JP5957991B2 - 指標提供方法、指標提供装置及び指標提供プログラム - Google Patents

Description

本発明は、指標提供方法、指標提供装置及び指標提供プログラムに関する。

製品の生産者と製品を必要とする人とをつなぐ物流が注目されている。かかる物流に関する指標を提示する技術の一例としては、サプライチェーンに関する指標を管理するサプライチェーン最適化システムが挙げられる。

サプライチェーン最適化システムは、販売計画の変動に対応して、資材調達、生産や販売といった複数の業務活動における在庫品の棚卸在庫費用と、製品及び資材調達の物流費用と、販売期間損失費用との合計が最小となる物流ルートのシミュレーションを行う。かかるシミュレーションの結果として得られた棚卸在庫費用、物流費用及び販売期間損失費用は、重要業績評価指標、いわゆるＫＰＩ（Key Performance Indicator）として設定された上でサプライチェーンを管理する指標として用いられる。

特開２００９−２１７５７３号公報

しかしながら、上記の従来技術は、以下に説明するように、物流業務の評価に有用な指標を提供することができないという問題がある。

すなわち、上記のサプライチェーン最適化システムは、サプライチェーンという枠組みで棚卸在庫費用、物流費用及び販売期間損失費用の合計を調整するものに過ぎない。それゆえ、上記のサプライチェーン最適化システムでは、サプライチェーン全体のコストが下がるのであれば、物流に関するコストや品質が悪化することも厭わない。したがって、上記のサプライチェーン最適化システムによってシミュレートされた棚卸在庫費用、物流費用や販売期間損失費用が指標として提供されたとしても、物流業務の評価に役立つとは限らない。

開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、物流業務の評価に有用な指標を提供できる指標提供方法、指標提供装置及び指標提供プログラムを提供することを目的とする。

本願の開示する指標提供方法は、コンピュータが、製品が出庫された出庫日および前記製品の売上高が対応付けられた売上情報または製品の棚卸日及び前記製品の棚卸によって得られた在庫高が対応付けられた在庫情報を用いて、所定期間内における売上高または在庫高を集計する処理を実行する。さらに、前記コンピュータが、製品が廃棄された廃棄日および前記製品の廃棄コストが対応付けられた廃棄情報を用いて、所定期間内における廃棄コストを集計する処理を実行する。さらに、前記コンピュータが、前記廃棄コストの集計値を分子に含み、かつ前記売上高または在庫高の集計値を分母に含めて廃棄に関する指標を算出する処理を実行する。さらに、前記コンピュータが、前記廃棄に関する指標を出力する処理を実行する。

本願の開示する指標提供方法の一つの態様によれば、物流業務の評価に有用な指標を提供できるという効果を奏する。

図１は、実施例１に係る物流ＫＰＩシステムの構成を示す図である。 図２は、実施例１に係る物流ＫＰＩサーバの機能的構成を示すブロック図である。 図３は、出庫データの一例を示す図である。 図４は、在庫データの一例を示す図である。 図５は、保管データの一例を示す図である。 図６は、集計結果の一例を示す図である。 図７は、ダッシュボード画面の一例を示す図である。 図８は、ドリルダウン画面の一例を示す図である。 図９は、実施例１に係る指標提供処理の手順を示すフローチャートである。 図１０は、実施例１及び実施例２に係る指標提供プログラムを実行するコンピュータの一例について説明するための図である。

以下に、本願の開示する指標提供方法、指標提供装置及び指標提供プログラムの実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例は開示の技術を限定するものではない。そして、各実施例は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。

［システム構成］
まず、本実施例に係る物流ＫＰＩシステムの構成について説明する。図１は、実施例１に係る物流ＫＰＩシステムの構成を示す図である。図１に示す物流ＫＰＩシステム１は、拠点サーバ３０Ａ〜３０Ｃから収集された物流業務に関する電子データを用いて物流業務の評価に資する指標、いわゆる物流ＫＰＩを算出した上で本社端末５０へ提供するものである。

図１に示すように、物流ＫＰＩシステム１には、物流ＫＰＩサーバ１０と、拠点サーバ３０Ａ〜３０Ｃと、本社端末５０とが収容される。なお、図１の例では、３つの拠点サーバ、１つの本社端末をそれぞれ図示したが、開示のシステムは図示の構成に限定されない。すなわち、物流ＫＰＩシステム１は、任意の数の拠点サーバおよび本社端末を収容できる。なお、以下では、拠点３Ａ〜３Ｃの各拠点を区別なく総称する場合には「拠点３」と記載するとともに、拠点サーバ３０Ａ〜３０Ｃの各装置を区別なく総称する場合には、「拠点サーバ３０」と記載する場合がある。

これら物流ＫＰＩサーバ１０、拠点サーバ３０及び本社端末５０の間は、ネットワーク７を介して相互に通信可能に接続される。かかるネットワーク７には、有線または無線を問わず、インターネット（Internet）、ＬＡＮ（Local Area Network）やＶＰＮ（Virtual Private Network）などの任意の種類の通信網を採用できる。

このうち、拠点サーバ３０は、物流業務を担う業者が保有する倉庫や事業所等の拠点３に配設される物流業務用のサーバ装置である。拠点サーバ３０の一例としては、当該拠点３における物流業務の電子データを管理するＥＲＰ（Enterprise Resource Planning）サーバなどを採用できる。なお、本実施例では、拠点３Ａ〜３Ｃが生産部門および販売部門を擁する組織の物流部門として東京、北海道、大阪などの都道府県のエリア別に設けられる場合を想定して以下の説明を行うが、拠点３は生産業者や販売業者とは独立した物流業者であってもよい。

かかる拠点サーバ３０は、物流業務に関する電子データを物流ＫＰＩサーバ１０へアップロードする。このとき、拠点サーバ３０は、物流業務に関する電子データをリアルタイムでアップロードすることとしてもよいし、また、バッチ処理でアップロードすることとしてもかまわない。これら拠点サーバ３０及び物流ＫＰＩサーバ１０の間では、物流業界においてＥＤＩ（Electronic Data Interchange）を実装する場合に標準のフォーマットとして用いられるＪＴＲＮ（Japan transport）に準拠する形式で電子データが授受される。例えば、拠点サーバ３０から物流ＫＰＩサーバ１０へアップロードされる物流業務に関する電子データの一例としては、後述する出庫報告情報、在庫報告情報や倉庫料金支払明細情報などが挙げられる。

物流ＫＰＩサーバ１０は、物流ＫＰＩを本社端末５０へ提供するサーバ装置である。例えば、物流ＫＰＩサーバ１０は、組織が有する物流センタや拠点３のいずれかにおいてＷｅｂサーバとして実装することとしてもよいし、また、物流ＫＰＩサービスをアウトソーシングにより提供するクラウドとして実装することもできる。

