岐器1は、例えば、図1に示すように、トングレール4a,4bがD1方向に転換したときが常時開通している方向(定位)であり、図2に示すようにトングレール4a,4bがD2方向に転換したときが常時開通していない方向(反位)である。ここで、転換とは、列車又は車両の進路を変えるためにトングレール4a,4bの状態を切り替えることをいう。図1及び図2に示す分岐器1は、図22に示す従来の分岐器101とは異なり動作かん108aを備えていない。分岐器1は、ポイント部2などを備えている。
図1及び図2に示すポイント部2は、分岐器1を構成する部分のうち軌道を分ける部分である。ポイント部2は、図1~図4に示す基本レール3a,3bと、トングレール4a,4bと、図3及び図4に示すレールブレス5と、図3に示す床板6と、図1及び図2に示す分岐まくらぎ7A,7Bなどを備えている。ポイント部2は、図3及び図4に示す転換装置8の駆動力発生部9にトングレール4a,4bが連結されており、図1及び図2に示すように転換装置8の動作と連動してトングレール4a,4bがD1,D2方向に転換動作する。ポイント部2は、図1に示すように、トングレール4a,4bがD1方向に転換したときには、トングレール4aが基本レール3aと密着し、トングレール4bが基本レール3bから離間する。一方、ポイント部2は、図2に示すように、トングレール4a,4bがD1方向とは反対方向のD2方向に転換したときには、トングレール4aが基本レール3aから離間し、トングレール4bが基本レール3bと密着する。
図1~図4に示す基本レール3a,3bは、トングレール4a,4bの先端部が密着及び離間する固定レールである。基本レール3a,3bは、図3に示す床板6を介して分岐まくらぎ7A,7Bに締結されている。基本レール3aは、図3及び図4に示すように、車輪Wと接触するレール頭部3cと、床板6を介して分岐まくらぎ7A,7Bに支持されるレール底部(フランジ部)3dと、レール頭部3cとレール底部3dとを繋ぐレール腹部(ウェブ部)3eなどを備えている。レールブレス5は、基本レール3a,3bの転倒を防止する部材である。レールブレス5は、トングレール4aと接触する側とは反対側の基本レール3aと密着した状態で、基本レール3aの底部上面を押さえ付けて、基本レール3aを床板6上に着脱自在に取り付けている。
図1~図4に示すトングレール4a,4bは、先端部を尖らせた転換可能な可動レールである。トングレール4a,4bは、図4~図6に示す基本レール3a,3bのレール頭部3cと密着及び離間するレール頭部4cと、床板6上にしゅう動自在に支持されるレール底部4dと、レール頭部4cとレール底部4dとを繋ぐレール腹部4eと、図1及び図2に示すトングレール4a,4bがD1,D2方向に転換するときに回転中心となるように固定される後端部4fなどを備えている。
図3に示す床板6は、トングレール4a,4bを移動自在に支持する部材である。床板6は、基本レール3a,3b及びトングレール4a,4bと分岐まくらぎ7A,7Bとの間に挿入される部材であり、これらの間に挟み込まれた状態で分岐まくらぎ7A,7Bに締結される締結用部材である。床板6は、トングレール4a,4bのレール底部4dの底部下面をしゅう動自在に支持するとともに、基本レール3a,3bのレール底部3dの底部下面を支持する。床板6は、分岐まくらぎ7Bの両縁部に沿ってこの分岐まくらぎ7Bの幅方向に間隔をあけて、分岐まくらぎ7Bに取り付けられている。
図1及び図2に示す分岐まくらぎ7A,7Bは、分岐器1を支持する支持体(支承体)である。分岐まくらぎ7A,7Bは、基本レール3a,3bを固定し軌間を正確に保持するとともに、基本レール3a,3b及びトングレール4a,4bから伝達される列車荷重を広く道床に分散させるために、基本レール3a,3b及びトングレール4a,4bと道床との間に設置される。図1及び図2に示す分岐まくらぎ7A,7Bは、低倍率発泡させたポリウレタン系樹脂でガラス繊維を固めた合成樹脂製のまくらぎであり、天然の樹木から製造され防腐処理が施された木まくらぎの代替品として主に分岐器1に使用される。分岐まくらぎ7A,7Bは、基本レール3a,3b及びトングレール4a,4bの長さ方向に所定の間隔をあけて配置されており、基本レール3a,3b及びトングレール4a,4bを離散的に支持している。図1及び図2に示す分岐まくらぎ7Aは、図22に示す従来の分岐まくらぎ107と同じまくらぎである。図1~図4に示す分岐まくらぎ7Bは、収容装置28に転換装置8を収容した状態で、収容装置28が上面凹部7aに装着されている転換装置8を内蔵するまくらぎである。分岐まくらぎ7Bは、図1及び図2に示す分岐まくらぎ7Aの厚さとこの分岐まくらぎ7Bの厚さが同じであるが、分岐まくらぎ7Aの幅よりもこの分岐まくらぎ7Bの幅が広く形成されている。分岐まくらぎ7Bは、図4に示すように、上面凹部7aを備えている。
図4に示す上面凹部7aは、収容装置28を装着するための部分である。上面凹部7aは、分岐まくらぎ7Bの上面に形成されており、所定の幅、長さ及び深さで形成されている。上面凹部7aは、例えば、分岐まくらぎ7Bの製造時にこの分岐まくらぎ7Bと一体に成型、又は分岐まくらぎ7Bの製造後に機械加工によって形成される。上面凹部7aは、分岐器1の左右の基本レール3a,3b間(軌間内側)に形成されており、図3に示すように分岐まくらぎ7Bの幅よりも狭く形成されている。上面凹部7aは、分岐まくらぎ7Bの幅方向における床板6間にこれらの床板6と隙間をあけて形成されている。上面凹部7aは、図4に示すように、分岐まくらぎ7Bの上面と平行に形成された平坦な装着面(底面)7bを備えている。
図1~図6に示す転換装置8は、分岐器1を転換する装置である。転換装置8は、図1~図4に示すように、収容装置28に収容された状態で分岐器1を転換する。転換装置8は、分岐器1を転換するための駆動力(転換力)を発生して、トングレール4a,4bをD1,D2方向に移動させる。転換装置8は、トングレール4a,4bを基本レール3a,3bに密着させた状態に保持し、分岐器1を転換できないようにする鎖錠装置としての機能も有する転てつ装置である。転換装置8は、作動流体の流体圧によって動作して分岐器1を転換する。転換装置8は、図4に示すように、この転換装置8を構成する機器が収容装置28に収容されている。転換装置8は、図22に示す従来の転てつ機108及び転てつ棒108aなどに相当する機器が収容装置28に収容された状態で、左右の基本レール3a,3b間に配置されている。転換装置8は、図3~図6に示す駆動力発生部9と、図7に示すロック機構部12と、図3~図6に示す接続部13A,13Bと、図5及び図6に示す絶縁部17と、図5に示す位置検出部18と、荷重検出部19と、転換速度検出部20と、情報記憶部21と、電源部22と、信号入力部23と、信号出力部24と、制御部25などを備えている。転換装置8は、駆動力発生部9、ロック機構部12、位置検出部18、荷重検出部19、転換速度検出部20、情報記憶部21、電源部22、信号入力部23、信号出力部24、制御部25及び状態監視部27などの構成機器がユニット化されている。
図3~図6に示す駆動力発生部9は、トングレール4a,4bを転換するための駆動力を発生する手段である。駆動力発生部9は、作動流体の流体圧によってトングレール4a,4bを転換するための駆動力を発生して、トングレール4a,4bをD1,D2方向に転換する。駆動力発生部9は、例えば、作動油の油圧によって駆動力を発生する油圧シリンダ及び油圧回路などを備えるアクチュエータである。駆動力発生部9は、図6に示すシリンダ部10と流体圧回路11などを備えている。
図6に示すシリンダ部10は、作動流体の流体圧によって駆動力を発生する手段である。シリンダ部10は、図3~図6に示すシリンダチューブ10aと、図5及び図6に示すピストン10bと、図3~図6に示すピストンロッド10c,10dと、図4及び図5に示す保護部10fなどを備えている。シリンダ部10は、ピストンロッド10c,10dをシリンダチューブ10aの両端部から突出させて、ピストンロッド10c,10dを両方向(D1,D2方向)に往復駆動させる両ロッド型の複動シリンダである。シリンダ部10は、ピストンロッド10c,10dを往復駆動させることによって、トングレール4a,4bをD1,D2方向に転換する。
図3~図6に示すシリンダチューブ10aは、作動流体が流入及び流出する部分である。シリンダチューブ10aは、このシリンダチューブ10aの両端部が収容装置28の天板にブラケットなどの支持部材によって着脱自在に支持されている。図5及び図6に示すピストン10bは、作動流体の流体圧を受けてシリンダチューブ10a内を移動する部分である。ピストン10bは、シリンダチューブ10a内に往復移動自在に収容されており、シリンダチューブ10a内を二つのシリンダ室C1,C2に区画している。ピストン10bは、このピストン10bの外周面がシリンダチューブ10aの内周面としゅう動自在である。図3~図6に示すピストンロッド10c,10dは、ピストン10bの往復動作に連動して往復動作する部分である。ピストンロッド10c,10dは、ピストン10bの一方の受圧面と他方の受圧面とにそれぞれ後端部が固定されている。図4及び図5に示す保護部10fは、ピストンロッド10c,10dを保護する部分である。保護部10fは、収容装置28の貫通孔28bから雨水又は塵埃などの異物が収容装置28内に浸入するのを防止するとともに、雨水又は飛石などの異物からピストンロッド10c,10dを保護する。保護部10fは、ピストンロッド10c,10dに進退動作に連動して伸縮するベローズ構造である。保護部10fは、一方の端部がピストンロッド10c,10dの先端部に取り付けられており、他方の端部が収容装置28に取り付けられている。
図6に示す流体圧回路11は、シリンダ部10を動作させる手段である。流体圧回路11は、シリンダ部10のピストンロッド10c,10dの移動方向を切り替える。流体圧回路11は、例えば、シリンダ部10に作動油を供給するための油圧ユニットなどである。流体圧回路11は、動作切替部11aと、流体圧源11bと、作動流体収容部11cと、流路11d~11gなどを備えている。
