<構成>以下、この実施例の構成について説明する。
図1(図2)は、この実施例にかかるプリンタ1などの画像形成装置または印字装置の全体斜視図である。
まず、方向について規定すると、プリンタ1を水平面の上に設置した状態で、プリンタ1に向かって手前側と奥側とを通る水平な方向がプリンタ1の前後方向X、前後方向Xと垂直な水平方向がプリンタ1の幅方向Y、前後方向Xおよび幅方向Yと垂直な方向が上下方向Zとなっている。
プリンタ1は、前後方向Xの手前側(前側)に位置する前面1aおよび奥側(後側)に位置する後面1bと、幅方向Yの両側に位置する左右の側面1c,1dと、上下方向Zの上側に位置する上面1eおよび下側に位置する下面1fとを有するほぼ箱形状をしている。この実施例では、プリンタ1は、前後方向Xの中間部分に段差部分1gを有することで、前側が大きく、後側が小さい形状になっているが、プリンタ1の形状はこれに限るものではない。
プリンタ1の前面1aには、用紙2(図2)の排出口3が設けられており、上面1eには用紙2などを確認するための覗き窓4が設けられている。排出口3は、前面1aの(上下方向Zおよび幅方向Yの)ほぼ中央部に設けられている。前面1aの排出口3を避けた下部側方の位置には、操作スイッチ5や表示ランプ6などが設けられている。覗き窓4は上面1eの(前後方向Xのおよび幅方向Yの)ほぼ中央部(の段差部分1gよりも前側)の位置などに設けられている。
図2に示すように、箱形状をしたプリンタ1は、下側のプリンタ本体7と、上側のカバー8とに分割(上下分割)されている。そして、プリンタ本体7に対してカバー8が開閉可能に取付けられている。プリンタ本体7とカバー8とは、後面1b側の部分が、(幅方向Yへ延びるヒンジ軸を有する)ヒンジ部9を介して、上下方向Zおよび前後方向Xへ回動可能に連結されている。これにより、カバー8はプリンタ本体7に対して後側へ向けて上開きされるようになっている。
プリンタ1は、カバー8を上へ開くことにより、プリンタ本体7の内部に用紙2をセットできるようになっている。用紙2は、長尺のものをロール状に巻いたロール紙とされている。
プリンタ本体7の内部の奥側(後側)には、ロール紙を収容設置する収容部11(用紙収容部)が設けられている。ロール紙は、収容部11へ直接収容して外周面を収容部11に支持された状態、または、中心部に芯棒を通して芯棒によって中心部を収容部11に支持された状態で、収容部11に用紙2を繰り出し可能な方向に回転できるようにセットされる。ロール紙は、その軸線方向をプリンタ1の幅方向Yへ向けた状態で収容部11に横向きにセットされる。これにより、用紙2の幅方向Yとプリンタ1の幅方向Yとが一致される。収容部11には、幅寸法の異なる複数種類のロール紙がセットできるようになっている。この実施例では、用紙2は、ロール紙の下部から前側へ引き出されるようになっている。
ロール紙から前側へ引出された用紙2は、搬送経路12(または給紙経路)を通してプリンタ1の前面1aに設けられた排出口3からプリンタ1の外部へと排出されるようになっている。搬送経路12は、収容部11と排出口3との間に形成される。
更に、プリンタ1には、用紙検出装置13(図3、図4)が設けられる。用紙検出装置13は、用紙2を検出する装置である。この実施例では、用紙検出装置13は、収容部11と排出口3との間の搬送経路12の途中の位置などに設けられている。
上記のような基本的な構成に対し、この実施例では、以下のような構成を備えることができる。
(1)図3(図4)に示すように、用紙検出装置13は、用紙2を検出するセンサー14(図では設置位置のみ示している)を保持したセンサー保持部材15と、
センサー保持部材15の移動を案内するガイド部材16と、を備えている。
センサー保持部材15は、ガイド部材16に沿ったセンサー保持部材15の移動を、摩擦力によって固定した状態と固定を解除した状態とのどちらかに切替える固定状態切替機構17(図5、図6)を有している。
ここで、センサー保持部材15は、センサー14を保持する部材であり、樹脂製の移動部材とされる。ガイド部材16は、センサー保持部材15を案内する部材であり、金属製の固定部材とされる。センサー保持部材15とガイド部材16とによって、センサー14を移動させるセンサー移動機構が構成される。
この実施例では、ガイド部材16は、プリンタ1の幅方向Yへ延びるものとされており、センサー保持部材15は、ガイド部材16の長手方向に沿ってプリンタ1の幅方向Yへ移動可能に設置されている。よって、ガイド部材16およびセンサー保持部材15の長手方向は、プリンタ1の幅方向Yとなり、ガイド部材16およびセンサー保持部材15の幅方向は、プリンタ1の前後方向Xとなっている。なお、ガイド部材16は、必ずしもプリンタ1の幅方向Yに延設するものには限らないが、以下、ガイド部材16は、プリンタ1の幅方向Yに延設されているものとして説明する。
プリンタ1の幅方向Yへ延びるガイド部材16は、長尺部材とされて、図2に示すように、搬送経路12を跨ぐようにプリンタ本体7の左右の側面1c,1dの内面間に架設される。この際、特に図示しないが、ガイド部材16は、その一側部を、プリンタ本体7の幅方向Yの一側部に対し、(前後方向Xへ延びるヒンジ軸を有する)ヒンジ部18を介して上下方向Zおよび幅方向Yへ回動可能に連結されることで、プリンタ本体7の一側部を中心として他側部を上下に起倒可能とされている。これにより、用紙検出装置13を横へ持ち上げて退避させることができ、この状態で用紙2を用紙検出装置13の下側へ通すことが可能になる。また、ガイド部材16の他側部には、ガイド部材16をプリンタ本体7の幅方向Yの他側部に保持させるための保持部19が取付けられている。
図3(または図5、図6)に示すように、ガイド部材16は、プリンタ1の幅方向Yに対してほぼ均一な断面形状を有している。ガイド部材16の断面は、搬送経路12を上流側(プリンタ1の後側)から下流側(プリンタ1の前側)へ向けて搬送される用紙2の面とほぼ平行な平坦面部16aによって主に構成されている。そして、平坦面部16aの後側の縁部(後縁部)には、平坦面部16aの後縁部から上に屈曲されて上方へ延びる縦面部16bと、縦面部16bの上端部分から前に屈曲されて前方へ延びる横面部16cとが一体に形成されている。また、平坦面部16aの前縁部には、平坦面部16aの前縁部から上に屈曲されて上方へ延びる縦面部16dと、縦面部16dの上端部分から前に屈曲されて前方へ延びる横面部16eとが一体に形成されている。この実施例では、平坦面部16aと後縁部の縦面部16bとの間の屈曲部分は、平坦面部16aと前縁部の縦面部16dとの間の屈曲部分よりも大きなアール形状に形成されている。
一方、センサー保持部材15は、ガイド部材16の長さよりも短く、ガイド部材16のほぼ半分程度の長さでガイド部材16の長手方向へ延びる比較的長尺の部材とされている。センサー保持部材15は、ガイド部材16に対して、上から覆い被せた状態で取付けられるような断面形状を有している。センサー保持部材15は、その外形部分が、ガイド部材16の長手方向に対して後述する突出部26を除きほぼ一定の断面形状を有している。