かかる物流ＫＰＩサーバ１０は、組織に所属する所属員に絞って物流ＫＰＩサービスを解放する。例えば、物流ＫＰＩサーバ１０は、本社端末５０からアカウント名やパスワードなどのログインの認証情報の入力を受け付ける。そして、物流ＫＰＩサーバ１０は、本社端末５０から受け付けたログインの認証情報を用いて、本社端末５０の利用者をログイン認証する。この結果、物流ＫＰＩサーバ１０は、ログイン認証に成功した場合には、本社端末５０の利用者が所属員であると認証し、物流ＫＰＩサービスを解放する。このとき、物流ＫＰＩサーバ１０は、組織の所属員が有する権限にしたがって物流ＫＰＩサービスの一部または全部を解放する。

本社端末５０は、拠点３Ａ〜３Ｃを統括するヘッドクオーターである本社５の所属員によって使用される端末装置である。かかる本社端末５０の一例としては、パーソナルコンピュータを始めとする固定端末の他、携帯電話機、ＰＨＳやＰＤＡなどの移動体端末も採用できる。例えば、本社端末５０は、本社５の所属員、例えば物流部門の担当者等によって利用される。なお、ここでは、本社５の所属員に本社端末５０を通じて物流ＫＰＩサービスを提供する場合を想定するが、各拠点３の所属員、例えば拠点３の管理者やそれに準ずる関係者が使用する拠点端末を通じて物流ＫＰＩサービスを提供することとしてもかまわない。この場合には、拠点３の管理者や関係者に各々の拠点３に関係する物流ＫＰＩに絞って閲覧させることもできる。

［物流ＫＰＩ］
ここで、本実施例に係る物流ＫＰＩサーバ１０が提供する物流ＫＰＩについて説明する。本実施例に係る物流ＫＰＩサーバ１０は、物流コストの内訳として輸送コスト、作業コストや保管コストなどのあらゆる物流ＫＰＩを算出することができるが、とりわけ保管コストを改善するポイントを見つけ出すのに有用な物流ＫＰＩの算出に優れている。

すなわち、保管コストを製品別や倉庫別に提供する場合には、製品を倉庫に保管するのにどれだけのコストがかかるのかを総量として把握することはできる。ところが、現状の保管コストがどのような要因によって発生するに至ったのかという原因究明は物流部門の担当者に委ねられている。このため、物流部門の担当者は、自らの手で保管コストよりも詳細な明細等を閲覧する作業を試行錯誤することによって原因究明を行っていた。

そこで、本実施例に係る物流ＫＰＩサーバ１０は、物流部門の担当者による原因究明の作業を支援するために、廃棄コストと売上高もしくは廃棄コストと在庫高を用いて導出される「廃棄損」という物流ＫＰＩを提供する。かかる「廃棄損」は、商品として販売された製品の金額または商品として販売される予定の在庫の金額に対してどの程度の金額が販売部門や販売業者等の販売店へ納品されずに損益となったのかを表す指標である。

このような「廃棄損」を物流ＫＰＩとして提供することによって、商品として販売される在庫の製品だけが保管されるのが好ましい倉庫において納品先へ納入できない廃棄品がどの程度保管されてしまっているかを物流部門等の担当者に把握させることができる。したがって、物流部門等の担当者は、保管コストの改善ポイント、言い換えればボトルネックが倉庫料金そのものにあるのか、それとも物流品質の悪化が保管コストに影響しているのかを判断できる。

さらに、上記の廃棄コストは、従来では廃棄伝票に記入された製品の品目や個数が目視および計算されることによって把握されていたが、製品の品質を損ねたことによって納品先へ納品されなかった金額を損益として計上するのが好ましいことに発明者は気づいた。

そして、発明者らは、製品の品質を損ねるといっても、そこには複数の要因があるという知見を得た。まず、発明者らは、入庫、出庫や輸送などの作業時に製品が破損や汚損される作業事故が製品の品質を低下させる要因であることに気づいた。さらに、発明者らは、製品が在庫として保管される期間が長期化することによって消費期限や賞味期限を途過する結果、鮮度が損なわれるという在庫管理のまずさも製品の品質を低下させている要因であることにも気づいた。

このうち、作業事故は、物流品質の悪化が直接的な原因と考えられる。その一方で、在庫管理のまずさは、そもそも生産部門の需要予測があまく、安全在庫数が過大に設定されることによって製品が在庫として保管される期間が長期化する場合もあり、一概に、物流品質の悪化が直接的な原因ではないことに発明者らは気づいた。

このことから、作業事故または在庫管理のまずさのいずれの要因を改善すべきかを検討しやすくするためには、保管コストを構成するコスト項目に関連する物流ＫＰＩとして、廃棄理由の内訳を有する廃棄損を提供するのが有用であることを発明者らは見出した。

［物流ＫＰＩサーバ１０の構成］
続いて、本実施例に係る物流ＫＰＩサーバ１０の機能的構成について説明する。図２は、実施例１に係る物流ＫＰＩサーバ１０の機能的構成を示すブロック図である。図２に示すように、物流ＫＰＩサーバ１０は、通信Ｉ／Ｆ（interface）部１１と、記憶部１３と、制御部１５とを有する。なお、物流ＫＰＩサーバ１０は、図２に示した機能部以外にも既知のサーバ装置が有する各種の機能部、例えば各種の入力デバイスや音声出力デバイスなどの機能部を有することとしてもかまわない。

通信Ｉ／Ｆ部１１は、他の装置、例えば拠点サーバ３０Ａ〜３０Ｃや本社端末５０との間で通信制御を行うインタフェースである。かかる通信Ｉ／Ｆ部１１の一態様としては、ＬＡＮカードなどのネットワークインタフェースカードを採用できる。例えば、通信Ｉ／Ｆ部１１は、拠点サーバ３０から物流業務に関する電子データを受信したり、また、物流ＫＰＩサーバ１０が算出した物流ＫＰＩを本社端末５０へ送信したりする。

記憶部１３は、制御部１５で実行されるＯＳ（Operating System）、拠点サーバ３０との間で物流業務に関する電子データの交換を行う基盤ソフトや物流ＫＰＩを提供する指標提供プログラムなどの各種プログラムを記憶する記憶デバイスである。記憶部１３の一態様としては、フラッシュメモリなどの半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスクなどの記憶装置が挙げられる。なお、記憶部１３は、上記の種類の記憶装置に限定されるものではなく、ＲＡＭ（Random Access Memory)、ＲＯＭ（Read Only Memory)であってもよい。

記憶部１３は、制御部１５で実行されるプログラムに用いられるデータの一例として、出庫データ１３ａと、在庫データ１３ｂと、保管データ１３ｃとを記憶する。なお、上記の出庫データ１３ａ、在庫データ１３ｂ及び保管データ１３ｃ以外にも、他の物流業務に関する電子データ、例えば入庫や運送などのデータも併せて記憶することもできる。

このうち、出庫データ１３ａは、出庫に関する各種のデータである。ここで言う「出庫」とは、拠点３の倉庫から製品を出す行為全般を指し、例えば、販売店への製品の納入を目的とする通常の出庫、製品を倉庫に保管したままで名義を変更する名変出庫や製品の廃棄を目的とする廃棄出庫などが含まれる。

一例として、出庫データ１３ａは、拠点サーバ３０からアップロードされる物流業務に関する電子データのうち出庫報告情報が後述の基盤ソフト実行部１６によって登録される。他の一例として、出庫データ１３ａは、物流ＫＰＩとして廃棄損を算出するにあたって廃棄コストや売上高を集計するために、後述の集計部１７ｂによって参照される。