動作切替部11aは、ピストンロッド10c,10dの動作を切り替える手段である。動作切替部11aは、例えば、作動流体が流れる流路11d,11eを切り替える。動作切替部11aは、シリンダ室C1,C2に作動流体を流入、流出及び停止させることによって、ピストンロッド10c,10dの移動方向(D1,D2方向)を切り替えるとともに、ピストンロッド10c,10dを停止させる。動作切替部11aは、例えば、作動油の流路を制御する方向制御弁などである。動作切替部11aは、ソレノイドSOL-1が通電状態になったときには、ピストンロッド10c,10dがD1方向に動作するように、流体圧源11bからシリンダ室C1に流路11dを通じて作動流体を供給させ、シリンダ室C2から作動流体収容部11cに流路11eを通じて作動流体を排出させる。動作切替部11aは、ソレノイドSOL-2が通電状態になったときには、ピストンロッド10c,10dがD2方向に動作するように、流体圧源11bからシリンダ室C2に流路11eを通じて作動流体を供給させ、シリンダ室C1から作動流体収容部11cに流路11dを通じて作動流体を排出させる。動作切替部11aは、ソレノイドSOL-1,SOL-2が非通電状態になったときには、ピストンロッド10c,10dが停止するように、流路11d,11eを閉鎖してシリンダ室C1,C2に作動流体を供給及び排出させない。
流体圧源11bは、シリンダ部10に作動流体を供給する手段である。流体圧源11bは、作動流体収容部11cから動作切替部11aを通じてシリンダ部10に作動流体を供給する。流体圧源11bは、例えば、作動油を送出する油圧ポンプと、この油圧ポンプを駆動する駆動モータなどを備えている。作動流体収容部11cは、作動流体を収容する手段である。作動流体収容部11cは、例えば、シリンダ室C1,C2に流入する作動油を収容するとともに、シリンダ室C1,C2から流出する作動油を回収する油圧タンクなどを備えている。流路11dは、シリンダ室C1と動作切替部11aとの間で作動流体が流れる管路である。流路11eは、シリンダ室C2と動作切替部11aとの間で作動流体が流れる管路である。流路11fは、作動流体収容部11cから流体圧源11bを通じて動作切替部11aに作動流体が流れる管路である。流路11gは動作切替部11aから作動流体収容部11cに作動流体が流れる管路である。
図7に示すロック機構部12は、トングレール4a,4bを転換後にロックする手段である。ロック機構部12は、トングレール4a,4bを停止位置で鎖錠(固定)及び解錠(固定解除)する鎖錠装置として機能する。ロック機構部12は、分岐器1がD1方向に転換してトングレール4aが基本レール3aと密着したときにこのトングレール4aをロックするとともに、分岐器1がD2方向に転換してトングレール4bが基本レール3bと密着したときにこのトングレール4bをロックする。ロック機構部12は、例えば、トングレール4a,4bが基本レール3a,3bに接着(例えば、通常2~3kN程度)し密着(例えば、5kN程度)してもトングレール4a,4bが移動しなかったときに、トングレール4a,4bをロックする。ロック機構部12は、シリンダ部10のピストン10bを固定する。ロック機構部12は、ピストン10b及びピストンロッド10cの内部を貫通して作動流体が流入する流路12aと、流路12aを開閉することによってロック状態又はロック解除状態にピストン10bの動作を切り替える動作切替部12bと、流路12aに作動流体を供給する流体圧源12cと、作動流体を収容する作動流体収容部12dと、ピストン10bの外周部の両端に嵌め込まれてシリンダチューブ10aとピストン10bとの間を密封するパッキン12eなどを備えている。ロック機構部12は、通常のシリンダ装置とは異なりピストン10bの幅が広く形成されており、流体圧源12cから供給されて増圧器(図示省略)によって昇圧(例えば、7~14MPa程度の油圧ポンプからの作動油を32MPa程度に昇圧)された作動流体を流路12aに供給する。ロック機構部12は、図7(A)に示すように、パッキン12e間に作動流体が流入すると、パッキン12e間のシリンダチューブ10aが作動流体の流体圧によって外側に膨張して、ピストン10bをロック解錠状態に切り替える。ロック機構部12は、トングレール4a,4bの転換時には、シリンダチューブ10aとピストン10bとの間に作動流体を流入させてこれらの間に隙間Δ3を形成する。一方、ロック機構部12は、図7(B)に示すように、パッキン12e間に作動流体が流出すると、パッキン12e間のシリンダチューブ10aが膨張状態から復元してシリンダチューブ10aの内周部とピストン10bの外周部とが締り嵌め状態になり、ピストン10bをロック状態に切り替える。ロック機構部12は、トングレール4a,4bのロック時には、シリンダチューブ10aとピストン10bとの間への作動流体の流入を停止させてこれらを密着させる。
図3~図6示す接続部13A,13Bは、分岐器1と駆動力発生部9とを接続する手段である。接続部13Aは、駆動力発生部9のピストンロッド10cとトングレール4bとを接続し、接続部13Bは駆動力発生部9のピストンロッド10dとトングレール4aとを接続する。接続部13A,13Bは、分岐器1を転換装置8が転換するときに、駆動力発生部9から分岐器1にまくらぎ長さ方向には力を作用させ、まくらぎ幅方向には力を作用させず、かつ、曲げモーメントを作用させないように、分岐器1と駆動力発生部9とを接続している。接続部13A,13Bは、連結部14,15などを備えている。接続部13A,13Bは、分岐器1側の連結部14と駆動力発生部9側の連結部15との間に曲げモーメントが作用しないように、これらを結合している。接続部13A,13Bは、連結部14側の平面と連結部15側の球面とを点接触させてこれらを回転可能に接続するピボット軸受に近似した軸受構造を備えている。
図5及び図6に示す絶縁部17は、分岐器1と駆動力発生部9との間を電気的に絶縁する手段である。絶縁部17は、図1~図6に示す左右のトングレール4a,4b間を電気的に絶縁することによって、列車の有無を検知する軌道回路が電気的に短絡されるのを防止する。
図5に示す位置検出部18は、トングレール4a,4bの位置を検出する手段である。位置検出部18は、駆動力発生部9のストロークを検出することによってトングレール4a,4bのポイントストロークを検出する。位置検出部18は、例えば、駆動力発生部9のピストン10b又はピストンロッド10c,10dのストローク(変位)を検出することによって、トングレール4a,4bの位置を検出する。位置検出部18は、ピストン10b又はピストンロッド10c,10dの変位を光学的又は磁気的手法によって検出する変位センサと、この変位センサの出力信号に基づいてトングレール4a,4bの位置を演算する位置演算部などを備えている。位置検出部18は、トングレール4a,4bの位置を位置検出信号(位置情報)として制御部25に出力する。
荷重検出部19は、トングレール4a,4bに作用する荷重を検出する手段である。荷重検出部19は、シリンダ部10又は流体圧回路11の作動流体の流体圧を検出することによって、トングレール4a,4bに作用する荷重(転換力)を検出する。荷重検出部19は、シリンダ室C1,C2内又は流路11d,11e内の作動流体の流体圧を検出する圧力センサと、この圧力センサの出力信号に基づいてトングレール4a,4bに作用する荷重を演算する荷重演算部などを備えている。荷重検出部19は、トングレール4a,4bに作用する荷重を荷重検出信号(荷重情報)として制御部25に出力する。
転換速度検出部20は、トングレール4a,4bの転換速度を検出する手段である。転換速度検出部20は、位置検出部18が検出するトングレール4a,4bの位置の時間変化に基づいて、トングレール4a,4bの転換速度を検出する。位置検出部18は、例えば、駆動力発生部9のピストン10b又はピストンロッド10c,10dのストロークの時間変化を検出することによって、トングレール4a,4bの転換速度を検出する。位置検出部18は、ピストン10b又はピストンロッド10c,10dの変位を検出する変位センサと、この変位センサの出力信号に基づいてトングレール4a,4bの転換速度を演算する転換速度演算部などを備えている。転換速度検出部20は、トングレール4a,4bの転換速度を転換速度検出信号(転換速度情報)として制御部25に出力する。
情報記憶部21は、転換装置8に関する種々の情報を記憶する手段である。情報記憶部21は、分岐器1の状態に異常があるか否かを判定するときに基準となる判定基準を記憶する。情報記憶部21は、正常停止位置Th1、正常密着力Th2、正常摩擦力Th3、正常転換速度Th4及び正常横圧力Th5を判定基準情報として記憶するメモリである。
正常停止位置Th1は、トングレール4a,4bの停止位置が正常な停止位置であるか否かを判定するときの判定基準である。正常停止位置Th1は、トングレール4a,4bが基本レール3a,3bに密着して密着力が正常な範囲内になるときに、トングレール4a,4bが停止する所定範囲内の位置である。正常停止位置Th1は、例えば、分岐器1の組立時又は敷設時に分岐器1の線形が最適な状態に調整されている場合に、トングレール4a,4bが基本レール3a,3bに正常に密着したときのトングレール4a,4bが停止する所定範囲内の停止位置(転換位置)に設定されている。
正常密着力Th2は、トングレール4a,4bが基本レール3a,3bに密着するときの密着力が正常であるか否かを判定するときの判定基準である。正常密着力Th2は、トングレール4a,4bが基本レール3a,3bと正常に密着して密着力が所定範囲内(例えば、5kN程度)になるときに、トングレール4a,4bに作用する所定範囲内の荷重値である。正常密着力Th2は、例えば、分岐器1の組立時又は敷設時に分岐器1の線形が最適な状態に調整されている場合に、トングレール4a,4bが基本レール3a,3bに正常に密着したときに、トングレール4a,4bに作用する所定範囲内の荷重値に設定されている。
