JP2001081585A - 金属薄板貼付による鋼構造物の防食方法 - Google Patents

金属薄板貼付による鋼構造物の防食方法

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JP2001081585A
JP2001081585A JP25659399A JP25659399A JP2001081585A JP 2001081585 A JP2001081585 A JP 2001081585A JP 25659399 A JP25659399 A JP 25659399A JP 25659399 A JP25659399 A JP 25659399A JP 2001081585 A JP2001081585 A JP 2001081585A
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rust
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corrosion
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Hiroshi Kajiyama
浩志 梶山
Yu Sugiura
結 杉浦
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NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 鋼構造物の防食技術において、超長期の耐食
性を維持しつつ施工が容易でかつ安価にできることを特
徴とした鋼構造物の防食方法および耐食性鋼構造物を提
供する。 【解決手段】 鋼構造物の鋼材表面を耐食性金属薄板で
被覆する防食方法において、鋼材表面に錆面用塗料を塗
布した後、金属薄板で被覆する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、橋梁、鉄塔、高
架水槽、タンク、および海洋構造物等の鋼構造物一般の
防食処理技術に係り、特に鋼構造物の鋼材表面に耐食性
金属薄板を有することにより長期耐久性を高めた防食方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】橋梁、鉄塔、高架水槽、タンク、および
海洋構造物等の鋼構造物は、そのままでは腐食により赤
錆や黄褐色の浮き錆、流れ錆を生じ、景観を損なうばか
りではなく、腐食による肉厚減少に起因して構造物とし
ての強度低下を来たすので、何らかの防食対策が必要と
される。これら構造物の防食対策としては従来、塗装工
法が一般的であり、長期耐久性を高めた重防食塗装も知
られているものの、塗装コストが高い上、耐用年数に限
りがある。しかも、定期的な塗り替えが必要であること
からメンテナンスコストも高いという問題がある。
【0003】一方、鋼材にP,Cu,CrおよびNi等
の元素を少量添加することにより、大気中において数年
で腐食に対して保護性のある緻密な錆(安定錆)が形成
され、その後の腐食速度が極めて少ない鋼材として耐候
性鋼が知られている。耐候性鋼は、安定錆形成後は無塗
装で永続的に防食効果が持続する、いわゆるメンテナン
スフリー鋼であるので、近年、橋梁や鉄塔等の構造物に
対する採用が増加している。
【0004】しかしながら、安定錆の形成しにくい部
位、例えば、橋梁の桁端部やフランジ下面、また、海岸
部の海塩粒子飛来環境や融雪塩散布地域では、不安定な
錆が生じるため、防食効果が現われず好ましくない。さ
らに、赤錆や黄錆等の浮き錆や流れ錆を生じて外観上問
題があると共に周囲の環境汚染の原因にもなり、利用可
能な地域が限定されるという問題がある。
【0005】さらに、耐候性鋼材は表面に安定錆を形成
することによりその耐候性を向上させているため、外観
上の美観を要求される都市部の構造物には敬遠されると
いう問題もあった。
【0006】これらの問題に対して、鋼構造物の防食、
補修のため鋼構造物の防食対象面に耐食性金属薄板で被
覆することにより、鋼構造物の防食を行う方法が知られ
ている。耐食性金属薄板としてはチタンが多く用いられ
る。チタンは耐腐食性が高く、防食対象面をチタンで覆
うことにより理論的には半永久的な防食が可能となる。
チタンを防食対象面に被覆する方法としては、接着剤あ
るいは粘着剤等によりチタンの薄板を貼り付ける方法が
知られている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、既設の鋼構造
物へ耐食性金属薄板を被覆する場合、接着剤あるいは粘
着剤等を用いた金属薄板の被覆方法においては、鋼材表
面の錆を完全に除去する下地処理作業が不可欠である。
処理が不十分で錆が残っていると、密着不良等による金
属薄板の剥離が起こり、長期の耐食性が確保できない。
そのため、下地処理としては、ブラストによりSIS規
格Sa2.5以上の鋼面が露出し金属光沢が生じるまで
の研掃処理グレードが要求されている。
【0008】しかし、鋼構造物の現地補修においてブラ
