JP6777182B2 - 防食被覆およびその形成方法 - Google Patents

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Description

本発明は、金属基材の表面に設ける防食被覆およびその形成方法に関し、詳しくは、最外層にチタンまたはチタン合金からなる金属箔を設ける防食被覆およびその形成方法に関する。ここで、本願において、金属基材の表面に設ける防食被覆の最外層とは、前記金属基材の表面から最も遠い層のことである。
鋼材は安価でありながら機械的特性に優れており、多くの分野で用いられているが、腐食しやすいという弱点を抱えており、鋼材を効果的に防食する防食被覆の技術開発が鋭意進められている。鋼材を効果的に防食する防食被覆としては、最外層にチタンまたはチタン合金からなる金属箔を配置する技術が有望な技術として注目されており、関連技術を含めて多くの提案がなされている(例えば、特許文献1〜4参照)。
一方、海洋鋼構造物(桟橋、ジャッキアップ式レグ、浮体式鋼構造物、海洋プラットフォーム等)、鋼構造物(橋梁、プラント、タンク、鉄塔等)、自己昇降式作業台船、船舶およびそれらに設置する配管等の製作を工場で行う際、鋼材の防食にジンクリッチペイントが用いられることが多い。
防食性が高く下塗として使用されることの多い無機ジンクリッチペイントは、亜鉛粉末と塗料液が別々に梱包された荷姿となっている製品が多く、この場合、亜鉛粉末と塗料液を使用前に混合してジンクリッチペイントを作製して使用する。しかしながら、亜鉛粉末と塗料液を混合する際に、亜鉛粉末が飛散することがあり、金属基材の表面に設ける防食被覆の最外層である、チタンまたはチタン合金からなる金属箔の表面に、亜鉛粉末が付着することがある。
また、亜鉛めっきをした鋼材を溶接する際、溶接欠陥の発生を防止するため(亜鉛は蒸気圧が高いため亜鉛蒸気がブローホール等の溶接欠陥の原因となる。)、亜鉛めっき部を研磨し亜鉛を除去するが、その際に出る亜鉛の粉がチタンまたはチタン合金からなる金属箔の表面に付着することがある。
チタンまたはチタン合金からなる金属箔の表面に亜鉛粉末や亜鉛の粉が付着した状態で雨に曝されたり、海洋環境で使用されたりして、表面に水膜ができると、亜鉛がアノード、チタンがカソードとなり、カソードであるチタン表面で水素が発生し、その水素をチタンが吸蔵すると、硬くて脆い水素化物を形成する。チタンと亜鉛との間の異種金属接触腐食で、室温で形成されるチタンの水素化物は、チタンまたはチタン合金の表面から数十〜数百μmの範囲に分布するため、チタンまたはチタン合金の板厚が厚い場合には実用上問題にならないものの、チタンまたはチタン合金の板厚が薄い場合(チタンまたはチタン合金が箔の場合)には全体が脆化して、機械的性能が大きく損なわれてしまうという問題があった。
特開2001−260271号公報 特開2004−244652号公報 特開2004−202693号公報 特開2008−44107号公報
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、最外層にチタンまたはチタン合金で実質的に形成された金属箔を有して、金属基材を被覆する防食被覆において、前記金属箔の水素脆化が抑制された防食被覆およびその形成方法を提供することを課題とする。
本発明は、以下の防食被覆により、前記課題を解決したものである。
即ち、本発明に係る防食被覆の態様は、金属基材の表面に、該表面に近い方から、
(1)エポキシ樹脂系塗料で実質的に形成された防食層、
(2)粘着剤または接着剤で実質的に形成された粘接着層、
(3)表面の算術平均粗さが3.9μm以下であるチタンまたはチタン合金で実質的に形成された金属箔、
の順序で、前記防食層、前記粘接着層、および前記金属箔を有していることを特徴とする防食被覆である。
ここで、本願において「実質的に形成」とは、不可避的不純物を含んで形成された場合も含む概念である。
前記金属箔の表面には、厚さが2.1nm以上の酸化皮膜が実質的に形成されていることが好ましい。
前記粘接着層は、ゴム系、アクリル樹脂系、ウレタン樹脂系およびシリコーン樹脂系の粘着剤ならびにエポキシ樹脂系、アクリル樹脂系、ウレタン樹脂系およびシリコーン樹脂系の接着剤よりなる群から選ばれた少なくとも1種の粘着剤または接着剤で実質的に形成されているように構成してもよい。
前記粘接着層の形成に用いる接着剤は、溶剤系、水系、無溶剤系の何れであってもよく、硬化方法は、熱硬化、常温硬化の何れでもよい。塗装方法としては、ハケ、スプレー、フローコーター、ロールコーター等の塗装機などにより塗布する方法を使用することが可能である。
前記粘接着層の形成に用いるエポキシ樹脂系接着剤のエポキシ樹脂には、特に制限はないが、具体的には例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂、グリシジルエステル系エポキシ樹脂、グリシジルアミン系エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂などのエポキシ樹脂などを挙げることができる。
前記粘接着層の形成に用いるゴム系粘着剤のエラストマー成分としては、具体的には例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、スチレンイソプレンゴム、ブチルゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴムのうち少なくとも一つを主成分とするものを挙げることができる。
前記粘接着層の形成に用いるアクリル樹脂系粘接着剤の樹脂成分としては、アクリル系共重合体を挙げることができる。このアクリル系共重合体は、モノマーにイソシアネート系架橋剤やエポキシ系架橋剤などの架橋剤や、架橋可能な官能基含有モノマーを反応させて得られるアクリル酸アルキルエステルからなる。このアクリル酸アルキルエステルとしては、具体的には例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチルなどを挙げることができる。
前記粘接着層の形成に用いるウレタン樹脂系粘接着剤のウレタン樹脂としては、具体的には例えば、界面活性剤を使用せずに乳化した自己乳化型ウレタン樹脂や界面活性剤を用いて乳化した強制乳化型ウレタン樹脂を挙げることができる。
前記粘接着層の形成に用いるウレタン樹脂系粘接着剤には、特に制限はないが、具体的には例えば、ポリイソシアネート(脂肪族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネートのうち一種以上)に水酸基を持つ化合物を混合したものを用いることができる。
前記粘接着層の形成に用いるシリコーン樹脂系粘接着剤としては、過酸化物硬化型シリコーン系粘接着剤と付加反応型シリコーン系粘接着剤のいずれも使用することができる。
前記粘接着層は、前記金属基材の表面に近い方から順に第1の粘接着層と第2の粘接着層を含み、前記第1の粘接着層と前記第2の粘接着層との間に、伸長可能な伸長可能層を有するように構成してもよい。
前記伸長可能層は、具体的には例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、ナイロン、ポリカーボネート、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリイミド、シリコーン樹脂、アクリル樹脂よりなる群から選ばれた少なくとも1種で実質的に形成された伸長可能樹脂層、もしくはガラス繊維、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、レーヨン繊維、ビニロン繊維、アクリル繊維よりなる群から選ばれた少なくとも1種で実質的に形成された伸長可能不織布であるか、もしくはウレタンフォーム、天然ゴム、クロロプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、ブチルゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、シリコーンゴム、ウレタンゴム、ふっ素ゴムよりなる群から選ばれた少なくとも1種で実質的に形成されている。