正常摩擦力Th3は、トングレール4a,4bに正常な摩擦力が作用しているか否かを判定するときの判定基準である。正常密着力Th2は、トングレール4a,4bが正常に転換しているときに、トングレール4a,4bに作用する所定範囲内の荷重値である。正常摩擦力Th3は、例えば、分岐器1の組立時又は敷設時に分岐器1が最適な状態に調整されている場合に、トングレール4a,4bと床板6との間に正常な摩擦力が発生しているときに、トングレール4a,4bに作用する所定範囲内の荷重値に設定されている。
正常転換速度Th4は、トングレール4a,4bが正常な転換速度で転換しているか否かを判定するときの判定基準である。正常転換速度Th4は、トングレール4a,4bが正常に転換しているときのトングレール4a,4bの所定範囲内の転換速度である。正常転換速度Th4は、例えば、分岐器1の組立時又は敷設時に分岐器1が最適な状態に調整されている場合に、トングレール4a,4bが正常に転換しているときのトングレール4a,4bの所定範囲内の速度に設定されている。
正常横圧力Th5は、転換後のトングレール4a,4bに正常な横圧力が作用しているか否かを判定するときの判定基準である。正常横圧力Th5は、トングレール4a,4bを車輪Wが通過してトングレール4a,4bに正常な横圧力が作用しているときに、トングレール4a,4bに作用する所定範囲内の荷重値である。ここで、横圧力とは、基本レール3a,3b又はトングレール4a,4bと車両の車輪Wとの接触点に作用する水平方向(車軸方向)の力である。正常横圧力Th5は、例えば、分岐器1の組立時又は敷設時に分岐器1が最適な状態に調整されている場合に、トングレール4a,4bを車輪Wが通過してトングレール4a,4bに正常な横圧力が作用しているときに、トングレール4a,4bに作用する所定範囲内の荷重値に設定されている。
電源部22は、転換装置8に電力を供給する手段である。電源部22は、転換装置8を動作させるために必要な電力を制御部25に供給する。電源部22は、例えば、太陽光を電力に変換して出力する太陽電池、充電によって繰り返し使用が可能な二次電池(蓄電池)又は電力会社などから供給される交流電源若しくは直流電源などである。
信号入力部23は、転換装置8に種々の信号を入力させる手段である。信号入力部23は、例えば、車両を安全かつ効率的に制御する連動装置から送信されて、分岐器1をD1,D2方向に転換させるための転換指令信号(制御情報)を制御部25に入力させる。信号出力部24は、転換装置8から種々の信号を出力させる手段である。信号出力部24は、例えば、ロック機構部12による分岐器1のロック(鎖錠)及びロック解除(解錠)、位置検出部18の検出結果、荷重検出部19の検出結果、転換速度検出部20の検出結果、状態監視部27の監視結果などを表示信号(表示情報)として連動装置に出力する。
制御部25は、転換装置8に関する種々の動作を制御する手段である。制御部25は、トングレール4a,4bが基本レール3a,3bに密着するときの密着力が所定範囲内になるように駆動力発生部9を制御する。制御部25は、荷重検出部19が出力する荷重情報と、情報記憶部21が記憶する判定基準情報とを比較し、トングレール4a,4bの密着力が所定範囲内になるように駆動力発生部9を制御する。制御部25は、例えば、分岐器1の転換方向の切替を動作切替部11aに指令したり、流体圧源11bに作動流体の供給及び停止を指令したり、ロック機構部12に転換後の分岐器1の固定及び固定解除を動作切替部12b指令したり、流体圧源12cに作動流体の供給及び停止を指令したり、位置検出部18にトングレール4a,4bの位置の検出を指令したり、荷重検出部19にトングレール4a,4bに作用する荷重の検出を指令したり、荷重検出部19の検出結果に基づいて駆動力発生部9を制御したり、信号出力部24に表示情報の出力を指令したりする。
制御部25は、状態監視装置26に関する種々の動作を制御する手段である。制御部25は、例えば、位置検出部18が出力する位置情報を状態監視部27に出力したり、荷重検出部19が出力する荷重情報を状態監視部27に出力したり、転換速度検出部20が出力する転換速度情報を状態監視部27に出力したり、情報記憶部21から判定基準情報を読み出して状態監視部27に出力したり、状態監視部27に分岐器1の状態の監視を指令したり、状態監視部27に分岐器1の状態の判定を指令したりする。制御部25には、流体圧回路11、ロック機構部12、位置検出部18、荷重検出部19、転換速度検出部20、情報記憶部21、電源部22、信号入力部23、信号出力部24及び状態監視部27などが接続されている。
状態監視装置26は、分岐器1の状態を監視する装置である。状態監視装置26は、例えば、トングレール4a,4bに作用する荷重、トングレール4a,4bの位置及び転換速度などを監視することによって、分岐器1の状態を監視するとともに分岐器1に異常があるか否かを判定する。状態監視装置26は、図5に示す状態監視部27などを備えている。
状態監視部27は、位置検出部18の検出結果と荷重検出部19の検出結果とに基づいて、分岐器1の状態を監視する手段である。状態監視部27は、分岐器1の線形を監視する。状態監視部27は、基本レール3a,3bにトングレール4a,4bが密着したときにトングレール4a,4bに作用する密着力が正常密着力Th2の範囲内であり、かつ、トングレール4a,4bが正常停止位置Th1に停止していないときには、線形が異常であると判定する。状態監視部27は、基本レール3a,3bにトングレール4a,4bが密着したときの密着力を監視する。状態監視部27は、トングレール4a,4bが停止しており、かつ、トングレール4a,4bに作用する密着力が正常密着力Th2の範囲外であるときには、密着力が異常であると判定する。状態監視部27は、基本レール3a,3bとトングレール4a,4bとの間の異物の挟み込みの有無を監視する。状態監視部27は、トングレール4a,4bが正常停止位置Th1の手前で停止し、かつ、トングレール4a,4bが異物に密着したときにトングレール4a,4bに作用する密着力が正常密着力Th2の範囲内であるときには、異物の挟み込みであると判定する。
状態監視部27は、荷重検出部19の検出結果に基づいて、分岐器1の状態を監視する手段である。状態監視部27は、分岐器1を車輪Wが通過するときにトングレール4a,4bに作用する横圧力を監視する。状態監視部27は、トングレール4a,4bに作用する横圧力が正常横圧力Th5を超えるときには、横圧力が異常であると判定する。
状態監視部27は、荷重検出部19の検出結果と転換速度検出部20の検出結果とに基づいて、分岐器1の状態を監視する手段である。状態監視部27は、トングレール4a,4bの折損の有無を監視する。状態監視部27は、トングレール4a,4bの転換速度が正常転換速度Th4の範囲外であり、かつ、トングレールが転換しているときにトングレールに作用する摩擦力が正常摩擦力Th3の範囲外であるときには、トングレール4a,4bの折損であると判定する。状態監視部27は、トングレール4a,4bが転換するときに発生する摩擦力を監視する。状態監視部27は、トングレール4a,4bの転換速度が正常転換速度Th4を下回り、かつ、トングレール4a,4bが転換しているときにトングレール4a,4bに作用する摩擦力が正常摩擦力Th3を超えるときには、摩擦力が異常であると判定する。状態監視部27は、分岐器1の状態を監視し、この監視結果を監視結果信号(監視結果情報)として制御部25に出力する。
図1~図5に示す収容装置28は、転換装置8及び状態監視装置26を収容する装置である。収容装置28は、図3及び図4に示すように、転換装置8及び状態監視装置26を密閉した状態で収容する筐体である。収容装置28は、転換装置8及び状態監視装置26を構成する各構成機器をユニット化した状態で収容しており、転換装置8及び状態監視装置26を支持する支持部としても機能する。収容装置28は、風雨や飛石から転換装置8及び状態監視装置26を保護しており、金属製のフレーム部材を組み立てた枠組に金属製又は合成樹脂製の板状部材を取り付けてこの転換装置8及び状態監視装置26を被覆している。収容装置28は、図3に示すように、この収容装置28の下部が分岐まくらぎ7Bの上面凹部7aに着脱自在に嵌合しており、この収容装置28の上部が分岐まくらぎ7Bの上面から露出している。収容装置28は、この収容装置28の長さ及び幅が上面凹部7aの幅及び長さよりも僅かに小さく設定されており、車両を安全に運行するために軌道上に確保されている建築限界を超えない範囲内にこの収容装置28の高さが設定されている。収容装置28は、図4に示す分岐まくらぎ7Bの上面凹部7aと接合するように平坦面に形成されておりこの上面凹部7aに装着される装着部(底面部)28aと、図3及び図4に示すピストンロッド10c,10dが進退自在に貫通する貫通孔28bなどを備えている。
次に、この発明の第1実施形態に係る転換装置の動作を説明する。
以下では、制御部25の動作を中心として説明する。
図8に示すステップ(以下、Sという)100において、転換指令信号が入力したか否かを制御部25が判断する。図1に示すD1方向に分岐器1を転換するときには、D1方向に分岐器1を転換するように指令する転換指令信号が、図5に示す信号入力部23を通じて制御部25に入力する。一方、図2に示すD2方向に分岐器1を転換するときには、D2方向に分岐器1を転換するように指令する転換指令信号が、図5に示す信号入力部23を通じて制御部25に入力する。転換指令信号が制御部25に入力したときにはS110に進み、転換指令信号が制御部25に入力していないときにはS110の処理を制御部25が繰り返す。
