JP4424536B2 - 重防食積層被膜、重防食積層被膜付き鋼材および重防食積層被膜の形成方法 - Google Patents

重防食積層被膜、重防食積層被膜付き鋼材および重防食積層被膜の形成方法 Download PDF

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Description

本発明は、屋外の様々な腐食環境において長期間の耐候性および防食性に優れる重防食積層被膜、重防食積層被膜付き鋼材および重防食積層被膜の形成方法に関する。
従来から各種の土木構造物、建築物、港湾設備、プラント、船舶、橋梁、電力設備、通信設備等の大型の鉄鋼構造物には、腐食防止のため、通常重防食塗装が施されている。重防食塗装は、鋼板表面に数百〜数千ミクロンの厚さの塗膜(重防食被膜)を形成して鋼板表面を遮蔽し、酸素、塩素、水蒸気等の浸入を防止して鋼板の腐食を防止するものである。
近年では、鉄鋼構造物が大型化する傾向にあり、それにつれて維持管理のコスト負担が大きくなってきている。したがって、屋外の様々な腐食環境において、さらに長期に亘る耐候性および防食性に優れる重防食被膜で保護された被覆鋼材が求められている。このような観点から、鉄鋼構造物の表面に、各種の防食用樹脂系塗料を塗り重ねて重防食積層被膜を形成する方法が広く行われている。しかしながら、樹脂被膜は酸素や水分を完全に遮断することはできないため、従来の重防食積層被膜を数十年間に亘って使用すると、樹脂被膜が劣化し、層間の接着強度が弱くなったり、被膜に亀裂が発生するため、防食性や耐候性に問題が発生する。
そのような問題を解決するものとして、最外層にチタンなどの金属層を有する重防食積層被膜が鋼材表面に形成された重防食積層被膜付き鋼材(重防食被覆鋼材)が開発されている(例えば、特許文献1〜3参照)。このような重防食被覆鋼材は、最外層に金属層を有するため、防食性が改善されているが、金属層が直接に腐食環境にさらされるため、防食性および耐候性に優れているとは言い難いものであった。さらに、最外層が金属層であるため、自由な色彩を選択することができず、適用場所が制限されるという問題があった。
一方、鋼材表面に、エポキシ樹脂やウレタン樹脂からなる粘接着面を有する接着シートを貼り付け、さらにその表面に金属層(最外層)を設けた重防食被覆鋼材が開発されている(例えば、特許文献4〜5参照)。このような重防食被覆鋼材の製造に際しては、粘着層を設けるために塗装作業を行う必要がないため、作業性や製造コストに優れる。しかしながら、このような重防食被覆鋼材も最外層に金属層を有するため、上記と同様の問題を有していた。
そのような問題を解決するものとして、金属層上にさらに樹脂層等が形成された重防食被覆鋼材が開発されている(例えば、特許文献6〜11参照)。このような重防食被覆鋼材は、金属層上にさらに樹脂層が形成されているため防食性および耐候性が改善されているものの、いずれもその程度は満足できるものではない。すなわち、金属層と鋼材との接着性が充分ではなく、重防食被覆鋼材が長期間の腐食環境にさらされた場合には、積層膜に浮きや剥がれなどが発生するという問題があった。
また、金属層上にさらにセラミックス層が形成された重防食被覆鋼材が開発されている(例えば、特許文献12参照)。セラミックス層は、耐腐食性に優れ、外部からの衝撃に対しては耐衝撃性に優れており、長期間に亘る防食性が改善されている。しかしながら、セラミックス層は美観性に優れるとは言い難く、また広範囲に施行する場合においては、
コスト面で問題が生じる。さらに、セラミックスは、可撓性がないため、内部からの応力に対しては弱く、例えば鋼材が温度変化により膨張・収縮を繰り返した場合には、セラミックス層に亀裂が生じるなどの問題があった。このような亀裂により、積層膜の間に水分等が侵入し、積層膜に浮きや剥がれなどが発生するため、重防食被覆鋼材の長期の防食性には依然として問題があった。
特公平2−19253号公報 特開平2−221513号公報 特開2001−81800号公報 特公平2−53698号公報 特開平10−58030号公報 特開昭62−11639号公報 特開昭62−299337号公報 特公平5−88186号公報 実開昭64−14144号公報 特許2636869号公報 特許3360907号公報 特開平2−232415号公報
本発明はこのような従来技術の問題点を解決するものであって、様々な腐食環境に適用した場合においても長期間の耐候性および防食性に優れるとともに、美観性にも優れる重防食積層被膜、重防食積層被膜付き鋼材および重防食積層被膜の形成方法を提供することを目的とする。
本発明に係る防食性に優れた重防食積層被膜は、金属基材表面に、下記(1)〜(5)の順序で積層されてなることを特徴とする;
(1)重防食被膜、金属被膜、および樹脂ライニング被膜よりなる群から選ばれた少なくとも1種の被膜からなる防食層、
(2)ゴム系、石油樹脂系、アクリル樹脂系、エポキシ樹脂系、ウレタン樹脂系、およびシリコーン樹脂系の粘接着剤よりなる群から選ばれた少なくとも1種の粘接着剤を含んでなる粘接着層、
(3)防食性金属箔からなる金属層、
(4)プライマー塗料から形成されたプライマー層、
(5)エポキシ樹脂系、フッ素樹脂系、ポリウレタン樹脂系、アクリルシリコーン樹脂系、および無機質系の耐候性塗料よりなる群から選ばれた少なくとも1種の耐候性塗料から形成された耐候層。
粘接着層(2)は、シート状の基材の少なくとも一方の面に粘接着面を有し、該粘接着面が、ゴム系、石油樹脂系、アクリル樹脂系およびシリコーン樹脂系の粘接着剤よりなる群から選ばれた少なくとも1種の粘接着剤から形成されていることが好ましい。
本発明に係る耐候性および防食性に優れた重防食積層被膜の形成方法は、金属基材表面に、下記(1)〜(5)の順序で積層することを特徴とする;
(1)重防食被膜、金属被膜、および樹脂ライニング被膜よりなる群から選ばれた少なくとも1種の被膜からなる防食層、
(2)ゴム系、石油樹脂系、アクリル樹脂系、エポキシ樹脂系、ウレタン樹脂系、およびシリコーン樹脂系の粘接着剤よりなる群から選ばれた少なくとも1種の粘接着剤を含んでなる粘接着層、
(3)防食性金属箔からなる金属層、
(4)エポキシ樹脂系またはポリウレタン樹脂系のプライマー塗料から形成されたプライマー層、
(5)エポキシ樹脂系、フッ素樹脂系、ポリウレタン樹脂系、アクリルシリコーン樹脂系、および無機質系の耐候性塗料よりなる群から選ばれた少なくとも1種の耐候性塗料から形成された耐候層。
また、本発明に係る耐候性および防食性に優れた重防食積層被膜の形成方法は、金属基材表面に下記(1)〜(5)の順序で積層された積層被膜の形成方法であって、前記積層被膜の形成方法は、金属基材表面に、防食層(1)を形成した後、該防食層(1)表面に、粘接着層(2)と金属層(3)とを貼り合わせて作製された積層体を貼りつけ、次いでこの積層体表面にプライマー層(4)および耐候層(5)を順に形成することを特徴とする;
(1)塗装被膜、金属被膜および樹脂ライニング被膜よりなる群から選ばれた少なくとも1種の防食被膜からなる防食層、
(2)シート状の基材の少なくとも一方の面に、ゴム系、石油樹脂系、アクリル樹脂系およびシリコーン樹脂系の粘接着剤よりなる群から選ばれた少なくとも1種の粘接着剤から形成された粘接着面を有する接着シートからなる粘接着層、