センサー保持部材15の外形部分は、ガイド部材16の平坦面部16aに対し所要の間隔を有して上下に対向する上面部15aと、上面部15aの後縁部から下に屈曲されて下方へ延びる後面部15bと、上面部15aの前縁部から下に屈曲されて下方へ延びる前面部15cとを一体に有する断面形状とされている。
図4(c)に示すように、ガイド部材16にセンサー保持部材15を取付けた状態では、センサー保持部材15の後面部15bは、ガイド部材16の後縁部の縦面部16bよりも後側に位置され、センサー保持部材15の前面部15cは、ガイド部材16の前縁部の横面部16eよりも前側に位置される。そして、センサー保持部材15の後面部15bは、ガイド部材16の後縁部の縦面部16bと上下方向Zに重なり、センサー保持部材15の前面部15cは、ガイド部材16の前縁部の縦面部16dと上下方向Zに重なる。
この実施例では、センサー保持部材15の後面部15bは、ガイド部材16の後縁部の横面部16cと平坦面部16aとの間の位置(後縁部の横面部16cよりも若干低い位置)まで延ばされている。また、センサー保持部材15の前面部15cは、ガイド部材16の平坦面部16aにほぼ達する位置まで延ばされている。
そして、センサー保持部材15の内部には、センサー保持部材15をガイド部材16に対して上下方向Zに係止させるための前後の係止爪21a,21bが設けられている。前後の係止爪21a,21bは、ガイド部材16における前縁部の横面部16eおよび後縁部の横面部16cに対して下側から上下方向Zに係止される。
前側の係止爪21aは、センサー保持部材15の前面部15cの内面下部から後方へ向けて突設される。後側の係止爪21bは、センサー保持部材15の内部に設けられた補強リブ22の側面下部から後方へ向けて突設される。補強リブ22は、センサー保持部材15の内部に適宜設けられている。
また、センサー保持部材15の内部には、ガイド部材16における前縁部の横面部16eおよび後縁部の横面部16cに対して上側から上下方向Zに係止されるリブ23なども設けられている。そして、係止爪21a,21bやリブ23を設けて、横面部16eおよび横面部16cを上下に挟むようにしたことにより、センサー保持部材15は、ガイド部材16に対して、ガイド部材16の端部から横方向に装着されるものとなる。
更に、この実施例では、センサー保持部材15の上面部15aは、ガイド部材16の平坦面部16aとほぼ平行な後側の後部平面部15dと、後部平面部15dの前側から前方へ向けて下り勾配に傾斜する前部傾斜部15eとを有するものとされている。後部平面部15dと前部傾斜部15eとの境界部は、ガイド部材16の前縁部の縦面部16dよりも若干後側の位置となっている。
前部傾斜部15eを設けたことに伴い、ガイド部材16の前縁部の縦面部16dを、後縁部の縦面部16bよりも低くして、両者を高さ違いに形成している。また、前縁部の横面部16eを、後縁部の横面部16cよりも若干短くして、両者を長さ違いに形成している。これらにより、ガイド部材16の後縁部および前縁部を、センサー保持部材15の前部傾斜部15eおよび後部平面部15dの形状に合った形状にしている。
そして、図3に示すように、センサー保持部材15は、表面に指掛部24と、位置指標25とを備えている。指掛部24は、センサー保持部材15を手動操作でガイド部材16の長手方向へ移動させる際に、操作者の指が引掛かるようにした凹凸部分(滑り止め)であり、例えば、主にプリンタ1の前後方向Xへ延びる平行な複数本の低い突条などによって構成されている。平行な複数本の突条は、それぞれが上面部15aや後面部15bや前面部15cの表面に、互いに幅方向Yへ僅かな間隔を有して形成される。
位置指標25は、例えば、用紙2の端部の位置を指すための図形となっており、この実施例では、細長いほぼ直角三角形状のマークなどとされている。ほぼ直角三角形状の位置指標25は、尖った先端が用紙2の搬送経路12の下流側(前側)へ向くように形成されている。
位置指標25は、センサー保持部材15の長手方向の一側部の位置から搬送経路12の前側へ向けて部分的に突出された突出部26の上面部分などに設けられている。この実施例では、突出部26の上面部分は、前部傾斜部15eを部分的に前側へ延長した、連続する傾斜面となっており、位置指標25は、この傾斜面の上に形成されている。なお、上記した指掛部24は、センサー保持部材15の突出部26に近い一側寄りの位置に集中的に形成されている。
そして、センサー14は、突出部26の内部(に設けられたセンサー収容部27(図4(c)))に収容設置される。位置指標25の尖った先端は、用紙2の端部を指すと共に、センサー14およびセンサー収容部27の位置をも示すものとなっている。このようにセンサー14を、センサー保持部材15から突出された突出部26の内部に設置することで、ガイド部材16に妨げられることなく用紙2を検出できるようになる。
固定状態切替機構17は、摩擦力を利用して、または、摩擦力(のみ)を使って、センサー保持部材15をガイド部材16の任意の位置に強く固定させる摩擦固定機構である。また、固定状態切替機構17は、ガイド部材16に対してセンサー保持部材15を固定した状態にしたり、固定を解除した状態にしたりできるように切替える切替機構である。固定状態切替機構17の詳細については、後述する。
(2)図5(図6)に示すように、固定状態切替機構17は、
ガイド部材16に圧接される(ことで摩擦力による固定を行わせる)圧接部材31と、
圧接部材31をガイド部材16へ向けて押圧付勢する第一付勢部材32と、
第一付勢部材32による圧接部材31のガイド部材16に対する圧接力の付与・解除を切替可能な切替部材33と、を有するものとしても良い。
ここで、圧接部材31は、ガイド部材16(の平坦面部16a)に直接圧接される部材である。圧接部材31は、ガイド部材16に圧接されることで、センサー保持部材15に対して不用意に作用される外力、または、通常の操作力よりも強い力では、センサー保持部材15が容易に動かされない程度の強い摩擦力を発生させるものである。圧接部材31は、所要の肉厚を有するほぼシート状の部材とされる。
圧接部材31に対しては、裏当金具35(裏当部材)を上から当てる(裏当てする)ことで形状保持を行わせるようにするのが好ましい。裏当金具35は、圧接部材31を上から押す押面35aと、押面35aの側部から上方へ立ち上がる少なくとも一対の側壁部35bとを有するU字断面の部材とされている。押面35aは、圧接部材31とほぼ同じ平面形状およびほぼ同じ大きさに形成される。この実施例では、圧接部材31および押面35aの平面形状は、ガイド部材16またはセンサー保持部材15の長手方向へ延びる細長のほぼ矩形状とされている。一対の側壁部35bは、例えば、裏当金具35の長辺、この実施例では、センサー保持部材15またはガイド部材16の幅方向、あるいは、プリンタ1の前後方向Xに位置する辺に設けるのが好ましい。