ここで、ポリエステル繊維としては、具体的には例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートのうちのいずれかからなる繊維を挙げることができる。
前記金属箔の厚さは、10μm以上150μm以下であることが好ましい。
前記金属基材の表面と前記防食層との間に、無機ジンクリッチペイント、有機ジンクリッチペイント、エポキシ樹脂系塗料、変性エポキシ樹脂系塗料のうち少なくとも1つを用いて実質的に形成された下塗り層を設けてもよい。
本発明に係る防食被覆の形成方法の態様は、金属基材の表面に防食層を形成する防食層形成工程と、チタンまたはチタン合金で実質的に形成された金属箔に、粘接着層を貼り合わせて作製された金属箔部材を、前記防食層形成工程で形成された前記防食層に、前記粘接着層によって貼り付ける金属箔貼り付け工程と、を有し、前記金属箔の前記粘接着層とは反対側の表面の算術平均粗さが3.9μm以下であることを特徴とする防食被覆の形成方法である。
前記金属箔部材の前記粘接着層には、予め離型紙を貼り付けておき、前記金属箔貼り付け工程においては、前記離型紙を剥がして前記防食層の上に、前記金属箔部材の前記粘接着層を貼り付けるようにしてもよい。
前記金属箔貼り付け工程においては、次の(1)〜(4)の順序、即ち、
(1)表面の算術平均粗さが3.9μm以下であって、前記表面には厚さが2.1nm以上の酸化皮膜が実質的に形成されているチタンまたはチタン合金で実質的に形成された金属箔、
(2)ゴム系、アクリル樹脂系、ウレタン樹脂系およびシリコーン樹脂系の粘着剤ならびにエポキシ樹脂系、アクリル樹脂系、ウレタン樹脂系およびシリコーン樹脂系の接着剤よりなる群から選ばれた少なくとも1種の粘着剤または接着剤で実質的に形成された第2の粘接着層、
(3)ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、ナイロン、ポリカーボネート、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリイミド、シリコーン樹脂、アクリル樹脂よりなる群から選ばれた少なくとも1種で実質的に形成された伸長可能樹脂層、もしくはガラス繊維、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、レーヨン繊維、ビニロン繊維、アクリル繊維よりなる群から選ばれた少なくとも1種で実質的に形成された伸長可能不織布、もしくはウレタンフォーム、天然ゴム、クロロプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、ブチルゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、シリコーンゴム、ウレタンゴム、ふっ素ゴムよりなる群から選ばれた少なくとも1種で実質的に形成された伸長可能な層、
(4)ゴム系、アクリル樹脂系、ウレタン樹脂系およびシリコーン樹脂系の粘着剤ならびにエポキシ樹脂系、アクリル樹脂系、ウレタン樹脂系およびシリコーン樹脂系の接着剤よりなる群から選ばれた少なくとも1種の粘着剤または接着剤で実質的に形成された第1の粘接着層、
の順序で積層されてなる金属箔部材を、前記第1の粘接着層によって、前記防食層形成工程で形成された前記防食層に貼り付けるようにしてもよい。
ここで、ポリエステル繊維としては、具体的には例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートのうちのいずれかからなる繊維を挙げることができる。
前記金属箔部材の前記第1の粘接着層には、予め離型紙を貼り付けておき、前記金属箔貼り付け工程においては、前記離型紙を剥がして前記防食層の上に、前記金属箔部材の前記第1の粘接着層を貼り付けるようにしてもよい。
本発明によれば、最外層にチタンまたはチタン合金で実質的に形成された金属箔を有して、金属基材を被覆する防食被覆において、前記金属箔の水素脆化が抑制された防食被覆およびその形成方法を提供することができる。
本発明の第1実施形態に係る防食被覆10を模式的に示す断面図 本発明の第2実施形態に係る防食被覆20を模式的に示す断面図 防食被覆サンプルに長さ5cmの切り込み(人工傷)を入れた部分を拡大して模式的に示した拡大模式図
以下、図面を参照して、本発明に係る防食被覆の実施形態を詳細に説明する。
(1)第1実施形態
(1−1)構成
図1は、本発明の第1実施形態に係る防食被覆10を模式的に示す断面図である。
本第1実施形態に係る防食被覆10は、図1に示すように、金属基材90の表面に、該表面に近い方から、下塗り層12、防食層14、粘接着層16(粘着層16Aまたは接着層16B)、金属箔18の順序で積層されてなる。
本第1実施形態に係る防食被覆10が防食の対象とする金属基材90は、特には限定されないが、具体的には例えば、炭素鋼の他、低合金鋼、ステンレス、亜鉛めっき鋼材、アルミニウム−亜鉛合金めっき鋼材、溶射や肉盛をした鋼材、アルミニウム等を挙げることができる。
下塗り層12は、金属基材90の表面と防食層14との付着力を向上させる役割および腐食因子(水、酸素)と腐食促進因子(塩化物イオンなど)が浸透することを抑制する役割を有する層であり、具体的には例えば、無機ジンクリッチペイント、有機ジンクリッチペイント、エポキシ系プライマーのうちの少なくとも1種類以上を用いることができる。下塗り層12に無機ジンクリッチペイントまたは有機ジンクリッチペイントを用いる場合、亜鉛の犠牲防食作用による鋼材の腐食抑制という役割も期待できる。
下塗り層12を、金属基材90の表面に塗布する前に、金属基材90の表面を清浄化処理することが好ましい。金属基材90の表面の清浄化処理は、具体的には例えば、スチールグリッド、スチールショット、珪砂、ガーネット、銅がらみ等を研掃材とするブラスト処理、電動工具や手動工具等によるケレン処理、ウォーターブラスト処理、研磨紙による研磨等によって行うことができる。
金属基材90の表面の清浄化処理は、金属基材90の表面の汚れや酸化皮膜を除去することで、金属基材90の表面への下塗り層12の付着力を向上させることを目的とする。また、金属基材90の表面に凹凸を設けることにより、アンカー効果により金属基材90の表面への下塗り層12の付着力を向上させることも目的とする。
下塗り層12の厚さは、腐食因子(水、酸素)および腐食促進因子(塩化物イオンなど)が浸透することを抑制する観点、および清浄化処理によって生じた金属基材90の表面の凹凸を埋める観点から、10μm以上が好ましく、20μm以上がより好ましい。また、特に亜鉛を多く含む下塗り層12を厚くすると、乾燥しにくくなることや、剥離しやすくなることがあるため、下塗り層12の厚さは、100μm以下にすることが好ましく、80μm以下にすることがより好ましい。したがって、下塗り層12の厚さは、10μm以上100μm以下にすることが好ましく、20μm以上80μm以下にすることがより好ましい。
なお、下塗り層12を設けずに、金属基材90の表面に防食層14を設けても、防食層14が十分な付着力で金属基材90の表面に付着する場合で、かつ、下塗り層12を設けなくても、防食被覆10全体で、腐食因子(水、酸素)および腐食促進因子(塩化物イオンなど)が浸透することを抑制する効果が十分に得られる場合には、下塗り層12を設けなくてもよい。
防食層14は、腐食因子(水、酸素)および腐食促進因子(塩化物イオンなど)が浸透することを抑制する役割を有する。
防食層14に用いる材料に求められる要件は、化学的に安定であること、腐食因子(水、酸素)および腐食促進因子(塩化物イオンなど)が浸透することを抑制すること、および屋外で湿気がある環境でも施工できることである。これらの要件の観点から、防食層14に用いる材料はエポキシ系樹脂とすることが好ましく、具体的には例えば、エポキシ樹脂塗料、変性エポキシ樹脂塗料、超厚膜形エポキシ樹脂塗料、水性エポキシ樹脂塗料、無溶剤形エポキシ樹脂塗料、添加物(グラスファイバー、ガラスフレーク、マイカ等)含有エポキシ樹脂塗料のうち1種類以上の塗料を用いることができる。添加物(グラスファイバー、ガラスフレーク、マイカ等)含有エポキシ樹脂塗料は、腐食因子(水、酸素)および腐食促進因子(塩化物イオンなど)が浸透することを抑制する効果を高めることができる。