(3)防食性金属箔からなる金属層、
(4)エポキシ樹脂系またはポリウレタン樹脂系のプライマー塗料から形成されたプライマー層、
(5)エポキシ樹脂系、フッ素樹脂系、ポリウレタン樹脂系、アクリルシリコーン樹脂系、および無機質系の耐候性塗料よりなる群から選ばれた少なくとも1種の耐候性塗料から形成された耐候層。
防食層(1)が、エポキシ樹脂系重防食被膜からなることが好ましい。
金属層(3)が、チタンまたはステンレスの金属箔からなることが好ましく、特にチタン箔からなることが好ましい。
プライマー層(4)が、エポキシ樹脂系またはポリウレタン樹脂系のプライマー塗料から形成されていることが好ましい。
耐候層(5)は、中塗り層(5-1)と上塗り層(5-2)とからなる2層構造を有し、
プライマー層(4)の表面に形成される中塗り層(5-1)が、エポキシ樹脂系、または
ポリウレタン樹脂系の耐候性中塗り塗料から形成され、
中塗り層(5-1)の表面に形成される上塗り層(5-2)が、フッ素樹脂系、ポリウレタン樹脂系、アクリルシリコーン樹脂系、または無機質系の耐候性上塗り塗料から形成されていることが好ましい。
また、上塗り層(5-2)が、フッ素樹脂系またはアクリルシリコーン樹脂系の耐候性上
塗り塗料から形成されていることも好ましい。
本発明に係る重防食積層被膜付き鋼材は、鋼材表面に、上記いずれかに記載の重防食積層被膜が形成されてなることを特徴とする。
本発明に係る鋼材の防食方法は、鋼材表面に、上記いずれかに記載の方法で重防食積層被膜を形成することを特徴とする。
本発明に係る重防食積層被膜は、防食層(1)、粘接着層(2)、金属層(3)、プライマー層(4)、耐候層(5)が順に積層されてなるため、この重防食積層被膜が形成された鋼材は、長期間に亘って耐候性および防食性に優れるとともに、美観を維持すること
もできる。このような効果は、優れた防食性を有する防食層(1)と金属層(3)、および優れた装飾性および高い耐候性を有する耐候層(5)から主として得られる。さらに、本発明のように、防食層(1)と金属層(3)、さらに金属層(3)と耐候層(5)が、各々粘接着層(2)、プライマー層(4)を介して強固に付着される5層構造とすることにより、長期間に亘る耐候性および防食性に優れ、ひいては美観を長期間維持することができる。
さらに、本発明に係る重防食積層被膜は、その好ましい態様において、防食層(1)と金属層(3)との間に、接着シートからなる粘接着層(2)を有しており、防食性に優れた防食層(1)と金属層(3)とを強固に接着するとともに、重防食積層被膜に可撓性を付与することができる。したがって、重防食積層被膜が形成された鋼材においては、鋼材が熱膨張や収縮などを繰り返し、長期間に亘って該被膜に応力を加えても亀裂が発生することがないため、より長期間に亘って優れた耐候性および防食性を付与することができる。
以下、本発明の重防食積層被膜、重防食積層被膜付き鋼材、重防食積層被膜の形成方法、および鋼材の防食方法について詳細に説明する。
本発明に係る重防食積層被膜は、図1に示すように金属基材表面に、防食層(1)、粘接着層(2)、金属層(3)、プライマー層(4)、および耐候層(5)が順に積層され、隣接する層は互いに接合されてなる耐候性および防食性に優れた重防食積層被膜Aである。なお、接合の形態は、用いられる層の種類などにより、例えば、粘接着、溶接、蒸着、含浸付着などの任意の形態をとりうる。
このような重防食積層被膜が形成される金属基材としては、土木構造物、建築物、港湾設備、プラント、船舶、橋梁、電力設備、通信設備等の大型の鉄鋼構造物が挙げられる。この鉄鋼構造物の鋼材表面は、重防食積層被膜を形成する前に、予め下地処理を行っておくことが好ましい。
この下地処理は、通常、金属基材表面の素地調整をした後に防錆塗装をすることにより行う。素地調整は、基材が炭素鋼材の場合には、ミルスケール、さびなどをブラスト、ディスクサンダー、パワーブラシなどにより除去した後、必要に応じて有機溶剤をしみ込ませた布で基材表面に付着している油などの汚れを除去する。また、アルミニウム、ステンレス鋼、銅合金などの材料の場合には、パワーブラシ、サンドペーパーなどにより基材表面に軽度の面荒らしを行なった後、必要に応じて有機溶剤をしみ込ませた布で汚れを拭き取って基材表面を清浄にする。このように素地調整が行われた金属基材表面は、発錆しやすいので、通常、できるだけ早く一時的防錆を目的とした防錆塗装を行う。防錆塗装には、無機ジンクリッチプライマーなどの一次防錆プライマー(ショッププライマー)が用いられる。このように金属基材表面を下地処理した後に重防食積層被膜を形成する。
以下に、この重防食積層被膜を、各層ごとに説明する。
防食層(1)
防食層(1)は、金属基材表面に形成され、金属基材の腐食を防止することができる。
この防食層(1)は、重防食被膜(a)、金属被膜(b)およびライニング被膜(c)よりなる群から選ばれた少なくとも1種の防食被膜からなる。
重防食被膜(a)は、重防食塗料から形成される。重防食塗料としては、エポキシ樹脂系、ポリウレタン樹脂系、フッ素樹脂系、アクリルシリコーン樹脂系などの重防食塗料が挙げられる。金属被膜(b)は、亜鉛,アルミニウム,アルミニウム亜鉛合金,ステンレス鋼などの金属を用い、従来公知の方法に従い、めっき、溶射などを行って金属基材表面
に形成される。ライニング被膜(c)は、樹脂ライニング材、ゴム、プラスチック、コンクリートなどを用い、従来公知の方法に従ってライニングすることにより形成される。ライニング被膜(c)としては、樹脂ライニング被膜が好ましい。
本発明においては、防食層(1)がエポキシ樹脂系重防食塗料から形成された防食被膜(重防食被膜(a))からなることが好ましい。このエポキシ樹脂系防食塗料としては、下記のようなエポキシ樹脂、エポキシ樹脂用の硬化剤のほかに、必要により顔料成分、熱可塑性樹脂が含有されていてもよく、さらに通常の塗料組成物中に含有されるような各種可塑剤、体質顔料、着色顔料、防錆顔料、溶剤、硬化促進剤、タレ止め剤、沈降防止剤などが配合されていてもよい。塗装方法としては、ハケ、スプレー、フローコーター、ロールコーター等の塗装機などにより塗布する方法が挙げられる。
本発明の好ましい態様においては、例えば、エポキシ樹脂としてエポキシ当量が160〜500で、液状〜固形のビスフェノール型エポキシ樹脂を用いた非タール系エポキシ樹脂系防食塗料が好ましい。
これらのエポキシ樹脂を更に詳しく例示すると、ビスフェノールAタイプ、ビスフェノールFタイプのエポキシ樹脂をはじめ、ダイマー酸変性、ポリサルファイド変性のエポキシ樹脂等を挙げることができ、芳香環を有する構造のエポキシ樹脂が水添された構造のものを用いることもできる。ビスフェノールAまたはビスフェノールFタイプ等の芳香族系エポキシ樹脂が好ましい。
エポキシ樹脂用の硬化剤としては、前記エポキシ樹脂を反応、硬化させ得るものであれば特に限定されず、アミン系、カルボン酸系、酸無水物系、シラノール系のものなどを任意に使用することができるが、橋梁や船舶外板などの屋外の大型の鉄鋼構造物の塗装は常温環境下で施工する場合が多く、常温で硬化し得る硬化剤が好ましく用いられ、特にアミン系の硬化剤が好ましく用いられる。
