JP6781602B2 - 業務支援システム、および、業務支援方法 - Google Patents

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Description

本発明は、業務支援システム、および、業務支援方法に係り、特に、サプライチェーンにおいて、最適な生産計画の立案方法や安全在庫の算出方法を提示することにより業務を支援するのに好適な業務支援システム、および、業務支援方法に関する。
サプライチェーンとは、原材料・部品の調達から、製造、在庫管理、販売、配送までの製品の全体的な一連のビジネスプロセスをいう。このようなサプライチェーンの運営においては、需要変動や災害によるリードタイム遅延など、刻一刻と変化する状況別に各企業で最適な業務ロジック(生産計画の立案方法や安全在庫の算出方法などのサプライチェーン業務を遂行するための具体的、定量的な方法、詳細は後述)を瞬時に選定、実行する必要がある。サプライチェーンの最適な構築をおこなうために、サプライチェーンモデルによるシミュレーションにより、サプライチェーンを評価する手法が知られている。このような手法としては、例えば、特許文献1がある。この特許文献1には、製品、資材の在庫および資材調達の物流ルートを、サプライチェーン全体で棚卸在庫費用と物流費用と販売機会損失費用の合計費用が最小となるように、サプライチェーンモデルを用いたシミュレーションで算出する技術が開示されている。
また、サプライチェーンには限られないが、起こりうる状況変化に対応して、災害の対策指示を、現場から修正して、最適な災害対策のシナリオを構築する手法が知られている。例えば、特許文献2では、指示の確信度の累積値が所定の条件を満たす場合に、確信度が低いと判断された指示の一覧を表示し、修正させることにより、「シナリオの最適化の検証を容易に可能な緊急時指揮支援システムを提供する」としている。
特開2007−226718号公報 特開2010−204712号公報
上記特許文献1に記載されている技術では、販売計画が更新されるタイミングをトリガーとし、製品在庫と部品在庫および資材調達の物流ルートをシミュレーションにより算出する技術となっている。
しかし、シミュレーションモデルから最適解を導出する場合、スタンドアロン型またはクラウド型を問わず、計算リソースは限られている。加えて、想定される需要変動や業務ロジックの膨大な組合せから導出しなければならない。ゆえに、サプライチェーンの状況変化に対応して、高速に最適な業務ロジックを算出することはできないという問題点がある。
また、上記特許文献2に記載されている技術では、災害時において、所与の状況変化に対応し、人手で災害時のシナリオを修正して、最適な緊急対応シナリオを構築できるとしている。
しかしながら、状況変化が所与の場合、起こりうる状況変化に対して十分に網羅できているか不明である。なおかつ、状況変化毎に最適な緊急対応シナリオを人手で導出しているため、正確性および計算時間が不明瞭である。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、その目的は、サプライチェーンにおいて、各企業の起こりうる状況変化に対応して、短時間でかつ自動的に、最適な業務ロジックを提示して業務を支援する業務支援システム、および、業務支援方法を提供することにある。
上記問題点を解決するための業務支援システムの構成は、複数の企業から構成される業務システムにおける業務支援システムであって、各企業のマスタ情報と、各企業の業務ロジックからシミュレーションおけるシナリオのシナリオ情報を生成するシナリオ情報生成部と、シナリオ情報生成部が生成したに各企業の業務ロジックを組み合わせて、業務ロジック組合せ情報を生成する業務ロジック組合せ部と、業務ロジック組合せ情報に基づいてシミュレーションをおこない、シナリオにおける業務ロジックごとのKPI(Key Performance Indicators)情報を演算するシミュレーション部と、複数の企業から構成される業務システムの業務に関する状況変化情報を読み込む状況変化情報収集部と、状況変化情報収集部が読み込んだ状況変化情報に最も近いシナリオを、業務ロジック組合せ情報から求める類似シナリオ検索部と、重視KPIを入力する重視KPI入力部と、最適業務ロジックを表示する最適業務ロジック表示部と、各企業の最適業務ロジックを演算する最適業務ロジック演算部とを備えるものである。そして、最適業務ロジック演算部は、状況変化情報に最も近いシナリオを参照し、KPI情報からそのシナリオに係るKPIを求め、入力された重視KPIの最も達成しているシナリオを求め、そのシナリオと業務ロジック組合せ情報において組み合わされている業務ロジックを最適業務ロジックとして算出する。
特に、複数の企業から構成される業務システムは、サプライチェーンであることを特徴とするものである。
本発明によれば、サプライチェーンにおいて、各企業の起こりうる状況変化に対応して、短時間でかつ自動的に、最適な業務ロジックを提示して業務を支援する業務支援システム、および、業務支援方法を提供することができる。
業務支援システムの全体構成図である。 業務支援装置のハードウェア構成図である。 企業マスタ情報テーブル1310の一例を示す図である。 企業業務ロジックマスタ情報テーブル1320の一例を示す図である。 初期シナリオ情報テーブル1110の一例を示す図である。 重点シナリオ情報テーブル1140の一例を示す図である。 シナリオ情報テーブル1120の一例を示す図である。 計算時間情報テーブル1150の一例を示す図である。 業務ロジック組合せ情報テーブル1130の一例を示す図である。 KPI演算結果テーブル1210の一例を示す図である。 状況変化情報テーブル1410の一例を示す図である。 シナリオスコアテーブル1420の一例を示す図である。 最適業務ロジック情報テーブル1430の一例を示す図である。 業務支援システムがシミュレーションによる学習データを生成するまでの処理を示すフローチャートである。 シナリオを需要とリスクに関連付けて配置した様子を示す図である(その一)。 シナリオを需要とリスクに関連付けて配置した様子を示す図である(その二)。 最適業務ロジックを生成する処理を示すフローチャートである。 業務支援システムのユーザインタフェース画面を示す図である。
以下、本発明に係る一実施形態を、図1ないし図17を用いて説明する。
〔業務支援システムの概要、用語〕
先ず、本発明に係る業務支援システム、業務支援方法を理解するために、システムの概要と、その用語について予め説明する。
本実施形態での「業務ロジック」とは、業務支援システムのコンピュータなどの情報処理装置上で実行されるアプリケーションソフトウェアで実行可能なサプライチェーン業務を遂行するための具体的、定量的な方法である。本実施形態での業務ロジックは、サプライチェーンの各企業ごとに定義されており、それを実行するためのパラメタを有する。具体的には、販売計画、調達計画、生産計画、供給計画のそれぞれの立案方法と立案サイクル、輸送手段選定ロジック、安全在庫算出方法などである。