第一付勢部材32は、圧接部材31を上側から強く押圧して(押圧力を付与して)、センサー保持部材15の固定ができる程度の摩擦力を圧接部材31とガイド部材16との間に発生させるものである。第一付勢部材32は、切替部材33と圧接部材31(の裏当金具35)との間に介在される。第一付勢部材32には、例えば、コイルバネやその他の弾性体を用いることができる。第一付勢部材32は、ガイド部材16の平坦面部16aや圧接部材31に対してほぼ面直な方向に押圧力を作用させるように設置される。第一付勢部材32をコイルバネやその他の弾性体にした場合には、その軸線をガイド部材16の平坦面部16aや圧接部材31に対してほぼ面直な方向へ向けた状態で設置される。第一付勢部材32には、裏当金具35や圧接部材31の面の一部を押圧する大きさのものが使われる。そのため、第一付勢部材32は、単数または複数設けることができるが、この実施例では、単数とされて、圧接部材31の長辺方向のほぼ中央となる位置に設置されている。
なお、固定状態切替機構17による固定力は、圧接部材31の摩擦係数や面積、第一付勢部材32の押圧力などによって設定される。
切替部材33は、圧接部材31のガイド部材16に対する圧接力の付与・解除を選択操作するための操作部品である。切替部材33によって、ガイド部材16に対する圧接力の付与・解除のどちらか一方が選択される。切替部材33は、センサー保持部材15の下面側に設置される。切替部材33は、圧接部材31の長辺方向に対して、圧接部材31の長辺とほぼ同じ長さか、それよりも短い長さを有する部材とされる。
図7(図8)に示すように、切替部材33の下面側には、第一付勢部材32を保持するバネ保持部36が設けられる。バネ保持部36は、例えば、第一付勢部材32を構成するコイルバネの上部の内部へ差し込んでコイルバネの上部を内周側から保持する筒状体または棒状体(内周保持部)などとされる。バネ保持部36(内周保持部)は裏当金具35(の押面35a)に到達しない長さに形成される。第一付勢部材32は、バネ保持部36に保持されることで、切替部材33と一緒に(例えば、切替部材33の横移動方向およびガイド部材16に対する近接離反動方向などへ)移動されるようになって、ガイド部材16に圧接部材31を介して押圧力を付与できるようになる。
この際、バネ保持部36の外周面には、僅かに下細りとなるテーパ部を形成して、楔嵌めによってコイルバネの上部をきつく保持できるようにしても良い。これにより、コイルバネの上部が切替部材33に固定された状態になると共に、コイルバネの下部が自由端となる。
また、切替部材33の下面には、バネ保持部36の両側に、バネ保持部36から切替部材33の長辺方向に離した状態で、下方へ延びる一対の転倒防止脚部37が突設されている。一対の転倒防止脚部37は、バネ保持部36よりも若干長く、且つ、裏当金具35には当接しない程度の、互いにほぼ等しい長さに形成されている。転倒防止脚部37は、圧接部材31がガイド部材16に圧接した状態で、裏当金具35(の押面35a)に僅かに到達しない程度の長さに設定される。そして、切替部材33が僅かに傾いた場合に、転倒防止脚部37の先端が裏当金具35(の押面35a)に接触することで、切替部材33の傾きを防止するようになっている。転倒防止脚部37は、十字リブなどとされている。
そして、センサー保持部材15(の上面部15a)の下面には、切替部材33、第一付勢部材32、裏当金具35、切替部材33を内部に収容保持するガイド筒部38が設けられる。ガイド筒部38は、センサー保持部材15(の上面部15a)の下面からガイド部材16へ向けて、ガイド部材16に僅かに達しない長さで下方へ延びるリブによって構成される。ガイド筒部38の先端部(下端部)は開口されており、この開口はガイド部材16の平坦面部16aに臨んでいる。この実施例では、ガイド筒部38は、転倒防止脚部37よりも長く、ガイド部材16の平坦面部16aとの間に、圧接部材31の肉厚の半分程度の隙間ができる程度の長さとされている。これにより、圧接部材31をガイド筒部38の内部に安定した状態で収容して、ガイド筒部38からの圧接部材31のハミ出しを防止できるようになる。
ガイド筒部38は、圧接部材31の平面形状(ほぼ矩形状)とほぼ同じ平面形状で、圧接部材31とほぼ同じ大きさ(圧接部材31を上下移動できるように嵌合可能な大きさ)で、同じ向きに向いたものとされている。この実施例では、ガイド筒部38は、4つの側壁を有するほぼ矩形断面のものとされている。裏当金具35の両側壁部35bは、ガイド筒部38の内面に沿って上下方向Zに案内される。
切替部材33は、第一付勢部材32を自然長の状態(非圧縮の状態、図8(a))にすることで、ガイド部材16に対する圧接部材31の圧接力を解除し、第一付勢部材32を自然長よりも短く圧縮すること(図8(b))で、ガイド部材16に対して圧接部材31による圧接力を付与させるものとなる。
(3)図4(図5)に示すように、センサー保持部材15は、ガイド部材16に沿ったセンサー保持部材15の移動に対して、摺動抵抗を常時発生させる摺動抵抗発生機構41を有しても良い。
摺動抵抗発生機構41は、
ガイド部材16に摺接され(て摺動抵抗を発生させ)る摺接部材42と、
摺接部材42をガイド部材16へ向けて押圧付勢する第二付勢部材43とを有するものとしても良い。
ここで、摺動抵抗発生機構41は、ガイド部材16に対してセンサー保持部材15を手で動かした時に、摺動抵抗を発生させる機構である。
摺接部材42は、ガイド部材16(の平坦面部16a)に直接摺接される部材である。摺接部材42は、ガイド部材16に摺接されることで、センサー保持部材15を手動操作で動かした時に、摺接部材42とガイド部材16との間に、適度な手応えが感じられる程度の摺動抵抗を発生させるものとされる。摺接部材42は、所要の肉厚を有するほぼシート状の部材とされる。摺接部材42の平面形状は、正方形または正方形に近いほぼ矩形状とされている。
第二付勢部材43は、摺接部材42を押圧して(押圧力を付与して)、摺接部材42とガイド部材16との間に適度な摺動抵抗を発生させるものである。第二付勢部材43は、センサー保持部材15と摺接部材42との間に介在される。第二付勢部材43には、例えば、コイルばねやその他の弾性体を用いることができる。第二付勢部材43は、ガイド部材16の平坦面部16aや摺接部材42に対してほぼ面直な方向に押圧力を発生させるように設置される。第二付勢部材43をコイルバネやその他の弾性体にした場合には、その軸線をガイド部材16の平坦面部16aや摺接部材42に対してほぼ面直な方向へ向けた状態で設置される。第二付勢部材43は、単数または複数設けることができるが、この実施例では、単数とされている。
なお、摺動抵抗発生機構41による摺動抵抗は、摺接部材42の摩擦係数や面積、第二付勢部材43の押圧力などによって設定される。