このようなエポキシ樹脂系防食塗料としては、中国塗料(株)製の「エコマックス」シリーズ、「エピコン」シリーズ、「ユニバン」シリーズなどを用いることができる。
このような防食層(1)の膜厚は、用いる材料により好ましい範囲が異なるが、0.001mm〜100mm、好ましくは0.01mm〜10mm、さらに好ましくは0.03mm〜1mmの範囲にあることが望ましい。防食層(1)が、このような膜厚であると、金属基材の防食性に優れる重防食積層被膜を得ることができる。
なお、防食層(1)は、上記したように基材表面に新設してもよいが、また既存の重防食被膜(層)をそのまま用いてもよい。既存の重防食被膜(層)を用いる場合には、被膜表面の酸化物、異物、油分等を除去するために、酸洗浄脱脂処理、または動力工具、手工具、ブラスト等により、適宜調整して防食層が残るように下地処理を行う。このように、既存の防食層を利用すれば、金属基材表面を下地処理によって傷めることがなく、さらに、作業性や製造コストに優れる。
粘接着層(2)
粘接着層(2)は、防食層(1)の表面に形成され、後述する金属層(3)と防食層(1)とを互いに強固に接着(接合)する。
この粘接着層(2)は、ゴム系、石油樹脂系、アクリル樹脂系、エポキシ樹脂系、ウレタン樹脂系、およびシリコーン樹脂系の粘接着剤よりなる群から選ばれた少なくとも1種の粘接着剤から形成されてもよく、これらの粘接着剤により、シート状の基材の少なくとも一方の面に粘接着面が形成された接着シートから形成されていてもよい。
まず、粘接着剤について説明する。
(粘接着剤)
本発明に用いられる粘接着剤としては、ゴム系、石油樹脂系、アクリル樹脂系、エポキシ樹脂系、ウレタン樹脂系、シリコーン系のものが挙げられる。粘接着剤は、これらのゴムまたは樹脂をベースとし、粘着付与樹脂、軟化剤、さらに必要に応じて顔料等の充填剤、老化防止剤等が配合されていてもよい。
これらの粘接着剤は、溶剤系、水系、無溶剤系の何れであってもよく、硬化方法は、UV硬化、熱硬化、常温硬化の何れでもよい。塗装方法としては、ハケ、スプレー、フローコーター、ロールコーター等の塗装機などにより塗布する方法が挙げられる。
ゴム系粘接着剤のエラストマー成分として、例えば、天然ゴム、合成イソプレンゴム、スチレンイソプレンゴム、ブチルゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、スチレン・イソプレンブロックコポリマー等が挙げられ、これらは単独または2種以上組み合わせて用いることができる。
石油樹脂系粘接着剤の石油樹脂としては、例えば、ナフサ分解油のC5留分をカチオン重合して得られる脂肪族系のもの、ナフサ分解油のC9留分をカチオン重合して得られる芳香族系のもの、前述のC5留分とC9留分とを適宜の割合に混合してカチオン重合した共重合系のもの、また、これら石油系樹脂の主鎖構造が環状である脂環族系のもの等が挙げられ、これらは単独または2種以上組み合わせて用いることができる。石油樹脂は、単独で用いてもよいが、他の樹脂とともに併用して粘着付与剤として用いることもできる。
アクリル樹脂系粘接着剤の樹脂成分としては、アクリル系(共)重合体が挙げられる。このアクリル系(共)重合体は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどのモノマーにイソシアネート系架橋剤やエポキシ系架橋剤などの架橋剤や、所定の他のモノマーを配合し反応させて得られる。この(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸−ペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸イソミリスチルなどが挙げられ、これらは単独または2種以上組み合わせて用いることができる。このようなアクリル樹脂系粘接着剤としては、ボンコートR−510(大日本インキ化学工業(株)製)などが挙げられる。
エポキシ樹脂系粘接着剤のエポキシ樹脂としては、特に制限はないが、ビスフェノール型エポキシ樹脂、グリシジルエステル系エポキシ樹脂、グリシジルアミン系エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾール型エポキシ樹脂、ダイマー酸変性エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、エポキシ化油系エポキシ樹脂などのエポキシ樹脂などが挙げられる。中でも、ビスフェノール型エポキシ樹脂が好ましく、さらにはビスフェノールAタイプ、Fタイプのエポキシ樹脂が好ましく、特にビスフェノールAタイプのエポキシ樹脂が好ましく用いられる。ビスフェノール型エポキシ樹脂を用いると、金属層(c)への接着力と防食性に優れた被膜を形成することができる。さらに反応性希釈剤として用いられるエポキシ樹脂を配合してもよい。このようなエポキシ樹脂系粘接着剤としては、ボンドMOS7(コニシ(株)製)などが挙げられる。
ウレタン樹脂系粘接着剤のウレタン樹脂としては、特に制限されないが、界面活性剤を使用せずに乳化(エマルジョン化)し得るアニオン性の自己乳化型ウレタン樹脂(水分散
性ウレタン樹脂)が好ましい。水分散性ウレタン樹脂は、界面活性剤を使用していないため、金属薄膜層の劣化を抑制できる。このようなウレタン樹脂系粘接着剤としては、(DerfitU−2Y040(コグニスジャパン(株)製)、セフコールST−24(ウレタン技研工業(株)製)などが挙げられる。
シリコーン系粘接着剤は、一般に、過酸化物硬化型シリコーン系粘接着剤と付加反応型シリコーン系粘接着剤とに分けられる。過酸化物硬化型シリコーン系粘接着剤は、過酸化物による硬化(架橋)によって凝集力を高めて使用されるものであり、付加反応硬化型シリコーン系粘接着剤は、金属触媒を用いたヒドロシリル化架橋反応によって凝集力を高めて使用されるものである。本発明では、過酸化物硬化型シリコーン系粘接着剤と付加反応型シリコーン系粘接着剤のいずれも使用できる。本発明において、過酸化物硬化型シリコーン系粘接着剤としては、例えば、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製のSH4280、信越化学工業社製のKR−12等が挙げられる。また、付加反応型シリコーン系粘接着剤としては、例えば、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製のSD4570、信越化学工業社製のX−40−3004A等が挙げられる。
粘接着層(2)が上記した粘接着剤から形成されている場合、予めテープ状に形成して、粘着テープ(基材なし)として用いることもできる。
粘接着層(2)の膜厚は、上記粘接着剤から形成される場合、防食層(1)と金属層(3)とに対する接着性の面から、通常0.001mm〜10mm、好ましくは0.01mm〜5mm、さらに好ましくは0.05mm〜1mmの範囲にあることが望ましい。
(接着シート)
本発明の好ましい態様においては、粘接着層(2)は、接着シートから形成されることが望ましい。