また、本実施形態での「シナリオ」とは、業務支援システムのコンピュータなどの情報処理装置上で実行されるシミュレーションの状況を記述する要素となるものであり、扱う品目ごとに変化項目と、その変更値を有するものである。
このシナリオの変動要因として、市場の需要変動、災害が影響を及ぼす設備使用可能状況、輸送可否状況の組合せなどがある。
本実施形態の業務支援システムでは、業務ロジックに係る情報と、シナリオに係る情報、また、需要、サプライチェーンにおけるリスク要因となるパラメタを入力して、サプライチェーンのシミュレーションをおこなう。
サプライチェーンのシミュレーションは、モデルとするサプライチェーンのKPI(Key Performance Indicators:重要業績評価指標)を出力する。KPIは、サプライチェーンの目標達成の度合いを定義する補助となる計量値であり、本実施形態では、納期順守率、在庫金額、CF(Cash Flow)、CCC(Cash Conversion Cycle)、需要合計とする。
本実施形態のサプライチェーンの構成は、扱う各品目ごとに、サプライヤを基点とし、市場を終点として、中間ノードに、複数の倉庫や工場などを有するグラフ構造として表現できる。
本実施形態の業務支援システムは、サプライチェーンの各企業における最適な業務ロジック(最適業務ロジック)を提示することを目的とする。その際に、各KPIが望ましい数値を取るものを最適であると評価する。
以下、本実施形態の業務支援システムが最適業務ロジックを求めるまでの概要について説明する。
先ず、各企業のマスタ情報、企業の業務ロジックに関する情報から、初期シナリオを生成する。
先ず、企業のマスタ情報と、その企業の業務ロジック情報から、その全ての組合せのシミュレーションをおこない、ターゲットとなる情報装置で一定の時間内に計算できるシナリオ数を計算する。
初期シナリオは、後のシナリオを生成するための種(シード)となるシナリオである。初期シナリオは、各々の番号付けられたシナリオ番号を有する複数のシナリオから構成されるものである。初期シナリオを作成するときには、サプライチェーンの構成の末端のノードである市場に着目して、生成する。初期シナリオの数は、一定の時間内に計算できるシナリオ数を考慮して決定される。
次に、初期シナリオに基づいて、シミュレーションをおこなって、各シナリオ番号ごとのサプライチェーンの構成する企業(すなわち、末端の市場に関連するノードの企業)における全ての業務ロジックを組み合わせて、シミュレーションをおこない、各シナリオ番号ごとのシミュレーションにおけるKPIを算出する。
次に、各シナリオ番号ごとのシミュレーションにおけるKPIスコアを算出する。KPIスコアは、KPIを組み合わせた指標である。
次に、初期シナリオを種(シード)とするシナリオを生成する。生成されるシナリオは、末端のノードの市場のサプライチェーンの構成する企業におけるシナリオを生成する。このときに、扱う品目ごとに変化項目の組合せは、全て含まれるように生成され、その変更値などは乱数により生成される。また、生成されたシナリオは、関連する初期シナリオのシナリオ番号を有する。また、初期シナリオと追加したシナリオの数は、一定の時間内に計算できるシナリオ数に基づいて定められる。
次に、KPIスコアが変化の少ないシナリオを重要でないとみなして削除し、その削除した分、KPIスコアが変化の多いシナリオからパラメタを変えることにより新たなシナリオを生成して付け加えることにより、シナリオの調整をおこなう。
次に、初期シナリオと追加されたシナリオと、各企業のマスタ情報、企業の業務ロジックに関する情報に基づいて、シミュレーションをおこない、KPIを再演算する。
次に、ユーザから重視するKPI(重視KPI)を入力させる。重視するとは、最適業務ロジックを求めるにあたって重視するという意味である。
次に、現在のサプライチェーンにおける状況変化情報を取得する状況変化情報は、シナリオに関する情報と同一のデータ構造を持つ情報である。そして、生成したシナリオと、状況変化情報と最も近い(「近い」の評価は後述)シナリオを検索する。そして、そのシナリオのシナリオ番号によるシミュレーションで用いた業務ロジックの中から、入力された重視KPIの最もいい評価を出しているものを最適業務ロジックとする。
〔業務支援システムの構成〕
次に、図1および図2を用いて本実施形態に係る業務支援システムの構成について説明する。
図1は、業務支援システムの全体構成図である。
図2は、業務支援装置のハードウェア構成図である。
業務支援システムは、図1に示されるように、業務支援装置100とユーザ端末装置200がネットワーク50により接続されている。
業務支援装置100は、機能に着目すると、シミュレーション情報生成部110、シミュレーション部120、記憶部130、最適業務ロジック算出部140、通信部150の機能部を有し、各々が通信バスにより接続されている。
シミュレーション情報生成部110は、業務支援装置100で実行するコンピュータシミュレーションに関する情報を生成する機能部であり、初期シナリオ情報生成部111、シナリオ情報生成部112、業務ロジック組合せ部113、重点シナリオ情報生成部114、計算時間算出部115、シナリオ情報調整部116を有する。初期シナリオ情報生成部111は、初期シナリオに関する情報を生成する部分である。シナリオ情報生成部112は、シナリオ(初期シナリオに基づいて生成される)に関する情報を生成する部分である。業務ロジック組合せ部113は、シナリオ情報と業務ロジックを組み合わせた情報を生成する部分である。重点シナリオ情報生成部114は、各シナリオを評価する情報を生成する部分である。計算時間算出部115は、シミュレーション時間を計測して、シナリオを生成する数の上限を算出する部分である。シナリオ情報調整部116は、シナリオ情報生成部112により生成されたシナリオ情報の調整をおこなう部分である。
シミュレーション部120は、業務支援装置100のコンピュータシミュレーションをおこなう機能部であり、KPI演算部121を有する。KPI演算部121は、各シナリオのKPIを算出する部分である。
最適業務ロジック算出部140は、KPIを勘案した最適な業務ロジックを算出する機能部であり、状況変化情報収集部141、類似シナリオ検索部142、最適業務ロジック演算部143を有する。状況変化情報収集部141は、サプライチェーンの状況変化情報を収集する部分である。類似シナリオ検索部142は、状況変化情報収集部141により収集された状況変化情報に最も近いシナリオを検索する部分である。最適業務ロジック演算部143は、ユーザより指定された重視のKPIに基づいた最適な業務ロジックを演算する部分である。
記憶部130は、業務支援装置100で必要なテーブルデータを格納する部分である。記憶部130に格納されるテーブルは、機能別に類別すると、マスタテーブル類131、シナリオ情報テーブル類132、シミュレーション設定テーブル類133、シミュレーション入出力・評価テーブル類134、状況変化情報テーブル類135、最適業務ロジック情報テーブル類136となる。