防食層14の厚さは、腐食因子(水、酸素)および腐食促進因子(塩化物イオンなど)が浸透することを抑制する観点から、20μm以上にすることが好ましく、30μm以上にすることがより好ましい。一方、防食層14の厚さが厚くなりすぎると、硬化収縮の際の残留応力が大きくなって割れが発生するおそれがあり、また、鉛直面に塗布した際に垂れやすくなるため、防食層14の厚さは、5000μm以下にすることが好ましく、2000μm以下にすることがより好ましい。したがって、防食層14の厚さは、20μm以上5000μm以下とすることが好ましく、30μm以上2000μm以下とすることがより好ましい。
粘接着層16は、金属箔18を防食層14に貼り付ける役割を有し、具体的には例えば、ゴム系、アクリル樹脂系、ウレタン樹脂系およびシリコーン樹脂系の粘着剤ならびにエポキシ樹脂系、アクリル樹脂系、ウレタン樹脂系およびシリコーン樹脂系の接着剤よりなる群から選ばれた少なくとも1種の粘着剤または接着剤を用いて形成することができる。ここでは、粘接着層16に粘着層を用いた場合は、粘接着層16を粘着層16Aと記し、粘接着層16に接着層を用いた場合は、粘接着層16を接着層16Bと記すこととする。
粘接着層16(粘着層16Aまたは接着層16B)の厚さは、金属箔18同士をラップさせても、隙間が生じないようにする観点(ラップさせて生じた金属箔18同士の間の段差を粘接着層16で埋めるようにする観点)および防食層14の表面の凹凸を吸収する観点から、20μm以上にすることが好ましく、30μm以上にすることがより好ましい。一方、粘接着層16に粘着層16Aを用いた場合の厚さは、厚くなりすぎると段差が大きくなり未付着部ができる恐れがあることから7000μm以下にすることが好ましく、5000μm以下にすることがより好ましい。粘接着層16に接着層16Bを用いた場合の厚さは、厚くなりすぎると硬化時に過大な応力が生じて割れる恐れがあり、また、硬化時間が非常に長くなることから100μm以下にすることが好ましく、80μm以下にすることがより好ましい。したがって、粘接着層16に粘着層16Aを用いた場合の厚さは、20μm以上7000μm以下とすることが好ましく、30μm以上5000μm以下とすることがより好ましく、粘接着層16に接着層16Bを用いた場合の厚さは、20μm以上100μm以下とすることが好ましく、30μm以上80μm以下とすることがより好ましい。
金属箔18は、粘接着層16によって防食層14の上に貼り付けられており、本実施形態の防食被覆10において最外層に配置される層である。金属箔18は、チタンまたはチタン合金からなる。チタンおよび所定の組成のチタン合金は、極めて耐食性に優れた金属である。金属箔18は、腐食因子(水、酸素)および腐食促進因子(塩化物イオンなど)が浸透することを断つとともに、紫外線が防食被覆10の樹脂に当たらないようにする役割を有する。
本実施形態の防食被覆10の金属箔18として用いるチタンおよびチタン合金は、展延性を確保して施工性を向上させる観点から、添加元素の少ないものを用いるのがよく、具体的には、JIS H 4600(チタン及びチタン合金−板及び条)のJIS1種の化学成分を満たすチタンおよびチタン合金を用いることが好ましい。本実施形態の防食被覆10の金属箔18として用いるチタンおよびチタン合金の化学成分(チタン以外の化学成分)は、具体的には、JIS1種の化学成分である、炭素が0.08wt%以下、水素が0.013wt%以下、酸素が0.15wt%以下、窒素が0.03wt%以下、鉄が0.20wt%以下であることが好ましい。また、酸素や鉄の含有量を少なくするとチタン箔に加工する際の加工性が良好になるため、炭素が0.08wt%以下、水素が0.013wt%以下、酸素が0.12wt%以下、窒素が0.03wt%以下、鉄が0.15wt%以下であることがより好ましく、更に酸素や鉄は含有量を少なくして、炭素が0.08wt%以下、水素が0.013wt%以下、酸素が0.10wt%以下、窒素が0.03wt%以下、鉄が0.10wt%以下であることが特に好ましい。
また、金属箔18の耐食性をより向上させる観点から、金属箔18として用いるチタンおよびチタン合金に、さらに、Ni、Co、Ta、Cr、Ru、Mo、Pd、Pt、Rh、Al、V、Zr、Sn、Si、Cu、Nbのうちの少なくとも1種を合計で2wt%以下添加することが好ましい。ただし、前記した金属を合計で2wt%を超えて添加すると、金属箔18が硬くなってしまい施工しにくくなる点に留意する。
チタンまたはチタン合金からなる金属箔18は、表面に亜鉛粉末が付着しにくくするようにするため、表面の算術平均粗さ(Ra)を3.9μm以下にし、好ましくは1.8μm以下にする。[背景技術]の欄で前述したように、チタンまたはチタン合金からなる金属箔の表面に亜鉛粉末や亜鉛の粉が付着した状態で雨に曝されたり、海洋環境で使用されたりして、表面に水膜ができると、亜鉛がアノード、チタンがカソードとなり、カソードであるチタン表面で水素が発生し、その水素をチタンが吸蔵すると、硬くて脆い水素化物を形成されるからである。
チタンまたはチタン合金からなる金属箔18の厚さは、腐食因子(水、酸素)および腐食促進因子(塩化物イオンなど)が浸透することを確実に断つ観点、ならびに破れにくくする観点から、10μm以上にすることが好ましく、20μm以上にすることがより好ましい。一方、スプリングバックを防止し、エッジ部へのつきまわり性をよくする観点から、金属箔18の厚さは、150μm以下にすることが好ましく、80μm以下にすることがより好ましい。したがって、チタンまたはチタン合金からなる金属箔18の厚さは、10μm以上150μm以下にすることが好ましく、20μm以上80μm以下にすることがより好ましい。
また、金属箔18の表面に電気が流れることを抑制して水素化物の形成がなされにくくする観点から、チタンまたはチタン合金からなる金属箔18の表面には、厚さ2.1nm以上の酸化皮膜が形成されていることが好ましい。
(1−2)効果
本第1実施形態に係る防食被覆10においては、最外層に配置する金属箔18は、チタンまたは所定の組成のチタン合金からなり、耐食性に優れる。また、金属箔18の表面の算術平均粗さ(Ra)は3.9μm以下であり、表面に亜鉛粉末が付着しにくい。
このため、本第1実施形態に係る防食被覆10においては、耐食性に優れるチタンまたはチタン合金からなる最外層の金属箔18の水素脆化が抑制されていて、最外層の金属箔18は長期にわたって健全に保たれ、かつ、金属箔18の下に設けられた防食層14および必要に応じて設けられた下塗り層12と金属箔18との相乗効果により、腐食因子(水、酸素)および腐食促進因子(塩化物イオンなど)の浸透が強力に抑制され、金属基材90は長期にわたって健全に保たれる。
(1−3)形成方法
本第1実施形態に係る防食被覆10を形成する方法は、具体的には例えば、次のステップS1a〜S1eの手順で形成することができる。
(ステップS1a)金属基材90の表面を清浄化処理する。金属基材90の表面の清浄化処理は、具体的には例えば、スチールグリッド、スチールショット、珪砂、ガーネット、銅がらみ等を研掃材とするブラスト処理、電動工具や手動工具等によるケレン処理、ウォーターブラスト処理、研磨紙による研磨等によって行うことができる。
(ステップS1b)清浄化処理を終えた金属基材90の表面に下塗り層12を塗布する。
(ステップS1c)下塗り層12を十分に乾燥させた後、下塗り層12の上に防食層14を設ける。
(ステップS1d)防食層14を十分に乾燥させた後、防食層14の上に粘接着層16(粘着層16Aまたは接着層16B)を設ける。
(ステップS1e)粘接着層16(粘着層16Aまたは接着層16B)に金属箔18を貼り付けて、金属箔18を防食被覆10の最外層に設ける。
なお、ステップS1aおよびステップS1bは必須の工程ではないが、防食被覆10の金属基材90への付着力を向上させる観点および防食被覆10の防食性能を向上させる観点から、ステップS1aおよびステップS1bの工程も行うことが好ましい。
また、金属箔18に、粘接着層16(粘着層16Aまたは接着層16B)を貼り合わせて作製された金属箔部材(図示せず)を、ステップS1cで形成された防食層14に、粘接着層16(粘着層16Aまたは接着層16B)によって貼り付けて、ステップS1dおよびステップS1eを同時に行ってもよく、このようにした方が、施工性の観点から好ましい。