かかる出庫データ１３ａの一態様としては、出荷依頼番号、明細番号、組織コード、出荷日、出荷依頼種別コード、受注者コード、個数、販売単価、棚卸資産廃棄コストや理由コードなどの項目が対応付けられたデータを採用できる。

これらの項目のうち「出荷依頼番号」は、各々の出荷伝票や廃棄伝票を識別する番号を指す。このうち、出荷伝票には、複数品目の製品に関する出荷作業が含まれる場合がある。かかる出荷作業を製品の品目別に区別するために、出荷伝票には、出荷依頼番号の枝番として機能する「明細番号」が付与される。このため、製品の品目ごとに出荷伝票が発行される場合には、必ずしも明細番号の項目を設ける必要はない。また、「組織コード」は、出荷作業が行われる倉庫の管轄である拠点３を識別するコードを指す。また、「出荷日」は、出荷作業が行われる日付を指す。

また、「出荷依頼種別コード」は、出荷伝票の依頼種別を識別するコードを指す。例えば、出荷依頼種別コードが「01」である場合には出庫を表し、出荷依頼種別コードが「02」である場合には名変出庫を表し、また、出荷依頼種別コードが「03」である場合には廃棄出庫を表す。また、「受注者品名コード」は、製品の納入先である販売店で商品を識別するために使用されるコードを指す。また、「個数」は、出庫される製品の数を指す。なお、製品がバラ、箱詰めやパレットなどのように複数の荷姿で取り扱われる場合には、荷姿を示す荷姿単位コードやその荷姿に梱包される製品の数を示す入り数などの項目をさらに設けることもできる。また、「販売単価」は、製品が販売される場合の単価を指し、上代とも呼ばれる。また、「棚卸資産廃棄コスト」は、棚卸資産である在庫を産業廃棄物として処理するのに消費されるコストを指し、例えば、在庫の原価を始め、廃棄されるまでにかかる倉庫の保管料や廃棄の消却にかかる費用などを計上することができる。なお、以下では、棚卸資産廃棄コストのことを略して「廃棄コスト」と記載する場合がある。

また、「理由コード」は、棚卸資産を廃棄する廃棄理由を識別するコードを指し、例えば、理由コードが「01」である場合には事故を理由に廃棄されたことを指す。ここで、以下では、入庫、出庫や輸送の作業時において製品が破損、変形または汚損されるケースをまとめて事故として区分する場合を例示するが、さらに事故を細分化した破損、変形や汚損の区分ごとに個別の理由コードを付与することとしてもかまわない。また、理由コードが「02」である場合には鮮度落ちを理由に廃棄されたことを指す。かかる鮮度落ちとは、製品の消費期限や賞味期限を過ぎたことを指す。ここで、以下では、食品の物流に適用する場合に想定される在庫管理のまずさとして鮮度落ちを例示するが、開示の装置の適用範囲は食品業界の物流に限定されない。例えば、開示の装置を食品業界以外の物流に適用する場合には、型落ちや死に筋を理由に理由コードを割り当てることができる。なお、理由コードは、ＪＴＲＮには用意されていない独自の項目であり、物流ＫＰＩを導出するためにカスタマイズされたものである。

図３は、出庫データ１３ａの一例を示す図である。図３の例では、２０１２年１月４日に拠点サーバ３０Ａ及び３０Ｂからアップロードされた出庫データの一部を例示している。図３に示す各レコードのうち上から１番目、２番目および４番目のレコードは、出荷依頼種別コードが「01」であるので、これらはともに製品が納品先へ出荷された通常の出荷伝票であることがわかる。このうち、上から１番目と２番目のレコードは、両者ともに出荷依頼番号が「D001」であるので、同一の出荷伝票に関する出庫データであることを表す。このうち、明細番号が「1」である上から１番目のレコードは、販売単価が２００円である受注者品名コード「S001」の製品が納品先へ１０個出庫されたことを示す。一方、明細番号が「2」である上から２番目のレコードは、販売単価が１００円である受注者品名コード「S003」の製品が納品先へ５個出庫されたことを示す。また、上から４番目のレコードは、販売単価が２００円である受注者品名コード「S001」の製品が納品先へ５個出庫されたことを示す。

一方、図３に示す３番目のレコードは、出荷依頼種別コードが「03」であるので、在庫である製品が廃棄された廃棄伝票であることがわかる。かかる３番目のレコードは、受注者品名コード「S002」の商品を３つ廃棄するのに１５０円のコストが必要であったことを示す。さらに、３番目のレコードは、理由コードが「01」であるので、入庫、出庫または輸送の作業時において製品が破損、変形または汚損する事故があったことを併せて示す。

なお、図３の例では、売上高の導出に用いる出庫日としての出荷日、販売単価及び個数などを含むレコード、すなわち、売上情報に関するレコードや、廃棄のための出荷日および廃棄コスト、すなわち廃棄情報に関するレコードがともに出庫データ１３ａとして統合管理される場合を例示したが、必ずしも両者をまとめて管理する必要はない。すなわち、開示の装置は、売上高の導出に用いる販売単価及び個数、並びに、廃棄コストを個別のデータとして分散管理することもできる。

在庫データ１３ｂは、在庫情報、すなわち、在庫に関する各種のデータである。一例として、在庫データ１３ｂは、拠点サーバ３０からアップロードされる物流業務に関する電子データのうち在庫報告情報が後述の基盤ソフト実行部１６によって登録される。他の一例として、在庫データ１３ｂは、物流ＫＰＩとして廃棄損を算出するにあたって在庫高を集計するために、後述の集計部１７ｂによって参照される。

かかる在庫データ１３ｂの一態様としては、在庫報告番号、在庫報告日、組織コード、受注者品名コード、在庫金額及び在庫個数などの項目が対応付けられたデータを採用できる。ここで言う「在庫報告番号」とは、各々の在庫報告を識別する番号を指す。また、「在庫報告日」とは、在庫報告がなされた日付を指す。また、「在庫金額」とは、在庫として倉庫にある製品の金額（総額）を指す。また、「在庫個数」とは、在庫として倉庫にある製品の個数を指す。なお、ここでは、在庫報告日を棚卸日と同定する場合を例示したが、在庫報告日と棚卸日の間にタイムラグがある場合には、在庫報告日の代わりに拠点３で在庫が棚卸された棚卸日を用いることもできる。

図４は、在庫データ１３ｂの一例を示す図である。図４の例では、２０１２年１月４日と２０１２年１月８日に拠点サーバ３０Ａからアップロードされた在庫データの一部を例示している。図４に示す在庫報告番号「L001」の在庫報告の例では、受注者品名コード「S001」の製品の在庫が３０個あり、その在庫金額が６０００円であることを示す。以下、在庫報告番号「L002」、「L003」、「L00k」、「L00m」及び「L00n」の在庫報告についても、受注者品名コード、在庫金額及び在庫個数の値を置き換えれば意味合いは同様となる。