マスタテーブル類131は、サプライチェーンを構成する各企業のマスタ情報を格納するテーブル類であり、企業マスタ情報テーブル1310、企業業務ロジックマスタ情報テーブル1320がこれに属する。
シナリオ情報テーブル類132は、シナリオに関する情報を格納するテーブル類であり、初期シナリオ情報テーブル1110、重点シナリオ情報テーブル1140、シナリオ情報テーブル1120がこれに属する。
シミュレーション設定テーブル類133は、シミュレーションの状況設定のために必要となるテーブル類であり、計算時間情報テーブル1150がこれに属する。
シミュレーション入出力・評価テーブル類134は、シミュレーションの入力情報、出力情報と、その評価を格納するテーブル類であり、業務ロジック組合せ情報テーブル1130、KPI演算結果テーブル1210、シナリオスコアテーブル1420がこれに属する。
状況変化情報テーブル類135は、サプライチェーンにおける状況変化情報を格納するテーブル類であり、状況変化情報テーブル1410がこれに属する。
最適業務ロジック情報テーブル類136は、ユーザから入力された重視KPIに基づいた最適業務ロジック情報を格納するテーブル類であり、最適業務ロジック情報テーブル1430がこれに属する。
なお、各テーブルの詳細については、後述する。
記憶部130に格納される情報は、ネットワーク等を介して、例えばERP(Enterprise Resource Planning)等のシステム、それに準じるデータを蓄積したデータベース、あるいは、単なるファイル形式のデータから取得可能である。
ユーザ端末装置200は、機能に着目すると、重視KPI入力部201、最適業務ロジック表示部202、通信部211からなり、各々が通信バスにより接続されている。
重視KPI入力部201は、ユーザから最適業務ロジックを求める際の重視KPIを入力する部分である。最適業務ロジック表示部202は、業務支援装置100が求めた最適業務ロジックに関する情報を表示する部分である。
重視KPI入力部201から入力された重視KPIに関する情報、最適業務ロジック表示部202により表示される最適業務ロジックに関する情報は、ユーザ端末装置200の通信部211が、業務支援装置100の通信部150とインタフェースを持つことにより、業務支援装置100とやり取りされる。
なお、ユーザ端末装置200の通信部211と、業務支援装置100の通信部150は、ローカルネットワークでもよい、インターネットのようなグローバルネットワークであってもよい。また、通信形態も有線であってもよいし、無線であってもよい。
業務支援装置100のハードウェア構成としては、例えば、図2に示されるような一般的なパーソナルコンピュータで実現される。
業務支援装置100は、CPU(Central Processing Unit)302、主記憶装置304、ネットワークI/F306、表示I/F308、入出力I/F310、補助記憶I/F312が、バスにより結合された形態になっている。
CPU302は、業務支援装置100の各部を制御し、主記憶装置304に必要なプログラムをロードして実行する。
主記憶装置304は、通常、RAMなどの揮発メモリで構成され、CPU302が実行するプログラム、参照するデータが記憶される。
ネットワークI/F306は、ネットワーク50と接続するためのインタフェースである。
表示I/F308は、LCD(Liquid Crystal Display)などの表示装置320を接続するためのインタフェースである。
入出力I/F310は、入出力装置を接続するためのインタフェースである。図2の例では、キーボード330とポインティングデバイスのマウス332が接続されている。
補助記憶I/F312は、HDD(Hard Disk Drive)350やSSD(Solid State Drive)などの補助記憶装置を接続するためのインタフェースである。
HDD350は、大容量の記憶容量を有しており、本実施形態を実行するためのプログラムとデータが格納されている。業務支援装置100には、シミュレーション情報生成プログラム400、業務ロジック算出プログラム401、シミュレーションプログラム402、データベース管理プログラム403がインストールされている。
シミュレーション情報生成プログラム400、最適業務ロジック算出プログラム401、シミュレーションプログラム402は、各々、図1により説明したシミュレーション情報生成部110、最適業務ロジック算出部140、シミュレーション部120の各機能を実行するプログラムである。データベース管理プログラム403は、業務支援装置100のデータベースにアクセスし、それを管理するためのプログラムである。
また、HDD350に格納されるデータベースは、テーブルとして、企業マスタ情報テーブル1310、企業業務ロジックマスタ情報テーブル1320、初期シナリオ情報テーブル1110、重点シナリオ情報テーブル1140、シナリオ情報テーブル1120、計算時間情報テーブル1150、業務ロジック組合せ情報テーブル1130、KPI演算結果テーブル1210、状況変化情報テーブル1410、シナリオスコアテーブル1420、最適業務ロジック情報テーブル1430を有する。
なお、各テーブルの詳細については、次に、後述する。
また、本実施形態では、プログラムとデータがHDDに格納されるとして記述したが、その他のSSDなどの記憶デバイスに格納されていてもよい。
〔業務支援システムのデータ構造〕
次に、図3ないし図13を用いて本実施形態に係る業務支援システムで用いられるデータ構造について説明する。
図3は、企業マスタ情報テーブル1310の一例を示す図である。
図4は、企業業務ロジックマスタ情報テーブル1320の一例を示す図である。
図5は、初期シナリオ情報テーブル1110の一例を示す図である。
図6は、重点シナリオ情報テーブル1140の一例を示す図である。
図7は、シナリオ情報テーブル1120の一例を示す図である。
図8は、計算時間情報テーブル1150の一例を示す図である。
図9は、業務ロジック組合せ情報テーブル1130の一例を示す図である。
図10は、KPI演算結果テーブル1210の一例を示す図である。
図11は、状況変化情報テーブル1410の一例を示す図である。
図12は、シナリオスコアテーブル1420の一例を示す図である。
図13は、最適業務ロジック情報テーブル1430の一例を示す図である。
企業マスタ情報テーブル1310は、サプライチェーンを構成する各企業のマスタ情報を格納するテーブルであり、図3に示されるように、企業名1311、企業クラス1312、品目1313、仕入先企業1314、納入先企業1315、購入費1316、売価1317の各フィールドを有する。企業名1311には、その企業の名称を格納する。企業クラス1312には、サプライチェーンにおけるその企業の分類、例えば、「工場」、「倉庫」、「市場」などを格納する。品目1313には、供給するターゲットとする物の名称、または、識別子を格納する。仕入先企業1314は、その企業がその品目を仕入れる先の企業を格納する。納入先企業1315は、その企業がその品目を納入する先の企業を格納する。購入費1316は、その品目を仕入先から購入するときの価格を格納する。売価1317は、その品目を納入先に売却するときの価格を格納する。