そして、図8に示すように、センサー保持部材15の下面には、第二付勢部材43と摺接部材42とを内部に収容保持する別のガイド筒部44が設けられる。別のガイド筒部44は、センサー保持部材15(の上面部15a)の下面からガイド部材16へ向けて、ガイド部材16に僅かに達しない長さで下方へ延びるリブによって構成される。別のガイド筒部44の先端部(下端部)は開口されており、この開口はガイド部材16の平坦面部16aに臨んでいる。この実施例では、別のガイド筒部44は、転倒防止脚部37よりも長く、ガイド部材16の平坦面部16aとの間に、摺接部材42の肉厚の半分程度の隙間ができる程度の長さ、または、ガイド筒部38とほぼ同じ長さとされている。これにより、摺接部材42を別のガイド筒部44の内部に安定した状態で収容して、別のガイド筒部44からの摺接部材42のハミ出しを防止できるようになる。
別のガイド筒部44は、摺接部材42の平面形状(ほぼ矩形状)とほぼ同じ平面形状で、摺接部材42とほぼ同じ大きさ(摺接部材42を上下移動できるように嵌合可能な大きさ)で、同じ向きに向いたのものとされている。この実施例では、別のガイド筒部44は、4つの側壁を有するほぼ矩形断面のものとされている。なお、摺接部材42の縁部には、裏当金具35の両側壁部35bと同様の側壁部を設けて、別のガイド筒部44の内面に沿って上下方向Zに案内されるようにしても良い。
別のガイド筒部44の内部には、第二付勢部材43の外周部を保持可能なバネ保持リブ45を設けても良い。バネ保持リブ45は、別のガイド筒部44の内方へ向けて突設されると共に、別のガイド筒部44の各面の内側に上下方向Zへ延びるように設けられている。バネ保持リブ45は、摺接部材42の位置に到達しない程度の長さに形成される。
バネ保持リブ45の内方への突出量は、第二付勢部材43の外周部にほぼ接触する程度とされる。バネ保持リブ45を設けることによって、第二付勢部材43の上部がセンサー保持部材15に安定して保持された状態または固定された状態になると共に、少なくとも第二付勢部材43の下部が自由端となる。なお、バネ保持リブ45の下端側には、上狭まり形状の導入テーパ部を形成しても良い。また、別のガイド筒部44の内部には、バネ保持リブ45に替えて、または、バネ保持リブ45に加えて、上記したバネ保持部36と同様の棒状または筒状をしたバネ保持部を設けても良い。
そして、第二付勢部材43は、自然長よりも短い圧縮状態に撓めた状態で別のガイド筒部44に収容される(圧縮バネ)。第二付勢部材43は、ガイド筒部44に収容されることなどにより、センサー保持部材15と一緒にガイド部材16の長手方向へ移動されるようになり、摺接部材42を介してガイド部材16に押圧力を常時付与できるようになる。
なお、この実施例では、摺動抵抗発生機構41の別のガイド筒部44と、固定状態切替機構17のガイド筒部38とは、一つの側壁(隔壁)を共用した状態で(ガイド部材16の長手方向に)隣接形成されている。また、摺動抵抗発生機構41の別のガイド筒部44と、固定状態切替機構17のガイド筒部38は、共用された側壁と直交する側壁が、互いに面一な状態で(ガイド部材16の長手方向に)連続されている(図6)。
この実施例では、固定状態切替機構17がセンサー14寄りの位置に設置され、摺動抵抗発生機構41が固定状態切替機構17よりもセンサー14から(ガイド部材16の長手方向に)遠い位置に設置されている。
そして、圧接部材31は、摺接部材42よりも大きな面積となるように形成されている(図5)。これにより、圧接部材31は、より小さい押圧力(弱い弾性力)を付与するだけで、より大きな摩擦力が得られるようになる。なお、摺接部材42は、必要最低限の摺動抵抗を発生できれば良いので、面積や押圧力を小さくしても特に支障なく機能させることができる。これにより、第一付勢部材32および第二付勢部材43の弾性力が適正化されるため、樹脂製のセンサー保持部材15は、第一付勢部材32および第二付勢部材43の弾性力に耐えられる強度を確保するのが容易になる。
また、圧接部材31および摺接部材42は、ガイド部材16の幅方向(プリンタ1の前後方向X)の寸法(幅寸法)を異ならせても良いが、この実施例のように同じにしても良い。
(4)摺動抵抗発生機構41の摺接部材42と、固定状態切替機構17の圧接部材31とは、摩擦抵抗の異なる素材で構成されても良い。
ここで、摩擦抵抗の異なる素材とは、摺接部材42と、圧接部材31とを、それぞれ別の素材で構成することである。摺接部材42には、最適な摺動抵抗を発生させるために、比較的摩擦係数の小さな素材が使用される。また、圧接部材31には、大きな摩擦力を発生させるために、比較的摩擦係数の大きな素材が使用される。これにより、摺接部材42は圧接部材31よりも発生する摩擦力が小さくなり、また、圧接部材31は摺接部材42よりも発生する摩擦力が大きくなる。
例えば、摺接部材42に、圧接部材31に適した素材を使用すると、摩擦力が大きくなって摺接部材42がスムーズに摺動しなくなるので、好ましくない状態になる。また、圧接部材31に、摺接部材42に適した素材を使用すると、圧接部材31は、発生する摩擦力が不足してセンサー保持部材15を十分に固定できなくなるので、好ましくない状態になる。よって、摺接部材42と圧接部材31とを同じ素材で構成したり、摺接部材42と圧接部材31とを共用化したりするのには困難が伴う。
そのため、摺接部材42と圧接部材31とは、異なる素材によってそれぞれ別々に構成するのが好ましく、摺接部材42には、スムーズな摺動状態が得られる程度の比較的小さな摩擦係数を有する素材を使用するのが適している。更に、摺接部材42には、摩耗が少ない素材や、摺動音の発生が少ない素材を使用するのが適している。
これに対し、圧接部材31には、十分な固定状態が得られる程度の比較的大きな摩擦係数を有する素材を使用するのが適している。更に、圧接部材31には、固定・解除の繰り返しによるヘタリの少ない素材を使用するのが適している。
(5)圧接部材31は、摺接部材42よりも相対的な摩擦係数が大きな素材で構成されても良い。
例えば、摺接部材42は、低摩擦部材で構成されても良い。
また、圧接部材31は、弾性変形可能な高摩擦部材で構成されても良い。
ここで、低摩擦部材および高摩擦部材は、相対的なものであり、少なくとも低摩擦部材は高摩擦部材よりも摩擦係数が低いもの、高摩擦部材は低摩擦部材よりも摩擦係数が高いものとされる。
摺接部材42は、低摩擦部材を用いることで、上記したスムーズな摺動状態を得ることができる。低摩擦部材は、ガイド部材16に摺接された状態で摺動に耐えると共に形状保持ができる程度の硬さを有するのが好ましい。低摩擦部材は、単体で所要の硬さを有するのが好ましいが、他の部材との複合化によって所要の硬さにしてから使用するようにしても良い。この際、上記したように、低摩擦部材(摺接部材42)は高摩擦部材(圧接部材31)よりも摩擦係数が小さいものを用いるようにする。