保管データ１３ｃは、保管に関する各種のデータである。一例として、保管データ１３ｃは、拠点サーバ３０からアップロードされる物流業務に関する電子データのうち倉庫料金支払明細情報が後述の基盤ソフト実行部１６によって登録される。他の一例として、保管データ１３ｃは、物流ＫＰＩとして提供される廃棄損と合わせて保管コストを出力するために、後述の算出部１７ｃによって参照される。

かかる保管データ１３ｃの一態様としては、請求番号、請求年月、組織コード、受注者品種コード及び保管料金額などの項目が対応付けられたデータを採用できる。ここで言う「請求番号」とは、倉庫料金の支払いが請求された請求書を識別する番号を指す。また、「請求年月」とは、倉庫料金の支払いが請求された年月を指す。また、「保管料金額」とは、倉庫の保管料の金額を指す。また、「受注者品種コード」とは、一定の共通性を持つ受注者品名コードをシリーズにまとめたグループのコードを指し、受注者品名コードが常温食品、冷蔵食品や冷凍食品等の任意の粒度で分類される。例えば、受注者品種コードが「Ａ」である場合には、常温食品を表し、受注者品種コードが「Ｂ」である場合には、冷蔵食品を表す。

図５は、保管データ１３ｃの一例を示す図である。図５の例では、拠点３Ａへの２０１２年１２月分の請求書に関する保管データの一部を例示している。図５に示す上から１番目のレコードは、受注者品種コードが「Ａ」である常温食品の保管料金額が８０００円であることを示す。さらに、図５に示す上から２番目のレコードは、受注者品種コードが「Ｂ」である冷蔵食品の保管料金額が７０００円であることを示す。なお、ここでは、倉庫料金が月次で請求される場合を想定しているが、一定の期間、例えば日、週、半月、半期や年度ごとに請求されることとしてもかまわない。

制御部１５は、各種の処理手順を規定したプログラムや制御データを格納するための内部メモリを有し、これらによって種々の処理を実行する。制御部１５は、図２に示すように、基盤ソフト実行部１６と、指標提供部１７とを有する。

このうち、基盤ソフト実行部１６は、拠点サーバ３０との間で物流業務に関する電子データの交換を行う基盤ソフトウェアを実行する処理部である。一態様としては、基盤ソフト実行部１６は、拠点サーバ３０から出庫報告情報がアップロードされた場合には、当該出庫報告情報を出庫データ１３ａとして記憶部１３へ登録する。他の一態様としては、基盤ソフト実行部１６は、拠点サーバ３０から在庫報告情報がアップロードされた場合には、当該在庫報告情報を在庫データ１３ｂとして記憶部１３へ登録する。更なる一態様としては、基盤ソフト実行部１６は、拠点サーバ３０から倉庫料金支払明細情報がアップロードされた場合には、当該倉庫料金支払明細情報を保管データ１３ｃとして記憶部１３へ登録する。

これら出庫報告情報、在庫報告情報及び倉庫料金支払明細情報のアップロードの契機は、基盤ソフト実行部１６が任意のタイミングに設定できる。一例として、基盤ソフト実行部１６は、拠点サーバ３０に出庫報告情報及び在庫報告情報を日次のバッチ処理でアップロードさせる一方で、倉庫料金支払明細情報を月次のバッチ処理でアップロードさせることができる。他の一例として、基盤ソフト実行部１６は、拠点サーバ３０で出庫報告情報、在庫報告情報及び倉庫料金支払明細情報が更新される度にリアルタイムでアップロードさせることもできる。

指標提供部１７は、物流ＫＰＩを本社端末５０等へ提供する指標提供プログラムを実行する処理部である。指標提供部１７は、図２に示すように、アクセス制御部１７ａと、集計部１７ｂと、算出部１７ｃと、出力部１７ｄとを有する。

このうち、アクセス制御部１７ａは、本社端末５０等からのアクセスを制御する処理部である。一態様としては、アクセス制御部１７ａは、本社端末５０からアカウント名及びパスワードを含むログイン要求を受け付けた場合に、アカウント名及びパスワードが予め登録された正当なものであるか否かを判定する。これによって、アクセス制御部１７ａは、本社端末５０の利用者が組織の所属員であるか否かをログイン認証する。そして、アクセス制御部１７ａは、本社端末５０の利用者が所属員であると認証した場合、すなわちログイン認証に成功した場合に、物流ＫＰＩサービスを解放する。このとき、物流ＫＰＩサーバ１０は、組織の所属員が有する権限にしたがって物流ＫＰＩサービスの一部または全部を解放する。なお、ログイン認証に失敗した場合には、リトライを促すことによってアカウント名及びパスワードを再度入力させたり、また、ログイン認証に失敗した本社端末５０による物流ＫＰＩサーバ１０へのアクセスを禁止したりする。

集計部１７ｂは、出庫データ１３ａ及び在庫データ１３ｂを用いて、所定期間内における廃棄コストの集計、売上高の集計および在庫金額の集計を実行する処理部である。

すなわち、集計部１７ｂは、集計時にキーとして用いる項目の切り口、例えば期間、組織や製品の粒度が設定された切り口設定にしたがって集計を実行する。ここで、以下では、期間、組織および製品の切り口が「月次」、「拠点３Ａ」及び「全製品」に設定されている状況下で集計が実行される場合を想定するが、切り口設定は本社端末５０の使用者が有する権限の範囲で任意に設定できる。例えば、期間の切り口を「日次」や「半期」へ変更したり、組織の切り口を「全拠点」や「拠点別」へ変更したり、製品の切り口を「品目」や「品種」へ変更したりすることができる。なお、切り口設定は、過去の切り口の選択履歴から自動的に設定することもできる。

一態様としては、集計部１７ｂは、本社端末５０のログイン認証が成功すると、記憶部１３に記憶された出庫データ１３ａのうち、所定期間、例えば月の初日からログインに成功した日付までの期間に含まれる出荷日を持つ出庫データ１３ａを読み出す。このとき、集計部１７ｂは、組織の切り口が「拠点３Ａ」に設定されているので、拠点３Ａに対応する拠点サーバ３０Ａ以外の組織コードの値を持つ出庫データ１３ａは読み出さない。さらに、集計部１７ｂは、製品の切り口が「全製品」に設定されているので、受注者品名コードがどのような値であっても出荷日および組織コードが切り口設定の条件を満たす出庫データ１３ａを全て読み出す。

そして、集計部１７ｂは、出庫データ１３ａに含まれる出荷依頼種別コードが「廃棄出庫」であるか否かを判定する。このとき、集計部１７ｂは、出荷依頼種別コードが「廃棄出庫」でない場合、例えば出庫や名変出庫である場合には、出庫データ１３ａに含まれる販売単価および個数を乗算することによって売上高を算出する。その上で、集計部１７ｂは、今回算出した売上高を前回までに累積加算されていた売上高の集計値に累積加算する。一方、集計部１７ｂは、出荷依頼種別コードが「廃棄出庫」である場合には、次のような処理を実行する。すなわち、集計部１７ｂは、出庫データ１３ａに含まれる廃棄コストの値を前回までに理由コード別に廃棄コストが累積加算されていた集計値のうち同一の理由コードを持つ集計値に累積加算する。つまり、集計部１７ｂは、廃棄理由が「事故」である廃棄コストは事故の廃棄コストが累積加算されていた集計値に累積加算し、また、廃棄理由が「鮮度落ち」である廃棄コストは鮮度落ちの廃棄コストが累積加算されていた集計値に累積加算する。そして、集計部１７ｂは、記憶部１３から読み出した全ての出庫データ１３ａについて集計が終了まで廃棄コストの集計または売上高の集計を繰り返し実行する。