ストを行うには、装置や動力源の設置、研掃材の回収作
業、粉塵飛散対策などが必要となり工程も長くなり、費
用も過大になるという問題がある。
【0009】そこで本発明は、鋼構造物の防食技術にお
いて、超長期の耐食性を維持しつつ施工が容易でかつ安
価にできることを特徴とした鋼構造物の防食方法を提供
することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の課題
を解決するために、超長期の耐食性を維持しつつ、か
つ、施工が容易でさらに安価にできる鋼構造物の防食方
法について検討を行った。その結果、鋼構造物の鋼材表
面を耐食性金属薄板で被覆する防食方法において、金属
薄板被覆前の下地処理として、鋼材表面に錆面用塗料を
塗布することにより、上記の課題が解決されることを見
い出した。つまり、錆の生じた鋼材表面の錆を除去し、
清浄化するブラスト処理などの研掃を行わずに錆面用塗
料を塗布することにより、手間のかかるブラスト処理や
電動研掃工具あるいはエア研掃工具などにより錆を除去
し鋼面を露出させる2種ケレンなどの下地処理工程を省
略でき、浮き錆をブラシで除去する程度の簡便な下地処
理でも超長期の耐食性が維持されることを見い出した。
【0011】本発明はこのような知見に基づきなされた
もので、以下のような特徴を有する鋼構造物の防食方法
および本防食方法を用いた鋼構造物である。
【0012】[1]鋼構造物の鋼材表面を耐食性金属薄
板で被覆する防食方法において、鋼材表面に錆面用塗料
を塗布した後、金属薄板で被覆することを特徴とする鋼
構造物の防食方法。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の詳細を説明する。
【0014】この発明は、鋼構造物の鋼材表面に耐食性
金属薄板を被覆して防食を行う方法において、金属薄板
で被覆する前に、錆の生じた鋼材表面の錆を除去し、清
浄化するブラスト処理などの研掃を行わずに錆面用塗料
を塗布するものである。
【0015】ここに、本発明に係る防食方法の手順の一
例を以下に示す。手順は、防食を行う鋼構造物の鋼材表
面の下地処理を行う下地処理工程、その上に耐食性の
金属薄板を被覆する金属薄板貼付工程、とに区分する
ことができる。以下、各工程ごとにその詳細を説明す
る。
【0016】下地処理工程 既設鋼構造物の補修等の場合、浮き錆をブラシ等で除去
した後、錆面用塗料を塗布する。なお、新設の鋼構造物
の場合は、製作中に生じた軽微な錆面の汚れを除去した
後、錆面用塗料を塗布する。
【0017】ここで、錆面用塗料としては、キレート効
果を有するエポキシ樹脂塗料あるいはアミン硬化エポキ
シ樹脂系塗料、アミン硬化タールエポキシ樹脂系塗料、
イソシアネート硬化エポキシ樹脂系塗料、イソシアネー
ト硬化タールエポキシ樹脂塗料、変性エポキシ樹脂塗料
などを使用できる。
【0018】以下、錆面用塗料の作用を説明する。ま
ず、塗料に含まれる樹脂成分が多孔質状の錆層に浸透
し、錆層を硬化させ、脆い錆層を緻密にさせる。同時に
塗布された塗料が錆層中の空気と置換し、錆層のピンホ
ールをなくす。これにより、外部から水や腐食性物質の
侵入があっても鋼材表面への水や腐食性物質の到達を阻
止し、下地鋼材の腐食を防止する。さらに塗料が錆層の
水分と接触することにより、水分を塗料の樹脂内に取り
込み、鋼材の腐食の進行を抑制する。さらに、キレート
効果を有するエポキシ樹脂は錆層の水酸化鉄と反応して
キレート化合物を作り、錆の進行を抑制する。
【0019】また、塗膜で錆層を被覆し平滑な表面にす
るので、次工程の金属薄板を鋼材表面に被覆する際、接
着剤および粘着剤を塗布し易くなり作業効率が向上し、
また、塗布量も低減できる。さらに、鋼面に直接接着剤
や粘着剤を塗布する場合に比べて、錆面用塗料塗膜と接
着剤および粘着剤との密着性が良いため金属薄板と鋼材
表面の密着強度が高くなり、金属薄板の強固な付着が可
能となり、長期の耐食性が向上する。
【0020】錆面用塗料の塗布は刷毛塗り、エアレスス
プレー、エアスプレー、ローラー塗り等の方法で行う。
塗布量は、特に限定しないが、錆層に十分に含浸し錆層
の表面をほぼ被覆できる程度に十分な塗布量で塗布す
る。
【0021】金属薄板貼付工程 下地処理を行った鋼構造物の鋼材表面に耐食性金属薄板
を被覆する。
【0022】耐食性金属薄板として、例えば、チタン、
チタン合金、ステンレス、アルミニウム、アルミニウム
合金、亜鉛溶融メッキ鋼板、アルミニウム溶融メッキ鋼
板、亜鉛- アルミニウムめっき鋼板およびホーロー鋼板
が好ましいが、耐食性金属薄板であれば特に限定されな
い。
【0023】金属薄板の板厚は、10μm〜1mm程度
のものが好ましい。10μm より薄いと施工時に薄板が
破損しやすくなる。1mm より厚いと薄板自身の重量が大
きくなり接着耐久性の信頼性が低下する恐れがあるだけ
ではなく、作業性が悪化し、また、コストが高くなると
いう問題がある。なお、特に好ましいものは、50μm
〜300μm程度のものである。
【0024】ここで、金属薄板は、例えば接着剤あるい