この接着シートは、シート状の基材の少なくとも一方の面、好ましくは両面に、粘接着面を有する。接着シートを用いて粘接着層(2)を形成する場合は、接着シートと防食層(1)との間に空気が入らないように、接着シートをローラーで圧着しながら防食層(1)表面に貼り付けることにより形成し、また、圧着の際または圧着後に所定の条件で加熱、UV照射等により接着硬化させて形成することもできる。
シート状の基材は、ブチルゴム等のゴム材料、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ポリエチレン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等の樹脂フィルム、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、レーヨン、ビニロン等の不織布などから形成される。またはそれらを組み合わせたものを材料とすることもできる。
粘接着面は、例えばシート状のゴム材料や樹脂フィルムに粘接着剤を塗布することにより形成され、また不織布に粘接着剤を含浸させて形成される。この粘接着剤に含有される樹脂は、特に限定されず、上述の粘接着剤に用いられる各種の樹脂を用いることができるが、チタン箔などの金属層(3)を積層した後に揮発成分が残存せず、容易に揮散するような樹脂が好ましい。具体的には、上述したような合成ゴム、アクリル樹脂、シリコーンが好ましく、これらを含有する粘接着剤が使用される。
このような接着シートとしては両面接着シートが好ましく、具体的には、両面接着シートNo.541(日東電工(株)製、基材:発泡ブチルゴムシート、膜厚:0.75mm)、両面接着シートNo.500,500A(日東電工(株)製、基材:不織布、膜厚:0.17mm)などが挙げられる。
本発明の重防食積層被膜は、その好ましい態様において、前記防食層(1)と金属層(3)との間に、接着シートからなる粘接着層(2)を有しており、防食性に優れた防食層
(1)と金属層(3)とを強固に接着するとともに、重防食積層被膜に可撓性を付与することができる。したがって、重防食積層被膜が形成された鋼材においては、鋼材が熱膨張や収縮などを繰り返し、長期間に亘って該被膜に応力を加えても亀裂が発生することがないため、より長期間に亘って優れた耐候性および防食性を付与することができる。
粘接着層(2)が、接着シートから形成される場合、具体的には前記防食層(1)表面に接着シートを貼り付けた後に、その接着シート表面に金属層(3)を設けて(貼り付けて)もよいが、作業性の観点から、予め接着シートと後述する金属層(3)とを貼り合わせて積層体を形成し、この積層体を防食層(1)表面に、層(1)〜(3)の順になるように貼り付けることが好ましい。
粘接着層(2)の膜厚は、上記接着シートから形成される場合、通常0.01mm〜100mm、好ましくは0.05mm〜10mm、さらに好ましくは0.1mm〜5mmの範囲にあることが望ましい。接着シートから形成される粘接着層(2)がこのような範囲にあると、防食層(1)と金属層(3)とに強固に付着することができ、さらに重防食積層被膜に可撓性を付与することができるため、より長期間に亘って優れた耐候性および防食性を付与することができる。
金属層(3)
金属層(3)は、粘接着層(2)の表面に形成され、粘接着層(2)とプライマー層(4)との間にあって、本発明の重防食積層被膜の防食性をさらに向上させる。
この金属層(3)は、防食性金属箔から形成され、防食性金属箔としては、チタンまたはステンレスの金属箔が挙げられる。またこの防食性金属箔は、合金であってもよい。本発明において用いられる防食性金属箔としては、その防食性や取り扱いが容易な点からチタン箔が好ましい。
この金属層(3)は、具体的には、以下の方法により形成される。
(a)金属基材表面に防食層(1)と粘接着層(2)とを順に形成した後、該粘接着層(2)上に防食性金属箔を貼り付ける方法。
(b)防食性金属箔の一方の面に、上記粘接着剤を塗布して粘接着層(2)を形成して積層体を作製し、この積層体を粘接着層(2)を防食層(1)上に貼り付ける方法。
(c)一方の面に粘接着面を有する接着テープ(粘接着層(2))の他方の基材面に、真空蒸着、電気メッキまたは化学メッキ法により金属層(3)を形成して積層体を作製し、この積層体を金属基材表面に形成された防食層(1)上に、粘接着面により貼り付ける方法。
(d)両面接着テープ(粘接着層(2))の一方の粘接着面に、防食性金属箔を貼り付けて積層体を作製し、この積層体を他方の粘接着面により防食層(1)上に貼り付ける方法。
本発明においては、製造工程が簡易な上記(d)の方法により、金属層(3)(および粘接着層(2))を設けることが好ましい。
このような金属層(3)の厚みは、加工性、コスト面、防食効果の点から、0.01mm〜1mm好ましくは0.02mm〜0.2mmの範囲であることが望ましい。
プライマー層(4)
プライマー層(4)は、金属層(3)表面に形成され、金属層(3)と耐候層(5)とを強固に接着する。
このプライマー層(4)は、エポキシ樹脂またはポリウレタン樹脂を含むプライマー塗
料から形成される。プライマー塗料は、これらの樹脂をベースとし、必要により硬化剤、顔料成分、熱可塑性樹脂が含有されていてもよく、さらに通常の塗料組成物中に含有されるような各種可塑剤、体質顔料、着色顔料、防錆顔料、溶剤、硬化促進剤、タレ止め剤、沈降防止剤などが配合されていてもよい。このプライマー塗料は、溶剤系、水系、無溶剤系の何れであってもよく、硬化方法は、UV硬化、熱硬化、常温硬化の何れでもよい。
このエポキシ樹脂系プライマー塗料に含有されるエポキシ樹脂としては、ビスフェノール型エポキシ樹脂、グリシジルエステル系エポキシ樹脂、グリシジルアミン系エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾール型エポキシ樹脂、ダイマー酸変性エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、エポキシ化油系エポキシ樹脂などのエポキシ樹脂などが挙げられる。中でも、ビスフェノール型エポキシ樹脂が好ましく、さらにはビスフェノールAタイプ、Fタイプのエポキシ樹脂が好ましく、特にビスフェノールAタイプのエポキシ樹脂が好ましく用いられる。ビスフェノール型エポキシ樹脂を用いると、金属層(3)への接着力と防食性に優れた被膜を形成することができる。
このようなエポキシ樹脂系プライマー塗料としては、エピコンS−100プライマー(中国塗料(株)製、主剤:硬化剤=9:1)、エピコンA−100プライマー(中国塗料(株)製、主剤:硬化剤=3:1)などを挙げることができる。
一方、ポリウレタン樹脂系プライマー塗料に含有されるポリウレタン樹脂としては、具体的には、両末端に活性水素を有する化合物とポリイソシアネート化合物との反応から形成されるものである。活性水素を含有する化合物としては、ポリアルキレングリコール類、ポリブタジエングリコール類、ポリアルキレンアジペート類、ポリブタジエングリコール類、ポリアルキレンカーボネート類、シリコーンポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール等のポリオール化合物が挙げられる。ポリイソシアネート化合物としては、脂肪族系ポリイソシアネート、芳香族系ポリイソシアネート、水添キシレンジイソシアネート、β−ジケトン・オキシム・フェノール・カプロラクタム等でブロックされたブロック型ポリイソシアネート等が挙げられる。