また、前記のようにしてステップS1dおよびステップS1eを同時に行う場合には、前記金属箔部材の粘接着層16(粘着層16Aまたは接着層16B)に予め離型紙を貼り付けておき、この離型紙を剥がして防食層14の上に、前記金属箔部材の粘接着層16(粘着層16Aまたは接着層16B)を貼り付けるようにすることで、さらに施工性を向上させることができる。
(2)第2実施形態
(2−1)構成
図2は、本発明の第2実施形態に係る防食被覆20を模式的に示す断面図である。
本第2実施形態に係る防食被覆20は、図2に示すように、金属基材90の表面に、該表面に近い方から、下塗り層12、防食層14、第1の粘接着層22(粘着層22Aまたは接着層22B)、伸長可能層24(伸長可能樹脂層24Aまたは伸長可能不織布24B)、第2の粘接着層26(粘着層26Aまたは接着層26B)、金属箔18の順序で積層されてなる。
本第2実施形態に係る防食被覆20は、防食層14と金属箔18との間に、防食層14に近い方から順に、第1の粘接着層22(粘着層22Aまたは接着層22B)、伸長可能層24(伸長可能樹脂層24Aまたは伸長可能不織布24B)、第2の粘接着層26(粘着層26Aまたは接着層26B)が設けられている点が、第1実施形態に係る防食被覆10と相違するが、下塗り層12、防食層14および金属箔18ならびに金属基材90は第1実施形態に係る防食被覆10と同様であるので、本第2実施形態に係る防食被覆20の説明においては、下塗り層12、防食層14および金属箔18ならびに金属基材90についての説明は省略する。
第1の粘接着層22は、伸長可能層24(伸長可能樹脂層24Aまたは伸長可能不織布24B)を防食層14に貼り付ける役割を有し、具体的には例えば、ゴム系、アクリル樹脂系、ウレタン樹脂系およびシリコーン樹脂系の粘着剤ならびにエポキシ樹脂系、アクリル樹脂系、ウレタン樹脂系およびシリコーン樹脂系の接着剤よりなる群から選ばれた少なくとも1種の粘着剤または接着剤を用いて形成することができる。ここでは、第1の粘接着層22に粘着層を用いた場合は、第1の粘接着層22を粘着層22Aと記し、第1の粘接着層22に接着層を用いた場合は、第1の粘接着層22を接着層22Bと記すこととする。
第1の粘接着層22(粘着層22Aまたは接着層22B)の厚さは、伸長可能層24(伸長可能樹脂層24Aまたは伸長可能不織布24B)同士をラップさせても、隙間が生じないようにする観点(ラップさせて生じた伸長可能層24(伸長可能樹脂層24Aまたは伸長可能不織布24B)同士の間の段差を第1の粘接着層22で埋めるようにする観点)および防食層14の表面の凹凸を吸収する観点から、20μm以上にすることが好ましく、30μm以上にすることがより好ましい。一方、第1の粘接着層22(粘着層22Aまたは接着層22B)の厚さが厚くなりすぎると、エッジ部へのつきまわり性が悪くなるおそれがあり、また、収縮時に過大な応力が生じて割れが生じるおそれがあることから、第1の粘接着層22に粘着層22Aを用いた場合の厚さは、3500μm以下にすることが好ましく、2500μm以下にすることがより好ましく、第1の粘接着層22に接着層22Bを用いた場合の厚さは、100μm以下にすることが好ましく、80μm以下にすることがより好ましい。したがって、第1の粘接着層22に粘着層22Aを用いた場合の厚さは、20μm以上3500μm以下とすることが好ましく、30μm以上2500μm以下とすることがより好ましく、第1の粘接着層22に接着層22Bを用いた場合の厚さは、20μm以上100μm以下とすることが好ましく、30μm以上80μm以下とすることがより好ましい。
伸長可能層24は、外力を受けて伸長可能な層であり、流木等が衝突しても、金属箔18と金属基材90とが接触することを防ぐ役割を有する。また、伸長可能層24は、第1の粘接着層22および第2の粘接着層26を配置する際のハンドリング性を良くする役割も有する。
伸長可能層24は、伸長可能な樹脂層である伸長可能樹脂層24Aまたは伸長可能な不織布である伸長可能不織布24Bを用いて形成することができ、具体的には例えば、伸長可能樹脂層24Aは、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、ナイロン、ポリカーボネート、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリイミド、シリコーン樹脂、アクリル樹脂よりなる群から選ばれた少なくとも1種を用いて形成することができ、伸長可能不織布24Bは、ガラス繊維、ナイロン繊維、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート)繊維、ポリアミド繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、レーヨン繊維、ビニロン繊維、アクリル繊維よりなる群から選ばれた少なくとも1種を用いて形成することができる。また、伸長可能層24は、ウレタンフォーム、天然ゴム、クロロプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、ブチルゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、シリコーンゴム、ウレタンゴム、ふっ素ゴムを用いて形成することもできる。
伸長可能層24(伸長可能樹脂層24Aまたは伸長可能不織布24B)の厚さは、流木等が衝突しても、金属箔18と金属基材90とが接触することを防ぐ観点から、5μm以上にすることが好ましく、10μm以上にすることがより好ましい。一方、伸長可能層24(伸長可能樹脂層24Aまたは伸長可能不織布24B)の厚さが厚くなりすぎると、ハンドリング性が悪くなるおそれがあることから、伸長可能層24に伸長可能樹脂層24Aを用いた場合の厚さは、150μm以下にすることが好ましく、100μm以下にすることがより好ましく、伸長可能層24に伸長可能不織布24Bを用いた場合の厚さは、300μm以下にすることが好ましく、200μm以下にすることがより好ましい。したがって、伸長可能層24に伸長可能樹脂層24Aを用いた場合の厚さは、5μm以上150μm以下とすることが好ましく、10μm以上100μm以下とすることがより好ましく、伸長可能層24に伸長可能不織布24Bを用いた場合の厚さは、5μm以上300μm以下とすることが好ましく、10μm以上200μm以下とすることがより好ましい。
伸長可能層24にウレタンフォームや発泡ポリエチレン、ゴムなどを用いた場合、ウレタンフォームや発泡ポリエチレン、ゴムなどは薄いものは製作しにくい一方、柔軟性があるため、伸長可能層24の厚さは、50μm以上5000μm以下とするのが好ましく、100μm以上3000μm以下とするのがより好ましい。
第2の粘接着層26は、金属箔18を伸長可能層24に貼り付ける役割を有し、具体的には例えば、ゴム系、アクリル樹脂系、ウレタン樹脂系およびシリコーン樹脂系の粘着剤ならびにエポキシ樹脂系、アクリル樹脂系、ウレタン樹脂系およびシリコーン樹脂系の接着剤よりなる群から選ばれた少なくとも1種の粘着剤または接着剤を用いて形成することができる。ここでは、第2の粘接着層26に粘着層を用いた場合は、第2の粘接着層26を粘着層26Aと記し、第2の粘接着層26に接着層を用いた場合は、第2の粘接着層26を接着層26Bと記すこととする。
第2の粘接着層26(粘着層26Aまたは接着層26B)の厚さは、伸長可能層24(伸長可能樹脂層24Aまたは伸長可能不織布24B)同士をラップさせ、かつ、金属箔18同士をラップさせても、隙間が生じないようにする観点(ラップさせて生じた伸長可能層24(伸長可能樹脂層24Aまたは伸長可能不織布24B)同士の間の段差およびラップさせて生じた金属箔18同士の間の段差を第2の粘接着層26で埋めるようにする観点)から、20μm以上にすることが好ましく、30μm以上にすることがより好ましい。一方、第2の粘接着層26(粘着層26Aまたは接着層26B)の厚さが厚くなりすぎると、エッジ部へのつきまわり性が悪くなるおそれがあり、また、収縮時に過大な応力が生じて割れが生じるおそれがあることから、第2の粘接着層26に粘着層26Aを用いた場合の厚さは、3500μm以下にすることが好ましく、2500μm以下にすることがより好ましく、第2の粘接着層26に接着層26Bを用いた場合の厚さは、100μm以下にすることが好ましく、80μm以下にすることがより好ましい。したがって、第2の粘接着層26に粘着層26Aを用いた場合の厚さは、20μm以上3500μm以下とすることが好ましく、30μm以上2500μm以下とすることがより好ましく、第2の粘接着層26に接着層26Bを用いた場合の厚さは、20μm以上100μm以下とすることが好ましく、30μm以上80μm以下とすることがより好ましい。