具体的には、摺接部材42には、POM(ポリオキシメチレン)を用いるのが好ましいが、その他にも、例えば、PC(ポリカーボネート)や、ナイロンや、ABS(アクリルニトリル プタジエン スチレン)や、PS(ポリスチレン)や、ポリアミドや、ポリエチレンや、上記をはじめとするプラスチック類などの比較的硬質の部材を用いることができる。なお、摺接部材42には、裏当材などと複合化することで、フエルトや、不織布や、コルクなどのプラスチック類以外の素材を用いることも可能になる。
圧接部材31は、弾性変形可能な高摩擦部材を用いることで、上記した十分な固定状態を得ることができる。この際、上記したように、高摩擦部材(圧接部材31)は低摩擦部材(摺接部材42)よりも摩擦係数が大きいものを用いるようにする。
具体的には、圧接部材31には、ウレタンゴムを用いるのが好ましいが、その他にも、例えば、シリコンゴムや、EPDM(ゴムの一種)や、ブタジエンゴムや、上記を含むゴム系素材などのような比較的軟質の部材を用いることができる。なお、比較的軟質の部材および上記した比較的硬質の部材は、相対的なものであり、少なくとも比較的硬質の部材は比較的軟質の部材よりも硬いもの、比較的軟質の部材は比較的硬質の部材よりも柔らかいものとされる。
そして、摺接部材42および圧接部材31は、上記した各種の素材などを適宜組み合わせて使用することができるが、摺接部材42にPOM(ポリオキシメチレン)を用いると共に、圧接部材31にウレタンゴムを用いた組み合わせが好ましい。
(6)図7に示すように、切替部材33は、センサー保持部材15の内部に、横移動可能およびガイド部材16に対して近接離反動可能に設けられても良い。
図8に示すように、切替部材33は、
センサー保持部材15の表面に設けられて、切替部材33の横移動方向へ延びる開口部61の内側に配置される切替操作部62と、
開口部61の外側に設けられて、センサー保持部材15の内部に設けられた案内部65によって横移動方向に案内される倣い部64とを有するものとしても良い。
案内部65は、
切替操作部62を開口部61の一側へ横移動したときに、切替部材33をガイド部材16に対し離反動させて第一付勢部材32による圧接力を解除させ、
切替操作部62を開口部61の他側へ横移動したときに、切替部材33をガイド部材16へ近接動させて第一付勢部材32による圧接力を付与させるように、倣い部64を案内する段差面65cを有しても良い。
ここで、切替部材33は、センサー保持部材15の内部に横移動可能に設置されるスイッチ状の操作部品とされる。切替部材33は、横移動によってセンサー保持部材15の内部でガイド部材16に対して近接離反動されるようにする。切替部材33がガイド部材16に対して近接することで、切替部材33と圧接部材31(裏当金具35)やガイド部材16との間(の距離が縮むこと)で第一付勢部材32が圧縮されて、ガイド部材16に圧接力が付与される。
反対に、切替部材33がガイド部材16から離反することで、切替部材33と圧接部材31(裏当金具35)やガイド部材16との間(の距離が拡がること)で第一付勢部材32が自然長になって、ガイド部材16への圧接力が解除される。
なお、近接離反動は、ガイド部材16に対して近接する方向への切替部材33の移動と、ガイド部材16から離反する方向への切替部材33の移動のことであり、切替操作部62がガイド部材16に直接接触する必要はない。
開口部61は、センサー保持部材15の上面部15aにおける後部平面部15dと前部傾斜部15eとの境界部分の、ほぼ後部平面部15d側の位置に、上面部15aを上下に貫通する長穴として設けられる。そして、開口部61の延設方向が切替部材33の横移動方向となる。
開口部61の延設方向および切替部材33の横移動方向は、どの方向としても良いが、この実施例では、比較的スペースに余裕のあるガイド部材16の延設方向(プリンタ1の幅方向Y)にしている。但し、開口部61の延設方向は、例えば、ガイド部材16の幅方向(プリンタ1の前後方向X。以下、必要に応じてガイド部材16の幅方向Xという)などとすることも構造的には可能である。
開口部61は、固定状態切替機構17のガイド筒部38の内側となる位置に設けられる。開口部61は、ガイド筒部38の長辺方向のほぼ中央となる位置に、ガイド筒部38の平面形状よりも小さくなるように形成される。これにより、ガイド筒部38は、開口部61よりも長く切替部材33の横移動方向の両側へ延びた状態になる。
この際、切替部材33の横移動方向、または、開口部61の延設方向の一側と他側は、上記したプリンタ1の幅方向Yの一側と他側とは異なる側としても良いが、この実施例では、両者を一致させて同じ側としている。なお、センサー保持部材15の上面部15aにおける開口部61の延設方向の一側に対して、ロック解除を示す図形を形成し、開口部61の延設方向の他側に対して、ロックを示す図形を形成するようにしても良い。
切替操作部62は、切替部材33の上面の横移動方向のほぼ中央の位置に、上へ向けて突設された、開口部61の内側へ挿入される切替部材33の突出部位である。切替操作部62は、開口部61よりも横移動方向に小さいものとされる。
切替操作部62(の上面)は、切替部材33が横移動によってガイド部材16に対して近接離反動されることに伴い、ガイド部材16に対する圧接部材31の圧接力を解除状態にした時には、センサー保持部材15の上面部15aの表面とほぼ面一の高さになり、圧接力を付与状態にした時には、センサー保持部材15の上面部15aの表面よりも低くなるように上下に変位される。
切替操作部62の上面62aには、センサー保持部材15の指掛部24と同様の指掛かりとなる凹凸部分66を設けることができる。この実施例では、凹凸部分66は、例えば、プリンタ1の前後方向Xへ延びる平行な複数本(例えば、二本)の低い突条などで構成されている。凹凸部分66の平行な複数本の突条は、横移動方向へ僅かな間隔を有して形成される。
また、凹凸部分66の複数本(二本)の突条の間には、例えば、ボールペンの先などのような細く尖った治具を用いて切替部材33を操作するための操作穴部67などを設けても良い。
案内部65は、センサー保持部材15に対する切替部材33の横移動および近接離反動を案内する部分のことである。案内部65は図9に示すように、ガイド筒部38の内側における、平面視矩形状をした開口部61の、少なくとも対向する辺の外側の部分に、対を成した状態で設けるのが好ましい。
この実施例では、センサー保持部材15の上面部15aの下面で、開口部61の外側における、切替部材33の横移動方向(センサー保持部材15の長手方向)の一側、および、横移動方向と直交する方向(センサー保持部材15の幅方向Y)の両側となる、合計三箇所の位置に、案内部65がセンサー保持部材15と一体に設けられている。
倣い部64は、切替部材33に設けられた、案内部65に案内される部分のことである。倣い部64は、案内部65に合わせて、切替部材33の横移動方向の一側(の上部)、および、横移動方向と直交する方向の両側(の側面)の、合計三箇所の位置に、切替部材33と一体に設けられている。