他の一態様としては、集計部１７ｂは、記憶部１３に記憶された在庫データ１３ｂのうち、所定期間、例えば月の初日からログインに成功した日付までの期間に含まれる在庫報告日を持つ在庫データ１３ｂを読み出す。このとき、集計部１７ｂは、組織の切り口が「拠点３Ａ」に設定されているので、拠点３Ａに対応する拠点サーバ３０Ａ以外の組織コードの値を持つ在庫データ１３ｂは読み出さない。さらに、集計部１７ｂは、製品の切り口が「全製品」に設定されているので、受注者品名コードがどのような値であっても在庫報告日および組織コードが切り口設定の条件を満たす在庫データ１３ｂを全て読み出す。その上で、集計部１７ｂは、記憶部１３から読み出した在庫データ１３ｂに含まれる在庫金額を集計する。

算出部１７ｃは、物流ＫＰＩを算出する処理部である。一態様としては、算出部１７ｃは、集計部１７ｂによる集計結果を用いて、廃棄損を算出する。これを説明すると、算出部１７ｃは、売上高の集計値に対する廃棄コストの集計値の割合、すなわち「廃棄コストの集計値／売上高の集計値」を理由コード別に計算することによって売上高ベースの廃棄損を廃棄理由別に算出する。以下では、売上高ベースの廃棄損のことを「売上高ベース廃棄損」と記載する場合がある。その上で、算出部１７ｃは、先に廃棄理由別に算出された売上高ベース廃棄損を合算することによってトータルの売上高ベース廃棄損を算出する。また、算出部１７ｃは、在庫金額の集計値に対する廃棄コストの集計値の割合、すなわち「廃棄コストの集計値／在庫金額の集計値」を理由コード別に計算することによって在庫金額ベースの廃棄損を廃棄理由別に算出する。以下では、在庫金額ベースの廃棄損のことを「在庫金額ベース廃棄損」と記載する場合がある。その上で、算出部１７ｃは、先に廃棄理由別に算出された在庫金額ベース廃棄損を合算することによってトータルの在庫金額ベース廃棄損を算出する。

このようにして算出された廃棄理由別の売上高ベース廃棄損、廃棄理由別の在庫金額ベース廃棄損、トータルの売上高ベース廃棄損及びトータルの在庫金額ベース廃棄損は、後の表示に備えて図示しない内部メモリに保存される。

この他、算出部１７ｃは、物流コストやその内訳を構成するコスト、例えば輸送コスト、作業コストや保管コストについても算出することができる。ここでは、一例として、算出部１７ｃが保管データ１３ｃを用いて保管コストを算出する態様について例示する。これを説明すると、算出部１７ｃは、ログインに成功した日付を含む請求年月を持つ保管データ１３ｃが記憶部１３に登録されているか否かを判定する。そして、算出部１７ｃは、ログインに成功した日付を含む請求年月を持つ保管データ１３ｃが登録されていれば、当該請求年月を持つ保管データ１３ｃを記憶部１３から読み出す。一方、算出部１７ｃは、ログインに成功した日付を含む請求年月を持つ出庫データ１３ａが登録されていなければ、その前月の請求年月を持つ保管データ１３ｃを読み出す。このとき、集計部１７ｂは、組織の切り口が「拠点３Ａ」に設定されているので、拠点３Ａに対応する拠点サーバ３０Ａ以外の組織コードの値を持つ保管データ１３ｃは読み出さない。さらに、集計部１７ｂは、製品の切り口が「全製品」に設定されているので、受注者品種コードがどのような値であっても出荷日および組織コードが切り口設定の条件を満たす出庫データ１３ａを全て読み出す。その後、算出部１７ｃは、先に読み出した各保管データ１３ｃに含まれる保管料金額を集計することによって保管コストを算出する。

出力部１７ｄは、算出部１７ｃによる算出結果を本社端末５０等へ出力する処理部である。一態様としては、出力部１７ｄは、切り口設定に定められた組織の粒度に関する保管コスト、トータルの売上高ベース廃棄損及びトータルの売上高ベース廃棄損を含むダッシュボード画面を生成した上で本社端末５０へ出力する。このとき、出力部１７ｄは、保管コストや廃棄損の他にも、物流コストやその内訳を構成する輸送コストや作業コストなどを含めてダッシュボート画面を生成することもできる。その後、出力部１７ｄは、ダッシュボード画面を出力後に本社端末５０から廃棄損の切り口に対するドリルダウンを受け付けた場合に、次のような処理を実行する。すなわち、出力部１７ｄは、図示しない内部メモリに記憶された廃棄理由別の売上高ベース廃棄損、廃棄理由別の在庫金額ベース廃棄損及び廃棄理由別の廃棄コストを含むドリルダウン画面を生成した上で本社端末５０へ出力する。

なお、制御部１５には、各種の集積回路や電子回路を採用できる。また、制御部１５が有する機能部の一部を別の集積回路や電子回路とすることもできる。例えば、集積回路としては、ＡＳＩＣ（Application Specific Integrated Circuit）が挙げられる。また、電子回路としては、ＣＰＵ（Central Processing Unit）やＭＰＵ（Micro Processing Unit）などが挙げられる。

［具体例］
ここで、図６〜図８を用いて、物流ＫＰＩの提供方法の具体例について説明する。図６は、集計結果の一例を示す図である。図７は、ダッシュボード画面の一例を示す図である。図８は、ドリルダウン画面の一例を示す図である。図６の例では、ダッシュボード画面における期間、組織および製品の切り口が「月次」、「拠点３Ａ」及び「全製品」に設定されている状況下で集計が実行されたものとする。図７及び図８に示す「東京支店」は、拠点３Ａの組織名であるものとする。なお、ここでは、各物流ＫＰＩを百分率（％）で表す場合を説明するが、除算値そのもので表すこととしてもよいし、分数や比で表すこととしてもかまわない。

例えば、売上高の集計値、在庫金額の集計値及び廃棄理由別の廃棄コストの集計値として図６に示す集計結果が得られた場合には、算出部１７ｃによって理由コード別に「廃棄コストの集計値／売上高の集計値」が計算される。図６に示す例で言えば、廃棄理由が事故である廃棄コストの集計値「14000」を売上高の集計値「300000」で除算した上で百分率に換算する。これによって廃棄理由が事故である売上高ベース廃棄損「4.7％」が算出される。さらに、廃棄理由が鮮度落ちである廃棄コストの集計値「2000」を売上高の集計値「300000」で除算した上で百分率に換算する。これによって廃棄理由が鮮度落ちである売上高ベース廃棄損「0.7％」が算出される。その上で、事故および鮮度落ちの廃棄理由別に算出された売上高ベース廃棄損を合算することによってトータルの売上高ベース廃棄損「5.3％」を算出する。なお、ここでは、小数点第二位以下を四捨五入して廃棄損を求める場合を例示している。