このようなポリウレタン樹脂を含有するプライマー塗料としては、2液硬化型ウレタン樹脂プライマー塗料が用いられる。
本発明において用いられるプライマー塗料としては、金属層(3)を形成するチタンとの接着性が良好なエポキシ樹脂系プライマー塗料が好ましい。
プライマー層(4)の膜厚は、金属層(3)と耐候層(5)とに対する接着性の面から、0.001mm〜1mm、好ましくは0.005mm〜0.5mm、さらに好ましくは0.01mm〜0.1mmの範囲であることが望ましい。
耐候層(5)
耐候層(5)は、プライマー層(4)表面に形成され、本発明の重防食被覆鋼材の防食性および耐候性を向上させると共に、自由な色彩を設定することができる。このような耐候層(5)は、エポキシ樹脂系、フッ素樹脂系、ポリウレタン樹脂系、アクリルシリコーン樹脂系、および無機質系の耐候性塗料よりなる群から選ばれた少なくとも1種の耐候性塗料から形成される。耐候性塗料に含有される樹脂成分は、具体的には、以下のもの例示することができる。
エポキシ樹脂系耐候性塗料に含まれるエポキシ樹脂としては、上記エポキシ樹脂系プライマー塗料に含有されるエポキシ樹脂と同様のものが用いられ、ポリウレタン樹脂系耐候性塗料に含有されるポリウレタン樹脂としては、ポリウレタン樹脂系プライマー塗料に含有されるポリウレタン樹脂と同様のものが用いられる。
フッ素樹脂系耐候性塗料に含まれるフッ素樹脂としては、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、トリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、フッ化ビニル等の含フッ素モノマーの単独重合あるいは他のモノマーとの共重合によって得られる含フッ素ポリマーを使用できる。
アクリルシリコーン樹脂系耐候性塗料に含有されるアクリルシリコーン樹脂は、アクリル樹脂とシリコーン樹脂とをブロック共重合させたもの、架橋させたものや、シリコーンを部分的にアクリル修飾したものや、上記2成分を他の架橋剤で架橋させたものなどが挙げられる。このアクリル樹脂としては、(メタ)アクリル酸または(メタ)アクリル酸エステルなどの(メタ)アクリル酸誘導体の少なくとも1種を重合することにより得られる。必要に応じて架橋剤(メラミン樹脂、ポリイソシアネート、アルコキシシラン化合物など)を加えることにより得られるものを使用できる。
無機質系耐候性塗料に含有される無機質充填剤としては、耐火性無機粉末、たとえばシリカ、アルミナムライト、ジルコニア、ケイ酸ジルコニウム、各種ガラス粉末、ガラス繊維、セラミックファイバーの粉砕物、顔料等が挙げられる。
このような耐候性塗料の粘度は、ストーマー粘度計法(JIS K-5600-2-2,25℃,単位KU値)で63〜83、好ましくは、68〜78、さらに好ましくは70〜75であることが望ましい。この範囲の粘度とすることにより、所望の塗布量に容易に調整することができるとともに、所定の乾燥膜厚となるように耐候層(5)を形成することができる。
つまり、鉄鋼構造物、例えば橋梁桁下部のフランジなどには、断面略L字状の部材端部や、凸状の接合部が形成されており、鋼材表面が必ずしも平面形状ではない。したがって、このような部分に塗装を行うと、塗料が垂れることにより、形成される塗膜にムラが生じてしまい所定の膜厚の塗膜を均一に形成するのは困難である。本発明の好ましい態様においては、長期の防食性と耐候性とに寄与する粘接着層(2)、金属層(3)、耐候層(5)において、粘接着層(2)を可撓性のある接着テープで形成し、金属層(3)を加工性に優れた金属箔で形成し、さらに耐候層(5)を上記粘度範囲の耐候性塗料で形成している。そのため、鋼材表面が平面形状ではなくても、所定の膜厚の塗膜を鋼材全面に均一に形成することができる。したがって、このような本発明の重防食積層被膜は、長期間の耐候性と防食性に優れると共に、粘接着層(2)と金属層(3)と耐候層(5)と組み合わせて用いることにより特にこれらの効果に優れる。
耐候層(5)の厚みは、耐候性および防食性の観点から、0.005mm〜1mm、好ましくは0.01mm〜0.5mm、さらに好ましくは0.01mm〜0.1mmの範囲にあることが望ましい。
本発明において耐候層(5)は、上塗り層(5-2)のみから形成されてもよいが、中塗
り層(5-1)と、上塗り層(5-2)とが順に積層されてなることが好ましい。この場合、中塗り層(5-1)は、下地の隠蔽と接着性向上を目的としてプライマー層(4)表面に形成
される。
以下、中塗り層(5-1)、上塗り層(5-2)について説明する。
(中塗り層(5-1))
中塗り層(5-1)は、エポキシ樹脂系、フッ素樹脂系、ポリウレタン樹脂系、アクリル
シリコーン樹脂系、および無機質系の耐候性中塗り塗料から形成される。本発明においては、プライマー層(4)と上塗り層(5-2)との接着性の面から、エポキシ樹脂系中塗り
塗料、ポリウレタン樹脂系中塗り塗料が好ましい。
耐候性中塗り塗料は、上述の樹脂をベースとし、必要により硬化剤、顔料成分、熱可塑性樹脂が含有されていてもよく、さらに通常の塗料組成物中に含有されるような各種可塑剤、体質顔料、着色顔料、防錆顔料、溶剤、硬化促進剤、タレ止め剤、沈降防止剤などが配合されていてもよい。このプライマー塗料は、溶剤系、水系、無溶剤系の何れであってもよく、硬化方法は、UV硬化、熱硬化、常温硬化の何れでもよい。
エポキシ樹脂系耐候性中塗り塗料としては、中国塗料(株)製「エピコン」シリーズ、など;フッ素樹脂系耐候性中塗り塗料としては、中国塗料(株)製「フローレックス」シリーズなど;ポリウレタン樹脂系耐候性中塗り塗料としては、中国塗料(株)製「ユニマリン」シリーズなど;アクリルシリコーン樹脂系耐候性中塗り塗料としては、中国塗料(株)製「シリカラック」シリーズなど;無機質系耐候性中塗り塗料としては、中国塗料(株)製「ケイソル」シリーズなどを挙げることができる。
このような中塗り塗料の塗装方法としては、ハケ、スプレー、フローコーター、ロールコーター等の塗装機などにより塗布する方法が挙げられる。上記のように中塗り塗料を塗布した後、従来公知の方法によりUV硬化、熱硬化、常温硬化等により硬化させ、プライマー層(4)の表面に中塗り層(5-1)を形成することができる。
このような中塗り層(5-1)の乾燥膜厚は、特に限定されないが、通常、3〜600μ
m厚、好ましくは6〜300μm厚、さらに好ましくは6〜60μm厚であることが望ましい。中塗り層(5-1)が上記の膜厚であると、プライマー層(4)との密着性に優れ、
金属層(3)表面を隠蔽でき、耐候性に優れ、しかも金属基材表面への塗料の塗布状況を容易に把握することができる。
本発明においては、このように、プライマー層(4)の表面に、中塗り層(5-1)を形
成した場合には、次いでこの中塗り層(5-1)表面に上塗り層(5-2)を形成する。
(上塗り層(5-2))
上塗り層(5-2)は、フッ素樹脂系、ポリウレタン樹脂系、アクリルシリコーン樹脂系
、および無機質系の耐候性上塗り塗料などから形成される。本発明においては、防食性の面から、フッ素樹脂系、ポリウレタン樹脂系、アクリルシリコーン樹脂系、無機質系の耐候性上塗り塗料が好ましく、フッ素樹脂系、アクリルシリコーン樹脂系の耐候性上塗り塗料がより好ましく、フッ素樹脂系の耐候性上塗り塗料が特に好ましい。