S110において、ロック機構部12に分岐器1のロック解除を制御部25が指令する。ロック機構部12に分岐器1のロック解除を制御部25が指令すると、図7に示す動作切替部12bのSOL-1を通電状態に制御部25が切り替えて、流体圧源12cに作動流体の供給を制御部25が指令する。図7(A)に示すように、流体圧源12cが作動流体収容部12dから作動流体を流路12aに送出すると、シリンダチューブ10aとピストン10bとの間に作動流体が流入する。このため、作動流体の流体圧が増加してシリンダチューブ10aが外側に膨張して弾性変形し、シリンダチューブ10aとピストン10bとの間に隙間Δ1が形成されて、シリンダチューブ10a内をピストン10bが移動可能になる。
S120において、表示信号の出力を制御部25が信号出力部24に指令する。ロック機構部12による分岐器1のロック解除(解錠)を表示信号として信号出力部24から連動装置に出力する。
S130において、D1,D2方向への転換を駆動力発生部9に制御部25が指令する。図1に示すように、トングレール4a,4bをD1方向に転換するときには、図5に示す流体圧回路11にD1方向への分岐器1の転換を制御部25が指令する。このため、図6に示す動作切替部11aのSOL-2を通電状態に制御部25が切り替えて、流体圧源11bに作動流体の供給を制御部25が指令する。流体圧源11bが作動流体収容部11cから作動流体を流路11fに送出すると、動作切替部11a及び流路11eを通じてシリンダ室C2に作動油が流入するとともに、シリンダ室C1から動作切替部11a及び流路11d,11gを通じて作動流体が流出しこの作動流体が作動流体収容部11cに戻る。その結果、図6に示すピストン10bがD1方向に移動して、図1に示すようにトングレール4a,4bがD1方向に転換する。
一方、図2に示すように、トングレール4a,4bをD2方向に転換するときには、図5に示す流体圧回路11にD2方向への分岐器1の転換を制御部25が指令する。このため、図6に示す動作切替部11aのSOL-1を通電状態に制御部25が切り替えて、流体圧源11bに作動流体の供給を制御部25が指令する。流体圧源11bが作動流体収容部11cから作動流体を流路11fに送出すると、動作切替部11a及び流路11dを通じてシリンダ室C1に作動油が流入するとともに、シリンダ室C2から動作切替部11a及び流路11e,11gを通じて作動流体が流出しこの作動流体が作動流体収容部11cに戻る。その結果、図6に示すピストン10bがD2方向に移動して、図2に示すようにトングレール4a,4bがD2方向に転換する。
図8に示すS140において、トングレール4a,4bの位置の検出を位置検出部18に制御部25が指令し、トングレール4a,4bに作用する荷重の検出を荷重検出部19に制御部25が指令し、トングレール4a,4bの転換速度の検出を転換速度検出部20に制御部25が指令する。このため、図5に示すトングレール4a,4bの現在位置を位置検出部18が検出を開始して、位置検出部18が位置検出信号を制御部25に出力する。また、トングレール4a,4bに作用する荷重を荷重検出部19が検出を開始して、荷重検出部19が荷重検出信号を制御部25に出力する。さらに、トングレール4a,4bの転換速度を転換速度検出部20が検出を開始して、転換速度検出部20が転換速度情報を制御部25に出力する。
S150において、線形監視処理の実行を制御部25が状態監視部27に指令する。制御部25が状態監視部27に線形監視処理の実行を指令すると、位置検出部18及び荷重検出部19の検出結果に基づいて分岐器1の線形を状態監視部27が監視し、分岐器1の線形の異常の有無を状態監視部27が判定する。
S160において、密着力監視処理の実行を制御部25が状態監視部27に指令する。制御部25が状態監視部27に密着力監視処理の実行を指令すると、図1及び図2に示すトングレール4a,4bが基本レール3a,3bに密着したときの密着力を、荷重検出部19の検出結果に基づいて状態監視部27が監視し、密着力の異常の有無を状態監視部27が判定する。
S170において、異物挟み込み監視処理の実行を制御部25が状態監視部27に指令する。制御部25が状態監視部27に異物挟み込み監視処理の実行を指令すると、トングレール4a,4bと基本レール3a,3bとの間の異物の挟み込みを、位置検出部18及び荷重検出部19の検出結果に基づいて状態監視部27が監視し、異物の挟み込みの有無を状態監視部27が判定する。
S180において、レール折損監視処理の実行を制御部25が状態監視部27に指令する。制御部25が状態監視部27にレール折損監視処理の実行を指令すると、荷重検出部19及び転換速度検出部20の検出結果に基づいて、トングレール4a,4bの折損を状態監視部27が監視し、トングレール4a,4bの折損の有無を状態監視部27が判定する。
S190において、摩擦力監視処理の実行を制御部25が状態監視部27に指令する。制御部25が状態監視部27に摩擦力監視処理の実行を指令すると、トングレール4a,4bが転換するときに発生する摩擦力を、荷重検出部19及び転換速度検出部20の検出結果に基づいて状態監視部27が監視し、摩擦力の異常の有無を状態監視部27が判定する。
S200において、ロック機構部12に分岐器1のロックを制御部25が指令する。ロック機構部12に分岐器1のロック解除を制御部25が指令すると、図7に示す動作切替部12bのSOL-2を通電状態に制御部25が切り替えて、流体圧源12cに作動流体の供給停止を制御部25が指令する。図7(A)に示すように、流体圧源12cが作動流体の送出を停止すると、シリンダチューブ10aとピストン10bとの間への作動流体の流入が停止する。このため、作動流体の流体圧が低下してシリンダチューブ10aが復元し、シリンダチューブ10aとピストン10bとが密着して締り嵌め状態となり、シリンダチューブ10a内でピストン10bが固定される。
S210において、表示信号の出力を制御部25が信号出力部24に指令する。例えば、ロック機構部12による分岐器1のロック(鎖錠)を表示信号として信号出力部24が連動装置に出力する。
S220において、横圧力監視処理の実行を制御部25が状態監視部27に指令する。制御部25が状態監視部27に横圧力監視処理の実行を指令すると、分岐器1を車輪Wが通過するときにトングレール4a,4bに作用する横圧力を、荷重検出部19の検出結果に基づいて状態監視部27が監視し、横圧力の異常の有無を状態監視部27が判定する。
(線形監視処理)
次に、この発明の第1実施形態に係る分岐器類の状態監視装置の線形監視動作を説明する。
以下では、状態監視部27の動作を中心として説明する。
図9に示すS151において、トングレール4a,4bに作用する密着力が正常密着力Th2に達したか否かを状態監視部27が判断する。トングレール4a,4bに作用する密着力と正常密着力Th2とを状態監視部27が比較し、トングレール4a,4bに作用する密着力が正常密着力Th2に達したか否かを状態監視部27が判定する。トングレール4a,4bに作用する密着力が正常密着力Th2に達したと状態監視部27が判定したときにはS120に進む。一方、トングレール4a,4bに作用する密着力が正常密着力Th2に達していないと状態監視部27が判定したときにはS130に戻り、トングレール4a,4bに作用する密着力が正常密着力Th2に達するまでS130以降の処理を制御部25が繰り返す。
S152において、トングレール4a,4bが正常停止位置Th1で停止したか否かを状態監視部27が判断する。トングレール4a,4bの停止位置と正常停止位置Th1とを状態監視部27が比較して、トングレール4a,4bが正常停止位置Th1で停止したか否かを状態監視部27が判定する。トングレール4a,4bが正常停止位置Th1で停止していると状態監視部27が判断したときにはS153に進み、トングレール4a,4bが正常停止位置Th1に停止していないと状態監視部27が判定したときにはS154に進む。
S153において、分岐器1の線形が正常であると状態監視部27が判定する。例えば、トングレール4a,4bが正常停止位置Th1で停止していると状態監視部27が判定したときには、図1及び図2に示す基本レール3bが変形しておらず、トングレール4bが正常停止位置Th1で基本レール3bと正常に密着している。このため、分岐器1の線形が正常であると状態監視部27が判定し、監視結果情報を状態監視部27が制御部25に出力する。
S154において、分岐器1の線形が異常であると状態監視部27が判定する。正常な密着力に達したにも関わらず、トングレール4a,4bが正常停止位置Th1で停止していないと状態監視部27が判定したときには、トングレール4a,4bが正常停止位置Th1の手前又は正常停止位置Th1を超えて停止している。例えば、図1及び図2に示す基本レール3bが軌間内側に変形していると、トングレール4bが正常停止位置Th1よりも手前で基本レール3bと密着する可能性がある。一方、例えば、図1及び図2に示す基本レール3bが軌間外側に変形していると、トングレール4bが正常停止位置Th1を超えて基本レール3bと密着する可能性がある。このため、分岐器1の線形が異常であると状態監視部27が判定し、監視結果情報を状態監視部27が制御部25に出力する。
S155において、表示信号の出力を制御部25が信号出力部24に指令する。分岐器1の線形が異常であると状態監視部27が判定したときには、分岐器1の線形異常を示す監視結果情報を表示信号として信号出力部24が連動装置に出力する。
(密着力監視処理)
次に、この発明の第1実施形態に係る分岐器類の状態監視装置の密着力監視動作を説明する。
図10に示すS161において、トングレール4a,4bが停止しているか否かを状態監視部27が判定する。トングレール4a,4bの位置を状態監視部27が参照して、トングレール4a,4bが停止しているか否かを状態監視部27が判定する。トングレール4a,4bが停止していると状態監視部27が判定したときにはS162に進む。一方、トングレール4a,4bが停止していないと状態監視部27が判定したときにはS130に戻り、トングレール4a,4bが停止するまでS130以降の処理を制御部25が繰り返す。