さらに、理由コード別に「廃棄コストの集計値／在庫金額の集計値」が計算される。図６に示す例で言えば、廃棄理由が事故である廃棄コストの集計値「14000」を在庫金額の集計値「200000」で除算した上で百分率に換算する。これによって廃棄理由が事故である在庫金額ベース廃棄損「7.0％」が算出される。さらに、廃棄理由が鮮度落ちである廃棄コストの集計値「2000」を在庫金額の集計値「200000」で除算した上で百分率に換算する。これによって廃棄理由が鮮度落ちである在庫金額ベース廃棄損「1.0％」が算出される。その上で、事故および鮮度落ちの廃棄理由別に算出された在庫金額ベース廃棄損を合算することによってトータルの売上高ベース廃棄損「8.0％」を算出する。なお、ここでも、小数点第二位以下を四捨五入して廃棄損を求める場合を例示している。

このように廃棄損が算出された上で、出力部１７ｄによって保管コストおよび廃棄理由別の廃棄損を含む図７に示すダッシュボード画面２００が生成された上で本社端末５０等へ表示される。図７に示すように、ダッシュボード画面２００には、拠点３Ａに対応する東京支店の保管コスト「70000」、廃棄理由が事故であるトータルの在庫金額ベース廃棄損「8.0％」及び廃棄理由が鮮度落ちであるトータルの売上高ベース廃棄損「5.3％」が表示される。かかるダッシュボード画面２００には、保管コストや廃棄損の他にも、物流コストやその内訳を構成する輸送コストや作業コストなどを含めることもできる。

図７に示すダッシュボード画面２００によれば、在庫金額ベースおよび売上高ベースの両方とも廃棄損が５％を超えている。これを閲覧する物流部門の担当者は、保管コストが高くなっている理由の一因として、廃棄される製品が倉庫に在庫として保管されてしまっているからであることがわかる。また、廃棄損が保管コストと合わせて表示されるので、保管コストの多寡が妥当なものであるかを併せて判断することもできる。さらに、物流部門の担当者は、切り口が廃棄損に設定された状態でドリルダウンボタン２００Ａを押下することによって廃棄理由別の廃棄損を閲覧することができる。

なお、図７の例では、組織の切り口が拠点３Ａに対応する「東京支店」に設定されている場合を例示したが、組織の切り口設定が「拠点別」に設定し直された上で検索ボタン２００Ｂが押下された場合には、次のような表示を行うこともできる。すなわち、拠点３Ｂに対応する北海道支店及び拠点３Ｃに対応する大阪支店の保管コストおよび廃棄損を含むダッシュボード画面２００を本社端末５０に表示させることもできる。この場合には、東京支店、北海度支店及び大阪支店の間で保管コストを相対的に比較できるように、各々の支店の保管コストを製品の重量で除算することによって算出された重量の単位あたりの保管コストを表示させることもできる。

図７に示すドリルダウンボタン２００Ａが押下された場合には、廃棄理由別の売上高ベース廃棄損、廃棄理由別の在庫金額ベース廃棄損及び廃棄理由別の廃棄コストを含む図８に示すドリルダウン画面２１０を生成した上で本社端末５０等へ表示される。図８に示すように、ドリルダウン画面２１０には、拠点３Ａに対応する東京支店について、廃棄理由が事故である在庫金額ベース廃棄損「7.0％」及び売上高ベース廃棄損「4.7％」が表示される。さらに、ドリルダウン画面２１０には、廃棄理由が鮮度落ちである在庫金額ベース廃棄損「1.0％」及び売上高ベース廃棄損「0.7％」が表示される。さらに、ドリルダウン画面２１０には、廃棄理由が事故である廃棄コスト「14000」及び廃棄理由が鮮度落ちである廃棄コスト「2000」が表示される。

図８に示すドリルダウン画面２１０によれば、鮮度落ちよりも事故の廃棄損の方が７倍程度高い。これを閲覧する物流部門の担当者は、作業事故または在庫管理のまずさのうち作業事故を削減すれば保管コストが良化すると予想することができる。かかる廃棄理由別の廃棄損を物流ＫＰＩとして提供することによって、事故防止のマニュアルや注意喚起を拠点３Ａの人員に行うことができるので、拠点３Ａの保管コストの改善に資することが可能になる。また、図８に示すドリルダウン画面２１０の例では、鮮度落ちよりも事故の廃棄損の方が高い場合を例示したが、事故よりも鮮度落ちの廃棄損の方が高い場合には、次のようなモニタリングも可能となる。すなわち、物流部門の担当者は、生産部門や販売部門の需要予測があまく、安全在庫数が過大に設定されることによって製品が在庫として保管される期間が長期化したと原因分析することもできる。このため、生産部門や販売部門に対し、生販の会議等で在庫の見積りを少なめに設定するように要請することができるので、鮮度落ちの廃棄の減少を見込める結果、拠点３Ａの保管コストの改善に資することが可能になる。なお、物流部門の担当者は、ドリルアップボタン２１０Ａを押下することによってダッシュボード画面２００へ戻ることができる。

なお、図７及び図８の例では、期間の切り口がログイン日である「1月」に設定されている場合を例示したが、期間の切り口設定が「半期」に設定し直された上で検索ボタン２００Ｂまたは２１０Ｂが押下された場合には、次のような表示を行うこともできる。例えば、期間の切り口設定が「半期」に設定し直された場合には、ログイン日を含む上半期または下半期の６ヶ月分の物流ＫＰＩを表示させることもできる。また、図７及び図８の例では、保管コストや廃棄損の実績値だけを表示させる場合を例示したが、保管コストや廃棄損の目標値が設定されている場合には、目標値を合わせて表示したり、実績値を目標値で除算した割合を示す達成率を表示させたりすることもできる。

また、図７および図８の例では、在庫金額ベースおよび売上高ベースの両方の廃棄損を表示させる場合を例示したが、必ずしも両方の廃棄損を表示させる必要はなく、いずれか一方の廃棄損だけを表示させることとしてもよい。

［処理の流れ］
次に、本実施例に係る物流ＫＰＩサーバの処理の流れについて説明する。図９は、実施例１に係る指標提供処理の手順を示すフローチャートである。この指標提供処理は、本社端末５０のログイン認証が成功した場合に処理が起動される。

図９に示すように、集計部１７ｂは、記憶部１３に記憶された出庫データ１３ａのうち、所定期間、例えば月の初日からログインに成功した日付までの期間に含まれる出荷日を持つ出庫データ１３ａを読み出す（ステップＳ１０１）。

そして、集計部１７ｂは、出庫データ１３ａに含まれる出荷依頼種別コードが「廃棄出庫」であるか否かを判定する（ステップＳ１０２）。このとき、出荷依頼種別コードが「廃棄出庫」でない場合、例えば出庫や名変出庫である場合（ステップＳ１０２否定）には、集計部１７ｂは、出庫データ１３ａに含まれる販売単価および個数を乗算することによって売上高を算出する（ステップＳ１０３）。その上で、集計部１７ｂは、今回算出した売上高を前回までに累積加算されていた売上高の集計値に累積加算する（ステップＳ１０４）。