(2−2)効果
本第2実施形態に係る防食被覆20においては、最外層に配置する金属箔18は、チタンまたは所定の組成のチタン合金からなり、耐食性に優れる。また、金属箔18の表面の算術平均粗さ(Ra)は3.9μm以下であり、表面に亜鉛粉末が付着しにくい。
このため、本第2実施形態に係る防食被覆20においては、耐食性に優れるチタンまたはチタン合金からなる最外層の金属箔18の水素脆化が抑制されていて、最外層の金属箔18は長期にわたって健全に保たれ、かつ、金属箔18の下に設けられた防食層14および必要に応じて設けられた下塗り層12と金属箔18との相乗効果により、腐食因子(水、酸素)および腐食促進因子(塩化物イオンなど)の浸透が強力に抑制され、金属基材90は長期にわたって健全に保たれる。
また、金属箔18と金属基材90との間に伸長可能層24が設けられており、流木等が衝突しても、金属箔18と金属基材90とが接触することが防止されているので、たとえ流木等が衝突しても、金属箔18と金属基材90とが接触して腐食が促進されることが防止されている。
(2−3)形成方法
本第2実施形態に係る防食被覆20を形成する方法は、具体的には例えば、次のステップS2a〜S2gの手順で形成することができる。
(ステップS2a)金属基材90の表面を清浄化処理する。金属基材90の表面の清浄化処理は、具体的には例えば、スチールグリッド、スチールショット、珪砂、ガーネット、銅がらみ等を研掃材とするブラスト処理、電動工具や手動工具等によるケレン処理、ウォーターブラスト処理、研磨紙による研磨等によって行うことができる。
(ステップS2b)清浄化処理を終えた金属基材90の表面に下塗り層12を塗布する。
(ステップS2c)下塗り層12を十分に乾燥させた後、下塗り層12の上に防食層14を設ける。
(ステップS2d)防食層14を十分に乾燥させた後、防食層14の上に第1の粘接着層22(粘着層22Aまたは接着層22B)を設ける。
(ステップS2e)第1の粘接着層22(粘着層22Aまたは接着層22B)に伸長可能層24(伸長可能樹脂層24Aまたは伸長可能不織布24B)を貼り付ける。
(ステップS2f)伸長可能層24(伸長可能樹脂層24Aまたは伸長可能不織布24B)の上に第2の粘接着層26(粘着層26Aまたは接着層26B)を設ける。
(ステップS2g)第2の粘接着層26(粘着層26Aまたは接着層26B)に金属箔18を貼り付けて、金属箔18を防食被覆20の最外層に設ける。
なお、ステップS2aおよびステップS2bは必須の工程ではないが、防食被覆20の金属基材90への付着力を向上させる観点および防食被覆20の防食性能を向上させる観点から、ステップS2aおよびステップS2bの工程も行うことが好ましい。
また、金属箔18、第2の粘接着層26(粘着層26Aまたは接着層26B)、伸長可能層24(伸長可能樹脂層24Aまたは伸長可能不織布24B)、第1の粘接着層22(粘着層22Aまたは接着層22B)の順序で積層されてなる金属箔部材を、ステップS2cで形成された防食層14に、第1の粘接着層22(粘着層22Aまたは接着層22B)によって貼り付けて、ステップS2d〜ステップS2gを同時に行ってもよく、このようにした方が、施工性の観点から好ましい。
また、前記のようにしてステップS2d〜ステップS2gを同時に行う場合には、前記金属箔部材の第1の粘接着層22(粘着層22Aまたは接着層22B)に予め離型紙を貼り付けておき、この離型紙を剥がして防食層14の上に、前記金属箔部材の第1の粘接着層22(粘着層22Aまたは接着層22B)を貼り付けるようにすることで、さらに施工性を向上させることができる。
(1)チタン箔の表面の算術平均粗さ(Ra)と水素化物の形成との関係についての検討(実施例1〜7、比較例1〜3)
チタン箔の表面の算術平均粗さ(Ra)と、チタン箔の表面における水素化物の形成との関係について評価を行った。
実施例1〜3においては、150mm×70mm×厚さ0.1mmのJIS1種のチタン箔を用いた。実施例1〜3で用いたチタン箔の表面の算術平均粗さ(Ra)は、実施例1では0.8μm、実施例2では1.8μm、実施例3では3.9μmであった。
実施例4、5においては、150mm×70mm×厚さ0.02mmのJIS1種のチタン箔を用いた。実施例4、5で用いたチタン箔の表面の算術平均粗さ(Ra)は、実施例4では0.02μm、実施例5では0.12μmであった。
実施例6においては、150mm×70mm×厚さ0.04mmのJIS1種のチタン箔を用い、実施例7においては、150mm×70mm×厚さ0.06mmのJIS1種のチタン箔を用いた。実施例6、7で用いたチタン箔の表面の算術平均粗さ(Ra)は、実施例6では0.6μm、実施例7では0.7μmであった。
比較例1、2においては、150mm×70mm×厚さ0.1mmのJIS1種のチタン箔を用い、比較例3においては、150mm×70mm×厚さ0.2mmのJIS1種のチタン箔を用いた。比較例1〜3で用いたチタン箔の表面の算術平均粗さ(Ra)は、比較例1では4.7μm、比較例2では5.5μm、比較例3では6.2μmであった。
前記した実施例1〜7および比較例1〜3のチタン箔を水平に置き、無機ジンク用の亜鉛粉末(平均粒径4〜8μm)を前記チタン箔の表面にそれぞれ振り撒いた後、水洗いして亜鉛粉末を除去した。この処理を行ったチタン箔を、大気中で30℃に保持した静止状態の人工海水中に30日間浸漬する浸漬試験を行った。浸漬試験終了後、試験片から30mm×5mm×厚さ0.1mmの大きさの断面観察用の小片を切り出し、樹脂埋めした後、断面を研磨し、表面部分をエッチングして光学顕微鏡で200倍の倍率で断面組織観察を行い、水素化物の形成の有無を観察した。なお、比較例1〜3においては、浸漬試験終了後のチタン箔の表面に白色の腐食生成物(塩基性塩化亜鉛)が疎らに付着していたため、断面観察用の小片は、腐食生成物の付着した部分から切り出した。
また、上記実施例1〜7及び比較例1〜3で用いたチタン箔の表面の算術平均粗さ(Ra)は、株式会社東京精密製の表面粗さ計(ハンディサーフ E−35A)を用いて測定するとともに、用いたチタン箔の表面の酸化皮膜の厚さは、日本電子株式会社製のオージェマイクロプローブJAMP−9500Fを用いてオージェ電子分光法でそれぞれ測定したものである。
以上の結果を、次の表1に示す。
Figure 0006777182
表1に示すように、チタン箔の表面の算術平均粗さRaが3.9μm以下の実施例1〜7においては、浸漬試験後もチタン箔に水素化物が形成されていなかった。後述する「(3)チタン箔表面の酸化皮膜の厚さと水素化物の形成との関係についての検討」においては、チタン箔表面に亜鉛粉末を押し付けるという条件を課したが、実施例1〜7及び比較例1〜3においてはその条件を課しておらず、実施例1〜7においては、チタン箔表面の酸化皮膜の厚さに関わらず、チタン箔表面の算術平均粗さRaが3.9μm以下の場合、浸漬試験実施前の水洗いでチタン箔の表面の亜鉛粉末は除去されて、チタン箔の表面には亜鉛粉末は付着していないと考えられる。一方、チタン箔の表面の算術平均粗さRaが3.9μmを上回る比較例1〜3においては、浸漬試験後のチタン箔に水素化物が形成されていることから、チタン箔表面の酸化皮膜の厚さに関わらず、亜鉛粉末は除去されず、比較例1〜3においては、浸漬試験を行ったチタン箔の表面に亜鉛粉末が付着していたものと考えられる。
なお、以上説明した実施例1〜7および比較例1〜3は、チタン箔の表面の算術平均粗さ(Ra)と、チタン箔の表面における水素化物の形成との関係について評価を行った実施例および比較例であるが、当該チタン箔は本発明に係る防食被覆の最外層に設けられる層であり、当該チタン箔と金属基材との間に配置される防食層および粘接着層等はチタン水素化物の形成に影響を与えない。従って、前記した実施例1〜7および比較例1〜3のチタン箔についての実験結果は、チタン箔を構成要素として含む本発明に係る防食被覆の実験結果と捉えることができる。