企業業務ロジックマスタ情報テーブル1320は、サプライチェーンを構成する各企業ごとの業務ロジックに関する情報を格納するテーブルであり、図4に示されるように、企業名1321、業務名称1322、業務ロジック1323、ロジックパラメータ1324、更新サイクル1325の各フィールドを有する。企業名1321には、その企業の企業名を格納する。業務名称1322には、その業務ロジックが用いられる業務名称を格納する。業務ロジック1323には、問題としている業務ロジックの名称、または、識別子を格納する。ロジックパラメータ1324には、その業務ロジックの可変パラメタの値を格納する。更新サイクル1325には、その業務ロジックを見直しのために更新すると定めた所定の更新サイクルの値を格納する。
初期シナリオ情報テーブル1110は、初期シナリオに関する情報を格納するテーブルであり、図5に示されるように、シナリオ番号1111,企業名1112、変化項目1113、品目1114、日付1115、変更値1116の各フィールドを有する。シナリオ番号1111には、シナリオごとに一意に付与される番号であるシナリオ番号を格納する。企業名1112には、その企業の企業名を格納する。変化項目1113は、そのシナリオでの変動要因となる項目を格納する。変化項目には、予め、企業クラスごとに該当するものが定められているものとする。例えば、市場のクラスの変動要因は、「需要変化」である。品目1114には、そのシナリオに係る品目の名称、または、識別子を格納する。日付1115には、シミュレーションの対象とする日付を格納する。変更値1116には、変化項目の内容に応じた値の変更の幅を格納する。例えば、変化項目が「需要変化」の変更値には、「−5%」は、その品目の重要が5%減少することを意味する。
重点シナリオ情報テーブル1140には、シナリオ番号ごとに、そのシナリオを評価する情報を格納するテーブルであり、シナリオ番号1141、KPIスコア1142、傾斜1143、ABC区分1144の各フィールドを有する。
シナリオ番号1141には、シナリオごとに一意に付与される番号であるシナリオ番号を格納する。KPIスコア1142には、複数または単数のKPIから算出したスコアを格納する。本実施形態のKPIスコアは、以下の(式1)で算出する。
KPIスコア=(納期順守率×需要合計)/在庫金額 …(式1)
傾斜1143には、そのシナリオ番号がその前後のシナリオ番号に対して、変更値に応じて、どれだけ変化するかの指標を格納する。傾斜は、以下の(式2)で算出する。
傾斜=(当該シナリオ番号のKPIスコア)/((当該シナリオ番号の変更値−(当該シナリオ番号+1)の変更値)) …(式2)
ABC区分1144には、そのシナリオ番号のシナリオに対して、重要業務指標を評価する手法であるABC分析をした際の評価を格納する。本実施形態では、KPIスコアが大きいから順に、A、B、Cとランク付けする。
シナリオ情報テーブル1120は、シナリオに関する情報を格納するテーブルであり、図5に示されるように、シナリオ番号1111,企業名1112、変化項目1113、品目1114、日付1115、変更値1116の各フィールドを有する。シナリオ情報テーブル1120のデータ構造は、図5に示した初期シナリオ情報テーブル1110と同様であり、その意味も同様である。シナリオ情報テーブル1120は、初期シナリオから生成されたシナリオと、初期シナリオをレコードとして全て含むテーブルである。
なお、シナリオ情報テーブル1120の変化項目1113には、このシナリオの変動要因として、市場の需要変動、災害が影響を及ぼす設備使用可能状況、輸送可否状況の組合せなどの項目が格納される。
計算時間情報テーブル1150は、シミュレーションのためのシナリオ数を計算し、その上限となるシナリオを格納するためのテーブルであり、図8に示されるように、シナリオ計算時間11501、計算上限時間11502、計算可能シナリオ数11503のフィールドを有する。シナリオ計算時間11501には、図3に示した企業マスタ情報テーブル1310と、図4に示した企業業務ロジックマスタ情報テーブル1320から計算されるシミュレーション時間を格納する。計算上限時間11502には、シミュレーションのための学習データを生成するための現実的な許容時間を格納する。計算可能シナリオ数11503には、以下の(式3)で算出された計算可能シナリオ数を格納する。
計算可能シナリオ数=計算上限時間/シナリオ計算時間 …(式3)
業務ロジック組合せ情報テーブル1130は、図4の企業業務ロジックマスタ情報テーブル1320の示す業務ロジックと、図4の初期シナリオ情報テーブル1110および図10のシナリオ情報テーブル1120の示すシナリオを、組み合わせた情報を示すテーブルであり、図9に示されるように、シナリオ番号11301、企業名11302、変化項目11303、品目11304、日付11305、変更値11306、ロジックパターン11307、業務名称11308、業務ロジック11309、ロジックパラメータ11310、更新サイクル11311の各フィールドを有する。ここで、シナリオ番号11301〜更新サイクル11311までのフィールドの値は、シミュレーションのための入力データとなる。
シナリオ番号11301、企業名11302、変化項目11303、品目11304、日付11305、変更値11306は、それぞれ図5の初期シナリオ情報テーブル1110のシナリオ番号1111,企業名1112、変化項目1113、品目1114、日付1115、変更値1116、または、図10のシナリオ情報テーブル1120の企業名1112、変化項目1113、品目1114、日付1115、変更値1116からコピーされる。
業務名称11308、業務ロジック11309、ロジックパラメータ11310、更新サイクル11311は、それぞれ図4の企業業務ロジックマスタ情報テーブル1320の業務名称1322、業務ロジック1323、ロジックパラメータ1324、更新サイクル1325からコピーされる。
ロジックパターン11307には、同一のシナリオ番号を有する業務ロジック組合せ情報テーブル1130のレコードに対して、違う業務ロジック(図4の企業業務ロジックマスタ情報テーブル1320のレコードが対応)が適用されることを示すパターン番号を格納する。
KPI演算結果テーブル1210は、シナリオ番号ごと、ロジックパターンごとにシミュレーションの結果として、各々のKPIの情報を格納するテーブルであり、図10に示されるように、シナリオ番号1211、ロジックパターン1212、納期順守率1213、在庫金額1214、CF1215、CCC1216、需要合計1217の各フィールドを有する。
納期順守率1213、在庫金額1214、CF1215、CCC1216、需要合計1217には、それぞれのシミュレーションの結果としてのKPIの情報が格納される。