耐候性上塗り塗料は、上述の樹脂をベースとし、必要により硬化剤、顔料成分、熱可塑性樹脂が含有されていてもよく、さらに通常の塗料組成物中に含有されるような各種可塑剤、体質顔料、着色顔料、防錆顔料、溶剤、硬化促進剤、タレ止め剤、沈降防止剤などが配合されていてもよい。このプライマー塗料は、溶剤系、水系、無溶剤系の何れであってもよく、硬化方法は、UV硬化、熱硬化、常温硬化の何れでもよい。
上塗り層(5-2)を形成する上塗り塗料としては、溶剤系塗料、水系塗料のいずれも使
用可能であり、中塗り塗料に応じて適宜選択される。
このような上塗り塗料には、これら樹脂と共に、着色顔料、体質顔料、充填剤、抗菌剤、防腐剤、防黴剤、耐候安定剤、シリカ等の艶消し材、骨材等が含有されていても良い。
フッ素樹脂系耐候性上塗り塗料としては、中国塗料(株)製「フローレックス」シリーズなど;ポリウレタン樹脂系耐候性上塗り塗料としては、中国塗料(株)製「ユニマリン」シリーズなど;アクリルシリコーン樹脂系耐候性上塗り塗料としては、中国塗料(株)製「シリカラック」シリーズなど;無機質系耐候性上塗り塗料としては、中国塗料(株)製「ケイソル」シリーズなどを挙げることができる。
この上塗り塗料の塗装方法としては、ハケ、スプレー、フローコーター、ロールコーター等の塗装機などにより塗布する方法が挙げられる。
上記のように上塗り塗料を塗布した後、従来公知の方法によりUV硬化、熱硬化、常温硬化等により硬化させ、中塗り層(5-1)の表面に上塗り層(5-2)を形成し、本発明の重防食被膜付き鋼材を製造することができる。
この上塗り層(硬化膜)の膜厚は、中塗り層とともに形成する場合は、通常、2〜400μm厚、好ましくは4〜200μm厚、さらに好ましくは4〜40μm厚であることが望ましい。このような膜厚となるように上塗り塗料を塗布することにより、プライマー層(4)または中塗り層(5-1)との密着性に優れ、耐候性に優れる重防食被膜を得ること
ができる。
<重防食積層被膜>
本発明に係る重防食積層被膜は、上述のように、防食層(1)、粘接着層(2)、金属層(3)、プライマー層(4)、耐候層(5)が順に積層されてなるため、この重防食積層被膜が形成された鋼材は、長期間に亘って耐候性および防食性に優れるとともに、美観を維持することもできる。このような効果は、優れた防食性を有する防食層(1)と金属層(3)、および優れた装飾性および高い耐候性を有する耐候層(5)から主として得られる。さらに、本発明のように、防食層(1)と金属層(3)、さらに金属層(3)と耐候層(5)が、各々粘接着層(2)、プライマー層(4)を介して強固に付着される5層構造とすることにより、長期間に亘る耐候性および防食性に優れ、ひいては美観を長期間維持することができる。
さらに、本発明に係る重防食積層被膜は、その好ましい態様において、防食層(1)と金属層(3)との間に、接着シートからなる粘接着層(2)を有しており、防食性に優れた防食層(1)と金属層(3)とを強固に接着するとともに、重防食積層被膜に可撓性を付与することができる。
したがって、重防食積層被膜が形成された鋼材においては、鋼材が熱膨張や収縮などを繰り返し、長期間に亘って該被膜に応力を加えても亀裂が発生することがないため、より長期間に亘って優れた耐候性および防食性を付与することができる。
またさらに、本発明に係る重防食積層被膜の最も好ましい態様を例示すると、
エポキシ樹脂系重防食被膜からなる防食層(1)、
シート状の基材の少なくとも一方の面、好ましくは両面に、アクリル樹脂系の粘接着剤から形成された粘接着面を有する接着シートからなる粘接着層(2)、
チタン箔からなる金属層(3)、
エポキシ樹脂系プライマー塗料から形成されプライマー層(4)、
エポキシ樹脂系、またはポリウレタン樹脂系の耐候性中塗り塗料から形成された中塗り層(5-1)と、フッ素樹脂系またはアクリルシリコーン樹脂系の耐候性上塗り塗料から形
成された上塗り層(5-2)とからなる耐候層(5)、
が順に積層されてなる。
重防食積層被膜がこのような組合せで積層されていると、上述の効果に特に優れるため、該被膜が形成された鋼材は、特に長期の防食性に優れる。
したがって、本発明の重防食積層被膜は、鉄鋼構造物用の重防食積層被膜として好適に用いることができる。
[実施例]
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例
に限定されるものではない。
<使用材料>
1.第1層(防食層)
・エポキシ樹脂系防食塗料(実施例3,4は、エピコンHB−300(中国塗料(株))、
その他はエピコンプライマーCL(中国塗料(株))を使用)
2.第2層(粘接着層)
・アクリル系両面粘着テープA(両面接着シートNo.541、日東電工(株)製、基材:発泡ブチルゴムシート、粘接着層:アクリル系樹脂、膜厚:0.75mm)
・アクリル系両面粘着テープB(両面接着シートNo.500(日東電工(株)製、基材:不織布、粘接着層:アクリル系樹脂、膜厚:0.17mm)
・エポキシ樹脂粘接着剤(ボンドMOS7(コニシ(株)製))
・ウレタン樹脂粘接着剤A(DerfitU−2Y040(コグニスジャパン(株)製))
・ウレタン樹脂粘接着剤B(セフコールST−24(ウレタン技研工業(株)製))
3.第3層(金属層)
・チタン箔A(膜厚0.1mm、TP270C(新日本製鐵(株)製))
・チタン箔B(膜厚0.05mm、TP270C(新日本製鐵(株)製))
・チタン箔C(膜厚0.02mm、TP270C(新日本製鐵(株)製))
4.第4層(プライマー層)
・エポキシ樹脂プライマーA(エピコンA−100プライマー(中国塗料(株)製))
・エポキシ樹脂プライマーB(エピコンS−100プライマー(中国塗料(株)製))
・エポキシ樹脂プライマーC(ユニバンNT(中国塗料(株)製))
5.第5層(耐候層)
5.1中塗り層
・エポキシ樹脂中塗り塗料(エピコン中塗(中国塗料(株)製))
・ポリウレタン樹脂中塗り塗料(ケイソル中塗U(中国塗料(株)製))
5.2.上塗り層
・フッ素樹脂上塗り塗料(フローレックス上塗(中国塗料(株)製))
・ポリウレタン樹脂上塗り塗料(ユニマリンNo300上塗(中国塗料(株)製))
・アクリルシリコーン樹脂上塗り塗料(シリカラックNo300上塗(中国塗料(株)
製))
・無機質系上塗り塗料(ケイソルNo300上塗(中国塗料(株)製))
[実施例1]
サンドブラスト処理し基材表面が現れた平板鋼(200mm×300mm×6mm)表面に、エポキシ樹脂系防食塗料を刷毛にて塗布し、室温で1日程度乾燥して、基材表面に膜厚60μmの第1層(防食層)を形成した。また、予めアクリル系両面粘着テープAの片面にチタン箔A(0.1mm)を貼り付けた積層体を調製しておき、前記第1層(防食層)表面に、他方の粘接着面で積層体を貼りつけ、ロールにより圧接して、基材表面に、第1層〜第3層を形成した。