案内部65の段差面65cは、切替部材33の横移動に合わせて切替部材33をガイド部材16へ向けて近接離反動させるための形状をした部分である。段差面65cは、例えば、センサー保持部材15の上面部15aの裏面の位置を基準として、開口部61の一側と対応する部分が低い低位面65aとされ、開口部61の他側と対応する部分が高い高位面65bとされる。低位面65aは、上面部15aの一般的な部分と同じ肉厚とすることによって形成され、高位面65bは、上面部15aの一般的な部分よりも部分的に厚肉とすることによって形成されている。低位面65aと高位面65bとの段差量は、第一付勢部材32による押圧力の付与・解除に必要な量に設定される。
そして、倣い部64を低位面65aの側へ移動した時に、切替部材33は、ガイド部材16から離反され、倣い部64が高位面65bの側へ移動した時に、切替部材33は、ガイド部材16に近接される。
低位面65aと高位面65bとの間には、低位面65aと高位面65bとをつなぐ傾斜面65cを設けるようにしても良い。これにより、倣い部64を、傾斜面65cによって低位面65aと高位面65bとの間でスムーズに案内することが可能になる。
(7)既に上記したように、圧接部材31は、摺接部材42よりも大きな面積となるように形成されても良い。
そして、第一付勢部材32と圧接部材31との間に、第一付勢部材32が圧接部材31を押圧する押圧部分よりも大きな面積で圧接部材31を押圧可能な裏当部材(裏当金具35)を設けても良い。
(8)図2に示すように、上記した用紙検出装置13は、プリンタ1における用紙2の搬送経路12内に備えるようにしても良い。
ここで、この実施例のプリンタ1は、ラベルに印字を行うラベルプリンタなどとされている。ラベルプリンタに使用する用紙2は、長尺の台紙に対して、台紙の長手方向に規則的に並ぶように複数枚のラベルを貼付けたものとされている。台紙に複数枚のラベルが貼付けられた用紙2は、ロール状に巻取られることでロール紙とされている。
搬送経路12の途中には、ロール紙から引出した用紙2を排出口3へ向けて送給するためのプラテンローラ71が設けられる。プラテンローラ71は、紙送りモータなどの駆動装置や、歯車などの駆動力伝達機構を介して回転駆動される。
搬送経路12における、プラテンローラ71を挟んで用紙2とは反対面の側(上側)には、サーマルヘッド72が設置される。サーマルヘッド72は、プラテンローラ71と対向された状態で、相対的に近接方向へ付勢されることで、用紙2を通すニップ部を形成する。
熱転写方式の場合、サーマルヘッド72と用紙2との間にはインクリボンが介在されており、サーマルヘッド72の熱でインクリボンを溶かすことにより、溶融したインクリボンのインクを、ニップ部を通るラベルに熱転写してラベルに印字するようになっている。また、感熱方式の場合は、サーマルヘッド72を直接用紙2(このときは感熱紙を使用する)に押接させて熱をかけることで印字するようになっている。
搬送経路12における、ニップ部と排出口3との間には、印字された用紙2をラベルの長さに切断するカッタが設置できる。カッタは、用紙2を自動で切断するものとしても良いし、用紙2を手動で切断するものとしても良い。
そして、サーマルヘッド72は、印字ユニット73に設けられ、インクリボンやカッタは印字ユニット73に取り付け可能に構成されている。この印字ユニット73は、その一側部を、プリンタ本体7の幅方向Yの一側部に対し、(前後方向Xへ延びるヒンジ軸を有する)ヒンジ部74を介して上下方向Zおよび幅方向Yへ回動可能に連結されることで、プリンタ本体7の一側部を中心として他側部を横へ起倒可能(または搬送経路12を開閉可能)とされている。これにより、用紙2のセットやプリンタ1のメンテナンスなどの作業の際に、カバー8を上方で且つ後方へ開き、印字ユニット73を上方で且つ側方へ開く(印字ユニット73の一側部を中心として他側部を上方で且つ幅方向Yに持ち上げる)ことで、印字ユニット73を搬送経路12から退避させて、搬送経路12を露出させられるようになる。
そして、搬送経路12に設けられる用紙検出装置13には、例えば、用紙2の端部の位置を検出するものや、台紙に貼られた各ラベルの位置を検出するものなど各種のものが存在しているが、この実施例では、用紙検出装置13を、主に、用紙2の端部の位置を検出するものとしている。そのために、用紙検出装置13は、上記したように、搬送経路12における、ロール紙の収容部11とプラテンローラ71との間の位置に設置されている。
そして、用紙検出装置13における、センサー14の移動方向は、用紙2に対する検出目的や検出対象によって異なるが、この実施例のように用紙2の端部の位置を検出する場合には、センサー14を、用紙2の幅方向Yへ移動させるものとなる。センサー14を幅方向Yへ移動させることにより、様々な幅寸法の用紙2を検出できるようになる。
センサー14には、赤外線センサーなどが使用される。赤外線センサーには、透過型のものと反射型のものとがあり、そのどちらとしても良い。透過型の赤外線センサーは、用紙2を挟んだ両側に投光部と受光部とをそれぞれ対向配置して、投光部から投光され受光部で受光された赤外光の光量によって用紙2を検出するものとされる。反射型の赤外線センサーは、用紙2の片側に投光部と受光部とを配置し、投光部から投光され用紙2の表面で反射されて受光部で受光された赤外光の光量によって用紙2を検出するものとされる。
例えば、赤外光を用紙2が遮った時の透過光量の変化によって用紙2の有無や用紙2の端部の位置を検出することができる。また、台紙の透過率とラベルの透過率との違いによって透過光量が異なることで、ラベルの位置を検出することができる。あるいは、台紙の裏面側に予め印刷形成しておいた位置基準がセンサー14の位置を通過した際に、位置基準によって透過光量が変化されることで、ラベルの位置を検出することなどもできる。
この実施例ではセンサー14を透過型の赤外線センサーとして、用紙2の搬送経路12の下側と上側とに、投光部を有する用紙検出装置75と、受光部を有する用紙検出装置13とを、それぞれ設置するようにしている。なお、投光部を用紙2の下側に設置し、受光部を用紙2の上側に設置するようにしているが、上下を反対(投光部を上側、受光部を下側)にしても良い。
なお、固定状態切替機構17が設けられるのは、用紙2のセットやプリンタ1のメンテナンスなどの作業の際に、センサー保持部材15に誤って触れるおそれがある、搬送経路12の上側の用紙検出装置13(のみ)とすれば良い。搬送経路12の下側の用紙検出装置75については、上記した作業の際に誤って触れるおそれがほとんどないため、特に固定状態切替機構17を設ける必要性は生じない。
なお、この実施例の用紙検出装置13を適用できるプリンタ1は、上記したラベルプリンタに限るものではなく、例えば、サーマルプリンタやその他のプリンタ1などとすることができる。
<作用>以下、この実施例の作用について説明する。