状況変化情報テーブル1410は、サプライチェーンのある時点の状況を格納するテーブルであり、図11に示されように、企業名1411、変化項目1412、品目1413、日付1414、変更値1415の各フィールドを有する。状況変化情報テーブル1410のデータ構造は、図7に示したシナリオ情報テーブル1120とシナリオ番号のフィールドを除いては同様であり、その意味も同様であるが、その値が、対象となるサプライチェーンのある時点の状況を示していることのみが異なっている。
シナリオスコアテーブル1420は、各シナリオ番号についてのシナリオスコアを格納するためのテーブルであり、図12に示されるように、シナリオ番号1421、シナリオスコア1422の各フィールドを有する。シナリオ番号1421には、業務支援システムで一意的なシナリオ番号を格納する。シナリオスコア1422には、そのシナリオ番号1421のシナリオのシナリオスコアを格納する。シナリオスコアとは、状況変化情報テーブル1410の示す状況変化情報からどれだけ「近い」かを示す指標である。この「近い」の評価方法については、後に詳説する。
最適業務ロジック情報テーブル1430は、シミュレーションの結果とサプライチェーンのある時点の状況変化と対比して、最適とみなされる業務ロジックを格納するテーブルであり、図13に示されるように、企業名1431、業務名称1432、業務ロジック1433、ロジックパラメータ1434、更新サイクル1435の各フィールドを有する。最適業務ロジック情報テーブル1430のデータ構造は、図4に示した企業業務ロジックマスタテーブル1320と同様であり、その意味も同様であるが、その値が、この業務支援システムが提示する最適業務ロジックを示す値であることのみが異なっている。
〔業務支援システムの処理〕
次に、図14ないし図17を用いて本実施形態に係る業務支援システムの処理について説明する。
(I)シミュレーションによる学習データの生成
先ず、図14ないし図15Bを用いて業務支援システムがシミュレーションによる学習データを生成するまでの処理について説明する。
ここで、シミュレーションによる学習データとは、図7のシナリオ情報テーブル1120、図9の業務ロジック組合せ情報テーブル1130、図10のKPI演算結果テーブル1210に格納されるデータである。
図14は、業務支援システムがシミュレーションによる学習データを生成するまでの処理を示すフローチャートである。
図15A、図15Bは、シナリオを需要とリスクに関連付けて配置した様子を示す図である。
先ず、業務支援装置100は、図3に示した企業マスタ情報テーブル1310と、図4に示した企業ロジックマスタ情報テーブル1320を読み込む(S100)。
次に、業務支援装置100は、シミュレーションをおこなうことにより、計算可能なシナリオ数を算出し、計算時間情報テーブル1150に設定する(S101)
計算可能なシナリオ数を算出するために、以下のような処理をおこなう。S100で読み込んだ企業マスタ情報テーブル1310と企業ロジックマスタ情報テーブル1320に基づいて、サプライチェーンを構成する全企業の業務ロジックの全組合せを、ターゲットなるコンピュータを用いてシミュレーションする。サプライチェーンを構成する企業の組合せは、品目1313の示す同一品目に関して、図3の仕入先企業1314と納入先企業1315の連鎖をたどることにより求められる。また、別にサプライチェーンを構成する企業のデータ構造を用意して、それを参照するようにしてもよい。このシミュレーションには、市場の需要量、設備の状況、災害リスク要因などがインプットされる。このとき、インプットデータである需要量は、過去の需要実績を用いてもよく、正規分布、ロジスティック分布、ポアソン分布を用いて生成してもよい。
次に、シミュレーションより計測された総計算時間を、計算時間情報テーブル1150のシナリオ計算時間11501のフィールドに登録する。ここで、計算上限時間11502に設定されている値は、学習データを生成する際に許容される計算時間であり、所与の時間で与えられてもよく、インタフェース画面(図示せず)から学習データ生成前にユーザが入力してもよい。
そして、計算可能シナリオ数1150に設定する計算可能シナリオ数を、(式3)で求め、計算時間情報テーブル1150の計算可能シナリオ数11503のフィールドに設定する。(式3)により、小数点以下の値が出た場合は、小数点以下を切り捨て、整数とする。
次に、業務支援装置100は、初期シナリオ情報を生成する(S102)。このステップは、初期シナリオ情報生成部111がおこなう処理であり、生成された初期シナリオ情報は、図5に示した初期シナリオ情報テーブル1110に設定される。
初期シナリオ情報は、既に説明してきたように、図7のシナリオ情報テーブル1120のシナリオ情報を生成するために、種(シード)となる情報であるが、そのために、サプライチェーンの末端のノードなる市場に着目する。そのために、企業マスタ情報テーブル1310の企業クラス1312のフィールドに格納されている企業クラス(本例では、市場、販社、倉庫、工場、サプライヤ、輸送業者とする)の内、「市場」と一致するレコードを検索する。次に、検索に該当したレコード数分の日付1115をシミュレーション開始日から終了日(例えば、現在日付より1年前から現在日付)まで、変更値1116を一定量の刻み幅で生成する。
ここで、一定量の刻み幅は、過去の需要実績の標準偏差を用いてもよく、正規分布、ロジスティック分布、ポアソン分布を用いて需要実績を擬似的に生成し、これらの分布の標準偏差を用いてもよい。初期シナリオ情報テーブル1113の変化項目1113は、「需要変化」であり、変更値1116は、その市場における需要を意味する。生成する初期シナリオ情報テーブル1110の総レコード数(一つの初期シナリオ情報が、一つのシナリオ番号に対応させるので、シナリオ番号の一致するレコード数)は、計算可能シナリオ11503に格納された値の1/2乗(平方根)(少数点以下は切り捨て)とする。ここで、計算可能シナリオ11503に格納された値の1/2乗とするのは、市場における需要のパラメタと、市場以外の企業のパラメタの二つのパラメタ要因を、シミュレーションの変動パラメタとして捉えるためであり、後の図7のシナリオ情報テーブル1120の生成に関係する(詳細は、後述)。
次に、業務ロジック組合せ情報を生成する(S103)。
このステップは、業務ロジック組合せ部生成部113がおこなう処理であり、生成された業務ロジック組合せ情報は、図9に示した業務ロジック組合せ情報テーブル1130に設定される。
すなわち、業務ロジック組合せ部113は、ステップS100のステップで読込んだ企業マスタ情報テーブル1310、企業業務ロジックマスタテーブル1320と、S101のステップで生成した初期シナリオ情報テーブル1110に基づき、図9の業務ロジック組合せ情報テーブル1130に設定される情報を生成する。