(2)チタン箔の厚さとつきまわり性についての検討(実施例8〜13、実施例14(参考例1))
次に、表面の算術平均粗さRaが3.9μm以下のチタン箔について、その厚さとつきまわり性(金属母材のエッジ部におけるチタン箔のつきまわり性)の関係について評価を行った。スチールグリッドを用いてブラスト処理した長さ150mmの等辺山形鋼(90mm×90mm×厚さ6.0mm)の表面に、無機ジンクリッチペイントを75μmの厚さとなるようにスプレー塗装して室温で3日間乾燥させて下塗り層を設けた後、エポキシ樹脂系防食塗料を下塗り層の上にスプレー塗装し、室温で2日間乾燥させて基材表面に膜厚120μmの防食層を形成した(前記等辺山形鋼は、前述した第1および第2実施形態の防食被覆10および20における金属基材90に対応する。)。その後、厚さが10μm(実施例8)、20μm(実施例9)、40μm(実施例10)、60μm(実施例11)、100μm(実施例12)、150μm(実施例13)、180μm(実施例14(参考例1))のチタン箔の片側の面に予めアクリル系両面粘着テープ(株式会社寺岡製作所製、NO.7642)を貼り付けて構成した金属箔部材を、防食層の表面に貼り付けた。用いたアクリル系両面粘着テープの支持体はポリエチレンテレフタレートフィルム(伸長可能樹脂層24Aに対応)であり、その両面にアクリル系粘着剤(粘着層22A、26Aに対応)が設けられている。貼り付けの際には、等辺山形鋼のエッジ部は、手でエッジ部になじむように金属箔部材を折り曲げて貼り付けた。このようにして金属箔部材を貼り付けた後、シリコーンゴム製ローラーにより金属箔部材を等辺山形鋼に圧着させた。圧着させた後、金属箔部材を剥がし、未付着部が無いか確認を行った。
なお、用いたチタン箔の表面の算術平均粗さ(Ra)は、株式会社東京精密製の表面粗さ計(ハンディサーフ E−35A)を用いて測定するとともに、用いたチタン箔の表面の酸化皮膜の厚さを、日本電子株式会社製のオージェマイクロプローブJAMP−9500Fを用いてオージェ電子分光法で測定している。
以上の結果を、次の表2に示す。
Figure 0006777182
表2に示すように、チタン箔の厚さが10μm以上150μm以下の実施例8〜13は、いずれも、エッジ周囲においても未付着部はなく、つきまわり性が良好で、チタン箔は等辺山形鋼に良好に付着していた。
一方、チタン箔の厚さが180μmの実施例14(参考例1)は、チタン箔表面に水素化物が発生しない前述した条件(チタン箔表面の算術平均粗さRaが3.9μm以下)を満たすものの、エッジ周囲において未付着部が観察され、良好な付着状態ではなく、つきまわり性については良好ではなかった。そこで、実施例14については、括弧つきで参考例1と表示している。
チタン箔の厚さが150μmを超えると、チタン箔の曲げ剛性が大きくなりすぎて、スプリングバック(板状の材料を曲げたときに元に戻ってしまう現象)が起こったため、実施例14(参考例1)の前記現象が起きたと考えられる。したがって、実施例14(参考例1)のチタン箔を、大きな曲げを受ける部材に対して用いることはあまり好ましくない。
(3)チタン箔表面の酸化皮膜の厚さと水素化物の形成との関係についての検討(実施例15〜17、実施例18(参考例2))
チタン箔の表面に亜鉛粉末が付着した場合に、チタン箔の表面の酸化皮膜の厚さがチタン箔の表面における水素化物の形成にどう関係しているかを確認するための評価を行った。
JIS1種で表面の算術平均粗さ(Ra)が0.8μmであり、実施例1〜14と同様に表面の算術平均粗さ(Ra)が3.9μm以下であるチタン箔(150mm×70mm×厚さ0.1mm)を、大気雰囲気中において620℃で保持してチタン箔の表面の酸化皮膜の厚さを増加させた。その際、大気雰囲気中における620℃での保持時間を変えて、酸化皮膜の厚さの異なる3種類のサンプル(実施例15〜17)を作製した。実施例15、16、17のチタン箔の表面の酸化皮膜の厚さは、それぞれ、5.7nm、9.0nm、12.6nmであった。
また、JIS1種で表面の算術平均粗さ(Ra)が実施例15〜17と同様に0.8μmであるチタン箔(150mm×70mm×厚さ0.1mm)を、硝酸とふっ酸の混合液中で酸洗して、チタン箔表面の酸化皮膜を除去した。酸洗後のチタン箔表面の酸化皮膜の厚さは1.3nmであり、このサンプルを実施例18(参考例2)とした。
そして、前記のようにして作製した実施例15〜17および実施例18(参考例2)のチタン箔を水平に置き、無機ジンク用の亜鉛粉末(平均粒径4〜8μm)を前記チタン箔の表面にそれぞれ振り撒いた後、ステンレス製ローラーで亜鉛粉末をチタン箔に強く押し付け、亜鉛粉末をチタン箔の表面に象嵌させた。
これは、チタン箔の表面に亜鉛粉末が付着した場合に、チタン箔の表面の酸化皮膜の厚さがチタン箔の表面における水素化物の形成にどう影響するかを確認するための処理であり、例えば海洋構造物に対して防食被覆を形成した後に、作業者が手すりや配管、配線の取付などの工事のために防食被覆上を歩くなどして、亜鉛粉をチタン箔に強く押し付けてしまう状況に対応するものである。
チタン箔表面へ亜鉛粉末を象嵌させる作業を行った後、水洗いして余分な亜鉛粉末を除去した。この処理を行ったチタン箔を、大気中で30℃に保持した静止状態の人工海水中に30日間浸漬する浸漬試験を行った。
浸漬試験終了後、実施例1〜7および比較例1〜3と同様にして、実施例15〜17および実施例18(参考例2)のサンプルについて、水素化物の形成の有無を確認するための断面組織観察を行った。なお、実施例18(参考例2)においては、浸漬試験終了後のチタン箔の表面に白色の腐食生成物(塩基性塩化亜鉛)が疎らに付着していたため、断面観察用の小片は、腐食生成物の付着した部分から切り出した。
なお、用いたチタン箔(浸漬試験前のチタン箔)の表面の算術平均粗さ(Ra)および酸化皮膜の厚さは、実施例1〜7および比較例1〜3ならびに実施例8〜13および実施例14(参考例1)と同様の方法で測定した。
以上の結果を、次の表3に示す。
Figure 0006777182
実施例15〜17および実施例18(参考例2)のチタン箔の表面には、前述したように亜鉛粉末が象嵌しており、表面を水洗いした後も、象嵌した亜鉛粉末はチタン箔の表面に留まると考えられる。
しかしながら、表3に示すように、浸漬試験終了後の実施例15〜17のチタン箔の表面には水素化物は形成されていない。これは、実施例15〜17のチタン箔の表面の酸化皮膜の厚さが5.7nm〜12.6nmと大きいため、チタン箔の表面に電気が流れにくく、水素の発生が抑えられたためと考えられる。
一方、実施例18のチタン箔の表面には水素化物がわずかながら形成されている。これは、参考例1のチタン箔の表面の酸化皮膜の厚さが1.3nmと小さいため、チタン箔表面に電気が流れやすく、水素の発生が抑えられないためと考えられる。実施例18においては、水素化物が発生していたため、括弧つきで参考例2として表示している。
実施例18(参考例2)のようにチタン箔表面の酸化皮膜の膜厚が小さい場合、作業者がチタン箔上に亜鉛粉末を押し付けてしまうような状況が想定される海洋構造物の工事に用いることは、やや不向きであると考えられる。
なお、以上説明した実施例15〜17および実施例18(参考例2)は、チタン箔の表面の酸化皮膜の厚さと、チタン箔の表面における水素化物の形成との関係について評価を行った実施例であり、本発明に係る防食被覆の構成要素の1つであるチタン箔のみを取り出して実験を行っているが、当該チタン箔は本発明に係る防食被覆の最外層に設けられる層であり、当該チタン箔と金属基材との間に配置される防食層および粘接着層等はチタン水素化物の形成に影響を与えないため、実施例15〜17および実施例18(参考例2)のチタン箔についての実験結果は、チタン箔を構成要素として含む本発明に係る防食被覆の実験結果と捉えることができる。
(4)剥離の進展抑制効果についての検討(実施例19〜36、実施例37〜42(参考例3〜8))
以上述べてきた実施例1〜18及び比較例1〜3の結果から、チタン箔の表面に水素化物が形成されにくく、かつ、金属基材のエッジ周囲においてもつきまわり性が良好なチタン箔の条件として、具体的には例えば、厚さ20μm以上80μm以下、表面の算術平均粗さ(Ra)1.8μm以下、表面の酸化皮膜の厚さ2.1nm以上を挙げることができる。