S162において、トングレール4a,4bに作用する密着力が正常密着力Th2の範囲内であるか否かを状態監視部27が判定する。トングレール4a,4bに作用する密着力と正常密着力Th2とを状態監視部27が比較し、トングレール4a,4bに作用する密着力が正常密着力Th2の範囲内であるか否かを状態監視部27が判定する。トングレール4a,4bに作用する密着力が正常密着力Th2の範囲内であると状態監視部27が判定したときにはS163に進み、トングレール4a,4bに作用する密着力が正常密着力Th2の範囲内ではないと状態監視部27が判定したときにはS164に進む。
S163において、密着力が正常であると状態監視部27が判定する。トングレール4a,4bに作用する密着力が正常密着力Th2の範囲内であると状態監視部27が判定したときには、図1及び図2に示すトングレール4a,4bが基本レール3a,3bに正常に密着している。このため、密着力が正常であると状態監視部27が判定し、監視結果情報を状態監視部27が制御部25に出力する。
S164において、密着力が異常であると状態監視部27が判定する。トングレール4a,4bに作用する密着力が正常密着力Th2の範囲内ではないと状態監視部27が判定したときには、トングレール4a,4bに作用する密着力が正常密着力Th2に満たない又は正常密着力Th2を超えている。このため、密着力が異常であると状態監視部27が判定し、監視結果情報を状態監視部27が制御部25に出力する。
S165において、表示信号の出力を制御部25が信号出力部24に指令する。密着力が異常であると状態監視部27が判定したときには、密着力の異常を示す監視結果情報を表示信号として信号出力部24が連動装置に出力する。
(異物挟み込み監視処理)
次に、この発明の第1実施形態に係る分岐器類の状態監視装置の異物挟み込み監視動作を説明する。
図11に示すS171において、トングレール4a,4bが正常停止位置Th1の手前で停止したか否かを状態監視部27が判定する。トングレール4a,4bの現在位置と正常停止位置Th1とを状態監視部27が比較して、トングレール4a,4bが正常停止位置Th1の手前で停止したか否かを状態監視部27が判定する。トングレール4a,4bが正常停止位置Th1の手前で停止していないと状態監視部27が判断したときにはS172に進み、トングレール4a,4bが正常停止位置Th1の手前で停止したと状態監視部27が判定したときにはS173に進む。
S172において、異物の挟み込みがないと状態監視部27が判定する。トングレール4a,4bと基本レール3a,3bとの間に異物がないときには、トングレール4a,4bが正常停止位置Th1に到達する。このため、異物の挟み込みがないと状態監視部27が判定し、監視結果情報を状態監視部27が制御部25に出力する。
S173において、トングレール4a,4bに作用する密着力が正常密着力Th2に達したか否かを状態監視部27が判定する。トングレール4a,4bが異物と密着したときに、トングレール4a,4bに作用する密着力が正常密着力Th2に達したか否かを状態監視部27が判定する。トングレール4a,4bに作用する密着力が正常密着力Th2に達したと状態監視部27が判定したときにはS174に進む。一方、トングレール4a,4bに作用する密着力が正常密着力Th2に達していないと状態監視部27が判定したときには、S130に戻り、トングレール4a,4bに作用する密着力が正常密着力Th2に達するまでS130以降の処理を制御部25が繰り返す。
S174において、異物の挟み込みがあると状態監視部27が判定する。トングレール4a,4bに作用する密着力が正常密着力Th2に達したと状態監視部27が判定したときには、トングレール4a,4bが正常停止位置Th1に到達する前に、トングレール4a,4bに作用する密着力が正常密着力Th2に達している。このため、トングレール4a,4bと基本レール3a,3bとの間に異物が存在する可能性がある。その結果、異物の挟み込みがあると状態監視部27が判定し、監視結果情報を状態監視部27が制御部25に出力する。
S175において、表示信号の出力を制御部25が信号出力部24に指令する。異物の挟み込みがあると状態監視部27が判定したときには、異物の挟み込みを示す監視結果情報を表示信号として信号出力部24が連動装置に出力する。
(レール折損監視処理)
次に、この発明の第1実施形態に係る分岐器類の状態監視装置のレール折損監視動作を説明する。
図12に示すS181において、トングレール4a,4bの転換速度が正常転換速度Th4の範囲内であるか否かを状態監視部27が判定する。トングレール4a,4bの転換速度と正常転換速度Th4とを状態監視部27が比較して、トングレール4a,4bの転換速度が正常転換速度Th4の範囲内であるか否かを状態監視部27が判定する。トングレール4a,4bの転換速度が正常転換速度Th4の範囲内ではないと状態監視部27が判定したときにはS182に進み、トングレール4a,4bの転換速度が正常転換速度Th4の範囲内であると状態監視部27が判定したときにはS184に進む。
S182において、トングレール4a,4bに作用する摩擦力が正常摩擦力Th3の範囲内であるか否かを状態監視部27が判定する。トングレール4a,4bが転換しているときにトングレール4a,4bに作用する摩擦力と正常摩擦力Th3とを状態監視部27が比較し、トングレール4a,4bに作用する摩擦力が正常摩擦力Th3の範囲内であるか否かを状態監視部27が判定する。トングレール4a,4bに作用する摩擦力が正常摩擦力Th3の範囲内ではないと状態監視部27が判定したときにはS183に進み、トングレール4a,4bに作用する摩擦力が正常摩擦力Th3の範囲内であると状態監視部27が判定したときにはS184に進む。
S183において、レール折損であると状態監視部27が判定する。トングレール4a,4bに傷が発生すると、図1及び図2に示す転換後のトングレール4a,4bを車輪Wが通過しているときに、トングレール4a,4bが折損(破断)することがある。トングレール4a,4bが折損すると、転換装置8の位置及び折損箇所によるが、トングレール4a,4bの転換速度が速く又は遅くなり、トングレール4a,4bに作用する荷重が軽く又は重くなる。トングレール4a,4bの転換速度が正常転換速度Th4の範囲よりも速い又は遅いと状態監視部27が判定し、かつ、トングレール4a,4bに作用する摩擦力が正常摩擦力Th3の範囲よりも低い又は高いと状態監視部27が判定したときには、トングレール4a,4bが折損している可能性がある。このため、レール折損であると状態監視部27が判定し、監視結果情報を状態監視部27が制御部25に出力する。
S184において、レール折損ではないと状態監視部27が判定する。トングレール4a,4bが折損していないときには、トングレール4a,4bの転換速度が正常転換速度Th4の範囲内であり、トングレール4a,4bに作用する摩擦力も正常摩擦力Th3の範囲内である。このため、レール折損ではないと状態監視部27が判定し、監視結果情報を状態監視部27が制御部25に出力する。
S185において、表示信号の出力を制御部25が信号出力部24に指令する。レール折損があると状態監視部27が判定したときには、レール折損を示す監視結果情報を表示信号として信号出力部24が連動装置に出力する。
(摩擦力監視処理)
次に、この発明の第1実施形態に係る分岐器類の状態監視装置の摩擦監視動作を説明する。
図13に示すS191において、トングレール4a,4bの転換速度が低下しているか否かを状態監視部27が判定する。トングレール4a,4bの転換速度と正常転換速度Th4とを状態監視部27が比較して、トングレール4a,4bの転換速度が正常転換速度Th4を下回るか否かを状態監視部27が判定する。トングレール4a,4bの転換速度が正常転換速度Th4を下回ると状態監視部27が判定したときにはS192に進み、トングレール4a,4bの転換速度が正常転換速度Th4の範囲内であると状態監視部27が判定したときにはS194に進む。
S192において、トングレール4a,4bに作用する摩擦力が上昇しているか否かを状態監視部27が判定する。トングレール4a,4bに作用する摩擦力と正常摩擦力Th3とを状態監視部27が比較し、トングレール4a,4bに作用する摩擦力が正常摩擦力Th3を越えているか否かを状態監視部27が判定する。トングレール4a,4bに作用する摩擦力が正常摩擦力Th3を越えていると状態監視部27が判定したときにはS193に進み、トングレール4a,4bに作用する摩擦力が正常摩擦力Th3以下であると状態監視部27が判定したときにはS194に進む。
S193において、摩擦力が異常であると状態監視部27が判定する。図3~図6に示すトングレール4a,4bと床板6との間が油切れ又は錆などによって固渋状態になると、トングレール4a,4bが床板6上をしゅう動するときに発生する摩擦抵抗が過大になって、トングレール4a,4bに作用する摩擦力が大きくなる。トングレール4a,4bの転換速度が正常転換速度Th4よりも低いと状態監視部27が判定し、かつ、トングレール4a,4bに作用する摩擦力が正常摩擦力Th3よりも高いと状態監視部27が判定したときには、トングレール4a,4bと床板6との間に発生する摩擦力が増大している可能性がある。このため、トングレール4a,4bと床板6との間の摩擦力が異常であると状態監視部27が判定し、監視結果情報を状態監視部27が制御部25に出力する。
S194において、摩擦力が正常であると状態監視部27が判定する。トングレール4a,4bと床板6との間の摩擦力が正常であるときには、トングレール4a,4bの転換速度が正常転換速度Th4の範囲内であり、トングレール4a,4bに作用する摩擦力も正常摩擦力Th3の範囲内である。このため、摩擦力が正常であると状態監視部27が判定し、監視結果情報を状態監視部27が制御部25に出力する。
S195において、表示信号の出力を制御部25が信号出力部24に指令する。摩擦力が異常であると状態監視部27が判定したときには、摩擦力の異常を示す監視結果情報を表示信号として信号出力部24が連動装置に出力する。