業務ロジック組合せ情報テーブル1130に設定される情報は、以下のように求められる。ステップS101のステップで設定した図5の初期シナリオ情報テーブル1110の各シナリオ番号1111に対し、図3の企業業務ロジックマスタ情報テーブル1320の各レコードを組み合わせ、各企業が用いる初期シナリオごとの全業務ロジックの組合せパターンを生成する。そして、業務ロジック組合せ情報テーブル1130のシナリオ番号11301の値は、組み合わせた初期シナリオ情報テーブル1110のシナリオ番号1111の値を登録する。ロジックパターン11307に設定する値は、企業業務ロジックマスタ情報テーブル1320に由来する番号であり、各シナリオ番号1111に対し、組み合わせた企業業務ロジックマスタ情報テーブル1320の異なったレコードごとに異なった値を割り振ることにする。その他の部分、企業名11302、変化項目11303、品目11304、日付11305、変更値11306は、それぞれ図10のシナリオ情報テーブル1120の企業名1112、変化項目1113、品目1114、日付1115、変更値1116からコピーされ、業務名称11308、業務ロジック11309、ロジックパラメータ11310、更新サイクル11311は、それぞれ図4の企業業務ロジックマスタ情報テーブル1320の業務名称1322、業務ロジック1323、ロジックパラメータ1324、更新サイクル1325からコピーされることは既述のとおりである。
次に、生成した業務ロジック組合せ情報に基づき、全シナリオ番号に対してシミュレーションをおこない、ロジックパラメータごとのKPIを算出する(S104)。
このステップは、シミュレーション部120がおこなう処理であり、算出されたロジックパラメータごとのKPIは、図10に示すKPI演算結果テーブル1210に設定される。
次に、重点シナリオ情報を生成する(S105)。
このステップは、重点シナリオ情報生成部114がおこなう処理であり、生成された重点シナリオ情報は、図11に示した重点シナリオ情報テーブル1140に設定される。
重点シナリオ情報は、以下のようにして求められる。
先ず、図10のKPI演算結果テーブル1210の各KPI(納期順守率1213、在庫金額1214、CF1215、CCC1216、需要合計1217の値)ごとに、シナリオ番号1211のシナリオ番号に属するロジックパターンの相加平均をとり、そのシナリオ番号におけるKPIの値とする。
そして、各シナリオ番号ごとに、(式1)により、KPIスコアを求め、そのシナリオ番号におけるKPIスコア1142に設定されるKPIスコアとする。次に、各シナリオ番号ごとに、(式2)により、傾斜を求め、傾斜1143に設定される傾斜とする。
そして、そのシナリオ番号のシナリオに対して、傾斜が大きい順から、ABC分析に基づいて、A、B、Cとランク付けして、ABC区分1144のフィールドに設定する。
次に、シナリオ情報を生成する(S106)。
このステップは、シナリオ情報生成部115がおこなう処理であり、生成されたシナリオ情報は、図7に示したシナリオ情報テーブル1120に設定される。
シナリオ情報テーブル1120に設定されるシナリオ情報は、以下のように求められる。
先ず、図5に示した初期シナリオ情報テーブル1110のレコードをシナリオ情報テーブル1120にコピーする。
次に、企業マスタ情報テーブル1310の企業クラス1312中、設定された企業クラスの値が、同一のサプライチェーンの中で、市場以外で少なくとも各企業クラスが一つ以上選択されるように、企業名1311からランダムに選択する。日付1125、変更値1126は、例えば、一様乱数を用いて選択する。変化項目1123、品目1124は、全変化項目(本例では、需要変化、生産能力、生産リードタイム、輸送リードタイムとした)および全品目からそれぞれ少なくとも1つ以上含むように、一様に選択する。
次に、企業マスタ情報テーブル1310の企業名1311、変化項目1123、品目1124、日付1125、変更値1126と、初期シナリオ1110の各シナリオ番号1111とを組み合せ、新規レコードとしてシナリオ情報テーブル1120の末尾に追加する。新規追加レコードの上限は、図8の計算時間情報テーブル1150の計算可能シナリオ11503の値から、初期シナリオ情報テーブル1110のシナリオ番号数(計算可能シナリオ数11503の値の1/2乗)を減算した値とする。すなわち、これにより、シナリオ情報テーブル1120の示すシナリオの数は、計算可能シナリオ数11503の値に抑えられる。
次に、シナリオ情報の調整をおこなう(S107)。
このステップは、シナリオ情報生成部116がおこなう処理である。
本実施形態では、重点シナリオ情報によりC区分に分類されたシナリオの一部を削減し、その削減したシナリオの数だけA区分に追加する例を説明する。これは、A区分にランク付けされたシナリオは、傾斜が大きいシナリオであり、そのシナリオを採用したシミュレーションは、KPIスコアの変化がおおきく、有効なシミュレーションをおこなえると推定されるからである。
ここで、シナリオのパラメタの市場の需要を縦軸に、工場の生産能力が低下するリスクを横軸にして、各々のシナリオを位置づけると、図15Aに示されるようになる。すなわち、パラメタの市場の需要と、工場の生産能力が低下するリスクの二次元的なマッピングとなる。これが、初期シナリオ情報テーブル1110のシナリオ番号数を、計算可能シナリオ数11503の値の1/2乗として、シナリオ情報を生成した理由である。
先ず、重点シナリオ情報テーブル1140のABC区分1144のC区分中、傾斜1143が低い順に、C区分から当該シナリオ番号1121のレコードを削除する。例えば、削除するレコード数はC区分のレコード数の半数(奇数の場合は切り下げ)とする。そして、削除したシナリオ数の総数を、追加可能シナリオ数とする。
次に、追加可能シナリオ数分のシナリオをABC区分1144のA区分に該当するシナリオとして追加生成する。例えば、A区分の傾斜1143が高いシナリオ順に、当該シナリオおよび、企業名1122〜変更値1126を完全に含む他のシナリオ番号1121の変更値1116を平均、標準偏差を1とした正規乱数から変更値1125のレコードを追加生成する。A区分の全シナリオが基準として選択済みの場合は、再度傾斜1143が高いシナリオから追加生成する。
このとき、追加生成したレコードは、シナリオ情報テーブル1120の末尾に、新しいシナリオ番号が付与された新規レコードとして追加される。
図15Bは、そのようにして、C区分のシナリオ数を半減し、A区分のシナリオとして追加生成した場合の例を示す図である。
次に、業務ロジック組合せ情報の追加生成をおこなう(S108)。
これは、業務ロジック組合せ部113が、S107のステップで調整されたシナリオ情報テーブル1120に基づき、図9の業務ロジック組合せ情報テーブル1130に設定される情報を、追加生成する処理である。
業務ロジック組合せ情報テーブル1130に設定の方法は、S103の業務ロジック組合せ情報テーブル1130の生成の方法に準じる。
すなわち、S100のステップで生成し、S107で調整した図7のシナリオ情報テーブル1120の各シナリオ番号1121のシナリオ番号に対し、図4の企業業務ロジックマスタ情報テーブル1320を組み合わせる。の組み合わせ方は各企業の業務ロジックの全組合せである。そして、業務ロジック組合せ情報テーブル1130のシナリオ番号11301は、組み合わせたシナリオ情報テーブル1120のシナリオ番号1121を登録される。ロジックパターン11307は、各シナリオ番号1121に対し、企業業務ロジックマスタ情報テーブル1320の1レコードの組み合わせを一意の番号として登録する。