この条件を満たすチタン箔をとして、厚さ40μm、表面の算術平均粗さ(Ra)が0.68μmで、表面の酸化皮膜の厚さが2.1nmであるチタン箔を用いて、下塗り層、防食層、粘接着層を変えて種々の防食被覆サンプルを作製した。金属基材としては、スチールグリッドを用いてブラスト処理した150mm×70mm×厚さ0.1mmの鋼板を用いた。
そして、作製した防食被覆サンプルに長さ5cmの切り込み(人工傷)を入れて、浸漬試験を行い、浸漬試験終了後、切り込み(人工傷)を中心とする左右の剥離長さ(図3参照)の最大値を測定し、剥離長さが10mm以下のものを合格、10mmより長いものを不合格として評価を行い、本発明の範囲に含まれる実施例19〜36は、切り込み(人工傷)があっても剥離が進展しにくいことを確認した。図3は、防食被覆サンプルに長さ5cmの切り込み(人工傷)を入れた部分を拡大して模式的に示した拡大模式図であり、符号50は防食被覆であり、符号52は切り込み(人工傷)であり、符号54は剥離領域である。符号56は剥離長さを示しており、符号56が指し示す矢印の長さが剥離長さを示している。
以下、各防食被覆サンプルの構成、実験条件、測定した剥離長さ等について具体的に説明する。
(4−1)実施例19
スチールグリッドを用いてブラスト処理した150mm×70mm×厚さ0.1mmの鋼板の表面に、無機ジンクリッチペイントを75μmの厚さとなるようにスプレー塗装して室温で3日間乾燥させて下塗り層を設けた後、エポキシ樹脂系防食塗料を下塗り層の上にスプレー塗装し、室温で2日間乾燥させて基材表面に膜厚120μmの防食層を形成した。
次に、エポキシ樹脂系接着剤を35μmの膜厚となるように刷毛で塗布した後、厚さ40μm、表面の算術平均粗さ(Ra)0.6μm、表面の酸化皮膜の厚さ2.1nmのチタン箔を、形成した防食層の表面に貼り付け、シリコーンゴム製ローラーにより接着して防食被覆サンプルを作製した。作製した防食被覆サンプルに、鋼板素地まで達する切り込み(人工傷)52を、長さ5cmとなるようにミニドリルで形成した。切り込み(人工傷)52を入れた防食被覆サンプルを、50℃の3%NaCl水溶液中に100日間浸漬する浸漬試験を行った。浸漬試験終了後、防食被覆を剥がして、切り込み(人工傷)52を中心とする左右の剥離長さ56(図3参照)の最大値を測定したところ6.1mmであり、合格であった。
(4−2)実施例20〜22
チタン箔を貼り付ける粘接着剤を、ウレタン樹脂系接着剤(実施例20)、シリコーン樹脂系接着剤(実施例21)、アクリル樹脂系接着剤(実施例22)に変更した以外は、実施例19と同様にして、実施例20〜22の各防食被覆サンプルを作製して浸漬試験を行い、切り込み(人工傷)52を中心とする左右の剥離長さ56(図3参照)の最大値を測定したところ、実施例20は7.8mm、実施例21は7.7mm、実施例22は7.1mmであり、いずれも合格であった。
(4−3)実施例23〜26
チタン箔を貼り付ける粘接着剤を、アクリル樹脂系粘着剤シート(実施例23)、ウレタン樹脂系粘着剤シート(実施例24)、シリコーン樹脂系粘着剤シート(実施例25)、ゴム系粘着剤シート(実施例26)に変更した以外は、実施例19と同様にして、実施例23〜26の各防食被覆サンプルを作製して浸漬試験を行い、切り込み(人工傷)52を中心とする左右の剥離長さ56(図3参照)の最大値を測定したところ、実施例23は6.5mm、実施例24は6.7mm、実施例25は7.0mm、実施例26は6.3mmであり、いずれも合格であった。
(4−4)実施例27〜31
下塗り層を、有機ジンクリッチペイント75μm(実施例27)、エポキシ樹脂系塗料50μm(実施例28)、変性エポキシ樹脂系塗料50μm(実施例29)、エッチングプライマー15μm(実施例30)、下塗り層無し(実施例31)に変更した以外は、実施例19と同様にして、実施例27〜31の各防食被覆サンプルを作製して浸漬試験を行い、切り込み(人工傷)52を中心とする左右の剥離長さ56(図3参照)の最大値を測定したところ、実施例27は5.1mm、実施例28は4.8mm、実施例29は7.0mm、実施例30は9.5mm、実施例31は9.2mmであり、いずれも合格であった。
(4−5)実施例32〜34
防食層を、グラスファイバー(GF)入りエポキシ樹脂塗料800μm(実施例32)、変性エポキシ樹脂塗料120μm(実施例33)、超厚膜形エポキシ樹脂塗料2000μm(実施例34)に変更した以外は、実施例19と同様にして、実施例32〜34の各防食被覆サンプルを作製して浸漬試験を行い、切り込み(人工傷)52を中心とする左右の剥離長さ56(図3参照)の最大値を測定したところ、実施例32は6.6mm、実施例33は6.0mm、実施例34は3.2mmであり、いずれも合格であった。
(4−6)実施例35、36
チタン箔を貼り付ける粘接着剤を、ポリエチレンフィルムの両面にアクリル樹脂系粘着剤を貼った両面テープ(アクリル樹脂系粘着剤両面テープ1)(実施例35)、ポリエステル繊維製不織布にアクリル樹脂系粘着剤を貼った両面テープ(アクリル樹脂系粘着剤両面テープ2)(実施例36)に変更した以外は、実施例19と同様にして、実施例35、36の各防食被覆サンプルを作製して浸漬試験を行い、切り込み(人工傷)52を中心とする左右の剥離長さ56(図3参照)の最大値を測定したところ、実施例35は5.1mm、実施例36は5.0mmであり、いずれも合格であった。
なお、実施例35、36で用いた粘接着剤には、伸長可能層(伸長可能樹脂層または伸長可能不織布)が含まれており、実施例35で用いた伸長可能層は伸長可能樹脂層であるポリエチレンフィルムであり、実施例36で用いた伸長可能層は伸長可能不織布であるポリエステル繊維製不織布である。
実施例35、36で用いた伸長可能層に代えて、ポリプロピレン、塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、ナイロン、ポリカーボネート、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリイミド、シリコーン樹脂、アクリル樹脂よりなる群から選ばれた少なくとも1種の伸長可能樹脂層、もしくはガラス繊維、ナイロン繊維、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート)繊維、ポリアミド繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、レーヨン繊維、ビニロン繊維、アクリル繊維よりなる群から選ばれた少なくとも1種の伸長可能不織布、もしくはウレタンフォーム、天然ゴム、クロロプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、ブチルゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、シリコーンゴム、ウレタンゴム、ふっ素ゴムよりなる群から選ばれた少なくとも1種の伸長可能な層を、伸長可能層として用いても、これらが水分と反応せず、かつ、界面を水が浸透したり、水蒸気を通したりしないため、腐食因子および腐食促進因子が浸入しにくく、実施例35、36と同様の効果が得られると考えられる。
(4−7)実施例37、38(参考例3、4)
チタン箔を貼り付ける粘接着剤を、酢酸ビニル系接着剤(実施例37(参考例3))、ニトリルゴム系接着剤(実施例38(参考例4))に変更した以外は、実施例19と同様にして、実施例37、38(参考例3、4)の各防食被覆サンプルを作製して浸漬試験を行い、切り込み(人工傷)52を中心とする左右の剥離長さ56(図3参照)の最大値を測定したところ、実施例37(参考例3)は15.2mm、実施例38(参考例4)は20.5mmであり、いずれも、切り込み(人工傷)がある場合には、剥離の進展しにくさについては良好な結果が得られなかった。
実施例37(参考例3)で用いた酢酸ビニル系接着剤は、水分と反応して分解するため、浸漬試験後にチタン箔が剥離しており、このため、浸漬試験後の剥離長さが長くなったものと考えられる。
また、実施例38(参考例4)で用いたニトリルゴム系接着剤は、水との親和性がよく、界面を通して水が浸透するため、腐食因子および腐食促進因子が浸入しやすく、このため、浸漬試験後の剥離長さが長くなったものと考えられる。
(4−8)実施例39(参考例5)