(横圧力監視処理)
次に、この発明の第1実施形態に係る分岐器類の状態監視装置の横圧力監視動作を説明する。
図14に示すS221において、トングレール4a,4bに作用する横圧力が上昇しているか否かを状態監視部27が判定する。トングレール4a,4bに作用する横圧力と正常横圧力Th5とを状態監視部27が比較し、トングレール4a,4bに作用する横圧力が正常横圧力Th5を越えるか否かを状態監視部27が判定する。トングレール4a,4bに作用する横圧力が正常横圧力Th5以下であると状態監視部27が判定したときにはS222に進み、トングレール4a,4bに作用する横圧力が正常横圧力Th5を越えると状態監視部27が判定したときにはS223に進む。
S222において、横圧力が異常であると状態監視部27が判定する。例えば、図2に示すように、トングレール4a,4bがD2方向に転換したときに車輪Wが通過すると、トングレール4bに車輪Wから横圧力が作用し、横圧力が過大になると車輪W及びトングレール4bの摩耗や軌道不整の原因となる。トングレール4a,4bに作用する横圧力が正常横圧力Th5を超えていると状態監視部27が判定したときには、トングレール4a,4bに作用する横圧力が増大している可能性がある。このため、トングレール4a,4bに作用する横圧力が異常であると状態監視部27が判定し、監視結果情報を状態監視部27が制御部25に出力する。
S224において、表示信号の出力を制御部25が信号出力部24に指令する。横圧力が異常であると状態監視部27が判定したときには、横圧力の異常を示す監視結果情報を表示信号として信号出力部24が連動装置に出力する。
S225において、横圧力が正常であると状態監視部27が判定する。トングレール4a,4bに作用する横圧力が正常横圧力Th5以下であるときには、トングレール4a,4bに作用する横圧力は正常である。このため、横圧力が正常であると状態監視部27が判定し、監視結果情報を状態監視部27が制御部25に出力する。
この発明の第1実施形態に係る分岐器類の状態監視装置には、以下に記載するような効果がある。
(1) この第1実施形態では、トングレール4a,4bに作用する荷重を検出する荷重検出部19の検出結果と、トングレール4a,4bの位置を検出する位置検出部18の検出結果とに基づいて、状態監視部27が分岐器1の状態を監視する。このため、分岐器1の線形を作業者が検査するような作業を省力化することができ保守作業を低減することができるとともに、メンテナンス性や走行安全性を向上させることができる。
(2) この第1実施形態では、状態監視部27が分岐器1の線形を監視する。例えば、列車の通過や軌道変位などが要因となって、トングレール4a,4bと基本レール3a,3bとの間に隙間ができ、トングレール4a,4bや基本レール3a,3bの線形が変化することがある。この第1実施形態では、分岐器1の線形の異常を常に監視し、列車の走行安全性を向上させることができるとともに、分岐器1の線形が悪化して改善が困難になる前に分岐器1の保守を行って分岐器1の線形を容易に維持することができる。
(3) この第1実施形態では、基本レール3a,3bにトングレール4a,4bが密着したときにトングレール4a,4bに作用する密着力が正常密着力Th2の範囲内であり、かつ、トングレール4a,4bが正常停止位置Th1で停止していないときには、状態監視部27が分岐器1の線形が異常であると判定する。このため、トングレール4a,4bに作用する密着力とトングレール4a,4bの停止位置とを監視することによって、分岐器1の線形の異常の有無を簡単に評価することができるとともに、分岐器1の線形の異常を高精度に検知することができる。
(4) この第1実施形態では、基本レール3a,3bにトングレール4a,4bが密着したときの密着力を状態監視部27が監視する。このため、密着力が不足してトングレール4a,4bと基本レール3a,3bとの間に隙間が発生したり、密着力が過大になって分岐器1の線形が変化したりするのを防ぐことができる。
(5) この第1実施形態では、トングレール4a,4bが停止しており、かつ、トングレール4a,4bに作用する密着力が正常密着力Th2の範囲外であるときには、密着力が異常であると状態監視部27が判定する。このため、密着力が過大に作用するのを防ぐことができ、分岐器1の線形を維持することができるとともに、列車の走行安全性を向上させることができる。
(6) この第1実施形態では、基本レール3a,3bとトングレール4a,4bとの間の異物の挟み込みの有無を状態監視部27が監視する。このため、分岐器1が転換不能な状態になるのを早期に検知することができ、列車の走行安全性を向上させることができる。
(7) この第1実施形態では、トングレール4a,4bが正常停止位置Th1の手前で停止し、かつ、トングレール4a,4bが異物に密着したときにトングレール4a,4bに作用する密着力が正常密着力Th2の範囲内であるときには、異物の挟み込みであると状態監視部27が判定する。このため、転換時にトングレール4a,4bに作用する密着力を監視することによって、トングレール4a,4bと基本レール3a,3bとの間に異物が挟まって、分岐器1が異常な状態になるのを簡単に検知することができる。
(8) この第1実施形態では、分岐器1のトングレール4a,4bに作用する荷重を検出する荷重検出部19の検出結果に基づいて、状態監視部27が分岐器1の状態を監視する。このため、基本レール3a,3bとトングレール4a,4bとの間の密着力やトングレール4a,4bに作用する横圧力を作業者によって検査するような作業を省力化することができ、保守作業を低減することができるとともに、メンテナンス性や走行安全性を向上させることができる。
(9) この第1実施形態では、分岐器1を車輪Wが通過するときにトングレール4a,4bに作用する横圧力を状態監視部27が監視する。このため、トングレール4a,4bに作用する横圧力の変化を早期に検知することができ、メンテナンス性や走行安全性を向上させることができる。
(10) この第1実施形態では、トングレール4a,4bに作用する横圧力が正常横圧力Th5を超えるときには、横圧力が異常であると状態監視部27が判定する。このため、トングレール4a,4bに作用する横圧力の変動を検知することによって、早期に分岐器1を保守点検することができ、分岐器1を早期に健全な状態にすることができる。
(11) この第1実施形態では、トングレール4a,4bに作用する荷重を検出する荷重検出部19の検出結果と、トングレール4a,4bの転換速度を検出する転換速度検出部20の検出結果とに基づいて、状態監視部27が分岐器1の状態を監視する。このため、トングレール4a,4bの折損や、トングレール4a,4bと床板6との間の摩擦力の異常を作業者が検査したりするような作業を省力化することができ、保守作業を低減することができるとともに、メンテナンス性や走行安全性を向上させることができる。
(12) この第1実施形態では、トングレール4a,4bの折損の有無を状態監視部27が監視する。このため、列車の円滑な誘導や案内機能をトングレール4a,4bが失っている状態を早期に検知することができ、列車の走行安全性を向上させることができる。
(13) この第1実施形態では、トングレール4a,4bの転換速度が正常転換速度Th4の範囲外であり、かつ、トングレール4a,4bが転換しているときにトングレール4a,4bに作用する摩擦力が正常摩擦力Th3の範囲外であるときには、トングレール4a,4bの折損であると状態監視部27が判定する。このため、転換時にトングレール4a,4bに作用する摩擦力とトングレール4a,4bの転換速度とを監視することによって、トングレール4a,4bの折損を早期に検知し列車の走行安全性を向上させることができる。
(14) この第1実施形態では、トングレール4a,4bが転換しているときに発生する摩擦力を状態監視部27が監視する。このため、トングレール4a,4bと床板6との間に発生する摩擦抵抗を早期に検知することができ、メンテナンス性を向上させることができる。
(15) この第1実施形態では、トングレール4a,4bの転換速度が正常転換速度Th4を下回り、かつ、トングレール4a,4bが転換しているときにトングレール4a,4bに作用する摩擦力が正常摩擦力Th3を超えるときには、摩擦力が異常であると状態監視部27が判定する。このため、トングレール4a,4bと床板6との間の摩擦力を検知して、早期に分岐器1を保守点検することができ、分岐器1を早期に健全な状態にすることができる。
(16) この第1実施形態では、トングレール4a,4bを作動流体の流体圧によって転換するときに、この作動流体の流体圧に基づいてこのトングレール4a,4bに作用する荷重を荷重検出部19が検出する。このため、駆動力発生部9に駆動力を発生させる作動流体の流体圧を利用して、トングレール4a,4bに作用する荷重を簡単に検出することができる。
この発明の第1実施形態に係る転換装置には、以下に記載するような効果がある。
(1) この第1実施形態では、基本レール3a,3bにトングレール4a,4bが密着するときの密着力が正常密着力Th2の範囲内になるように、トングレール4a,4bを転換するための駆動力を発生する駆動力発生部9を制御部25が制御する。このため、図22に示す従来の分岐器101のようなスイッチアジャスタによってトングレール104a,104bの転換位置を調整する必要がなくなって、調整作業の省力化を図ることができる。また、トングレール4a,4bを基本レール3a,3bに正常密着力Th2に達するように確実に密着させることができるため、トングレール4a,4bと基本レール3a,3bとの間に隙間が形成されず走行安全性を向上させることができる。さらに、トングレール4a,4bが基本レール3a,3bを過剰に押し付けることがなく、分岐器1の線形を維持することができる。