プリンタ1に用紙2をセットする場合、プリンタ本体7に対してカバー8を開いて収容部11を露出させる。次に、印字ユニット73を開いて搬送経路12を露出させ、更に、上側の用紙検出装置13を開いて搬送経路12に用紙2を通せるようにする。
その後、収容部11にロール紙をセットして、ロール紙から引き出した用紙2の先端部を、搬送経路12に沿ってプラテンローラ71または排出口3の位置まで引き出すようにする。
次に、用紙検出装置13を閉じて、センサー保持部材15の位置を動かし、センサー14の位置を、セットした用紙2の端部の位置に合わせて、センサー保持部材15を固定し、用紙2を検出できるようにする。
センサー保持部材15を動かす際には、固定状態切替機構17を解除し、センサー14の位置を用紙2に合わせた後に、固定状態切替機構17によってセンサー保持部材15の位置を固定する。このように固定状態切替機構17でセンサー保持部材15を固定することで、用紙2のセットやプリンタ1のメンテナンスなどの作業の際に、センサー保持部材15に誤って触れたり、または、センサー保持部材15に摺動抵抗発生機構41による摺動抵抗を超える外力が作用されたりすることで、センサー保持部材15が不用意に変位されることを防止できる。よって、気付かないうちにセンサー保持部材15が用紙2と合った位置からズレて、用紙2の検出不良が起きる、といった不具合をなくすことができる。
固定状態切替機構17の解除および固定は、切替部材33を一側また他側へ横移動させるだけで簡単に行うことができる。
この際、切替部材33を他側へ横移動させると、切替部材33が案内部65の高位面65bの側に案内されてガイド部材16に近接され、第一付勢部材32が圧縮されることで、第一付勢部材32の弾性力が圧接部材31に付与され、圧接部材31がガイド部材16に圧接されて、圧接部材31とガイド部材16との間に大きな摩擦力が発生されることになる。この摩擦力によってセンサー保持部材15の位置が固定され、センサー保持部材15が動なくなる。
反対に、切替部材33を一側へ横移動させると、切替部材33が案内部65の低位面65aの側に案内されてガイド部材16から離反され、第一付勢部材32が自然長に戻ることで、第一付勢部材32の弾性力が圧接部材31に付与されなくなり、圧接部材31がガイド部材16に圧接されなくなって、圧接部材31とガイド部材16との間の摩擦力が大幅に低減されることになる。この摩擦力の低減によってセンサー保持部材15の位置固定が解除され、センサー保持部材15を動かせるようになる。
そして、摺動抵抗発生機構41を備えることで、固定状態切替機構17の固定状態を解除して、センサー保持部材15を移動させる際には、摺動抵抗発生機構41が、適度な摺動抵抗を発生させる。これにより、センサー保持部材15のガイド部材16に沿った自由な動きを抑制して、センサー保持部材15の移動に適度な負荷を与えることなどができる。
その後は、印字ユニット73およびカバー8を閉じる。以上により、プリンタ1は印刷ができるようになる。
<効果>この実施例によれば、以下のような効果を得ることができる。
(作用効果 1)センサー保持部材15は、ガイド部材16に案内されることでガイド部材16に沿って連続的に移動される。これにより、センサー保持部材15に保持されたセンサー14を、ガイド部材16に沿った任意の位置に設置したり移動したりできるようになる。そして、使用する用紙2に合った位置にセンサー14を設置することで、様々な種類の用紙2に対応させて、センサー14で用紙2を検出できるようになる。
この際、センサー保持部材15に固定状態切替機構17を設けることで、固定状態切替機構17は、摩擦力(のみ)によって、ガイド部材16に対するセンサー保持部材15(およびセンサー14)の位置を、任意の位置にて確実に固定し、また、固定解除できるようになる。よって、使用する用紙2に応じた適正な位置に正確に合わせてセンサー14を容易に設置することが可能になる。
そして、固定状態切替機構17によってセンサー保持部材15の位置を固定することで、摩擦力によってセンサー保持部材15が容易に動かないようにすることができる。反対に、固定状態切替機構17によってセンサー保持部材15を固定解除することで、センサー保持部材15を簡単にガイド部材16に沿った任意の位置へ移動できるようになる。
よって、例えば、図10の比較例に示すような、ガイド部材16に沿ったセンサー保持部材15の移動に対して、摺動抵抗を常時発生させる摺動抵抗発生機構41のみを備えた用紙検出装置13のように、用紙2のセットやプリンタ1のメンテナンスなどの作業の際に、センサー保持部材15に誤って触れたり、または、センサー保持部材15に摺動抵抗発生機構41による摺動抵抗を超える外力が作用されたりすることで、センサー保持部材15が不用意に変位されて、気付かないうちにセンサー保持部材15が用紙2と合った位置からズレてしまい、用紙2の検出不良が起きる、といった不具合が発生するのを、この実施例の固定状態切替機構17を備えることによって確実に防止できる。
また、この実施例の固定状態切替機構17は、摩擦力だけでセンサー保持部材15をガイド部材16の任意の位置に固定できるため、汎用性の高いものとなる。よって、例えば、図11の別の比較例に示すように、ガイド部材16にセンサー保持部材15の固定位置を規定するための波歯状をした凹凸案内部81を設け、センサー保持部材15に凹凸案内部81に噛み合う弾性爪部82を設けた用紙検出装置13に対して、ロック部材83を用いて弾性爪部82を凹凸案内部81へ強制的に押し付けさせることで、弾性爪部82が凹凸案内部81を乗り越えられなくなるようにして、ガイド部材16に沿ったセンサー保持部材15の移動を固定させる爪固定機構84の場合のように、凹凸案内部81と弾性爪部82とを備えていなければ爪固定機構84を設けることができないという問題を解消できる。
即ち、この実施例の固定状態切替機構17は、弾性爪部82と凹凸案内部81とを備えていない用紙検出装置13と、弾性爪部82と凹凸案内部81を備えた用紙検出装置13との両方に対して広く適用することが可能であり、高い汎用性が確保される。更に、固定状態切替機構17を凹凸案内部81と弾性爪部82とを備えていない用紙検出装置13に適用した場合には、凹凸案内部81のピッチに応じた間隔でしかセンサー保持部材15を動かしたり固定したりすることができないという制約をなくすことができる。
更に、固定状態切替機構17は、ガイド部材16に摩擦力を発生させるのに必要な大きさの平坦面部16aさえ確保できれば、用紙検出装置13に対して簡単に設けることができるため、ガイド部材16には特別な加工は必要ない。
(作用効果 2)固定状態切替機構17は、ガイド部材16に圧接される(ことで摩擦力による固定を行わせる)圧接部材31と、圧接部材31をガイド部材16へ向けて押圧付勢する第一付勢部材32と、第一付勢部材32による圧接部材31のガイド部材16に対する圧接力の付与・解除を切替可能な切替部材33と、を有するものとしても良い。これにより、固定状態切替機構17は、圧接部材31と第一付勢部材32と切替部材33という簡単な構成で、ガイド部材16とセンサー保持部材15との間に確実な固定力を発生できるようになる。また、ガイド部材16には、圧接部材31を受ける面(平坦面部16a)があれば良いので、ガイド部材16の構成を簡略化できる。