次に、第3層の表面に、エポキシ樹脂プライマーAを刷毛にて塗布し、室温で1日程度乾燥して、基材表面に膜厚30μmの第4層(プライマー層)を形成した。さらに、第4層の表面に、エポキシ樹脂中塗り塗料を刷毛にて塗布し、室温で1日程度乾燥して、基材表面に膜厚30μmの中塗り層を形成し、中塗り層表面に、フッ素樹脂上塗り塗料を刷毛にて塗布し、室温で7日間程度乾燥して、基材表面に膜厚25μmの上塗り層を形成し、中塗り層と上塗り層とからなる膜厚55μmの第5層(耐候層)を形成した。このようにして、図1に示すような重防食積層被膜を基材表面に形成した。なお、各層の乾燥後の膜厚は、ウェットゲージ及び塗料使用量の管理により調整した。
重防食積層被膜の組成を表1に示す。
[実施例2]
アクリル系両面粘着テープAをアクリル系両面粘着テープBに変更した以外は、実施例1と同様にして、基材表面に重防食積層被膜を形成した。重防食積層被膜の組成を表1に示す。
[実施例3]
鋼材に超厚膜形エポキシ樹脂塗料を塗布し約10年間屋外で暴露したものを使用した。スクレーパーで劣化塗膜およびさびを除去し、さらにワイヤブラシで塗膜の表層を清浄し、基材表面に膜厚300μmの既存の防食層(第1層)のみを有する平板鋼(200mm×300mm×6mm)を用いた。第2層〜第5層は、実施例1と同様にして、基材表面に重防食積層被膜を形成した。この既存の防食層は、エポキシ樹脂系防食塗料(エピコンHB−300(中国塗料(株)製))から形成されていた。重防食積層被膜の組成を表1に示す。
[実施例4]
第2層〜第5層は実施例2と同様に形成した以外は、実施例3と同様にして基材表面に重防食積層被膜を形成した。重防食積層被膜の組成を表1に示す。
[実施例5]
サンドブラスト処理し基材表面が現れた平板鋼(200mm×300mm×6mm)表面に、エポキシ樹脂系防食塗料を刷毛にて塗布し、室温で1日程度乾燥して、基材表面に膜厚60μmの第1層(防食層)を形成した。次いで、チタン箔Aの一方の面にエポキシ系粘接着剤を塗布し、エポキシ系粘接着剤を介してチタン箔Aを第1層(防食層)表面に接着し、基材表面に第1層〜第3層を順に積層した。
次に、第3層の表面に、エポキシ樹脂プライマーAを刷毛にて塗布し、室温で1日程度乾燥して、基材表面に膜厚30μmの第4層(プライマー層)を形成した。さらに、第4層の表面に、エポキシ樹脂中塗り塗料を刷毛にて塗布し、室温で1日程度乾燥して、基材表面に膜厚30μmの中塗り層を形成し、中塗り層表面に、フッ素樹脂上塗り塗料を刷毛にて塗布し、室温で7日間程度乾燥して、基材表面に膜厚25μmの上塗り層を形成し、中塗り層と上塗り層とからなる膜厚55μmの第5層(耐候層)を形成した。このようにして、図1に示すような重防食積層被膜を基材表面に形成した。なお、各層の乾燥後の膜厚は、ウェットゲージ及び塗料使用量の管理により調整した。重防食積層被膜の組成を表1に示す。
[実施例6〜7]
エポキシ樹脂粘接着剤を、それぞれウレタン樹脂粘接着剤A、ウレタン樹脂粘接着剤Bに変更した以外は、実施例5と同様にして、基材表面に重防食積層被膜を形成し、それぞれ実施例6,7とした。重防食積層被膜の組成を表1に示す。
[実施例8〜9]
チタン箔A(0.1mm)を、それぞれチタン箔B(0.05mm)、チタン箔C(0.02mm)に変更した以外は、実施例1と同様にして、基材表面に重防食積層被膜を形成し、それぞれ実施例8,9とした。重防食積層被膜の組成を表1に示す。
[実施例10〜12]
フッ素樹脂上塗り塗料を、それぞれポリウレタン樹脂上塗り塗料、アクリルシリコーン樹脂上塗り塗料、無機質系上塗り塗料に変更した以外は、実施例1と同様にして、基材表面に重防食積層被膜を形成し、順に実施例10,11,12とした。重防食積層被膜の組成を表1に示す。
[実施例13〜14]
エポキシ樹脂プライマーAを、それぞれエポキシ樹脂プライマーB、エポキシ樹脂プライマーCに変更した以外は、実施例1と同様にして、基材表面に重防食積層被膜を形成し、それぞれ実施例13,14とした。重防食積層被膜の組成を表1に示す。
[比較例1〜4]
第4層(プライマー層)を形成しなかった以外は、それぞれ実施例1、10〜12と同様にして、基材表面に重防食積層被膜を形成し、順に比較例1,2,3,4とした。重防食積層被膜の組成を表1に示す。
[比較例5]
第4層(プライマー層)および第5層(耐候層)を形成しなかった以外は、実施例1と同様にして、基材表面に重防食積層被膜を形成した。重防食積層被膜の組成を表1に示す。
[比較例6]
サンドブラスト処理し基材表面が現れた平板鋼(200mm×300mm×6mm)表面に、エポキシ樹脂系防食塗料を刷毛にて塗布し、室温で1日程度乾燥して、基材表面に膜厚60μmの第1層(防食層)を形成した。次いで、前記第1層(防食層)表面に、エポキシ樹脂塗料(エピコンプライマーCL(中国塗料(株)製))を刷毛にて塗布し、室温で1日程度乾燥して、膜厚0.06mmの第2層を形成し、さらに、その表面に、エポキシ樹脂塗料(エピコンプライマーCL(中国塗料(株)製))を刷毛にて塗布し、同様に室温で1日程度乾燥して、膜厚0.06mmの第3層を形成した。
次に、第3層の表面に、第4層(プライマー層)を形成することなく、エポキシ樹脂中塗り塗料を刷毛にて塗布し、室温で1日程度乾燥して、基材表面に膜厚30μmの中塗り層を形成し、中塗り層表面に、フッ素樹脂上塗り塗料を刷毛にて塗布し、室温で7日間程度乾燥して、基材表面に膜厚25μmの上塗り層を形成し、中塗り層と上塗り層とからなる膜厚55μmの第5層(耐候層)を形成した。このようにして、基材表面に重防食積層被膜を形成した。なお、各層の乾燥後の膜厚は、ウェットゲージ及び塗料使用量の管理により調整した。重防食積層被膜の組成を表1に示す。
Figure 0004424536
<試験方法>
1.防食性試験
1.1.外観調査
各実施例および比較例で得られた試験片の重防食積層被膜に、図2の付着性試験1に示すような鋼板素地まで達する切込み(スクラッチ)を長さ5cmとなるように形成する。その後、試験片を室温(15〜25℃)の水道水に浸漬し、浸漬後、1、2、3および4ヶ月経過した後に、試験片を取り出し、スクラッチおよびその付近において、チタン箔のサビ、塗膜のフクレなどの変化を目視にて評価した。変化が認められた時点により、以下の基準にしたがって評価を行った。
Figure 0004424536
2.接着性試験
2.1.外観調査
上記「1.防食性試験(外観調査)」における試験片について、スクラッチ付近以外のチタン箔や塗膜について、浮き、はがれなどの変化を経過時間ごとに目視で確認した。外観調査の評価は、変化が認められた時点により表2のように評価した。評価結果を表4に示す。
2.2.付着性
(付着性試験1)
各実施例および比較例で得られた各々複数枚の試験片を室温(15〜25℃)の水道水に浸漬し、浸漬後、1、2、3および4ヶ月経過した後に、試験片を取り出す。次いで、図2の「付着性試験1」に示すように、重防食積層被膜表面に、無溶剤型エポキシ樹脂系粘接着剤(セメダインEP001(セメダイン(株)))を用いて引張用冶具B(4cm×4cm角板)を接着させる。充分に硬化させた後、その周囲にカッターを用いて鋼板素地まで達する切込みCを形成する。その後、付着性試験(JIS K 5600-5-7)に準じ、引張用冶具Bに試験機(図示せず)を取り付け垂直方向への最大引張荷重を測定した。付着性試験の評価は、付着力が初期(浸漬前)と比較して半減した時点により、以下表3のように評価した。さらに、最大引張荷重を測定した際に、剥離した層を記録した。評価結果を表4に示す。