下塗り層を、油性さび止めペイント35μmに変更した以外は、実施例19と同様にして、実施例39(参考例5)の防食被覆サンプルを作製して浸漬試験を行い、切り込み(人工傷)52を中心とする左右の剥離長さ56(図3参照)の最大値を測定したところ、23.0mmであり、切り込み(人工傷)がある場合には、剥離の進展しにくさについては良好な結果が得られなかった。
実施例39(参考例5)で用いた油性さび止めペイントは、付着力が弱く、防食性が弱いため、腐食因子および腐食促進因子が浸入しやすく、このため、浸漬試験後の剥離長さが長くなったものと考えられる。
(4−9)実施例40〜42(参考例6〜8)
防食層を、塩化ゴム樹脂塗料35μm(実施例40(参考例6))、アクリルシリコーン樹脂塗料50μm(実施例41(参考例7))、ふっ素樹脂系塗料35μm(実施例42(参考例8))に変更した以外は、実施例19と同様にして、実施例40〜42(参考例6〜8)の各防食被覆サンプルを作製して浸漬試験を行い、切り込み(人工傷)52を中心とする左右の剥離長さ56(図3参照)の最大値を測定したところ、実施例40(参考例6)は18.8mm、実施例41(参考例7)は20.6mmであり、実施例42(参考例8)は22.3mmであり、いずれも、切り込み(人工傷)がある場合には、剥離の進展しにくさについては良好な結果が得られなかった。
実施例40(参考例6)で用いた塩化ゴム樹脂塗料、実施例41(参考例7)で用いたアクリルシリコーン樹脂塗料、および実施例42(参考例8)で用いたふっ素樹脂系塗料は、水蒸気を通すため、腐食因子および腐食促進因子が浸入しやすく、このため、浸漬試験後の剥離長さが長くなったものと考えられる。
(4−10)実施例19〜36および実施例37〜42(参考例3〜8)の防食被覆サンプルの構成および実験結果のまとめ
次の表4に、実施例19〜36および実施例37〜42(参考例3〜8)の防食被覆サンプルの構成および実験結果をまとめて示す。剥離長さが合格(剥離長さが10mm以下)の場合を○、不合格(剥離長さが10mm超)の場合を×で記載している。
なお、実施例37〜42は、剥離長さについては不適の結果が出ているため、括弧つきでそれぞれ参考例3〜8として表示している。
Figure 0006777182
10、20、50…防食被覆
12…下塗り層
14…防食層
16…粘接着層
16A、22A、26A…粘着層
16B、22B、26B…接着層
18…金属箔
22…第1の粘接着層
24…伸長可能層
24A…伸長可能樹脂層
24B…伸長可能不織布
26…第2の粘接着層
52…切り込み(人工傷)
54…剥離領域
56…剥離長さ
90…金属基材

Claims (7)

  1. 金属基材の表面に、該表面に近い方から、
    (1)エポキシ樹脂系塗料で実質的に形成された防食層、
    (2)粘着剤または接着剤で実質的に形成された粘接着層、
    (3)表面の算術平均粗さが3.9μm以下であるチタンまたはチタン合金で実質的に形成された金属箔、
    の順序で、前記防食層、前記粘接着層、および前記金属箔を有し
    前記粘接着層は、前記金属基材の表面に近い方から順に第1の粘接着層と第2の粘接着層を含み、前記第1の粘接着層と前記第2の粘接着層との間に、伸長可能な伸長可能層を有し、
    前記伸長可能層は、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、ナイロン、ポリカーボネート、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリイミド、シリコーン樹脂、アクリル樹脂よりなる群から選ばれた少なくとも1種で実質的に形成された伸長可能樹脂層、もしくはガラス繊維、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、レーヨン繊維、ビニロン繊維、アクリル繊維よりなる群から選ばれた少なくとも1種で実質的に形成された伸長可能不織布であるか、もしくはウレタンフォーム、天然ゴム、クロロプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、ブチルゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、シリコーンゴム、ウレタンゴム、ふっ素ゴムよりなる群から選ばれた少なくとも1種で実質的に形成されていることを特徴とする防食被覆。
  2. 前記金属箔の表面には、厚さが2.1nm以上の酸化皮膜が実質的に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の防食被覆。
  3. 前記第1の粘接着層および前記第2の粘接着層は、ゴム系、アクリル樹脂系、ウレタン樹脂系およびシリコーン樹脂系の粘着剤ならびにエポキシ樹脂系、アクリル樹脂系、ウレタン樹脂系およびシリコーン樹脂系の接着剤よりなる群から選ばれた少なくとも1種の粘着剤または接着剤で実質的に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の防食被覆。
  4. 前記金属箔の厚さが10μm以上150μm以下であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の防食被覆。
  5. 前記金属基材の表面と前記防食層との間に、無機ジンクリッチペイント、有機ジンクリッチペイント、エポキシ樹脂系塗料、変性エポキシ樹脂系塗料のうち少なくとも1つを用いて実質的に形成された下塗り層を設けることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の防食被覆。
  6. 金属基材の表面に防食層を形成する防食層形成工程と、
    次の(1)〜(4)の順序、即ち、
    (1)表面の算術平均粗さが3.9μm以下であって、前記表面には酸化皮膜が形成されているチタンまたはチタン合金で実質的に形成された金属箔、
    (2)ゴム系、アクリル樹脂系、ウレタン樹脂系およびシリコーン樹脂系の粘着剤ならびにエポキシ樹脂系、アクリル樹脂系、ウレタン樹脂系およびシリコーン樹脂系の接着剤よりなる群から選ばれた少なくとも1種の粘着剤または接着剤で実質的に形成された第2の粘接着層、
    (3)ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、ナイロン、ポリカーボネート、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリイミド、シリコーン樹脂、アクリル樹脂よりなる群から選ばれた少なくとも1種で実質的に形成された伸長可能樹脂層、もしくはガラス繊維、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、レーヨン繊維、ビニロン繊維、アクリル繊維よりなる群から選ばれた少なくとも1種で実質的に形成された伸長可能不織布、もしくはウレタンフォーム、天然ゴム、クロロプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、ブチルゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、シリコーンゴム、ウレタンゴム、ふっ素ゴムよりなる群から選ばれた少なくとも1種で実質的に形成された伸長可能層、
    (4)ゴム系、アクリル樹脂系、ウレタン樹脂系およびシリコーン樹脂系の粘着剤ならびにエポキシ樹脂系、アクリル樹脂系、ウレタン樹脂系およびシリコーン樹脂系の接着剤よりなる群から選ばれた少なくとも1種の粘着剤または接着剤で実質的に形成された第1の粘接着層、
    の順序で積層されてなる金属箔部材を、前記第1の粘接着層によって、前記防食層形成工程で形成された前記防食層に貼り付ける金属箔貼り付け工程と、
    を有することを特徴とする防食被覆の形成方法。
  7. 前記金属箔部材の前記第1の粘接着層には、予め離型紙が貼り付けられており、前記金属箔貼り付け工程においては、前記離型紙を剥がして前記防食層の上に、前記金属箔部材の前記第1の粘接着層を貼り付けることを特徴とする請求項に記載の防食被覆の形成方法。
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