(作用効果 3)センサー保持部材15は、固定状態切替機構17に加え、ガイド部材16に沿ったセンサー保持部材15の移動に対して、摺動抵抗を常時発生させる摺動抵抗発生機構41を有しても良い。これにより、固定状態切替機構17による固定状態を解除した状態での、センサー保持部材15の移動に対し、摺動抵抗発生機構41が機能して、摺動抵抗を常時発生させる。そのため、摺動抵抗発生機構41は、適度な負荷(操作抵抗)によって操作者にセンサー保持部材15の移動を実感させることができると共に、任意の位置へと移動されたセンサー保持部材15を、固定状態切替機構17で固定するまでの間、摺動抵抗の範囲内でその場に留めておくことができるので、例えば、摺動抵抗発生機構41を備えていない場合のように、固定状態切替機構17による固定を解除した状態でセンサー保持部材15が勝手に動いてしまうようなことを防止でき、使い勝手の良いものとすることができる。
そして、摺動抵抗発生機構41が、センサー保持部材15の移動に対して摺動抵抗を常時発生させることによって、作業者が固定状態切替機構17を操作してセンサー保持部材15の固定や固定解除を行っている最中に生じ易い、センサー保持部材15の僅かな変位を抑制して、センサー保持部材15の位置を安定させるので、センサー保持部材15を固定したい位置に正確に固定することが可能になる。
更に、摺動抵抗発生機構41は、ガイド部材16に摺接され(て摺動抵抗を発生させ)る摺接部材42と、摺接部材42をガイド部材16へ向けて押圧付勢する第二付勢部材43とを有するものとしても良い。これにより、摺動抵抗発生機構41は、摺接部材42と第二付勢部材43という簡単な構成で、ガイド部材16とセンサー保持部材15との間に最適な摺動抵抗を発生できるようになる。
(作用効果 4)摺動抵抗発生機構41の摺接部材42と、固定状態切替機構17の圧接部材31とは、摩擦抵抗が異なる素材で構成しても良い。これにより、摺接部材42および圧接部材31に対し、材質の違いによってそれぞれに適した機能を持たせることができる。特に、第一付勢部材32と第二付勢部材43との弾性力の調整だけでは摺接部材42と圧接部材31とから所望の摩擦力が得られない場合や、第一付勢部材32と第二付勢部材43とによる弾性力の調整が難しい場合であっても、所望の摩擦力を容易に得ることができる。よって、摺接部材42および圧接部材31の材質を変えるだけで、摺動抵抗発生機構41および固定状態切替機構17を簡単に構成することができる。更に、摺動抵抗発生機構41および固定状態切替機構17は、摺接部材42および圧接部材31の材質や裏当金具35の有無等の一部の構造以外をほぼ同様の構成にすることができる。よって、摺動抵抗発生機構41および固定状態切替機構17の構造の簡略化を図ることができる。
(作用効果 5)圧接部材31は、摺接部材42よりも相対的に摩擦係数が大きな素材で構成されても良い。例えば、摺接部材42を低摩擦部材で構成し、圧接部材31を弾性変形可能な高摩擦部材(例えば、ゴム系素材など)で構成しても良い。これにより、相対的な摩擦係数が小さい(低摩擦部材で構成された)摺接部材42を、摺動抵抗を発生し易く、摩耗し難いものにすることができる。また、相対的な摩擦係数が大きい(高摩擦部材、例えば、ゴム系素材で構成された)圧接部材31を、大きな摩擦力を発生可能なものすることができる。
(作用効果 6)切替部材33を、センサー保持部材15の内部に、横移動可能およびガイド部材16に対して近接離反動可能に設けても良い。
切替部材33は、センサー保持部材15の表面に設けられて、切替部材33の横移動方向へ延びる開口部61の内側に配置される切替操作部62と、開口部61の外側に設けられて、センサー保持部材15の内部に設けられた案内部65によって横移動方向に案内される倣い部64とを有しても良い。
案内部65は、切替操作部62を開口部61の一側へ横移動したときに、切替部材33をガイド部材16に対し離反動させて第一付勢部材32による圧接力を解除させ、切替操作部62を開口部61の他側へ横移動したときに、切替部材33をガイド部材16へ近接動させて第一付勢部材32による圧接力を付与させるように、倣い部64を案内する段差面65cを有しても良い。
これにより、切替操作部62を開口部61の一側へ横移動することで、倣い部64が案内部65の段差面65cに案内されて、切替部材33がガイド部材16に対し離反動され、第一付勢部材32によるガイド部材16に対する圧接部材31の圧接力が解除されるようになる。
反対に、切替操作部62を開口部61の他側へ横移動することで、倣い部64が案内部65の段差面65cに案内されて、切替部材33がガイド部材16へ近接動され、第一付勢部材32によるガイド部材16に対する圧接部材31の圧接力が付与されるようになる。
固定状態切替機構17は、センサー保持部材15に対する切替部材33の横移動によって、倣い部64をセンサー保持部材15の摺接部材42案内部65の段差面65cに案内させ、段差面65cに合わせて切替部材33をガイド部材16に対して近接離反動させ、第一付勢部材32を伸長または収縮させることで、第一付勢部材32を介してセンサー保持部材15がガイド部材16に固定・固定解除されるように構成しているので、切替部材33の横移動および近接離反動のための倣い部64や案内部65の構造が簡単であり、作動も確実となって耐久性に優れたものとなる。また、倣い部64や案内部65の段差面65cには、あまり高い部品精度が要求されないので、部品の精度管理が容易で、固定状態切替機構17の設計・製造が容易となる。
(作用効果 7)圧接部材31は、摺接部材42よりも大きな面積となるように形成され、第一付勢部材32と圧接部材31との間に、第一付勢部材32が圧接部材31を押圧する押圧部分よりも大きな面積で圧接部材31を押圧可能な裏当部材を設けても良い。このように、圧接部材31を摺接部材42よりも大きな面積にすることで、圧接部材31を摺接部材42よりも優位な構成にして、圧接部材31によって作業時のセンサー保持部材15の変位をより確実に防止させることができる。圧接部材31に対して、裏当部材(裏当金具35)を上から当てる(裏当てする)ことで、裏当部材によって圧接部材31の形状保持を行わせることができる。裏当部材を、第一付勢部材32が圧接部材31を押圧する押圧部分よりも大きな面積とすることで、第一付勢部材32の付勢力を、裏当部材を介して圧接部材31のほぼ全域に均等に分配することができる。
(作用効果 8)この実施例のプリンタ1によれば、上記用紙検出装置13を、用紙2の搬送経路12内に備えることで、上記用紙検出装置13と同様の作用効果を得ることができる。