(付着性試験2)
付着性試験1において最大引張荷重を求めた際に、試験片(実施例1〜14、比較例1〜4)は、第3層と第2層との層間において剥離し、引張用冶具Bに第3〜第5層の積層体(比較例1〜4は、第4層なし)が付着した。この積層体における層間の付着性を確認するために、付着性試験2を行った。図2の「付着性試験2」に示すように、鋼板表面に、エポキシ樹脂塗料(ユニバンNT、中国塗料(株)製)を塗布し、充分に乾燥してエポキシ樹脂塗膜を形成し、さらにこの表面に、無溶剤型エポキシ樹脂系粘接着剤(セメダインEP001(セメダイン(株)))を介して治具付き積層体を貼付けた。充分に硬化させた後、付着性試験1と同様にして引張試験を行った。付着性試験の評価は、付着力が初期(浸漬前)と比較して半減した時期により、以下表3のように評価した。さらに、最大引張荷重を測定した際に、剥離した層を記録した。評価結果を表4に示す。
Figure 0004424536
Figure 0004424536
図1は、本発明の重防食被覆鋼材の概略断面図である。 図2は、実施例における付着性試験(付着性試験1および2)を表す概略側面図および上面図である。
符号の説明
1 ・・・ 防食層
2 ・・・ 粘接着層
3 ・・・ 金属層
4 ・・・ プライマー層
5 ・・・ 耐候層
A ・・・ 重防食積層被膜
B ・・・ 引張用冶具
C ・・・ 切込み

Claims (15)

  1. 金属基材表面に、下記(1)〜(5)の順序で積層されてなる耐候性および防食性に優れた重防食積層被膜;
    (1)重防食被膜、金属被膜、および樹脂ライニング被膜よりなる群から選ばれた少なくとも1種の被膜からなる防食層、
    (2)ゴム系、石油樹脂系、アクリル樹脂系、エポキシ樹脂系、ウレタン樹脂系、およびシリコーン樹脂系の粘接着剤よりなる群から選ばれた少なくとも1種の粘接着剤を含んでなる粘接着層、
    (3)チタン箔からなる金属層、
    (4)ビスフェノール型エポキシ樹脂から形成されたプライマー層、
    (5)エポキシ樹脂系、フッ素樹脂系、ポリウレタン樹脂系、アクリルシリコーン樹脂系、および無機質系の耐候性塗料よりなる群から選ばれた少なくとも1種の耐候性塗料から形成された耐候層。
  2. 防食層(1)が、エポキシ樹脂系重防食被膜からなる請求項1に記載の重防食積層被膜。
  3. 粘接着層(2)は、シート状の基材の少なくとも一方の面に粘接着面を有する接着シートから形成されており、該粘接着面が、ゴム系、石油樹脂系、アクリル樹脂系およびシリコーン樹脂系の粘接着剤よりなる群から選ばれた少なくとも1種の粘接着剤から形成されている請求項1または2に記載の重防食積層被膜。
  4. 耐候層(5)は、中塗り層(5-1)と上塗り層(5-2)とからなる2層構造を有し、
    プライマー層(4)の表面に形成される中塗り層(5-1)が、エポキシ樹脂系、または
    ポリウレタン樹脂系の耐候性中塗り塗料から形成され、
    中塗り層(5-1)の表面に形成される上塗り層(5-2)が、フッ素樹脂系、ポリウレタン樹脂系、アクリルシリコーン樹脂系、または無機質系の耐候性上塗り塗料から形成された請求項1ないしのいずれかに記載の重防食積層被膜。
  5. 上塗り層(5-2)が、フッ素樹脂系またはアクリルシリコーン樹脂系の耐候性上塗り塗
    料から形成された請求項に記載の重防食積層被膜。
  6. 金属基材が鋼材である請求項1ないしのいずれかに記載の重防食積層被膜。
  7. 鋼材が、土木構造物、建築物、港湾設備、プラント、船舶、橋梁、電力設備および通信設備からなる群から選択される少なくとも1種の大型の鉄鋼構造物である請求項6に記載の重防食積層被膜。
  8. 鋼材表面に請求項1ないしに記載の重防食積層被膜が形成されてなる重防食積層被膜付き鋼材。
  9. 金属基材表面に、下記(1)〜(5)の順序で積層する耐候性および防食性に優れた重防食積層被膜の形成方法;
    (1)重防食被膜、金属被膜、および樹脂ライニング被膜よりなる群から選ばれた少なくとも1種の被膜からなる防食層、
    (2)ゴム系、石油樹脂系、アクリル樹脂系、エポキシ樹脂系、ウレタン樹脂系、およびシリコーン樹脂系の粘接着剤よりなる群から選ばれた少なくとも1種の粘接着剤を含んでなる粘接着層、
    (3)チタン箔からなる金属層、
    (4)ビスフェノール型エポキシ樹脂から形成されたプライマー層、
    (5)エポキシ樹脂系、フッ素樹脂系、ポリウレタン樹脂系、アクリルシリコーン樹脂系、および無機質系の耐候性塗料よりなる群から選ばれた少なくとも1種の耐候性塗料から形成された耐候層。
  10. 金属基材表面に、下記(1)〜(5)の順序で積層された耐候性および防食性に優れた重防食積層被膜の形成方法であって、
    前記重防食積層被膜の形成方法は、金属基材表面に、防食層(1)を形成した後、該防食層(1)表面に、粘接着層(2)と金属層(3)とを貼り合わせて作製された積層体を貼り付け、次いでこの積層体表面にプライマー層(4)および耐候層(5)を順に形成する重防食積層被膜の形成方法;
    (1)塗装被膜、金属被膜および樹脂ライニング被膜よりなる群から選ばれた少なくとも1種の防食被膜からなる防食層、
    (2)シート状の基材の少なくとも一方の面に、ゴム系、石油樹脂系、アクリル樹脂系およびシリコーン樹脂系の粘接着剤よりなる群から選ばれた少なくとも1種の粘接着剤から形成された粘接着面を有する接着シートからなる粘接着層、
    (3)チタン箔からなる金属層、
    (4)ビスフェノール型エポキシ樹脂から形成されたプライマー層、
    (5)エポキシ樹脂系、フッ素樹脂系、ポリウレタン樹脂系、アクリルシリコーン樹脂系、および無機質系の耐候性塗料よりなる群から選ばれた少なくとも1種の耐候性塗料から形成された耐候層。
  11. 防食層(1)が、エポキシ樹脂系重防食被膜からなる請求項ないし10のいずれかに記載の、耐候性および防食性に優れた重防食積層被膜の形成方法。
  12. 耐候層(5)は、中塗り層(5-1)と上塗り層(5-2)とからなる2層構造を有し、
    プライマー層(4)の表面に形成される中塗り層(5-1)が、エポキシ樹脂系、または
    ポリウレタン樹脂系の耐候性中塗り塗料から形成され、
    中塗り層(5-1)の表面に形成される上塗り層(5-2)が、フッ素樹脂系、ポリウレタン樹脂系、アクリルシリコーン樹脂系、または無機質系の耐候性上塗り塗料から形成されて
    いる請求項ないし11のいずれかに記載の、耐候性および防食性に優れた重防食積層被膜の形成方法。
  13. 上塗り層(5-2)が、フッ素樹脂系またはアクリルシリコーン樹脂系の耐候性上塗り塗
    料から形成されている請求項12に記載の、耐候性および防食性に優れた重防食積層被膜の形成方法。
  14. 金属基材が鋼材である請求項ないし13のいずれかに記載の、耐候性および防食性に優れた重防食積層被膜の形成方法。
  15. 鋼材表面に、請求項ないし14のいずれかに記載の方法で重防食積層被膜を形成する鋼材の防食方法。
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