は粘着剤等を用いて鋼材表面に被覆することが好まし
い。なお、金属薄板の被覆方法としては、水や腐食性物
質の侵入を防げる方法であれば良く、特に限定されるも
のではない。
【0025】
【実施例】以下、実施例を示して本発明をさらに詳細に
説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。
【0026】試験体として橋梁箱桁の実寸法モデルを作
成した。ここで、試験体として、 母材:耐候性鋼 箱桁寸法:フランジ幅500mm,ウェブ高さ1000
mm,長さ5000mm 防食対象面積:17m 2 の物を用いた。
【0027】試験体製作後、臨海地域で1年間暴露し、
この試験体に錆を生じさせた。本発明に係る実施例とし
て、上記錆を生じさせた試験体の防食対象部位を電動ワ
イヤブラシを用いて浮き錆の除去を行った後、変性エポ
キシ樹脂系の錆面用塗料を刷毛塗りにより塗布し、その
上に0.1mm 厚のチタン薄板をエポキシ系の接着剤で貼り
付けたものを作製した。
【0028】また、比較例として、防食対象部位をブラ
ストにより錆を完全に除去した後、その上に0.1mm 厚の
チタン薄板をエポキシ系の接着剤で貼り付けたものを作
製した。
【0029】表1に本発明の実施例および比較例におけ
る処理時間を示す。
【0030】
【表1】
【0031】以上のようにして得られた実施例および比
較例の試験体を、臨海地域で1年間暴露した後、試験体
の評価を行った。評価方法は、外観調査、金属薄板の剥
がれの有無、金属薄板の接着状況、金属薄板を強制的に
剥がしその下の鋼材表面の外観調査を行った。
【0032】本発明の実施例に係る試験体には薄板の剥
がれは見られず、金属薄板は強固に接着されており、鋼
材表面に腐食は見られなかった。
【0033】本発明の実施例では、下地処理時間が比較
例に比べて3分の1と大幅に短縮でき、防食補修に要す
る総時間は5分の3になり、工程の短縮、工費の削減に
効果的である。また、実施例の防食効果は比較例と同等
であり、長期間の耐久性を有することを確認した。さら
に、チタン薄板の接着強度を計測したところ、実施例で
は30kg/cm2 以上であり、比較例では20kg/
cm2 程度であり、接着強度が高くなる効果を確認し
た。
【0034】
【発明の効果】以上説明したように、鋼構造物の鋼材表
面を耐食性金属薄板で被覆する防食方法において、鋼材
表面に錆面用塗料を塗布した後、金属薄板で被覆するこ
とにより以下の効果が得られる。
【0035】手間のかかるブラスト処理やケレンによ
る研掃を省略でき、浮き錆をブラシで除去する程度の簡
便な下地処理でよく、工程の短縮、メンテナンス費用の
削減を図りながら、超長期の耐食性が維持される。
【0036】錆面用塗料の塗膜で錆層を被覆し平滑な
表面にするので、金属薄板を鋼材表面に被覆する際、鋼
面に直接接着剤や粘着剤を塗布する場合に比べて、錆面
用塗料塗膜と接着剤および粘着剤との密着性が良いため
金属薄板と鋼材表面の密着強度が高くなり、金属薄板の
強固な付着が可能となり、長期の耐食性が向上する。
【0037】錆面用塗料に含まれる樹脂成分が多孔質
状の錆層に浸透し、錆層を硬化させ、脆い錆層を緻密に
させる。同時に塗布された塗料が錆層中の空気と置換
し、錆層のピンホールをなくす。これにより、外部から
水や腐食性物質の侵入があっても鋼材表面への水や腐食
性物質の到達を阻止し、下地鋼材表面の腐食を防止す
る。さらに塗料が錆層の水分と接触することにより、水
分を塗料の樹脂内に取り込み、鋼材表面の腐食の進行を
抑制する。
【0038】これにより、ミニマムメンテナンスで超長
期の耐食性を維持しつつ施工が容易でかつ安価にできる
鋼構造物の防食方法が提供される。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼構造物の鋼材表面を耐食性金属薄板で
    被覆する防食方法において、鋼材表面に錆面用塗料を塗
    布した後、金属薄板で被覆することを特徴とする鋼構造
    物の防食方法。
JP25659399A 1999-09-10 1999-09-10 金属薄板貼付による鋼構造物の防食方法 Pending JP2001081585A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003268578A (ja) * 2002-03-15 2003-09-25 Dainippon Toryo Co Ltd 耐候性鋼の防食法
JP2011206754A (ja) * 2010-03-31 2011-10-20 Nittetsu Corrosion Prevention Co Ltd 防食方法
WO2022239175A1 (ja) * 2021-05-13 2022-11-17 日本電信電話株式会社 構造体

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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