一方、出荷依頼種別コードが「廃棄出庫」である場合（ステップＳ１０２肯定）には、集計部１７ｂは、次のような処理を実行する。すなわち、集計部１７ｂは、出庫データ１３ａに含まれる廃棄コストの値を前回までに理由コード別に廃棄コストが累積加算されていた集計値のうち同一の理由コードを持つ集計値に累積加算する（ステップＳ１０５）。

そして、記憶部１３から読み出した全ての出庫データ１３ａについて集計が終了まで（ステップＳ１０６否定）、上記のステップＳ１０２〜ステップＳ１０５の処理を繰り返し実行する。

その後、記憶部１３から読み出した全ての出庫データ１３ａについて集計が終了した場合（ステップＳ１０６肯定）、集計部１７ｂは、次のような処理を実行する。すなわち、集計部１７ｂは、記憶部１３に記憶された在庫データ１３ｂのうち、所定期間、例えば月の初日からログインに成功した日付までの期間に含まれる在庫報告日を持つ在庫データ１３ｂを読み出す（ステップＳ１０７）。その上で、集計部１７ｂは、記憶部１３から読み出した在庫データ１３ｂに含まれる在庫金額を集計する（ステップＳ１０８）。

そして、算出部１７ｃは、集計部１７ｂによる集計結果を用いて、廃棄理由別の売上高ベース廃棄損、廃棄理由別の在庫金額ベース廃棄損、トータルの売上高ベース廃棄損及びトータルの在庫金額ベース廃棄損を算出する（ステップＳ１０９）。さらに、算出部１７ｃは、保管データ１３ｃを用いて保管コストを算出する（ステップＳ１１０）。

続いて、出力部１７ｄは、切り口設定に定められた組織の粒度に関する保管コスト、トータルの売上高ベース廃棄損及びトータルの売上高ベース廃棄損を含むダッシュボード画面を生成した上で本社端末５０へ出力する（ステップＳ１１１）。

その後、本社端末５０から廃棄損の切り口に対するドリルダウンを受け付けた場合（ステップＳ１１２肯定）には、出力部１７ｄは、次のような処理を実行する。すなわち、出力部１７ｄは、図示しない内部メモリに記憶された廃棄理由別の売上高ベース廃棄損、廃棄理由別の在庫金額ベース廃棄損及び廃棄理由別の廃棄コストを含むドリルダウン画面を生成した上で本社端末５０へ出力する（ステップＳ１１３）。

また、ドリルダウン画面でドリルアップを受け付けた場合（ステップＳ１１４肯定）には、出力部１７ｄは、ダッシュボード画面を改めて本社端末５０へ出力する（ステップＳ１１１）。

その後、ステップＳ１１１〜ステップＳ１１４の処理は、ダッシュボード画面もしくはドリルダウン画面の表示を終了する操作が行われるまで繰り返し実行される。

なお、図９に示すフローチャートのステップＳ１０３〜Ｓ１０４と、ステップＳ１０５と、ステップＳ１０７〜Ｓ１０８との処理は、必ずしも同一のフローで実行される必要はなく、また、順序の後先も自由に選択して実行することができる。

［実施例１の効果］
上述してきたように、本実施例に係る物流ＫＰＩサーバ１０は、所定期間内の廃棄コストの集計値を分子に含み、かつ所定期間内の売上高または在庫高の集計値を分母に含めて廃棄損を算出した上で物流ＫＰＩとして出力する。このため、本実施例に係る物流ＫＰＩサーバ１０では、商品として販売される在庫の製品だけが保管されるのが好ましい倉庫において納品先へ納入できない廃棄品がどの程度保管されてしまっているかを物流部門等の担当者に把握させることができる。それゆえ、物流部門等の担当者は、保管コストの改善ポイントが倉庫料金そのものにあるのか、それとも物流品質の悪化が保管コストに影響しているのかを判断できる。したがって、本実施例に係る物流ＫＰＩサーバ１０によれば、保管コストの改善に有用な指標を提供することが可能である。

さらに、本実施例に係る物流ＫＰＩサーバ１０は、廃棄理由別に売上高ベース廃棄損または在庫金額ベース廃棄損を算出し、これら廃棄理由別の売上高ベース廃棄損または在庫金額ベース廃棄損を本社端末５０へ出力する。このため、本実施例に係る物流ＫＰＩサーバ１０では、作業事故または在庫管理のまずさのいずれの要因を改善すべきかを検討しやすくさせることができる。それゆえ、本実施例に係る物流ＫＰＩサーバ１０によれば、保管コストの改善にさらに有用な指標を提供することが可能である。

さて、これまで開示の装置に関する実施例について説明したが、本発明は上述した実施例以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。そこで、以下では、本発明に含まれる他の実施例を説明する。

［分散および統合］
また、図示した各装置の各構成要素は、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。例えば、基盤ソフト実行部１６または指標提供部１７を物流ＫＰＩサーバ１０の外部装置としてネットワーク経由で接続するようにしてもよい。また、指標提供部１７が有する機能部の一部を物流ＫＰＩサーバ１０の外部装置としてネットワーク経由で接続するようにしてもよい。また、出庫データ１３ａ、在庫データ１３ｂまたは保管データ１３ｃの全部または一部をデータベースサーバとして別の装置が記憶する構成を採用することもできる。この場合には、データベースサーバとネットワーク接続されて協働することで、上記の物流ＫＰＩサーバ１０の機能を実現するようにしてもかまわない。

［指標提供プログラム］
また、上記の実施例で説明した各種の処理は、予め用意されたプログラムをパーソナルコンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することによって実現することができる。そこで、以下では、図１０を用いて、上記の実施例と同様の機能を有する指標提供プログラムを実行するコンピュータの一例について説明する。

図１０は、実施例１及び実施例２に係る指標提供プログラムを実行するコンピュータの一例について説明するための図である。図１０に示すように、コンピュータ１００は、操作部１１０ａと、スピーカ１１０ｂと、カメラ１１０ｃと、ディスプレイ１２０と、通信部１３０とを有する。さらに、このコンピュータ１００は、ＣＰＵ１５０と、ＲＯＭ１６０と、ＨＤＤ１７０と、ＲＡＭ１８０とを有する。これら１１０〜１８０の各部はバス１４０を介して接続される。

ＨＤＤ１７０には、図１０に示すように、上記の実施例１で示した指標提供部１７と同様の機能を発揮する指標提供プログラム１７０ａが予め記憶される。この指標提供プログラム１７０ａについては、図２に示した各々の指標提供部の各構成要素と同様、適宜統合又は分離しても良い。すなわち、ＨＤＤ１７０に格納される各データは、常に全てのデータがＨＤＤ１７０に格納される必要はなく、処理に必要なデータのみがＨＤＤ１７０に格納されれば良い。

そして、ＣＰＵ１５０が、指標提供プログラム１７０ａをＨＤＤ１７０から読み出してＲＡＭ１８０に展開する。これによって、図１０に示すように、指標提供プログラム１７０ａは、指標提供プロセス１８０ａとして機能する。この指標提供プロセス１８０ａは、ＨＤＤ１７０から読み出した各種データを適宜ＲＡＭ１８０上の自身に割り当てられた領域に展開し、この展開した各種データに基づいて各種処理を実行する。なお、指標提供プロセス１８０ａは、図２に示した指標提供部１７にて実行される処理、例えば図９に示す処理を含む。また、ＣＰＵ１５０上で仮想的に実現される各処理部は、常に全ての処理部がＣＰＵ１５０上で動作する必要はなく、処理に必要な処理部のみが仮想的に実現されれば良い。