(2) この第1実施形態では、トングレール4a,4bに作用する荷重を検出する荷重検出部19の検出結果に基づいて、制御部25が駆動力発生部9を制御する。このため、トングレール4a,4bに作用する荷重を監視することによって、トングレール4a,4bが基本レール3a,3bに密着するときの密着力を正常密着力Th2の範囲内に簡単にすることができる。
(3) この第1実施形態では、駆動力発生部9が作動流体の流体圧によって駆動力を発生し、この作動流体の流体圧に基づいて、トングレール4a,4bに作用する荷重を荷重検出部19が検出する。このため、駆動力発生部9に駆動力を発生させる作動流体の流体圧を利用して、トングレール4a,4bに作用する荷重を簡単に検出することができる。
(第2実施形態)
以下では、図1、図2及び図5に示す部分と同一の部分については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
図15及び図16に示す転換装置8A~8Dは、図1~図4及び図5に示す転換装置8と略同一構造であり、分岐器1のレール長さ方向に間隔をあけて複数配置されている。転換装置8A~8Dは、各転換装置8A~8Dの設置位置でそれぞれトングレール4a,4bを転換する。転換装置8A~8Dは、図17に示すように、トングレール4a,4bの位置を転換装置8A~8B毎に検出する位置検出部18と、トングレール4a,4bに作用する荷重を転換装置8A~8B毎に検出する荷重検出部19と、トングレール4a,4bの転換速度を転換装置8A~8B毎に検出する転換速度検出部20と、トングレール4a,4bと基本レール3a,3bとの間の隙間Δ2を転換装置8A~8B毎に検出する隙間検出部29などを備えている。状態監視装置26は、各転換装置8A~8Dの設置位置でそれぞれ分岐器1の状態を監視する。図15~図17に示す状態監視装置26は、各転換装置8A~8Dの制御部25と状態監視部27との間で相互に通信可能なように有線又は無線で接続されている。
図17に示す情報記憶部21は、正常隙間Th6を判定基準情報として記憶するメモリである。正常隙間Th6は、トングレール4a,4bと基本レール3a,3bとの間の隙間Δ2が正常であるか否かを判定するときの判定基準である。正常隙間Th6は、トングレール4a,4bが基本レール3a,3bに密着して密着力が正常な範囲内になるときに、トングレール4a,4bと基本レール3a,3bとの間に形成される所定範囲の隙間量である。正常隙間Th6は、例えば、分岐器1の組立時又は敷設時に分岐器1の線形が最適な状態に調整されている場合に、トングレール4a,4bが基本レール3a,3bに正常に密着したときに、トングレール4a,4bと基本レール3a,3bとの間に形成される所定範囲内の隙間量に設定されている。
制御部25は、例えば、隙間検出部29が出力する隙間情報を状態監視部27に出力する。制御部25には、流体圧回路11、ロック機構部12、位置検出部18、荷重検出部19、転換速度検出部20、情報記憶部21、電源部22、信号入力部23、信号出力部24、状態監視部27及び隙間検出部29などが接続されている。
状態監視部27は、転換装置8A~8D毎の位置検出部18、荷重検出部19、転換速度検出部20及び隙間検出部29の検出結果に基づいて、分岐器1の状態を監視する。状態監視部27は、図15及び図16に示す基本レール3a,3bとトングレール4a,4bとの間の隙間Δ2を監視する。状態監視部27は、基本レール3a,3bにトングレール4a,4bが密着したときにトングレール4a,4bに作用する密着力が正常密着力Th2の範囲内であり、かつ、基本レール3a,3bとトングレール4a,4bとの間の隙間Δ2が正常隙間Th6の範囲外であるときには、隙間Δ2が異常であると判定する。
状態監視部27は、基本レール3a,3bとトングレール4a,4bとの間の隙間Δ2に基づいて分岐器1の線形を演算する。状態監視部27は、転換装置8A~8D毎の隙間検出部29の検出結果に基づいて、分岐器1の全体の線形を演算する。状態監視部27は、転換装置8A~8D毎に隙間検出部29が検出する隙間Δ2に基づいて分岐器1の全体の線形を演算し、演算後の線形を線形信号(線形情報)として制御部25に出力する。
隙間検出部29は、トングレール4a,4bと基本レール3a,3bとの間の隙間Δ2を検出する手段である。隙間検出部29は、位置検出部18が検出するトングレール4a,4bの停止位置に基づいて、図15及び図16に示すトングレール4a,4bと基本レール3a,3bとの間の隙間Δ2を検出する。隙間検出部29は、例えば、駆動力発生部9のピストン10b又はピストンロッド10c,10dのストロークを検出することによって、基本レール3a,3bとトングレール4a,4bとの間の隙間を検出する。隙間検出部29は、可動するトングレール4a,4bの実際の停止位置と、固定されている基本レール3a,3bの所定位置との間の差を演算することによって、トングレール4a,4bと基本レール3a,3bとの間の隙間を検出する。隙間検出部29は、ピストン10b又はピストンロッド10c,10dの変位を検出する変位センサと、この変位センサの出力信号に基づいてトングレール4a,4bと基本レール3a,3bとの間の隙間Δ2を演算する隙間演算部などを備えている。隙間検出部29は、トングレール4a,4bと基本レール3a,3bとの間の隙間Δ2を隙間検出信号(隙間情報)として制御部25に出力する。
次に、この発明の第2実施形態に係る転換装置の動作を説明する。
以下では、図8に示す処理と同一又は対応する処理については詳細な説明を省略する。
図18に示すS140において、トングレール4a,4bの位置の検出を位置検出部18に制御部25が指令するとともに、トングレール4a,4bと基本レール3a,3bとの間の隙間Δ2の検出を隙間検出部29に制御部25が指令する。このため、図5に示すトングレール4a,4bの現在位置を位置検出部18が検出を開始して、位置検出部18が位置検出信号を制御部25に出力するとともに、トングレール4a,4bと基本レール3a,3bとの間の隙間Δ2を隙間検出部29が検出を開始して、隙間検出部29が隙間検出信号を制御部25に出力する。
S240において、隙間監視処理の実行を制御部25が状態監視部27に指令する。制御部25が状態監視部27に隙間監視処理の実行を指令すると、位置検出部18及び荷重検出部19の検出結果に基づいて、トングレール4a,4bと基本レール3a,3bとの間の隙間Δ2を状態監視部27が監視し、隙間Δ2の異常の有無を状態監視部27が判定する。
(隙間監視処理)
次に、この発明の第2実施形態に係る分岐器類の状態監視装置の隙間監視処理の動作を説明する。
図19に示すS231において、トングレール4a,4bに作用する密着力が正常密着力Th2に達したか否かを状態監視部27が判定する。トングレール4a,4bに作用する密着力と正常密着力Th2とを状態監視部27が比較し、トングレール4a,4bに作用する密着力が正常密着力Th2の範囲内に達したか否かを状態監視部27が判定する。トングレール4a,4bに作用する密着力が正常密着力Th2の範囲内であると状態監視部27が判定したときにはS232に進む。一方、トングレール4a,4bに作用する密着力が正常密着力Th2に達していないと状態監視部27が判定したときにはS130に戻り、トングレール4a,4bに作用する密着力が正常密着力Th2に達するまでS130以降の処理を制御部25が繰り返す。
S232において、分岐器1の線形を状態監視部27が演算する。隙間検出部29が検出したトングレール4a,4bと基本レール3a,3bとの間の隙間Δ2から分岐器1の全体の線形を状態監視部27が演算して、この演算結果を線形信号(線形情報)として状態監視部27が制御部25に出力する。
S233において、表示信号の出力を制御部25が信号出力部24に指令する。状態監視部27が演算した分岐器1の全体の線形を示す線径情報を表示信号として信号出力部24が連動装置に出力する。
S234において、トングレール4a,4bと基本レール3a,3bとの間の隙間Δ2が正常隙間Th6の範囲外であるか否かを状態監視部27が判断する。隙間Δ2と正常隙間Th6とを状態監視部27が比較して、隙間Δ2が正常隙間Th6の範囲外であるか否かを状態監視部27が判定する。隙間Δ2が正常隙間Th6の範囲内であると状態監視部27が判断したときにはS235に進み、隙間Δ2が正常隙間Th6の範囲外であると状態監視部27が判定したときにはS236に進む。
S235において、隙間Δ2が正常であると状態監視部27が判定する。隙間Δ2が正常隙間Th6の範囲内であると状態監視部27が判定したときには、図15及び図16に示す隙間Δ2が適正である。このため、隙間Δ2が正常であると状態監視部27が判定し、監視結果情報を状態監視部27が制御部25に出力する。
S236において、隙間Δ2が異常であると状態監視部27が判定する。隙間Δ2が正常隙間Th6の範囲外であると状態監視部27が判定したときには、隙間Δ2が正常隙間Th6よりも広い又は狭くなっており、分岐器1の線形に異常が発生している可能性がある。このため、隙間Δ2が異常であると状態監視部27が判定し、監視結果情報を状態監視部27が制御部25に出力する。
S237において、表示信号の出力を制御部25が信号出力部24に指令する。隙間Δ2が異常であると状態監視部27が判定したときには、密着力の異常を示す監視結果情報を表示信号として信号出力部24が連動装置に出力する。
この発明の第2実施形態に係る分岐器類の状態監視装置には、第1実施形態の効果に加えて、以下に記載するような効果がある。
(1) この第2実施形態では、基本レール3a,3bとトングレール4a,4bとの間の隙間Δ2を状態監視部27が監視する。このため、基本レール3a,3bとトングレール4a,4bとの間の隙間Δ2を常に監視し、列車の走行安全性を向上させることができるとともに、分岐器1の線形が悪化して改善が困難になる前に分岐器1の保守を行って分岐器1の線形を容易に維持することができる。