次に、追加生成した業務ロジック組合せ情報に基づき、全シナリオ番号に対してシミュレーションをおこない、ロジックパラメータごとのKPIを算出する(S107)。
このステップは、シミュレーション部120がおこなう処理であり、算出されたロジックパラメータごとのKPIは、図10に示すKPI演算結果テーブル1210に設定される。
(II)最適業務ロジックの生成
次に、図16および図17を用いてシミュレーションによる学習データと、現在のサプライチェーンの状況から最適業務ロジックを生成するまでの処理について説明する。
図16は、最適業務ロジックを生成する処理を示すフローチャートである。
図17は、業務支援システムのユーザインタフェース画面を示す図である。
先ず、ユーザは、ユーザ端末装置200のユーザインタフェース画面2100より、最適業務ロジックを評価する指標である重視KPIを入力する(S200)。
このステップは、ユーザ端末装置200の重視KPI入力部201によりおこなわれる。
ユーザインタフェース画面2100は、図17に示されるように、重視KPI入力欄2101、最適業務ロジック表示欄2102を有しており、重視KPI入力欄2101より、重視KPIが選択される。
重視KPI選択欄2101は、本実施形態でKPIとした納期順守率、在庫金額、CF、CCCが選択肢として表示されるコンボボックスになっている。
重視KPI選択欄2101で受け付けた内容は、通信部211、ネットワーク50、通信部150を経由して、業務支援装置100に送信される。
次に、業務支援装置100は、最新のサプライチェーンの状況を読み込む(S201)。
このステップは、最適業務ロジック算出部140の状況変化情報収集部141がおこなう処理である。
業務支援装置100が最新のサプライチェーンの状況を読み込むタイミングは、重視KPIの内容が送信されてきたタイミングである。また、サプライチェーンの状況を読み込むタイミングをユーザが設定できるようにしてもよい。
最適業務ロジック算出部140の状況変化情報収集部141は、重視KPIの内容が送信されてきたタイミングで、ERP等のシステム、それに準じるデータを蓄積したデータベースなどから現状のサプライチェーンの情報を取得し、状況変化情報1410に設定する。
なお、変更値1415は、図14のS102のステップが処理されるときのデータベースのジャーナルなどから、問題としている品目の需要量や生産量などを基準として、比較することにより求める。
次に、業務支援装置100は、読み込んだサプライチェーンの状況に、最も近いシナリオを検索する(S202)。
このステップは、類似シナリオ検索部142がおこなう処理である。類似シナリオ検索部142は、S201のステップで生成された状況変化情報テーブル1410に格納された情報に、最も近いシナリオを業務ロジック組合せ情報テーブル1130から検索する。
状況変化情報テーブル1410に格納された情報から最も近いシナリオは、以下のように求める。
状況変化情報テーブル1410の各々のレコードの企業名1411、変化項目1412、品目1413を取得する。次に、図9に示した業務ロジック組合せ情報テーブル1130のシナリオ番号11301毎に、企業名11302、変化項目11303、品目11304に完全一致の全レコード数を取得し、当該シナリオ番号11301のレコード数で割った値をレコードスコアとする。すなわち、レコードスコアは、以下の(式4)で求められる。
シナリオ番号のシナリオのレコードスコア=(企業名、変化項目、品目に完全一致の全レコード数)/(そのシナリオ番号の全レコード数) …(式4)
このレコードスコアは、そのシナリオ番号11301で表されるシナリオが「レコードとして」どれだけ一致しているからを表す指標であり、一致度が高いシナリオ番号11301で表されるシナリオほど1に近くなるという意義を有する。
次に、企業名11302、変化項目11303、品目11304に完全一致したレコードの内、日付1305と変更値11306、日付1414と変更値1415の全ての組み合わせのそれぞれの変化率を計算して、相加平均を算出する。本例では、日付は日数の変化率で算出し、変更値は当該値の変化率とする。そして、日付と変更値の変化率の相加平均の相加平均を算出し、パラメタスコアとする。すなわち、パラメタスコアは、以下の(式5)で求められる。
Figure 0006781602
このパラメタスコアは、企業名11302、変化項目11303、品目11304に完全一致したレコードの内で、そのシナリオ番号11301で表されるシナリオが「パラメタ」として、どれだけ一致しているからを表す指標であり、一致度が高いシナリオ番号11301で表されるシナリオほど1に近くなるという意義を有する。
そして、パラメタスコアとレコードスコアの相加平均をシナリオスコアとする。すなわち、シナリオスコアは、以下の(式6)で求められる。
シナリオスコア=(レコードスコア+パラメタスコア)/2 …(式6)
以下、具体例で説明する。例えば、総レコード数20を持つあるシナリオ番号11301に対し、企業11302、変化項目11303、品目11304が完全一致したレコードが2レコードあるとする。また、企業11302、変化項目11303、品目11304が完全一致したレコードが2レコード中の日数と変更値はそれぞれ、3日と10日、30%と10%で、状況変化情報テーブル1410の日数と変更値はそれぞれ、5日と2日、10%と30%であるとする。
このとき、レコードスコアは2/20=1/10、パラメタスコア=(D+V)/2、D=(3/5+10/2+3/2+10/5)/4)、V=(30/10+10/30+30/30+10/10)/4)であり、パラメタスコア=433/240、シナリオスコアは、(1/10+433/240)/2であり、約0.95となる。
このシナリオスコアは、レコードの一致度とパラメタの一致度の双方の観点からシナリオの一致度を評価する値となる。
そして、類似シナリオ検索部142は、そのシナリオ番号に対するシナリオスコアを、図12のシナリオスコアテーブル1420のシナリオスコア1422のフィールドに格納する。
そして、全シナリオ番号11301毎にシナリオスコアを算出し、最も1に近いシナリオスコアを持つシナリオ番号をシナリオ番号11301から選択する。そして、そのシナリオ番号のシナリオを、状況変化情報テーブル1410に格納された情報から最も近いシナリオとする。
次に、最適業務ロジックを算出する(S203)。
このステップは、最適業務ロジック演算部143がおこなう処理である。
最適業務ロジック演算部143は、最適業務ロジックを算出し、図13に示した最適業務ロジック情報テーブル1430に設定する。
最適業務ロジックを算出は、以下のようにおこなう。