なお、上記の指標提供プログラム１７０ａについては、必ずしも最初からＨＤＤ１７０やＲＯＭ１６０に記憶させておく必要はない。例えば、コンピュータ１００に挿入されるフレキシブルディスク、いわゆるＦＤ、ＣＤ−ＲＯＭ、ＤＶＤディスク、光磁気ディスク、ＩＣカードなどの「可搬用の物理媒体」に各プログラムを記憶させる。そして、コンピュータ１００がこれらの可搬用の物理媒体から各プログラムを取得して実行するようにしてもよい。また、公衆回線、インターネット、ＬＡＮ、ＷＡＮなどを介してコンピュータ１００に接続される他のコンピュータまたはサーバ装置などに各プログラムを記憶させておき、コンピュータ１００がこれらから各プログラムを取得して実行するようにしてもよい。

１ 物流ＫＰＩシステム
３Ａ，３Ｂ，３Ｃ 拠点
５ 本社
７ ネットワーク
１０ 物流ＫＰＩサーバ
１１ 通信Ｉ／Ｆ部
１３ 記憶部
１３ａ 出庫データ
１３ｂ 在庫データ
１３ｃ 保管データ
１５ 制御部
１６ 基盤ソフト実行部
１７ 指標提供部
１７ａ アクセス制御部
１７ｂ 集計部
１７ｃ 算出部
１７ｄ 出力部
３０Ａ，３０Ｂ，３０Ｃ 拠点サーバ
５０ 本社端末

Claims (7)

1. コンピュータが、
   製品が出庫された出庫日および前記製品の売上高が対応付けられた売上情報または製品の棚卸日及び前記製品の棚卸によって得られた在庫高が対応付けられた在庫情報を用いて、所定期間内における売上高または在庫高を集計し、
   製品が廃棄された廃棄日、前記製品の廃棄コストおよび前記製品が廃棄される理由を示す廃棄理由が対応付けられた廃棄情報を用いて、前記所定期間内における廃棄コストを前記廃棄情報に含まれる廃棄理由別に集計し、
   前記廃棄理由別の廃棄コストの集計値を用いて、前記廃棄コストの集計値を分子に含み、かつ前記売上高または在庫高の集計値を分母に含めて廃棄に関する指標を前記廃棄情報に含まれる廃棄理由別に算出し、
   前記廃棄理由別の廃棄に関する指標を出力する
   処理を実行することを特徴とする指標提供方法。
2. 前記指標を出力する処理として、
   前記製品の保管コストとともに前記廃棄理由別の廃棄に関する指標を出力することを特徴とする請求項１に記載の指標提供方法。
3. 前記廃棄情報は、前記製品が廃棄される理由を示す廃棄理由が当該製品の入庫、出庫または輸送に関する作業にあるのか、もしくは当該製品の在庫期間にあるのかを示す廃棄理由をさらに含み、
   前記廃棄コストを集計する処理として、
   前記廃棄情報に含まれる、前記製品の入庫、出庫または輸送に関する作業もしくは前記製品の在庫期間のいずれかの廃棄理由別に前記所定期間内における廃棄コストを集計し、
   前記指標を算出する処理として、
   前記製品の入庫、出庫または輸送に関する作業もしくは前記製品の在庫期間のいずれかの廃棄理由別の廃棄コストの集計値を用いて前記廃棄に関する指標を前記廃棄理由別に算出し、
   前記指標を出力する処理として、
   前記廃棄理由別の廃棄に関する指標を出力する処理を実行することを特徴とする請求項１または２に記載の指標提供方法。
4. 製品が出庫された出庫日および前記製品の売上高が対応付けられた売上情報または製品の棚卸日及び前記製品の棚卸によって得られた在庫高が対応付けられた在庫情報のいずれかを記憶する記憶部と、
   製品が廃棄された廃棄日、前記製品の廃棄コストおよび前記製品が廃棄される理由を示す廃棄理由が対応付けられた廃棄情報を記憶する廃棄情報記憶部と、
   前記記憶部に記憶された売上情報の出庫日または在庫情報の在庫計上日が所定期間に該当する売上高または在庫高を集計するとともに、前記廃棄情報記憶部に記憶された廃棄情報の廃棄日が前記所定期間に該当する廃棄コストを前記廃棄情報に含まれる廃棄理由別に集計する集計部と、
   前記廃棄理由別の廃棄コストの集計値を用いて、前記廃棄コストの集計値を分子に含み、かつ前記売上高または在庫高の集計値を分母に含めて廃棄に関する指標を前記廃棄情報に含まれる廃棄理由別に算出する算出部と、
   前記廃棄理由別の廃棄に関する指標を出力する出力部と
   を有することを特徴とする指標提供装置。
5. コンピュータに、
   製品が出庫された出庫日および前記製品の売上高が対応付けられた売上情報または製品の棚卸日及び前記製品の棚卸によって得られた在庫高が対応付けられた在庫情報を用いて、所定期間内における売上高または在庫高を集計し、
   製品が廃棄された廃棄日、前記製品の廃棄コストおよび前記製品が廃棄される理由を示す廃棄理由が対応付けられた廃棄情報を用いて、前記所定期間内における廃棄コストを前記廃棄情報に含まれる廃棄理由別に集計し、
   前記廃棄理由別の廃棄コストの集計値を用いて、前記廃棄コストの集計値を分子に含み、かつ前記売上高または在庫高の集計値を分母に含めて廃棄に関する指標を前記廃棄情報に含まれる廃棄理由別に算出し、
   前記廃棄理由別の廃棄に関する指標を出力する
   処理を実行させることを特徴とする指標提供プログラム。
6. 製品の価格と在庫数とに基づく製品の在庫高情報と廃棄理由毎の製品の廃棄にかかる廃棄コスト情報とが記憶された記憶部を参照し、製品の在庫高に対する廃棄コストの割合と前記廃棄理由毎の製品の在庫高に対する廃棄コストの割合とを算出し、
   前記製品の在庫高に対する廃棄コストの割合が表示されている状態で、表示切り替えの操作がなされると、前記廃棄理由毎の製品の在庫高に対する廃棄コストの割合を出力する、
   処理をコンピュータが実行することを特徴とする指標提供方法。
7. 製品の価格と販売数とに基づく製品の売上高情報と廃棄理由毎の製品の廃棄にかかる廃棄コスト情報とが記憶された記憶部を参照し、製品の売上高に対する廃棄コストの割合と前記廃棄理由毎の製品の売上高に対する廃棄コストの割合とを算出し、
   前記製品の売上高に対する廃棄コストの割合が表示されている状態で、表示切り替えの操作がなされると、前記廃棄理由毎の製品の売上高に対する廃棄コストの割合を出力する、
   処理をコンピュータが実行することを特徴とする指標提供方法。

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