(2) この第2実施形態では、基本レール3a,3bにトングレール4a,4bが密着したときにトングレール4a,4bに作用する密着力が正常密着力Th2の範囲内であり、かつ、基本レール3a,3bとトングレール4a,4bとの間の隙間Δ2が正常隙間Th6の範囲外であるときには、隙間Δ2が異常であると状態監視部27が判定する。このため、基本レール3a,3bとトングレール4a,4bとの間の隙間Δ2を監視することによって、分岐器1の線形の異常の有無を簡単に評価することができるとともに、分岐器1の線形の異常を高精度に検知することができる。
(3) この第2実施形態では、基本レール3a,3bとトングレール4a,4bとの間の隙間Δ2に基づいて、分岐器1の線形を状態監視部27が演算する。このため、基本レール3a,3bとトングレール4a,4bとの間の隙間Δ2から分岐器1の全体の線形をより一層高精度に監視することができる。
(4) この第2実施形態では、分岐器1の長さ方向に間隔をあけて転換装置8A~8Dが複数配置されている。この第2実施形態では、トングレール4a,4bに作用する荷重を転換装置8A~8D毎に検出する荷重検出部19の検出結果と、トングレール4a,4bの位置を転換装置8A~8D毎に検出する位置検出部18の検出結果とに基づいて、状態監視部27が分岐器1の状態を監視する。また、この第2実施形態では、トングレール4a,4bに作用する荷重を転換装置8A~8D毎に検出する荷重検出部19の検出結果に基づいて、状態監視部27が分岐器1の状態を監視する。さらに、この第2実施形態では、トングレール4a,4bに作用する荷重を転換装置8A~8D毎に検出する荷重検出部19の検出結果と、トングレール4a,4bの転換速度を転換装置8A~8D毎に検出する転換速度検出部20の検出結果とに基づいて、状態監視部27が分岐器1の状態を監視する。このため、複数の転換装置8A~8Dによってトングレール4a,4bを転換するときに、分岐器1の状態を複数個所で監視することができる。その結果、第1実施形態に比べて分岐器1の線形をより一層正確に維持することができるとともに、トングレール4a,4bと基本レール3a,3bとの間の隙間Δ2の検査及び調整をより一層省力化することができ、分岐器1の走行安全性及びメンテナンス性を大幅に向上させることができる。また、各転換装置8A~8Dの設置箇所毎のトングレール4a,4bと基本レール3a,3bとの間の隙間Δ2から分岐器1全体の線形を監視することができる。さらに、複数の転換装置8A~8Dによって分岐器1を転換するため、トングレール4a,4bが折損したときに折損後のトングレール4a,4bを正常停止位置Th1まで転換させて、折損後のトングレール4a,4bを基本レール3a,3bに密着させることができる。
(第3実施形態)
図20に示す制御部25は、位置検出部18の検出結果に基づいて、駆動力発生部9を制御する。制御部25は、トングレール4a,4bが正常停止位置Th1に停止するように駆動力発生部9を制御する。制御部25は、位置検出部18が出力する位置情報と情報記憶部21が記憶する正常停止位置情報とを比較し、トングレール4a,4bが正常停止位置Th1に停止するまで駆動力発生部9にトングレール4a,4bを駆動させる。
次に、この発明の第3実施形態に係る転換装置の動作を説明する。
図21に示すS141において、トングレール4a,4bの位置の検出を位置検出部18に制御部25が指令する。このため、図19に示すトングレール4a,4bの現在位置を位置検出部18が検出を開始して、位置検出部18が位置検出信号を制御部25に出力する。
S142において、トングレール4a,4bが正常停止位置Th1に停止したか否かを制御部25が判断する。転換中のトングレール4a,4bの現在位置と正常停止位置Th1とを状態監視部27が比較して、目標停止位置である正常停止位置Th1にトングレール4a,4bが停止したか否かを制御部25が判定する。トングレール4a,4bが正常停止位置Th1で停止したと制御部25が判断したときにはS200に進む。その結果、S200においてロック機構部12に分岐器1のロックを制御部25が指令し、S210において分岐器1のロック(鎖錠)を表示信号として連動装置に出力するように信号出力部24に制御部25が指令する。一方、トングレール4a,4bが正常停止位置Th1で停止していないと制御部25が判断したときにはS210に進む。その結果、S210において、トングレール4a,4bの停止位置が異常を示す監視結果情報を表示信号として連動装置に出力するように信号出力部24に制御部25が指令する。
この発明の第3実施形態に係る転換装置には、以下に記載するような効果がある。
(1) この第3実施形態では、トングレール4a,4bの位置を検出する位置検出部18の検出結果に基づいて、このトングレール4a,4bを転換するための駆動力を発生する駆動力発生部9を制御部25が制御する。このため、転換時のトングレール4a,4bの位置を制御する位置制御機能を転換装置8に付与することができる。例えば、図22に示す従来の分岐器101では、スイッチアジャスタによってトングレール104a,104bの転換位置を調整する必要があり、スイッチアジャスタの調整が不十分であるとトングレール104a,104bを正常な転換位置に停止させることができない。この第3実施形態では、転換時のトングレール4a,4bの位置を制御することによって、トングレール4a,4bを正常停止位置Th1に高精度に停止させることができる。
(2) この第3実施形態では、位置検出部18の検出結果に基づいて、トングレール4a,4bが正常停止位置Th1に停止するように、駆動力発生部9を制御部25が制御する。このため、トングレール4a,4bを正常停止位置Th1に正確に停止させることができる。その結果、トングレール4a,4bと基本レール3a,3bとの間に隙間が形成されるのを防ぐことができ、これらの間の隙間を検査及び調整するための作業の省力化を図ることができるとともに、分岐器1の保守労力の低減も図ることができる。また、トングレール4a,4bを基本レール3a,3bに押し付けすぎて、分岐器1の線形に異常が生じるのを防ぐことができる。さらに、分岐器1の線形が長期間維持されるとともに、走行安全性を向上させることができる。
(3) この第3実施形態では、駆動力発生部9が作動流体の流体圧によって駆動力を発生する。このため、作動流体の流体圧を受けて駆動する駆動力発生部9の駆動部の位置を位置検出部18によって簡単に検出し、トングレール4a,4bの位置を正確に制御することができる。
(他の実施形態)
この発明は、以上説明した実施形態に限定するものではなく、以下に記載するように種々の変形又は変更が可能であり、これらもこの発明の範囲内である。
(1) この実施形態では、分岐器1が片開き分岐器である場合を例に挙げて説明したが、片開き分岐器に限定するものではない。例えば、両開き分岐器、内方分岐器、外方分岐器、振分分岐器、三枝分岐器、複分岐器、三線式分岐器又はノーズ可動分岐器などについても、この発明を適用することができる。また、この実施形態では、分岐器類として分岐器1を例に挙げて説明したが、分岐器1に限定するものではない。例えば、ノーズ可動クロッシング、はウィング可動クロッシング若しくは鈍端可動クロッシングのような可動クロッシング、可動K字クロッシングを有する可動ダイヤモンドクロッシング、シングルスリップスイッチ又はダブルスリップスイッチなどの分岐器類についても、この発明を適用することができる。さらに、この実施形態では、基本レール3a,3bのような固定レールやトングレール4a,4bのような可動レールを例に挙げて説明したが、クロッシング部のヘ形レールのような固定レールやクロッシング部の可動レールについても、この発明を適用することができる。
(2) この実施形態では、駆動力発生部9が油圧シリンダである場合を例に挙げて説明したが、空気圧シリンダ、リニアモータ、ラック・ピニオン機構部又は送りねじ機構部などの他の駆動力発生部についても、この発明を適用することができる。また、この実施形態では、駆動力発生部9の流体圧回路11と別系統の流体圧回路によってロック機構部12を駆動する場合を例に挙げて説明したが、駆動力発生部9の流体圧回路11から作動流体を増圧器によって昇圧してロック機構部12を駆動する場合についても、この発明を適用することができる。さらに、この実施形態では、収容装置28の全体が転換装置8,8A~8Dを密閉する筐体である場合を例に挙げて説明したが、収容装置28の全体が枠体である場合や、収容装置28の一部が枠体で残部が筐体である場合などについても、この発明を適用することができる。例えば、収容装置28の上部のみを板状部材で被覆する場合についてもこの発明を適用することができる。
(3) この実施形態では、トングレール4a,4bが正常停止位置Th1の手前又は正常停止位置Th1を超えて停止しているか否かを位置検出部18によって検出する場合を例に挙げて説明したが、荷重検出部19によって検出する場合についても、この発明を適用することができる。例えば、トングレール4a,4bが正常停止位置Th1で停止したときに作動流体の流体圧が大きくなる時刻と、トングレール4a,4bが正常停止位置Th1の手前又は正常停止位置Th1を超えて停止したときに作動流体の流体圧が大きくなる時刻とが異なる。このため、作動流体の流体圧を荷重検出部19によって検出することによって、トングレール4a,4bが正常停止位置Th1の手前又は正常停止位置Th1を超えて停止しているか否かを判定することができる。また、この第2実施形態では、状態監視装置26を転換装置8A~8Dとは別に単独で配置する場合を例に挙げて説明したが、各転換装置8A~8Dに状態監視装置26を内蔵させる場合や、状態監視装置26を連動装置に内蔵させる場合についても、この発明を適用することができる。さらに、この第3実施形態では、転換装置8に位置制御機能を付与する場合を例に挙げて説明したが、各転換装置8A~8Dに位置制御機能を付与する場合についても、この発明を適用することができる。この場合には、分岐器1の全体の線形を維持し、トングレール4a,4bと基本レール3a,3bとの間の隙間の検査及び調整を省力化することができる。