最適業務ロジック演算部143は、S202で選択した状況変化情報テーブル1410に格納された情報から最も近いシナリオのシナリオ番号を用いて、KPI演算テーブル1210のシナリオ番号1211から該当するシナリオ番号を検索し、当該シナリオ番号の中で、ユーザが入力した重視KPIを最も達成しているロジックパターン1212を検索する。例えば、KPIの内で、納期遵守率が100%に近いもの、在庫金額が少ないもの、CFが大きいもの、CCCが短いものを、それぞれのKPIを達成すると考えることができる。
そして、それぞれを最適業務ロジック情報テーブル1430に設定する。
次に、最適業務ロジックをユーザ端末装置により表示する(S204)。
業務支援装置100は、S203のステップで設定された最適業務ロジック情報1430に格納された情報を通信部150、ネットワーク50、通信部211を介してユーザ端末装置200に送信する。
ユーザ端末装置200の最適業務ロジック表示部202は、送信された情報を、ユーザインタフェース画面2100の最適業務ロジック表示欄2102に表示する。これによりユーザは、現在のサプライチェーンにおける最適業務ロジックとその最適なパラメタを容易に把握することができる。
100…業務支援装置、110…シミュレーション情報生成部、120…シミュレーション部、130…記憶部、140…最適業務ロジック算出部、150…通信部、
200…ユーザ端末装置、201…重視KPI入力部、202…最適業務ロジック表示部、211…通信部。

Claims (11)

  1. 複数の企業から構成される業務システムにおける業務支援システムであって、
    各企業のマスタ情報と、各企業の業務ロジックからシミュレーションにおけるシナリオのシナリオ情報を生成するシナリオ情報生成部と、
    前記シナリオ情報生成部が生成したシナリオ情報と各企業の業務ロジックを組み合わせて、業務ロジック組合せ情報を生成する業務ロジック組合せ部と、
    前記業務ロジック組合せ情報に基づいてシミュレーションをおこない、シナリオにおける業務ロジックごとのKPI(Key Performance Indicators)情報を演算するシミュレーション部と、
    複数の企業から構成される業務システムの業務に関する状況変化情報を読み込む状況変化情報収集部と、
    前記状況変化情報収集部が読み込んだ状況変化情報に最も近いシナリオを、前記業務ロジック組合せ情報から求める類似シナリオ検索部と、
    重視KPIを入力する重視KPI入力部と、
    最適業務ロジックを表示する最適業務ロジック表示部と、
    各企業の最適業務ロジックを演算する最適業務ロジック演算部とを備え、
    前記最適業務ロジック演算部は、前記状況変化情報に最も近いシナリオを参照し、前記KPI情報からそのシナリオに係るKPIを求め、入力された前記重視KPIの最も達成しているシナリオを求め、そのシナリオと業務ロジック組合せ情報において組み合わされている業務ロジックを最適業務ロジックとして算出することを特徴とする業務支援システム。
  2. 前記複数の企業から構成される業務システムは、サプライチェーンであることを特徴とする請求項1記載の業務支援システム。
  3. 前記業務ロジックは、販売計画、調達計画、生産計画、供給計画のそれぞれの立案方法と立案サイクル、輸送手段選定ロジック、安全在庫算出方法と算出サイクルを含むことを特徴する請求項1記載の業務支援システム。
  4. 前記シナリオの変化項目として、市場の需要変動、災害が影響を及ぼす設備使用可能状況、輸送可否状況の組合せの項目を有することを特徴とする請求項1記載の業務支援システム。
  5. 前記KPIは、納期順守率、在庫金額、CF(Cash Flow)、CCC(Cash Conversion
    Cycle)、需要合計の中から複数選択を可能とする請求項1記載の業務支援システム。
  6. 前記シナリオごとに、前記KPIを複数組み合わせたKPIスコアを算出し、前記KPIスコアによる重要度に応じて、前記シナリオ情報の削除、追加生成をおこなうことを特徴する請求項1記載の業務支援システム。
  7. 前記状況変化情報収集部が読み込んだ状況変化情報に最も近いシナリオは、業務ロジック組合せ情報とのレコードの一致を評価するレコードスコアと、そのレコードにおけるパラメタの一致を評価するパラメタスコアから算出されることを特徴とする請求項1記載の業務支援システム。
  8. 業務支援装置によって実行される複数の企業から構成される業務システムにおける業務支援方法であって、
    前記業務支援装置が、各企業のマスタ情報と、各企業の業務ロジックからシミュレーションおけるシナリオのシナリオ情報を生成するシナリオ情報生成ステップと、
    前記業務支援装置が、前記シナリオ情報生成ステップで生成したシナリオ情報と各企業の業務ロジックを組み合わせて、業務ロジック組合せ情報を生成する業務ロジック組合せステップと、
    前記業務支援装置が、前記業務ロジック組合せ情報に基づいてシミュレーションをおこない、シナリオにおける業務ロジックごとのKPI(Key Performance Indicators)情報を演算するシミュレーションステップと、
    前記業務支援装置が、複数の企業から構成される業務システムの業務に関する状況変化情報を読み込む状況変化情報収集ステップと、
    前記業務支援装置が、前記状況変化情報収集ステップで読み込んだ状況変化情報に最も近いシナリオを、前記業務ロジック組合せ情報から求める類似シナリオ検索ステップと、
    前記業務支援装置が、重視KPIを入力する重視KPIステップと、
    前記業務支援装置が、最適業務ロジックを表示する最適業務ロジック表示ステップと、
    前記業務支援装置が、各企業の最適業務ロジックを演算する最適業務ロジック演算ステップとを備え、
    前記最適業務ロジック演算ステップにおいて、前記状況変化情報に最も近いシナリオを参照し、前記KPI情報からそのシナリオに係るKPIを求め、入力された前記重視KPIの最も達成しているシナリオを求め、そのシナリオと業務ロジック組合せ情報において組み合わされている業務ロジックを最適業務ロジックとして算出することを特徴とする業務支援方法。
  9. 前記複数の企業から構成される業務システムは、サプライチェーンであることを特徴とする請求項8記載の業務支援方法。
  10. 前記シナリオ情報生成ステップは、サプライチェーンにおける市場となる企業におけるシナリオ情報を生成する初期シナリオ情報生成ステップと、
    各々の市場と関連するその他の企業におけるシナリオ情報を追加生成するシナリオ情報生成ステップとからなることを特徴とする請求項9記載の業務支援方法。
  11. 前記業務支援装置は、シナリオ計算時間と、計算上限時間と、前記計算上限時間を前記シナリオ計算時間で除した値である計算可能シナリオ数とを格納する計算時間情報テーブルを保持し、
    初期シナリオ情報生成ステップにおけるシナリオ数は、前記計算可能シナリオ数の1/2乗を超えない数とすることを特徴とする請求項10記載の業務支援方法。
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